スリリングで友情なおすすめアニメランキング 7

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのスリリングで友情な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月28日の時点で一番のスリリングで友情なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

89.8 1 スリリングで友情なアニメランキング1位
彼方のアストラ(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (992)
3919人が棚に入れました
宇宙への往来が当たり前になった近未来で、9名の少年少女たちが惑星キャンプへと旅立つ。宇宙旅行に胸を躍らせながら出発した彼らを待ち受ける、予想外の事態とは……!?

声優・キャラクター
細谷佳正、水瀬いのり、武内駿輔、黒沢ともよ、木野日菜、松田利冴、内山昂輝、早見沙織、島﨑信長

ニワカオヤジ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

スケットダンスが好きなら更に楽しめる

あらゆる漫画を読み漁ってきた私の中で、ギャグ漫画家トップ3に入る篠原健太先生の作品です。

●SFじゃないという批判について
別にハードSFを謳っているわけではありませんし、むしろこれぞSFと言って良いと思っています。自分が子供のころにガンダムやドラえもんでSFに興味を持ったのと同じように、SFの門戸を広げてくれる素晴らしい作品ではないでしょうか。


●ギャグが面白くない説
スケットダンスでも同様の傾向があるので、そのうちスケダンのレビューで考察しようと思いますが、原作者のギャグは漫画でこそ栄えますが残念ながらアニメではあんまり面白くなりません。
なので、アニメを見てギャグが寒いと感じられた方は是非とも原作を読んでください。同じ内容なのにめちゃくちゃ面白いです。そしてスケダンを読んでから読むと更に面白いです。

原作には「アカツノチリゲムシ」などスケダンのファンにはたまらない小ネタがありますが、アニメでは出てこず、残念ではありました。
しかし、宇宙服のメーカー名が実は全てスケダンのクソゲーシリーズという、どうでも良いネタをちゃんと拾ってもらえたのは嬉しかったです。
「FALKEN」とか、めちゃスポーツメーカーとして自然なのが笑えます。「SMB」は「Special Mariko Broken(壊れちまった特別な真理子)」の略称。どう考えても宇宙服メーカーの名にはふさわしくないwww

ギャグといえば、原作コミックの巻末にある番外編四コマ漫画がめちゃくちゃ面白くて、四コマだけでも連載を続けて欲しいほどでした。
特に「紙ずもうレスリングトーナメント」の話が秀逸ですが、アニメではEDの一枚絵で紙ずもうチャンピオンのグレートロブスターが出てくるだけでした。


以上、ほぼ原作のギャグを褒めただけのレビューになってしまいましたが、SFミステリとしての完成度はアニメ史上でも類を見ないレベルだと思います。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 35
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

私たちは変わることができる、そして人生は続く

アニメーション制作:Lerche
監督:安藤正臣、シリーズ構成:海法紀光
キャラクターデザイン・メイン総作画監督:黒澤桂子、
音楽:横山克、信澤宣明、原作:篠原健太

子供たちだけで惑星キャンプが行われる時代。
ケアード・ハイスクールのB5班は、
無人の惑星で5日間過ごす野外学習に出かけた。
9人の少年少女たちは、惑星マクパで降ろされ、
楽しい日々を過ごすはずだった。
しかし、彼らの前に謎の球体が現れ、事態は急変する。

集英社のウェブコミック配信サイト『ジャンプ+』で
連載された作品。口コミなどで評判が広がり、
『マンガ大賞2019』の大賞を受賞した。
宇宙という舞台、子供たちだけの冒険、
陰謀がうごめく背景、9人全員が抱える事情、
惑星でのサバイバルなど、様々な要素のある
エンターテインメント作品となっている。

原作漫画は完結しているため、
1クール12話、しかも1話と12話を
1時間ずつを使う特別編にすることで、
5巻分を余すところなくアニメ化している。
{netabare}無料開放の漫画を少し読んでみると、
原作に忠実に作られているだけでなく、
宇宙空間に飛ばされたアリエスを
カナタが助けるシーンでは、全員が手をつないで
ふたりを救助するという改変も行っている。
(漫画では、このシーンは残されたワイヤーに
戻り、それを辿って帰還している。
1度ワイヤーを巻き取って、再度、別の誰かが
助けに行けばいいなどの意見もあるだろうが、
ここは全員で手をつなぐという行為に意味があったわけで、
良改変だったと個人的には思う){/netabare}

SFの部分では突っ込みどころが多く、
アニメが終了した後にSNSなどで大論争が巻き起こり、
作者が降臨する事態にまで陥った。
ある意味、SF要素のある人気作の宿命だ。
ただ、この作品はSFを見せようとするものでないことは
明らかで、批判する人の気持ちは分かるが、
そこについて深く突っ込み過ぎるのは違和感がある。
この作品において、SFのリアリティは枝葉の部分に過ぎない。

では、どこを重視しているかというと、
9人の子供たちが抱えている問題と、
その悩みを解消するために、仲間が相手のことを
思いやり、本当に大切なものを得ることについてだ。
9人の子供たちは、それぞれ幼少期から、
大きな喪失感を抱えながら生きてきた。
旅を続けるなかで、一人ひとりが体験してきた背景を
各々が理解しながら、解決していく構成になっている。
9人もいるキャラクター全員の過去について、
しっかり語っているため、彼らが失い続けてきたものに
思いを巡らせることができる。
だから、そこから彼らが何かを獲得する様子に
カタルシスを感じられるのだ。
それがこの作品の最大の見どころだろう。

舞台装置としては、孤島の閉鎖空間での
ミステリーと同様の形を取りながら、
それだけに止まらない群像劇として、
最初から最後までしっかりとまとめられている。
{netabare}特に11話『CONFESSION』での回想から
カナタの怒りにつながる流れは素晴らしい。
カナタ役・細谷佳正の演技は、抜群の説得力がある。
反重力シューズを履いてきて、
ワームホールを飛び越すという展開からの
決着の付け方も完璧だった。
この回は、夏クールの私が観た全話のなかでも
出色の出来だったと思う。{/netabare}

9人の少年少女たちは、数ヵ月の旅の間に、
自分の支えになる原点を獲得することができた。
アストラ号で過ごした日々は、
何事にも代えがたい時間として
今後の人生の支えになるに違いない。

引きこもりや親子断絶などが、
もはや当たり前になった現代において、
子供たちの心に響く物語に思える。
ここではないどこかに行けば変われるかもしれない。
行動すれば誰かとの出会いによって、
人生が動くかもしれない。
親から愛されない境遇にあったとしても、
生きていていいのだ。

そして、人は絶対に変わることができる。
(2019年10月19日初投稿)

投稿 : 2024/12/28
♥ : 93

〇ojima さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

ボッスン(スケット・ダンス)の宇宙物語

原作既読でした。
なので物語もわかっていましたが知ってても楽しめる作品でした。
でも、内容を知らない方が格段に楽しめますので、是非ネタバレ情報なしで楽しんでください。この作品、一気見タイプです。

設定は未来の高校生8人と10歳1人の計9人で惑星に行ってキャンプをするようです。
主人公はカナタ・ホシジマ。
運動能力とサバイバル能力に長けています。
どうやら他の高校生達も能力に特徴があるようです。。。


原作者はジャンプでスケットダンスを連載していた篠原先生
本作品もスケットダンスのギャグセンスそのままです。
篠原先生は東日本大震災直後に応援メッセージを作成して被災者に元気を与えたことを記憶しております。
ボッスン、カナタ達が人助けをするのは篠原先生自身の当たり前の気持ちなのでしょうね。

元気を与えてくれる作品。おすすめです。

原作は全5巻と読み易い作品なのでアニメ視聴後に楽しんでください。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 72

69.6 2 スリリングで友情なアニメランキング2位
約束のネバーランド(第2期)(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★★☆ 3.2 (420)
1600人が棚に入れました
「約束のネバーランド」は、白井カイウさん原作、出水ぽすかさん作画による、「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)にて連載中の人気マンガを原作としたアニメ作品。「週刊少年ジャンプ」28号(2020年6月15日発売)にて完結。コミックス1巻(2016年12月2日発売)から20巻(2020年10月2日発売)までの全世界での累計発行部数は2,500万部以上。第3回「次にくるマンガ大賞」コミックス部門2位や、宝島社「このマンガがすごい! 2018」オトコ編1位など、国内の数々のマンガ賞を受賞。TVアニメ化に際し監督は神戸 守さん、シリーズ構成は大野敏哉さん、キャラクターデザインは嶋田和晃さん、音楽は小畑貴裕さん、アニメーション制作は、「ダーリン・イン・ザ・フランキス」「PERSONA5 the Animation」のCloverWorksが担当する。

声優・キャラクター
諸星すみれ、茅野愛衣、林鼓子、伊瀬茉莉也、日野まり、久遠エリサ、植木慎英、森優子、白城なお、Lynn、青山吉能、神尾晋一郎、石上静香、河野ひより、種﨑敦美
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

なんだか切ない。。大人の都合で成り立つ世界 

 
塀の外はどんな場所なのか・・こんな大勢の子供達を抱えてどうなるのか・・この世界はいったいどんな成り立ちなのか・・

1期終了後、気になって仕方がなかったのはこれらでした。
評判はイマイチっぽい印象ですが、果たして・・・

 原作:週刊少年ジャンプの漫画
 制作:CloverWorks
  ダリフラ、青ブタ、FGO・・
  A-1系列。さすがです。
 放送:フジのノイタミナ枠
    第1期 2019年1-3月(全13話)
    第2期 2021年1-3月(全11話)
 視聴:2021年4月(Amazonプライム)

へー、なんか、雰囲気は好きです。
間もいい。会話やシーンを詰め込もうとする余り、演出や会話を感じ取って余韻を楽しむ時間を削られる作品も多い中、作中の人物の想いや世界の雰囲気を感じる「間」を有難く感じました。
またEDがいい。絵が写実的でありながら曲と溶け合っててとてもエモい。

■キャラ/キャスト
キャラの声が良かった(演技は言うに及ばず)。
~{netabare}
 エマ  :諸星すみれ
 ギルダ :Lynn
 アンナ :かやのん
 レイ  :伊瀬茉莉也
 ムジカ :種﨑敦美
 ノーマン:内田真礼
 ナット :石上静香

子供キャラが多いせいか男役の女性声優が多かったですねえ。
子供だからってこうまでいつもいつも笑顔でいられるか・・
なんてふと、そんな想いも湧き出てもきますが悲愴感オンリーよりいいアクセントなのかもな、とも思ったり。
{/netabare}~

■ストーリー
今回ツッコミたかったのは・・
~{netabare}
第4話・・追ってきた人間に捕まるも、都合よく野良鬼が出て来て敵だけを食い、銃が効かなかった鬼に弓矢1本がたまたま当たって撃退。。一人も欠けないって、たまたま過ぎるっしょやw
あと例のペン・・どんだけ電池が持つんだらうw

第6話「道標」・・いるの?それとも万策尽きたの?
この回自体は悪くはないけど、そのせいで終盤駆け込みになり過ぎたとしたら、惜しい、惜しすぎる。。いい作品だけに。

脱獄モノはその後はどうしてもテンション下がりますよね。そこは予想していたので残念感はあまりなく、それなりに楽しめたと思います。

でも、次期の可能性を消すような形での無理やり感満載の終劇・・
モヤモヤ感ない終わり方は好きだけどこれじゃ劇場版やるとしても外伝ぽくなるじゃん・・鬼滅みたいに、ちゃんと順を追って丁寧に世に出して欲しかったよフジテレビさん。。
(まさか資本どころか社内が既に外資に乗っ取られてないですよね)

原作未読ですが、アニメを観終わっただけでの感想は・・
塀の外の世界はソマリの世界じゃんってこと。
「ソマリと森の神様」に人間を飼育する農園の設定を追加したインスパイヤ・・といった印象になってしまいました。
(そういえば知性ある敵との共存みたいなテーマはダンまちⅢとも似てますね)

<参考:原作発表時期>
 ソマリと森の神様 :2015年~
 約束のネバーランド:2016年~

企画陣は脱獄編だけがアニメ化に耐え得ると考えたのでしょうか。。
確かにこれだけでも物語としてまとまっているとは思いますが。。
{/netabare}~

せめて・・

~{netabare}
 続きあるかもね?的な終わり方の方が、原作組の怒りを買わなかったかも知れませんぜ。。

 もったいない。。
{/netabare}~

でも・・

 生死の危険を考えず生活できる世の中。。
 それは人類が求めてきた社会。
 今では当たり前なもの。
 でもそれは、たまたま得られるものではない。
 そんな先人の悲願に想いを馳せるのもいいかも知れません。

機会があれば原作を読んでみたいですね。全20巻ならいけそうかな。
 

投稿 : 2024/12/28
♥ : 28
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

端折ったなぁ(笑)

原作既読。最終話まで視聴。

週刊少年ジャンプは40年近い愛読書です(笑)。
連載開始当初から、緊張感満載のこの作品はお気に入りの作品でした。
お気に入りの作品のアニメ化なので、本作も、とても注目していました。
ところが・・・。

{netabare}序盤、シェルターで『ユウゴ』が出てこないから『???』てなって・・・。
その後、『ゴールディ・ポンド』に行かないから、『ルーカス達』も出てこない。
って思ていたら、『あれ?もうノーマンが出てきちゃった!?』

原作では、グレイス=フィールドを脱獄してからノーマンと再会するまで様々なエピソードがあったから、ノーマンが他の食用児と協力して『Λ7214』を壊滅させるだけの時間的な余裕があったのに、これではちょっと・・・。{/netabare}

言いたくはないけど、『台無し』と言わざるをないですね。

エマの『ありがとう、ママ』が聞けたことだけは良かった。
ただ、原作では泣けたんだけど、アニメでは泣けなかった。

無理矢理に2期に収めるのではなく、3期、4期と息の長い作品にする選択は無かったのだろうか?

ただ、原作にも、ちょっと『???』な展開があったので、そこを回避したのは高評価しても良いかも。
結果的には、だけどね(笑)。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 27

百日紅カラク さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

あちこちで一気にメディア化しすぎるとこうなる

海外(ハリウッド)でドラマ化。
日本では実写化。
原作はすでに終了。

で、アニメの二期・・・。

「ユーゴの部屋(壁の落書き)」「あの方(原作では文字にならない呼び名)」
気づいただけでも数個の伏線。
そんな伏線を散らかした1期と二期中盤までは、3期を期待できるだけの収益を見込んでいたのかもしれない。

だがしかし。
ハリウッドでのドラマ化、日本での実写化がコケる見通しにより、資金源が取れず、伏線は放置のまま最終的に強制終了…。

ハリウッドでこれをドラマ化する‥‥って、正直エグイ企画に取り組んだもんだと正直「だめだこれは」と思った。あちらの「子供に対する規制の多さ」を考えると、ガンガン引っ掛かるはず。

まぁブッチャケコケる可能性が大きな内容で、日本のアニメで本作を知った人がアメリカ版ドラマを見ると、視点も内容も大きく変わり、別物になって放映されているのではないかと思ってしまう。

個人的にこの現象を「ゴジラ現象(マグロ食ってる奴・イグアナ)」と呼んでいる。

ユーゴとその仲間たち、王家・貴族とのあらすじまで描き上げようとすれば、登場人物があまりに多く、声優陣を揃えるだけでもかなりの金額がかかるだろう。

見込み違いが顕著だったってことかな。

そんなわけで、散らかした伏線回収は無視して、アニメオリジナルに変更→強制終了したのは、大人の事情…ということかな。

全てを知りたければコミックの大人買いを推奨しますww

投稿 : 2024/12/28
♥ : 4

72.8 3 スリリングで友情なアニメランキング3位
さらざんまい(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (316)
1239人が棚に入れました
舞台は浅草。中学2年生の矢逆一稀、久慈悠、陣内燕太の3人はある日、謎のカッパ型生命体“ケッピ"に出会い、無理やり尻子玉を奪われカッパに変身させられてしまう。『元の姿に戻りたければ“ある方法"でつながり、ゾンビの尻子玉を持ってこい』ケッピにそう告げられる3人。少年たちはつながりあい、ゾンビの尻子玉を奪うことができるのか?!同じ頃、新星玲央と阿久津真武が勤務する交番でも何かが起ころうとしていたー。

声優・キャラクター
村瀬歩、内山昂輝、堀江瞬、諏訪部順一、宮野真守、細谷佳正、釘宮理恵、津田健次郎、伊瀬茉莉也、帝子、加藤諒
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

観終わった

3話までの感想{netabare}
かっぱ橋とかあるしそれで舞台が浅草なのかなぁと思ったが、うんこビルから浅草って繋がりだったりして。
カッパといえば最近(といっても一年近く前になるのか)ではゲゲゲの鬼太郎6期でキュウリ支給のみでブラック企業にコキ使われたりと、妖怪の中でも扱いやすいのかな?
でもって内容は…いつもの幾原って感じ、相変わらず演出だけはスゲーなぁ。
と思ってたら2話、うっわ、LED育苗灯じゃねーかw
これってメジャーなのか?
自分もちと欲しいとは思いつつもヤベー物育ててるんじゃ?と噂されても困るので手出ししてない、あると便利そうなんだけどねぇ…。
でもってクジが大麻栽培しててヤベーと思ったら(車上荒らしも大概だが)今度はカズキが飼い猫盗難してて…だ、大丈夫か?w
ここまで未成年者による明らかな犯罪を描くのも珍しい気が…攻めるねぇ~。
これでエンタも犯罪に手を染めてたら更に危ないのだが、さすがにそれは無いっぽい?
3話ではかなりイカれてたことが明かされるが犯罪ではない…ないよね??
警官二人組がなにやら企ててるみたいだけど、主人公側が逮捕される展開とかあるのかな?{/netabare}

5話までの感想{netabare}
4話、入れ替わり作戦はどうした?と思ったら5話に続いたのね。
と、5話、ひゃああこれまたヘビーな過去を…。
しかも本当は叱って欲しいのに優しくされて余計に罪悪感を抱えてる模様。
サッカー辞めたのも自罰の念からだそうな。
なんか3人のうちエンタだけマトモというか浮いた感じになってるような?
まさか2人に匹敵するような過去あったりするのかねぇ?

ところでバンクシーンについてなんだけど、自分が印象にあるのはガンダムSEEDだったなぁ、動画の使い回しが叩かれてそれ以降急場凌ぎの使い回しではなく、使い回しを前提とした気合の入れまくった正真のバンクまで叩かれて作り手も避ける方向に向かい出したような?
プリキュアのような児童向けは別として。
SEED以外にも何かあったのかも知れないけどね、個人的には「別にいいじゃん」なんだけどねぇ。
で、この作品はそんな忘れ去られたような技術が使われてて仄かに懐かしさを感じる。
しかも歌まであるせいかタイムボカン…というかムテキングの「タコの頭にハチマキ巻いて~」を思い起こさせる。
有体に言えばすっごくタツノコっぽいんだけど、そう感じる人は他には居ないのだろうか。{/netabare}

最終回までの感想{netabare}
なーんか知らんけどすっごいほっとする感じで最後まで楽しく見ることができました。
一体何故なのか自分でも不思議で仕方ないんだけど、やっぱり↑でも書いた通りバンクの多さなのかなぁ?
とか考えてたら…わぁい、タツノコ公式が“ムテキング”1話を配信してるじゃないか!
https://www.youtube.com/watch?v=Pv4tw1qI87M
OPだけでも見て欲しい、結構「ああー」って言う部分あるんじゃないかな。
更にできれば17:15辺りからの井上和彦カラオケパート見て頂ければ…本音は全部見て欲しいけど、何故自分はさらざんまいでほっとするのか、その理由が垣間見れるようなそうでないような?
この頃の時代の空気を感じるのかなー??
なんか言葉じゃ説明し辛い、誰か訳してくれ…。

あと最後久慈が頭丸めてお勤めしたのはスゲーほっとした。
やっぱこうだよねー。
最近「ソイツがやらかしたこと」の大きさに対してなあなあで済ませた作品があってのう。
ちゃんとそういうことにケジメ付けたからこそ、ツナガルに繋がったのも納得できるワケで。{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 17
ネタバレ

はあつ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

体が疼(うず)いてたまらない

《ストーリーに関して》

謎めいた脚本や独特の演出で作品性を確立されてる幾原邦彦監督。
今作では、東京の下町を舞台に3人の男子中学生がカッパと交わりながら、特定の繋がりに固執するあまりに苦悶する姿がコミカルに描かれます。

伝えたい明確なテーマやメッセージがあるのかは、私には定かではありません。
ただ個人的には、ストーリーに組み込まれる現代社会を風刺するような面白メタファー{netabare}
(暗喩。私的解釈ですが一例だと、気軽に大勢の人と繋がれるネット社会を揶揄するような
【ア○禁止標識】身近な人との生身での繋がりが上手く出来ずトラブルを起こしがち。
【ア)))】プライベート情報まで拡散する不気味さ。など){/netabare}
や洒落の効いたセリフ回し、毎話繰り返されるアニメーションらしいユニークな表現を楽しめるだけで視聴の価値があると思います。

前作「ユリ熊嵐」は、女性同士の百合的で淫靡な雰囲気が全面に溢れており、百合属性の無い方には苦手だったかも知れません。
対称的に本作は男性同士のBL要素が含まれるものの表現は控えめ。
腐女子の方には物足りないでしょうが、幅広い層が見易いようハードルは下げられてます。(百合豚でもある私は前作の方が好物♪)

《キャラ》

男キャラが多勢を占めるので、僅かな女子キャラが貴重に映ります。
中でも「吾妻サラ」はキャラデザが凝っていて、お題毎の占いシーンの演出も可愛いかったです。(変装した一稀サラにも萌えれました♪)

《声優さん》

腐好きの方には人気CV宮野さんと細谷さんの絡みがご馳走だったのでは・・
二人の「カワウソイヤア」は豪華挿入歌♪
釘宮さんのショタ声も何気に豪華です。

《音楽》

KANA-BOONさんのOPもテンポが良く作品に合ってますが、the peggiesさんのEDが個人的には好み。
雨あがりの夜明け前を写した様な合成背景との空気感が堪らなくて毎回聞き入りました。
また、声優さん達の歌う各挿入歌も、ノリが良く洒落が効いてて楽しめました。

《作画&演出》

毎話挿入される使い回しの様な歌劇部分でも見飽きないよう背景に変化を加え、滑らかな動きとカラフルな色彩で仕立ててあり、全般的に作画は力の入れようを感じます。

ここから極めて個人的感想。
過去様々な映像作品で心が痛む描写は見てきましたが、身体に痛みを覚えた作品は本作が初めて!
以下、私を狂わせた演出について~
(尾籠(びろう)な内容ですのでお下劣耐性の無い方や食事前の方は読まないで下さい。)
{netabare}
私、何を隠そう、お尻の疾患「ぢ(痔)」を長年患っております。
そんな尻に痛みを抱える者にとって本作は、生涯忘れ得ぬ疼きを刻み込んでくれました。

まず、一稀たちをカッパにする為に尻に突っ込むケッピを見た私、

「ヒ~~~!」

昔、朝の洗顔中に子供にふざけてカンチョーされた時に、あまりの痛撃にうずくまり「幼稚園児に殺される~」と思ったくらい、尻への不意討ちは恐ろしい。

さらに、カパゾンビの尻小玉を抜き出す為のカッパ達の尻ホールへの追撃に、

「うっ!ぐぬ~~っ!」

数年置きに悪化しては肛門科にお世話になるんですが、その時の医師の傷口をグリグリえぐるような触診を思い出し、息が止まりそうになる。

とどめとばかりの秘密暴露、赤色がポタポタと落ちる
【漏・・・・・・・】に、

「ゾゾゾゾ~~~」

ぢ症状のひどい時期は、排便直後の便器がポタポタと滴る鮮血に赤く染まり、止血の為のトイペを尻とパンツの間にセットしてトイレを後にする時は、女性に生まれ変わった気分になれる。
その時期に社内の定期検診が重なると貧血判定され、鉄分補給を健康指導される始末。
そんな私はあの秘密漏洩シーンに血の気が失せて青白い顔にさせられました。

私にとって拷問のような尻への数々の描写に観終えるとパンツは汗ビッショリ。
当初の数話時点で貧血昏倒や窒息死を怖れ視聴を断念しかけました。

しかし幾原監督の好奇心を刺激するストーリー構成と、魔術的とも言える演出に惹かれて視聴を続けるうちに

あれ?




♪~「さらざんまいの歌」が流れ出すと

あ~あ~~来るぞ~来るぞ~

ゾクゾク~ワクワク~~


尻小玉キター!!!.゚+.(・∀・)゚+.゚


いつの間にか下半身から脳天まで突き上げる快感に変わってる!

最後の数話はクセになり、あまりの興奮に私のパンツは変な液でネットリして・・(自粛)

観る者に新たな性癖を目覚めさせるイクニ演出恐るべし。
(もしかして監督も同じ疾患を抱える同士なのかも?)

カパゾンビにされて、あにこれから永久追放されないうちにこの辺でやめときます
m(_ _)m{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 22

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

欲望か愛か

視聴理由 ノイタミナ

序盤 謎の既視感!

中盤 正体は「輪るピングドラム」などの幾原邦彦監督

終盤 えぇ

既視感の正体は幾原邦彦監督だった。そりゃ意味わかんないわwピングドラムとかもそうだけど暗喩や伏線が多すぎる
流し見じゃ全部を理解できない
ただでさえ普通に見てても全部はわかんないのに

この話は繋がりたいけど…な男子たちの話
ジャンルはなんだろ…
ファンタジーかな?
難しさ的にはピングドラムの方が難しかったかな

はい今回もモブはピクトグラムです
幾原監督の特徴ですね
そしてやはり暗喩が多すぎる
多分考察する人が出てくるだろうから私はしないけど考察しがいがある
時間がある時にでも考察しよ

正直話の展開的には微妙
なんだかよく分からない力によってなんか解決しちゃったみたいな流れがあまり気に食わないなぁ

作画は結構良かった
opはKANA-BOONさんの「まっさら」
edは青ブタopを歌ったthe peggiesさんの「スタンドバイミー」良曲

投稿 : 2024/12/28
♥ : 17

91.6 4 スリリングで友情なアニメランキング4位
Fate/Zero 2ndシーズン(TVアニメ動画)

2012年春アニメ
★★★★★ 4.3 (3243)
17835人が棚に入れました
これは始まり「ゼロ」に至る物語――― 奇跡を叶える『聖杯』の力を追い求め、七人の 魔術師(マスター)が七人の英霊(サーヴァント)を召喚し、最後の一人になるまで戦いを繰り広げる究極の決闘劇……聖杯戦争。三度(みたび)、決着を先送りにされたその闘争に、今また4度目の火蓋が切って落とされる。それぞれに勝利への悲願を託し、冬木と呼ばれる戦場へと馳せ参じる魔術師たち。Fate/Zero 第一期で語りきれなかった残りすべてが、今ここで明らかになる。

声優・キャラクター
小山力也、川澄綾子、大原さやか、速水奨、関智一、中田譲治、阿部彬名、山崎たくみ、緑川光、浪川大輔、大塚明夫、石田彰、鶴岡聡、新垣樽助、置鮎龍太郎

にすわGT さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

いや…もうね、言うまでもないっしょ。

いうまでもない孤高の作品。

他作品とは比べ物にならないクオリティー。
ストーリー性の高さ。
声優陣のすばらしさ。
etc……

もう比べる作品なんてありません。それほど群を抜いているアニメです。

この作品はFate/staynightの十年前、ゼロに至る物語という設定ですが、前作品を知っていたらさらに楽しめるという作品です。
ですがこれから見ても十分楽しめます。とはいっても一期からありますのでブルーレイを買って見てください。
というかフルHDの液晶テレビでみるとめんたまぶっ飛ぶほど映像がきれいです!作画がすばらしいとか動画処理がすごいとかそんなレベルじゃない。とにかく見てください。

シナリオは名目上二期というだけで、実質2クール分割の後半ということになります。
まあ内容はそこまでにして……

声優陣もすばらしい!
キャラが立っていてかなり見やすいです。
ていうかもうほんとにすばらしい。この一言に尽きます。


●16話(二期3話)見た後の感想

すごい!すごすぎる!
なんなんだこの超展開。
原作読んでない自分にとってこの展開はレベルが高すぎる。
そしてほんとに神回の連続です。毎週こんなにシナリオ、作画のクオリティーが高くて作者陣は息切れしないのでしょうか。
久しぶりに心に響くアニメです。。
本放送一回見てわたしもうギブアップです。心が痛すぎて録画したものなんかもう見れません。

なんだかありきたりな表現になってしまいましたが、ホントにこれくらいしか言葉がでないほど衝撃を受けました。

●中盤の評価

だんだん面白くなっている今日この頃。
毎週放送開始前30分前からテレビの前で待ち構えてる甲斐がある。そう思えるようなアニメです。
もうね、声優陣の演技がほんとにすばらしい!
群を抜いてイイ!
今まで100本以上のアニメを見てきましたが、トップクラスに声がいいです。声優ファンじゃなかったんですけども、一気に声優ファンになりました。
若手からベテランまで揃った声優陣はホントにいい味出してます!

●最終話を見て

いやあ、素晴らしい。ホントにすばらしい。

演出が憎いですね(笑)見てるファンが イイ!って思えるような映像がバンバン入っている。

内容に関しては、今まで見ている中で人間の心理描写がイマイチパッとしないなっていうのが正直な感想でした。
例えばAngel Beats!のような背景や話の流れを駆使したウマい!と思わせるような感じ。
でも最後の二話を見ていっきにその流れはなくなりました。

なんで今までこういうのなかったんだ!

って叫びたいくらいです。
ここから先はネタバレになってしまいますので書くのは控えますが、最後までの素晴らしい作画、演出、声優さんたちの素晴らしい演技、そしてなによりこの物語を書いた虚淵さんに感謝の意を表します。

ありがとうございました!

投稿 : 2024/12/28
♥ : 35
ネタバレ

逢駆 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

~雲蒸竜変~

これは、怒りと嘆きに駆り立てられた闘争の物語であり
運命に身をなげうった者たちへの祝福の讃歌である―――――


『Fate/stay night』の前日譚としてあらかじめ結末が決まっているなかで、そこに至るまでの過程を魅力的かつ重厚に描かれていた作品です!
一般的に多くのキャラクターを出すほど一人一人の存在が希薄化してしまうことがあるのですが、
7組のマスターとサーヴァント、それを取り囲む人物たち、どのキャラクターも強烈な存在感がありとても見応えがありました。
またお互いが他の人の魅力を引き立てているところも印象的。
ケイネスのような魔術師がいるからこそ近代武器を使っている切嗣の異様さが際立ったり、
キャスターのような悪逆非道な外道がいるからこそウェイバーの成長が輝いて見えたり…
各キャラがそれぞれのベクトルで突出した魅力を放っているので、そのぶん他のキャラの特性がより強調されていて見事でした。


◆聖杯戦争に参加する各陣営◆
【セイバー陣営】マスター:衛宮切嗣
{netabare} 騎士道精神を重んじるセイバーに対し目的のためならどんな手段も辞さない切嗣。
 正反対な考えのために終始冷えきった関係でしたが、どこか似通った点が多かったように思います。
 マスターには無視され続け、ライダーに王としての在り方を一蹴され、
 ランサーの最期を見て、バーサーカーの思いを知って…
 セイバーは次の聖杯戦争に何を思ってのぞむのでしょうか。
 stay nightにも繋がっていくこの二人は、そこで初めて絆を感じることができるのかもしれません。{/netabare}

【アーチャー陣営】マスター:遠坂時臣
{netabare} この陣営は裏切りと欲望が入り混じりサーヴァントの裏切りによってマスターが死亡する結果に。
 ただやはり英雄王・ギルガメッシュにはとても惹きつられました。
 ライダーの考え方も綺礼の考え方も賛美する彼の姿はまさに英雄王にふさわしいと思います。{/netabare}

【アサシン陣営】マスター:言峰綺礼
{netabare} アサシンの活躍はほぼ見られませんでしたがマスターである綺礼の心情は丁寧に描かれていました。
 悪に堕ちることで快楽を得られるということを知った彼はどんどん悪に染まっていきます。
 気まぐれで凛にアソッド剣を渡したときにはほぼstay nightの言峰綺礼になっていたように感じました。{/netabare}

【ライダー陣営】マスター:ウェイバー・ベルベット
{netabare} ライダーの最終宝具・王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)。
 それは剣でも槍でもなく同じ大地を駆け抜けた朋友たちでした。
 誰でも持てるわけではなく、誰にも奪うことはできない宝。
 彼らとの絆こそが至宝であり、征服王が誇る最強宝具であると。
 本来ならばマスターに従うべきはずのサーヴァントですが
 征服王・イスカンダルは王としてウェイバーを導いていきます。
 令呪がなくとも心で繋がる真の絆。主従関係が逆転したラストのシーンには涙が出ました。
 漢の背中から学んだ生き様はウェイバーにとって計り知れないぐらい大きなものだったと思います。{/netabare}

【ランサー陣営】マスター:ケイネス・エルメロイ・アーチボルト、ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリ
{netabare} この陣営もマスターとサーヴァントとの関係が最悪だったうちのひとつ。
 フィオナ騎士団随一の戦士であるディルムッド・オディナは、
 ただ忠義を果たすことだけを願い召喚されましたがそれすらも叶わず悲運の最期を迎えます。
 怨嗟を叫びながら消えていった槍使いの狂気に満ちた姿は、英霊というより悪霊に近かったです。
 ケイネスに関してもどこまでも報われることはなかったですが、
 この陣営が本作により深い味わいを出していたことは言うまでもありません。{/netabare}

【バーサーカー陣営】マスター:間桐雁夜
{netabare} 物語上、絶対に頂点に立つことはないのがはっきりとしているのに応援したくなる陣営。
 結局、雁夜は葵を助けたかったわけではなく、葵を助けた恩人になりたかっただけでした。
 偽善による行為が報われないどころか最悪の方向に向かってしまうあたりも本作の魅力と言えます。
 バーサーカーについては戦闘シーンは良かったものの心理面が少し描写不足だったかなと思います。{/netabare}

【キャスター陣営】マスター:雨生龍之介
{netabare} 互いに他人の話を聞いていない感じだったのに、なぜか当人同士は意気投合していた陣営。
 この二人は散々場を掻き乱したあげく報われた最期を遂げていました。
 あれだけ生き生きした表情で死んでいったのはこの陣営だけだったと思います。
 特に青髭ことジル・ド・レェは、自分の過去の行いに後悔し歪んでしまっていました。
 しかしラストでかつて自分もまた一人の騎士として馳せていた日のことを思い出しました。
 見失っていたモノを思い出したキャスターの最期はとても救われていて、
 本作でも特に素晴らしい散りざまだったと思います。{/netabare}


『一度は人生を終えた者たちが後悔の念とともに蘇って挑む人生のリターンマッチ』
成すべきことをして死んでゆくのか、後悔を取り払えないまま死んでゆくのか。
現代に蘇った英霊たちの『散り様』に注目して観ていましたが
結果、最も後悔し絶望している者と最も後悔してない者が生き残るというやや皮肉な終末を迎えました。
あくまでも『Fate/stay night』の前日譚としての作品。本作だけでも楽しめますが、ラストで感じる空虚感を満たすためにはやはりstay nightを観る必要があるなと感じました。
運命に抗う者や、運命を直視する者。
様々な“運命=Fate”が描かれた本作は単純にバッドエンドとは言えない重厚な物語となっています。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 86
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

それにしても哀しい戦争だった

<最終回を観終えての感想>

22話から24話は目が離せなかった。

やはり特筆したいのは、ライダーの生き様。
ある意味予想通りの展開と男臭さ。
最初の頃と比べたら随分と成長したウェイバーも、まだまだこれから。
そして何より、ギル様もまたカッコよかった。

セイバーはちょっと不憫な気もしたけれど、彼女らしかったかも。
ちなみに、きのこさんからのお達しで切嗣とセイバーは、
サーバントとマスターいう関係においての会話は3回までと
決められていたのだそうだ。

不憫といえば、激化していく聖杯戦争の末の切嗣もまた、
過去編での彼を思うとせつな過ぎて。

さまざまなタイプの王がいて、さまざまなタイプの英霊がいる。
王たる器とは何か、なんだか・・聖杯という器そのものが
その王のための器であったはずなのに、どこでどう間違えたのだろう、
などとつい考え、間違えた人がいても本物の英霊は
そんな器など必要としないんじゃないのか?とさえ思ってしまった。

とにかく、見応えのある2期で、かなり心を揺さぶられた。
作画も夜の風景が特に美しかったし、音楽も良かった。
きっとこのあと再び「Staynight」のほうを観ると
すごく良くわかるのだろうな(笑)
----------------------------------------
<16~18話までの感想>

{netabare}
18話まで視聴し、ここにきてようやく切嗣の過去が語られ。
なるほど、彼の冷徹さとこの聖杯戦争における立ち位置、魔術師や教会に対しての思想。
それらにとっての原点が、ここにあったのかと納得。

彼の人生において奥底に渦巻いているもの、その記憶はとてつもなく悲しいものだった。
そしてその後、どう生きていったかも容易に想像がつくほど
見応えのある18話だったし、今後の展開が楽しみになった。
{/netabare}

<15話までの感想>

プロローグだったと言える前期に引き続き、
四度目の聖杯戦争のその後が描かれるこの2期。
『Fate/Stynight』を観ているので、この聖杯戦争の結末は
わかっているわけだけれど、その当時より格段にアップした作画の
クオリティの高さとスケール感に、期待はかなり大きかった。

がしかし、{netabare}龍之介の最期はちょっと物悲しかった。
彼は元々、「死」を知るために殺人を犯していた人物。
はじめて実感できた「死」に満足したのは救われたものの、
結局、自己愛でのみ完結してしまってたからなぁ~ {/netabare}
まぁそのあたりが虚淵玄氏らしいといえば、らしいところかも。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 100

74.3 5 スリリングで友情なアニメランキング5位
亜人(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (917)
5005人が棚に入れました
高校生、永井圭。トラックによる追突死の直後、謎の蘇生。これにより国内3例目の不死の新人類・亜人であることが判明した。警察および亜人管理委員会により捕獲作戦、開始。同刻、管理下にあった2例目の亜人が何者かの幇助により逃走。この者らは直ちにテロ活動を展開し人類への復讐を開始した。
永井圭の動向を注視せよ。繰り返す・・・

声優・キャラクター
宮野真守、細谷佳正、大塚芳忠、櫻井孝宏、小松未可子、平川大輔、洲崎綾、福山潤、木下浩之

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

フィクションの鉄則「大きな嘘をひとつだけつけ!」

…を地で行くような感じの作品(原作マンガは未読です)。
つまり映画「シン・ゴジラ」なんかと同じやり方ですね。

本作では「亜人の存在」という大嘘(いや、本当にいたらゴメン)の下に、存在したら政府の対応や法整備はどんな感じになるかとか、亜人に人権は認められるべきなのかとか、そういうテーマでお話を作っているわけです。

大嘘である「亜人」を認めてしまうと、作中の社会状況や人物の行動はわりともっともらしい感じに描かれています。

で、こちらだけ観ると結末はモヤモヤすること請け合いなので、うっかり最後まで観てしまったならきっと分割2クール目も観たくなるんじゃないかと思います。

EDの背景アニメが何気なくネタバレ風なので、これから観る人で本当にネタバレを気にする場合には、EDは目をつぶるかもしくはとばしましょう(笑)。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 28

海の人 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

商業的にもヒットした作品

◆アニメは1-2クールは視聴済み
◆一応、劇場版も視聴しました。
◆漫画は現時点での話数は読んでいます。
◆実写劇場版は見ておりません。

まずは、ストーリーですが

コメ欄を見る限り 様々な方が書かれているので
詳しくは描きません

が、ざっと纏めると
「死なない」存在の「亜人」が存在しています。
その、亜人達が繰り広げる話です。

序盤は亜人と人間の戦い

中終盤は亜人同士の戦い
(中には人間との戦闘もあります)

今までに無い、
戦闘描写で視聴者を引き込むでしょう。

正直、ストーリーは難しくありません。
(個人的な意見です。)

単純にテロとそれを止める者達の戦いです。

「なんか、難しそう」と思って
見ないのは、正直勿体ないですね。

とりあえず、
ダラダラストーリーが進むことは無いです。

あと、展開が原作と少し違います。
どちらも、なかなか面白いので見るなり読むなりしてください。

キャラクターについてですが

主人公が変わっています。

僕は正直 作画よりも
ここが1番好き嫌いが別れるかもしれません。

いわゆる、自分勝手ですね、
僕的にはいい味 出してると思います。

周りの味方も色とりどりなので見ていて面白いです。
基本的に仲間感でピリピリしていますが

それが、一致団結した時は胸熱ですよ。

さて、敵側ですが、こちらは
佐藤さん1人が群を抜いて、目立っているので

周りが薄く感じましたね

ですが、それでも頑張って目立っていた
田中さん、あなたは凄いです。

周りのメンバーも一人一人描写はある物の
やはり、佐藤さんにインパクト負けしてるといったところです。

音楽ですが、
BGMは基本的に
ダークなアップテンポな曲が多い印象です。
作品にマッチしていて、いい感じでした。

主題歌は1クールの方が作品にあっているかなと思います。
2クールは完全にノリノリな曲なので、
アニソン好きならハマるかな
何しろ、fripSideとangelaの合作なので

エンディングですが、
1-2クールどちらも落ち着いており

片方は声優が歌っております。

作画についてですが
ジャケットを見れば分かりますが3DCGアニメです。
制作会社は3D専門のポリゴン・ピクチュアズですね

私的にはいい出来に仕上がってると思います。

まず、表情の作りがいい
喜怒哀楽をしっかり表現出来ています。

背景もいいと思います。
激しい戦闘描写も、問題なく見れる。

一番、目に止まる亜人も作りがよく引き込まれます
無駄のない、3Dというのが僕の率直な感想です。

声優については
自分自身詳しくないですが

大塚芳忠が好きなら、
まず抑えておきたい作品です。


最後に総評ですが、

3Dアニメが嫌いでも、
1度は見て欲しい作品になっています。

刺激が欲しいなら1度は見る出来でしょう。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 1
ネタバレ

愛花 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

大好物のダークファンタジーo(`ω´ )o

亜人、途中まで漫画で読んでおりまして、
本当に引きつけられるストーリーです!

この世界も、人々も、主人公さえも、とても狂ってます。
「巨人の次は亜人」との宣伝文句で売り出されていたのですが、
わかってはまた深まっていく謎、普通じゃない主人公、
様々な立場の人の思惑が入り乱っていたりと、
要素的には進撃の巨人と同じタイプだと思います。

CGが苦手で避けてきたのですが、ストーリーの続きが気になって視聴することに。
明らかにフルCGだとわかる作画でちょっと悲しいですが、
音・声・動きがあるというのはやっぱり偉大だ!
アニメばんざい!ヾ(@⌒ー⌒@)ノ笑

OPもEDも良いと思います(*^_^*)
特にEDは感動しました!
宮野さん、やはり歌がお上手ですね。。
声高い。。
そしてEDのアニメーションに引きつけられました!
ここまで見てきた方ならわかりと思いますが、これ、{netabare} ストーリーをなぞってる{/netabare}んですよね!!
ここはどういうことなのだろう、などと想像が膨らみます!!


7話まで視聴して
{netabare}
原作を忠実に追ってます。
黒い幽霊(IBM)同士の戦いは3DCGをいかした迫力あるものになってますね!(*^^*)
亜人・IBM・佐藤の目的など、まだまだ謎だらけで続きが楽しみです。
{/netabare}

最後まで視聴して
{netabare}
すごーく続きが気になるところで終わりましたね(^^;;
佐藤軍が圧倒的に強い…強すぎる…
不意をつかれたのに完勝してしまいました(>_<)
そして永井くん、 思ったよりいい人でしたね( ̄▽ ̄)
これまでは亜人vs人間だったのが、これからは亜人(佐藤)vs亜人(永井)になりそうですね、
ここに人間たちはどう関わってくるのでしょうか…⁇

{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 31

72.0 6 スリリングで友情なアニメランキング6位
ズートピア(アニメ映画)

2016年4月23日
★★★★☆ 4.0 (189)
1102人が棚に入れました
体の大小や、肉食か草食かに関わらず、動物たちが平和に共存する大都会ズートピアを舞台に、夢を信じる新米警官のウサギ・ジュディが、夢を忘れた詐欺師のキツネ・ニックと共に、ズートピアに隠された驚くべき事件に挑んでいく姿が描かれる。

声優・キャラクター
上戸彩、森川智之、三宅健太、玄田哲章、竹内順子、高橋茂雄

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

子供向け?ケモナー向け?いいえ大人向け!僕らには思い付かんだろうシュールで皮肉の効いた痛快爆笑劇!!ピクサーじゃねぇよ!!!ディズニーだよ!!!!

ピクサーではなく“ディズニー”の最新作です
『ラプンツェル』のバイロン・ハワード監督と『シュガーラッシュ』のリッチ・ムーア監督、今のディズニーが持てる最強の二人が遂にタッグを組んだファンタジックコメディ
2D、字幕版で観ました


かつて世界は草食動物とソレを捕食する肉食動物に二分されていた
しかし二足歩行と文明を確立するまでに進化した哺乳類はやがて手を取り合う関係にまで発展、世界は一つとなった
ソレを象徴する大都会「ズートピア」
ズートピアではありとあらゆる哺乳類が暮らしており、まさにソコは動物達の楽園と呼ばれいていた
田舎の町で生まれ育った正義感の強いウサギのジュディは警察官になる夢を抱いていた
が、身体は小さく力も弱いウサギに警察官は無理と馬鹿にされ、両親からも反対されていた
負けず嫌いのジュディは並大抵ならぬ努力と知恵を活かし、遂に警察学校を首席で卒業、念願のズートピアでの警察官の任に就いた
が、一部を除いて上司や住民達は“ウサギの警察官”を信用しておらずジュディには冷たかった
一方ズートピアでは肉食動物が次々と失踪する怪事件が起きていた
失踪事件の捜査へ参加を懇願したジュディに、僅かながらではあるが時間の猶予が与えられる
ジュディが手掛かりとして捉えたのはウサギの天敵であるキツネ、それも詐欺を生業としているニックであった・・・


二足歩行する動物による擬人化ファンタジー
所謂ケモナーものです


まず注目して欲しいのが世界観描写ですね
『くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ』でも書きましたが、何種類もの動物がいっぺんに暮らせばまぁこぉなるよな、ってズートピアの街並みに注目して欲しい
砂漠、ツンドラ、熱帯雨林、そして全てがネズミ用のミニチュアサイズの街等など
エリアで区切られたズートピアの街並みとそのハイテクっぷりはワクワクせずにはいられません


次に逆境に負けず、ただただ直向きなジュディの姿
田舎から夢見た大都会へ来たはいいが、理想と現実のギャップに強く打ちのめされる
それでもなお立ち向かうジュディの姿は、全ての社会人、新生活を送る人々に向けてエールを送るかのよう
とても美しいですb


そしてバディもの、カップルものとしてドラマ
コレも『アーネストおじさんとセレスティーヌ』でも書きました
ウサギとキツネ、警察官と詐欺師、メスとオス、真逆の二人が困難を一つ乗り越えるたびに織り成していくハーモニー
カプ厨にはタマりませんw
ジュディとニックは各エリアを転々と巡り捜査を進めていくのですが、その様は実にスリリングでもありました
ドキドキする映画お好きな方にもオススメ出来ますb


そしてシュールなギャグ
次から次へとテンポよく繰り出されるギャグにさりげなく挟まれる皮肉がイイ!
陸運局の職員が全員“ナマケモノ”ってのは毒づき過ぎだろwって思いました


そして表面的なギャグに隠されつつも、今作の深遠には深いメッセージ性があるのが、今作の最も評価したいポイントです
動物の理想郷たるズートピア、しかし沢山の動物が集まれば集まるほど深刻化する“ある問題”が今作のキーになっているのですが・・・コレはまさに現代の【多民族国家アメリカが抱える問題】をそのまま訴えているかのようです
よくこんな映画を大統領選挙前にぶっ込んで来ましたね(笑)
(笑いのベールで包まれているものの)あまりのド直球ぶりに良い意味で【ディズニーらしくない作品】に仕上がったと思います


また、ピクサー作品群との最大の差異ですが、ピクサーは露骨に泣かせに来ると言うか、彼らは“お涙頂戴こそが最高の感動”と信じきっている節があります
もちろんオイラも『インサイドヘッド』とかで素直に泣いてたんですが、今作は爽やかな感動を呼ぶシークエンスこそあれど、涙も乾くほどの笑いでソレをぶっ飛ばしてしまうんです
湿っぽいのはイヤ!面白いか否か!でしょ!?そー言ってるのかようでした
根本的にコメディなのですし、全体のベクトルがとてもしっかりと取れてる作品だと思いました


最後になりましたがテーマソングとして最初から最後まで絡むSHAKIRAが演じるガゼル美しすぎですwありゃ惚れるわw
オイラは原語版で観ましたが日本語版のキャストの演技はどのようになっているか気になるところではありますが声優の評価は少し抑え気味にしておきますね
あ、ちなみに原語か日本語かで(正確には公開地域毎に)劇中で流れるニュースのキャスターがキャラクターごと変わるそうですよ
原語版はヘラジカ、日本語版は芋洗坂係長が演じる狸(たぶん『平成狸合戦ぽんぽこ』のイメージなんでしょうw)
芸が細かいなぁ
3D、4Dも残念ながら未視聴です;
子供にでも、ケモナーにでもなく、立派な大人にこそ観てもらいたい1本でした!

投稿 : 2024/12/28
♥ : 13

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

これが本当の《意識高い系・社会派アニメ》。やるなディズニー!

本作については、一時あにこれの2016年春シーズン作品ランキング1位になっていたことから、個人的に結構気になっていたのですが、わざわざ映画館に足を運んで鑑賞するに至らないまま、いつの間にか上映期間が終わってしまいました。

それが先日、たまたま視聴する機会があり、これが私の事前の期待を遥かに超えて興味深い内容だったので、これは早速、紹介レビュー書かなくちゃな、と思った次第です。

さすがのディズニー作品・・・というよりも、むしろこれ、アメリカじゃないと到底、発想が生まれないし企画も制作も通らない種類の作品だったんですね。

幾ら金が掛かっているのか分からないフル CG技術は勿論秀逸だと思いますが、それよりも本作の場合は、シナリオが実に見事で、見ていて何回も「う~ん、そう来たか」と唸ってしまいました。

だいたい、CG技術だけなら『アナと雪の女王』で既に同等なものを見ていますし、私の場合は、以前書いたレビューのとおりアナ雪のシナリオは実は大して評価していません(・・・というより字幕版と日本語吹替版の2回も鑑賞したにも係わらず、アナ雪は私の頭の中ではとっくの昔に風化した作品になってしまっています)。

だけど本作は、たった一回視聴しただけなのに、かなり鮮明というか、今後もきっと長く忘れられないだろうな・・・と今から確信できる程の強い印象が残りました。

それは、アナ雪に代表される「安心できるけど詰まらない」印象(私だけ?)のディズニー作品というよりは、アメリカという国と社会が現実に地上に存在し、そしてそこへの“問題意識“と、しかしそれでも、それを努力して乗り越えようとする制作者側の“希望”とが滲み出ているようなコンセプチュアルな作品、“日本という国と社会”があってこそ生まれる見事なアニメ作品(*1)があるのとパラレル(平行)な関係で、現代の“アメリカという国と社会”があってこそ生み出された作品・・・という風に私には見えたわけで、そういう意味で、本作こそ正真正銘の《一見の価値がある作品》と個人的に捉えたいわけです。


◆「被害者ビジネス」「弱者利権」「ポリティカル・コレクトネス」「ソーシャル・ジャスティス」

要は、こういう言葉に少しばかり関心がある人にとって、見応えのある作品ではないか、と私には思えたわけです。

そういう意味で本作は、日本のアニメ作品の中でも《社会派アニメ》とか《意識高い系》と一部で評されており、私も実は以前に少しばかりの期待をもって視聴してみたものの、結局「何だコレ?こんな浅い内容で終わっちゃうの?ガッカリだなあ・・」という感想にしかならなかった作品群(あえて具体名は出しませんが)とは、完全に一線を画す作品に個人的には見えたわけです。

ちょっと解説すると、「被害者ビジネス」とか「弱者利権」というのは、読んで字の如くですが、“自分が被害者だ・弱者だ”ということを(それが事実かどうかはともかく)殊更に強調し感情的に捲くし立てることによって、相手側のまっとうな理屈に基づく異論反論までをも遮断して、自分の都合を押し通すタイプの問題行為であり、とくにアメリカでは、1960-70年代のいわゆる「それまで差別され抑圧されていた人々」の「解放の時代」が一段落したあと、1980年代に入って以降に、今度はそのやり過ぎの反動として顕在化してきた問題で、政治的あるいは社会的に「ポリティカル・コレクトネス(政治的適正さ)」とか「ソーシャル・ジャスティス(社会的正義)」とは何か?ということを巡って、長々と真剣な議論が続けられ、司法的ないし政治的な判断が時に示されたり、双方の部分的な合意がこれまで積み重ねられ続けている重要かつセンシティブな事柄です。

そういう点で、アメリカとは国や社会の成り立ちや在り方に違いのある我が国の場合は、問題意識そのものが、アメリカに比べるとどうしても浅く甘い感じになってしまい、問題の片方の側だけ(つまり自称「弱者」の側の主張だけ)をやたらに扇情的に強調するだけのタイプの作品がこれまで目立っていた(今も目立っている)ような印象が個人的にはあり、前述のような《社会派アニメ》とか《意識高い系》とされる作品について、これまで視聴済みだけれども特に評価すべきほどの感想も持てず、かといって別に酷評するほどの感想もないので、そのまま放置してきた作品が幾つかあるわけです。

その点、本作は、私にとってほぼ初めて、肯定的な意味で《社会派アニメ》として高く評価したい作品となったわけで、そういう意味では、自分がこれまで高評価を付けてきた、自分が何度も見たくなる《大好きな作品》というわけではないので、個人的な評価点数をそうした種類の作品の限界と決めている4.4としました。

公式サイトによれば、8/24にBD/DVDがリリースされるそうで、それを機会に、より多くの方に視聴していただきたい個人的な《お勧め作品》となりました。

(*1)日本ならではの作品・・・それは主に、世界基準だと異常なくらいに“感情描写が繊細な”作品群と個人的には考えています

投稿 : 2024/12/28
♥ : 37

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

新・伏線の教科書

2D吹き替え版を劇場鑑賞。


物語における伏線の張り方は二種類に大別されると思います。

一つはバチン!バチン!と音が聞こえるくらい、
これ見よがしに伏線を張り、受け手にもろに意識させるパターン。
ホラーや泣きゲーなどに多い伏線です。

もう一つは受け手に伏線と意識させないようにヒタヒタと伏線を張って、
受け手のガードがら空きになった脳天に向けて伏線を起爆させ、
心の奥深くにテーマやメッセージを食い込ませるステルス(隠密)型の伏線です。


“ウサギ初”の新米女性警官の奮闘記であるこのディズニー映画はどちらかと言うと後者。
ステルス伏線の巧妙な使い方で鑑賞者を魅了し、楽しませる逸品です。

元より、本作はそれぞれの動物らしさという世間の先入観で、
外見や行動パターンが構築されたアニマルキャラたち。
○○らしさ、ありのままという固定観念。
それらを何にだってなれるというズートピアの理想や、
主人公ウサギ警官による夢パワーで、揺さぶったり、乗り越えたりするのがテーマ。

そのため、伏線を秘匿するための化けの皮は街中にいくらでも転がっています。
大体、ウサギ警官の相棒からして、キツネの詐欺師w
ステルス伏線にとってはズートピアは圧倒的なホームグラウンドなのであります。


が、それ以上に、伏線を張るスタッフの技術が老獪過ぎて素晴らしいです。

単なるアメリカンジョークかと思いきや物語の重要な鍵だった。
この程度なら特にハリウッド等ではよくある伏線技術。

ですが、本作ではさらに、伏線回収されたと思ったら、実は回収こそが次の伏線でもあった。
あるいは回収された伏線は一本に過ぎず、実はあの場面にはまだ伏線が隠されていた。
その他、小物を活用した伏線の刷り込みも多彩。
サバンナの生態系並に多種多様な伏線技術が
小気味よいテンポで披露され飽きさせません。

伏線回収のタイミングも上手いの一言。
例えばジョークのネタに偽装した伏線。
それを場面の印象を忘れかけた頃に、コツンと伏線回収して、
ノーガードのハートに喜怒哀楽や社会風刺を突き刺してくる。

こうした手練手管の限りを尽くしたエンタメ精神が実にお見事。
伏線回収で私がこんなに舌を巻くのは、
私的伏線のバイブル『ダイ・ハード』一作目以来かもしれません。


ちょっとした詐欺が横行するストーリーだったからなのか、
伏線を張るのって、何だか詐術に似ているな。
という着想も得てしまいましたw

でもこういう詐欺だったら大歓迎♪
振り込め詐欺は多くの人を騙して、金品を奪い、泣かせます。
でもズートピアの詐術の如き鮮やかな伏線技術は、
せいぜい私の心と主題歌ソングのダウンロード料金をかっさらうくらいw
実に気持ちよくキツネにつままれ大満足な劇場映画鑑賞。

スタッフには万感の想いを込めてこの“詐欺師”め!という謝辞を贈りたいと思います♪

投稿 : 2024/12/28
♥ : 29

76.2 7 スリリングで友情なアニメランキング7位
ハッピーシュガーライフ(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (534)
1998人が棚に入れました
松坂さとうには、好きな人がいます。その人と触れ合うと、とても甘い気持ちになるのです。きっとこれが「愛」なのね。彼女はそう思いました。この想いを守るためなら、どんなことも許される。騙しても犯しても奪っても殺してもいいと思うの。戦慄の純愛サイコホラー。

声優・キャラクター
花澤香菜、久野美咲、花守ゆみり、花江夏樹、洲崎綾、石川界人、井上喜久子
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

愛と超越

「サイコホラー? 観ない方がいいかな・・・。」これが最初の反応。

散々逡巡した挙句、邪道とは思いつつもネタバレ上等でレビューを読み漁り、
ショッキング展開の予備知識を仕込んだうえで、危なくなったらいつでも切る態勢で
及び腰の視聴に臨んだのだった。

結果は、怒涛の如く二日で全話視聴完了、滅多に味わえないような感動に浸ったまではいいが、
ホラーでもサスペンスでもない、じゃあ一体何だろう、との疑問にはまってしまい、
手掛かりを求め原作にまで手を伸ばして、ついには以下の作品考察を書くに至った次第。

要するに、ホラーやスリラーに全く耐性のない自分のような者でも完走可能なレベルなので
視聴を迷っている方は是非挑戦してみてはいかがですか、と言いたいわけである。
観ないで後悔するよりも観て後悔した方が良い、などと無責任な勧奨をしたくなるほどの
これは世に稀な、貴重な作品である。


{netabare} 真実の愛は、それ自体がおそらく一つの狂気である。


月光が射し込むマンションの一室。差し向かいに床に座っている
まだ幼い少女と、年の離れた姉のような高校生くらいの少女。
小さい方が大きい方にヴェールを被せて、結婚の誓いの言葉を唱えはじめる。

病めるときも、健やかなるときも・・・死が二人を分かつまで・・・。

仲の良い姉妹が結婚式ごっこに興じているようにしか見えないだろう。
だが、この二人はこの上なく真剣なのだ。いや、真剣どころの騒ぎではない。
二人だけの世界を守るために、小さい方の少女は家族を捨て、
大きい方の少女は、人を殺し、奪い、傷つけ、ついにはたった一人の友人をも惨殺した。

彼女は言うのだ、それはすべて、漸く手に入れた本当の愛を守るためなのだと。
本当の愛のためならば、すべてが許されるのだと。


精神異常者の歪んだ愛が引きおこす、凄惨な犯罪の数々。
本作のキャッチコピー、「戦慄の純愛サイコホラー」はこの面を過度に強調したものだ。
勿論、自分はこうした予断に異議を差しはさむ意図をもって、これを書いている。

「異常」を前にしたとき我々は、精神病理学でも、犯罪心理学でも
それを合理的に説明する理論によって「理解」したい誘惑に駆られるものだ。
だが、この習慣を物語の解釈にまで持ち込もうとすると、往々真実から逸脱し、遠ざかってしまう。
だから、この誘惑に抗して、疾走する愛の軌跡を虚心に見届けてゆこう。
アニメレビューの本道からは外れるが、原作を踏まえた「越境的な」理解を敢て試みたい。


原作となったコミックは五年にわたって連載され、アニメ化の翌年に完結している。
連載開始の前年には、元型となった読み切り作品が発表されているが、
そのタイトルは、『ホワイトシュガーガーデン、ブラックソルトケージ。』というもの。
本作の二人のヒロイン、「さとう」と「しお」にこめられた暗示を解き明かす、第一の鍵。

さらに遡ると決定的な発見があった。原作者の初期作品、タイトルは『しろいろとくろいろ』。
白い女の子と黒い少年の、果てしない追いかけっこを描いた、メルヘン風の寓話だ。
白い子が黒い子に触れると死んでしまうので、慕って来る白い子から彼は逃げ続けなければならない。

無垢なものの、白。死と罪悪の、黒。この象徴的な二元性が
本作のさとうとしおの二人に受け継がれていることは明らかだろう。

「さとう」と「しお」。

この世の何物よりも甘い、満ち足りた愛の幸福と、
罪と恐怖が支配する現実世界の苦さとの、二つの極のあいだで
無残に引き裂かれた二人の悲劇的な宿命を、このネーミングが象徴しているのである。

同時にそれは、愛らしいものと酸鼻なもの、純粋なものとおぞましい不純なものとが
隣り合い、融合するグロテスクな本作の世界が、寓話的な象徴性をはらんだ独自の世界観に
基づいていることを示唆している。

「しおちゃんは天使。これは仮定じゃない、これは前提。
 だけど天使は弱くてはかない存在なの。
 だから、こんな穢れた世界から守ってあげなくちゃいけないよね。」

自然が真空を恐れるように、絶対的な純粋さはこの世界とは決して相容れない。
さとうの犯行動機は従って、一般的な犯罪者の心理に還元されて済むようなものではなく
この世界観からの必然的な帰結として捉えられなければならない。
穢れた世界から無垢なるものを守るために、自らが穢れを一身に引き受けようとして
避けがたく罪は重ねられる。純白だった砂糖はたちどころにどす黒く汚れてしまう。

あたかもこの世界には、反転と転落の力学が存在するかのようだ。
継起する異常な出来事は、異様に濃密なこの象徴性の磁場の作用だと考えるのが正しい。
登場人物が次々と狂気を露呈させていく展開もまた、このメカニズムによって説明されるだろう。


さらに、純愛と称されるさとうとしおの「ほんとうの愛」を問題にするとき、
そのきわめて特異な内実を、敢て「神学的」と形容したい想いに自分は駆られる。

「私はずっと一人ぼっちだった。何も感じない、常に何かが欠けていて、
 いつもどこか切なくて、このまま独り消えていくのかと思っていた。
 でも違った。しおちゃんが私を見つけてくれたから!」

最後の部分は、信徒によってしばしば語られる「神が私を見出した」という表現と一致する。
さとうにとってのしおの存在は、天使の域を遥かに超えた、救済そのものだったのだ。
そしてしおもさとうも、自分がいま生きていることの唯一の根拠を、互いの存在に見出している。

「私、お母さんに捨てられたあの日、一回死んじゃってたんだと思う。
 でも、さとちゃんのぬくもりでまた生まれたの。」

「私もだよ、しおちゃん、私も。
 なんにもなかった空っぽの私をしおちゃんが生かしてくれたの。」

互いの「新生」の経験が、まるで響き合うように言い交わされる。
これらの言葉は、新しい生命の源となった至高の愛の対象への、至純な信仰告白なのだ。
彼らの愛は、我々が通常経験するような、生存に付随した単なる心理現象ではなく
現世での死を経過して、新たに獲得された「いのち」そのものなのである。

「甘い」が迸る生命感の表現であるのに対し、「苦い」は現実世界における死の象徴である。
ひとたび死に、生まれ変わった彼らはすでにこの世界に属してはいない。
家族愛であれ友情であれ、世の慣習的な価値観はすべて忌避され、否定され、排除される。
微温的な愛、利己的な愛は、この絶対の愛によって裁かれ、容赦なく処罰される。

「ありがとう、しおちゃん。戦おう、命がけで。一緒に証明しよう、私たちの愛を。」

これが彼らの愛の神学である。それは命がけで証しされねばならない超地上的な真理だ。
従って、物語の結末はすでに予告されている。彼らの戦いの果てにあるもの、それは
この世界の外への、永遠へ向けての跳躍―ダイビングの他にあろうはずはないのだから…。



・・・そして、しおひとりが生き残る結末を迎える。

しおのために自分の命を捧げるという、究極の愛をさとうが実践してしまったことで
二人の愛がそのまま永遠へ移行する契機が失われてしまった。これは愛の挫折を意味するのか?
自分も当初は、作者が世間受けのために日和ったのかとも考えた。だが、そうではなかった。

この結末こそが愛の完成だったのだ。

「さとちゃんがどうして私のことを生かしたのかわからない
 考えても 考えても だから私は 考え続けるの
 どんな時も 何をしていても 何を感じても ずっと ずっと
 さとちゃんのぬくもりは私の中にある だから私は それと一緒に生きていく」

二人がこの世界で見つけるはずだった「お城」は、いま、しおの中にある。
{netabare}(原作では復活したさとうとしおが、また二人の生活を始める様子がはっきりと描かれている。){/netabare}
しおは世界と断絶し、彼女の内部でさとうとの、永遠の「ハッピーシュガーライフ」を生きる。
これが二人の愛の究極の証明であり、世界に対する彼らの戦いの完全な勝利に他ならない。


世界はこれを、無力な逃避、ないしは傲慢な自閉として断罪するだろう。
だが、一体それが何だというのか? 死ですら二人を分かつことはできなかったのだ。
ここにあるのは、現世をも死をも超越する、永遠のテスタメント(契約)。
恐ろしいことだが、これは冒涜的なまでに、新約聖書の福音と重なり合うのだ・・・。


自分は、果てしなく考え続けようとするしおの姿に、作者自身の投影を認める。

この作者にとって世界は自明ではなく、問い続けられるべきものであるような気がするのだ。
本作と初期作品とを結んだとき、そこに垣間見える原作者の心象風景、それは
何もない空無のなかで、ただひとすじに持続する「想い」だけが
何か驚くべき、唯一の確かなものとして存在するという、恐ろしくストイックなものだ。

自分は本作に、真に創造的な感性だけが表現することのできる、固有のリアリティーを感じる。
内面の衝迫に促された感性の疾走が、高翔する愛の神学を生み出す発条となったと考える。
そう、多分これは、孤独な思索が営々と紡ぎつづけた、この世界の真実をめぐる寓話なのである。
{/netabare}

(初投稿 : 2020/10/1)

投稿 : 2024/12/28
♥ : 19
ネタバレ

東アジア親日武装戦線 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

にがみのエッセンスが醸し出す「フロイト」的な世界観が気に入った!!

作品概要
▼原作:月刊ガンガンJOKER(スクウェア・エニックス)
▼原作者:鍵空とみやき
▼アニメーション制作:Ezo'la(ディオメディア)
▼話数:全12話{netabare}
▼総監督:草川啓造(ディオメディア)
・実績
(監督)
『魔法少女リリカルなのはA's以後のシリーズ』『迷い猫オーバーラン!』『ロウきゅーぶ!』『艦隊これくしょん』『風夏』『アホガール』他
▼監督:長山延好
・実績
(監督)
僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件
▼シリーズ構成:待田堂子
・実績
(シリーズ構成)
『らき☆すた 』『ティアーズ・トゥ・ティアラ』『おおかみかくし』『THE IDOLM@STER』『Wake Up, Girls!』
『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』『はるかなレシーブ』他多数
▼キャラクターデザイン:安田祥子
・実績
(キャラクターデザイン)
『銃皇無尽のファフニール』『sin 七つの大罪』『僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件』
▼音楽関係
音楽:亀山耕一郎
OP曲:「ワンルームシュガーライフ」(ナナヲアカリ)
ED曲:「SWEET HURT」(ReoNa)
挿入歌:「カナリア」(ReoNa)第9話
▼キャスト
【声優】項へ{/netabare}

原作未読
リアルタイム視聴済

☆エピローグ
普通のアニメは見飽きたぜ!糖質サイコホラーはドツボだ。
清々しいほどのバッドエンドや、スクイズやヨスガが大好物な私にとって、やっぱねーっ!これぐらいサイコパスで頭逝ってる作品がないとアニメはつまんねぇw
王道や名作、勧善懲悪ばかりじゃ肩が凝るもんね。
本作は世界線やら異世界やらと物理学分野のSFフアンタジー全盛なトレンドに対し、精神医学を世界観の基軸に据えた稀有な作品だ。
したがって、擬似リアリズムであっても、健常な精神感覚では一切のカタルシスを承認しない作品である。

異常心理に興味があったり、最近では『フリップフラッパーズ』を理解できる方々には面白いかも。
本作はストーリーが安定しているから分かり易い。
『ガリナン』もだが、アホアニメ制作会社の評価が定着して社会的には評価が厳しいディオメディアだが、たまに私のツボに入る作品を出すから、目を離せないw

主要キャラでマトモなのは「しょうこ」だけ。
他のキャラは悪い意味で個性が凄まじく、心の闇という健常と異常の行き交う「境界線」の想像どころではなく、真性の「精神病疾患者」であり、ペドフィリア、エフェボフィリア、パラノイア、火病、発達障害etc全員閉鎖病棟の患者でも不思議ではないような連中が繰り広げる異常人格者による基地外純愛群像劇(草)
共感できるキャラが見事に誰もいない稀有な作品ゆえに、様々な矛盾も精神異常が織りなす現象と見ているので許容の範囲であり、作中何が起こっても感情移入が生じることなく、エンタメとして割り切り楽しむことができた☆

タイトルの「フロイト」は精神医学の始祖。
世界的な心理学者「ユング」や「アドラー」の師匠でもある。
原作者はフロイト入門書の『精神分析入門』や『夢判断』を読んでいるな。
フロイトを読むと、読んだ側も精神をやれかねない危険物。
本作も視聴すると、そうなる方向性で演出されている。
異常心理の描写が精神医学的に考察されて「超自我」のメッセージがしっかりプロットされている。
さすがに1クールで精神医学界の巨匠フロイト的世界観を表現するのは厳しいのだが、そこに挑戦したことは評価されよう。
精神分析学的視点に立った考察はメンドクサイし、レビュー読まれる方々の気分を害するからしない。(いや、でも、気が向いたら追記をするかもw)
キャラ設定のベースがフロイト的価値観だから、基地外とは何かを問うているのと同様で、そりゃ陰鬱な世界観にもなるな。

とにかく可愛いOPや絵柄に騙されてはいけない。
マトモな神経では視聴できない作品だから、そこは覚悟した方がいいデス。はい。

それにしてもジエンコって『serial experiments lain』以来、この手の一風変わった作品のプロデュースが好きなんだな。
提供にバップもあったが、ジエンコ+バップ、あーあれか!w

ところで、最近ディオメディアはいろんな名義を使っているね。
「doA」に続いて今度は「絵空」か。
『BEATLESS』は綱渡りだったし、万策(略)に備えて、リスク分散でもしているのか?

【音楽】
OP曲はとてもインパクトがあり癖になる電波ソングだ。
不詳私、DLをいたしました。
OPの作画と楽曲『ワンルームシュガーライフ』で本作の世界観をしっかり視聴者に伝えた(伝わったかは別にして)好演出だ。
ED曲『SWEET HURT』は『GGO』の神崎エルザの曲を歌ったReoNa。
彼女のなんとも言えない切ない声質が、本作の無情で悲惨な末路を暗揄していてなかなか良い。これもDL。
EDの作画は折しも同じ精神異常系の『フリップフラッパーズ』と同様の演出。
「さとう」と「しお」が抱えている闇と二人の関係性を1分30秒でしっかりと表現している。
{netabare}「さとう」の幼少期から現在の描写、そこに「しお」が現れて、二人で城に向かって歩く。
ハッピーシュガーライフの描写と、スキップしながら城から旅立ち、二人で躓いたところで「さとう」が消える(さとうの死)でも「しお」の心には「さとう」が生きている、とこんな感じでEDはこの物語の顛末を分かり易い暗喩で演出している点は視聴者に優しい。{/netabare}
{netabare}しょうこが殺される{/netabare}9話の挿入歌『カナリア』も歌詞に込められたメッセージがそのシーンの演出にしっかりと映えていて良い曲だ。

{netabare}本作、9話は「しょうこ」の恋もあり内容が濃く相当の字数が必要だが、割愛して、挿入歌まで用意された「しょうこ(小鳥)」は本作にとって、さとちゃんの狂気を強調する意味でも重要なキャラだったし、彼女の存在が無ければ、ただの基地外ドラマで終わったな。
(7話の展開が殺される伏線だが)さとちゃんと向き合うタイミングを逸したとはいえ、幼女を「彼氏」として拉致しているさとちゃんの素顔を知った「しょうこ」がとった選択は極めて常識的だが、基地外相手には通じず、理不尽な結果となったが{/netabare}共感シーンが皆無な本作にとって唯一の救いだった。

【物語とキャラ】
キャラは本作一番の問題提議点だろう。
{netabare}よくもまー、あるゆるタイプの基地外を設定したものだと感心した。
しかし、「さとう」の叔母と「しお」を除き他のキャラのサイコパスの根源は抑圧され無意識下に封印された記憶、いわゆる「トラウマ」だ。
「さとう」、「太陽」、「あさひ」は過去エピソードの描写があるから分かり易いだろう。
今では「トラウマ」という言葉は普通に用いられるが、その概念を提唱したのがフロイトだ。{/netabare}
現在フロイトの【精神分析学】はポパーの科学定義にぶった斬られて【非科学】とされているが、なお、その研究は医学のほか哲学としても各方面に多大な影響を与えている。
因みに「トラウマ」と似た概念で「PTSD」があるが、こちら医学的な診断名、つまり科学。
医学的なフレームで論じるのが「PTSD」であると理解したらいいだろう。
そして、この三者の異常行動は明確に「PTSD」である。
「さとう」叔母は「トラウマ」の過去描写がないので、その異常性の因果関係は判別しないが、他人への関与が異常な博愛が動機である点から、所謂「離人性人格障害」であることは確かだろう。
{netabare}「しお」は年齢的に幼くまで認知能力が完成されてはいなから、母親との関係や「さとう」の死をきっかけとし「PTSD」を発症するのは想定内だろうし、「さとう」の狂気の正統後継者となるだろう。{/netabare}
基地外の成長物語を望むか望まないかは視聴者しだい。私は(怖いもの見たさで)今後も観察してみたいものだが。

以上、キャラの性格設定を多少考察したが、個人的に気になっているのはネーミング。
ここ突っ込んだレビューが少ないだよね。
物語と主人公とヒロイン?他女の子キャラのファーストネームの関係だが、「さとう」と「しお」。
これは、第三者視点で物語を俯瞰したときに醸される、二人のイメージなんだろう。
{netabare}さとちゃんの心が至福に満たせるときは「あまーい」、ストレスを感じたら「にがーい」と味覚で心理描写をしているのも本作の特徴だ。
これは丁度可知差異(物理学用語)が「フェヒナーの法則」による感覚量でも定式化されており、物理でメシを食っている私の心を擽った直喩だ。
「しお」の存在を「さとちゃん」から見た場合は「あまーい砂糖」だが、第三者視点ではさとちゃんに試練を与える文字通りの【塩】な存在。
自らの「あまーい生活」を守るためにさとちゃんは、せっせとバイトで生活費を稼ぎ、脅迫、傷害、詐欺、挙句の果てには殺人までやってのけた。
ある意味、これほどの純愛ドラマはスクイズ以来かもね。
これが、「しお」が【塩】である所以である。

そして「さとちゃん」の光に立候補し、人の道に戻そうとした「しょうこ」は「胡椒」の捩りで、そのお節介は、さとちゃんにとっては「辛い」味覚、はた迷惑で排除すべき存在として描かれているのではないのだろうか。{/netabare}

次に、苗字についてだが、「神戸」と「飛騨(飛騨しょうこ)」に共通するのは高級和牛ブランド。
さとちゃんの苗字「松坂」を「松阪」とすると、やはり高級和牛だが、これは作者の誤字なのかな?
他にサブキャラの宮崎すみれ、但馬みとりも高級和牛ブランド。
本作と高級和牛の相関関係は謎だが、キャラネーミングには法則があるようだね。

で、本作のキャラ設定だが、精神疾患と異常心理の掘り下げに作者の知識の限界からか詰めの甘さが残るが、これだけの基地外キャラをクリエイトし、物語をプロットした点は評価されよう。

{netabare}最終回はオリジナル展開だが、さとちゃんを「あさひ」に殺させ、それでも「しお」に切られ、自殺を図る展開も悪くないと思ったが、さとちゃんを死なせて、「しお」を生き残らせ、「あさひ」を切った展開は前述のとおり、{/netabare}これからの「しお」の異常人格発揮を十分妄想できる余韻を残した意味でも評価できる。

あと「しお」の失踪だが、{netabare}物語の通り捨て子であっても「しお」は小学生だ。
失踪すれば、社会的に何らかにリアクションがあるはずだが「あさひ」が述べたように警察で相手にされないのは不自然すぎる。{/netabare}
欠席が続けば「しお」の担任教師が家庭訪問をするし、親に不審な点があれば、児相とも連絡を取り合い世間にバレるはず。
その過程で事件性があれば警察が動くが、事件性はないとする裏設定でもあるのかな。
「しお」の境遇を考えると、無戸籍である可能性もあるが、視聴者が納得できる線で簡単にでも触れておくべきだったろう。

【作画】
全般的にディオメディアクオリティであり、動かす場面も少ないから、ボロも出ず可もなく不可もなくといったところだが、シャドーの用い方、基地外の表情など、サイコホラーとしての演出は頑張っていたと思う。
ただし、9話は{netabare}本作の神回であるにもかかわらず、作画が演出についていけていない。
挿入歌とナレーションを背景にCVを入れずに「さとう」と「しょうこ」の葛藤シーンが描かれた。
前述したとおり、演出は素晴らしかった反面「しょうこ」の表情が「棒」であり、迫力が全く伝わってこなかった。
基地外表現の作画に手一杯で、健常者の必死の訴えの表情演技まで手が及ばなかったようだ。
CVなしで映像表現のみを用いて視聴者へ訴えるのは、自信と相当の作画センスが要求される。
試しに、スクイズとの見比べで「誠」殺害後の「言葉」と「世界」の葛藤シーンを音声なしで視ると分かるが、迫力が全然違う。
ディオメディアの作画センスの限界が、この素晴らしい演出を削いでしまったと思うと残念でならない。

ただ、小鳥の演出を含めてだが「さとう」が文化包丁を「しょうこ」の首に突き刺し殺す描写は、頸動脈からの血飛沫には違和感を感じつつも、「さとう」を引っ掻き断末魔に喘ぐ描写や小鳥の死を比喩した痙攣描写など殺人過程はしっかり描ききっている。
ただし、グロ描写を強調し過ぎたことで視聴を打ち切った方々を出したという負の作用もあったが、{/netabare}これを斟酌して私的には高い評価をしたいと思う。

【声優】
原作を読んでいる方々には花澤さんはミスキャストだとの意見も多いが、原作を読んでいない私にとって可もなく不可もなしだ。
寧ろ、客寄せパンダ役も兼ねて、演技力が要求される「さとちゃん」役には適任だったのではないだろうか。
個人的には「しお」役の久野美咲さんの演技が輝いていた。
『WIXOSS』や『LOST SONG』でも思ったが、主役よりも準主役や重要キャラをやらせると巧いタイプかもしれない。
さとうの叔母役の井上喜久子さん。
『らんま1/2』から活躍しているだけあって、ベテランらしく味のある演技でサイコパスを演じていたのが印象的だ。
難しいキャラの「三星太陽」を演じた花江夏樹氏も好演だった。

ゆえに総じて高評価とする。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 62

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ヤバい、面白い…。

語彙力ぅ!

そういえば天狼のレビューを書いたときにこいつの存在を忘れていました。

2018年7月期で原作付きの大物。観ますっていうか、観てますってだけで情報量ゼロです、すみません……。

2018.9.29追記:
とりあえず、虐待に傷ついた二人の少女が真実の愛を求めてあがいたあげくに、犯罪レベルの奇行に走るお話。

第12話(最終回)まで観終わったので、少し真面目に書いてみます。

まず、一見して松坂さとうが主人公のようで物語の中心は神戸しおですよね。それと「作中の登場人物が(飛騨しょうこを除いて)異常な人物ばかり」に見えはするんですけど、「罪無き者のみ石を投げよ」っていう感じで、みんなちょっとした行き違いや不幸(ちょっとしてないのもある)がきっかけでたまたま異常に見える行動が発現してしまったというだけの話で、メインキャラには理解不能レベルなことをやっている人物はいなかったです。

自分がはっきり嫌いと言えるのはしおちゃんの父親と、次点でさとちゃんの叔母さんくらいかなあ。

まあとにかく、他の人物に関しては共感まではいかないにしても理解は及ぶ感じでとても良く書けたお話だったと思いました。漫画原作ですけど小説っぽいストーリーでしたね。最終話、しおちゃんの言動によって受けたあさひのショックはいかばかりか想像を絶する…。

……って、これかなり面白かったけどウケないだろうなあ。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 52
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