「リコリス・リコイル(TVアニメ動画)」

総合得点
86.5
感想・評価
990
棚に入れた
2693
ランキング
193
★★★★☆ 4.0 (990)
物語
3.7
作画
4.2
声優
4.0
音楽
3.9
キャラ
4.1

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ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 2.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

Wヒロインとガンアクションの光る作品

世界観:6
ストーリー:7
リアリティ:5
キャラクター:8
情感:5
合計:31

<あらすじ>
日本の治安を守る秘密のエージェント「リコリス」である井ノ上たきなは、ある事件をきっかけに喫茶「リコリコ」への転属が命じられる。超優秀なNo.1リコリス(?)の千束とバディを組み、DA復帰を目指し意気込むたきなだが、リコリコでの仕事はひとクセもふたクセもあり!?
(公式サイトより)

シーズンのオリジナルアニメで評判が高かったため、2話前に追いついて視聴開始。

本作の見所は何と言っても、千束役の安済知佳さんの好演と思います。私にとって安済さんは響けユーフォニアムの高坂麗奈や灰と幻想のグリムガルのメリイといった、クールキャラのイメージだったので、今回のような明るい元気っ子なタイプは新鮮で、声優さんの演技の幅を感じましたし、千束のキャラクターにもとても好感を持てました。

また、ClariSが歌うOP「ALIVE」、さユりさんが歌うED「花の塔」、いずれも聴き心地の良い楽曲となっていて、ガンアクションの多い作画の綺麗さ、メインヒロイン2人のキャラデザの良さも相俟って、水準の高い序盤でした。

{netabare}千束の弾丸回避能力で興味を引き(2話最後の輪ゴム飛ばしが視聴者側の問題意識に沿っていて良かった)、噴水回(2人の距離が急接近)、パンツ回(スローモーションアングルに釘付け)で楽しげな日常を描かれ、時々挟まれるガンアクションや不穏なシーンとのバランスが良かったです。

オリジナルアニメということもあってか注目度も上がり、動画サイトに関連動画もたくさん出ていて、千束の拳銃の構え方がプロであるとか、人間関係の裏や今後の展開を予想するもの等もあり、リコリコラジオでのアドリブ話(特に小清水さん)も大いに楽しませていただきました。

物語について。評価点が最も高かった5話は、東京案内回で、松下という老人の登場により、千束の心臓が人工心臓であって、松下氏が実は吉松シンジに操作されていたということがわかり、アラン機関との関係やその使命等、物語が動き出したと思えた回ですね。最後にたきなが千束の鼓動を確認するほんわかな日常も引き立っていました。

さて、そこから待望と思っていたシリアス面が盛り上がっていくのかと思いきや、展開はスロー。
たきなが喫茶リコリコの経理担当となって、形がアレなスイーツを作るシーンは笑いました(小清水さんの、「、、、うん!」もアドリブだったそうですが最高です)が、真島が千束の家に侵入し、至近距離で発砲された後にティータイムしていたり、様々な関係性が不可解なまま、シリアスと日常を織り交ぜていきます。

アラン機関と吉松氏の関係性がまずよくわかっていないです。アラン機関は才能を持つ人物を援助する組織で、千束はその視覚・運動能力の高さを評価されたのでしょうが、それがイコール「殺しの才能」となるのがわかりません。スポーツ等色々な方面でも活かせると思うし、それが「殺しの才能」だったとしても、その発揮は何をもって評価されるのか不明です。吉松氏が確認しに来るまでは何もなかったようですし。そして、アラン機関の使命を遂行していないと生かされないような話はありますが、アラン機関の本家が全く登場せず吉松氏に何らかのデメリットや制裁があるような話もないので、吉松氏が千束に殺人を強いる理由がいまいちピンと来ず、単なる狂った人のようになってしまっています。我が子への愛と言うなら、千束が殺しを拒絶するならその意思を尊重して、アラン機関に対峙しても面白いと思いますが。

真島は聴覚の良さでアラン機関の支援を受けていましたが、その使命は最後までわかりませんでした。彼は「日本に入国した雇われテロリストたち全員が失踪する理由の究明とその解決」のために動いていたかと思いますが、それがアランからの使命とも思えません。結果、アラン機関は何を目的として天才を保護しているのかが不明なのです。

また、リコリス、リリベル、あともう1つくらい劇中の絵にありましたが、それらの関係性も不明です。そもそもリコリスだけでも存在が世間にバレないことに違和感があります。冒頭、悪者を電車が通る間に始末するシーンなどありますが、それは視聴者側からの視点では見えませんが、他の角度では見えるはずで、完全に証拠を隠滅することは不可能でしょう。

また、DAの任務の中では、大量の犠牲も作中に出てきて(特にサード)、彼女らから、死を恐怖する、仕事をやめたい、逃げ出したいといった感情は読み取れません。このあたりはモブへの意識や配慮がされていないのでモヤっとしました。

ツッコミ所は多数ですが、終盤で気になってしまったのは、たきなが延空木のエレベーターで降下中(映像では上のほうの階から真ん中くらいまでランプが降りているシーンあり)、梯子で千束の救援に戻るシーン。高所であの距離を梯子で登るって、どんだけ時間と疲労を要するだろうと思ってしまいます。(その後のたきなの登場シーンでは疲労感なし)

あと、どんな状況でも死なない千束、たきな、真島。安いアクション作品に見えてしまうほど、補正が効きすぎと感じました。結局、千束の弾丸回避能力は「視覚の天才だから」という理由に収まったようですが、拳銃の弾丸の速度は300~400m/s(ライフル弾はその倍以上)であり、至近距離でも避けるのは視覚の良さだけでは納得できず、それなら心臓と同じく視覚も人工的な機械制御と説明してもらったほうが良かったです。真島はロケットランチャーを至近距離で受けても、延空木から落ちたかと思いましたが死ななかったですね。{/netabare}

ということで、可愛いダブルヒロインの明るい日常(終わってみれば、こっちに全振りのほうが良かったのでは?)と派手なガンアクションのバランス良い作品で、設定や物語はそのための引き立てとして造られたものという印象でした。おそらくこれは制作側の意図でもあると思うので、やりたいことはできていると思います。

注目されたこともあり、作画面など制作陣の頑張りも見え、良作ではあると思いつつも、必見の傑作・名作という類いの作品ではない、というのが個人的な評価となります。

(参考評価:3話4.1→5話4.3→6話4.2→7話4.1→8話4.2→9話4.1→10話4.0→13話3.8)
(視聴2022.7~9)

投稿 : 2022/10/10
閲覧 : 271
サンキュー:

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