plm さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
リアリティと超技術の融合
A-1 Pictures + TROYCA共同制作のロボットものオリジナルアニメ。
ストーリー原案に虚淵玄の名を見かけたことにつられて観始めた。(脚本は3話までらしい)
比較的堅実なストーリー展開と描写で、"斬新さ"より"王道・リアリティ"を重視した印象を受ける。
超技術により作られた火星の兵器による侵略から、技術で劣る地球の兵器でどのように対抗するか。
圧倒的脅威との対決と、二つのサイドで繰り広げられる人間関係の錯綜が物語を盛り立てる。
■話は分かりやすく、先は読めない
感想から言えば、この作品はかなり面白かった。
そこで、では例えば面白くない作品というのはどういうものかというと、
「話は分かりやすいが、どこかで見たような展開すぎて面白みに欠ける」
「奇抜すぎて展開は読めないが、話についていけない」
……こういうお話のものではないだろうか。
この作品の物語は王道的なもので、火星人の侵略・地球側の抵抗という構図を取っても分かりやすく、
登場人物が何を目的に動いているか、何のために誰と戦っているか、といったことも示されている。
そのため物語の展開に戸惑うことがなく観ていくことができる。
そして一方で、こんなのどうやって倒すんだ?! とか、この先どうなっちゃうの!?
といった先の予測できない展開が振りまかれていて、
「現状を把握することはできるが、その先はどうなるかわからない」
という理想的な構成に仕上がっている、だからこそ面白いと感じられるのではないかと思う。
■状況を打ち破るのは、戦力ではなく戦術
話についていけない、取り残されるという感覚は、展開の奇抜さに限ったものではない。
でたらめな必殺技や、都合の良い新兵器の投入、人物の覚醒など、
いわゆるご都合展開が突如として現れると、置いてけぼりをくらってしまう。
大事なのは順序に沿って物語が進行していくという納得感だろう。
本作品もご都合主義がないとは言えない。地球側の主人公・イナホの冷静沈着な対処能力は規格外だ。
けれど、あくまで分析と作戦による戦術構築は論理的で、リアリティから逸脱しない。
主人公たちに都合の良い"新要素"を安易に持ち出さずに、あくまで"策謀"により攻略する、
そこが単純ながらロマンがあって、良かったのではないかと思う。
■敵も一枚岩ではない
超技術の火星ロボット vs 地球の量産機 の戦闘描写がメインコンセプトとなっているが、
スレインやアセイラム姫を巡る、人物たちには様々な思惑が渦巻く。
誰が、どちらの味方になるか敵になるか。何が正しく、何が間違っているのか。
敵の中にも自身の正義を掲げる者がいる。強敵との対決だけに収まらず、信条のぶつかり合いもある。
ここがまた先を読めなくさせている要因の一つであると思う。
☆総じて
あまりうまく説明できないけれど、1話1話の構成も良かったと思う。
毎話、盛り上げ所・話の肝があって引きも良く、演出・音楽のセンスが優れていたのか、
かなり見入る内容だった。続編が楽しみな作品だ。