かがみ さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
放課後ティータイムと結束バンド
本作はゼロ年代日常系の代表作の一つ「けいおん!」と同じくバンドを題材とする作品だが、ほぼ学内のみの活動だった放課後ティータイムに対し、結束バンドの主戦場はもっぱら学外のライブハウスである。しかも本作のスタンスはけいおん!とは完全に真逆ともいえる。その象徴的なシーンがライブハウス「STARRY」の店長で虹夏の姉である伊知地星歌がライブ出演にあたり結束バンドにオーディションを課すところで、星歌は低いクオリティならライブには出さないと言い、不満げな虹夏に対して「一生仲間うちで楽しく放課後やっとけよ」と言い放つ。ここで本作は放課後ティータイムとは一線を画するスタンスを端的に打ち出している。放課後ティータイムの面々は「目標は武道館」とか言いながらも楽器の練習はそこそこにまったり皆でお茶したりと、ぐだぐだと瑞やかに続いていく「放課後」を楽しんでいた。そして学園祭ライブにおいて平沢唯が「でもここが、いまいるこの講堂が、私たちの武道館です!」と叫ぶシーンが象徴的だが、放課後ティータイムは、あくまで「いまここ」の「つながり」を祝福するために歌った。これに対して本作は「つながりの外部」でサヴァイヴする結束バンドの「成長」を描き出していくのである。この意味で本作のスタンスは同じ日常系でもキャラクターデザイン志望の新入社員がゲーム業界で奮闘する「NEW GAME!」に近く、音楽アニメだとライバルグループとの切磋琢磨を通じて頂点を目指す「ラブライブ!」に通じるものがある。