レオン博士 さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
誰よりも近くて、どこよりも遠い二人の距離
【紹介】
触れた生物や植物の命を奪ってしまう呪いのせいで、永遠の孤独を抱える貴族の坊ちゃんと、メイドのラブコメ。
ヒロインが主人公を挑発し続けるアニメは最近多くなってきたが、坊ちゃんもメイドも素直に好意を相手に伝えているところが違う。
ただ、人に触れられないという呪いは当然ながら非常に重いテーマなので、やっていることは普通のラブコメなのに常に悲哀を感じさせる作品に仕上がっている。
【シナリオ】
{netabare}
お互いに好意をストレートに伝えているが、触れたくても触れられないという制約がうまくスパイスとして効いており、面白くしていると思う。
触れたくても近づきたくても我慢して距離をとろうとする坊ちゃんと、その心情を察してかいつもぎりぎりの距離まで近づいて挑発して精一杯の「接触」をはかろうとするアリスの関係性が良いですね。
お互いの想いは本物で、とても微笑ましい雰囲気なのに、絶対に触れないというだけでこんなにも切なくなるものなのか。
シチュエーションは違うがロミオとジュリエットに通ずるものがありますね。ロミオとジュリエットが世界中で愛されるのもわかる気がしますね。
二人の絆をたくさん描くことで、こんなに思い合っているのに、こんなに絆が強いのに、両想いなのに、触ることができない。
しかも、呪いが解けたとしても、今度は貴族の長男とメイドという立場の壁が立ちふさがるという絶望感。
そういったお互い気持ちを伝えあっているのに、誰よりもそばにいるのに、どこよりも遠い場所にいるもどかしさが二人の関係性をより強固なものにしていると思う。
{/netabare}
【良かったシーン】
{netabare}
キスがしたいと言う坊ちゃんに対して、あなたのキスで死ねるのなら本望ですと答えて目を瞑ってすべてを委ねるアリス。
彼女にとって死への恐怖よりも坊ちゃんに触れてもらえる喜びのほうが大きかったのでしょうね。あるいは、坊ちゃんがそれを望むのならどんなことであれ答えたいという思いもあったのでしょう。
もちろん坊ちゃんに死なせるようなことできないのはアリスもわかっているのですが、それでも愛がなければ目を瞑って相手にすべてを委ねるなんてことはできないと思う。
一番の名シーンだと思います。
{/netabare}
【作画】
とても綺麗でオシャレだけど、どことなく寂しさを感じさせる背景の色使いが絶妙。
それに演出もいいですね。夏目漱石の「月が綺麗ですね」を意識しているのか、二人きりのシーンに大きな満月が度々登場するところとか、切ない心情が音や色に表れており、直接的ではない繊細な表現がとてもいいですね。
【音楽】
坊ちゃんがピアノが好きということからか、全体的に音楽がとても良い。
音楽のアシストでとてもオシャレな見た目なのに哀愁漂う雰囲気になっている。
雰囲気づくりが上手だと思う。
挿入歌、OP、EDどれもなかなかいい曲ですね。
【キャラクター】
{netabare}
坊ちゃんとアリスとロブがいい感じですね。
坊ちゃんはからかい上手の高木さんの西片とキャラや喋り方が似ている(声高めのいじられ系ツッコミ気質)せいで、ただでさえ比べられるのに余計似ているという印象が強くなってしまう。
ほとんどの主要キャラクターが坊ちゃんに触れたら死ぬことをわかっていて挑発的な動きをしており、見ていてドキドキしてしまいますね。
ちょっとした事故で触りかねないのに、彼らは怖くないんでしょうかね?
触りたい欲求を我慢しすぎて時々坊ちゃんが壊れて踊りだすのがツボ
でも坊ちゃん、結構大きい動作が多いけど、あんまり急な動作しないほうがいいとおもう。
{/netabare}
【総評】
良い感じのラブコメだと思います。続きがとても気になりますね。
続編制作決定ということで、楽しみに待ちたいと思います。
さすがにこのシナリオで悲劇的な終わりは望んでない。
呪いが解けてハッピーエンドになって欲しいですね