「SPY×FAMILY(TVアニメ動画)」

総合得点
87.3
感想・評価
917
棚に入れた
3030
ランキング
163
★★★★☆ 4.0 (917)
物語
3.9
作画
4.0
声優
4.1
音楽
3.9
キャラ
4.1

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ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

偽りの家族から家族愛を描く作品

世界観:7
ストーリー:7
リアリティ:5
キャラクター:8
情感:6
合計:33

<あらすじ>
世界各国が水面下で熾烈な情報戦を繰り広げていた時代。
東国オスタニアと西国ウェスタリスは、十数年間にわたる冷戦状態にあった。
西国の情報局対東課〈WISEワイズ〉所属である凄腕スパイの〈黄昏たそがれ〉は、東西平和を脅かす危険人物、東国の国家統一党総裁ドノバン・デズモンドの動向を探るため、ある極秘任務を課せられる。
その名も、オペレーション〈梟ストリクス〉。
内容は、“一週間以内に家族を作り、デズモンドの息子が通う名門校の懇親会に潜入せよ”。
〈黄昏たそがれ〉は、精神科医ロイド・フォージャーに扮し、家族を作ることに。
だが、彼が出会った娘・アーニャは心を読むことができる超能力者、妻・ヨルは殺し屋だった!
3人の利害が一致したことで、お互いの正体を隠しながら共に暮らすこととなる。
ハプニング連続の仮初めの家族に、
世界の平和は託された――。


シーズンの覇権候補作品との呼び声を聞きつけて視聴開始した経緯です。はじめの数話で、あらかたの設定を説明し、しっかりと惹きつけてくれまして、最終話まで毎週の楽しみとなりました。

本作は良い意味でも悪い意味でも設定色の強いアニメです。
{netabare}夫役のロイド(主人公・コードネーム:黄昏)がスパイ、妻役のヨルが殺し屋、子ども役のアーニャが相手の心を読み取れる超能力者、このそれぞれが自身の仕事や能力を隠しながら、家庭生活を送っていきます。

知的かつ爽やかイケメンであるロイド、裏の顔はきついが外見・性格美人(天然)のヨル、喋りが可愛く子どもなりに親の期待に応えようと頑張るアーニャの3人が個性的で、冒頭4話までのテンポは素晴らしいです。

物語の舞台設定をしっかりと説明し、アーニャの「父すごい嘘つき。でもかっこいい嘘つき。」で締める第1話。手榴弾のピンを指輪代わりにプロポーズする第2話。ヨルも同居し、偽装家庭が完成、ひったくり犯を捕らえて、「素敵な家族」と言われる第3話。受験での先方の非礼への怒りを蚊に叩きつける第4話。いずれも、それぞれの立場も描かれており良回な上、アーニャの言い回しや間違いがすごくかわゆい(「だいじょぶます、がんばるます」、「オペラたべたり」)。

アーニャの声優(種﨑さん)がちょっと前に視聴したヴィヴィと同じで、声優さんの技力をまたしても見せつけられました。早見さんは安定しすぎて、早見さんとして見てしまうのですが(笑)。

3人の中では地味なロイドですが、初めての育児(育児あるある)に戸惑うあたりが微笑ましく、スパイの時と家族の時とでのオンオフにメリハリが効いていて、こちらも好演です。

構成が完璧に近すぎるくらいで、原作者もアニメの脚本家も狙っているというか、完成されすぎのドライ感がありました。原作者の遠藤氏は本作のキャラに愛着がないとコメントしていて少し話題になったのですが、私は正直本心もあると思います。

このあたりは新海作品のレビューでも書いたような記憶がありますが、自分の描きたいものを書いてそのままヒットする天才も中にはいるものの、一般大衆のニーズからはズレるのが普通で、ヒットまでに数作の駄作(というか尖りすぎたり、独りよがりすぎたりする作品)ができるものです。概ね描きたいものを書いた後で、本作は原作者にとってしっかり考えられた作品という位置づけになるでしょう。

さて、素晴らしかった第4話まででしたが、第5話からストーリーの練度が落ち始めます。そもそも第5話のロイドマンは、アニオリエピソードらしく、水増し回ということなので仕方がないと思いますが、トップのスパイの顔を組織内メンバーに知らしめることになり、敵を騙すにはまず味方からという手を放棄することにつながりますし、スパイ組織の中にスパイがいたらどうするのかという点でナンセンスです。

そして学園回以降、そもそもなぜデズモンドに接触するために子供をイーデン校に入学させただけではとどまらず、ステラを集めなければならないのかという疑問も強くなり、流石に設定に頼りすぎな面が押し出されていきます。

また、ヨルさんの武力問題があります。最初の時点でもヨルさんの裏の顔が殺し屋というのは、(まだ全ての設定を知りませんが、)おっとり天然な表のキャラ設定からすると不自然に感じましたが、それが加速していきます。酔っぱらった上でのロイドマンとの戦闘や、スーパーで買い物をしている間にアーニャを人質にした男たちとの戦闘、アーニャへの訓練からのアーニャのパンチの威力。このあたりから、ギャグの要素がかなり大きいことを認識しましたが、ロイドの学園への介入など、やりすぎ度が増してしまいました。

OPの「ミックスナッツ」はOfficial髭男dismさんの楽曲でノリが良く、コンビニ等でも流れているのを聴きました。ただ、歌詞の終わりの「ここに僕が居て、あなたが居る、その真実だけでもう胃がもたれていく」というのが好きにはなれなかったため、楽曲購入には至っていません。(Youtubeでたまに聴く程度)

世界観は上記などの設定の巧みさ、作画や音楽なども考慮して7点。

後半に評価が下がっているのは上記の理由でのストーリーとリアリティの評価の変動によるところが大きく、それぞれ、7点、5点で決着。

キャラは設定が強い面での違和感も含まれるため若干調整が入り8点。
情感は家族愛にたくさんの場面でほっこりさせていただいたので6点。

ヨルさんのシスコンな弟(ユーリ)がロイドの敵である東国の国家保安局員であり、結婚を報告していなかったところ、ユーリがその話を聞きつけて訪問してきてロイドとヨルにキスしろと言いながらやめさせるあたりは面白かったです。ヨルさん照れすぎですが、弟の前でとなると恥ずかしさはありますかね。

今後、シリアス展開になるとしたら、このユーリとロイドが直接の作戦上の衝突が起きた場合や、ヨルさんの殺し屋組織の位置づけやつながりがわかっていないところですが、ヨルさんの殺しのターゲットが黄昏になった場合でしょうか…。この作品を好きなギャラリーにとって、そんな展開は望まれてもいないでしょうが、作品としての質を深め、ステージを上げるには避けられない気もしています。
{/netabare}

多分、かなり広い層に受け入れられる作品で、序盤の設定・物語のテンポが素晴らしいので、楽しく視聴できるのでおすすめです。

2022秋シーズンから第二期が予定されており、引き続き視聴したいと思っています。

(参考評価:3話78686=4.3→4話4.4→5話4.1→6話4.2→10話4.1→11~12話4.0)
(視聴2022.5~6)

投稿 : 2022/08/14
閲覧 : 202
サンキュー:

26

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