ostrich さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
意外なほど「けいおん!」じゃなかった。
原作の媒体が「けいおん!」と同じだったこともあって、日常系なんだろうなと観てなかった(日常系には関心を失っている)のだけど、実際に観たら、意外なほど「けいおん!」じゃなかった。
確かに同じ系譜だとは思うし、ほとんど同じ演出やエピソードもあるが、シナリオ構成とストーリーテリングは別物。
もちろん、主人公が超陰キャであることも大きな違いだけれど、おそらく、その設定によって「けいおん!」と明確に枝分かれせざるを得なくなったのだろう。コメディパートは多いものの、物語の骨子はわりとストレートなバンドもの、かつ、成長物語になっている。
どんな成長物語かは観れば一目瞭然なので、ここでは省略するが、触れておきたいのは、楽曲の歌詞だ。
本編鑑賞中はあまり歌詞が聞き取れずに認識できなかったのだけど、YouTubeで配信されていた楽曲動画(歌詞付き)で一気に聞くと、作り手の意図がはっきりとわかる。
{netabare}歌詞は劇中で「(主人公の)ひとりが担当している」ことになっている。つまり、これらの歌詞は ひとり の内面が表現されていることになるわけだが、これが物語の進行に合わせて、変化していることがわかる。
具体的には、新曲が発表されるたびに、ひとり の興味の対象が自分から他者(おそらくはバンドメンバー)に移っていることがわかる歌詞になっているのだ。
作詞のシーンそのものは1曲目のエピソードでしか描かれないし、それすら、具体的に歌詞に対応した描写でもないが、物語における主人公の心情変化に添って、しかも、それとわからなくてもかまわないというスタンスで提示する作法にはセンスを感じる。何ならロックっぽいかもしれない。{/netabare}
もちろん、「けいおん!」がなかったら、本作もなかっただろうけど、
歌詞も含めて、十分にオリジナリティや創造性が発揮された作品だ。