蒼い✨️ さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
令和の大人気作品。
【概要】
アニメーション制作:CloverWorks
2022年10月9日 - 12月25日に放映された、全12話のTVアニメ。
原作は、芳文社の『まんがタイムきららMAX』で連載中の漫画作品。
著者は、はまじあき。
監督は、斎藤圭一郎。
【あらすじ】
人の目を見れないし、どもってしまう少女の後藤ひとりは友達経験がゼロの陰キャで、
ひきこもり一歩手前。中学1年生のときに父親と見てた音楽番組で、
人気バンドのメンバーの言葉に励まされて、『バンドは陰キャでも輝ける!』と、
毎日6時間ギターの練習を続けて独学で技術は身についたが、
中学3年間でも友達が一人もできずにバンドメンバーも集まらず、
文化祭ライブにもかすりもせずに中学が終わってしまった。
高校になったら絶対にバンドやるんだ!!と泣きながら決心したひとり。
ネットの動画サイトでは「ギターヒーロー」の名前の謎の人物として、
ギターが上手いちょっとした有名人になっていた。
それが高校に入ってから一ヶ月後、クラスで友達を作れずにいたところ、
ギターケースを背負って公園にいたひとりは、
「結束バンド」というJKロックバンドの欠員の代わりとして、
急遽頼まれてライブハウスで演奏したのをきっかけに「結束バンド」に正式メンバー入りして、
ひとりの念願のバンド活動が始まる。ドラムの虹夏にベースのリョウとで3人、
一度逃げたギターとボーカルの郁代が復帰して4人。フランクな彼女たちではあるが、
コミュ障のひとりには友達付き合いのハードルは高く、ずっとソロギターやってきて、
人と一緒に演奏をするのがうまく出来ずに演奏が下手になったり、
チケットのノルマ代のためにライブハウスで慣れないバイトをやらざるを得なかったり、
うまく行かないことだらけであるが、人見知りを治して成長したいと思うひとりだった。
【感想】
なんか、令和のけいおん!とか言われてますが全然似てないですよね。
あっちのアニメはバンドメンバーよりもっと大きなコミュニティの中での日常の幸せの話。
こっちはスクールライフではなくてアマチュアバンドの活動とメンバーの心の動きがメインで、
クラスメイトとかはあくまでもランチのパセリみたいな存在。
話に関わらないモブが塗りつぶされて顔が描かれてないこともありますしね。
意図的ですけどアプローチの方向性が全く違いますね。
アニメとは関係ない蛇足ですが、結束バンドのメンバーの名前の元ネタとなってる、
アジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)への好感度が低いですので視聴を避けていました。
メンバーの後藤氏がアベ●ネアベ●ネのフレーズを好んで使い続けていて、
例の事件が起きて現実に亡くなるときは不謹慎な自覚あったのか空気を読んだりと、
反権力のファッションロックであったり、
サヨク的なふるまいをしていれば仕事をもらえるのが芸能界。
アニソンが多いバンドではありますけどね。一旦そういうのは置いといて観てみました。
主役のぼっちちゃん(後藤ひとり)を演じる青山吉能さんは、デビュー作では当時のメンバーと共に、
アニメを作るのが仕事のはずなのに新人声優相手にアイドルPごっこをリアルでやっていたヤマ●ンと、
彼と結託した当時のマネージャーとの両名に合宿などで嫌な目に遭わされたそうでして、
他にもキャラデザが主人公のアイドルとキャラデザの区別がつきにくくて、
担当キャラが2Pとアダ名付けられて揶揄されてたり、
伸ばしてたロングヘアをハイパーリンクだとか言ってキャラの髪型変更に合わせて、
変な髪型に切られそうになったり散々な扱い。当時の演技も全く評価されてなかったのですが、
その後にきかんしゃトーマスで役をもらって2年ぐらい地道に頑張って、
このアニメでオーディションを勝ち抜いて大ヒットですからね。努力が報われて良かったですね。
ぼっちちゃんの内面を理解して他の候補者より攻めた演技が評価されたとか?
ちやほやされたい承認欲求モンスターの内面のマグマをときには奇声に近いテンションで表現。
そうなんですよね。人を相手にするとうまく喋れないけど独り言のときは別人の様相。
それが人前だと失敗を恐れて萎縮してしまう、他人には理解できないレベルで異常に傷つきやすい、
人見知りの特徴をやや大げさかつコミカルに表現してる青山さんは逸材であり、
デビュー作で完全に潰れてしまってなくて本当に良かったですね。
原作も読んでみたのですが、アニメではかなり演出を盛ってますね。
いわゆる、いろんなアニメで観た表現方法のフルコースみたいな感じ。
それがフリクリであったり、ナウシカであったり、かぐや姫の物語ぽかったり、
実写加工がシャフト演出ぽかったり、ぐにゃぐにゃさが湯浅政明であったり、
ドラゴンボールからの露骨な引用があったりとで、
それが元ネタからのコピペではなくてオマージュやパロディとして機能していますね。
原作の台詞の行間を埋める多彩で賑やかな演出の数々が展開を飽きさせない工夫であり、
多分それがファンに評価されていろんな賞をとったこのアニメの楽しさなんでしょうけど、
自分には煩すぎてギャグとして楽しくもなくて面白みが良く分からなかったですけどね。
ただ、それで頭ごなしにアニメの作風を否定しちゃうのも違うかもしれませんし、
単に自分が解せない人間ってことなんでしょうけどね。
まあ、このアニメが評価されてるのはギャグだけじゃなくてシリアスな部分も丁寧に演出されている。
そこも書かないとフェアじゃないですけどね。
さて、退会した、とまと子さんのレビューで興味深い部分がありまして、
ぼっちちゃんがバイトをするようになったなどの彼女の変化は、
“成長”じゃなくて“これまでの生活習慣が別の生活習慣に置き換わっただけ”
一応は原作のあとがきで“成長”ってはっきり書かれてるので作者的には成長物語であるのですけどね。
“人見知り”“コミュ症”“コミュ障”“引きこもり気質”って何なんだろう?
ストレス耐性が他人より低い人間が防衛本能で精神的に楽な方向を選択するようになること?
その染み付いた生活習慣を変えるのが本人的には精神的にしんどい。ただそれだけの話に見えます。
ぼっちちゃんは普通に美少女で教室では関わりが薄いけどイジメられてる描写が全くないですし、
両親は温かくて娘の人格否定なんて決してしないですし、家庭内での精神的な圧迫が無い。
幼い妹とは性格が合わないところがありますが。自分には何も出来ないと無駄にネガティブですが、
ぼっちちゃんを蔑んだりする人間がひとりも存在しない環境で、なにを恐れてなにに傷つけられて、
人見知りになってしまってるのか?今の経緯に至るまでの大きなきっかけがないと、
例えば頑張ろうとしたけど散々ボロカスに言われて余計に人目を気にする対人恐怖症になったとか、
何かしらの出来事がないと自分にはぼっちちゃんがちょっと意味不明で理解不能だったりします。
現実社会では本気できつい人間関係の悩みを抱えている人間は珍しくないですからね。
リアルなトラウマを設定すると作風が変わってしまうので今ぐらいで良いのかもしれませんけどね。
ぼっちちゃんぐらい見た目が可愛いと性格がよほどクズでないと、ほっとかれないです。
男子の視線が彼女にしょっちゅう向かったり女子に一緒に誘われたりするのが普通ですが、
あんまり漫画の設定にツッコミを入れたりするのも野暮なのかもしれませんね。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。