こたろう さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
折木奉太郎、探偵さ。・・・とは言いません
田舎の高校を舞台にしたミステリー。
ミステリーと言っても、警察沙汰になるような大事件はありません。
高校生の日常の、ちょっとした出来事から生じる疑問、学校の噂話、都市伝説・・・そういった類の謎に迫るお話。
ローカルで取るに足らない事なので、実に身近に感じる事のできる等身大のミステリーです。
めんどくさがりの主人公。
好奇心旺盛で旧家のお嬢のヒロイン。
同じ部に所属するする主人公達ですが別に”探偵クラブ”という部ではありません。古典部という1年生だけで構成される潰れかけた部で、ダラダラと活動してるのが日常。
面倒事には極力関わりたくない主人公ですが、ヒロインに煽られて仕方なく諸事の謎解きをやる、というのがお決まりの展開です。
自分からは首を突っ込みたくないクセに、手を着けたからには解を導くまでは決して妥協しない主人公。ぶっっきらぼうで無気力にみえて、やる事やらせるとスマートに解決してみせるのがニクい。
無粋で決して目立つタイプじゃないけど頼りになる。そしてその事は身近な友人や関わった一部の人しか知らないという慎ましさ。
日常系ミステリーらしく知る人ぞ知る名探偵というのが何だかカッコイイと思えます。
フィクションなんだけど、作り話っぽくないのがこの作品の最大の魅力。だからといって、娯楽性はちゃんと備えてるのがまた上手なところです。
一見朴念仁のように見える主人公達の煮え切らなさや、ヒロインとの関係のもどかしさも、そういう意味での良い味付けになってます。
愛の告白とか、そんなドラマチックなこと普通の高校生活じゃそうそう無いですよね(^。^;)
流石と言うか何というか、本作も京都アニメーションのお家芸、映像美が光ります。
「気になります!」と言って、目を輝かせて顔を近付けてくるヒロイン。
ちょ、おま、近いって・・・と、言って拒否ったりはしません。バツが悪そうに目を背けて横を向く主人公。こんなシーンがしばしば。
うん、うん、抑えられなくなりそうな衝動と葛藤してるんですねぇ。わかります、わかります。
結局、劇中で好意を言葉にする事は殆どなかった2人ですが、互いのキモチがよくわかります。
派手なリアクションや漫画的な記号表現でそういうのを伝えているのではありません。手や目の動き、表情、間の置き方、そういうのを使っての表現。
これはやはり、作画の妙技。
映像のきめ細かさで人間関係やシチェーションを視聴者に印象付ける技法の賜物です。
もう、嫌味なぐらい上手いです^^
見切れているキャラの動きとかも細かくて、手間のかけ具合がうかがえます。
そんなに頑張らなくても・・・って思っちゃいます
とにかく、自然体っぽさが何ともイイ味になっている作品。
大事件なんかなくても、面白いお話を創る為のネタはそこらに転がっているのがわかります。
京アニのクオリティあってこそですが、若者ならではの平和なミステリー、現実味から乖離しない身近さが素敵でした。
高校生探偵とかいう謎の肩書きの主人公が、死に神のように訪れる先々で殺人事件が発生する様な無茶な展開しなくても、オモロいものは面白いのです(^_^)b