ゲリオ さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
集英社のアニメへの注力がすごい
タイムリープ要素を含んだサスペンスバトル。
エンタメ性にとんだ安定感のある作品だった。
ストーリーについては、ジャンプ+原作にありがちな雰囲気だけ重厚っぽくて中身は中学生が考えた…的な未成熟なものだったが、はっきり言って作画と演出の出来が良ければ、余程意味不明でない限り、それなりのアニメになる。特にこういう少年漫画は。
原作コミックが全13巻ということで、丁度2クールアニメとして最適な長さで完結していたことも大きな強みだった。
3期4期と何年もかけて続くアニメは、間が開くと内容を忘れてしまうし、結局最後まで付き合うことができない場合がある。あるいは途中でこらえきれずに原作を読んでしまうことで、アニメは見なくてもいいかという気持ちにもなる。
なので2クールできっちり締めてくれる作品を、どうしたって評価したくなるのがアニメファンの性分なのだ。
キャラクターの中心はリープ能力持ちだけあって主人公の慎平がほとんどの比重を占めている。苦手なcv花江夏樹氏ながら不快感のない好青年で、主人公がちゃんと主人公していた(俯瞰俯瞰うるさいのだけがやや難点だがw)。
ヒロインは1話冒頭の時点で故人でありながら、コピーである「影」として登場するウシオ…なのだが、個人的には見た目も性格も妹のミオの方が好みだったかな。典型的な負けヒロインポジションがいい味出していた。
両ヒロインともこれからの世代の声優さんを起用していたことも好印象。一昔前ならミオのcvは東山奈央さんだった気がする。
シナリオに関しては、前半は一見重厚そうなサスペンスドラマとして視聴者の目を引き、中盤でバトル物に転回、終盤は完全にとんでも異能バトルになるという感じだった。
全体構成自体は問題はないが、「タイムリープ」「影」などの設定に関しては、あまりにご都合なのでいやはや何とも…
ループのルールしかり、影のスキャンやコピーに加え、もはやなんでもありの龍之介の存在などなど…キャラが勝手に説明してくれるけど、耳で聞いても「あっそ、分かりにくいしどうでもええわ」としか。
本物の重厚なドラマならそんなくどい説明がなくても物語が成立するはず。
そういう側面から所詮はB級のWEB漫画といったところで、最終的に異能バトルにしたことは間違いでなかった。
ただ、最後の異空間(?)での決着は流石に意味不の領域に突入してテンションが下がった。
作画は終始高いクオリティを保ち非常に優秀。
ハイライトは第15話の校舎での総力戦、晋平が初めて敵側に一矢報いた重要回。
映像の凄さだけでバトルアニメはこんなにも面白くなるという証明になった回だと思う。
やっぱアニメは作画。ジャンプ系作品で最後に作画ガチャ失敗したのは某相撲作品だけじゃね?って思うくらい、ここ数年の集英社の力の入れ具合は異常である。
昔はアニメをコミックの販促としか思っていなかったので、ジャンプアニメ=低クオが常識だったが"鬼滅"の成功で一気に変わったと思う。
最後に本作の総評。
アニメーション評価としては満点に近いので秀作と言い切りたい気持ちもあるものの、やはりストーリーや設定面での稚拙さが目立ったので佳作止まりで申し訳ない。
しかし最終回のエピローグまで丁寧に描き切った綺麗な作品だった。
もっと話題になってしかるべき作品だったと思うが、やはり配信がディズニープラスに限定されており、リアルタイム時はアマゾンビデオ等で見られなかったことが大きいかもしれない。
自分はたまたまテレビの録画を1話から撮ってたから良かっただけで、1話見なかったらスルーしていたと思う。もちろん収益的には限定配信にする恩恵もあるだろうが…
昨今話題に挙がる限定配信の是非について議論のきっかけになったアニメだった。