コマキノ さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
今期イチ押し作品は心理描写の鬼
6話まで視聴。原作未読。長くなりそうなので相当省いています
今期一押して頂く作品になります。百合だからというつまらない理由ではなく、人物描写、表現演出、作画、何から何までが完成されており、それも一級品の出来栄え。特に6話Bバートは7回見返すほどのスタンディングオベーション。落としどころは百合なのにいい意味で百合でないテイストです
{netabare}
正直1話の時点ではここまでハマることになるとは全く予想もしておりませんでした。作画の綺麗なキラキラした百合作品程度にしか感じていなかったのに最序盤にして2,3話の怒涛の追い込み。あかんですよ
印象に残ったシーンが2話のキスシーン直後の沈黙。ファーストキスを奪われてもなお特別を理解できなかった侑だからこその何事も無かったかのようなスルー。普通の恋愛作品ではお互い心揺らぐようなシーンをあえてそうさせないところにこの作品の真髄を感じ取りました
侑の橙子に対する見方の変化というのもとても繊細に描き切っていました。はじめは橙子に尊敬する先輩像があった中次第に逆側に思いが傾く。その中にも橙子の弱い部分をも包み込む侑の懐の深さ、また橙子を遊び倒す侑の小悪魔な面も見られ、3話にして人物像をこれまでかと描き切っている一連の表現演出には素晴らしいものがありました
4,5話では橙子の侑に対するスキンシップ、また侑の小悪魔な面が暴走し、ストレート過ぎる百合要素が出てしまったのは賛否が分かれそうですが何より6話の演出が圧巻のそれでした
橙子の弱い部分も曝け出してありのままの自分の姿を見せてもいいんだという侑の言葉を拒否する橙子の「そんなこと死んでも言われたくない」。そこに差し掛かる電車の轟音。侑と橙子の心の距離を表すように侑のいる場所の対岸へと渡って行ってしまう橙子。初めて自分の言うことを拒否されてしまった侑の表情を写した水面。そこで咄嗟に出てしまった「本当は寂しいくせに」。橙子の強がりの部分も弱い部分も好きにはならないとあえて言うセンス。2人の心の距離と同様に近づく2人。背景の夕焼けも生えて文句なしの演出
否定意見としては、サイコパス調な槙のキャラクターと単体で聴くと良い曲なのに本編で聴くとポップ過ぎて浮き気味のEDくらい
{/netabare}
登場人物の心理描写を丁寧に描いて上手い具合に感情移入させる作品は大切にしたいですね