シボ さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
もうそれは恋でいいんじゃない?
端的にこの作品?っていうと
小糸侑と1学年上の先輩、七海燈子の百合を描いた物語ってことに
なるのかと思います。
恋をする気持ちがわからないヒロインの小糸侑。
恋してるかどうかの基準って明確に答えってないのかもしれません。
だけど恥ずかしながら
恋をしてるって自覚する時ってもちろん自分にもありました。
人を好きになるって、きっとその人の事ばかり考えてしまったり
ちょっとしたことでドキドキしちゃったりする。
相手にも自分を好きになって欲しいと思ってしまう、そんな気持ち
一つ一つが全て恋なんだと思います。
だから告白されても全くドキドキしない侑にはやっぱり
恋って感情がなかったんでしょう。
そんな侑を好きになってしまった1学年上の先輩。
もう一人のヒロイン七海燈子。
踏切りでの突然の告白、そして突然してしまうキス・・・。
好きを止められない燈子。
次期生徒会長に立候補するくらいの優等生の燈子が侑の前では
恋する乙女って感じで可愛らしくなっちゃうのが微笑ましいです。
そしてそんなデレちゃう先輩を軽くたしなめる侑の上からの態度が
毎回面白いです。
ちょっと悲しいけど
ドキドキしないってことがどれだけ心に余裕を持たせるのかって
侑を見てると思っちゃったりします。
(自分は男だから言うまでもないですけど、綺麗な先輩に迫られたら
普通は舞い上がって冷静な判断出来なくなっちゃいますもん。
たとえ女子でも綺麗で完璧な先輩に迫られたら侑のような対応は
無理でしょうね~)
燈子が隙のない完璧な自分を演じる理由って?
そして自分を特別に思わない侑の前では素でいられる・・・
侑の前では乙女になっちゃう燈子と余裕のある年上の彼氏かのように
包み込む侑の関係性が良いです。
中盤、燈子に亡くなった姉がいたことが明らかになります。
そして誰からも好かれていた優等生の姉の分まで無理をして今の自分を
作り上げ続けてきた事実。
本当でない偽りの自分。誰もがうらやむ自分を実は自分が一番好きでない。
だからそんな自分を好きになる人を寄せ付けない。誰からの告白も
受け入れない。彼女の語る理由は納得するものあります。
じゃあ侑は? 仲のいい家族、友達にも恵まれた環境でどうして
人を好きになれなくなっちゃったの??
終盤までに明らかになるのか気になりつつの視聴でした。
姉が果たせなかった文化祭での生徒会による演劇の復活。
合宿での出来事は三角関係の微妙な空気感とか面白かったです。
お風呂イベント回。
好きな人の裸を意識しちゃう先輩二人を前に
探り合いタイムが発生する前の先手必勝的な発言をしつつの
侑の潔い脱ぎっぷりに思わず笑っちゃいました。
演劇の指導の助っととしてやってくる生徒会OBで
姉の同級生が語る自分が知らない姉の人物像に動揺する燈子。
演劇の台本の読み合わせシーンは圧巻でした。
ぎこちない他の登場者達のセリフが余計引き立たせるのもあってか
燈子の自らの葛藤、気持ちが段々と入っていく姿に生徒会の
面々もだけど観てる自分も息を飲むくらい引き込まれました。
合宿の帰りに燈子を自分の部屋に誘う侑。
「先輩の事を好きにも嫌いにもならない・・
・・・先輩も信じて下さい私の事を・」
合宿で燈子に何かあった、微妙な変化に気づいてその理由を
知りたくなる。一緒にいたくなる。
いつの間にかに侑の心が燈子でいっぱいになっている感じが
なんか切ないです。
自分が望む気持ちに侑の心を束縛するかのように語る燈子。
「先輩だって 私の 好きな もののことを嫌いって言わないでよ!」
「先輩のバ~カ~」
侑が燈子を好きって初めて自覚しただろうその瞬間を
ぼやかすかのような演出。
侑が何を叫んだのか何度か見返しちゃいました。
侑が燈子に望む気持ち。
自分と出会ってから育んできた二人の歩み。
過去ではなく現在の
変わりゆく主人公の新たな気持ちを演劇の結末にして欲しいって
こよみに頼みます。
先輩が自分自身を好きになる。そしてそんな自分自身を
侑に好きになってもらいたいって素直に言って欲しい・・・
そんな風に感じました。
百合って要素はもちろんあるけれど
姉を突然いなくなってしまい甘えたくても甘えられなくなって
しまった少女の苦しみ。
姉の変わりを演じ続けることを使命のように背負って生きるしか
無かった少女の苦しみ。
いつの間にか本当の自分がなくなってしまった好きでない自分を
自分よりも理解してくれる。理解しようとしてくれる。
そんな優しくて素敵な恋物語でした。
OP 安月名莉子 / 「君にふれて」
切ない気持ち、想いが迫ってちょっと心苦しくなるような
メロディー、歌声が印象的な楽曲でした。
色々な花が添えられる演出が如何にも意味ありげで芸術的な
雰囲気だし、特に二人が花の台本?で顔を仮面のように覆うシーンの
曲調が二人の微妙な心情を想像させる感じがあって
毎回聴くたびにキュ~って胸にきちゃいました。
Ed ヒロインズ / 「hectopascal」
二人のヒロインが歌うエンディングはOPとは逆に二人だけが
知ってる楽し気なやり取り、雰囲気が歌詞に重なる楽曲でした。
明日は何になる? や~がて君にな~る♪
ボカロのような早口効果音が良いアクセントになってました。
原作はまだ乗り換えの続きがあるみたいですね。
侑と燈子のこの先への歩み。
続きも是非アニメ化して欲しいな~。