Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
誰にも言えない、ふたりの特別
この作品の原作は未読です。
アニメーション制作がTROYCAさんと知り、視聴を楽しみにしていた作品です。
もともとTROYCAさんの作品を始めてみたのが、アルドノア・ゼロでした。
丁寧な作り込みが個人的には大好きで、そこからずっと追いかけています。
それに加え、本作品ではシリーズ構成と脚本に花田十輝さんの名前を見かけたのも視聴に拍車を掛けてくれました。
それだけじゃありません。
主人公の小糸 侑役に高田憂希さん、ヒロインの七海 燈子役に寿美菜子さん、燈子の親友である佐伯 沙弥香役にかやのん…
他にも小原好美さんや中原麻衣さんといった名前が連なっているんです。
視聴を決めるまで、一片の障害も無かった気がします。
この物語の主人公である小糸 侑は、人を恋する気持ちが分からないという悩みを抱えていました。
そんな折に生徒会役員の七海 燈子に出会ったのですが、彼女は誰に告白されても相手を好きになれないそうなんです。
侑は同じような悩みを持つ燈子に親近感を覚えて自分の悩みを打ち明けたのですが、彼女から帰ってきた言葉は思ってもいない一言だったんです。
「私、君のこと好きになりそう」
この意外な一言がきかっけとなり、二人の物語がゆっくりと動いていきます。
この作品のジャンルは「百合」に分類されるそうです。
確かにそういうシーンがゼロではありませんが、所謂「ガチ百合」ではありません。
生きていく上で、特に思春期の多感な頃は気持ちの揺れ動きも激しいお年頃…
そんな中で芽吹き育まれる思いを題材にした作品…
好きになった人がたまたま女の子だったという感じの作品なので、ドロドロした感じは微塵もありません。
まぁ、綺麗なだけでも無いんですけれど、ジャンルで敬遠するには勿体無い作品だと思います。
ガチ百合とは言えない理由…
登場人物が高校生というのもあると思いますが、一番はお互いの関係が微妙であること…
そしてその微妙なバランスを崩す一線は決して踏み越えないからです。
だって、主人公の侑は人を好きになる気持ちが分からないのだから…
そしてヒロインの燈子は、自分の事を絶対に好きにならない侑だから心を許しているのだから…
だからお互いに好き同士の関係ではないんです。
好きじゃないのに、そんな破廉恥な行為を…って大丈夫です。
この作品はクズの様なキャラは登場しませんし、そもそもそこまで相手を求めませんから…
だって、そこまで相手を求めるには、今の関係じゃ中途半端過ぎるから…
それにもしそこまで求めたとしたら…自分がどうなるか分からない不安もあるんだと思います。
でも一方的に愛を押し付けて…でも相手の気持ちには蓋をする…
これって考えようによっては随分我が儘なのでは…?
それにそんな燈子の思いを良く思っていない人が、ただ黙って二人を見ている訳はありません。
最もここから一歩進んだ先が、自分にとって修復できない領域なのが分かるから、おいそれとは手出し出来ないんですけどね。
ホント微妙な関係だと思います。
でもこんな関係には、たった一つだけ誤算がありました。
当たり前ですが、人の気持ちはうつろぎ…揺らぐモノ…
だからどんなに心の奥に気持ちを閉じ込めても沸々と湧き上がってくるんです。
今は未ださざ波程度の力しかないのかもしれません。
そして布石は打たれました。
その一石がどの様な功を奏するかはこれからのお楽しみなんですけれどね。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
オープニングテーマは、安月名莉子さんの「君にふれて」
エンディングテーマは、侑と燈子による「hectopascal」
オープニングを歌う安月名さんは、これがメジャーデビュー曲だとか…
とてもそんな風には思えないんですけど。
今期何度も繰り返し聞いた1曲になりました。
この作品はエンディングも侑と燈子の掛け合いが秀逸な曲で、どちらも大好きな曲になりました。
1クール全13話の物語でした。
物語としては未完で終わっています。
変にアニオリのエンディングで纏めるより、原作に沿った形で構成した結果のエンディングなので納得です。
きっと原作のストックを目一杯使ったのでしょう。
原作のストックが溜まった頃…続編の制作が発表されるのを楽しみにしています。