たナか さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
Natural Rights
美麗なCG作画のバンド+青春ドラマな美少女バトルアニメ。
KPOPを超えろ!が命題なリアルバンドの販促企画らしい。
居場所を求めるニナと居場所を失ったモモカ。運命を変えた二人の出会い。
演技
声優マニアには最悪かもだが素人感がフレッシュで悪くない。
リアルバンド
オーディションバンドだけあって普通に上手い。堂々としたギタープレイ、クネクネとイキるベースやドラムも安定感がある。しかし歌唱はボカロ・歌い手系なのでおっさんには厳しい。この子はまだ16歳なのか。
楽曲
全パートをおかずで埋め尽くす手数曲。難しい曲=スゴい曲!って風潮はやはりボカロ的。
CG
3Dモデル自体はすこぶる優秀なのだが、アニメチックな手付モーションのデフォルメがわりとキツめ。キャプチャが顕著な引きのカットやライブシーンとの差異が大きいのでチグハグ感は残ってしまう。しかし回を増すごとに総合的に洗練されていき、最終回では3DCGのいやらしさは微塵も感じられないクオリティへ。静止画だともうCGに見えないレベル。特筆すべきはライブのライティングで、現在のアニメの中でも最高峰かと。
きららアニメのヒットを尻目に「いやいやバンドっていうもんはさあ…」ってなおっさんたちのモヤモヤをニナの怒りに託したかのようなアツい熱量の作品。良い子ちゃんばかりのお上品なバンドシーンに対するカウンター、かと思いきや楽曲はきちんと今風で押し付けがましさもない。
13
青臭くてエモエモ!結局は花田さんらしいバリバリの美少女アニメだった。
ああこれライジングストーリーにはしたくなかったのね。ガツガツと喰らいつく成功!圧倒的成功!的なハングリーさは微塵もない。これが少年誌作品なら屈辱をバネにしてあえて恥辱を飲み込みながら敵陣に乗りこむ勢いで正々堂々正面衝突のガチンコ対決!大勝利!ってのが定石だろうけど。
いじめの流れは本当によくある話。ニナはたまたま最終的に上手くいっただけの生存バイアスだが、だからこそこういうメルヘンがカタルシスを産む。現実的ではないからこそ、こうあって欲しいという理想の姿を見せてくれるのがアニメのいいところ。しかしこれを真に受けて自分に酔いながら安易に真似して正義を執行してしまう被害者が出なければいいと思う。現実でやり返すのは完全に悪手。これについてはヒナが全面的に正しい。ー普通なら。社会的には。常識的には。ーでもこれは深夜アニメつまりナイーブメルヘン。現実には難しいからこそメルヘンはメルヘン足りうる。実際この独善的正義執行ムーブ→標的変更になると勢いが増していじめの強度も上がり、そのまま病んで自殺まっしぐらコースなんて掃いて捨てるほどよくあるありがちな話。
トゲナシトゲアリというわりにはツッパリ魂全開ハリネズミのままだった。世話になった人間の顔を潰してでもメンバーの意見を聞いた上でも我を通すニナ。三浦さんのメンツを立てるオトナの選択が出来たほうが「せいちょうした!」と言いやすいかもしれない。しかし、多少自分の分が悪くともキッパリとNOが言えるということ。これこそが正しい意味での自我の確立であり、過半数の大人でさえも達成には至ってない発達課題。これをきちんと見せてくれたことは素直に嬉しい。ここはぜひ真似して欲しいところ。もちろん現実ではこんなに素直に通るはずもなく最初は痛い目みると思うけどね。
クラスメイトだった2人が人気バンドのフロントマンになって因縁の対バン企画ってな胸熱展開。これに今更ゴツゴー!なんて言う人もいないと思うけど、同じバンドを愛しながらも袂を分つことになった親友同士が、各々が試行錯誤した末にたどり着いたステージで言葉を交わさずアイコンタクトで積年の想いが氷解するなんてあまりにエモい演出には流石にヤラれました。
ここのライバル関係は中二恋の六花と七宮を想起させる。他者を受容した六花と否定した七宮というパラレルな2人がお互いに影響しあって自分自身を見失いながらも、最終的には厨二を捨てずに自立していく自己受容の物語。しかしこれはメンバー間というかニナとモモカだけで精一杯だし、ヒナを軸にした展開だと全くの別物になってしまう。しかしそこを惜しむほどにヒナは美味しいポテンシャルがあったと思う。まあ美少女アニメですからね。そういうのは少年誌でやれってことですかね。自己表現の手段として結果的にプロになったニナらと違ってベニショーガの2人はプロになることが目的ではなかったか。2人があっさり同意してプロを蹴ったのは少し腑に落ちないがなんか感化されたんでしょう。こまけえことはいーんだよ。
ひと昔前なら「アタオカ・キ◯ガイ・イタい・クサい」で終了してた感。
これが素直に受け入れられてるのは視聴者層が広がってきたんだなという印象。