サスペンスアニメ映画ランキング 19

あにこれの全ユーザーがアニメ映画のサスペンス成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月29日の時点で一番のサスペンスアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

78.1 1 サスペンスアニメランキング1位
PERFECT BLUE -パーフェクトブルー(アニメ映画)

1998年2月28日
★★★★☆ 3.9 (656)
3055人が棚に入れました
アイドルグループのチャムに所属する霧越未麻(きりごえ みま)は突如グループ脱退を宣言し、女優への転身を計る。かつてのアイドルからの脱却を目指すと自分を納得させ(つつも事務所の方針に流されるままに)、ドラマ出演でレイプシーンを演じる。さらにはヘアヌードのオファーが来るなど、アイドル時代からは考えられなかったような仕事をこなしてゆく未麻。しかし、人気とは裏腹に未麻は現状への不満を募らせ、アイドル時代の自分の幻影さえ見るようになる。

えりりん908 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

エロくてグロくてつらくて。でも最後、スカッとします!

今敏監督、気にはなってたんですけど、
とうとう挑戦!視聴に及んでしまいました(*^▽^*)

結果は・・・・・・

面白かったです!凄く!!

お話自体はサイコホラーです。
怖いです。苦しくてつらいです。
リアルと虚構と悪夢と妄想が、
複雑に入れ子になっていて、
自分のいま見ている映像が、
誰のものでホントはどこにいるのか、
目眩のような混乱を感じて、
楽しいとか、ほのぼのとかとは正反対、
いつも何かに追い詰められているような、
そんな、安らぎとは無縁で、
ハードな展開が延々と続き、
見ているだけなのに精神を削り取って、
めちゃめちゃ暗い気分に追い込んでくれます。

エロチックは、もう全編エロいんで、
好きな人はそれだけを目当てに観賞するのもあり?
って思いましたが、
作品の根本的な「鬱感」が強すぎるので、
そんな短絡的な目論見は吹き飛ばしてくれる、
凄いパワーでした!



グロテスクがこの作品の真骨頂だと思いますが、
スプラッターではなくて、
心の闇とか病とかでの
精神攻撃がグングン迫って来ます!

ハイレベルなグロ、
凄く心に刺さります!

アイドルものって全然興味ないけど、
こういう
脱アイドルを目指したときの地獄!
めちゃめちゃドラマチックです!!!

投稿 : 2024/12/28
♥ : 28

阿紫カービィ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

閲覧要注意

何年かぶりに 観かえしました。

正直、今敏監督は苦手です。

が、この作品は、『原作者』の叫びが聴こえてくるようで好きです。(キャラクター原案、江口寿。最高です。)


お話としては、『あなた、誰なの?』に始まり『私は私よ』で終る。



まず、
未麻子の部屋が 強烈に目に飛び込んできます。

きっと
普通の女の子の普通の部屋。

まるで『覗き』をしているかの様な錯覚を覚えます。
(いいよ、狙いにハマってあげましょう…)

私は覗き魔になる。


そして
女優としての未麻の初の濡れ場のシーン。

レイ◎される未麻はとても美しい。ゾクッとする。

デフォルメのない、正確な躰のライン、
男の『in out in out』の動き…リアルでエロティック。

私は未麻を犯す男優になる。



どんどん不安定になって行く未麻

『解離性障害』という病

『ストーキング』(あえてあたしは偏愛と言いたい)


それらの『不安要素』が絡みあっての
ラストへの疾走。


私は思うのです、
この作品は、誰にでも有り得るであろう『迷い』からの脱出劇ではないの?と。



この作品を、『グロ』と思って欲しくない。

先入観で敬遠して欲しくない。

心の話、愛の話、そう思う人が一人でも多くいて欲しい。


『罪』を
人は 気づかないうちに犯している。

『こうあって欲しい』という願いが高じて

人を傷つけたり
無意識に自分を傷つけたり



今 自分に
『私、誰なの?』と問う
『解らない』と応えることしかできない


一生
応えられないかもしれない

それでいいと 思ってる




今監督の短編映画『オハヨウ』
こちらも合わせて視聴してみてください。


人の中に潜む、複数の『私』


複数が『ひとつ』になって
『自分』が完成する。




さて
今日の『私』はどの子とどの子?

投稿 : 2024/12/28
♥ : 59

shisune さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

あなた、誰なの?

サイコホラーのアニメ。始めてみました。
まさに衝撃。アニメでしか表現できない、というのは
まさにこれのこと言うのでしょう。

アイドル界が舞台のサイコホラー。
現実なのか、幻想なのか混乱させる二重人格の演出。新鮮ですが
このアニメだととても怖い。

あらすじを見ればわかりますが、なるべく一人でみるように…。

しかし、岩男潤子さんだと声がアイドルより過ぎる気がしましたね。
内容が内容なんでどうなんだろう。
内容とギャップがあって逆によかったのかな。


私はこのアニメを見て、影響されてしまい
今敏監督のパプリカ、千年女優などをみました。

監督の作った作品、一つも外れがありません。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 8

65.3 2 サスペンスアニメランキング2位
<harmony/>(アニメ映画)

2015年11月13日
★★★★☆ 3.7 (272)
1425人が棚に入れました
優しさと倫理が支配するユートピアで、3人の少女は死を選択した。13年後、死ねなかった少女トァンが、人類の最終局面で目撃したものとは?

声優・キャラクター
沢城みゆき、上田麗奈、洲崎綾、榊原良子、大塚明夫、三木眞一郎、チョー、森田順平

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

現代医療の在り方に対する危機感を掻き立てられた作品。政治思想的レビューです。

2015年放送の劇場版アニメ 120分

原作 伊藤計劃 監督 なかむらたかし マイケル・アリアス 脚本 山本幸治
制作 STUDIO 4°C

原作は2008年にハヤカワSFシリーズとして刊行された伊藤計劃の長編小説。

2019年に起こった大災禍「メイルストロム」(世界戦争と未知のウイルスの蔓延)により、
世界は新しい統治機構によって医療経済社会が築かれた。
全ての人類が社会のために健康・幸福であれ、がこの社会の名目である。

舞台は新世界確立から50数年後の日本やバグダッドやチェチェン。
主人公は
霧慧トァン CV沢城みゆき
御冷ミァハ CV上田麗奈

監督のマイケル・アリアスと制作会社は鉄コン筋クリートのスタッフ。

さて、この作品は本格SF小説のノイタミナ系アニメ化と言うことで、
地味に話題になってそれなりの動員は記録したようです。
日本のアニメファンのレベルの高さが証明されて嬉しいことです。

病気の無い幸せな世界と言われれば、同じノイタミナ枠で放送された、
犯罪の無い幸せなはずの世界「サイコパス」を思い出しました。
世界の設定が少し似ていますが、こちらの原作が先発なので参考にされたと思われます。

感想としてはサイコパスを観ていなければ設定の緻密さに驚いたであろうと言う程度です。
現代から続く世界的組織WHO(世界保健機関)が独裁的ではないにしても、
強大な権力を持っていて、「メイルストロム」のような危機に備えています。

医療経済社会に関しては現在進行形なので警告を発する作品かと思いましたが、
それほどのメッセージ性は感じられませんでした。

現代日本に例えれば、国民保健を値上げすることで、絶対多数の下層階級から金を巻き上げ、
癌などの無駄な医療で医療機関に金を回し、一部だけの景気を上げる。
国民保健医療機関は脱税が不可能なので、財務省に金が入り、
下層階級のなけなしの金は医療と言う名のもとに国に吸い上げられているのです。
それでいて日本の医療は先進国中最低レベルです。
金が入るタイプの医療にしか興味が無いからです。
サイコパスにおいても厚労省の肥大化が描かれましたが、現在進行形です。

日本が貧乏になった理由は原子力と医療に金を吸い上げられたため、
資格が紙切れになったのは医師免許に権力が集中したためです。

このSFアニメを観ればこういった日本の現状が思い浮かびますが、
それだけで、作品によるメッセージは見当たりません。
当然ですね、権力が集中しつつある医療には逆らえないからです。

日本は抗がん剤の実験場になっていますが、だからと言って海外諸国がまともとも思えません。
癌の治療法を開発したシモンチーニ博士は抗がん剤マフィアに命を狙われ、
現在はイタリア軍の厳重な保護下にあります。
これただの重曹治療でですよ。

WHOが厳重に摂取を抑制させようとしている「塩」は癌予防薬です。
エイズや新型インフルエンザをばらまいたのがどの組織なのか、
知識人なら常識ですね。

このアニメはストーリーよりもこのような会話をしたくなる作品です。
利権を持っている者、医療関係者や公務員は必死の攻撃を始めます。
それは現代のファシズムと言ってよいでしょう。

癌センターや指定病院を現代のアウシュビッツと呼ぶ人も居ます。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 23

TAKARU1996 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

すばらしい新世界-Brave New World-

2015年11月27日記載
さっそくレビューを始めていきたいと思います。
今回は伊藤計劃『ハーモニー』の映画を観てきました。
私の個人的感想を徒然と書いていくので、よろしければご参考までにどうぞ。

まずは世界観説明から
2019年のアメリカ合衆国で暴動が起こりました。
それをきっかけとして全世界で戦争と未知のウィルスが蔓延
人類の多くが死に絶えたそれは「大災禍(ザ・メイルストロム)」という名前で後に語られ、その反動か、従来存在していた政府と言う概念は崩壊し、新たな統治機構「生府(ヴァイガメント)」の下で高度な医療経済社会が築かれる世界が誕生します。
そこに参加する人々自身が社会のために健康・幸福であれと願う世界が構築された、優しい牢獄の世界
これはそんな社会に反抗し続けた少女達の物語なのです…

さて、ここからは私の感想を書いていきたいと思います。
今回、正直言ってこのアニメはレビューを書こうかどうか大変迷いました。
伊藤計劃作品は全部レビューしていこうと、前回の『屍者の帝国』を観てから固く誓ったのですが、この作品を見てからはちょっと決心が揺らいだ位です(笑)
これは自分の個人的価値観のせいでもあるのですが…
まあ、その理由については下記の方で書いていきたいと思います。
なので、フォローも交えて説明していきますが、今回の『ハーモニー』のアニメ映画に好感を持てた方、百合というよりレズ描写、グロ描写が大好きな方、原作未読の方はもしかしたら納得できない部分も多々あるかもしれません。
なので、この先を閲覧するかどうかは自己判断でお願いします。





では、これより説明していきたいと思います。
大まかな理由として
1.理解する事と共感する事は違うという事
2.レズ描写の増加
3.小説から映画への転換と2に伴って起こる原作改変
この3つが挙げられます。

まず、1から
私は原作既読なのですが、正直に言って、原作を読んだ時は生命主義体制(ライフイズム)もミァハの思想も共感できるものではありませんでした。
何と言うか、ひどく極端なんですね…
生命を社会的公共財として捉える生府(ヴァイガメント)の理念も、ミァハの生命主義(ライフイズム)に対して行うテロ行為も客観的に見たらとても横暴なんですよ。
勝手な考えで人々を動かしているのはどっちも変わらないじゃんと最初に読んだ時は酷く冷めた目で感じていました。
なので、今回の映画で何か心が傾く要因となる物が出てくるか、少し期待して観に行ったんです。
観に行った結果として、私が揺り動かされる事はありませんでした。
むしろ、逆に横暴だと言う自分の考えがさらに強固になった次第です(笑)
うん、やっぱりどっちにも理解は出来るけど共感は出来ない。
しかし、この映画を見てどちらかに共感する人は必ず出てくると思います。
人間の考えは千差万別です。
むしろ当てはまらない自分みたいな奴が異端なのだと思います(笑)
なので、この映画を見てどう感じるか
生府(ヴァイガメント)の理念に共感できるか、はたまた、ミァハの理念に共感できるか、もしくはどちらの意見にも共感できないか自分の眼で見極めてほしい。
その為にもまだ観ていない方は是非、1度は映画館や後に出てくるであろうレンタルなどで観てほしいと私は思いました。

次は2について
単刀直入に言います、原作よりレズ描写が明らかに多いです。
原作では普通だった箇所もレズっぽくなってます。
また、新たに作ったのか、はたまた私が忘れているのか分かりませんが、自分の知らないレズシーンまでありました。
私は随分前に見た某アニメのおかげで、女同士の恋愛に対しては嫌悪感を覚えるまでのトラウマを抱えてしまったので、正直観ててつらかったです…
小説でも百合を1つの土台としてはいるものの、地の文と組み合わせて淡々と表現しているので、そこまで悪寒はしなかったのですが、映像化するとなると恐ろしいですね…改めてそう感じました(笑)
また、グロシーンも結構すごいです。
『屍者の帝国』よりも気持ち悪く感じました、精神的にきます、驚きます、血がドバドバ出ます。
これらが嫌いな人は少し覚悟して観た方がいいでしょう。
ああ、勿論大好きな方はどうぞ期待して観てください。

最後に3について
これがこの映画で1番納得できない部分でした。
1や2については主に私だけの個人的問題なのでいいのですが、この3だけは原作既読の方でも納得できない人は多いかと思います。
端的に説明していきましょう。
まず、説明セリフのオンパレードです。
未読の方はこの映画だけを観て理解できるのか、少し分かりませんね…
あまりにも喋っている場面が多いので、聞き逃すとストーリーが把握できなくなるかもしれないです。
映画として表現するにあたっての工夫があまり感じられないような気がしました。
ただ、小説をそのまま映像化しただけのような…
まあ、これは原作自体が説明の多い小説ですし、演出を吟味した結果なのだとしたらしょうがない事なのでしょう。
次に重要なシーンが結構抜かれています。
最初に上映した『屍者の帝国』も重要なシーンは抜かれていますし、映画では登場していない人物も数多くいました。
しかし、あの映画は再構成と言う形で未読の方にも分かりやすく伝わるよう工夫した結果、牧原亮太郎監督版『屍者の帝国』として生まれ変わったのです。
この点に関してはただ、素直に拍手を送りたいです。
さて、『ハーモニー』の映画はそれとは逆に原作を忠実に作りました。
ただ、その結果、フォローの回りきれていない部分があったように思います。
最初の物体は何なのか?
意識が消失すると言う細かい意味とは?
最後に登場した人物は一体誰なのか?
あんなにキャラクター達が喋っているのに、説明不足な点が多いですからね…
改めて、映画化するにあたっての難しさを感じたような気がします(笑)
まあ、しかし、やはり原作全てを映像化するのは不可能な事
2時間で収めるならば、所々カットしなければいけない箇所もあるかと思いますので、これもまた、しょうがない事でしょう。

しかし、これだけは言わせてください。
ラストシーンを変えたのは流石にどうでしょうか?
原作では霧慧トァンという1人の女性が御冷ミァハという女性の影をある種の執念で追い続け、最終的にはミァハからの独立、明確なトァンという1つの個へと至る物語でした。
しかし、この映画では最初から最後までトァンはミァハの事しか考えていません。
その結果、ミァハという自分に指針を与えてくれた親の如き存在から離れ、前に進んでいくトァンの成長というカタルシスがろくに感じられなかったのが心残りでした。
そして、最後に彼女はミァハに対して自分の答えを出す為にある行為をします。
その行為をした理由となる答えも原作とは変えられ、しかも原作の方が好きだったので、これもまたちょっと心残りでしたね…


以上を持ちまして、個人的感想を終了したいと思います。
ここまで長々とした駄文を読んでくださってありがとうございました。
今回は少し毒の強いレビューとなってしまったので、ちょっと残念です。
しかし、ここで1つ言っておきたいのですが…
この『ハーモニー』映画の全体的出来としては決して悪い訳ではありません。
上手く原作をまとめているなあと感じる部分もありましたし、改変でよかった箇所もありました。
恐らく、この作品は映画と小説、両方見て初めて完成する作品なのだと思います。

「事実は小説よりも奇なり」と言う言葉があります。
現実に起こる出来事は、作られた物語の中で起こる事よりも不思議で面白いものだという意味の諺です。
正直、私自身にとってみればあまり実感のない言葉でした。
その意味についても本当にそうだろうか?と首をかしげている普通の一般的な現代人です。
現実よりも小説の方が面白く感じる時もあるし、そんな考えに至るには、毎日、充実した日々を過ごすしかない。
だが、そんな幸福に溢れた生活などあり得ないと、その言葉を最初に学んだ時は斜に構えた眼で見ていました。
しかし、この映画を見てから、その諺の意味が少しだけ理解出来たような気がします。

よく考えてみると、この諺は決して現実と物語を分けてはいません。
物語は現実と断絶して存在している訳ではない。
確実にそれは読者にも何かしらの影響を与え、その結果、変わらない日常が変化していく人も中にはいます。
「影響」と言う言葉で片付けるにはあまりにも強い力
ゲーテの『若きウェルテルの悩み』を読んで自殺者が急増するように
坂口安吾の『堕落論』を読んで若者が新たな価値観を植え付けられるように
物語に感化された御冷ミァハから影響を受けた霧慧トァンのように
そして、伊藤計劃という個人の作品に没入している私達のように……
その結果、彼らは、私達はどのような方向へ導かれていくのか?
それは誰にもわかりません、歴史もしくは観ている我々、傍観者が判断するしかない事でしょう。
ただ1つだけ言えるとするならば
その力こそが現実を面白くさせる1つの起爆剤になるのではないかという事

それはこの映画からも同じことが言えます。
あなたは『ハーモニー』を観て、どんな影響を受けるでしょうか?
もしくは何も感じずに終わるでしょうか?
しかとこの目で確かめる為にも、この映画1度は見るべきかと存じます……

ここまで読んでくださってありがとうございました!!

「フィクションには、本には、言葉には、人を殺す事のできる力が宿っているんだよ、すごいと思わない?」
伊藤計劃『ハーモニー』p.224,早川書房


2016年1月24日追記
いまから語るのは、
〈declaration:calculation〉
〈pls:敗残者の物語〉
〈pls:脱走者の物語〉
〈eql:つまりわたし〉
〈/declaration〉 [ハーモニー]
と言っても、この映画については1年前に概ね語り尽くしましたね…
今作の批評も、今思えば感情に任せて書いた文章でございます。
しかし、よく考えたらそのスタンスは現在の自分と未だに変わっていないというか、未だによく行っている事に書いていて気付きました。
自分の理性的であり合理的な部分を占める成長は、この先「闇」しかないのかもしれません(笑)

しかし、この『ハーモニー』と言う映画
観ていてつくづく考えてしまうのは、社会を構成していく難しさです(ディストピア小説なので当然と言えば、当然の話なんですが)
より良い社会に住みたいと思う事は万人において普遍的な共通性ですが、しかし、その社会的「善政」が万人に良い効果をもたらすとは限らない…
構成員である人々誰もが「善性」であれば、社会は幸せになるのか?
『ハーモニー』と言う作品はそんな問いにも深く言及しているようです(まあ、私が1番好きなキャラはキアンなんですけど(笑))
しかし、社会は無理でも世界なら…
2人ぼっちの世界なら…
-----------------------------------------
彼女が死んでいく間、私は誓った。
天国とまではいわないけれど、できるかぎりここを、この場所を良くしてみせるよ、と。
彼女はそれを聞くと、にっこり微笑んだ。
そうね、天国とはいわないけれど、天国の隅っこくらいまではたどり着きたいわね、と。
それが彼女の最後の言葉だった。
伊藤計劃『The Indifference Engine』「フォックスの葬送」より
-----------------------------------------

さて、前作『屍者の帝国』から始まり、今作で分岐点を迎えた長いプロジェクトは来月の「終わりの始まり」を上映する事によって、遂に終焉を迎えます。
ここまで至る道は1年以上に亘った大変長い物でしたが、何、なんて事ありません。
人間の魂に及んだ解答が1年と少しで解明されたんです、こんなに短い物は無いでしょう…
しかも、どうやら深夜に『屍者の帝国』と『ハーモ二ー』が放送されるそうですね、こんなに嬉しい事は無いでしょう…
私も深夜放送で「終わりの始まり」に至るまでの雄姿をもう1度拝見し、それから最後の戦場、ジョン・ポールとの戦いへ臨みたいと思います。
そして、「伊藤計劃」の全てが揃ったその時はもう1度全体を観るとしましょう、読みましょう!!
「物語…それは死してなお、この世界にあり続ける技術」

-----------------------------------------
さあ、行進しよう、とぼくは穏やかに呼びかけた。
のろまも、せっかちも、思い思いに。
足並みなんてばらばらでかまわない。
のっぽも、ちびも、僕らは歩く。
丘を下って。
人の営み、生活の匂い
それを運ぶ涼やかな風の上方へと。
伊藤計劃『The Indifference Engine』「The Indifference Engine」より
-----------------------------------------

投稿 : 2024/12/28
♥ : 15

米麹米子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

中々に重いお話ですぞ

HTML書式風味?で始まる未来の光景からは
想像つかない程にラストは濃厚。
脳医学ちょっとかじってれば
理解できると思うけれども、別に知らなくても
他に見所は沢山あるので問題無し。

中1の時の自分の思考や言動をなぞっているようでしたよ
ミァハ

思考停止
いわゆる考えるのをやめた☆
ようなちょっと想像するとラストは怖いのですが

憎しみ・恨み・怒りのエネルギーというのは絶大なもので
生きる力に変換できるほどの威力を持っています。
相手を殺すか自分が死ぬかの二択と思われがちなのですが
実は3の道があります。
これがベリーハードモードで
死んだがマシと思えるほどの苦痛

脳みそって良くできていて
失った機能をサポートしてくれる場合もあるのね
シナプスが勝手につながる感じ?
これがミァハの言うところの意識の覚醒だと思うんだけど
痛みも苦痛も意識下で認識してないと
認識してないととるわけ
何も感じない訳でもなく緊急避難的に
なかったことにするか自我を殺して
何も感じないようにもできるわけ。
すごいよね、脳みそ。

葬式があるだけマシというか
健全なのかな
死をまだ身近で感じられる分
そんな事を考えながら見ていたのでした。

マイケル・アリアスとSTUDIO4℃
鉄コンコンビですね。
「Ghost of a smile」
主題歌は EGOIST

意識に思いをはせられる哲学的な一品です
カテゴリーはSFになるんだろうけど。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 24

89.7 3 サスペンスアニメランキング3位
ルパン三世 カリオストロの城(アニメ映画)

1979年12月15日
★★★★★ 4.2 (1252)
8149人が棚に入れました
人口三千五百、世界一ちっぽけなカリオストロ公国の田舎道をボロ車でドライブしていたルパンと次元はクラリスという美女を助けた。彼女はカリオストロ公国・大公家に残された最後の娘で、カリオストロ伯爵は彼女を強制的に妻に迎え、公国の権力をひとり占めにしようと狙っていた。クラリスはルパンに助けられたが、再度捕えられてしまう。

声優・キャラクター
山田康雄、増山江威子、小林清志、井上真樹夫、納谷悟朗、石田太郎、島本須美

ぶっかけ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

やっぱ☆5になっちゃったわw

はい、もう誰もがご存知の大泥棒三代目さんですね
TV放送でも何回もやってる。むしろ何回やってるのか教えて欲しい!
で、ここで一つ考えてみましょう
皆さんルパンの何を知ってますか?
「まともに知ってるのコレだけでした」って人、手ぇ挙げてみましょうか

……。。。シーン

意外とこれが、結構いると思うんです 
むしろほとんどが、そうなんじゃないでしょうか
思う所は多々あるでしょうが、これが『ルパン三世』の事実です
そして、この事実こそが『カリオストロ』の凄さを物語ります
これを除いた、ルパンシリーズに触れている人間が、実際の認識より遙かに少ないにも拘らず
キャラクターとして彼等一味は、現代に完全なる立場を築いています

常々思っていたのですが、実際に作品に触れた人の数に対して
彼等の今の立ち位置は明らかに異常です
が_しかし、『カリオストロ』に触れた人の数と、触れた結果どうなったかを想像した時
これがいきなり腑に落ちる
つまり、この作品には彼等の立ち位置の矛盾を、腑に落とすだけのチカラがある。
もうこの際ですからはっきり言いましょう…
他シリーズも見ていますが、私にとって『ルパン三世』とはこれだけです
宮崎駿の手腕によって、類を見ない完成度を誇る作品ですから
視聴に費やした時間が無駄になることはありません
無駄になったとしたら、それは作品のせいではありません
そう言うことだと、私は思います




投稿 : 2024/12/28
♥ : 23

大和撫子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

ロマンスを感じます

「スタジオジブリ」制作ということもあって、ルパンアニメというよりはルパンのキャラクターを使ったジブリアニメといった作品。
アクションは「ルパン」、ヒロインは「風の谷のナウシカ」、世界観とストーリー展開や悪役に「天空の城ラピュタ」といったような要素を感じ、ルパンアニメとしてもジブリアニメとしても最高傑作の名の相応しい作品になっています。
この作中のルパンはいつものルパンさはあまりなく、紳士的ヒーローでとてもかっこ良いルパンが見れました。
またいくつかの名シーンや主題歌の「炎のたからもの」はとても感動しロマンスに酔いしれました。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 13

ワタアメ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

ルパンとパヤオがであった・・・

まあ言わずもがな最高ですよね。ってより元々ルパンが最高でそこにジブリっつう味の素足したら、あっこれけっこう旨くない!?ねえやってみ。ほらかけろって1回でいいからさ!なっなっ そういう事です。まあ2回かけたんですけどね。
ルパンはカリオストロ。っていうあなた。これをきっかけにルパンシリーズを見てください。シリーズ1だけでも良いものですよ。そうすると1年に1回ある新作ルパンのTVショーがより楽しくなると思います。
とっつあ~ん

投稿 : 2024/12/28
♥ : 3

72.1 4 サスペンスアニメランキング4位
パプリカ(アニメ映画)

2006年11月25日
★★★★☆ 4.0 (837)
3969人が棚に入れました
医療研究所が開発した他人と夢を共有できる画期的なテクノロジー“DCミニ”。だがそれが盗まれ、悪用して他人の夢に強制介入し、悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生するように。一体、犯人の正体は? そして目的は何なのか?事件の解明に挑む美人セラピストの千葉敦子は、クライアントの夢の中へ容姿も性格もまったく違う夢探偵“パプリカ”となって入っていくが、そこには恐ろしい罠が待ち受けていたのだった…。

声優・キャラクター
林原めぐみ、江守徹、堀勝之祐、古谷徹、大塚明夫、山寺宏一

Seabream さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

今日の天気は夢見がち,晴れのち晴れ晴れ,ハレハレハレハレ~♪

夢を共有することができる装置DCミニ.ある日、そのDCミニが研究所から盗まれてしまい、それを悪用して他人の夢に強制介入し、悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生するようになる.犯人は一体誰なのか!?

90分と割と短い作品ですが,ストーリーもわかりやすくなかなか面白かったです.
夢の世界ということで,少し不気味な描写が多かったのも個人的によかったです.

最近たまたま「インセプション」という映画を見ていたのですが,なんとなく似てる感じですね.

パプリカちゃんかわいいいいい.
けど最後うわああああああああ.時田うわああああああ.

投稿 : 2024/12/28
♥ : 10

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

故今敏監督の代表作の一つ

ストーリーを引き立てるために絵があるのではなく
絵を魅せるためにストーリーがある
まさにそんな映画

女医千葉敦子と夢世界での姿パプリカ
同一人物の二面性が見事に演じ分けられている
林原めぐみさんの好演にも脱帽です

ただしラストの部分は
見せたいモノは見せ終わったとばかり
かなり強引に手仕舞い
無理やりな展開に「?」となりました

全体としては非常に質の高い作品だと思います
特に夢の中の描写は出色の出来栄え
見て損はないと思います

投稿 : 2024/12/28
♥ : 16
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

Don't think . Feel .  …でいってみよう

そういえば原作既読。内容はうろ覚え。


地上波でたまたま流れた『東京ゴッドファーザーズ』を皮切りに~の今敏監督アニメ映画視聴マラソンもこの『パプリカ』でひとまず完走。物理的にもこれ以上これ以外走り続けることはできません。

゛難解な作品” ゛人を選ぶ作品“ ゛芸術性の高い云々”

氏の作品には枕詞のようにこれらの修辞表現が付き纏います。うむ。確かにそんな面はあるかも。でも敢えて私はこうも思うのであります。

{netabare}いいんだよ。そのまんま感じればいーじゃん。テヘッ{/netabare}

絵画におけるレゾネやクラシック音楽の解釈やらもそう。一枚の心奪われる絵を目の前にした時、情感揺さぶる音に触れた時、言葉は蛇足となることがあります。
私のような素人目にもわかる映像表現。強烈なインパクトを残すキャラクター達。{netabare} そして現実世界でのハッピーエンド。{/netabare}
とかく難解だと敷居を上げなくても、娯楽作品として観たまんまで楽しめるアニメ映画だったと思います。凝ろうが凝らまいがあとは受け取る側の判断でしょう。面白いか?面白くないか?それが全てです。

なぜ?そんな当たり前のことを?

氏の作品の多くはどれも90分程度と視聴にあたってのどっこいしょ感がなく、とりあえず4作品鑑賞してどれも粒揃いだったので、できれば多くの方に触れてほしいですし、下手な先入観は持っていただきたくないなというのがその理由です。


さて本作『パプリカ』です。
゛虚構” と ”現実” が入り乱れる秀作を次々と輩出してきた監督の遺作です。今回は 《夢》 。
他人と夢を共有できる゛DCミニ”というデバイスがある。心理療法の次の一手であると臨床試験を重ねていた矢先、DCミニが研究所から盗まれて、という導入。研究所員であるサイコセラピスト千葉敦子/パプリカがヒロインです。
キャッチコピーは「私の夢が、犯されている―」「夢が犯されていく―」。新たな試みはメリットと同様に副作用が付き纏います。DCミニもご多分に漏れず欠陥がありまして、その隙をついてあれやこれやが巻き起こる物語です。

夢の言葉上の定義は

1 睡眠中に、あたかも現実の経験であるかのように感じる一連の観念や心像。
2 将来実現させたいと思っている事柄。
3 現実からはなれた空想や楽しい考え。
4 心の迷い。

と辞書にあります。 夢って何だろう?と突き詰めた形跡が見て取れます。

根幹となる部分はもちろん1。そこに2~4を想起させるキャラがもう一つもう二つとストーリーラインを重ねていくような物語でした。誰がどうかはネタバレ直結なので隠します。

2は{netabare}ヒロインの敦子さんが代表格。もっとも奥にしまってた感情に気づいたということですが。。{/netabare}

3は{netabare}乾精次郎理事長が代表格。現実から逃げ妄想に囚われました。{/netabare}

4は{netabare}粉川刑事。そしてストーリーのもう一つの柱。トラウマに向き合って克服します。{netabare}映画からは前向きなメッセージを受け取りました。{/netabare}{/netabare}
他の登場人物たちも多かれ少なかれこの類型に分類されるのかな~という見立てです。


処女作『PERFECT BLUE』では《劇中劇(虚構)》と《現実》
二本目『千年女優』では《劇中劇(虚構)》と《回想》と《現実》と場面が増えて入り乱れました。
三本目『東京ゴッドファーザーズ』は置いといて(笑)
本作『パプリカ』では《夢(虚構)》と《現実》に夢をモチーフにした登場人物たちが入り乱れました。

作品を重ねる毎に表現の幅を広げていき、本作で集大成、または集大成にならざるを得なかった良作でした。

概念的な話なのでどちらかというと視聴済みの方向けの私の見解となります。
新たに鑑賞される方は先述の通り、そのまんま観ていただければよろしいのかと思います。


そして、゛ならざるを得なかった” の理由。
それは本作のラストを見届けるとその思いが強くなります。


※ラストのネタバレ有
{netabare}映画ラストで監督の過去3作品が背景で流れて粉川刑事が映画館に入っていく。タイトルは『夢見る子供たち』です。

{netabare}なんかの予言だったのでしょうか?
《虚構》と《現実》行ったり来たり。そして溶け合う今敏監督がこれまで手掛けた作品をイメージさせて未来へと繋がるであろう to be continued。{/netabare}
{netabare}次の作品で夢うつつシリーズの完結を構想してたのかもしれませんね。これは私の妄想です。いわばホップステップジャンプのステップ段階で早世されたのかと。{/netabare}{/netabare}

最後の演出は、客観的に作品を楽しむ現実世界の観客を、虚構の世界にいざなう監督の最後の大仕掛け。といったら感傷的過ぎるでしょうか。

例えが妥当かは知りませんが、過去作を上手いこと継承しながらエンタメ作品として爆発的なヒットとなった2016年の映画のようなのが次回作品で来てたかもしれませんね。
それで「俺たちの○○はどこへ行ったんだ?」とオールドファンをやきもきさせたり、一方で新規のファンが出来てたり。
そして、作風をガラッと変えてまた新たな実験を試みたり、と。


夢にはもう一つ。5番目の意味があります。

5 はかないこと。たよりにならないこと。

冒頭でひとまず完走と述べましたが、気分としてはハーフマラソンを走り終えた感じでしょうか。まだ半分、もっとイケる。なんならウルトラマラソンでも構わないのに!

少し、クールダウンしてからいつの日か『妄想代理人』を堪能することにしようと思います。


■雑感
一周しかしてないので、もう一回観たら感想変わるかも



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2019.08.04追記

二周めいってみた!
たまに触れたくなるクセになる感じがありますわ。



2019.02.19 初稿
2019.08.04 追記修正

投稿 : 2024/12/28
♥ : 47

73.7 5 サスペンスアニメランキング5位
名探偵コナン ベイカー街(ストリート)の亡霊(アニメ映画)

2002年4月20日
★★★★☆ 3.8 (363)
2648人が棚に入れました
工藤優作(コナンの父)がシナリオを提供した新型ゲーム機「コクーン」の披露パーティーに招かれたコナン達。会場で発生した殺人事件の手がかりを求め、コナン達はコクーンが作り出す仮想空間へと入るが、システムは人工頭脳ノアズ・アークに占拠されてしまう。

「日本という国のリセット」を企てる彼は、プレイヤーである子供達が一人もゲームをクリアできなければプレイヤーの脳を破壊すると宣告。コナン達が選んだゲームは「オールドタイムロンドン」。19世紀末の殺人鬼・切り裂きジャックを追いかける、命がけのゲームに挑む。

一方、現実の会場では優作たちが殺人事件の捜査に乗り出していた。ゲームの世界と現実の世界。ノアズ・アークがゲームに仕掛けた現実の事件の解決に至る真実とは何か?ノアズ・アークはゲーム世界のどこに潜むのか?

現実世界の殺人者は誰なのか?そして、その動機は?これらの謎に立ち向かうため、工藤親子は二つの世界を隔てた「親子による共闘」を開始する。

声優・キャラクター
高山みなみ、山崎和佳奈、神谷明、山口勝平、茶風林、緒方賢一、岩居由希子、高木渉、大谷育江、林原めぐみ、田中秀幸

青陽 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

蘭ねーちゃんが他のアクションゲームの世界に行けば余裕でクリアできてたと思う

自分のスペックがそのままゲームキャラに活かされるという点で、ちいさな子どもたちにはたぶん不利なアクションゲームでしたが、蘭ねーちゃんなら…?

バイキングでもトレジャーハンターでもグラディエーターでも、きっと持ち前の破壊力でそのゲーム世界を制圧できたはずです。もし京極さんがいれば間違いなくできていたでしょう!
そんな話をTVアニメスペシャルでいいから見てみたい。ジャンルが推理→アクションになっちゃうけど!

投稿 : 2024/12/28
♥ : 3
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

AIは「ノアの方舟」伝説たり得ない

仮想ゲーム内の19世紀末のロンドン。
コナンたちが現実世界で起きた殺人事件の手掛かりを探していく、
2002年公開の劇場版『名探偵コナン』第6作。

【物語 4.0点】
『コナン』としても、ミステリーとしても、SFとしても異色。


緻密なミステリーや推理より、
大がかりなシナリオによるドラマ性が追求される劇場版。
本作に至っては、仮想世界なので、
リアルでは絶対に死なない登場人物も“ゲームオーバー”で退場に……。
仮想世界の権限を有するAIによる“介入”もあるので常識は通用しない。


親の血統や地位を笠に着た、今風に言うところの“上級国民”の横柄さも描かれる本作。
それに対するアプローチも変化球で、
本作は、それらを腐敗と断罪して、庶民のストレスを発散する痛快さは提供せず、
むしろ、血筋を受け継ぐ“貴族”たちに、
今後も世の中を背負って立つよう奮起を促す渋い“説教”


人工知能(AI)についても、上記の旧態を打破するための革新として過信はしない。

19世紀末、栄華を極めた大英帝国にも矛盾はあった。
そもそも我々は「ノアの方舟」伝説で腐敗が一掃された世界で選ばれた創造物ではないのか。
今の世の中が汚いからと言って、安易に浄化とか、“リセット”とか言うもんじゃない。

そんな示唆も残して、AIは……{netabare}今は技術悪用の恐れがあり時期尚早と去っていくのだ。{/netabare}


【作画 4.0点】
最後のセル画制作による劇場版『コナン』となった本作。

VRロンドンの霧も、風情のある現象としてではなく、スモッグとして描き、
時代の光としてのホームズ、闇としての切り裂きジャックが求められた、
激しい格差といった歪みも抱えた往時の英国の社会心理まで再現しようという意欲が伝わる。


AIが主催するデスゲーム等、未来テクノロジーのデモとしての華やかさがある一方、
ゲーム内で、博士による秘密道具及び超絶アクションを封じられたコナン君は、
名実ともに頭脳だけ大人の小一に……。
鑑賞者は久々に、この縮んだ身体で追い詰められて行くもどかしさも共有することに。
『コナン』アクション映画としても本作は異色。

但し、某空手少女は本作でも元気はつらつ♪

最後も{netabare}列車アクション{/netabare}で見せ場はあり。


【キャラ 4.0点】
本作の鍵を握る“天才少年”ヒロキ。
出る杭を打つ日本の教育への毒針、本当は友達が欲しい孤高の天才。

犯人役もまた、{netabare}血筋を背負いきれなかった存在{/netabare}として描かれる。

そして、上から目線の“上級国民”チルドレン。

各々テーマ性を内包したオリジナルキャラが物語深化に寄与。


一方でコナン君は親父同様、重度のホームズオタクぶりを発揮し、
ピンチの中でも妙にイキイキ!?
悪党であるモリアーティ教授への愛まで語り出したら、いよいよ重症ですw
今回は推理力よりホームズ知識力に舌を巻く。


【声優 4.0点】
モリアーティ教授(CV.小林 清志さん)、モラン大佐(CV.藤本 譲さん)
切り裂きジャック(CV.速水 奨さん)
などリアル世界だけでなく仮想世界内の敵役までベテラン声優で固める盤石の布陣。

コナン君の親子の絆もテーマの本作。
CV.田中 秀幸さん&CV.島本 須美さん。
工藤夫妻のボイスがVRロンドンの何処で出張ってくるかも注目w

{netabare}父ちゃん、いくら奥さんが好きだからって、
妻をホームズが愛したオペラ歌手に当てはめて、美声披露まで美化するのはやり過ぎやでw{/netabare}

緒方 恵美さんによるセレブ少年グループのリーダーの生意気ボイスも〇
{netabare} 実は真相を隠す煙幕だったりする。{/netabare}


【音楽 4.0点】
劇伴はお馴染みの大野克夫バンド。

いつものコナンのテーマ曲もロンドン仕様?にアレンジするなど、
現実&仮想世界にまたがるシナリオを好アシスト。


ED主題歌はB'z「Everlasting」
孤独の中から絆を取り戻す壮大なバラードと共に、
実写のロンドンの街並みを眺め余韻に浸るひと時。


【感想】
血縁やコネにより腐敗する人間による統治より、
決定のいくらかを人工知能に委ねた方がクリーンな政治ができる。
地方議会レベルではありますが、そうした主張も出ては来ている昨今。

とは言え、その水準まで、AI技術や信頼が高まるのは、
もう少し先になるのではと私は思います。

“家”の宿命を背負った“貴族”の底力も中々の物。
古くて汚いからと一掃するのは勿体ない。

だから二世、三世の皆さんには、どうか“リセット”されないように、
襟を正して奮起して欲しいなと願います。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 18
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

コナン版『ソードアート・オンライン』

今や国民的アニメの名探偵コナンの劇場版第6作。

{netabare}
(Wikipediaより抜粋)
コナン一行は仮想体感ゲーム機「コクーン」の完成披露パーティーに招かれた。そのパーティーの最中、殺人事件が発生し、コナンは被害者のダイイング・メッセージから、事件の手がかりがゲームの中にあると考え、コクーンに乗り込む。
ところが、ゲームのスタート直後にシステムが人工頭脳「ノアズ・アーク」によって占拠され、コクーンに乗り込んだコナン達を含む50人の子供達が人質に取られてしまう。
「日本という国のリセット」を企てるノアズ・アークは、プレイヤーである子供達が全員ゲームオーバーになってしまったら、プレイヤー全員の脳を破壊する、つまりプレイヤー全員を死亡させると宣告する。
覚悟を決めコナン達は、5つのステージの中から「オールドタイム・ロンドン」を選択した。19世紀末に実在した殺人鬼・切り裂きジャックを追いかける、命がけのゲームに挑戦する。
{/netabare}

どうです?『ソードアート・オンライン』の世界、そのものですよね。
面白くない訳がありませんよね。
事実、かなり面白かったです。

最近流行の『異世界』物の先駆け。【本作は2002年公開】

投稿 : 2024/12/28
♥ : 25

69.5 6 サスペンスアニメランキング6位
名探偵コナン 14番目の標的[ターゲット](アニメ映画)

1998年4月18日
★★★★☆ 3.7 (284)
1902人が棚に入れました
目暮警部がボウガンの矢で撃たれる事件が起こった。蘭の母・妃英理、阿笠博士も相次いで命を狙われる。その犯行現場には、なぜかトランプが残されていた。このトランプの意味するものは一体!?コナンは持ち前の推理力で被害者の名前とトランプのある関係に気付く。

scandalsho さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

動機と事件のギャップが・・・

今や国民的アニメの名探偵コナンの劇場版第2作目。

冒頭の蘭ちゃんの夢から始まって、小五郎と妃英里の過去、そしてラストシーンへとつながる展開は良かった。
まさに伏線回収のお手本のような見事さだと思いました。

コナンを見ていて度々残念に思うのは、犯行の動機です。
今回もひどい動機だと思いました。
そして、動機と起こした事件の大きさのギャップが半端無い。
まあ、事件を解決する物語なんだから、犯人の動機はどうでも良いのかも知れませんが・・・。

あと、ハワイで新一にヘリコプターの操縦を教えていた父・勇作、グッジョブです。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 13
ネタバレ

郷音 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

次に狙われるのはだれだ!?

劇場版名探偵コナンシリーズの第2作。

毛利小五郎の知り合いで数字のつく人物が次々に狙われていく事件が発生するストーリー。

アニメでは語られなかった小五郎と妃の過去も明かされる。

今作で目暮警部と白鳥警部の下の名前が発覚。(物語の都合上)

ヘリコプターを運転できる小学生。うーんありえないぜ

{netabare} コナンと蘭のキスシーンもあるぞ!(空気移しですが) {/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 1

スィースィーレモン さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

オマージュ!

 今回の作品は原作コナンでも扱われた有名な作品のオマージュです。原作コナンでは平ちゃんと和葉が東京に来た時のはなしがオマージュでしたっけ?
 その有名な作品を知っていれば、途中から『まあ、そうなりますわね』となる作品です。コナン映画の中ではこの映画の犯人が一番最悪かもしれませんねぇ〜 
 もう一つわかるのは毛利のおっちゃんのハイスペックな部分と不器用すぎる人柄です!優しい気持ちで言っても、余計な一言は全て台無しになるのがよくわかますなぁ

投稿 : 2024/12/28
♥ : 0

78.6 7 サスペンスアニメランキング7位
機動警察パトレイバー the Movie(アニメ映画)

1989年7月15日
★★★★★ 4.1 (384)
1837人が棚に入れました
すべてが朱に染まる夕暮れ、篠原重工の天才プログラマー・帆場暎一が、バビロンプロジェクトの要となるレイバー用海上プラットホーム「方舟」から投身自殺する。その口元に嘲りの笑みを浮かべながら…これが、すべての始まりであった。時期を同じくして、レイバーが突如暴走する事件が多発、遂に自衛隊の試作レイバーまでが暴走事件を起こす。特車二課第1小隊は、近々正式配備される新型パトレイバー(通称「零式」)に関する研修中のため不在。単独で暴走事件の処理に追われる第2小隊の篠原遊馬巡査は、多発する暴走事件の異常性にいち早く気付いて独自に調査を始め、原因が暴走した機体すべてに搭載されていた篠原重工製の最新レイバー用OS「HOS」(Hyper Operating System)ではないかと推測する。

声優・キャラクター
冨永みーな、古川登志夫、池水通洋、二又一成、大林隆介、榊原良子、郷里大輔、井上瑤、千葉繁、阪脩、西村知道、辻谷耕史、辻村真人、小島敏彦

Tuna560 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

「Sightseeing ?」「No, Combat !」by 香貫花・クランシー

今の中高生に是非観てもらいたいシリーズ、『機動警察パトレイバー』の劇場版第1作。

レイバーが突如暴走する事件が多発し、事件の処理に追われる第2小隊の篠原遊馬巡査は、多発する暴走事件の異常性にいち早く気付いて独自に調査を始める。
原因が暴走した機体すべてに搭載されていた篠原重工製の最新レイバー用OS「HOS」(Hyper Operating System)ではないかと推測するが、それと同時にとんでもない事件が起こるが発覚する。

映画公開当時(1980年代後半)は、まだパソコンの普及度が低い時代だったが、その頃から早くも「コンピュータウイルス」に着目し、映画の重要な要素として取り上げた点が高く評価されている。

元々、OVAから始まりその延長上で制作された劇場版ですが、この作品からでも十分観れる内容となっています。
(もし、過去作も観たいなら、旧OVA版をお勧めします。)

投稿 : 2024/12/28
♥ : 7

やっぱり!!のり塩 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

☆近代史を語れるエンタメお手本作品(仮)

■評価
テーマ性  :★★★★★ 5.0
エンタメ度   :★★★★★ 5.0
シリアス度   :★★★   3.0
脚本巧み度 :★★★★★ 5.0
おススメ度 :★★★★☆ 4.5

■ストーリー
レイバーメーカー篠原重工の天才プログラマーである
帆場暎一が不可解な投身自殺を図る。それと同じくして
東京界隈で原因不明のレイバー暴走事件が多発する。
事件対応に苦慮する特車2課であったが、後藤隊長の
暗黙の命により同課の遊馬が単独捜査に乗り出すが
帆場暎一の自殺には恐ろしい陰謀が隠されていた。
1989年劇場版パトレイバー第一弾作品

■感想
本作は劇場版のエンタメ作品としての出来の良さは随一と断言できます。
1989年作品ではありますが、古臭さや前時代を感じるというよりも
近代史を感じるといった方が分かりやすい作品です。

まず本作で一番に褒め称えたいのは、ストーリー構成・脚本と描写の
完成度の高さでしょう。帆場暎一をめぐる捜査の過程で描かれるキャラ達の
心理描写と展開される真相の動線が非常に分かりやすく、視聴している側も
一緒に真相をおっている様な錯覚を覚えます。また予想の半歩先を行く二段
三段落ちの素晴らしいおケツマツもお見事の一言につきます。
押井監督が作ったとは思えない程パトレイバーらしさを保ち、至極の
エンタメ作品に感じれるでしょう。また作中に登場する『サイバーテロ』
『リコール隠し』といった要素は当時よりも現代の方がその恐ろしさを
実感できる点が古臭さを感じさせない要因の一つでもあり、未だに本作を
視聴していない人に薦めてしまう作品です。

そして本作のテーマですが、個人的には『時代への不満と怒り』だと
思います。まず本作の真相の肝は『犯人の動機』になると思いますが
これを考える前に本作が作られた当時の時代背景を少し語っておいた方が
楽しめると思います。
当時1980年代後半は日本は経済大国といわれる程の経済的な発展を遂げ、
時代はバブル時代へと突入していました。そのため湧き水の様に吹き出る
ほどお金が稼げた上に、大枚ばら撒いて昼夜問わず遊び倒し、量産型T式
パンツを見せながら踊り狂うジュリアナ嬢、飲酒運転、高級車の衝動買い
なんてのも当たり前。また日々自覚できるほどの科学・工業・建築技術
が発展した事で古き物(古き良き物も含む)は壊され、物を大量消費し
大量廃棄する事が正義とされ、人も文化も洗練されていない時代でした。
(これはその時代に生きたお父ちゃまにヒアリングして裏をとっております)

この行け行けどんどんの時代で、果てしない欲の追求と無限の浪費生活を
送る日本人に少なからず倫理観への猜疑心、不満や怒りを漠然と感じて
いた人もいたのではないかと思います。おそらく押井監督もその一人だった
のでは??だからこそ漠然としてみえない不満や怒りを、そのまま形を
なさない動機として犯人に宿し、同時にバブル時代の価値観というものを
間接的に風刺したのではないかと考えています。またこの漠然とした時代
への不満と怒りが、明確な形として描かれているのが次作の劇場版パトレイ
バー2になります。

総じて、この100分程度の劇場版作品に色々な要素を盛り込んだ作品であり
作画も含めて褒める所の多い作品です。お時間のある時にでも気軽に
見てみてくださいまし。

でゎでゎ~ご拝読有り難うございました。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 18

ペエ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

名作です

間違いなくこの作品は観るべき。
1989年の作品ですが、今観てもまったく古臭くなくそれどころか現在の方が話が理解しやすく感じます。
OSの話が出てきますが、Windowsすら発売していない当時にどれだけの人がこの内容を理解できたのか疑問です。

ロボットアニメとしてのロボット格闘シーンは少なめです。
そういうものよりももっとドラマ性に主体をおいている作品です。
ちなみに、劇場版2作目、3作目とさらに少なくなっていきます。(3作目なんかはさすがにロボット要素が少なすぎですが)

攻殻機動隊のって言えば誰でもわかる押井 守さんが監督をされています。
攻殻機動隊が好きな方ならはまるんじゃないでしょうか

投稿 : 2024/12/28
♥ : 3

78.6 8 サスペンスアニメランキング8位
機動警察パトレイバー2 the Movie(アニメ映画)

1993年8月7日
★★★★★ 4.2 (357)
1831人が棚に入れました
一九九九年、PKFに参加した陸上自衛隊レイバー小隊が、東南アジア某国において全滅した--。それから数年後の東京。突如戦闘機F-61が横浜ベイブリッジを爆破したが、報道ではそれが自衛隊機であったと告げられた。民衆は自衛隊への不信感をつのらせていく。特車二課第二小隊の後藤隊長は、事件の背後に九九年のPKFで行方不明となった柘植の存在を察知する。

声優・キャラクター
冨永みーな、古川登志夫、池水通洋、二又一成、大林隆介、榊原良子、郷里大輔、千葉繁、阪脩、西村知道、根津甚八、竹中直人

ひげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

ガチンコエンターテイメントアニメの最高点 押井作品の最高傑作。

攻殻とならんで押井監督の決定版。
ご本人もこれ以上の作品は作れないということで以後アヴァロンやらイノセンスやら・・。立ち喰いやら・・悪くないけど実験要素が多すぎる。

パトレイバーとはいえほとんどレイバーは関係ありません。
あのTV版の明るいノリもありません。
1993年時において、テロというものをまともに取り上げたはじめてではなかろうか。それより前に他の監督、作品も提唱してるけど・・。
こちらは未来予知でもしたかのようなおそろしい作品。
よって今みてもなにがすごいのかわからない人も。

一発のミサイルだけで大きな人死もださず東京に仮想の戦争状態を作りだすという、非常に斬新なストーリー。OVA版でもあったけど。それの完全な大人向け。
PKOやら毒ガス、ハッキング(93年の作品です。PC自体がまだ・・・)などの社会への警告、自身の戦争論の展開とともにハリウッド映画ばりにエンターテイメントとしても成立している稀有な作品。
自衛隊機のスクランブルシーンはファンには語り草の名シーン。
現在は声優さんに交代したリマスターバージョンと当時の素人、マジ管制官?のオリジナルバージョンがあるがもちろん古いほうがいい。音声選択できます。

主役になった人気コンビ、後藤隊長、南雲元隊長、現課長はかっこよさ倍増。
東京ウォーの副題の通り、テロや戦争を題材にしているが、裏では現代社会における真の正義の味方とは?というものをまじめに追求してるのもかっこいい。
押井監督らしくないアツさがある。
ロートル実験機となったイングラムを使うしかないって状況をつくり出すのもうまい。ラストにむかっての盛りあがり方は異常。

踊る大捜査線の映画版は公言どおりこの作品の完全オマージュ。走査線自体がオマージュなんですが。映画はもうそのまま。
それくらい人気のある映画です。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 16
ネタバレ

disaruto さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

起きてしまった「過去」。起きてはいけない「未来」

制作はI.G.タツノコ(現Production I.G.)のメディアミックス作品です。
ジャンルはSF警察です。
押井守監督作品になります。


前作「機動警察パトレイバー the Movie」のレビュー。
http://www.anikore.jp/review/819638/


押井守の最高傑作とよく言われている作品。
基本的に派手な展開はなく、重苦しい展開に息が詰まるかもしれません。
でも内容の濃さは折紙付き。
何度も鳥肌が立ちました。


本作を簡単に言えば「真剣な避難(被災)訓練」です。
避難訓練って、ちゃんとやりましたか?

ミサイルテロによって危機に瀕する東京が舞台です。
危機管理・政治闘争・利益誘導について徹底したリアリズムで描かれています。
大災害とか、テロとか、どこか絵空事で現実味のないものに思われます。
でも起きたらどうなる?
そんなこと考えていなかったらどうなる?


政策って、いかにして行われるのでしょう?
例えば、交通事故が起こったらそこに信号機が設置される。
問題は認識されないと政策にはならない。
これは本作においてカギを握る要素として描かれています。


あと印象的なのは{netabare}国の占領を思わせるような描写ですね。
戦車が市街を闊歩している様は本当にゾッとしました。{/netabare}
これが戦後あったと思うとねえ…。

最後のシーンでは{netabare}飛行船が二機空中に浮いていました。
あれは「まだこの危機は終わっていない」っていうことを表しているのでしょう。{/netabare}
私たちはいつでも、それぞれに危機管理をしなければならないということかな?

難点は大衆があまりにも無力に描かれているところでしょうか?
押井作品全体に言えますが、この人は人物を描くのが上手くないよねw
(でも本作は後藤と南雲の描き方は良かったと思いますよ)


総括して、いろいろ起こってしまった現代だからこそ見て欲しい作品ですね。
色あせない名作だと思います。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 27

ソーカー さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

平和ボケした日本人への警鐘

押井作品の中でも最高傑作と名高いアニメ映画。
映画のパトレイバー1とは色々と対照的な内容です
1が純粋な娯楽作品なら、2は政治・社会問題に切り込んだ作品
視聴後、1は爽快感が残りますが、2は考えさせられる作品と言った感じです。
もちろん2もエンタメ作品として非常に魅力はありますけどね。

展開はめまぐるしく動き、テロが次々と起こっていく
危機管理能力の著しい欠如により、警察も軍も政府も全く対応出来ない

OVA版でも同じような話があります。
OVAのほうが駆け引きなどがあって、娯楽性に富んでいるのですが
リアリティと迫力は映画版の方が圧倒しています
後手後手にまわる対応も、日本の危機意識の薄さを良く表していると思う
複雑な展開が目まぐるしく動くので、結構事態を把握するのは大変ですが
それだけ内容が濃く非常に面白い作品です。

ただ原作をないがしろにしすぎな点がちょっと哀しい。
ちょっと悲しくなるぐらいアスマやノアといった主役の存在が薄い
レイバー(ロボット)もあまり活躍しません。
逆に言えば「原作を見なくてもいい」ということにはなります

あと、この作品の根幹にある「思想」が微妙な印象ではありました。
個人的には政治的思想を扱ったものというのはあまり好きではないので。
なんというか、言葉にしてしまうと嘘くさく思える気がしてならないんですよねぇ。
ちょっとキャラに語らせすぎだろうと思う点が多々合ったりもします
そこが押井監督らしさなので、もちろん否定するべきところではないとは思いますけどね。

1と2を比べて見ると完全に別物ではありますが、どちらも非常に面白いです。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 15

65.4 9 サスペンスアニメランキング9位
名探偵コナン 漆黒の追跡者 (チェイサー)(アニメ映画)

2009年4月18日
★★★★☆ 3.7 (258)
1595人が棚に入れました
東京・神奈川・静岡・長野で計6人が殺害される事件が起こった。どの現場にもアルファベットが刻まれた麻雀牌が残されていたことから、同一犯もしくは同一 組織による広域連続殺人事件と認定される。警視庁で各県警の刑事を集めて合同捜査会議が開かれ、特別顧問として小五郎も参加する事になった。事件は麻雀牌 の意味、6人目の犠牲者が残した言葉「七夕…きょう…」の意味、被害者の共通点、被害者から1つずつ所持品を持ち去った理由と多くの謎を残していた。

声優・キャラクター
高山みなみ、山崎和佳奈、神谷明、DAIGO、茶風林、緒方賢一、岩居由希子、高木渉、大谷育江、林原めぐみ、山口勝平

大和撫子 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

CM予告には騙されましたが

黒の組織が絡んでくるとすごく面白くなりますね。
今回の劇場版はメインの事件の他に、黒の組織との絡みが本格的に行われ、組織のメンバーも従来のキャラからオリジナルキャラまで多数登場しました。
窮地に立たされたようなハラハラ感や緊張感が十分に楽しめます。
またメインの事件も強いメッセージ性が込められていて、心打つ内容で非常に良かったです。
それにしても今までの劇場版作品にも共通することですが、エキストラの子供達のしゃべり方はなんとかならないものですかね。
棒読みがひどすぎます。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 3
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

蘭ちゃん…。凄すぎ…。

今や国民的アニメの名探偵コナンの劇場版第13作目。

第5作以来、久々に黒の組織との対決。
捜査員に紛れ込んでいた黒の組織の工作員を見破ってからの流れは神がかっている。
{netabare}
蘭ちゃんが至近距離からの射撃を避けたり、そんな蘭ちゃんを工作員は容赦なくボコったり、そんな大活躍の工作員は仲間である黒の組織のメンバーに殺されたり、コナンは軍事用ヘリに追い詰められたり、コナンが軍事用ヘリを『撃墜』したり…。
{/netabare}
うおおっ!盛りだくさんだ!

関東近県の刑事たちが各々活躍するのも本作の魅力。
少ししか出てこないけど、平次と和葉ちゃんも良い。

あと、劇場版初登場の井上喜久子さん、チョイ役で登場の水樹奈々さん、喜多村英梨さんなど、豪華なゲスト声優さんも良かった。

その割に評価が伸びないのは、もう一人のゲスト声優D●IG●。重要な役でしたが、演技がひどく、滑舌がひどく、作品を台無しにしてしまっています。
ゲスト声優の使い方はくれぐれも慎重に!

投稿 : 2024/12/28
♥ : 18
ネタバレ

ノリノリメガネ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

サスペンス×サスペンダー

シリーズ13作目。

これまでのシリーズ中最もスリリングな展開だった。まさにジェットコースターサスペンスという感じで飽きることなく2時間があっという間だった。
{netabare}
今回は県をまたいで起こる謎の連続殺人事件を追う警察組織が主に描かれ、さらに「天国へのカウントダウン」以来の黒ずくめの組織を絡ませた、超危険な脚本に終始ハラハラした。

その分今回はコメディ要素や恋愛要素は少ないが、逆に潔く切り離して良かったと思う。

アイリッシュは間違いなくシリーズ中最強。その敵に立ち向かう蘭姉ちゃんがすごくかっこいい。至近距離からのピストル避けるし、格闘シーンも素晴らしい。
ラストにかけてのヘリからのバルカン射撃はやりすぎだけど笑。あんな派手にやらかしたらバレちゃうでしょ。そもそも日本でどうやってあんな兵器持ってるの笑。

今回のコナンは麻酔もシューズも封じ込まれてかつてない程のピンチを迎えるのも良い演出。ラストサスペンダーでの一発逆転も、冒頭の木登りシーンが伏線になっててナイス終わり方だった。

その他、目暮警部の身代わりやビートルズのHELPの謎解きとか結構気に入った。

悪いところがほとんど見当たらず(声優くらい?)、コナンの孤独な闘いを描いたかっこいい作品。
これまでのシリーズの中で一番好きだ。
{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 4

76.6 10 サスペンスアニメランキング10位
PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.2「First Guardian」(アニメ映画)

2019年2月15日
★★★★☆ 4.0 (182)
1220人が棚に入れました
3つの物語の舞台は約100年後の日本とアジア――その現在、過去、未来に起きる事件が語られる。事件に立ち向かうのは、規定値を超えた〈犯罪係数〉を計測された〈執行官〉たちと〈シビュラシステム〉が適性を見出したエリート刑事〈監視官〉たち。犯罪を未然に防ぐために必要なものは、猟犬の本能か、狩人の知性か。事件は思わぬ事実を明らかにし、世界のあり方を映し出す。これまで語られていなかった『PSYCHO-PASS サイコパス』のミッシングリンクがついに紐解かれる。

声優・キャラクター
東地宏樹、有本欽隆、浅野真澄、てらそままさき、大原さやか、関智一、野島健児、石田彰、伊藤静、沢城みゆき、本田貴子、花澤香菜、佐倉綾音

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

亡き者達へ捧ぐ【鎮魂歌】All Alone With You

2012年秋冬期の第1期TVシリーズ、2014年秋期の第2期TVシリーズ、2015年の劇場版長篇に続く劇場版3部作『サイコパスSS』の2作目です


人の精神を数値化出来ることから警察が廃止され、厚生省公安局が治安維持と法務の執行を取り仕切る未来の日本が舞台のSFサスペンス


実写映画監督の本広克行、脚本家の虚淵玄も関わっていたシリーズですが、この3部作では最初期からアニメーションディレクターとして携わっていた塩谷直義が自らストーリー原案を組み立てて単独で監督
さらにノベライズ版を手掛けた吉上亮と深見真が脚本を担当しています
本来なら1作目からレビュを書くところですがこの2作目が特に素晴らしかったので先んじて書きたいと思いました

























2116年、SEAUnシャンバラフロートでの事件から2ヵ月後の公安局に、外務省から花城フレデリカという女性が刑事課一係に監視官補佐として出向してきたことが事の始まり
彼女の真の目的は元国防省、国境防衛システム海軍のドローンパイロットであった須郷徹平を外務省にスカウトすることであったのだ
須郷は国防省時代にサイコパスを悪化させるきっかけとなった事件を思い出す…
時は遡り2112年、常守朱監視官就任の数ヶ月前
須郷の所属する部隊はSEAUnへの介入を始めた日本政府と国防省の極秘任務「フットスタンプ作戦」を遂行するが作戦は失敗
ドローンパイロットの須郷たちを残し地上部隊は全滅
その中には尊敬する部隊長であった大友逸樹の姿もあった
しかしその後、フットスタンプ作戦関係者を襲撃する軍事ドローンによるテロが発生
容疑者に挙がったのは死んだはずの大友逸樹
須郷も容疑者として公安の監視下に置かれた
そんな須郷の前に現れた公安というのが、当時刑事課一係の執行官だった“とっつぁん”こと柾陸智己だったのだ…


























今作の第一印象は、色相診断の結果が全てにおいて優先される世界観で、そもそも軍人という職業が成り立つのか?というシリーズへの疑問を投げかけた意欲作だと思いました
理不尽な作戦を強いられる前線の特殊部隊の悲惨さと上層部との軋轢
とかく非情な結末が待ち構えている中で突き進む須郷の心情が軍事冒険小説のような体で彼が得意とするドローン技術の描写と共に描かれ、SFとしてもミリタリーサスペンスとしても楽しめる作品に仕上がっております
この『SS』3部作全てに共通してることでもありますが、画面のクオリティもこれまでのシリーズが嘘のようにハイレベルにまとまっているのも素晴らしい


お話の結論から言って、軍人という職業が成り立っているのはやっぱりちょっとおかしいというか、それは『劇場版』のシャンバラフロート事件を観ても矛盾してるのは明らかです


ですがそんなツッコミどころを他所に、もう一方でハードボイルドな刑事ドラマとしての魅力が今作を支えていることに目を向けたいと思います


物語は終始須郷の目線で語られますが、須郷から観た“刑事という生き方とその正義”を貫いたとっつぁんはこれ以上に無くカッコイイ男、として映ります


まだとっつぁんと宜野座が和解する前ともあり、宜野座との確執の深さや初めて登場する柾陸の元妻=宜野座の母との距離感のある関係も明かされ、とっつぁんの公私が今作の中で共に語られるというのがキャラに深みを与えています
この妻子を支えるとっつぁんの姿は、事件の中心となってしまったが須郷の良き先輩でもあった大友とある意味オーバーラップしつつ、裏表一体の関係になっているのも面白い


何よりもとっつぁんや、さらに今作に登場し大活躍をする青柳璃彩監視官、縢秀星執行官という人々が後々の事件で【全員殉職してしまっている】という事実が今作に漂う哀愁に拍車をかけてます


思えば『サイコパス』というシリーズは幾度となく希望を打ち砕いてきました
本当は死ぬべきではなかったはずの人々の生命が軽々しく奪われていってしまったことへの虚しさ
そんな彼等の在りし日に、いまいちど思いを馳せさせてくれるのが今作なんだと想うのです


そして何より、とっつぁんを演じた有本欽隆さん自身がもはや帰らぬ人となってしまっているのがやるせない…


エンドロールではEGOISTの「All Alone With You」を中野雅之が手掛けたReMixが流れるのですが、これがオイラには“逝ってしまった者達へのレクイエム”の様に聴こえてなりませんでした…


興行終了間際に立川シネマシティ、シネマツーaスタジオでの極上音響上映「TOTTSUAUND」も堪能してきました
SEAUnでの戦闘シークエンスはもはや極爆を超えたとも言える凄まじい音圧の破裂音が連続
とっつぁん最大の見せ場となる、軍人相手に怯むことなく啖呵を切って迫るシークエンスの迫力も他の劇場にも増して最高でした
上映終了後には岩浪音響監督自らが名付けたTOTTSUAUNDという名前と、今作が有本さんの遺作となっていることを合わせた追悼メッセージが画面に映され、最後の最後で涙してしまいました

投稿 : 2024/12/28
♥ : 6

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「フットスタンプ作戦」…あそこで、本当はいったいなにがあったんですか!

この作品は、2019年に上映された劇場版アニメ三部作の第2弾です。
現在、過去、未来の三部作のうち、今回は「過去」に位置付けられる作品となります。


常守朱が公安局刑事課一係に配属される前の2112年夏、沖縄。
国防軍第15東郷任務部隊に所属する須藤徹平は、優秀なパイロットとして軍事作戦に参加していた。
三ヶ月後、無人の武装ドローンが東京・国防省を攻撃する事件が発生する。
事件調査のため、国防軍基地を訪れた刑事課一係執行官・征陸智己は、須郷とともに事件の真相に迫る。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

今回の物語の主役は、執行官の須藤徹平さん…
正確に言うと、執行官になる前の軍人だった頃の須藤徹平です。
恥ずかしながら私の記憶から完全に抜け落ちていたキャラでした。

このシリーズは、これまで主人公が次々と事件を解決していくスタイルが主流でしたが、今回の物語は一味違っていました。
確かに事件は発生するのですが、事件を解決するのはあくまで公安局の仕事…
それじゃ須藤徹平はというと…完全に巻き込まれた感じでしたね。

でも、こういう目線も大切だと思います。
何故なら、私たちが何かの事件に関わるなら圧倒的に第3者で巻き込まれる確率が最も高いでしょうから…
生きていて、何度も事件の第一人者には成り得ませんしね。

でも、周囲を巻き込む力…というより、抑え込む力のが物凄く強い事件だと思いました。
最近、「働き方改革」という言葉をよく耳にしますし、職場にも浸透し始めています。
それから比べると、今回登場した国防軍は明らかに逆行していました。
もちろん、機密事項の漏洩はどこの部署においても絶対禁則事項です。
ですが、職場の風通しという意味では、現代社会と随分なギャップを感じました。
今より未来の世界の出来事なのに…

レビューのタイトルで用いた「フットスタンプ作戦」は、本作品の中で素性が明らかになるのですが、思っていた以上に残酷で、悲しみしか生まない作戦だったのではないでしょうか。
諸悪の根源は、作戦の指揮者にほかなりません。
ですが、例え何も知らなかったとしても、自分が加担していたことを後から知らされたらどうでしょう…
何もかも開き直れる訳なんて…ありませんよね。
だから、潜在犯に認定されるのは、直接犯罪に手を染める以外にも多種多様なケースが存在するのだと思います。

本作では、シビュラシステムにはあまり触れられませんでした。
これまでは、全ての犯罪はシビュラシステムに直結していたので違和感ありませんでしたが、システムに関係無いところでも、事件って起こるんですね。

主題歌はCase.1と変わらず、エンディングテーマは、1期後半のエンディングが使用されていました。
もちろん、Case.1同様リミックスバージョンです。

上映時間が約60分の作品でした。
Case.1とコメントが重複しますが、兎に角物語の濃厚さが半端ありません。
「正義と信念の感じられる仕事」という台詞を耳にしました。
自分も「かくありたい」と思える台詞でした。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 12
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

刑事の勘は永遠に……

『PSYCHO-PASS(サイコパス)』の新作・劇場版三部作の二作目の舞台も日本。
但し、メインの時代はTVアニメ1期の少し前の過去。
本作で起きる事件もまた、霞ヶ関のタテワリが障壁になる難事件ですが、
この当時はまだ“伝説の刑事”で、公安局の“猛犬”征陸(まさおか)智己<執行官>が健在。
シビュラの権限が規制される、他省庁の“聖域”にあっても、
征陸の事件への執念は潰えず、その牙は一度食らい付いたら離れません。

ついでに征陸の息子・宜野座<監察官>もこの頃は絶賛反抗期中w
宜野座は家名の通り、{netabare}沖縄が実家。
沖縄絡みの捜査からの脱線が炎の険悪親子関係に油を注ぐことにw{/netabare}
久々に熱い?親子喧嘩もスクリーンにぶちまけられて感無量ですw

征陸や事件の関係者を通じて、組織の中でも折れない個人の信念を感じたシナリオでした。
例えば征陸<執行官>はTVアニメ1期でも、
シビュラが捜査、執行全般を指示する時代になっても尚、
刑事の勘を前面に押し出した、昔気質のデカを貫き通していましたが、
本作でも、その生き様に再会できて熱かったです。

加えて、そんな個人の信念の継承も確かに感じられました。
各省庁の秘密主義が招いた事件は、相変わらず組織が個人を圧殺する後味の悪い物でしたが、
刑事の勘は、先の第一部にて<執行官>に受け継がれていましたし、
本作では、そんな胸糞な事件が続く中でも、たまに感じられると言う
刑事の正義や信念を引き継ぐ意志もありました。


一方で<シビュラシステム>については、今回もまた、
{netabare}硬軟織り交ぜて対立省庁を屈服させる狡猾さが際立ちました。
事件を通じて、クーデターの危険性が最も高い軍隊に対し、暗部と言う首根っこを抑える。
その上で生かさぬよう殺さぬよう、使える武力だけ残して、
貸しも作って<シビュラ>に抗えない体勢に持って行く。

タテワリが壊される様なんかも、通常は規制緩和など革新的でポジティブなイメージですが、
本シリーズのタテワリ打破は、三部作通じて、
霞ヶ関支配の地歩を固めて行くであろう、<シビュラ>の着実さが目立ち薄気味悪いですw{/netabare}


うん……やっぱりシビュラくん、性格悪いわ~w


付記:第二部公開を控えた今月に入って、
征陸智己<執行官>役の有本欽隆氏・食道がんで死去の訃報が飛び込んで来ました。

<シビュラ・システム>の伸長により“伝説の刑事”から
<潜在犯>として公安局の“猟犬”に落されても尚、
自身の矜持を捨てずに、泥臭く食い付いていく征陸の生き様は、
システムに疎外されても消えない人間性を語る上で重要な要素でした。

それを人間味溢れる演技で再現した欽隆さんの声は地味ながら作品に欠かせない物でした。

元々、本作は、{netabare} 生前の征陸を悼む視点{/netabare}もあった上に、
さらに“弔辞”コメントも相次いだという舞台挨拶のニュース等も含めて、
中の人の追悼ムードも加わり、
より故人の遺志というテーマを意識させられた劇場鑑賞となりました。

ご冥福をお祈り致します。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 19

69.5 11 サスペンスアニメランキング11位
MEMORIES(アニメ映画)

1995年12月23日
★★★★☆ 3.8 (218)
1038人が棚に入れました
大友克弘が製作総指揮と総監督を務めた、3話から成る劇場用オムニバス・アニメーション大作。遭難した宇宙船を舞台にした、大友の同名漫画を今敏が脚色したSFドラマ「彼女の想いで」。誤って実験用の薬を飲んだ男が巻き起こす一大パニックを描くブラック・コメディ「最臭兵器」。大砲を撃つための街に暮らす少年の日々を綴る大友監督作「大砲の街」。いずれもセンス・オブ・ワンダーに彩られた奇妙な味わいが特徴となっている。

声優・キャラクター
磯部勉、山寺宏一、高島雅羅、飯塚昭三、堀秀行、羽佐間道夫、大塚周夫、林勇、キートン山田、山本圭子、仲木隆司

ソーカー さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

三者三様、傑作オムニバス

3編のオムニバスから成っている大友克洋監修の映画。
なかなか見ようと思いつつ見ていなかったのですが、想像以上に面白かった。
どれも全く毛色の違う作品ですが、どれも異彩を放つ素晴らしい作品でした。

「彼女の想いで」
最初は「2001年宇宙の旅」っぽいなと思ったのですが、中身は「ソラリス」は似ているでしょうか?
ということで、特にシナリオ面では目新しさというものはないのですが、確かに今敏風味。
ハイクオリティの映像と音楽、幻影が交錯する大いに盛り上がる演出には圧倒されました。
天才同士の才能が巧く融合した鳥肌ものの映像作品。

「最臭兵器」
一人の男が風邪薬と間違えて強烈な臭いを発するカプセルを飲んでしまった、という大パニックコメディ
内容はあまりにもシンプルなコメディですが、馬鹿馬鹿しくて面白い。
バタバタと人が倒れていく様が恐ろしいはずなのに、笑えて面白いという不思議な感覚に。
これまたド迫力の作画で、娯楽作としては申し分ない。見終わったら体臭を気にしてしまう作品。

「大砲の街」
大砲を撃つためだけに作られた街の一日を描いた作品。
エンタメ要素は一番薄く、社会風刺の色彩が濃いのですが・・・
結局何が言いたかったのだろう?と問われると意外と難しいですね。
上記2作がエンタメ要素が強かったので、この作品でガクッとテンション下がってしまったけど
何もかも異質で強烈な印象を残す作品でした。

ストーリーも面白く映像面に圧倒された「彼女の想いで」が一番好きですが
純粋に面白い「最臭兵器」、味のある「大砲の街」も捨てがたい。
ただぶっ続けに見るには少々頭の切り替えが追いつかないので、分けてみた方が良いですね。
総じてクオリティは高いので、どれか一つは気に入るんじゃないかと思います。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 14

coldikaros さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

よくもまぁ

よくもまぁ同じ監督さんなのに、こんなに毛色の違った作品が三本も出てきますね^^;いやぁすごい。
一本目はガチガチのSFですね。僕はこれが一番気に入りました。こういう硬派な画はSFのおどろおどろしさがよく伝わってきます。まぁホラーもちょい入ってますかね。内容としては、宇宙で救助信号を受け取った主人公達が不思議な出来事に巻き込まれるって話です。
二本目はなんというか、ちょっとフザケが入ってます。薬を飲んだ男がまぁ騒動に巻き込まれるっていうよくありそうなお話です。出来としては結構よかったとは思います。すみませんが自分は気に入らなかったですが^^;
三本目は、これはまぁ異質な作品ですね。画的には「ツミキの家」が若干近いかなと思います。これは内容どうこうじゃないですね。見てくださいとしか言いようがないです^^;
そんな訳で三本ですが、正直なところ自分は最初の一本目以外ピンとこなかったですね。もともとオムニバスがあまり好きではないということもありますが。
ですが、三本とも単純に出来としては素晴らしかったですし、時代を考えるともの凄い作画です。
一本でも気に入ればそれで価値のある作品だと思います。
面白いアニメですね。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 2

素振り素振り(咎人) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

『素晴らしい』『美しい』これで充分

全3話(『彼女の想いで』『最臭兵器』『大砲の街』)で構成されるアニメ映画です
全3話ではありますが、其々に関連性は無いです(所謂オムニバス形式というや~つ)
どの話も違った面白さがあるのですが、それにより話毎に好みが分かれてしまうという…(反対に考えると何処かしらを楽しめる人が多いとも言えますが)
かく言う素振り素振りは第1話の『彼女の想いで』がお気に入り、これが他2話より秀で過ぎていて(笑)
1話は原作大友克洋、脚本今敏、音楽菅野よう子、他にも凄い御方が何人かという物凄い面子
本当に素晴らしい
特に作画が素晴らしい、1995年の作品とは思えない

観てない人、是非

投稿 : 2024/12/28
♥ : 6

74.2 12 サスペンスアニメランキング12位
PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1「罪と罰」(アニメ映画)

2019年1月25日
★★★★☆ 3.9 (179)
1010人が棚に入れました
3つの物語の舞台は約100年後の日本とアジア――その現在、過去、未来に起きる事件が語られる。事件に立ち向かうのは、規定値を超えた〈犯罪係数〉を計測された〈執行官〉たちと〈シビュラシステム〉が適性を見出したエリート刑事〈監視官〉たち。犯罪を未然に防ぐために必要なものは、猟犬の本能か、狩人の知性か。事件は思わぬ事実を明らかにし、世界のあり方を映し出す。これまで語られていなかった『PSYCHO-PASS サイコパス』のミッシングリンクがついに紐解かれる。

声優・キャラクター
野島健児、佐倉綾音、弓場沙織、平井祥恵、岡寛恵、小山力也、斉藤貴美子、多田野曜平、中川慶一、花澤香菜、東地宏樹、櫻井孝宏、伊藤静、沢城みゆき

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ここで引き下がったら公安局刑事課のエース、霜月美佳の名が廃るっ…

この作品は、2019年に上映された劇場版アニメ三部作の第1弾です。
3つの物語の舞台は、約100年後の日本とアジア…その現在、過去、未来に起きる事件が語られるんだそうです。
これまでは、主人公である常守朱を主体として物語が構成されてきましたが、本作の主人公は、何とあやねる演じる霜月美佳監視官なんです。
「格好良い」あやねるボイスを満喫できる作品でした。


2117年冬、公安局ビルに一台の墓相車両が突入する事件が発生。
その運転手は青森にある潜在犯隔離施設<サンクチュアリ>の心理カウンセラー・夜坂泉だった。
しかし取調べ直前に夜坂の即時送還が決定する。
監視官の霜月美佳は、執行官・宜野座伸元らとともに夜坂送還のため青森へ向かう。
そこで待っていたのは、<偽りの楽園>だった。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

上映時間が約1時間の作品なのですが、物語の濃厚さが半端無い上、兎にも角にもあやねるボイスが満載なんです。
もう、霜月美佳監視官があやねるにしか見えませんでしたよ^^;

これまで、何か事件が起きると、常守監視官が我先にと現場に急行していましたが、先輩監視官…だからでしょうか。
青森まで送還する役目を霜月監視官に一任するんです。

責任ある仕事を任されるとやっぱり嬉しいですよね^^
あやねるも…いえ、霜月監視官も喜びの表情全開で任務に向かいましたっけ。

サンキュチュアリって「聖域」や「自然保護区」などを意味する言葉です。
ですが、青森の施設は聖域などとは程遠い場所であるのが徐々に感じられるんです。
最初に感じるのは、公安に対する言動の違和感…
ですが、この違和感が途中から激しさを増していくんですよね。
そしてその違和感は「気持ち悪い」と感じるレベルにまで跳ね上がる…

人間は間違える生き物です。
だから人間には他の動物と比べ物にならないくらい修正力が高いから、ここまで進化してこれたんだと思います。
ですが、サンクチュアリでは自分たちに不都合なことは、全て悪になっちゃうんです。
そして悪を見つけたら全力で排除しようとする…
それは、明らかに正しいことを言っていても捻じ曲げてしか伝わらないんです。
それが「気持ち悪い」と思える所以でした。

だからこそ公安の活躍が光っていたんだと思います。
何度もピンチがみんなに襲い掛かります。
でも霜月監視官の不撓不屈の闘志が、みんなの切れそうな糸を繋いでいくんです。
こういう役を演じるあやねるの声質…堪らなく格好良いんですけど!

主題歌は、1期オープニングだった「abnormalize」
エンディングは、2期エンディングだった「Fallen」
どちらもリミックスバージョンになっていました。

このシリーズのファンの方や、あやねるボイスを堪能されたい方にはお勧めの一作なのではないでしょうか。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 13

アトランティス さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

サイコパス新3部作の序

2015年の劇場版サイコパスから4年。
近未来SF風刺作品として名高い本作が戻ってきました。
一作目の副題は「罪と罰」になっています。

特に今までの復習やキャラクターの紹介もないので
軽く人物を復習してから見られることをおすすめします。

3部作1作目となる今回は常守朱の後輩である霜月監視官(cv.佐倉綾音)と
今回彼女のお目付け的役割の宜野座執行官が中心となり事件に挑みます。
アクションシーンも多く全体で60分なのですがそれ以上見ていた感覚でした。
60分の中で事件の始まりから終わりなので敵は結構あっさりとしています。
アニメでも何度か登場した思想犯、殺人犯の収容所、
映画の舞台はその収容所のうちの1つです。(アニメでは初登場)

一見しっかり更生プログラムを実行しているように見える施設、
その施設が抱える闇に霜月監視官らが挑んでいく展開になります。

男(おっさん)キャラが多い中で今回のCase1の癒しは佐倉綾音ボイスの霜月監視官、
彼女の作画だけはサイコパスでは可愛いを重視しているような気がします笑
映画館は満席で宜野座の美顔を求めていた女性の方も多くおられました。
でも今回の宜野座執行官はとてもかっこよかったですね。
アニメの記憶が薄れているのですがこんなにかっこよかったけ?で見た後も思っていました。

主題歌については
1期のアニメの曲のRemixでした。
意外に良かったのでCD音源化してほしいです。

まだ1作目で今後のストーリーにつながりがあるか分かりませんが
今作もいつも通りのシビュラシステムでした。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 10

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

罪と罰というのは、悪い奴らの行動と末路を指すのかな?

 ある施設から逃亡し、身柄を拘束された女性から、話が進んだお話だったです。

 この女性は何者で何が目的だったのか?、裏に陰謀の渦巻くような影があった感じです。この施設で何が行われて、この女性は何をしようとしていたのかが、トントン拍子に進んだですねです。case.1なだけに一話完結形式だったです。

 業とらしくおとりを使って獲物を引っ張ろうとする、組織的な施設の悪い奴らのやり方は、よくありがちに思えたです。

 その女性を通して陰謀をしり、核心に迫り、悪い奴に追い詰められながらも逆転する展開は、あらゆる手際が良すぎて、どこかあっけない感じがしたです。分かりやすいといえばわかりやすかったのですが、あまりにはやく解決されてしまったように見えるです。

 これが、正義の味方の行動力なのでしょうか???です。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 6

75.6 13 サスペンスアニメランキング13位
PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3「恩讐の彼方に」(アニメ映画)

2019年3月8日
★★★★☆ 4.0 (163)
976人が棚に入れました
3つの物語の舞台は約100年後の日本とアジア――その現在、過去、未来に起きる事件が語られる。事件に立ち向かうのは、規定値を超えた〈犯罪係数〉を計測された〈執行官〉たちと〈シビュラシステム〉が適性を見出したエリート刑事〈監視官〉たち。犯罪を未然に防ぐために必要なものは、猟犬の本能か、狩人の知性か。事件は思わぬ事実を明らかにし、世界のあり方を映し出す。これまで語られていなかった『PSYCHO-PASS サイコパス』のミッシングリンクがついに紐解かれる。

声優・キャラクター
関智一、諸星すみれ、本田貴子、志村知幸、磯部勉、高木渉、鶴岡聡
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

終わりなき自分探しと居場所探しの果てに……

少し前、世界を旅すれば人生の指針も自分も発見できると言う、
旅万能論に基づいた自分探しの旅がもてはやされた時代がありました。

実際には、サッカー選手が世界を旅して改めてサッカーに関わりたいと思い直す。
くらいの心のリフレッシュ効果があれば良い方で、
旅先で人生前後不覚になり“沈没”するリスクまであると言うのに。
俺は旅で夢を見つけたと自身の半生を伝説化する経営者など、
旅が美化される風潮に私はある種の気色悪さを感じたものでした。


このような捻くれ根性で、本作を劇場鑑賞した私にとって、
狡噛慎也が長い放浪の旅の果てに辿り着いた、
ヒマラヤを望む「チベット=ヒマラヤ同盟王国」
その絶景はシャンバラさながらの理想郷の姿をしながら、
内実は、麓の都市文明同様……いやそれ以上に矛盾を抱えたディストピアそのもの。

因みに現実のヒマラヤ山麓も、麻薬問題、貧困による児童人身売買が横行。
“幸福度世界ナンバーワン”の触れ込みで度々来日してくる某王国も、
足下では内紛の火種を抱えているのです。

この世の果てとも言うべき、“世界の屋根”に至っても尚、
人は、狡噛もまた、己が背負う過去や宿命から解放されることはない。
作品内世界、リアル世界共に、乖離しがちな理想と現実に
私は苦虫を嚙み潰しながら、
復讐に囚われた少女と向き合う狡噛の姿を見ていて、
もう旅もそろそろ終わりで良いのでは?と何度も語りかけたくなりました。

さらに極めつけだったのは黒幕の所業。
(※重大なネタバレ有)
{netabare}傭兵ガルシアに至っては、平和維持活動による世界平和という理想郷を演出するため、
鎮圧すべき紛争を自作自演して、己の存在意義をでっち上げるマッチポンプぶりを披露。
過去の自分の理想像に囚われ、シャンバラを汚す人間の姿はどこまでも哀しいです。{/netabare}

よって……(※ラストの重大なネタバレ有)
{netabare}日本帰国の決断に至った狡噛の心情は筋が通っていると感じました。
狡噛が行った復讐とそれにより生じた諸々の葛藤のモヤモヤを晴す
万能薬は世界の何処にもなくて、
やはり、狡噛自身が、発端となった日本で解決する以外にないのだと納得しました。{/netabare}

結局、己の運命を決めるのは、旅先の壮大な自然風景ではなく、
自分自身の心の風景次第。
私の中の旅万能論への懐疑が一層、強まる(苦笑)
苦味が利いた有意義な映画鑑賞となりました。



主人公らを一新して迎えるTVアニメ3期は、本劇場三部作でも描かれた
シビュラが社会を統制するシステムとしての地歩を固めるため、
繰り広げて来た、霞ヶ関内での暗闘が引き続き背景になるものと思われます。

これまで厚労省のシビュラVS他省庁については、
本三部作第二部では、{netabare} 国防省{/netabare}の威信を失墜させる陰謀が明らかとなり、
TVアニメ2期では、{netabare}「パノプティコン」で社会基盤の座を争う経済省{/netabare}の野望粉砕の過去が明かされ、
他にも、政官の中枢にまでシステム末端を食い込ませる策士ぶりを見せています。

そして、今回、前作劇場版&本三部作を通じて次なるライバルとして
{netabare}外務省{/netabare}の暗躍が強調されました。
旧世紀、伏魔殿と恐れられた難敵。シビュラも相手にとって不足はないでしょうw
伏魔殿の手先たるフレデリカさんも金髪美人だし、巨乳だし、
スナイパーだし、雑賀流・心理学の使い手みたいだし、
何より“棄民”とかシビュラの痛~い所をネチネチと突いてくるし、
排除するにも一筋縄ではいかないでしょう。


ただ、本劇場三部作は2期、劇場版1作目と3期をつなぐ上で事前に予習必須なのか?
と言うと何とも微妙なところと思っていて。

3期を視聴していて、例えば、新主人公コンビの脇に回された旧作メンバー等を見ていて、
おや?こんな人間関係あったっけ?と気になった時なんかに、
或いは、黒幕が過去何をしていたのか知りたくなった時なんかに、
フラリと本三部作に舞い戻る感じでも遅くはないのかなと私は思っています。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 21
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

執行モード、無いほうがいいかも!

  狡噛慎也の滞在地域でのお話だったです。今までのサイコパスにない派手さはなく、悪くない出来だったかなぁです。狡噛と出てきた少女のふれあいは、人間味があったです。

 訪れた先で、絡まれる狡噛がいたです。{netabare}そこで、ガルシアというオッサンに命を助けられることにです。ガルシアを通し、次の目的地へです。

 武装ゲリラに襲われる難民バスを助けたことによって、その中にいた少女テイジンから家族の敵を討つため、戦う方法を教える先生になってほしいといわれるです。
 でも、狡噛はそんなテイジンを突き返すことなく、身を守る手段だけを教えることするです。

 そこから、展開が突然やってきて、話は進むのです。

 仇を偶然見つけるテイジン、仇を追った先で見たものは!です。復讐をするのか?どうするのか?事態は、思わぬ方向へだったです。

 その前からテイジンに復讐をすることはどういうことなのか?、一度人を殺してしまった先はどうなるのか?を説いていた狡噛だったです。テイジンに復讐をさせない事を願う、狡噛を見たです。その結果が、このシーンに関係するかもしれないです。

 いいと思っていた人が、実は・・・・・です。

 最後に狡噛が、選んだ行動は、テイジンに大きなものを残す結末だったです。{/netabare}

 不器用な狡噛の性格、人間性をを描いた展開だったと思うです。R12指定だったのは、あまりよくわからなかったけど、。{netabare}普通の入浴シーン{/netabare}だったのかなぁ???です。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 5

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

わたしの、先生になってもらえませんか

この作品が、2019年に上映された劇場版アニメ三部作のラストになります。
現在、過去、未来の三部作のうち、今回は「未来」に位置付けられる作品となります。


2116年に起きた東南アジア連合・SEAUnでの事件後、狡噛慎也は放浪の旅を続けていた。
南アジアの小国で、狡噛は武装ゲリラに襲われている難民を乗せたバスを救う。
その中には、テンジンと名乗るひとりの少女がいた。
かたき討ちのために戦い方を学びたいと狡噛に懇願するテンジン。
出口のない世界の緑辺で、復讐を望む少女と復讐を終えた男が見届ける、
この世界の様相とは…。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

作り手の粋な計らいを感じます。
まさか、2015年に公開された劇場版の後日談と、こんな形で出会えるとは予想だにしていなかったので…。
そっか、ここで狡噛が出てくるのか…
劇場版のラストシーン…あんな形で狡噛をばっさり切り捨てるなんて、奥歯に何かが挟まっていた感じはあったんですよね。
この計らいも計算されたモノだとは思いますが、頭の中で点と点が繋がる瞬間はやっぱり嬉しいです。

でも、点と点が繋がるのは狡噛の件だけじゃないんです。
第2作「Case.2『First Guardian』」でチラッと登場した方も本作ではキーパーソンになっていました。

しかし狡噛さん…
どうして自分の居場所を無くす…未来の可能性を削る生き方しか出来ないんでしょう。
狡噛の選択は概ね間違ってはいないと思うんです。

そりゃ、過去に超えてはいけない一線を超えたことはありました。
それが原因で日本から脱出せざるを得なかったことも理解しているつもりです。

ですが、SEAUnの事件の時…折角繋がることのできた旧知の仲間との接点まで
切り捨てる必要は無かったんじゃないかと個人的には思っています。

放浪の旅…吟遊詩人みたいで聞こえは格好良いかもしれませんが、特定の居場所を持たず、衣食住がままならなず、加えて狡噛の目指す先は何時だって戦場なのですから、命の保証だって無いんです。

確かに、狡噛が放浪の旅を続けていなければ、目の前で親を惨殺され復讐を誓ったテンジンとの出会いは無かったかもしれません。
ですが、彼がそこまで自分を徹底的に推し殺さなければいかねい業を背負っているとも思えないんです。
あくまで個人的意見ですけれど…

「あなたには救える人がいる…やることがある…」
物語の中で流れてきたこの台詞が耳に残っています。
この一言が狡噛自身の救いになったのではないかと思っています。
だって、物語の中で彼は物凄く大きな決断をするのですから…

一連の出来事の中狡噛が何を拾うのか…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングアニメは、3部作に合わせて全て刷新されていました。
主題歌はCase.1と変わらずですが、エンディングはリミックスされた「名前のない怪物」でした。
「名前のない怪物」って、原曲のクオリティが鬼懸かっているんですね。
だから、どの様な形に編曲されても格好良さが失われない、というのが分かりました。

アニメーション制作はProduction I.Gさんなので、クオリティは折り紙付きです。
3期視聴を待ってでも先に視聴する価値のある劇場版だったと思います。
これでようやく…待ち望んでいた3期が視聴できます。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 12

72.5 14 サスペンスアニメランキング14位
名探偵コナン ゼロの執行人(アニメ映画)

2018年4月13日
★★★★☆ 3.8 (140)
819人が棚に入れました
東京サミット開催の地となる東京湾の新施設「エッジ・オブ・オーシャン」。サミットが開催される5月1日には、2万2千人もの警察官が出動するという超巨大施設で、ある日突如大規模爆破事件が発生!そこには、全国の公安警察を操る警察庁の秘密組織・通称「ゼロ」に所属する安室透の影があった。サミット当日ではなく事前に起きた爆破事件と、秘密裏に動く安室の不可解な行動に違和感を禁じ得ないコナン。その時、現場の証拠物に残された指紋が、かつて警視庁に在籍していた毛利小五郎の指紋と一致してしまう!これは何かの陰謀なのか。小五郎の逮捕を巡って敵対し始めるコナンと安室。果たして謎の存在・安室透は、敵なのか、味方なのか? 「極秘任務」のカウントダウンは、既に“その時”へと動き始めていた―。

声優・キャラクター
高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、古谷徹、上戸彩、博多大吉
ネタバレ

Dkn さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

連載再開、TV放送898話、そして「ゼロの執行人」へ。

(未視聴の方は映画館に直行が一番!)


本作は、“真実を暴く者VS.正義を貫く者──魂がぶつかり合う極秘任務ミステリー!”の触れ込みで公開。
劇場版第22弾の、本編でも重要なポジションである人物「安室透」通称「ゼロ」に焦点を当てたストーリー。

公開してすぐ(2日目)に行ったので客の動員数も凄まじく人でごった返し、上映中の映画で一番人気がありました。
実際劇場に朝イチで行った時には先まで席は埋まっていて、予約席をとってなかったので泣く泣く次の上映にw

今回感じたことが、子供連れで見に来る映画なのか?なんて感じました。子供を意識したポイントや工夫はいくつか
あったものの“真実を暴く者VS.正義を貫く者―― の見出し通り《警察、公安警察、弁護士、検事》が中心の話。
専門用語や各組織の難しい仕組みが入るために、大人は大丈夫(?)ですが子供は100%で楽しめないでしょう。

とはいえ見せ場もありかなり楽しめました。ストーリーで個人的に何箇所か引っかかりましたが、アクションは
年々パワーアップしていて特に今回はすごい。子供も、内容はあやふやでもその点で楽しんでいたかもしれません。
子供向けじゃないのは逆を言えば落ち着いた雰囲気だったということ。人によっては最高傑作になる気がします。

ネタバレ一切したくないのでこのへんで。



~愚痴~

劇場で隣の席の兄ちゃんが口臭キツイわ携帯いじるわで◯してやろうかと… やっぱり公開すぐの昼間はダメだw



《どうでも情報》

名探偵コナンの最新話を見逃したら〈ytvオンデマンド - 読売テレビ〉のアプリから試聴することが出来ます。

〈PCならコチラ↓〉
ytv MyDo!|読売テレビ公式無料動画

https://www.ytv.co.jp/mydo/

特別番組が上記サイト内で公開しています。
劇場版「名探偵コナン ゼロの執行人」公開SP今作のキーパーソン、安室透の謎!

でも、本編を見てなくて「安室透」を知らない人にも映画冒頭で説明がありますし、観なくても大丈夫ですよ。


《ネタバレあり感想》
{netabare}
アクション映画俳優、江戸川コナン!劇場版「相棒」でした(笑)

櫻井武晴が脚本やってて、TV版や今までの劇場版でも書いてる人でしたね。あと刑事モノ(相棒など)を書いてる
脚本家で、完全にテーマやドラマ展開が劇場版相棒。ネット犯罪も規模も犯人の動機もそれっぺぇなあと(笑)
相棒映画はテロ屋出すの好きですよね。

今回は小五郎のおっちゃんが捕まるし、蘭も空手やらない。警察のいつもの面々はポイントで活躍してましたね。
高木刑事が公園でコナンと密会してシリアスやってる時とか結構好きでした。高木くんいつか巻き込まれそうでw

あとガンダム声優がまた増えて、こんどはカミーユ(風見裕也)でしたねwもう衛星落下がコロニー落としにしか…
本編でも風見裕也は出てくるんでしょうか?協力者のくだりなど、国家権力に対して危険な台詞が多い気がします。
ドラマの脚本家らしいです。一般層客向けな、上司や会社やら国やらにムカついてる人のための脚本ですよね。
そこはちょっと狙いすぎてて嫌だなと思った。あと、この脚本家さん、新一と蘭とのイチャイチャ書くの苦手そう。

ゲスト声優が喋ってる時、下手すぎてしかめっ面ですわ。これほどヒドイのは業火の向日葵以来かもしれない?


ちなみに。。

公開前にコナンファンの方から本放送の最新話で前日譚があるから、それを観たほうがいいよと言われ観ました。

第898話「ケーキが溶けた!」事務所の下にあるポアロで起こる、なんてこと無い事件が見事に映画に繋がる話。
ポアロで出すケーキが冷蔵していても溶けてしまう。問題は横にあるネットを介して遠隔操作できるポッドの蒸気が
タクシーの無線と混線した結果、誤作動をお越し冷蔵庫の吸気口から入ってしまっていたことだったという話。
博士の研究所でも動かしてないはずのドローンが、家の横をタクシーが通った時に誤作動で壊れてしまったりと、
本編で使われたトリックやドローンなど、映画の為に書き下ろされた話で劇場でテンション上がっていました。

あと、「ふうん・・キミは大切な人のためならどんな捜査でもするんだ・・」と笑みを浮かべながら言う安室さん。
映画のラストシーン、コナンを本気にさせるためだったという台詞に繋がって、ウヒョー!とテンション爆上がり
ここが今回の事件に巻き込むと決めたキッカケになっていたのですね。安室さんは手段を厭わない感じが好きです。

「博士って・・キミに面白い道具を作ってくれるあの博士?」「う・・うん?」「そお(ニッコリ)」も、
博士にグリーンバックで合成してもらい、ドローンを落下する衛生にぶつける作戦へとつながっていました。

「安室さんって・・ケーキが崩れた原因じゃなくて、崩れないケーキのレシピをずっと考えてたの?」
「そうだよ?だって、それがボクの仕事でしょ?」ここもですかね。探偵と公安警察の違い。怪盗と探偵みたいなw

東京サミットの回覧板は言うまでもないですけどね。ラストで映画の最終決戦の舞台を映してフェードアウト。

福山雅治のEDが流れた時に妃英理(蘭のお母さん)がメシマズで小五郎のおっちゃんと喧嘩になる日常の一コマ。
安室さんが察して898話で出たポアロのモーニングで出してる特製のミルクトマト煮を持ってくる。細かいですね~。
半熟ケーキもあったかな?覚えてないや。

他に何か気づいた人教えて(*´ω`*)


映画ラストのアクション、やり取り、コナンの問いに対しての安室さんの台詞は素直に好きだと思っちゃいました。

ラストのメチャクチャな一連の流れ含め印象に残った映画。
{/netabare}

うん!面白かった(*´艸`*)(笑)

投稿 : 2024/12/28
♥ : 14
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

都合良く使われる言葉 巻き込まれ迷惑する人たちのことも考えよう!

 TV放送とリンクしていたので、今年もコナンの映画見に行ったです。

 喫茶ポアロで、安室の作ったケーキが冷蔵庫で解けて崩れてしまった事件の解決後が、この「ゼロの執行人」になるです。

 安室が警備していた東京サミット会場で、爆破事件発生となるです。またお決まりの爆発だったです。それを事故として処理されないようにするため、僅かな証拠から毛利のおっちゃんを犯人にする展開です。
 コナンが欄のためにも、無実を証明しようと活躍する物語だったです。

 見つけられた証拠自体も後に、その展開に至るまでも硬骨に仕組まれたものなのは、コナンの活躍などで明らかになっていくです。

 今回の犯人は、最後の方になるまで前作と違い分からなかったです。

 その犯人にも関連して、この映画で後半よく耳にしたのが、「正義のため」にという言葉です。これを言っている人達の言葉は、自分たちの中だけの正義にしか見えなく、関係のない人も平気で巻き込んでいいとも取れてしまうことろが、アニメにしても許しがたく感じる面あったです。

 物語としてやや難しくも感じたのは、警視庁、検察庁、東京地検のあり方が毛利のおちゃん逮捕によって、それぞれの違いだったです。子供が見ても、こんがらがるとことがあるです。

 にしても、たった一人でこれだけの大規模な犯罪を行うことができたのも、劇場版のコナンならではだったと思ったです。
 この事件に絡む犯行の手口、IOテロ、匿名通信システムの利用が巧みであることが一般の人に真似できそうもない特殊な手口だと思ったです。

 最後に近づくにつれ、手口を通して、信じられない光景を見ることになるです。このピンチを救うのが、あの三人組だったりだけど、見てのお楽しみです。

 迫力あったのは、コナンの乗る安室の車のアクションシーン。安室のドライビングテクニックは、凄かったです。CGがうまく使われていたです。人間離れしたコナンのサッカーボールも凄かったです。

 上手くコナンが、安室に載せられたような結末だったです。スリリングにやや面白さと、キザったらしい安室は、正義正義と何言っているのか?正義の破棄違いをしているようで、訳が分からなかった気がするです。「これでいいのか?」だったです。

{netabare} 来年の予告もあるですが、アニメの主人公になってTV放送されたみんなの知っているあのキャラが、活躍するみたいです。{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 7
ネタバレ

郷音 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

真実を暴く者vs.正義を貫く者 魂がぶつかり合う極秘任務“シークレットミッション”ミステリー

2018年公開映画。シリーズ22作目。

今作はコナンと公安の安室透がメインで物語が進んでいく。

{netabare} しょっぱなすぐに劇場版名物の爆破が起きたのは笑ったw

ドローン飛ばしすぎなw

灰原が完全にお母さんポジになってた

探偵団の子供3人に一国家の運命託すとか正気かよw

安室さんのスポーツカーの速さと対等に進むコナンのローラースケートすごすぎ

安室さんの車もボロボロになってもあの最高速とかありえんわ

あと増強シューズって1日1回しか打てないと思ってたんだけど記憶違いか…

前作大活躍だった平次と和葉が一切出てこなくて残念でした

{/netabare}

個人的に今作は面白かったけど、正直前作のほうが好きでした

ちょっとね、学がない俺には話が難しかったですね…

投稿 : 2024/12/28
♥ : 2

60.3 15 サスペンスアニメランキング15位
いばらの王 King of Thorn(アニメ映画)

2010年5月1日
★★★★☆ 3.5 (180)
812人が棚に入れました
謎の奇病“メドゥーサ”が世界中にまん延し、人類は治療法を未来に求めることに。カスミ(花澤香菜)をはじめ選ばれた160人は、古城に作られた冷凍睡眠施設で眠りにつくが、目覚めるとそこは異様な空間に変わり果てていた。仲間たちが正体不明の奇獣に襲われ次々に命を落とし、何とか生き残ったカスミたち7 人の命懸けの脱出が始まる。

声優・キャラクター
花澤香菜、森川智之、仙台エリ、大原さやか、矢島晶子、乃村健次、三木眞一郎、磯部勉、廣田行生、川澄綾子、久野美咲、織田圭祐
ネタバレ

manabu3 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

いばらの道を行く、少女の成長物語

この作品のキーワードは、【人類の進化】、【夢と現実】、【少女の成長物語】、だと思う。
SF好きの方に、是非オススメのSFアニメ映画。

■あらすじ
多くの方がこのアニメを「モンスターパニック」ものだと解釈しているが、私はそうだとは思わない。
確かに、序盤は、映画『エイリアン』を彷彿させるようなモンスターパニックではあった。
しかし、中盤から終盤は、童話『眠れる森の美女』のオマージュであったり、映画『2001年宇宙の旅』や『2010年』を想起させる作品であった。

■感想(ネタバレ)
【夢と現実】
{netabare}今いるカスミは彼女の姉シズクが願った「生きてほしい」という「夢」から生まれた存在だったけれど、、「俺たちの存在も、案外、誰かの夢かもしれない」―そう言ったマルコの言葉は、カスミを励ますためだけではなく、案外、彼の正直な思いなのかもしれないと思った。
この世界や我々は、誰かの夢なのかもしれない。そういう気持ちは理解できる。
そして、そのわけのわからない誰か(創造者)も、この物語のシズクと同じように「生きてほしい」と願って私たちを生んだのだと思う。この物語が伝えたかったことはそこにあるのではないか。つまり、私たちが存在するのは、「誰か」が生きてほしいと願ったからだと。
「この世界は誰かの夢にすぎない」。そういうことに、虚無感や無意味さを抱くのではなく。
ある人たちにとっては、そのわけのわからない「何か」を「神」と呼ぶのかもしれない。海外の人たちの評価が高かったのは、そこらへんに何か共感を得たからではないのだろうか。{/netabare}

【人類の進化】
{netabare}人類は果たして進化するのかどうか。人類の歴史は凄く浅くて、地球にもっとも長く存在した生物の一つとして恐竜(ゴキブリはまあ置いといて)という種がいたけど、恐竜は何億年という年月をかけて進化し続けたのだろうか。そんなことを思うと、人間も必ずしも進化するとは思えないし、生物として特別優れているとも思わない。
人類の進化に対する「限界」や「希望」を、この作品では「メドゥーサ」に託した。メドゥーサは決してただの石化ウイルスではない。他の作品でいうところの、『2001年宇宙の旅』や『2010年』の「モノリス」に該当する。外的要因に進化を託すことはロマンではあるけども、なんだか人間やこの社会に対する「行き詰まり」を感じたりもする。{/netabare}

【少女の成長物語】
{netabare}当初の主人公カスミは、一人で生き延びるくらいなら姉と死ぬことを選ぶほど、弱かった。それでも物語を通して彼女は見事に成長していったと思う。彼女は実はオルタナティブ(分身)だったけど、マルコの言葉で救われた。
これからどうするの?と聞く不安そうなティムに、あなたのパパとママのところに行きましょうと答えるカスミ。
そして以前シズクに言われた「願いのないところに、奇跡は起こらない」という言葉を、笑顔でティムに伝える。
笑顔で答えるティム。
カスミの顔には、以前のような弱気な表情はなかった。
カスミとティムが歩みだした道の様相は、ひび割れていて、まるでいばらの道のようだった。
そのいばらの道は、地平線の果てまで、ずっと続いていた。
この先、この世界と彼女たちがどうなるのかはわからないけど、これからカスミは、シズクが居なくても、強く生きていくのだと思う。{/netabare}

■個人的に好きなシーン
{netabare}眼鏡を外してコールドスリープの中に入るカスミ。
愛しい姉と別れ、コールドスリープの中で永い眠りにつく彼女は泣いていた。
100年後に目覚めるとき、そこには愛する姉はもういない。
彼女たちは双子だから容姿は良く似ている。だから、20歳の時は20歳の、40歳の時は40歳の、100歳の時は100歳の、「あなた」を、鏡を見るたびに思い出すのだろう。{/netabare}

以下は自分なりの解釈

■メドゥーサの正体
{netabare}メドゥーサは宇宙から飛来したものだが、その正体は石化ウィルスではなく、「生物の進化を促す存在」である。まるで『2001年宇宙の旅』に出てくる「モノリス」だ。
始めの「適合者」はアリス。メドゥーサに感染しても石化しなかった。彼女は、空想からオルタナティブ(代わりの存在、分身)を生み出す能力を得た。ヴェガが言う、まさに人間の進化の形だった。{/netabare}

■コールドスリープの目的
{netabare}メドゥーサ(精神寄生体)の感染者は、石化する前、トラウマという精神的傾向をおこし、「精神の集中」をもたらすことがある。
ヴェガは言う。「今まで生物が進化してきたのは、進化した姿を想像することができ、そう願ったからだ。しかし、今の人間は、外界からの刺激や己の理性が原因で、自らの意志の力だけでは精神統一が出来ず、“空想の中に浸り続けることは出来ない”」と。
ヴェガはメドゥーサの感染により精神の集中をもたらし、進化の可能性が飛躍的に高まった患者を呼び集め、コールドスリープを用い、進化を促す実験を始めた。これがコールドスリープ計画の実態ではないだろうか。ヴェガは人類の進化を天啓とし、そして度重なる実験により死んだアリスへの報いをしたかった。
コールドスリープの本当の目的は、未来にメドゥーサの治療法を託すことではなかった。{/netabare}

■あとがき
2時間という枠組みということもあり、説明不足の感が否めなかった。
また序盤のモンスターパニックに対して、終盤の展開があまりにも駆け足で描写されたために理解が追い付かなかった。
海外での評価が高いのは、恐らく、童謡『眠れる森の美女』や映画『2001年宇宙の旅』などの知名度が日本と違って高いからだろう。

しかし「説明不足」の作品というのは、一方では「考察する余地がある」ということでもあると思う。
そんな作品に思惑を巡らすのも面白いかなと。
是非この作品を見て、感想や思いを共有してくれると嬉しいです。
素晴らしいアニメだと思います。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 11

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

願いのないところに奇跡はおこらない。

岩原裕二による日本の漫画を原作とした劇場アニメ。
2010年5月1日公開約110分。制作サンライズ。

ハリウッドが実写作りそうな如何にもな内容の作品。
初めて視た時は可也衝撃的だった・・

SFサバイバルアクション&サスペンス

妖怪アニメと括っている局も有るようですが・・

私が見た限りでも数々の映画の特化映像を取り込み
要所・・随所に盛り込まれてるけど違和感はない。
そういう意味ではできる事は全てやりましたって感じ。
真実を知る事の怖さというかトラウマになる内容かも。


主題歌
「EDGE OF THIS WORLD」(アリオラジャパン)
歌・作詞 - MISIA / 作曲 - Sinkiroh / 編曲 - Gomi

キャラクターデザイン - 松原秀典
モンスターデザイン - 安藤賢司
メカニックデザイン - 山根公利

治療法のない謎の石化病、通称『メドゥーサ』。
奇病に蝕まれた世界の人々、その中から選ばれた160人
は未来に可能性を託し、冷凍睡眠(コールドスリープ)
についた・・しかし覚醒めた少女が見たその世界は・・


カスミ・イシキ(花澤香菜)日本人、15歳の高校生。
双子の姉妹でメガネをかけた黒髪セミロングの少女。
生存者とともに"いばらの古城"からの脱出を試みる。

マルコ・オーエン(森川智之)刑期60年の囚人。
粗暴で屈強なイレズミの男。非常に行動力が高い。
何らかの秘密を抱え"いばらの古城"の構造に詳しい。

ロン(乃村健次)アメリカ人。屈強な黒人。元警察官。
マルコを信用せず「裏切り者」扱いしたり、言動が粗い。

ティム(矢島晶子)ドイツ人。モンスターに詳しい。
7人の中で最年少。キャサリンを「おばちゃん」と慕う。

キャサリン(大原さやか)オーストラリア人。看護士。
ティムを気遣ったり面倒見の良い。良くヒスを起す。

ピーター(三木眞一郎)アメリカ人。技師。
メガネをかけた細身の男性。7人の中ではフォロー役。
古城の構造に詳しいようで、時折不可解な言動も行う。

アレッサンドロ(廣田行生)イタリア人。59歳。元政治家。
コールドスリープ資格者の権利を大金で買った上院議員。

シズク(仙台エリ)日本人。カスミと双子の姉。
カスミ同様にメドゥーサを発症していたが、人工冬眠
の抽選に漏れてしまい、カスミのトラウマになっている。

アリス(久野美咲)謎の少女。
最初の“メドゥーサ”の適合者にて最古の被験者。

アイヴァン・コラル・ヴェガ(磯部勉)ロシア人。45歳。
化学メーカーCEOヴィナスゲイトの代表。

ローラ・オーエン(川澄綾子)マルコの妹。大学生。
国籍はグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国。

ゼウス劇場版では単なるモブ扱いとして一瞬写るのみ。

ウォルター(藤田圭宣)アメリカ人。NSA局員。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 5
ネタバレ

ブレッド さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

複合パニック物

視聴前データ
原作・未
事前評価・あり
絵を見た第一印象・良
多少グロあり

 いわゆる予告編を見て一目惚れした作品ですね。まぁ、面白くない予告編などないという話もききますがw

 致死率の高いウィルスから人類を守るために行われた、大規模なコールドスリープ。その中で起こる事件に巻き込まれる人々の思惑や行動を描いた話です。

 個人的な感想をいわせてもらえれば、かなり楽しめた作品でした。期待通りか、それ以上の作品でしたね。

 衝撃度、感動、話の展開などを考慮してこの評価になっております。

 ただ{netabare}予告編になーんか騙されてるような節はいくつかありましたね。モンスターパニック物だったのはわかっていたからいいんですが、その演出で何百年後の世界だと思わせたり、主人公の双子の姉がいたということを知らずに予告編を観ると違う展開を期待させてたり{/netabare}と、これらの要素が相まって評価が全体的に低いのかなーとも思いましたが、私としては面白かったですね。

 確かにラストのほうはちと大味になってしまった感は否めませんがw

投稿 : 2024/12/28
♥ : 2

68.6 16 サスペンスアニメランキング16位
グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION(アニメ映画)

2019年3月15日
★★★★☆ 3.5 (114)
572人が棚に入れました
“国の組織CIRS(サーズ)"によって新たに作られた、特殊技能訓練校「美浜学園」… 様々な理由で行き場を失くした少女たちに与えられたのは、銃と実弾。 拳銃を使用するレナ、狙撃を得意とするトーカ、爆弾と情報処理のクリス、諜報活動担当の忍者ムラサキ。 彼女たちは、日々、SORD(ソード)のメンバーとして、警察や自衛隊には解決できない事件にあたり、危険な活動を繰り返す。K県U港――。入国予定だった要人が突如として姿を消した。 SORDのメンバーは失踪事件の捜索を開始するが、消えた“荷物"を捉えようとする度に、もう少しの所で逃げていく。 姉妹校『京船桜が丘』のSORDメンバーである、双子姉妹との協力、および確執。 そして――夜の街を疾走する謎の女ライダー「ソウルスピード」・マキの噂――。 追跡はやがて壮絶な死闘となり、心身ともに引き裂かれてゆく。…しかしそれは、レナたちの出逢いにまで遡る過去への旅でもあった。

声優・キャラクター
内田真礼、佐倉綾音、名塚佳織、種﨑敦美、南條愛乃、代永翼、井澤美香子、行成とあ、近江知永、北垣内春香、ブリドカットセーラ恵美、須藤翔

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

Gun&Girlsの1つの到達点!ぽよよんろっく美少女が!!ぽよよんろっく美少女を!!!ブッ飛ばす!!!!

PCアドベンチャーゲームを原作とした『グリザイア』シリーズの第4作…
なのですが正直に申しますとオイラ自身が『グリザイア』シリーズにはあまり明るくない;
ですので今作に関しては“エロゲではない(全年齢対象)”ことに加え“エピソード毎にパッケージを小分けにして発売しており原作は未だ継続中”ということ以外よく知らない、というのを前以って断っておきます
それを踏まえても今作は大変素晴らしい作品だと評価しているのは、前作までの世界観を踏襲しつつも登場人物を一新、尚且つ全年齢対象ということで作風も多少変えてきていることにあります
もうとにかくこの手のジャンルが好きな人には堪らない一作に仕上がっていると思いますね


国家の諜報組織CIRS(サーズ)の諜報部員養成機関として再建された美浜学園
そんな殺し屋養成学園で学生ながらに実際に汚れ仕事の現場に立つ、SORD(ソード)と呼ばれる5人の学生
伝習員(ハンドラー)のハルト、拳銃使い(シューター)のレナ、狙撃手(マークスマン)のトーカ、情報処理と爆発物のスペシャリストのクリス、ロシアン忍者のムラサキ
そんな非常識な学園に新任教師として赴任してきた有坂秋桜里(アリサカシオリ)
あくまで庶民な有坂先生だが一般教科と生徒達の精神衛生管理を任される
あまりに非日常的な生徒達の生活に距離感を計れずにいた有坂先生だったが、そんな矢先に不運にも彼女は暴力団に拉致されるという事件に巻き込まれる
有坂先生救出に実戦投入されるSORD達
SORD達の戦いを間近に観てしまった有坂先生は苦悩の末、SORD達に優しい大人として向き合う覚悟を決める
SORD達も殺し屋としてしか自分達を観ない大人がほとんどの中で気心許せる存在になった有坂先生を受け入れる…
そしてSORD達に下された次なる指令は行方不明になった要人の捜索
その事件の影には、幼き日のレナと姉妹の契りを交わした、レナと同じ孤児出身の殺し屋であるマキの姿があったのだが…


北米圏のヲタクの間では今作の様に美少女キャラがガンアクションを行う作品のジャンルを「Gun&Girls」と呼ぶのですが、そんなGun&Girlsとしては1つの到達点を築き上げたと呼べるほどハイクオリティな作品に仕上がっています


アニメ化に際してCAMPFIREとKICKSTARTERでクラウドファンディングを募り、国内外から多くの援助を受けて潤沢な資金を確保
天衝監督と過去の『グリザイア』シリーズのメインスタッフで立ち上げた新興制作会社のバイブリーアニメーションが制作を担当
原作ゲームの原画も担当しているぽよよんろっく先生こと渡辺明夫が自らキャラデザ&総作監
これが特に凄くて、渡辺さんが自身のキャラをここまで長尺に渡って丁寧に描いたのは、恐らく初めてじゃないか?と思う作画クオリティなのです
アクション作品ということもあって戦闘シークエンスも動く動くw
特にクライマックスでのレナとマキの一騎打ちは、アクション作画が好きな人なら一見の価値があります
それに加えて何気ない日常シークエンスですらも良く動くことのなんのw
こういう露骨な萌えキャラデザでこれほどの作画クオリティを放った作品はかなり貴重だと思います


内田真礼、佐倉綾音、名塚香織、種崎敦美、南條愛乃…
といった豪華なキャスティングも良い意味で期待を裏切ると思います
なぜかと言うと、どのキャラも可愛らしい女学生という面と殺し屋という面の二面性を持ち合わせており、その表裏のギャップをこの一流キャストが渾身のお芝居で表現しているんですね
特に南條愛乃の演じるマキの豹変っぷりは怪演を通り越して気持ち良さすら感じます


今作は原作のvol1とvol2をテレビ放送なども全く考慮していない1エピソード約45分というたっぷりの尺で描いておりますが、どうやら今後登場するキャラやまだまだ掘り下げられていないキャラもいる模様


このクオリティ、このゆったりとしたテンポ感で作ってもらえるのなら是非とも続編を作って頂きたい!
と、渇望してやまないです


内容はホント厨二病の極みwと、いうかGun&Girlsというジャンルは全部そうなので受け入れ難い人は少なからずいると思います
んだけんども、オイラはそんなのどうでもいいんですわw
好きなんですわw
Gun&Girlsってw
けみかけは『グリザイア:ファントムトリガー』を応援しています!


個人的なお気に入りはムラサキちゃんですかねw
口を開くたび妖しい声を出す怪演声優こと種崎敦美のお芝居も相まって不気味さと可愛さとが絶妙に混在してるのが堪らないw
ニンニン

投稿 : 2024/12/28
♥ : 3

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

過去を打ち抜くたび、少女は大人になる―。

この作品の前進である「グリザイアの果実」「グリザイアの迷宮&グリザイアの楽園」は視聴済です。
主人公だった「風見雄二」は確かに格好良かったですけど、印象強く残っているのは彼と一緒に美浜学園で学ぶ5人の少女たち…
中でも物語後半で見せてくれた入巣蒔菜と小嶺幸の雄姿は今でも脳裏に焼き付いています。


日米合同対テロ組織「防衛省中央調査部諜報2課分室」通称CIRS、会場油田爆発事故が引き金となりその存在は公のものとなった。
秘匿組織としてのCIRSは刷新されて以降、極秘活動を引き継ぐ形で新組織SORDが発足された。
将来的に国防を担う人材の育成を目的として設立されたSORDは、全国各地の学園組織に間借りする形で展開していった。
廃校後、私設の解体費用もままならぬまま放置されていた「美浜学園」は個人に買い取られ、新たに「特殊技能訓練校」としての役目を得た。
そんな学園で、様々な理由で行き場を失くした少女達に与えられたのは銃と実弾。
国防の名目のもとに、彼女たちは命すらも顧みることのない危険な超放棄的活動を繰り返す。

どうせ磨り潰される命なら、銃を手にして戦うことを選んだ少女達の未来は…?


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

前作のヒース・オスロと風見雄二との確執、そして5人の少女たちによる大奪還劇は記憶に新しいです。
そう、グリザイアといえばこの6人という図式が出来上がっていたのですが、この作品では登場人物が総入れ替えになっていました。

そういえば前作で風見雄二と5人の少女たちは無人島に移住していましたからね…
思い返してみるとその島にも美浜学園が出来たと記憶しているのですが、きっと分校だったのかもしれませんね。
きっと今頃みんなで悠々自適な生活を送ってるんだろうなぁ…
でも一人だけ今作でも登場するキャラがいますけどね^^

そんな皆さんの生活っぷりも気になるところですが、
本作は序盤からそんな懐かしい思い出など一瞬で打ち消す展開から物語が始まります。
しかも声優さんの配役もバッチリ決まっているので、迫力と見応えは抜群です。

主要登場人物と声優さんを紹介させて貰います。

深見玲奈(CV:まややん)
獅子ヶ谷 桐花(CV:あやねる)
鯨瀬・クリスティナ・桜子(CV:名塚佳織さん)
狗駒 邑沙季(CV:種崎さん)

作り手の皆さんは、誰に誰を演じて貰うのが一番良いかをちゃんとご存知でした。
どうです、この非の打ちどころの無い布陣は…?
彼女たちが役どころをキッチリ把握した上、完璧なまでの演技でキャラに命を吹き込んでいるんです。
そんなキャラが画面一杯所狭しとぬるぬる動くのだから堪りません。

視聴を進めていくうちに少しずつ明らかになるのは彼女たちの生い立ち…
ここまでで分かるのはごく僅かなことだけ…
生まれ育った環境はお世辞にも良いとは言えず、物心のつく頃には人生の選択肢を迫られる…
選択肢といっても2択しかないんですけどね。

久しぶりに見た美浜学園…そして彼女たちの宿舎は前作のまま登場するので
懐かしさを感じるところですが、彼女たちは前作より相当追い込まれた窮地で生きている…
その窮地こそ自分たちの居場所だと思っている節を感じました。

それを決定付けたのがこの台詞…

「―私達は、この世界に生かしてもらっているんですよ…。
でも、生かしてもらっているだけではダメなんです、
それじゃあ生きている意味がない。
だから、生かされるだけではなく、自分の力で生きるんです、
戦い抜いて、生き残るんです。
そして生き残った子だけが、生きることを許されるんです―」

彼女たちは花の女子高生なんです…
年相応の女の子が追い求めているのは、保護者の庇護のもとで恋に化粧やファッションetc…
自分を着飾ることで目一杯なお年頃の女の子の口から出る台詞とは到底思えないんですが、これが彼女達の抱える現実なんですよね。

私も年相応の生き方しかしてこなかったので偉そうなことは言えません。
だからこそ自分で歩めなかった道を一歩一歩進んでいく彼女たちが輝いて見えるのかもしれません。
彼女たちが自分の存在意義をどの様に認識しているのか…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、黒崎真音さんの「幻想の輪舞」
エンディングテーマは、南條愛乃さんの「サヨナラの惑星」
この作品における2人のコンビも鉄板になりつつありますね。

OVA全2話の物語でした。
物語は全然完結していませんが、「#03 スターゲイザー」のアニメ化プロジェクトが始動しているのは嬉しいお知らせです。
どの様な形でお目見えできるかは未だ分かりませんが、視聴できるのを楽しみにしています。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 7
ネタバレ

やまげん さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

画がきれい

原作ゲームはプレイしていない。テレビアニメシリーズは視聴済み。

テレビアニメシリーズと同じ世界観だが、キャラは一新されている。

かなりきれいな作画で、銃器を使った派手な戦闘シーンなどもあり、映像としては見応えがあった。

ただ、レナ以外、キャラの掘り下げがなかったのは残念。それもあって、物語には少し物足りなさを感じた。

{netabare}ムラサキのエセロシア語、というかただ日本語をロシア語っぽくしゃべっているだけの部分は、字幕が出ていたこともあって、最初はほんとにロシア語かと思った。相手には通じてないし、しゃべってるのは日本語だし、あの字幕は一体誰向けの字幕だったんだろ{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 0

67.1 17 サスペンスアニメランキング17位
11人いる!(アニメ映画)

1986年11月2日
★★★★☆ 3.6 (74)
413人が棚に入れました
少女漫画としても、SFとしても評判が高い萩尾望都の代表作をアニメ化。宇宙船という密閉空間の中で、サバイバルを行うことになった異星人たちの対立や葛藤を描くSFサスペンス。同時上映は新井素子原作の「扉を開けて」。遙か未来、惑星シベリーヌ出身の少年ダダは、3年に一度行われる宇宙最高峰の大学“コスモ・アカデミー”の入学試験に臨んでいた。最終試験は、10人の受験生たちがひとつのグループになり、漂流する宇宙船の中で53日間サバイバルを行うというもの。しかし、集まった受験生たちは11人いた!

ねこmm。 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「直感は狂わない 狂っていては直感ではない……」  【ねこ's満足度:70pts】

宇宙最高峰の大学『コスモ・アカデミー』の入学試験に臨む全宇宙の受験生達。
超難関な試験の最終課題は、10人一組になっての宇宙船でのサバイバルでした。
決められた期間力を合わせて様々な困難に立ち向かい、
最後まで一人の脱落者も出すことなく無事試験を終えることができれば合格というもの。
ところがいざ始まってみるとなぜか受験生は11人いて……。

1人多いことで受験生達は冒頭から猜疑心を持ちます。
どうして1人多いのか。その多い1人は誰なのか。いったいなにが目的なのか。
さらには次々と起きるトラブルによって、彼らは徐々に相互不信に陥っていきます。
その上、主人公ダダには思い出せない過去の記憶がありました。
宇宙船内という密閉された中でのサスペンス要素に加え、ダダの記憶に関するミステリー。
90分が短く感じるほどテンポよく、軽快に物語は進んでいきます。

声優陣は神谷明、田中秀幸、古川登志夫、玄田哲章、故・鈴置洋孝、若本規夫、TARAKO
といったいまや重鎮といってもいいほどの超豪華な顔ぶれです。
ところがヒロイン(?)役のフロルだけは、当時のアイドル河合美智子が担当。
この子の演技がとても残念なことに……。
さらに挿入歌も歌ってるんですが、この歌唱力がまたまた残念なことに……(笑)。
昔から映画のこういうキャスティングってあるんですね。
唯一にして最大の欠点がこのキャスティング。ホントに残念でした。

しかし、それ以外は中弛みもなくおおむね満足。
最後までドキドキしながら楽しむことができました。
さすがは知る人ぞ知る傑作、といったところでしょうか♪

投稿 : 2024/12/28
♥ : 33

kuroko85 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

古典ですね。当事はこれで十分です。

まだ、それほどアニメが社会的な地位を得ていない時代に、
大きくロードショーされた作品。
(原作が少女マンガだったので、少し恥ずかしかった記憶がある)
当事はこれで十分ですし、
プロットはしっかりしているので、
懐かしく見る分にはなにも問題はない。

宇宙最高峰の入学試験に臨んでいた各星を代表する
エリート学生達。
(その中には時期国王等がいたはず、、)
その最終試験は宇宙船に10人で乗り込み、
暫く共存生活を行うと言う物、、
だが、現場には1人多い「11人いた!」
王道というか、完璧なプロットです。
今でも、落ち(11人目の正体)や
主人公などの絡みを思い出せますが、
ほとんどがネタばれになるほど、、精密に仕組まれていた。
(しまった! レビュー書いていたら、もう一度見たくなってきた)

ちなみに作画の評価が低いのは、このタッチが好きでないからだけです。
(器量のない私を許してください)

投稿 : 2024/12/28
♥ : 7

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

SFマンガの名作。古典で素養です。フロルが魅力的でした。

 萩尾望都氏の作画があまり好きではなく、映画版の本作しか見ていません(マンガも一応は目は通してますけどね。じっくり読んではいません)。90分程度の話ですが非常によくできたSF作品です。設定・世界観はSFですが、心理劇、ヒューマンドラマの要素が非常に強いです。

 本作を見て思い出すのが「宇宙兄弟」の宇宙飛行士の試験ですね。「宇宙兄弟」が本作の影響を受けているというよりもそれだけ本作の設定がSF的にリアリティがあるということでしょう。「氷菓」の摩耶花がコスプレしたフロルとは本作の登場人物です。アニメ版だと恰好が違いますけど。

 この作品は岩手の座敷童の言い伝えそのものです。あとは子供を産めない、両性具有(というより性未分化)など、いろいろな人間がいて、それがヒューマンドラマに役立っています。視点はどうしても女性性を否定するフロルに行きますね。フェミニズムな主張が表現されています。

 地球にある道具や美術品などが語られています。明言されませんが人類文明の宇宙での広がりを感じさせます。この辺の言葉にしないで分からせるストーリーテラーとしての上手さは、SFに対する深い造形があればこそでしょう。
 逆に無理があるのが手術のシーンで本当にお前がやっていいのか?とか、爆破のシーンでそれ計算とか大丈夫なの?と思ったりしました。

 まあ、そういう設定がどうこうという話は置いておいて、やはりタダ、フロルを中心としたヒューマンドラマの話の組み立ては上手いです。名作と呼ばれるだけのことはあります。フロルの試験を受ける動機と結末に魅せるドラマがありました。そこの余韻もなかなかです。話それ自体も上手いですが女性の生き方に訴えるものがありました。萩尾氏は、フロルを描きたかったのかなと思われる魅力的なキャラでした。

 何より「11人いる」という題名、設定、テーマ、ストーリーが面白かったですね。日本のSFマンガのもう古典と言っていいでしょうね。古いという意味でなく、素養=見ておくべき作品、つまり名作ということです。

 アニメの作画はもちろん86年ですから古いしSF的な見せ場は少ないですが、ですが80年代の作品に時々あるような破綻もなく、丁寧で見やすかったです。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 5

60.2 18 サスペンスアニメランキング18位
バイオハザード:ディジェネレーション(アニメ映画)

2008年10月18日
★★★★☆ 3.5 (63)
366人が棚に入れました
1998年夏、米国中西部の工業都市ラクーンシティでバイオハザードが起こった。国際的巨大製薬企業アンブレラ社が開発したT-ウイルスが研究所から漏洩、市民が次々と感染しゾンビ化していったのだ。このバイオハザードを食い止めるため、米国政府は「滅菌作戦」としてラクーンシティにミサイル攻撃を行った。これによってラクーンシティは跡形もなく消し飛び、消滅した。アンブレラ社は政府から業務停止命令を下され、それが元で世界中でアンブレラ株が暴落、会社は事実上崩壊した。 しかし、これを皮切りにT-ウイルスはテロリストたちの手に渡り、バイオテロに利用され始めることとなった。

声優・キャラクター
山野井仁、甲斐田裕子、安藤麻吹、竹田雅則、矢島晶子、広瀬正志、江原正士、小山力也

62.1 19 サスペンスアニメランキング19位
青鬼 THE ANIMATION(アニメ映画)

2017年2月11日
★★★★☆ 3.3 (15)
82人が棚に入れました
関連動画が累計1億回再生された人気フリーホラーゲームで、ノベライズや実写映画化もされた「青鬼」を、オリジナルのストーリーとキャラクターでアニメーション映画化。ある地方都市の高校で、民俗学研究部の部員5人が、40年前に部が創設された当時の民話採集の同人誌を見つけ、そこに書かれていた「桔梗鬼」と呼ばれる怪物の伝説が、人気ゲーム「青鬼」の元ネタになっているのではないかと考える。そのことを、文化祭で行う研究発表のテーマに取り上げようと、「青鬼」のゲーム作者に会う約束を取り付けるが、作者は謎の死を遂げてしまう。その死に疑問を抱いた部員たちは、自らの手で謎を探り始めるが……。脚本に推理作家の我孫子武丸が参加。声優は、同じ「青鬼」原作のテレビアニメ「あおおに じ・あにめいしょん」にも出演する逢坂良太、喜多村英梨ら。

声優・キャラクター
逢坂良太、喜多村英梨、水島大宙、佐倉綾音、森嶋秀太、野島健児、日笠陽子、東地宏樹
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