「すずめの戸締まり(アニメ映画)」

総合得点
77.8
感想・評価
275
棚に入れた
1010
ランキング
594
★★★★☆ 4.0 (275)
物語
4.0
作画
4.5
声優
3.8
音楽
4.1
キャラ
3.8

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たナか さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ロマンチック・スペクタクル

新海誠最新作にして集大成かつアニメ映画の一種の到達点。
これこそまさにアニメでやる意義のある物語。実写だとシャレにならん。

「君の名は」「天気の子」からさらに凄みを増した映像美。扱うモチーフから楽しいだけの映画ではないが、いつもの新海節は残しながらもハリウッド大作映画のような臨場感や緊迫感のある映像体験ができる。

悲劇の主人公に酔えるロマンチスト向けの初期作品から、作品を作るたびに段階的に大衆向けに寄せてきた新海作品だが、前作「天気の子」からさらに解釈の幅が広いつくりで酷評から絶賛までさまざまな解釈が許される。良く言えば余白が残され逆に言えばご都合ガバガバ。時を経て見れば解釈が変わる典型例のような作品。刺さる人には生涯の一本と呼べるレベルでブッ刺さる作品だと思う。

秒速こそ至高という古参ファンが嘆くのもまあわかる。振られたくらいで鬱だ死のうってなる自他境界がまだあいまいな発達段階の中高生にとってはセカイ系こそリアリティがあるもの。あの頃を忘れて棚に上げてる大人が見れば「きっしょ」となるくらい突き詰めて尖ってるからこそ、当事者のDTには凄まじいリアリティを感じて自分たちに寄り添ってくれる「俺たちの新海」となり得た。とことんまでやりきったからこそ初期作品は高い評価を受けたわけで、狭い界隈に向けてセルフコピーを続けても意味がない。

監督自身も精神的に成長して見せ方は変わってきてはいるが、貫いてきた新海イズムは決して失われてはいないことを本作を観て実感した。いくらキモいと言われようが新海誠の看板で作るからには決して譲れないものがある。キモいなんてことは新海誠自身が一番よくわかってる。わかってる上で貫いている。表立っては表明しないが見た目やイメージ以上に新海誠は批判上等の反骨精神を貫いてここまできている。スクリーン内のどのキャラクターよりもロマンチストな新海誠はいつになってもメルヘンでファンタジーな青臭くてこっ恥ずかしい理想論を堂々と力強く語っていって欲しい。こんなにも若者ゆえの身勝手な自己中さを正々堂々と正当化して肯定してくれる大人は身近にはなかなかいないもの。自分の自由解釈でこれが正解ではないが、めっちゃ雑に言うと新海イズムとはGoing My Way。そして本作は日本アニメ最高峰のひとつと言えると思う。言いたい。でも秒速はやはりキツい。ギリ言の葉かな。

聲の形も当事者からは非難轟々だったが、これも被災者の方は正直シンドイのかも。

投稿 : 2024/04/17
閲覧 : 82
サンキュー:

5

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