ワドルディ隊員 さんの感想・評価
3.8
ディズニーの知名度を大幅に上げた代表作
このアニメは、ミッキーマウスの短編映画シリーズと
して最初に公開された作品である。
調べてみて分かったことだが、世界初の音声つきアニメーション
(トーキー・アニメーション)ではないようだ。
本作も当初は、サイレント映画としての企画が進んでいたようだが
ウォルト氏の提案により、トーキーアニメとして
制作された。ちなみに、この作品は一番最初に制作された
ミッキーマウス映画でもないらしい。
大まかなあらすじとしてはこんな感じ。
とある小さな蒸気船には、乗組員であるミッキーマウスと
船長のピートが乗っていた。ミッキーが勝手に船を操縦していたことに
怒るピート。それからしばらくして、港に到着した船は
家畜を積み込み、再出航。その船に乗ろうとしたが、置いてけぼり
になりかけたミニーマウスも登場。ミッキーの協力の元、成功する。
だが、ミニーが持っていた楽器や楽譜を傍にいたヤギが
食べてしまう。すると、何とも奇妙なミュージカルが始まるのだった…。
まず驚いたのは、滑らかに動く作画。1920年代とはいえ
ここまで優れた物は中々ないだろう。度肝を抜かれた。
ディズニー映画の神髄を垣間見たような気がする。
これは賛否両論あると思うが、非常に個性的なミッキーも
この作品の魅力につながっている。最初の時点で、危険な香りが
漂うミッキーだが、真似事だけで終わらないのが初期のミッキーなのだ。
猫が振りまわされたことにより発生する悲鳴で音を作ったり、
豚の乳を突きまくることで、母豚に声をあげさせたりするのだ。
また、牛の歯を利用し、打楽器として使用するなど悪知恵は高い。
はっきり言って、お友達にはなりたくないタイプのキャラである。
何をされるか分からないからね。
1920年代に作られたとはいえ、とてもとても非情なミッキーマウスである。
当時の動物愛護団体から苦情が殺到しても不思議ではない。
ちなみに、先程述べたミッキーの悪行は、残酷過ぎるという理由から
販売会社の都合によってはカットされたようだ。納得。
もしかすると、トムとジェリーはこの作品から影響を
受けたのかもしれない。少なくとも、ディズニーの歴史を語る上
では重要な作品の一つだと私は判断した。
ディズニー映画が大好きな方で尚且つ、この作品を見ていない方は
一度視聴してみることをお勧めする。個人的には良作だと思う。