ファンタジーで幻想的なアニメ映画ランキング 13

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ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年03月01日の時点で一番のファンタジーで幻想的なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

91.2 1 ファンタジーで幻想的なアニメランキング1位
君の名は。(アニメ映画)

2016年8月26日
★★★★★ 4.1 (2520)
11552人が棚に入れました
新海誠監督による長編アニメーション。

千年ぶりとなる彗星の来訪を一ヶ月後に控えた日本。
山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は憂鬱な毎日を過ごしていた。
町長である父の選挙運動に、家系の神社の古き風習。
小さく狭い街で、周囲の目が余計に気になる年頃だけに、都会へのあこがれを強くするばかり。

「来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!!!」

そんなある日、自分が男の子になる夢を見る。
見覚えのない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の町並み。
念願だった都会での生活を思いっきり満喫する三葉。

一方、東京で暮らす男子高校生、瀧も奇妙な夢を見た。
言ったこともない山奥の町で、自分が女子高校生になっているのだ。

繰り返される不思議な夢。そして、明らかに抜け落ちている、記憶と時間。
二人は気付く。

「私/俺たち、入れ替わってる!?」

いく度も入れ替わる身体とその生活に戸惑いながらも、現実を少しずつ受け止める瀧と三葉。
残されたお互いのメモを通して、時にケンカし、時に相手の人生を楽しみながら、状況を乗り切っていく。
しかし、気持ちが打ち解けてきた矢先、突然入れ替わりが途切れてしまう。
入れ替わりながら、同時に自分たちが特別に繋がっていたことに気付いた瀧は、三葉に会いに行こうと決心する。

「まだ会ったことのない君を、これから俺は探しに行く。」

辿り着いた先には、意外な真実が待ち受けていた…。

出会うことのない二人の出逢い。
運命の歯車が、いま動き出す

声優・キャラクター
神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子、悠木碧、島﨑信長、石川界人、成田凌、谷花音

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

奥寺という女の重要性。なぜ前半の主役2人は嫌な描き方なのか?

24年8月再視聴。毎夏に視聴する映画です。評価としては日本アニメ史上1つの到達点を作った歴史的作品だと思っています。面白く、含意が深く、意味のある感動があり、映像表現が素晴らしい映画です。

 この作品の主人公、瀧が「気持ち悪い」という意見が多いそうですね。これは当然で、そう描いているから当たり前としか言いようがないです。

 奥寺をなぜあれだけ重要なポジションに置いたかと言えば、瀧と三葉の変化を描くためです。
 特に瀧ですけど、奥寺のようなモテる大人の女性から見ると、当初の瀧は童貞丸出しの女を過剰に意識したガキでしかないように描いています。だから、三葉が中にインストールされると、その細やかな気遣いや女に対する自然な態度で、奥寺はなかなかいいと思ったわけです。

 結果として奥寺ねらいの藤井司がいますが、彼は女に物おじせずぐいぐい来るタイプですね。これがもう一つの瀧の対比です。奥寺はこの時の藤井司はガキですから相手にしていませんが、かといって普通に友人あるいは恋人候補の様に接しています。これも瀧=気持ち悪いの補強材料です。

 三葉は都会にあこがれる、田舎を馬鹿にした少女です。その態度が皆と壁を作っていたのでしょう。そのコミュニティに参加しようとしません。三葉を馬鹿にしているギャルたちも、悪いように描かれますが一方で三葉にも壁があります。テッシーとさやかの3人は浮いているように見えます。

 そして、その瀧が入れ替わって三葉になったとき、その童貞くさい正義漢が学校では受けて三葉は見直され、たぶん一生懸命バスケットボールに参加し、コミュニティに参加したのでしょう。その結果、モテる様になります。

 ですから、前半の瀧と三葉は気持ち悪い、自分の周囲を見ない人物として描かれています。奥寺=都会=あこがれとなっています。

 結果として、なぜ2人が惹かれあったかという答えがここにあると思います。単なる「あこがれ」を目指していた2人が、入れかわることで相互の理解を深めた結果、いつの間にか相手に感情移入したということでしょう。おかれた立場による苦労を知ることができました。
 また、近い存在でいながら会えないという状況が、お互いの興味を産んだのでしょう。そして、奥寺という女子を通じて2人ともあこがれと恋愛の違いを自覚することになります。その結果、お互いに恋愛感情が芽生えるということです。

 ですから、奥寺にあこがれている瀧は気持ちわるいし、都会にあこがれている三葉は地元では浮いた存在なのでしょう。都会における奥寺を中心においたのはここを描写するためだと思います。

 その奥寺が岐阜に向かうときのダサくて自分勝手な姿。ここも意味があると思います。前半はキラキラした都会の女なのに、その本質はめんどくさい我儘さをもった女性ということです。この時、瀧も三葉ももうお互いを思っていて奥寺のキラキラが消えているという意味だと思います。それを受け入れられる司こそ、奥寺にふさわしいのでしょう。

 瀧が気持ち悪いという意見を聞いて、この辺の構造が言語化されました。たしか女性の意見だったと思うので、正しいとしか言いようがないですね。ただ、そこで気持ち悪くてやめた、はもったいない気がしますけど。

 それとこの映画、2人が名乗らないほうが良かったという意見も結構目にします。私もあそこですれ違う2人を想像します。それはそれで一つの結論です。日頃の自分の中にある寂しさにつながり、現実の我々にクロスオーバーしてくるかも、とは思います。

 ですが、それは今の時代安易な感動ポルノに堕す可能性の方が高い気もします。そして震災文学である以上は、いつ死別するかわからない時代だからこそ、お互い名前を呼びあおう、コミュニケーションをとろう、気持ちを伝えよう、後悔の無い生き方をしようという意味で格段に良かったと思います。

 災害で亡くなった人の分までしっかり運命の人を探そう、恋愛しようという話になったと思います。



以下 23年7月レビュー

何回見たかわからないです。日本のアニメ史に残る名作でしょう。

 夏といえば「君の名は。」本作です。アニメ映画の中でもっとも回数を見た映画で、20回じゃあきかないでしょう。季節問わず見ています。
 過去のレビューをまとめているものの、言いたい事が多くて支離滅裂です。現バージョンは23年7月に書いています。とにかく私が好きなアニメ映画ナンバー1の一つです。


 まず、本作の凄いところは、やはり美しい情景描写が感動を深めるということが筆頭でしょう。2010年代に入って他の作品も、背景美術のレベルはどんどん上がっていました。が、本作のスケールの大きさやカルデラ湖と村の見せ方、彗星の光など圧倒的な美しさの他に、視覚的な新しさがあったと思います。宮水神社や都会ももちろん、この美しい絵が後のアニメにどれだけ影響を与えたかは計り知れません。

 ハッピーエンド…とされていますが、果たしてそうでしょうか。外の視線である我々からは、2人が出会えたカタルシスはもちろんありますが、冷静に考えると2名はお互いを知りません。ただ、朝起きたときの寂しさを埋めてくれる相手を見つけただけです。ここにテーマ性が見えないでしょうか。

 震災を意識した作品です。つまり災害により人はいつ死ぬか分かりません。寂しく孤独な時代です。後悔しないために、運命を感じたりあるいは寂しい人は名乗り合おうよ、という事だと思います。

 ここでもし二人が名乗らないですれ違うのが新海らしさかと言えば、そうではないと思います。というのは「ほしのこえ」を考察して行くと、どう考えても2名はまた会う事ができます。つまり、デビュー作からして、一回時間と空間に隔てられた2名は再会するという話も初期の新海誠は描いていました。

 本作は、へその緒が断ち切られる=一人で生きる痛み、髪を切る=失恋の痛み、そして彗星の落下による死別。そういったことが丁寧に描かれていました。
 そうなると私たちが日ごろ感じている寂しさって、都会で生きていると、赤い糸の存在を忘れてしまっているのでは?だから、出会うチャンスがあればちゃんと声をかけて名乗って見ようよ、好きだと言おうよ、という風にも取れます。
 つまり「秒速5センチメートル」のアンチテーゼですね。


 それと瀧と三葉がいつ好き合ったかです。恋愛とは相互理解、コミュニケーション量です。そして2人は秘密を共有しています。瀧は三葉がクラスで陰口をたたかれているような苦労を知っていますし、三葉は瀧が奥寺先輩が好きな事も知っているし、奥寺に憧れる瀧の事を考えていたのだと思います。
 そこまで濃密な交流を重ねる男女がお互い惹かれ合うのは自然なことだと思います。

 あと三葉の描写ですが、田舎の因習に嫌気がさし特に家族関係で苦労しているからこそ、都会に憧れるという心理が上手く描かれていたと思います。伝統というものに対する拒絶とそれを律儀に守るアンビバレントな性格が、三葉の人間性を深いものにしました。この都会への憧れが瀧への思慕へと変わる焦点にいたのが奥寺先輩です。

 この作品、奥寺がキーパースンでした。彼女がいたからお互い好きになったのかも、というくらいです。

 瀧については、正義感とか短気なところ…要するになぜ奥寺にモテないか、を考えるといいでしょう。要するに女性に気を使いすぎるので、本来いい男なのにその遠慮が奥寺にとっては、居心地が悪いのでしょう。女子になって同性として接する=壁がなくなるとモテるようになったという描写も瀧の性格をしる一助となります。

 そして、三葉って中盤のシーンで一回死んでますよね。初めて髪を切った三葉が出るシーンです。そこまで描写はされませんがそこは読み取れます。この時の三葉の心情ってどうだったんだろうって、思いますよね。このシーンがあるからこそ、本作の内容も感動も深まるのだと思います。

 奥寺と瀧のデートを想像して自分の気持ちに気が付いたのでしょう。わざわざ瀧に会いに行った。瀧と出会って何とかつながりは残したけど気持ちを伝えられなかった。髪を切るというのは明らかに失恋を意味しています。

 その落ち込んだ気持ちのとき落下してくる彗星を見て三葉はどう思ったか。やっぱり後悔だと思うんです。せっかく会えた瀧に気持ちを伝えたかった。でも紐を渡しただけ。相手は覚えていない。ここが本当に胸に来ます。

 もちろん最終的に三葉は東京で暮らすことになるわけですけど、ここで死んだ三葉というのは確かにどこかのIFの中に存在したわけです。タイムリープ作品ではこの感受性が大事だと思います。いくら結果が良くても絶望で死んだ人間は存在したことを忘れると、安易な死にもどりの物語になります。この作品はその部分を見事にすくい上げています。この作品はバッドエンドのIFもちゃんと提示されていることを読み取るべきでしょう。

 そして、この瞬間があるのでその後のカルデラでの出会いと奮闘に意味がでてきます。この作品の最大のポイントはこの途中で死んだ三葉がいる、ということです。生きたい、名乗りたい、告白したい。だから、ラストが活きてくるわけです。

 一方瀧です。片割れ時に出会ってマジックで手の平に「好き」と書いた理由ですね。名前よりも気持ちを伝えるのを優先したんだと思います。それはなぜか。東日本大震災で沢山の人が亡くなりました。それは誰の身にもいつ起こるかわからないという衝撃的な事実を、クリエータに突き付けたわけです。パラダイムシフトですよね。だからこそ、つながりを大事にして「告白」しようよ、と。 

 気持ちを伝えられた。名前も出来事も記憶から無くなってゆく。でも喪失感だけある。この切なさも相当なものだと思います。この痛みがあるからこそ2人はまた出会えた。ひょっとしたら瀧が好きだと書かなければ2人の胸に痛みがなかった。そうしたら再会することはなかったのかもしれません。ここは完全な私の妄想ですが、名前がテーマなのになぜ名前を書かないかという点は少し考えたいところです。


 三葉と言うより宮水神社については、彗星の意思なのか人間の防衛本能からかわかりませんが、宮水神社の女たちに運命が与えられた。それが、組みひもであり、口噛み酒であり、へその緒であり、髪であり、運命の赤い糸でした。その辺は中盤の瀧君が口噛み酒を飲むところからちゃんとわかるようなイメージシーンがあります。


 構成ですが、初めのおっぱい揉むシーンがあるので、相互に視点が動いているようで、実は最初の25分くらいずっと三葉視点、そのご瀧視点としばらく視点が固定されます。
 その後、突然ショートヘアになった三葉が出てきて、そして、瀧が旅行にいって…がという構成です。ここで話が大きく動くことになります。
 この構造が非常に良くて、一瞬たりとも目が離せないドキドキ感がありました。

 全体として新海作品は言葉足らずな部分があるのも事実です。ただ、説明不足と言葉足らずは違って、本作は見て感じれば行間が読めます。というより、言葉足らずだから、見た人の個人の体験と重ね合わせて奥行がでるとも言えます。

 
 新海誠氏の作品を並べて見ても、この3作はアニメ作品として格段に出来がいいと思います。「秒速5センチ」「言の葉の庭」などいい作品ではありますが、正直文学などで代替できますし、エンタメとしての完成度を含めて考えればやっぱり最近の3作は全然レベルが違います。
 唯一「ほしのこえ」のスケール感と切なさ、純愛が私はSF恋愛作品として大好きなので、これがこの3作と同じくらい好きです。

 とにかく、新海誠氏の最近の3作品は、エンタメとしての面白さ、壮大さ、純愛、テーマ性、アニメーション表現などの点で格別だと思います。その中でも「君の名は。」は最高かなあ、やっぱり。


 本作を見て感動するのは馬鹿だというコメントを残したマンガ家がいます。新海は大衆に迎合したという評論家もいます。まあ、頭がいい人たちの意見だから、確かに私は馬鹿で大衆マインドなのかもしれません。
 私は馬鹿を自覚していますので、いくら馬鹿にされても結構です。それでも、本作は見て感動した気持ちは素晴らしかったと思います。ですので名作だと断言したいですね。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 31
ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

夢の儚さを越えて二人は繋がる。

見終わった後、私は夢から覚めて、まどろんだ時ようなな気持ちになりました。

あのシーンの背景が良かったとか、あそこのスピード感が最高だったとか。
でも、その記憶は、強く「覚えていよう」と思い、まるでこれは面白い夢から覚めた時と同じじゃないかと。

でも、人の記憶は曖昧で、全ての良いシーンを覚えておこうと思っても、次第にディテールが失われていきます。
やがて夢の記憶は、「面白い夢をみた」に代わり、そして夢をみた事をも忘れていく。

時間に対して夢の中の記憶はあまりにも儚い。

この作品はそんな弱い繋がりで繋がった瀧君と三葉の物語です。



感想
ネタバレレビューを読む

ストーリー考察?(繋がりを軸にストーリーを考えてみました。)
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2018年1月3日 地上波放送を見て。
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投稿 : 2025/03/01
♥ : 134
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

アニメを伝道する好機

世界観:8
ストーリー:8
リアリティ:8
キャラクター:7
情感:7
合計:38

1,000年に1度のすい星来訪が、1か月後に迫る日本。山々に囲まれた田舎町に住む女子高生の三葉は、町長である父の選挙運動や、家系の神社の風習などに鬱屈(うっくつ)していた。それゆえに都会への憧れを強く持っていたが、ある日彼女は自分が都会に暮らしている少年になった夢を見る。夢では東京での生活を楽しみながらも、その不思議な感覚に困惑する三葉。一方、東京在住の男子高校生・瀧も自分が田舎町に生活する少女になった夢を見る。やがて、その奇妙な夢を通じて彼らは引き合うようになっていくが……。
(シネマトゥデイより)

最近話題として何回か出てきたので、折角なので劇場に足を運ぶことに。そう決めてから、京アニの「聲の形」も上映中であることに気付いて、1日2本の豪華スケジュールを組みました。映画は、昔はよく観に行っていましたが、1日2本観たことは初めてのことです。

「君の名は。」は、午前中の回が満席だったので、「聲の形」→「君の名は。」の順で視聴しました。新海誠監督作品は「秒速~」と「言の葉の庭」を視聴済ですが、どちらも良作となる4点にぎりぎり届かない程度の評価をしてきたところ今回は評判が良く、京アニは「けいおん!!(二期)」で評価を上げたところでしたので、この2作は接戦になるかなと思っていましたが、本作は期待をさらに上回りました(劇場版の尺では過去最高点です)。

作画と楽曲はこれまでの作品の通り素晴らしい上で、映画の尺に合うだけの充実した設定とストーリーになっています。
入れ替わりネタはココロコネクトで経験済ですが、前半に和みの要素としてよいエピソードでした。やはり男は悪いと思っても揉みますね(笑)
入れ替わりが終わってからが本編という感じ。物語の展開がどうなっていくか、最後まで集中して視聴できました。

良作アニメは「時間」を効果的に利用しているものが多いです。タイムリープする必要があるわけではないですが、経年による物語の厚みは基本です。人間は、時間を遡ることができず、過去を振り返ったり後悔したり、そして遅かれ早かれ死ぬ、はかない存在であることの裏返しなのでしょうね。ネタバレレビューを読む

そうそう、リアリティ面では、細かいことを言えば上記のようなものがいくつかあったと思いますが、ネタバレレビューを読む終わる頃にはほとんど忘れてしまいました。それくらい浸れる作品ということかと思います。

興行成績でも今後どれくらいの数字を出せるかも期待大ですが、新海誠監督の代表作と言えるものになったことは間違いないでしょう。

ネタバレレビューを読む

そのほか、「言の葉の庭」の先生が登場していたり、彗星(星)を扱ったところなどにも、過去作品とのつながりも感じられ、新海誠監督の集大成になったのではないかと思います。もちろん、今後も今作を超える作品を目指していただきたいですね。

ヒロインの三葉の名前は、凪のあすから2クールED「三つ葉の結びめ」の影響もあったようです(前向きになれる、自分もとても好きな曲です)。
色々なところでつながっていると感じられることも自分のアニメ道の進歩ですね。

この作品でアニメに興味を持つ方も多いと思います。クールジャパンの代名詞のひとつがアニメだということは多くの方が知っているでしょうが、他にも「君の名は。」クラスの作品があることを、機会があれば伝えていきたいですし、あにこれの方々もそうしたら良いんじゃないかと思いました。(自分が初心者だという方には、私の棚でも見ていってください)

もう1回くらい劇場で観たいと思える作品です。劇場で観ておくことをおすすめしたいアニメ映画です。

(2016.9劇場で鑑賞)

追記(2016.9.20)
ネタバレレビューを読む

追記(2016.9.21)
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追記(2016.9.23)
ネタバレレビューを読む

追記(2016.10.10)
ネタバレレビューを読む

<2019.1追記>
世界観の配点を1点減点しました(作画によるボーナス点を与えていましたが、他作品との平仄の観点から削除しました)。

(2017.2、2018.4、2019.1評価調整)

投稿 : 2025/03/01
♥ : 102

87.7 2 ファンタジーで幻想的なアニメランキング2位
千と千尋の神隠し(アニメ映画)

2001年7月20日
★★★★☆ 4.0 (1806)
12263人が棚に入れました
10歳の少女、荻野千尋(おぎの ちひろ)はごく普通の女の子。夏のある日、両親と千尋は引越し先の町に向かう途中で森の中に迷い込み、そこで奇妙なトンネルを見つける。嫌な予感がした千尋は両親に「帰ろう」と縋るが、両親は好奇心からトンネルの中へと足を進めてしまう。仕方なく後を追いかける千尋。

出口の先に広がっていたのは、広大な草原の丘だった。地平線の向こうには冷たい青空が広がり、地面には古い家が埋まっていて瓦屋根が並んでいる。先へ進むと、誰もいないひっそりとした町があり、そこには食欲をそそる匂いが漂っていた。匂いをたどった両親は店を見つけ、断りもなしに勝手にそこに並ぶ見たこともない料理を食べ始めてしまう。それらの料理は神々の食物であったために両親は呪いを掛けられ、豚になってしまう。一人残された千尋はこの世界で出会った謎の少年ハクの助けで、両親を助けようと決心する。

声優・キャラクター
柊瑠美、入野自由、夏木マリ、内藤剛志、沢口靖子、上條恒彦、小野武彦、我修院達也、はやし・こば、神木隆之介、菅原文太、玉井夕海、大泉洋
ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

【リバイバル上映】千と千尋の神隠し レビュー

レビュー、最近書いてないなあ…
なんて思いながら、Youtubeをずっと見てたり、有名な最新ゲームタイトルをプレイしてみたりで過ごしていました。

幸い私の住んでいる地区は外出自粛要請も出ていないため、四連休の思い出作りに入ったショッピングモールの映画館で、6月26日からジブリのリバイバル上映がたまたまやっている事を知り、30分ほど時間を潰して入場。ここ1クール程度のアニメ作品に関してまるでレビューを書いていなかったため、インパクトのある作品で意欲を高めようという気持ちがありました。

客層は20代後半から30代あたりが多いように見えましたね。カップル率も高く、最新の映画を見るよりは懐かしいハズレでないとわかる作品を見たかったのでしょうか?
最近映画館に足を運んでいなかったので知らなかったのですが、この状況下という事もあり、予約では席は一席ずつ間隔を開けて空席にしているような状況でした。そのため、両隣には人がいないため、かなり快適な視聴でしたね。

開始1分前にもなると、二時間弱の時間を使って別の事をしながら視聴もできない映画館での視聴にノリで入っちゃったけど、途中で飽きないかなあ…なんて思っていましたが。

全然そんなことありませんでした。めっちゃ面白かった。

過去の自分のレビューも思い出しながら視聴し、雰囲気が記憶に残るなんて書いちゃったけど、どこまで論理的に詰めているんだろうなあとちょっとハラハラしながら見ていたんですが、新たに新解釈を得るところもあったし、今作品の裏話的情報を得ていたためにすることのできた新しい目線での楽しみ方。そういった事もあり一度も眠気が来ることなく脳が7、8割回転する状態でラストまで見終えられました。

まず、事前に得ていた情報で、本作品に出てくる油屋(千尋が働く場所)に特定のモデルはないという事を知っていたのですが、本作では油屋がどれだけ日本的なのか?という所に視点がいきました。
登場する神々や油屋の従業員達の身なりは、実に日本的です。例外なのは湯婆婆であり、彼女は魔女という、非常に西洋的な要素を含んでおり、最上階の湯婆婆のフロアは、西洋的な造りになっています。
なぜ日本的な要素で油屋を統一せずに湯婆婆という西洋的要素とミックスさせたのか?は気になるところではありますね。
最上階について先に触れてしまいましたが、油屋の至る所にある西洋的要素について、見ていきます。
まず、エレベーター。あれだけの構造物を階段で登るのは無理ですよね。リンの口からも、エレベーターという言葉は出ています。
次に、電車。油屋の中を通っているわけではないですが、この神々の世界でも科学の発展はしているようです。ただ、利用者な少なく、行ったきり帰りの便がない電車らしいですが。いや、一方通行の電車ってどんな構造になっているんだろう。

こういった西洋化、もしくは機械化した要素を見るに、油屋が神々の世界の日常の風景というわけではなく、神々の世界の中でも日本的な要素を感じられる娯楽施設、テーマパーク的な場所であるように見えましたね。

さて、次の新しい視点は千尋というヒロインがキャバクラで働く女の子から着想を得たという情報からの視点。
この情報は、鈴木敏夫『仕事道楽 新版』等に綴られています。
油屋という厳しい仕事場に、人との付き合いが苦手な千尋が投げ込まれ、千尋が自ら変わっていく物語として見ていくと、千尋の変化を感じれるかと思います。
千尋の状態が大きく変わったのは、刑務所…ではなく豚小屋に入れられた親の姿を見た後、ハクからもらったまじないを掛けたおにぎりを食べた際ですね。
このシーンから先は、変った千尋の元気な姿を描いていきますね。

カオナシについても、今回新しい人物像が浮かび上がりました。
カオナシは千尋に油屋に入れてもらった礼をしようと、必要以上の薬湯の札であったり、砂金をあげたりします。
カオナシは、価値のあるものをあげれば喜んで貰えるという考えで千尋にプレゼントしますが、千尋は喜ぶどころか受け取ってもくれない。
これは、外面を繕い砂金をもらう油屋の従業員と違って、油屋に染まっていない千尋だからこそ、カオナシにとって必要な対話を行えたのだと思います。外面を繕った人との対話によって物をあげれば誰でも喜ぶんだというカオナシの間違った考え方を、千尋が意図せず正したという物語に見えましたね。極論、金で交換すればなんでも手に入るんだという考え方を批判する形に見えて、個人的にもすこし刺さるシーンでしたね。
千尋と対峙しカオナシは、千尋に生まれや出身の事を聞かれ、「ヤメロ」「寂しい」といったルーツに対する拒否感を示しています。
ここで気になったのは、カオナシの人物像です。「寂しい」という感情のセリフであったりとか、対話能力の低さから、孤独で人と話さず、喋るのはコンビニの店員くらいの存在なんだろうと思いました。油屋という繕った人達に騙される世界で、カオナシが狂ったように欲望を吐き出してしまう構図になっています。また、「私が欲しいものはあなた(カオナシ)にはだせない」という千の言葉から、カオナシという存在に千は個人を見出す純粋さを持ちながらも、カオナシの期待には応えないという純粋さゆえの個人の否定をしており、仮初の存在価値を否定されたカオナシは怒ってしまいます。
そんなカオナシに対して、銭婆の住む沼の底に行こうとする千尋は、センに対してこのような言葉を残しています「あの人はここ(油屋)にいないほうが良いんだよ」。
これは、カオナシという純粋で人との対話方法を知らない存在が、油屋の笑顔を繕った人々と対話して、金でなんでも手に入るという間違った対話方法を身に着けてしまうという事を千尋は感じているのかもしれないですね。


さて、ここからは終盤の物語について。銭婆婆の家での出来事。
ここで、物語として必要なのか大きな疑問が湧くイベントがあります。
なぜ銭婆は時間を割いてまで魔法を使わず髪留めを作ったか?
銭婆の作った髪留めには坊やカラス、カオナシが頑張って作った糸が編み込まれています。
銭婆は、魔法で作っても意味がないという言葉を残していますね。
これはみんなで頑張って作ったから思い入れのある物になる、という意味でしょうか?それは一面的には肯定で、カオナシにとっては、今まで人にプレゼントするものが、盗んだものであったりとかまがい物の砂金であったりとか、自身の背丈以上の物を贈ろうとしていました。しかし、今回に関しては時間に限りのある中、自身が労働し、そしてそれで作った物をプレゼントすることで、千からはありがとうという感謝の言葉を受けています。カオナシにとってのいい方向での成功体験であり、カオナシの物語としてはここで完結かなと考えました。
しかしこれでは、カオナシの為に作ったように聞こえます。手作業で作った理由としてもまだまだ弱い。

ここからは推測がかなり混じります。
ネタバレレビューを読む

さて、私は映像面についてもしっかり触れていきたいと思うのですが、すこし感性が枯れたせいか、少なめになりそうです。
まず、久しぶりにジブリをスクリーンで見た感想について。
自宅では用意できない様な大きな画面で見ると、やはり小さな仕掛けについても気付くことが出来ますね。千尋が木の階段が壊れて走り落ちる序盤のシーン、壊れた木の板の釘が抜けかかっている事に気付くことが出来ました。
一番大きいメリットは、やはり水彩画の背景における微妙な色合いの表現を、細かく観察できることですね。雨が降った後、油屋から見る海の風景は、日中から日没まで、美しさが変わっていきます。テレビでは味わえない風景を広さと色合いの繊細さを感じることが出来ると思います。


小ネタとしてどうしても言いたいシーンがあります。エレベーターで一緒になった大根の神様。かの御方は船で神々が油屋に到着するシーンから最後の豚を見分けるシーンまでいるのですが、この方、実はめっちゃ紳士ですよね。

エレベーターで千尋と一緒になった時、彼は目的の階に到着しても降りるのをやめて、一旦最上階まで千尋と一緒に上がってるんですね。
これはもし千尋が従業員等に見つかってしまいそうになった時に、自分を壁にして逃がしてあげようという配慮ではないでしょうか?
こういった心遣いを気付けるようになったのは、個人的にはちょっと嬉しかったですね。

さて、今回の視聴のまとめです。
感想としてはかなり物語を掘り下げる形になってしまったんですが、やはり映像の凄さがなければこれほど深く入り込めることはないと思います。かといって、美しさを追求しているのではなく、ジブリは五感を呼び起こす映像づくりが凄いと感じましたね。それは、風のうなりであったり、ガラス窓の振動であったり、風に吹かれる髪のうっとおしさであったりなど。よく言われるのは飯が美味しそうという事ですが、やはり、匂いや味を感じさせるような絵作りがうまいと感じます。
個人的に今回とびきり好きだったのは、海になった地上の夜景をセンと千尋が風を感じながら眺めるシーンですね。月明かりの暖かさ、遠い町への期待のようなものも感じられてとても良かったです。
リバイバル上映、いつまでやっているかはわかりませんが、ナウシカやトトロもやっているそうなので、近日また行きたいですね。


金曜ロードショーで視聴した際の感想はこちら↓

映画館で見たときは、一つ一つのシーンの雰囲気にのまれたんですが、どうも、テレビで見るとあれっ?あんまり入り込めないな、という感じでした。

今回の視聴では、初視聴時に感じた「雰囲気」に対する感情を思い出しながら、「懐かしいな」と思いながら視聴。
ネタバレレビューを読む

【総評】
物語性よりも、圧倒的世界観、雰囲気を感じることで、この作品が凄いと思えるのではないでしょうか。
序盤は雰囲気による恐怖感に飲まれ、中盤は華やかさによる楽しさがあり、後半は喧騒の後の静寂が心地良い。

ストーリーはあまり気にならなかったのですが、圧倒的な雰囲気が記憶に残った作品でした。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 47
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

思い出の作品ではないけれど、思い入れのある作品

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 2時間くらい。3回か4回くらいは見ていると思います。

 先日トトロを視聴して、その流れでポニョも見て、で、ポニョのレビューを書こうと思っていたのですが、上手くまとまらなかったのでこちらに逃げてきました。千と千尋は有名な作品ですから、重箱の隅をつつくようなレビューを書くつもりはありません。むしろ書きたいのは重箱について、ですかね。

 千と千尋は少女の冒険譚ですから、魔女宅に近い作品と言えます。魔女宅は、魔女という異質な少女が普通の都会へ行く話。千と千尋は、普通の少女が異質な世界へ行く話。アプローチは逆で、テーマは同じというやつですね。


異世界のモチーフ:ネタバレレビューを読む

神隠し:ネタバレレビューを読む

特別ルール:ネタバレレビューを読む

食事①:ネタバレレビューを読む

食事②:ネタバレレビューを読む

死んだ??:ネタバレレビューを読む

エンディング:ネタバレレビューを読む

おまけ:ネタバレレビューを読む

 神話の引用が多かったし、外観にしか触れなかったため、文章量の割には薄っぺらな内容になってしまいましたね。千と千尋のレビューでは全く違う内容を書こうと思っていたんですが、以前トトロのレビューで書いた「死を描くことと実際に死ぬことは違う」ってことの具体化で使ってしまった、というオチです。ご勘弁を。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 19
ネタバレ

ぺし さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

トンネルの向こうは、不思議の街でした。

たぶん見たことない人の方が少ないと思うので、あらすじはあにこれのをご覧下さい♪

ジブリの中では3番目に好きな作品です。ただ好き嫌いを除いて評価すれば、手書きのアニメーションに置ける最高傑作だと思います。粗が見当たらない。日本興行収入第1位の作品というのも納得がいきます。


中途半端で物語に入り込めないという方も居ますが、そもそもジブリ作品というのはあまり説明をしないので、見る側に多分に解釈の余地が与えられています。
なので完全な答えを求める方には向かないかもしれません。あと、説教臭くてジブリアニメは嫌いだって人もいますね。(自分は好きですが…。)

ジブリ作品と言えば風刺って言う人も多いです。特にこの作品にはそれが顕著に表されてる気がします。そこで、個人的にここ風刺だなぁと思った所を書いていきたいと思います。

ネタバレレビューを読む

見る人によって色んな解釈がある今作。ここからは私個人の解釈を書きたいと思います。
ネタバレレビューを読む


個人的に気になった点
ネタバレレビューを読む


ここまで色々書いてきましたけど、あくまで推測、空想の域を出ないので、見る人によって感じ方は沢山あると思います。でも、製作側の意図した事を少しでも汲み取れたていたら良いなぁと感じています(*^^*)

レビューを書くに至って、色々調べたんですが、なるべく自分の言葉で書いたつもりです。ここ違うだろ、自分はこう思うなって、メッセージくれたりすると嬉しいですね(*^^*)

長文、乱文失礼しました\(__)
最後まで見てくれた方は本当にありがとうごさいました!!

投稿 : 2025/03/01
♥ : 53

80.7 3 ファンタジーで幻想的なアニメランキング3位
蛍火の杜へ(アニメ映画)

2011年9月17日
★★★★☆ 4.0 (1080)
5228人が棚に入れました
祖父の家へ遊びに来ていた6歳の少女・竹川蛍は、妖怪が住むという山神の森に迷い込み、人の姿をしたこの森に住む者・ギンと出会う。人に触れられると消えてしまうというギンに助けられ、森を出ることができた蛍は、それから毎年夏ごとにギンの元を訪れるようになる。

声優・キャラクター
内山昂輝、佐倉綾音
ネタバレ

★mana★ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

10年分の想いを、今ここに・・(ギン視点で観てみました)

ねえ、蛍。
俺はずっとここに居るよ?
何年、何十年たとうとも。
たとえ、君の瞳に写らない
そんな存在だとしても。

俺が過ごした、途方もない時間。
そんな中で、蛍と過ごした時間は ほんの一瞬だった。
でもね、俺にとってはその一瞬が大切で愛おしくて、仕方がなかった。

蛍は俺に、優しくて、温かい感情をたくさんくれたね。
でも、それは、切なくて、苦しくもあったんだよ?
蛍は気付いてないかもしれないけれど・・
まるで夏の夜に光る、ホタルのヒカリのような、
そんな儚くて脆い、だけど、強くて、美しい。
そんな日々だったね。

蛍は俺に「忘れないで」と言ったよね?
忘れる訳がない。忘れたくない。
でもね、蛍は忘れてしまってもいいんだよ?・・


蛍に出会ったのは、蛍がまだ小さい時だった。

ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 58
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

切なく儚い夏の物語

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。


 初見でした。自業自得ですが、短編と知らずに見てしまったため、少々の後悔が残ってしまいました。短編と気付いたのは終盤になってからです。短編と知っていれば、見方も少し変わったと思うのですが、残念です。作風はゆっくりしているのですが、テンポは速く感じました。賛否はあるかもしれませんが、もう少しキレを悪くした方が余韻が残ったかも、とも思います。シナリオ自体はかなり良いものです。セリフ回しに感情の機微が表れてますので、逃さないようにしましょう。短編ですので時間がないときでも見やすいです。


ジャンル:
 ジャンルは、妖怪との恋愛ものです。
テーマ:ネタバレレビューを読む


エンディングへのフラグ:ネタバレレビューを読む

手つなぎ、木の棒、布:ネタバレレビューを読む

蝶とホタル、天井:ネタバレレビューを読む

 短編ですが、エッセンスは十分に盛り込まれていたと思います。唐突に来るエンディングも、切なさと儚さを上手く演出していました。対象年齢としては思春期以上が望ましいでしょう。特に女性に好まれる作品ではないでしょうか。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 8

半兵衛♪ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

【ネタバレ有】『最後に残る最高の“余韻”―。 一つの“掟”に縛られた、切なさ全開の恋物語―。』

 
   
 原作の“緑川ゆき”に加え、“大森貴弘(おおもりたかひろ)”監督をはじめとする「夏目友人帳」のスタッフが製作を手がけた劇場版アニメ作品―。

 上映時間40分余りの、いわゆる“中編作品”なのだが―、そこら辺にある凡百の中編作品とは桁違いの魅力が、この作品には詰まっている―。

 一目見ただけでそれと分かる、「夏目」らしさを感じる“優しい空気感や世界観”―。彼女たちにしか描けないその“澄んだ雰囲気”と“心温まるストーリー”は、「夏目友人帳」ファンなら(いやそうでなくても)必見の一作である―。



 (簡単なあらすじとしては―)、妖怪が住むという“山神(やまがみ)の森”に迷い込んだ人間の少女“蛍(ほたる)”が―、「人に触れられると消えてしまう」という、この森に住む妖怪の青年(正確には人間でも妖怪でもない)“ギン”に助けられ―、それから毎年夏の間だけ、ギンの住むこの森を訪れるようになる…という物語―。


 物語の最初に、最も重要な「人に触れられると消える」というテーマを見せる事で、この作品の“(悲しい)終着点”が垣間見え―、同時に、そこに至るまでの二人の会話ややり取りの中に、(そのテーマが)終始、“触れられないもどかしさ”となって付きまとう―。


 蛍が出逢ったのは6歳で、最後の場面では18歳―。

 40分余りの上映時間であるが故に、粗雑(そざつ)にも感じる作中の時間経過(の早さ)が―、逆に、二人の間には、互いが一緒に過ごせる“夏の一時(ひととき)”しか無い事を余計に感じさせ―、だからこそ、かけがえの無いその時間を楽しそうに過ごす二人の姿が、観ていて余計に切なくなる―。



 たとえどんなに心が通じ合っていても、二人の間には、決して看過出来ない“時の流れ”が存在する―。だからこそギンは、自分の気持ちに向き合い、全てを投げ打つ“覚悟”を持って、蛍を夏祭りに誘ったのだろう―。

 そうして迎える最後の場面―。

 ―― (蛍) 「デートみたいですね~」――

 ――(ギン)「デートなんですね~」――

 出逢った日の事を連想させる蛍のセリフ―。けれども、返ってきたのは以前と“真逆”のギンの言葉―。あの時は、子供をあやすかのような反応だったからこそ、全く同じ軽い調子で、全く逆の事を言うあのシーンには、ギンの、蛍への想いや…覚悟や…寂しさが…全て込められていて―、余計に涙腺を刺激する―。


 いつもと違うギンの態度が、ずっとお互いの事を考えて過ごして来た蛍には、口にしなくても伝わり―、(本当はずっと一緒にいたくても)、彼の覚悟を何も言わずに受け入れる―。

 ギンの気持ちを察し、蛍自身も覚悟したからこそ―、夏祭りの帰り道、偶然、人の子に触れて消えゆく事になったギンとの“突然の別れ”にも、その瞬間、ただ真っ直ぐに、“お互いの本当の気持ちを伝えることだけ”を考える事が出来たのだと思う―。

 ――(ギン)「来い、蛍―。やっとお前に触れられる―」――

 最後の瞬間になるはずなのに、二人は“最高の笑顔”をしていた―。それは、二人が本当にしたかった事はこれだったから…。その後の別れの不安など消え去るほどに、ずっとずっと二人はお互いに触れたかった…。あの一瞬の抱擁で、きっとギンは人間の…“蛍の温かさ”を感じることが出来ただろう―。



 (その後の妖怪たちの優しいセリフも良かったが…)、とにかく終始、涙が止まらず、何度見ても泣いてしまう…。「人に触れられると消えてしまう―」。たった一つのそのテーマで、ここまで心に響かせられる―。

 最後の最高の“切なさ”が来る瞬間を徐々に感じながら、その“一瞬の儚さ”を感じて観終わり―、そうして“圧倒的な余韻”だけが最後に残る―。


 時折、「時間が少し短過ぎる」とか「せめてEDの後にもう少し何かが欲しかった」などという感想を目にするが―、もしもこの作品が、2時間の長編映画だったなら、本作に感じた淡さや儚さは“色褪(あ)せる”だろうし、(最高レベルの)あの余韻を感じる事も無かっただろう―。

 お互いの気持ちやその後の出来事など、描く必要は全くない―。観終わった人達それぞれが、各々で感じる“余地”を残すことで―、この作品の“淡さ”や“儚さ”を、“余韻”として感じられるのである―。


 最近観た劇場版作品の中では、最も感動し泣けた、切なさ全開の“傑作”であった―。



 最後に―、山神さま…もう少し“緩い”掟でも良かったんじゃないですか…(涙)。


  (終)

 

投稿 : 2025/03/01
♥ : 7

90.8 4 ファンタジーで幻想的なアニメランキング4位
天空の城ラピュタ(アニメ映画)

1986年8月2日
★★★★★ 4.2 (2364)
14263人が棚に入れました
ある夜、飛行中の飛行客船を、航空海賊の一団が襲撃する。政府特務機関に捕らわれ客船に乗っていた少女シータは、混乱に紛れて特務機関の指揮官であるムスカ大佐を気絶させると、彼の懐から青い石のペンダントを奪い取る。窓を伝って逃げようとするが、海賊に見つかり、驚いた拍子にシータは客船から転落してしまう。雲間を落ちていく中、気を失った彼女の胸にかかっていたペンダントの青い石が突然光を放ち、シータは光に包まれゆっくりと降下していった。鉱山町で働く少年パズーは、青い光とともに空からゆっくりと降りてきたシータを助け、自宅にかくまう。一夜明けパズーは、シータの行方を追う空賊や政府からシータを守り逃走を図る。

声優・キャラクター
田中真弓、よこざわけい子、初井言榮、寺田農、常田富士男、永井一郎、糸博、鷲尾真知子、神山卓三、安原義人、亀山助清、槐柳二、TARAKO
ネタバレ

アニメアンチ2号 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.9

「天空の城ラピュタ」完全攻略ガイド

●「≪ムスコ≫大佐」大地に立つ!

古の「ラピュタの紋章」は「🌞🌲🐮👼🌙」からなります。

「ラピュタ」とはネタバレレビューを読む

滅びの言葉
「バルス」は「スバル☆」

「【三位一体】の神」の関係性から
「ムスカ大佐」は「ムスコ大佐」に変換できるという予測が成り立ちます。

ネタバレレビューを読む

そうしますと
「アシュタールト・ポロリ」
「エロムスカ・ロンパ」

「ウル・ラピュタ」は「売る」「娼婦」で「売春婦」

以上のようになります。

🌙「エロ・アシュタールト・ポロリ」で🌙「売春婦」を表現しているのだと推測できます。

ネタバレレビューを読む

ちなみにポム爺さんが、「わし(の目)には(石の光が)強すぎる」と言っていたのは
「【👼ホルス】の左目の呪い」を暗示する伏線でありまして
「🌲ムスコ大佐」が「石」に「🌲下心」を抱いていていたのと同じくポム爺さんも
ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 1

nk225 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

【ジブリ】「ナウシカ」は再放送数最多! 宮崎駿アニメを愛する“リピーター”の特徴

皆さん、宮崎駿作品は好きですか?  

私は好きです。劇場に足を運んで観るのはもちろんのこと、TVで再放送を楽しむことも。何だか再放送の回数が多いので、「また、放送だ!! 」と心の中でツッコミを入れつつも、しっかり録画予約。

そして、ラピュタのあのシーンでは、「バルス!! ! 」なんてお決まりの投稿をしているのです。パズーとシータの目玉焼きパンのシーンは相変わらず美味しそうだし、ナウシカが生き返るシーンを心待ちにしてしまうのです。結局は毎回楽しんでおり、子どもが大きくなったら、どの作品から観せようかと妄想したりするのです。

そこでこちらの数字をご覧下さい。

『風の谷のナウシカ』……15回
『となりのトトロ』……13回
『ルパン三世 カリオストロの城』……13回
『天空の城ラピュタ』……13回
『火垂るの墓』…11回
『魔女の宅急便』……11回

こちらの宮崎アニメ(※脚本参加含む※『火垂るの墓』は準宮崎アニメ)と数字の関係は一体なんだと思いますか?  実はこれらは、「金曜ロードSHOW! 」で放送された宮崎アニメの回数なのです(※出典・書籍『<面白さ>の研究』※1975年~2015年1月)。

私だけでなく、再放送が多くて「またか」と思う人は少なくないはず。それもそのはずで、同枠での宮崎アニメの放送回数はとにかく多いのです。これは、突き抜けて多いと言っても過言ではありません。上記のランキングは、「金曜ロードSHOW! 」で放送された宮崎アニメの回数でありますが、その順位そのものが、同枠での再放送の回数と一致するのです。

11回の『魔女の宅急便』よりも少ない放送回数で見ると、『紅の豚』が10回、『耳をすませば』が9回、『もののけ姫』が8回再放送されています。つまり、「金曜ロードSHOW! 」での再放送ランキングの1位~9位までを宮崎アニメが独占しているのです。そして、同着9位として、ようやく宮崎監督が関与しない『ルパン三世 ルパンVS複製人間』『幸福の黄色いハンカチ』(同8回)がランクインするのです。

何となく多いと思っていたけど、こんなにも多いとは……。私もそうですが、宮崎アニメの人気は「リピーター」が支えていると言っても過言ではありませんね。視聴率がとれるから放送するわけで、その視聴率にはリピーターが貢献しているのです。

書籍『<面白さ>の研究 世界観エンタメはなぜブームを生むのか』の著者であり、京都精華大学マンガ学部准教授の都留泰作さんは、「宮崎アニメのリピーター」について自著で分析。なぜ、ここまでリピーターがいるのかについて語っています。

その前に、リピーターの少ない作品とはどのようなものがあるのでしょう。都留さん曰く、最もリピーターが少ないのは「推理物」とのこと。確かに推理物は犯人やトリックを解明することが最大の山場。その真実を知りながら繰り返し視聴するのは、なかなか気が進まないもの。一方の宮崎アニメには、山場そのものはあるのですが、だからといって一度観て終わりとはならないのです。宮崎アニメには、全てのシーンを楽しむことができる。「推理物」との違いに、「住まわせ力」があると都留さんは説明します。

住まわせ力とは、「それは庭園を散策する人の姿を思わせる。繰り返し同じ景色を別の角度から眺めて、そこから受ける刺激を楽しむ。または同じ料理を食べる人にも似ている。食欲が起こるたびに、同じ刺激を求めてお気に入りの料理を注文してしまう。それは習慣性がある」と同書で説明されています。

皆さんが宮崎アニメを楽しむ時に、上記のような宮崎監督が用意した世界に住んでいるような感覚になることはありませんか?  再放送を観る時点で結末は既にわかっています。しかし、私たちが求めているのは結末だけではないのです。

不思議な乗り物・メーヴェの飛行シーンであり、恐ろしい巨神兵の攻撃力であり、ナウシカがオームの金色の触手の上で「ありがとう」を伝えるシーンなのです。決して結末だけを楽しみにしているだけでなく、これら物語の全てのシーンを何度でも観たいのです。

「人はストーリーではなく、『世界』を消費しようとしているのだ。それはあたかも、人がナウシカの世界に住みたがっているかのようでもあり、それを丸ごと食したがっているかのようでもある」『<面白さ>の研究 世界観エンタメはなぜブームを生むのか』
宮崎アニメの魅力は、「その世界の住人になりたい」と思わせる力があるから。ですので、リピーターは、テレビの再放送や、DVDで何度も何度も同じ作品を観るのです。まだ、次回の宮崎アニメの再放送は決まっていないようですが、どの作品が登場するのか、今から楽しみでなりません。

名作アニメの知られざる「その後」の物語
ジブリアニメの名作『天空の城ラピュタ』にも、劇中では描かれなかった後日談が存在します。

劇場版はパズーとシータがムスカ大佐の野望を打ち砕き、ラピュタ島を脱出した場面で終わりますが、小説版では二人のその後のストーリーが描かれているのです。

ラピュタ島での騒動の半年後、再びゴンドアの谷に戻ったシータ。そこにパズーからの手紙が届きます。

手紙には、軍部と政府がラピュタでの一連の騒動を闇に葬ろうとしていることや、空賊のドーラが軍の給料を奪ったこと、そしてパズーが製作中だった鳥型飛行機が完成間近であることなどが記されています。パズーは飛行機を完成させ次第、シータのいるゴンドアの谷へ行くことを約束しているようです。

離ればなれになっても、お互いを思い続けている二人の姿はとても微笑ましいですね。

徳間書店より発売されている「スタジオジブリ作品関連資料集I』には、パズーとシータが再会する場面のイラストが収録されているので、そちらと合わせて小説版を読んでみると楽しいですよ。

<ラピュタの島>台風で桟橋壊れる 友ケ島観光ストップ
旧日本軍の砲台跡などが残り、宮崎駿(はやお)監督のアニメ映画「天空の城ラピュタ」の舞台に雰囲気が似ているとして人気の和歌山市沖の無人島・友ケ島で、唯一の発着場である桟橋が今月の台風で損傷した。島に渡る交通機関は同市加太港からの定期便しかないが、運航再開のめどは立っていない。

友ケ島は大阪湾入り口にある▽沖ノ島▽虎島▽神島▽地ノ島--の四つの総称。定期便が最も大きい沖ノ島と加太港を約20分で結んでいる。

島には明治時代に建設された砲台が6カ所残る。アニメの登場人物の格好をまねるコスプレファンらが数年前から注目し、ツタの絡まるれんが壁の第3砲台跡が「天空に浮かぶラピュタの城のようだ」として特に人気が高い。爆破跡がある第2砲台跡、とりでのような旧海軍聴音所跡を訪れる人も多い。昨年度の観光客は3万1634人と3年前から倍増した。

壊れた野奈浦桟橋は第二次世界大戦後間もなく整備された固定型の鉄製桟橋。近年は腐食が進み、市が昨年度から改修工事を進めていた。しかし、昨秋に海底に岩盤が見つかり、くい打ちができなくなって工事を中断。工法を変えると特産のワカメ漁などへの影響が大きいため先月末に改修工事の断念を決めていた。

更に今月5、6両日に接近した台風18号で、船に乗り移る乗降部分が折れ曲がり、桟橋の一部が流された。台風襲来に備えて4日から定期便を運休していた友ケ島汽船(和歌山市)や市は9、10両日に被害を調べ、このまま桟橋を使うことは困難と判断。週内にも台風19号による被害の本格調査に入る方針だ。

市観光課は「今後の改修工事の工法や時期については地元と一から協議して考えたい」と話し、復旧には時間がかかる見通し。地元の同市加太観光協会の利光伸彦会長(48)は「以前から何度も改修工事を進めるよう市に要望してきた。台風で壊れる前に工事を完了していれば」と悔しがっている。

◇天空の城ラピュタ
スタジオジブリ製作の1986年公開の長編アニメーション映画。鉱山で働く少年パズーと、天空に浮かぶ都市ラピュタの王族の末裔(まつえい)シータの冒険を描く。ラピュタの城は何百年も無人だったという設定で、作品中ではコケに覆われツタが絡まるなど印象的な風景が描かれている。

横須賀沖の猿島が聖地化!ジブリの「ラピュタのよう」
神奈川県横須賀市沖の東京湾に浮かぶ無人島「猿島」が、スタジオジブリの人気映画「天空の城ラピュタ」を連想させるとして人気となっている。来島者の増加と景観や史跡保護のため、同市は来年4月から入園料を導入する方針を決めた。宮崎アニメの舞台や、似ている風景は観光地として人気が高く、同島も新たな聖地の一つとなりそうだ。

同島は周囲1・6キロで、島の半分が猿島公園となっている。同市の三笠桟橋から定期船(中学生以上往復1300円)で10分の距離だ。夏場の海水浴やバーベキューのほか、島内に旧日本軍の要塞(ようさい)跡や砲台跡が残されていることもあり、史跡めぐりが人気。自然豊かな緑や、レンガの要塞跡が「天空の城ラピュタの舞台のようだ」とインターネットなどで話題となり、じわじわと人気が出ている。

また、「仮面ライダー」の撮影にも使われており、ショッカーの基地があることでも知られている。来島者は2013年度が約11万人で、03年度の1・7倍となっている。同市の公園管理課によると、数年前からバーベキューの利用客数の制限をしているため「海水浴やバーベキュー以外の観光客が増えている」と見ている。

市は年間約3300万円(14年度)をかけて島の整備を行っているが、ガス・電気・水道はない無人島で、トイレは雨水の循環式。昨年の台風で、木が倒れ、根が張っていた史跡の一部が崩れたこともあり、より本格的な整備が必要となっている。

「70年以上手を入れていない植物の整備や、なにをするにも資材や機材を船で運ばなければいけない島の管理にはどうしても費用がかさむ」(同課担当者)として、入園料の徴収を検討。今夏、来島者にアンケートを取ったところ、約8割が100~300円の徴収に理解を示したため、11~12月に開催される定例議会へ議案として提出することに決めた。正式な料金は未定。

市では「自然や歴史に興味を持っていただき、観光客が増えるのはありがたいこと。受益者負担として入園料をお願いし、いい状態で保存をしていきたい」と話した。

◇ジブリ作品のモデルになったとされる場所
▼となりのトトロ(88年公開) 埼玉県所沢市から東京都東村山市にかけて広がる狭山丘陵
▼もののけ姫(97年公開) シシ神の住む森は、鹿児島県屋久島の白谷雲水峡
▼千と千尋の神隠し(01年公開) 公衆浴場「油屋」のモデルの一つが愛媛県の道後温泉本館。また、入りくんだ路地の風景は台湾北部の町・九分
▼崖の上のポニョ(08年公開) 港町の風景は、広島県福山市鞆の浦

1986年8月2日から東映洋画系の103館で公開された。
「ラピュタ」という名称はスウィフトの『ガリヴァー旅行記』に登場する、空を飛ぶ島にある王国「ラピュタ王国(en:Laputa)」からとったもの。劇中に空飛ぶ島の物語を空想した人物としてスウィフトの名前も出てくるが、名前の借用以外は『ガリヴァー旅行記』との関連はない。19世紀後半、産業革命期のヨーロッパを元にした架空世界での冒険を描く。

主題歌『君をのせて』
後に「となりのトトロ」や「魔女の宅急便」などの主題歌、挿入歌を担当することになる井上のジブリデビュー作。 また、2002年のDVD発売時に合わせ、石井竜也がアンサーソングとなる歌詞違いの『君をつれて』を発表すると共に、『君をのせて』のカバーもしている。

イメージソング - 『もしも空を飛べたら』
本編では未使用。公開当時、味の素から発売されていた炭酸入り清涼飲料水「ラピュタ」のCMソングであった。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 16
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

自然と人間の物語シリーズ

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 3回くらいは見てるかな。2時間ちょっと。
 とある作品を見たんですが、ストーリーの基本プロットがラピュタと同じだったので、その作品を語る前にラピュタの方を先に片付けることにしました。プロットが同じなだけで、中身が同じなわけではないんですけどね。ラピュタのレビューはそのうち書こうと思いながらも放置していたので、まぁいい機会かなと。
 他作品との関連について書くだけで、とりあえずは終わりにします。


ざっくりとした話から:ネタバレレビューを読む

自然と人間の物語①ラピュタ以外:ネタバレレビューを読む

自然と人間の物語②ラピュタ:ネタバレレビューを読む

四作品の関連:ネタバレレビューを読む

おまけ:ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 9

84.3 5 ファンタジーで幻想的なアニメランキング5位
天気の子(アニメ映画)

2019年7月19日
★★★★☆ 3.9 (722)
3136人が棚に入れました
「あの光の中に、行ってみたかった」高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らす少女・陽菜。彼女には、不思議な能力があった。「ねぇ、今から晴れるよ」少しずつ雨が止み、美しく光り出す街並み。それは祈るだけで、空を晴れに出来る力だった――

声優・キャラクター
醍醐虎汰朗、森七菜、本田翼、吉柳咲良、平泉成、梶裕貴、倍賞千恵子、小栗旬
ネタバレ

こすみどる さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

【追記】この作品は絶対2回以上観るべき

【2回目の視聴】

【物語:4.5】
1回目の視聴じゃ見逃した(気付かなかった)ところに新たな発見が多々あり、すごく面白かったし、初見の時は一切泣かなかったのに、ボロボロ泣いてしまった。
前回のレビューから変わらない疑問点はあれど、根幹に触れて気にならなくなった。いや、そこにもまだ見逃している伏線があるのかもしれない。気になるからまた観てみよう。
【声優:4.5】
変わらず。ただ、後半の本田翼の声は、慣れたのではなく良かったんだと思い直した。
【キャラ:4.5】
見逃していた、須賀さんのキャラの重要性に気付いた。
【作画:5.0】
変わらず最高。
【音楽:5.0】
変わらず最高。
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1回目の視聴ではかなり辛口なことばかり書いていて、実際にそう思っていたが、新海誠作品大好きな自分としてはどうしても納得がいかない部分があったため、再度映画館へ。

観終わった時には、1度目には流せなかった涙がボロボロ流れていた。

映像美が凄すぎるあまり視覚的な情報量が多いから、つい見落としがちな細部も2回目とあってしっかり確認でき、それでいてストーリーに没入できたことで、1回目とは全く違ったメッセージを受け取ることができた。


以下、ネタバレ含むため隠します。
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ネタバレレビューを読む


1回目の視聴とは差がありすぎて、残しておくのも恥ずかしい限りだけど、自分の振り返り用に残しておく。


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【1回目の視聴】

【物語:3.5】
ネタバレ部に記載してるが、メッセージ性や問いかけを感じることができた一方で、納得いかない点が多い。
【声優:4.5】
タレントとしては大好きな本田翼の声だけが少し違和感。それ以外は文句なし。本田翼の声も後半は慣れるが、きっともっと合う声優さんいたと思う。
【キャラ:4.0】
主人公だけが残念。
それ以外は細かいことを言えば刑事も違和感があるが、まぁ問題ない範囲なのかなと思う。
【作画:5.0】
言わずもがな。
【音楽:5.0】
言わずもがな。
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公開初日に1回目の視聴行ってきた。
新海誠作品大好き!な自分にとっては、これは今までの新海作品を彷彿とさせる作品で、どこか懐かしさを感じた。

が、
しかし…
良かったのか?
名作だったのか?
他人に薦められるか?
また観たいか?

と自問自答すると、1回目の視聴では悩ましいところ…。
いや、また近いうちに観るけども。
正直今の感想じゃ自分が納得できない。

とりあえず、1回目の視聴の感想として後々のために記載。批判的な感想多め。

なんだか、本作は色々と投げっぱなしの要素が多い気がしていて、「観た人の解釈次第で~」っていう新海監督の想いは納得するにしても、さすがに投げっぱなし感が強くて、シンプルなメッセージに対して、解釈の余地がありすぎる反面、考察の余地がなさすぎるように感じた。

あ、過去作品を観た人は楽しめるシーンがいくつかある。
笑いもありで、劇場で観るのは観客との一体感を楽しめると思う。

あと、2019年は梅雨らしい雨が毎日のように続く天候だったため、物語を身近に感じられたというのはあると思う。
そこは、新海監督持ってるなぁと思った。


以下、壮大なネタバレ含むため隠します。
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ネタバレレビューを読む
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何はともあれ、
相変わらず背景は写真と見間違うかのごとく綺麗かつ繊細だし、RADWIMPSは今回も期待以上の良い曲作るし、OPやEDの編集は最高だし、観て損したかというと全くそんなことはなく、観てよかったと思う。

なんだか、自分なりの解釈やイメージを求めすぎたのかも。
なるべく先入観や個人的な感情抜きに、また観てみよー。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 13

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

子供たちを守れない文明=東京など滅びてしまえばいい。

24年は8月に再視聴しています。

 この作品への感想として、環境問題が描けていない、東京の水没の描写がおかしいなどが多いかもしれません。あるいは、ホダカの行動はリアリティがないという意見も見ました。それと、考察と称して裏設定を探すような重箱の隅をつつくようなものが多いのも特徴だと思います。

 この作品では環境問題は誰の責任だ?どこにその影響が出ているんだ?ということを考えたいです。責任があるのは文明=既得権益であり、資本家、企業、大人たちです。特にバブル期にいろいろいい目を見た人たちです。そこが本作においては環境環境騒いでいることへのアンチテーゼになっています。

 環境の落とし前をつけるのは、こういう資本主義で利益を得ている人々がやる話です。子供に対して「お前ら環境のために何かしろ」と言う責任転嫁やおためごかし、偽善を描いているんだと思います。本当に二酸化炭素を止めたいなら自動車工場を全部とめてしまえばいい話です。エネルギー消費を減らせばすぐに解決します。それをやらないで経済優先で子供に負担を強いる文明は本当に正しいのか。

 もちろん、雨=環境問題は直接な表現ですが、雨=貧困の苦しみという意味の方が強いと思います。都市文明とは、直接・間接で子供を苦しめる装置であり、その歪みを特にヒナさんを通じて描いています。

 だったら一回文明などリセットしてしまえばいい。つまり、東京は水没してしまえという話です。

 二酸化炭素が原因云々といいますが、この作品では龍が原因でした。不思議な魚のようなものが降ってきます。つまり、水害のメカニズムなど人知の及ばない何かであって、安易な決めつけで分かった気になるなという風にもとれます。
 龍=神=自然の理で、自然に逆らった末路ともとれますが、その犠牲はまともな世界にしたいと願う子供に降りかかります。個々人ではみんな晴れてほしいと願っているのですが、その願いが勝手なために歪みが子供に集中するともとれます。
 
 晴れを願う子供たちの犠牲の上に今の文明は成り立っているんだという意味にも取れます。ヒナさんは中学生で年齢を偽りアルバイトをし、挙句の果てにいかがわしい店で働く決心をします。

 願えば晴れる。そこの意味ですよね。なぜひなさんが風俗的なところに行こうとする場面が冒頭にあったか。マック=まともなバイトでは暮らせない。つまり、性風俗に闇落ちしないと子供は暮らせない。ヒナさんの身体は醜悪なゼリーのような何かになるのはなぜか?病気や精神を侵食されている状態に見えます。「晴れ」=あぶく銭は余計子供を苦しめるとも取れます。
 あるいはヒナさんが子供の象徴だとすると、資本主義的な価値観で育てられて人間ではない何かになっていく様子にも見えます。

 そうそう、性風俗的なものとかラブホが気持ち悪いという意見も見かけましたが、それはこういうところに視点が向いていないからでしょう。

 つまり、雨が降り続く=資本主義のネガティブな影響は子供に向かっているんだと読み取れます。ただ純粋に晴れを願う子供が犠牲になってしまいます。小さなアパートで弟と暮らしたいというささやかな願いすらかないません。

 警察や制度が役に立たないことも描かれていました。子供を守るのは誰なんでしょうか?

 また、ホダカの反抗は島においても無力で、飛び出すしかありませんでした。田舎だろうが都会だろうが楽園ではありません。銃を持っても結局は役に立ちません。ヒナさんを助けようとしても、最後まで彼は無力です。ただ、連れ戻そうという彼の意思が大事です。子供の衝動はときに、理屈を超えてきます。

 結局、懸命に生きようとするヒナさんとホダカは雪に降られ、行き場所を失っても、バカ高いホテル代をぼられます。それでも一緒にいたいという気持ちすら引き裂かれました。

 要するに見るところは、本作の設定とか整合性ではありません。地球の環境を壊した、既得権益=資本主義の犠牲となった子供たちを描いているんです。中高生はこの作品に共感したとの話も聞きます。大人の仕組みに染まってない故にその辺のところが読みとれるんだと思います。資本主義的な大人だと「環境の描写が」とか「整合性」という言葉が出てくるし「裏設定」を探すことが考察することだと思うのでしょう。そういうところじゃなくて、大きなものを見たい映画でした。

 そして、24年現在、この作品が公開された2019年より状況はこの作品に近づいている気がします。




23年7月のレビューです。

 お前等はどうせ何もできないから、せめて子供が生きる邪魔をするな、でしょうか。

 7月になると見たい映画の一つです。23年7月、再視聴しました。多分10回目くらいです。追記追記でごちゃごちゃしてたのを整理しました。

 この作品、映画作品としては新海誠の災害の3部作の中で一番ストーリーがますっぐで立体感はありません。なので、エンタメとしては他の2作より劣るとは思います。

 ただ、内容的に一番共感というかリアルに感じるのは本作なんですよね。視点が実生活に近い分、読み取れるテーマ性が非常に深かったと思います。
 さらに、時代が進むにつれ意味性・テーマ性がリアルになってきた気がします。


 本作を見て天気に目を向けるのはやむを得ないでしょう。なので環境問題的な視点から評論したくなるかもしれません。題名からしてそういう話ですから。ただ、私はそれは舞台設定でしかない、あるいは優先順位としては高くないと思います。
 本作で一番胸に刺さるのは「今の社会は、子供たちを一番大事に考えているか?」じゃないでしょうか。

 本作のテーマは大きくは2つ。「社会はクズなんだからせめてがんばっている子を放っておいてくれ」と「社会は助けてくれないから自分のために突っ走れ」ですね。


 二酸化炭素云々の環境問題を議論する前に、街にいる貧困の子供たちをなんとかしろよ、と思ってしまうと同時に、何もしていない自分への罪悪感が突き刺さります。
 そう考えると「雨」が象徴しているのはわかりますよね。今の日本の都市の暮らしにはいつも「雨」が降っているということです。

 「社会はクズなんだからせめて放っておいてくれ」というのは、彼らが懸命にアパートで寄り添っている生活すら潰してしまう世の中の仕組みってなんなんだろうということです。就職活動して背広を着てビルで働くしか行き場はないんでしょうか。
 年齢を誤魔化して懸命にがんばっているヒナさんは、天気を良くしようと口だけで言う世間の都合の犠牲になったような気がします。

 実際社会に晴れをもたらすのは、ヒナさんのような子供の祈りです。ヒナさんは他人のために祈ります。でも、そのしっぺ返しは、更に強い雨。そして、真冬の情景でした。その真冬は、子供たちのせめて一緒にいたいという気持ちすら踏みにじり、生命まで脅かします。結果としてヒナさんは消えるしかないということでした。

 ヒナさんは切羽詰まって、風俗のようなところに行くことになっても、弟を支えようと頑張ります。アパートで自分で育てたネギを食べるところは、貧しさの中で工夫をして喜びを見つける良いシーンですが、逆に言えば胸が痛くなります。そこまでしないと暮らせないのか、と。

 天気よりも我々が守るべきは子供だ。二酸化炭素の問題って、結局「子供を守れない出来損ないの文明」を守るということです。それだったら、既存の仕組みなど壊れて、子供が再び幸せにくらせる社会にするしかない。
 天気天気というけど何百年という歴史から見れば大した問題じゃない。子どもを社会で大切に育てろ、そう言う風に見えます。



 そして、もう一つ。閉塞感ですね。子供が未来を感じられない世の中です。だけどホダカは島を捨て自分で何とかしようともがきます。そして、反社や警察などからヒナさんを救うために走り回ります。

 彼は本当は何もできないですけど、もう進むしかない。それしか打破できないという推進する力が見えます。拳銃という我々の社会では最強の武器も役に立ちません。それが現実です。でも、彼は徒手空拳でがんばった。

 世間の事を考える前に、目の前の娘を救えといいます。それは世界系と捉えていましたが、考えてみれば大人があてにならないから、お前が救うしかないんだという風にも見えます。そして最後は…という感じです。
 昔の内面的な世界系とは違い、もう今の時代を生き残るためには「好きな少女のために」=「自分のために突っ走れ」という生存戦略的な世界系に見えます。

 言い換えるとホダカは「少年の日の衝動」だと思います。「怖くないわけはないけど止まらない」です。あの主題歌グランドエスケープはホダカの気分を表した素晴らしい内容でした。



 須賀兄妹(姪)については、やっぱり大人側ですけど、半地下にいる=社会に半分だけ足を突っ込んでいる。だからホダカの味方に半分だけなれるんでしょう。
 須賀は別に主人公を追い出したわけではありません。金を渡して大人の対応ができるようにちゃんと説明します。須賀(姪)は就職活動をしていて大人と子供の境目なので、主人公たちに寄り添えますが結局力にはなれていません。

 婆と孫もやたらでてきました。2人の婆の対比は冒険したかどうかの差?そして孫たちはこれからこいつらは冒険するだろうか、という世代による結果と可能性を見せている気がします。

 婆から孫の描写をあえていれているのも、お金よりも子供を産み育てることを優先する社会がくれば、温暖化問題など解決している、という風にも見えます。


 なお、最後のヒナさんが祈っているシーンですが、私は穂高に会えますようにと祈っているに決まっていると思っていましたが、天気が良くなるように祈っていたと解説している方がいました。
 初めは違うんじゃね?と思いましたが、なるほど穂高の雨に対する罪悪感を考えると、ヒナさんもそこを思い悩んでいるなら無くはないですね。穂高の最期の言葉は、雨とか罪悪感とか、もう忘れて2人でいようとその場で吹っ切れたと考えてもいい気がします。どうでしょうか?

 見せ場についてはいろいろあったし、絵の美しさは君の名は。以上だったと思います。花火のために祈るシーンと雲から落ちるシーンは最高でした。
 映像の派手さというかインパクトでは「君の」に負けていましたけど、エモさでは本作でしょう。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 28
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

作品<商品の視点はそれなりに重要

オリジナルアニメ劇場版 114分


興収250億円。日本歴代4位の記録を打ち立てた『君の名は。』から3年。新海誠監督2019年の新作。
良くも悪くも『君の名は。』以前と以後で語られてしまうのはしかたないでしょう。
立ち位置もこの大作を起点にして、

 1.変わらず好き
 2.以前よりもっと好き
 3.昔のほうが良かった
 4.これを機に新海誠を知った
 5.一貫してネガティブ評価

ニワカな私は4.です。『君の名は。』で知って、『秒速…』や『言の葉…』に流れていった人。
余計なお世話は承知の上で放言しますけど、3.のスタンスの方、ヲタ村から一歩出た実社会では注意が必要です。メガヒット作品だと普段アニメを観ない一般国民の関心が低くありません。しかも好意的に作品を捉えたケースが当然ながら多い。それを事情を聞かずぶった切ってる方の多いこと多いこと。私はドトールで実際に遭遇しました。本人の狙いはともかく地下アイドル好きのキモオタ扱いされ撃沈するのが関の山です。5.も似たようなもんですが「一貫してるのね」と傷は少ない。
『けもフレ』の前と後がどうだ!とか、○○(制作会社)の新作があーだこーだとかは一般人にはどうでもいいことなんで彼らも他人事として聞いてられるのですがこのテの作品はその一般人のテリトリーに入ってることを十分意識しておきましょう。

声優を例にすると分かりやすいかもしれません。先日、民放ゴールデンタイムでの『聾の形』放送に際し、知り合いの非ヲタ一般人に出演声優を説明するにあたってはこうでした。

 主役→『千と千尋』のアシタカ役
 永束→ハリーポッターの中の人
 妹→『君の名は。』のさやちん役

彼らがイメージ湧くのはここまで。ヒロイン役の早見さんは残念ながら「誰?知らん」です。興行収入の多さと一般認知度は比例します。ハリポタは違いますが基本的にはディズニーかジブリ強し!という勢力図の中に割って入ってきた新海さんは凄いと思いますよ。

一般人と共有できるアニメ作品は貴重であると思うので、いつも以上に盛大に脱線しました。
作品単品での評価も気になりますが、マーケティング視点も少しばかり導入しつつ興収含めた一般社会での受け入れられ方も気になるそんな作品という前提で以下。

メガヒットの次に何をもってくるか?

『CROSS ROAD』でミリオン達成。シーンに認知されたMr.Childrenは次に年間チャート1位となる『innocent world』、その次にバンド史上最も売れた『Tomorrow never knows』をリリースしました。答えは簡単。名曲を出し続ければ良いという結論です。もちろんおいそれと真似は出来ません。
次にやらかしがちなパターン、特にここ最近顕著なのがヒットしたものをそのままなぞらえた模倣品を作ること。短期間に消費されること前提であり飽きられるのも早いのでクリエイターには不評。こればかりは会社だったりプロデュース側の方針に依ります。
というわけで最後。目先を変えてくパターン。すなわち王道な売り方。成功事例だとX JAPANが分かりやすい。『紅』でシーンに躍り出てからの次回作が『Endless rain』。前曲の激しい曲から一転してピアノのイントロが美しいバラードです。振り幅で勝負!人気を定着させました。
なお現在の音楽シーンはメディアミックスが複雑すぎて音楽単体評価が難しく該当事例ナシです。


そしてやっとこ作品そのものについての言及になるわけですが、
本作はだいぶ模倣品リリースに傾いてたと思われます。パッと見た感じは「模倣品」。中身は「異物」なんですけどおおむねパッと見た感じで判断しますもんね。別に「俺たちの新海戻っておいで」でもいいのですがせっかくドがつくほどのメジャーに踊り出たんでしばらくは居座っていて欲しいです。、
私は『秒速…』以降しか知りませんが、少なくとも全てボーイミーツガールです。お家芸となってる過去作品のキャラ登壇は本作に限らず伝統芸能といって差し支えないでしょう。実写より美しいともされる作画やモノローグを多用する心情描写は作家の色なので模倣品とまで言うのは酷ですが既視感あることは致し方なし。RADWIMPSの再起用はやり過ぎな感もあり。といったところでしょうか。

『ナウシカ』『ラビュタ』と連発。『未来少年コナン』以降の監督の得意分野である冒険活劇あるいはファンタジーを2本続けてから第3弾では2本立てにトライ。『火垂るの墓』で原作有り&別監督と目先を変えてきたジブリを無条件に賛美する意図はありませんが、早くチームか会社設立しちゃったほうが良い気がします。需要に対しての供給力が足りてないというか今のままでは監督への負担が大きいのではないかと思われます。
ボーイミーツガールの完成系を目指して試行錯誤しているクリエイター!? 技術的には積み重ねを感じる。例えば『言の葉の庭』で培った雨の表現をトレースしてたり違うものを見せたりと。そんな持ち味を楽しみにしているファンも大勢いるためガラッと変えるのは実際難しいところなんでしょうね。


して映画の肝心の中身は?

良いです。ボーイミーツガールは好物だしこの監督の演出する男女の営みも自分には合います。
特にツボにハマったのが新宿の繁華街の裏通りの雰囲気。終電逃してさあこれからって空気や、朝を迎えた時点での気だるさを感じさせるあの雰囲気がよく出ています。

これが家出少年の目にはどう映ったか?

宿無しの不安とおそらく束縛からの解放がないまぜになった心理状態。そんな者すら受け入れる街。“ここではないどこかへ”来た感がこれでもかと出ております。
ウチの中学生の倅が劇場で鑑賞し「面白かった」と感想を言ってましたが、メインストーリーとは別にこのちょっとした淫靡な空気に吸い寄せられたのかもしれないなぁ、と実際の作品を観て思いました。朝オープンしたてのカフェに昨晩オールした若もんがぐったりしてるでしょう?そういうところです。

そして不穏な街には不穏な物語が良く似合う。
当人たちの問題がそのまま世界の危機に直結する“セカイ系”に分類されそうな物語でした。


 “ボーイミーツガール”

 “怪しい街新宿”

 “セカイの危機”


難点はキャラの行動原理がわかりづらいところ。その点はけっこう狙っていたらしく、例えば主人公穂高の家出理由はわざとぼかしているとのこと。自分はあまり好きではないです。
総じて“良い”と感じてますが、行動原理に納得感がないからか主人公らがやや低年齢だったからかは定かではありませんが、結局キュンキュンしなかったので評価爆上がりには至らずでした。

マーケ視点としては合格。メガヒットの次という超絶難易度をクリアしてます。「あー結局アノ作品だけの監督だったんじゃん?」という声がない。充分でしょう。
これで次回作も一般人巻き込んでみんなで楽しめますね。ぜひデートの誘いに新海映画を!
ボーイミーツガールは不滅です。



※閑話休題

■人身御供

ちょいちょい日本文化のわりとコアな部分を突っついてくる作風は今回も。
本質的には巫女さんの役割のお話なんだと思います。

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僕らの血肉に息づいてる感覚をモチーフにしているので賛否はともかくイメージはしやすい。
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↓ネタバレ
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■東京

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建設会社希望の某就活生の志望動機をふと思い出しました。
もしやこの伏線回収か!?と思いきやところがどっこい消えずにたくましく東京の人達は生きている。
むしろ「埋め立てる前はもともと海だったしね」のセリフにお台場はもちろん江東区あたりもイメージしてそりゃそうだと膝を打ちました。

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自然災害を無視できない風土。だからこそ生まれた“もののあはれ”なる概念。そんな諦観だけに留まらず対となる進取の気性との両輪でここまで続いてきた国なのにどうやら後者の気概が最近弱まっている模様。もう一度取り戻して前を向いて歩いてく。
なんだかんだそんな前向きさを感じるのはエンタメの良い部分が出てるのかもしれません。



視聴時期:2020年7月

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2020.08.22 初稿
2020.10.25 タイトル修正
2021.05.30 修正

投稿 : 2025/03/01
♥ : 64

69.7 6 ファンタジーで幻想的なアニメランキング6位
サカサマのパテマ(アニメ映画)

2013年11月9日
★★★★☆ 3.8 (664)
3146人が棚に入れました
どこまでも、どこまでも坑道が続く地下世界。狭く暗い空間であっても、人々は防護服を身にまとい、慎ましくも明るく楽しい日々を送っている。地下集落のお姫様であるパテマは、まだ見ぬ世界の先に想いを馳せて、今日も坑道を探検する。お気に入りの場所は、集落の「掟」で立ち入りが禁止されている『危険区域』。これまでに見たこともない広大な空間には、幻想的な光景が広がる。世話役のジィに怒られながらも、好奇心は抑えられない。いつものように『危険区域』に向かったパテマは、そこで、予期せぬ出来事に遭遇する。何が『危険』であるのか、誰も彼女に教えてはくれなかったから。隠された“秘密”に触れる時、物語は動き出す――

声優・キャラクター
藤井ゆきよ、岡本信彦、大畑伸太郎、ふくまつ進紗、加藤将之、安元洋貴、内田真礼、土師孝也
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

良いふわふわ感

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 初見でした。100分くらいのSFファンタジー。

 演出のメインである重力感は、かなり上手く描けていたと思います。高所に立った時のぞくぞくする感じは、画面を通して見ている私にも感じられました。視聴後のスッキリ感も良く、結構面白い作品だったとは思います。
 ただ、作品の出来としては、まぁまぁくらいですかね。


世界の構造(ネタバレ注意):ネタバレレビューを読む

吉浦康裕監督のこと:ネタバレレビューを読む

サカサマのパテマのプロット:ネタバレレビューを読む

演出関係:ネタバレレビューを読む

おわりに:ネタバレレビューを読む

対象年齢等:
 子供は十分に楽しめると思います。
 大人向けというのは厳しい気がしますが、大人が見ても損することはないと思います。「風に乗る」とか「風を切る」とかとは違う「ふわふわ感」を体験できるのは、この作品の特筆すべき特徴です。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 17
ネタバレ

ヲリノコトリ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

「物質に働く重力の向きが2種類ある」傑作SF

【あらすじ】
 「咎人は空に落ちる」。重力が反転した人々は地下に隠れ住んだ。そして月日は流れ、何も知らない少年と少女が出会う。その果てに待ち受ける真実も知らず……。

【成分表】
笑い★☆☆☆☆ ゆる★☆☆☆☆
恋愛★★★☆☆ 熱血★★☆☆☆
頭脳★★★★☆ 感動★★☆☆☆

【ジャンル】
SF、恋愛

【こういう人におすすめ】
SF好きな人。しっかり考えながら見るタイプの人。

【あにこれ評価(おおよそ)】
68.3点。いまいち。

【個人的評価】
舐めてたけど予想を超えてきた。スタジオ六花の可能性を感じた良作。

【他なんか書きたかったこと】
 地中に重力が逆向きの人々が住んでいて、ひょんなことから重力が逆の少年と少女が出会う。なんと少女は手を繋いでいないと空に落ちて行ってしまうのだ!そして始まる『天空の城ラピュタ』的な二人の冒険劇……。
 分かる。言いたいことは分かりますよ。一つのアイデアでゴリ押しする感じのありがちなストーリーに思えますよね。要するにご都合いちゃいちゃアニメじゃんハイハイご苦労さんって思ってるでしょう?
 少なくとも私はレンタル屋でパッケージを見たときにはそう思いました。
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投稿 : 2025/03/01
♥ : 40
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

秀逸なワンアイディアによって展開する劇的なアニメである一方、そのアイディアに引っ張られ過ぎた感もある

[文量→特盛り・内容→考察系]

【総括】
文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞。王道のボーイミーツガールであり、冒険活劇。メッセージ性、芸術性、娯楽性、いずれの質も高い。大変出来の良いアニメ映画です。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
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【視聴終了(要約バージョン小盛りレビュー)】
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投稿 : 2025/03/01
♥ : 40

75.6 7 ファンタジーで幻想的なアニメランキング7位
ペンギン・ハイウェイ(アニメ映画)

2018年8月17日
★★★★☆ 3.8 (269)
1234人が棚に入れました
小学四年生の少年アオヤマ君は、一日一日、世界について学び、学んだことをノートに記録する。利口な上、毎日努力を怠らず勉強するので、大人になったときにどれほど偉くなっているか、見当もつかない。そんなアオヤマ君は、通っている歯科医院の“お姉さん”と仲がよく、“お姉さん”はオトナびた賢いアオヤマ君を、ちょっと生意気なところも含めかわいがっていた。ある日、アオヤマ君の住む郊外の街にペンギンが出現する。海のない住宅地に突如現れ、そして消えたペンギンたちは、いったいどこから来てどこへ行ったのか…。アオヤマ君はペンギンの謎を解くべく研究をはじめるのだった。そしてアオヤマ君は、“お姉さん”が投げたコーラの缶が、ペンギンに変身するのを目撃する。ポカンとするアオヤマ君に、笑顔のお姉さんが言った。「この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?」“お姉さん”とペンギンの関係とは? そしてこの謎は解けるのか?少し不思議で、一生忘れない、あの夏の物語。

声優・キャラクター
北香那、蒼井優、釘宮理恵、潘めぐみ、福井美樹、能登麻美子、久野美咲、西島秀俊、竹中直人
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

この小四男子が大人になるのが楽しみでなりません

原作SF小説は劇場鑑賞後に購読。

ボクは大人になったら保母さんと結婚するんだ。
或いは先生と、或いは看護婦さんとか……。

幼少期の園児、児童の中には、時折、
こうした未来を語るナマイキな小僧がおりますがw
あれは果たしてどういった心情なのでしょうか?

年上の女性に甘えているようで母性依存とは少し違う。
だからと言って恋愛のいろはを知っているわけでもない。
大人になってから初恋の相手は先生だったなどと吹かす人もいますが、
あれは恐らく初恋の域には達していなかったと見るのが妥当でしょう。

そして、思春期を経て、恋を知っていく中で
母性依存以上、初恋未満の経験は、いつの間にか霧散してしまう。
その時、少年の心や周囲に何が起こったのか?
についてはあまり語られることもありません。


本作はそんな幼少期から思春期に差し掛かる少年と年上お姉さんの青春を
生命進化史や宇宙観に絡めたジュブナイルSF作品。

歯科医院に勤務するお姉さんを結婚相手に決めている主人公少年。
彼がまた只者ではありません。

“人類代表”就任を企てる少年の野望は、
夢物語にとどまらず、形にすべく既に計画的に動き出している。

ノートに自身の課題と研究テーマを列記。
(しかもジャポニカ学習帳などのお子様向け文具ではない。
論理的思考やスケジューリングに最適な大人向けの外国製方眼ノート)
解決のためのPDCAサイクルを回して、
日々、着実に“エラく”なっている自負を得ているのです。

けれど、宇宙物理学の知見に触れたり、
一流のビジネスマン、研究者に匹敵する
メソッドを体現した天才児をもってしても、
ようやく知りつつある恋の甘酸っぱさについては、認識しきれない。

知識だけでは感じ切れない。
成長や性徴を経ねば分らない感情が確かにある。
少年の知的生活を強調することで
浮かび上がって来る青春という構図が誠にこそばゆいです。


鑑賞された方の中には、というより多くの方が、
こんなすました主人公少年なんているわけないだろうw
と思われたのではないでしょうか。

ただ、私の場合は、自分も幼少期、ろくに方程式も解けないクセに、
舌で乳歯をグラつかせつつ、
NHKでアインシュタインの業績を優しく解説する番組などを見て、
宇宙の真理を知った気になっていたナマイキなガキだったのでw
本作の主人公少年の言動には共感できる点も多々ありました。
(但し私も流石に、ネタバレレビューを読む
などということはなかったと弁明はしておきますw)

SF展開も私好みで思索も捗り、久々に幼少期に戻った気分になりました。
嬉しさの余り……また、劇場版の説明だけでは納得できないこともあって、
鑑賞後、原作購入して延々と考察に耽っている内に、
この夏も終ろうとしていますがw後悔などは全くありません。
脳に清々しい汗をかくこともできた素敵な夏でした。


それにしても、この主人公少年は
これからまさに恋を知り、青春を知ることになるのでしょうが、
別次元とも言える思春期の純情を経た時、さらに大人になった時、
この夏の思い出はどう自己解釈されるでしょうか?
未熟だった自分にのたうちまわったりもするのでしょうか?
今から反応が楽しみでなりませんw


その他、主人公少年だけでなく、同級生の男子一名と女子一名もまた、
初めて知ってしまった恋の感覚に戸惑いながらも成長していく。
三者三様の青春も実にくすぐったかった。良作青春SF映画でした。


以下、ネタバレかつ超絶ロングな考察。

一応ノート形式を気取ってはいます。
眺めていても大した「エウレカ!」も来ない半端な代物ですがw
鑑賞後の思索等にお役立て頂ければ幸いです。

ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 36
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

『この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?』

アニメ化もされた『夜は短し歩けよ乙女』、『四畳半神話大系』などの森見登美彦による原作小説は、角川文庫(角川書店)で書籍化(原作未読)。第31回日本SF大賞受賞。
アニメ映画は、119分(2018年)。監督は、『陽なたのアオシグレ』、『雨を告げる漂流団地』などの石田祐康。制作は、同監督の作品の他に『泣きたい私は猫をかぶる』、『BURN THE WITCH』などのスタジオコロリド。
(2024.3.29初投稿、3.31一部推敲、「考察を踏まえた感想」を追記)

以前から気にはなっていたものの、感想が人によって結構違うし抽象的。こういう作品は、経験上、刺さる人にだけ刺さるものが多く、自分に刺さるかまで観る前にわからないので躊躇していた作品。が、某レビュアーさんの勧めもあって観始める。

観終わった直後の感想としては、確かに、これは感想が人によって結構違ってきそう。なぜなら、本作には、大きく分けると「現実の話」と「夢のような話」という柱が2つあると感じたからです。
(これを補強する劇中の要素としては、本作に登場する「ジャバウォック」がルイス・キャロル作『鏡の国のアリス』の中で語られる怪物であるということ。なので、本作は、意識的に『鏡の国のアリス』の「(アリスの)夢のような話」と「現実の話」がごちゃまぜになった感じを描いていると思われます。例えば、冒頭のシーンである近くに海のない閑静な住宅街に南極周辺にしか生息しないはずの愛らしいペンギンが群れているという景色も、そういう感じですよね。)

その柱の1つ目である「現実の話」の中心は、本作の主人公であるアオヤマ君の「ぐらつく乳歯」、「にがいブラックコーヒーを我慢して飲む」、「セクシーな年上のお姉さんに憧れる」といったアイコンが示す「大人になりかけの少年のちょっと背伸びした恋」。
おそらく、ここに関する感想が人によって大きく異なることはないでしょう。なぜなら、誰しもが多かれ少なかれ大人への通過儀礼として「現実」に通った「道」(一本道としての「ペンギン・ハイウェイ」)でしょうから。

問題は、もう1つのSF要素のある「夢のような話」の方。
「アオヤマ君は、“お姉さん”がふいに投げたコーラの缶がペンギンに変身するのを目撃する。ポカンとするアオヤマ君に、笑顔のお姉さんが言った。『この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?』」(公式のSTORYから引用)という問いが、アオヤマ君と同時に我々にも投げかけられている。

そして、その謎については、劇中で明確な答えらしきものが提示されておらず抽象的な表現にとどまっている。
したがって、その解釈についての具体的なイメージや、そのイメージをどう具体的に説明するかは、その人の個人的な経験などが色濃く反映されることになるため、人によって大きく異なってくる。また、抽象的なだけに色々な解釈の余地があるとも思いました。


とはいえ、考察好きとしては、綺麗なお姉さんに挑発されたんじゃ黙っていられないということで(笑)、これから「ネタバレ全開で考察」していこうと思います(以下、興味のある方のみ、お付き合いいだだければ幸いです。)。


【「お姉さん」とは?】
ネタバレレビューを読む


【「海」ってなに?】
ネタバレレビューを読む


【「お姉さん」の記憶は本物か?】
ネタバレレビューを読む


【考察を踏まえた感想】
ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 7
ネタバレ

四畳半愛好家 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

世界は研究すべき”不思議”で満ちている!

原作:「ペンギン・ハイウェイ」既読
 著:森見登美彦
  (代表作「夜は短し歩けよ乙女」「四畳半神話大系」「有頂天家族」等々)

『他人に負けるのは恥ずかしいことではないが、昨日の自分に負けるのは恥ずかしいことである。一日一日、ぼくは世界について学んで、昨日の自分よりもえらくなる。…今日計算してみたら、ぼくが二十歳になるまで、三千と八百八十八日かかることがわかった。そうするとぼくは三千と八百八十八日分えらくなるわけだ。…えらくなりすぎてタイヘンである。…結婚してほしいと言ってくる女の人もたくさんいるかもしれない。けれどもぼくはもう相手を決めてしまったので、結婚してあげるわけにはいかないのである。
 もうしわけないと思うけれども、こればかりはしょうがない。』(原作抜粋)

毎日学ぶことをモットーに、日々ノートを片手に世界に対する研究を重ねている優秀だけどちょっとスケベな愛すべき阿呆小学生の主人公と、謎多きお姉さんを中心に据えた、不思議なファンタジーSF作品。

森見作品にあるまじき優秀な小学生が主人公であるが、内在する阿呆さは”らしい”主人公でもある。美しい「お姉さん」の不思議な力に関する研究を進めていく中で生まれた謎が謎を呼ぶ作品であり、青春を感じさせる爽やかな作品でもあった。

途中冗長気味で、退屈に感じられる部分もあったが、総じて森見さんの描き難いオリジナリティーあふれる不思議な世界観を、精一杯うまく映像化していることに大変満足できた作品であり、面白さ、熱さ、美しさ、そして切なさが見事に融合された良作であったと思われる。
(ちなみに自分は泣きました。アオヤマくんは泣かないことにしているのに…。)

森見ファンはもちろん、ちょっと変わったアニメ映画が観たいなら、ぜひともチャレンジしてみてほしい作品である!

以下項目別ネタバレ付き感想
ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 17

66.3 8 ファンタジーで幻想的なアニメランキング8位
星を追う子ども(アニメ映画)

2011年5月7日
★★★★☆ 3.6 (649)
3195人が棚に入れました
ある日、父の形見の鉱石ラジオから聴こえてきた不思議な唄。誰かの心がそのまま音になったような唄を、忘れられずにいた少女アスナに訪れたひとつの出会い。お気に入りの高台に向かう途中、異様なケモノに襲われたアスナはシュンという少年に助けられる。アガルタという遠い場所から、どうしても会いたい人と見たいものがあってやって来たと語るシュン。2人は心を通わせていくものの、突然シュンはアスナの前から姿を消してしまう。そして聞かされる哀しい知らせ。それを信じられずにいたアスナは、学校の新任教師モリサキから地下世界の神話を教えられる。そこはこの世の秘密が隠されたあらゆる願いが叶う場所で、アガルタとも呼ばれているという。そんな中、アスナの前にシュンに瓜二つの少年と彼を追う謎の男たちが現れる。男たちの狙いは、アガルタへの鍵であるクラヴィス。追いつめられた少年とアスナの前で、ついにアガルタへの扉が開かれる。そこでアスナは、男たちのリーダーが亡き妻との再会を切望しアガルタを探し続けていたモリサキだったということ、少年がシュンの弟シンだということを知る。アガルタへの入り口を目前にして、アスナはある決意をする。「もう一度、あの人に会いたい」。アスナ、モリサキ、シンの3人はそれぞれの想いを胸に、伝説の地へ旅に出る―。

声優・キャラクター
金元寿子、入野自由、井上和彦、島本須美、日高里菜、竹内順子、折笠富美子
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

新海作品ファン向け

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 初見でした。2時間のファンタジー作品です。
 宮崎駿監督(庵野監督も?)のオマージュなのはよく分かりましたし、やりたいことも何となく伝わって来ました。秒速と違う作風にチャレンジしたことは良かったと思います。でも、正直に言って面白くなかったですね。有名作品をオマージュ出来るほどの構成力はなかったです。

ストーリーについて:
 ブラックアウトして気が付くとシーンが変わって・・・という表現が複数回使われていたのが気になりました。これじゃあストーリーをつなげられないと宣言しているようなものです。視聴者が置いてけぼりになってしまいます。
 象徴物もよく分からなかったですね。ネタバレレビューを読む
 メインテーマも分かるのですが、それはキャラクターのセリフに表れているからというだけで、作品の中で「表現」として出ている類のものではないです。著名な監督たちが1分1秒を大事に作品を作っていることに比較して、無駄が多いと言わざるを得ないように感じました。

作画:
 キャラクターの動きは良かったと思います。ジブリっぽさ以前に、新海作品でキャラクターの動きが特別悪いと思ったことはありません。
 むしろ気になったのは背景ですね。写真をトレースして描ける部分はさすがにきれいです。しかし、建物や遺跡、室内のデザインなどはオリジナリティが感じられませんでした。どこかで見たことあるようなものばかり。オマージュを通り越してコピーに近いです。地下の風景も星空と草原と水ばかりでいずれも地上と何ら変わらないものでした。つまり、風景はトレースで、建造物はコピー。新海監督の中にあるオリジナルのファンタジーの世界を見つけることは出来ませんでした。

キャラクター:
 ベースは悪くないのですが、掘り下げられてないとは思いました。
 唯一、お母さんの描き方は無駄もなく、とても良かったと思います。ネタバレレビューを読む
 一方でお父さんの設定は全然活きてない。マナもいまひとつでした。シンの描き方も全然ダメだったと思います。つまりファンタジー側の人物表現が上手くないんですよね。ファンタジーの設定を活かせないとなると、キャラクターに魅力があるとは言い辛いです。

総評:
 ファンタジーとしては駄作だと思います。

対象年齢等:
 メインターゲットの10代の人にオススメする要素は乏しいです。大人の視聴に耐えられる作品ではないように思えます。
 ただ、新海作品の風景に価値を見出せるなら大丈夫でしょう。純粋にファン向けの作品だと割り切って視聴することを推奨します。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 7

hiroshi5 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

私にしては珍しく作品内容では無く、今作品の見方について語ってみた

酷評が多いこの作品ですが、個人的にはかなり気に入っている作品です。
ジブリの雰囲気をかなり醸し出していますが、どこかに新海誠監督を連想させる何かが張り巡らされている感じでした。
特に時々描かれる鷹やツバメなど秒速と同じ技法を使っているな〜と思わずにはいられませんでした。

キャラの方は特に不満はありませんが、これはちょっとジブリを意識し過ぎた感が否めませんねw
私としては秒速や雲のむこうと同じ感じのキャラで良かったのですが・・・

音楽、作画は共に素晴らしいデキで、これだけで十分見る価値はあると思いました。
新海さんの作品はホント見てて和みます。

さて肝心の物語の方ですが、私は世界観を楽しむには合格を、感情移入からのキャラ視線で内容の合理性を楽しむには不合格を上げたいと思います。

まず世界観から↓
この作品で注目されてるジブリ風作画&物語ですが、私はまったく問題無いと思っています。
私もジブリの作品は大好きで、ラピュタなどは今でも見た時の感動を覚えています。
ラピュタやもののけ姫はその圧倒的なストーリー展開と誰もが夢見る架空世界をハイクオリティーで表現しています。
しかし、実はこの両作品を見る度にリメイクしないかな〜なんて思ってた訳です、私は。なぜなら古いだけあって、物語のスケールの大きさに作画が追いついていない感じが見るたびに伝わってくるからです。特に背景。ラピュタの風景を今の立体感溢れる作画技術で表現したらどんな凄い作品になるんだろうか・・・なんていつも考えてました。
そんな時に登場したのが今作品!
出てくる化け物はもののけ姫作品内に存在する化け物そっくり!しかも壮大な世界感はラピュタのよう(ナウシカなど他の作品も含む)。
まさに待ち望んでいた展開がそこに存在していましたw
実を言うと、最近のジブリの作品(ボニョやアリエッティーなど)はあまり好きではなく、どうしても昔の大作と比べてしまっていました。ブランドが同じなだけに、期待値がどうしても高くなってしまうのです。
しかし、この作品がいくらジブリに似ていようと、監督が新海さんなのには違いありませんから、比べる対象にならないんですよね。

内容がいくらジブリに似てようが、ジブリの大作を下回ろうが、新海さんの素晴らしい作画とジブリの壮大な世界観が楽しめるんなら十分だと思うんですよ。
ということで、今作品はジブリの新海風リメイクと考えれば見応えのある作品として捉えることが出来ると思います。

あと、まったく関係ないんですが最初に化け物が現れ、シュンがアスナを助けるシーンがどうしても亡念のザムドと重なってしまい、笑ってしましましたw

さて、本題に戻ります。
感情移入からのキャラ視線で内容の合理性を楽しむには不合格と申し上げた理由を書きたいと思います。
これは、既に多くの人がレビューで書いていましたが、キャラの詳細な説明がなさ過ぎましたね。
特に先生、アスナ、シュン、シンなどの重要キャラクターのバックグラウンドが足りなかった。
確かにこの物語の焦点が「生と死」にあるから、そこまでキャラクターの詳細設定を語らなくて良いかもしれません。
しかし、視聴者は主人公であるアスナが何を求めてアガルタに行っているのか映画の途中になるまで理解できません。他のキャラとの関連性も薄く、シュンとの関係もあそこまで深くなる理由がいまいち納得いかない。

やはり今作品は世界観や作画を楽しむべきだと思います。
この作品のテーマである「生と死」に関しても、あまりにキャラ説明が少ない為今ひとつ来るものがないですしね。人を基準に、または合理性を基準にするとホント色々訳の分からない点がぞくぞく出て来るのが今作品です。
だからこそ、(私にしては珍しく!)今作品は内容重視ではなく、その不確かな、しかし圧倒的な設定が作り上げる世界感を楽しむべきなのだと私は思う訳です。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 14

大和撫子 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

それは、"さよなら"を言うための旅

もしホントに地球の地下に私達の知らない世界があったら、それはすごくロマンのあるお話ですよね♪

◆この作品の内容は・・・
主人公の女の子アスナはある日、見た事もない怪物に襲われるのですが、そこで不思議な青年に助けられます。
その青年は『アガルタ』という遠い世界から来たらしく、アスナはその青年と仲良くなります。
しかし仲良くなった矢先に、その青年が死んでしまったという話をアスナは聞かされます。
悲しむアスナですが、転任してきた教師から恋人を生き返らせる為に地下世界に行く神話を聞き、『アガルタ』の名を耳にします。
そして地下世界『アガルタ』に行くことに・・・。

◆この作品を見る前にまずはここを予習 p■qω・´)シャキーン・・・
『イザナギとイザナミの伝説』
はるか昔、天上界には神々が住み下界には大地がなく海だけが広がっていた頃、天上界の偉い神様はイサナギとイザナミという2人の神様に島作りを命じました。
2人は結婚し本州・四国・九州などの島々を生んでいきました。
島々が出来上がると次はその島を治める神様を生んでいきました。
風の神様、石の神様、山の神様など・・・そして火の神様も・・・。
でも火の神様を生んだ時にイザナミは大やけどをして、その火傷が原因で死んでしまったのです。
悲しんだイザナギは黄泉の国の奥深くに行って、死んだイザナミを見つけて、一緒に地上に帰ってほしいと頼みました。
イザナミは「黄泉の国の神様に地上に帰る事を頼んでみるから、それまで私の事を決して見ないで」と言いました。
でもイザナギはその約束が守れずイザナミを見てしまいました。
イザナミの体は・・・腐敗してウジ虫が湧いた醜い姿に・・・。
醜い姿を見られたイザナミは怒ってイザナギを殺そうとしました。
イザナギはなんとか地上に逃げ帰り、地上と黄泉の国の出入口を大岩で塞ぎました。
このお話は『古事記』に記された日本の神話ですが、似たような死の世界・地下世界のお話は世界中にありますよね。
有名なのはギリシャ神話のオルフェウスの伝説。
そしてこの作品で登場する世界が地球空洞説で有名な『アガルタ』という地下世界なのです。

◆タイトルの意味は・・・
地下世界の話なのになぜ星?
星は私達には決して手の届かない場所にあります。
新海監督がいつも作品に込めるテーマは「喪失」。
この作品は死者を取り戻そうとするお話、でもそれは星を掴むような話ですよね。
星を追った先にあるものは果たして?

◆声優陣は・・・
渡瀬明日菜  : 金元寿子(侵略!イカ娘のイカ娘)
シュン&シン  : 入野自由(あの花のじんたん)
森崎竜司    : 井上和彦(夏目友人帳のニャンコ先生)

◆総評・・・
ジブリ作品にいろいろな面で似てると言われてますが、\(・_\)その事については(/_・)/端っこに置いといてっと。
余計な先入観がこの作品の本質を見誤る恐れがあるので^^;
地下世界へ旅立つという物語。
まずはこの設定に非常に興味が持てました。
『アガルタ』という未知なる場所、そこにどんな世界が広がっているのか?
普段は何事も起きないような平凡で静かな田舎町の風景から始まり、我々の知らない未知なる地下世界を広大で神秘的に描く映像美の美しさは目を見張るものがあり、地下世界の冒険をワクワクさせました。
それだけに地下世界の冒険の内容が薄く感じてしまったのも否めませんでした。
この冒険劇を劇場版の2時間枠でなく、もっと長い尺で描く事ができたらもっとスケール感の大きい物語になったに違いないと思ったので、そこが残念でした。
とはいえ未知なる世界への冒険劇に加え、「喪失」を描く新海監督らしさが終盤には非常によく描かれていて、なかなか面白い作品でした。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 27

71.1 9 ファンタジーで幻想的なアニメランキング9位
海獣の子供(アニメ映画)

2019年6月7日
★★★★☆ 3.7 (130)
539人が棚に入れました
光を放ちながら、地球の隅々から集う海の生物たち。巨大なザトウクジラは“ソング"を奏でながら海底へと消えていく。 <本番>に向けて、海のすべてが移動を始めた―――。 自分の気持ちを言葉にするのが苦手な中学生の琉花は、夏休み初日に部活でチームメイトと問題を起こしてしまう。母親と距離を置いていた彼女は、長い夏の間、学校でも家でも自らの居場所を失うことに。そんな琉花が、父が働いている水族館へと足を運び、両親との思い出の詰まった大水槽に佇んでいた時、目の前で魚たちと一緒に泳ぐ不思議な少年“海"とその兄“空"と出会う。 琉花の父は言った――「彼等は、ジュゴンに育てられたんだ。」 明るく純真無垢な“海"と何もかも見透かしたような怖さを秘めた“空"。琉花は彼らに導かれるように、それまで見たことのなかった不思議な世界に触れていく。三人の出会いをきっかけに、地球上では様々な現象が起こり始める。夜空から光り輝く流星が海へと堕ちた後、海のすべての生き物たちが日本へ移動を始めた。そして、巨大なザトウクジラまでもが現れ、“ソング"とともに海の生き物たちに「祭りの<本番>が近い」ことを伝え始める。 “海と空"が超常現象と関係していると知り、彼等を利用しようとする者。そんな二人を守る海洋学者のジムやアングラード。それぞれの思惑が交錯する人間たちは、生命の謎を解き明かすことができるのか。 “海と空"はどこから来たのか、<本番>とは何か。 これは、琉花が触れた生命(いのち)の物語。

声優・キャラクター
芦田愛菜、石橋陽彩、窪塚愛流、稲垣吾郎、蒼井優、渡辺徹、富司純子
ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

私たちはどこから来て どこへ行くのか

 劇場アニメ「海獣の子供」公式サイトに一人の生物学者がコメントを寄せている。

 「これはまったく新しい「生命創造神話」である。
 生命の輪廻転生を描くとともに、生命は宇宙から来たことも暗示する、
 地球と宇宙と生命の「大いなるつながり」の物語なのだ。」
 (長沼毅「海獣の子供」公式サイトより)

 「海獣の子供」という漫画の最大の魅力は五十嵐大介の圧倒的な画力にあるし、劇場版「海獣の子供」の魅力もまた、STDIO 4℃が作り上げた圧倒的な映像を「浴びるように」味わうことだと思う。幽玄なる海の世界の描写は素晴らしく、僕は劇場で鑑賞しその迫力に圧倒された。激戦だった2019年の劇場アニメの中でもNo.1の映像だったのではないだろうか。

 一方でストーリーについては観念的かつ難解で「よく分からなかった」という声をよく聞く。果たしてあの夏、劇場で琉花と目撃した「誕生祭」とは一体何だったのだろうか。その謎を解く鍵は実は科学だと僕は思っている。主人公の少女の名前の由来は、あらゆる生物の共通祖先とされる単細胞生物「LUCA」に違いない。生物学、特にアストロバイオロジーと言われる、宇宙を舞台として生物の起源や進化を議論する学問がこの作品のベースになっているように感じた。このレビューも科学の話を中心に進める。

■宇宙と海と生命
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■生命と渦、そしてエントロピー
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■自意識の芽生え
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投稿 : 2025/03/01
♥ : 21
ネタバレ

takarock さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

劇場じゃなければ10%くらいしか伝わらない(劇場体験と物語評と映像評と)。

都内のTOHOシネマズのレイトショーで観てきましたが、
席は9割くらい埋まっていました。
客層は比較的若い人が多く、女性がかなり多いって印象ですかね。
音楽面だけで言っても、久石譲に米津玄師ですからねw
これだけでも客呼べるでしょうw

私は上映後の空気感というのが非常に好きですw
客のテンションをダイレクトに感じることができるからです。

さて、本作の場合はどうだったのかというと、
戸惑いとか、ため息とか、そんな感じでしたw
さらに聞き耳を立てていると、
久石譲が~、米津玄師が~、芦田愛菜の演技が~とか、
話題のほとんどがスタッフ・キャスト関連。
さらに、カップルで観に来ていた女性が、(どこか相手を気遣いながら)
「なんか、よく分からなかったけど、思っていた以上に壮大な話だったね」
なんて言ったかと思えば、
友人同士で観に来ていたであろう女性が、
「原作を映画にするとここまでコケるか~」なんて暴言を発していましたw

この体験だけでも劇場に足を運んだかいがあったってものですw
お前ら面白すぎるだろ!!w
私の聞いていた限りだと「おもしろかった」と発した人は一人も
いませんでした いませんでした いませんでした

上映後の空気がこのようなものになるであろうというのは、すべて想定内です。
何故かと言えば、実際に観に行った知り合いや、
あにこれ仲間たちに事前にリサーチしていたからです。

ネタバレレビューを読む

ここまで言われれば、もうお察し!でしょ。
だから、私は絵画鑑賞のつもりで行くと決めていました。
故に、ある意味館内で本作を一番楽しめたのは私だったのかもしれませんねw

ただ、館内の戸惑いだったり、ため息というのは当然の反応なのかもしれません。
何故ならば、本作は映画としてはあまり評価できるものとは思っていません。

さて、今回は物語評、映像評、2つに分けて語ります。


「物語評(ネタバレあり)」


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「映像評」


物語評でかなり辛辣な評価をしましたが、
端っからそこの部分は期待していませんでした。
冒頭でも述べたように、私は絵画鑑賞のつもりで劇場に足を運んだのです。
伏線は?メタファーは?主題は?
極論、そんなものどうでもいいのです。圧倒的な映像体験、これが目的です。
海の描写がとか言う前に、そもそも日常描写の書き込みが半端ないです。
線の密度が半端ない。 制作期間が5年とか、6年とか。さもありなんです。
正直映像に関しては、言葉にするのが難しいですね。
四次元の水族館とプラネタリウムを合わせたようなアトラクションですかね。
閃光が走る海原を泳いでいるんですよ。
「やばっ!息継ぎしなきゃ」って感じるくらいの波がスクリーンから迫ってきました。
なんだか第六感まで刺激されるような圧倒的な映像でした。
観賞でなくて、体験ですね、もうここまでくると。

そして、私はこの体験を是非劇場でしてもらいたいと思います。
家で見ても、10%くらいしか伝わらないでしょうから。

賛否両論だし、行くか迷ってるというそこのあなた!
映像だけ見に行くと割り切っても絶対に損はしませんよ!
むしろ、そっちの方が楽しめるまである。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 33
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

空と海と風と

「私は…空を飛べる」

護岸の堤防を駆ける少女はまるで風のようである。名は“琉花(ルカ)”。
そんな彼女とジュゴンに育てられたとされる少年二名が織り成すファンタジー。
少年らの名は“海(ウミ)”と“空(ソラ)”という。


映画館で観たかった!ってその通りなんですけどちっこいモニターはモニターで味がある…かもしれません。ほぼ負け惜しみですが。
画面に引き込まれる感覚はそれほど大差ないでしょう。映画館を想像するに時計やスピーカーが目に入らなくなって、袖の幕すら気にならなくなるような感覚。できれば劇場の大画面と言わずプラネタリウムで観てみたいな、と無理難題が思いつく。そんな映画でした。


 映像凄いよー


2019年は劇場作品が元気で、そのやり取りの中で他のレビュアーさんからのご推薦があった作品です。
この際、地上波で見かけなくなったゴローちゃん目的でも、某『永遠の○』ヤーさん役の凄みで全俺の涙をさらった田中泯さんが目的でも構わないっす。劇場オリジナル作品の中でもなにかしら爪痕を残してくれそうなおとぎ話。

で、不肖このわたくし。さっぱりとまでは言わないまでもよく分かってません。
ただ母なる海とでもいうのでしょうか。生命の神秘みたいなのを感じるのであります。


 青 蒼 藍 碧


作品全編通して画面を支配する色。光の加減で顔を変える海の色彩。月明りに照らされることで漆黒の闇から開放された海岸。まるで東山魁夷の絵画のような色使いです。
そしてなにせジュゴンに育てられた少年らです。海と一体化したかのようなシーンはてんこ盛りでした。まるで『グラン・ブルー』のジャックマイヨールみたい。


そうまさに海に抱かれてα波出てるんじゃないかしら?な中盤まで。作品タイトルやキービジュアルから期待しちゃいそうなところは期待しちゃって良いと思いますよ。


一転して中盤からのイメージはときおり差し込む赤。

ネタバレレビューを読む

少しばかりスクラップ&ビルドな概念が思い浮かんで、ハイビスカスの花の色から、隕石衝突だったり、原初の炎だったり、闇を照らす火だったり、はたまたビッグバンのようなものを想像してしまう私。

なんか生命の神秘とかビッグバンとか何言っちゃってるんでしょうね?私。未見でこの感想読んでる方は「お薬増やしておきましたからねー」とつい言いたくなっちゃうんじゃないでしょうか。


 母なる海から宇宙まで


2時間くらいでこれらを提示するってこと自体すごいことなんだろうと今は納得しております。

壊して作って。斃れて起ち上がって。死んで生まれて。繋がって断ち切って。

α波出てると油断してたらいつのまにやら宇宙の神秘に両足突っ込んで戻ってこれない傑作です。



※余談中の余談

■これはどうでもよいのよ

『空と海と風と』
Wikiにも載ってないフュージョンバンド。ツアーのサポートメンバーや収録など縁の下の力持ちとしての歴のほうが長いかなぁ。
本作の主役名から真っ先に浮かんできたこのバンド。もしご存知でしたらある意味すごいです!

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視聴時期:2020年3月

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2020.05.14 初稿
2020.12.06 修正

投稿 : 2025/03/01
♥ : 45

68.9 10 ファンタジーで幻想的なアニメランキング10位
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(アニメ映画)

2017年8月18日
★★★★☆ 3.3 (463)
1796人が棚に入れました
物語の舞台は、夏休みのある一日。花火大会をまえに「花火は横から見たら丸いのか?平たいのか?」の答えを求め、町の灯台から花火を見ようと計画する少年たち。一方、クラスのアイドル的存在・なずなに想い寄せる典道は、時間が巻き戻る不思議な体験のなかで、なずなから「かけおち」に誘われることに……。何度も繰り返す一日のなか、なずなと典道を待ち受ける運命は? そして、果たして花火は下から見ても、横から見ても丸いのか?

声優・キャラクター
広瀬すず、菅田将暉、宮野真守、松たか子、花澤香菜、浅沼晋太郎、豊永利行、梶裕貴
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

視聴者をタイムリープさせる映画

[文量→大盛り・内容→考察系]

【総括】
中学生の恋愛をテーマにしている。青春アニメって感じ。

原作は、1993年にフジテレビで放送されたドラマで、その後1995年に実写映画化。そして本作は、2017年にシャフトによってアニメ映画化。米津玄師さんの作った歌が、かなり耳に残ります。

シャフトらしさは残しながら、一般受けするように演出は控えめにしている印象。作画は流石の劇場版クオリティ。

私は本作の評価を☆3(普通)にしましたが、☆3の中でもやや低評価です。良さもある作品だと思うので、レビューでは、その両面に触れたいと思います。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 26
ネタバレ

YwJje43950 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

打ち上げ花火 ”もしも玉”

ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 13
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

蠱惑の球面

元ネタである岩井俊二監督のスペシャルテレビドラマは視聴済み。

球とは実に不思議な形をしています。
どの角度から見ても見える形は同じですが、
見えてる面は視点によって全部違う。

その上、光の加減まで考慮すると球はさらに神秘的。
特に例えばガラス玉のような透過性の高い球体ともなれば、
光の屈折まで加味されて見る視点によって輝き方が目まぐるしく変わる……。
そして、その透き通った球体は、あらゆる光を集めると共に、
球の境界を隔てた人々の視線や思念、願望をも惹き付け誘惑するのだ……。


本作は原作にもあった花火の見え方のウンチクによる好奇心刺激に加え、
シャフト作画によって全編に散りばめられた円柱、球形への違和感、興味。
それらが心を浮つかせる夏の空気、ヒロイン少女の魅惑的な美しさ等により加速され、
常識や倫理の壁をも超越して行く、真夏の青春アニメ映画。

主人公少年らと共に気持ちよくジャンプするには、
映像全体が醸すムードに憑かれることが必須で、ハードルはやや高めですが、
私としては夏に劇場鑑賞チャレンジした甲斐があった作品でした。



本作は単純に興味を持って観る。のとは別に色々な動機での鑑賞があり得る作品ですが、
以下、それぞれの立場からの見え方を想定してみると……。


①岩井俊二監督作のリメイクを期待して本作を観る。

……これは正直かなり失敗するリスクが高いと思われます(苦笑)

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いずれにせよ、リメイク期待組とのキャッチボールは波乱含みのようです。

もしも原作ドラマ未見で、ドラマ観てから本作観に行こうと検討されている方がおられたら、
私としては是非、そのまま、よそ見をせずに映画館に直行することをオススメします。


②『君の名は。』川村元気氏のプロデュース作として、前年の感動再現を期待して観る。

……これも大分、失敗するリスクが高いと思われます(苦笑)

ネタバレレビューを読む


③シャフト、新房昭之監督のファンとして本作を観る。

……これはまだ割と期待できそうです。

ネタバレレビューを読む



以上、色んな角度から長々と書いてしまいましたがw

簡潔にまとめると本作は普段あまりアニメを観ない層にはあまりオススメできませんが、
コアなアニメファンや、あにこれユーザ等には、
合う合わない、好き嫌いも含めて、是非、感想、考察を聞いてみたい作品だと思います。

例えば核心部分について、私見を述べると……

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みなさんの評価、感想……お待ちしております♪

投稿 : 2025/03/01
♥ : 41

72.7 11 ファンタジーで幻想的なアニメランキング11位
銀河鉄道の夜[グループ・タック](アニメ映画)

1985年7月13日
★★★★☆ 3.9 (116)
524人が棚に入れました
宮沢賢治の同名小説をますむらひろしがマンガ化し、それを原作として映画を制作したファンタジー。登場人物のほとんどが猫の姿で描かれている。監督は杉井ギサブロー。音楽を元YMOの細野晴臣が手掛けた。まだ小さいジョバンニは苦しい家計を助けるために、学校が終わってから町の印刷所で働いている。遠洋漁業に出ている父が帰らないこともあり、クラスの友だちからいじめられたりもしている。星祭りの夜、ジョバンニは届かなかった牛乳をもらうため、町はずれの牧場へ行き、そこで夜の空から突然降りてきた行き先の分からない汽車“銀河鉄道”に乗ってしまう。汽車にはすでに幼なじみのカンパネルラが乗っていた。ふたりは廃墟の駅“白鳥ステーション”で古代の動物の骨を発掘している現場を見たり、氷山に衝突して沈んだ豪華客船の乗客だった少女らに出会ったりしながら、不思議で幻想的な銀河の旅を続ける。だが、巨大な十字架の前を通り過ぎたとき、カンパネルラが思わぬ告白を…!?

声優・キャラクター
田中真弓、坂本千夏、堀絢子、一城みゆ希、島村佳江、槐柳二、八代駿、新村礼子、大塚周夫、菊池英博、渕崎ゆり子、中原香織、梶哲也、青野武、倉崎青児、仁内建之、納谷悟朗、金田龍之介、常田富士男
ネタバレ

デュフフ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

不朽の名作ファンタジー

宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」のアニメ化

ストーリーは言わずもがなさすが名作ファンタジー
とはいえ自分含めて意外と名前等はは知ってても読んだことがない、
内容を覚えてない、よく知らない人も多いかもしれない

光り輝く銀河を旅するという幻想的な夢に溢れた異世界ファンタジー
 当然バトルはない、しいて言えばボーイミーツ系

ネタバレレビューを読む

セリフが少なく、抽象的でつかみどころがない
逆に少ないからこそ、わざわざセリフにするだけの、一つ一つに作者の言いたい含蓄があると思わせる
そんな奥深い余韻のある作品だと思った。

例えば『プリオシン海岸』では
ネタバレレビューを読む

いやそうじゃないよとかそれぞれの感じ方があると思うが
様々な捉え方を許容しうるだけの幅のある深い作品だと思う。


演出について気になったのは
意識させない間のとり方。
想像を巡らす幅の大きい作品であるこのような作品では
おそらく意識下だけではなく無意識含めて
間やストーリーの隙間の一瞬に様々ことを頭の中でめぐらすことが
作品を楽しむ大きな要素になっていると思います。
原作である童話であれば、
章の変わり目や自分のペースで間を作ることも出来ますが
改めて作品を思い返してみたときに
それが非常によくできていたなと感じました

特に人型のアニメだとあまり気にしていなかったが
猫型のせいで顔以外がより単純化されており
他に目が行く幅が少なくなるからだろうか
視線が顔に集中するのか
瞬きのタイミングや間に都度訴えてくるものあったし、
さらに猫の目は感情は表すというが
主人公を猫にすることによってより、
逆に見えずらい感情の機微やなんかを目でうまく表現されていたと思う。
意外と目につきそうなしっぽや耳、ひげは気にならなかった

もともと未完であり死後様々な解釈があるうえでまとめられたこと
宮沢賢治自体がほぼ死後評価され、生前に作品について語る場はほとんどなく、解釈が多数あること
児童文学的童話であること
作者の作風
そういうもの全てを含めて
想像力を刺激する面白い楽しい作品でした

とはいえ演出やその他が監督の解釈によるとことなるので
これだけの作品なので原作も読もうと思った。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 5

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

文学のアニメ化としてはかなりの秀作。見ておいて損はないと思います。

 原作の雰囲気を良く表現した秀作だと思います。子供または大人でも本が苦手な人に対して、本と同等に銀河鉄道の夜という作品を伝えられていると思います。
 アニメの作りも丁寧です。銀河鉄道の夜を読んだときの幻惑されるような雰囲気がちゃんとあったと思います。

 古典ですのでネタバレもないでしょう。銀河鉄道の夜に関して、やはりモヤモヤするのがジョバンニとカムパネルラの関係ですよね。明らかに仲間外れのジョバンニに対してのカムパネルラの態度が気になります。気にかけている感じはありますけどね。

 死に際して会えた=銀河鉄道にジョバンニが乗れたのは、やはり心ではつながっていたというとちょっと奇麗過ぎる気もします。最後の別れ方も友情をあまり感じませんでした。夢オチ説もあるみたいですが、それは弱いですよね。

 あとはジョバンニの孤独を補うように父親が帰ってくる意味ですね。これでジョバンニは働かなくてもよくなるのでしょうから、イジメはなくなるんでしょう。そしてザネリもカムパネルラに助けられることで何かに目覚めるのかもしれません。このめぐりあわせは?

 その他、我流の解釈ですが、化石で大きな時間の流れの命と死、鳥が食べ物に変化する部分で生命は命を食らうという業あるいは命の連鎖、タイタニック姉弟と家庭教師で死への達観、サソリの話で生命の捨て方、そしてカンパネルラで他人のために命を差し出す、といった感じですべて生死感が描かれていました。

 キリスト教が表現されているのでカムパネルラの母が死んでいるのか、それとも母が象徴的な何かかわかりません。
 そしてまた、カムパネルラの父の達観ですね。時代性なのか宗教観なのかわかりませんが、死がすぐ隣にあった時代なのでしょうか。自分の息子が死んだのにあの落ち着き。命の捨て方に父は誇りをもったということでしょうか。

 とまあ、銀河鉄道の夜は難解で、いろんな解釈があると思います。興味がある方は、優れた解釈が山のようにありますので、そちらをご覧ください。

 で、銀河鉄道の夜は日本の童話史で最重要な物語です。宮沢賢治という詩人の集大成でもあります。映画化、舞台化、その他いろんな方法で表現されてきました。アニメでは銀河鉄道999、輪るピングドラムなどに影響を与えています。そもそも日本のクリエーターの意識あるいは潜在意識の中にはどこかで宮沢賢治の影響はあると思います。

 読書が面倒な方は、本作は非常に出来がいいので、見ておいて損はないと思います。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 11

栞織 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

賢治の童話のアニメ化作品、人間キャラよりも本質を突いていた

宮沢賢治の有名すぎる童話のアニメ映画で、ほとんど説明は不要なぐらい有名だと思います。私はこれ映画館で見ましたが、途中から入場して中盤ぐらいから見た覚えがあります。そういう時代だったんですねぇ。テレビ放映されたビデオは長らく私のフェイバリットフィルムでしたが、ある時実際の映画のものよりも短くカットされていた事に気づきました。私はカットされたものの方が好きです。元のものは中盤が冗長な気がします。しかしそれでも好きな映画には変わりないですがね。

人間ではなくて、ますむらひろし氏の漫画の猫キャラでの映像化は、物語の効果としてよかったのではないかと思います。人間だとBLっぽい感じに見える話がより抽象化され、猫の見た目の哀れな感じが物語の結末の憂愁さをよりいっそう深めていたと思います。終盤であのジョバンニが、カムパネルラが川から浮かんでこなかったとカムパネルラの父に告げられ、肩を震わせ泣きそうになる場面は、脳裏に焼き付いていますから。ああいうちょっとした芝居がこの映画はすごくうまくて、当時はこのような動作のアニメートを丁寧に拾っていたなあと思いますね。ジョバンニが印刷工の仕事をするシーンとか、地味に見える動作を丁寧にアニメートしていたと思います。今はそういう長丁場的な演出は間が持たないという事で、なくなりつつありますね。

まあそれでも、中盤に「ナウシカ」で見たような砂浜とか、「タッチ」のキャラそっくりな女の子とか、いろいろあれな場面もあった作品です。それでも全体をますむらひろし氏というよりも、他の有名絵本作家の方の世界観でまとめられている点が、やはりこの映画が随一に思える所以ですね。細野晴臣氏のBGMも映画とぴったりと合っていました。このBGM集のCDは今もお気に入りの一枚です。この映画はあのエヴァンゲリオンにも深く影響を与えていると思うので、エヴァファンの方は見た方がいいと思います。あと、ジブリの鈴木プロデューサーが、賢治の童話の解釈の仕方が北十字の出し方で間違っているとか言っておられますが、まあ私はこの映画の描写で万人向けでよかったのではないかと思いますね、法華経の実際の解釈など、一般人にはわからないでしょう。この映画のように、キリスト教的にまとめたのはよかったと思います。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 8

73.1 12 ファンタジーで幻想的なアニメランキング12位
劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~(アニメ映画)

2018年9月29日
★★★★☆ 3.8 (141)
799人が棚に入れました
小さい頃から、他の人には見えない妖(あやかし)を目に映すことができた夏目貴志。 亡き祖母レイコが勝負をしかけ、負かした妖に名前を書かせた契約書の束「友人帳」を継いで以来、 自称用心棒・ニャンコ先生とともに、妖たちに名を返す日々――。

声優・キャラクター
神谷浩史、井上和彦、小林沙苗、伊藤美紀、伊藤栄次、石田彰、堀江一眞、佐藤利奈、木村良平、菅沼久義、沢城みゆき、ゆきのさつき、岡村明美、黒田崇矢、チョー、松山鷹志、下崎紘史、知桐京子、高良健吾、島本須美、村瀬歩
ネタバレ

四畳半愛好家 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

良くも悪くも平常どおりの夏目友人帳

映画館にて鑑賞。

劇場版だからといって、激しい戦闘があったり、劇的な展開があるわけでもなく、いつもどおりほっこりできる、優しい作品でした。
原作にあっても違和感のない、夏目らしい脚本で、原作をリスペクトした劇場版だったと言えそうです。

逆に、劇場版の”特別感”を期待してる人には、少し肩透かしな作品かもしれません。
何を隠そう、私自身もう少し”特別感”のある作品を期待しておりました…。

とはいえ、基本平常運転でも、そこは劇場版。
主要キャラは、ほぼ全員出てきました。ネタバレレビューを読む

また、ニャンコ先生の可愛さが爆発してたところは、ある意味特別だったかも。これだけでも観た甲斐がありました。(タキに劣らぬニャンコ先生の大ファンなので!)

逆に悪かったのは、キャスト面。
劇場版あるあるのゲスト声優起用は完全に裏目に…。
お笑い芸人の2人(ネタは好きな人たちですが)も、イケメン俳優も違和感だらけの演技。
前知識なしで観たんですが、すぐに「声優じゃないな」と看破できるぐらいには下手です。
そもそも、この手の作品に、芸能人を起用したところで、宣伝になるのか甚だ疑問です…。なんのメリットがあるのやら…。
アニメ好きが観る映画なら、豪華声優がゲストで出てくれる方が、集客力ありそうですが…。

作画に関しても平常運転だったかなぁ…。崩れるところは、崩れていますし、テレビ版とそこまで差異を感じられませんでした。失礼ながら。

何はともあれ、夏目ファンなら観れば良いでしょう!肩透かし感はあるかもしれませんが、ニャンコ先生の可愛さの爆発や、優しい物語は、ファンが愛している夏目友人帳の姿そのものだったかと思います!!


最後に、ネタバレ付き、物語に関して思ったこと(単なるクレーム)(雑記)ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 10

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

優しく、哀しい、嘘をついた

この作品は、2018年の9月29日に公開されたそうですが、2018年9月29日、30日の公開初週2日間で観客動員数、興行収入、満足度において国内ランキング第1位を獲得。10月21日までに観客動員50万人を突破した記念に、鏡開きが行われたんだそうです(wikiより)。

どれほどこの作品を…この作品の持つ世界観を楽しみにしていた人が居たのだろう…
数値が、結果を如実に表していると思います。
そして実際に作品を視聴してみて、数値に嘘は無いことを確信しました。

公式HPも作成されていますが、あらすじはネタバレ要素が満載なので、この作品をじっくり堪能したい方は、前情報無しでの視聴をお勧めします。


人と妖の間で忙しい毎日を送る夏目は、偶然昔の同級生・勇気と再会したことで、妖にまつわる苦い記憶を思い出す。
そんな頃、夏目は、名前を返した妖の記憶に出てきた女性・津村容莉枝と知り合う。
レイコのことを知る彼女は、いまは一人息子の椋雄とともに穏やかに暮らしていた。
彼らとの交流に心が和む夏目。
だが、親子の住む町には謎の妖が潜んでいるらしかった。


公式HPのあらすじの中からネタバレ要素以外を抜粋しました。
謎の妖を巡り物語が動いていくのですが、今回も夏目の視点は秀逸です。
夏目のこれまでの境遇は、皆さんご存知の通り決して幸せとは言えない時間を過ごしてきました。
祖母である夏目レイコから受け継いだ「妖を見る力」に翻弄されたこともありましたが、多くの理由は夏目自身には無かったと思います。

夏目は物事を推し量る際、自分の過去の体験とオーバーラップさせるんです。
そんな彼の出す答えが人に…妖にとって優しくない筈がありません。
それは夏目自身の魅力でもあるので、夏目の周りにはいつも友達がいっぱい…
しかも物珍しさなんかではなく、居心地が良いから一緒に居るのが感じられる…
夏目に変化に一番ビックリしたのは、偶然出会った同級生なのかもしれません。

この作品のタイトルである「うつせみに結ぶ」は、物語の完走により意味を理解することができます。
物語を何故「うつせみ」に帰結させる必要があったのか…
作り手の様々な思いを乗せた一言なのでしょう…しっかりと切なさが伝わってくる構成だったと思います。
でも、公式HPのトップページに記載された「優しく、哀しい、嘘をついた」を見たのは、本編完走後だったからでしょうか…やたら胸に刺さった一言でした。

「優しく、哀しい、嘘」って誰がどんな嘘をつくんでしょう…
「嘘」をつくのは良い事ではありません。
そんなのは幼稚園児でも知っている世の中の常識…

でも、世の中そんな簡単じゃないんですよね…
そう、世の中には「正しい嘘」が存在するんだと思います。
縋る術がそれしかなかったり、偶然の奇跡を現実にするための必然性からなど、きっかけや理由は色々あると思います。

でも根底にあるのは「目の前の人を悲しませたくないから」なのではないでしょうか。
正義の鉄槌を振りかざすだけが万能じゃない…
「1+1⁼2」以外の事態に直面しても対処するため人の心は揺れ動けるように出来ているのではないでしょうか。
そんな事をこの作品を視聴して感じました。

上映時間104分の作品です。
昔から馴染のキャラはちゃんと登場しますし、今回もニャンコ先生は大活躍です。
出来の良さは数値が示しているので、この作品の世界観が好きならお勧めできる作品だと思います。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 17

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

「出会いがもたらした変化は、小さなさざ波となって広がっていく。その小さなさざ波の端に、俺もいるんだ。」

2018年公開の劇場版。

時系列は重要でないので、夏目友人帳シリーズを全て視聴済みの方も、
まだ見ている途中だという方も、大丈夫。

また、設定等も丁寧に説明されているので、
まだ夏目友人帳シリーズを見たことがないという方も大丈夫だと思います。

今回も、人と人、人と妖との絆の温かさに癒されました(*´ω`*)

100分ほどの作品です。


● ストーリー
妖が見える少年・夏目貴志(なつめ たかし。)

祖母・夏目レイコの遺品の中にあった“友人帳(ゆうじんちょう)”には、
レイコが勝負で負かして子分にした妖の名が集められており、

名前を返してもらおうと訪れる妖、
友人帳の強い力を狙う妖、
そんな妖から夏目を守る用心棒・ニャンコ先生など、

友人帳をきっかけに、
夏目は様々な妖たちと関わることになる。


この劇場版にもちゃんと夏目友人帳らしさが詰まっています。

夏目(cv.神谷浩史)を聴くだけでスイッチ入ります。笑

1話完結の話が多いこの作品としては
100分は普段より長めの時間。

シリーズ初の長編オリジナルエピソードということで、
どんな感じになるのかなーとドキドキだったのですが、
観終わってみると、いつも通りの雰囲気に満足でした♪

寄り道に思える話もちゃんと伏線として取り込んでいて、
夏目に関わる主要なキャラはみんな登場してくれたのも嬉しい^^

妖にもいろんなやつらがいますが、
今回の主役となる妖は、人を想う優しいタイプの子。

その優しさや守ろうとした絆に、心がきゅっと切なく、温かく。
そんな夏目色に染まりました。

この作品の心地良さは、
夏目のそばにいる人たちの温かさが源。

一人じゃないから、
一緒に過ごす時間を大事にしたいと思える人たちだから、
夏目の物語はこんなにも温かい。


ちょいちょい声優が気になるのは、
ゲスト声優として芸人さんや俳優さんが演じられているからですね。

ぶち壊しと思うほど悪くはなかったけど、
微妙な違和感はありました^^;

容莉枝(よりえ)さんの声が素敵だなーと思ってたら、
しょくぱんまんの島本須美さんだったのですね。

全然わからなかったです( ゚Д゚)


主要のキャラクターたちは安定して大好きです。

今回の目玉はやはり、
分裂してしまったミニニャンコ先生ではないでしょうか?笑

うーん、でも私はやっぱり、
普段のぼてぼてのニャンコ先生の方が好きかな。

ものすごく体重ありそうだけど、
軽々と肩に乗せる夏目を見ていると、いつも不思議に思いますw


● 音楽
【 主題歌「remember」/ Uru 】

あーいい曲です。

感動的な主題歌がこれほど心地よく染みるのは、
良い作品&良い映画だという証拠だなと思います。

劇場版観てからずっと繰り返し聴いてます^^


● まとめ
大好きな夏目友人帳。

その印象も、ずっと味わっていたいと思う雰囲気も、
この劇場版で揺らぐことはありませんでした。

期待を裏切らない劇場版ですよ^^

そして!嬉しいことに!
2021年1月16日には劇場版2作目の上映も決定しています!!

この劇場版の余韻に浸りつつ、
新作公開を心待ちにしたいと思います♪

投稿 : 2025/03/01
♥ : 16

57.0 13 ファンタジーで幻想的なアニメランキング13位
グスコーブドリの伝記(アニメ映画)

2012年7月7日
★★★★☆ 3.3 (59)
284人が棚に入れました
グスコーブドリ(ブドリ)はイーハトーブの森に暮らす樵(きこり)の息子として生まれた。冷害による飢饉が招いた一家離散、火山噴火の影響による職場の閉鎖などといった苦難を経験して育った彼は、イーハトーブ火山局の技師となり、噴火被害の軽減や人工降雨を利用した施肥などを実現させる。ところが、ブドリが27歳のとき、イーハトーブはまたしても深刻な冷害に見舞われる。火山を人工的に爆発させることで大量の二酸化炭素を放出させ、その温室効果によってイーハトーブを暖めよう。───ブドリは解決法としてそのように提案したがしかし、彼の案を実現するためには自らの犠牲を覚悟した誰か一人が最後まで火山に留まる必要があった。年老いたペンネン技師が最後の一人になろうとするが、ブドリはそれを引き止めた。そうしてブドリは、皆に黙って自分が最後の一人として残る。決死のブドリが火山を爆発させると、見事に冷害は食い止められた。イーハトーブは救われたのだった。

声優・キャラクター
小栗旬、忽那汐里、佐々木蔵之介、榎本明、草刈民代、林隆三、林家正蔵
ネタバレ

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

どうしても『銀鉄』や『中村監督版』との比較になってしまいますが、改めて痛感する【物語の古臭さ】 そしてネリが可愛くない;

ご存知、宮沢賢治の代表作にして賢治の作中で度々描かれる理想郷『イーハトーブ』が舞台のファンタジー
森の中の丸太小屋に住まい、暖炉の前でパンとスープを食して一家団らん・・・そんな世界観の作品です


1994年に中村隆太郎監督が手掛けた旧作は学校の道徳だか国語だかの授業中に見せてもらいました
というのもこのグスコーブドリの伝記という作品は、作家としての賢治の代表作であると同時に、勉学に励みその知識を民衆に役立てるために働いたという賢治自身の体験談が数多く残されており、また『雨ニモ負ケズ』精神に代表される自己犠牲愛が色濃く出ている自伝的な作品でもあることで有名だからです


今作は一時期、制作の中止を危ぶまれましたがお国からの支援もありナントカカントカ完成に漕ぎ着けたようです


今もなお名作と名高い『銀河鉄道の夜』(http://www.anikore.jp/anime/3243)を手掛けたスタッフが再集結
銀河鉄道の夜に引き続き、ますむらひろしがキャラデザした猫の姿をしたキャラクター達によってお話は描かれます


上記の『銀河鉄道の夜』や『中村監督版ブドリ』は率直にオススメしたい作品なのですが、今作はハッキリ言って微妙です;


擬人化された猫のキャラクター達はなんかやたらコミカル調にデフォルメされている印象
その割りに賢治独特のまわりくどい言い回しと杉井ギサブロー監督お得意のしつこい尺稼ぎだけは相変わらず健在
音楽はマーチやワルツっぽいリズミカルなものが目立ち、ひょうきんな雰囲気が醸し出されていて怖いシーンでもあんま怖くない
イーハートーブの終点駅にある近代的な街並みは、美しいCGで描かれてますが、ぶっちゃけその辺はメインじゃないしで前述の2作と違ってハリボテ感が強い;
(まあ、赤ひげのおっさんだけはアレでいいと思うんで評価しますけどねw)


おまけに桑島法子さんが演じるキャラクターが『雨ニモ負ケズ』を朗読するという、もはやネタ(http://www.anikore.jp/anime/3222)としか思えないシークエンスも平気でやってるし


なによりも許しがたいのは芸能人ゲストをメインに配した声優陣です;
ブドリ役の小栗旬はまだマシな方
ブドリの妹であるネリ役を演じた忽那汐里がもう単純に下手っぴ(´q`)
全然ネリが可愛くないぜ・・・どーゆことよ?┐(´`)┌
見た目カンパネルラに似てるしで余計イライラしますw
せっかくの桑島さんをなぜネリに使わなかったのかorz


お話自体は身に染みる教訓めいたものであるはずなのに、どうしても騙くらかされてる感じになってしまっていて、興醒めしてお話が心にまで入ってこないというのが大きなマイナスポイント


アートフィルムとしても高い評価がされている銀河鉄道の夜に対して、今作は端っから興行を意識して制作されたそうですね
(モチロン沢山の人に観てもらいたい、という思いからですが)


エンターティメントとしての一般ウケを狙うあまり、結果的に童話に回帰させたかったのか大人向けに作りたかったのかどっちつかずで最悪な印象でした;


イーハトーブの情景を映像化した作品は他にもございますが(http://www.anikore.jp/anime/3288)
中村監督版ブドリと比較するとその最大の相違点は、幻想的な世界観を最新の映像技術や擬人化で描いたことで、より『ファンタジックな映像』に仕上げたところだと思います
(中村監督版は日本の田舎風景に近い世界観をセルアニメで表現)


幻想世界美術にご興味ある方はまあ観てもいいんじゃないかなー?と


以下、結末について追記
ネタバレレビューを読む


ただやっぱ純粋に賢治の足跡を追うという気持ちで視聴するなら、子供にも理解しやすくかつドラマチックに仕上がった中村監督版をオイラはオススメしたいなぁ・・・

投稿 : 2025/03/01
♥ : 9
ネタバレ

♡Sallie♡☆彡 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

意味分かんないところもアリ(๑•́ ₃ •̀๑)

宮沢賢治の童話が原作のアニメです☆彡
これを知ったのはCMがきっかけで,まさに一目惚れ。
原作は知らなかったのですが,キャラクターを猫の姿で描いていることからすぐに宮沢賢治原作なんだろうなって。

一目惚れっていうだけあって絵がほんとに綺麗です~。
キャラクターも猫でカワイイ(♡>ω<♡)
これってますむらひろしの漫画版からくるものなんですって。
よく猫にしようと思ったよなぁ。
「銀河鉄道の夜」もそうだけれど,猫で描くことによってファンタジックな宮沢賢治の世界観がよりファンタジックになりますよね。GJです!!
あと,宮沢賢治の作品って童話にしては意外とヘビーだったりするんですが,それがまろやかになると思います。
うん。ほんと,童話にしてはヘビーなところをファンタジックさでうまく誤魔化してるって言うと言い方悪いですけど,描き方が上手いなって思います。

でもですね,この話は暗くてやっぱり観ててしんどかったです。
ネタバレレビューを読む
生きるのが精一杯っていう状況。
でも,その中でもブドリは意外とうまくいってる。
ネタバレレビューを読む
そんなにうまくいかないですよね,普通は。

あと,時間の経過がナゾでしたね。
序盤はブドリは子どもだったんですよ。
でも,観ていくうちにいつの間にか青年になってて…。
それがまた猫なんで,見た目が変わらないから分かりづらい!!
あっという間に青年になっちゃうんで(ブドリの言動が子どもじゃない。),やっぱ猫時間なんでしょうね。
作品内で1年とか言ってたりするんですが,その1年で人間以上に成長してたりするんだろうなぁ。。

あと,作品内はファンタジックで灯りはランプだったり西洋レトロなのに研究所でコンピュータらしきものが使われていたり,ちょっとちぐはぐな印象はもちましたね。

お話についてに戻りますが,
なんか光がぱぁってなったり,夢の中の出来事なのかな?っていうような所もあったりで意味が分からないところが度々あってちょっとストレスでした。
宮沢賢治の作品って意味分からないところがよく有って(造語が頻繁に使われたりね。),不思議感を出すのに一役買ってて嫌いじゃないんですが,映画でもその意味分からなさを踏襲してるんですかね?
原作読んでないから分かりかねるんですが…。
その意味分からなさのせいで途中つまらなくなって断念したのですが,後日再開って形で見終えました。
ネタバレレビューを読む

あと,ブドリって小栗旬が中に入ってたんですね!!
全く気付かなかったけれど,言われてみればって感じですね。
小栗旬あまり好きじゃないのだけれど,ブドリの声合っててまぁ良かったと思います☆
ちょっと癪ですけどね(^-^;
忽那汐里も気付かなかったけれど,佐々木蔵之介はまんまだな(笑)。
もう佐々木蔵之介の顔が浮かんでしょうがなかったです。
これはジブリにも言えることですけど,俳優・女優使うのって一長一短ですよね。

ストーリー的には好きなエンドじゃなかったけれど,世界観・作画・猫のキャラデザどれもとっても素敵でこの評価です♪
特別ドラマティックなことが起こるような感じじゃないので,世界観を楽しむってだけじゃ満足できない人には向かないかな。。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 6

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

雨ニモマケズ 風ニモマケズ

宮沢賢治原作の物語。

雰囲気はジブリに近いものがあったかな。

途中で何回か出てくる,「雨ニモマケズ」の詩。

これが,このアニメの主題なのかなと思います。

「そういう人に,私はなりたい。」

世界観は大好きです。

宮沢賢治独特の,意味がよくわからない世界観も感じることができました。
↑誉めているんですよ!それが好きなのです。


●ストーリー
イーハトーブの森に暮らす,ブドリとその家族。

とても幸せな家族。

しかし,何年も続く冷害によって家族は離れ離れになってしまう。

森を出て,旅をするブドリ。

あらゆる場所で出会った優しい大切な人たち…。

1人の少年の決意と勇気の物語です。


●タイトル
この映画のこと何にも知らなくて,とりあえず「宮沢賢治原作」という言葉だけで見ようと思いました。

「グスコーブドリの伝記」というタイトルだけでは,一体何の話なのかちっとも想像がつかず…。

見終わったら,このアニメにふさわしいタイトルを考えてみよう,なんて思っていました。

でもね,見終わった今では,「グスコーブドリの伝記」が1番ふさわしいタイトルだと思っています。

宮沢賢治に勝てるわけがなかった!笑

グスコーブドリ=主人公・ブドリの本名。

伝記=個人の記録。

うん,ぴったり。

そういうお話です(笑)

原作は読んでいませんが,原作のあらすじを読んでいると,どうも削られているシーンが結構あるみたいですね。

ラストもかなり省略されています。

1番印象強いだろう,と思われるところが省略されていて…。

人の生き方について1番考えさせられる場面のはずなのに。

個人的にはとても残念でした。


●キャラクター
登場人物は,全て擬人化されたねこです。

ねこが嫌いな人にとっては,見るのは辛いかもしれません(笑)

そしてあまりかわいいとは言えない…。

なんでねこなんだろう?

ちなみに,私が見た映画は2012年版でしたが,1994年版もあるみたいです。

そちらは,人間がキャラクターです。

台本も違うようなので,ぜひそちらも見たいなあと思っています。


●音楽
もうね,始まったその時から引き込まれました。

素晴らしい!!!

テーマ曲がいいなー。サントラ買おうかしら…。

主題歌は,小田和正さんの「生まれ来る子供たちのために」。

これがまたいい曲。

この曲聴きながらアニメの映像見ているだけで何度もこの世界に浸ることができます。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 13
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