Witch さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
深雪「下ネタもクールに決めるとは、流石です!お兄様♡」→ エロゲー原作にしてはかなり面白い
【レビューNo.123】(初回登録:2024/5/12)
ゲーム原作で2014年作品。全13話。
アダルトゲーム『グリザイアシリーズ(果実/迷宮/楽園)』の第1作目に
あたり、残り2作もアニメ化されています。
(タイトル『グリザイア』は美術用語「グリザイユ」(モノクロームで描か
れた絵画)由来で「灰色」という意味が込められている。)
今ではソシャゲ等の台頭により、エロゲー原作は絶滅した感がありますが。
(ストーリー)
主人公・風見雄二は、裏の世界ではエースナンバーである「9029」の名で恐
れられている殺し屋。
そんな彼のささやかな願い――それは「普通の学校に通いたい」だった。
その願いが叶い、彼は海辺の町に設立された全寮制の「私立美浜学園」に転
入することになる。
しかし、その学園に在籍するのはたった5人の女子生徒で、彼女たちはそれ
ぞれ心に深い闇を抱えていた。
(評 価)
・『劣等生』の司葉兄を彷彿させる、クールで万能な主人公
涼し気な鋭い眼元が特徴的な整った容姿、常にクールで感情をほとんど表
に出さず、有事に際には高い戦闘力を発揮する主人公・風見雄二はまるで
『劣等生』の司葉兄(達也)を彷彿させます。
しかし彼との決定的な違い・・・雄二はこのキャラで"下ネタ全開"です!
あの冷静な口調から繰り出される”下ネタ”はなかなかにシュールですw
物語としては、5人のヒロインたちとの学園や寮での生活をはじめ、各ヒ
ロインとの関わりの中で、彼女たちのトラウマ克服に協力したり、時には
彼女たちの危地に華麗なアクションで立ち向かうという、雄二の見せ場は
多いです。
・多種多様なヒロインたち
本作に登場する5人のヒロインについては下記の通り。
●松嶋みちる(2年)——生きながらの死
{netabare}金髪ツインテールが特徴。ツンデレに憧れそのように振る舞い、快活で
ムードメーカーだが、おバカキャラ。でもこのおバカも過去のトラウマ
から、他人を楽しませることを生きる目標していたからで、生に対する
執着が人より弱い。{/netabare}
●小嶺幸(1年)——逆らった罪
{netabare}学力・運動能力ともに優秀で家事も完璧にこなすので、皆の希望もあり
学園以外ではメイド服を常に着ている。天然ボケ気味なところもある。
過去のトラウマから人から言われたを真に受けすぎ、また盲目的に従っ
てしまう危うさも持ち併せている。{/netabare}
●榊由美子(2年)——その少女は、生まれてきたことが既に間違いだった
{netabare}やや吊り目と、腰まで届く黒いロングヘアが特徴。無愛想かつ気難しい
性格で、一人でいることが多い。
また不用意に近づく人間に対しての警戒心が強いことから、雄二を「異
分子」とみなして排除しようとする。
(巨大財閥の総帥の令嬢だが、望んでいた男の子で生まれなかったので、
父親と大きな確執があり、その辺りが性格に影響している模様){/netabare}
●入巣蒔(1年)——誰も守ってなんかくれない
{netabare}小学生と見間違う程の幼い容姿であり、無邪気で天真爛漫な性格だが、
実は誘拐された過去を持ち、その時助けに来た父親を殺されたため精神
が磨耗している。
蒔菜家の重大な秘密を握っており、お家騒動の渦中にいる母親には邪魔
な存在。
学園では雄二に懐き、射撃の手ほどきを受けている。{/netabare}
●周防天音(3年)——そして生き残った罰
{netabare}面倒見が良く、頼れるお姉さんのような少女。スタイルが抜群に良く露
出度の高い恰好をして「エロいお姉さん」風に振る舞っている。
(雄二に対してもお姉さんキャラで接してくる)
ある事件の唯一の生き残りであり、その生き残りのために狂気の世界を
体験したこともあり、心に大きな闇を抱えている{/netabare}
基本ハーレムモノですが、彼女たちが抱えている心の闇が根深いので、かな
り重い展開もあり”攻めた”作品になっています。
・エログロ描写や鬱アニメ要素もある
まあ原作がエロゲーということで、パンチラ等は日常茶飯事ですが、いうほ
どエロよりでもないかなって感じですね。
エロトークもどちらかと言えばコメディ色が強いですし。
(インパクトがあるのは失禁シーン位?!)
しかし後半の天音回『エンジェリック・ハゥル編』では、鑑賞に堪えがたい
シーンを一気にぶち込んできます。
{netabare}・怪我の治療も満足にできず傷口が腐食していく様
・食料も尽き飢餓の極限状態
(ペットの犬の死肉や知らない間に死体の人肉まで食していたり、それが
原因で病気になったり)
・極限状態の中でどんどん人が壊れていく
(精神が崩壊し狂うもの、情事に溺れる者、最後には殺し合い){/netabare}
この辺はかなり視聴者を選ぶところですね。
グリザイアシリーズの第1作目ということで、まずは主人公とヒロインの関係
性を深めることがメインで、彼女たちのトラウマに関する物語が中心に描かれ
ており、主人公の過去などは以降のシリーズに持ち越しという感じですね。
原作ゲームからのカットはいろいろあるらしいのですが、総じて上手く纏まっ
ており、1クールで綺麗に終わります。
コメディ/シリアスのバランスもよく、エロだけでなく心に響くハートフルな
展開やアクション(シリーズの中では一番地味であるが)等の見どころもあり、
上述エログロ描写の好き嫌い以外はオススメの作品ではあります。
最後にグリザイアシリーズはやはり3作をもって完成といえるので、『果実』を
視聴して気に入れば、『迷宮/楽園』も完走していただきたいです。
(近日レビューをアップ予定)
OP「楽園の翼/黒崎真音」
・JPOPとアニソンの融合度合が素晴らしく、私にはドストライクな曲ですね。