nyaro さんの感想・評価
3.4
物語 : 4.0
作画 : 2.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
思春期女子の疑似恋愛的な同性思慕は男には理解できません。
百合モノと言ってしまえば簡単ですけど、女性原作者の場合の作品を見る場合には男の感性ではわかりづらい部分が多くてこまります。
女性の場合、思春期の疑似恋愛的な同性思慕は頻繁にある話のようで、妄想系のBLと反対概念ではないようです。最近百合ものが多いですが、男原作のなんちゃって百合と女性原作はかなり違う気がします。
OPでペルソナの問題であることは最後の仮面をかぶった描写でわかります。ツタの絡まり方もちょっと意味がありそうですね。
また、花言葉に絶対意味があるだろうなあ、と思い検索したらしっかりすべて調べられたブログがありました。
内容を拝見すると、愛情に関するものがほとんどで考察しなくても問題ありません。ただ、原稿用紙の上のエリンジウムという花だけはちょっと気になりました。そして、本作以降に何か関係する示唆だとしたら考察すると面白そうです。
作中ではアジサイが異常なくらい描写されているのでこれは調べる人も多いと思います。特に青いアジサイですね。
本作はもちろん女性同士の恋愛感情の話ではあるんですけど、一つは燈子の姉になろうとする執着です。ここが自分ではない誰かから「君」になる、つまり主体性を持っていくという話になるんだろうと思います。燈子が姉から脱却して自分になる話は劇の内容から想像がつきます。
燈子に関して言えば、舞台劇の内容と水族館で、後は想像にお任せしますで、ほぼ終わりにしてもいいような感じです。
で、こういう場合「やがて君になる」はほぼ確実にダブルミーニングだと思うわけです。
ここで、侑ですよね。侑のことをなぜ燈子が好きになったかです。侑も燈子も人を好きになれなかったのに、燈子は好きになりました。どうも侑の優しさに惹かれたらしいですが、ある意味空虚なイメージがある気がします。つまり侑の主体性の無さ、あるいは感動の欠如などが問題なのかもしれません。
侑に向けて誰がどういう時に「君になる」と発するのかがポイントでしょう。「君を知りたい」というのが侑の恋愛のスタートでしょう。これからというところで物語が終わってしまいましたけど。
槙という生徒会の男子はすぐにモブになりましたが、侑と対比がありました。つまり侑は傍観者ではないということでしょう。
しかし、百合ものはどうしても考察ばっかりになってしまいます。女性は思春期の同性思慕は、感情的感覚的経験的に理解できる人が多いみたいです。潔癖、性欲の未発達、美しいモノへの憧れ…まあ言葉にしたところでさっぱりです。男にとっては永遠に理解できない異世界です。
ただ、この疑似恋愛である部分をクローズアップしている感じもあります。 2人の関係と、喫茶店の店長と教師の関係とは多分何かの対比になっている気がします。
普通なら主体性を持った燈子が侑の元を去り、その後、侑の話になるのが美しいですが、原作の掲載誌が月刊コミック電撃大王みたいなので、この場合は百合エンドの可能性はあるでしょうね。
話の展開はしっかりしていて面白いんですけど、女性的な感性が少ない私にはどうものめり込めないです。頭で見てしまうのでしょう。
それにしても、こういう耽美系にしては作画がイマイチでした。OPはまあ普通だったのでキャラデザは悪くないのでしょうが、後半の作画はちょっとなあ、という感じでした。何とかならないんでしょうか。