N0TT0N さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
ネット移住症。
この作品は3DCGによるエンタメ作品といっていいんじゃないかと思います。
タイトルから、葛藤なんかがあっていろいろと追いつめられちゃったりする感じの重めの作品をイメージしてましたが、実際はそんなこともなく、精神的には気持ちよく視聴できるタイプの作品でした。
個人的には通常、ロボ系の作品やハリウッド的エンタメ作品を好んでは視ないんだけど十分楽しめる作品でした。
面白かったです。
ただ導入部分では、作品の特徴であるCG映像に不安にさせられ、保安局のお偉いさんのキャラのセンスについていけず、
主人公のロリなアンジェラとアナログ感が濃いディンゴのキャラデも個人的にそこまで好きになれない‥
こ、これは‥‥
ババ掴まされちゃった?
なんて思った時期が僕にもなかったわけではないけど、動きのあるシーンでの映像はかなりのクオリティーで快感を伴う映像体験でした。
最終的には自分史上過去に無いくらいスムーズに視聴できる3DCGだったと思います。
その点についてはほとん注文はないかもしれないです。
個人的には、特殊な世界観だったら3DCGはハマる。という印象を強く持ちました。そして、そのうち身近で日常的な世界観を違和感なく3DCGで視れる日がくるのかな。という期待が高まりました。
内容。
100分くらいの作品で、直接現代と関連のない複数の世界観を説明し、ちゃんと対立させ気持ちよくまとめきった脚本はなかなか素晴らしい出来だったと思います。
現代と関連しないとは言っても、現代の延長線上の出来事として想像可能(実現可能かどうかは置いておいて。。)で、アンジェラバルザックの住む世界、ディンゴの住む世界、フロンティアセッターの世界認識、それぞれの世界観のズレ、対立、共通点を‥
つまりは異文化間の摩擦の様なものを軸に物語が構成されていたと思います。
この対立の中でのマジョリティはアンジェラバルザックの属している世界で、ほとんど全ての人類はここ(一言で言うと肉体を必要としないサイバーワールド)に属している設定になっているんだけど、かなり上手いこと、且つ簡潔にこのサイバーワールドを説明していたと思います。
内容的には、この異文化交流で主人公のアンジェラバルザックにどういう考え方の変化が起こるのか?という部分がメインになってきます。
どれが正しいか?というよりは、外から、客観的に自分を見てみるきっかけの話。だったと思います。
面白いのは、サイバーワールドから生身の人間を見るという主観の逆転で、例えるなら、フル3DCGの立場からセルアニメを見る。みたいな、今のマジョリティとは逆の視点からの設定になっているところでしょうか。
個人的には、サイバーワールドのお偉いさんや、音楽の面などで少なからずツッコミを入れたくなる部分もありましたが、ほとんどストレス無く楽しんで視聴できました。
最後に、これらの世界に波紋を起こすフロンティアセッターは翠星のガルガンティアのあるキャラをイメージさせるとても良いキャラだったと思います。
※以下は必要以上に突っ込んだ個人的疑問点です。
{netabare}
【肉体を介さないサイバーワールド】
この物語ではサイバーワールドについての詳しい描写は無いし、エンタメ作品としては、ここを掘り下げる必要はないかもですが、ちょっと気になったので‥
持続可能な社会なのか?
つまり、子孫を残す、あるいは永遠の生命かなにかなのか?
そもそもどういう欲求を原動力にして生きているのか?
この点が伝わってこなかった。
アンジェラを見ると、限られた容量の合理的な情報の集積体としての存在みたいだけど、感情の起伏は普通にあるみたいだし、冒頭ナンパなんかもされていた。。
なので、異性とか恋愛のような感情も普通にあるのだろう。。
現代のネット世界の近似値なのは容易に想像つくが、ちょっと理解するまではいかない。。
タイトル「楽園追放」の「楽園」の部分。。
今ひとつ伝わってこなかったのは残念です。
それにしても、保安局のでっかいお偉いさん達。。いちいち判断がユルかった印象です。。
軽く、サイバーワールドのセキュリティーが心配になってしまいました。
{/netabare}