plm さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
このアニメは砂糖とコーヒー豆、それと素敵な何かでできている
まんがタイムきらら系列の4コマ漫画を原作とする正統派日常系譜を継承する癒し系ほのぼのアニメ。
日々の疲れを癒すため、こういった無毒系アニメを心の支えにする者達が近年増加しているという。
それ故に、一つが終了すると路頭に彷徨う者が辿りつく次なる作品が、難民キャンプなどといわれている。
そういった需要の面から見ても、この作品は同系統の歴代作品の中でもかなりの高クオリティだと思える。
徹底して現実から切り離されたこの世界は、視聴者に安らぎと温かみを与える。
■この世界は、幸せなことで満ちている
この作品でまずもって特徴的なのはその舞台、西洋風の家屋が立ち並ぶ街の外観である。
最初に見た時は「きんモザ」を思い出した。しかし、あちらはホームステイという設定だが、
こちらは通貨単位が"円"であり、登場人物もどうやらみんな日本人っぽい。
深く言及されていないものの、さながら不思議の国に迷い込んだアリスのような感覚を抱く。
この舞台設定に、もしかしたらそれほど意味はないのかもしれないけれど、
どこか非現実的な部分が、夢の国へと誘われるかのような感覚をもたらす。
そしてこの舞台設定に限らず、野暮ったい現実的要素が一切排除されているともいえる。
チノの父という監督者として立場を持つ人物はいるものの、ココアや他のキャラの親の描写はなく、
彼女たちの自主性が重んじられていて、それを制限するものはいない。
つまり、本当に"純粋に女の子たちの可愛さを楽しむアニメ"が徹底されている。
■こころがぴょんぴょんする、安らぎや温かみの根源とは
幸福の定義というのも色々あると思うけれど、その一つは"居場所があること"だと思う。
居場所というのは、自分が社会的に立場を持っていること、そして他者から認められている自覚からなる。
この作品には、それらが不足なく揃っている。
自分を必要とし、認めてくれる人がいる。働いて稼ぐことのできる仕事がある。
彼女たちが自立的に生きていける居場所が整っていて、命が脅かされたり孤独になるような悩みがない。
これが安らぎの根源で、到達的な幸福の形の一つといえるのではないかと思う。
(今期は殺伐としたアニメも多かったので、それがより顕著に感じられたのかもしれない)
■まったりとした味わい
この作品で特に好きだった部分は、落ち着く雰囲気。
喫茶店(バー)という一息つけるところが活動拠点だったことも要因の一つだろう。
それからチノという落ち着いたキャラが、至極まともな突っ込みを入れてくれることが良かった。
ダウナー系のキャラが一人いると観やすく感じるようで、アッパー系のキャラとの対比も効いていい。
「みなみけ」でいうところの千秋、「のんのんびより」でいうところのれんちょんみたいな感じの。
本作のツッコミオチもなかなか秀逸で、「これじゃない!」とかじわじわと笑いがきた。
☆まとめ
総じてハートに溢れた、甘々すぎるくらいの箱庭世界的幸せ空間が展開されていた。
話的には毒にもならないザ・日常系色が強いものなので、例にもれず大して面白いわけでもない。
でも日常系といいつつ、非日常的に感じられる面からすると、
「ゆゆ式」とかとはまた別のタイプの作品なのかもしれない。
コメディ控えめで、ちょっぴりほっこりドラマ寄りな「きんモザ」っていうのが近いイメージかも。
ただただほのぼの可愛いものに癒されたいという人にはかなりお勧めな作品だろう。