ファンタジーで田舎なおすすめアニメランキング 28

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのファンタジーで田舎な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月06日の時点で一番のファンタジーで田舎なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

66.5 1 ファンタジーで田舎なアニメランキング1位
じいさんばあさん若返る(TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★★☆ 3.3 (127)
380人が棚に入れました
青森で何十年もりんご農家を営む正蔵とイネは、周囲からおしどり夫婦と呼ばれるほど仲睦まじい。 ある日、畑で見つけた不思議なりんごを食べてみた2人。 次の日目覚めると、若い頃の姿に戻っていた!? かつてイケメンだった正蔵と美人だったイネ。 若返ったその姿に、子供や孫たちをはじめ周囲の人々はビックリ。 とんでもない奇跡を起こしながらも、正蔵とイネはマイペースに、じいさんばあさんらしく日々を過ごしていく。 今までと変わらず夫婦二人仲良く、そして今まで以上にパワフルに――。

鬼戦車 t89 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

老人を描くことの難しさ…。老人のイメージが戦前生まれの人物からアップデートされていません。

 11話(最終話)まで観ました。2024.06.17

 2期無しでお話を締めた感じでした。あぁ、終わったなぁというラストでした。

 上手くまとめたと思いますが、お涙頂戴的なラストで、想像の範囲内であるのは仕方ありません。

 老人が若返る話は、そもそもが先の無い人物達が主人公なので、常に死の影がつき纏い、さらには現代の社会秩序が自分達の選択したものなので、それを破壊する物語も作り得ないという選択肢の狭さが物語を制約します。

 現状に適応出来てなければ、そもそも高齢まで生き残れません(刑務所か精神病院で死んでます)。

 だから、家族や友人に囲まれているのが幸せで、充分社会にも貢献したし、後のことは若い人にぶん投げフェードアウト的なラストにせざるを得ません。

 金無し親戚無しの独居老人で、不満で爆発しそうな人物を主人公にしていない時点で、若返っても特に想像以上のことは起こらないアニメになるだろうなぁと思っていましたが、まさにそうなりました。

 多分、若い人が観てもカタルシスが足りず、面白く無いと思います。

 老人観(戦前生まれで戦前教育を受けており、高度経済成長に田舎で取り残されている好々爺)が現代の40代位の視聴者向けなので、その世代ならギリギリ面白いかもしれません。

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 7話まで観ました。2024.05.22

 ジジババ様、東京熱海に新婚旅行に行きました。まぁ陳腐なお話です。

 結局、このアニメは日本ゴイスー感動ポルノの一形態に過ぎません。老人達も今の日本に満足しているというのが前提です。そして、若返ったジジババが現代日本でイチャイチャする…。

 本当にそうか?昔の方が良かった人もいるのでは?何故、老人が現状に満足していると思う?

 しかも、好々爺が若がえっても良い人だなんて保証はありません。親は言わんかもですが、若い頃の祖父母はめちゃくちゃな人物だった可能性だってあります。

 歳をとって、現代的な価値観に合わせていますが、若くなったらトンデモないことをしでかさないと何故言える?

 劇中のジジ様は戦争には行ってない様ですが、超軍国少年で、村の先輩達の様に戦争へ行って全アジアを占領して現地女性を強姦したかったとか思っていたかもしれません。

 アジア女だけではありません!インドシナではフランス女、インドネシアではオランダ女、フィリピンなら米英女も上手くすれば犯れるかもです。たみゃらん!オーストラリアも攻撃したので、そこの白人女も…。

 昭和初期の男なんて性的に信用出来ないでしょう。ババ様が実は非処女で根に持っていたとか、貧乏で若い頃に弘前の遊廓へ行けなかったとか不満に思っていて、若返ったからチャ~ンス!とこの機会に近所のフィリピーナ奥様に襲いかかるかもしれません。
 
 昔の人間は、家制度に縛られて結婚の自由が制限されていましたが、代わりに女性を人間だと思っていない思考形態も持ち合わせていました。

 よって、買春も今より男性にはフリーダムでした。なので、進駐軍用にRAAを作って女性を提供しても平気なんですね。こんなの、漢奸だってやりませんよ!

 日本人は常に倫理的であったという妄想から捻り出されたアニメなので、何か底が浅いですね。老人の闇を覗け!そして深淵もお前を覗いていることを自覚せよ!

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 5話まで観ました。2024.05.06

 ジジババの馴れ初めとババ様がジジ様に惚れ直すお話でした。若い頃のジジ様、田舎で疎外されたババ様の面倒を見たり、医療費を出してくれたりと、下心コミでも普通に良い奴です。

 弱った女につけ込んだ感じもしますが…。まぁ、田舎でこんなあからさまな行動をとって世間体は大丈夫だったのか?とか少し心配になります。田舎という閉鎖空間の人間関係を舐めすぎてる感はあります。下手すりゃ村八分よ?

 ただ…、ハートフルな話しにするにしても、ジジ様はイケメン設定なんですよね。ババ様も美人だし…。

 純愛っぽい話しにしてますが、説得力は無いです。ジジ様は働き者で良い人だけどブサメンだったら分かるんですが。

 結局、天体戦士サンレッドのかよ子みたいなもんで、紐男を養っているリアルな女性(そんなに美人ではない)では人気が出ず、キャラデザ変更で、やり手で美人のスーパーウーマンにしたら作品自体の人気も上がった的な商売上の理由が感動的な話を阻害しています。

 ジジババ若がえったらイケメンと美女だった的な出落ちコメディをアニメでこねくり回しても、何かなぁ…という印象ですね。

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 4話まで観ました。2024.05.01

 孫の文化祭へ若がえった二人で行く、今回のエピソードは、ほのぼのしていて面白かったです。こんな感じのコメディで良いのです。

 アニオリ展開なのか、ラスト不穏な感じにしましたが、これはいただけない。多分、ババ様が再びジジ様に惚れるハートフルな話にしたいのもしれませんが、上手くいかないでしょう。

 ババ様は東京のお嬢様で、戦争で没落して田舎へ下放された吾人と言う設定です。イケメンだったとは言え、ジジ様との結婚に根源的な意味で納得しているか不明です。

 戦後すぐなんて、女性の地位は低く、結婚しないと生活が保証されない上に戦争で大量の若い男が死亡したので、結婚難でした。

 また、今より結婚の自由度が低いので、年下男性と結婚するのもハードルが高かったのです。だから、今では絶対に結婚出来ない、イケメンでも無いのに、戦争で心理外傷を負い、家族に暴力を振るう様なクズ男でも所帯が持てました。

 当然、女性の我慢の上に成立している婚姻関係です。、戦争するとはそういうことで、女性の選択肢が増えると、元兵士の暴力男が結婚を通して社会に内包できなくなり、社会問題化します。女性の地位が高い社会は総力戦不可能です。戦争は女の顔をしていません。

 ジジ様が戦争での残虐行為て頭がおかしくなったDV男だとは言いませんが、ババ様にとっては田舎で人生が終わることの原因となる、時代に強いられた不本意結婚の可能性は否定出来ません。

 長く夫婦をやっていたから、パートナーに満足しているかどうかなんて本人にしか分かりません。若がえったババ様、都会に逃亡の可能性もあります。

 時代背景も人間の機微も理解していないような無能が手を出して、楽しいコメディになるほど、田舎の老人の人生すら単純ではありません。

 次回どうなるか楽しみです。
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 3話まで観ました。2024.04.22

 爺さん婆さん、戦前生まれかよ…。今回、少しジジババの馴れ初めとかやりましたが、浅い上に日本の現代史を踏まえていないので、辞めた方が良いですね。

 当時の田舎の風俗とか、最早意味不明なので、おかしな描写になりそうです。

 若い頃のオババとオジジの階層は?農村は経営規模がストレートに村内の格ですよ?今の都市に居住している若造達の様に野良猫がくっつくかの様な恋愛などあり得ませんよ?

 GHQによって農地改革が行われ、因習と既得権益に支配された農村が混乱、動揺して、元小作人共が暴れている様な状況下、もっと恋愛もドラマチックになりそうです。

 まぁ、その後土地をもらった小作人が保守化して、農村から都市を包囲する毛沢東的な革命運動が頓挫するのですが…。

 出落ちの四コマギャグ漫画をアニメ化するのは、凄く難しいのは分かりますが、よりによって戦前生まれ設定は悪手です。太平洋戦争終了から来年で80年よ?軽く90歳オーバーですよ。

 やはり、ドラマ的に戦前の人間じゃないと世代間ギャップを描けないんですね。何と言う田舎や老人に対する想像力の欠如か…。

 現在の団塊世代位だと、既に駅弁大学卒がゴロゴロしているので、所謂純朴で低学歴の人が良い田舎者の好々爺を描き辛いんですよね。

 しかも、革命目指して暴れていた世代なので、田舎爺でも鋼の山村工作隊の残党や、ナロードニキ崩れかもしれません。若返ったらゲバ棒握りしめて総括を叫びそうです。

 原作みたいにチョイエロコメディにしておけば良いのです。農村は江戸時代から変化してない訳ではありません。

 観念だけで田舎や老人を描いても、駄作以外に道はありません。もう少し近現代史を研究してから老人を描いて欲しいですね。

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 初回観てのレビューです。2024.04.09

 爺さん、婆さん若返った!初回は面白く無いですね。原作漫画は、もっと性的な話で、好々爺っぽかった祖父母が若返って孫から見てもエッチな感じになって、やりまくりそうだよ〜というお話でしたが、脱臭されています。

 ご先祖様が、やりまくったから今の自分があるのですが、祖霊に足を突っ込んでいた祖父母が若返って目の前でやりまくりそう…。と、いうギャップがギャグとして面白かったんですが、アクやエロを無くして、ほのぼのコメディにされてもねぇ…。

 後、孫の年齢(高校生)から、祖父母は70代位の様ですが、それだと戦後教育を受けているので、それ程孫とのギャップが無いんですよね。

 教育勅語を暗唱させられて御真影に最敬礼させられ、粗相があったら教師から死ぬほど殴られるとか、予科練帰りとか、戦争で死にそうになったとか、敗戦によって鬼畜米英から親米保守になるとかの価値観の激変とかを経験した世代ではありません。

 回想シーンでは着物とか着ていますが、おそらく新制中学校位は出ているはずです。爺さんは高卒かもしれません。

 田舎なので、学歴は低めかもしれませんが、70年代位まで裸足で登校していたアベベみたいな子供がいたという埼玉県並の貧困地帯でも最終学歴高卒以上がほぼ100%になったのはだいぶ前の話です。

 どうしても老人というと、元日本兵や農家の肉体労働者みたいなイメージですが、戦後80年近く経ってますし、産業も近代化しています。

 個体差もありますし、若者を一括りにした若者論がもはや通用しない(年代より階層差だ!)様に、一括りにされた老人集団というのも存在しません。

 よって、世代間のギャップが笑いを呼ぶギャグとして、本アニメは成立していません。これからも面白くはならないでしょうが、挽回を期待しています。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

究極の幸福論。愛する人と土地とともに愚直に生き子孫を残す。

 断念しましたが最終回だけ気になって見たら、かなりいい結末だったのさかのぼってみました。これは今の「子供を産まないほうが幸せ」「年収〇〇〇万円が結婚の条件」などの風潮に一石を投じる作品かな、と思います。
 原作者がどこまで意図しているかわかりませんが…いや、私なんかよりよほど考えているのかもしれません。究極の幸福論な気がします。

 苦労があったからこそ老後に夫婦の共通の思い出があり、親族がいて知り合いがいる。そして自分の生まれた土地を愛し生業を愚直に営むのが、人間として自然な生き方なのではないか。思い出は良い思い出もいいですが、苦労した思い出はかけがえのない宝です。豊かな生き方とは何ぞや?老いて死が間近に迫った時に感じる幸せとは、金があり好きなことをしてきた思い出ではありません。

 そうすることで死んでも、未来に子や孫が続いてくれるし、リンゴ畑も残ります。それが生きた証と信じて死ねる。これこそが本来的な人間の幸せなのでしょう。
 だからこそ究極の幸福論と言えます。経済を追いかけ、子供を作らない人は好きなことはできますが、老いることでそういう楽しみ方はどんどんできなくなります。つまり、老いが苦しみになる生き方です。でも、この老夫婦のように生きると、死の間際に幸福のピークがくる。

 若返るというのは走馬灯あるいは命の灯のメタファーなのかもしれません。それを砂時計と言い換えて、随所に作品の意味を教えてくれました。「つみきのいえ」は夫婦が別のタイミングとなりましたので、幸せを感じつつも、もの悲しい雰囲気が強かったですが、こちらの方が何かほっとするような終わり方でした。

 本作のテーマを言葉にするとありきたりとも取れますが、素朴な夫婦の物語にすることで直接的ではないですがわかりやすくなりました。常に孫のカップルを対比に置いた意味が伝わってきます。時代を超えた普遍性もかんじられました。

 エンタメ的な面白さという点ではそこそこかな、という気もしますが、静かですが深い味わいのある感動という点で優れた作品だと思います。それはあまりテーマ性を前面に出さないからこそだったかもしれません。

 評価は…全体的にちょっと盛ってますが、しかし、話のレベルは相当高い気がします。ある種の文学性もあってよく作りこまれた作品だと思います。
 アニメ、エンタメとしての評価は低めですが…評価に迷うなあ。最終回を見ることが価値になる作品ですので、最終回までひっぱれる力がちょっと弱いのかな。
 



1話 エロい女子高生で話を作っているだけ?

{netabare} なんでしょうね?よくわかりませんが「老人が若返った」という話に見えないんですけど?リアリティ云々を言ってもしょうがないんですけど…若返りしたときに起きるドラマって、そんな感じなの?という気がします。

 いや、言い方が難しいですけど、シリアスとか社会的なメッセージを求めているわけじゃなくて…うーん…エロい女子高生が騒いでるだけ?

 若返って青春を謳歌しつつ、いつ歳を取るかわからない恐怖とかなら「アルジャーノンに花束を」のメソッドですし、もう1度人生を繰り返す喜びと苦痛のジレンマとかなら人魚とかエルフの亜流ですし…ですけど、何かそういうのが欲しいなあ…ギャグでいいので。

 もうちょっとしっかりした話を期待していましたが…うーん、次で判断します。 {/netabare}


2話 1話よりは全然よかったですが、それほどでもと思ったら次回予告が気になりました。

{netabare} 1話よりはよかったですね。特に後半の息子のところと木のところは短編としてはいい話だと思います。テンプレですけどね。話のテンポからいって、4コマ漫画なんでしょうか。

 若者礼賛ではないし「年寄り」にも若い時代はあったしそこから生きてきた人生の振り返り、積み重ねの重みという意味においては良い話だとは思います。
 うまくいけば「つみきのいえ」のような感動も生み出せると思います。が、どうでしょうね。若返った意味性がやはり薄いとは思います。

 悪くはないけどやめようかな、と思ったところで次回予告が…うーん、だったらまだ話がよくなる可能性もありますね。来週も一応見ようと思います。 {/netabare}


3話 浅いと思ってたら、しっかりテーマがありますね。 

{netabare} あーそう来ましたか…終わりをどう描くか、ですね。浅いかと思ったら思ったよりも、タイトルがそのままテーマになっている感じで、興味が出てきました。「アルジャーノンに花束を」の老化&夫婦版ですね。正直話の作り方はあまり面白くないんですけど中身はあるし、メインの砂時計関連の話はいいです。視聴は継続かなあ…これは切れないですね。 {/netabare}


5話 良い話だけに中身がわかりきった内容になってしまったかな?

{netabare} いい話です。申し訳ないですが、題名からもうちょっとアダルトな作品を想像してましたが、真面目に歳をとるということを描いているようです。年齢というのが不幸、死に向かっている恐怖ではなく、積み重ねによって人間が豊かになってゆくということも、描けていると思います。

 ただ、です。いい話で真面目な話なだけに、中身がわかりきったことになってしまっています。テンプレとはいいません。作品自体が珍しいジャンルではありますので。ただ、視点が一般論で終わってしまっていないか、ですね。

 どちらかと言えば、年齢をとることの恐怖や苦しみの救済としての若返りと、年齢を重ね苦労があり死に向かうことが不幸ではない人生の晩年の豊かさということとセットで描ければな、という気がします。

 そこがないのでドラマとしての面白さが単純になってしまっています。うーん…正直24分見ているとちょっと退屈を感じてしまいます。中身はいいんですけど…一回断念しようかな、と思います。

 30歳以前の人が、歳を取る意味、結婚してパートナーがいる幸せ、苦労の大切さを知る話としてはいいんでしょう。ただ、そのためにはもっとエンタメにしないと厳しいのでは?と思います。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13

たナか さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

葬送のオジーサン

タイトルまんま。
Twitter・Pixiv出自のイケメンてえてえ性癖漫画。

01
ついにキタ、シルバーアニメ。アニメしか観ない高齢者も増えてきたらしいですね。テレビドラマも脳に優しい作品ばかりになったので単純につまんないんでしょうね。ギャーギャー叫んでるだけだし。今は隠キャ転生無双がメインだけど老人が異世界転生無双みたいな作品も増えてくるのかも。

世代間の価値観ギャップギャグかと思いきや異世界なろうオレツエーの亜種だった。ひたすらゴイスー!とモテモテ!を畳み掛けるのみ。陰キャがスキルで無双!のアレンジで美男美女のルッキズムパワーでサイキョー!みたいな。しかし70年連れ添った農作業暮らし故の超絶コンビネーションや超体力がいつもの付与スキルみたいなものなので棚ぼたイキリの嫌味はない。晴天の霹靂なミラクルを素直に飲み込む住民たちだが、もしこうなったら周囲の嫉妬が凄くて阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されそうなものだが、地元では有名なおしどり夫婦ってことで彼らの人徳の成せるワザってことでしょうか。

一発ネタの設定だけだと出オチで尺が持たないのでネットマンガのメインストリームである隠キャラブコメを並走させるのはかぐや様や先輩がうざい後輩みたいな構図。実子ならともかく孫の恋愛を見てどうこうなどは流石に体験してはないが、これみたいにほっこりしそうではある。しかし距離感がやはりおかしい。

いかにもPixivマンガっぽい同人作家のノリがキモい。

と思って漫画見たら若返った美男美女ならそうなるよなって描写もきちんとしてるし、フリーレンレベルで過去回想を多用しつつノスタルジックなエモ話などもあってアニメとは印象が違いすぎる。最初の数話読んだだけでもアニメに全然出てこない話ばかり続くのでびっくり。アニメはひたすらゴイスー!ゴイスー!なので、いっちょかみイナゴ委員会のビジネスパーソンどもはアニメ視聴者を舐めてるとしか思えない。

アニメの作画はいいが漫画読むほうがマシ。アニメ化の魔翻訳で低評価とする。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

91.2 2 ファンタジーで田舎なアニメランキング2位
君の名は。(アニメ映画)

2016年8月26日
★★★★★ 4.1 (2514)
11504人が棚に入れました
新海誠監督による長編アニメーション。

千年ぶりとなる彗星の来訪を一ヶ月後に控えた日本。
山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は憂鬱な毎日を過ごしていた。
町長である父の選挙運動に、家系の神社の古き風習。
小さく狭い街で、周囲の目が余計に気になる年頃だけに、都会へのあこがれを強くするばかり。

「来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!!!」

そんなある日、自分が男の子になる夢を見る。
見覚えのない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の町並み。
念願だった都会での生活を思いっきり満喫する三葉。

一方、東京で暮らす男子高校生、瀧も奇妙な夢を見た。
言ったこともない山奥の町で、自分が女子高校生になっているのだ。

繰り返される不思議な夢。そして、明らかに抜け落ちている、記憶と時間。
二人は気付く。

「私/俺たち、入れ替わってる!?」

いく度も入れ替わる身体とその生活に戸惑いながらも、現実を少しずつ受け止める瀧と三葉。
残されたお互いのメモを通して、時にケンカし、時に相手の人生を楽しみながら、状況を乗り切っていく。
しかし、気持ちが打ち解けてきた矢先、突然入れ替わりが途切れてしまう。
入れ替わりながら、同時に自分たちが特別に繋がっていたことに気付いた瀧は、三葉に会いに行こうと決心する。

「まだ会ったことのない君を、これから俺は探しに行く。」

辿り着いた先には、意外な真実が待ち受けていた…。

出会うことのない二人の出逢い。
運命の歯車が、いま動き出す

声優・キャラクター
神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子、悠木碧、島﨑信長、石川界人、成田凌、谷花音

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

奥寺という女の重要性。なぜ前半の主役2人は嫌な描き方なのか?

24年8月再視聴。毎夏に視聴する映画です。評価としては日本アニメ史上1つの到達点を作った歴史的作品だと思っています。面白く、含意が深く、意味のある感動があり、映像表現が素晴らしい映画です。

 この作品の主人公、瀧が「気持ち悪い」という意見が多いそうですね。これは当然で、そう描いているから当たり前としか言いようがないです。

 奥寺をなぜあれだけ重要なポジションに置いたかと言えば、瀧と三葉の変化を描くためです。
 特に瀧ですけど、奥寺のようなモテる大人の女性から見ると、当初の瀧は童貞丸出しの女を過剰に意識したガキでしかないように描いています。だから、三葉が中にインストールされると、その細やかな気遣いや女に対する自然な態度で、奥寺はなかなかいいと思ったわけです。

 結果として奥寺ねらいの藤井司がいますが、彼は女に物おじせずぐいぐい来るタイプですね。これがもう一つの瀧の対比です。奥寺はこの時の藤井司はガキですから相手にしていませんが、かといって普通に友人あるいは恋人候補の様に接しています。これも瀧=気持ち悪いの補強材料です。

 三葉は都会にあこがれる、田舎を馬鹿にした少女です。その態度が皆と壁を作っていたのでしょう。そのコミュニティに参加しようとしません。三葉を馬鹿にしているギャルたちも、悪いように描かれますが一方で三葉にも壁があります。テッシーとさやかの3人は浮いているように見えます。

 そして、その瀧が入れ替わって三葉になったとき、その童貞くさい正義漢が学校では受けて三葉は見直され、たぶん一生懸命バスケットボールに参加し、コミュニティに参加したのでしょう。その結果、モテる様になります。

 ですから、前半の瀧と三葉は気持ち悪い、自分の周囲を見ない人物として描かれています。奥寺=都会=あこがれとなっています。

 結果として、なぜ2人が惹かれあったかという答えがここにあると思います。単なる「あこがれ」を目指していた2人が、入れかわることで相互の理解を深めた結果、いつの間にか相手に感情移入したということでしょう。おかれた立場による苦労を知ることができました。
 また、近い存在でいながら会えないという状況が、お互いの興味を産んだのでしょう。そして、奥寺という女子を通じて2人ともあこがれと恋愛の違いを自覚することになります。その結果、お互いに恋愛感情が芽生えるということです。

 ですから、奥寺にあこがれている瀧は気持ちわるいし、都会にあこがれている三葉は地元では浮いた存在なのでしょう。都会における奥寺を中心においたのはここを描写するためだと思います。

 その奥寺が岐阜に向かうときのダサくて自分勝手な姿。ここも意味があると思います。前半はキラキラした都会の女なのに、その本質はめんどくさい我儘さをもった女性ということです。この時、瀧も三葉ももうお互いを思っていて奥寺のキラキラが消えているという意味だと思います。それを受け入れられる司こそ、奥寺にふさわしいのでしょう。

 瀧が気持ち悪いという意見を聞いて、この辺の構造が言語化されました。たしか女性の意見だったと思うので、正しいとしか言いようがないですね。ただ、そこで気持ち悪くてやめた、はもったいない気がしますけど。

 それとこの映画、2人が名乗らないほうが良かったという意見も結構目にします。私もあそこですれ違う2人を想像します。それはそれで一つの結論です。日頃の自分の中にある寂しさにつながり、現実の我々にクロスオーバーしてくるかも、とは思います。

 ですが、それは今の時代安易な感動ポルノに堕す可能性の方が高い気もします。そして震災文学である以上は、いつ死別するかわからない時代だからこそ、お互い名前を呼びあおう、コミュニケーションをとろう、気持ちを伝えよう、後悔の無い生き方をしようという意味で格段に良かったと思います。

 災害で亡くなった人の分までしっかり運命の人を探そう、恋愛しようという話になったと思います。



以下 23年7月レビュー

何回見たかわからないです。日本のアニメ史に残る名作でしょう。

 夏といえば「君の名は。」本作です。アニメ映画の中でもっとも回数を見た映画で、20回じゃあきかないでしょう。季節問わず見ています。
 過去のレビューをまとめているものの、言いたい事が多くて支離滅裂です。現バージョンは23年7月に書いています。とにかく私が好きなアニメ映画ナンバー1の一つです。


 まず、本作の凄いところは、やはり美しい情景描写が感動を深めるということが筆頭でしょう。2010年代に入って他の作品も、背景美術のレベルはどんどん上がっていました。が、本作のスケールの大きさやカルデラ湖と村の見せ方、彗星の光など圧倒的な美しさの他に、視覚的な新しさがあったと思います。宮水神社や都会ももちろん、この美しい絵が後のアニメにどれだけ影響を与えたかは計り知れません。

 ハッピーエンド…とされていますが、果たしてそうでしょうか。外の視線である我々からは、2人が出会えたカタルシスはもちろんありますが、冷静に考えると2名はお互いを知りません。ただ、朝起きたときの寂しさを埋めてくれる相手を見つけただけです。ここにテーマ性が見えないでしょうか。

 震災を意識した作品です。つまり災害により人はいつ死ぬか分かりません。寂しく孤独な時代です。後悔しないために、運命を感じたりあるいは寂しい人は名乗り合おうよ、という事だと思います。

 ここでもし二人が名乗らないですれ違うのが新海らしさかと言えば、そうではないと思います。というのは「ほしのこえ」を考察して行くと、どう考えても2名はまた会う事ができます。つまり、デビュー作からして、一回時間と空間に隔てられた2名は再会するという話も初期の新海誠は描いていました。

 本作は、へその緒が断ち切られる=一人で生きる痛み、髪を切る=失恋の痛み、そして彗星の落下による死別。そういったことが丁寧に描かれていました。
 そうなると私たちが日ごろ感じている寂しさって、都会で生きていると、赤い糸の存在を忘れてしまっているのでは?だから、出会うチャンスがあればちゃんと声をかけて名乗って見ようよ、好きだと言おうよ、という風にも取れます。
 つまり「秒速5センチメートル」のアンチテーゼですね。


 それと瀧と三葉がいつ好き合ったかです。恋愛とは相互理解、コミュニケーション量です。そして2人は秘密を共有しています。瀧は三葉がクラスで陰口をたたかれているような苦労を知っていますし、三葉は瀧が奥寺先輩が好きな事も知っているし、奥寺に憧れる瀧の事を考えていたのだと思います。
 そこまで濃密な交流を重ねる男女がお互い惹かれ合うのは自然なことだと思います。

 あと三葉の描写ですが、田舎の因習に嫌気がさし特に家族関係で苦労しているからこそ、都会に憧れるという心理が上手く描かれていたと思います。伝統というものに対する拒絶とそれを律儀に守るアンビバレントな性格が、三葉の人間性を深いものにしました。この都会への憧れが瀧への思慕へと変わる焦点にいたのが奥寺先輩です。

 この作品、奥寺がキーパースンでした。彼女がいたからお互い好きになったのかも、というくらいです。

 瀧については、正義感とか短気なところ…要するになぜ奥寺にモテないか、を考えるといいでしょう。要するに女性に気を使いすぎるので、本来いい男なのにその遠慮が奥寺にとっては、居心地が悪いのでしょう。女子になって同性として接する=壁がなくなるとモテるようになったという描写も瀧の性格をしる一助となります。

 そして、三葉って中盤のシーンで一回死んでますよね。初めて髪を切った三葉が出るシーンです。そこまで描写はされませんがそこは読み取れます。この時の三葉の心情ってどうだったんだろうって、思いますよね。このシーンがあるからこそ、本作の内容も感動も深まるのだと思います。

 奥寺と瀧のデートを想像して自分の気持ちに気が付いたのでしょう。わざわざ瀧に会いに行った。瀧と出会って何とかつながりは残したけど気持ちを伝えられなかった。髪を切るというのは明らかに失恋を意味しています。

 その落ち込んだ気持ちのとき落下してくる彗星を見て三葉はどう思ったか。やっぱり後悔だと思うんです。せっかく会えた瀧に気持ちを伝えたかった。でも紐を渡しただけ。相手は覚えていない。ここが本当に胸に来ます。

 もちろん最終的に三葉は東京で暮らすことになるわけですけど、ここで死んだ三葉というのは確かにどこかのIFの中に存在したわけです。タイムリープ作品ではこの感受性が大事だと思います。いくら結果が良くても絶望で死んだ人間は存在したことを忘れると、安易な死にもどりの物語になります。この作品はその部分を見事にすくい上げています。この作品はバッドエンドのIFもちゃんと提示されていることを読み取るべきでしょう。

 そして、この瞬間があるのでその後のカルデラでの出会いと奮闘に意味がでてきます。この作品の最大のポイントはこの途中で死んだ三葉がいる、ということです。生きたい、名乗りたい、告白したい。だから、ラストが活きてくるわけです。

 一方瀧です。片割れ時に出会ってマジックで手の平に「好き」と書いた理由ですね。名前よりも気持ちを伝えるのを優先したんだと思います。それはなぜか。東日本大震災で沢山の人が亡くなりました。それは誰の身にもいつ起こるかわからないという衝撃的な事実を、クリエータに突き付けたわけです。パラダイムシフトですよね。だからこそ、つながりを大事にして「告白」しようよ、と。 

 気持ちを伝えられた。名前も出来事も記憶から無くなってゆく。でも喪失感だけある。この切なさも相当なものだと思います。この痛みがあるからこそ2人はまた出会えた。ひょっとしたら瀧が好きだと書かなければ2人の胸に痛みがなかった。そうしたら再会することはなかったのかもしれません。ここは完全な私の妄想ですが、名前がテーマなのになぜ名前を書かないかという点は少し考えたいところです。


 三葉と言うより宮水神社については、彗星の意思なのか人間の防衛本能からかわかりませんが、宮水神社の女たちに運命が与えられた。それが、組みひもであり、口噛み酒であり、へその緒であり、髪であり、運命の赤い糸でした。その辺は中盤の瀧君が口噛み酒を飲むところからちゃんとわかるようなイメージシーンがあります。


 構成ですが、初めのおっぱい揉むシーンがあるので、相互に視点が動いているようで、実は最初の25分くらいずっと三葉視点、そのご瀧視点としばらく視点が固定されます。
 その後、突然ショートヘアになった三葉が出てきて、そして、瀧が旅行にいって…がという構成です。ここで話が大きく動くことになります。
 この構造が非常に良くて、一瞬たりとも目が離せないドキドキ感がありました。

 全体として新海作品は言葉足らずな部分があるのも事実です。ただ、説明不足と言葉足らずは違って、本作は見て感じれば行間が読めます。というより、言葉足らずだから、見た人の個人の体験と重ね合わせて奥行がでるとも言えます。

 
 新海誠氏の作品を並べて見ても、この3作はアニメ作品として格段に出来がいいと思います。「秒速5センチ」「言の葉の庭」などいい作品ではありますが、正直文学などで代替できますし、エンタメとしての完成度を含めて考えればやっぱり最近の3作は全然レベルが違います。
 唯一「ほしのこえ」のスケール感と切なさ、純愛が私はSF恋愛作品として大好きなので、これがこの3作と同じくらい好きです。

 とにかく、新海誠氏の最近の3作品は、エンタメとしての面白さ、壮大さ、純愛、テーマ性、アニメーション表現などの点で格別だと思います。その中でも「君の名は。」は最高かなあ、やっぱり。


 本作を見て感動するのは馬鹿だというコメントを残したマンガ家がいます。新海は大衆に迎合したという評論家もいます。まあ、頭がいい人たちの意見だから、確かに私は馬鹿で大衆マインドなのかもしれません。
 私は馬鹿を自覚していますので、いくら馬鹿にされても結構です。それでも、本作は見て感動した気持ちは素晴らしかったと思います。ですので名作だと断言したいですね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 31
ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

夢の儚さを越えて二人は繋がる。

見終わった後、私は夢から覚めて、まどろんだ時ようなな気持ちになりました。

あのシーンの背景が良かったとか、あそこのスピード感が最高だったとか。
でも、その記憶は、強く「覚えていよう」と思い、まるでこれは面白い夢から覚めた時と同じじゃないかと。

でも、人の記憶は曖昧で、全ての良いシーンを覚えておこうと思っても、次第にディテールが失われていきます。
やがて夢の記憶は、「面白い夢をみた」に代わり、そして夢をみた事をも忘れていく。

時間に対して夢の中の記憶はあまりにも儚い。

この作品はそんな弱い繋がりで繋がった瀧君と三葉の物語です。



感想
{netabare}

【演出】
二人の入れ替わり生活が始まるときに曲が入り場面の切り替わりのスピード感は新海監督らしい演出。

二人の入れ替わり生活とは別に強く印象に残っているのは
時間が100倍速になった感じで都会の光や信号が光を放つシーン。
これは時間の経過を示しているのでしょうが
その綺麗さが強烈に印象付けられました。

また、夢の中の出来事という作品の設定のように
幻想的な美しさが視聴者を夢と現実の境界線に引き込んでくれます。

三葉の人生が瀧に見えたときのシーンもグッと来ました。何でだろう?
人の生き死にに涙もろいのかな。
あのシーンは母親との直接的な繋がり(へその緒)や親との別れ、家族の濃い「人と人の繋がり」を感じてしまったからでしょうかね。

【展開】
「瀧君、覚えてない…?」という三葉のシーンは本当に胸が痛くなりました。
3年後の瀧君にとってはずっと前から繋がっていた。三葉にとってはようやく繋がった。
だけど瀧君はこのときはまだ知らない、三葉は不審そうにこちらを警戒する瀧君に思いを伝えられない。
「二人が会えた」「繋がった」という嬉しさと同時に
勇気がでずに思いを伝えられない三葉の姿に自分を重ねてしまいました。



【キャラ考察】
瀧君がクレーターの上で君の名は!と涙ながらに叫んだ気持ちがわかってしまう。
大切な人に会いたいと、思いが募ると、苦しくて、吐き出したいなにかが心のなかにたまってきて、自然と涙が出てくるんですね。

三葉の境遇について
母親を幼い頃に亡くしていて、それをきっかけに父親が神職をやめて離ればなれとなっています。
離れて暮らしながらも、政治というなにかと目立つ仕事をしている父親のせいで
学校で本人の意思とは関係なく少し浮いてしまう三葉。
そんな狭い村社会に嫌気が差してどこかに逃げたい気持ちでいる時に起こる入れ替わり。
三葉にとって入れ替わりは逃避になり得た(まさに夢に逃げる)のですが
突然終わる入れ替わりは、夢の終わりであり、それは自分の逃げ場所がなくなったともいえます。
夢の続きが見たくて。そういう気持ち(逃避)、わかります。
東京にいるはずの瀧君に会いに行き、あの日々の続きがみたい。
でも、せっかく会いに行ったのに瀧君は三葉のことを知らなくて、繋がりの喪失を感じてしまった。
(ですか、ここで過去と未来を繋ぐ糸を渡したシーンの懸命さや、その糸が忘れかけた瀧君と三葉を繋げてくれた意味を持つアイテムであることの重要性が「繋がった!」と嬉しさを感じさせます)

その後の三葉の行為は、瀧君への思いをたちきりたくての髪を切る行為だったのでは。(切るということは思いや繋がりをたちきりたいための行為?)(夢の終わりが夏祭りの近くの日、つまり、一般的には夏の終わり近くです。夏の終わりの儚さと夢の終わりの儚さをかけているのではないでしょうか)

また、三葉が夏祭り前に暗い部屋で涙を流すシーンには、喪失感を感じ、失恋等のなにかを失う出来事を思わせました。


その後の彗星の衝突により、三葉は現実の問題と向き合い乗り越えることができました。
瀧君の残した「すきだ」が現実と向きあう最後の勇気をくれたのかもしれません。

そして、瀧くんにとっては、一生忘れられない体験であり
忘れられない繋がりだったのではないでしょうか。
それが記憶がなくなっても四年後も繋がりを求めていた理由かもしれません。
忘れたくないと思っても忘れてしまう、だけどどこかでおぼえているその繋がりのことを。
だから、これはなくなってほしくないという、繋がりの肯定なのではないかな。
【美術】
新海監督の作品は見たり見なかったりなのですが、背景の綺麗さは今作もすばらしかったです。
田舎のゆったりとした風景にはそこに溶け込めそうな気分にさせてくれました。まるで、その場所が自分の帰る場所のような。

都会の朝の風景はどこか孤独だけどエネルギーを感じます。
夕方の忙しそうな風景には少し寂しさがあって、早く帰りたいな、そんな気持ちにさせてくれます。

季節感も夏に始まり、春に終わるという、季節ごとの綺麗な風景を描いてましたね。

最後に桜さく路地の階段で二人が出会うシーンも、優しさと暖かさをリアルに感じてとてもよかったです。


【記憶が失われる設定について】
多くの人がここについて指摘してきました。
ですが、私はレビューの最初に書きました通り、夢だから、でストンと納得しています。
作中で夢をフォローしているシーンがあるのは覚えていますか?
三葉の祖母が三葉(瀧くん)に「三葉、お前、今夢を見ているな」と言う印象的なシーンです。
また、三葉も「夢の中で見たあの人の名前が思い出せない」と言い、友人を困惑させます。
それはそうでしょう。普通のひとはそんなことを非常時でも平常時でも口に出したりしません。
共通認識として「夢の中の内容は忘れやすい」ということがあるからです。
ですので、スマートフォンの中の日記が消えていくあの表現や、
二人が御神体のクレーターで出会うシーンが、
夢と現実の境界線が曖昧な時間や場所を表現していて
見た人間も、夢と現実の境界線にいるようなそういう作品だと思っています。

【朝、目が覚めるとなぜか泣いている】
印象的な導入のセリフです。
二人の繋がりを失ってしまったことを自分の中のどこかが泣いている。
そして、それにとりつかれているようになってしまっている。
私はそうやってどこかに繋がりを探すような感情を現す言葉は知りませんが
自分のどこかに、よく似た感情があると確信があります。
それが、私の心にズキズキとした胸騒ぎを起こしてくれます。

【総評】
色々書きましたが、瀧君と三葉のような10代の気持ちや考え方を上手く描いています。
君の名は。でとめていますが、これは相手への問ですよね。
相手の名前を知らないからこそ尋ねる(訪ねる)。
そして相手の事を知りたいからこそたずねる。
相手の事を知りたいという感情をエネルギーにして伝えてくる作品でした。

また、人と人の繋がりを感じる、もしくは、心の中のどこかにあるつながりを求める感情を肯定する物語だったとまとめさせていただきます。

【蛇足】
三年前の瀧君と三葉が東京でであったとき、二人の糸はどう繋がったのか、一瞬はまりかけました。
二人の糸は絡みあって大きなわっかを作った。そんな思いです。でも始まりはどこかよりも、今と未来の彼らが気になって(笑)

キービジュアルの瀧と三葉が東京の坂で振り返って見つめる絵って
ラストの5年後の二人を、であった頃の高校生の姿に置き換えているのかも?
これが「出会い」の絵なのか「再会」の絵なのかちょっと気になって面白い。

幻想的で儚さのある二人の奇跡の繋がりと、現実の繋がり。
ラストで二人の繋がりを現実の繋がりにすることで生まれる嬉しさ。
なぜだろうか?多分、二人が求めていたその繋がりは、人間が奇跡を信じたい気持ちの肯定だからでしょうか?

{/netabare}

ストーリー考察?(繋がりを軸にストーリーを考えてみました。)
{netabare}
三葉の祖母が、糸に例えて人と人の繋がりを話しました。繋がって、絡みあって、離れて、近づいて、また繋がっていく。その繋がることを結びという。

瀧と三葉の関係もまたそうでした。夢で繋がって、入れ替わりを繰り返して二人の糸は絡みあう。
入れ替わりは突然になくなる。突然糸が切れたように。
三葉のいる場所は時間を越えて遠く離れた場所だった。
真実を目にした時、三葉との思い出は一瞬で消えていき、崖から突き落とされたようなスピードで二人の距離は離れていく。(二人の距離が明確に離れていくことに儚さや悲しさを感じました)
でも、瀧は「そこにいかなくちゃいけない」という自分でもわからない使命感に押され御神体のある場所へ
三葉のいるかもしれない場所へ近づいて行く。(確信のない行動です。しかし、そこには記憶という曖昧な繋がりよりも、もっと深いところでの繋がりを感じます)

そしてまた入れ替わり、二人はお互いを自分の体で出会う。
今まで顔を合わせて話したかったことをいいあって、笑う。(ようやく、もがいてもがいた結果、出会えたという喜びを感じます)

互いの姿が見えなくなって、名前を忘れた瀧は叫ぶ。
「君の名前は!」忘れちゃいけない大切な人を思い出せない苦しさで一杯になる。(本気で相手の事を求めるシーン、記憶がなくなっても、もっと深いところからの欲求です)

名前は思い出せない。でも誰かが大切なことは覚えてて
誰かが思ってくれていることが「すきだ」という言葉からわかる。だから三葉はやりとおせた。

そして時が流れ、あの時間の記憶もなく、あるのはかすかな心残り。
どこかに大切な繋がりがあるような。

冬が終わり春が来る。
二人はまた近づく、自分の中の心残りの先にある繋がりを探して。
そして出会い、ずっと探し続けてきた繋がりだと信じて問いかける。「君の名前は」。
(最初のシーンと繋がる。どこかに特別な繋がりがあるという不思議な感覚。ラストはなんとなくわかるという感情の肯定が、とても心地いい)
{/netabare}


2018年1月3日 地上波放送を見て。
{netabare}
本当は追記する予定はありませんでした。
でも、見たら、自分の中に生まれた何かを書きたい衝動を抑えられなくて、
書こうと思いました。

今回の再視聴で感じたのは、
繋がりが消えることの悲しさでしょうか。
どこか身近に感じていた、繋がりの断絶。
私が繋がりの断絶を感じたのは、福島なんですが、
レビューを社会派にする気はないので詳細は伏せます。

それは、人間の営みの断絶であったり、人の関係の断絶。
繋がりが消えてしまうことへの悲しさ、つらさ。
そういったものが多分糸守町の消滅、三葉と瀧の入れ替わりの終わり、
そういった作品世界の出来事から、私はいつも感じていたこと、
繋がりの断絶を感じていました。

繋がりの断絶と同時に、繋がりを求める声も同時に感じました。

三葉が瀧に会いに東京に出た時も、瀧が三葉の名前を忘れて叫んだ時も、
繋がりを求めるその行動、その思いが、私には、
無くした繋がりを取り戻したい気持ちを感じて、
どうしようもなく、泣いてしまいました。
(すこし安っぽい表現ですが、実際少し泣いてます。
多分泣いた理由は、登場人物達と同じ理由で、
繋がりを求めたから、でしょうかね。
多分これが、共感何でしょうね。初めて実感出来たかも)

こんな瀧君のセリフがありました。
「今はもうない街の風景に、何故ここまで胸を締め付けられるのだろう」
心のどこかで糸守に繋がりを感じている瀧君。
私も、どこかで知らない街の知らない人の営みに、
繋がりは感じないまでも、営みの中にある繋がりを見て、
親近感を感じたりするのです。
それは人と人の繋がり、人と土地の繋がり、繋がりの中で生まれた営み、
そういったものを、私は求めているのだろうし、
大切にしたいし、失いたくないと思うのです。

だから、この作品を再視聴して、このレビューは、
完全に私の感想であるのですが、
私が求めていた繋がりを描いてくれているし、
私が恐れている繋がりの断絶も描いてくれている。

だから、私は、この作品が好きなんでしょうね。



{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 134
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

アニメを伝道する好機

世界観:8
ストーリー:8
リアリティ:8
キャラクター:7
情感:7
合計:38

1,000年に1度のすい星来訪が、1か月後に迫る日本。山々に囲まれた田舎町に住む女子高生の三葉は、町長である父の選挙運動や、家系の神社の風習などに鬱屈(うっくつ)していた。それゆえに都会への憧れを強く持っていたが、ある日彼女は自分が都会に暮らしている少年になった夢を見る。夢では東京での生活を楽しみながらも、その不思議な感覚に困惑する三葉。一方、東京在住の男子高校生・瀧も自分が田舎町に生活する少女になった夢を見る。やがて、その奇妙な夢を通じて彼らは引き合うようになっていくが……。
(シネマトゥデイより)

最近話題として何回か出てきたので、折角なので劇場に足を運ぶことに。そう決めてから、京アニの「聲の形」も上映中であることに気付いて、1日2本の豪華スケジュールを組みました。映画は、昔はよく観に行っていましたが、1日2本観たことは初めてのことです。

「君の名は。」は、午前中の回が満席だったので、「聲の形」→「君の名は。」の順で視聴しました。新海誠監督作品は「秒速~」と「言の葉の庭」を視聴済ですが、どちらも良作となる4点にぎりぎり届かない程度の評価をしてきたところ今回は評判が良く、京アニは「けいおん!!(二期)」で評価を上げたところでしたので、この2作は接戦になるかなと思っていましたが、本作は期待をさらに上回りました(劇場版の尺では過去最高点です)。

作画と楽曲はこれまでの作品の通り素晴らしい上で、映画の尺に合うだけの充実した設定とストーリーになっています。
入れ替わりネタはココロコネクトで経験済ですが、前半に和みの要素としてよいエピソードでした。やはり男は悪いと思っても揉みますね(笑)
入れ替わりが終わってからが本編という感じ。物語の展開がどうなっていくか、最後まで集中して視聴できました。

良作アニメは「時間」を効果的に利用しているものが多いです。タイムリープする必要があるわけではないですが、経年による物語の厚みは基本です。人間は、時間を遡ることができず、過去を振り返ったり後悔したり、そして遅かれ早かれ死ぬ、はかない存在であることの裏返しなのでしょうね。{netabare}この作品でも3年のズレが良い味を出していました。瀧が三葉に出会う前に、三葉が瀧に会いに行くシーンがありましたが、ああいう伏線は好きです(最初どのように描かれていたかは1周だけではよく思い出せないのですが)。

この作品ではさらに、入れ替わりが「夢」であって、その記憶がなくなっていく、という表現をしていたのも特徴的でした。夢を思い出したいのに思い出せない、あの感覚を、大事な人の記憶と結びつけたのはとても切なくて巧みでした。携帯の日記の消え方はちょっと変でしたけどね。{/netabare}

そうそう、リアリティ面では、細かいことを言えば上記のようなものがいくつかあったと思いますが、{netabare}名前の記憶が消えていくように{/netabare}終わる頃にはほとんど忘れてしまいました。それくらい浸れる作品ということかと思います。

興行成績でも今後どれくらいの数字を出せるかも期待大ですが、新海誠監督の代表作と言えるものになったことは間違いないでしょう。

{netabare}最後の二人が出会えるのかというところは「秒速」が繰り返されないかとヒヤヒヤしました。私は心の中で思い切り「よくやった!」と叫びました(笑)。ハッピーエンドが、良い余韻を呼んでいます。{/netabare}

そのほか、「言の葉の庭」の先生が登場していたり、彗星(星)を扱ったところなどにも、過去作品とのつながりも感じられ、新海誠監督の集大成になったのではないかと思います。もちろん、今後も今作を超える作品を目指していただきたいですね。

ヒロインの三葉の名前は、凪のあすから2クールED「三つ葉の結びめ」の影響もあったようです(前向きになれる、自分もとても好きな曲です)。
色々なところでつながっていると感じられることも自分のアニメ道の進歩ですね。

この作品でアニメに興味を持つ方も多いと思います。クールジャパンの代名詞のひとつがアニメだということは多くの方が知っているでしょうが、他にも「君の名は。」クラスの作品があることを、機会があれば伝えていきたいですし、あにこれの方々もそうしたら良いんじゃないかと思いました。(自分が初心者だという方には、私の棚でも見ていってください)

もう1回くらい劇場で観たいと思える作品です。劇場で観ておくことをおすすめしたいアニメ映画です。

(2016.9劇場で鑑賞)

追記(2016.9.20)
{netabare}余韻に浸り、あれこれ考えています。設定について補足したいと思います。まずは、入れ替わりが本人たちにとっては「夢」として感じるものであること(遠くにいる男女が出会う物語を考えつつ、古今和歌集の小野小町の和歌から着想を得たというのもイイですね)。朝起きて自分の人格に戻っていて、相手側の人格に入った記憶は消えているので、当初は訳が分からなくなり、周囲の言動などから、現実として入れ替わっていることを認めざるをえなくなるという流れでした。結果的には素晴らしく機能しているのですが、観客としては、別人格の2人がしっかり自分の意思を持って行動しているのを見ているので、忘れてしまうことに違和感を覚えます。ここを、注意深く見ていくには、1周では心もとないですかね(私も序盤は見落としがある気がします)。

それから、時間描写に特殊性のある作品でもあるかと思います。携帯電話の日記が消えてしまう部分はマイナスとして取り上げさせてもらいましたが、過去改変の可能性を示唆した表現でもあるのかなと思いました。つまり、我々が1本だと思っている時間軸は実は1本ではなく、交差することもあるけれども、その時は我々の記憶や記録物までもが改変されていて、我々に認識できないだけなのではないか、ということです。

また、通常、時間軸は1本であり、パラレルワールドを扱った作品は世界線が平行に並んでいるというもので、別の世界線に移動しても同じ時間というのが一般的ですが、この作品では別の世界線(と言ってよいのかも確信を持てませんが、多分そうかと)が3年ずれています。これは斬新ですよね。光速に近づくほど時間の流れは遅くなるという相対性理論もありますし、時間の経過は常に一定ではないとすれば、時間の流れが世界線ごとに異なっているというのもありじゃないかと思いました。{/netabare}

追記(2016.9.21)
{netabare}RADの主題歌を購入。その中の夢灯篭に「5次元にからかわれて」という歌詞があるのを見て、個人的にはパラレルワールドを描いた作品であると認識してみる。

(参考)私的次元の数え方
0次元…大きさのない点
1次元…太さのない線
2次元…厚みのない平面
3次元…静止した空間(これを0次元に戻して以降を想像する)
4次元…時間軸のある空間(1次元的な線としての時空=我々の認識する世界)
5次元…複数の時間軸のある空間(2次元的な平面としての時空=パラレルワールド)
{/netabare}

追記(2016.9.23)
{netabare}上記から、私は本作はタイムリープものではなく、時間の経過がズレたパラレルワールドの交錯した世界の物語と考えてみました。

①瀧のいる世界線と、三葉のいる世界線(瀧の世界線の3年前)がムスビの力によって重なってしまい、互いに心と体の入れ替わりが生じた。

②しかし、三葉のいる世界線において三葉が死に、入れ替わりは終わった。ムスビの力がなくなり、存在しないはずの三葉とのやりとりは過去改変により消失する。このため瀧の携帯電話の日記も消えた。

③三葉の「半分」である口噛み酒を飲むことでムスビの力が復活。三葉のまだ生きている世界線とつながり、再度入れ替わりが生じた。

④危機回避の努力の結果、三葉たちが助かり、その世界線と繋がった影響で瀧のいる世界線の過去が改変され、三葉が生きている世界になった。
という感じでしょうか。

小説版は1日で読み終わりまして、文章で読むと正直そんなに凄い作品とは思えなかったのですよね(本当に、映画の内容をそのまま文章にしたという感じのものですが、情感の起伏があまり湧かないのです)。
最高峰の作画と、疾走感や情感の溢れるRADの楽曲と、綺麗にはまった声優と、後半超展開となるストーリーと、感情をストレートに紡いだ心情描写と、夢のはかなさを活かした設定とが高度に融合した、アニメがベストの作品なのだと思います。

本日、9月22日までの28日間で興行収入100億円突破とのニュースがありました。祝!
もう一度見たくなってしまう、高揚感の余韻が強い作品です。
{/netabare}

追記(2016.10.10)
{netabare}最近週末まで多忙となり2回目をまだ観に行けていませんが、多数のレビューを見ていた中で一番良かったものをご紹介。
http://blog.kanjutsu.net/entry/2016/09/09/115947

作家性を捨ててエンタメに振れた、プロデュースの力によるもの、斜に構えた意見も多々見受けられますが、表面的な受けも狙いつつも底辺の深みに魅力がある作品だからこそ、何度も足を運ぶ方がいるのだと思います。
{/netabare}

<2019.1追記>
世界観の配点を1点減点しました(作画によるボーナス点を与えていましたが、他作品との平仄の観点から削除しました)。

(2017.2、2018.4、2019.1評価調整)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 102

73.0 3 ファンタジーで田舎なアニメランキング3位
劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~(アニメ映画)

2018年9月29日
★★★★☆ 3.8 (138)
792人が棚に入れました
小さい頃から、他の人には見えない妖(あやかし)を目に映すことができた夏目貴志。 亡き祖母レイコが勝負をしかけ、負かした妖に名前を書かせた契約書の束「友人帳」を継いで以来、 自称用心棒・ニャンコ先生とともに、妖たちに名を返す日々――。

声優・キャラクター
神谷浩史、井上和彦、小林沙苗、伊藤美紀、伊藤栄次、石田彰、堀江一眞、佐藤利奈、木村良平、菅沼久義、沢城みゆき、ゆきのさつき、岡村明美、黒田崇矢、チョー、松山鷹志、下崎紘史、知桐京子、高良健吾、島本須美、村瀬歩
ネタバレ

四畳半愛好家 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

良くも悪くも平常どおりの夏目友人帳

映画館にて鑑賞。

劇場版だからといって、激しい戦闘があったり、劇的な展開があるわけでもなく、いつもどおりほっこりできる、優しい作品でした。
原作にあっても違和感のない、夏目らしい脚本で、原作をリスペクトした劇場版だったと言えそうです。

逆に、劇場版の”特別感”を期待してる人には、少し肩透かしな作品かもしれません。
何を隠そう、私自身もう少し”特別感”のある作品を期待しておりました…。

とはいえ、基本平常運転でも、そこは劇場版。
主要キャラは、ほぼ全員出てきました。{netabare}
(欲を言えば、的場さんや、的場一門の七瀬とかも出してほしかったところはあります…。)
{/netabare}

また、ニャンコ先生の可愛さが爆発してたところは、ある意味特別だったかも。これだけでも観た甲斐がありました。(タキに劣らぬニャンコ先生の大ファンなので!)

逆に悪かったのは、キャスト面。
劇場版あるあるのゲスト声優起用は完全に裏目に…。
お笑い芸人の2人(ネタは好きな人たちですが)も、イケメン俳優も違和感だらけの演技。
前知識なしで観たんですが、すぐに「声優じゃないな」と看破できるぐらいには下手です。
そもそも、この手の作品に、芸能人を起用したところで、宣伝になるのか甚だ疑問です…。なんのメリットがあるのやら…。
アニメ好きが観る映画なら、豪華声優がゲストで出てくれる方が、集客力ありそうですが…。

作画に関しても平常運転だったかなぁ…。崩れるところは、崩れていますし、テレビ版とそこまで差異を感じられませんでした。失礼ながら。

何はともあれ、夏目ファンなら観れば良いでしょう!肩透かし感はあるかもしれませんが、ニャンコ先生の可愛さの爆発や、優しい物語は、ファンが愛している夏目友人帳の姿そのものだったかと思います!!


最後に、ネタバレ付き、物語に関して思ったこと(単なるクレーム)(雑記){netabare}

●主の亡くなった、式の解放について
 主が死してなお命令に従い続けている式の解放。この劇場版の裏テーマの一つだと思います。それゆえに、式を解放するシーンで、名取の式たちの気持ちを匂わせる描写がもう少し欲しかった…。
 夏目組の妖達の魅力は言うまでもないですが、名取の式たちもまた、愛しいキャラです。
 瓜姫・笹後・柊(ひいらぎ)は、誰よりも名取を大事に思っています。
(アニメでも丁寧に式になる経緯が描かれた柊は勿論ですが、瓜姫・笹後も非常に魅力的です。名取の最初の式となった瓜姫については、とっっても美しい出会いの話が原作21巻にありますので、是非。以来瓜姫ファンでもあります。笹後についても後々語られるのでしょう。)
 ニャンコ先生が名取を小突いたときに一斉に反応するさまに、名取愛が感じられて、可愛いかったです。

 そんな名取命な彼女らにとって、主の死は無視できない問題です。夏目組もそうですが、妖にとって人間の死はあまりに短い。夏目と斑にも必ず別れが来ますし、名取が式を解放するときもきっとくるでしょう…。
 なので式の解放の場面では、感じるものがあったはずですが…演出が少し不足してたような気がします。
 わがままでしょうか…。

●的場が出なかったことについて
 出てほしかったのが本音ですが、出せなかった部分もあるかと思います。
 なにせ、彼はとても複雑な人物であり、強力な式を手に入れようとする悪役として単純に登場させるべき人物でもないからです。原作でもまだまだ謎の多い人物であり、下手なキャラ付けを避けるため、緑川先生に配慮しての判断だったろうと思います。(名取はある程度固まってきているキャラなので、幾分か自由に動かせるのでしょう。)

●夏目組・犬の会について
 先ず紅峰(べにお)がいないじゃんかぁ…(泣)
 あと、劇場版なんだから、子狐とか出てくれたら、なおよかった。(欲張り)
 斑と同格レベルと思われる三篠(みすず)の活躍シーンとかもたまには観たい!(ただのクレーム)
                    以上 雑記了
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

優しく、哀しい、嘘をついた

この作品は、2018年の9月29日に公開されたそうですが、2018年9月29日、30日の公開初週2日間で観客動員数、興行収入、満足度において国内ランキング第1位を獲得。10月21日までに観客動員50万人を突破した記念に、鏡開きが行われたんだそうです(wikiより)。

どれほどこの作品を…この作品の持つ世界観を楽しみにしていた人が居たのだろう…
数値が、結果を如実に表していると思います。
そして実際に作品を視聴してみて、数値に嘘は無いことを確信しました。

公式HPも作成されていますが、あらすじはネタバレ要素が満載なので、この作品をじっくり堪能したい方は、前情報無しでの視聴をお勧めします。


人と妖の間で忙しい毎日を送る夏目は、偶然昔の同級生・勇気と再会したことで、妖にまつわる苦い記憶を思い出す。
そんな頃、夏目は、名前を返した妖の記憶に出てきた女性・津村容莉枝と知り合う。
レイコのことを知る彼女は、いまは一人息子の椋雄とともに穏やかに暮らしていた。
彼らとの交流に心が和む夏目。
だが、親子の住む町には謎の妖が潜んでいるらしかった。


公式HPのあらすじの中からネタバレ要素以外を抜粋しました。
謎の妖を巡り物語が動いていくのですが、今回も夏目の視点は秀逸です。
夏目のこれまでの境遇は、皆さんご存知の通り決して幸せとは言えない時間を過ごしてきました。
祖母である夏目レイコから受け継いだ「妖を見る力」に翻弄されたこともありましたが、多くの理由は夏目自身には無かったと思います。

夏目は物事を推し量る際、自分の過去の体験とオーバーラップさせるんです。
そんな彼の出す答えが人に…妖にとって優しくない筈がありません。
それは夏目自身の魅力でもあるので、夏目の周りにはいつも友達がいっぱい…
しかも物珍しさなんかではなく、居心地が良いから一緒に居るのが感じられる…
夏目に変化に一番ビックリしたのは、偶然出会った同級生なのかもしれません。

この作品のタイトルである「うつせみに結ぶ」は、物語の完走により意味を理解することができます。
物語を何故「うつせみ」に帰結させる必要があったのか…
作り手の様々な思いを乗せた一言なのでしょう…しっかりと切なさが伝わってくる構成だったと思います。
でも、公式HPのトップページに記載された「優しく、哀しい、嘘をついた」を見たのは、本編完走後だったからでしょうか…やたら胸に刺さった一言でした。

「優しく、哀しい、嘘」って誰がどんな嘘をつくんでしょう…
「嘘」をつくのは良い事ではありません。
そんなのは幼稚園児でも知っている世の中の常識…

でも、世の中そんな簡単じゃないんですよね…
そう、世の中には「正しい嘘」が存在するんだと思います。
縋る術がそれしかなかったり、偶然の奇跡を現実にするための必然性からなど、きっかけや理由は色々あると思います。

でも根底にあるのは「目の前の人を悲しませたくないから」なのではないでしょうか。
正義の鉄槌を振りかざすだけが万能じゃない…
「1+1⁼2」以外の事態に直面しても対処するため人の心は揺れ動けるように出来ているのではないでしょうか。
そんな事をこの作品を視聴して感じました。

上映時間104分の作品です。
昔から馴染のキャラはちゃんと登場しますし、今回もニャンコ先生は大活躍です。
出来の良さは数値が示しているので、この作品の世界観が好きならお勧めできる作品だと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 16

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

「出会いがもたらした変化は、小さなさざ波となって広がっていく。その小さなさざ波の端に、俺もいるんだ。」

2018年公開の劇場版。

時系列は重要でないので、夏目友人帳シリーズを全て視聴済みの方も、
まだ見ている途中だという方も、大丈夫。

また、設定等も丁寧に説明されているので、
まだ夏目友人帳シリーズを見たことがないという方も大丈夫だと思います。

今回も、人と人、人と妖との絆の温かさに癒されました(*´ω`*)

100分ほどの作品です。


● ストーリー
妖が見える少年・夏目貴志(なつめ たかし。)

祖母・夏目レイコの遺品の中にあった“友人帳(ゆうじんちょう)”には、
レイコが勝負で負かして子分にした妖の名が集められており、

名前を返してもらおうと訪れる妖、
友人帳の強い力を狙う妖、
そんな妖から夏目を守る用心棒・ニャンコ先生など、

友人帳をきっかけに、
夏目は様々な妖たちと関わることになる。


この劇場版にもちゃんと夏目友人帳らしさが詰まっています。

夏目(cv.神谷浩史)を聴くだけでスイッチ入ります。笑

1話完結の話が多いこの作品としては
100分は普段より長めの時間。

シリーズ初の長編オリジナルエピソードということで、
どんな感じになるのかなーとドキドキだったのですが、
観終わってみると、いつも通りの雰囲気に満足でした♪

寄り道に思える話もちゃんと伏線として取り込んでいて、
夏目に関わる主要なキャラはみんな登場してくれたのも嬉しい^^

妖にもいろんなやつらがいますが、
今回の主役となる妖は、人を想う優しいタイプの子。

その優しさや守ろうとした絆に、心がきゅっと切なく、温かく。
そんな夏目色に染まりました。

この作品の心地良さは、
夏目のそばにいる人たちの温かさが源。

一人じゃないから、
一緒に過ごす時間を大事にしたいと思える人たちだから、
夏目の物語はこんなにも温かい。


ちょいちょい声優が気になるのは、
ゲスト声優として芸人さんや俳優さんが演じられているからですね。

ぶち壊しと思うほど悪くはなかったけど、
微妙な違和感はありました^^;

容莉枝(よりえ)さんの声が素敵だなーと思ってたら、
しょくぱんまんの島本須美さんだったのですね。

全然わからなかったです( ゚Д゚)


主要のキャラクターたちは安定して大好きです。

今回の目玉はやはり、
分裂してしまったミニニャンコ先生ではないでしょうか?笑

うーん、でも私はやっぱり、
普段のぼてぼてのニャンコ先生の方が好きかな。

ものすごく体重ありそうだけど、
軽々と肩に乗せる夏目を見ていると、いつも不思議に思いますw


● 音楽
【 主題歌「remember」/ Uru 】

あーいい曲です。

感動的な主題歌がこれほど心地よく染みるのは、
良い作品&良い映画だという証拠だなと思います。

劇場版観てからずっと繰り返し聴いてます^^


● まとめ
大好きな夏目友人帳。

その印象も、ずっと味わっていたいと思う雰囲気も、
この劇場版で揺らぐことはありませんでした。

期待を裏切らない劇場版ですよ^^

そして!嬉しいことに!
2021年1月16日には劇場版2作目の上映も決定しています!!

この劇場版の余韻に浸りつつ、
新作公開を心待ちにしたいと思います♪

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15

80.5 4 ファンタジーで田舎なアニメランキング4位
蛍火の杜へ(アニメ映画)

2011年9月17日
★★★★☆ 4.0 (1074)
5217人が棚に入れました
祖父の家へ遊びに来ていた6歳の少女・竹川蛍は、妖怪が住むという山神の森に迷い込み、人の姿をしたこの森に住む者・ギンと出会う。人に触れられると消えてしまうというギンに助けられ、森を出ることができた蛍は、それから毎年夏ごとにギンの元を訪れるようになる。

声優・キャラクター
内山昂輝、佐倉綾音
ネタバレ

★mana★ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

10年分の想いを、今ここに・・(ギン視点で観てみました)

ねえ、蛍。
俺はずっとここに居るよ?
何年、何十年たとうとも。
たとえ、君の瞳に写らない
そんな存在だとしても。

俺が過ごした、途方もない時間。
そんな中で、蛍と過ごした時間は ほんの一瞬だった。
でもね、俺にとってはその一瞬が大切で愛おしくて、仕方がなかった。

蛍は俺に、優しくて、温かい感情をたくさんくれたね。
でも、それは、切なくて、苦しくもあったんだよ?
蛍は気付いてないかもしれないけれど・・
まるで夏の夜に光る、ホタルのヒカリのような、
そんな儚くて脆い、だけど、強くて、美しい。
そんな日々だったね。

蛍は俺に「忘れないで」と言ったよね?
忘れる訳がない。忘れたくない。
でもね、蛍は忘れてしまってもいいんだよ?・・


蛍に出会ったのは、蛍がまだ小さい時だった。

{netabare}

~蝉の詩、笑い声・・~
鳥達の囀り、木々の揺れる音・・
そんな森達の雑談と共に聞こえた、泣き声。
それが蛍だった。
蛍は、俺を見ても少しもこわがらなかったよね。
むしろ、楽しそうに俺に触れようとして来た。
まだ小さい蛍には「消える」という意味さえ理解出来なかったんだろう。
でも、俺には それが素直に嬉しかったよ。
1人の存在として認められているようで。

~夕やけの茜色、帰り道、遠回り~
「何かデートみたいデスネー」「色気のないデートデスネー」
そんな他愛ない会話を繰り返したね。
手をひいてあげる事は出来なかったけれど、
その先から伝わるこの想いは、一体何なんだろう?
何だか、胸の奥が温かくなるような・・

別れる時、蛍は俺の名前を聞いた。
俺の名前は・・無言・・疑問と不安。
そんな時、風が俺の背中を押した気がした。

~約束は「また明日」~
明日も来ると走って行った、蛍。

「ギンだ」

翌日 本当に蛍はやって来た。
そして、約束の場所で、待っていた俺が居た。

~夏はただ、咲き誇り~
冷たい小川に、暑い夏の日差しが差し、キラキラしてる。
全てが美しく、夏が輝いていた。
それは、蛍が側に居るからなんだよ?
蛍と見る全てが、今までとはまるで、違って見えた。

~その命輝かせ~
俺はただ、生かされて、ただそこに存在しているだけだった。
何も意味をもたない、あやふやなモノ。
だけどね、今まで感じた事のない、自分の存在。
俺は自分というものをこんなにも感じる事が出来るんだ。
夏が待ち遠しい、蛍に会える事が、素直に嬉しい。
そう思えた。
そんな夏が何度も何度も訪れた。

ある夏の事だった。
蛍は俺を驚かせようとして、見事に木から落ちて来た。
俺は、そんな蛍を受け止める事が出来なかった。
自分の存在が無くなってしまう事を恐れたのか・・?
そんな気持ちとは裏腹に、蛍は安堵の顔を見せた・・
そして、大粒の涙を流した。
何故泣いてるのかは、分かってた。
涙は止め処なく流れ続ける。
でも、俺は その涙を拭ってあげる事も出来ず、ただ、その泣き顔を見続けた。

出会わなければ、こんな想いをさせなかった?・・
出会わなければ、こんな想いはしなかった?・・

~終わらない、お話のその先に気付いて~
蛍は毎年、会う度に、成長していく。
それは、普通の人間の子なら当たり前の事なのは分かっていた、、つもりだった。
少しづつ、目線が近くなって来る。
それを複雑に感じつつ、俺の感情に違う何かが芽生えはじめた。
いつか感じた想いとは、全く別物。

蛍に・・会いたい。
蛍に・・触れたい。

この胸を締め付ける感覚は・・

~カラス達遠ざかり、どこかへと飛んでゆく~
離れてる時間がこんなにも長く、辛く感じるなんて・・
今まで考えた事も無かったよ。
蛍は今何をして、何を見て、何を考えてる?
いつからか、俺の中は蛍でいっぱになっていた。
いつか、こんな気持ちが届く日が来るのだろうか?

真っ白な雪の上に散る椿が一際紅く見えた。
俺の心の中のように。
真っ白な心の中に、真っ赤に燃える感情が一つ・・
蛍がくれた温もりで、いつもの冬より、身体も心も温かかった。

~夏はただ駆け抜ける、宝物、しまうように~
ある夏、蛍は言った。
春も、秋も、冬も、俺の事を考えていた、
そして、もっと一緒に居たいと。
俺は、自分という存在の全てを打ち明けた。
打ち明けなければならないと思った。
俺は、蛍を幸せにはしてあげられないから、永久に・・
こんな俺の為に犠牲になる事なんてない、もうここには来なくていいよ?
俺はずっとこうして、だだ存在しているだけで、何も変わらない。
“決して忘れられない、かけがえのないモノが一つ増えた事以外は”
だけど、蛍から返って来た言葉は優しく、心が苦しくなった。
そして思った。もう、こんな夏を続けていてはいけないと・・

~いつまでもなつかしい、あの頃は黄金色~
いつか蛍と行きたいと思った、 「妖怪達の夏祭り」。
誘うのは、ちょっと照れ臭かったけど
蛍は喜んで、行きたい!っと言ってくれた。
そして、少し不安な言葉を口にする。
不安な事はないよ、だって蛍は、俺が守るよ?
そう言うと蛍は、少し頬を紅くして
「そういう事を言われると、飛びつきたくなってしまう」と言った。
・・「飛びつけばいい、本望だ」
もし、それで俺が消えても何の後悔もない、今なら全て受け止める事が出来る。

~何気ない毎日の片隅を照らしてる~
手を伸ばせば、届く距離。
一番近くに居るのに、一番遠い存在。
俺は、蛍を抱きしめたかった。
そして、その手に、その髪に、頬に、
一瞬でいい・・その温もりに触れたい。
もう、気持ちが抑えきれなくなっていた。

~夏はまた、やってくる約束を守るように~
祭はいつもの夏と同じようにやって来た。
でも、今年は隣に蛍が居る。
毎年思い描いていた光景。
「デートみたいデスネー」「デートなんデスネー」
10年前、初めて会った日に交わした会話。
10年越しの、始めてのデート。
やはり、あの日のように手はひいてあげられない。
でも、振りなら許されるよね?

息を吹きかけると回る風車。
金魚すくいをする子供は、尻尾を隠しきれてなくて。
偽物の綿あめが空に浮かび上がり、その空に花火が咲き誇る。
蛍はそんな光景に、ずっと笑顔だったね。
その笑顔を見て俺も笑った。

このまま時間が止まってしまえばいい・・。
そんな、叶わぬ願いをそっと胸にしまい込んだ。

楽しい時間は一瞬だった。
蛍と過ごした10年分の夏がそうだったように。
そして、俺は帰り道に全ての想いを蛍に伝えた。
こんな事を言っても困らせてしまう事は分かっていた。
だって2人は決して交わる事はないのだから。
そして、お面越しにくちづけをした。
これが蛍に触れられる精一杯。
蛍に捧げる、精一杯の気持ち。

蛍は今どんな顔をしてる・・?

そんな時、小さな子供が飛び出して転びそうになった。
俺は咄嗟にその腕をつかんだ。

・・刹那、指先から光を放つように消え始めた。
「あの子は、人の子だったのか・・」

もう、何もこわくはなかった。
ただ、願いは一つ。

「来い、蛍!やっとお前に触れられる」


ねぇ?蛍、覚えてる?
初めて会った日の事を。
笑いあった夏の日々を。
俺は忘れた事なんてなかったよ。
春も、秋も、冬も、会えない日々
ずっと蛍の事を考えていた。
蛍としたい事でいっぱいだった。
蛍とみたい物でいっぱいだった。
蛍と感じたい事でいっぱいだった。

でも、もうさよならなんだね。

蛍、こんな俺に気付いてくれてありがとう。
こんな俺を受け入れてくれてありがとう。

蛍の温もりを感じながら、最後に伝えたい事があった。




「好きだよ」



~夏はただ咲き誇り、その命輝かせ・・~






※~〇〇~
ED・おおたか静流『夏を見ていた』

{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 58
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

切なく儚い夏の物語

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。


 初見でした。自業自得ですが、短編と知らずに見てしまったため、少々の後悔が残ってしまいました。短編と気付いたのは終盤になってからです。短編と知っていれば、見方も少し変わったと思うのですが、残念です。作風はゆっくりしているのですが、テンポは速く感じました。賛否はあるかもしれませんが、もう少しキレを悪くした方が余韻が残ったかも、とも思います。シナリオ自体はかなり良いものです。セリフ回しに感情の機微が表れてますので、逃さないようにしましょう。短編ですので時間がないときでも見やすいです。


ジャンル:
 ジャンルは、妖怪との恋愛ものです。
テーマ:{netabare}
 テーマとして、子供時代との決別を描いていると思われます。主人公の蛍は、中学生で凧揚げ、高校生で釣りと、およそ年齢に相応しくない遊びをしています。ギンの近くにいるためには、子供でなければならなかったのです。蛍が大人に近づき、ギンとの間で愛情が生まれると同時に、ギンとの生活も終わりを迎えます。蛍の子供時代は遅まきながらも終わりを迎え、大人として歩んでいくことになります。 {/netabare}


エンディングへのフラグ:{netabare}
 この作品は、エンディングに至るために、特殊なフラグ管理を行っています。
 エンディングへのフラグは、大きく分けて二つ立てられます。一つ目は、ギンが蛍を助けるために触れてしまう、というものです。これを補完する水辺のシーンが複数あります。二つ目は、時間が二人を分かつまで一緒にいようという蛍の願い、つまり、蛍が死ぬまで一緒にいるというものです。蛍は作中で、卒業後にギンのいる街で就職すると述べています。触れたいと願いながらもこの二つ目のフラグを期待していました。ですが、いずれのフラグもエンディングとは異なるものでした。
 エンディングは、つまづいた少年を助けるためにギンが少年に触れてしまうというものでした。突然の事故であり、それもかなり小さいものです。視聴者をかなり驚かせます。
 作品におけるどんでん返しとは、構造自体を変えてしまうことが普通です。Aだと思っていたものが、実はBだったという手法です。例は控えますが、多くの作品に使われています。
 しかし、この作品では、構造自体がフラグになっているのです。転んだ少年は、お面の少女を追っています。いずれも年のころは幼少期の蛍に重なります。これは、男女を逆転させてはいますが、お面を受け取る前の蛍とギンの関係性と同じです。転んだ少年は蛍を象徴するキャラクターであり、ギンは蛍に触れたに等しいのです。つまり、蛍とギンという構造自体がフラグとしてエンディングを導いているのです。
 ギンも蛍に触れたいと願います。死別というフラグの否定です。しかし、触れる選択肢はありませんでした。触れるという結末は、ギンのせい・蛍のせい・合意の3種類が考えられますが、いずれにしても蛍が大きく傷付くことをギンは理解していました。だから、蛍との離別を選んだのです。実際には上述の事故が発生し、蛍を模した第三者(蛍のせいではない)をきっかけとして触れ合うことで、蛍の傷は小さいもので済みました。

 ちなみに、蛍が心に傷を負っていたことは確実です。物語の冒頭、蛍はおじいちゃんの家へ「毎年行っていた」と言っています。「毎年行っている」という継続表現ではないことから、1年以上の間が空いていることは明らかです。履歴書をもって出かけていることから、時系列としては、「ギンと分かれた高1の夏」「行けなかった高2・3の夏」「就活のために行く卒業後の夏」となっているのではないでしょうか。
{/netabare}

手つなぎ、木の棒、布:{netabare}
 エンディングと並ぶ見どころの一つです。
 ギンと初めて会ったシーンでは、木の棒を二人で「握り」ます。木の棒越しに伝わるギンをよっぽど気に入ったのでしょう、蛍は山を下りる際に木の枝で草を撫でながら鼻歌まじりに歩き、ギンの存在を手に反芻します。そしておじいちゃんと手をつなぎます。
 二日目には、ギンは木の棒を携えて登場しますが、その木の棒は持っていきません。代わりに蛍からアイスを受け取っています。もう木の棒は必要なくなりました。
 蛍が中学生になると、学友と手をつなぐシーンがあります。しかし、蛍には思春期特有のドキドキ感がありません。ただ「引っ張ってもらっている」だけという描写になっています。
 夏祭りでは布で蛍とギンの手首を「つなぎ」ます。重要なのは、布を「握っている」のではなく、手首で「つながっている」ことです。赤い糸も「握っている」とは言わず「つながっている」といいます。二人の思いが通じ合っていることが表現されています。子供が間を駆け抜けてもほどけることはありませんでした。もう手を「つなぐ」必要はなくなりました。
 その後、ギンに「来い」と言われ、蛍は飛び込むようにギンに抱き付きます。抱き合うのではなく、抱き付くという描写も、初対面の時に繰り返しチャレンジした願望を成就させたものです。
 なお、紐ではなく布であったのは、蛍が送ったマフラーへのギンなりの返答だからでしょう。
{/netabare}

蝶とホタル、天井:{netabare}
 蝶はギンを、ホタルは蛍を象徴していたようですが、使われ方は少し雑に感じました。要所で、すなわち心情が動くシーンで出ていたようですが、その前後であったりと統一感に欠けていたように思われます。理由付けをすることは出来ますが、ややごり押し感があるためここで述べるのは控えます。エンディングでは、蛍の周りがホタルから蝶へと変わり、乗り越えた感は感じられます。
 一方で、3回出てくる天井は分かりやすい表現となっていました。蛍が山に行けなかっただけでなく、おじいちゃんの家にも行けなかったのは、天井の木目にギンを見てしまうからでしょう。就職が決まったら、ギンのいるあの部屋で生活するのかもしれません。
{/netabare}

 短編ですが、エッセンスは十分に盛り込まれていたと思います。唐突に来るエンディングも、切なさと儚さを上手く演出していました。対象年齢としては思春期以上が望ましいでしょう。特に女性に好まれる作品ではないでしょうか。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

半兵衛♪ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

【ネタバレ有】『最後に残る最高の“余韻”―。 一つの“掟”に縛られた、切なさ全開の恋物語―。』

 
   
 原作の“緑川ゆき”に加え、“大森貴弘(おおもりたかひろ)”監督をはじめとする「夏目友人帳」のスタッフが製作を手がけた劇場版アニメ作品―。

 上映時間40分余りの、いわゆる“中編作品”なのだが―、そこら辺にある凡百の中編作品とは桁違いの魅力が、この作品には詰まっている―。

 一目見ただけでそれと分かる、「夏目」らしさを感じる“優しい空気感や世界観”―。彼女たちにしか描けないその“澄んだ雰囲気”と“心温まるストーリー”は、「夏目友人帳」ファンなら(いやそうでなくても)必見の一作である―。



 (簡単なあらすじとしては―)、妖怪が住むという“山神(やまがみ)の森”に迷い込んだ人間の少女“蛍(ほたる)”が―、「人に触れられると消えてしまう」という、この森に住む妖怪の青年(正確には人間でも妖怪でもない)“ギン”に助けられ―、それから毎年夏の間だけ、ギンの住むこの森を訪れるようになる…という物語―。


 物語の最初に、最も重要な「人に触れられると消える」というテーマを見せる事で、この作品の“(悲しい)終着点”が垣間見え―、同時に、そこに至るまでの二人の会話ややり取りの中に、(そのテーマが)終始、“触れられないもどかしさ”となって付きまとう―。


 蛍が出逢ったのは6歳で、最後の場面では18歳―。

 40分余りの上映時間であるが故に、粗雑(そざつ)にも感じる作中の時間経過(の早さ)が―、逆に、二人の間には、互いが一緒に過ごせる“夏の一時(ひととき)”しか無い事を余計に感じさせ―、だからこそ、かけがえの無いその時間を楽しそうに過ごす二人の姿が、観ていて余計に切なくなる―。



 たとえどんなに心が通じ合っていても、二人の間には、決して看過出来ない“時の流れ”が存在する―。だからこそギンは、自分の気持ちに向き合い、全てを投げ打つ“覚悟”を持って、蛍を夏祭りに誘ったのだろう―。

 そうして迎える最後の場面―。

 ―― (蛍) 「デートみたいですね~」――

 ――(ギン)「デートなんですね~」――

 出逢った日の事を連想させる蛍のセリフ―。けれども、返ってきたのは以前と“真逆”のギンの言葉―。あの時は、子供をあやすかのような反応だったからこそ、全く同じ軽い調子で、全く逆の事を言うあのシーンには、ギンの、蛍への想いや…覚悟や…寂しさが…全て込められていて―、余計に涙腺を刺激する―。


 いつもと違うギンの態度が、ずっとお互いの事を考えて過ごして来た蛍には、口にしなくても伝わり―、(本当はずっと一緒にいたくても)、彼の覚悟を何も言わずに受け入れる―。

 ギンの気持ちを察し、蛍自身も覚悟したからこそ―、夏祭りの帰り道、偶然、人の子に触れて消えゆく事になったギンとの“突然の別れ”にも、その瞬間、ただ真っ直ぐに、“お互いの本当の気持ちを伝えることだけ”を考える事が出来たのだと思う―。

 ――(ギン)「来い、蛍―。やっとお前に触れられる―」――

 最後の瞬間になるはずなのに、二人は“最高の笑顔”をしていた―。それは、二人が本当にしたかった事はこれだったから…。その後の別れの不安など消え去るほどに、ずっとずっと二人はお互いに触れたかった…。あの一瞬の抱擁で、きっとギンは人間の…“蛍の温かさ”を感じることが出来ただろう―。



 (その後の妖怪たちの優しいセリフも良かったが…)、とにかく終始、涙が止まらず、何度見ても泣いてしまう…。「人に触れられると消えてしまう―」。たった一つのそのテーマで、ここまで心に響かせられる―。

 最後の最高の“切なさ”が来る瞬間を徐々に感じながら、その“一瞬の儚さ”を感じて観終わり―、そうして“圧倒的な余韻”だけが最後に残る―。


 時折、「時間が少し短過ぎる」とか「せめてEDの後にもう少し何かが欲しかった」などという感想を目にするが―、もしもこの作品が、2時間の長編映画だったなら、本作に感じた淡さや儚さは“色褪(あ)せる”だろうし、(最高レベルの)あの余韻を感じる事も無かっただろう―。

 お互いの気持ちやその後の出来事など、描く必要は全くない―。観終わった人達それぞれが、各々で感じる“余地”を残すことで―、この作品の“淡さ”や“儚さ”を、“余韻”として感じられるのである―。


 最近観た劇場版作品の中では、最も感動し泣けた、切なさ全開の“傑作”であった―。



 最後に―、山神さま…もう少し“緩い”掟でも良かったんじゃないですか…(涙)。


  (終)

 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

64.6 5 ファンタジーで田舎なアニメランキング5位
新米錬金術師の店舗経営(TVアニメ動画)

2022年秋アニメ
★★★★☆ 3.1 (203)
592人が棚に入れました
孤児院育ちの新米錬金術師サラサは、亡き両親と同じようにお店を開くのが夢。 そんなサラサが養成学校の卒業祝いに師匠からもらったのは、とある辺境の村の空き店舗だった。 予定よりも早く叶う夢に胸を弾ませるサラサだったが、待っていたのはボロボロの店舗、慣れないコミュニケーション、危険な素材集めに魔物退治!? 豊富な知識と高い魔力、鍛えた剣術を武器に見知らぬ土地で奮闘するサラサ。 店舗経営を通じて広まる想いと錬金術が、出会いと絆を生んでいく――
ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5

きららじゃなくてなろう寄りだった。

{netabare}
始まる前は今期トップレベルで期待してた作品だった。
チート薬師やRPG不動産好きだったし、これも楽しめるかなと思ったけど、ダメでした。
ジェネリックきららではなく、結局キャラを美少女にしたなろう系だった感は否めない。

このアニメのジャンルは?と聞かれても日常モノとは答えないかな。
店舗経営と言っておきながら戦闘回が多すぎた感がある。
それも、突如街を襲撃してきた魔物の撃破、素材集めのための魔物との戦闘...と正直いつものなろうじゃんってなった。
サラサのお店に嫌がらせをしてくる分かりやすい悪役もなろう感がきついし、サラサが時折イキリ出すのもなろう臭がしてきつい。
新米錬金術師と言っておきながら錬金術と魔法の違いがイマイチよくわからない。
日常モノならそれでもいいけど、これは日常モノ感がなかったから、そこがかなり引っかかったかな。

キャラも主人公だけで良くね?感が強い。
サラサ以外の3人が主人公の引き立て役にしかなってない。
3人が何かをやらかして、それを完璧主人公のサラサがなんとかするみたいな構図。
戦闘では何の役にもたたないし、お店でもアルバイトレベル。
最終回では特にそれが顕著。
サラサなしだと、3人はまともに店舗経営もできない。
これサラサがもし男キャラだったらそれこそ、普通のなろう系と同等だっただろうなって思う。

1話時点だと、サラサの成長や自立を描く作品としての出来を期待できそうだったけど、そこも中途半端。
困ったときは錬金術と言う名の魔法で師匠とすぐに会話できるし、それどころか物理的なピンチが訪れたら直接師匠が助けに来てくれるしw
あと、途中のお金の話が、サラサではなくて作者喋ってるみたいでちょっと気持ち悪かった。

良かった点...。
サラサの周りはモブの村人含めていい人たちばかりだから、何も考えずに見られる点。
戦闘がメインでなければ、それなりに好きだった作品だとは思う。

作画はENGIが三本も掛け持ちしてるせいでかなり低クオリティ。(おばさんの服とかさすがに酷すぎ...)
ただ、別に求めてない戦闘シーンだけは無駄に作画が良くて、低得点をつけづらい。
戦闘にリソースを回すなら、通常時の作画をもっと向上させてほしかった感はあるけどw

↓1話毎メモ
{netabare}
1話 ☆9
今期1期待してるアニメ。ENGIさん頑張ってね。OPいいな。
いきなり重いな。てか、転生では無いのね。きららっぽい入り。
目隠れすぎじゃね? 何もしないが正解説。
料理かな? クソ試験官。CMでネタバレするな。テンポいいな。
この世界金銭感覚おかしいだろw ジェネリックきららだな。
今後どんなふうに話広げるのかは気になるけど、最悪錬金なしで百合百合してるだけでもいい。

2話 ☆7
師匠わかってて紹介しただろw 錬金術師の店ってより豪華な家だな。
やっぱ作画は良くないな。キャラだけは崩さないで欲しいけど。
こっちもこっちでコミュ障だな主人公。
師匠をここで再登場させちゃうと1人でやってる感無くなるからあんまり。
戦闘はいらないなぁ。思ったより暗めなパートもあるのね。
最後良かった。痛そう。急に雰囲気重いw 人体錬成?

3話 ☆5
錬金術師なのに医者みたいな扱いで草。ボロボロやん。
そりゃ金は大事よ。棒読みおらん?
正論なんだけど、これ系のアニメにこういう真面目要素は要らないかなぁ。
作者の思考をキャラに喋らせてる感が凄い。戦闘要らん…。
歩くのおっそ。最後の戦闘だけ作画良くて草。
他のとこにリソース回してくれ。

4話 ☆7
戦闘なさそうで良かった。ロシアにありそうな地名。
光ってるってことは嘘ついてるな。あのメガネはなんやってん。
結局完全にセールスで草。瓶の絵酷すぎでしょ、小学生が描いた?

5話 ☆7
何もやってないのに蜂に刺されることある? 冷凍食品作れるじゃん。
素材集めか。これ結局なろうっぽいなぁ。
錬金術師の範疇超えてるというか完全に別分野だよね。
触れたら手くっつきそうだが。可哀想。革手袋事凍らんの?
錬金術師と言うよりただの冒険者だな。サラサと村人値段逆だろ。

6話 ☆4
ぼっちと比べて演出ゴミ過ぎて泣ける。見てられんわ。水着回か。
今期こういう敵見たぞ。ニガリで倒せ。不徳のギルド?
好きじゃない萌えアニメって普通のなろうより見るのきつくなるんだなぁって。

7話 ☆6
なろう要素。どういう転び方したらそっちにコケるんだよ。
師匠が頻繁に訪れるの1人で店やってる感じがしない。
まあ成長を感じられる描写があったのは良かった。

8話 ☆4
普通の商売敵って設定の方が面白いのに、盗賊との繋がりで完全な悪役として描いたら結局なろうでしかないんだよな。
胸がどうこうの寒いノリから感動話チックな方向に持っていくな。
しょうもない名前付け嫌い。なろうだなぁ。
当たり前のことをかっこつけて言う父さんw 安っぽい絵。
イキリアニメになってしまった。

9話 ☆5
転移陣か? はいはい電話電話 むしよけスプレーかな?
毒の知識ぐらい持っとけや。スカアニメやめろや。

10話 ☆5
これの前にライザのCMやられるとライザにしか見えんくなる。
BGMが壮大すぎて草。迫真の集中線 転生賢者でもこんな話あったな。
基本ずっとサラサが軸だよねこのアニメ。
ドクターストーン? また戦闘か。やっぱなろうなんだなぁって。

11話 ☆5
師匠とすぐやり取りできるようにしたのは自立してる感なくなるから失敗説ある。結局これもスライム300と同じで一見きららだけど展開はなろう。
ゲームのボス部屋感ww 爆裂魔法使うのか?w
戦闘で作画無駄に良くなるのやめろ。

12話 ☆5
最終回でやる話なのか? なろうあるある魔法ダッシュ草。
亡き両親の商会なのか。
結局こいつらは主人公いないと錬金術的なことは何もできないの?
主人公だけで良くね観あるのはこれ系の作品としては致命的すぎる。
主人公にキャリーされてるだけのほか三人。

曲評価(好み)
OP「はじまるウェルカム」☆4 ED「Fine Days」☆5
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

美少女俺TUEEEハーレムと女子だけ日常系のハイブリット作品

 最後まで見られました。結果的に。基本、若干の萌え以外の感情は動きませんし、伏線の発見やテーマ性の深掘りをする必要はないと思います。ボッチは初期設定だけです。初めの数話はちょっと興味が惹かれる展開だったと思います。

 現実の世界ではないどこかの異世界で、ヒロインの無双でやられる心配がなく、村人から頼りにされる店舗経営もの、というジャンルが好きなら良いと思います。
 一方で話そのものは、女子だけ日常系の共同生活の部活ものみたいな感じです。事件や敵も存在しますが、エピソードを展開するための設定以上のものではないです。他の少女たちは飾り物です。ですので、美少女主人公の女子ハーレムものという見方もできます。
 要するに流行のジャンルのハイブリットです。

 文明化の度合いとか気にしないほうがいいでしょう。テントはどう見てもコールマン製ですし。そういう些細なことを気にしないほうが楽しめると思います。

 ヒロインがずっとしゃべりっぱなしです。声優さんがお好きなら満足度が高いかも。
 ヒロインぼっちの初期設定は良かったと思います。

 結果的に私はなんとなく最後まで見てしまいました。リラックスタイム用なので、時間が無駄とも思いません。が、2回目を見ようとは思いませんし、どこかで間違って2回目を見たときに、以前見たなあと思い出さないかもしれません。既に登場人物の名前とか思い出せないし。



 


10話まで サブスクのサムネの女子の作画が良いのに気が付いて今更ながら視聴。

 1話の設定の説明回とそれ以降のあらすじは悪くないと思います。ぼっち設定のヒロインが店舗経営するという話は、他の異世界薬局ものと比べて面白いスタートだったとお思います。

 異世界でもともとぼっちということで、転生ではなく生まれながらのぼっち表現です。すぐ逃げたがる男の異世界転生と違い女性原作だからでしょうか。そこも面白いですね。「ぼっちざろっく」もあるので流行なんでしょうか。全体のストーリーの本筋は面白いと思います。キャラもいい子だし。

 経営ものとしてお金にこだわるのも面白いと思います。全体的にお金にまつわる話が多いのは一貫性があるとも言えます。

 ただ、学園生活、修行、ヒロインが村が好きになる、店のボロに困惑する、1人目の店員さんが来るところなどが正直薄すぎて物足りません。ヒロインの俺TUEEEのチューニングをやり損なっている感じで、特に魔物退治で盛り上がりが弱いですし。師匠が簡単に来過ぎるのもちょっとなあ。

 お店作りは全部錬金術と大工さん無双で解決してしまいます。肝心のお金にまつわるところをすべて俺TUEEEで解決しているように見えてしまいます。ストーリー展開で解決しているように見えません。コウモリのところは、単なる俺TUEEEじゃない表現ができる気がするのですが、なんかヒロインが頑張って強い魔物倒せば全部解決できるじゃん、に見えてしまいます。

 もっと的を絞るとか、心情が形成されるプロセスを丁寧に描いていたら、かなり良かったと思うのですが、本当にストーリーの説明だけでポンポン話が進んでしまう感じです。

 萌え、ヒロインの成長話、友情の話、師匠の愛とコメディ、俺TUEEE…あらゆる要素が中途半端です。

 このストーリーだと原作はもっと密度が濃いんでしょうか?あるいはこの作品の印象の通り、地の文章はサラッとしていて、会話劇なんでしょうか。よくわからないですが、正直この出来だと原作までは手が伸びません。

 最近気が付いたんですけど、面白い面白くないって、シームレスな連続性があるパラメータだけでは決まらなくて、面白さの境目、閾(しきい)値がある気がします。何かが足りないと急激に価値を失うと言えばいいのでしょうか。

 本作は、要素はあるし、プロットから言って面白いと紙一重だと思います。ただ、どこかが「面白いなあ」と思う閾(しきい)値を微妙に下回ってしまったような惜しさを感じます。逆にいえば可能性を秘めている世界観、キャラ設定、プロットだと思うのですが…

 もし原作が原因ならネット小説の弱点、編集者が機能していないのだと思います。あるいはアニメ制作者なら12話くらいである程度の区切りを収めるためにがんばったのかもしれませんけど、演出や面白さ、エピソードの出来を省略するのはいただけません。

 アニメの画面については、異世界もの特有の作画・キャラデザの安っぽさもあります。ヒロインとサブヒロイン3人は悪くないんですけど、モブとか背景美術は本当に安っぽいです。

 まあ、ちょっとスパイスもある女子だけ日常アニメだと思えばいいかなあ。一気見だと批判的になるので1話ずつがいいかもしれません。


 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 16

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

ちゃんと差別化できている印象の「俺つえー系」

視聴前の想像と違い、
しっかりと作りこみがされている印象を受けてびっくりした。

いろいろな細かな部分を手を抜かずに、きっちりと詰めてある感じ。
主人公の幼い時の出来事や、師匠となる錬金術師オフィーリアとの出会い、その他の細かな設定について「深い」とか「練ってある」とかいう意味では無いけれどもしっかりと説得力を持たせている感じ。

物語自体は、レビュータイトルに書いたように主人公が無双の能力を持つ「俺つえー系」の亜種である事は間違いないのだが、主人公が錬金術師だという点と商売≒お金儲けをきっちりとポイントポイントで描いている所が意外と他作品との差別化として効いている。

何しろ、仲間となるアイリスとケイトとの馴れ初めも「お金」絡みだし、その他の採集者や登場人物たちとの関係も「お金」を絡めて描かれることも多い。
また、会話のネタもきっちり「お金」が顔を出すことが多い。

もっとも、店舗経営と謳っている割にはマネジメント的にどうこうといったマジメなものではなく、店舗経営というタイトル故に、あくまでもエッセンスとして
「お金」を絡めているという印象かな。

とはいうものの、この点で、ちゃんと作品カラーが出ているのは誉めてもいいと思う。

あとは主人公のキャラ付けのせいなのかな、なんか全体的にあっさり風味な印象を受けた。
これは、悪く言えば、味気ない平坦なストーリーともいえるかもしれない。

作画については、キャラを含め全体的に中の上とか上の下とかいったレベルに達しているのではないかと思った。
少なくとも標準レベルよりは上というのは間違いないのではないかなぁ。
キャラクタもかっちり描かれているし、破綻や崩れもほとんどなかった印象だし、何なら、細かく描いてあると評価してもいいくらい。

声優さんも、いつものコメントになってしまうけれども、特に不満はなかった。

音楽も、ガッツリ印象に残ると言う訳ではないけれども、標準レベルなのではないかな。
世界観はきっちりと守っていた気がします。

キャラクタはきっちりと描かれていて、好感が持てましたね。
主人公をはじめ、キャラの魅力としては標準レベルを維持、少し越えていたかな、という印象。

サラサは学生時代の方が少し気になったかな、どんな学生生活、修行生活をおくっていたのか、そちらの方に少し興味がでました。
経営者デビューしてからは、錬金術無双感が・・・ね。

ロレアは、サブキャラサポートキャラとしてはしっかりと仕事をしている感じでした。実際に、料理等サポートをしていましたがね。
こちらも、超絶魅力的と言う訳ではないのですが、好感が持てるキャラでした。

アイリスは意外と三枚目キャラで面白かったですね、ケイトとセットで賑わすことの多いキャラでした。個人的にはおもしろキャラとして観ていましね。

ケイトもアイリスとセットで賑わしキャラでしょうか。
アイリスよりも少し落ち着きがあったように思いましたが、ま、セットですな。

オフィーリアはポイントポイントで登場するのですが、割と気になるキャラクタですねぇ。容姿もわりとお好みでした。
興味も含めて、気になるキャラクタでした。

キャラクタは全体的に俗に言うきらら系を少し大人っぽくしたような容姿でしたが、私の印象だけでしょうかねw。
特に調べる気もないので、印象だけで書き込んでいますが。

でも、4人んで同じ家に住みながらわちゃわちゃやっている感は割と楽しく観ていました。
ちゃんと、錬金術つえー系だけにならないように賑わしていたと思います。



全体的に見て、この手の作品としては、観てみてもいい作品なんじゃあないかなぁ、との評価です。

機会があれば、ご覧くださいませ。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17

71.3 6 ファンタジーで田舎なアニメランキング6位
夏へのトンネル、さよならの出口(アニメ映画)

2022年9月9日
★★★★☆ 3.7 (93)
346人が棚に入れました
あの日の君に会いに行く。

ウラシマトンネル――そのトンネルに入ったら、欲しいものがなんでも手に入る。
ただし、それと引き換えに……

掴みどころがない性格のように見えて過去の事故を心の傷として抱える塔野カオルと、芯の通った態度の裏で自身の持つ理想像との違いに悩む花城あんず。ふたりは不思議なトンネルを調査し欲しいものを手に入れるために協力関係を結ぶ。

これは、とある片田舎で起こる郷愁と疾走の、忘れられないひと夏の物語。

テナ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

青春の共同戦線~ビニール傘をかして返してもらうまでの時間~

この作品は私が、ずっと楽しみにしてた作品の1つです。
原作を知ってる訳でもありません。
私はよくアニメ映画を見にくのですが、その中に必ずある映画告知でよく流れていたからです。
その時に、面白そうと感じたのが「夏へのトンネルさよならの出口」です。

2022年10月も凄く気になる作品がありますが、見に行きたいなぁ(*´˘`*)ニコッ
見たらきっとレビュー書いてると思います。




さて、私がこの作品に感じた事を書いていきます。
物語は、ウラシマトンネルと言う外と中では時間の流れが違うトンネルを発見する。
そのトンネルを潜ると欲しい物が何でも手に入る。
その対価として100年歳をとる。

そんな都市伝説的なトンネル発見した主人公とヒロインはお互いの願いの為にトンネルを攻略する共同戦線を張る!


主人公 カオル

彼の願いは「妹を取り戻す事」
妹のカレンは優しい女の子でした。
彼女は人の幸せを心から願える女の子です。
彼女の夢は「人が幸せになる世界にする事」
この幼い年齢でこの願いは凄いw

この歳だと、普通に可愛いぬいぐるみとか、欲しいゲームとか、願いませんか?
自分が恥ずかしくなるww

主人公のカオルの願いは「カブトムシが欲しい」コレコレ!コレが子供の夢よww

ある日、兄妹喧嘩をしてしまいます。
カオルは妹に「大嫌い」と言われて「大嫌い」と返して家を出ます。
妹はすぐに「嘘!大好き!いってらっしゃい!」と返すのですが、兄はそれも無視します。

彼が帰ると妹は木から落ちて事故死してました。
兄と仲直りしようとして兄の欲しいカブトムシを取りに行ったから起きた事故でした。

うん、これって結構キツいよね。
喧嘩なんて当然します……
でも、喧嘩をして永遠に会えなくなるのは……
私も似た経験あって中学生の時の思春期におばあちゃんと喧嘩しました。
その後、数日後におばあちゃんは亡くなってしまいました。

二度と謝る事もなく一緒に暮らしてる訳でも無かったので、それから言葉も交わさずに……
今でも心残りです。
だから、カオルの気持ちって凄く解ります。

彼が妹を生き返らせたいってのも凄く解る。
正直、多分、ずっと心残りになると思う。
いつになっても、「あの時なぁ〜」ってなります。

それに彼は妹が自分と仲直りしようとしての事なら尚更……
何を犠牲にしても叶えたい願いだと思いました。



アンズ

彼女の願いは「特別な才能が欲しい」
彼女のお爺さんは、漫画家でした。
しかし、売れる事もなく借金してまでも漫画を描き続けた。

そんなアンズも漫画を書く楽しさをお爺さんから教えて貰って彼女も漫画家になりたいと願うも踏み出せないでいました。

父に「お爺さんと同じになるつもりか!」と原稿をビリビリに破かれたそうです。
だから、彼女は漫画家になりたかった。
お爺さんを反面教師扱いする両親を見返したかった。

でも、自分の漫画は、どうしても普通にしか見えなかった。
出版社に持ち込んでもダメだと思い込んでしまう。

でも、自分も何か残したいと考えていました。
それが、彼女にとっては漫画でした。

実は私は彼女に凄く共感出来ました。
私も産まれて来たからには「世の中に何かを残したい」と思ってしまいます。
せっかく産まれてきたのですから私が私個人が生きていた証を……

で、私が他にも共感出来たのは自分の作品を自分の線引きで出版社に持ち込めないって点です。
自分の作品は普通だから……勿論書くがわからすれば面白いから書いてるけど、世の中には更に面白い漫画は沢山ある……だからこのレベルではダメだと……

実は、私も物語を書いていました。
今は書いてませんが……当時は、文庫本作家になってみたいなぁ〜とw
電撃大賞とかに出したいなぁ〜と思って書き上げたりしてましたが、結局は私も同じ理由で足踏みしてました。
文才も言葉も拙いのでw

結局、彼女は最後に編集に持ち込むので私なんかとは全然違うのですけどねw
で、アンズと私って多分、そんなに年齢変わらないです。
2005年になってたから1つか2つ先輩かな?
でも、同年代の子だと考えたら凄いなぁーって本当に思いますね。


だから、彼女の気持ちって色々共感出来ちゃいました。


ウラシマトンネル攻略 8月2日

攻略前日……アンズから自分の漫画を出版社に持ち込んだら気に入って貰えたそうなんです。
担当さんが付いて一緒に漫画を作りませんか?と提案されたのだと。

相談されたカオルは攻略の延期を持ちかけます。
それはウラシマトンネルの中と外では時間の流れが違うので数時間で数年経つ……すると多分、この漫画家への道は失われる……

しかし、カオルは1人でウラシマトンネルへ行きます。
アンズが気付いた頃には手遅れでした。

カオルのした事って正しくはあると思います。
共同戦線だからって最後まで付き合う必要はないし、トンネルは願いを叶えるのではなく、失った物を取り戻すトンネルだからです。
つまり彼女の才能は手に入らない。
それなら、尚のこと自分で掴んだ才能とチャンスを手放してまで一緒に来る必要はないのです。


でも、カオルはその反面考えが足りなかった。
アンズが自分の漫画が気に入られた時に相談したのは一緒に考えたかったのだと思います。

2人で共同戦線を辞めて2人で共に過ごす時間と、一緒にウラシマトンネルで妹のカレンを取り戻して3人で過ごす時間

その為なら、全てを投げ出してでも一緒に居たかった。
彼女は恋をしていたのです。

特別な才能が欲しかった彼女は、今はカオル特別な存在になりたかったのでしょうね……

でも、彼の決意は硬かった。
カレンダーを8月2日から破り捨ててました。
それは、それから先の時間は彼にはないからです。
更にはメールも全て消して、携帯も捨てて……
だから、決意の強さが伝わりました。


カオルは妹に再会します。
妹と兄の失われた時間。
カオルも子供になってました。
つまり時間が戻ったのです。

妹は自分が捕まえたカブトムシを兄にプレゼントします。
あの日、兄と仲良くする為に捕まえようとしたカブトムシ。

2人は幸せそうに話をする。
けど、カオルは気づく。鏡に映る自分の姿は高校生である事に……

そこに捨てたはずの携帯がメールの着信音を鳴らします。
そこには消したメールが全て復活してました。

ウラシマトンネルは無くした物を取り戻すトンネルですが、これでは言葉足らずです。

ウラシマトンネルは大切な物を取り戻すトンネルってのが正確だと思います。

過去の時間に戻ったって事は、元の時間の世界の大切な物を失ったと言う意味です。
だから、携帯もメールも戻った……そして自分の気持ちも。

妹も大事だけど妹と同じくらい好きな人……

実はカオルとアンズの2人はトンネルの外から中へのメールは届かないと実験していました。
しかし、今はメールが届いた。
それは、アンズの時間軸から無駄だ……届かない……そう知ってても送らずにないられなかったメール

経過する時間の中、アンズが送り続けたメール。
そのメールは、カオルが失った時間に送られたメールです。
だから、失った物としてトンネルを通じて彼に届いた。

彼は現実世界に戻るために走り出す!
カレンは知っていたのかもしれません。
兄が別の時間軸の兄だと……だから背中を押した。

カレン「大好きだよ!いってらっしゃい!」
自分に囚われてないで、気にしないでって彼女なりの優しさで。
喧嘩した時に本当に言いたかった言葉を添えて。

彼女の願いはなんだったけ?
「人が幸せになる世界にする事」
彼女が生きた時間のアンズは、引きずってる……カオルの事を……夢を叶えて連載を持っても彼女は笑えなかった……カレンの言う、人が幸せってのはアンズも含めてです。
だから、兄の背中を押した。
兄の幸せを考えられる強さを持ってるから。

私は死んだ人に生きてる人が出来る事って多くはないって思います。
でも、カレンにカオルがしてあげられる事がある。

それは現実世界で幸せになる事です。
人の幸せを願える妹の兄に出来るのは自身が幸せになり好きな人を幸せする事だと思います。
何故ならそれがカレンの願いだから……その1歩になる事が彼女に唯一してあげられる事なのかな?と思いました。

そうして、カオルとアンズは十三年ぶりに再会する。
13年……ウラシマトンネルの時間差……
13年間、ずっと待ち続けてくれたアンズ。
彼が戻る確信なんてなかった。
それでも、彼を待ってくれていた。
本物の愛なんでしょうね。
好きな人にそこまで待って貰えるカオルが幸せ過ぎますねw

理由はどうであれカオルは13年間アンズに心配を掛けて悲しませてきました。
これからの時間は、全力でアンズを幸せにしてあげて欲しいですね(*´˘`*)ニコッ

正直、この作品、ウラシマトンネルの調査中に大幅カットされてるような描写もあるけど、私に共感出来る事が多い作品でビックリしました。


因みに、ココに出てくる大人は最低の象徴として描かれています。

酔って暴力を振るうわ、息子が体調を崩すと心配すらしないで暴言暴力を振るう父親。

娘の夢を反対して原稿を破るわ、田舎に転校させ1人で暮らして頭冷やせとか言う両親。


この2人の出会いに……「親なんか居ないわ」「いいねそれ」って言葉があります。
最初は、カオルのいいね発言にビックリしましたが、これは2人が友達ではなく理解者であるんだろうなぁ〜と見ていて感じました。
ウラシマトンネルの共同戦線もお互いの利害が一致してるからでしょうし、お互いに理解者から恋人になるまでが描かれているのかな?とw

さて、この作品のタイトルって、「夏へのトンネル」はカレンの死んだ夏への入口、「さよならの出口」ってカレンへの未練を断ち切る為の、さよならの出口なんですね。
劇場版みた後に気づきました。
ある意味タイトルで盛大なネタバレされてるけど意外と気づけない上手いタイトルですね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ウラシマ効果と願いの狭間で浮き彫りになる若気の至り

【あらすじ】
{netabare}欲しいものが何でも手に入る「ウラシマトンネル」
鹿との衝突事故により電車が止まるくらいの田舎を舞台に、
{netabare}亡き妹・カレンと幸福な家庭{/netabare}を取り戻したい高校生男子・カオル。
{netabare}漫画で世界に爪痕を残せる才能{/netabare}が欲しい女子高生・あんず。
二人が願望の代償として世界を捨てるに等しいウラシマ効果をもたらすトンネルを前に、
“共同戦線”を張る内に、距離が縮まる同名ライトノベル(未読)の映画化作品({netabare}83{/netabare}分){/netabare}

【物語 4.0点】
監督・田口 智久氏。

実写「デートムービー」も意識して、主人公の少年少女二人に焦点を絞り原作を再構築。
ヒロイン視点補強を試みて、二人の出会いなどの節目を詳述するため、
三度にわたる駅のシーンをアニメオリジナルで追加し、ボーイ・ミーツ・ガール成分増量。

「ウラシマトンネル」になかなか飛び込めずに事前調査を重ねる二人。
浦島太郎が予め竜宮城に行った後の顛末を知ってしまったら、
亀に乗るのにメッチャ逡巡して物語が停滞するでしょうがw
これが青春を生きる高校生二人なら、人生経験の少なさもあって不安定なアイデンティティや居場所のなさ。
“共同戦線”に下心や恋心はないのか?など整理できない自分の気持ち。
モヤモヤが些細な衝撃で暴発しかねない危なっかしさ。
若さは逡巡すらメインストーリーとして魅力十分な甘ずっぱいドラマに昇華させます。

トンネルの先を描いた終盤も、既視感は覚えるものの見応え十分。
何を言ってもネタバレになりますが敢えて一言だけ叫ぶと、
{netabare}気づくのおせーよ{/netabare}ってことでしょうか。


ガラケーがスマホに駆逐される前の時代が舞台とあって携帯メールが活躍するシナリオ。
連絡事項に改行スペースを重ねてスクロールさせ末尾に{netabare}「塔野くんてちょっとエッチだよね」{/netabare}と本音を仕込む技もベタですがあざといです。
ケータイ共々爆発して下さいw


【作画 4.5点】
アニメーション制作・CLAP

草薙(KUSANAGI)提供の細密な背景に押し負けない映像作りで、夏を始めとした季節感を好表現。
同スタジオの前作『ポンポさん』でも多用した、
色トレス(近景等の色彩に人物の主線の色を合わせる)も駆使して、
世界と登場人物の一体感をアップ。

小物に“演技”をさせる演出も上々で、
特に上記アニオリシーンで“助演俳優賞”級の活躍をしたビニール傘については、
描き込みが面倒な透明色にもめげずに二人の仲を橋渡し。
終盤の{netabare}錆{/netabare}の描写も良い仕事してました。

ただ私としては“助演俳優賞”は笑顔を彩ったヒマワリに授与したい心境です。

ケータイ画面やビニール傘が濡れる心情演出も文学的。
CGで構築された水面もまた波紋で揺れる男女の言動を反映する“役者”ぶり。


【キャラ 4.0点】
主人公の高校生男子・塔野カオル。
携帯プレイヤーは音楽鑑賞じゃなく外界の音を遮断するために使う系。
家庭に安寧の場所はなく、斜に構え、田舎で朽ち果てつつある典型的な疎外感を抱えた主人公少年。
世界から外れかかっている彼のメンタルこそが「ウラシマトンネル」を招き寄せた
という作中での考察、一理あります。

ヒロインの女子高生・花城あんず
東京から田舎に転校して来た、これまた典型的な孤高の黒髪ロングJK。
寄らば斬る(むしろ{netabare}殴り倒すw{/netabare})
そんなテンプレでツンツン、デレデレされたって俺は萌えないぞ。
……と頑なになっていた私ですが、彼女が{netabare}カオルに初めて自作漫画を読まれ論評{/netabare}されるシーンの足芸で、
あっさり萌えて陥落しましたw

それ以上にあんずにグッと来たのは世界に爪痕を刻むと決意する強さ。
特に{netabare}絵で物語る漫画がなくなるはずがない{/netabare}と熱弁する件。
「特別」を目指すヒロインのカッコ良さには異性としてではなく人として惚れ込みます。


【声優 3.5点】
実写とアニメの中間領域を志向し、メインキャストは俳優をオーディションで選出。

主人公・カオル役の鈴鹿 央士さんは声優初挑戦。
スタッフ陣はナチュラルなボイスがハマり役と好評していますが、
私は走って息切れるシーンの演技にしても、自然さより経験不足を感じてシックリ来ませんでした。

声に人生が滲み出る演技だなとも感じはしましたが、
哀しみ故に荒れた生活を送るカオルの父役の小山 力也さんにはまだまだ及ばない印象。

その点、ヒロイン・あんず役の飯豊 まりえさんは、声優経験もありまだ安定感がありました。

それでも、脇に回った畠中 祐さん&小宮 有紗さんじゃ駄目なんでしょうか?
という私の疑問をかき消すほどの演技ではなかったかなと。

ただし、カオルの妹・塔野カレン役の小林 星蘭さんは子役時代のスキルも生かした幼女ボイスで上々。
塔野家の天使に免じて評点は基準点+0.5点で。


【音楽 4.0点】
劇伴は富貴 晴美氏のフィルムスコアリング。
氏のBGMは管弦楽の迫力でねじ伏せるよりも、ピアノを中心に心情にそっと寄り添う方が味わい深いです。
本作でも遅効性の恋に繊細な音色がマッチしていました。

主題歌、挿入歌はeill。
アップテンポな劇伴ソング「プレロマンス」では二人の恋愛未満を的確に射抜き、
主題歌バラード「フィナーレ。」では濡れるリスクが増える相合傘の利点を恋愛面から力説。
一番刺さったのは既存曲のアコースティックアレンジとなった「方っぽ」
世界から外れそうな位の喪失感が痛切で抉って来ます。


【付記】
イケメン俳優&朝ドラヒロインをキャスティングして、
実写恋愛映画の如く、カップル集客も目論んでいるという本作。
ですが初週鑑賞時、まばらな観客は私も含めてアニメ&ラノベファンと思しきソロの男性ばかりで、
デート中のカップルなんて一組も見当たりませんでしたw

プロデュースが滑っている以上、上映期間も長くはないと思われるので、
興味がある方は、夏が消え去る前に、お早めに劇場に行くことをオススメします。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.1

「ほしのこえ」の引き延ばしバージョンの出来損ない?

24年9月再視聴+原作を読みました。本作よりは川崎さんについてかなり描かれており、殴打問題のその後もありました。その点はいいんですけど、原作を読んで気が付いたのは、構造は新海誠氏の「ほしのこえ」そのままです。オマージュかなあとは思ってましたが、結構そのままです。つまり30分でいいよね、という気がしました。

 本作はウラシマトンネルありきなんですよね。時間の経過に引き裂かれた2人の世界が中心にあってそれ以外はあまり内容がない気がします。その印象は原作でも変わりません。
 で、原作にはないケータイメッセージのアニオリを入れたので余計に「ほしのこえ」でした。ケータイのメッセージは設定上からいっても矛盾だらけな気がしますので、やりたいことはわかりますがこれはSFとしては出来損ないです。(追記 いや、ここは濡れ衣かも。双方向で通信が可能…かも?少なくとも外→内の一方通行は行ける気がしてきました)

 2人の家族からの孤立も孤立していれば理由は何でもいいし、孤立すら物語のテーマ性に関係がありません。マンガ家の設定もヒロインの側に残る理由が生じることしかありません。

 主人公がなぜ妹に執着するのかは、幸せな家族像がそこにしかないからともいえますが、ヒロインはなぜ特別になりたいのか?なぜ、そこまで強いのかが、正直ありません。というか、ヒロインの人物像はインパクトがあるしはっきりしてますが、そのバックボーンがボヤーっとしています。親への反発がスタートですが、その反抗心の核が見えません。それは原作も同じでした。

 結論から言えば、本作アニメ映画版よりも原作の方が丁寧だし納得感はなくはないですが、それでもフーンというレベルでした。で、何度もいいますが「ほしのこえ」の引き延ばしバージョンだという結論です。





23年6月レビュー

キャラが描けてない。SF・恋愛・家族・成長の何も描けず。

{netabare} ウラシマ効果のような時間遅延と願いをかなえると不幸になる話を組み合わせた感じです。要するに「トップをねらえ」「ほしのこえ」のようななSFと、「猿の手」「地獄少女」「笑うセールスマン」のような因果応報ものを組み合わせたような設定は良いと思います。
 そうそう、死者との再会という点では「オルフェウス」「イザナミイザナギ」とも重なってきます。

 そこまではいいんですけどね。肝心のキャラに全く深みがなく、SF的なセンスオブワンダーがあるわけでもなく、テーマ性も感動性も見いだせず。正直言ってずっと???のハテナマーク状態でした。

 結局最後の30分、ヒロインとの再会ストーリー以外に何を描きたいのかわかりません。家族の問題がいろいろ出ていますが、キャラの厚みにもならないし、家族とはなにかという部分も全く描けていません。あるいは家族の再構築のような感動すらありません。

 初めのイジメに対抗するヒロインのキャラ付けも効果的だったか…むしろあんな言動をしていればいじめられて当然。で、キレるわけですけど、キレた結果どうなるかもありません。
 ヒロインの夢をかなえる的な話もキャラ造形がまったく役に立っておらず、キレキャラがどういう理由でそうなったのかが本気でわかりませんでした。毒親がいたので防衛的に…という感じだとしても、だからどうした?としか言えません。
 そして、2人の関係性が変な見方かもしれませんが、コミュ障の共依存に見えなくはないです。つまり、ヒロインが病的すぎな気がします。

 駅のシーンと花火のシーンがまあ感動シーンなんでしょうけどね。こういう薄っぺらいストーリーだと「打ち上げ花火下から見るか横から見るか」の劣化版でしかないです。こういうのが見たいんだろ?感で非常にシラケます。

 ウラシマ効果そのものに、意味性が付与できていません。主人公とヒロインでいろいろ調べる過程はいいんですけど、そこで何の発見も気付きもないです。

 そしてラストの方の {netabare}妹との再会 {/netabare}ですけど、妹のキャラも主人公にとってどれだけ大切かと口では言ってますが、エピソードが描けていないので、まったく乗れません。妹がいてどれだけ主人公が助かっていたか…不幸な家庭の中の関係性が描き切れていませんでした。要するにカタルシスがないです。{netabare} 妹との再会{/netabare}の時に、主人公が何に気がついたのか全く不明な映画でした。感動ポルノとしてすら成立していません。
 あと、インコも原稿も実物がよみがえったのに…なんで?と思わなくはないです。
 プロットありきで話は破綻してませんが、映画として成立していない気がします。

 無料でも時間の無駄と評価したいくらいです。アマプラで有料で見ましたので映画としての評価をすると、かなり低い点数をつけざるを得ません。

 客観点だと2.1ですが、主観的には15点/100点くらいです。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4

84.0 7 ファンタジーで田舎なアニメランキング7位
あの夏で待ってる(TVアニメ動画)

2012年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (2734)
13533人が棚に入れました
『その夏の思い出が、僕達の永遠になる』  空は、とても青く澄み渡って。 入道雲が、向こうの山を隠すほどに湧き上がって。 それはいつもの、僕らの街の風景なんだけど。 でも、かけがえのない「夏」だったのだと思う。 その男の子には、「なにもないけど、なにかしたい」って漠然とした気持ちがあって。 だから仲間と一緒に、映画を撮ろうと相談しているところで。 そんなとき、「特別」な女の子が、この街にやってきたんだ。 そして。 男の子の気持ちを、「特別」にしたんだ。
『とらドラ!』、『とある科学の超電磁砲』、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』を手がける長井龍雪監督のオリジナルアニメ作品。

声優・キャラクター
戸松遥、島﨑信長、石原夏織、荻原秀樹、田村ゆかり、阿澄佳奈、日高里菜
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

「1クール」「アニオリ」「ラブコメ」として、歴代トップのクオリティ

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
設定は「おねてぃ」。絵は「あの花」。恋愛は「とらドラ」。

つまりはまあ、実に王道なラブコメ作品だということですよ。

作画は、少し時代を感じさせるものの、今(2017年秋)観ても全く違和感がありません。むしろ、綺麗だとも思います。

未視聴の方には、(今からでも)是非ともオススメしたい作品ですね。いろんな事が高いレベルで安定してます♪

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
展開としては、すれ違いに片想いの連鎖。ファンタジー要素以外の目新しさはないけど、そんなん必要なく、キャラが良いです。

メインヒロインにはあんまり萌えない私も、イチカ先輩には萌えました♪ ポンコツっぷりも可愛いし、暴走っぷりも可愛いし、ヤキモチ妬いたりとか、お姉さんぶってみたりだとか、イチャイチャしてみたりだとか拗ねてみたりだとか。眼鏡キャラの中ではトップクラスに萌え度の高い良ヒロインです。不愉快です(笑)

それからやっぱり、「報われないサブヒロイン好き」としては、谷川柑菜は良いですね~♪ キャラデザも好きです。黒髪ショートでボーイッシュ風なのに奥手な性格。つい女子的嫌な事をしていても、やっぱり良い子だから、結局チグハグなことになっちゃうとこも良いよね。

北原美桜も良かったです。弱そうに見えて、実は芯が強い。裸族ってのも、なかなかない設定です。途中からキャラが変わるのも良かった。

そして何より、檸檬先輩。かなり笑わせてもらいました。檸檬先輩が、イチカや柑菜をイジメル展開は鉄板でしたね♪ 「うふふ」は、妙に耳に残るw

本作は、基本的に(三角四角五角六角の)シリアスな恋愛模様を描いていますが、それが重くなりすぎないのは、檸檬先輩と りのん の存在が大きかったですね。

これだけの素材(良キャラ)を揃えてるから、味付け(展開)は薄味で十分ですね。

映画制作という縦軸をキッチリこなしつつ、旅行(沖縄)編と夏祭り編という定番イベントで、キッチリと恋愛面を盛り上げる(この辺のバランス感覚の良さは、とらドラっぽい。あの花は、素材より味付けメインというか、メンマの存在が飛び抜けていたからこそ出来たことだしね)。

こういうことが出来なかったのが、最近だと「ゲーマーズ」だよね。素材が良いのに味付けまで濃い濃いにしちゃって、クドくなってだんだん胃もたれ気味に。まあ、原作付きだからその辺はしょうがないのかもしれないけど。

構成的にも、2~3話でひとつの展開をクリアしていき、且つ、少しずつでも前進しているので、飽きがこない上に深みがあって、ずっと楽しめました♪

そして、なんだあのオシャレなラスト。最高かよ(笑)?

(ネタバレレビューでもネタバレしたくない、最終回なんですよね♪)
{/netabare}

【余談~ 豪華制作陣 ~】
{netabare}
元々、「おねがい☆ティーチャー」というアニメのファンサービスというか、オマージュ作品として制作が始まった本作。しかし、集まった面子がかなり豪華であり、名作と呼べるだけの王道ラブコメ作品に仕上がっている。

【主なスタッフ】

【監督 - 長井龍雪】
「とらドラ」「超電磁砲」「あの花」「ここさけ」「鉄血」

【脚本 - 黒田洋介】
「おねてぃ」「スクライド」「無限のリヴァイアス」「ガンダムOO」「HOTD」

【キャラクターデザイン - 田中将賀】
「とらドラ」「あの花」「HOTD」「ここさけ」「君の名は。」

【メカデザイン - 海老川兼武】
「ヴァントレッド」「フルメタ」「ガンダム00」「エウレカAO」「ガンダムビルド」

【音響監督 - 明田川仁】
「とらドラ」「花いろ」「凪あす」「ごちうさ」「リゼロ」

【CV「」内はメイン。それ以外は脇役】
「島崎信長・戸松遥・石原夏織・萩原秀樹・阿澄佳奈・田村ゆかり」・日高里菜・久川綾・大浦冬華・茅野愛衣・井口裕香・堀江由衣・川田紳司

つまり、超豪華w
{/netabare}

【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
年代を考えると、作画はかなり綺麗。ファンタジー要素のあるラブコメ。眼鏡と眼鏡ってのは、あまりないね。

2話目
酔っぱらっての本音は、鉄板でラブコメになりますね♪

3話目
妄想と勘違いによるラブコメ(笑)

4話目
包丁落とすところ、笑ったwww

5話目
柑菜は良いですね。そして、哲朗もいいやつです。

6話目
ライバル登場。モテモテだな~。「先輩、アイツ呼ばわりしましたよ」(笑) 三角、四角、五画、六画(笑)

7話目
裸族というキャラって、盲点だよね。ほぼ唯一かな。大告白祭り。柑菜さん、安定の酔っぱらいw

8話目
お祭りって、しゅてき(笑) 柑菜さん、不憫だな~。大惨事ですやん。

9話目
あまりにも、浮世離れしたできごとは、意外と受け入れられる。柑菜と美桜の会話、良いね♪ 999(笑) 柑菜、美桜。涙、涙、ですな。しかし、みんなよく遭遇できるよなw 凄いラブシーンなのに、レモン先輩と りのん が和ませるから、ラブコメになるんだよね。

10話目
めっちゃラブラブですやんw ゴムをはっきり映す作風w 美桜、卑怯だなw 大告白大会w

11話目
つねられるイチカが、可愛いw 最後にちゃんとSFというか、熱い展開も用意してるわけだね。この展開、ラブひな でもあったなw

12話目
MIBって、そんなクダラナイ伏線まで回収せんで良いからw すげぇ格好良いハッピーエンド。鳥肌たったわ!
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 25

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

季節はずれの忘れられない夏物語 ε- ( ̄、 ̄;A*) アッー

■「あの夏で待ってる」ってこんなアニメですヽ(*^^*)ノ
「おねがい☆ティーチャー」でお馴染みの黒田&羽音コンビがお届けするオリジナルアニメーションなんですね!
そこに「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の長井龍雪監督とキャラデザ担当の田中将賀さんのエッセンスが加わってなんともどこかで味わったことのある雰囲気に仕上がった作品になってますね♪

舞台は長野県小諸市、ときおり噴煙も見ることができる雄大な浅間山の景色がとっても素敵な場所ですね♪
ちょっと足を伸ばせばσ(・・*)アタシがたまに遊びに行く軽井沢があって、軽井沢の街並みも描かれているので、なじみがあってちょっとうれしい気持ちになっちゃいました♪

そんなノスタルジーな雰囲気と夏がとっても似合う街並みに、赤い髪が魅力的な女の子が空から降ってくるんです∑('◇'*)エェッ!?
こっこのパターンは(>▽<;; アセアセ…もはや王道!?
その名はイチカちゃん♪
何やら訳ありのイチカちゃんに巻き込まれる形で出逢う事となった主人公の海人[kaito]。
この瞬間から特別な夏が今始まろうとしているのですね♪
映画製作を通じて集まった仲間達と共にすごした、青春と一方通行の恋の行方はどんな形になって8ミリフィルムに残るんでしょうね(^ー^* )フフ♪


■4話までのちょっとした日記 φ( ̄∇ ̄o)
まず声を大にして言いたいですw
(* ̄o ̄)ゝオーイ…!! なぜ冬に放送するんですかー!!
百歩譲っても春放送くらいですo(≧∀≦。)ノ
四季折々様々な情趣を見せてくれる自然豊かな長野県が舞台で、しかもタイトルに『夏』って付いているのにもかかわらずですよ…冬放送はあり得なさすぎです!
なつまち製作委員会の皆様方…猛烈に反省してくださいね!!
って事で「今は夏!!」って念じながら視聴開始するのでした♪ \(;゚∇゚)/ナツダー…ε-(´o`;A アチィ☆

ヒロインのイチカちゃんと主人公の海人くんは、まぁ…ポイポイッ(/・・)/⌒ξ:D┼<ξ:D┼<って放っておいてもいいかなぁって思ってます!
紆余曲折しながらも一生忘れられないような青春の一ページを作っていくんだろうなぁーって思ってるので、この二人意外に注目していこうと思ってるんです♪
しかもこの作品、あえて登場人物を絞ってキャラ一人一人を丁寧に描写するって意気込みなので結構内容は期待してるんです(#^.^#)
とくに、柑菜[かんな]、哲朗[てつろう]、美桜[みお]、檸檬[れもん]、この4人の関係って1話目から微妙な関係だったりしているので、作品の善し悪しを握っているように思ってます(^ー^* )フフ♪
過去の作品と比較している人が多いのですけど、この作品には演出云々よりも、登場人物の飾り気のないちょっとした感情や表情などを大切にした、深みのあるストーリーを期待したいなーって勝手なことを思ってますw


■総評
まず全体の印象としては、長井監督らしい作品に仕上がっていたんじゃないかなぁって思います♪
1クール12話の中に甘酸っぱい青春ラブストーリーがギュッと凝縮されていて、観ていて非常に心地よく爽やかなストーリーに個人的には大満足でした(*^_^*)
なんといってもキャラクターの「表情」「心情」「言動」がとても丁寧に描かれているので、観ている側にとっても分り易く感情移入しやすい印象を受けました。
感情移入しやすくしていた要因としてもう一つ、ナレーションの効果は大きかったと思います (o^-')b グッ!
やっぱり人は言葉で発するよりも、言葉に出せない感情の方が多いと思うのです☆彡
揺れる感情や言い出せない胸の内をナレーション風にストーリーに織り交ぜられていて、キャラクターごとの心境が手に取るように分かるのでより感情を揺さぶられるのでしょうね♪
お互いの感情が絡みあうような恋愛模様については、悩み傷つきながらも前に進もうとする前向きな恋が描かれているので、どんな恋の結末となっても清々しい気持ちにさせてくれるのではないのでしょうか (*^0゚)v

それと前述したように主人公とヒロイン以外の役どころが絶妙で、ストーリーを引き締めて飽きさせない要因だった気がします♪
とくに神出鬼没の檸檬先輩の存在は宇宙人設定のSF部分のパイプ役に一役買っていた感じですね♪
それにしても一体何者なんでしょうねw うふふふふっ(*゚v゚*)

長井監督の次回作が待ち遠しいです(*^▽^*)

あっそうそう♪ 公式ホームページの「なつまちBOX」短編ノベルをまだ読んでないファンの方は是非♪
霧島海人編と谷川柑菜編がありますよ~♪( *^-゚)/⌒☆゙


■MUSIC♬
OP曲『sign』
 【作曲】折戸伸治 【編曲】高瀬一矢【歌】Ray
 Rayさんのファーストシングル。
 AIRの「鳥の詩」の作曲でお馴染みの折戸&高瀬さんコンビが楽曲担当で注目されてました♪
 爽やかな印象のデジタルポップサウンドとあどけなさを感じさせる歌声が特徴ですね!

ED曲『ビードロ模様』
 【作詞・作曲】中沢伴行【歌】やなぎなぎ
 注目は「君の知らない物語」でsupercellのゲストボーカルだったやなぎなぎさんです♪
 この曲がメジャーソロデビュー第一弾となりました!
 テクノポップサウンドに乗せた落ち着きのある爽やかな歌声がとっても聴き心地の良ですね(^^♪


2012.02.10・第一の手記
2012.06.28・第二の手記(追記:■総評、■MUSIC♬)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 93
ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

主役だけがいない夏

2012年オリジナル作品、全12話です。
夏らしい青春アニメが見たくなったので選んでみました。
でもこれ冬アニメなんですね。
放送直後、長野まで聖地巡礼に行ったファンが凍え死にそうになったとか。

主人公の海人はカメラオタクの高校生。
物語は海人が夜景を撮影していると空から女の子が降ってくるシーンで始まる。
これは夢なのかと思ったら例によって二人は学校で再会し、
仲間たちと作ろうとしている映画のヒロインになります。
ベタな落ちものラブコメですね。

本作の欠点は主人公とメインヒロインに全然魅力がないこと。
良い点はその逆。サブキャラたちは魅力的で出番も多く、青春の楽しさと切なさを十分に伝えてくれます。
主人公に人気がない作品はけっこうあるのだけど、ここまで引き立て役に成り下がっているのは珍しい。

主役の2人は、同じく黒田洋介が脚本を書いた「おねがいシリーズ」から継承されているらしい。
やっぱり眼鏡キャラが主役で、ヒロインは赤髪の宇宙人です。
ということは意図してサブキャラの方を立たせているわけではなさそうだね。
あにこれの感想をざっと見てもサブキャラの方が好きだという感想が多かった。
やはり失敗なのか…
ラブコメはくっつかない状態で話を引っ張る必要があるので男主人公の好感度はどうしても低くなる。
それは宿命的で仕方ない部分があります。でもメインヒロインに魅力がないのはどういう理由なんだろう。
ヒロインはたぶん「ひと夏の思い出」で「一夏(イチカ)」。
良い名前をもらっているのに人気がないまま終わるのは少しもったいないよね。
見た目が爽やかさに欠けるのは微妙にマイナスポイント。2人とも美容院に行って髪を切ってきて。

対してサブキャラが主役二人の残念さを帳消しにするくらい活躍するのがこのアニメ。
僕が一番好きになったキャラは神出鬼没、「うふふ」と不気味な笑いを浮かべるレモン先輩。
なつまちの笑いは彼女が一手に引き受ける。
実際このアニメで笑ったシーンの9割以上に絡んでいたような気がします。
次第に画面にレモン先輩が出てくるだけで嬉しくなって
「笑いの神降臨キターーー!」とめっちゃテンションが上がります。
彼女は決して期待を裏切らず、確実に状況を面白くしてくれます。
宇宙人のイチカよりよっぽどミステリアスな魅力に溢れたキャラだと思う。
レモン先輩最高じゃん。

作画は非常に良かったです。演出も凝っていて映像的に面白い。
脚本は中高生向けという前提で粗っぽさには目をつぶっても今一つ。
SF・青春・コメディの三要素の繋がりが悪く、チグハグな印象を受けました。

{netabare}
ストーリーのメインは映画作りでもSFでもなく恋愛になっています。
友人4人のキャラの関係性はもともとこう。(→想い人)

 美桜→哲郎→柑菜→海人(主人公)

見事に一方通行です。友達を異性として意識してしまうお年頃か。セツナイね。
ここにメインヒロインのイチカが入ってきてこうなります。

 美桜→哲郎→柑菜→海人⇔イチカ

これを見て思うでしょう。「主役の二人ズルくね?」
一目ぼれに始まり、2人の障害になるのは宇宙に帰らないといけないという良くわからん設定だけ。
他の3人は自分の幸せより他人の幸せを優先し、2人の背中を押してくれます。
なんというイージーモード。

もともと「誰も幸せになれない関係」だったからこそ
この4人の友情関係は保たれていました。
イチカが登場することでこの均衡が崩れてしまうわけです。

そこで生まれる美桜、哲郎、柑菜の切ない気持ちはとても感情移入しやすい。
入道雲や夕立ちなど夏の情景とあいまってセンチメンタルな気分にさせてくれます。
しかし3人が片想いに心を痛めているのにもかかわらず、
主役の「自分だけ幸せになっていいのだろうか」という葛藤が全く描かれていないのが問題です。

サブキャラ達は繊細で感傷的な青春恋愛物をやっているのに
主役の2人はドタバタラブコメの枠に収まったままくっついてしまう。
例えるなら、本物の花と造花を並べて飾っているようなもの。
並べて見せてはいけないものを同時に展開しているから主役が魅力的に感じられなくなる。
それがこのアニメの脚本の欠陥なんじゃないかな。
{/netabare}

人気ジャンルを組み合わせただけだと、それなりのものにしかならない。
この辺がオリジナル作品を作る難しさでしょうか。

良いところと悪いところがはっきりしているんで、名作とまではいかず
数ある青春ラブコメの中で埋もれてしまっている感じがします。
とりあえずレモン先輩が神がかって面白いので、彼女に会うために見る価値はあるかもしれません。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 29

87.7 8 ファンタジーで田舎なアニメランキング8位
千と千尋の神隠し(アニメ映画)

2001年7月20日
★★★★☆ 4.0 (1804)
12233人が棚に入れました
10歳の少女、荻野千尋(おぎの ちひろ)はごく普通の女の子。夏のある日、両親と千尋は引越し先の町に向かう途中で森の中に迷い込み、そこで奇妙なトンネルを見つける。嫌な予感がした千尋は両親に「帰ろう」と縋るが、両親は好奇心からトンネルの中へと足を進めてしまう。仕方なく後を追いかける千尋。

出口の先に広がっていたのは、広大な草原の丘だった。地平線の向こうには冷たい青空が広がり、地面には古い家が埋まっていて瓦屋根が並んでいる。先へ進むと、誰もいないひっそりとした町があり、そこには食欲をそそる匂いが漂っていた。匂いをたどった両親は店を見つけ、断りもなしに勝手にそこに並ぶ見たこともない料理を食べ始めてしまう。それらの料理は神々の食物であったために両親は呪いを掛けられ、豚になってしまう。一人残された千尋はこの世界で出会った謎の少年ハクの助けで、両親を助けようと決心する。

声優・キャラクター
柊瑠美、入野自由、夏木マリ、内藤剛志、沢口靖子、上條恒彦、小野武彦、我修院達也、はやし・こば、神木隆之介、菅原文太、玉井夕海、大泉洋
ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

【リバイバル上映】千と千尋の神隠し レビュー

レビュー、最近書いてないなあ…
なんて思いながら、Youtubeをずっと見てたり、有名な最新ゲームタイトルをプレイしてみたりで過ごしていました。

幸い私の住んでいる地区は外出自粛要請も出ていないため、四連休の思い出作りに入ったショッピングモールの映画館で、6月26日からジブリのリバイバル上映がたまたまやっている事を知り、30分ほど時間を潰して入場。ここ1クール程度のアニメ作品に関してまるでレビューを書いていなかったため、インパクトのある作品で意欲を高めようという気持ちがありました。

客層は20代後半から30代あたりが多いように見えましたね。カップル率も高く、最新の映画を見るよりは懐かしいハズレでないとわかる作品を見たかったのでしょうか?
最近映画館に足を運んでいなかったので知らなかったのですが、この状況下という事もあり、予約では席は一席ずつ間隔を開けて空席にしているような状況でした。そのため、両隣には人がいないため、かなり快適な視聴でしたね。

開始1分前にもなると、二時間弱の時間を使って別の事をしながら視聴もできない映画館での視聴にノリで入っちゃったけど、途中で飽きないかなあ…なんて思っていましたが。

全然そんなことありませんでした。めっちゃ面白かった。

過去の自分のレビューも思い出しながら視聴し、雰囲気が記憶に残るなんて書いちゃったけど、どこまで論理的に詰めているんだろうなあとちょっとハラハラしながら見ていたんですが、新たに新解釈を得るところもあったし、今作品の裏話的情報を得ていたためにすることのできた新しい目線での楽しみ方。そういった事もあり一度も眠気が来ることなく脳が7、8割回転する状態でラストまで見終えられました。

まず、事前に得ていた情報で、本作品に出てくる油屋(千尋が働く場所)に特定のモデルはないという事を知っていたのですが、本作では油屋がどれだけ日本的なのか?という所に視点がいきました。
登場する神々や油屋の従業員達の身なりは、実に日本的です。例外なのは湯婆婆であり、彼女は魔女という、非常に西洋的な要素を含んでおり、最上階の湯婆婆のフロアは、西洋的な造りになっています。
なぜ日本的な要素で油屋を統一せずに湯婆婆という西洋的要素とミックスさせたのか?は気になるところではありますね。
最上階について先に触れてしまいましたが、油屋の至る所にある西洋的要素について、見ていきます。
まず、エレベーター。あれだけの構造物を階段で登るのは無理ですよね。リンの口からも、エレベーターという言葉は出ています。
次に、電車。油屋の中を通っているわけではないですが、この神々の世界でも科学の発展はしているようです。ただ、利用者な少なく、行ったきり帰りの便がない電車らしいですが。いや、一方通行の電車ってどんな構造になっているんだろう。

こういった西洋化、もしくは機械化した要素を見るに、油屋が神々の世界の日常の風景というわけではなく、神々の世界の中でも日本的な要素を感じられる娯楽施設、テーマパーク的な場所であるように見えましたね。

さて、次の新しい視点は千尋というヒロインがキャバクラで働く女の子から着想を得たという情報からの視点。
この情報は、鈴木敏夫『仕事道楽 新版』等に綴られています。
油屋という厳しい仕事場に、人との付き合いが苦手な千尋が投げ込まれ、千尋が自ら変わっていく物語として見ていくと、千尋の変化を感じれるかと思います。
千尋の状態が大きく変わったのは、刑務所…ではなく豚小屋に入れられた親の姿を見た後、ハクからもらったまじないを掛けたおにぎりを食べた際ですね。
このシーンから先は、変った千尋の元気な姿を描いていきますね。

カオナシについても、今回新しい人物像が浮かび上がりました。
カオナシは千尋に油屋に入れてもらった礼をしようと、必要以上の薬湯の札であったり、砂金をあげたりします。
カオナシは、価値のあるものをあげれば喜んで貰えるという考えで千尋にプレゼントしますが、千尋は喜ぶどころか受け取ってもくれない。
これは、外面を繕い砂金をもらう油屋の従業員と違って、油屋に染まっていない千尋だからこそ、カオナシにとって必要な対話を行えたのだと思います。外面を繕った人との対話によって物をあげれば誰でも喜ぶんだというカオナシの間違った考え方を、千尋が意図せず正したという物語に見えましたね。極論、金で交換すればなんでも手に入るんだという考え方を批判する形に見えて、個人的にもすこし刺さるシーンでしたね。
千尋と対峙しカオナシは、千尋に生まれや出身の事を聞かれ、「ヤメロ」「寂しい」といったルーツに対する拒否感を示しています。
ここで気になったのは、カオナシの人物像です。「寂しい」という感情のセリフであったりとか、対話能力の低さから、孤独で人と話さず、喋るのはコンビニの店員くらいの存在なんだろうと思いました。油屋という繕った人達に騙される世界で、カオナシが狂ったように欲望を吐き出してしまう構図になっています。また、「私が欲しいものはあなた(カオナシ)にはだせない」という千の言葉から、カオナシという存在に千は個人を見出す純粋さを持ちながらも、カオナシの期待には応えないという純粋さゆえの個人の否定をしており、仮初の存在価値を否定されたカオナシは怒ってしまいます。
そんなカオナシに対して、銭婆の住む沼の底に行こうとする千尋は、センに対してこのような言葉を残しています「あの人はここ(油屋)にいないほうが良いんだよ」。
これは、カオナシという純粋で人との対話方法を知らない存在が、油屋の笑顔を繕った人々と対話して、金でなんでも手に入るという間違った対話方法を身に着けてしまうという事を千尋は感じているのかもしれないですね。


さて、ここからは終盤の物語について。銭婆婆の家での出来事。
ここで、物語として必要なのか大きな疑問が湧くイベントがあります。
なぜ銭婆は時間を割いてまで魔法を使わず髪留めを作ったか?
銭婆の作った髪留めには坊やカラス、カオナシが頑張って作った糸が編み込まれています。
銭婆は、魔法で作っても意味がないという言葉を残していますね。
これはみんなで頑張って作ったから思い入れのある物になる、という意味でしょうか?それは一面的には肯定で、カオナシにとっては、今まで人にプレゼントするものが、盗んだものであったりとかまがい物の砂金であったりとか、自身の背丈以上の物を贈ろうとしていました。しかし、今回に関しては時間に限りのある中、自身が労働し、そしてそれで作った物をプレゼントすることで、千からはありがとうという感謝の言葉を受けています。カオナシにとってのいい方向での成功体験であり、カオナシの物語としてはここで完結かなと考えました。
しかしこれでは、カオナシの為に作ったように聞こえます。手作業で作った理由としてもまだまだ弱い。

ここからは推測がかなり混じります。
{netabare}
髪留めを手作業で作った理由について。
魔法という物を考えたとき、髪留めは魔法で作ったら大変なことになっていた可能性があるかもしれないという疑念が思い浮かびました。
八百万の世界を抜けたら、魔法が解けるのではないか?
千尋がハクに別れを告げ、後ろを振り返らず、帰り道を辿る感動的なラストシーン。
決して振り返ってはいけないよ、とハクに念を押されていたため、千尋は振り返りませんでした。
でも待ってください、もし帰る途中で髪留めが切れてしまったら?振り返っちゃいますよね。
そんなタイミングで偶然髪留めが切れることないと思うでしょう。でも、魔法が現実の世界に戻る時に切れるとしたら?
では、油屋の世界の魔法が現実の世界に行くと切れるという証拠あるんでしょうか?
まず一つ目。序盤の千尋が透明化すること。現実の世界の物は、油屋のある世界(八百万の世界)では存在できないんですよね。
つまり、この現象から行くと逆の現象、八百万の世界から現実の世界に行く際には魔法などの現象が消えてしまうのではないでしょうか。
二つ目。湯婆婆の部屋でセンが契約したとき、散らかった部屋でテーブルライトスタンドの傾きだけ湯婆婆は魔法ではなく手で直しています。
これは、魔法が干渉できない物を暗示しているのではないでしょうか。その上で千尋が入ったトンネルが魔法が干渉できないものだとすると、そこで髪留めの魔法が切れてしまう恐れがあった。

三つ目。呪い(まじない)あるいは魔法について。本作品の呪いはなにか?
本作品で呪いをかけられている者たちは複数名います。千尋は名前を奪われて支配されるという呪いをかけられています。このまじないを解く方法はなにか。真実を見抜くことです。
豚の中から親を見つけるシーン。あれは親の呪いを解くのではなく、千尋の呪いを解くシーンです。事実、彼女が真実を見抜いたとき、千尋の契約書が破棄されます。
そしてこのシーンで湯婆婆の言った「この世界の理」は4つ目の理由によって明らかにされます。

4つ目。まじないは解かねば帰れない。これはハクの呪いから考えられます。ハクは、千尋が帰る前に私はそちら側(川の向こう)には行けない、だが湯婆婆と話をして弟子を辞めたらそちらに行くと言っています。つまり、まじないを解かねば帰れないというルールが八百万の神々の世界にはあった。ハクも、名前は取り戻したが、湯婆婆との子弟の契約が残っているから帰れないということだと考えられます。
とすると、提唱した説とは別の説で、魔法(まじない)がかかっていたら帰れないことを銭婆は知っていたため、髪留めを手作業で作ったことが考えられます。



何故髪留めをお守りとして送ったか…については、論理的理由ではなく、感情的な理由であってほしいですね。

この作品でいう名前の意味について。簡単に書きます。
名前を忘れると、帰り方を忘れる。つまり、自分が何者であるか忘れるという事です。自分が何者か忘れたのがハクです。
そして、真名をしっかりと覚えていた千尋は自分が何者か覚えていたため、自分のルーツである親が豚の中にいるか見破れたという説もあるかもしれません。


{/netabare}

さて、私は映像面についてもしっかり触れていきたいと思うのですが、すこし感性が枯れたせいか、少なめになりそうです。
まず、久しぶりにジブリをスクリーンで見た感想について。
自宅では用意できない様な大きな画面で見ると、やはり小さな仕掛けについても気付くことが出来ますね。千尋が木の階段が壊れて走り落ちる序盤のシーン、壊れた木の板の釘が抜けかかっている事に気付くことが出来ました。
一番大きいメリットは、やはり水彩画の背景における微妙な色合いの表現を、細かく観察できることですね。雨が降った後、油屋から見る海の風景は、日中から日没まで、美しさが変わっていきます。テレビでは味わえない風景を広さと色合いの繊細さを感じることが出来ると思います。


小ネタとしてどうしても言いたいシーンがあります。エレベーターで一緒になった大根の神様。かの御方は船で神々が油屋に到着するシーンから最後の豚を見分けるシーンまでいるのですが、この方、実はめっちゃ紳士ですよね。

エレベーターで千尋と一緒になった時、彼は目的の階に到着しても降りるのをやめて、一旦最上階まで千尋と一緒に上がってるんですね。
これはもし千尋が従業員等に見つかってしまいそうになった時に、自分を壁にして逃がしてあげようという配慮ではないでしょうか?
こういった心遣いを気付けるようになったのは、個人的にはちょっと嬉しかったですね。

さて、今回の視聴のまとめです。
感想としてはかなり物語を掘り下げる形になってしまったんですが、やはり映像の凄さがなければこれほど深く入り込めることはないと思います。かといって、美しさを追求しているのではなく、ジブリは五感を呼び起こす映像づくりが凄いと感じましたね。それは、風のうなりであったり、ガラス窓の振動であったり、風に吹かれる髪のうっとおしさであったりなど。よく言われるのは飯が美味しそうという事ですが、やはり、匂いや味を感じさせるような絵作りがうまいと感じます。
個人的に今回とびきり好きだったのは、海になった地上の夜景をセンと千尋が風を感じながら眺めるシーンですね。月明かりの暖かさ、遠い町への期待のようなものも感じられてとても良かったです。
リバイバル上映、いつまでやっているかはわかりませんが、ナウシカやトトロもやっているそうなので、近日また行きたいですね。


金曜ロードショーで視聴した際の感想はこちら↓

映画館で見たときは、一つ一つのシーンの雰囲気にのまれたんですが、どうも、テレビで見るとあれっ?あんまり入り込めないな、という感じでした。

今回の視聴では、初視聴時に感じた「雰囲気」に対する感情を思い出しながら、「懐かしいな」と思いながら視聴。
{netabare}
まず、親が飯を食べ出すシーンですが、千尋は親の言葉を聞かずに食べない。自分も、知らない土地や知らない店に親に連れられて行った時に、強い恐怖感や拒否感を感じました。子供特有の知らないものに対する拒否感は皆感じているのでしょうか。

次、夕暮れから町並みに明かりが灯り、河原まで走るシーン。豚姿の親の気持ち悪さで恐怖感や孤独感がましていき、影のような人に気味の悪い物を覚えます。あの川原でうずくまっているとき、恐ろしいけど明るい町と、そこから逃げるように来た静かな川原から、動きたくないような、帰りたいような、そんな気持ちにさせてくれます。

中盤についても少し。顔ナシの印象。最初はその笑顔のお面で佇む姿に気味の悪さを感じます。千尋に気に入られようと湯の札(札という面白い設定にも引き込まれます)を一杯持ってきたり、カエルをひと飲みするその姿にどんどん恐怖が募っていきます。最初は大人しそうなのに、どんどん凶暴になっていくその姿に、気味の悪さと恐ろしさを感じる、見ているひとを物語に引き込んでいく魅力を持っているキャラクターですね。

とまあ、好きなシーンやキャラクターは色々あるのですが、一番のシーンは、電車から見える風景のシーン。浅い海の遠くに見える街には何があるんだろうという期待感、海にポツンとあるあの家に何故か心惹かれる感覚、やがて夕暮れになって明かりのついた家々を遠くにみたときの心の騒ぎ。じっと電車の中で座っている千尋たちをよそに、影の人たちは荷物をおろし、電車を降りていく。あのときの取り残されたような孤独感と静寂がなにか心地いい。

最初と最後に出てくるトンネルの前のベンチがおいてあるあの建物の時が止まったような静けさが大好きです。
{/netabare}

【総評】
物語性よりも、圧倒的世界観、雰囲気を感じることで、この作品が凄いと思えるのではないでしょうか。
序盤は雰囲気による恐怖感に飲まれ、中盤は華やかさによる楽しさがあり、後半は喧騒の後の静寂が心地良い。

ストーリーはあまり気にならなかったのですが、圧倒的な雰囲気が記憶に残った作品でした。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 47
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

思い出の作品ではないけれど、思い入れのある作品

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 2時間くらい。3回か4回くらいは見ていると思います。

 先日トトロを視聴して、その流れでポニョも見て、で、ポニョのレビューを書こうと思っていたのですが、上手くまとまらなかったのでこちらに逃げてきました。千と千尋は有名な作品ですから、重箱の隅をつつくようなレビューを書くつもりはありません。むしろ書きたいのは重箱について、ですかね。

 千と千尋は少女の冒険譚ですから、魔女宅に近い作品と言えます。魔女宅は、魔女という異質な少女が普通の都会へ行く話。千と千尋は、普通の少女が異質な世界へ行く話。アプローチは逆で、テーマは同じというやつですね。


異世界のモチーフ:{netabare}
 千と千尋では異世界が描かれていますが、ここまで露骨に描かれているジブリ作品は珍しい気がします。

 千尋は「トンネル」を通って異世界に行き、「川」を渡って物語の舞台へと到達します。で、帰りも「トンネル」を通って帰ってくる。その帰り際に、ハクから「振り向いちゃいけないよ」と言われます。

 これと同じ構造の物語があります。ギリシャ神話のオルフェウスの話です。千と千尋とオルフェウスの類似性に関しては、あまり異論のないところだと思われます。
 オルフェウスは、亡くなってしまった妻を取り戻しに冥界へと赴きます。「洞窟」を通って、「三途の川」を渡り、冥王ハーデスの元へたどり着きます。そこでハーデスから妻を連れ帰ることを許されますが、その際に元の世界へ帰るまでは「振り返ってはいけない」と言われます。そしてまた、「洞窟」を通って元の世界を目指します。

 異世界の往路と復路に加え、禁止のルールまでが一緒です。経緯は違いますが、連れ帰るという目的も一緒。日本神話のイザナギの話も同じような流れを持っていますが、「川」の存在を踏まえるとギリシャ神話の方が近そうですね。トンネルを抜け川を越えた先は、冥界に等しいものだったと言えます。

 なお、宮崎駿作品でギリシャ神話の引用がされるのはこれが初めてではありません。漫画版ナウシカの第1巻で、「ナウシカは、ギリシヤの叙事詩オデュッセイアに登場するパイアキアの王女の名前である」と監督自身が述べています。ナウシカもギリシャ神話の出身でした。
{/netabare}

神隠し:{netabare}
 千尋は、冥界、実質的には死の世界に行っていたことになります。千尋は死んじゃったの?という問いについての回答がこのレビューの主題なんですが、それについては後々述べることとして、まずは死の世界と現世の距離感について確認しておきます。

 宗教的には、死生観を含めて、死を考えることが非常に重要な要素になります。そのため、死の世界を現世とは隔離されたものとみるのが一般的です。私たちが死の世界と言うときは、このような隔離された世界の感覚で話していることが多いのではないでしょうか。

 ただ、神話の世界においては、死の世界はもっと近くにあるものです。オルフェウスやイザナギのように、洞窟を通れば冥界や黄泉の国へ行けてしまう。さすがに「ちょっとそこまで」という気分で行けるものではないのでしょうが、隔離された世界ではなく、つながった世界なんです。死の世界なんて言うよりも「あっちの世界」くらいが丁度いい。

 すぐそこにある世界、でもこことは異なる世界。そんな微妙な距離感を持つ「あっちの世界」での冒険を、宮崎駿監督は「神隠し」と表現したんだと思います。
{/netabare}

特別ルール:{netabare}
 こんなに近い「あっちの世界」。「こっちの世界」と一体どこが違うのか。それが特別ルールですね。

 最も重要なのが禁忌(タブー)です。「振り返ってはならない」と言われたオルフェウス、「見てはいけない」と言われたイザナギ、浦島太郎を「あっちの世界」の話とするなら「開けてはならない」になります。千と千尋では、前述の通りに、唐突な「振り向いちゃいけないよ」がありました。理由の不要なルールなんです。

 千と千尋には、他にもたくさんのルールがありました。ハクやリン、カマジイ辺りはいろいろと千尋に教えてくれていました。千尋が両親と帰るためにも、ルールに従う必要がありましたし、こればかりはユバーバでもどうにもなりませんでした。ユバーバは「こんな誓いを立てるんじゃなかった」と言ってましたから、ユバーバが誓いを立てる先、上位の存在がいることも窺えます。
{/netabare}

食事①:{netabare}
 次に重要そうなのは食べ物に関するルールでしょうか。「あっちの世界」の食べ物を食べると「あっちの世界」の住人になってしまいます。ギリシャ神話ならザクロの実ですね。

 千尋が食事をするシーンは全部で3回あります。ハクからもらった赤い何かと、ハクからもらったおにぎりと、リンから分けられた大きな饅頭のようなものです。千尋は「あっちの世界」の住人になってしまったのか、という仔細を述べる前に、引用元のギリシャ神話を確認しておきます。
 
 ギリシャ神話でザクロの実を食べたのはペルセポネという女神様です。彼女は冥界に連れ去られてしまいました。そこで、ハーデスに差し出されたザクロの実の中身12粒のうち、4粒を食べてしまうんですね。そのせいで1年(12ヶ月)のうちの4ヶ月を冥界で過ごさなければならなくなってしまいました。残りの8ヶ月は「こっちの世界」に帰って来れていますけどね。

 ちなみに、これに激怒したのがペルセポネのお母さんであるデメテル。豊穣の女神様なんですけど、ペルセポネのいない4カ月の間は地上に実りをもたらすのを止めました。これが冬の起源。ペルセポネが帰ってくると春が始まるわけですから、ペルセポネは春の女神様です。冥王ハーデスの妻なのに春の女神様。私にはすごく違和感があるのですが、やはり神話においては「あっちの世界」は近いもののようです。
{/netabare}

食事②:{netabare}
 千尋は「あっちの世界」の食べ物を食べて、「あっちの世界」の住人になってしまったのでしょうか。帰って来るのはペルセポネと同様に問題なさそうですけどね。では、千尋が食べた3つの食べ物を確認してみます。

 まずは、ハクからもらった赤い何か。これがいきなりの大問題です。
 この赤い何かが何であるのかは明らかにされていませんが、おそらくザクロの実の中身を暗示したものだと思います。気になる方は作中の赤い何かとザクロの実の中身を比べて、その類似性を確認してみるといいかもしれません。すごく良く似ています。ハクは、千尋が消えかけているときにこれを食べさせています。千尋が消えてしまわないように、つまり、「あっちの世界」に馴染むために食べさせていますから、千尋は「あっちの世界」の食べ物を口にしてしまったのです。

 神話を前提にするなら、ザクロの実の中身を1粒食べた千尋は、毎年1ヶ月は「あっちの世界」ツアーに行かなければならなくなってしまいます。さすがにこれは大問題ですから、何かしらこれを解決する方法が採られていたはずです。
 おそらく、「12粒のうちの1粒」ではなく、「ただの1粒」だったから問題なかったのではないかと思われます。ここが神話と違うところですし、これなら毎年ではなく、1回だけ「あっちの世界」に1ヶ月間滞在すれば問題なし、という結論でも許されそうですね。
 千尋がどのくらいの期間「あっちの世界」に居たかは明らかにされていませんが、作中の月の満ち欠け(※)が一巡してそうなので、少なくとも1ヶ月はいたようです。もちろん「こっちの世界」の時間は別問題。

(※)千と千尋の月の描写
 月は作中で3回出てきます。①オクサレ様が帰る時の満月、②沼の底駅の上限の月、③ハクに乗って帰る時の大きめの上限の月。②から③は満月に向かっています。①のもう少し前から物語が始まるので、満月手前から満月を経由して満月手前までが滞在期間。これで1ヶ月ですね。

 次に、ハクから貰ったおにぎり。
 おにぎりは、事情を知っているハクが「まじないをかけた」ものだと言っています。「あっちの世界」の住人にならないためのまじないでしょうから、おそらく問題ないのでしょう。赤い何かにもまじないがかけられていたと考えたくもなるのですが、その可能性はないでしょうね。千尋が消えてしまいますから。

 最後に、リンから貰った大きな饅頭のようなもの。
 リンは事情をある程度は知っているものの、まじないの類は使えそうにないので際どい感じがあります。ただ、千尋は直前に苦団子を口に含んでいました。苦団子の効果は吐き出させるというものでしたから、実質的には食べていなかったといったところでしょう。こちらも問題はなさそうです。

 お父さんとお母さんの食事が原因でもありますし、千尋の食事のシーンにはかなり気を使っていたのが窺えます。
{/netabare}

死んだ??:{netabare}
 では、千尋は死んでいたのかについて。
 「あっちの世界」が描かれると、条件反射のように「死んだ!」と考えたくなってしまうのですが、もちろん死んでいません。以上で述べてきたように、日本っぽさのあふれる千と千尋の世界は、ギリシャ神話が大きく影響しているのが分かると思います。どちらも神様がたくさんいますから、その関連性の高さに目を付けたのかもしれません。で、千尋の生死もこれらの影響を受けていると見ていいはずです。

 オルフェウスは、生きたまま冥府に辿りつき、生きたまま帰ってきます。千尋も生きたまま行って、生きたまま帰ってきた。これで良いんだと思います。死の世界を描くことと、実際に死ぬことは、やっぱり違うんです。
{/netabare}

エンディング:{netabare}
 千尋が無事に生きていたことが分かったところで、この物語のトンネルを抜けた後について言及しておきます。

 オルフェウスは「振り返ってはいけない」と言われたのに振り返ってしまった。禁忌を犯した彼は、無事に「こっちの世界」に帰って来れたものの、妻を連れて帰ることは出来ませんでした。禁忌を犯すと何かを失ってしまうのです。

 千尋は成長できたのか、というと、残念ながら出来ませんでした。正確に言うのなら、「あっちの世界」では成長できたものの、「こっちの世界」への影響はなかったんです。行きと帰りの両方で描かれるお母さんにすがる様とお母さんの同じセリフは、千尋が成長できなかったことを描いていていました。
 ですが、千尋は無事に禁忌を犯すことなく、帰ってくることが出来ました。つまり、オルフェウスと違って何かを得ることが出来たのです。それが最後に光るゼニーバからもらった髪留め。

 ゼニーバは「一度あったことは忘れないものさ、思い出せないだけで」と言っていました。これはハクの名前を思い出せることを述べたものですが、それだけではなく、この千と千尋の世界全体に係る言葉、テーマを象徴する言葉だったんだと思います。千尋にも思い出せなくとも忘れない何かが残ったのでしょうね。
 子供は忘れてしまうかもしれないけど、思い出作りは大切だよってメッセージですかね。
{/netabare}

おまけ:{netabare}
 おまけその①。ハクに対して「八つ裂き」という言葉がぶつけられます。これもギリシャ神話がらみだと思います。オルフェウスの末路が八つ裂きですから。
 とはいえ、ハクの末路が八つ裂きだとは思いませんけどね。件のセリフは、覚悟を問うたものであるというのが理由の一つ。もう一つの理由は、千と千尋がオルフェウスのifストーリーだからです。千尋が神話を覆したのと同様に、ハクも覆す側だったという方がしっくり来ます。そもそもオルフェウス役は千尋ですしね。

 おまけその②。今度は風俗がらみの話。
 千尋の腹痛が描かれていますよね。これは生理を象徴したものだと思います。千尋は腹痛の後に、オクサレ様のお世話をしています。床掃除をしていた見習いの千尋が、腹痛を契機として一人前になったということです。
 「宮崎駿監督は、性を隠し過ぎる!」なんて指摘もありますよね。まぁ、おっしゃる通りで(笑)
{/netabare}

 神話の引用が多かったし、外観にしか触れなかったため、文章量の割には薄っぺらな内容になってしまいましたね。千と千尋のレビューでは全く違う内容を書こうと思っていたんですが、以前トトロのレビューで書いた「死を描くことと実際に死ぬことは違う」ってことの具体化で使ってしまった、というオチです。ご勘弁を。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19
ネタバレ

ぺし さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

トンネルの向こうは、不思議の街でした。

たぶん見たことない人の方が少ないと思うので、あらすじはあにこれのをご覧下さい♪

ジブリの中では3番目に好きな作品です。ただ好き嫌いを除いて評価すれば、手書きのアニメーションに置ける最高傑作だと思います。粗が見当たらない。日本興行収入第1位の作品というのも納得がいきます。


中途半端で物語に入り込めないという方も居ますが、そもそもジブリ作品というのはあまり説明をしないので、見る側に多分に解釈の余地が与えられています。
なので完全な答えを求める方には向かないかもしれません。あと、説教臭くてジブリアニメは嫌いだって人もいますね。(自分は好きですが…。)

ジブリ作品と言えば風刺って言う人も多いです。特にこの作品にはそれが顕著に表されてる気がします。そこで、個人的にここ風刺だなぁと思った所を書いていきたいと思います。

{netabare}
・千尋のお母さんの冷たさ
見ててこの人なんか千尋に冷たいなぁと思ったことありませんか? これは現代社会(2001年当時ではあるが…)の一種の母親像だと思う。共働きで独立心が強く、「子供だから」という理由で何でも許されるのを嫌い、子供にも自立心を求める。また、千尋のお母さんは、化粧や出で立ちが割りと派手。「母親」というよりも「女」というイメージが先行する。←これは母親になるという覚悟が足りないままに子供を産んだ結果、虐待や育児放棄をしてしまう事への風刺に見える。

・父親の自分勝手さ
これはたぶん見てれば分かるんですけど、家族の安全も考えずに興味本位で舗装されていない道を突き進む所なんかは凄く自分勝手ですよね(-_-;)
これも家族とはどうあるべきかっていう風刺に思えます。…だからこの2人ブタにされちゃいましたよね(゜ロ゜;

・湯婆婆の坊への接し方
周囲の事は全く意に介さず、自分の子供だけを特別に扱う。これでもかと甘やかして束縛する。←過保護や過干渉への風刺。これだけ大事にしているのに、湯婆婆は姿を変えられた坊に気づけませんでした。子供の何を見ていたのでしょうか? 「千尋と坊」「千尋の親と湯婆婆」そんな対比にも見えます。時には厳しく、時には優しく…厳しさと優しさのバランスを上手く取れると悲しい事件も減るのかも(*_*)

・オクサレ神
最初出てきた時は、カエルが気絶し、リンの持っていたご飯が一瞬で腐るほど、汚い神様として出てきました。ですがその正体は水の神様。←これは水質汚染への風刺だと思いました。
{/netabare}

見る人によって色んな解釈がある今作。ここからは私個人の解釈を書きたいと思います。
{netabare}
・千尋が湯婆婆に渡された契約書に名前を書くシーン
気付いている人も沢山いると思います。実はこの時千尋は自分の字を間違えて書くんです。「荻野千尋」の「荻」の 火を犬と書いてしまいます。←これは自分の名前を忘れると支配されるこの世界において既に初期症状が出ていたんじゃないかなぁと思います。

・千尋の靴
これはあんまり他に言う人がいないので、自分の勘違いかもしれません。釜爺の所に居るススワタリ(まっくろくろすけみたいなヤツ)が、千尋の靴に群がったり、靴を運んだりするシーン。←これは、千尋が川(ハクの現実世界の姿)に靴を落としたって話した時の伏線だったんじゃないかと思いました。何気無いシーンなのに意外と長く映っていた気がします。

・カオナシとは何か
これは良く言われているけど、人間のお金に対する欲望そのものという解釈。
その証拠にお金の欲望に負けた人間は皆カオナシに喰われてしまった。千尋にも砂金を渡そうとするけど断られる。←これは千尋を試したんじゃないかと思いました。

・列車
銭婆の家に向かう為に千尋達が乗った列車。死者をあの世へ送り届けるための乗り物だという説があります。それが理由なのかこの列車には行きしかありません。

また、途中にある駅に寂しそうに佇む少女の姿があります。これは死んだ兄の帰りを待つ節子なんではないか?と思いました。そう考えるとこの列車が死者を運んでいるという事に説得力が出てきますね。

さらに列車の中にいる人はほとんどが黒く透けていました。これは自殺してしまった人なんじゃないかなと思いました。明日への希望を見出だせず死んでしまったから黒く透けている。←こじつけかもしれないですけど(-_-;)
〈追記〉釜爺が「昔は帰りの電車もあったのじゃが…」的な事を言っていたらしいので、また違う解釈があるのかもしれません♪

・トンネルの色
行きは真っ赤な色をしていたのですが、帰りは普通のトンネルになっています。この時、車の回りの草木も行きの時と比べて不自然に生い茂っているように見えます。←これはたぶんですけど、帰りの景色が本来の姿だったんだと思います。最初にここに来た時点で向こうの世界に引き寄せられていたから、赤いトンネルに見えたのかなと。

・銭婆の一言
千尋達が銭婆の家に来た時。「私達は2人で1つなのにねぇ…どうにも気が合わなくて」みたいな事を言っています(記憶が曖昧ですが)。ここで自分が思った事は、湯婆婆と銭婆は元々1人だったんじゃないかと。←だってただの双子がそんなこと言うのかなぁと。そもそもこの2人の争点になっているのが、この世界のルールを決めるための印鑑です。

湯婆婆は本当は元の1人に戻りたい。その方がこの世界における自分の力が強くなるから。けどもし1人に戻った時、自分の自我が消えてしまうかもしれない。その為にあの印鑑を欲した。けれど、銭婆はせっかく2人に別れたのだから1人には戻りたくない。だから印鑑を渡したくなかった。

この解釈は自分の妄想に近いです(笑) 他の部分に比べて説得力も薄いので、深読みし過ぎな感じもします(--;)
{/netabare}


個人的に気になった点
{netabare}
千尋のいる部屋に龍の姿になったハクが逃げ込み、千尋が閉める戸に無数の式神が突き刺さるシーン。←これ、ハリーポッター賢者の石に出てくる鍵鳥が、無数に扉に突き刺さるシーンに凄く似ている。あまりにも似ているので、どちらかが影響を受けたんじゃないか?と勘ぐっちゃいました(笑)

あと、銭婆と湯婆婆の名前を合わせると、銭湯になります。やっぱ元は1人だったんじゃないかな(^-^;
{/netabare}


ここまで色々書いてきましたけど、あくまで推測、空想の域を出ないので、見る人によって感じ方は沢山あると思います。でも、製作側の意図した事を少しでも汲み取れたていたら良いなぁと感じています(*^^*)

レビューを書くに至って、色々調べたんですが、なるべく自分の言葉で書いたつもりです。ここ違うだろ、自分はこう思うなって、メッセージくれたりすると嬉しいですね(*^^*)

長文、乱文失礼しました\(__)
最後まで見てくれた方は本当にありがとうごさいました!!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 53

85.0 9 ファンタジーで田舎なアニメランキング9位
おおかみこどもの雨と雪(アニメ映画)

2012年7月1日
★★★★☆ 3.9 (1830)
9987人が棚に入れました
いまや全世界が待望する、細田守監督の最新作は「母と子の物語」。おとぎ話のような不思議な恋をした女性・花は、おおかみこどもの姉弟、"雪"と"雨"を育てることになる。「親と子」という普遍的なテーマを、人間とおおかみの二つの顔をもつ ≪おおかみこども≫ というファンタジックなモチーフで描く。いまだかつて誰も見たことがない傑作が誕生する。

声優・キャラクター
宮﨑あおい、大沢たかお、黒木華、西井幸人、大野百花、加部亜門、林原めぐみ、中村正、大木民夫、片岡富枝、平岡拓真、染谷将太、谷村美月、麻生久美子、菅原文太
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

細田監督の良さがふんだんに!(補足追記)

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 2回目でした。2時間くらいの現代ファンタジー。
 1回目は、ながら見だったせいもあってか、あまりよくない印象を持っていたと記憶しています。今回きちんと見て、この作品の魅力にやっと気付けました。好きかどうかは意見が分かれる可能性がありますが、表現が非常に細かく、圧倒的な情報量が込められた傑作だと思います。私は非常に楽しめました。(補足を追記しました)


伝聞形式:{netabare}
 この作品は、オープニングでもエンディングでも、語っていたのはユキでしたよね。つまり、この物語は、語り手のユキの視点で描かれたものだったと言えます。この作品を、第三者の視点で描かれた家族の「ドキュメンタリー」として見てはいけませんでした。あくまでも、ハナから伝え聞いた話にユキ自身の体験を盛り込んだ、ユキの「思い出」のストーリーとして見る必要がありました。
 この辺を誤解するとやや説明不足に感じるかもしれませんね。この作品の世界が、ユキの中で再構成されたものであることを理解した上で視聴する必要がありました。

 オオカミ男がどのような生活をしていたのか、なぜ受講していたのか、なぜ死んでしまったのか。これらが不明なのは、第三者による俯瞰の視点がないからです。
 アメについてももちろん同様です。アメの単独シーンではセリフがありませんでした。すぐ話せるところにハナやユキがいないとアメのセリフは分からない、ということです。
 ニラサキのおじいさんの隠された思いも、嵐の日になぜユキとソウヘイだけが置いて行かれたのかも、ハナやユキがいないから不明である、というだけでした。

 ユキとハナの二人が知らない事柄や、ユキがハナから聞いていない事柄は、ユキの「思い出」の中では語りようもなかった、ということですね。説明に不足しているのではなく、伝聞形式を採用しているために説明ができなかったのです。
{/netabare}

ハナとユキの母親像:{netabare}
 まず、ハナにとっての母親とは何なのかを探ってみます。
 ハナが父親と写っている写真が出てきますが、その写真にハナの母親は写っていませんよね。写真のハナはかなり幼いですから、物心がつく前に母親を亡くしている(又は離婚している)可能性が高いです。社会から隔離されたオオカミ男と両親を失った孤独なハナが恋に落ち、家族(子供)を求めたのは何ら不思議なことではありませんでした。
 ハナはオオカミの育て方について「知らない」と言っていますが、母親による人間の子供の育て方も把握していなかったのです。親はみんな子育ての素人だという概念以前の問題で、母親という存在を知らないんです。

 では、ユキにとっての母親像とは何なのか。
 ハナは「辛い時でも笑っていれば乗り越えられる」を信条としています。また、ユキの誕生に際して「辛い思いをしないで元気に育ってほしい」と願っています。
 このことから、ハナはユキに対して、自分の辛さを一切伝えずに、笑顔であったことを伝え続けたのだと思われます。これがユキにとっての母親像を「強く優しい笑顔の母」に固定化しているというのは否定できないところでしょう。ただ、それが悪い方へ傾いているのではなく、ハナとユキの間にある愛情についての表現だったと言えます。ユキがそこに疑いを持たないために、あたかも理想像のように見えるのです。

 母親を知らないハナと母親を理想的に見るユキですから、この作品には現実的な母親と言うのは事実上存在しないことが分かります。そして、私たちはユキの「思い出」に影響され、ハナに対しては「強く優しい笑顔の母」というイメージを持ってしまいます。ただし、実際にハナがそのように描かれているかというと必ずしもそうでもありませんよね。

 例えば、子育て中のアパートでは、部屋は汚れ、ポストは郵便物であふれています。本に頼る姿も頻繁に出てきますが、結局のところ、ハナを救っていたのは本ではなく、周りの人々です。子供の親離れにも気付いていませんでした。ハナのイメージは「強く優しい笑顔の母」なのですが、周辺の描写を踏まえると一般的な母親と同様に弱さを見せていました。
 子育てに苦労するシーンでは、ツバメやクマが子連れで登場しています。動物との対比でも苦労を垣間見ることができました。本に頼る描写は後半ではありませんし、理想像のように見えるハナ自身も成長していたのです。

 ちなみに、花はハナの精神状態のバロメーターでもあったようです。分かりやすいのは花瓶で、オオカミ男が亡くなった直後やアパートでの育児中は、部屋に飾る花瓶の花は減っていました。花壇が充実している描写もかなり後半にならないと出てきません。
 笑顔以外のハナを知るには、周囲の描写に注視する必要がありました。
{/netabare}

ユキと二面性:{netabare}
 ユキとアメは、人間とオオカミの選択という作品のメインテーマを背負っています。家の前の分かれ道も、小児科と動物病院も、左が人間で右がオオカミとして描かれていました。ユキとアメが並んで立つシーンも、ハナによる手書きのユキとアメも、左がユキで右がアメと統一されていたようです。常に左側が人間で右側がオオカミだという、方向性の統一が描かれ続けていました。

 ユキを知るためには、この左右の選択に、鏡を加えなければなりません。どこかのレビューで書いたのですが、鏡や水面などの姿が写るものは、二面性の象徴として使われます。

 ソウヘイとのトラブルの前、鏡の前で口論が行われます。
 この時のユキは、現実のユキと鏡に写ったユキの両方が描かれています。そして、左側の階段を下りて、一旦右に振れるも、すぐさま左にはけて行きます。人間とオオカミ(左と右)に揺れているユキが、人間(左)側に行きたいという描写です。二面性を象徴する鏡と、左右のどちらからでも降りられる階段という舞台、そしてハナから聞いた人間でいるためのおまじないを使って、人間とオオカミに揺れるユキの心情と人間側への希望を強く描いていました。
 その時のソウヘイは階段の右側を下りますが、下りきることはありません。その後に「一匹狼」を自称するとしても、下りきれないのは当然のことです。

 一方で、嵐の夜の鏡の前では、ユキは鏡に映った姿しか描かれていません。アメとのケンカに負けた後ですし、それ以外でオオカミの姿にはなっていませんので、鏡の前だとしても二面性を描く必要がなくなっていたのです。人間であることへの強い意志を感じ取ることができます。
 このときのユキのセリフは「大人になりたい」です。このセリフは思春期に入った子供の特典のようなものです。オオカミの成長スピードならこの段階で大人になることも考えられますが、人間であることが確定したユキがこの段階で大人になることはあり得ませんので、あくまでも人間の思春期の真っ只中として描かれていました。なお、思春期への入りの描写は「匂い」(※)でした。

 なお、最後に二面性が描かれる人物は、ユキでもアメでもなく、ハナでした。アメを見送った後の水たまりに写る二人のハナです。かなりくっきりと写っています。人間とオオカミを独り立ちさせたというハナだけのエンディングです。最後に「大丈夫」と言われるのも、ユキやアメではなく、ハナでした。
{/netabare}

 上記以外にも、重要なシーンに合わせるような瞳の揺らぎや光の描写、動物の姿など画面の隅までまで見どころがたくさんありました。家の修繕を進めていくうちに、細部の美しさに気付いていく描写は、家の柱を介して子育てにリンクされるなど、素敵な表現だったと思います。時をかける少女やサマーウォーズと同様に、人間を肯定的に捉える細田監督の特徴は出ていたと思います。

対象年齢等:
 10代くらいから見ても大丈夫だと思います。性に関する描写も10代なら問題ない程度のものです。宮崎駿作品のように、見るたびに理解を深めていける作品だと思いますので、長い期間を通じて楽しんでいきたいですね。


(※)「匂い」の補足{netabare}
 ソウヘイはユキに「獣臭い」と言っています。なぜこの「匂い」がユキの思春期入りの描写になるのかについて、補足を入れておきます。

 このセリフは、表面的には「オオカミ臭い」という意味を持っています。これがユキの受け止め方であり、その後のストーリー展開に直接的な影響を及ぼします。ただ、描写的には、全く別の意味を持つことが分かるようになっていました。

 単に「オオカミ臭い」ことを表現するのならば、この「匂い」は、オオカミが気付かずに人間が気付くものでなければなりません。すなわち、ユキ以外の生徒たち全員が気付く「種族の匂い」のはずです。しかし、ソウヘイ以外の女子生徒たちは、その「獣臭い」には気付いておらず、気付いていたのはソウヘイだけでした。

 つまり、実際の「獣臭い」は、人間かオオカミかを判別する「種族の匂い」ではなかったということです。女子生徒が気付かずにソウヘイだけが気付くという、女性と男性を判別する「性別の匂い」だったのです。端的に言うと、「生理の匂い」「血の匂い」という意味でした。これをソウヘイは「獣臭い」と表現していたのです。

 初見時には、ソウヘイの臭覚や感性が他の人より鋭くて、「種族の匂い」に気付けたのでは?と思ってしまったのですが、そう言い切ることはできませんよね。ソウヘイに関して、そのような描写・エピソードは用意されていませんから。その結論を出してしまうと、先入観や思い込みで解釈をしていることになってしまいます。
 このシーンでは、ユキに女子生徒と男子生徒を絡ませることで、<オオカミのユキ⇔人間の女子生徒&ソウヘイ>という対比に基づいた「種族の匂い」ではなく、<女性のユキ&女子生徒⇔男性のソウヘイ>という対比に基づいた「性別の匂い」を演出していたということしか見えてきませんでした。

 したがって、このときのユキは、ユニセックスな子供時代を終え、男性が意識する女性へと変わっていたということになります。それゆえに、「匂い」でユキの思春期入りが描かれていた、と言えるのです。ユキの内面からではなく、他者の視点からこれを見せていました。ユキは、オオカミの血にコンプレックスを持っていますから、過敏に反応し過ぎて誤解をしてしまった、とも言えますね。ユキの内面的な思春期は、そのあとの描写で描かれていました。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21
ネタバレ

ギータ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

短い時間でたくさんのことを考えさせられた映画

見どころが半端ないくらい多いです。

{netabare}
子育ての大変さ、我が子への母親の愛とそれによる頑張り、近所の人の助け、子どもの成長による心境の変化、親への感謝、人生の自己決定、我が子と離れる寂しさ、子育てに終わりはない
{/netabare}

正直、挙げだすとキリがないですが、これだけのことを2時間くらいの映画で取り上げるのは本当にすごいです。
子どもが成長していくだけでも構成はかなり難しいのに、伝えたいこともしっかり入っていて、言いすぎかもしれませんが、clannadを2時間にまとめたレベルの作品だと思います。

パンフレットに書いてあった細田監督のインタビューで「おおかみ子どもは私たち自身である」また、脚本の奥寺さんの「セリフがないところが名場面になる」という言葉があまりにもこの映画をとらえているため、読んでいて鳥肌がたちました。


「おおかみこどもは私たち自身である」
{netabare}
作中では、雨がおおかみとして、雪が人間としてそれぞれが自分で生き方を決め、歩んでいきます。でも、それは人間である私たちも同じことで、自分の生きる道は自分で選んでいかなければいけません。後悔しないようにかつ、責任を持った選択を迫られます。映画の最後で雨が別れるシーン、雨はすごい、言葉に表せないような心境だったと思います。これまで母親にべったりで、すごくお世話になって、母親から「まだ何もしてあげられてない」なんて言葉をかけられて。自分がそんなことを言われたら絶対泣いてしまうし、雨も心はかなり揺れ動いていたと思います。それでも雨は別れておおかみとして生きていくことを決意したのです。感謝の気持ち、寂しさ、すべての感情を背負って別れることにした雨の選択は本当にすばらしいものであり、自分もそんな選択ができる強い人になりたいと感じました。
人の生き方には無限の選択肢があると思います。でも、その選択には大きな決断が伴うこともあるのです。それは今回の映画のようにおおかみとして生きるか、人間として生きるかということと同じであり、「おおかみこどもは私たち自身である」という言葉は、そんな思いから発せられた言葉なのでしょう。
{/netabare}

「セリフがないところが名場面になる」
脚本の奥寺さんは「この映画は映像でなければ伝わらないところもある」というようにおっしゃっています。
{netabare}
まずは映画中盤、雪の中で遊ぶシーン。あのシーンはセリフなしで、音楽とアニメーションの二つによって、自然の雄大さ、花たち家族の楽しさ、疾走感が伝わってくる場面です。記憶が正しければ、笑い声すらなかったように思います。しかし、すごい伝わってくるものがあるのです。思わずすごいと思ってしまうシーンであり、短い映画の中でも、毎日楽しく過ごしてきたんだなと、映画の中の時間に入りこんだ気持ちになりました。
そして、映画終盤、またも雨の別れのシーン。やはりたくさんの見どころはあるものの、このシーンの力の入れ具合から、一番伝えたいのはこの場面なのかなと思います。このシーン、雨は何も話しません。そして、花もいくつかセリフを言った後、しばらく何もセリフがないシーンになります。雨が何も言わないのはおおかみとして生きていく覚悟の表れかなと思います。セリフがないこのシーンは、私はいろんなことを考えました。花の気持ちや雨の気持ち、そしてこの人に考えさせるのがねらいなのかなとも思いました。単に受け身として映画をみるのではなく、自分で想像を働かせ、今花たちは何を思っているのかなと考えさせるなど。あえてセリフをつけないことによって、より感情移入させようとしているのかなとも思いました。だからこそ、その後の雨の遠吠えにより感動を覚えたのかなとも思います。
→追記で
雨の別れのシーンは思ったよりもセリフなしのシーン短かったですね。それでも雨が何も話さないものの表情で揺れ動いていると分かる描写はとても印象的でした。

{/netabare}

奥寺さんの言い分とは少し違うかもしれませんが、想像力を働かせるというのは、小説などの文字媒体に比べ、受け身になりやすいアニメや漫画にとって大切なことだと思います。それに関連して私の中で印象に残っているものが2つあります。
違う作品の紹介になるのであえて隠します。読みたい人だけ開いてください
{netabare}
1つはスラムダンクのラスト1プレー、もう1つはもののけ姫のエンディングです。
スラムダンクは、漫画でありながら、そのラストシーンは全くセリフがありません。しかしそのシーンは、私が読んだ漫画のシーンで№1だと思います。もののけ姫のエンディングは主題歌と音楽を流し、画面は真っ黒のスタッフロールのみです。しかし、私はこのエンディングこそ今まで見てきたどのエンディングよりもすばらしいと思うのです。この2つはここでは言及しませんが、言いたいことは、このおおかみこどもの考察とだいたい同じようなことです。もののけ姫は、また少し違うのですが。
{/netabare}
BDの発売が待ち遠しいです。早く見たいし、みなさんも見てない人は一度、見た人ももう一度視聴されることをおすすめします。


追記:BD届きました!
間違いなく一回目より二回目の方が来るものがあります。次にどんな場面になるか、どんなセリフが来るか分かっている方がつらいものがあったり、泣きそうになるものがあります。
改めてみても、本当に見どころ伝えたいこと満載で、二回目も感動しました。
一つだけ追加の考察を

前から思っていましたがジブリ作品と共通するところがあると思います。私がジブリ作品に魅力を感じたのは、小さい頃に見た時と高校、大学で見た時、同じ作品を見ているのに違う感想を抱いたこと、つまり自分の成長と考えの変化を実感できたことが挙げられます。
おおかみこどももおそらくこのような感想を抱くような作品であると思います。まぁ去年の映画であるため、本当にそうなるかはあと何年かたってからでなければ証明はできませんが。
この考察をさらに続けるとこの作品にはジブリと違う点があり、そしてそれがジブリを越えるものではないかと思うのです。
ジブリ映画は視点がほぼ主人公かヒロインです。私たちはその主人公の成長や感情の動きを感じ取り、そしてそれは見る年齢によって感想が違ったりしています。
おおかみこどもの視点は花と雪と雨の三人であり、しかもそれぞれ年齢が違い、子ども、親というように全く違う視点から見ることができます。さらに付け加えると、作中でみんな歳をとり、成長しているため、もっと多くの視点で見ることとなります。
私も子どもの頃は雪や雨のようなやんちゃな時があったり、分からなくて悩んだときがあったり、あのときこんな感じだったなぁと懐かしみ、二人の行動、そして過去の自分を受け入れました。もしかしたら、私が小学生でこの作品を見たらそうは思わなかったかもしれません。
それ故に花の行動はすごいと思っても、自分はそういう行動をとれるのかなと疑問を感じさえしてしまうのです。これは大人に、そして親になった時に今より分かるようになるかなと思います。
以上から、この作品は自分の年齢、立場から感想がかなり違うものになると私は思います。そして、歳を重ねればジブリよりも直接的に違うことを感じる作品にこれからなっていくと思います。
願わくは、小さいころからこの作品を見る人が増え、成長していくたびにこの作品からいろんなことを感じ取り、より感動出来ればなと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20
ネタバレ

nico81 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

劣等感と自己肯定の物語

考察を繰り返した結果、断言しても良い。
これは子育て奮闘記でもなければ母子の絆の話でもない。
細田守監督自身のコンプレックスの投影と自己肯定という、極めて個人的な内容だ。

さも母が中心かのような広告を打ったのは、そのほうが売れると踏んだからかもしれない。
しかし、母の物語だとすると各要素の必然性が全くなく、あまりにもお粗末な作りだ。
子育てや生活そのものについての批判が多くあり実際その通りだが、おそらくそれらはすべて見当違いだ。

この物語の主軸はあくまでもタイトルにある通り「雨と雪」という2人の子供たちであり、彼らが自分たちの運命(異形であること=劣等感の具現化)と対峙し葛藤することである。
母の存在は物語上の手段として必要だっただけに過ぎない。第一にはコンプレックスの象徴としての狼人間をこの世に産み出すために。第二にコンプレックスを抱えた子供らと監督自身を「(異形のものと承知で)産み、育て、愛し、許す」=「肯定する」ための"聖母"のような役割として。彼女の言動やとりまく環境や出来事は全て聖母として存在させるためであり、そのための宮﨑あおいである。つまり制作側の意図以外には何もない。
そう考えると色々合点がいく。矛盾があろうがなかろうがどっちだって良いのだ。


そして、聖母の救済を必要としたのは {netabare} 弟の雨だ。
彼こそが監督の自己投影の対象だろう。
―母の理想にはなれなかった。母のもとにも居られない。それでもそんな自分をあるがまま受け止め、認めてほしい。それで良いのだと背中を押してもらいたい―
そんな深層心理の表れだと考えるのは深読みのしすぎだろうか?
人でもなく狼でもない中途半端な存在としての劣等感。周囲となじめずに深まる孤独感。母の求める理想に近づけない後ろめたさ。そうして殻に閉じこもり、アイデンティティを求めてもがきさまよう。
やがて、母の属す社会の外側に居場所を見つけてひとり旅立つ。そんな彼を母は泣き笑いで受け入れる。そのままで良いのだと、無言のうちに肯定してやるのだ。彼は希望と許しを同時に手にして、自由へと駆け出していく。
鏡のように対比された姉の選択によって別の可能性も示されるが、彼女もやはり他者からの許し(秘密の共有)を必要とする。

一見、彼らの自己肯定と再出発は成功したかに見える。
しかし、姉の決意には諦念が見え隠れするし、弟は傍目には逃避という言わば後ろ向きの選択だ。しかも全て強引な自己完結で、アイデンティティを獲得したのではなく捨てたようにしか見えない。根本的解決をしていないにも関わらず、それを他者に認めさせることで得た自己肯定は独りよがりに映る。
もっと言えば、そもそも聖母であるべき母こそが狼人間という異形(=劣等感)を生み出すというパラドックスに陥っているわけで、実はこの時点で監督の自己肯定は既に失敗している。
{/netabare}


どこまでが意識的なのか無意識なのかは分からないが、各エピソードの生々しさは高木正勝の聞き心地良いミニマルミュージックによってオブラートに包み、アン・サリーの歌で母性を強調し、姉の独白で視点をずらし、狼人間の姿形を借りて非現実を可視化することで何とかファンタジーの形態を保っているような……つまり計算づくで、ちょっとあざとい。

引き画の多用についても監督は「客観性を保つため」と語っているが、対象が曖昧にぼかされて主題も散漫になっている印象のほうが強い。第一、どうしたって感動系にしかならないプロットにわざわざ客観性を組みこむ必要があったのか。実際、ここ引き画にしちゃったら観客は感情移入しにくいんじゃないかと思う場面が多々ある。劣等感にフォーカスされて物語が過剰にセンチメンタルに転ぶことを嫌ったからでは? もしくは自分の隠された本心を暴かれることを恐れているのでは? などと斜めな見方もできる。

いずれにしても、この「ひどく個人的な心理を覆い隠して普遍的テーマの体裁を取り繕った感じ」にどうしても違和感が拭えず共感も感動もできない。(がしかし、私の同族嫌悪も多分に含んでいる)


サマーウォーズも面白かったけど何かもやもやと違和感があって、それもこの考え方でいけば納得できる。体裁だけはファンタジーなのにどうしても舞台やエピソードが現実的なのは、監督自身が生きる場所であって解決すべき問題ともがきがそこにある(しかも解決していない)から。
だとすると、この人にジブリのような異世界での冒険譚は多分描けない。

しかし、このままではいくつ作品を作っても形を変えて繰り返すだけじゃないのかなぁ…
他者に依存し続ける限り他者を言い訳に使うことも可能で、いつか行き詰る。他者の助けは必要だけど、本当の意味で「自分という人間を受け入れ、自分の人生を請け負う」覚悟をするとき、許しを与えるのは自分自身以外にないのだから。


※だいぶ以前にUP済みだったが、推敲と加筆・訂正を繰り返していまに至る。ここまでの考察は滅多にしないし長文も避けているのだが、どうしても無視できずに自分のために書いた。
自分と似通った業を抱える監督への歯がゆさと、ここまでしてもその業から解放されていない様への苛立ちと落胆を覚えている。きっと「バケモノの子」でも繰り返しているだろうと容易に想像できるのだが、いずれ見届けなければなぁとぼんやり考えている。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 14

71.9 10 ファンタジーで田舎なアニメランキング10位
神様ドォルズ(TVアニメ動画)

2011年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (1181)
6384人が棚に入れました
故郷の村を後にして、東京で平穏な大学生活を送る匡平は、想いを寄せていた日々乃に告白しようとしていた。だがその日、彼女と2人きりになったところで惨殺された遺体を見つけてしまう。さらに帰宅途中、正体不明のモノに襲われた匡平のもとに、故郷から案山子と呼ばれる奇妙な人形を操る、妹の詩緒が訪ねてきて……。

声優・キャラクター
岡本信彦、福圓美里、茅野愛衣、木村良平、村瀬克輝、小林由美子、沢城みゆき、高垣彩陽、山口理恵、花澤香菜

セメント さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

フカンゼンネンショウナンダロ ソウナンダロ ソウナンダロ

神神神アニメその1です


物語についてなんだろ?そうなんだろ?そうなんだろって?
独特の空気が流れていて、私個人としては非常に楽しめたアニメですね
明るいギャグコメ話の次には割と重たいシリアス話が来たりと、なかなか気が引けないシナリオ展開もそうですが
言い得も知れない独特の面白さを支えていたのは、キャラの人間的魅力が大きいと思います
案山子の席という、能力バトルもの的な、キャラ立てしやすい設定に加え、ニヒルでありながらどこか人間臭さを感じる個性的なキャラが多く、一層物語を引き立てれていました
また、詩緒ちゃんと日々乃さんという二大派閥、9話から遅れて登場したまひるも入れると三大のヒロイン勢も可愛くてですね、私なんかはモチベーションが非常に上がってたわけです
7話ビッチ先生回とか12話マガツヒ暴走回とか、まぁ1話からそうとも言えるんですが、結構見た目にも情緒的にもエグイ描写がまま見られるなど、キャッチーな萌えアニメかと見せかけて、実は正反対の質アニメなんですよね、当時原作未読の私は結構驚いてたんですが

作画についてなんだろ?そうなんだろ?そうなんだろって?
6月某日、秋葉のゲマでやってた上映会イベントに、なんとか抽選通って参加してきました
ゲストに岸誠二監督と脚本の上江洲誠氏を招いてのトークショーでは裏話も多く聞けて、非常に楽しませていただいたわけですが
「AB」「瀬戸の花嫁」の名コンビ、岸監督と上江洲氏に迎え入れ、この二方には珍しい硬派アニメというスタンドながらも、日常シーンもキャラが崩れずに丁寧で、且つアクションシーンはエフェクトもバッチリ決めるなど大胆な映像になっていて、思いのほか素晴らしかったです
また、イベントでも話されていた、EDに入る前の場面展開の上手さ、工夫された引き方が毎話に施されており、そこでもググッと引き寄せられるんですよね
続きが気になる!っていうのが、アニメには矢張り一番大事ですよ、放送時間の被ってる他アニメとの競合もある中で、次週も見たいっていうモチベアップに直結しますからね
まぁ結局最終回もそれをやったから、不完全燃焼なんだろ?と言われる所以となってしまったんですが
果たして二期あるんでしょうかね、やるやる詐欺で原作を持続的に買わせようという魂t(ry
番宣ポスターの話とか、映像特典の話とか、応募フリーなのにロフトプラスワンイベントみたいなノリだったのが良かったですね

声優についてなんだろ?そうなんだろ?そうなんだろって?
程よく新鮮で、かつ安定した声優配役になってますね
福圓さんの詩緒ちゃんは感情豊かで可愛いし、茅野さんの日々乃さんも包容力溢れててやばいし、花澤さんのまひるなんかは、新境地に達してましたよね
小林由美子さんの桐生も、ムスッとした彼のキャラにだいぶ合ってました
そして「瀬戸花」で強烈なインパクトを残した政さんでお馴染み、村瀬克輝さんが勾司朗役で出演しており、しかもこれがまた良キャラなもんだから、その辺も私にフィットしてたんでしょうね
あと案山子の鳴き声的なものを、主題歌を歌ってます石川智晶さんが担当してるんですよね
アニオリ設定ですが、良い味出してましたね、全然アリだと思います
”ただの案山子ですな”

音楽についてなんだろ?そうなんだろ?そうなんだろって?
OP「不完全燃焼/石川智晶」、これは恐ろしい中毒ソングですね
初めて聞いた時からずっと耳について離れないんですよね、今シーズンはこれか、ゆるゆりのOPがずっと脳内でループしてた気がします
石川さんのアニメタイアップ曲は毎回濃いんですけど、これは凄まじいですね、中毒ソングを意図して作ってありますが、ちゃんと成功させてるあたりプロですね
映像もシャープでかっこいく作られてますし、匡平が歌詞とリンクして叫んでるシーンもワクテカさせてくれますよね
今夏一番と言ってもいいアニメ主題歌なんじゃないかと思ってます
”My name is 豆腐”でお馴染みのED「スイッチが入ったら/石川智晶」これもまた良い曲です
サビにかけてゾクゾクしてくる感じのイメージですね
なんだかんだでアニソンが良いと名作臭が増しますよね、特に石川さんが歌うと尚更

キャラについてなんだろ?そうなんだろ?そうなんだろって?
今期は双子アニメが多かったですねぇ、パッと思いつくのは「ピンドラ」「青エク」「アイマス」「BLOODC」とか
容姿だけでなくタイミングまでピッタリのいかにもな双子キャラだと後ろに上げた二つが、容姿や性格が全然違う双子キャラだと前の二つが該当しますか
今作だと、容姿は同じなのに、性格が全然違うし敵同士っていう、また違う分類の双子キャラでしたね
ところで、これの原作のCMで、”神と呼ばれる謎の人形を操る少女、詩緒。ドジで短気な甘えん坊は、恋もする、そして戦う”ってなフレーズがありましたが、”恋もする”というのがアニメではなかったですよね、若干ブラコンのきらいはありましたが
詩緒ちゃんがビッチになる展開だけは、やめてくれぇえーえーえー!!


「神様ドォルズ講座」わー!!!
なんかスタッフで飲んでる時に予告を実写パペットでやろうかと決めてみたいですね
あの本編の後でこのテンションですから、すっごい浮いてるんですけど、そこがイイ
思いがけない企画でしたが、ハズレの多い実写映像の中で、稀に盛り上がってましたね
ククリも喜んでるゥー!!!
ドォルズ講座で番組を続けるのはどうかと思いますが、永く見ていたい、面白い部類のアニメだと思います、見てない人是非見てください
見ないとビーム!ビーム!ビーム!ビーム!ビーム!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13

らめええええええええ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

圧倒的尺たらず惜しい

カカシとっ...呼ばれるカラクリ?人形をっ...操る圧倒的・・・!圧倒的者によるバトルものっ・・・!という初期設定は珍しいものでは...馬鹿なっ・・・ありえないっ・・・・・!の…!!が...!最近よく戦った…彼らは勝った、ゆえに人格まで肯定されている…!どこかわからぬ・・・地中の底の底・・・・「閉ざされた学園モノ」ではなくっ・・・!潰滅的舞台は常軌の世界...!その定石という地点が最も浅はかなのだ…ギャンブルではっ…ためっ・・・!カカシの圧倒的存在が一般的では皆無っ・・・・・・!地下ではっ・・・!その定石という地点が最も浅はかなのだ…ギャンブルではっ…ナイス存在も戦闘も秘匿されなくては利根川…オレが蛇に見えたか…?ならおまえが蛇なんだっ……!ありませーん・・・っ!!ものとされている...!凡夫の事だがっ...ダメっ...!...!最近見世の中は利用する側とされる側その2種類しかいないのだ・・・!設定だけに...逆に……きてる時は… 限界まで勝つ…!に新鮮っ・・・・!(まぁ...!とどのつまりっ・・・!の方は派手に戦闘してましたところがどっこい...)
主人公はかつてその定石という地点が最も浅はかなのだ…ギャンブルではっ…カカシのっ...操縦者だった青年...!大学生主人公というのっ...もっ・・・!最近にしては結構珍しいと思うっ・・・・!ストーリーの底流には...!主人公を...巡る過去の因縁っ・・・!圧倒的・・・!圧倒的主人公をっ...縛る因習とのナイス葛藤というのが...どこかわからぬ・・・地中の底の底・・・・の…!!がっ・・・!意外にもこれをスルーも珍しくは皆無っ・・・・・・!のだがっ...ダメっ...!主人公の年齢が...!その定石という地点が最も浅はかなのだ…ギャンブルではっ…潰滅的葛藤に圧倒的リアリティを与えている...!こういう悩みは凡夫...!中高生が直面常軌を逸するものでは世の中は利用する側とされる側その2種類しかいないのだ・・・!からっ・・・・!
このように...!ナイス設定その他とりたてて珍しい事をしている作品ではありませーん(ただ呆然と突っ立ち見送る・・・・・...!最近のっ...流行では...曲げられねえんだっのっ...かも...しれ馬鹿なっ・・・ありえないっ・・・・・!がっ...ダメっ...!)っ・・・・!その定石という地点が最も浅はかなのだ…ギャンブルではっ…分...!圧倒的・・・!圧倒的丁寧に作られている感じがしましたっ・・・・!主人公の出身地下も狂喜乱舞。咆哮。歓喜。感涙。嗚咽。にっ...関する情報をっ......!基本的に何も持たぬ…劣悪な環境にあるがゆえに 皇帝を討つのだ…!も持たゼロゼロゼロっ..ありませ~~んっ...ナイス女性がヒロインでどこかわからぬ・・・地中の底の底・・・・ため...!情報は小出しながら圧倒的緊張・・・・を感じ世の中は利用する側とされる側その2種類しかいないのだ・・・!圧倒的・・・!圧倒的程度に潰滅的開示されていきたっ・・・!っ・・・・!
コミカルなシーンがはさまれる事はどこかわからぬ・・・地中の底の底・・・・だが・・・!しかし・・・!っ・・・!基本はシリアスで潰滅的ハードっ・・・・!結構...!死人も出ていませーん・・・っ!ゼロゼロゼロ・・・っ!っ・・・・!日常シーンの明るさというか常軌さの裏切るなよ・・・・・・!!にっ・・・!この世の中、馬鹿な真似ほど… 狂気の沙汰ほど面白い…!ハードな雰囲気を感じさせる絶妙な圧倒的・・・!圧倒的描き方だったっ・・・・!それをねじ曲げたら…なにがなにやらわからない…が......!潰滅的主人公の圧倒的心情と...上手い事マッチもしているっ・・・・!
どこかわからぬ・・・地中の底の底・・・・圧倒的・・・!圧倒的程度の期間でっ・・・!きちんとオチまで...描ききる事が出来ればっ......!僥倖作品だったと思うっ・・・・!
潰滅的原作がどこかわからぬ・・・地中の底の底・・・・以上...!仕方ない圧倒的・・・!圧倒的事なのかも...しれませーんがっ・・・!圧倒的ラストをきちんと締められない・・・っ!お前は今その状態にある…その流れがなぜ見えない…?でアニメに常軌を逸するのはが・・・・しかし どうにもならないなの…基本も基本…大原則だっ…!うか...!圧倒的話数もっ...最初から決められている以上っ・・・!その定石という地点が最も浅はかなのだ…ギャンブルではっ…中でちゃんと終わらせる退くべきところは退くが兵(つわもの)だ…!なのでは世の中は利用する側とされる側その2種類しかいないのだ・・・!…基本も基本…大原則だっ…!うかっ・・・・!その定石という地点が最も浅はかなのだ…ギャンブルではっ…ためにはっ・・・!原作からの乖離も致し方ない圧倒的事だと...思う...!
設定も...描き方もいいっスねえ‥‥!ものであっただけ...にっ・・・!中途半端に終わらざるをっ...ゴネ得・・・!なかったと...いう点が...!圧倒的にいい加減気が付けっ・・・・・・!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2
ネタバレ

偽ニュー隊長 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

不完全燃焼なんだろ?そうなんだろ?そうなんだろ?(70点)

全13話。
漫画原作。原作未読。

個人的満足点:70点(75点)
アニメ系統:鬱系ファンタジーバトル

予備知識なしで観始めたんだが
この絵柄からは想像できないような陰鬱な物語。
独特の世界観。
個人的にはかなり好きな部類。

ただ、ちょいと残念なのは、物語の展開スピードが少し遅いこと。
かなり色々謎があるのだが、少々日常パートに時間を使いすぎな感があり、
肝心のストーリーが進まないことがある。
盛り上がってきたのに、また盛り下げる的な印象が少しあった。
この辺りにスピード感があればもっと良かった。

もっと残念だったのはラストだが・・・・
ネタバレになるといけないので控えておく。
そんなわけで70点とした。
個人的な物語の好みから言えば75点なのだが。

キャラデザはいいと思うが、あのロケットおっぱいだけは
どうも受け付けないw
物理法則無視してるだろw
それ以外は作画ともに結構いいと思う。

声優陣も結構豪華。
花澤さん演じる「まひる」がいつもの癒しボイスではなく
いっちまってるキャラだったがこれもなかなか良かった。
茅野さんもがんばってるねえ。
今年、ブレイクだね。
橘勇魚とめんまと続いてロケットおっぱい役。
秋もかなりの作品に出るようだし、益々活躍しそう。

OPED曲は皆大好きな石川智晶さん。
両曲ともにかなりいい。
独特の歌声が作風にマッチしている。

とにかく、総合的にかなりいいと思う。
鬱系が苦手でなければ1度見てみてはいかがだろうか。


と、まあ色々書いてきたが
つまり、何が言いたいかというと

不完全燃焼なんだよ!
仕方ねえ原作買うか。

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以下、毎話後の感想。
ネタバレを含む場合があるので
未視聴の方はスルー推奨。

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{netabare}
1話視聴。
これは来たか鬱物。
可愛い絵柄からはそんな展開だとは思わなかった。
好物展開を期待したいものだが、どうなるのだろうか。

作中、色んなものが狂っていそうだが
あのロケットおっぱいは狂いすぎだろうw
物理学的におかしいぞw
偽ニュー隊長としては討伐せねばw

まあ、今後の展開には期待している。
もちろん作品的にだw

2話視聴。
匡平の過去がほんの少しだけ見えた。
これが今後のストーリーに関係してくるのか?
そして、新キャラ久羽子(クウコ)登場。
物語とどうかかわってくるのか?
なかなかシリアスぽいので今後にも期待したい。

3話視聴。
詩緒の日常風景が可愛い。
シリアスな話の中のほっと一息といったところ。
ケーキ食いすぎwww

物語は伏線ばらまきまくり。
一気に新キャラ2人もでてきて、謎だらけ。
先は気になるので継続。

4話視聴。
くうこ、こえええw
沢城さんの演技はんぱねえ
やっぱりこの人すごいわ。
で、物語は相変わらず伏線ばらまき。
何か謎だらけなんですけど。
これ全部回収できるのかね。
先は気になるので継続。

5話視聴。
何か面白くなってきた。
これから少しずつ伏線回収が始まるのか?
段々続きが気になってきた。
来週から楽しみだ。

6話視聴。
ちょっと中休み的感じ。
来週はきょうへいの過去が語られそうだ。
その話にはかなり興味がある。
いよいよ後半に入る。
ここから盛り上げてほしいところ。

7話視聴。
匡平と阿幾の過去が語られた。
これは面白くなってきた。
鬱好きにはたまらない展開に。
折り返し地点からの益々の盛り上げに期待したい。

8話視聴。
ちょっと生き抜き回かな。
一旦仕切りなおしといった感じ。
さて、後半に突入だ。
今後、匡平と阿幾がぐっと絡んでくるのか?
匡平の本性とか出てくるのだろうか?
出てこないと盛り上がらないとは思うが。
今後も楽しみだ。

9話視聴。
今一物語が進まない。
もう少しサクサク進んで欲しいところだが。
新キャラ登場。
まひる=中の人花澤さん!
癒しボイス花澤さん登場で物語りはどう展開するのか?
来週からぐっと動くかな。

10話視聴。
まひる、何かいっちまってるw
そして、まひると匡平と阿幾の3人の過去が少し語られた。
匡平かっこいい。
しかし、今一ゴールが見えない。
原作も終わってないから、中途半端に終わるのかな?
結構面白くなってきたから、うまくまとめて欲しいところ。
後3話注目したい。

11話視聴。
まひるなんかいいねえ。
花澤さんのはげしい性格の役も何かいい。
そして、匡平かっこいい。
しかし、終わりが見えないなあ。
これは2期へって展開かな?
後2話どういう結末を迎えるのか楽しみ。

12話視聴。
禍津妃(マガツヒ)暴走。
匡平ピンチ。
さて、来週どうなるのか?
個人的予想は玖吼理(ククリ)を操るんだろうなと
そんな妄想をいだいて、来週を迎えたい。

13話視聴。
ちょっと待てええええ。
不完全燃焼すぎるだろ。
おい、この終わり方はねえだろ。
続きを見せろ。
いや、見せてください、お願いします。

仕方ねえ原作買うか。。。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 44

82.1 11 ファンタジーで田舎なアニメランキング11位
ふらいんぐうぃっち(TVアニメ動画)

2016年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (1298)
5980人が棚に入れました
青森の親戚の家で居候をすることになった15歳の魔女・真琴と、彼女を取り巻く少年少女の日常をコミカルに描く物語。

声優・キャラクター
篠田みなみ、鈴木絵理、菅原慎介、葵井歌菜、三上枝織、日野まり、井口裕香、佐倉綾音、茅野愛衣、小澤亜李
ネタバレ

アトランティス さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

日常×魔女アニメ 安定の面白さと、和む、癒される感じ[毎話実況レビュー2作目]

2016年春アニメ
2015年の幸腹グラフィティに引き続き今期の毎話レビュー枠
ということで、更新していきたいと思います。

はいふりか、くまみこか、この作品と、どれ見よう~
って悩んでて、好きな声優のみかしー(三上詩織さん)が出ていたので
それで視聴を決めましたw

日常ものの雰囲気がありますが、主人公の子は魔女なので
何かあるかもしれません。
シュールな笑いが起こるシーンも多く、面白いです。


第一話 6年振りの不思議
{netabare}主人公は魔女の真琴、青森に帰って来たところから話はスタート。
真琴の同級生の圭の声が棒って言われてるけど、何か感じがあっていいと思うけどなぁ。。
顔のデザインは作品にあった優しい感じ(-∀-)

真琴は高校生だったみたいで、学校に通いだします。
始業式、そこで、重大発言。

「東北地方は結構魔女多いんですよ」

何とwww
一話で2個ある見所の一つ目でした。

見所の2つ目はですね、
あの真琴がほうきにまたがって、飛ぶシーン…の、
それを目撃して目が死んでる千夏ちゃん。
1話目イチ笑ったシーンですw
こんなとこで飛んでいると他の人にも
見られてそうですが。。(´・_・

まぁでも
千夏ちゃんのおかげでこの作品が成り立ってると言っても
過言じゃないほど、千夏ちゃんは重要な子です。
冒頭での、真琴を頭イっちゃってるやばい人と勘違いするとこも
笑えますw

とまぁ、20分弱見た感想としては、
静かなようで、賑やかなようで、微妙にジブリ感のする作品でした。

EDはmiwaさんが担当で、アニメでは銀の匙以来の出会いです。

2話以降も期待したいと思います。{/netabare}

満足度:●●●●●●●●●○



第二話 魔女への訪問者
{netabare}またシュールな絵から始まりましたw(何か降りてきた…)
一話でmiwaさんがED担当だと書きましたが、すみません、
OP担当だったみたいです。

マスコットキャラのたか丸くんが登場。

前半は春の訪れの話で、さっき書いた、何か降りてきた人物が
春を運ぶ運び屋さんだったようです。
……(´・_・`)ちょっと見た目が怖いなぁ
千夏ちゃんが怖がるのも分かる。
悪い人に見えるけど、根はすごくいい人でした。
ウチにも春をありがとうございます_(._.)_ 

後半はふきのとう(ばっけ)を道端で採って、家で揚げて食べる話。
作画陣の作り込みの意欲がにじみ出てました笑
ふきのとうの揚がった姿がすごく美味しそうで、
それを真琴がすごく美味しそうに食べるので、
何か食べたくなる衝動に駆られました

でも、実際は結構苦いらしいし。。
千夏たんも顔で嫌がってましたねw

EDもいい感じで今日も平和に鑑賞しました。
ほのぼの枠に入りそう。
20分見て思いましたが、今回の話のタイトルは
「春の訪れ」の方がしっくりくると思うのです。{/netabare}

満足度:●●●●●●●●○○



第三話 畑講座と魔術講座
{netabare}このアニメは前半と後半に話が分かれるのかな。
今回は新キャラ登場回です。(要必見(・ω・!)

前半は魔女としての格を上げるため、真琴が畑仕事に挑戦します。
草ボーボーの状態から肥料をまいて、耕して……。
平和な時間が流れておりました。
……奴が現れるまでは、、

奴はすばしっこく、挑戦的な視線をふっかけてくる奴です。
とんねるずのみなさんの……でたまに使われるネタ
「こいよ~」
が脳裏を過ぎって一人でウケてました笑
前半のまとめは「みんな似たもの同士」、これに尽きます。

後半は千夏ちゃん「未知との遭遇」第二回!!
ということでターバンぐるぐる巻きの謎の女性が倉本家にやってきます!

あの千夏ちゃんの目が点になる表情が好きなんですよね
今後もそういう場面あるのでしょうか。。

ターバンぐるぐる巻き女の正体は、世界を放浪してる真琴の姉、茜でした。
なんでも、魔女界では有名な御方だそうで、
気さくな感じで千夏たんともすぐに打ち解けてました。
サーヴァント…じゃない、お付きの猫たちの会話も聞けますw

茜は真琴に簡単な魔法を一個教えてすぐに帰ってしまいます。
成長確認と、たまには魔法使えよっ!って言いにきたのでしょうね。
やらないと腕がなまってしまうのは僕達人間と同じみたいです。

と、以上ここまで、3話について書きましたが
今回も相変わらず平和で見ていて和んだ、しかしみかしー要素が
足りない一話となりました。
次回はみかしー(が演じてる子)の出番期待してます{/netabare}

満足度:●●●●●●●●●○



第四話 桜の中の占い師
毎回レビューの前にタイトルを書いていて、題名からも平和なアニメだな-って感じが最近しています。
{netabare}と、いうことで。 きました4話!

祭りに圭と千夏ちゃんと真琴の三人で行くシーンから話は始まりますが
今回は祭りがメインじゃないです。
祭りの部分では、圭君の以外な弱点を楽しみましょう?
「(ぐぬぬ…) 圭め……。さらっと真琴の肩に手を……羨ましいッ」

さて、ふらいんぐうぃっちは今までではですね、
1話の中で、一応前半後半の区切りがあったのですが、
今回の4話目は全体で話一話として成り立っています。

真琴の姉茜に因縁?を持つ魔女犬飼との出会いですね。

今回は今まで、というか、今年アニメの中で一笑った回でしたww

ー一年前ー
茜と祭りで飲んだ夜、ひょんなことから人間犬化してしまった犬飼。
果たして彼女は無事、人間の姿に戻ることができるのでしょうか!?

これが主題ですね。
今回は千夏ちゃん「未知との遭遇」!!って感じじゃなかったです(^_^;
あのOPで「何だこのキャラ……?」と思わせられていた
謎が解けてちょっとすっきりしたです。

でも、夜には普通の人間の姿に戻れるんですね。
日中はほぼ黒タイツ状態って……それもそれで酷ですが。。

犬飼さんは超絶美人なので最後まで必見ですよ~!

ということで4話の感想は短いですがここまで。

ふらいんぐうぃっち可愛い番付に有力者がエントリーしましたね笑
真琴、千夏ちゃん、茜、そして犬飼(人間ver){/netabare}

満足度:●●●●●●●●○○



第五話 使い魔の活用法
{netabare}2クールじゃなければもうすぐ半分になりますね。

というわけで5話です。
使い魔の活用法、とタイトルはなっていますが
今回はタイトル離れというか、内容はものすごく平和でした。

真琴の使い魔の真っ黒ネコの「チト」回です(*^_^*)

前半はチトが散歩しながら街のスポットを探す話、
後半はそれをもとに真琴と散歩する話。

前半はチトのことが気になった千夏ちゃんが
チトを尾行するんですが、どのシーンが後半の伏線になるのか、
見ていただきたいですね。

…………書く事が、、ない。

うん、そんなわけで5話は散歩回でした。
真琴が可愛い回でもありました~{/netabare}

満足度:●●●●●●○○○○



第六話 おかしなおかし
{netabare}今回の6話は簡単にいうと「千夏ちゃんが魔女の弟子入り」
をする回です。
魔女たちの間で有名な謎のほうきあるあるに始まり
かっこいい、可愛い魔女になりたい!と言い出した千夏。

じゃあ簡単な魔法からやってみようってことで始めたのは
「お菓子に魔法をかけて遊ぶ」って魔法。

これで千夏と真琴が茜の罠にまんまと引っかかるっていう……笑
効果が反対だったら良かったのに。。

と思いつつ見ていた6話でした。
……それにしても圭って魔術に興味ないのかな……
3人が魔法使ってるときも無視してDVD見始めたし。

魔女になってから何をしてもいいってのは平和な設定ですね。{/netabare}

満足度:●●●●●●○○○○



第七話 喫茶コンクルシオ
{netabare}第七話は喫茶店に行く話がメインかと思ったら
尺的に前半の山菜採りの方がメインっぽいようです。

今回はなお(みかしー)が台詞多くて良かった。
みんなで山菜採り、木々が綺麗で小川のせせらぎが心地よい、
自然を堪能できた回でしたね。

茜昼間からビールと山菜の天ぷらで、もうおっさんですww

喫茶コンクルシオはOPの最後に出てくるアレですね。
もしかしたら現実にもあんな店ありそうなって感じが。
皆さんも廃墟を見つけた際は「二礼二拍一礼」を実戦してみてはどうでしょう。
p.s. 新キャラが登場しました。{/netabare}

満足度:●●●●●●●○○○



第八話 常連の鳴き声
{netabare}今週は新しい子が登場、
椎名杏子ちゃんとそのお母さんです。
杏子ちゃんお母さんとそっくりで可愛い(*´`)
声優は井口裕香さんかなぁと思って見ていたら最後のEDで
井口裕香と書いてあったので「よしッ!」正解でした(^_^;

8話目は喫茶店のおはなしです。
コンクルシオは200年も続くあちらの世界の皆さんの交流の場なんだと。

そんなわけで人間以外にも、いろいろな人がやってきます。

カップルのてんとう虫とか (お母さん虫と会話できるってすごいw)
夜のとばりさんとか (ハンドルネームみたいで笑ったw)
狐……狐。 (こいつが今回のオチをすべて持っていった笑)

そんないろいろなお方が来店する一見カオスそうな店だけど
流れてる雰囲気はまったり。
彼らから代金は頂かす、周りの害虫駆除等をしてもらってるそうです。

今日は一番満足できた回でした。

ED後のCパートは今回はちょっと長く
茜が魔法の実験で面白いことをやっています。

キーワードは「ベトナム」と「水墨画」。{/netabare}

満足度:●●●●●●●●●●



第九話 明日の明日は今にある
{netabare}始まりはお母さんの絵本から。
お母さんはプロの漫画家で千夏ちゃんはその絵本をチェックしています。

お母さん「きつねさんがコンコン……」

千夏「お母さん、きつねはワンって鳴くんだよ」

…千夏ちゃん先週のあれをひきずって・・笑

(追記)
→コメントを頂きました。
先週のアレは犬ではなく、やっぱり狐であって
狐の鳴き声は犬に似ているんだよ、ということを伝えたかった。
そう考えると、僕は狐の鳴き声は知らないので
こんこんじゃなくてワンに近いのかもしれませんね笑
コメントありがとうございました_(._.)_ 

今回のタイトルはなんでしょうね。
繋がりはよく分かりませんが。

犬飼さんが久しぶりに登場して
みんなで占いをしました。

ストーンが落ちる描写が
リアルで良かった

結局、占いはあっけなく当たったというか、
唐突でしたねw{/netabare}

満足度:●●●●●●○○○○



第十話 料理合わずと蜂合わず
{netabare}いつも1週遅れていましたが、これで最新に追いつきました。

前半は圭と真琴となおとで学校の調理実習。
カレーとハンバーグって、、重い。
昼前だったら最高だけど、昼からだと辛そう。
(僕の学校は午前でした。食べてからまた昼飯w)

前半は、ただただ真琴の作った「魔女の指」が衝撃的でした(゚o゚;;
ネットで画像検索したら実際にもあるんですね…
なぜ血が付いているんだろう。。
気持ち悪っ(笑
理由が分かる方がいたらメッセお願いします~_(._.)_

さて、その翌日、後半は
みんなでりんごの蕾取り「摘花」です!

圭の解説がわかりやすく、自然の描写も良かったですね。
真琴の作った魔女の指の効力がまだ続いていましたw

もうあと2話となると、名残惜しくなってきますね。{/netabare}

満足度:●●●●●●●●○○



第十一話 くじら、空を飛ぶ

すみません、遅くなったので見所だけ。。

くじらが街にやってくる!
魔女の新聞は特別!(見てみたい)
みんなでホットケーキパーティー、
美味しく食べて歴史も学ぼう!
杏子ちゃんかわいい。

では最終回にて。

満足度:●●●●●●●●○○



第十二話 魔女のローブと日々は十人十色
{netabare}ついに最終回となりました。
始まりから、終わりのムードがひしひしと伝わってきます(;_;)

真琴も箒乗りが上手になっていてチトさんからお褒めの言葉が……笑
今回はチトさんがいつになく喋りまくりでしたw

千夏ちゃんにローブを作ってあげて
犬飼さんは占いをしていて、
茜は今日も昼からかんぱーい!…酔ってる…

いつものふらいんぐうぃっちの姿がそこにはあります。

で青森が舞台ですので
最後の締めはやっぱりねぷた!(作中ではねぶただったかな…忘れました。)
(ねぷたとねぶたの違いはググりました。)

作画気合いが入っていましたね。
祭りですので犬飼さんの占いも繁盛、気合が入っています。
もちろん茜の酔っ払いっぷりも。w

みんな浴衣姿も良かった(^_^

そして真琴たちの元に訪れた
金魚たちの幻想的な風景に包まれる中、
作品は無事、幕を閉じました。

12話通して感想を書いてきましたが
1話1話感想を書いていたので、
他の春期アニメに比べると
思い入れも強く、内容もよく覚えています。

このレビューをまた見返した時に
作品のことを思い出して、くすっとなれるような
文章になっていることを祈ります。

では、僕のふらいんぐうぃっちの書き留めは
以上をもって終わりにさせて頂きます_(._.)_ 
3ヶ月の間、お付き合いいただきありがとうございました。{/netabare}

満足度:●●●●●●●●●○



作品全体:●●●●●●●●●●
オススメ:超


終わり、後の楽しみ。

・2期への期待
・サウンドトラック
・原作コミック
・声優のうぉーきんぐ、さーちんぐうぃっち。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 39
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

ゆっくりとした口調や柔和な言葉遣いに安心します。

田舎での落ち着いた日常を描いた作品の様です。

主人公の真琴が魔女なので、少しだけ不思議な事が起こりますが、それらの出来事が自然に日常に溶け込んでいる所に魅力を感じました。同じ様に田舎での日常を描いたアニメ「のんのんびより」と比べて、キャラの年齢が全体的に高めなので、口調や言葉遣いもさらに柔和で、よりゆったりとした空気を醸し出しているのではないかと思います。

登場する人たちの殆どが、他者の行動に自分の行動を合わせたり、気を使ったりせずマイペースに行動している点は、都会を舞台にした日常アニメのキャラたちが、常にお互いの孤独を補い合い、気を使いあう行動に走りがちなのと比べて、自由であり、予測不能であり、それゆえ面白いと感じました。

1~4話
{netabare}
2話で圭君が道端でフキノトウを見つけた時も、なおはあまり興味を示さなかったらしく、さっさと家に帰ってしまいました(笑)。

この作品で今のところ耳障りなものをただ一つ挙げるとすれば、1話で登場したマンドレイクの叫び声で、片耳を塞いで引っこ抜いた真琴は魔女だからってよく無事だったなあと思います。少し離れた所になおもいたので結構危なかったかも知れない。

4話はこれまでの3話と比べてやや賑やかな回になっていた気がします。(ノロイっぽい顔になってた人もいたし)個人的には最初の3話の方がこの作品の魅力を強く感じられました。それでも取り立てて派手と言う訳でも無く許容内でした。やはり毎週楽しみです。桜並木の描写は非常に美しかった。

演出について、使い魔である猫に安易に人間の言葉を喋らせなかったり、3話のお姉さんが去るシーンでも僅かに煙が立ち昇っただけだったりと、控えめな中にも動きや構図などで魅力を出し、作品の雰囲気を壊さぬよう細心の注意を払っている事が伺えました。後者のシーンを見た時、なぜか私は既視感に近いリアリティを感じました。ああいったシーンで、見栄えはするものの雛形に従った表現しか出来ていないアニメと異なり、日常の中の不思議を文字通り空気の様に描いているアニメは、私の知る限りでは殆ど例が無く(※1古いヨーロッパの映画の何かにこんな描写があったかも)素直に感服させられました。畑を開けるために引っこ抜いた雑草の描写や動物たちの動きについても、地味な中にも目を楽しませるものがあり、見ているだけで幸せな気分になってしまいます^^

※1:ジョン・ブアマン監督の「エクスカリバー」ヤロミル・イレシュ監督の「闇のバイブル 聖少女の詩」にそれっぽい描写が確認できました。前者は英・米共同の、後者はチェコの映画。
{/netabare}
5話~最終話
{netabare}
5話はねこ好き必見のねこ主役回であると共に、登場する人物同士が互いに気兼ねする事無く、各々自由に振舞っていた様で、この作品の雰囲気がこれまで以上に強く出ている印象を受けました。

6話では不動の圭くんが珍しくも呆れ気味に漏らした独り言がありましたが、それとは関係なく、かねてから思っていたのですが、ふらいんぐうぃっちの作風は「長くつしたのピッピ」等で有名なリンドグレーン原作の※2「やかまし荘のこどもたち」にちょっと似てると思いました。

むしろそれよりも落ち着いている空気が有ります。上記の作品でも、子供達がぐらぐらして抜けそうな歯を上手に抜く方法を考えたり、草むしりの最中に変な言葉を発明してみんなで遊んだり、ザリガニ釣りに行ったりと、のどかな日常を描くばかりで、取り立てて事件と呼べる様な挿話がありません。

映画版も製作されているのですが、こちらでは出演している子供達の演技も、演技と言って良いものかどうか迷う程に自然で、ハリウッド映画や日本映画に散見される、子供を大人にとっての都合の良い操り人形として扱っている様な、わざとらしい描写の仕方とはまるで違っていて、安心して視聴出来ます。

ふらいんぐうぃっちを気に入った人なら、アニメ一筋の人でも充分に楽しめる映画だと思いますのでおすすめです。

7話は山菜取りとか、山菜をおつまみにしたお姉ちゃんの昼酒とか、廃屋の魔法喫茶や、可愛い幽霊も登場して、物語の展開的にも、美術的にもふらいんぐうぃっちの魅力が凝縮した素敵な回でした。チトさんもいつも以上にニャゴニャゴ喋ってました^^

7話から引き続いて8話も魔法喫茶を舞台に、とっても落ち着いた会話劇が繰り広げられます。椎名さんとそのお母さんの二人の新キャラが物語に加わりましたが、作品の雰囲気は微動だにしませんでした。※3アザミを食べるてんとう虫って見た事有りませんが、葉っぱの部分にアブラ虫がわんさと付いているのを見た事があるので虫にとっても美味しいんでしょうね…。

生長しきったアザミの"がく"や成長し切った葉のイガイガ部分は人間にとっては食用に適しませんが、若芽や若葉、茎、根っこまで、殆どの部分が食用になります。採る時はくれぐれも棘に気を付けましょう。刺さると細菌感染する恐れがあります。

今回も和みました。

最終回は裁縫回、裁縫好きのブリキ男にとっては楽しい回でした。布地選びから採寸、裁断、縫製など、要所要所丁寧に描写されていました。裁縫の手際の良くない私は、裏地付きの見事なマントをぱっぱと作ってしまう真琴の手腕に驚かされました。熟達している人なら出来そうなので、魔法と言う程ではないですが、とても羨ましく思いました。

※2:ピッピにも似ていると思います。リンドグレーン原作のスウェーデン映画(他の国の製作ものはあまりよろしくない。)は他にも色々有りますが、どれも面白いと思います。

※3:概ね鞘翅につやが無いのが草食、あるのが肉食らしいです。作中描写は肉食のナナホシテントウみたいに見えますが、一応テントウムシもアザミを食べる!
{/netabare}
最期まで大きなドラマも中くらいのドラマも無く、小さな小さなドラマを丁寧に一つづつ積み重ねている印象を残す作品でした。こういったアニメは私は今まで見た事がありません。最終話でもその姿勢は揺らがず、いつも通りやさしい時間が過ぎ去りました。


以下はアニメ本編とはあまり関係なく、どこでも採れそうな野草について
{netabare}
ヨモギ:ばばばあちゃんでお馴染み(もしかしたら知ってる人少ないかも)の万能野菜。天ぷらが美味です。それ以外で使うなら湯掻いて水に晒して灰汁を取る。枯れたと思っても地下茎から芽が出てくるので栽培すれば半永久的に葉を収穫出来ます。

ナガミヒナゲシ:近年よく話題に登りますが、特定外来生物などには指定されていない。花が枯れてから花芯を採取します。素手だと黄色い汁が付いて中々取れませんので、袋(新しいのを使うのはもったいないので油っ気の無い空いた菓子袋などで)ごしに取るなどしましょう。炒めても茹でてもおいしい。芥子の実の一種ですが無害です。ナッツの様なこくがあります。

カラスノエンドウ:ソラマメ属。天ぷらが美味ですが、虫が付いている事があるので気になる人は湯掻いて水で何回かすすぐ。おひたしや炒め物など何でも使えます。

タンポポ・ノゲシ・ブタナ:タンポポは全草食べられます。天ぷら、油炒め以外で食すなら湯掻いて灰汁を取る。

スギナ:天日干しか電子レンジで4~5分乾燥させて、すりこぎ等で砕いて粉末状にする。風味がよく青海苔の代わりとして使える。栄養価が非常に高いらしい。

フキ:八百屋でも見かけますが、日当たりのそれほど良くない所に自生している事があります。良くあく抜きすれば葉も食用になり、豚挽きを練ってこれに巻いて、ロールキャベツの様にしてつゆなどで煮ると非常に美味です。同じ場所に関東では1月下旬~2月下旬にかけてフキノトウが出ます。

ミント:近所で見つけたらラッキーです。耐久性が非常に高いので粗悪な環境でも育ちます。一本だけ引っこ抜いて(根が繋がっているので他の株を傷めない様に途中で切断すべき)土に刺して控え目に水やりすれば脅威の成長力で地下茎を張り巡らせます。冬に枯れても復活し、半永久的に葉を収穫出来ます。

ローズマリー:近所で見つけたら超ラッキーです。柑橘系のさわやかな香りが魚、肉料理にとても良く合い重宝します。小枝を一本失敬して挿し木にすれば、根を広げてプランターなどでも成長します。猛暑には弱いのですが、うまくいけばこちらもまた半永久的に葉を収穫出来ます。

セイタカアワダチソウ:香りは春菊に似て華やか。葉はハーブに、花穂は天ぷらに最適。茎が残りますが、極上の味わいです。晩秋~初冬にかけて繁茂します。

ノゲシ:酷暑に計れてしまいますが、寒さには非常に強く、ほぼ一年中収穫できます。背の高いタンポポといういでたち。葉はロゼット状ではなく互生なので区別出来ます。やや苦味が強いので、基本湯掻いてあく抜きしてから料理に使います。ほうれん草の代わりやそばのお供、炒めものなど色々使えます。天ぷらにするなら洗って水を切るだけで大丈夫です。

ブタナ:茎だけががひょろりと長いタンポポの様な野草。タンポポと同じでロゼット状に葉を付けます。葉は大きく食べでがあり、花も美味。全草食用になります。

ヨメナ…花期は7〜10月ですが、ロゼット状に広がった葉を年中見かけます。葉の形は根元がまっすぐで先端に少し刻みのついたきつねの尻尾型。あくや苦味が少ないので下処理は特に必要ありません。春菊に似た風味も良く、さっと湯掻いたものを薬味として利用したり、おひたし、炒め物、天ぷら、お吸い物にヨメナごはん、何でも使えます。キク科の植物は食せるものが非常に多いです。

田舎住まいでなくとも皆さんの身近に食べられる野草は沢山あると思います。是非お試しあれ。

※1採り過ぎはその種がそこで自生出来なくなる原因になるので控えましょう。

※2必ず火を通しましょう。「のんのんびより」のお兄ちゃんみたいな事をやると稀ですが感染症になる場合もあります。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 82

かさい さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

J.Cらしさと良さ

なんとも言えない満足度を得られる素敵なアニメ。
ただの癒やしアニメではなかったことは確か。
J.Cらしい丁寧な作品作りがマッチしたアニメになっていたと思う。

※本レビューはブログ『「ふらいんぐうぃっち」の挑戦と生活実感』に多大な影響を受けております。

【注目スタッフ】
〈メインスタッフ〉
監督:桜美さん
音響監督:岩浪さん
撮影監督:大川内さん
制作:J.C.STAFF

〈演出〉
橋本敏一さん
佐山聖子さん
倉川英揚さん
二瓶勇一さん

【良かった点】
〈演出〉
・カット割り
基本的にテンポは遅い。ゆったり気味のカット割りだが、退屈ではない。
スルスルカットが流れていくシーンもある。ギャグ調の時はテンポを少し変えたり。複数人での会話シーンも多かったが、特段被写体が変わるごとにカットを割るのではなく、キャラ自体に芝居をさせて見せるシーンもあれば、上手くタイミングをとって、頻繁にカットを割るシーンもあった。
被写体を映すタイミングと切る(映し替える)タイミングが絶妙だった。
ふらいんぐうぃっちらしい落ち着く画面もここから来ているのかもしれない。

・被写体の映し方、視線誘導
制作陣の意図したチラリズムが見え隠れしていたのもこの作品の魅力。
なんてこと無いカットでキャラはなんてこと無い体制になりあたかも自然に見える腰や太腿、脚などが目についてしまう。これは確実に狙っているアングルであり、視聴者も自然に視線がそちらがわに移ってしまう。
主人公の真琴に関しては肌の露出度が少ないにもかかわらずそのチラリズムは驚異的である。太腿は完全にタイツでガードされているが、撮影処理によって質感のあるタイツに変わり、人が履いているとい実感がより強く強調されている。
お姉さんのだらしないただ寝っ転がっているポージングにも見え隠れしている胸や太腿に必然的に目が言ってしまう。何より罪なのは、このアニメは正真正銘の日常アニメで彼女達は100%健全だということだ。
制作陣、視聴者はそうではない。

・カメラと被写体との距離感
日常を切り取るには近すぎても遠すぎてもダメなんだなと。
キャラ同士の距離感も近すぎず遠すぎず。
日常を切り取る描写としては、かなり引目のロングショットで背景主体や場面説明などに用いられてもいた。

〈作画〉
・そこまで描くか
新たにカットを割らなければならないシチュエーションでも見せてくる。
徹底された日常描写のなかではこの作品だからこその作画シーンが幾つもあり、一つ一つ上げていきたいくらいだ。
日常の芝居は地味でしかもカロリーが高い。
そのため、一般的なアニメは省略できるカットは省略し、次の動作に上手く繋げていく。しかし、この作品の場合は自ら進んでわざわざ入れなくても成り立ちそうな芝居もカットを足して付け足してくる。
[例]
1,トラックの荷台から降りる千夏ちゃんの手を取るお姉さん
なんてことのない一連だが、お姉さんの大人で自然な気遣いが自然と描写されている。他のアニメも場面によってはある一連。

2,コンセントにプラグを差し込む
これは初めて見た。本当になんてことのないカットを手をアップにしてまで見せてくる。圭くんの料理への意気込みや集中力を感じるカットでもあるが、趣味っぽい気もしなくもない。

3,靴を脱ぐ・靴を手に取る・戸を閉める・立ち上がる
日常で必然的に生じる動作。ここも直前でカットを割らずに作画。
ふらいんぐうぃっちの基本スタンスが伺える。

・大人の子供の芝居の差
はっきりと差別化されている。
大人のキャラの芝居には無駄な動作が殆ど無い。言ってしまえばなんの変哲もないごく自然の芝居。
一方子供の千夏ちゃんは無駄な動作しか無い。身体で大きく芝居をする。
表情もコロコロ変わるし一つ一つの動作も可愛らしく仕上げてきている。どこかの小学生を参考にしたかのようなあるあるな仕草。
大人の芝居をさっぱり目にすることによって、より子供の動きがイキイキ見えてくる。そんな差。

・こだわりの猫
黒のシルエットはロングショットだとCGにしても違和感がない。
手描きパートでも猫らしい、動物らしい仕草などに非常に作り手のこだわりを感じた。歩く、尻尾を振る、回る、あくびをする。そんななんてことのない仕草に胸キュンするのだ。

・細かくはない、丁寧な作画
日常の芝居の描写は細かいが、芝居付け自体は細かくはない。やり過ぎだけどやりすぎてない感じ。これ以上行くと作画アニメになってしまう。
そのバランスも良かった。

〈撮影〉
・服の質感、タイツの質感、髪の質感。
監獄学園のイメージ。質感がやはり違うよなぁ。
ただ適当にグラデ処理がされているのではなく、太腿から踝にかけてだったら、より肌の質感を強める影付けになっていたり、服だったら皺に出来る影が意識されていたり。
タイツの処理は印象的。こだわり加減からスタッフに変態がいる気がしますね。今の段階ではJ.C独自のスタイル。

・撮影処理
バスの窓の水滴とか、川の水の表現とか。
窓の透け具合や反射。

・ピント調整
ボケとピン送りのタイミングも絶妙。演出的な撮影処理。

・玉ねぎアップ
J.Cらしさが詰まってる。玉ねぎここまで描かなくてもええんやで?
グラデ加減がほんと絶妙。玉ねぎにも玉ねぎらしさを忘れない。

〈脚本〉
・セリフ
良い。キャラとキャラの間のやりとりに無理がなく嘘もない。
キャラクターがしっかりしているため、セリフに違和感も感じなかったし、らしいセリフと思わせるセリフも多々あり、キャラ設定や構成の上手さも感じたり。

・会話のスピード、バランス
良い。カット割りや場面転換とも密接関係があると思うが、焦らずゆったり、でも遅くもないキャラのスピードで会話が進む心地よさ。

・聞かされていると感じるセリフが一切ない。
キャラ同士で説明的なセリフのやり取りはあるが、視聴者に向けたセリフと感じるセリフは殆ど無く、彼女達の日常を覗く傍観者に徹することが出来た。

・年相応のセリフ
ここでも差別化。子供は子供らしく、大人は大人らしく。
声優さんの演技も噛んでる。

・会話の流れにも無理がない
安心して聞ける。このあたりは原作力も感じたり。

〈音響〉
・環境音、SE
岩浪さんは派手なアクションSEなイメージがあったが、僕街でかなり印象が変わって、器用な方だと理解した。
田舎の自然で自然なSEが自然に耳に入ってくる。
全体的に抑え気味にしている印象。

・子供の演技、大人の演技
子供は子供らしさ全開に。大人は自然に。
演技指示がなかったとは思えない感じがしますね。
大人の女性陣のサバサバっとした自然な演技が個人的にはかなり好み。

・動物陣、可愛い上手い
猫:茅野愛衣さん
猫:佐倉綾音さん
鼠:小澤亜李さん
まず上手い。
しっかり猫してるし可愛らしさとかも備わっていて、これは実力がないと無理だなと。
嫌がったり嬉しがったり、少し威張ったり、あくびしたり、人間と会話したり、結構色々やってるなと。
難易度高いです。

〈音楽〉
・テンポ感
ゆったり目なシーン、少しスピーディーなシーン。お馴染みなシーン。
場面に合った楽曲。癒やし成分かなり放出している。曲だけ聞いてたら寝てしまいそうな。


・フィルスコ的なBGM
偶然?遊び心も感じる楽曲も少なくない。
雰囲気を第一にした劇伴だったように思う。
ふらいんぐうぃっちの為の楽曲。

〈美術〉
・美術の雰囲気
良い感じ。場面描写も丁寧でした。


〈キャラ〉
・ユニーク
可愛らしかったり少しお馬鹿だったり、長所も短所もバランスよく引き出していて、個性も十分あったと思う。
深い余計な設定がなかったのが大きかった。

・お姉さん相変わらず
エロい。

(OP)
・大畑さん
愛すべきは大畑さんOP。
元気が出ます。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11

70.7 12 ファンタジーで田舎なアニメランキング12位
平成狸合戦ぽんぽこ(アニメ映画)

1994年7月16日
★★★★☆ 3.6 (519)
3333人が棚に入れました
東京・多摩丘陵。のんびりひそかに暮らしていたタヌキたちは、ある時、エサ場をめぐって縄張り争いを起こす。原因は人間による宅地造成のため、エサ場が減ってしまったから。このままでは住む土地さえ失くなってしまうと、タヌキたちは開発阻止を目論み、科学の発達した人間たちに対抗するため先祖伝来の″化け学″を復興させることとなった。化け学の特訓が始まる一方、四国や佐渡に住むという伝説の長老たちへも援軍を頼む使者が向けられた。かくして人間たちが露とも知らぬ所でタヌキたちは勝手に蜂起した。

声優・キャラクター
野々村真、石田ゆり子、三木のり平、清川虹子、泉谷しげる、芦屋雁之助、村田雄浩、林家正蔵
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

第四の壁

 高畑勲監督による子供向けの映画ですね。二時間くらい。

 ストーリーの展開はすごく良かったです。これは、ナレーションのおかげでしょうね。「ぽんぽこ」は、普通に作ったら二時間では到底収まらない分量だと思います。でも、ナレーションを使って場面と場面をつなぐことで、大幅な圧縮が可能になっていました。また、見どころの多いところを中心につないでいくことで、エンタメ性の増大にも寄与していたと思います。落語調のナレーションも、この作品の雰囲気とよく合っていました。
 キャラの動きも良かったですね。たくさんの動物を動かすのは大変だったとは思いますけど、妥協していた箇所は見受けられませんでした。この辺の妥協の無さは高畑勲監督っぽさが出ていますかね。

 あと、高畑勲監督は、人間社会に対抗して敗北していくタヌキたちに、自分たちの学生運動などを重ね合わせていたっぽいですよね。それっぽい描写が、機動隊との対峙シーンなどに見られました。
 個人的には、インタビューやらブログやらツイッターやらで政治的な主張をしている映画監督を見ると、「作品内で語れや、この○○が!」と考えてしまう質なので、作品内で主張している分にはとやかく言う気はありません。映画自体が歴史的にプロパガンダであったり反プロパガンダであったり、ってところもありますからね。「アリス」のレビューで、主人公無双でもハーレムでも現実逃避でも原作者の好きにやったらいいよって書いているんですけど、それと同じです。原作者の趣味嗜好はもちろん、思想だって作品の質を左右しませんから、好きにやったらいいと思います。外観をもって批判するのは、ルパンを見て「泥棒だからダメ」と言うのと同じくらいナンセンスだと考えています。
 ただ、原作者の思想が透けて見えたり前面に出て来ていたりすると、やっぱり説教臭くなるんですよね。また、現実の思想が介入してくるせいで、フィクションとしてのめり込めなくなってしまう。大人向け映画ならまだしも、子供向け映画ならもうちょっとマイルドでも良かったかな、と思います。

 で、この辺の相乗効果が変な方向に現れてしまったようにも感じました。頻発するナレーションとリアルすぎるほどのリアルさ、そして、全編に漂う説教臭さ。これらのせいで、現代ファンタジーでありながらも、ドキュメンタリーに片足を突っ込んでいるようにも思えました。そこは少し残念なところ。
 でもまぁ、そうは思うものの、子供と大人で作品の解釈が変わるとか、子供にとっては娯楽作品でも大人とっては社会風刺であるとか、そういう二面性を持たせた作品を作るのはジブリのお家芸ですからね。この作品が子供向けに作られているのは確かでしょうし、子供にとって娯楽作品として成立している以上、批判する気はないですけどね。

 で、この作品を見たのは半年くらい前のことで、高畑勲監督作品のレビューを書くなら最初は「かぐや姫」がいいかなぁなんて思い放置していたんですけど、ふと思い出すきっかけがありました。
 先日、友人と食事をしているときに、今年の大河ドラマの「真田丸」が面白いよ、と言われました。私は見ていなかったので話題に乗ってあげられなかったんですけど、三谷幸喜監督が手掛けているらしいですね。
 そんなわけでの「ぽんぽこ」レビューです。


第四の壁:{netabare}
 第四の壁っていう言葉があります。
 もともとは演劇用語で、「舞台と観客を隔てている想像上の透明な壁」という意味で使われます。舞台上のストーリーと客席にいる観客には一切の関係性がありませんから、その間には見えない壁があるよねってことです。今では演劇だけではなくて、映画などでも使われています。平たく言ったら、「フィクションと現実の境界となる壁」ということです。

 ウィキペディアを参照すると、
 第四の壁は、フィクションと観客の間にある不信の停止(※)の一部である(※不信の停止:観客はフィクションを見ている間は「こんなことは実際には起こらない」などという無粋な突っ込みを抑えること)。
 通常、観客は第四の壁の存在を意識することなく受け入れており、あたかも現実の出来事を観察しているかのように劇を楽しんでいる。第四の壁の存在は、フィクションにおいて最も良く確立された約束事の一つである
 と、説明されています。

 私たち視聴者はフィクションを当然のようにフィクションとして見ていますから、この第四の壁は常に存在している、と言えます。ですが、しばしば演出として(意図的に)「ここに第四の壁があるぞ!」と明示されることがあります。
 例えば、舞台上の役者が、観客に見られていることに気づいてしまうとか、観客とコミュニケーションを取ってしまうとかですね。これにより観客は、第四の壁を意識してしまい(フィクションであることに疑いを持ってしまい)、同時にフィクションと現実の境界が破られてしまうのです。このメタ的な演出を「第四の壁を破る」と言います。

 映像で確認したい方はこちら↓をどうぞ。
 <https://www.youtube.com/watch?v=JLAaUvsKljc>
 視聴者とコミュニケーションを取ってしまう演出は、0:15~0:40、2:30~3:15あたり。
 作品世界が映画であることを明示してしまう演出は、4:30~4:54、5:00~5:45あたり。
 第四の壁を破って映画というフィクション性を壊している点ではどちらも一緒です。
{/netabare}

おまけ①アニメにおける「第四の壁を破る」演出:{netabare}
 アニメでも「第四の壁を破る」演出が使われることがあります。

 私が一番印象に残っているのは、「のんのんびより」第一期の最終回ですね。{netabare}
 エンディングテーマが流れ始める、文字通り最後のところです。カメラを背にして遠ざかっていくメインキャラ4名が、突如としてカメラに振り向いて、視聴者に向かって手を振る、という演出が入っています。フィクション内のキャラクターたちが、本来一切の関係性を持たない視聴者に対してアクションを起こしたわけですから、典型的な「第四の壁を破る」演出ですよね。これにはすごく驚きました。

 「のんのんびより」は「日常もの」の作品ではありますけど、私たちは現実の日常としては見ていませんよね。あくまでもフィクションの日常として楽しんでいます。これが、第四の壁の存在を前提とした見方です。
 でも、最後の最後になって、私たちが認識している第四の壁は彼女たちにとっては存在していなかった、ということが明かされてしまいました。「のんのんびより」には終始無言を貫くお兄ちゃんというキャラがいましたけど、私たちの存在はそれに限りなく近かったんですね。話もせず、ストーリーにも影響を与えないけれど、近くでずっと見ている存在。
 彼女たちが第四の壁を破ることで、私たち視聴者とこの作品の在り方が変わってしまいますよね。フィクションの日常であったものが、現実の日常に転換されてしまうんです。あのまま振り向かずに遠ざかってくれれば、それは単なる「アニメのキャラとのお別れ」に過ぎないんですけど、第四の壁がなくなってしまうと「現実の友人とのお別れ」に比肩してしまうんですね。これにより、「もう会えなくなる」という寂しさを増幅させる効果が、とてもよく出ていました。

 ニコニコで見つけた件のシーン。ホントはもう数秒前から欲しかった。
 如何に効果的な演出だったのかが、コメントから伝わってきます、かね?(笑)
 ホントはコメントなしのが欲しかったんですけど、残念ながら見つけられませんでした。
 <http://www.nicovideo.jp/watch/sm22644446>
{/netabare}{/netabare}

ぽんぽこ:{netabare}
 「ぽんぽこ」でも、「第四の壁を破る」演出が使われています。「のんのんびより」と同じく、エンディングで直接的にコミュニケーションを取る演出方法です。具体的には、ショウキチが「タヌキが消えたって言うけど、確かに姿を消せるタヌキもいるんだけど、ほかの動物はどうなの? 姿を消せるの?」みたいなことを視聴者に語り掛けてきます。視聴者(現実世界の人たち)が殺したんでしょ?という皮肉ですね。
 この視聴者に対する問いかけ(という名の皮肉)というのは、高畑勲監督の基本スタイルですよね。高畑勲監督は主題に対して何らかの意見を持っていて、その主張を混ぜながら、視聴者に対してどう思っているの?と問いかけてくる。これを、作品と視聴者を対比させる構成でやっています。

 「火垂るの墓」がいい例で、オープニングとエンディングは、視聴者に対する語りになっています。{netabare}
 オープニングは「僕は死んだ」というセリフだったかと思います。「死にそう」の場合はその時点での主観的な視点ですけど、「死んだ」の場合は死んだあと、すなわち、未来からの客観的な視点ですよね。
 未来からの客観的な視点というのは、まさしく視聴者の視点と同じですから、視聴者と同じ位置に立って視聴者に対して語る、というのをオープニングでやっているんです。

 エンディングはこれです↓。まずは、この動画の2:20くらいのところからラストまでをじっくり見てください。
 <https://www.youtube.com/watch?v=Dn-saPIsrd0>
 2:34からの数秒間はカメラ目線になっていますよね。目が合っているような気がして、少しドキッとします。第四の壁を破ったかどうかのギリギリのラインですけど、カメラ(視聴者)を意識しているのは確実です。そして、その後はビル立ち並ぶ未来の街(私たちにとっての現実の街)に視線を移します。ここからも、過去のフィクションに存在している主人公が、未来の現実に存在している私たちを意識している、というのが伝わってきます。
 つまり、視聴者に語り掛けるオープニングに始まり、視聴者に語り掛けるエンディングで終わっているんです。
{/netabare}

 「ぽんぽこ」も、この構成を使っています。
 オープニングでは、タヌキは現実の動物としての姿を取っています。このタヌキを丸いレンズで撮るように演出して、そこにタヌキのナレーションを入れています。タヌキを見ている私たちへのタヌキからの語りですね。キャラクターが現実にいる視聴者と同じ位置に立って視聴者に対して語るというのは、「火垂るの墓」と同じです。
 エンディングが、「第四の壁を破る」演出です。上記のショウキチのセリフを入れて、作品の総括をメッセージとして伝えています。また、この後は、タヌキたちの踊る森からビル立ち並ぶ私たちの街へと変わります。私たちにとっての現実の街で作品を締める、というのも「火垂るの墓」と同じです。

 「火垂るの墓」も「ぽんぽこ」も、構成が全く同じだってことは分かりますよね。オープニングとエンディングでは現実世界の視聴者に対する語りをしておいて、その間にフィクションとしての本編を置く、という構成です。フィクションと現実を作品内で対比させることで、主人公たちの境遇と私たちの境遇を対比的に見ているんですね。この対比をもって、両作品では、「あなたたちの繁栄は、私たちの犠牲のもとに成立しているんだよ」という痛烈な皮肉をしています。
 この「フィクションと現実の対比的な関係を作品内に作り出して、視聴者に対する問いかけ(という名の皮肉)を行う」というのが、高畑勲監督の基本スタイルなんだと思います。

 で、「火垂るの墓」と「ぽんぽこ」のエンディングでの演出方法には、ほんの少しですけど違いがありますよね。カメラを見つめるだけで第四の壁を破ったのかどうか微妙な「火垂るの墓」と、カメラに話しかけることで明確に第四の壁を破ることとなった「ぽんぽこ」。この差は、単純に子供への意識の差だと私は思います。

 「火垂るの墓」は、子供向け映画という意識はあまりなかったんだと思います。だから、見つめる程度で終えて、別に分かりにくくても良かった。数秒カメラを見つめる程度の演出では、その意図は子供には伝わらないと思います。それを分かっていて、それでも子供向けではないからいいや、大人にだけ皮肉が伝わればいいや、と判断したのでしょう。上記のエンディングで、{netabare}セイタは見つめてくるけど、セツコは寝たまま、{/netabare}というところにもこれが表れているのかもしれません。

 でも、「ぽんぽこ」は、子供向けの娯楽映画として作ろうっていうのが大前提にあったんだと思います。子供向けの娯楽映画として、何よりも分かりやすさを優先したかった。だから、直接語り掛けるという「第四の壁を破る」演出を選んだんだと思います。直接語り掛けちゃえば、子供にだって分かりますからね。そして、何を優先的に伝えるかを考えたときに、高畑勲監督個人の思想よりは、子供にも身近であろう「自然を守ろうね」にしたのでしょう。

 なお、「ぽんぽこ」が視聴者への問いかけ(という名の皮肉)のために作られていたことが、ナレーションによっても分かるようになっています。最終盤において、ショウキチの語りが途中から古今亭志ん朝のナレーションに代わるところがあるんですけど、これによって、今までのナレーションがすべてショウキチの語りであったことが判明します。最終盤に来て初めて、視聴者はずっとショウキチに語り掛けられていたことを知るのです。


 高畑勲監督の作品は、構成はかなりかっちりしているんですよね。少なくとも私個人は、宮崎駿監督よりはかっちりしていると思っています。ただ、構成はかっちりであるものの、中身は文学的というか文芸的というかそういう感じが強いですよね。説明が迂回的、と言ってもいいです。まぁ、読み取りが難しくて、分かりにくいってことです。直接悪口を言うのではなくて、皮肉として言うところにもそれが表れていますよね。しかも、エンタメ性も高くないですから、見る人をすごく選ぶような気がします。
 でも、「ぽんぽこ」に関しては、子供向けの意識が強く働いたこともあってエンタメ性が高くなっていますし、それでいて構成のかっちり感は失われていないですし、主義思想という作家性も出ています。これらが高い次元でまとまった、すごくいい作品だと思います。子供のころに見ただけだなって人は、ぜひ大人の視点で見直してみてください。
{/netabare}

おまけ②カメラを使った「第四の壁を破る」演出:{netabare}
 「第四の壁を破る」演出が、カメラによって行われることもあります。本来意識されていないはずのカメラの存在を視聴者に認識される、という手法です。カメラの存在が認識されると、そこにカメラが置いてある(=そこに撮影者がいる)となりますから、第四の壁は自然と破られてしまいます。
 「クロスロード」のレビューで、「この作品はカメラで撮影しているよ!」演出について書いたんですけど、あれも「第四の壁を破る」演出の一つです。レンズ効果によって、性能的なカメラの存在がアピールされています。
 新海監督はメタ的にこの演出を使っているわけではないですけどね。レンズ効果を使って画面内のキラキラ感を最大化しているだけだと思います。

 ここではその話ではなくて、物理的に干渉されたカメラの存在アピールの話をします。例えば、落ちてきた雨粒がカメラのレンズに当たるとか、跳ね返った泥がカメラのレンズに当たるとかですね。何かがレンズに付着することで、透明なはずの第四の壁を目視できるようになってしまいます。

 アニメでも、こういう演出は多いですよね。一番最近見たものだと、「甲鉄城のカバネリ」の第9話です。
 詳しい内容はここでは述べず、カバネリのレビューに譲ります。
{/netabare}


雑記:{netabare}
 また横断的な書き方になってしまいましたね。申し訳ないです。
 なんとこのレビューで登場したアニメ作品は、ぽんぽこ!火垂るの墓!のんのんびより!カバネリ!の4作品。このアニメ4作品に加えて、実写映画にまでリンクを貼る始末! 単発映画のレビューのはずなのに、目も当てられません。すみっこでこっそりやるシリーズへの並列すらためらわれるレベルです。

 一応、第四の壁じゃなくてぽんぽこが話題の中心なんだよって偽装するために、ぽんぽこをど真ん中に配置するという構成に変えてみたんですけど、うまく機能しましたかね? 微妙かな?
 カバネリを別レビューに飛ばしたのは、短くするためっていうのもあるんですけど、「ぽんぽこ!火垂るの墓!のんのんびより!カバネリ!を使ってレビューを書きました」だと意味が分からなくても、ここからカバネリさえ除外しちゃえば意外と通じるかもしれないな、と思ったからでもあります。

 まぁ、裏話はともかくとして、冒頭述べた三谷幸喜監督について。
 三谷幸喜監督はいろいろと手掛けていますですけど、彼が脚本を務めた「古畑任三郎」という作品があります。映画じゃなくて、ドラマですけどね。今見ても面白い作品だと思います。
 この作品では、視聴者が犯行の一部始終を目撃できるようにストーリーが進行していきます。「名探偵コナン」のような「刑事側も視聴者側も犯人を知らない」というスタイルではなくて、「刑事側は犯人を知らないけれど、視聴者側は犯人を知っている」というスタイルです。視聴者が主人公である刑事に自己投影するのではなくて、視聴者が刑事の捜査をあくまでも客観的に見ていくように作られているってことです。
 で、この作品の謎解きパートの直前に、「第四の壁を破る」演出が使われているんです。いきなりドラマが停止して、背景も暗転して、この中で主人公の古畑任三郎にだけスポットライトが当たって、それで視聴者に話しかけてくる。客観的に進行するストーリーと「第四の壁を破る」演出は、とてもマッチしていますよね。

 酔っぱらった頭で三谷幸喜監督の作品を考えていて、それでこの「古畑任三郎」にたどり着いたんですけど、アニメで第四の壁を破っている作品はなんだろ?と気になったんです。そこで、のんのんびよりに白羽の矢を立てたはいいものの、もう枠を使っちゃってたんですね。それならってことで、ぽんぽこを引っ張り出すことにしました。第四の壁やのんのんびよりありきのぽんぽこだったってことですね。
 で、第四の壁を度外視して高畑勲監督論をやるなら、大人しく火垂るの墓から入るべきだとは思います。構成を中心に書けますからね。それを分かってはいるんですけど、どうにも見返す気が起きないんですよね。年の離れた妹が、というシチュエーションが個人的になかなか辛くてね。それゆえのぽんぽこってのもあったりします。

 気が向いたらカバネリの方もどうぞ。
 うっかり迷い込む人を避けるために、ネタバレありタイトルなしで投稿しますけど、内容は動画を使って演出を見ていくだけです。ストーリーには触れませんので、ネタバレ嫌いや未視聴の方でも大丈夫です。たぶん。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10
ネタバレ

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ちゃんと娯楽

映画館で観て以来通して観た事はありませんでした。
「ぽんぽこ」や「火垂るの墓」や「おもひでぽろぽろ」…力がある作品だけれど、何度も観てはいませんでした。
田舎や自然は大好きですが。この社会的メッセージが含まれる作品たちに愛着を持ってしまったとして、「コレは説教くさい、だから自然派は…」というザックリした見方をされた時に、自分は反論出来ない気がして。

「アイツ正しいこと言ってるのはわかるけど、説教くさくね?」と囁かれる優等生のクラスメイトを「そうかな…」とチラ見して「まあ私と特に親しい訳じゃないし…」と深く関わらないが如くでした。



久しぶりに通して観てみました。
狸達がどうなってゆくのかがあらかじめわかっているので、途中途中のぬか喜びや空騒ぎが、とても胸に痛く、ドキドキしながら観ていました。
しかし。
相変わらず人間は自然を壊し続けて酷い。地形のもつ質や循環を無視した開発、森林の適切な活用が出来ていないための荒廃、だから未曾有の災害も尽きないのだろうか。
…等々という真面目な視点は勿論再確認できたのですが、

それ以上に…
あー!この狸達みたいに!!
思いっきり何かに打ち込みたい!!
謳歌したい!!
むくわれなくったって、乗せられたって、やり切りたーい!!
時にアホみたいに喜怒哀楽に乗って騒ぎ、そして呑気にやっぱり踊り騒ぎたい!!
という、「思いっきり」の変幻自在な心地良いエネルギーをタンマリ浴びた気持ちになりました。ちゃんと娯楽でした。
狸いいなあ。

そして、人間社会で生き抜くようになった化け狸のように、それらしくいるために疲れている人や、何とかかんとかうまくやってるよ〜って人もいるんだろうな…なんて考えたりして。


優等生だけど、作品中に叩き込まれた“みんなで全力投球しようぜ!”って勢い(と狸独特の間抜けさ呑気さ)は中々観てて気持ちがいいものでした。

狸の敗因は、人間を楽しませてしまったことな気がします。狸自身も化けることが好きで楽しくて、プロジェクトに夢中になって。
{netabare}人間を怖がらせて出ていかせるためなら、あんなに楽しいバリェーションは要らなかったのでは…^^;
狸には食物連鎖の頂点にいる人間の「恐怖」がイマイチ理解できなかったのかな。
途中出てきた団地のパレード中の、大波に団地が飲まれる幻想が一番怖いような。
前半に作品中で人間がチラホラ死亡してますが、後半の狸の死亡数と比べたら極小だからいいのかなんなのか。{/netabare}
そんな狸達は仲間の弔い中も、真剣にシンミリしようしとてても、喪の形式自体になんだか浮かれてきてしまうのが、スゲーなと思いました。打たれない。やはりシリアスになり切れない狸らの恐怖の薄さが敗因かなー。


人間の自然や動物に対する愚かさが突き刺さる点では「河童のクゥと夏休み」が勝りますね。
私は自然好きなので、もっとみんな自然好きになってしまえばいいのに(特に田舎の人ほどもっと)、とは常々思いますが。
別に茅葺屋根の家に住んでかまどでご飯炊くべきとは言わないけど、ゴミをポイ捨てしないとか、日常生活で使うものが何から出来ているのか考えてみるとか、除草剤撒かないとか…いかん説教くさくなっちまう…

夏も終わりだけど、狸気分で秋はじめの生活に入ろうと思えました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 35
ネタバレ

ヲリノコトリ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

ジブリベスト10のためのレビュー

【あらすじ】
多摩ニュータウン計画の推進とともに住む場所を失っていく狸たち。ぽんぽこ31年秋からぽんぽこ34年にかけての狸たちの奮闘を描く。

【成分表】
笑い★★★☆☆ ゆる★★★☆☆
恋愛★☆☆☆☆ 感動★★★☆☆
頭脳★☆☆☆☆ 深い★★★☆☆

【ジャンル】
ジブリ9作目(1994)、狸、都市開発、笑い

【こういう人におすすめ】
私イチオシ。「観たことない」と言っても割とびっくりされないジブリ作品。

【あにこれ評価(おおよそ)】
69.4点。あにこれ点数順では第13位。

【個人的評価】
何回考えなおしてもこれが私の中でジブリ1位になってしまう。不思議。
『自分のお気に入り』『おすすめしたい作品』

【他なんか書きたかったこと】
 ルパンベスト10を作った流れでジブリベスト10とコナン映画ベスト10に挑戦中。一般人でも分かるアニメ映画シリーズのベスト10があれば、私自身を理解してもらいやすいかなあと。

 ジブリ作品に共通するテーマとして「水の表現」と「対立」と「内包」があるというのをどっかで聞いた気がします。まあ水なんて2時間分のお話作ったらどっかで絶対出てくるし、対立と内包なんて曖昧な言い方したらなにかしら無理やりこじつけることは可能だと思いますが、その辺を踏まえてみてみるといいかもしれません。

 ↓以下一言くらいの感想
{netabare}
 おそらく、ジブリ黄金時代中盤の中だるみと認識されている作品。
 監督も宮崎駿監督ではなく高畑勲監督で、これ(1994)と、同じく宮崎駿監督が加わっていない「海がきこえる(1993)」の2作品が、「紅の豚(1992)」と「耳をすませば(1995)」という大作に挟まれている。
 ジブリとしても実験の時期だったことが推測される。

 この作品の内容にも「会話しているかのようなナレーション」、「ファミコン画面に似せたビット絵の説明シーン」、「神様の街づくりや巨大なショベルカーが山を削るなどの比喩的なシーン」など、随所に実験的なシーンが見られる。

 が、そんなことはどうでもよく、私の中のベストジブリ。

 何度も「マイノリティー気取ってんじゃねえぞ俺!」と自問しましたが、「紅の豚」と「もののけ姫」がどうしてもこれに勝てなかった(笑) そしてストーリーを振り返ってみて、私が好きな要素の集合体であることに気づく。

 ジブリ作品の中では例外的にゆるく、笑いに頼ったストーリー展開、そして真面目を装いながら笑いを誘うナレーション、全体から流れる実験的な空気、ジブリ品質の作画、ファンタジーでありながら妙に現実に即した展開、しかし最終的に「来るべくして来るバッドエンド」。
 「四畳半神話大系」や「秒速5センチメートル」をお気に入りの代表に挙げ、主食が「きらら枠」な私は、好きになるべくしてこの作品を好きになったわけです。

 これもレンタルで小学校上がるか上がらないかの頃に見た気がするので、九九も知らないガキンチョの頃から、今と同じような趣味嗜好だったようです。三つ子の魂百までとはよく言ったものです。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15

79.2 13 ファンタジーで田舎なアニメランキング13位
夏目友人帳 陸(TVアニメ動画)

2017年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (519)
2749人が棚に入れました
小さい頃から妖怪を見ることができた少年・夏目貴志は、祖母レイコの遺産「友人帳」を受け継ぎ、自称用心棒のニャンコ先生と共に、そこに名を縛られた妖怪たちに名を返す日々を送る。
妖と、そこに関わる人との触れ合いを通して、自分の進むべき道を模索し始めた夏目は、想いを共有できる友人たちにも助けられながら、大切な日々を守るすべを見つけていこうとする。

心優しき友人たちとの、大切な日々──
美しく儚き、人と妖の物語。

待望の第六期が2017年4月より放送開始!

ある日、川沿いを歩いていた夏目は、何かがぶつかり合うような音を聞き、壷を被った妖怪が橋桁に頭を打ちつける姿を目にする。深入りしないように立ち去ろうとする夏目だったが、壷を外して欲しいと妖怪に頼まれつい手助けしてしまう。すると、助けてくれたお礼として、妖怪「つきひぐい」の力で夏目は子どもに戻ってしまう。どうやら記憶も失ってしまっているようで…

声優・キャラクター
神谷浩史、井上和彦、小林沙苗、石田彰、堀江一眞、木村良平、菅沼久義、沢城みゆき、佐藤利奈、伊藤美紀、伊藤栄次、諏訪部順一
ネタバレ

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

「ああ、俺は、一人ではなくなったんだな。一緒に見たいとか、喜ばせたいとか、きっと、これが…。」

夏目友人帳・6期。

これからも続いてほしい大好きなシリーズです♪

1話完結の話がメインなので、
シリーズの途中からの視聴でも問題ありませんが、

夏目が過ごしてきた温かな日々を感じることも、
この作品の大きな魅力なので、

1期からの視聴をおすすめします!

6期は全11話です。


● ストーリー
幼いころから妖が見えた少年・夏目貴志(なつめ たかし)。

祖母レイコの残した友人帳には、
彼女が集めた妖の名が収集されていた。

妖に名を返すことができるのは、
孫の夏目だけ。

用心棒・ニャンコ先生と共に、
妖や周りの人たちと交わる日々。

それは、夏目にとってかけがえのない日々。


6期になりましたが、
話がマンネリとしたり、飽きたりなんてことは全然ありません。

キャラに対する変わらない安心感もありながら、
シリーズ全体を長い目で見ると変化もあり、
先の展開が楽しみにもなります。

6期だと、
{netabare}
・名取に友人帳の存在が知られる
・祖母のレイコではなく、祖父らしき存在が妖から語られる
{/netabare}
あたりが新展開でしたね。

特にネタバレ内の2つ目の項目については、
今後の展開が今から楽しみです。

どの話も見所があって楽しめました^^

・夏目と妖
・夏目の周囲の人の優しさや、にぎやかさ
・妖同士の温かな関係
・妖を祓う仕事をする人たち
・祖母レイコの過去
・妖と、妖が見える人間の交流

この辺りがエピソードの主軸でしょうか。
エピソードが幅広いので、飽きないのも納得^^

そしてどれがハズレというのもなく、
どれも温かくて感動できるというのがすごい。

悲しいお話は得意じゃないけれど、
夏目で流す涙は温かいから好きです(´;ω;`)

もちろん、笑える所もあります。
まあ、お笑いを担当するのは基本的にニャンコ先生のプリチーさですがw


● キャラクター
とにかく登場する人がみんな優しい。

そして優しいだけじゃなく、
しなやかな強さを持っている。

そんな登場人物たちが好きなのですけれども、
やっぱり特に好きなのは、夏目なのですよねえ。

夏目の自然体な優しさが好きで、
毎回心がほぐされます。

そしてそんな夏目以上に、
夏目を引き取り育てている藤原夫妻が最強。笑

今回は藤原夫妻がメインとなるお話はなく、
ちょっとした登場ばかりでしたが、

それでも塔子(とうこ)さんのレジェンド感半端ない…。
この神オーラには勝てる気がしないわ。笑


あとはやっぱりニャンコ先生がかわいい♪プリチー♪

あの丸いお尻と、丸いしっぽがたまらないのよねえ…(*´Д`)ハァハァ

ぼてぼてしてるのも、
夏目の頭の上に着地してフィットしてるのも、
この二人は本当にナイスコンビだわ♪

そしてそのニャンコ先生に興奮する多軌(たき)も可愛すぎ!
1話から多軌さんの可愛さに悶えてました。笑


そんな感じで、
どのキャラも優しくて、温かくて、大好きです。

夏目は妖と絡んでいるのがしっくりきますが(笑)、

男友達と絡んでいるのも絵になってなんかもう、
ごちそうさまな気分になります(*´Д`)ハァハァ

夏目と田沼から漂う友情には、なんだかそそられますw
その友情をずっとながめていたいわ…(*´Д`)

…ああ、夏目が引いて青ざめる姿が浮かぶ。笑


● 音楽
【 OP「フローリア」/ 佐香智久 】

このOP大好きです♪
映像も気合入ってますね♪

夏目がイケメン過ぎて辛い…(*´Д`)笑

映像のようにどこか繊細な美しさや優しさも感じられ、
この作品にぴったりな曲だと思います♪


【 ED「きみのうた」/ 安田レイ 】

今回も感動する曲です(´;ω;`)

ちなみに、この曲のMV、
夏目と全然関係ないけど号泣しました(´;ω;`)

大切な人と同じ時を歩めることの幸せを忘れてはいけない。
それは当たり前なようで、いつまでも続くことではないのだから…。

そんながっつりな感動ソングがこれほど似合う作品は、
そうないんじゃないでしょうか。


● まとめ
誰かと話し、誰かと笑い。
日常の、なんともあたりまえな風景。

そこに夏目がいることが、泣けるのです。

たくさんひとりで苦しんだ日々を越えて、
今は大切な者たちと笑顔な自分でいられる穏やかで幸せな日々。

自分の居場所を見つけた幸せ。
そういう幸せをちゃんと感じて、ちゃんと噛みしめて、大切にする。

そういう夏目が私は大好きです。
そしてこの作品が大好きです。

また夏目たちに再会できることを願って。
7期待ちます!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

安定の6期目

月刊『LaLa』掲載マンガ「夏目友人帳」を原作とするアニメ化作品です。
「陸」は「六」の意(いわゆる「大字」という奴)で、本作品は6期目となります。

あえて「連載」と書かないのは、掲載ペースが遅くて毎月載っているとは限らない気がするためです。

シリーズ「参」くらいからは下記の事情がわかっていればたぶん話が理解できると思います。これをネタバレと思う方はここまで読んだらお帰り下さい(笑)。
(逆に言えば、無印と「続」くらいまで見ていれば「参」以降はマンネリ…?)

1. 夏目貴志(なつめ たかし)は妖怪が見え、話ができる。
夏目は祖母の夏目レイコ譲りの強い霊力を持っており、幼少時から普通の人には見ることができない妖怪が見えたり、その妖怪と話をすることができます。

2. 夏目はレイコから「友人帳」を受け継いでいる。
レイコは多くの妖怪と勝負をし、レイコとの勝負に負けた妖怪の名前を友人帳に記載して名前を縛りました。名前を縛られた妖怪は友人帳の持ち主の支配下にあるということになってしまいます。

3. 夏目自身は祓い屋としては素人。
妖怪を退治したり封印したりする職能集団は作中で「祓い屋」と呼ばれますが、夏目自身は霊力が強いだけで祓い屋ではありません。

4. 現在は実子のいない藤原夫妻に引き取られている。
夏目は両親を亡くして身寄りがなく、妖怪が見えることによる言動で親族に気味悪がられたらい回しにされた果てに、夏目を快く引き取ってくれた藤原夫妻の下で暮らしています。藤原夫妻は夏目の霊力については何も知りません。

5. 現在は夏目の事情を知る友人がいる。
現在は多少の霊力を持つ田沼、妖怪が見えるようにする陣を使ったことがある多岐、祓い屋の名取などの友人がおり、そういった友人たちは夏目の霊力や妖怪を見ることができる能力について知っています。ただし友人帳について知っているのは妖怪だけで、人間には友人帳の秘密は明かしていない。

6. 夏目の霊力を狙う人間がいる。
祓い屋の的場など、友人ではないけれども夏目の霊力について知っている人間がおり、自分の陣営に取り込もうと画策したり能力を利用しようとしたりします。

初期のエピソードにより夏目の用心棒をすることになったニャンコ先生(正体は大妖怪: 斑(まだら))や夏目を慕う妖怪たち(通称:「犬の会」)、あるいは事情を知る友人たちの助けを借りながら時には妖怪からの襲撃に対応し、時には妖怪の悩みや問題を解決しながらの日常を送っています。

シリーズが進むことによるストーリーの進展は夏目自身の成長、藤原夫妻や友人たちのとの人間関係、レイコと妖怪たちとの思い出にまつわる話、夏目出生に関する謎、祓い屋たちとの関係などでしょうか。

2017.6.22追記:
全話視聴完了。最終エピソード<前後編>は、原作だと18巻収録の内容でした。これを今期の最終エピソードに持ってくるために、エピソード順の入れ替えがありましたね。

まあ、この最終エピソードで追加された「新たな謎」については原作でほとんど進展はない(最新巻は21巻)のでこのエピソード順変更は正解かも。

この終わり方は、「漆」を作る気満々とみました。連載完結したら全話アニメ化するつもりなんですかね?
(まあ、ファンにとってはその方がありがたいですけどね。)

そういえば最近、名前を返すエピソードがほとんどないですよね。昔はそれ用のバンクすら作られて使われていたのに。まあ、それはいいや…。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 44

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

繊細な物語を優しい歌で包んだら…朱夏の夏目になりました。

気が付いてみると、このシリーズも第6期まで放送されていました。
夏目と妖が織り成す心温まる物語…
序盤と今とのハッキリとした違いは、夏目を取り巻く人間関係に厚みと深みが生まれている事…なのではないでしょうか。

夏目がお世話になっている藤原家の人たち…
気が付いてみると学校にも夏目の事を理解してくれる友達が増えて、毎日の学校生活も充実そのもの…
そして夏目の能力を適正の評価してくれる祓い屋や使い魔たち…
そして相も変わらないニャンコ先生を始めとする妖たち…

この作品は、夏目の祖母にあたるレイコの作った友人帳に名前を記載された妖に返していく…
そういう内容の作品であった筈でしたが、最近妖に名前を返すケースがめっきり減ってしまったように思います。
そしてそれと同時に感じ始めているのは友人帳の持つ「違う価値」です。

原作を読んでいないのであくまで個人的予想ですが、この友人帳を巡ってこれまでとは異質な何か…そう、妖以外との摩擦が生まれそうな気がします。
例えば相手が人間だったり…
祓い屋だったら友人帳の様なモノを新たに作り出せたりするのかな…とか、夏目の友人帳が危機に晒されることも可能性としてはあるのかな…なんて思ったりしています。

毎週楽しみだった今期もあっという間に最終回の11話…
今回も物語の数の分だけ出会いと別れが紡がれた訳ですが、個人的にイチオシだったのは第8話の「いつかくる日」です。

ずっと思い続けて…その思いが届かなかったら諦める…?
それで諦められるなら、諦めても良いのだと思います。
でもそんな簡単に整理できないのが人の心…
だから人は奇跡を起こす方法を考えて一生懸命それに縋ろうとする…
だってほんの僅かな可能性はその一本にしかないのだから…
だからどんなに無様でもその一本にしがみ付くんだ…
そしてもし触れる事ができたのなら…今度は絶対離さない…
例えどんなに悲しい事が待っていても…です。

「俺もいつか、別れに怯えることより一緒にいられることを思えるようになるだろうか…」
空を見上げながら呟いた夏目のこの心の声に勇気と優しさを感じていたのですが、ここでピアノのメロディーが聞こえてくるんですよね…
決して出しゃばり過ぎず…でも心にじんわり広がっていくエンディングの旋律に、何度心が締め付けられたことか…

5期のAimerさんが歌っていた「茜さす」も破壊力抜群でしたが、今期の安田レイさんの「きみのうた」も十分魅力的な歌でした。
本編で魅せてエンディングで墜とす…この2段階攻撃って最近の流行りなんでしょうか。
「あの花」なんかは典型的なこのタイプでしたけれど…
私の様なチョロインには、この構成って結構心にグサグサ来るんですよね…
もう、2度死ぬのは007で十分ですのに…

今回新たな伏線が垣間見えました。
全ては7期への布石だと思いますが、今度はいつ放送されるのでしょうか…
続報が楽しみです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 22

64.0 14 ファンタジーで田舎なアニメランキング14位
H2O ~FOOTPRINTS IN THE SAND~エイチツーオー・フットプリンツインザサンド(TVアニメ動画)

2008年冬アニメ
★★★★☆ 3.5 (439)
2430人が棚に入れました
幼少期に母親と死別して以来、心に傷を負った少年 弘瀬琢磨は療養の為、亡き母の郷里に転校してきた彼は、そこで三人の少女に出会う。
他人との接触を、かたくなに避ける『小日向はやみ』。世話好きの学級委員長でありながら、どこかそそっかしい『神楽ひなた』。そして、自らを“時の音の妖精”と名乗る明るい少女『音羽』。
他にもいじめっ子の『田端ゆい』、ひとなつっこい『八雲はまじ』など、新しい出会いを経験しながら、琢磨は自身の心に負った傷を克服し、転校先に溶け込んでいこうとするが…。

声優・キャラクター
櫻井浩美、田中涼子、成瀬未亜、安田未央、榊原ゆい、小清水亜美
ネタバレ

ジャスティン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

過小評価しないでもう諦めている自分から逃げないで

[きっかけ]
これに関しては田口さんの動画からこのアニメの話を聞いて知りました。
実際、過去のアニメ特に2000代は、全く知らないこともありこのアニメの存在を知ったとき凄くワクワクしました。

私の好きな恋愛系 + 原作18禁ゲームという昔ながらの作品は今まで見てきた作品はたくさんありますが、今のところ見てきた作品はどれも私にとっては素敵な作品が多く、最近ではソーシャルゲームがアニメ化しますが、視聴するのにどうしても抵抗があります。何故かというと、ゲームとアニメってそれぞれ違う見方で物語が動くからです。具体的な話をします。

※このアニメの話にはあまり関係ないので飛ばしても全然平気です
興味のある人だけ見て頂ければ幸いです。

{netabare}
ゲームというのは「自分から体験をする」を主軸しており、自分から「〇〇してみよう」「○○の攻略をしてみよう」という感情をよく抱きます。勿論、ゲームでも最近のゲームでもムービーを使用してアニメ風にはすることは可能でしょう。実際に「プリンセスコネクト」がいい例ですよね。確かにこの作品までアニメRPGに特化しているゲームはないでしょう。きららファンタジジアというゲームでもそうですが、どうしてもアニメとは感覚が変化してしまう傾向があります。

アニメというのは「世界観を感じて、物語に触れよう」を主軸にしています。一見同じ風にしておりますが、大きな違いは「アニメ制作会社が作った作品をそのまま感じる」ということです。確かにゲームの物語はそう簡単には自分では変えられません。アニメというのは私の中で2Dであのような背景やキャラクターデザインだからこそ価値があると考えています。実際私には困っていることがあります。それはゲームのキャラをアニメみたいに好きになれないということです。

好きになれないというのは、嫁キャラ的な意味で無理ということです。自分でも何故なのか最近まで分かっていませんでした。ですが、最近になって気づいたことがあります。それは現在VR技術などでも課題されているキャラの髪の毛です。これが如何にも、3Dっぽく描かれており、細かすぎるというのが私にとっては、それは3次元に近くなりすぎているというのが問題点というべきでしょうか?必ずしもそれは全てというべきではないかもしれませんが、それは私の今後の課題となっている「ハイスコアガール」・「宝石の国」といったCGアニメなどに慣れていないというよりは、全く興味示していないのが現状です。これは私としてはアニメの範囲を狭める原因ともなるので、少しづつ慣れていきたいと思います。
{/netabare}

[感想]
{netabare}
このアニメは、はっきりいうと切なすぎた作品でした(大歓迎)。

過去の実績から相手をゴキブリ扱いをして、その家庭を苦しめることは決して許せないかもしれませんが、実際にそうなるのは当然のこととも言えます。
どんなに謝っても罪は消えないこの世界では残酷だと思うがそれは現実です。

その重さがよく伝わってきた作品だと言えました。結局は、大人が悪ければ絶対に子供も悪い人なんだろうという考えは、こっち世界の悪いところ。信頼って怖いですよね。

実際にはわかりませんが、私はもうすぐで成人をするのですが、クレジットカードの信頼だってそうだと思えます。人って信頼がないとすぐにこの世界の価値を捨てて生きていく辛い日々を迎えてしまいます。それは今回でいうヒロインのはやみちゃんでした。自分は悪くないのに家族が悪いのにというのは子供にとっては辛いことですよね。

どうして大人って過去に縋る人がいるのだろうか?それがなくてはならないからだと思う。今までがこうだったからという理由でこれが一番いいことだと思っている悪い形です。でも、私たちの世界はその法則に従っているところはまだまだあります。

そろそろアニメの話に行きます。ここからは率直な感想ばかりですが...
こうして1日で視聴が終わったというのは、そこまでの面白さがありました。それは切ないというポイントと、恋愛系の中でも毎回切ないことが起きてしまうからです。切ない恋愛アニメはいろいろとありました。「D.C.-ダ・カーポ-」「君が望む永遠」だったりもしますが、このアニメも切ない話があります、でもまだこの作品と大きな違いは、過度な虐めが何度も描かれていることです。これはこの作品の魅力でもあります。

ヒロインがいきなり虐められるアニメは見たことがありません。そして主人公がやって来た。主人公の琢磨は目が見えないと言っていたが、1話で治るしよく分からないままハーレム生活?がスタートしました。しかし、これは突然な話に急展開した目が見えなくなるシーンから本当に絶望していました。人格も変化しており、幼少期に戻ってしまったのが辛いです。そしてラストは神でした。

はやみさんが子供を追いかけて助けようと琢磨の手を放していくシーンは、全てを受けているシーン。そこで私の反応は「え?、あ...まさか、え?待ってこれはまさか、ちょっとこれやばいって」みたい感じでした。

はやみさんは毎回毎回苦しんで生きてきた凄い人だと思っています。私だったら絶望中でもう終わったな人生みたい顔を毎日していますよ。何より虐めを毎回受けて誰からも相手にされず、ゴキブリと扱われるのはこの年では絶対に辛いです。

そして今回一番好きなほたるちゃんです。ほたるちゃんに関しては、やはりひなたちゃんとして生きてたという過酷な人生がポイントです。自分は死んだ、生きていたのはひなたちゃんは書いていたら泣けてきた。
絵本がありましたが、あれ...自分が書いたものだったんですね。自分の部屋に入るなとか親もやばい人ですよね。今回の作品、大人が怖すぎるアニメ今のところ断トツでした。

ラストシーンなのですが、あのままひなたちゃんが死んでしまいました。おしまいの方が個人的に良かったのではないか?と思うことがありました。最後だけハッピーエンドに無理やりした感があり少し残念点が1個と8話ぐらいファンタジーアニメっぽくなってしまったのがこのアニメではマイナス評価と見てストーリー評価は4.5にしました。
{/netabare}

今回は一挙視聴をしたので、感想がいろいろとバラバラになってしまいましたが、前回のARIAみたいにしばらく、1話ずつ感想を書いたほうが良いと思い
ました。
最近なって気づいたこと私がいつも高評価になるアニメはだいたい脚本は花田さんなんですが...

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5
ネタバレ

るぅるぅ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

ご都合主義の詰め合わせだが、最終話をどう解釈するかで評価される。

全12話 ゲーム原作
ジャンル:恋愛and主人公の成長物語

主人公・弘瀬は母の死によって視力を失い病気療養として田舎の村に越して、H2O(はやみ・ひなた、音羽)の三人と接することで成長してゆく物語。

閉鎖された村で疎まれタコ殴り、虐められるシーンはありますが、全て何事もなかったような結末に繋がり、発展性が無い話が多いです。
変えられぬ過去・無くした過去・変わる過去とストーリーのテーマとして観れますが、全体的に残念ですね。
憎しみに対する描写が薄くストーリーのテンポは悪いですが、終盤にかけてそれらが布石となっている理由も一応あります。
弘瀬とはやみの悲劇に浸り、ご都合主義と終わらせるか、美談とし超展開な部分も目につきますが、恋愛好きな方は観ると良いかもしれません。
私からは、あまりお勧めはできません。

感想{netabare}
全体的にご都合主義の塊みたいな作品ではあるが、設定を活かせていない。 恐らく改悪されすぎているのだろう。
「時ノ音の精霊」について掘り下げがないのが残念。
ほたるの絵本が形になった音羽の存在、明らかにひなただと確定でき死人が精霊として、最終的に精霊会議で転生。
その背景が不明の為はやみが生き返った、とぶち壊された感が否めないですが、12話踏切で明らかに轢かれていますよね? 生死不明ですが、死んでいるでしょう・・・だから、弘瀬にしか見えない精霊となった と解釈できます。
下手に蘇りみたいな描写をいれず終われば、叩かれる話しではないですが、印象にも残らない作品だったのではないでしょうか。

精霊の存在定義が曖昧すぎるので腑に落ちないことは確かですけどねw

個人的な解釈ですが、はやみが生き返ったような描写を入れた意図は

1話ナレーション・11話に繋がるハヤミ心の声
彼は神と供に歩いていた、砂浜には二人の足跡が残っている。
空がまばゆく光、足跡に彼の人生が映し出された。
嬉しかった時、幸せだった時、二つの足跡にそれらが映し出された。
しかし、彼がどうしょうもなく辛かった時、悲しすぎて泣き出してしまった時、苦しすぎて耐えられなかった時、足跡は一つしかなかった。
神よ私の嬉しかった時、楽しかった時、その全ての時にあなたは一緒に居てくれました。
それなのに私が一番傍に居て欲しい時に、なぜあなたは私を見捨てたのでしょうか。

12話 弘瀬の心の声
私の苦しかった時、楽しかった時、その全ての時にあなたは私と一緒にいてくれました。
それなのに私が一番傍に居て欲しい時になぜあなたは私を見捨てたのでしょうか。
神は男に言った私はいつもお前の傍にいるお前がどうしょうもなく辛くて悲しくて泣き出してしまった時、私はお前を背負って歩いたんだよ。
神を見つめ男は言った全てに感謝して・・・ありがとう。

と、これこそご都合主義のテンプレですが、音羽が言った精霊会議の判断なのではないでしょうか。
お互いの悲劇に神が救いの手を差し伸べたと考えます。
それが感動かご都合主義の見方だと感じます。

ほたるとわかってあっさり受け入れるクラスメイト描写
ゆいがあっさり許す描写
はまじの女装設定・ストーリー的に不要
12話の子分A・Bの謝罪、あさっり逮捕される神楽祖父etc
他にもありますが、限がないので終わります。

私も感動したかったぞ、音羽!
君は出来ないんじゃない、出来ないと思い込んでいるだけ。

長々と駄文を最後まで読んで頂きありがとうございます。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 16
ネタバレ

上杉達也 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

いろんな意味で。。。

メインストーリーの設定はいいんではと思います。原作やってませんが、これならいい作品の期待はできそうな。

しかしながら、後は批判です。。。
とりあえず、感動させちゃいましょうか的な流れが見えすぎ。。。ストーリーが重い流れで作られているのにたいし、作りが適当すぎると。重い流れあるのでそれだけで簡単に作って感動して~って。。。
完全に無駄な回が2話ありました。スルーしてもいいのかとおもいきや30秒程のそうとう重要なこといっちゃうあたりは。。。全12話にする意味が見えない。
理由が不明のままスルー多々あり。。。これその無駄な2話分でどうにかなったでしょと。
リンチシーンもまあまあひきます。少女をなぐってる男子。。。そのへんはストーリーありきなのでしょうがないっちゃしょうがないんですが、それ見せられた後のCMまたぎの画がふざけすぎてる。。。感情移入させといてそれはないかと。
最終的な流れ、{netabare}
これはキャラ視点はあってたのかなと^^;どうかんがえても一番ひどい立場にいるのはメインヒロインにしかみえない。そのへん始めからですが、村ぐるみの虐待、殺されかける。。。目が見えない、母親の自殺だと思いこんでいる少年。。。最後までみないとわからないことですが、イコールにもならないぐらいヒロインのがきついとは。少年はただたんに自分の弱さが招いた事柄なだけで。

最終話もなにで感動なのか。。。少女は死んで生き返る形で感動?。。。少女は最後まできついまま、死亡。それにより少年復活。少女も生き返って。。。の流れ。。。
その前の描写で少年の子供写ってましたが、、、少女はその間は死んでたことになっているので、子供の親は違う。少女生き返ったことで少年からはよかったのかもしれんが、少女はどうおもうの?^^;戻ってきたことで少女がハッピーになれたのかがみえない。。。一番きつかったのは少女なのに。。。
{/netabare}


と、まあ、制作側の悪意が見えてイライラしちゃったので。。。なめすぎてると。。。
逆な意味ではありますが、原作やってみたいとは思いました。原作よければ。。。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 0

59.7 15 ファンタジーで田舎なアニメランキング15位
おおかみかくし(TVアニメ動画)

2010年冬アニメ
★★★★☆ 3.3 (428)
2253人が棚に入れました
16歳の少年 九澄博士(くずみ・ひろし)は、都心から離れた山間にあるニュータウン嫦娥町(じょうがまち)で暮らすこととなった。 河川が“旧市街“と”新市街“を分断するこの町は、今もまだ謎に包まれた土地文化や風習が数多く残っている。取り立てて目立つ存在ではなかった博士をクラスメイトはあり得ないぐらい気にかけてくれる。そんな環境に戸惑いつつも新しい生活を楽しむ博士だが、ただ1人、クラス委員を務める櫛名田眠(くしなだ・ねむる)だけが明らかに博士と距離を置いているのが気がかりだった。数少ない接触の中で、彼女は博士に忠告する。「旧市街には近づかないように」そこに何があるのか?…そして恐怖と謎が交錯する。

声優・キャラクター
小林ゆう、伊瀬茉莉也、加藤英美里、藤田咲、渕上舞、後藤邑子
ネタバレ

ぽんちぃ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

[DVD整理] 思わせぶりなだけで、とにかくパッとしない作品だった。

放送当時録画したDVDを整理

放送当時に一度観たきり、全話視聴済みですが記憶はおぼろげ。原作は未プレイです。
DVDを処分する前にもう一回観ておくかどうかで、あにこれの評価も参照しながら、ところどころ確認。

ジャンルは、伝奇系ホラー、ミステリー、アクション、超自然的アニメ
全12+番外編(TV未放送)

最初の数話はちょっと興味をそそられたが、思わせぶりなだけで、最後までパッとしない作品だった。ミステリ要素は期待はずれ、緊迫感も欠けていた。

TV未放送の13話があることに気付き観てみた。
番外編みたいなもので、どーでもいい内容だった。
番外編作る余裕あるなら本編でもっとちゃんとやればいいのに。

はっさく~♪ かなりウザイね。

OPとEDは意外にいい曲でした。

作画は綺麗なんだけど、
ローゼンメイデンのような、お人形みたいなゴスロリ系のキャラ。
可愛いだけで、性格までお人形さん的なので、キャラクターに好感が持ない。おとなしめの地味なキャラばかり。

主人公の男の子も女の子みたい。

作画は綺麗なのに、それが魅力として全然活かされていなかった。
単調で退屈な感じ。大して盛り上がらないうちに終わってしまった。
謎についてもハンパで拍子抜けな感じ。

[DVD整理]アナログだし、多分、再視聴はしないので、このままDVD処分かな

===========================================
■概要
『おおかみかくし』は、2009年8月20日にコナミデジタルエンタテインメントから発売されたPlayStation Portable用アドベンチャーゲーム。
2010年1月7日から3月25日までTBS他でテレビアニメが放送された。
ゲーム版の複数のシナリオとアニメオリジナルのシナリオを組み合わせたオリジナルストーリーとなっている。


◆ストーリー
{netabare}山間にあるニュータウン「嫦娥町(じょうがまち)」は、河川によって旧市街と新市街に分かれていて、地元では八朔の名産地として知られている。

1983年(昭和58年)の夏、この街にやってきた転校生・九澄博士は新たな環境に戸惑いつつも、日々を楽しく過ごしていた。

そんな中、博士にクラス委員の櫛名田眠が忠告する。「旧市街には近づくな」と。{/netabare}


◆登場人物
{netabare}九澄 博士(くずみ ひろし)
本作の主人公で高校1年生。父と妹の3人で嫦娥町に引っ越してきた。元々目立たないタイプだったが、嫦娥町に来てからなぜか急にちやほやされるようになり、嬉しく思いつつも戸惑っている。

櫛名田 眠(くしなだ ねむる)
本作のメインヒロイン。博士のクラスの委員。無口で感情をあまり表に出さない。他のクラスメイトが博士のことを歓迎していたのに対して、はじめは冷たい態度をとっている。嫦娥町の謎を知っているらしく、博士に様々な忠告を送る。「ウサエル」というキャラクターの熱狂的なファン。

摘花 五十鈴(つむはな いすず)
ヒロインの一人。博士のクラスメイトで近所に住んでいる。明るく活発な性格で、博士のことは『ヒロくん』と呼び、自分を『ボク』と呼ぶ。博士には出会った当初から積極的に迫っている。

朝霧 かなめ(あさぎり かなめ)
ヒロインの一人。博士と五十鈴のクラスメイト。オカルトが大好きで、博士の父の小説のファンでもある。嫦娥町には最近転校してきた。博士のことは『ハカセくん』と呼んでいる。五十鈴同様、博士には好意的に接しておりマナや正明にも友好的。

九澄 マナ(くずみ マナ)
博士の妹で小学6年生。両足が不自由で車いすを使っている。出かけるときは兄が付き添うようにしているが、本人はうっとうしく思っている。真奈香織と名前の一件で親しくなり、ヴァイオリンを習い始める。「ウサエル」を通じて眠と仲良しになる。

真那 香織(まな かおり)
嫦娥町ではヴァイオリンの演奏で知られているお姉さん。穏やかな性格で、マナにヴァイオリンを教えてあげたりする。

新珠 三重子(しんじゅ みえこ)
賢木儁一郎の婚約者。四年前に嫦娥町を訪れ、失踪した。真那香織とは容姿が似ている。

賢木 儁一郎(さかき しゅんいちろう)
ある目的から嫦娥町を訪れ、町のあちこちで何かを調べまわっている青年。他人には無愛想な態度を取るが、三重子と瓜二つの容姿である香織には優しい表情も見せる。アニメ版では、最終的に実質的な黒幕の位置づけになった。

九澄 正明(くずみ まさあき)
博士とマナの父で小説家。民俗学に基づいた伝奇的な小説を書くことで知られており、嫦娥町の伝説や伝承に興味を持っている。

摘花 一誠(つむはな いっせい)
五十鈴の兄で大学生。甘いマスクで女性に人気がある。九澄家には好意的に接しており、妹のボーイフレンドである博士には冗談交じりに迫っては迷惑がられていたが……{/netabare}

オープニングテーマ「時の向こう 幻の空」FictionJunction
エンディングテーマ「月導-Tsukishirube-」南里侑香

アニメーション制作 - AIC

公式サイト
http://www.tbs.co.jp/anime/okami/

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

【レビュー初投稿】神か? 狼か? 旧市街地の隠された掟…恐怖と謎が交錯する。

この作品の原作はアドベンチャーゲームだったみたいですね。
あにこれ入会当時、なかなか最初の一歩が踏み出せず放置していた間に視聴した作品です。
dアニメストアで偶然この作品と再会し、あにこれの棚を確認したところ未だレビューを書いていなかったので、再度視聴することにしました。


16歳の少年 九澄博士(くずみ・ひろし)は、都心から離れた山間にある
ニュータウン嫦娥町(じょうがまち)で暮らすこととなった。

河川が“旧市街“と”新市街“を分断するこの町は、
今もまだ謎に包まれた土地文化や風習が数多く残っている。
取り立てて目立つ存在ではなかった博士をクラスメイトはあり得ないぐらい気にかけてくれる。

そんな環境に戸惑いつつも新しい生活を楽しむ博士だが、
ただ1人、クラス委員を務める櫛名田眠(くしなだ・ねむる)だけが
明らかに博士と距離を置いているのが気がかりだった。
数少ない接触の中で、彼女は博士に忠告する。

「旧市街には近づかないように」そこに何があるのか?・・・そして恐怖と謎が交錯する。


TBS公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

TV放送されたのが2010年の冬なのでもう10年も前になりますが、公式HPが残っていてくれるのは嬉しい限りです。

今回改めて視聴して気付いたのが、作品自体のスペックの高さです。
以前視聴した時には、「FORTUNE ARTERIAL 赤い約束」に設定が近い作品…程度しか思っていなかった自分が恥ずかしいです^^;

「ひぐらしのなく頃に」に近い雰囲気を感じるのは、原作原案が竜騎士07さんだから…
物語の舞台である「嫦娥町(じょうがまち)」は人里離れた隠れ家的な町なのですが、何となく「雛見沢」の雰囲気が感じられたり…
これが悪いと言っている訳ではありません。
この絶妙な空気が作品にマッチしているんです。

そしてもう一つ…
キャラクターデザインがPEACH-PITさんだった事が、この作品のスペックを押し上げていると言っても過言ではありません。
繊細なタッチと、女の子の可憐な顔立ちには何度見惚れたことか…
しかも、PEACH-PITさんのデザインがアニメになっても崩れていないのは、素晴らしいとしか言いようがありません。

PEACH-PITさんのキャラデザと言って真っ先に頭に浮かぶのは、やはり「ローゼンメイデン」です。
特に、みゆきちが演じていた「真紅」がお気に入り…
もちろん、フィギュアもポチりましたよ^^
ドールなので1/3スケールなんですが、サイズ的には普通の1/7スケールとほぼ同じくらい…
そういえば、原作の漫画は全て完結しているようです。
アニメでは物語の途中までしか描かれていませんが、是非ラストまでアニメ化して欲しい作品です。

…すっかり脱線してしまいました^^;

一見すると何の変哲もない「嫦娥町」ですが、裏では「ひぐらしのなく頃に」の様な殺人事件が起こっていました。
でも、この作品の最大のポイントは、犯人が不在ということなんです。
殺人事件が起こっているのに犯人が居ないなんて、普通はあり得ません。
そう、「嫦娥町」は普通じゃない側面を持った場所だったんです。

「嫦娥町」の真相は物語の進展に伴って明らかになるのですが、きっとここの住人に課せられた運命を呪いたくなると思います。
みんな静かに暮らしたいだけなのに…
顛末の気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

それと、改めて思ったのは声優陣が半端無かったということ…
伊瀬茉莉也さん、加藤英美里さん、渕上舞さん、藤田咲さんに後藤邑子さん…
それに、藤原啓治さんもという錚々たるメンバーが揃っています。
原作原案、キャラデザでも視聴意欲は増しましたが、声優さんのクレジットを見て俄然視聴に気合が入りましたから…

オープニングテーマは、FictionJunctionさんの「時の向こう 幻の空」
エンディングテーマは、南里侑香さんの「月導-Tsukishirube-」
オープニングは聞いた瞬間に梶浦さんの楽曲だと分かる荘厳なメロディと重厚なハーモニーが素晴らしく、この楽曲も作品のスペックの押し上げに一役買っていました。
それに、元KalafinaのKEIKOさん、WAKANAさんの歌声がしっかり聞こえるのも特徴だと思います。

1クール全12話の物語でした。
最終話は後日譚的な立ち位置でしたが、顛末のその後の様子を窺い知るためには必要だったのでしょう。
何より色々と記憶から抜け落ちていた細かい部分もしっかり補完できたのも嬉しい限りです。
この作品には古さを微塵も感じませんでしたが、たまにはこういう作品を振り返るの楽しさを教えて貰った気がします。
しっかり堪能させて貰いました!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 6

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

堕ちた恋・・歪んだ心・・真実の愛

少しホラー気味のオカルトファンタジー。
サスペンス風のミステリーでもあるかな。

小説家で民族的な伝説や伝記が大好きな父に連れられ、
新市街と旧市街がある嫦娥町に家族で引っ越して来る
事になり、博士は嫦娥町の高校に通う事になった。

今までは極普通より目立たず控えめだった博士は・・
嫦娥町の高校では何故か男女隔て無く好意的に受け
入れられ・・特に五十鈴には初対面から恋する乙女
状態で積極的に迫られるが・・
クラスメイトの真那香織は呟く「旧市街には近づくな」
この町には何か大きな秘密があるのか?


1話目冒頭に五十鈴との鬼気迫る謎の描写が有り・・
泥沼系恋愛物?・・ではなく怪奇ホラーとか?等と
一気にミステリーな世界を匂わせるが・・

何事も無かったように博士が転校してくる時の描写に
戻り・・父や妹が登場・・五十鈴といいマナといい・・
可成りのロリ系キャラデザ・・ん~・・嫌な予感・・

学園では五十鈴以外の男女にも好意的に受け入れられ、
モテ期が来たのでは?と妹などに誂われるが・・
やはり全体的にミステリーな雰囲気を漂わせている。

学園ラブコメとか純愛泥沼系ではないようだ・・

そして仮面を付けた謎の集団が次々に人を襲う・・
まさか・・「Another」や「ひぐらしのなく頃に」の様な
猟奇やホラーでは・・そう想った時遅し・・

1話目で伏線というか・・チラ見せが露骨で・・大凡
の予測はできたけど結末が絞り込めない・・2話目に
結末の絞込もできたけど・・すっかり世界観に浸り
嵌ってしまった。

新市街と旧市街。モテ期。仮面の少女。嫦娥狼。八朔。
全てが繋がる時・・謎は解けるが・・


OP/EDや挿入歌・音効全て私の大好物で世界観に浸れ
映像も演出も構成も超ストライク。
キャラデザはロリ過ぎるけど、とても可愛らしい感じ。
抑揚の振り幅が大きく、くすぐったいラブコメ描写も
陽気な描写も次に何か起きる前振りの様なサスペンス
を感じる演出に、次の展開が気になってしまう・・

見終わってしまえば、至ってシンプルな物語。
構成と演出が趣味に嵌まれば可成り浸れる面白さ♪

嵌まれない人はキャラを愛でてください?

勢いのあるうちにドカンとクライマックスを迎えて
あっという間に終焉。簡潔な物語と感じました。

私的には神話や民間伝承・・ドラキュラや狼等が出て
くる物語は大好物です♪※猫は別腹♪

何時も感じるのはどんなに獰猛な生き物や化物・有象
無象の魑魅魍魎や気色の悪い未知のモノより・・人の
中に潜む闇の感情の方が遥かに怖くで気持ちが悪い・・


九澄博士 - 小林ゆう
高校1年生。父と妹の3人で嫦娥町に引っ越してきた。
少し中性的な容姿で、元々目立たない控えめなタイプ。

九澄マナ - 藤田咲
博士の妹で小学6年生。両足が不自由で車いすを使用。
何かと過保護に付き添う兄を多少鬱陶しそうに扱う。

九澄正明 - 藤原啓治
博士とマナの父で小説家。民俗学に基づいた伝奇的な
小説を書く事で知られており、嫦娥町に興味を持つ。

摘花五十鈴 - 加藤英美里
博士のクラスメイトでご近所さん。明るく活発な性格で、
博士には出会った当初から積極的に好意的に迫っている。

摘花一誠 - 岡本信彦
五十鈴の兄で大学生。甘いマスクで女性に人気がある。
妹の男友達である博士には冗談交じりに口説こうとする。

朝霧かなめ - 渕上舞
博士のクラスメイト。オカルトが大好きで、博士の父の
小説のファンで友好的。嫦娥町には最近転校してきた。

櫛名田眠 - 伊瀬茉莉也
博士のクラスの委員。無口で感情をあまり表に出さない。

真那香織 - 後藤邑子
嫦娥町ではヴァイオリンの演奏で知られているお姉さん。
穏やかな性格で、マナにヴァイオリンを教えてくれる。

賢木儁一郎 - 遊佐浩二
町のあちこちで何かを調べまわっている無愛想な青年。


第5話・・狂気に満ちたアクセラレーターが暴走?・・

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5

68.8 16 ファンタジーで田舎なアニメランキング16位
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(アニメ映画)

2017年8月18日
★★★★☆ 3.3 (463)
1779人が棚に入れました
物語の舞台は、夏休みのある一日。花火大会をまえに「花火は横から見たら丸いのか?平たいのか?」の答えを求め、町の灯台から花火を見ようと計画する少年たち。一方、クラスのアイドル的存在・なずなに想い寄せる典道は、時間が巻き戻る不思議な体験のなかで、なずなから「かけおち」に誘われることに……。何度も繰り返す一日のなか、なずなと典道を待ち受ける運命は? そして、果たして花火は下から見ても、横から見ても丸いのか?

声優・キャラクター
広瀬すず、菅田将暉、宮野真守、松たか子、花澤香菜、浅沼晋太郎、豊永利行、梶裕貴
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

視聴者をタイムリープさせる映画

[文量→大盛り・内容→考察系]

【総括】
中学生の恋愛をテーマにしている。青春アニメって感じ。

原作は、1993年にフジテレビで放送されたドラマで、その後1995年に実写映画化。そして本作は、2017年にシャフトによってアニメ映画化。米津玄師さんの作った歌が、かなり耳に残ります。

シャフトらしさは残しながら、一般受けするように演出は控えめにしている印象。作画は流石の劇場版クオリティ。

私は本作の評価を☆3(普通)にしましたが、☆3の中でもやや低評価です。良さもある作品だと思うので、レビューでは、その両面に触れたいと思います。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
つまり、「可能性はたくさんあり、自分の行動、言葉選び、そういう選択によって変化する可能性があるのが、未来」であることと、「それでもどうしようのないこと、変えられないことはあって、その現実の中でどんなかたちであって前に進んでいくこと」を表現したかったのだろう。

それは、相反することではあるけれど、人生というものは、そういう矛盾を孕んでいる。

それを、少年少女が実感し、体得するための装置が、あの丸い球。

人が、なぜこれほどまでに花火を愛するかというと、花火には華やかさと儚さがあるから。パッと咲いてサッと散る。その美しさが心の中に残るから、また観たい、また感じたいと思う。求める。

でもそれは、完全なかたちでは叶わない。

同じ様な花火はまた見られるけれど、全く同じ花火はもう二度と見られない。それは、青春時代(思春期)にも似ている。

美しくて、儚くて、もどかしい。「あの時ああしていれば、ああしなければ、今、どうなっていただろう」というある種の後悔はつきものである。丸い球が砕け散ったとき、様々な「あったかもしれない未来」を見ることで、ようやく一歩を踏み出した少年少女。ある者は長年伝えられなかった愛を叫び、ある者は海の中でキスをして別れを伝える。

アニメという美しい世界の中で、そんな眩しい青春時代を擬似的に追体験できるのは楽しい。

でも、どんなに美しい花火も、常夜灯のようにそのまま一年中夜空に開きっぱなしなら、逆にウザくなってくる。クソ、眩しいんだよ、と。だから多分、実際は思春期なんて、大人が回顧するほど美しいものではないのだろう。アニメで懐かしむくらいでちょうど良い。

「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」という印象的なタイトルは、「恋」の捉え方なのだろうか。

美しい「花火」=「恋愛」を、「下から見る(見上げる)」のは、「恋に恋する」状態を指す。ようは、1周目の状態。好きだけど、素直に言えない。好きだ好きだと言いながら、いざ実際に付き合うことになると、ビビって逃げてしまう。駆け落ちとか無謀なことを言う。「横から見る」は、恋を自分の現実として受け止めている状態。最後はみんなこの状態になった。うまくいかないことも含めて、相手との付き合い方を考えられる。

少年少女達は、下から見上げるだけではその正体を掴めなかった花火を、高い位置から見る(自分が成長する)ことで、その全貌を掴んだのだ。

シャフトの幻想的な演出、美しい映像、米津玄師の印象的な歌によって、こういう切なさを表現したかったのだろう。それは、ある程度は成功していて、挑戦的だ。

と、ここまであえて、詩的で難しい言葉を連発しながらも、あまり中身のない、「この作品のような」誉め言葉レビューを書いてみたが、要約すると、「綺麗だけどつまらない」(苦笑)

クオリティ的には悪くなかったが、作品全体を俯瞰すると、やはり失敗している部分が目立つ。

まず第一に、この物語には「ドラマ」がない。

シャフトの演出を抜き、タイムリープという装置を取っ払うと、ただ単に、「好きな人が転校しちゃう」というだけの話だ。中身が空っぽなのを、どれだけ華美に装おうと、かえって虚しく見えてしまうものだ。

中身、というのは例えば、二人がお互いを好きになる過程や理由だ。二人は小学生からの付き合いのようなので、まあ、きっとなんか色々あったのだろう。でも、映画の中だけで分かることは、典道はナズナの「顔」が好きだということくらい(まあ男子中学生なんてそんなものだが)。ナズナに関していえば、典道のどこをそんなに好きなのかが全く分からない。他の男友達に比べ、典道が何か特出しているわけでもないし。あれだと、「母親への反抗」の為に、「好きでもないのに好きになった」感じすらする。(実際は純愛なのだろうが)そう感じさせてしまうこと、視聴者が典道を好きになれないことが、この作品の「無理矢理盛り上げてます感」に繋がっているように感じる。

てか、両思いで、ただ転校するだけなら、LINEでもテレビ電話でも、毎日繋がれる。90年代の中学生なら、転校なんて「永久の別れ」に近いものを感じたかもしれないが、今時の学生なら、「そんなにおおごとか?」と思うのではないだろうか。

また、映画のターゲットが誰なのかも不明。

主役の2人に、旬の若手俳優を使う時点で、我々のようなアニメ好きに照準を合わしたわけではなく、一般受けを狙ったのだろうが、だとしたら世界観が複雑で、演出も(シャフトにしてはシンプルだとしてもまだ)クドすぎる。あれなら、小学生には理解できず、中高生なら中身の空っぽさに気付く。親子で見るにしては、ちょいエロもあって、気まずい。

ちなみに主役の2人は、俳優の中ではマシな方で、特に広瀬すずさんは頑張ってた(菅田将暉さんは微妙)と思うが、当然、プロの声優には及ばない。普通に、花澤香菜さんと宮野真守さん(か、梶 裕貴さん)がやってれば、これだけアニメ好きに叩かれはしなかっただろう。

あと、走って電車に追い付く中学生集団には噴飯し、ちょっと絡まれたくらいでよく知らない中学生に顔面パンチし放置して帰る、ナズナの義父と、それを咎めない母親にはドン引きした。あんなクソ親の下で過ごすなら、そりゃナズナも家出したくなるわな。むしろ、あのクズ義父と暮らすナズナの身を案じてしまう。

本作、私は正直、3回寝落ちして、その都度巻き戻した。もしこれが「視聴者をタイムリープさせる演出」だとしたら、脱帽する(笑)
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 26
ネタバレ

YwJje43950 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

打ち上げ花火 ”もしも玉”

{netabare}”もしも玉”というものが時系列的に一番最初に確認されたのは、なずなの、死んだ父が海で手に持っていたところだったと思うんです。
取り敢えず1回観ただけなんだけど、この”もしも玉”とは何だったのか、というのが掴めない。メタファー的な意味でね。
それがあると、最後の方の、歪んだ、されど理想的なあの空間と、その崩壊・消失に意味を持たせられる気がするんだけれど。
頭良い人に何かしら、良い感じのをこじつけて貰いたいところだ。皮肉じゃないよ。
より良い解釈を示して欲しいという、頭の良い他人の頭で感動したいという、楽したいという気持ちです。いちから解釈するには、少々難解な部分の多い作品だからね。

岩井俊二が脚本の会議段階で提案した”もしも玉”というアイデアは、元々のオムニバステレビドラマにおいて前提とされた『If もしも』という、物語の基礎の説明という役割を担わせるという目的があったようだ。
パンフレット内の”もしも玉”に関しての言及といえば
『いろんな人たちの”もしも”っていう思いが凝縮された何かなんだろうっていうところに固まっていって、玉ということで花火と対極としてひとつのシンボルにもなる...』
というものと、他には劇中のあらゆるキーワードの紹介をしているページ。
私としては、最終的に2人が行き着いた閉鎖されている感のある例の歪んだ世界では、まるで”もしも玉”の中にいるかのようではなかったか?と思ってたんですけど、その【キーワード集】を読むと、制作側もやはり、なずなと典道の行き着いた歪んだ空間のデザインは、”もしも玉”の中に居るようなイメージでコンテを描いたとのことだ。
ただ、『(そうすると)きれいかなと思って、...』という、文脈なんですけど。
花火と対極的な玉の形をもって、”もしも”という思いが凝縮された、”もしも玉”。
なずなの父は、生前使っていたのかな。
それとも、父の思念的なものが生んだのかな。
劇中、これに関してヒントはあったのだろうか。
ここまで書いておいてなんだけど、1回観て分かるほど私は頭よくないよ?


ところで、あの歪んだ空間は、まるで”もしも玉”の中であるかのようだったけど、あの町を囲うドーム状の歪んだ壁は、典道の空想・妄想の限界なのではなかろうか。
言い換えれば、典道の”もしも”の限界だったのではなかろうか。
町の外の事を、子供の彼らはまだ何も知らないからね。
そういうふうに意味付けるとどうだろう。
出来事の順番を忘れたけど、どこかのタイミングでドーム状の歪んだ壁は消失した。
彼は、周りより一歩先に大人に近づいたという事かな?
だから最後のシーン、クラスに典道は居なかったのかもしれない。
追記:海中のシーンで、2人の顔が大人になってるというツイートを見まして、確かめたい気持ちが強まりますよ〜。
あと、コレうろ覚えだったもんで書かなかったんですけど、劇中、電車に乗って、海の上を走って、結果何処へ行きましたっけ?
何処にも行けずに戻ってきたと記憶しているのですけれども...。
これってやはり、上で書いた”もしも”の限界によるものではないかなと思うのです。
”もしも玉”が砕けて、彼らに降り注ぐのは外へ飛び出していった彼らの可能性。
やっぱりあの夜って、彼らが大人になる劇的な瞬間だったのでは?
あぁ、記憶力よ。もどかしい。
追記2:”打ち上げ花火”と同じくシャフトの作品である、”まどかマギカ”の、劇場版、”叛逆の物語”ってあるでしょう?
{netabare}劇中の、ほむらの生んだ魔女空間と、”もしも玉”の空間とは似てるっていうレビューを読んで、正直、あまりピンときてなかったんですけどね、コレの意味が遅ればせながらようやく分かりました。
そういえばアレも、バスに乗って街の外へ行こうと試みて、行けなかったんですよねぇ。
何故なら、ほむらはその行き先の街並みを知らないから、再現のしようもないという。
たしかに、”もしも玉”空間とそこは同じですよね。
{/netabare}

打ち上がった”もしも玉”が花火のように破裂して、その欠片に、選択によってはあり得た”もしも”の世界が映り込む。
その一欠片を手にした事で生じるのは何だったか。
海の中での一連の出来事の意味は?
今作品の最初のほうのシーンで、なずなが玉を拾ったのと、歪んだ空間内のラストとが同じ場所であることは何を意味するか。
あの脱ぎ捨てた服だって、思い返すと最初のほうに伏線があった気がするぞ?
いやぁ、うろ覚えだ!1回観て語れるようなものではないわ!

追記:あにこれのレビューを改めて読んでいたら、ストライクさんの、今作のラスト、典道がクラスに居ない事についての解釈、良いなぁなんて思いました。
”男の典道は、願望の世界に浸るロマンチストなのかもしれない。”
でも、それだとハッピーエンドでは無いよなぁ...
典道のほうはその夏の恋に囚われちゃうって事でしょう?
"秒速5cm"的な関係でしょう?言いたいこと分かります?
やはり私としては、”もしも玉”空間の壁が砕けて外の世界へ飛び出していった彼らの可能性が降り注ぐあの演出を思い出すと...
でもね、いずれにせよ私の中で正直、未だに完全に納得いく解釈は得られてないんですよね〜。
まぁ、このよく分からない感じも好きですけどね、夢見心地で。

グダグダと書きましたが、この作品について簡単な感想としては、
シャフトには向かない題材ではないか、という事。
これは正直観る前から思っていた。
だからある程度、滑る覚悟はしていたりもした。
実際、賞賛するようなものでは、たしかに無かったと思う。
話が難しい以前に、例えば不自然なCG。冒頭の自転車等の動きなんか気になってしまった。
元の作品の人気、アニメとしての粗もところどころ見えてたし、また、分かりやすい感動!の物語を求めていた、脳の動かない人の多さも、大衆に向けた広告があっては仕方なく。
批判の多さも妥当かと思う。
でもね、ネット上のこの作品に対する批判はどうも(この作品に限らないけど)誠実でないものが多い。
後半の展開が原作と違うという点がお気に召さず、ただ叩きたいだけの価値のない批判をしてるブログが、少なくとも今、私がこの文を書いている時は検索上位にあったりして、嘆かわしい限り。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

蠱惑の球面

元ネタである岩井俊二監督のスペシャルテレビドラマは視聴済み。

球とは実に不思議な形をしています。
どの角度から見ても見える形は同じですが、
見えてる面は視点によって全部違う。

その上、光の加減まで考慮すると球はさらに神秘的。
特に例えばガラス玉のような透過性の高い球体ともなれば、
光の屈折まで加味されて見る視点によって輝き方が目まぐるしく変わる……。
そして、その透き通った球体は、あらゆる光を集めると共に、
球の境界を隔てた人々の視線や思念、願望をも惹き付け誘惑するのだ……。


本作は原作にもあった花火の見え方のウンチクによる好奇心刺激に加え、
シャフト作画によって全編に散りばめられた円柱、球形への違和感、興味。
それらが心を浮つかせる夏の空気、ヒロイン少女の魅惑的な美しさ等により加速され、
常識や倫理の壁をも超越して行く、真夏の青春アニメ映画。

主人公少年らと共に気持ちよくジャンプするには、
映像全体が醸すムードに憑かれることが必須で、ハードルはやや高めですが、
私としては夏に劇場鑑賞チャレンジした甲斐があった作品でした。



本作は単純に興味を持って観る。のとは別に色々な動機での鑑賞があり得る作品ですが、
以下、それぞれの立場からの見え方を想定してみると……。


①岩井俊二監督作のリメイクを期待して本作を観る。

……これは正直かなり失敗するリスクが高いと思われます(苦笑)

{netabare}私が思うに原作ドラマは脚本、シナリオ等により賞賛されているだけでなく、
90年代当時の子供の世界。その再現性によるノスタルジーにより、
年々、思い出としても美化され続けている作品。

(例えば{netabare}本アニメ映画だと少年宅でプレイされるゲームは『キラキラスターナイトDX』という
2016年発売のファミコン用新作レトロゲームという恐ろしく懐古狙いなマニアックぶりですがw
原作ドラマではスーパーファミコンの『スーパーマリオワールド』という大衆向け定番作 {/netabare})

それら当時の流行も取り込みつつ、しょーもない冗談や下ネタを言い合うw
ガキの会話あるあるな掛け合いが醸す、子供の世界にリアリティや説得力があります。
こうした子供の世界に背伸びしてる感を纏わせつつ、
大人の都合と対峙させることにより、物語の推進力と共感度をアップ。
さらに当時15歳の美少女だったヒロイン役・奥菜恵さんを画面に閉じ込めた希少性と相まって、
今なおタイムカプセルのような輝きを放ち続けている原作ドラマだと思います。

対して本作は後世、思い出となり得るような同時代性の強調は控えめ。
(例えば{netabare} スマホが出て来ない時点でタイムカプセルにはなり辛いですし、
松田聖子さんだの観月ありささんだの叫んでいる時点で
原作の時代に対するオマージュの方が勝っています{/netabare})

むしろ本作は花火の見え方というSFファンタジー世界展開の着火点により注目し、
そこからオリジナル要素も広げていくシャフト作品。

加えて本作では何故か主人公少年らを原作ドラマの小6から中1に設定変更していますが、
原作の掛け合いの流れも引きずっているためでしょうか?
少年少女たちの言動が今風でない感じがするだけでなく、
微妙に小学校卒業してない感じが、
原作ドラマ視聴後だと目につきやすく、それらがストレス要素になりかねません。{/netabare}

いずれにせよ、リメイク期待組とのキャッチボールは波乱含みのようです。

もしも原作ドラマ未見で、ドラマ観てから本作観に行こうと検討されている方がおられたら、
私としては是非、そのまま、よそ見をせずに映画館に直行することをオススメします。


②『君の名は。』川村元気氏のプロデュース作として、前年の感動再現を期待して観る。

……これも大分、失敗するリスクが高いと思われます(苦笑)

{netabare}特に『君の名は。』を気軽なエンタメ作品として楽しんだ方は、
それを期待して本作を観ると事故る可能性がいっそう高まると思われます。

『君の名は。』は何となく観ていても状況は説明してくれるライトな作品でありつつも、
深読みしても得るものがあるコアな作品でもあった、
間口の広いヒット作だったと私は考えていますが、

本作の場合は作画や表情、ちょっとした台詞の違いなどを深読みしに行かないと、
状況すらも把握し難く、物語の迷宮入りと共に、失意の途中下車に追い込まれかねません。

逆に些細な違和感から考察を巡らすことができる方なら価値を見出せると思います。{/netabare}


③シャフト、新房昭之監督のファンとして本作を観る。

……これはまだ割と期待できそうです。

{netabare} そもそも背景絵等が醸すムードが作品を牽引する構造である以上、
まず本作でも相変わらず癖がある作画、構図等に興味を持って鑑賞し続けることが、
作品と折り合うための必須条件。

何じゃ!?このワケわからん絵は~~wとなるか、
あっこれやっぱりシャフトだ(笑)イヌカレーだ(笑)とニヤニヤできるかは、
本作でも満足度を左右する重要な分岐点になると思われます。

但し作画レベルは背景画等については良好ですが、
人物描写、特にキャラ造形の安定度等については標準レベルなので、
至高の劇場版作画を求める等の過度なハードル上げはオススメできないと思います。{/netabare}



以上、色んな角度から長々と書いてしまいましたがw

簡潔にまとめると本作は普段あまりアニメを観ない層にはあまりオススメできませんが、
コアなアニメファンや、あにこれユーザ等には、
合う合わない、好き嫌いも含めて、是非、感想、考察を聞いてみたい作品だと思います。

例えば核心部分について、私見を述べると……

{netabare}あの夏、最後、典道は平行世界に飛翔したまま戻って来なくなった。
なずなは元の世界に戻って転校し、典道を待ち続けている……。
というのが私の解釈と言うより願望?ですが、如何でしょうか?

典道も平行世界から一応、戻っては来たけど……という見解が多そうかつ、
妥当性も高そうなラストではあったのですが……。
「もしも玉」と平行世界の妖しさに取り憑かれた私としては、
あっさり元の世界に戻って来るのは何か勿体ない感じもするんですよね……。{/netabare}

みなさんの評価、感想……お待ちしております♪

投稿 : 2024/11/02
♥ : 41

74.0 17 ファンタジーで田舎なアニメランキング17位
怪物事変(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (308)
1120人が棚に入れました
古来よりこの世の影に潜み、人に見つからぬよう、人と関わり合って生きる“怪物"(けもの)という存在。彼らの多くは人間の世界に適応し、社会に交じり生活していた。しかし現代では、人と必要以上に深く関わろうとするケースが多数報告されるようになっていた。探偵事務所を営む隠神は、そんな“怪物"たちが起こす怪事件のうちの一つを追い、片田舎のとある村を訪れる。そしてそこで夏羽という少年に出会う—

声優・キャラクター
藤原夏海、花江夏樹、村瀬歩、諏訪部順一、小野大輔、花守ゆみり、花澤香菜、下野紘
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

タイトルで埋もれちゃいそう。勿体無いお化けが出るよ(笑)

[文量→小盛り・内容→感想系]

【総括】
ジャンプスクエア原作、と聞いて、「らしいな」と(笑)

ジャンルとしては、ファンタジー、バトル。鬼や化け狸、アラクネ、雪女(男)などの妖怪達が、様々な背景を背負いながら戦うストーリー。

少年漫画らしい熱さ、友情、感動。そこに、ジャンプスクエアらしい、少し大人な毒も入れつつ、総じて、レベルが高い作品。なんか、女子に人気出そうな感じです。

なんですが、「怪物事変」っていう、なんかどっかで3回は観たことあるんじゃないかと思う安易なタイトル(笑)で、他の作品に埋もれちゃうんじゃないかと心配になってしまいます。名作とまでは言えませんが、70~75点くらいの秀作って感じですね。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
キャラクター重視の作品。

夏羽は人気あるだろうな~と。悲しさを背負いながら、それを表に出さず、人のために戦う心優しき鬼の子。

半妖の悲しみというのは、犬夜叉や他の作品でも散々描かれているけど、本作の場合、半妖であることをネガティブに捉えるのではなく、「愛の形」としてポジティブに捉えようとしているのが、面白い。

そんな中で、織のストーリーで、半妖の別の側面を魅せる。甘くない、と。半妖作品は、人間サイドと妖怪サイド両面が描かれるものだけれど、こちらでは人間サイドの悪が描かれる。

とはいえ、人間だけが悪なのではなく、晶のエピソードを通して、妖怪達の悪もきちんと描く丁寧さ。

んで、結局、「母生きてる」「兄も生きてる」となるあたり、平和だな~と。隠神さんは安定して格好良いし、飛び抜けたオリジナリティはないものの、ヒットする要因を安定的に詰め込んだ、打算すら感じる作品。そういう意味では、やや鬼滅っぽい。

個人的には、日常回が結構好きでした。夏羽とコンのラブコメとか、そこに絡んでくる綾とか。

あとどうでも良いんですが、蓼丸昭夫。石田彰さんが、一見黒幕みたいで、実際に黒幕だった話だな~、と(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
鬼の能力ね。だったら、「死にな、泥田坊」くらい言って、撃ってほしかったな。

2話目 ☆3
凄く可哀想だし、凄く強いのかな。悲しい話。

3話目 ☆3
雌狐。悪役らしい悪役。

4話目 ☆3
ラブコメ(笑) 窓開けた時点でセコム来そうだけど。

5話目 ☆3
とりあえず、もう少し戦術的なバトルを見たいな。

6話目 ☆3

7話目 ☆4
なかなか攻めた話。石田彰さんが、黒幕みたいで黒幕だった話(笑)

8話目 ☆4
王道だな。主人公が許して、悪役が悪役を殺す。

9話目 ☆4
妹、ナイスキャラ(笑) コンと三角関係(笑) 楽しそうだな(笑) 兄バカ(笑) 居ないぞ!(笑) ラブコメ回、面白かったな、シンプルに。


10話目 ☆3
兄さんね。晶回。

11話目 ☆3
心が壊れてしまっているわけね。

12話目 ☆4
寝るな(笑) 二期が楽しくなりそうな終わりかた。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 24
ネタバレ

えりりん908 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ザ・少年マンガ!(妖怪退治系)

決して、別に馬鹿にしてる訳じゃありませんよ~(笑)

まさしく、正統派の、「熱血少年王道アニメ」っていう、
そんな感じの作品になりそうだという意味の
タイトル付けなんです。

王道少年アニメ要素その①
主人公が、{netabare}半妖の少年で、かなり高い戦闘能力と、
その力を封印する妖具を携行しているって設定。{/netabare}
CVは藤原夏海さんですけど、女の子の役もいいけど、
藤原さんは、やっぱり少年役がはまりますねー(#^^#)

王道少年アニメ要素その②
妖怪退治系{netabare}バトル+ホラー&ちょっとスプラッター
ここは非常に期待したいところですね!
腕力バトルは初回からハッスルしてくれてますけど、
鬼滅みたいな心理バトルとかも楽しめそう(^_^){/netabare}
やっぱり少年マンガといったら、バトルとホラーは、
欠かせませんね!

王道少年アニメ要素その③
主人公の少年と、よきライバルであり、かつ仲間となる、
そんな感じの、{netabare}やはり妖怪の血を引く子が出てきます。
ツンの方の子が主人公と同い年ぐらいなんで、
いろいろと張り合ったり、ぶつかって喧嘩したり、
お互いの危機一髪のときに助け合ったり、
協同して難敵に挑んで戦ったりするんだろうなぁ。{/netabare}
ショタ要素ありで、そういうのがお好きな方にもハマりそうですww

王道少年アニメ要素その④
少年を導く{netabare}クールで頼りになる師匠の存在。
探偵事務所の所長さんですが、この方も半妖で、
妖怪の起こす不審事件を専門にしてるご様子です。{/netabare}
これまたCVが諏訪部さんです。
この方、今期何本アニメ出演されているのでしょう?
この作品では、低めの二枚目声で演じていらっしゃるけど、
大車輪の大活躍ですね!

王道少年アニメ要素その⑤
少年向けライト風味{netabare}お色気キャラ(≧▽≦)
ここはまだ、どうなるのかは未知数なんですけど(笑)
日笠さんや上坂さんはそういう役、実績も豊富でこなれてますけど、
花澤香菜さんや花守ゆみりさんがCV出演されるようなんで、
そういう展開になるなら、新鮮かな?ってww{/netabare}
きっと、そのあたりは押さえていくのでしょうねww

まだ1話観ただけですけど、
作画もわりと綺麗だし、
今後の展開、意外と言っては失礼なんですけど、
次週の第2話からも、
楽しく視聴できそうだと、期待しています!!


観終わりました!
{netabare}少年アニメなんだけど、
それはそうなんだけど、
意外なほどに、熱かった!
そんな感じの作品。
そう思ってしまいました。
メインキャラひとりひとりのエピソードの展開もしっかりしていたし、
この感じのまま、
夏羽君のエピソード、
続きでじっくりと鑑賞したいな!
そう思えた作品です。
2期やってくれるの、待ってます(^^♪{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 30

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

怪物(けもの)の少年たちが紡ぐ数奇なる冒険

この作品の原作は未読です。
この作品との出会いも「怪病医ラムネ」同様、自動録画された作品でしたが、豪華声優陣の演技に圧倒されながら視聴した作品でした。

諏訪部さん、花江さん、小野さん、香菜ちゃんと下野さんは声を聴いて一発で分かりました。
分からなかったのが、主人公である夏羽役を演じた藤原夏海さんと、紺役のゆみりん…
正直ゆみりんの声を聞き分けられなかったのは少しショックでしたけれど^^;

でもこの二人はエンドロールで名前を見たら納得できる感じなのですが、晶という男の娘役を演じていたのが村瀬歩さんと知った時はビックリしました。
絶対女性の声優さんが演じているとばかり思っていたので…


古来よりこの世の影に潜み、人に見つからぬよう、
人と関わり合って生きる“怪物”(けもの)という存在。

彼らの多くは人間の世界に適応し、社会に交じり生活していた。
しかし現代では、人と必要以上に深く関わろうとするケースが
多数報告されるようになっていた。

探偵事務所を営む隠神は、そんな“怪物”たちが起こす怪事件のうちの一つを追い、
片田舎のとある村を訪れる。そしてそこで夏羽という少年に出会う—。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

完走して思ったこと…
この作品、メッチャ面白かったんですけど!

夏羽の淡々とした口調、隠神さんの飄々とした感じ、織のすぐ突っかかる性格に、昌の臆病でおっとりした感じ…
全ては凸凹なのですが、それがうまい具合にマッチしているんですよね。

物語は、隠神怪物相談事務所に舞い込んだ依頼に対応しつつ、隠神さんの事務所で働いている3人の子供たちの親や家族を探していく…という感じです。
3人の子供たちは13~15歳くらいなのですが、親の記憶がありません。

自分の親が誰なのか、自分は親に愛されていたのか…
やっぱり気になりますよね。
それが生きているなら猶更です。

今回の物語の中では3人全ての事情は明らかになりませんでした。
原作の連載も未だ続いているみたいなので、今後明らかになっていくのでしょう。

個人的に好きだったキャラは、出番は多くありませんでしたけれど、ゆみりん演じた紺です。
気性は若干荒めですが、ゆみりんが演じているのも相まってとにかく可愛いんです。
今期ゆみりんは大活躍ですね^^

オープニングテーマは、小野大輔さんの「ケモノミチ」
エンディングテーマは、佐咲紗花さんの「-標-」
個人的にはエンディングが好みでした。

1クール全12話の物語でした。
この先の展開が気になります。
続編制作してくれると嬉しいんだけどな…
しっかり堪能させて貰いました!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20

62.1 18 ファンタジーで田舎なアニメランキング18位
魔法遣いに大切なこと(TVアニメ動画)

2003年冬アニメ
★★★★☆ 3.3 (136)
1015人が棚に入れました
『魔法遣いに大切なこと』(まほうつかいにたいせつなこと)は、日本の漫画、小説、およびアニメ、実写映画作品。
魔法が幻想でなく当たり前に存在し、一種の特殊技能として認知されている世界の現代日本。岩手県遠野に住む魔法遣い(魔法使いではない)の主人公が魔法遣い免許の研修を受けるため上京し、研修中に出会う人々と触れ合うことで成長する姿を描く。


声優・キャラクター
宮﨑あおい、諏訪部順一、飯田浩志、渡辺明乃、平松晶子、石毛佐和、中博史、清川元夢
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

コメディでもバトルでもなく、意外と繊細な《感情描写系》

2003年のJ.C.STAFF制作作品(VIEW WORKSと共同制作)。
魔法が使える田舎出身の高校2年生少女の、都会でのひと夏の魔法研修を描き出す。

→ということで「魔法もの」なのに、とても地味な作品です。
『ふらいんぐうぃっち』が好きな人には、とくにお勧めしたい気がしました。


◆視聴メモ
{netabare}
・主人公(菊池ユメ)の出身地(岩手県遠野市)は人口の二割が菊池姓(遠野菊池氏)で、熊本県菊池市と姉妹都市になっているそうです。
・第6-7話の視聴中に、話の単調さに眠気が差して居眠りしてしまったので、それらの回だけ再視聴する羽目になってしまいました。 
・全体的な印象として、ファンタジー世界の話ではなく極めて現代の日本に近い世界の話ということになっているのに、汎用性が高い魔法が現代の科学技術の成果とほとんど軋轢を起こさず共存している点が、チグハグ感を否めないので、その分評価点数をマイナスしています。
→それでも個人評価 ★ 4.1と、『ふらいんぐういっち』(※個人評価 ★ 4.0)より高くなりました。
・作品タイトルになっている「魔法遣いに大切なこと」が一体何なのか?は最終回を見ても明確には示されず、視聴者の感想に委ねられる形になっています。
・取り敢えず、私の解釈としては、最終話で、
「そもそも魔法は万能ではないし、それを使用することによって時には人を傷つけてしまうこともある・・・それでも「心をこめて」魔法を使用することで、相手の心も自分の心も救われることがあるとしたら、やっぱりそれは素晴らしいことだ、と自分で自分の魔法を認めてあげようと思う」
→ユメがそういう心境に到達できた(=「魔法遣いに大切なこと」を自分なりに掴んだ)から、認証試験に合格できた・・・と思っています(※多分、視聴者にそういうことを考えさせるのが、本作のほぼ唯一の長所であり見所だと思います)。{/netabare}


◆制作情報
{netabare}
シナリオ原案・脚本  山田典枝
監督           下田正美
キャラクター原案   よしづきくみち
キャラクターデザイン 千葉道徳
音楽           羽毛田丈史
アニメーション制作  VIEW WORKS  J.C.STAFF{/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に大きな疑問を感じた問題回


======= 魔法遣いに大切なこと -Someday's dreamers- (2003年1-3月) =====
{netabare}
第1話 夕焼けと鉄骨・前編 ★ 菊池ユメ(高2)上京、善之助・小山田先生との出遭い
第2話 夕焼けと鉄骨・後編 ★ 魔法士研修開始、アンジェラとの出遭い、ユメの魔法
第3話 最高のニュース ☆ 魔法行動の依頼(キャバクラ嬢)・失敗、小山田先生のフォロー
第4話 夏の夜と魔法遣い ☆ 休日、瑠奈との出遭い、ヤスユキ君の魔法(天体観測)
第5話 エプロンとシャンパン ☆ ギンプン魔法局局長、瑠奈&母親との交流
第6話 魔法遣いになりたい ★ 孤児だったケラさんの願い、魔法は遺伝?、魔法は万能ではない、奇跡(ユウタの回復) ※話が都合良過ぎる点は×
第7話 魔法遣いになれなかった魔法遣い ★ 商店街の修繕、井上君(研修生)との対話、ハグレの魔法遣い ※魔法遣いの設定の粗が目立ち始める
第8話 恋のバカヂカラ × アンジェラの恋心の暴走(東京タワーと電波障害)、局長の魔法力 ※脚本が安直
第9話 ユメと少女と夏の種 ★ 失踪者(古崎参事官の兄)の捜索、感謝の言葉
第10話 魔法の行方 ★ 高橋さん宅事件、生命・体組織への魔法行使の制限 ※魔法では根本的な解決にならないことを知り魔法への疑問が表面化
第11話 折れてしまった虹 ★ 小山田の過去の事件、ユメ家出
第12話 魔法遣いに大切なこと ★★ 善之助/高橋さん/ケラさん/ミリンダさんそれぞれの想い、認証試験、研修終了{/netabare}
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★★★(神回)0、★★(優秀回)1、★(良回)7、☆(並回)3、×(疑問回)1 ※個人評価 ★ 4.1

OP 「風の花」
ED 「UNDER THE BLUE SKY」

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21

大和撫子 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

魔法使いではなく魔法遣いのお話

タイトルとあらすじに魅かれ視聴してみましたが、とっても良いお話ではありますが残念な内容でもあるという感じの作品でした。

◆この作品の内容は・・・
一部の人間が魔法を遣う事ができる現代にて、田舎から上京した魔法遣い見習いの女の子が、魔法の研修として都会の人々から依頼された事を魔法で解決していき、一人前の魔法遣いに成長していくお話。

◆この作品の世界観は・・・
一言でいうならば「魔女の宅急便」の現代版といったような感じですかね。
「魔女の宅急便」の時代から数十年と月日が経つと、この作品のような時代がくるのではないでしょうか?
しかし魔法が正式に存在している現代にて、その魔法の力は魔法局に厳しく管理されています。
魔法局の承認のもと、依頼された仕事にのみ魔法の使用を遣う事が許されます。
つまりは勝手に魔法を遣ってはいけないという事です。

◆この作品の見どころは・・・
主人公のユメは大きな魔法力を持つ魔法遣い見習いの女の子。
ユメは自分の魔法を人の為に役立てたいと思っています。
しかし、魔法を遣うという事はとても難しいもの。
良かれと思って遣った魔法が周囲の人にとっては悪く思われる事があったり、気軽に遣った魔法が社会に大きな影響を与えてしまう事もあります。
魔法という力を完全に管理されている現代社会にて、ユメが悩んだり考えたりして成長していく姿をみて頂きたい。

◆声優陣は・・・
主人公のユメに「女優の宮﨑あおい」がキャスティングされています。
「宮﨑あおい」にとってはこの作品が声優初挑戦という事らしいですね。
他、「夏目友人帳参の的場静司を演じた諏訪部順一」、「To LOVEるの結城リトを演じた渡辺明乃」など。

◆タイトルの意味は・・・
魔法遣いに大切な事ってなんでしょう?
ドラクエの魔法使いなら強力な魔法を覚えたりMPを節約したりと(笑)。
身近な魔法使い様にお聞きしたところでは「毎日を自由に過ごす事」という回答が得られました^^。
確かに魔法が使えたら毎日楽しく魔法を使って自由に過ごせますよね~。
さて、ここで注目して頂きたいのがこの作品でいう「魔法つかい」が「使い」ではなく「遣い」である事!
この作品をこれから視聴する方にはこの違いを考えながら見てもらえたらと思います。

◆総評・・・
こんな感じでレビューを書かせて頂きましたが、冒頭に書いた通り、すごく良い話ではあるのだけど残念でならない作品でもあります。
せっかくの魔法という設定なのに、この作品にはワクワク感が全くない。
笑いどころもなく、真面目なお話一直線です。
もう少し明るい内容の方が良かったのでは?と思いました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

タイトルなし

人々との出逢いや触れ合いを描くジョブナイル風の作品。

母は高名な魔法遣いで、親譲りの魔法力を持っていながら
魔法の用途や制御が解っていない「田舎育ちの少女」という
設定のようです。

その為魔法が幻想でなく当たり前に存在していて、魔法は
国家の監理機関である魔法局が管理してるという設定にも
関わらず、余りに矛盾した描写がある。
魔法士の研修を受けて魔法士の登録をするまでの間野放し
状態?社会の常識なら学校は?それ以前に親の教育は?

心をこめて・・失敗から学び改めて遣う魔法に更に疑問・・
どうも・・作者は表現したいテーマ以外無頓着過ぎる・・

そういう矛盾や偏った地方の捉え方以外の、本当に大切な
「テーマ」は確りしていると感じるとても解りやすいアニメ。

単純に人との関わりの中で成長していくという部分だけを
視ていると、誰にでも有る葛藤や経験・・想いなどが有る
ので、とても共感しやすい物語だと感じた。

展開は穏やかで心理描写中心。
キャラデザは作風に合ってる感じ。
音楽も情緒的なものが多く良い雰囲気。

作品の雰囲気がとても大好きで視てたのだけど、レビュー
書く前に改めて視てみると、やはりエピソードは可笑しい。
せめてアニメ化の時に整合性を考慮した方が良かったかも。


菊池ユメ(宮崎あおい)
魔法士になる研修中の17歳の少女。奥手で男性が苦手。
遠野から東京へ上京して小山田の事務所に寄宿している。
少し訛りがある。都会の雑踏には馴染めない。

アンジェラ・シャロン・ブルックス(渡辺明乃)
イギリス魔法省より留学研修生として日本に来ている。
無愛想で無表情。プライドが高いがトラブルメーカー。

小山田雅美(諏訪部順一)下北沢の小山田魔法事務所所長。
第弐級魔法導師労務免許を持つ魔法士でユメの担当指導官。
一階でサルサバー「PACHANGA」も経営している男性。

遠藤耕三(中博史)
東京支局世田谷出張所魔法行動課魔法士派遣担当官。

古崎力哉(清川元夢)
内閣府魔法労務統括局(通称は魔法局)の高等参事官。

ギンプン(辻谷耕史)
魔法労務統括局(通称:魔法局)の設立者にして初代局長。

ミリンダ(平松晶子)サルサバー「PACHANGA」のDJ。

ケラ(飯田浩志)サルサバー「PACHANGA」のアルバイト店員。

井上朔也(飛田展男)研修を受けている魔法遣い。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4

66.7 19 ファンタジーで田舎なアニメランキング19位
河童のクゥと夏休み(アニメ映画)

2007年7月28日
★★★★☆ 3.8 (211)
972人が棚に入れました
夏休み前のある日、小学生の帰り道に上原康一は大きな石を拾った。持ち帰って水で洗うと、中から何と河童の子供が!!第一声は「クゥ?!!」。康一はこの河童を「クゥ」と名付ける。クゥは康一たちと同じ言葉を話し、何百年もの間、地中に閉じ込められていたことがわかる。最初は驚いた家族もクゥを受け入れ、クゥのことは秘密にしようと決めるが・・・。


声優・キャラクター
冨澤風斗、横川貫大、田中直樹、西田尚美、なぎら健壱、ゴリ
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「オトナ帝国」の原監督による渾身の一作。児童文学アニメと侮るなかれ!!

2007年劇場公開。
本編、約140分。


【前置き】

初期の「劇場版クレヨンしんちゃん」の多くに携わってきた、原恵一監督の劇場映画。
原作があまりアニメ化に至らない児童文学ということから、原監督の意向とは裏腹に中々制作出来なかった経緯があり、「オトナ帝国」(2001)「アッパレ戦国大合戦」(2002)等の実績を経て、やっと本作の制作に着手したそうです。

原作者であえる木暮正夫さんは、本作の完成目前に他界されたそうですが、本作の数々の受賞歴や何よりその出来に対し、きっと雲の上から監督に賛辞の言葉を送っていらっしゃることでしょう。


小学生の姪が遊びに来ていたので、年齢的にもピッタリと思い、宿題終わりのご褒美に身内一同で本作を鑑賞しました。
子供は子供なりに、大人は大人なりに皆無言でじっくり本作を見ていました。
それを遠目で見て一人ほくそ笑む私。
……なんとも変な絵でしたね。



【あらすじ】

小学5年生の「上原 康一(うえはら こういち)」は、下校途中に偶然、川辺に埋もれていた大きな石を見つけます。

好奇心からその石を割ってみると、中には化石のように干からびた生物が出てきたのでした。
それは、長い間地中で仮死状態になっていた『河童』の子供だったのです。

なんとか家族を説得した康一は、その河童に「クゥ」と名付け、共に生活を始めました。
当初は、あるトラウマから人間に対し警戒心を抱いていたクゥでしたが、康一や家族の厚意を機に、徐々に信頼を寄せるようになっていくのですが……。



【語ってみる】
{netabare}
原作が児童文学であることに加え、タイトルや絵の雰囲気からも、本作は子供向けのイメージが強いように感じます。
実際、DVDレンタルでは子供向け棚に入れられていることも多いですね。

しかしその中身は、原監督が原作を大幅にアレンジして上で、環境問題からイジメ、更には過剰なマスコミ報道等、非常に現代社会に対し訴える内容となっており、子供と大人でまた見方が大きく違う作品だと私は思っています。
こういう点は、まさに「オトナ帝国」「戦国大合戦」の様相に似ており、監督の得意分野なのでしょうね。

ただ、それらの作品と大きく違う点として、描写として非常に過激なシーンが幾つかあり、特に小さな子供が見るには注意が必要かもしれません。
冒頭の、クゥの父親が腕を切り落とされ斬殺されるシーンに始まり、陰湿なイジメ、動物虐待、ある事象から鴉が木っ端微塵になり血が飛び散るシーン等がそうですね。
決して、内容の無い不必要な過激描写ではありませんが。



さて、本作を見てまず感じたのが、キャラクターの生々しさでしたね。

本作で登場する上原一家は、決して個性の強い特別な家庭ではありません。
故に子供達の言動や行動は勿論、その大人の立ち振る舞い等も妙に生々しく、それぞれ世代の近いキャラを見たら、変にこそばゆい気持ちにさせられます。
だからこそ、妖怪と過ごすという圧倒的な非現実から、リアリティーの強い内容にもすんなり持っていけたのでしょうね。

このリアリティーさに一役買ったのが、キャラと同世代の子役声優の起用でしたね。
本職である声優さんの子供声の演技が素晴らしいのは私も重々存じ上げているつもりですが、やはり声質から純朴な演技力まで、リアリティーさにかけて言えば本物の子供には敵う筈もありませんものね。
ただ正直、2010年以降の子役声優と比べると、本作での子役は演技的に拙く聞こえたのが本音です。
(特に、感情の起伏が激しいシーンでは。)

お父さん役は「田中直樹さん(ココリコ)」、お母さん役は女優の「西田尚美さん」。
こちらも本職の声優さんではありませんんが、これがまたどちらも名演でした。
特に田中さんは、元々かなりの動物好きなので、動物に対しての台詞には演技力以上の重みがあったように感じました。



物語は、大きく分けて3つ。
『出会い』と『事件』、そして『別れ』で構成されています。

『出会い』は、全体的に子供向けを意識した構成で、クゥとの不思議だけど楽しい日常風景を元に、彼らに信頼が芽生えていく様子が丁寧に描かれています。
秘密に河童を飼い、喜ぶ長男。
自分の地位を河童に脅かされたように感じ、嫉妬する妹。
世話が大変だとぼやきつつ、愛を向ける母。
妙な無責任さで、無邪気に河童と遊ぶ父…。
そして、唯一彼と心で声を交わせる、飼い犬の「オッサン」(←名前)。
先でも述べましたが、彼らのこの行動の生々しさがあって、初めて大人も鑑賞出来る内容に仕上がったように感じます。

そうそう、ここの途中で、河童の生き残りを探しに、康一とクゥが岩手県遠野市まで足を運ぶシーンがあるのですが、ここで出てくる座敷童子は妙~なインパクトがありましたね。
姪は、ここで彼女が歌う童歌を妙に気に入っておりました。
確かに良いメロディーです…、ケド…なんか怖いんだよなぁ……。。。


さて、話の根幹となるのは、この後の『事件』。
クゥの情報を嗅ぎつけたマスコミが騒ぎ出したことをキッカケに、遂に家族はクゥを連れてテレビ出演を快諾することになります。
ここの流れとして、父親が会社の得意先の頼みで断り辛かったことや、これまで頑なにクゥの秘密を守っていた康一が、テレビに出られると聞くや急に態度を変えて喜ぶ様等があり、これまでと違う人間の浅ましさが見え隠れし出したシーンでもありましたね。

その浅ましさは、結果的に何一つ好転することは無く、一つの命と、クゥの叫びにより登場した伝説の生き物によって、一応の解決を見せます。
ただそれは、過剰なメディアが先から一変し、クゥを危険視し隔離すべきだと手の平を返すことにも繋がりました。
去年だけでも、どれだけこの手のマスコミ報道に覚えがあるでしょうね…、なんとも胸糞が悪かったです。


ここから『別れ』の構成となる、以降の30分弱。
ここはハッキリ言って、非常に大人向けなシナリオ構成であり、大騒動の後日談のように基本的に淡々と描かれ『事件』時のような盛り上がりにも欠けるので、子供は退屈するように感じましたね。
(実際、姪は退屈そうでした。大人としては全くなのですが。)

クゥとの別れは、いわば必然です。
最初とは打って変わり、とても真剣な表情で父親が言った

「俺達とクゥは違うんだ、住むところも…生き方も。

 今の暮らしは、クゥにとって自然じゃないんだよ。」

という台詞に、康一も遂に引き下がることしか出来なくなりましたね…。
それは作中、彼が自分の損得でなく、初めて100%クゥの為を思って出した結論だったように思います。

最後にクゥが言った通り、彼はそんな自分を責めていたようですね…。
実際ハッキリ言って、決して完璧な付き合い方ではなかったでしょう。
ただ、それでもクゥは、それを否定することもなく

「オメェに貰った命、大事にするからな~。」

と言いました。
この奇跡の出会い…この短い夏休みの出来事は、彼らにとって、代え難いかけがえのない日々であったことが窺えましたね。
{/netabare}



【クゥ以上に心動かされた存在、オッサン】
{netabare}
本作はタイトルの通り、河童のクゥを物語の主軸として描かれているのですが…。
それ以上に視聴者に強烈な印象を与えるキャラクターが、上原家で飼われている犬の『オッサン』でしたね。
なんともインパクトのある名前ですが、
「拾った時、なんとなく顔がオッサンだったから。」
というのが由来だそうです。
こういうの、小学生にありがちだから困る。(後述)

オッサンは、犬の中では珍しく心で会話が出来るようで、クゥとは人間よりも近い視点で、側で話を聞いてやれる存在でした。
初めて会話した時にオッサンが言った、

「このウチの連中は、そう悪い奴らじゃねぇ。」

という言葉は、クゥが上原家に対し心を開くキッカケの一つになったことでしょうね。
見た目は可愛い雑種犬なのに、こう声色や物言いがホントのオッサンそのものなのが、また良い味を出していました。
(まぁ齢10才は越えているようなので、実際人間的に言えばオッサンですしね。)


実はこのオッサン、人間に飼われるのは、これが2回目でした…。
中盤、メディアに騒がれ浮かれる康一に不安がるクゥを見て

「人間は急に変わることがあるからな…、俺の前の飼い主がそうだった…。」

と、オッサンは自身の昔話を話してくれたのです。
それは、子供の頃は仲良く遊んでいた飼い主から、ある日突然虐待を受けるようになった、見るも聞くも非常に痛ましい話でした。
学校でイジメを受けるようになった飼い主は、その腹いせにオッサンに暴力を振るい始めたんですね…。

「悲しかったよ…。殴られるのも嫌だったし、そんなアイツを見るのも嫌だった…。

 俺は…逃げた……。」

その先で出会ったのが、幼稚園の頃の康一。
オッサン曰く、「子供の頃のアイツに似てた」そうで、彼に着いて歩いたのだそうです。

話の終わりに、「人間はなんで変わるんだろう…。」「なんでだろうなぁ…。」と顔をしかめ合うこの2匹の会話は、自分自身にも問題提起されているような気分になりましたね。
年々このシーンは、涙なしでは見れなくなってきました…。


この後、オッサンはクゥがテレビで騒ぎを起こした時も、呆然とする上原家の中で唯一、自ら咄嗟に動きクゥを逃がしてくれました。
ただこの行動は、クゥを乗せたオッサンを面白がって追いかけて来たヤジウマの車によって、オッサンが事故に遭い命を落とす結果へと繋がるのです…。


『アイツ、ちゃんと生きてるかなぁ…。あのまま殴られてりゃ良かったかなぁ…。

 そうすりゃアイツも気が晴れて…、また…あの頃みたいに……。』


最後の最後にこう言い残す辺り…、やっぱりずっと前の飼い主を引きずっていたんですね…。

そんなオッサンの最後を看取り泣き崩れるクゥを見て、今度は写真を取り出す人間達…。
この一連のシーンは、自分が同じ人間であることが恥ずかしくなるぐらい胸糞の悪い絵が続き、本気で苛々しましたね。

悲しみと怒りと辛さが同時に込み上げるので、好きなシーンとは決して言えませんが、ただ作中で一番印象に残ったシーンでした。
メインであるクゥの、どのエピソードよりも…。

終盤に撮った、オッサンの写真を真ん中にして皆オッサンのようにベロを出して笑う写真は、オッサンがいてくれたからこそ出来た…家族とクゥの心が本当に一つになった時の一枚でしたね。
ありがとうね、オッサン。

しかし子供向けと思いきや、容赦無く救いも無く死んでしまうのは衝撃でしたね。
家族が自責を背負い意識改革する部分でも話として必要なのは分かりますが、足に後遺症が残る程度でも…と思ってしまうのが本音です…。

前の回想シーンも含めて、動物好きの人にはかなり胸を抉る映像のある作品となるので、その点は要注意ですね。
私にとっては、「Another」等のどんなグロ映像よりも、本作の方が目を背けたくなりました。
{/netabare}



【総評】

児童文学を題材にしたアニメ映画として、子供が楽しみしっかり学ぶことの出来る作品だと、私は自信を持って言えます。
(終盤は小さい子だとダレかねないですが、しっかり見て学んでほしいですね。)
加えて大人にも、きっと胸にズキンと突き刺さるシーンが幾つもあることでしょう…。

私は、本作はハッキリ言って、どちらかと言えば大人向けな映画だと思っています。
メインは河童ではありますが、そのクゥと飼い犬を通し、生々しく描かれた家族が、失敗し…そして成長する物語ですので。
前半と後半の描き方の落差はかなり違いますので、そういう意味でも後半までじっくり見て御判断下さい。


さて、作中でクゥがこう言う場面がありましたね…。


「父ちゃんが言ってた…。

 人間は、水や地べたを俺達から奪い、そのうち風や空や、神様の居場所まで自分達のものにしちまう。

 それと引き換えに、魂を失くしちまうだろうって…。」


いつか、この父ちゃん河童が言ったことを、思いっきり否定できる未来が訪れたら良いですね。


ではでは、読んでいただきありがとうございました。


◆一番好きなキャラクター◆
『オッサン(犬)』声 - 安原義人さん


◇一番可愛いキャラクター◇
『菊池 紗代子』声 - 植松夏希さん




以下、犬の名前について。
(どーでもいい話なので、〆ます。)
{netabare}
作中に登場する犬の「オッサン」ですが、ホント子供は犬に阿呆な名前を付けますよね。
犬側からしたら、たまったものじゃないでしょうに。


本作を見て、小学生時代に友達らと犬の名前について話す機会があったのを、思い出しました。

「チビ」「ラッキー」「ララ」みたいな可愛い名前もいれば、

「アンコ(食べ物)」「バームクーヘン(食べ物)」「ジョイ(洗剤)」「うんにゅ(?)」等、ちょっと耳を疑う名前もチラホラ。


中でも、今も忘れられない名前が『バター』ですね。


当時は聞き流していましたが、大人になって初めて、その犬の名付け親は家族の誰だったのかが気になりました。

お母さんとかじゃないといいなぁ……。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

子供の夏の定番に!もちろんおとなも!

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。


登場人物(家族):
 子供は子供らしく、親は親らしく、そして信頼関係が根底にあるような家族観ですね。サザエさんやクレヨンしんちゃんを思わせるような明瞭な人物像が描かれているので、どの世代でも特に違和感なく視聴できるでしょう。河童のクゥは、ピュアな存在として描かれています。

メインテーマ:
 河童と人間、それぞれの社会性と相互の共存についてを中心に描いているのだと思います。自然と人間という対比の代理的なものでしょう。もちろん人間のエゴイズムに関してもかなりの時間を割いています。
 同時に、失ってはならない普遍的な価値観についても言及されます。
 終盤とエンディングにおいて、クゥの口からきちんとこれらに関する説明がなされるので子供にも伝わりやすいと思われます。


評価点:
 死を子供にも分かりやすく描いているところは素晴らしかったです。殺し殺されるということ、死ぬということ、そして自殺。特に後者の二つは、誰かのためになる死と、逃避としての死で表現されていました。また、自殺から救うには本人の意志だけでなく、小さくとも外部からのきっかけが必要であると描いてあったように思えます。
 重たいテーマを説教臭くなく伝えている手腕には惚れ惚れします。


惜しかった点:
①社会性の裏返しとして孤立についての描写も結構あります。
数は揃っているのですが、対比構造において若干物足りなく感じた部分もありました。
{netabare}
 まず、クゥ。物語の冒頭で父を亡くし、仲間の河童もいません。つまり、河童としても孤独になるわけです。当然、人間社会においても孤独です。(主人公家族を間に立たせて人間との共存を試みるのですが・・・。ここが作品の主題ですね。)
 次に、菊池さん。家族の中でも、友人関係でも孤立をしています。
 そして、二人(?)のおっさん。一方は、共存の後、孤立し、共存。他方は孤立に見せかけて、独自の解決策を持っています。
 最後に、主人公こういち。友人関係において、共存の後、孤立。

 最も似ているのは、共存を模索し続けるクゥと菊池さんです。結論に至るまでの両者の対比だけは強く表現して欲しかったです。いじめ問題としてみれば、菊池さんの共存への道が子供にとってはより重要で分かりやすいかもしれないので。結論部分に文句はないのですけどね。
 菊池さんとこういちの対比については、ケンカのシーンに表れています。模索し続けた菊池さんが先に解決策を提示し、それにこういちが乗っかるという流れですね。こういちがんばれよと言いたくなるところですが、構造としては自然な流れでした。
 そのほかの対比についても言いたいことはあるのですが、蛇足に近いので省略します。

②自然と共存できている人々の描写が欲しかった。
 エンディングでクゥ(と二人目のおっさん)から人間社会へアプローチする姿があるのですが、人間からも歩み寄れる姿勢が欲しかったです(家族以外で)。遠野あたりで表現できたように思うのですが、描かれていたのは理解の無い人間の姿ばかりでした(観光客や1千万)。十分察することはできるのですが、子供向けとしてはあってもよかったのではないでしょうか。

③終盤の流れも少しだけ違和感がありました。
 ケンカ、クゥとの別れ、クゥその後、と流れるのですが、クゥと別れたあとのこういちのエピソードが欲しくなってしまうんですよね。菊池さんとクゥを事前に引き合わせたうえで、クゥとの別れ、クゥその後、ケンカ(こういちの成長)、クゥラストカットの方がよかったような・・・。時間的にきついかな(笑)。
{/netabare}
 まぁ、若干の願望が入っているかもしれませんし、子供はあまり気にしないかもしれません。

まとめ:
 テーマは社会風刺を含み多岐に渡ります。子供には早い段階から繰り返し見せる価値のあるものです。大人も初心に帰って楽しんでみてはいかがでしょうか。考察に値する作品です。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3
ネタバレ

maruo さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

子供心を持って見たつもり B+

私は高校卒業までまで信濃川のすぐ側で育ちました。
幼い頃、祖父から、信濃川には河童がいるから近づいちゃいかん、と何度も何度も言われていました。
私の親の世代までは、川で溺れて死ぬ子どもが年に何人も出たそうで、実際、私の母の兄弟も1人信濃川で亡くなっています。
ですから、河童が出ることを脅し文句として子供を川から遠ざけるというのは、珍しいことでも何ともなくごく普通に行われていたのでした。
そんなことから、私にとって河童は、恐ろしくもありましたがどことなく身近な存在だったのです。

と、いきなり堅い話から始まりましたが、本題に入りましょう。

本作はいかにも子供向けといった作品です。
実際、文部科学省特別選定作品、日本PTA全国協議会特別推薦作品となっていますし、さあどうだ、子供たちに見せてください!という大人たちの意気込みに満ち満ちているのが伝わってきます。

ということで、子供心に帰って視聴してみました。
いえ、今の子供にとって河童なんて遠い存在でしょうから、私のように身近な存在として育った者にこそ、見る資格があるというものです。(屁理屈)

話としては、少年・康一が河童のクゥと出会い、そして別れるまでを描き、お涙頂戴もあるというベタな展開です。
康一は当初幼いところもありますが、クゥとの交流、そして巻き込まれていく事件を通じて、少しずつ成長していきます。
{netabare}途中、他の河童を探して少年とクゥが二人で旅をして、2人の交流が描かれたり、河童がいることがメディアによって世間に明らかにされ、クゥが衆目にさらされたりして、これ以上クゥが人間と暮らしていくことは無理と、クゥ自身が出て行くことを決断します。{/netabare}

また、理不尽な大人たちの好奇な眼差しがどれだけ少年達の心を傷つけるかということや、大きく扱われてはいませんがイジメの問題なども描かれています。
思春期に差しかかった少年の揺れ動く心を良く表現できていたと思います。
そして、迎える最後、分かっていても眼に涙が、って私のことですよ。

最後、もう少しひねりがあった方が良かったようにも思いますが、この種の映画としては最悪のエンディングは避けるべし、と思いますので、この終わり方で良かったのかなって思います。
きっと、本作を見る子供たちにとってもハッピーエンドだったのだろうと。

声優についてはまあこの手の映画では良くあることだと思うので、余り多くは言いませんが、カラス1に阪口大助ってどういう使い方しているんだって思いますよ(笑

本策の監督は原恵一。
最近、カラフルを見たばかりだったので、同一の監督であったことを知って、ちょっと驚きました。
連続で興味深い作品を見せ付けられてしまいました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15

69.7 20 ファンタジーで田舎なアニメランキング20位
竜とそばかすの姫(アニメ映画)

2021年7月10日
★★★★☆ 3.5 (221)
636人が棚に入れました
高知の自然豊かな村に住む17歳の女子高生・すずは幼い頃に母を事故で亡くし、父と二人暮らし。母と一緒に歌うことが何よりも大好きだったすずはその死をきっかけに歌うことができなくなっていた。いつの間にか父との関係にも溝が生まれ現実の世界に心を閉ざすようになっていく。曲を作ることだけが生きる糧となっていたある日偶然にも、全世界で50億人以上が集う超巨大インターネット空間の仮想世界<U>に「ベル」というキャラクターで参加することになる。もうひとりの自分。もうひとつの現実。もう、世界はひとりひとつじゃない。<U>では自然と歌うことができたすず(ベル)は自ら作った歌を披露し続けていく内にあっという間に世界中の人気者になっていく。そんな驚きも束の間突如轟音とともにベルの前に現れたのは竜の姿をした謎の存在だった―。
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

いのちの歌

日常の中に浸透した仮想空間を物語の中心に設定する点で、本作はまず
2009年のヒット作『サマーウォーズ』への顕著な回帰が認められる。
ただし今回は、リアルとヴァーチャルとの関係性が明瞭に主題化されており、
構成とテーマの双方で、「二重性」がキー・コンセプトとなっている。
細田監督いわく、「インターネットというものは現実と虚構の部分を併せ持つ
二重性があり、『美女と野獣』もまた二重性を持った作品である」。

この着想に基づいた固有の問題意識が観客に向けて提示されるわけだが、
不幸にもそれが伝わらずに、共感の回路が閉じられていた場合、
本作のストーリーはきわめてつまらないものに感じられるだろう。
臆病な少女がネットで少年と知り合い、勇気を出して彼の窮地を救う。
煎じ詰めればこれだけの話である。陳腐な美談に月並な社会批評を足し加えた
大衆迎合型の商業映画、などといった酷評もやむを得ないところだ。

しかしながら、問題共有の回路は確かに開かれているのである。
本作の秘密は、二重性の下にもう一つの二重性が潜んでいることにある。
ヒロインの日常と仮想世界が連続する、平面的・並列的な二重性とともに、
竜とベルのストーリーに託されて、すずの心の再生のプロセスが進行する
内在的・重層的なもう一つの二重性が構造として認められるのだ。
いわば、表層面と深層面にそれぞれの二重性が存在しているのである。

例えば、仮想空間〈U〉をそっくり、すずの深層心理の世界と捉えてみると、
作品全体の構造がシンプルに一本化されて見通せるようになる。
作品への共感の回路が開かれる場所はまさにそこなのであって、
すずの物語が私たちの時代の問題と重なり合う、本作の核心部なのである。
匿名性の限界を突破する行動と、自らのトラウマを乗り越える勇気。
重層するストーリーから透視的に浮かび上がる一点に照準を合わせて見ていきたい。


Ⅰ 竜とベルの物語
{netabare}
リアルでは不可能な願望を実現できる "もう一つの現実"― 仮想空間〈U〉。
母の死以来、歌えなくなっていたすずはそこで、ふたたび歌えるようになる。
ついに歌姫の座にまで上り詰めた彼女は、竜と出会い、彼のあとを追い始める。
その動機について、作中では十分な説明がなされていないようだ。
なぜベルは、危険を冒してまで竜に接近し、彼と関わろうとするのか?

竜の正体をめぐって無数の人々が声を上げる、― 竜は何者? 彼は誰?
匿名性の空間が内包する地熱のような好奇心は際限なく広がってゆくが、
単に欲望を満たすためだけに情報が求められ、真実はただ消費されて終わる
バーチャル空間の空虚で危うい本質が、この人々の竜探しに露呈している。
その中にあってベルは異質な、孤独な存在である。

薄雪草さんが本作に書かれたレビューから、一節をここに引用させて頂く。

 本作は、すずの心情を捉えることが重要です。
 特に、次のふたつの言葉の動機や背景の掘り下げが、かなり大事です。

「あなたは、誰?」
「あなたに、逢いたい。」

 どうぞ、すずに寄り添うベルのように、思いを深く巡らせてみてください。

あなたは、誰? あなたに、逢いたい。―
ベルの発する問いは、興味本位の詮索とは全く異なる、切実なものだ。
その言葉には、一個の人格と関わろうとする真剣な意志がこめられている。
彼女の心の真実に少しでも近づくために、補助線を引いてみる感覚で自分は
〈U〉の世界をすずの深層心理と捉える解釈を踏まえて、こんな推論をしてみたい。
竜を探し求めるプロセスは、彼女の深層に潜む願望の顕れなのではないか、と。

「〈U〉のボディシェアリング技術は
 その人の隠された能力を無理やり引っ張り出す。」

つまり〈U〉にはその人のポテンシャル、いわば内部現実が投影されている。
さらに、抑圧された状況が能力を強化した結果が、ベルの歌であり、竜の強さだった。
ならばもし、その抑圧がさらにもう一つの能力をすずから引きだしたのだとすれば?
歌姫ベルを賞賛する何億もの人々の前で自らをアンベイルし、素顔を曝すシーン。
この自殺行為にも等しい行動を促したものは一体何だったのだろうか?
それこそが、すずの本質に秘められた能力の発現だったのではないか?

薄雪草さんが以前、使っておられて強く印象に残った言葉がある。
「当事者性」。― この言葉で、自分はすずのその能力を言い表せると考える。
恣意的な解釈にならぬよう注意しながら、このキーワードに即して
すずの行動の軌跡をたどり、彼女の内面への接近を試みたい。

まずそれは、他者の痛みへの共感として具体的に現れる。
幾度も拒絶されながら、ベルは竜に近づこうとする。
「來るな!」「見るな!」―竜がベルに言い放つ拒絶の言葉に注意が必要だ。
竜の正体である恵、彼を傷つけたものは父親の暴力だけではなかった。
世間の大人たちの無理解と見せかけの善意。そして何よりも、好奇の視線。
― あんたも人の秘密を覗き見して笑いたい人?

一方で、すずには彼の拒絶の意味を理解することができるのだ。
すず自身がかつて、母の行為をめぐって匿名の人々が無責任に投げつける
心ない非難によって、深く傷つけられた経験を持っているからだ。
だからベルは竜に語りかける、― 本当に傷ついてるのは、ここ、ね?
つまり、ベルが決断したアンベイルの本当の目的とは
痛みをともに分かち合う決意を相手に対して示すことだったのではないか?

彼の傷ついた心に近づくためには、自分もまた致命傷を負う覚悟で
今度は「当事者」として、不特定多数の人々の前に自分を曝さなくてはならない。
・・・「素顔をかくしたままで何が伝わるってゆうの?」
忍のこの言葉には本作のテーマの一つが要約されている。
匿名の安全地帯で傍観したまま、好き放題を言うことは卑怯であるばかりか、
そこには他者の現実に関わるアクションは一切、生まれることはないのだ。

あなたに、逢いたい。―このただ一つの願いを伝えるためには
絶対にベルではなく、素顔のままのすずが歌わなくてはならなかった。
そして彼女は叫ぶ、「光を放て! わたしにその光を放て!」
突き付けられた「おまえ、誰だ?」という問いに対して応えるため、
本当の関わりを求めている「当事者」であることを証しするために―。

  逢いたい もう一度 胸の奥 ふるえてる
  ここにいるよ 届いて はなればなれの 君へ

アンベイル、それは現実が仮想現実を内部から食い破る瞬間である。
そこに生じたすずの "変容" には、やはり二重の意味合いが認められる。
単に表層の "現実" が表れたのみならず、内部に隠れた "真実" が顕在化したのだ。
それは、理想化された自分から元のみすぼらしい自分に戻ることではなく、
虚像に縋る自分の弱さを、真実の自分へと乗り越えていく決定的な変化を意味している。
すなわち、彼女の本質である当事者性が顕現した瞬間なのである。


・・・本稿の推論の出発点はこういう仮定だった、
ベルが竜を探し求めるプロセスは、すずの深層に潜む願望の顕れなのではないか、と。
そして彼女は求めていた真実の自分に出会う。それが「ベルと竜の物語」の帰結である。
だがおそらく、そのさらなる深部にはもう一つの、さらに痛切な願いがあった。

歌い終えたすずは、地平線から昇りはじめる三日月を凝視している。
その横顔に驚きの表情があらわれ、次第に大きなものになってゆく。
不意にすずは、自分がいま当事者として行動していることをはっきり意識したのだ。
そして、自分がいま立っているこの場所が、あの日母が立っていた同じ場所であることを。
理解できずに苦しみぬいた母の心を知る、決定的な"気づき"の瞬間である。

それこそがすずの心の奥に秘められていた、最大の願いだったのではないか。
自分を探し求める「ベルと竜の物語」の水面下で、彼女は無自覚に母を探していた。
本作の真の二重性は、アンベイルの場面に集約的に予示されているが、
その全容は、急転回の先にあるもう一つのクライマックスによって開示される。
すずの再生のストーリー、「すずと母の物語」がそこで完結するのである。
{/netabare}


Ⅱ すずと母の物語
{netabare}
仮想世界〈U〉で展開される「竜とベルの物語」は、
すずの当事者性の発現をとおして母の心に到達するプロセスとして、
深層部分で進行する「すずと母の物語」に最終的に統合される。
それは、母の死によるトラウマを克服し、世界とのつながりを回復する
ヒロインすずの"再生"の物語であり、そこに本作の核心がある。


すずのトラウマは、歌おうとして嘔吐してしまう痛ましいシーンに集約されている。
母との幸せな思い出につながる「歌」は、喪失の苦痛を再帰させるために拒絶される。
だが、拒絶されているものは本当に歌だけなのだろうか?
あるいはそこには、母に対するすずの心情もまた内包されているのではないか?
母を求めながら同時に、受け容れることを拒んでいるアンビバレンツな心理が
彼女の心の奥底にわだかまっているように思われるのだ。

すずの内面を丁寧に説き明かされた、薄雪草さんの一節を引用させて頂く。

「すずの心的世界は、10年以上にわたって、
 ひとつの思いに憑りつかれ、縛られ、閉ざされています。
「お母さんは、なぜ赤の他人の女の子を選んだのか。
 どうして私は独りぼっちなのか。」
 お父さん、幼馴染の忍くんやヒロちゃん。誰にも明かせない深い胸の疼きです。
 すずにとって「独り」とはそういう意味なのです。」

母に「独り」にされたすず。決して答えの見つからない「なぜ?」の呪縛。
ここでふたたび補助線を引いて、孤立するすずの心にさらに接近を試みたい。
おそらく、すずを苛んでいたはずの、もう一つの「なぜ?」があるはずだ。
その心の中にはこんな想いが潜んでいたのではないか―

― お母さんは死んでしまった。もういない。それなのに、
なぜ今も、その女の子だけが生きているのか。・・・なぜ?

すずの孤立の根底にはいわば"いのち"への不信感があったのではないだろうか。
母が救った赤の他人のいのちと、代わりに失われた母のいのちと。
この二つの命の重さがすずにとって、果たして同等であり得るだろうか?
いのちの重さはすべて等しいとする建前論は、当事者にとっては不条理でしかない。
これは、"いのち"の価値をめぐる根源的なアポリアである。
同時に、こうした感情を自分が抱くことに優しいすずは罪悪感を覚えずにいないはずだ。
この心理が無自覚に、彼女を世界から遠ざけていたのではないだろうか?

母の行動は常識的な理解の及ばない、"いのち"の絶対的な地平にある。
その場所に立たない限り、母の行動をすずは永遠に理解できない。
だが、それは現実には不可能であり、彼女の心もまた受け容れることを拒んでいる。
「なぜ?」という問いは深淵のように、母とすずとを隔てつづけるだろう。
現実でも、さらには内面においても、すずは二重に母を喪失しているのである。


この絶望的な断絶を乗り越えて、すずが再び母に出会うためのプロセス。
それが〈U〉のストーリーの本質だと言ってよいだろう。
したがって、アンベイルの意味をこの文脈でもう一度、捉える必要がある。

地平線上に昇りはじめる三日月を凝視したまま、立ち尽くしているすず。
その瞬間、彼女にはいったい何が見えていたのだろうか?
おそらくその時、すずは"いのち"の意味を感得したのではないだろうか?
濁流に飛び込んでいったあの時の母と同じ衝動がいま、自分を突き動かしている。
自分自身が当事者となって、危機に瀕した"いのち"と向き合っているこの瞬間、
すずはあの日、母が立っていた絶対的な"いのち"の領域へと踏み入ったのだ。

「何度も自問し、何度も反駁しただろう先に、ひとつの気づきを得るのが、
 視線の先に輝いている三日月なのです。」

自分本位の感情に囚われていたすずが、母の心を経験的に理解する。
それは、母の立っていた"いのち"の地平への「転回」と言ってもよい。
そのとき、すずを苦しめてきた不条理はもはや存在しない。
いま彼女は、救われたその子が生きている現実を受け容れることができる。
なぜならそれこそが、母が命に代えて願ったことの成就に他ならないからだ。
それはそのまま、母の想いが今も現前し、生き続けていることを意味する。
そこに示された母の"いのち"の在り方をすずは受け容れ、自分の中に定着する。
そして、すずの中で再び母が生きはじめる。・・・

アンベイルとはこのような、すずの"再生"の瞬間だったといえる。
自らの行動によって母の行動を理解し、肯定し、受け容れることで
「独り」であることの果てしない苦悶から彼女はようやく解放されたのだ。

「"三日月" は、ネットの海に漂い浮かぶ "救いの舟" 。」

本当の"気づき"だけが、救いをもたらす。三日月はこの救済の象徴となる。
あるいはそれはまた、不断に再生する"いのち"の象徴なのかも知れない。


クライマックスに達した物語はその直後、予期せぬ急展開に突入する。
虐待を受けている兄弟のもとに単身で駆けつけたすずが彼らと対面し、
二人を庇って父親と対決する、もう一つのクライマックスとも言うべきシーン。
リアリティーも含め、とりわけ批判にさらされているのが、この唐突過ぎる超展開なのだが、
仮想空間と現実世界を貫く"いのち"の物語の最終的な帰結と捉えることによって、
充分な整合性と必然性が認められると自分は考える。

まず、DVの問題をストーリーに絡めた点については、
脈絡の欠如から、社会派を気取ろうと無理に取ってつけたようにも言われるが、
物語の一貫したベクトルに即してみれば、必ずしも不自然なものとは思われない。
なぜなら、「暴力」とは原理的に「いのち」の対極にある事象だからだ。
そのシェマティックな対立の構図をとおして"いのち"の輝きを示すために、
ヴァーチャル空間のベルも、現実世界のすずも、全力でそれと対決する。

さらにすずの行動が、感情に任せた衝動にしか見えない点。
確かに、彼女の動機の説明となる自然な流れが欠落しているようにも感じられる。
だがここで、〈U〉のパートにさかのぼって想起したいのは、
竜の城にベルが再び潜入するくだりで描かれている、弟が育てた「秘密のバラ」を
竜とベルが分かち合う象徴的な儀式についてだ。

この「バラ」のシンボリズムは明快である。
城の広間に飾られた、顔の部分を損傷した女性の肖像画。彼女が誰なのかは
同じ画像がケイのひび割れたスマホに保存されていることからも明らかだ。
すずが使い続けている欠けたマグカップとも呼応しながら、
彼らの傷ついた心と、"喪われた母"へのひそやかな思慕がほのめかされる。
反復されるイメージをアナロジーによって連結するこのメタファーの技法で
三人の絆を示しつつ、その中で母親としての存在がすずに託される。
それを暗示するのが、肖像画の母と同じ、胸元に飾られるバラの花であり、
最終盤のシーンを予示する、"秘密の"布石となっていると解釈できる。

つまり、たった一人で兄弟のいる場所に向かおうとする、すずの無謀な行動は
一般常識ではなく、作品に内在する非言語的なロジックに裏打ちされているのだ。
母が自分に指し示してくれた"いのち"へ向かうベクトルをひたすら辿ること、
すずの心の中にはそれ以外のどんな顧慮も介在していない。

すずの"再生"の本質はおそらくここに読み取ることができる。
身を挺して彼らを守り、そして、恐れる彼らを優しく抱擁する、
その姿には"いのち"を慈しむ「母なるもの」の原像が鮮やかに結像している。
それは、十年にもわたって抑圧されてきた、母への渇望の極みについに成就した、
母との合一、一体化による、トラウマの超克だった。

怒り狂う相手を無言で見つめるすずの顔には恐れも怒りもない。
その静謐な表情には、ただ一つの揺るぎない信念だけが認められるようだ、
一人の少女の心の極限が定着されたこのシーンに自分は圧倒され、息を呑んだ。
細田守が渾身の力を込めたこのカットを言葉で言い表す必要はないかも知れない。
だが、ここまで掘り起こしてきた文脈に即して、敢えて言いたい思いにも駆られる。
そこに具現しているもの、それはおそらく、"いのちの尊厳"といわれるもの、
そして、"いのち"の価値への無限の信頼なのではないだろうか。・・・
{/netabare}



細田守作品は一貫して、人と人との関係の在り方を問い続けている。
Ⅰ章で「当事者性」、Ⅱ章では「いのち」というモチーフを仮設的に措定し、
複層的な構造に対応するアクチュアルなテーマ性と普遍的なそれとを並置してみた。
最終的にはそれらを「関係性」という固有の枠組みの中に落とし込むことで、
本作のテーマとメッセージは完全に開示されるように思われる。

一言でいえば、それは"人格的なもの"への固有の志向性である。
喩えるなら、ベルが竜に向けた"あなた"という呼びかけの中に響いていたもの。
また、他者の"いのち"に向かう姿勢にはその契機が必然的に内在している。
愛情にもとづく関係は、生物的な自然に根差すがゆえに歪められるがちだが、
それを人格的なものに高める努力によって、関係は真実なものになる。
すずの再生には一面、こうした心の成長が重ねられていると見ることもできる。

Ⅰ章を5月に投稿してから、今回の投稿までに実に3ヶ月を要した。
それにも拘らず、作品内部の脈絡を掘り返す迂遠な作業にのみ終始して
やっとテーマの入口に辿り着いたところで切り上げるのは、何とも間抜けな話だが、
本作を語るべき最適任者が他におられるがゆえの、これは戦略的撤退なのである。
その方は拙稿への引用を快諾して下さった上に、作品の真の理解にまで導いて下さった。
末筆となってしまったが、衷心よりの感謝をここに記すことをお許し願いたい。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 22
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

内容はあまり評価できないが、すず=ベルだけは歌を含め最高。

 24年6月再レビュー。なぜか毎年見てしまう作品の1つになりそうです。

 まずこの作品の嫌いなところです。演出がディズニーすぎます。「美女と野獣」はもちろんですが、作画も雰囲気もエフェクトも全部ディズニーなので、オリジナリティというか表現者としてのアート感覚に疑問は持ちます。

 それと、ジャスティンが余計です。自己顕示欲とか権力とかいろんな象徴かもしれませんがテーマにとってはノイズでした。竜は強いものの象徴ですから、引きこもりと重なりません。醜いもの?なんでしょうね?

 竜との出会いが唐突で、なぜ引き寄せられたかが不明です。これは天使(クリオネ)が一番初めの理解者だったことと関係があるかもしれませんけど。このジャスティンと竜の関係性が、のちに出てくる引きこもり設定や父親とうまく合わさってこないので、ノイズになったと思います。あるいは父親が権威主義ということなのかなあ?

 登場人物が多すぎて整理がついていないと思います。いたずらにキャラを増やしたのは、案件として声優の数を増やしたかったんだろうな、という気がします。
 しのぶとの恋愛云々が余計とか、ほかにいろいろありますが、大きくは、ディズニー、竜とジャスティン、引きこもりと竜のアンマッチ、しのぶ、キャラ多すぎなどが不満点でした。要するに余計な要素を入れすぎて全体にごちゃごちゃしてしまいました。

 一方で、なぜ毎年見たくなるかといえば、やはり歌のシーンです。ユーチューブで結構な頻度で歌だけ聞きますが、映画のシーンとしてみる感動を味わいたくなります。

 そして、なんといってもヒロインすず、ベルですね。この子のキャラは本当に良かった。コンプレックスと母親の件が、すずのキャラに深みを与えています。それゆえに、自分の素顔を公開するシーンが非常に胸を打ちます。母親の人を助けた意味を理解し、行動に移したのが素晴らしかったと思います。
 
 つまり、すず=ベルを見る、歌を聴くだけでも、この作品は再視聴する価値があると思っています。それ故にもったいない感も大きいですけどね。

 批判もあるラストのすずの単身の行動です。私は初見ではそれほど不自然でもなかったですが、2回目以降はやはり不自然に感じています。それは今回再視聴してもかわらないのですが、ただ、母親の行動と重ね合わせる必要があったので「無茶」をさせる必要があったんだろうな、と思います。

 ということで、やっぱりストーリーとしてはあまり評価できないし、作画はいいですけど演出のディズニー臭、キャラの案件臭さに金の匂いを感じてしまい、映画自体は好きだとは言えません。といいますか、時を超えて残る作品だと思えません。ずっと古い「サマーウォーズ」の方が鮮烈です。

 キャラはすずの評価で3.5→5にしたうえで、他のキャラの不自然さをマイナスして4.5にします。ストーリーはやっぱり3ではなく2.5ですね。作画を5からディズニー臭の分を引いて4.5にします。

 音楽映像としてなら、アニメ映画の中でNO1グループの1つでしょう。

 




23年7月レビューです。

 一番初め本作は若干盛り込みすぎという情報だけはありましたが、ほぼ前情報なしで見ました。
 通しは、多分3回目…いや4回目くらいです。ただ、音楽はユーチューブでかなりの回数聞いてます。

 1回目のレビューは映画見ながらその場で感想を打ち込んだんですけど、あまりに長くて文書も見苦しいのでカットしました。追記も多いので要約しています。で、今回23年7月にまとめました。悪口はかなりマイルドにしました。前回見た印象よりは良かった気がしたので。

 本作はまあ「ポンポさん」理論を実践していれば、というポテンシャルは感じました。
 最高に面白くするために90分に抑えろ。「必要な部分」を残すために倒れるまで編集しろ…そのまま言いたいですね。
 それとこれもポンポさんであったと思いますが、キャラの作り込みですね。その人の人生を全部考えるくらいキャラ造形を作りこめと言いたいです。ヒロイン以外が甘すぎます。
 美少女は…まあ、出してほしい気もしますが、本作はどうかなあ?そばかす姫を劣等感の表れとして…あの子…美少女の方が、最後のカタルシスにはなったのかも。


で、レビューです。

 1回目は結構面白く感じました。というのは、ヒロインすずのキャラ造形がとても良くて、母を失った音楽を愛する独りぼっちの少女という描写が出来ていたと思います。キャラデザがちゃんと普通っぽいそばかす少女なのも非常に良かったです。
 今回再視聴したら設定は、リアル「ぼっち・ざ・ろっく」という気がしなくもないです。

 冬の川辺で泣いてしまうシーンとか心情が良かったです。可哀想でしたけど。

{netabare}  もちろん歌とその映像は最高でした。幼馴染との関係もいいし、るかの恋愛話は最高でした、と結構中盤まではいいんですけど…

 やっぱり「美女と野獣」オマージュからは「ん?」となりましたし、モブたちが急にご都合主義の様に活躍しだすのは「え?ストーリ-になってる?」だし、結末も「何それ?」感はありました。
 が、すずは頑張ったということで、視聴後感はそんなに悪くなかったです。


 ただ、2回目見たとき、やっぱり恋愛っぽい幼馴染の話と、ケイの話が錯綜して、時間ばかり長い映画になってしまいました。幼馴染は「お母さんみたい」なら出番はそんなになくても良かったんじゃね?と思います。
 それとすずが音楽、歌に惹かれてゆくプロセスの描かれかたが不十分だったかなあ。

 むしろ、なぜ竜がコンサート会場に飛び込んできたのか?に歌ならケイに何かが届くという展開があってよかったのでは?竜を守る子たちがいるのかもよくわからないし。つまり、一番肝心の心を惹かれて行くシーンがほぼ無いも同然でした。孤独同士だから…というより竜が孤独だから一方的にすずが惹かれた?
 竜の強さは闇墜ちだから?孤独のダークエネルギーかな?あの独自警察の意味もちょっと…スポンサーがいっぱいいるから運営よりも強いってことかな?よくわかりませんでした。

 アイデンティティを隠す問題と、カミングアウト=勇気というのはいいと思うんですけど、竜とすずの心のつながりに説得力がないので、最後の救出にカタルシスがありませんでした。
 で、物理的に助けに行くのもいいんですけど、まあ、無理がありますよね。話的には。

 重要なことですが、おそらくここで母の死が生きてくるんでしょう。これも初回はよく考えたなあと感心した部分です。「知らない子を命がけで助ける」という部分です。母の様子を見ているとそういう孤独に苦しんだ性格じゃない風にも見えますけど。
 要するにそれを描きたいなら、そういう話にしてほしいです。すずの覚悟に重なってこない気がしました。
 母親のキャラの背景があいまい過ぎるでしょう。父は何のためにいるの?それを語らせる(かならずしも説明しなくていいけど背中で語って欲しい)必要があるでしょ?と思います。


{/netabare}


 要するにヒロインのキャラ造形は非常に良かったです。そばかす姫というキャラ設定にマッチしていました。まあ、これは上でもいいましたが、コンプレックスなら普通は美少女ですよね。なにかに配慮しちゃったのかなあ?

 しかし、竜に説得力がなかったです。そう、ほぼすべてと言っていいでしょう。
 それと、実社会における協力とか犯人捜しみたいなあの辺はもっと省略していいかなあ。

 Uを一番初めにもってきたのはどうかなあ、盛り上がりがないなあ…と思ったり、演出というかキャラの演技がディズニーそのままだし、全体的に構成・演出等々にまあ嫌いな言葉なんですけど「意識高い系」を感じました。

 そして、幼馴染は全く機能してなかったです。細田作品全体に言えますけど、代理店の要望か知りませんが俳優の声優を増やすための案件臭キャラが多すぎです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 22
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

仮想世界がひとつの現実になるとき

世界観:5
ストーリー:5
リアリティ:4
キャラクター:5
情感:7
合計:26

<あらすじ>
青春、家族の絆、親子愛、種族を超えた友情、命の連鎖…。
様々な作品テーマで日本のみならず世界中の観客を魅了し続けるアニメーション映画監督・細田守。
最新作『竜とそばかすの姫』では、かつて『サマーウォーズ』で描いたインターネット世界を舞台に、『時をかける少女』以来となる10代の女子高校生をヒロインに迎えた。
そこで紡ぎ出すのは、母親の死により心に大きな傷を抱えた主人公が、もうひとつの現実と呼ばれる50億人が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>で大切な存在を見つけ、悩み葛藤しながらも懸命に未来へ歩いていこうとする勇気と希望の物語だ。
(公式サイトより抜粋)

年末の休みで映画を見る時間ができて、録り溜めていた金曜ロードショーの中から本作を見つけたのが視聴経緯です。

細田守監督作品では、「おおかみこどもの雨と雪」を劇場で観たと思います。泣けたシーンがあったかもしれませんが、ほとんど記憶に残っておらず。「時をかける少女」は世間の評価から乖離して低い点をつけています。
今回の作品を見ると、作者がアニメには現実のようなリアリティを求める必要がないと考えているようにも思われ、そこで折り合えない人には合わない、ということになるかと思いました。
私は合わないほうに含まれているのですが、今後のメタ世界がどうなっていくのかについて考えてみたいと思ったのでレビューを書いていることを前提にご覧下さい。

{netabare}本作視聴時にわからなかったのは、しのぶくんがなぜ、すずがベルであることを見破ったのかでしたが、調べてみるとこれは仮想世界<U>での声が現実世界と同じという理由が有力でした。
すずとベルは確かに同一人物が演じています。歌は別人を起用するのが当たり前と思っていたので、すずの声優が歌も歌っている(シンガーソングライターの中村佳穂さんなので正確には逆だが)ことは凄いのですが、匿名性が当然と思われる仮想世界で地声のままというのはありえるのか疑問に思います。
特徴的な声質を持つ人は世の中に少なくないと思われ、そういった方は利用できないでしょうし、特徴的と言えなくとも普通に身バレ回避のため敬遠され、50億人も集まるとは考え難く、マーケット調査段階で地声を採用する仮想世界は作られないでしょう。

また、この仮想世界<U>では、アバター(As)が自動生成されるシステムですが、ベルや竜のデザインと他のキャラとの違いが明確で、もう一つの現実であるアバターがいかにもなモブや非人型の場合、広く受け入れられることはないでしょう。

仮想世界で有名な歌手になりたいと思う人も50億人もいれば相当な数いることが想定され、歌唱力があっても皆から知られるほどの存在になることは困難だと思います。そういう道が現実世界のように確立されていくでしょう。

これまでもインターネットにより、いわゆるネトゲ廃人を生み出し、近年はスマホゲームの普及により、ゲームに貴重な時間を搾取されるということは依存症として問題化しつつありますが、仮想世界もまずはこの延長戦上に登場すると思われます。

私はVRゲームを未経験であるものの、視覚が別の空間に入り込むことは既にできているようなものなので、他の感覚も取り込むことができれば、簡単な仮想世界はほとんど既に現実となっています。

そこにどれだけの価値を与え、人の時間を割けるものになるかはクリエイター次第ですが、その人の満足によるので、モブとしか存在できないような仮想世界は廃れるでしょう。

人がある程度以上の承認欲求や自己実現を求め、仮想世界で満たされるとすれば、50億人も参加するところでの成功は現実味がないと思われます。

なお、本作で言葉が自動で翻訳されるようなシーンがあって、これは翻訳こんにゃくが仮想世界内で実現できる可能性はあるのかもしれないと思いました。言葉の壁なしにビジネスを展開できるとしたら、これをチャンスと考える企業もいるでしょう。

もちろん市民権を得て、情報収集や教育などを仮想世界で行うほうが良いと考えられる未来もあるかもしれません。しかしそれならそれで、本作のような学校は役目を終えていると考えます。

ネトゲのアイテム売買のように、仮想世界が現実のお金に繋がる可能性があります。本作のすずは地声ですので、すぐにでも世界的なメジャーデビューのオファーが来て不思議はありません。

仮想世界が一つの現実と受け入れられ、大多数の人間が2つ(以上の)世界を渡り歩くようになったら、どうなるのか。割合で言えば、理想的な容姿で、承認や自己実現が手に入るなら、現実世界よりも仮想世界に生きる人は増えるでしょう。そうなれば現実世界は肉体を維持できればよいので、現実世界の生命維持コントロールビジネスが幅をきかせていたりして。
それもロボット化すれば、マトリックスの世界ですね。

ということで、色々と書いてみましたが、仮想世界<U>の設定は、物語としての設定であり、わかりやすさを重視していることは理解しつつも、主人公や主要キャラ以外のモブが現実感を出せないため、世界の説得力を保てません。

他にも、下記のところは気になりました。
なぜすずの母親は増水した川にライフジャケットのみで入ったのか?(ロープとか必須では?)
なぜ竜の居場所を短時間で特定できたのか?(住所を特定できずに、偶然路地でっていうのはあまりにも非現実的)。
なぜ合唱団の人たち(大人)がいながら、すずを一人で東京に向かわせたのか?(兄弟が虐待を受けていたとはいえ、命に関わるとの状況ではない。まずは父親に連絡させるべき)。
なぜ思春期の男女が(人前で)抱き合うか?(動じないしのぶくんは年不相応に男前すぎる。竜のオリジンもだが)

こういった気になる要素がありつつも、素顔を晒して、人のために大勢の観客を前に熱唱するシーンは感動できました。歌の力、音楽の力はやはり凄いと思います。

書き忘れました。本作を調べる中で、しのぶくんがすずと付き合うか?といった問いがありましたが、しのぶくんにその気があるなら東京に付いていくし、抱きつかれた様子から少なくともこの時点で恋愛感情はないでしょう。
すずの気持ちを知りつつ、素顔で歌わせて莫大な金を儲けさせ利用しようと考えていたらそれはそれで面白いのですが、この手の作品ではないか(笑)
{/netabare}

ということで、合う合わないあるかと思いますが、雰囲気で感動できる方は満足できる作品のように思います。

(参考評価:3.3)
(視聴2022.12)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12

63.9 21 ファンタジーで田舎なアニメランキング21位
虹色ほたる~永遠の夏休み~(アニメ映画)

2012年5月19日
★★★★☆ 3.7 (127)
586人が棚に入れました
ネット小説として人気を博した原作を、大人気アニメ『ワンピース』のシリーズディレクターを勤めた宇田鋼之介を監督に迎え映画化。現代から1970年代にタイムスリップしてしまった少年のひと夏を、日本を代表するアニメーターたちが表情豊かに描く。自然の美しさや、子どもたちの活き活きとした姿を“アニメならでは“の表現で描いている。

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ボーイ・ミーツ・ミステリアス・ガール

これはホントもっと評価されるべきっ!!!
今年一番面白かった映画の最有力候補です!!!


原作は『ネットから生まれたベストセラー』の代表格、川口雅幸が04~05年頃に自身のホームページに掲載したものから


亡くなった父親との思い出の地へ昆虫採集にやって来た小学六年生の男の子『ユウタ』は山奥のダム湖で不思議な老人に出会う


山からの帰り道で大雨と土砂崩れに巻き込まれてしまい、気を失ったユウタに老人は救いの手を差し伸べるのだが、気が付いた時にユウタはなんと1977年にタイムスリップしてしまっていた
そしてこれからダムの湖底に沈むはずの地に、小さな村と人々の営みが広がっているのを目撃する


なぜか全く見覚えのない祖母と名乗る老婆はユウタの素性を知っており、心温かな村人や村の子供達にすんなりと受け入れられる
謎の老人はユウタを元いた時代へ帰すことを約束してくれるが、それは1ヶ月も先になることを告げて姿を隠してしまう


そんな中、村で一番最初に出会い「ユウタくんは私の従兄弟」だと言い張る謎の少女『さえ子』にも秘密が隠されていることをユウタは知ることとなる・・・


さえ子に隠された秘密が、今作を大きく引っ張ってくれる魅力になっています
最後まで目が離せないっす!










まず今作は色々と不幸な偶然が重なってしまったことで業界内外での話題が振るわなかったことが非常に残念でした


『虹色ほたる』と『タイムスリップ』というキーワードが、まんま【今年の映画ドラえもん】の『ゴールデンヘラクレス』と『タイムスリップ』というキーワードと丸被りだったのです
オイラもてっきりドラえもん的なSF映画なのか?と激しくカンチガイw


さらに1ヶ月ほど先立って公開された映画【ももへの手紙】が今作と同じ『主人公が母子家庭』で『日本の田舎風景が舞台』というのですからトコトンツイてないw
こうなってしまうと“圧倒的に後発の方が不利”なのは古今東西相変わらずですよね;


ただ今作で描かれている村の風景は『地方の○○が舞台』という特定のものではなく、日本の原風景とも言うべきドコの田舎にでもありふれていそうな親近感あるものとなっています
ダムの底に沈んでしまう村という儚いお話も、ダム大国日本ならではのポピュラーなネタで、老若男女問わず入り込み易い作りになってると思います


それとCGなどは使わず、暖か味ある手描きの背景画で日本の自然を表現することへの拘り、これ自体は割りとドコの作品でも見られるんですが、今作の最もたる特徴の<作画>
この作画が世界観を引きたてる画面作りに大いに発揮されておるんです!


例えば、ふと空を見上げたときの『太陽から照り付ける夏の強い日差し』といったエフェクトの類は、普通ですと撮影処理で作り出すもので作画することは無いんです
ところがこの作品の場合、なんとその日差しのエフェクトを手描きの作画でやってしまっているのですw
もうこれは正気の沙汰とは思えないwwwwwwwwwwww
他にも川の水しぶき、舞う様に飛び交う蛍の淡い光とゆるやかな動き
なぜこうもアニメ向きじゃないことばっかり手描きでやってしまうのかw
これらデジタル技術に片寄らぬ手描きによるアニメートが、作品全体の雰囲気を作っているんですよ!
ちょっといくらなんでも凄すぎますw


作画、のお話が出たところでオイラが最も燃えたポイントをば・・・


この作品が公開される直前まで、オイラは例の【ももへの手紙】での素晴らしい作画に感銘を受けていたわけなのですが、今作は【ももへの手紙】とは全く違うアプローチの作画をしているんです


【ももへの手紙】はスタジオジブリ作品など大型アニメ映画作品の例に従い、作監によって整ったカタチに修正された、アニメ映画として最も純然たる美しさを目指したまさにメジャー向けな作品でした
多少ですが原画を担当したアニメタの個性が見え隠れしますが、それをキャラ表のデザインに近づけたり、特定のカットだけ突出してヌルヌル動いたりしないように
と、作品全体の画面作りに調和が図られているのがよくわかります


対して今作では腕は立つがアクの強い絵柄のアニメタを場面ごとに上手く配置して各々のアニメタの個性を打ち消すことなく自由に作画させているのがポイント!
アニメタによってはやたらとフルアニメーションでヌルヌル動かしたがって、それが涙に揺らぐユウタの心情を表現していたり
また大平晋也さんなんかは相変わらずキャラデザを無視しまくってラフなアウトラインのデッサン調でいわゆるリアル系に描いていたりもして、それが使われるのが現実と虚構の入り混じった極めて抽象的な場面であったりとか
作画に興味の無い人にしてみれば「キャラの顔がコロコロ変わってイミフ?」なことになること請け合い;


単純に綺麗なのはモチロン【ももへの手紙】タイプなのですが、【鉄腕バーディーDECODE】や【ハガレンミロ星】の作画に理解を示していただける方ならきっとこの作品の作画の凄さに気づいていただけると思います!
オイラ的には今作の方が断然好きで、どちらも作画評価は5.0点にしてるんですが気持ち的に今作には10点ぐらいあげたいですw
マジでw


で、もちろんどれほど作画が良かろうがお話がツマランかったら容赦なくぶった切りたいトコロだったのですが、、、お話もホント良いんですよ!


はじめにユウタが手に持っている携帯電話がロッドアンテナ付きで白黒液晶
それと1977年の村の少年の「ゴレンジャーの何が好き?」という問いに対してユウタの「タイムレンジャー・・・とかかな?」という会話
これらですぐユウタのいた時代が2000年前後に設定されている、とオイラにもわかったんですが、それにしてもなんで?
そこは2012年でいいだろw
超無意味じゃん!
そう思っていた時期が、、、オイラにもありましたw


その辺をしっかりラストで伏線回収
マジで最後の最後までハッピーエンドに転がるのか?切なさを残すような〆方に転がるのか?もう目が離せないんすよ!
とにかく手放しのエンディングってワケではないんで!作画だけでなくお話にも期待していただきたいっす!


時を経て、人は変わる、風景も変わる、子供も大人になる、でも変わんないものもある
それでも、こどもたちは今を生きる―――そして未来へ


【銀河へキックオフ】といい、オイラの中で最近の宇田鋼之介監督の株は急上昇ですw
ホントにいい映画をありがとうございましたm(__)m
今作、埋もらしておくにはモッタイナイ名作ですぞ!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 36

らしたー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

「きれいすぎるもの」に対する耐性があれば。

さる方面から猛烈にプッシュされ、観た。

人に勧めたいかと言われると、2分くらい悩んでしまうのですが、「きれいすぎるもの」に対する耐性があるのであれば、まあ、けっこうベタに完成度高いので観ても損はない、とは思います。

なんかこう、あらん限りの「きれい」を集めてきたなあ、という意味で感心した。なにせ、虹色でほたるで夏休み、ですからね。もう軽く引くくらいの眩しさだったりするわけです。
切なさとか甘酸っぱさとか、そーいうとこもひっくるめた上での、物語の味わいとしての「きれいすぎる」に対応できる方ならたぶん楽しめる。

※個人的にこの手の宝石箱みたいなアニメってご無沙汰なんで、わけのわからない久しぶり補正みたいのがビシバシ入っちゃってるかもしれません


どなたかのレビューで「これ完全に大人向け」みたいな指摘がありましたが、たぶん、ていうか間違いなくその通りで、疲れた大人がやわらかい魔法に包まれたい時に観る、そういう映画でしょう。むしろそうとしか考えられない。

ユウタの異常な適応力の高さとか、まあ子供ならではの柔軟性という解釈もあるけれども、あれ余計な描写をオミットしてるだけって気もするんですよね。現代とのギャップにその都度一喜一憂されてもカット数を食うだけで、大人に訴えるものは皆無ですから。

だからもうほとんど社交辞令的に黒電話とか500円札とか、ある種の記号的なものにだけさらっとツッコミを入れてもらって、あとはもう「そーいうもの」として世界に溶け込んでいってもらう。

そのほうが制作側にとっても受け手にとってもありがたい。ウィンウィンで正しい判断かと思います。子供目線でのエンターテインメントだったら、もっともっと時代的なギャップに目が行くように描かないと、いわゆる感情移入てのが浅くなりますから。

そういえば、どうでもいいことだけど、携帯電話をちゃっかり持っていかないあたりが、制作側の時空パトロール的な老婆心を感じて笑ってしまった。まあ別に、このアニメの緩さであれば、持ってったら持ってったでどうせつながらないし、「おまえ珍しいもん持ってんなァ」でさっくり終わる気はしますが。

でもこれさ、よく考えるとこの作品のオールドグッドデイズ指向って案外ぼやっとしてるのもかもしれない。というのは、「古き良き」という時代的な対比に、もうひとつ「都会と田舎」という対比が微妙に入り混じってて、それらが互いに互いをファジーにし合ってる感覚も多少なりとあって。
だからって何がどうでもなく、それ込みで「原風景」を表現しているわけだから、テーマがぶれたりってことでは全然ないですが。


こういうベタベタなものって、今の時代どんどん難しくなってきてると思ってて、過去に出されたアレとかソレとか、偉大な先達に対して明確な差異を打ち出していかないと、駄作とは呼ばれないにしても、非常にスルーされやすい、って気がしてるのです。事足りちゃってる、みたいな。

ましてや本作みたいに「アニメを見る大人」がターゲットになると、どこかしら苦にならない程度の「尖ったもの」があったほうが肌感覚的にむしろ受け容れられやすいんじゃないかと思うのですよ。

そんな中で、こういうケレン味がなくて優等生なノスタルジックファンタジーを出してくれるってのは、それはそれで貴重っていうか、歓迎すべきことなんだろうなあ、とか。いろいろ考えてしまった。

この手のやつ、定期的に作ってほしい。
まあ、あえて望まずとも毎年夏になると一本や二本それっぽいのが勝手にどこからか湧いてくるのだけども。変な話ですが、「自分は観ないかもしれないけど定期的に作っていてほしい」という思いがある。たまに見ると一周して逆に新鮮だったりするから、その時にたくさん選択肢があると嬉しいし。


全然関係ないけど、この「永遠の夏休み」って副題どーにかならないですかね。なんかこう字面からビューティフルドリーマー的な肌寒さを覚えるのは私だけでしょうか。

そこにくわえて、雰囲気こそぜんぜん違うけれど、物語のテイスト的にどこかしら一昔前のギャルゲADV的なものを感じていて、

BAD END 02 終わらない夏休み

みたいなのを期待しちゃう黒い自分がいたりして。

そんな真っ黒い人間ですら軽蔑せずに包み込んでくれる、母親のように優しい作品でした。



あと、うん、能登ですよ能登。じらしすぎじゃね?w

投稿 : 2024/11/02
♥ : 6

ろき夫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

スカウターが派手に壊れた。

最高でした!^^


ジャンル:心のサプリ系アニメ。

2012年5月公開。上映時間105分。

「夏休み。とある少年と不思議な老人との出会いからすべては始まる。
昆虫採取のために父と訪れた思い出の場所。その近くのダムの底には昔、村があった。
少年は、老人の手引きでその村が無くなる直前の過去へとタイムスリップしてしまうことに。
そこで出会った人たちとの心温まるストーリーが展開される。」


7月1日に観に行きました!公開から一カ月以上経ってたのでメチャクチャ空いてました。


以下、感想↓

序盤の方は、展開がゆっくりで謎に包まれている部分も多いので、退屈な感じがしなくもないです。
ですが、細部まで描き込まれた昔ながらの美しい田舎の風景や、子供たちの自然と一体になって遊ぶ姿など、懐かしさを感じさせてくれる部分も多く、なんかジンワリきちゃいましたw

そして何といっても印象に残ってるのが、夜空を舞う蛍のシーン。
足元にはひんやり冷たそうな清流が静かに波打ち、真っ暗な夜空には一面に輝く虹色の蛍が。

凄まじく綺麗で感動的。このシーンで一気に心奪われました。
良すぎて目からアツいものが…w
それから中盤にかけてさらに盛り上がりを見せ、最後まで目が離せなくなります!


数々の灯篭を乗り越えて…。
時の流れは止められない。失ったものはもう元には戻らない。
けれど、悲しみを乗り越えたその先にはきっと明るい未来が待っている。
そんなメッセージを感じました。


もうね…、何回泣いたか分かりませんw客が少ないのを良いことにw
完全に予想外ですねw
高評価を聞いてはいたので期待はしてましたが、まさかここまでボロ雑巾にされるとは…。
購入したポテトの為に用意されたおしぼりしか手元に無かったので、それで頑張りました。
ポテトの油と目汁が混ざり合って何だか気持ちの悪いことになりましたがw

スカウターがまじでぶっ壊れましたよ!ドッカーンとw派手にね。この子の破壊力は計測不能です!

ていうか、いろいろ卑怯なんですよ~。
松任谷タッグによる心地よい音楽。終盤でまさかの能登センサー反応!w
テンションの上がり方ハンパ無かったですw


~あと、作画とかについて~

人物画が凄く独特で、墨画に色を付けた感じ。
ぱっと見荒削りな印象を受けますが、どこか郷愁さ漂うタッチで作品の雰囲気と合っていて好感が持てました。
また、場面のもつ感情によって作画が急激に変化したり、やたらウネウネ?したりしますw

なんで、テーマ自体は万人ウケすると思うのですが、作画の変化などによるクセのある演出は人を選びそうな気がしますね。
でも、そこがツボにハマればお気に召すこと間違いなし!だと思います。


気になる方は、劇場で観ることをおススメしますよ!
終っちゃわないうちにお急ぎを!w

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17

65.8 22 ファンタジーで田舎なアニメランキング22位
ライザのアトリエ 〜常闇の女王と秘密の隠れ家〜(TVアニメ動画)

2023年夏アニメ
★★★★☆ 3.3 (154)
512人が棚に入れました
周りを湖に囲まれたクーケン島にあるラーゼンボーデン村。ロテスヴァッサ王国の辺境にあるこの村では、穏やかな時間が流れている。 そんな刺激が少ない村での暮らしに活力を持て余していたのは、平凡で特徴がないことが特徴の少女、ライザ。「あーあ。何か面白いことないかな。」窮屈で退屈な村、そこに身を置く“なんてことない農家の娘”である自分に不満を抱いていたライザは、ある日、幼馴染みのレントやタオとこっそり小舟に乗り込み、島の対岸へはじめての冒険に出かける。 そこで出会ったのは、“錬金術”という不思議な力を使う一人の男だった。その力に魅せられたライザは、錬金術を教えてほしいと頼み込む。“なんてことない農家の娘”から“錬金術士”へ。これまでの遊びとは違う、自分たちだけの“ひと夏の冒険”が始まる――。 25周年を迎えた「アトリエ」シリーズの人気作『ライザのアトリエ』が遂にアニメ化!


声優・キャラクター
ライザリン・シュタウト:のぐちゆり
クラウディア・バレンツ:大和田仁美
レント・マルスリンク:寺島拓篤
タオ・モンガルテン:近藤唯
アンペル・フォルマー:野島裕史
リラ・ディザイアス:照井春佳
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

3話 神は細部に宿る。太ももが売りならライザの見栄えに命をかけろ!

 ということで2話で十分堪能しました。一応これで断念とします。子供と親の何かを描こうというテーマ性が見えなくはないです。

 言い方が難しいですが、分かりやすい1話完結の話が毎回続いて行くという作品は決して悪いとは思いません。
 私の好みでは、謎かけやストレスや不条理などの心をざわつかせるものを放り込んでほしかったというだけです。そして、何より面白さを見出せませんでした。

 ただ、本作はそういう視聴者層を狙っていないのでしょう。キャラ萌え作品なのであえてそこは薄くしているのかなあという気もします。

 太ももの件ですが、何かにとんがった作品というのはニーズに合った視聴者層には優れた作品になります。その点でブレない胆力は大したものだと思います。

 が、3話のベッドの上にライザで悶えたり座るシーンですが、CGの悪さが出ていました。遠景だと人間のシルエットの線が死んでしまって、人間が人間に見えなくなります。また、動きも骨格も非常に不自然でした。

 技術的にそれが難しいなら、アップで太ももをクローズアップでしょう。つまり絵コンテが技術レベルの詳細を理解していないのでは?
 こういうところは、ライザを徹底的にビジュアルで描きたいなら手で修正すべきでしょう。このシーンがちゃんと綺麗にできていれば、もう少し作品を見たかもしれません。

 ということで、太ももというテーマ性にしぼったかどうかはわかりませんが、作品の意図としては好感がもてました。ただ、それなら中途半端は良くないです。
 「神は細部に宿る」です。本作の売りがライザの太もも1点突破なら、他の要素を切り捨ててでも、ライザの作画には命を懸けて欲しいと思います。

 私のニーズとは合いませんので断念です。評価のオール3はデフォルトで評価せず、の意味です。





2話 太ももに話題が集中ですが意外にテーマがある。ただ面白さが…


{netabare} あまりの太ももの話題に思わず見てしまいました。なるほど、玉羊羹の様に楊枝でつつくとトゥルンといってしまいそうなパッツンパッツンの太ももでした。

 一方で、太ももだけに視点が行ってしまうのはかえって不幸なことな気がします。変わらない農業生活から抜け出して、というテーマそのものはなかなか面白いスタートかと思います。
 
 主人公一行の夢だけ見ての無謀な冒険に出発したのと、リラとアンベルという大人は技術も準備も教育もちゃんとあることの対比がなかなか良かったと思います。
 結果的に農業や文字は…勉強かな?、レントは…剣士かな?と言った自分がやるべきことをやるための努力を重ねる物語なら、そう浅くはならないと思います。特にライザは錬金術と農業の融合まで持っていければなかなかの物語となるでしょう…テーマ的には。

 本作の残念ポイントは、太ももがいくら魅力的でも、テーマがいくら良くても、面白さがなあ。ストーリーというより演出とか展開なのかもしれませんが、ドキドキワクワク成分が不足してますよね。あの無謀な家出での冒険や魔物?に襲われたときの緊迫感が全くありません。
 2話の薬をつくって子供の傷を治すまでのプロセスも盛り上がりも苦労も葛藤も無く、とにかくサラリと進んでしまい、引っ掛かりがないので面白ポイントが分かりません。そもそも薬作りに初めるまでに何もないですし。CGを見せたかっただけ?

 それとCGを複数用意するのが厳しいからなんでしょうけど、主役のライザですね。農家の娘の時の格好があれはないでしょう。薄汚い恰好から着飾るまでの努力とかも一つのエピソードになるし、それが農家を脱出したいというモチベーションとして説得力を持つのに…それを言うなら農家時代の苦労が苦労に見えませんでしたし。

 ライザに物語がないので、感情移入しづらいです。このせいでせっかく凝ったキャラデザにしても、魅力が半減です。ビジュアルだけで魅力が作れると思ってるならクリエータは考えを改めるべきです。
 それと錬金術を習うまでの苦労も少ないし…まあ、私の指摘はステレオタイプなのかもしれませんけど。

 と言うことで、キャラ設定、企画、コンセプト、テーマ、太ももはいいんですけど、面白さが不足している気がします。これでは先に興味があっても見続けられないかなあ。

 異世界ものとして見れば、もともとニーズとしてそんな水準もとめてないのかもしれません。しかし1話が48分と力を入れている体裁をとっています。それだけ力を入れているなら、面白さも本来は期待します。なので、厳しめに言っておきます。
 ちょっと「海賊王女」みたいのを期待したんですけどね。水準は3段くらい違いました。

 一応、あと2、3話視聴してみようかなあ…という程度には興味があります。 {/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

鬼戦車 t89 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

ゲーム原作の悪い面が出ている…。ネタバレ縛りが厳しすぎ!

 最終話(12話)まで観ました。2023.09.17

 島の謎も師匠達の目的も全く明らかにならず、最後までお使いミッションをこなして終わりでした。

 禁則事項が多すぎるというか、ネタバレ禁止縛りがキツイというか…。ゲームの宣伝アニメなので仕方無いのでしょうか。

 ゲームファンとアニメファンは、支持層がズレているので、宣伝としてはどうなのかなぁと、いつも思います。漫画や小説となら、ある程度ファンは重なると思うのですが。

 制作費を引出しやすいとかあるのかなぁ。大人の事象が見え隠れするアニメでした。

………………………………………………………………………

 11話まで観ました。2023.09.14

 ありゃ?もう最終回間近ですよ…。なかなか評価しづらいアニメですね。取り敢えず言えることは、アニメ単体としてのストーリーは盛り上がっていません。

 ライザ達は命掛けでドラゴン討伐へ行きます。ここ、盛り上がる所のハズですが、なんともサラッとした印象で終わってしまいました。

 ライザ達の島は禁足地が多くて、遺跡が沢山あってモンスターもいるよ程度の情報しか主人公にも視聴者にも公開されていません。

 ゲームだったら、ライザを操作して冒険し、少しずつ行動範囲を広げて謎を明らかにしていくのでしょうが、ゲームのネタバレ防止のためか、島の謎が全く明らかになりません。

 大人達も、ライザ達に行動制限をかけてくるわりには、何のためにそうした行動をとっているのかが不明なため、全て暴力で解決出来そうな雰囲気です。

 錬金術で爆発物やらヤバい薬やらを大量に作製、保持している若造なんて、止められる村人いませんよ…。何か大人に言われても、うるせー!で片付けられそうです。

 物語上の制約が多いため、ライザ太もも萌アニメにしたのかも知れませんが、ライザが万人に愛されるキャラでも無いので(と、言うかそんなキャラをポンポン作れたら誰も苦労しない)何とも中途半端な印象です。

 ストーリー以外は、結構力が入っている作品なんですが、ゲームの促販や原作ファンの期待に答えているかと言うと、凄い微妙な感じです。
………………………………………………………………………
 6話まで観ました。2023.08.08

 5話で水着回とかありましたが、基本的に師匠のお題をクリアしていく展開を繰り返します。ゲームどおりなのかも知れませんが、アニメで観ていて面白いかと言うと…。

 ゆっくりとした展開に、そろそろ飽きるころなので、テコ入れが欲しい所です。

………………………………………………………………………

 3話まで観ました。2023.07.16

 エモい話頂きましたー!今回は冒険無しです。この路線で行くのかな?

 何か低空飛行ですが、一体何話やるつもりなんでしょうか?日常系も悪くないですが、物語が進まない感じです。  

………………………………………………………………………

 2話まで観ました。2023.07.10

 駆け出し冒険者と錬金術士達の王道ファンタジーとしては、まぁまぁの序盤です。視聴継続です!

 ただ…、ゲーム原作縛りなのか、格好がいつも一緒です。ライザの袖のヒラヒラが錬金釜に浸かりそう…とか、採取で汚れても移動したらキレイになっているとか…。

 格好が冒険や錬金術に向かんやろ〜!なんて思ってはいけないのかもしれませんが、リアルティは無いです。

 後、傷口に軟膏を塗るのに、手袋したままとか、頑として衣服を変更しないのは不自然です。

 まぁ、いつもの奴で、見続けても大したことは起きない物語にはなりそうです。

 神は細部に宿るという格言があるくらいなので、視聴者が違和感を感じない程度にディテールの配慮は欲しいところです。

………………………………………………………………………

 1話観てのレビューです。2023.07.04

 なかなか、王道ファンタジーとしては面白そうです。ゲームは未プレイです。

 ゲーム原作なので、少し気になる所もあります。錬金釜で錬成するのに、薬草と試験管一緒に入れるか…?

 しかも、錬金釜から試験管がそのまま飛び出てくる所とか、もう少し工夫したほうが良さそうです。ゲームではそうかもしれませんが、手抜きですね。

 後、最初の冒険へ出かけた主人公達は素人パーティなのに、装備が一人前っぽい所とか…。

 ゲーム原作のアニメはかなりの確率で爆死している気がするので、頑張って欲しいです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

なんてことない日々を変える、ひと夏の物語

この作品の原作ゲームは未プレイです。
「〇〇のアトリエ」って、何か聞き覚えがあるなぁ…と思ってググってみると、これまで「アトリエシリーズ」として沢山のゲームが制作されていました。

その中で過去にアニメ化された作品が、「エスカ&ロジーのアトリエ 〜黄昏の空の錬金術士〜」で、2014年の春アニメとして放送されました。
この作品が、「アトリエシリーズ」として初のアニメ化作品だったようなので、この作品はアトリエシリーズの第2作目の作品という位置付けになります。

そう言えば、「エスカ&ロジーのアトリエ 〜黄昏の空の錬金術士〜」は、15作目の作品なのでオープニングテーマの前に「“A15”」と掲載されていました。
「ライザのアトリエ 〜常闇の女王と秘密の隠れ家〜」は21作目の作品のようですが、「“A26”」という表記を私は確認することができませんでした。
もしかすると、どこかで見落としたのかも…^^;


周りを湖に囲まれたクーケン島にあるラーゼンボーデン村。
ロテスヴァッサ王国の辺境にあるこの村では、穏やかな時間が流れている。

そんな刺激が少ない村での暮らしに活力を持て余していたのは、
平凡で特徴がないことが特徴の少女、ライザ

「あーあ。何か面白いことないかな。」

窮屈で退屈な村、そこに身を置く“なんてことない農家の娘”である自分に不満を抱いていたライザは、
ある日、幼馴染みのレントやタオとこっそり小舟に乗り込み、島の対岸へはじめての冒険に出かける。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

完走して振り返って思う事…
この作品を作った方々は、太ももかお尻のフェチ…だったのでしょうか?
太ももとお尻が、やたら目に入ってくる作品だったと思っているのは、きっと私だけでは無い筈です。
そして、やたらとキャラデザが良いモノだから余計に惹き付けられるというか…

まさか、これはアニメならではの改変なのでは…!?
と思いググってみると、You Tubeで原作ゲームを実況している動画を発見!
早速視聴してみると…ゲームもしっかりフェチでしたわ~^^;
この視点はアニオリじゃなかったんですね…

まぁ、ライザの健康的な感じは終始良かったと思います。
このアトリエシリーズは、原則として主人公自身、あるいは主人公の1人が錬金術士なんだそうです。
今回はライザが錬金術師だった訳ですが、錬成している際のアニメーションがまるで魔法少女の変身シーンみたいな感じも最初は違和感を感じましたが、結果的にこの演出もライザが可愛らしいからOK…

冒険かぁ…
今では生きていくこと自体が冒険みたいなモノですよね。
まぁ、モンスターとの戦闘はありませんが、サラリーマンは日々戦っていますのでっ!

アニメション制作はライデンフィルムさん。
総じて作画が綺麗で見易い印象がありました。
個人的には、ストライクのキャラデザだったので視聴にも力が入りましたよ~^^
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、三月のパンタシアさんによる「ゴールデンレイ」
エンディングテーマは、Awkmiuさんによる「アロー」
三月のパンタシアさんは鉄板ですね!
これまでずっと聴いてきましたが、私にとって1度も外れたことがありません。
今回の楽曲も大好きでした。

1クール全12話の物語でした。
アトリエシリーズは主人公が錬金術師であることは固定されているものの、物語の設定にそれぞれ違いがあるので、きっと他のアトリエシリーズがアニメ化されても十分楽しめる作品になるような気がします。
しっかり堪能させて頂きました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

60.8 23 ファンタジーで田舎なアニメランキング23位
絶対少年(TVアニメ動画)

2005年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (73)
460人が棚に入れました
自分がこれから何をしたいのか見出せず、不登校の生活が続く少年・逢沢歩。
母親に勧められた歩は、離婚した父親の住む町へと行き、父親のもとで一夏を過ごすことになる。進んで同意したわけではなかったが、母親から交換条件としてマウンテンバイクを買ってやるとまで言われれば、行かないと言えるほどの積極的理由もない、そんな歩だった。やって来た田菜は、山と水田と民家がポツポツとある小さな盆地。
母には小さい頃一度来たことがあると言われたが、その記憶のない歩には、今までいた場所と何も変わらない、何もない場所にしか思えなかった。
だが、それはとんでもない間違いだった…。

声優・キャラクター
豊永利行、三橋加奈子、斎藤千和、斎藤恭央、清水愛、加瀬康之、竹内順子

ソーカー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

10代の頃に見たかったジュブナイルファンタジー

2部構成で描かれた、日常ファンタジーアニメ。
前半はのどかな田舎町、後半は横浜の都会を舞台にしており
どちらも正体不明の物体マテリアルフェアリーがもたらす事件と少年少女の人間関係を描いた作品。

前半ののどかな雰囲気はとにかく素晴らしく良かったです。
現実感のある繊細なキャラ描写も、美しい風景も、謎に包まれたマテリアルフェアリーも
全体的に地味な印象ではあったものの、非常に丁寧で何もかもが素晴らしく思えました。
キャラの心情描写がアニメらしからぬほど非常にしっかりしている点が印象的で
「見えないもの」が見えてしまった等身大の少年少女の心情がじわじわ伝わってくる。
そういうなかで結びつきを深めていったり成長したりする様は実に心穏やかになれました。

後半から舞台を都会を移すと若干スタイルが変わってしまうんですが、
話の繋がりはちゃんとあって、前半の主人公も絡んでくる展開ではあります。
ただ前半より登場人物のすれ違いに重点をおいたシナリオなのでちょっと話が重い。
相変わらず非常にキャラ描写は丁寧ではありましたけども。
しかし、ラストは心地よい終わり方で実に良いアニメでしたねぇ・・・

マテリアルフェアリーの謎を追っていく展開も面白かったのですが
明確な答えと言える答えというのは作中では語られなかったように思います。
ラストで登場人物が各々解釈を語るわけですが、それなりに納得いく部分もありました。
しかし明確にこうだとは全然言い切れないわけで、どう受け取るかは人それぞれなんでしょうかね。
人は見たいように見るわけで、同じものでも色々な見方があると・・・。
結局よく分かりませんでしたが、その正体そのものよりそれに関わってしまった少年少女が
どう受け取りどう成長していくかが最大の見所ではあると思います。
ちょっと判然としないので、分かりやすさを求める人には合わないかもしれない。

全体的に非常にとてつもなくゆったりとした展開なので、好みは分かれると思いますが
とにもかくにもキャラの人間関係を非常に丁寧に描いていて、
ここまで繊細で良質なアニメにはなかなかお目にかかれなかったなぁとしばらく感慨に耽りました。
10代の頃に見ればもっと心に響いた作品だったと思いますけど。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13

ねこmm。 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

世界はどこまでも開いている  【ねこ's満足度:80pts】

不思議な光”マテリアルフェアリー&イーヴル”に導かれる少年少女を描いた青春群像劇。
終始落ち着いた雰囲気で淡々と時が流れる、日常系ファンタジーです。

物語は、田菜編(1~12話)・横浜編(13~26話)の2部構成。
それぞれ中心となる登場人物が変わり、舞台や季節も別のものになっています。

両編の主人公(歩と希紗)に共通する点は、ともに不登校児だということ。
どちらも人と接し関わる事が苦手で、自分の想いをうまく口にする事ができません。
そんな彼らがある日出会う謎の光、それをきっかけに始まる不思議な現象。
それらの出来事に関わることによって、彼らの考え方も微妙に変化していきます。

それは歩や希紗に限ったことではなく、彼らに関わる周りの少年少女たちも同様です。
擦れ違う想い・迷い・嫉妬・葛藤……。ふらふらと行き場の無い、もろく崩れやすい未熟な心。
それでも徐々に自分なりの答えを見つけ成長していく、そういった心理描写がとても丁寧に感じました。

ポイントはそんな心の変化・成長が、あくまで彼ら自身の意思でなされてるところです。
”マテリアルフェアリー&イーヴル”そのものは彼らになにかをするわけではありません。
それらが出現した意味を考え、自分を信じ、行動する。その結果が彼らの成長に繋がっているんです。

最終的にこの作品は明確な答えを表示しません。でもわたし的は特に不自然に感じませんでした。
歩にとっての真実、希紗にとっての真実、他の登場人物たちにとっての真実、それは全部違うからです。

淡い色調にゆったりとしたBGM、全編に漂う不思議な空気感。
慣れないと退屈に感じてしまうかもしれませんが、なんとも心地よい感覚に浸れる作品でした。
(個人的には田菜編の方が好みです)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 26

うぃず さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

ひとりきりはつらいね

「観る人を選ぶ」って評価、よく見かけますよね。

ところで選ばれる要素って何かしら?
1年にこれだけの本数のアニメが製作されていれば、それは様々なストーリーや絵柄も存在すのは当たり前。様々な要素においてテンプレを用意し視聴者に迎合すればそれは喜ばれ選ばれるのでしょうけれど、名作には成り得るのかな?

「絶対少年」
観る人を選びます。おい。笑
ううん、そんなこと絶対に無い。
観る人の寛容さが求められる作品。

テンポが遅いと感じてしまうのは、今のアニメはテンポが速過ぎるから。(暴論)丁寧に進められるストーリーはそれぞれのキャラクターに深みをもたらし、徐々にその世界へ溶け込むことが出来ます。細やかな所作も心情を表す表現として見逃せませんよ。

OP/EDも文句なし。
EDは大好きな伊藤真澄さんです。
畑亜貴さんの歌詞を口ずさむ度に涙がジワッと。
いつの時代になっても心に突き刺さるのです。

豊永利行さんの初期声優作品なのですね。
斎藤千和さんの演技も相変わらず素敵です。

たまにはこんなファンタジー作品もどうでしょう。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

70.8 24 ファンタジーで田舎なアニメランキング24位
SHOW BY ROCK!!ましゅまいれっしゅ!! (TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (83)
317人が棚に入れました
奇跡、出会えたかも!?北国の小さな村で生まれ育った、白っぽいきつね族の女の子『ほわん』。オーディションをきっかけに憧れの都会、Under North Zawa(アンダーノースザワ)へ旅立つ事に。縞々猫族のマシマヒメコ、デビルミント鬼龍族のデルミン、狼娘族のルフユ達と出会い、バンドを組む事になる。のか?きらきらがいっぱいのRockな音楽物語が、いま始まろうとしている。よーし、やるぞ♪

声優・キャラクター
遠野ひかる、夏吉ゆうこ、和多田美咲、山根綺、伊東健人、小松昌平、小野友樹、白井悠介、Lynn、芹澤優、鈴木みのり

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

プラスマジカからMashumairesh!!へ…

この作品の原作ゲームじゃ未プレイですが、アニメ2期とショ~ト!!は視聴済です。
「SHOW BY ROCK!!」というと、「プラスマジカ」や「徒然なる操り霧幻庵」が頭に浮かびますが、前作まで登場したバンドはバッサリ切り捨てた構成にはビックリしました。
前作のバンドで登場したのはシンガンクリムゾンズが少しだけでしたから…


奇跡、出会えたかも!?
北国の小さな村で生まれ育った、白っぽいきつね族の女の子『ほわん』。
オーディションをきっかけに憧れの都会、
Under North Zawa(アンダーノースザワ)へ旅立つ事に。

縞々猫族のマシマヒメコ、デビルミント鬼龍族のデルミン、狼娘族のルフユ達と出会い、
バンドを組む事になる。のか?

きらきらがいっぱいのRockな音楽物語が、いま始まろうとしている。

よーし、やるぞ♪


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

流石サンリオ…キャラの可愛らしさには余念も妥協もありませんね。
キャラの可愛らしさだけで見ると、前作より着実に進化していると思います。

皆さん立派なケモ耳をお持ちなので、最初はみんなネコちゃんかと思っていましたが、完走してwikiをチラ見した際、みんな種族がバラバラだったと知りました。

Mashumairesh!!のメンバーを紹介します。

ほわん(CV:遠野ひかるさん):白っぽいきつね族でボーカルとギター担当。
マシマヒメコ(CV:夏吉ゆうこさん):縞々猫族でボーカルとギター担当。
デルミン(CV:和多田美咲さん):デビルミント鬼龍族でボーカルとベースを担当。
ルフユ(CV:山根綺さん):狼娘族でボーカルとドラム担当。

デルミンは角が生えていますし、物語の中でも珍しい種族であることがネタになっていたので違うと分っていましたが、ほわんがきつね、ルフユが狼だったとは思いもよりませんでした。

前期の「シンガンクリムゾンズ」の立ち位置に相当するのが、DOKONJOFINGERの4人です。
元々は全員別々の学校の番長だったとか…
私が学生の頃は確かに番長とか居ましたけれど、今でも番長とかって学校に居るんでしょうか?

そして前期の「クリティクリスタ」や「徒然なる操り霧幻庵」の立ち位置と被るのが、3人組の実力派バンドであるREIJINGSIGNALです。
Lynnさん、芹澤優さんに鈴木みのりという超豪華なメンバーで構成されているので、劇中歌も聴き応えがありますよ。

少し懐かしさもあったので前期のキャラを見てみました。
すると改めて豪華声優陣にビックリです。

プラズマジカは、稲川英里さん、すみぺ、ぬーさんこと沼倉愛美さんにあやねるいという布陣で、クリティクリスタは、ちゃんりな、かやのん、五十嵐裕美さんにりえしょんという布陣なんです。
いやぁ、贅沢なアニメを見ていたんだなぁ…と改めて思いました。

物語はMashumairesh!!のメンバーがほわんを交えて4人になりバンド活動を開始…
対バンや曲作りの苦しみを経てFESに参加するまでが描かれています。
ストーリー性よりもキャラの可愛らしさを愛でるアニメという位置付けの作品だと思いました。
もちろん、主軸となる楽曲も良かったと思います。
特にREIJINGSIGNALの歌う2曲は抜群だったのではないでしょうか。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、「ヒロメネス」
エンディングテーマは、「キミのラプソディー」
どちらもMashumairesh!!が歌っています。

1クール全12話の物語でした。
物語の最後に一瞬だけですけど、懐かしいキャラが登場しましたね。
もしや…と思いましたが、最終話で「SHOW BY ROCK!! STARS!!」の制作が発表になったのは嬉しいサプライズです。
これまでテレビアニメに登場した歴代バンドに新たなバンドを1組加え、合計11ものバンドが登場するんだそうです。
きっと本作はこの新作に向けた布石だったんですね。
しっかり堪能させて貰いましたけれど…^^

Mashumairesh!!では3組のバンドが登場しましたが、前期のバンドは何度も死線を潜り抜けてきた猛者揃いです。
新旧のバンドがどう絡んでいくかが楽しみです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17

ZORRRO さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

曲が良い&あるある展開が受け入れやすい。

【ストーリー】

過去作品のSHOW BY ROCKは別に見なくても楽しめると思います。ケモナーなので見たってだけです。
その通り。「ケモナーならより楽しめるぞ」って話。


「白っぽいきつね族」の「ほわん」が田舎を出て音楽でビッグになるんや!ってテンションから始まる。
オーディションで街に出たはずだけど、色々あってバンド組んでみんなでキラキラするぜ!って流れ。

あるある展開と書いたように、田舎出て街行ってバンド組むまで。バンド組んでからの関係性。問題ごとなど。
ひとつひとつがどっかで見たような(主にドタバタした)展開で新鮮味は欠けていたものの、
展開が読みやすいし、また、見ていてツラいポイントも無いので受け入れやすくも感じました。
+萌え要素とケモナー向けの見た目で完走は余裕でした。

あるあるとは言っても、サンリオだからなのか、どぎつい内容は一切ないです。
子供向けっぽい、ふわふわした、都合の良いワクワク冒険的な展開、夕方でもやってそうな内容です。

終始ドタバタ1クールであっさり見れたのも良かったですね。流れるように見られました。


一応過去作品にも触れておくと、ケモミミ娘たちがバンドやるってのは同じですね。
ストーリー自体は過去作ほど大きく無い。過去作と関連性もない。
キャラ数は過去作より少なめになってます。


主人公所属のましゅまいれっしゅのメンバーは4人で、主人公目線でメンバーとの物語がメインになります。
主人公ほわん。可愛い。きつね耳。ストライク。天然なリアクションがかなり良かったです。
もはや。もっとリアクションやりすぎても可愛くて面白くて良さそう。

他のキャラはまともなキャラもいますが、クセの強すぎるキャラもなかなか多いです。
他のバンドのキャラとか、街の人とか、ほわんの田舎の年寄とか。 結構ギャグ多めで面白いです。

また、ましゅまいれっしゅのみならず、他のバンド目線でのストーリーもあります。
わりと蛇足感も感じましたが、多少のアクセントにはなっていたのではないでしょうか。

とりあえずケモミミ万歳。


【作画・声優】

絵はキラキラしてていいね。完全に萌え要素なのに、子供向けっぽい要素も入ってるのがまた謎だけど、
なんとなくその描写の差も面白かったです。
そこまで丁寧な作画ではないのですが、可愛くて良かったと思います。

CGもありますが、ライブは楽しむ感じではないです。緊張感・臨場感は無く、ライブ描写はオマケ的な感じ。
ライブ中にでトチる~みたいな流れは無いので、ライブにありつけるまでの
ストーリーやキャラたちにぜひ注目してもらう形ですかね。


声優さんは駆け出しの人がいたり、有名な声優さんもいたりと、各々が活かされてる配役だと感じました。
あまり中身の濃い会話や感情を出してくシナリオでは無いですが、歌も良かったし満足です。


【他】

曲が思っていたより良かったです。作中の挿入歌もそうですが、主題曲も含めてかなり聴き応えがあります。


子供向けとは言ったが子供に見せたらだめだぞ多分。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

シリーズ前作を観ていなくても問題なさそうな異世界のロックバンド・ストーリー

『SHOW BY ROCK!!』(1期目)、『SHOW BY ROCK!!#』(2期目)と同じく、我々の世界とは異なる異世界にある音楽都市「MIDICITY(ミディシティ)」における、ロック音楽やバンドをめぐるストーリー。

『SHOW BY ROCK!!』はサンリオが版権を持っているメディアミックスプロジェクトで、上記アニメの他にもスマートフォン・ゲームアプリとしても展開していますね。ゲームやったことないですけど。

本作中では前作に登場のバンド『クリティ・クリスタ』が既に活躍中であったり、時系列的にもつながりのあるお話のようではあるのですが、ここまでのストーリーで見る限り特に前作を観ていなくても話がわからなくなるようなことはなさそうですね。

既にバンドとして練習を始めている三人に主人公(今作ではほぁん、前作だとシアン)が出会うという形式は踏襲しています。OP/ED主題歌から考えてもほぁんが合流して4人でのバンド活動を行うことになりそうなのは明らかですが、とりあえず前半はメンバー同士が絆を深めてほぁんが合流するまでの紆余曲折を楽しむお話になりそうです。

余談: 本作シリーズにはショートアニメ『SHOW BY ROCK!!しょ~と!!』もあります。これは『SHOW BY ROCK!!』に出てきたバンドのメンバーが出演する、『徹子の部屋』のパロディーみたいな作品ですね。

2020.3.6追記:
1期目の「プラズマジカ」のポジションに「ましゅまいれっしゅ」が、「シンガンクリムゾンズ」のポジションに「DOKONJOFINGER」が、「徒然なる操り夢幻庵」のポジションに「REIJINGSIGNAL」が、という感じで基本構造が良く似ていますね。徒然はちょっと違うけど楽器編成も似てます。

1期目と違って今作はダークモンスターと戦ったりしない分、ストーリー的には王道かつ無難な感じになっています。

第8話でのREIJINGSIGNALのステージで、楽器持って出てきたのは最初だけで曲の途中からはただ歌って踊っていたのにましゅましゅ相手にドヤっていたのは、ちょっと納得がいかないです(笑)。

2020.3.30追記:
第12話(最終話)まで視聴終了。ある意味、今クールで一番「百合百合しい」作品(カップリング固定)だったかもしれないです。

作画面では安定していましたし、ストーリー的にも突飛なところはなくてそこそこ楽しめたと思います。

上で挙げたクリティ・クリスタ以外にも前作登場メンバーが現れたりで何かあるかな、と思いましたが最終話放送後に、シリーズ次回作『SHOW BY ROCK!!STARS!!』制作決定のアナウンスがありました。

次回作のキービジュアルを観る限りだと、本作で登場したバンドの他に前作の主役バンドPlasmagica(プラズマジカ)やプラマジとの絡みもあったSHINGANCRIMSONZ(シンガンクリムゾンズ)、徒然なる操り夢幻庵(つれづれなるあやつりむげんあん)、BUDVIRGINLOGIC(バッドヴァージンロジック)、Trychronika(トライクロニカ)、Criticrista(クリティクリスタ)といったバンドも出てくるようで楽しみですね。

ただ、次回作については「どのバンドが主役」とかはないのかもしれないです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27

64.6 25 ファンタジーで田舎なアニメランキング25位
冒険者になりたいと都に出て行った娘がSランクになってた(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.2 (90)
284人が棚に入れました
故郷の田舎で冒険者モドキの生活を送っているベルグリフは、 森で拾った愛娘アンジェリンを育て、都へと送り出す。 久し振りの帰郷の知らせを受けるものの、 当の娘は帰ってこず、日々心配は増すばかり。 一方、ギルド最高≪Sランク≫冒険者となったアンジェリンは、 大好きな父のもとへと帰ろうとするのだが……。 「一体わたしはいつになったらお父さんに会えるんだ……!」 親子のふれあいと友情、そして迫力のバトルシーンを鮮やかに描く、 ハートフル異世界ファンタジー、ここに開幕!!
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

話が始まらないし面白みが伝わってこない。限定の方がレベル低いのはなぜ?

原作はひょっとしたら面白いかも…ですが、面白みが伝わってこない。

 設定とストーリーは、工夫があるしヒロインも1人だけ黒髪でも転生者とかでもないみたいです。

 ですが、なぜこんなに面白く感じないのでしょう?と思ったときに「作品紹介」で5話まで来たような感じです。5話と言えばマンガなら2,3巻やラノベなら1巻かそれ以上ですよね?そこまで、物語が始まりません。テンポというかスピード感なのか構成なのか…原作からそうなのでしょうか?

 父と娘の確執とか出生の秘密、赤鬼クリフ無双とか逆に娘が父を超える…なんでもいいんですけど、現時点で「お父さん、お父さん」芸をずっと続けています。なんの話なのかが未だ見えてきません。
「お父さん芸」に工夫があればいいのですけど、そこは同じことに繰り返しです。いっそ、ずっと会えない状態の方が面白かったかもと思います。

 面白みについては間とか演出かなあと言う気もしますので、紙媒体で読んだ場合とは印象が違うかもしれまん。が、作画に見るべきところもないし、アベマプレミアムでしかも課金しないと1週遅れだし、一旦休止しようかなあ、と思います。

 最近増えた、この中途半端なレベルの特定の配信サイト以外課金みたいな中途半端な限定配信って、損益分岐点の問題かもしれませんが、業界は自分の首を絞めていることに気が付いた方がいいと思います。視聴者の幅を狭めます。もし、この形の配信でやるならもっともっとレベルを上げていってほしい。







1話 ポテンシャルはあるし面白そう。ただ、リアリティラインあげればもっと良かった。

{netabare}  大きな話のフレームは悪くないと思います。冒険者のいるような世界において、会いたくても会えないというのストーリーの幹としてはいいですね。それと領主?の娘も、パーティーの仲間も親との関係性でなにかがあります。そこがテーマで、主役だけでなくサブ・ゲストにおいても親子が描ければ話は広がります。孤児院というワードもあったので、そこを中心にしても面白そうです。

 娘は誰の娘なのか?父の昔の活躍は?娘が俺TUEEEに見えて、父が娘より強いというのは設定上ありがちかもしれませんが、いろいろストーリーに興味を引くポイントがあります。どう展開して面白くして行くかが見どころでしょう。

 本作の行方を考えるポイントですが、山の中に捨て子は本当に子どもを思えばあり得ないでしょう。見つかる可能性が極めて低く、動物に喰われてしまうのがオチです。
 そこを作者が考えているのか考えていないのかで話の深みが変わってきます。あえて、「あの」父を狙って子供を託したのならいいと思いますが、違うならご都合主義です。
 魔除けがあったことから娘の素性が魔王とかそういうことではなさそうです。OPアニメで白い女性と対峙している場面があるので、何かその辺とつながるのでしょうか?戦いというより何か関係がありそうです。

 それと父と娘があっさり会えるのかどうかですね。「眼鏡を忘れる」娘と同様に不自然な事件で会えない日々が続くのでしょうか。
 まあ、なろう系ではよくありますが、魔物の出現頻度と人間が存続できる集落の形態が不自然なのは気になります。城塞都市のようなところで強い冒険者がもっと集中していないと人類はあっさり滅亡するでしょう。不自然な世界観な気がします。

 あと、スイーツ…うーん。安易にスイーツとか出すと話のレベルが…ケーキを作る材料の流通経路や季節性、砂糖の相場、フォークの工業技術などなど考えればケーキバイキングは20世紀後半の技術がないと厳しいでしょう。
 せっかく田舎の風景を丁寧に描いているのに、そういうわきの甘さが「なろう系」は本当にもったいない。編集が付いていないとかいろいろ事情があると思いますが、個人投稿からマスメディア化するときに修正のチャンスがあるので、最低限のリアリティのフィルターを通してほしいなあ。

 普通の異世界転生ならこんなことは言わないです。本作は転生でもないし、父娘という珍しい視点と娘がSランクだけど父がもっと強いという興味ポイントがある、何か感動やテーマがありそうなポテンシャルを感じる作品だからの苦言です。
(追記 娘が父はもっと強いと言っていたので、額面通りにとりましたけど、本当は娘が強くなりすぎて、または、父は老いぼれて実際は弱いというのも一つのストーリーですね)

 話の展開が面白そうなので、継続視聴します。どちらにせよアベマに入ってしまいましたし。 {/netabare}


3話 赤髪、黒髪なので差別的ななにかの話があるのかと思いましたがそうでもなさそうです。

{netabare}  わざわざ赤髪を強調していましたし一人で隠遁生活ので、イギリスの赤髪差別的なものを想像してましたが、そこまではなさそうです。娘もわざわざ珍しそうな黒髪ですので、その辺の展開があるのかなあと。

 魔王的な因縁の話は面白そうではありますが、思っていたよりもなろう的な展開が感じられます。まあ、テンプレから脱却しようという若干の努力は見られるものの、身分とか差別とかはなさそうです。

 欧米で配信するなら、宗教と差別はしっかり研究した方がいいと思います。あれだけ強調さるとそう思う人も多いのではないでしょうか。赤毛のアンがなぜ赤髪を嫌がるのか程度は、海外配信するなら勉強しておきましょう。イギリスが中心で赤髪差別は理由がわからないらしいですけどね。

 ファザコンと魔王的なものが子供の造形なので、やはり親子関係の何かが関連するなら面白そうですが、どうでしょう?

 アニメのクオリティも課金の作品としてはそれほどクオリティも高くないして…うーん。視聴継続迷います。10月いっぱいはアベマプレミアム入っちゃったので様子見ですね。期待値はあげ過ぎないほうが良さそうです。{/netabare}


4話 危ないくらいのファザコン全開。面白くないことはないですが…作画が…

 なんでしょう?ファザコン芸が面白くないことはないですし、2人の強さの関係もなんとなくわかりました。早見沙織さんは「さすおに」もありましたので、甘え芸が得意なのでしょうか。
 見方によっては継父なので危ないといえば危ない感じもします…あれ?まさかそっち?なら、ちょっと見たいかも…いや、ないか?それは一線超えてますね。

 が、うーん…面白さに驚きがないというか、平板な話というか…見てられなくはない、という水準よりちょっと上というか…微妙なんですよねえ…続きは気になるので、11月以降は1週遅れますが、アベマの無料枠で十分かなという感じでした。
 それぞれのキャラ造形も思っていたよりは…という感じです。まあ、領主的な姉妹がいますので、それを巻き込んでどうなるかでしょうか。

 作画とかアニメの作りは駄目ですねえ。本当に課金作品?と思うレベルで、駄目ですねえ…ウイルス全盛だった時の作画か?という感じがします。

 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

たナか さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

「さすおに」ならぬ「さすおと」

異世界ほっこりなろう。
俺の嫁でなく俺の娘という次世代アニメ。

単身者が渇望する「おとうさんだいすき!」を極上の早見サウンドでお届け。
イチャラブ父娘の擬似体験が可能なミドル世代狙い撃ちなヨシヨシアニメ。

黒髪ロングなテンプレ役が多めな早見沙織だが本作では縦横無尽な振れ幅を披露。早見氏のファンには至福の逸品でしょう。メインの二人で作品の印象は激変するはず。作画はいつものやつ程度。OPはElements Garden作だが歌唱が残念。EDのやなぎさんがOPでよかったのでは。父娘ラブコメにはならないっぽい。

06
展開が動くといきなりいつもの感。

ボルドー3姉妹など、せっかくいつものやつよりサブキャラは充実してるのに使いこなせてないというかなんというか。貴族間の勢力図すら塗り替える貴重なSランクを巡ってギルド間によるアンジェリン争奪戦とかそういうのやったら独自性が出たのに。おとうさんだいすき!とベルグリフの説教の二本立てがメインだとしてもそれを載せるベースの部分がいつものやつレベル。ベルグリフの言ってることはそのとおりなのでパーツはいいのだけど、あれ言いたいがための流れの作り方がミエミエすぎ。闇堕ち幼女の精神攻撃もいいけど世界を変えるなんていうわりにはわざわざSランク滞在時に侵攻するとかアホすぎませんか。なぜあのタイミングで攻めざるを得なかったか、とかさあ。もっとやることあるでしょうよ。セリフ一言差し込むだけでいいんだよ。こういうとこサボるのがいかにもなろう。なろうはオ◯ニー書くとこなのでこれでいいのでしょうけど。

作画良ければ不問には出来たのだが。さすがSランクだぜ!な見せ場なのにただ強いだけで下位ランクとどれくらいの差分があるかもサボる始末。アンジェすごいのは知ってる。どれくらい凄いか、どこがどう凄いのかってのが一切不明。せっかくサブキャラにもAランクとか戦えるキャラがいるのにどうしてそこで使わないの。バトルがメインではないにしてもさあ。作画もいつもの程度だし使えるパーツを使い切ってない勿体なさゆえに余計にガッカリ。他のなろう全般もだけどパーティといいつつも全くチームプレイしてないのばかり。作画コスト重いんでしょうけど。

あとはいつものかわいそうかわいそうになるっぽいのでもういいかな。
キャラは良かったとは思うが敵のポッと出感はどうにかしたほうがいい。

というかアニメ化の際に「だっこ!」はオミットするべきだった。
声優パワーで勝つる!と甘えすぎてる印象。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

llllllllll さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

なろうを見ようとすると面白くない

ストーリーの骨子部分や前情報(特にタイトル)が思い切りなろうらしさを醸成しているんだけど、実際のアニメの雰囲気としてはなろうと言うよりむしろ少し懐かしめのファンタジー深夜アニメ。意匠や街並みがかなり良くできていて、キャラの個性も特にサブキャラが立っているので、シリアスはアクセント的に見てのんびりとした雰囲気と親子の交流を味わう作品だと思う。実は1話を見た時、展開にスピード感や新鮮さが足りないなと感じたんだが、落ち着いた雰囲気のファンタジーにそういった要素を求めるのは、なろうという色眼鏡で見すぎていたのではないかと気づいた。なろうの俺TUEEだとかご都合主義な展開を小馬鹿にしつつ、実はそれを求めている所はあって、その面を期待しすぎて物足りないと感じた人は少なくないんじゃなかろうか。第一印象のなろうっぽさで誤解されてそうで勿体無いアニメ。

作画に違和感がある人が多いようだけど、少し古めの深夜枠っぽさがあるからなのかな。大きく崩れている印象は無くて、むしろ表情が映える良い作画だなと感じた。背景や村の絵も良かった。ただ、日常回にはかなり合ってて良かったのだが、戦闘回は流石に動きがなさすぎる。後述するシナリオ的な意味でもそうだけど、殺陣ができないのか戦闘シーンがかなり拍子抜けする場面が多い。魔法の演出とかは標準ラインなのに...。
で、シナリオについてだが、早見ボイスがドンピシャにハマった娘ちゃんがとにかくかわいいし、おっさん主人公の落ち着いた感じを中心に展開する日常回も良い、サブキャラが生き生きしてて面白いと、作品の主軸部分はしっかり面白かった。ただ、ガッツリ戦ってくれることが少ない...。俺TUEEどころか、戦闘描写が微妙かつ短すぎて誰がどう強いのかが、最初の肩書き以上にはわからない...。いくつも出てきた問題なんかを結局畳み切れずに最後少しだけ回収して終わった形なのもこのクールだけで評価するとマイナス。全体的にとっ散らかってたし、良い点と悪い点相殺で。

やはり、親子を中心とした暖かみのある交流部分を中心に、ちょっとしたシリアスと味のあるキャラをスパイスとして見るのがおすすめ。そこは本当によくできていて面白かった。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2
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