エイ8 さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
紳士の敵「考査エラー」
『異世界迷宮でハーレムを』(いせかいめいきゅうでハーレムを)は、蘇我捨恥による日本のオンライン小説およびライトノベル。イラストは四季童子。文庫版はヒーロー文庫(主婦の友社→イマジカインフォス)より2012年12月から刊行されている。当初は小説投稿サイト「小説家になろう」にて『異世界迷宮で奴隷ハーレムを』(いせかいめいきゅうでどれいハーレムを)というタイトルで2011年4月より投稿されていたが、書籍化の際に変更された。
2022年7月から9月までAT-Xほかにて放送された(wikipedia)
エロアニメです。自分はテレビ放送されたものでこのレベルのエロアニメを観たのは初めてでした。あ、この言い方だと地上波ではないエロアニメなら観たことがあるかのように思われるかもしれませんが決してそういうわけではあります。
とはいえ地上波(並びにBS)では相当規制がなされています。
「TV放送ver.」 … 放送倫理に対応し、「絵」と「音声」に規制がかかる。
とのことで、正直ピーッが行き過ぎてて何が何だかわからないところも多々ありますがそれでも尚エロいです。なのでエロが苦手、特に女性の方にはお勧めできません。とはいえ本作のタイトルを見て「ハーレム?おもろそうやんヨッシャいっちょ観たろ!」の精神でご覧になられる女性はそもそもあまりいらっしゃらないと思われますので、ゾーニングが利いてるという意味では他作品よりはマシと言えるかもしれません。(回復術士のやり直しとか酷かったみたいですしね。自分は未見ですが、あのタイトルだと誤解して見てしまう方は多かったことでしょう)
さて作品の導入としては主人公であるミチオ / 加賀 道夫(かが みちお)がいつの間にかゲームの世界に入り込んでしまったというよくある話。この手の作品に慣れてない人からすればあまりにも唐突な展開のように思われるかもしれませんが、慣れてる者からすれば実質トラックにはねとばされるかどうかの違いでしかないのでこの辺は特に気になりません。
中身は異世界転生というよりはゲーム世界転生なのですが、これもいつものフォーマットではあります。他作品に比べるとゲーム要素がやや強いと思いますが、一方でナレーションはなし。説明文も表示されるわけではないので手探りでスキルの能力を確認していかなければならないという点は特徴といえば特徴かもしれません。
ミチオは当初この世界がゲームだと認識するというやや能天気な性格であるものの、イベントだと思って退治した盗賊が実は(この世界における)生身の人間であるということを察し苦悩するというシーンがあり、とりあえずはまあ性根から腐ってるわけではないというキャラクターであるということが示されています。
その一方で、文字通り女を買うために修羅道に堕ちる男でもあります。彼は当初ロクサーヌという美女奴隷を買うために迷宮に入って細々と稼いでいきますが、どうあがいても期限までに間に合わないと判断、そこで盗賊狩りを始めるわけですが……まあ17歳設定なのによーやるわというのが率直な感想。彼は稼ぐための猟奇殺人に一応苦悩します。で、しょうがないことだと自分を奮い立たせるのですが、そりゃ村を救うためとかならまだ体裁は保てますが女奴隷を買うためっていうのはいくら何でも下半身に忠実過ぎるでしょうよw現実世界なら間違いなく身を滅ぼすタイプというかぶっちゃけサイコパスの領域です。ある種の合理的思考を元に盗賊の寝込みを襲ってこっそり切断するとか、やばすぎだろと思いました。ゲーム脳ここに極まれり、です。
彼は他の人間には確認できないステータス表記で盗賊かそうでないかを見分けることができ、だからこそ盗賊を狙っているということなのでしょうが、実際のところその盗賊がどんな盗賊かわかりゃしないのに十把一絡げに殺すその姿勢は短絡的以外の何物でもありません。実際、ミチオ自身も「盗賊」ではあるのです。最初のシーンにあったサンダルを盗んだことによりそのジョブを得たわけですが、他の盗賊だってそこまで悪人とは言えない人がいるかもしれないのに平気でぶっ殺したり魔法の実験台にしたりします。端的に言って狂ってると思います。「なろう」系の作品に出てくる悪人は基本的にこうやって主人公達に惨殺されるために用意されるものなのでこの作品にだけあーだこーだいうのもどうかと思いますし、この辺の突っ込みを仮にいれたとしても作品側が殺される盗賊に関しては「どうしようもない悪党」設定を入れれば結局正当化されるのでしょうが、それにしてもまあ実に「なろう」と言った感じです。
序盤の頃はこのような残虐表現が多かった作品ですが、ロクサーヌをゲットしてからはグロ要素は事実上ほぼなくなりエロ要素が極端に多くなります。昼はゲーム、夜はおセッセ(隠語)の連続で、退廃と快楽の坩堝というかドツボといった、ある意味わかりやすい娯楽作品としての性質が浮き彫りになってきます。
作品としてはミチオを何とかして「普通にいい奴」としての性質を前面に出したかったのでしょう。途中これでもかと言わんばかりに死亡フラグを立てまくる同業者が死んだ(消えた)時、自分が死んだときのためにロクサーヌを自由にするという遺言を書こうとしたりします。まあこの流れになれば当然ロクサーヌの方から拒否するのはお約束ではあるため、とりあえずミチオの優しさを提示してみたという出来レースというか茶番じみて見えましたがまあそれはいいでしょうw
ビックリしたのはコボルトが現れた時、人型を相手にするのに躊躇するみたいなことを言ってた時です。いやお前散々盗賊ブチ殺しまくった後だろうと思わずにはいられませんでした。
本作はOPで多数のヒロインが現れますが、正直ほとんど詐欺です。ラスト2話ほどドワーフのセリーが登場しますが実質作中で活躍するのはロクサーヌただ一人です。他のヒロインは最終話の最後にダイジェスト的に出たのと、2話のよくわからない「あったかもしれない未来」の話として出てくるだけです。というかアレ何だったんでしょうね。多分原作由来だと思いますが全く不必要な演出だとしか思えません。いや、序盤に一応ヒロイン達を出したという既成事実のためには役に立ったというべきでしょうか。まあ設定的には理由があるんでしょうが、それを確認するには原作小説にあたるしかないでしょう。と、思ったんですが本作の原作は相当進捗が滞り気味な様子で最後までいくかどうかちょっとわからないっぽいですね。最近はほぼ1年に一巻の刊行ペースだったみたいですが今年(2023年)の分は無し、このままフェードアウトもあるかもしれませんねえ。ま、なろう物が12巻も出た時点でようやっとると言うべきでしょうか。
ところで、本アニメは「TV放送ver.」の他にも「ハーレムver.」「超ハーレムver.」というものがあるそうです。特に「超ハーレムver.」は規制なし、とのこと。あの人類の敵「考査エラー」が一切ないということは、ありのままの全てを拝める!?とのことで目を血走らせながら一気にブルーレイをカートに入れさあいざポチろうと鼻息荒くしたその刹那、わたくしに天啓が下りました。
――まて、考査エラーがなくなってもどうせモザイクが待ち構えておるぞ
我に返ったわたくしは購入を見送ることにしました。
ありがとう天啓。財布の味方。