イジメで鬱なTVアニメ動画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画のイジメで鬱な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月07日の時点で一番のイジメで鬱なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

88.2 1 イジメで鬱なアニメランキング1位
エルフェンリート(TVアニメ動画)

2004年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (2908)
13812人が棚に入れました
側頭部の対となる二本の角とベクターと呼ばれる特殊な能力を持つ女性型ミュータント、二角奇人(ディクロニウス)。彼女らは人類を淘汰する可能性を持つとされ、離島の国立生態科学研究所に国家レベルでの極秘機密として隔離、研究されている。
ある日、偶発的な事故によって、研究所に隔離されていたディクロニウスの少女ルーシーは拘束を破り、研究所からの脱走を試みる。海に飛び込む直前に頭部に銃撃を受けるものの幸い軽症で済み、彼女はそのまま海へ投げ出される。
一方、大学に通うため親戚を頼りに鎌倉にやってきた青年コウタは、いとこのユカと由比ヶ浜でルーシーに出会ってしまう。頭部に受けたショックでルーシー以外の人格に入れ替わり、「にゅうにゅう」としか喋ることの出来ない彼女をにゅうと名付け、コウタが住むことになる楓荘に居候することになる…。

声優・キャラクター
鈴木千尋、小林沙苗、能登麻美子、萩原えみこ、松岡由貴、細井治、中田譲治
ネタバレ

sekimayori さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3

エログロが先か、テーマが先か(酷評注意)

今更ながら、必須教養だと思って観てみました。
あー、これは確かにすげえわ。

これから酷評します、好きな方にはごめんなさい。
各所で深みのある名作とされ海外でも大人気な本作、後で書くように傑作たりうる可能性も一応あるのは理解できます。
しかし私には、(少なくとも表面的には)メッセージ性を免罪符に過激描写を重ねるだけの作品に思えてしまいました。
正直、高評価の意味がわかりません。
なお、このレビューを不快に感じられたなら、直接お叱りいただくか、もしくは、右下にあるピンクのハートマークついたボタンを連打してストレス解消してください(ゲス顔)。



■エログロが先か、テーマが先か

この作品の基本構造は、キャラの抱える悲劇と人間の闇とを、萌えキャラと残虐描写のギャップから生まれる強烈な刺激によって視聴者に強く印象付ける、というものです。
「エルフェンリートが好き」という方の多くが、エログロ描写は表面的なものであり、本質は人間の醜悪さや差別を描いたテーマ部分にある、とされているように思います。
実際、監督の神戸さんは、本作のテーマが差別と救済だとおっしゃったそうです。
最近の「売れりゃいいや」みたいなただの娯楽アニメもいいですが、こういった高い志で作られた作品はやはり心に残るものの質量が違いますね。

しかし私にとって、エルフェンリート視聴後に残った重たいものは、感動ではなく嫌悪感でした。
物語とテーマの描写があまりにお粗末すぎて、テーマは単にエログロを糊塗し正当化するための装置にすぎないように思われてしまいました。
要は「エログロが先か、テーマが先か」と問われれば、テーマが先と見せかけてやっぱエログロが主体なんじゃねえのか、ということです。
(5.11追記)エログロの存在が許せない、って訳ではないです。
エログロをテーマで塗り隠すような「偽善」っぽさ、みたいなのが個人的に全く受け付けなかったということです。
誤解を招く書き方してごめんなさい。(追記終)

刺激の強い表現を用いてテーマを描きたいのであれば、物語や登場人物にそれ相応の「強度」が必要だと、個人的には思っています。
「強度」は「説得力」と言い換えてもいいかもしれません。
人間、娯楽の中の刺激の強い描写にはどうしても心が動かされるものです。
作り手側は劇薬を扱う者としての倫理というか対価として、その描写を用いて示したいテーマをしっかりと描き切り、他の部分でもケチがつかないような堅牢さを持った作品を作らなければならないのではないでしょうか。
例えば、グロ描写でも有名な漫画『寄生獣』は人間の自己中心さを問う点でエルフェンリートと重なります。
一方で、より高いメッセージ性と必然的な物語展開を兼ね備えており、今でもテーマと娯楽性を両立した名作として読み継がれています。
またアニメ化もされた『GUNSLINGER GIRL』(原作大好きです)は、美少女+悲劇に洗脳、ミリタリーと、批判されない方がおかしいくらい業の深い要素の積み重ねから出発しました。
しかし、それらの題材を娯楽として消費することの気持ち悪さに自覚的で、それでも批判から逃げずに最後まで気持ち悪さを自ら提示したまま、希望をテーマとした物語を美しい結末に矛盾なく導くことに成功しています。
これらの作品において、刺激的な描写は確かに必須でしたが、あくまで一貫したテーマを描き切るための手段として過不足なく使用されていました。
というか、少なくともそう錯覚させられるくらい作品に引きずり込む力を持っています。
それはキャラの行動・心情や物語展開に無理が少なく、登場人物に感情移入できるからであり、またテーマ部分に関しても少なくない時間を割いて通り一遍ではない深い描写がなされていたからだと、私は考えます。

翻ってエルフェンリートですが、まずアニメとして普通にツッコミどころが多すぎです……。
行動原理の全く不明な主人公とか、感情の起伏が激しすぎるヒロインたちとか、アニメと言えどキャラの性格や背景設定が非現実的すぎます。
そのくせ、さっき会ったばかりの人物の気持ちを、他人が斟酌して言葉に出して説明してくれたり。
ストーリー展開も唐突で説得力が全くありません。
{netabare}感動ポイントと言われる父娘パートもテンプレ以上になってないし。
戦闘で死亡/生存するキャラも戦闘の展開も、ご都合主義という神の見えざる手が働きまくってます。
結局発現の理由も不明だし、感染云々もドン引きするくらい適当な設定。
そして、家族皆殺しの犯人を許した挙句のラストシーンの展開とか、物語としては庇いようがないくらいひどいと思うのですが……。{/netabare}
また、髪型でしか見分けのつかないキャラデザ、そのくせ崩れる人物作画や、上滑りして過剰に思えた声優さんの演技など、観ていて辛くなるポイントが多かったです。

そして、テーマ部分の描写にしても、ただグロを振りまくだけで実際は表層をなぞっただけに見えます。
テンプレートな過去回想で「人間は醜いですねー、差別が悲劇の元凶ですよねー」とかやられても、距離感を感じてしまいました。
キャラが現実離れしてるし、加害者側があまりにもクズなうえ描写も少ないしで、メッセージが示されているのは理解できても、心にまで伝わってきません。
グロ描写にはすごく力が入っているので、心理描写やいじめ・差別の陰湿さにもこだわってくれたら、それだけで説得力が格段に増すと思うのですが。
そうなっていたら実際傑作になっていたのではないかと。

良かったのは聖歌にまで上り詰めたという主題歌くらいですが、バチカンの爺さま方が聖歌の元ネタがこんなエログロアニメだと知ったら卒倒するんじゃなかろうか。
まぁでもあそこも権力闘争とか性暴力とか氾濫してるみたいだし、案外合ってるのかもしれませんね。

ということで、テーマ部分が心に響かず、物語の筋も萎える出来で、結局エログロ描写が心に残るだけという悲しい結果に……。
よって私の中では、結局テーマではなくエログロが主体のアニメ、という評価に落ち着いています。



■エルフェンリートが傑作である可能性

ここまでけなしまくってきましたが、最初に断ったように、エルフェンリートは傑作かもしれません。
観方によっては、確かに稀有な作品として称賛するほかないとも思うのです。
その「観方」、二つあると思うのですが、お薦めするのは、この作品を人間の愚かしさ・醜さをメタレベルで抉り出す作品だと捉えること(作中で提示される直接的な性悪説的表現を鑑賞することとは意味が異なります)。
過激なエログロに脊髄反射的に反応しつつ、反応してしまった自分を直視したくないがため、薄っぺらな物語に「テーマ性」を見出すことによって自己を正当化する。
その上で、次元すら隔絶した安全地帯から少女たちの悲劇に心を震わせ「感動」するのです。
悪趣味の極みじゃないですか。
それでも心は本能的に強い刺激を求め、否応なしに反応するのですから、それが人間の本質的な醜悪さと言わずしてなんと言えましょう。
事実、私もこんなに文句を垂れながら再生する手が止まらず、2日で全話視聴しました。
俗物である自覚はありますが、しかし過激描写を心がこんなに求めるとは、ほとほと自分が嫌になります。
ということで、そういった点を自覚しつつエルフェンリートを観てみれば、一シーンごとの自分の心の動き様に戦慄させられる方も多いはずです。

もし製作陣がそこまで考えてこのアニメを作られたのであれば、ここまで書いてきた文章は全部的外れです。
というか、議論のレベルがずれています。
エルフェンリートはエヴァ劇場版で庵野監督がオタク相手に試みたことをTVシリーズで人間一般レベルまで敷衍して解りやすく主張し、しかも物語の完結まで果たした傑作だと、評価せざるを得ません(私はエヴァ信者ではありませんが)。
ネットの片隅でこんな長文を垂れ流してる自分は、まさに風車に挑むドン・キホーテ、お釈迦様の掌の上の孫悟空に等しいでしょう。
ただ神戸監督自身が「テーマは差別と救済」とおっしゃったようで、私としてはやっぱりそこまで深い作品じゃないんじゃないかな、という結論に至ってしまっていますが。

ちなみに本作を傑作として楽しむもう一つの方法は、以上で書いたことすべてを理解し、その上でさらに一歩引いた視点から、超絶エログロナンセンスギャグアニメとして鑑賞する方法。
作品の物語・テーマ面での稚拙さと、そこから繰り出される高度なシュールさ、そしてエログロに本能的に興奮してしまう自分の醜悪さもすべてひっくるめ、ひきつった冷笑で笑い飛ばすのです。
もう悟り開いちゃってますよね。
もしあなたがその境地に至れるのなら、人生設計とか将来の夢に、新興宗教の開祖になるって項目を付け加えることをお勧めします。
きっと人生安泰ですよ。
責任は取りかねますが。



【個人的指標】 15点

投稿 : 2024/11/02
♥ : 29
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

グロいだけのアニメじゃない。芸術性の高さは、分かります。

[文量→大盛り・内容→考察系]

【総括】
エログロとして、大変に有名な作品。ただ、エログロ苦手な剣道部も最後まで観られたので、多分大丈夫かなと思います。

頭をぼ~っとして観るのではなく、色々考えながら観るのに適したアニメだと思いますよ。


【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
一番は、事前情報があり、覚悟してたってこと。後は、「ヨスガノソラ」でエロ耐性が、「魔法少女育成計画」でグロ耐性がついたのが良かったのかな(苦笑) (エログロ苦手でも)ちゃんと完走できました。

あとはまあ、この時代にしてはかなり絵は綺麗なんでしょうが、あくまで古いアニメ。やはりグロさに耐えられる1つの要因にはなったと思います。


さて、「グロい」という外皮を剥ぎ取ると、かなりの重いテーマがたくさん詰まっている社会派のアニメですね。

「異種族間の差別」「PTSD(トラウマ)」「性暴力」「いじめ」「解離性同一障害(二重人格)」などなど。

このアニメに込められたメッセージは、人間の発達段階における「遺伝的要因」と「環境的要因」だと思います。もしくは「性善説」と「性悪質」。

「遺伝的要因」とは、その人間が生まれながらに親から引き継ぐ先天的な性質で、「環境的要因」とは、その人間が育った環境(教育)下で得た後天的な性質を指します。

例えば、同じ遺伝子をもつ一卵性双生児でも性格に違いがあるように、人の性格(性質)を決める上で、環境的要因は大きいとされています(今の研究結果では、遺伝的要因と環境的要因は、50対50程度とされています)。

今作でいくと、ディクロニウスになったり、ベクターをもっているのは100%「遺伝的要因」。極端な狂暴性をもつのは、「環境的要因」が大きいのだと思います。

例えば、「親の愛を受けていた(と本人が信じている)」ナナには極端な狂暴性がないことや、悪魔のようなルーシーにしても、イジメによって子犬が殺されたりコウタに裏切られた(と本人が思う)までは、ちゃんと人間味がありました(動物園のシーンなど)。

最も大きくそう感じるのは、「ルーシー」と「にゅう」の対比です。確かにルーシーは殺人狂というか、(研究所の職員曰く)人間を人間とも思わない悪魔、のように描かれていますが、それは初めからそうだったわけではなくて。そんな「純粋な頃」の比喩が、赤ちゃんのような「にゅう」。

人は、生まれつき悪魔なのではない。様々な不幸な境遇下においては誰しもが悪魔になる可能性をもつ(性善説)。そんなメッセージが感じられる作品でした。

それは例えば、ルーシーが殺人者になるきっかけとなった施設のいじめっ子ですらそうです。あのいじめっ子達もあくまで「児童養護施設」の子供であり、何らかの不幸な境遇下にいた子供達です(実際にルーシーもそんなことを言ってるし)。だから許されるわけではない(結局殺された)けど、それなりの理由はあったということですね。

例えば、冨野さんがガンダムで「戦争を描くことで戦争を否定した」ように、この「エルフェンリート」は、「有形無形、様々な種類の暴力を過激に描くことで、暴力を否定した」作品なんでしょうね。

幼い頃のルーシーが、「あくまで自分の意志で」「無実の人々を虐殺しまくった」ことも、(特に環境の影響を受けやすい)子供の教育に対する警鐘なのかもしれませんね。

この作品のテーマとしてはよく、「罪と贖罪、愛と赦し」なんてことがあげられるようで。まるで鎮魂歌のようなOP(これ、ラテン語の歌詞で聖書の一部を抜粋しているらしいですね)も含めて、なんかこう、(私は無宗教且つ、あまり宗教には詳しくありませんが)キリスト教圏で好まれそうなアニメって印象。このような過激な表現を「芸術」と捉える気質って、日本人にはあまりない部分だし(OPの絵がクリムトの絵画のオマージュだということからもそれはわかります)。

いや、本当に「芸術性の高いアニメ」だということは「分かります」。

でも、(好きな方も多いだろうに)本当に申し訳ないんですが、私はシンプルに言って、あまり楽しめませんでした。(名作を批評するのは勇気がいりますが)シリアスなアニメは好きな方だけど、(詳しくは各話感想にありますが)シリアスなアニメだけに、(あの助手とか)細かい矛盾点が気になってしまい、うまく入り込めませんでした。かなりご都合主義というか、ラストも「妹と父親を虐殺した相手を、よく赦せるな」とか、思ってしまいましたし。

まあ、心が狭いんですね、私って(汗)。ファンの皆さんには、美しい森を観て、その中の数本の木が枯れているだけでいちゃもんをつけるような剣道部のケツの穴の小ささを笑って頂ければ幸いです。

〔まとめ〕
◎メッセージ性の強さ
◎社会性、芸術性
△エログロ
×多くの矛盾点
{/netabare}

【余談(原作ネタバレ)】
{netabare}
このアニメ、原作とはだいぶ違うようですね、しかも結構大事なポイントで。例えば、原作では、コウタはルーシーのことを死ぬ間際まで許していないとか、他にも、自分が感じた違和感をちゃんと回収しているようです。これはまあ、原作連載中にアニメ化した作品の宿命だから、仕方がない部分だと思います。原作読むほどじゃないって方は、Wikipediaにかなり詳しく載っているんで、そちらで補完して下さいw
{/netabare}

【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
OPから乳首見えてるのと、1話目冒頭の最初のカットがちぎれた腕ってねw リアルタイム視聴してた方の衝撃は大きかっただろうな。如月のシーンは、「うわぁ…」って思った。

2話目
坂東は、殺人狂ではなく戦闘狂? 即射殺できない奴は死亡フラグw 腕もげてあれだけたって元気って(汗)

3話目
ふ~ん、なんかディクロニウスって、「レベルE」の「マクバク族(サキ王女)」みたいだな。凄いどうでも良いんだけど、ご飯とみそ汁の置く位置が逆(笑)

4話目
なかなか印象的な回。蔵間はただのクズではないのか? ナナの最期はなかなかだった。

5話目
予想以上にへビーな、まゆの過去。これ、海外で人気になったアニメでしょ? 日本人を勘違いされるんじゃ(汗) あっ、またご飯が右側だ。最初は作画ミスかなって思ったけど、続けるからにはなんか意味あるのかな? 地域性? ただの無知? ご飯が右側って、確かお葬式の時の配膳だよね。そのへん、なんか比喩的なもんかな? 考えすぎか(笑) なんか、大分ご都合主義。黒幕の息子がたまたま主人公の大学の教授って……。

6話目
説明台詞(研究内容)をペラペラ喋る謎の助手……。これで伏線になっていなければ、駄作だぞ? やはりコウタの行動って完全にエロゲの主人公じゃんw(自分的エロゲ主人公=とりあえず全方位に優しくしといて、イケそうなら何でもイっとく)

7話目
ふ~ん、ナナは生きてたのね。これはこれで好きな展開。ん? ベクターって質量の大小に影響されるような能力なの? じゃあ、戦車砲とかで勝てるじゃん。1話目の狙撃は「知覚外の攻撃」だから通用したのかと思った。腕すぽーんは、笑ったw

8話目
謎の助手、何か狙いがあるのかと思いきや、ただのバカだったの? 腕すぽーんは鉄板w いくら酷いイジメとはいえ、あそこ(犬を撲殺)までは……また日本が誤解されるかな(汗)

9話目
コウタと出会い、気を許し、裏切られ、黒いルーシーに覚醒した。核になる回だね。

10話目
仮に子宮頸がんが見つかっても、旦那に相談する前に帝王切開するかい? 今回のグロシーン(子宮から血を流しながら歩く妻)が一番ダメージあったな(汗) かなり悲しいシーンだった。

11話目
体が半分ブッ飛んでいたら即死のような気はするけどね。しかも、暫くたってたし。ラスボス登場って感じ? 作品がさらに悲劇的になっていく予感。

12話目
水に落ちるのは生きてるフラグ(笑) やっぱり、コウタが天然エロゲ主人公やっているから、この悲劇が生まれたんじゃん(苦笑)。

13話目
車椅子のラスボスって、ファイナルファイト(ゲーム)を思い出すなw う~ん、角を折られた程度で能力が発動できなくなるの? 研究所、試しておけよ(苦笑)。てか、だったらディクロニウスって、自ら角を折ることで人間として生きる道もあったということ? あるいは、生まれた時に角の除去をするとかね。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 44
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

毒を帯びた密を緩やかに含むような不思議な作品

【レビューNo.39】(初回登録:2023/3/11)
コミック原作の2004年作品。全13話。
名作という噂は聞いていてずっと気にはなってたんですが、何故か2クールアニメと勘違いして
いてちょっと敬遠してたんですね。交流あるレビュアさんが強く推してたので、ようやく重い腰
を上げたって感じですね。

(OPについて)
まあ本作にを語る上でOPに触れない訳にはいけないでしょう。
クリムト絵画でキリスト教のような世界観を描きつつ、OP曲「LILIUM」は歌詞がラテン語で聖書
からの引用も多いため、海外では教会関係者の間で賛美歌のひとつとして歌われるようになったと
いう凄い話になってます(NHKで取り上げられたらしい)。そんな感じで冒頭から宗教的な世界観
を醸しだしている感じですね。
あと海外という話だと、上述事項に加えグロさ(向こうはスプラッタームービーの本場だしw)が
ウケて、日本以上に海外での評価が高い作品として知られているようです。

(世界観)
ネタバレになるがちょっとこの辺の情報がないと説明しにくいので
・「ディクロニウス」という側頭部に2本の角があり特殊能力を持つ生命が存在する世界
(人間の遺伝子の突然変異によって生まれた女性型ミュータントらしい)
 以下詳細{netabare}
・彼女たちは「ベクター」と呼ばれる見えない複数の腕を持つ。ベクターの機能は主に2つ。
 ・「ベクターウイルス」というレトロウイルスを有し、男性に接触することで感染が可能。
  このベクターウイルスに感染した男性が親になると、必ずディクロニウスの女の子が生まれる。
  (生殖機能)
 ・ベクターには有効射程距離があり(2m~個体差あり)また高周波による微振動で鋭利な切断が
  可能(人を遠隔から真っ二つに切り裂ける)。またディクロニウスには本能的に人類に対する
  殺戮衝動が埋め込まれており、3歳を過ぎた頃からベクターが発動する。(殺戮機能)
 → つまりこのまま放置すると、男性がどんどんベクターウイルスに感染しディクロニウスの女
   の子が生まれ続け、その子たちがベクターを発動し人類を殺戮し続け滅亡させてしまう。
・それを阻止するため国立生態科学研所なる機関が存在する。彼らはディクロニウスを捕獲し研究
 (能力調査やウイルスに対するワクチンの開発等)や国防と連携し彼女たちの殺戮を実施。{/netabare}
という感じで、(神の御心的な?!)種の起源や絶滅といったやはりどこか宗教観のある世界が描かれ
ています。それにしても岡本倫先生のこういう世界観の作り込みはさすがですね。

(ストーリー)
そんなディクロニウスの少女「ルーシー」が研究所から脱出するところから物語が始まる。ルーシー
は脱出の際、頭に受けた衝撃が元となって人格が分裂し、「にゅう」という別人格を有するように
なる。ルーシーは逃げのびた海岸で、大学生のコウタといとこのユカに助けられ共同生活を送ること
になる。普段は「にゅう」という何も知らない無垢な人格で過ごしているが、ルーシーを回収するた
めに送り込まれる刺客とのバトルでルーシーの人格を呼び起こすことになる。そこで彼女の幼き日の
記憶も蘇り・・・

(評 価)
・巧みな仕掛け「人格分裂」
 「極黒のブリュンヒルデ」でも感じましたが、原作者岡本倫先生はこういうギミックの使い方が
 本当に上手いなと。上述事項を見れば全編に渡って血生臭いバトルが展開されてもおかしくない
 のですが、それを抑えているのが「人格分裂」というギミックです。
 {netabare}本作では意外にも大半が「にゅう」の人格で描かれているので(ちょこちょこバトルは入りますが)
 全体的には拍子抜けする程穏やかに日々が過ぎていきます。これでグロ展開連発の大味なダーク
 ファンタジーに成り下がらず、上手くメインテーマを描きながら、この(偽り?の)平穏がいつ
 まで続くのかという緊張感を視聴者に与え物語に引き込んでいきます。{/netabare}

・もうひとつのギミック、それぞれの「記憶」
 本作にはもう一人のキーマン研究所室長の「蔵間」が登場します。彼を加えて物語の重要な部分
 はほとんど彼らの回想で綴られるというかなり特殊な構造になっています。
 {netabare}・コータ:衝撃的な事件で閉ざされてしまった過去の記憶
 ・ルーシー:普段は「にゅう」により封印されているルーシーが持つ記憶
 ・蔵間:研究所の責任者・またそれ以上の関係者としてディクロニウスと関わってきた彼の記憶
 そのためエピソードは進むものの、物語の核心はその回想という「振り戻し」で語られるので、
 率直なところテンポの悪い作品だと感じます。実際状況の進展としては、
 {netabare}「モブでない何人かのキャラが死に、コータの元に美少女が集まりプチハーレム状態になったw」{/netabare}
 位でしょうか。それに閉ざされた記憶が蘇るとき・・・こういうところでも結構引っ張ります。
 (上述の「にゅう」の人格がいつ消えるのかを含め、どこで爆弾が爆発するのか緊張感がある
  反面、なかなか爆発せず物語が静かに進行する点もテンポの悪さを感じる一因かな){/netabare}
 それでもラストを観ると何故か納得させられてしまうという、本当に不思議な作品です。
 あと記憶の話でいえばOP曲「LILIUM」も記憶のアイテムのひとつに使われ、こういうところは
 本当に抜け目がないなと感心させられます。

・「人の持つ醜悪さ」「救い」「純愛」がテーマ?!
 1話を観た感じでは「『神の御心?!』種の存亡をかけた『ディクロニウス』VS『人類』の激闘」
 というイメージがあったのですが、個人的にはざっくり下記3つがテーマなのかなっと。
 {netabare}・「人の持つ醜悪さ」
  人ならざる者への悪意・差別、弱い者が更に弱い者を叩くという人間の醜さ、また強力なる力を
  私欲のために独占せんとする人間の愚かさ
 ・「救い」
  上述醜悪な世界からの救い、過去に犯した罪(の意識)からの救済、(あと「人ならざる者として
  生まれた者」が安心して生きていける居場所という救い?)
 ・「純愛」
  コータ×ルーシー、蔵間×ディクロニウスの他種族との垣根を越えた「純愛」{/netabare}

「毒を帯びた密を緩やかに含むような不思議な作品」ってレビューのタイトルを付けたのだが・・・
{netabare}冒頭のド派手なグロ展開がウソのように物語は静かに進行し、コータやにゅう達の何気ない日常は甘い
蜜のようです。しかしそこには遺伝子レベルでの「殺戮衝動」や「人の醜悪さ」といった「毒」も存在
し、いつそれが牙を剥くのか・・・本当に微妙なバランスの上に成り立った不思議な作品だったなと。
なので、率直にいうとどう評価すべきか悩ましい作品ではありますね。期待してた爆弾がある意味不発
気味に終わり、少々肩透かしを食らった感は否めないし。
それでも岡本倫先生の作り込まれた世界観やギミックは秀逸で、「種の存亡」という壮大な世界観から
、最後にコータ×ルーシーという2人の世界へと収束されていく「純愛」への流れは確かに美しい。
なので途中に粗があったとしても、それで許してしまえるっていうのが結論ですかね。{/netabare}

作画・キャラデザは2000年代初期って感じで、感情表現も(細やかな演出ではなく)良くも悪くも分かり
やすく、ストレートな描写が多いところも時代を感じるかな。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12

59.1 2 イジメで鬱なアニメランキング2位
骸なる星 珠たる子 なるたる(TVアニメ動画)

2003年夏アニメ
★★★★☆ 3.1 (208)
870人が棚に入れました
『なるたる』は、鬼頭莫宏による漫画、及びそれを原作としたテレビアニメ。タイトルは「骸なる星、珠たる子(むくろなるほし、たまたるこ)」の意味。
【ストーリー】小学6年生の玉依シイナは小学校最後の夏休みに祖父母の住む島に行き、海でおぼれかけて、星の形をした変わった生き物『ホシ丸』に助けられ出会う。
ホシ丸は少年少女の意識とリンクし、変幻自在の能力を発揮する「竜の子」の一体であった。他の「竜の子」の持ち主(リンク者)との出会いのエピソードを挟みながら、シイナは「竜の子」を用いて世界をリセットしようとするリンク者たちの一派との戦いに巻き込まれて行く。

お寿司ちゃん さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

作画があまりにもひどい、後半の失速も最悪

クオリティが低すぎて見る必要のないアニメ。

まずは、作画があまりにも酷くて見てられない。
あまりにも歪み過ぎているのと、
人物のかき分けが出来ていないのも相まって、
登場人物が誰が誰か分からなくなる。
(原作漫画で絵が下手なので、仕方ないのかもしれないが)
近年見た作品の中でも、稀に見る酷さ。

また、前半のストーリー自体はいい感じで進むものの、
後半の失速はハンパない。
王道SFファンタジーなり欝展開なり、
どの視点で展開しても楽しめたはずなのに、
ことごとく全てを外して、中途半端。
ここまで自分から支離滅裂にしている作品は、
なかなか見当たらないという意味では貴重。

欝展開にしようとしている割に、
テーマの的を絞らずに、登場人物の心理描写で誤魔化して、
惰性でストーリーを走らすため、
主題が明確でなくなるのがこの原作者の悪いクセ。
無理矢理、主題を抽象的にして、
青少年の過去パターンに戻るベタパターンなので、
結局、とっ散らかった印象しか受けない。
(「ぼくらの」にしても、このあたりがきちんと
整理されていれば、もっともっと名作になりえたと思う。)

う~ん、濃い欝展開やりたかったんだろうけど、
トータル的にもつまらないし、全然ダメなアニメ。

OP曲とDVDジャケは詐欺です。
こんなにいい感じの内容ではない。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

alpine さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

終わり方がやっつけすぎる・・・。

物語の評価は3ですが、部分的には4あげてもいいと思います。
(終わり方がちょっとあれなので、3としておきます。)
とりあえず、原作は悪くないんです!
と、原作の事書いてもアニメのレビューにはなりませんね…。

良い点は…さすが鬼頭莫宏先生(ぼくらの)の作品と言った所でしょうか。
アニメでの再現率はかなり良い方だと思います。

この作品の一番悪い点は、ものすごく中途半端に完結させてしまっている点
B級ホラー映画のように続かせる素振りをしておけばまだ良かったものの
最終話で伏線を回収せずに無理矢理完結させてしまっている所といったところでしょうか。

その辺りも相まって、ボロクソ叩かれたり
部分的に見た人が、そのシーンだけをクローズアップして変に貶めている傾向も強いです。
なので、その辺の事しか書いてない人のレビューは参考にしない方がいいでしょう。

私から見れば他の方がレビューしている程偏った内容の作品とは思いませんでした。
中途半端に終わる所以外、ほぼ原作に則った流れになっていますし
原作の方が残酷描写は多いですから。

ただ、アニメでも残酷描写はやはりあるので
見たい人は、それを了承の上見ていただければと思います。
あと、上記しましたが、中途半端に終わるので
そこも覚悟してください…。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

coldikaros さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

これはやっちゃってる

漫画の方がまだ未完のうちにアニメ化しているので、非常に気持ちの悪い終わり方をしています。
原作の漫画は12巻までありますが、アニメのお話は6巻までで終わっています。
6巻というのは、この鬱続きな漫画においても、最も胸糞悪い話がやっと中途半端に終わるラインです。もう最悪です^^;
原作の場合、この後人間とはどのようなものなのかをアンダーグラウンドな視点で描いていくことになるのですが、ただでさえ難解でかつかなりストイックに描かれた作品なので6巻で区切られると何が言いたかったのかさっぱり分かりません^^;
これを読んだ後漫画の方も読むつもりならおすすめします。漫画はなかなか面白い話に仕上がっています。
しかし、これ単体で見るのは絶対に止めてください^^;
胸糞悪くなるだけです。
というか、そもそも「ぼくらの」の作者の作品なのでいわゆる鬱描写が大丈夫な人が見るようにしてください。
まぁこれだけ見る人が限られる作品な上に、途中で終わっているので、おすすめはできませんね^^;

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

72.1 3 イジメで鬱なアニメランキング3位
BRIGADOON[ブリガドーン] まりんとメラン(TVアニメ動画)

2000年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (161)
816人が棚に入れました
時は1970年。大阪万博の開催まで一年をきったある日、東京下町の長屋に住む平凡な少女浅葱まりんは突如空に現われた異世界「ブリガドーン」からやってきた謎の生体兵器(モノマキア)に襲われる。その時、根津神社に御神体として祭られていたアンプルの中から別のモノマキアが現れ、まりんを救う。彼の名はメラン・ブルー。まりんを守るのが任務だという。二つの世界の運命をかけた戦いが始まる。
ネタバレ

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

夢の中の熱き純情。9話から観ちゃイカン。

原作監督・米たにヨシトモ、構成脚本・倉田英之

オープニングのフォルクローレな民族調歌声、すごく物語にあっていて伝承性が増して気持ちが惹きつけられますね。何度も飽きずに聴けてしまった。

ある日空からの謎の落下物とともに、頭上にはブリガドーンなる空中都市が浮かぶようになっていた。地上の下町に住むまりんは、神社の祠でロボットのような生き物を目覚めさせる。「生体兵器メランブルー」と名乗る彼が付き従うようになり、まりんは二つの世界のひずみに巻き込まれてゆく…。

ぐりんぐりんの目玉、13才には見えない眼鏡っ娘まりんのあんまりありがたくないパンチラネタ、設定の1960年代風味な駄洒落、アハーン?って口癖に閉口しつつも、何だか気になる勢いで始まりました。
メランブルーは全身タイツ姿の肢体の端々にメカがくっついたようなデザインで、ハイヒールのような脚の耽美さに反してストイックな堅い奴です。(´・_・`)お腹と尻は出しといていいのか。

まりんを囲む長屋の憎めない面々のキャラクターも、芸が細かく和ませられます。その手厚さに、てっきりまりんはこの世界における愛されキャラなのかと思いきや、次第に「みなしご+謎の武器用心棒持ちの貧乏少女」として学校で迫害を受け始める。
しかし登校拒否になったまりんに、まっすぐな優しい言葉を向ける長屋の婆さんのセリフ、ちょい百合入ってそうだったモエちゃんとの熱い友情、かっこいい先輩のセリフ…4話にて、これは善いアニメだ!!と断定しました。なんていうか…それぞれのキャラクター、脇役に底力を感じます。


しかし、9話のヤーラシサってばどう〜なんですか。
この回から見たら絶対、違う目的のアニメだと思われるでしょう…~_~;
{netabare}
( 銭湯でまっ裸 + 泡と縛りの攻撃 + 味方メカ「ポイクン」の運転方法…。
乗り物になる亀型生体兵器ポイ君、内部に生えてる
弾力のありそうな有機的突起ブツをギュッて握って運転するんすよ。子供が考えそうなデザインでしょ?って見た目で、ああいうことする…。意味わかる方がやらしいとでも言いたいんかーオイッ!){/netabare}


そして10話以降の不幸の連鎖には、すべての中心点にまりんがいるのは物語だから仕方ないのか?、虚構が時に冗談のように束になって襲ってくる、ユメウツツ。

それでも先が気になるのは、主人公たちの主張や心情が吐露される時の、本気の純情さにグッとさせられるからです。ここは冗談にしないで頂きたい、と見守るしかない。もっとも、一話ごとに展開が早いのでひとつの苦しみが解決されるのも手早く、次への引きも上手いのですが。宵越しの銭はもたねェぜ( ´Д`)y━・~~的な感じで、話をまたぐ鬱はもたねェぜ(T ^ T)という甲斐性(解消)ありです。

{netabare} そして16話での、メランの理性的な説得の中に想いが滲んでいる様子にはジワジワ泣かされましたよ…。またメラン、いい声なんす。定められたと思われた絆を一旦不確定なものとして揺さぶるところがシビアなドラマでした。

そんでもって17話以降のさらに怒涛の、世界の崩壊の連鎖と逆恨みにあてこすられるまりん。やりすぎなような、ここまでやらないとみなしご様式美として意味ないのか。
救っては落とし救っては落とし救っては落としの夜店の金魚状態。生き抜くのに必死な昭和の時代の苦労ドラマ成分を目一杯盛り込んであるのか?、避難した人達の生活や群像心理など、いやに生々しく執拗な描写もあるし。
けれど、まりんを助けた先輩はカッコ良く善い人だったし、逆恨みしたり差別した人の後の扱いもきちんと考えてあったと納得。あと、崩壊後の世界だからこそ自分のあり方に立ち返ったキャラもチラホラいて、悪くなるばかりじゃないな、とも。
先に書いたように、苦難にぶつかってもまりんは脱出する糸口に恵まれていたと思います。だからやっぱり夢のあるお話。{/netabare}

面白いのがトリックスターのように現れる、猫のようなブリガドーンの奴ら。全てを知って誘導しているかのようで、翻弄されつつ、どこか憎めない。こいつらのおかしみで、重い展開もどこか安心して観られました。


20話を越えると、まりんは顔身体つきは変わってないちんちくりんなのに、妙に女性っぽく見えるのが不思議です。苦労は女を磨くんでしょうか。
メランの同期で女性型のエリュンにも「あの女のために強くなったのか」って、あのオンナ呼ばわりされてましたが。全体的に飛ぶ戦闘の切れ味がよく、とくにエリュンとメランの戦闘シーンがカッコ良かったです。

最終話まで行って特別意外な結末でもなかったのですか、壮大のちに全てを大事にして終わった、熱く優しい話でした。
まりんとメランのラブストーリーがロマンチックに締められるなか、私が感動していたのは、登場人物たちのその後を描く中で、子供を失って逆恨みした人を最後まで忘れずに一瞬ですが描いていたところ…。(;_;)こういうところがとても響きます。



物語の舞台となっている1969年(昭和44年)はどんな年か
{netabare} テレビでは「サインはV」「8時だョ!全員集合」「ひみつのアッコちゃん」「サザエさん」放映開始、リストに「海底少年マリン」なんてタイトルもありましたがまりんとマリン?
漫画はドラえもん連載開始。
学生運動で安田講堂でブイブイ、アポロ11号で初月面着陸、高度経済成長の盛りで地方の過疎化と公害問題がいろいろ。そろそろカラーテレビが一般に出回る時代、作中に出てきたテレビはまだ白黒でしたね。
原作者の方は、人情味溢れるまりんたちの暮らしの時代から先を分岐点と表現したのでしょうか。 {/netabare}


この作品を知り観てみたいと思っていたきっかけは、 {netabare} ちょっと古いアニメ好きな人なら結構名作扱いしていることと、以前「ノエイン」感想サイトさんで地味に推されていたからなのです。

そう言われれば、異世界から来た訓練された大人型の守護者と、世界の鍵を握る子供の組み合わせってところ、共通ですね。守護者が感情表現が下手なところも。エリュンとコサギ姐さん似てるし。あと真面目な顔で全身タイツなところも。


端々のデザインの冗談みたいなぬくぬくした垢抜けない感じや、まりんの目玉のデカさのおかげで、オススメされていなかったら観なかったと思います。観て良かったよ、もちろん。観返すと思います。 {/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 25
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

珍しい《長屋住まいヒロイン&昭和もの》ロボット?アニメ

大阪で万博(万国博覧会)が開かれた1970年頃の日本(※実際は1年ズレているらしい)を舞台とした、メカ騎士とお姫様?の《セカイの真実探索》系物語・・・でいいのかな?

本サイトでの評価が非常に高い作品(※総合評価 ★ 4.1)なので、前々から気になっていたのですが、シリーズ構成・脚本が、『メイドインアビス』や『かみちゅ!』を担当した倉田英之氏だったこともあって、余り期待しないで視聴してみました。

結果からいうと、倉田氏の担当作品って、やはり自分のツボからは外れてしまうようで、個人的には微妙な感想になってしまいましたが、一話一話の脚本自体は飽きずに楽しめたので、幾人ものファンが付いて本サイトでの評価が高くなることも何となく理解できる気がしました。

・・・と、いうことで、『メイドインアビス』が好きな人にはお勧めできる作品かも知れません(責任取れませんよ・・・)。

※参考

まりん(本作のヒロイン)→リコ
メラン(本作のメカ騎士)→レグ
異世界ブリガドーン→アビス

・・・と考えると何となく合ってる気がします。
(※女児(と思ったら中1だった)の余り嬉しくない全裸シーンが長々と出てきて「早く服着せろ・・・」と思ってしまう点も共通)


◆制作情報
{netabare}
原作         矢立肇(サンライズの共同ペンネーム)、米たにヨシトモ
監督         米たにヨシトモ
シリーズ構成・脚本  倉田英之
キャラクターデザイン 水玉螢之丞(原案)、木村貴宏
音楽         吉野裕司、上野洋子
アニメーション制作  サンライズ{/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

========= BRIGADOON まりんとメラン (2000年7月-2001年2月) ======
{netabare}
第1話 出会いは浅葱色 ★ 浅葱まりん(中1、13歳)の災難(ダルマ型モノマキア来襲)、ブルー・メラン登場
第2話 紺碧なるモノマキア ☆ 生体兵器(モノマキア)メラン、戦闘用モノマキア(ブロンテ)来襲
第3話 鈍色き雲間から ☆ まりん&如月萌の友情、中学校のいじめ
第4話 虹をもとめて ★ まりんの不登校、歴史観測委員(亜呂真)と真乃先輩、液体モノマキア(ヒュドン)来襲
第5話 ソーダ色の空の下 ☆ 警察の取調べ、根津神社の伝承
第6話 銀灰の訪人 ★ まりんの拘留、生活向上委員長ロロ接近、銃剣士パイオンvs.メラン
第7話 赫赫たる決戦 ☆ 真乃先輩&長屋住人の活躍、メランとの約束
第8話 海が紫紺に染まる夜 ☆ 萌と過ごす夏休み、資源採掘用MM(タラッター)撃破、移動用MM(ポイクン)
第9話 ピンク・フライト ☆ お風呂回、看護婦純ちゃんの駆け落ち、デュンマ来襲
第10話 大怪獣、燦爛! ★ 大阪万博旅行、カルキニオンvs.クシャトーン、モト婆ちゃん死亡
第11話 やぶれた傘、闇の雨 ★ 予想外の分岐、萌の好意とまりんの拒否
第12話 漆黒からの巣立ち ★ 逆恨み被害者の襲撃、パスカの日接近、米国大統領の依頼、ブリガドーン探査ロケット発射
第13話 天井暗黒世界 ★ 等価崩壊、ブリガドーン中枢都市、クレイスと都市の異変、エリュン登場・パイオン再登場
第14話 千紫万紅の果てに… ★ これまでの種明かし回(ブリガドーン中枢議会での証言、パスカの画策、まりんはクレイスに非ず)
第15話 極彩サヴマトン・カラー ☆ まりん&メランのサヴマトン探査、ロロとメロンの通信 ※演出のチープさがイマイチ×
第16話 金ぴかの約束 ★ 偽マリーン判明後の戸惑い、地球(ファニーワールド)帰還、二人の約束
第17話 未来色をさがせ! ★ 故郷の惨状、真乃先輩との再会、まりん失明
第18話 私は茜に輝いて ★ スキアvs.メラン、失明まりんの彷徨、変身型MM(コスモス)発動、メラン救出、まりん重症
第19話 仄かな破滅を運ぶ舟 ★ 純ちゃんとの再会、銃剣士エリュンとビザの箱舟来襲
第20話 雪あかりの下で ★ 長屋の人々との再会、箱舟管制奪取、エリュン敗北、萌のアンプル発見
第21話 萌葱色、永遠に… ★ 巨大化萌出現、抗体投与、萌救出 ※早く服着せろ・・・
第22話 赤錆びた壁を越えて ★ 亜呂真の調査結果(マリーンの消息)、マリーン出現
第23話 褐色の化身 ☆ 最新型MMクストン来襲、連れ去られたマリーン&銃剣士たち、ブリガドーンの異変、まりん再びブリガドーンへ
第24話 命はかくも透きとおり ★ ロケット・クルーとの再会、最後の等価崩壊迫る、メランとの哀しい再会
第25話 白きパスカの刻 ★ メラン意識回復、マリーン説得、クストンとの再戦、身代わりマリーン、クライスの生体洗浄、3銃剣士の誓い、アゴンギドラ来襲
第26話 サヨナラは海の碧(まりん・ブルー) ★ クストン敗北、復活の儀式パスタ、変数値の正体(ルル)、世界の回復 ※ED「出逢いをア・リ・ガ・ト・ウ…」{/netabare} 
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)18、☆(並回)8、×(疑問回)0 ※個人評価 ☆ 3.6

OP 「風の碧、海の翠」
ED 「虹色の宝物」

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15
ネタバレ

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

絵柄故に中盤がキツいです

 1969年、貧しさ故蔑まれながらも健気に生きてる孤児の女の子まりんと謎の生命体メランの出会いから始まる物語な訳ですが。
異世界ブリガドーンと地球の間に起こる等価崩壊と言う現象の進行を止める鍵としてまりんという存在を奪いに来るブリガトーンの生態兵器モノマキア達、マリンを守るメラン、事情が読めてない地球側という状況の中で展開してくんですが、確かに中盤のまりんの境遇がキツいです(汗)
{netabare}
地球の生活に慣れてないが故にメランがまりんを守る為にとった行動が原因で、学校でいじめられるところから始まり警察に連行されて刑事に荒っぽい尋問されたり。13歳としても体の小さい女の子なのに(汗)
二人が状況のカギを握る事を理解した国からのお達しで警察から解放され、気晴らしも兼ねてと出かけた出先でモノマキアの襲撃を受け、その晩に同行していた保護者のお婆さんが無くなった上、襲撃のあおりで娘を失った女から逆恨みを買って襲われたり。
{/netabare}
その後も暫く彼女の畳みかける不幸の連鎖が続くんすよね。挙句に {netabare} 失明{/netabare}まで(滝汗)
途中に挟まれる彼女のコミカルな妄想とかブリガドーンと地球の間に有る異世界での束の間の休息とかが無ければ、ひもじさから我を失いパン泥棒するヒロインとか悲しすぎて見てらんないと言うか。鬱作品と言われるのも判ります。
wowwowで放送されたアニメですが、前年に"今、そこにいる僕"が放送されてたりしてる訳で・・・なんかスゴイすよね。

そういう「まりんの不幸」を不器用ながら身を賭して助けてくれるメランとの絆が愛に代わってくってストーリーですので、ベタな話は照れ臭くて観てらんないと言う方は多分観てらんないかもです。
実際2クールの十分な尺が有るから感情移入できるんであって、今時のアニメの様な絵や台詞等の感情描写の巧みさは無いと思います。作りとしてはやはり相応に古いと思う。
ですが、ベタとは言えラストシーンの二人の交わす言葉はイイすよ。
私はちとウルっと来ましたw
{netabare}
二人のその後は具体的にされず

まりんとメランの未来色
ふたりでさがそう虹の色
しあわせ色のたからもの

 と締められます。この締め方に関しては私は好きですが、絵で具体的に示してほしいと言う方も居るかもですね。
私は"ふたりでさがそう"ですから一緒の世界に居ると解釈しましたが・・・
ここが物語の真相としては矛盾では?と指摘されてる部分すかね。
{/netabare}

 絵柄がこういう絵柄ですし頻繁に出てくるコミカルなシーンが不幸な少女と彼女だけの騎士と言うラブストーリーに水を差してる気はするんですが、であればこそ作品全体が湿っぽくなり過ぎなかった事を考えるとコレでいいのかもとも思います。
90年代のアニメとしては絵も綺麗ですしメラン達銃剣士の動きも良く、まりんも今時の萌えとは違うかわいらしさですんで、絵柄が受け付けられない・90年代のノリが無理という方以外なら悪くないと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11
ページの先頭へ