「ポケモン・ザ・ムービー XY「破壊の繭とディアンシー」(アニメ映画)」

総合得点
59.1
感想・評価
24
棚に入れた
129
ランキング
6391
★★★★☆ 3.5 (24)
物語
3.3
作画
3.5
声優
3.5
音楽
3.3
キャラ
3.6

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セレナーデ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 2.5 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

ポケモンが『もののけ姫』をやってみた結果

そりゃ中身すっからかんなものが出来上がってしまいました。ダメだこりゃ。

この作品、まがりなりにも「破壊と再生における自然の摂理」というなにやらえらく壮大なテーマを覗かせてるのですね。でそこに、全ての命を奪うというシシ神様みたいなことをやっちゃう「イベルタル」なるポケモンと、全てに命を与えるという見た目だけはすごくシシ神様な「ゼルネアス」なるポケモンが出てくるわけです。

この世は、正と負、光と影、生と死の両立で均衡が保たれている。どちらか一方だけではバランスは取れない。そんな陰陽思想的な普遍的メッセージが、破壊と再生、すなわちイベルタルとゼルネアスの対比によって描き出される――。

と思うじゃないですか。

ところがこの作品ってばすごく短絡的。破壊の象徴たるイベルタルさんはただの「厄介の種」としか捉えておらず、完全にヒール扱い。そしてそんなイベルタルさんの暴走をケアしてくれるゼルネアスさんだけをマンセーしちゃうのですな。破壊と再生の対比というテーマを謳っていたにも関わらず、人間にとって都合のいいほうだけを肯定する人間中心的な安直さを露呈させちゃってます。

おまけに道義も見事にスカスカ。人間の業によってイベルタルさんを目覚めさせてしまったのに、人間たちの禊やけじめなんて皆目描かれちゃいないし、イベルタルさんの暴走のケアでゼルネアスさんは自らを犠牲にしてしまったのに、人間たちは己の行いを少しも省みる様子も見せちゃいない。エボシだってちゃんと報いを受けたし最後には改心も見せたっていうのに、こっちの連中ときたら。

かくして、これを見るこどもたちに何を伝えたいのかよく分からない中身すっからかんな内容に。

まあそもそもの話、一応の主役であるマイペースプリンセスポケモン「ディアンシー」ちゃんがあまりにフラットに登場したオープニングを見て、わあこりゃまたどえらい手抜きだなと直感いたしまして。その時点から、メッセージ性やシナリオライティングに期待するのはキッパリ諦めて眺めておりました。

けど、それでも、ね。なんかもうちょっと考えて作って欲しかったですね。

投稿 : 2015/01/16
閲覧 : 483
サンキュー:

3

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