sekimayori さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.0
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
ぜっとかいのみなさんのおかげでした 【71点】
センター試験まで50日切ったらしいですね(挨拶)!
絶望した受験生は2分間だけ勉強の手を止めて、新海誠×Z会の受験生応援アニメ、クロスロードでも観るといいよ!
大人としての私の感想は、「新海さんのいつも以上に暴力的で煽情的な作風で中高生を受験産業に引きずり込もうとするZ会さんマジ怖ぇっす」。
一方で、かつて受験生だった一人としての私の感想は、「確かに受験生って輝いてるんだよねぇ」ってこと。
脱線するけれど、大学受験・受験産業に対する「偏差値偏重」「内向きな若者ばかり作る」「経済格差の再生産だ」云々の批判には、妥当だなって部分もあります。
だからこそ、多感な若者を一点の陰もないイメージ映像で招き入れるZ会にはちょっと引く。
でもミクロな視点では、学生が自分の将来を自分で選択しそこに手が届くよう努力するプロセスって、現代社会のイニシエーションとして客観的に価値のあることだとも思っています。
それに受験勉強にだって、親が早朝講習の為に作ってくれたおにぎりだとか、放課後不安を紛らわせるために友人とした長話だとか、判定が上がらない模試の成績表とか、大事に開封した受験票とか、いろんな様相が付随するもの。
現状が適当かは大人が議論すべきこととして、学生たちが頑張る姿は純粋に眩しいものです。
だから、元受験生としては、この120秒のCMに結構心動かされたりもしてしまう。
試験開始の合図で皆一斉にページを繰る、その一瞬に鳥肌が立つのは、微細な埃の反射光の作画ややなぎなぎの曲のサビのせいだけじゃない。
主役二人だけじゃなく、周囲のモブも含めた全員が受験生だから。
そして私が、その一人ひとりがその子なりの何かを積み上げてあの場にいるであろうことを想像できてしまうから。
大人は、大学受験システムが学生に正当に報いるものなのか自問しつつ、無垢に頑張る登場人物の姿に目を細めて。
高2生以下は、受験って何だろうと意識するきっかけにして。
そして受験生は、もう純粋に感情を掻き立てられ勇気をもらって。
多様な楽しみ方ができる、ぜいたくな120秒間だと思います。
映像の出来栄え、キャラの人生の一瞬の切り取り方は、「俺(の親)が払った添削代や参考書代をこんなことに使いやがって!」と怒鳴り込む気力も起きないほど素晴らしい、まさに嘆息ものですし。
正直、現時点の新海さんの最高傑作だと思う。
いつものノスタルジーは抑え目で、少女漫画的ロマンチシズムの範疇に収まってるのも嬉しい。
あ、でも惜しみなく幻想はぶち殺す。
舞台になってる東大の掲示板での合格発表、数年前からやってないらしいよ?
あと東大の男女比は4:1だってね、あんな可愛い眼鏡っ子に出会うなんて奇跡でもないと無理だね?
結局アニメなんて若い時間を奪うだけの嘘つきなのです、騙されるくらいなら勉強した方がマシだってわかるはず。
だから、2分間だけ勉強の手を止めて、クロスロードを観るといいよ!
そしてまぁ、○○○○〇といいよ。
【個人的指標】 71点