ガンガンJOKERでコミカルなTVアニメ動画ランキング 2

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早速見ていきましょう!

68.9 1 ガンガンJOKERでコミカルなアニメランキング1位
ヴァニタスの手記(TVアニメ動画)

2021年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (179)
597人が棚に入れました
吸血鬼が存在する19世紀のフランス。吸血鬼の青年ノエは、吸血鬼に呪いを振り撒く魔導書「ヴァニタスの書」を探すためにパリへ向かい、その途中の飛行船の中である事件に遭遇した。その最中、吸血鬼の専門医を自称するヴァニタスと名乗る青年がノエの前に現れるが、ヴァニタスはノエの探す「ヴァニタスの書」を手にしていた。
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ある吸血鬼フェチの実像

原作未読 分割クールの前半12話


“手記”と書いて“カルテ”と読みます。
いわゆるヴァンパイアものですがわりと変化球。
不老不死吸血鬼と命限りある人間が対峙する物語とは違い、吸血鬼に降りかかる災厄が柱となります。
その吸血鬼の“真名”いわば魂みたいなものが奪われちゃうと正気を失って、まるで渋谷交差点ど真ん中で佇むTウィルス感染済の中島美嘉ちゃんみたいになってしまうという呪いに怯えているのが本作の吸血鬼“ヴァンピール”たちです。その呪いからヴァンピールを救うお医者さん役を担うヴァニタス(CV花江夏樹)と呪いについて含みありそうなヴァンピールのノエ(CV石川界人)のW主人公もの。
作中で言うところの“呪い持ち”になったヴァンピールは発症すれば殺処分の運命が待ってるわけですが、唯一ヴァニタスのみが手持ちの“ヴァニタスの書”を使って真名を取り戻すことができる唯一無二の存在というのがポイントです。ジョーブ博士みたいなもんですかね。またこっちは名前を返してもらう書ですが、名前を返してあげる『夏目友人帳』と本質的には変わらなさそうな作品でもあります。

前置きそれくらいで、事前情報からはこちら↓

 ボンズ制作 梶浦由記劇伴

こちらが吸引力となりました。まあ綺麗ですもんね。梶浦さんは事後知りましたがくどいくらいドラマチックで壮大ないつものノリは控えめな印象です。さはさりながら19世紀後半のパリの情景にはよく似合うBGMなのはさすが。美術は総じて美しく印象的だったのはOPアニメーションでの早朝太陽の光具合。綺麗な朝焼けです。ちな本作の吸血鬼は太陽の光浴びても灰にならない設定です。

一通り前半終わってポジティブな印象を持ってます。理由は3点

1.綺麗
 →前述の通り
2.続きが気になる
 →{netabare}「そして…その旅路の果てに」「彼をこの手で殺すまでの物語」{/netabare}
  第1話ノエのモノローグが示唆する結末はぜひ見てみたい
3.俺の好きなヴァンパイア
 →吸血鬼ものにはどこか“退廃”“耽美”を求めがちな私の趣味に合っている

とりわけ3はフェチシズムの世界ですね。美形男子のバディもので女性作者とバイアス入りがちなのですがどうなんでしょう。矢印はノエ→ヴァニタスでも性格や見た目に惹かれてというより「ヴァニタスの血が美味そう」と吸血鬼の本能に則した動機ではあるんでそれほどでもないなぁと見ております。
それよか禁じられているとされる人間への吸血行為の描かれ方が素敵。まぁえっちいです。欲求・衝動・理性との葛藤ないまぜの吸血シーンは親と一緒に観てると確実に気まずくなる水準です。
やはりヴァンパイアものは“耽美”なとこないとね。作品評価は分割前半のため例によって保留ですがこれは好物です。来たる後半待ち~



※余談

■ペース配分

ここ一年くらいで『SLAM DUNK』『空手バカ一代』『カウボーイビバップ』『エヴァンゲリヲン』とクラシックを堪能してたからかもしれません。
{netabare}近年の深夜アニメの1クール2クールサイクルでの話の詰め込みっぷりに慣れてる自分に気づきます。本作は新作の中ではゆっくりめ。
昔のって最初から最後までやるんですよ。なんかしらの大筋があって伏線張りながらゆっくりめの尺の中で丁寧に回収する感じ。最近は大筋があっても描写を削ってスピード解決します。それに慣れてるから“ゆっくりめ”と感じるんですよね。
普通の早さの作品が遅く感じる弊害みたいなのはあって、期を跨ぐものやとりわけ分割クールものにそれは如実に表れると思います。とどのつまり「遅せーな」と感じてしまう。{/netabare}

{netabare}ジェボーダンの獣と新展開をチラ見せして中締めしてエンタメの体裁は保ってるものの、展開自体は??が依然として謎のままのハーフタイム。

 丁寧にやってるので期待がもてる or よくわかんねーまま終わったよ

私は前者の感覚ではありますがみなさんどうでしょう?
分割ものは後から一気にGOも手段でして、とりわけ本作のゆっくり展開でこそアリな選択肢かも。{/netabare}


■耽美

{netabare}ジャンヌ(CV水瀬いのり)良かった。
まずは水瀬さんやってるとはわからんのが良かった。
古今東西チョロイン枠って顔を赤らめてもじもじして照れ隠しのプンプンするようなリアクション芸に長けたの出しときゃ安パイなのに彼女は自ら欲求を満たそうと行動するんですよね。
ハリウッド映画ならそこチューするだろ?みたいなとこでなにもしないのがアニメに対する数少ない不満だったりするんですけどそこを突破する本作のヒロイン。
なお、ただのチューよりいやらしかったです。
ロエの幼馴染ドミニク(CV茅野愛衣)も悪くない。{/netabare}



視聴時期:2021年7月~9月 リアタイ   

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2021.09.19 初稿
2021.11.16 配点修正 -0.1

投稿 : 2024/11/02
♥ : 32

♡Sallie♡☆彡 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

わたし好みのテイストです✧

原作は知らなかったのですが,タイトルに惹かれて観てみました。
わたしが好きな19世紀が舞台で吸血鬼もの,そしてスチームパンク!!
19世紀やスチームパンクというと,イギリスを舞台にしがちだと思うんですが,こちらはフランスはパリ。
そこら辺は珍しいと思いました。
出てくる用語もフランス語が用いられてて雰囲気あって良いですね☆
こちらは分割2クールでやるらしいのですが,第2クールはまた別に出るかもしれないので,取り合えず第1クールまでのレビューをしようと思います。

話自体はファンタジックでとても好みですし,雰囲気も好きです。
ただ,原作を読んでいないこともあり1回観ただけでは用語を覚えられずなんだかよく分からないままお話が進んでいった感はあります。
そもそもこの第1クールでは謎が多すぎて結局それぞれが何を目指しているのか分からないまま終わってしまいました。
ただ,それぞれの回自体は面白くて毎回時間があっという間に感じました。
あとちょいちょい出てくる色っぽいシーンのエロ度が丁度よくて好きでした(笑)。

作画はとてもきれいだと思いました。
まぁ,そもそも元々の原作のキャラクターデザインがあまり好きではないとは思いつつも,背景の19世紀フランスはほんとに素敵だと思ったし,飛空船もとても美しかったです。
最近同じ時代のイギリス・ヴィクトリア朝を舞台にした小説を読んでいて飛行船が出てきたり,パリでタイムトラベルをしちゃう「ミッドナイト・イン・パリ」という映画を観たり,別の吸血鬼もののアニメを観ていたりしたのでなんだか今の気分にもぴったり合っていて観るべくして観たという感じでした。
特にOPの夜のパリはうっとりしちゃいますね♪

キャラクターは上記のとおりデザインがあまり好きじゃないなと思いましたが,キャラの性格自体は割と好みでした。
主人公がトリックスターな感じも他にはあまり無いのでわたしは好きです。
最初,ヴァニタスの髪型がどうなってるのか気になって仕方なかったけど(^-^;
ノエはヴァニタスに振り回される役ですね。
この2人は夢枕獏「陰陽師」の安倍晴明と源博雅の感じに似てると思いました。
初め,ヴァニタスはめっちゃ強い奴なのかなって思ったんですけど,1話目で早くも無様にやられてて面白かったです。
彼は最初からトリックスターな雰囲気が出ていたので,ジャンヌにいきなり無理無体をはたらいた(笑)のにはびっくりしました。
色恋には興味ないキャラかと思ってたので…。
しかも歯の浮くようなこと平気で言うし…(´∀`)
でも,ほんとにジャンヌに惚れてる感じはしなくてただからかってるだけに見えるけどね。
ジャンヌはジャンヌで業火の魔女とかいうからどんなキャラかと思ったらチョロQだし…。
そこら辺も面白かったです。
彼女の性格は好きなんだけど,わたしはショートヘアの女の子のキャラクターがあまり好きではなくて…。
それに,19世紀にショートヘアの女性なんて居なかったよね!?
それが残念でした。
もっとわたし好みの女の子が出てきてくれたら嬉しいのに…。
1番好きなのはルカ様かな。可愛すぎますね,彼は♡
あとムルのふてぶてしい感じも可愛い♪
あと,やばそうな人シリーズですが…
ベロニカはなんで着物を着ているの!?
ジャポニズムがお好きなのかしら??
あと,先生とルスヴン卿は怪しいですよね。
ルスヴン卿はいかにも悪役っぽいですけど,先生の得体の知れない感じも怖い。

OP・EDはわたし好みでした♪
アニメーションも好きです,特にOPの!!
オープニングテーマはそれ自体は良い曲ではあるんだけど,このアニメに合ってるかと言われると合ってないと思いました。
日本的な楽曲だと思ったので…。
エンディングテーマは合ってると思います。

正直,まだまだ分からないことだらけなので第2クールに期待です☆
第2クールは来年の1月~らしいです。
待ち遠しいなぁ。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

呪いと救いの吸血鬼譚

この作品の原作は未読です。
2021年夏アニメにおける花江夏樹さん主演3作品のうちの一画に位置する作品です。


蒸気機関による技術が発達し、吸血鬼(ヴァンピール)が存在する19世紀のフランス。
吸血鬼の青年ノエは、吸血鬼に呪いを振り撒く魔導書「ヴァニタスの書」を探すためにパリへ向かい、
その途中の飛行船の中である事件に遭遇した。

その最中、吸血鬼の専門医を自称するヴァニタスと名乗る青年がノエの前に現れるが、
ヴァニタスはノエの探す「ヴァニタスの書」を手にしていた。

吸血鬼そのものとも言える刻まれた真名を崩して狂わせることも、
そして復元して正気に戻すこともできる機械仕掛けの魔導書。
それをめぐる人間と吸血鬼の物語。


「ヴァニタスの手記」「あらすじ」でググった結果を引用させて頂きました。

この作品のジャンルは「ダーク・ファンタジー」や「スチームパンク」に分類されるのだそうです。
「スチームパンク」の作品といえば、「甲鉄城のカバネリ」や「プリンセス・プリンシパル」が代表格かと思いますが、言われてみると雰囲気が合っている気がします。

完走して振り返って思ったこと…
やっぱ同クールで花江さん主演3作品はちょっとお腹いっぱいになりますね。
特徴のある声質なので、花江さんだと直ぐに分かりますし…

一方、いのりちゃんも今期は3作品に主演として出演されていました。
・「現実主義勇者の王国再建記」のリーシア・エルフリーデン
・「死神坊ちゃんと黒メイド」のヴィオラ
・「ヴァニタスの手記」のジャンヌ
こちらについては、全く違和感を感じませんでしたけどね^^;

この作品に出演していたいのりちゃんや、かやのんもですけど、一時期に比べてTVアニメ出演する作品が減っているような気がするのは私だけでしょうか。
…と思ったら、お二人ともゲームのCVを沢山演じられているようでした。

しかし、お二人の演じているゲーム作品を改めて見てみると、膨大なゲーム数は世の中に蔓延しているのが実感できます。
正直、これほど需要があるかは疑問ですけれど…

私もアサルトリリィのラストバレットをプレイしていますが、本格的なゲームは正直1つで限界です。
ガチャ回すのもそれなりにお金掛かりますし…

ヴァニタスの内容から思いきり逸れてしまいましたが、分割2クールの前半クールが終了した段階なので、現時点での評価は難しいかな。
個人的には、終盤でのジャンヌの…いのりちゃんの「デレ」が最高だった、というところでしょうか。

物語の方は最終話で次の展開が頭出しされるという、分割2クールならではの構成でした。
100年以上前に人々から恐れられた輩が出現するという、これまでとは全く異なる展開が後半クールで展開されるようです。

作画もしっかりしていて見易い作品だったと思います。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニグテーマは、ササノマリイさんによる「空と虚」
エンディングテーマは、LMYKさんによる「0 (zero)」
個人的にはエンディグの方が好みでした。

1クール全12話の物語でした。
そう言えば、この作品は分割2クール作品ですが、後半クールがいつ放送されるかは情報がありませんね。
後半クールの視聴も楽しみにしています。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17

69.7 2 ガンガンJOKERでコミカルなアニメランキング2位
事情を知らない転校生がグイグイくる。(TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (165)
492人が棚に入れました
Twitterで話題となり、月刊「ガンガンJOKER」で連載開始。これまでの累計PV数は2億以上。 転校生の高田くんは知らない。 クラスメイトの西村さんが、何故かクラスの皆から「死神」と呼ばれていることを。 「死神」だなんて……なんてかっこいいあだななんだ! からかわれてる女の子。クスクス笑うクラスメイト。 転校生の高田くんは、そんなクラスの事情は知らない。 無知で、素直は、最強だ。 だからまっすぐ、彼女に届く。 そんな小学校の教室から始まる物語は、誰もがあの頃を思い出し、心にまっすぐ届いてくる。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

一気見は飽きるかと思ったら入り込んでしまった。その分イジメは辛く感じます。

 23年7月にリアルタイムでレビューしたときは、一気見すると飽きるのではないか、話が単調なのではないかと書きました。

 そんなことは無かったです。太陽のグイグイは単調かもしれませんが、西村さんの成長が素晴らしかったです。逆に笠原を初めイジメ組を結果的に許せる…と結論づけましあが、西村さんとその父親の気持ちや境遇を考えるとちょっと辛くなってしまいました。太陽が現れなかったらと思うと胸が苦しくなります。

 結果的に一気見の方が胸に来ました。なんか変なタイミングで涙がとまらなくなります。感動ポルノか?と言われるとわかりません。ただ、内容が伴っているし、自分に置き換えて加害者にはなるまい、自分の身内にもそんなことはさせまい、と思う気持ちはわきましたので、意味がある作品だと思います。

 また、イジメる側の滑稽さを強調したのはいいと思います。小学校高学年のイジメは本当に辛いテーマですが、太陽のような子が一人でも増えるといいと思います。安達海美と日野大地も良かったです。ああいう大人の子もいいですね。この2人あわせて、太陽と海と大地なんですね。今回初めて気が付きました。

 そして主題歌は「アルコルとポラリス」…つまりこぐま座と北極星です。中心にいるポラリスが太陽で、振り回される西村さんがアルコルということでしょう。

 うーん、4.2にしてましたけど、これは評価を上げなくてはストーリー、キャラを4.5から5にしようかなあ。作画も良かったので4から4.5。音楽も歌詞がなかなか…4を4.5で。

 いろいろベスト10作ってますが各種順位を上げたくなってきました。23年のラブコメは秀作が多かったなあ…



以下 リアルタイム視聴時のレビューです。

とても面白くて毎週楽しみでした。ですが最終話で冷静になると…

{netabare}  あー面白かった、と言う感想を素直に言える作品だと思います。この作品は1話の西村さんへのイジメが結構辛くて、嫌な気分というよりちょっとやるせない気分になりますが、それ以降はタイトル通りグイグイ来ました。

 単調かといえば単調ですが、友達が増えて行くということも併せてありました。特に笠原さんが良かったです。イジメていた人間を許せるか問題がありますが、本作では太陽を味方に付けてというよりも、西村さんが成長してイジメをはねのけられる強さがあると思いますので、私は許容も理解もできました。

 ただ、冷静になるとグイグイそれ自体はずっと同じなので、ひょっとしたら一気見したら、ここまで評価が高くないかもしれません。内容が非常に良かったのは間違いありませんが、ラブ、コメ、イジメ。すべてそこまで深いかといわれるとどうかなあと思います。もちろん、ストーリー、キャラが良いのでテーマをそこまで求める気も必要もないとは思いますが、極端には高い点数はつけ辛い気もします。

 本作は、アニメ配信が毎週日曜日22;30という丁度いい時間に更新されていて週1回欠かさずに見ることができたので、楽しみだったし、高評価だったと思います。その加点要素はあると思います。
 そこも作品だと言う事もできますが、今の印象と再視聴したときでは感想が違う気もします。

 過大評価を避けるなら…12話暫定4.6でしたが4.2でいい気がします。ストーリー、キャラは満点にしてましたが、やはり単調ということで満点はつかないかなあ。

 特に最終回がなんかずっこけてしまいました。12話が最終回で良かったんじゃないか、と思ったときにちょっと作品に対する距離感ができた気がします。12話のラブの部分をもう少し深掘りしたり、別のイジメ・友情の部分の総括が最終話であれば、もっと評価は高かったかもしれません。視聴後感でこれからも続く連続性が欲しかったのかもしれませんけど、私は少し最終話で醒めました。少しですけどね。 {/netabare}




以下 リアルタイム視聴時の感想です。 


1話はヒロインのモノローグが余りに辛いです。敏感な人は気を付けてください。

{netabare} 「死神」というあだ名がカッコイイ…というきっかけは「ん?」という気がしなくはないですが、それはきっかけですね。

 主人公…が誰かといえばヒロイン西村さんでしょうね。高田くんはどちらかと言えば人格のない…というか、今のところ無垢な善性でしかない気がします。ただ、その人格がないところが余計なノイズにならず上手い効果が出せているなあと思います。

 孤独に慣れる。自己否定をすることで自分を守る。親に友達がいると嘘をつく。そして、本当は孤独が嫌なことに気が付き更に孤独が増す。冷静に書いてますけどね。こういうところが本当に切なくて、胸が痛くなりました。西村さんの気持を考えると死にそうになるくらいです。

 小学生が主体なのってどうなの?と思わなくは無かったですが、この頃のイジメの残酷さは大人が思っている以上にひどいですからね。話を見るとこれでいいんだと思います。

 ということで、これはいいですね。「聲の形」や「コタローは一人暮らし」などと同系統の匂いがしつつも、そこまで重くない形で性の匂いのしない幼い初恋のラブコメになる感じがします。イジメられている古見さんという感じでしょうか。
 出落ちではあると思います。思いますけど本作はヒロイン西村さんのモノローグで暖かい気持ちになれればいいんだろうなあと思います。

 キャラデザは小学生向けのマンガ雑誌にあるパタンですが、ちょっとヒロインに「謎の彼女X」感があってそれほど違和感がありません。むしろ、髪のツヤが面白いですね。原作者の作風なんでしょうか? {/netabare}



4話 1週1話で見ましょう。それ以上の頻度で見るには向きません。

{netabare}  やはり出落ちでしたね。想像通りワンパターンはワンパターンです。ただ、だからといって作品が面白くないというわけではありません。一気見には向かないだけです。少しづつヒロイン西村さんのコミュニケーションの幅も広がってますし。

 グイグイに対して照れるヒロインを見て癒されます。夏休みに気になる異性を思い出して相手を思い浮かべる…中学生までの感覚でしょうか。高校は…うーん。忘れました。そういうのを疑似体験できます。ご都合主義もありますが、気になりません。

 欠点は光と影の作画がちょっと気になるのくらいですかね。

 追記 4話はちょっと感動がありました。2人の関係が進展しそうないいアクセントでしたね。{/netabare}


5話 イタリア男か!

{netabare}  前半は非常にいいアクセント回で、太陽が明るいだけではない部分を見せる反面、西村さんが逆に積極的になったのが良かったですね。必死さが切なくなります。普通に涙が…うーん。いい話でした。

 ただ、後半はいつも通りというかパワーアップというか…イタリア男か!といいたいですけど、日本人の若者よ、カレを見習おう、と思いました。{/netabare}


6話 今期NO1かなあ。人を素直に褒められる心は美しい。太陽カッコ良すぎです。

{netabare} 「正直」というのは時に悪意にもなりますが、しかし、他人のいいところを見つける…あるいは欠点より長所に先に気が付いて、そこを素直に褒められるという太陽少年に、人間としての美しさを感じます。人をほめるというのは、簡単そうで難しいものです。自分の心にやましさ、まやかし、何より「メシウマ」がある人には出来ないでしょう。

 他人の不幸やアラを探して貶めて劣等感を埋めるマインド「メシウマ」「隣の芝生は青い」「酸っぱい葡萄」とは真逆です。
 そして、こういうバカな悪意をもって他人を貶める人って、本当は少数派ですけど悪いことに目立つんですよね。ネットでもそうですけど。こういうマイナスの害悪をまき散らすバカ集団に小学生・中学生で苦しめられた子がいると思うと、太陽少年の無垢さが痛快です。

 1話の西村さんの悲惨な心情の描写があるからこそ、太陽に救われ自分を取り戻して行く西村さんが愛おしくなります。

 どんな年齢になっても太陽少年の人のいいところを見つけられる心と、それを表現する素直さを見習いたい、と今更ながら思わせる力のある作品だと思います。今期NO1です。 

 そして、女子の同調圧力を気にしない安達さん、いいですね。大人だし、自分に素直だし。

 で、このサブキャラの安達さんの声優の近藤玲奈さんがOPなんですね。歌が上手い…のか分かりませんが、声が非常にいいですね。ちょっと東山奈央さんに似た感じもあって癒されます。 {/netabare}


10話 やはり笠原さんも成長しました。

{netabare} 太陽の影響が西村さんを変えてますねえ。初めは無自覚系のコメディかなあと思いましたが、やはり登場人物の変化がちゃんと時間とともにある作品はいい。1話の西村さんの辛すぎる描写がここにきて活きています。

 日野や海美と友達になって、ついに笠原さんが堕ちたかあ。運動会の時にそうだろうなあ、と思いましたがやっぱりです。それが太陽の影響じゃなくて、西村さんのがんばりからですから最高です。

 まあ、今回の感じから言うと告白イベントはありそうですが、どうでしょうか?楽しみです。


 なお、ラブコメ作品対決だと「僕の心のやばいやつ」と本作が2強です。ちょっと離れて「スキップとローファー」さらに離れて「インソムニア(一旦脱落)」。

「おとなりに銀河」は切るほどではないですが、インソムニアと比べるとやっぱりちょっと堕ちますかねえ。 {/netabare}


11話 不純異性交遊…言葉遊びかと思いきや、急展開です。

{netabare} 笠原さんのツンデレがなかなかいい展開です。「聲の形」「長瀞さん」などで過去イジメをした事実は消せないという意見を見聞きしましたが、ですが、本人同士で和解して、新しい関係が築けるならいい気がします。少なくとも西村さんと笠原さんに関しては不快というよりも、暖かい感じがしました。

 ただ、逆に太陽の中盤の「呪いの歌」というところで、不思議な違和感がありました。まあ、そもそも太陽のキャラですから不自然ではないですが、ちょっと引っ掛かりました。それが設定ですし、西村さんが気にしてないのでいいんですけど、太陽に少しだけ考える成長が欲しいかも。

 そして不純異性交遊かあ。ラブコメのコメディ部分の言葉遊びかと思いきや…おい、小学生…そこまで行くのか?そっちの成長はあるのか?これは急展開だなあ…唇の作画が生々しすぎでしょう。次回予告のタイトルは…うーん、来週が気になります。{/netabare}


12話 「呪い」の意味が変わる瞬間。小学校5年生という年齢が絶妙です。思っていたよりも更に深いかも。恋愛談義回でした。

 あれ?最終回かと思ったら違うの?次回予告もあるし、Dアニも(全12話)が付かなかったので、13話あるのかあ。

 12話は恋愛談義を言葉でずっと続けていました。これは小学生設定じゃないと出来ないです。というのは、小学5年生・11歳って丁度抽象概念がどんどん発達しだすころです。気持ちとか感情を言葉で表しだして、言葉が感情を引っ張る年頃です。つまり初恋が始まるのは小学校4年~5年が多いのは、身体の成長もあるでしょうが恐らくこのせいでしょう。

 このダイレクトさを中学2年生でやるとちょっと間抜けな気がします。でも、小学生だからこそ、この議論が素直に受け入れられます。そして、忘れていた何かが取り戻せるような錯覚が、恥ずかしいですが心地良かったです。

 それが分かっていてこの年齢を設定したのだとしたら、大したものです。だから、消しゴムを渡すときに触れた指先で、恋愛感情を自覚する。いいですねえ。散々手をつないできた2人ですがキスの話題の後だけに、触れるという意味が変わった。つまり太陽の言っている「呪い」が「恋愛」に変わる瞬間ですね。太陽がグイグイいけなくなる。甘酸っぱすぎるでしょう。

 成長の話をすると男子は精通後はプラトニックラブをしようとしても、基本的には身体が許さなくなりますので、それも小学生にぴったりです。この辺は「ヤバい奴」との対比が非常に面白いです。

 まあ「恋愛の沼」が「呪い」という哲学まで入ってはいないでしょうけど。

 ということで、良いですねえ。イジメから始まって小学生レベルの救済で終わるのかと思ったら「初恋」という意味をちゃんととらえている気がします。

 それとやっぱり笠原さんが本当に良かったと思います。やけ酒も許してあげましょう。

 評価は暫定です。終わり方次第では満点かなあ。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ともだち(最終話見ました)

[見終わって・・]※各話の感想は下にあります。
基本的にはコメディアニメなんでしょうね。
イジメられてる女の子に転校生がイジメのあだ名をかっこいいと思ってグイグイくるところをいじめっ子とのやりとりも交えながら面白く描いてて、確かにマジメにイジメ問題を描くと重くなりがちで、こういうアプローチもアリだとは思うけど、毎回あんな感じのやりとりが続くとちょっとくどく感じちゃいます。
4話がいい転機で、{netabare}高田くんが自分が言ってた言葉の意味に気づいてしまうんだけど、{/netabare}ここからもう少し関係が変わっても良かったのかなって思いました。
最終話の感想にも色々と書いたので、良かったら下の感想も見ていただけたら嬉しいです。
とはいえ、日野くんや安達さんや笠原さんなど、周りのキャラたちも魅力的で最後まで面白く見ることができました♪

[初回感想]
小学5年の西村茜(にしむらあかね)は「死神」となぜかみんなから呼ばれている。
転校生の高田太陽(たかだたいよう)はかっこいいあだ名だと思って西村さんと仲良くなりたいとグイグイくるお話。
原作はガンガンJOKER連載中みたいですが未読です。

自分の置かれた環境にどこか諦めた感じでいつも独りでいた西村さん。
そこに明るくて天然でとても元気な高田くんが現れて西村さんの生活が一変しちゃいます。

これ、普通に小学生でも見れる内容だと思うし日曜朝とかにやったらいいのになって。

高田くんのグイグイぶりが半端ないし、西村さんに臆面なくかわいいとか素敵だよとか仲良くなりたいとか普通に手をつないだり・・高田くんの天然ジゴロっぷりがすごいです。。
高田くんには「無邪気な暴君」という二つ名を与えたいw
でも高田くんも思春期に入ったら過去の言動思い出して恥ずかしさに身もだえしちゃうのかな。。

高田くんの親友の日野くんがさっぱりした男の子って感じで西村さんとも普通に接してるしいい子ですね♡
こういう子は普通にモテると思う。
あと北川くんの西村さんへのイジリの執着ぶり見てて、実はこの子西村さんが気になるのかなとかw

3話までは、いい話なんだけど高田くんのグイグイぶりがちょっとくどいかなぁと思いながら見てたんですけど、4話が良かったので、感想ちょっと書きたくなりました☀

以下、各話の印象に残ったシーンです。

1話「死神と転校生」
{netabare}ずっと感情を胸にしまい込んで淡々と過ごしてきた西村さんが、西村だって人間じゃないかと言われて思わず感情が表に出て泣いてしまったシーン。
学校で笑ったのも久しぶりだったんじゃないかな。{/netabare}

2話「給食当番と心霊写真とラブレター」
{netabare}西村さん「高田くんは無敵だもん。。」私もそう思うw
高田くん、西村さんと2時間も長電話もすごいけど、ずっとあんな感じで天然ジゴロな会話してたのかなw西村さんの心臓が破裂してないか心配ですw{/netabare}

3話「夏休みがはじまる」
{netabare}夏休みの予定が全然埋まらない西村さんに予定を一緒に合わせようと声をかける高田くん。
プールに行く水着を買いに行ったり、日野くんたちとラムネ一緒に飲んだり・・
普通に夏休みを楽しんでる西村さんにニマニマ。。{/netabare}

4話「おばあちゃんち」
{netabare}セミの鳴き声、涼しげな山の空気、冷やした大きなスイカ、畑でとれたトウモロコシを食べたり・・
いいなぁこの空気感。夏休みのおばあちゃんちって感じ。。
ヒグラシが鳴く中の夕暮れの雰囲気も好き。
西村さんのお母さんが亡くなったことを知って「死神」と呼んでたことを後悔して泣いてしまう高田くん。
蛍が舞う夜の中、二人で手をつないで帰るシーンが絵本の1シーンみたいで素敵でした。{/netabare}

5話「死神って呼んで」
{netabare}西村さんにとって死神って呼ぶ呼ばないってよりも以前みたいに高田くんと楽しく一緒にいたいから、だからいつもと同じように笑顔で死神って呼んでほしいんだよね。
遊ぶ約束すっぽかされたのに何事もなくお祭りに二人を誘う日野くん男前だわ。。
指輪を左手の薬指にはめたり、僕のとなりで笑ってほしいと言ったり、高田くんの天然っぷりは異世界おじさんも負けちゃうかも(-ω-){/netabare}

6話「席替えとクラス委員と新しいともだち」
{netabare}日野くんを好きな安達さんがあるきっかけに西村さんと友達になる話でした。
高田くんの西村さん専属ホストぶりも面白いけど、そろそろ違う展開もあるといいなぁと思ってたので、こういう展開は話が広がっていいですね。
なにより、西村さんに同性の友達ができたことが私も見てて西村さんと一緒に嬉しくなりました♡
もひとつ。笠原さんと西村さんが色々あってクラス委員になったのをきっかけに、二人がこれからどんな感じになっていくかも気になります。{/netabare}

7話「遠足と味玉の魔法」
{netabare}遠足からちょっと脱線して二人で買い食いする話、良かったです♡
友達がいなかった西村さんに仲のいい友達が出来て、一緒に写真をとったり、お父さんの味玉を交換したりしてる姿を見てるとじんわりきますね。
西村さんの、たぶんもう大丈夫だよって言葉とすごく楽しそうな笑顔が印象に残りました。{/netabare}

8話「浴衣とジャングルジムとギプス」
{netabare}遊具に登って二人で夕焼けの街を眺めながらプロポーズしてる高田くんw
もう結婚しなよって思いながら見てましたw
なによりかっこいいのは、自分が犠牲になって落ちた西村さんをかばって助けたことですね♡
高田くんのお母さんも息子に似てさっぱりしてて西村さんとも仲良くやれそう。{/netabare}

9話「走れ!叫べ!運動会」
{netabare}クラスの人たちから死神って呼ばれてイジメられてた西村さん。
高田くんたちのおかげで学校が楽しくなってきたのがきっかけではあるけど、クラスのために何かしたいって思って頑張れるってすごい。
イジメられてたのに、そんな風に考えて悪口言われてた笠原さんにお願いするとか高田くんじゃないけど西村さんマジ天使かも。。
今回のことで笠原さんも西村さんのイメージが変わったみたいで、今後の展開が楽しみです。{/netabare}

10話「初めてのおもてなし」
{netabare}北川くんたちにからかわれる→高田くんが来て天然パワーで撃退
これ毎回あるんだけど、そろそろ無くても大丈夫かな。
もっと安達さんや笠原さんとのやりとりみたいのを増やしてくれると嬉しいです。
初めて友達を家に招待した西村さんのとても嬉しい気持ちが伝わってきてほっこり☀
風邪を引いてお見舞いに来てくれたのを夢と思いこんじゃったのも、元々夢みたいって思ってたから余計そう思っちゃったのかな。{/netabare}

11話「風神同盟と呪いの歌とクリスマス」
{netabare}西村さんと笠原さんのやりとり、なんかいいな。
この作品で好きなキャラ1位は日野くんだけど、笠原さんも好きです。根はいい子だし。
クリスマス。恋人たちのキスを見てしまいドキドキする二人。
いつもとちょっと違う感じで西村さんを意識しちゃう高田くんだけど・・
次回のタイトルが気になりますw{/netabare}

12話「クリスマスパーティーの告白」
{netabare}パーティーに笠原さんも参加しててなんだか嬉しい。
シャンメリーぐいぐい飲んで赤くなる笠原さんwいいキャラしてる。
あんな真剣な目で「キスしていいのかな」って迫られたら。。天然なだけに困っちゃうよね。
高田くんのいつものような言葉になんとなく意味を探してしまう西村さん。
次回で最終話だけど、どんな形で物語が終わるのかちょっと気になります。{/netabare}

13話「10年後も、今日も」
{netabare}今回もいつもと変わらない高田くんだったけど、好意だとしても死神とか呪いとか天然に言える時間はもうあまりないと思うし、もう少し大きくなった時、高田くんは過去の自分にどう向き合うんだろう、って最終話見ながらそんなことを考えてしまいました。
最終話のタイトルがこれなら、「死神でもない呪いパワーもなくても僕は西村さんが大好きだよ、きっと10年後もね」くらいのことを言って欲しかったかな。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 29

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

当代小学生百鬼夜行

これは、茜サンと太陽クンの蜜月物語?
それとも、現代版百鬼夜行だったのかも・・・。

可笑しいのは、太陽クンの強弁邪気払いというか、ねじ返し念力というか。
ボケとツッコミの同時進行が、ぜんぶ一緒くたになったトークショーには笑わされました。

茜サンは、独特の芯の強さもあって、イジメのスルースキルは、こんな感じの捌き方もアリなのかと複雑な思いになりました。

でも、どんなに作り笑いを装ったとしても、知らずと気分は塞ぎこむし、心は削られるし、目線だって下向きになってしまうもの。
そこのところは、気丈夫を振る舞っている茜サンに、胸を痛めずにはいられませんでした。





さて、クラスメイト(と呼ぶにはどうにも抵抗がある私ですが)たちの無情酷薄と、太陽クンの融通無碍とのガチンコ合わせ。
各話、毎度、1人対多数のマッチアップが繰り広げられます。

生一本にも見える太陽クンの雄弁は、ややもすると繊細な情緒性を欠くきらいがあります。
でも、それは、サディズムめいた虐めっ子らの凶刃とのバーターになっています。
それくらいの熱量でないと、対抗するなど鼻から無理というものなんですね。

イジメなんてものは、当事者のキモチなどガン無視して、遠慮なしに土足でグイグイ圧してくるもの。
だから、それを超える異次元の包容力を、サンサンと発揮する太陽クンなんです。
ところが、彼が関わると、決まって茜サンの顔から火が出るほどのシチュエーションになっちゃうし、冷え込んだ心も知らないうちに溶かされてしまうんですね。





最初、私にはちょっと誤解があって、太陽クンの空気の読めなさは、何かの障害があってのことなのかなって思っていました。
いわゆる自閉スペクトラム症なんだろうかと。

でも、お墓参りのエピソードで、はっきり「そうではないんだ」と気づきました。
生きている人への関心の程度の差はあったとしても、亡くなった人を弔う茜サンを慮ったり、涙を流したりするのは、全くあり得ないことだからです。

万一、勘違いしてしまう人がいらっしゃると大変な誤解につながりかねないので、しっかり明言しておきますね。





さて、茜サンを "死神と称え"、自身も "死神に憧れる" なんて、どうにも設定がぶっ飛んでいるのですが、当事者の茜サンには、この上なく心強いことだったと思います。

イジメでつらいのは、侮蔑や嘲笑などの害悪扱いもそうですが、集団から無視と扱われること、居るのに居ないものとして、ただの空気へと押しやられることです。

空気をまったく読まないように見える太陽クンの行動は、そんなイジメっ子からの無視を無視して、茜サンをスポットライトのド真ん中に押し立ててくれること。
別の言いかたをすれば、ひとり空気を演じようとする茜サンから、あらゆる線引きを目立たなくし、ついにははじめからなかったことにしてしまうんですね。

"悪意の隔離バリア" をグイグイと打ち破ってはうち広げ、"底意地の悪い呪文" をグイグイと跳ね返しては無効化し、代わりに "愛の言霊" をグイグイと注入することが、太陽クンの真骨頂。

だって、EDで、茜サンが出口を探そうと右往左往する姿こそ、深層心理に見せる本心なんだろうし、誰の手かは分からずとも、身を投げ出してまで掴みとろうとする焦燥は、心細さがバクハツ寸前なんだろうと感じるから。





もしも、「陽キャから陰キャへのパターナリズムみたいなものだろ?」と評するんだったら、そんなのは全くの捉え違いで、意味のないことです。
太陽クンの動機も行動も、そんな宛がいぶちの施しではないし、茜サンの立場は、ヒーローめいた自己満足の処理道具でもないのです。

本当は、イジメっ子のメンタリティーにこそ、グイグイ光を当てなきゃいけないんです。
心に障りがあるとしたら、それはイジメっ子の振る舞いのほうを看るべきですし、社会に害をもたらすとしたら、それはイジメっ子のまま成長を後押しする親のほうなんです。

事情を知らない(ふりをする)在校生も、日和見主義の旗を掲げる予備軍に陥るかもしれません。
事情を知ろうとしない担任も、事態の打開への試行錯誤をみすみす投げ出してしまってます。

イジメはクラスという名の世界に蔓延る毒です。
毒は毒抜きしておかないと、命を穢し、人生も蝕み、ダメにしてしまいます。
卒業アルバムに素敵な思い出だって残せないし、この先にも "負の連鎖" を生み出します。

イジメはなくなりません。絶対に。
だから、どんな事情でも、グイグイ行かなきゃ変わるものも変わりません。
だから、茜サンは救われているのだし、少しずつ変われるクラスメートだって出てくるのです。





殴り合いのケンカなら、口から泡を飛ばす言いあいなら、まだ外から見えやすい分だけ、内面が外化できます。

でも、イジメは、ほんの些細な気分転換に行なわれるものです。
それが軽ければ軽いほど、その理由なんてすぐに消えてしまいます。
その是非さえ知らず、行きつく先も判らず、責任の取りようも学ばず、中学生に進むなんて、かわいそう。

でも、その快感は、確実に脳神経系に報酬として焼き写され、麻薬のような習慣性と常習性を帯びていきます。
お金で買う必要もないから、我慢や忍耐、協同や協働を横に置いて、自分勝手なまま、あるいは、似た者同士でつるんでは、コソコソとつまらない愚痴で慰め合うのです。

そうして、無い物ねだりに不幸を他人に押しつけ、自分の可能性を小さな枠に押し込め、嫉妬心と猜疑心とで未来を台無しにしてしまうのです。


わたし自身にも、思い当たるふしがあります。
重くて、辛くて、さみしいことです。
過去の後悔も、今の反省も、将来の不安もあります。

だから、太陽クンと茜サンには癒やされましたし、励まされました。
彼らのように生きてみたいし、生きていきたい。取り戻したい。

今さら恥ずかしいけれど、本当のことです。
百鬼夜行は、わたし自身にあったみたいです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13
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