ぽこやん さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
なぜ神アニメといわれるのか?それは・・・
泣けるアニメと聞かれて、このアニメの名前が出ないことはないだろう・・・くらいの有名作品、原作はプレイしていません。
神アニメと評されることが多いですが、良し悪しもハッキリするアニメです。
まずは前作から見ることをオススメします。
というか、見ないとまず主人公・ヒロインの成り立ちが把握できません。
「クラナドは人生」
という言葉も生まれました。
分類的には学園モノ恋愛アニメですが、その先の人生、卒業後のエピソードまで描いた作品は、そう多くありません。
なぜそこまでの評価を受けたのか?
ここからはネタバレです。
※長いですw
{netabare}これは前作からの流れになりますが、最初にいうと、高校生活→出会い→恋愛→成長→卒業→社会→結婚→出産・・・というところまで描かれています。
前作も通して楽しめましたが、すべて今作のための布石、といっても過言ではないでしょう。
神アニメといわれる一番の理由は、
18話・大地の果て
この一話に詰められたものの大きさです。
もちろんこの18話以外にも泣ける話はいくつかあります、が、やはりここが最強でしょう、実際自分も何度見なおして泣いたかわかりません。
もちろんここだけを見ても泣けません、通して見てからこそのことです。
このアニメの欠点を先にあげるならば、
「キャラデザの好み」
「前作今作合わせて4クールによっての中だるみ」
「少し不可解なパラレルの内容」
でしょうか。
実際自分も、2期最初の頃はそんなに面白いとは思って見ていませんでした。
しかし、物語が後半になり、ヒロインの古河 渚(ふるかわ なぎさ)が妊娠する前後くらいから、大きく物語が動きます。
掘り下げればもっと前から、主人公の岡崎 朋也(おかざき ともや)が社会に出た頃から、すでに全ては始まっているのですが・・・
岡崎 朋也という主人公には、賛否両論があると思います、単純に性格が好きか嫌いかです。
自分の場合は好きではありませんでした。
「なにこのスカしたキャラ」
ぐらいの感覚です。
ですが古河 渚や多くの友、仲間と出会い、人間として大きく成長して行きます、ここも見どころのひとつですね。
その岡崎 朋也を支え続けた古川 渚、前作では逆の立場が多かった気がしますが、今作は渚が朋也を支えている場面が多くみられます。
このあたりのエピソードは省略し、結婚後の話に移りましょう。
当然お互いが好きで結婚し、その後で子供が生まれます。
しかしこの出産で物語が大きく変わる出来事が起こります。
渚は生まれた時から体が弱く、子供の出産には大きな危険が伴うと説明を受けますが、二人は子供を産むという選択を選びます。
そして時間が過ぎ、陣痛が始まり、二人の子供が生まれる場面になるのですが、不運にもその日は大雪、交通手段が遮断され、渚は自宅出産という選択を余儀なくされます。
その結果、子供・汐(うしお・女の子です)は無事に生まれますが、それと引き換えに渚は命を落とします。
なにかあるだろうという予想はしていましたが、命を落とし、その後のストーリーが続くとは思いませんでした。
そして渚が死んだことが原因で朋也は気力を失い、5年間、汐を渚の両親に預け、育児を放棄し生活を続けます、仕事までは放棄しなかったようです(本人曰く・そのほうが気が紛れるから)。
そしてとある日。
渚の母親が、旅行の話を朋也に提案、朋也は乗り気ではありませんが、渋々それに付き合うことに・・・
ですがこれ実は渚の母親の計画で、朋也と汐を二人で旅行に行かせるための口実でした。
18話、結果、二人で旅行に行くことになるのですが、この時点で汐が朋也をパパと認識している時点で、育児放棄とはいえ、何度も会ってはいたのでしょう。
朋也の汐への態度はそっけないまま、この時点では自分の子供・・・という扱いには見えません。
列車の中、近くで「ママ~」騒ぐ親子に対して「うるせぇ!」と怒鳴りつけます。
汐はこれに驚いて、朋也の気づかないうちにトイレに逃げ込んでしまいます。
探しにきた朋也との会話、
「泣いちゃダメって…」
「あ?」
「早苗さん(渚の母親)」
「マジか…意外に厳しいな、あの人」
「でも泣いていいところがあるって」
「ふーん、どこだよ」
「…おトイレ」
最後のセリフまでに一瞬間があり、汐は朋也になにか訴えているように見えますが、朋也はそれに気づきません。
そして朋也のセリフ、
「そりゃ、トイレなら誰にも気づかれずに泣けるけどな。
泣きたい時には泣いていいんじゃないのか?
今のうちに泣いておいた方がいいぞ。
泣きたい時に、泣けないことなんて、
大きくなったらたくさんあるんだから…」
朋也は渚がいなくなって、一度も泣いていないのでしょうね。
そして進み、電車の乗り換えの駅、二人の空気は重いまま。
朋也は空気を変えようと、汐にロボットのおもちゃを買ってあげます。
汐はおもちゃを気に入ったのでしょう。
「うん、これがいい!これ好き!」
笑顔を浮かべる汐、しかしこの笑顔の意味を、朋也はまだ知りません。
旅先の旅館のシーンの中で、夜に汐がトイレに行く場面、その最後に、
「ママのこと教えて」
汐は朋也にそういいます。
朋也は動揺したでしょうね、一番辛いことを思い出すわけですから。
渚の母親は、自分から渚のことを汐に伝えず、朋也から聞くようにしていたようです。
ですが朋也は、汐の問いかけに答えることはできませんでした。
旅の最終地、そこは朋也の故郷でした。
そこにあった大きなお花畑。
圧巻の風景、朋也は汐を肩車し、花畑を見せてやります。
そして汐はロボットを片手に、花畑の中を走り出します、本当に楽しそうに。
しかし途中、ロボットを花畑でなくしてしまいます。
二人でロボットを探すのですが見つかりません、朋也はロボットを諦めるようにいいますが、
「あれがいい」
汐はロボットを探し続けます。
朋也は花畑を離れ、遠くからロボットを探す汐を見つめるのですが、その途中、
なんだろう、覚えがある・・・
目の前に広がる景色に、幼い頃の記憶が蘇ります。
そしてこの先は・・・
随分長い説明になりましたが、18話はここで中盤くらいです。
後半の描写、演出、ストーリー、会話、BGM、全てが神がかっています。
説明をしたいのですが、ここから先は文字では表現できません。
朋也と汐、そして朋也の渚への想い、全てが完璧に演出され、これ以上にない感動を生み出しています。
自分が最もアニメに求める、アニメにしかできないことの全てが集約されています。
{/netabare}
全てのクラナドの物語を見ていれば、涙なんか流れて当たり前です。
この先、おそらくこれ以上アニメで感動することはできない・・・とまで思いました。
是非みなさんにも、この感動を味わって頂きたいと思います。
期待以上の素晴らしい出来栄えでした、このアニメに出会えて本当に良かったと思います。