N0TT0N さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観たい
因・結・果
この作品は、昭和前期の小説家坂口安吾の小説を原案にし、設定にアレンジを加えた作品ということです。
個人的には見応えのあるいい作品でした。
まず言っておきたいのは単純に推理を楽しむ作品ではないということですね。
実は以前、1話だけお試し視聴したんだけどその話がイマイチでずっと放置していました。
今回全部視終えて「あー‥あれって因果というキャラを説明するための話だったのか‥」と思うに至ったんですが、それにしても1話目として弱かったと思います。
作品のタイプとしても後半尻上がり型なので、とりあえず1巻(3話)あたりまでは行ってみることをお勧めします。
その後も優良キャラが出てくるので早く切っちゃうのは勿体ないかなと思います。
内容的にポイントなのが、「事件の解決」自体が物語の結論じゃないという部分でしょうか。主人公の結城新十朗が名推理で難事件を解決する。そこを結論とする訳ではなく、「名探偵である結城新十朗」という素材を利用する。みたいな2重構造になっているところが面白いです。
ただ、犯人の動機にがっかりすることがあったり、意外と推理する上で残しておきたい選択肢を早めに切っちゃったなぁと思う部分もあるにはありましたが。。
そして「因果」という存在。
このキャラは推理ものでよくある「何故か真犯人がことのあらましを全部洗いざらい白状する」というあのシーンを形式化する装置としての役割と、結果と原因と隠れた本心(御霊)を紐解く探偵という職業のメタファーとしての部分とを兼ね備えた面白いキャラで、使いようによってはいくらでも悪用可で、しかもマスコット的にもかなり優秀という超優良なユウティリティーキャラです。
そして、因果をはじめとする特殊なキャラ達が推理のフォーマットを変えているのが物語の、特に後半の面白さの原因ではないかと思います。
要は異能を加味した推理ということです。
この部分は異能+推理という意味でドラマの「SPEC」を思わせます。
が、SPECほどキャラは多くないので「もしも~が可能だったら」という異能キャラが2人同時に現れた。という感じの設定になってます。
個人的にはちょうどいい具合の特殊設定ではないかと思います。
キャラ。
かなりいい出来だと思います。
基本的には中性的なスマートなキャラデで、男女どちらでもいけちゃうタイプのデザインになっているんではないでしょうか。
どこをとっても良いキャラデですが、特筆すべきは海勝麟六という戦後有数の権力者のキャラクターの良さです。
いくら自分の脳内アーカイブを覗いてみても彼ほど大物感、スマートさ、優しそうで掴みどころのないキャラデを見たことはありません。
因果、風守、別天王といった特殊キャラ、娘、メイド、SP、それに結城新十朗と、優良キャラのオンパレードではないかと思います。
edは個人的にお気に入りで特に前奏部分の低音ピアノソロとそれによく合ったロゴの表現はかなりの心地よさです。
最後に劇場版UN-GO因果論episode0について。。
人気作ではよくepisode0なるタイトルの作品が制作されますが、個人的には可能な限り作品が発表された順で視聴します。
ですがこの作品は、本編とepisode0がほぼ同時に発表されているようです。
この場合時系列順に視聴するかどうか悩みどころですが、個人的にはどちらもありだと思います。
劇場版を視なくても推理は完結します。
が、別の意味で謎が残ります。そして後半の重要キャラの謎度が高くなります。
劇場版、つまり「原因」を知って「結果」(本編)を視れば謎は残らず、「果」を視た後「因」を視れば後から謎に触れることになるでしょう。
どちらを選ぶかはアナタ次第です。
てかそれ以前に、視るか視ないかは(言うまでもなく)アナタ次第です。