コミカルでフランスなTVアニメ動画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画のコミカルでフランスな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月27日の時点で一番のコミカルでフランスなTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

65.9 1 コミカルでフランスなアニメランキング1位
ラディアン(TVアニメ動画)

2018年秋アニメ
★★★★☆ 3.4 (106)
474人が棚に入れました
トニー・バレントさんのマンガが原作で、魔法使い見習いの少年が、世界を救うまでの活躍を描いた冒険ファンタジー。友情や努力、絆、出会いと別れなどを通して少年が成長する姿や強敵とのバトルが描かれる。

声優・キャラクター
花守ゆみり、悠木碧、大畑伸太郎、朴璐美、小市眞琴、遊佐浩二、子安武人、山口勝平、吉野裕行、東山奈央、三宅健太、寺島拓篤、早見沙織、佐倉綾音、緒方賢一、木村良平、稲田徹、速水奨

匿名係長 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.2

高評価多いから見てみたけど

ネメシスという化け物が世界を荒らしている。
対処できるのは過去にネメシスに触れ呪いを受けた魔法使いだけ、しかしそんな魔法使いも忌み嫌われているという設定。

うーん、戦う理由が分からない。
小悪党が言っていた、助けてやっても感謝の言葉すらなく、頼られるのはネメシスが現れた時のみで、倒してもその後は掌返しって、、、
ホント、そんな奴ら助ける動機が見つからないと思ってしまう。
あるとすれば依頼されて倒すことで得られるであろう報酬くらいでわ?

加えて主人公が精神的に子供すぎるというか、バカすぎる。

何というか主人公の戦う理由が、カッコいい魔法使いになりたいとか、魔法使いが誤解されてるのがどうというフワッとしたもので始まっている事がこの上なく共感出来ない。

そこは過去に親を殺されたから駆逐してやる的な理由があって然るべきなのではないか??

どこからともなくやってくるネメシスの巣を見つける為に旅に出るらしいが、師匠がそんなものは御伽話であって、有るならとっくに誰かが見つけていると、、
ホントその通りである。

主人公はやってみなきゃ分からないと話を全く聞かない系だし。
結局旅立つとして、当ての無い旅なら現状と対して変わらないのではないか?
(主人公達が住んでる家は気球みたいな飛行船)
てか、全くの半人前である状態で旅立って何ができるというのか。

徳川の埋蔵金を見つけ出す!と言って子供が家を飛び出るようなものだ。

せめて何かしらの情報を手にしてから冒険スタート出来ないものなのか?
と、色々と思うところだらけなんですよ。

この後、仲間出来たり成長して強くなったり強敵と戦ったりするんだろうけど、こんなフワッとした状態でストーリー進んで面白くなるのだろうかと不安が大きい。

レビューでは高評価多いので、ちょっと期待しすぎていたのだろうか。
もちろんまだ3話までしか見ていないので、評価材料は少なすぎると思いますが、現段階では正直面白くないという感想です。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 2

ISSA さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

NHK王道冒険ファンタジーの遺伝子は?

地上波夕方ヒロアカの後は逆転裁判…
えぇまたこれかと思ってたら

裏番組のEテレで放送

監督:岸誠二(瀬戸の花嫁、月がきれい、あそびあそばせ)

声優
主人公セト:花守ゆみり
ヒロイン:悠木碧
他、豪華声優人多数…

異世界魔法ファンタジーかな?王道アニメに期待です!


4話まで視聴
思った以上にゆっくりした展開、ようやくヒロイン登場&冒険スタートって所かな?
ヒロイン役に悠木碧さんだった理由が分かる回でした。
さすが何種類も声出せる悠木碧さんにピッタリのヒロイン設定。

私的にNHK冒険ファンタジーアニメで思い出されるのが未来少年コナン、ふしぎの海のナディア
NHK名作冒険ファンタジーアニメの遺伝子は引き継がれてるのかな?

視聴完了
最近では珍しい2クール近い話数なのに安定した面白さは流石、NHKでした。
意外と政治的な主張があったり、モダンファンタジーアニメだった。
ファンタジーの割りに若干ワクワク感が足りないのがマイナスかな…
それは今期残した謎を解決してくれる2期に期待。

主人公セトを演じた花守ゆみりさん、少年役に違和感なくって最大の発見かも。
色々声出せて多くのキャラ演じれるのは悠木碧さんと思ってたけど、花守ゆみりさんもこれから少年役増えそう。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 21
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

起承転結の「承」に工夫が欲しい

2018年10月~2019年3月放送のTVアニメ。第1期全21話。
第2期が2019年10月より放送開始と発表されているので、今回物語評価は3のままにしてあります。

トニー・ヴァレントによるフランスの漫画が原作で、2019年3月現在、邦訳版が9巻まで刊行。私は未読です。

海外の漫画原作というのが気になったので視聴しました。
原作も日本の漫画を意識した作りだそうですし、アニメも違和感なく見られます。ただ序盤は独自性が見出せず、少し飽きてしまった時も。
作画は安定していましたが、もう少しコンテ・演出に工夫が欲しい。
エンドカードがいつも凝っていて楽しかったです。


【良かった点】
ストーリーは王道で直球勝負なのが小気味良く、反面、移民や魔法使いへの偏見と迫害が重くシビアな見所を作っています。この点は海外の作家の感性かな?
さらにアルテミス学院という明るい街が、重い世界観の中で清涼剤的な役割を果たしていて良かったです。
{netabare}
キャラクターの好感度がとても高かった。
意外と暗い世界観に対して、主人公のセトは物怖じせずいつも明るいので、辛い描写があっても見ていて引きずらないで済みました。
セト視点では描けない異端審問官側から世界観を見せてくれるドグラノフが対比的で、それも良かったです。
また女性キャラにそれぞれ個性と魅力があり、特にアルマが最序盤では物語を牽引し、テーマを明確に見せてくれました。
セトに対して母親たるアルマ、良き友人たるメリ、迫害された経験を共有しその死がセトの心の傷となるハーメリーヌ。この3人は立役者だと思いますし、配役も演技もとても良かったです。{/netabare}


【気になった点】
{netabare}原作に対してアニメの尺が長すぎるとわかってしまうのはいかがなものか…
展開が丁寧なのは悪いことではないですが、1クール目では話があまり進まない上、世界観を掘り下げるような展開には主人公が絡まず、正直掴み所が無い。アニメ独自の部分がちょっと煮詰め切れていない印象がありました。
「偏見」「迫害」というテーマを肉付けする回をいくつか入れるなどして、コミカル回とのメリハリを付けるのも一つの方法だったかな、と思います。{/netabare}

起承転結の「承」に何を描くかで作品の厚みが増していくものだと個人的には思っているので、展開をもう少し早めにして、尺が余るなら内容を詰めていく工夫が欲しいかも。
今のところ、第2期も可能なら見てみようかと思っています。(2019.3.11)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 12

68.9 2 コミカルでフランスなアニメランキング2位
ヴァニタスの手記(TVアニメ動画)

2021年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (181)
599人が棚に入れました
吸血鬼が存在する19世紀のフランス。吸血鬼の青年ノエは、吸血鬼に呪いを振り撒く魔導書「ヴァニタスの書」を探すためにパリへ向かい、その途中の飛行船の中である事件に遭遇した。その最中、吸血鬼の専門医を自称するヴァニタスと名乗る青年がノエの前に現れるが、ヴァニタスはノエの探す「ヴァニタスの書」を手にしていた。

かりんとう さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

キャラが好みじゃなかったのと…

途中で断念しました。

確か6話くらいで視るのやめたと思います。
主な理由はキャラクターが好きになれなかったことです。

作品の雰囲気などは好きでしたが、女性キャラと主人公であるヴァニタスが好きになれなかった。
また、やたらギャグシーンが多く話のテンポが悪く感じたのも理由の一つ。
また吸血シーンがもはやヤってるみたいな演出が気にくわなかったです。そして好きでもない声優のそんなシーン聞きたくもなく…

ストーリーは少し気になったのですが、途中途中で入るギャグシーンが面白くないうえにそれでテンポが悪くなっています。
少年漫画系のギャグシーンに似てますね。あれがつまらないと感じる方はオススメしないです。(鬼滅の刃視聴したことがある方で、ギャグシーンがつまらないと感じたら当てはまるかと)

唯一このアニメを最高だと感じたのは作画と音楽。
作画はボンズ。音楽は梶浦由記さん。
安定した作画で、とくに戦闘シーンは作画・演出共に◎。
そして音楽。最高です。
梶浦さんの音楽とこのアニメの相性が良く、作品の雰囲気をより良くしています。サントラ出たらちゃんと聴きます!!

投稿 : 2024/12/21
♥ : 2
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ある吸血鬼フェチの実像

原作未読 分割クールの前半12話


“手記”と書いて“カルテ”と読みます。
いわゆるヴァンパイアものですがわりと変化球。
不老不死吸血鬼と命限りある人間が対峙する物語とは違い、吸血鬼に降りかかる災厄が柱となります。
その吸血鬼の“真名”いわば魂みたいなものが奪われちゃうと正気を失って、まるで渋谷交差点ど真ん中で佇むTウィルス感染済の中島美嘉ちゃんみたいになってしまうという呪いに怯えているのが本作の吸血鬼“ヴァンピール”たちです。その呪いからヴァンピールを救うお医者さん役を担うヴァニタス(CV花江夏樹)と呪いについて含みありそうなヴァンピールのノエ(CV石川界人)のW主人公もの。
作中で言うところの“呪い持ち”になったヴァンピールは発症すれば殺処分の運命が待ってるわけですが、唯一ヴァニタスのみが手持ちの“ヴァニタスの書”を使って真名を取り戻すことができる唯一無二の存在というのがポイントです。ジョーブ博士みたいなもんですかね。またこっちは名前を返してもらう書ですが、名前を返してあげる『夏目友人帳』と本質的には変わらなさそうな作品でもあります。

前置きそれくらいで、事前情報からはこちら↓

 ボンズ制作 梶浦由記劇伴

こちらが吸引力となりました。まあ綺麗ですもんね。梶浦さんは事後知りましたがくどいくらいドラマチックで壮大ないつものノリは控えめな印象です。さはさりながら19世紀後半のパリの情景にはよく似合うBGMなのはさすが。美術は総じて美しく印象的だったのはOPアニメーションでの早朝太陽の光具合。綺麗な朝焼けです。ちな本作の吸血鬼は太陽の光浴びても灰にならない設定です。

一通り前半終わってポジティブな印象を持ってます。理由は3点

1.綺麗
 →前述の通り
2.続きが気になる
 →{netabare}「そして…その旅路の果てに」「彼をこの手で殺すまでの物語」{/netabare}
  第1話ノエのモノローグが示唆する結末はぜひ見てみたい
3.俺の好きなヴァンパイア
 →吸血鬼ものにはどこか“退廃”“耽美”を求めがちな私の趣味に合っている

とりわけ3はフェチシズムの世界ですね。美形男子のバディもので女性作者とバイアス入りがちなのですがどうなんでしょう。矢印はノエ→ヴァニタスでも性格や見た目に惹かれてというより「ヴァニタスの血が美味そう」と吸血鬼の本能に則した動機ではあるんでそれほどでもないなぁと見ております。
それよか禁じられているとされる人間への吸血行為の描かれ方が素敵。まぁえっちいです。欲求・衝動・理性との葛藤ないまぜの吸血シーンは親と一緒に観てると確実に気まずくなる水準です。
やはりヴァンパイアものは“耽美”なとこないとね。作品評価は分割前半のため例によって保留ですがこれは好物です。来たる後半待ち~



※余談

■ペース配分

ここ一年くらいで『SLAM DUNK』『空手バカ一代』『カウボーイビバップ』『エヴァンゲリヲン』とクラシックを堪能してたからかもしれません。
{netabare}近年の深夜アニメの1クール2クールサイクルでの話の詰め込みっぷりに慣れてる自分に気づきます。本作は新作の中ではゆっくりめ。
昔のって最初から最後までやるんですよ。なんかしらの大筋があって伏線張りながらゆっくりめの尺の中で丁寧に回収する感じ。最近は大筋があっても描写を削ってスピード解決します。それに慣れてるから“ゆっくりめ”と感じるんですよね。
普通の早さの作品が遅く感じる弊害みたいなのはあって、期を跨ぐものやとりわけ分割クールものにそれは如実に表れると思います。とどのつまり「遅せーな」と感じてしまう。{/netabare}

{netabare}ジェボーダンの獣と新展開をチラ見せして中締めしてエンタメの体裁は保ってるものの、展開自体は??が依然として謎のままのハーフタイム。

 丁寧にやってるので期待がもてる or よくわかんねーまま終わったよ

私は前者の感覚ではありますがみなさんどうでしょう?
分割ものは後から一気にGOも手段でして、とりわけ本作のゆっくり展開でこそアリな選択肢かも。{/netabare}


■耽美

{netabare}ジャンヌ(CV水瀬いのり)良かった。
まずは水瀬さんやってるとはわからんのが良かった。
古今東西チョロイン枠って顔を赤らめてもじもじして照れ隠しのプンプンするようなリアクション芸に長けたの出しときゃ安パイなのに彼女は自ら欲求を満たそうと行動するんですよね。
ハリウッド映画ならそこチューするだろ?みたいなとこでなにもしないのがアニメに対する数少ない不満だったりするんですけどそこを突破する本作のヒロイン。
なお、ただのチューよりいやらしかったです。
ロエの幼馴染ドミニク(CV茅野愛衣)も悪くない。{/netabare}



視聴時期:2021年7月~9月 リアタイ   

------


2021.09.19 初稿
2021.11.16 配点修正 -0.1

投稿 : 2024/12/21
♥ : 32
ネタバレ

えりりん908 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

美しいふたり。

主人公の、ヴァニタスとノエ。
とにかく、麗しいです!
(ちなみに私はBLは苦手なんですけどw)

そして、劇伴の壮麗さと、
おでこさんのシリーズ構成の美意識と、
ボンズさん独特の硬軟自在な作画。
すごくいいです。

舞台は19世紀の、フランス。
そんな言葉があるかどうか知らないけど、「フレンチ・スティームパンク」っぽい感じ。

欧州が舞台で、制作がボンズさんで、スティームパンクっぽいダークファンタジー+ポンチ絵って、
まるで{netabare}鋼の錬金術師F.A.ですね(笑)
まず、19世紀のヨーロッパ大陸。
そしてスティームパンクっぽいノリ。
主人公が二人連れの男性で、二人それぞれに魅力的。
しかも目まぐるしくボケとツッコミが入れ替わる。
正体不明の不吉な黒いモヤモヤした化け物。
さらにそこに絡む麗しい女性キャラクター。
地下の迷宮の存在もあるし。
ポンチ絵ギャグも、まるでハガレンのギャグシーンです(笑)
そういえば、ヴァニタスの依頼を受けて、何かしてる探偵っぽい人もマスタング大佐の部下みたいだし、
汽車で雪深い僻地に向かうのも、駅頭での雰囲気も、すごく似てる。
ドクターモローっていうマッドサイエンティストみたいな医者が出て来たときは、金歯医者にしか見えなかったし。
釘宮さんが絡んでいることも含めて、
相似点挙げていったら、まだまだもっとあります。
気になる方は、どうぞご自分の目でお確かめくださいww{/netabare}

第1話冒頭から、「その旅路の果てに、彼を殺すまでの物語」という、
わりと悲劇臭のつよいセリフで、
ノエとヴァニタスの関係性を括るのですけど、
{netabare}この言葉、「あ。最後に致命傷を負ったヴァニタスを、血の眷属として、ノエが自らのヴァンピールとするんだな・・・」って、
そのシーンが、来るか来ないか、これは最後を確かめたい!見届けたい!って思ってしまって{/netabare}
もうBLっぽいとか、全然気にならなくなりましたねwww

お話自体は、ヴァニタスが吸血鬼専門の医者で、ノエはそのヴァニタスを監視するために同行することになる特殊能力ありの吸血鬼で。

適度な謎。

適度なバトル。

華麗なキャラと美術。

そしてジャンヌという絵に描いたような圧倒的ヒロイン。

このヒロインが、メチャメチャつよいのに、{netabare}
弱点も隠しようなく剥き出しで、
しかも吸血衝動に抗えないところとか、
鬼のように(鬼なんですが!)攻めるツンデレなところとか、
ヴァニタスのことを「大嫌い→大好き」、
さらにはその血の甘さの誘引に惹かれてしまって、
吸血に走ってしまう、それも繰り返し、くりかえし。
とか。
そしてとにかくここ、めちゃめちゃエロティックで、
もう凡百のラブシーンなんか全く寄せ付けない、いい場面なんです(#^▽^#)

以前、「亜人ちゃんは語りたい」で、
高橋先生が「吸血行為自体は性交のメタファー」って言ってたと思うんですけど、
本当にそんな感じで、{/netabare}もう、魅入ってしまって目が離せませんでした。

今、第2期が終盤ですが、1話冒頭の場面にまで行き着くか微妙ですけど、
これは、しっかりと観続けていきたい。

そんな作品なんです。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 19

78.4 3 コミカルでフランスなアニメランキング3位
ふしぎの海のナディア(TVアニメ動画)

1990年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (582)
3144人が棚に入れました
西暦1889年、パリ万国博覧会中のエッフェル塔で、飛行機の発明を夢見るジャンは、サーカスの団員ナディアと、彼女の友達である赤子ライオン(キング)に出会う。彼女の持つ謎の宝石ブルーウォーターを狙うグランディス一味から逃げ、ナディアの故郷を目指す旅のなかで、悪の組織ネオアトラン(ネオアトランティス帝国)の首領ガーゴイルが占拠した島で生き残った少女マリーと出会う。しかし、マリー、キング、ナディアの3人は、ガーゴイルに連れ去られる。初めはブルーウォーターを狙っていたグランディス一味と共にナディア達を助けるうち、ジャンは万能潜水艦ノーチラス号のネモ船長とガーゴイルとの戦いに巻き込まれていく。

声優・キャラクター
鷹森淑乃、日髙のり子、水谷優子、滝沢久美子、堀内賢雄、桜井敏治、清川元夢、大塚明夫、井上喜久子
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

『ブルーウォーター』はアニメOPの金字塔

2018.07.26記


現在ではおそらくもう作られないであろう要素がてんこ盛りの古典。最近のアニメとは違った風に吹かれてみたいと思ったなら手を出すのは一興です。

個人的には思い入れの深い作品です。リアタイで衝撃を受け、2012年の地上波再放送と20年ぶりの視聴でも普通に完走できました。思い出補正があったとしても、作品に魅力がなければ無理だった話でしょう。

とかく「エヴァ前夜」的文脈で語られがちな作品であり、たしかにファンが目を細める描写もありますが、ジョジョ以前のバオー来訪者や、幽々白書以前のてんで性悪キューピッドのような扱いでは決してなく、独立した作品として白眉ものの出来かと思います。

同様に「ラピュタ」の亜種という側面も、出自を考慮すればそれも納得するわけで、決して劣化コピーではありません。


【物語】
大筋は、ブルーウォーターという宝石を巡って繰り広げられる冒険奇譚といったところでしょうか。海洋を舞台にした冒険活劇と言い切れないのは長丁場の作品の最終盤でこれまでの伏線を回収し一気に哲学的、宗教的昇華をみせるからかもしれません。
前半ラピュタの後半エヴァとは言いえて妙とは思うものの、できれば先入観を廃してフラットな視点で作品に向き合えるといいんでしょうね。

30年前の作品とは思えないほど今でも使える数々の仕掛けとそれでも少し埃を被った古典の味わいと両方を堪能できるハイブリッドアニメです。


【キャラ】
主役はナディアとおそらくジャンもそうなのかな。彼ら彼女らを中心に、グランディス一味(グランディス、サンソン、ハンソン)、マリー、キング、ネモ船長、エレクトラさんなど個々にファンがいるほどの魅力的なキャラ達が脇を固めます。敵役{netabare}ガーゴイル{/netabare}も充分憎たらしい役回りを担ってくれてます。彼らの掛け合いの中にも心揺さぶられる明言が多い。

ヒロインのナディアは今でいうところの「ツンデレ」。だがしかしそこは30年前。PDCAサイクルを経てある意味様式美と化した現在のテンプレには該当しません。水戸黄門ばりの様式美を期待してると裏切られたと感じるかもしれないし、逆手にとってとても新鮮と感じるかもしれません。
当時、雑誌アニメージュの人気投票において、マンガ連載中という地の利を活かし数年王座を守っていたナウシカからトップを初めて奪ったのがたしかナディアだったと記憶してます。そしてしばらく1位2位をこの二人で争ってたような。それだけ魅力あるヒロインだったんですね。


【声優】※評価というより思い出話
ジャン役日高のり子さん。浅倉南の爪痕が生々しい当時に少年役とはびっくらこいた記憶があります。
ナディア役鷹森淑乃さん。正直これ以外存じ上げないのですが、最近は進撃の巨人エレンのお母さん役で安否を確認できました。お元気そうで何よりです。{netabare}ネモ船長に「生きろ」と言われた後、一世代を経て今度はエレンに「生きるのよ」と。命のバトンを繋げております。 {/netabare}
{netabare}少しだけ演技に言及すると、フェイトさんの最期とか、「裏切りのエレクトラ」回のエレクトラさんとか演技で魂震えてたような気がする。{/netabare}
それと、マリー役水谷優子さんですね。同時期に放送開始したちびまるこのおねえちゃん役と声全然違ってたものですから、私が「声優ってすげーな」と思った最初の声優さんだったと記憶してます。つくづくもうお声が聞けないのは残念でなりません。

それでレビューを書くにあたりあらためてキャストを見ると、当時人気だったり実力のある方たちで固めていたようですね。どうりで感情移入しやすかったわけだ。


【作画】
メカやキャラデザは素晴らしく、物語中盤の作画崩壊?については他の方のレビューにもあるとおりなので特にここでは詳しく言及しません。
今でも鑑賞に耐えうる作画といいますか、30年後の今のクールでもナディア未満の作画はけっこうあることを考えれば上出来じゃないでしょうか。
特筆すべきは、海だし宝石の名前だしと青色を基調とした絵が多い作品における青の表現でしょうか。OPアニメーションの色合いなんて味わい深いものですよ。
{netabare}「島編」のカオス作画だって、当時における「外注することの対価としてどういった代償を払ったか?」ですとか、はたまた「今ではマシになった韓国からの納品物がいかばかりのものだったか?」と歴史遺産であるとの見方をもって楽しむと・・・いやムリか・・・
でもこれ勢いでNHKのゴールデンタイムで流してたわけですから、イケイケドンドンのバブル時代ならではだったからなのかもしれません。{/netabare}


【音楽】
OPED 森川美穂さんのシングル買いました。サントラだって買いました。
鷲巣さんの劇伴、今でもたまにバラエティで使われたりしてます。印象的な曲が多かった。
OPブルーウォーターのイントロが流れた時、「1週間お待たせ!いざ開幕!」のワクワク感は当時たまりませんでした。突き抜ける高温&ビブラートは心地よく、EDのロッカバラード的な曲調に静かに余韻に浸ったものです。
森川さんについてはバブル全盛期の見た目上等!の世相の中で、ボーカル一本で勝負するぜという潔さに痺れて憧れてましたね。確か自分で作詞作曲はやらずにいただいた曲をボーカリストとしてどう向き合うかに必死です的なインタビューを読んだ気がします。間違ってたらごめん。



■閑話休題 ※そこそこネタバレします
{netabare}
放送年度が1990年。前年にパリ万博100周年、フランス革命200周年とことフランスに焦点が当たった翌年に放送されたアニメです。物語の舞台設定は1889年、まさに万博開催中のパリにて興行中だったサーカス団の花形少女ナディアが事件に巻き込まれるところからスタートします。同じく巻き込まれてしまったジャンと一緒に、ブルーウォーターを狙うグランディス一味からの手に汗握る逃避行。ガキンチョだった自分がワクワクしないわけがないのであります。

私は1986年のラピュタに感動して冒険ものが好きになり、そうこうしてNEXTラピュタが登場するのを待ってたきらいがあったと思うのですが、ラピュタ以降でやっと心震える冒険ものに出会った気がしたのがナディアでした。NHKではこの数年前に「心っに冒険をぉ~」とのりピーが歌ってたアニメもあるにはあったのですが、実際のところ「冒険」感は控えめでした。やっとです。

放送の数か月前にはドラクエⅣが発売し、ミネアとマーニャというエキゾチックな女の子も魅力的だなと思ってた矢先に、ヘソ出し褐色の少女が主役のアニメに出会ってしまったのが運のつきでしたね。

世間一般の評価の一面として視聴率は悪かったと思います。18:00か19:00のゴールデンの時間で5%いったかいかなかったくらい。今よりもっと多くの人がTVを観てた時代、これは致命的に悪い数字です。
ナディアを機に購入し始めたアニメージュでの凄い盛り上がりとは対照的にクラスの友達に話を振ってもあまり観てるやつがおらず反応が薄いという状態。これまで北斗の拳やキン肉マンでは一緒に盛り上がれてたのに、と断絶を感じた瞬間でした。
{/netabare}


NHKという制約があったものの、丸々1年間の猶予期間を与えられた庵野秀明監督を筆頭とする当時のGAINAXの面々が思いっきり好きなことをやったらこんなん出来ました、という傑作です。


-----
2019.01.17追記
《配点を修正》


思い出補正しときます

投稿 : 2024/12/21
♥ : 45

セシウス さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

エアトンさん声優代わりすぎw

 平成初期の代表的なアニメ作品ですね。当時アニメと全く縁がない生活をしていた私も名前とヒロインのビジュアルだけはどっかで見て知っていました。
 メインストーリーは、発明好きな少年が美少女と出会っていろいろ冒険するというありふれたものです。しかしその他の要素として、19世紀末の帝国主義時代、褐色のヒロイン、3人組の泥棒、スーパー潜水艇、古代文明の遺跡、無人島、宇宙戦艦といったものをごちゃごちゃにつっこんでそれらをうまく纏め上げて一本のストーリーにしています。またパロディ要素もたくさんあって、昭和な人は更に楽しめると思います(笑

 制作予算が足りなかったという裏話が公然の情報になっていて、途中作画がメチャクチャになります(笑 しかし各キャラクターが生き生きとしていて私は終始楽しめました。

 ヒロインが黒人で、とても魅力的に描かれています。性格が怒りっぽく自己中心的で苦手だという人が結構いますが、実際外国人の女の子はあんな感じの態度が主流だったと思いますし、嫌なものは嫌とはっきり言う子の方が個人的には好きです。その他ハガネのようなメンタルを持つ主人公や、もの凄くクレバーな妹分の孤児、主人公たちの良き兄貴分・姉貴分である泥棒一味など登場人物が本当に魅力的でした。

 音楽は多彩です。OP曲は有名ですが、劇中にかかる音楽はシン・ゴジラのような迫力とノリがありました。あ、作っている人たちが同じでした(笑

 大感動するような作品ではありませんが、庵野秀明氏とその仲間たちが作ったエポックメイキングな作品として一度見てみる価値のある作品だと思います。
 
 最後にラストシーンで「もうこのような戦いは起こらないで欲しい」とある女性キャラがつぶやくのですが、世界が大戦争時代に突入する幕開けのタイミングなので、最後まで皮肉がきいているなと思いましたw

 

 
 

投稿 : 2024/12/21
♥ : 5

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ナディアの存在を受け入れられるかどうかで、評価が大きく変わってくる

この作品は、庵野秀明氏が監督を務めたTVアニメのひとつである。
ジュール・ヴェルヌが手掛けたSF小説『海底二万里』及び
『神秘の島』を原案となっているようだが、
よくよく調べてみると一部の名前や設定を除き
別物であることが分かった。

それに加え、元々は『海底世界一周』という企画
を宮崎駿氏がNHKに持ち込んだということも判明。
当初から天空の城ラピュタを思い起こさせるシーンが
多いなーと感じてはいたのだが、これですっきりした。

内容に関してだが、(先ほどの理由から)天空の城ラピュタとの
共通点が多いので、天空の城ラピュタについて書かれている
他の方のレビューを参考にして頂けると幸いだ。

ちなみに、ナディアの酷評も含まれているため
彼女に思い入れのある方は見ないことを推奨する。

まず良かったところから。

(ラピュタと類似しているというのもあるが)
序盤から引き込まれるストーリー構成だった。
OPを見た限りではほとんど明るい作風で進むのかと
思いきや、5話のベルデ諸島マハル回や15話の有毒ガス回など
息が詰まるような話もあり驚かされた。
また、そういった出来事を通じ、たびたび衝突する場面を
描くことで緊張感を生み出すことに成功している。

キャラクターが発する台詞で考えらせられることも多かった。
ただ、中盤から後半ににおける無人島編においては
到底褒められたものではなかったが。これに関しては
後で後述することにする。

主人公陣営で印象的だったのはグランディス一味。
序盤ではナディアの敵ではあったが、中盤以降は頼もしい
味方として力を発揮してくれる心強いキャラクター。

グランディス、サムソン、ハンソンの3人がいるのだが、
主人公のナディアとジャンにそれぞれアドバイスをくれたり、
時には叱るといったよきサポート役を担っている。
当初の段階では、早くにそのまま消失してしまうのではと
思っていたが、今思い返すと終盤まで彼らを登場させたの
には大きな意義があったのだと考えを改めた。

個人的な意見ではあるが、悪の首領であるガーゴイルは
この作品にはなくてはならない存在だと思う。
自分をアトランティス人の末裔と称し、人間を愚かな生物と
見下す傲慢な人物だ。また、古代アトランティス人の
科学技術を崇拝視する科学崇拝者としての側面を
持っており、傲慢さを助長している。

目的達成のためならば、人々をためらうことなく残虐する
だけに留まらず、部下を切り捨てる非情さも
持ち合わせている。正に外道。

ちなみに、指示の合図にフィンガースナップを
多用するため、指パッチン大好きおじさんグループの
仲間だったりする。
例の衣装が、ハウス食品のスナック菓子でお馴染みの
とんがりコーンを思い起こさせるような気がするが、
それは私だけだろう。哀れな最期を遂げるが、その時まで
自分の役割を果たしている点は高く評価したい。

気になるところもいくつか見受けられた。
確か23話から34話だったと思うが、無人島編辺りから
急にテンポが悪くなった。一応物語の進展はあるが、
非常にむず痒い気分にさせられたのは事実。

特に酷いのは34話。いわゆる回想回にあたるのだが、
本当にくどい。対して面白くない上に、途中で曲を
4.5曲ほど挿入してくるので気持ちが萎えてしまったのだ。

34話まで我慢して見ていたが、この回だけは流石に
製作スタッフへバベルの光を放ちたくなるレベル。
どっかのお侍さんが見ていたら、「うおっまぶしっ」と
発するに違いない。ぶっちゃけ、食事休憩や風呂の時間に
費やした方が良いと思われる。

無人島編における脚本も相まって、ナディアへ好感を
持つことが極めて困難になってしまった。
序盤から我がままで疑り深い性格ではあったが、
「最初だしこんなもんだろうなー」と温かい目で見てきた。

だが、無人島編に入ってからもそれが続くようなら話は別。
何かあれば「どうしてなの?」
動物に助けてもらえなかったら「どうして私を助けてくれないの?」
の繰り返し。他の仲間たちから心配されてもお構いなし。

ジャンに対しての扱いは酷いもので、見ているこっちから
すれば足を引っ張る足手まといという印象でしかない。
ジャンの純粋さや辛抱強さに救われたのは言うまでもない。
心の中では、他にもっといい女性を見つけたほうが良い
のになーと思ったが、それでは物語が破綻してしまうもんね。
だれか、ジャンの開発が実用化されるまで費用を
投資してあげてください。

ガーゴイルが終盤において語るアトランティス人の秘密や
戦闘シーンなど目を見張るものがあったが、手放しで
褒められない部分があったのも事実。
少なくとも庵野秀明氏を語る上では重要な作品で
あることに変わりはない。個人的には良作だと思う。

投稿 : 2024/12/21
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