薄雪草 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
あまり見ない世界観が良きでした。
1、2期まとめての感想です。
ファンタジーとミステリーとがオーバーラップする独特の世界観設定。
ぼんくら次男の雪哉と、カリスマ的な若宮のダブル主人公でいいのかな?
EDも聴かせる歌らしく、しっとりとしていて、とても素敵でした。
まずは、しっかり楽しめました。
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{netabare} 人に化身する能力を持つカラスたちが、跡目争いだったり、旧約を巡っての緊張だったりを描く和風ファンタジー・・・と思いきや、隠れの里としての山内と、そこに侵食してくる外界(人間の世界?)という、言わば、二重世界線の干渉を描く作品だったようです。
カラスには、山内衆と谷間衆があり、何らかの理由で、並立的な共存関係にあるようです。
山内衆の金烏=若宮は、人間世界との結界を秘密裏のうちに補修するという使命があること。
谷間衆の朔王には、猿と人間との秘密の関連を匂わせ、山内の衆にも関わりを持たせる意図があるようです。
八咫烏がモチーフのようですので、第一印象は、神話的な世界観を土台にしたお話なのかなと思い、それなら彼らは眷属の立場でもあるので、別に "主" がいるのかな?とも考えました。
その辺りは、山内・谷間衆が、人間を "主" と見なすような伏線がこれから描かれるのか、それとも、雪哉が山内の若宮に対して、そう見立てているだけなのか・・・、どちらにもかかっているような感じで受け止めています。
いずれにしても、今季クールは物語の "序章" といった様相ですので、早々に続きを希望したいところです。
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カラスはゴミ収集場にたむろしたり、朝暮の時を知らせたりという認識です。
物語は、そんな彼らに、人間的なコミュニティーを付与し、しがらみやストレス、事件性などを起因とする日常やシンパシーを、時間をかけて視聴者の意識に刷り込んできます。
そのうえで、彼らにとっての外界、つまり人間が存在することの "是非" に至るような視点を投げ返すというアイディアを取り入れたのは、なかなか面白いと思いました。
見立てや擬人化、あるいは化身・転身をモチーフとする作品作りは、日本の民話や古典、戯曲などに有名作がありますので、アニメといえども深みのあるものが多いです。
そこに異次元、時空間移動、転生などを取り入れれば、捻りの面白さがシナリオに一段二段と加わりますから、意外性と含意とをたっぷりと演出できようものです。
本作は、ただ真っ黒なカラスに、華やかな面立ち、煌びやかな血統や家訓などのヒト属性を組み込み、あたかも平安貴族然としたコミュニティーに生きているかのように落とし込んだうえで、外界=人間世界との関わりという意外性を盛ってきました。
しかも、人の骨が、猿やカラスを狂わせる毒となり、コミュニティーの存続すら危うくさせるというギミックがなかなかの辛口ぶりです。
果たしてその文脈が、人間の文化レベルへの当てつけなのか、それとも何かのアンチテーゼなのか、ちょっと分かりませんが、金烏の役目を考えると、人間世界との接触は "あるまじきもの" と設定されているのかもしれません。
そもそも外界のものである人間の骨片が、なぜ猿の手元にあり、カラスの心身を狂わせる薬物として存在しているのか。
金烏が、結界を張る使命があるのなら、猿にも何かしらのミッションがあって然るべきなのではないか。
そんないぶかしさを感じながら、平積みされている続編本に、つい目が留まっては読んでみたくなる甘い誘惑に、たびたび心が揺れているところです。
{/netabare}