2024年度に放送されたアニメ映画一覧 82

あにこれの全ユーザーが2024年度に放送されたアニメ映画を評価したーデータを元にランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年03月17日の時点で一番の2024年度に放送されたアニメ映画は何なのでしょうか?
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年代別アニメ一覧

67.2 26 2024年度アニメランキング26位
ふれる。(アニメ映画)

2024年10月4日
★★★★☆ 3.5 (17)
60人が棚に入れました
同じ島で育った幼なじみの秋と諒と優太は、東京の高田馬場で共同生活を始め、20歳になっても親友同士。それは趣味も個性も違う彼らを、島から連れてきた不思議な生き物「ふれる」がテレパシーのような力で結びつけていたから。彼らは身体に触れてお互いの心の声を聴いていたが、ある事件をきっかけに聴こえなくなる。「ふれる」に隠されたもう一つの力が徐々に明らかになり、3人の友情は大きく揺れ動く。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

私にとっては地味にフィフスインパクト

【物語 4.0点】
監督・長井 龍雪氏、脚本・岡田 麿里氏、
キャラクターデザイン・総作画監督・田中 将賀氏。

『あの花』など秩父を舞台にした青春三部作を終えた同チームが、
次に挑んだのは、東京の古民家でルームシェアする20歳の男女5人が織り成す人間ドラマ。

孤島の不思議生物“ふれる”の力により、互いの心が読めるようになった男子3人。

不思議生物“ふれる”はSNSをキャラクター化した側面もあるでしょうか。
心の声を波風立てないように取捨選択して、わざわざ口に出して、相手の腹を探る。
リアルの面倒なコミュニケーションの手順をすっ飛ばして、
男子3人が心の声で繋がって友情を育めてしまう。

しかも“ふれる”は(※核心的ネタバレ){netabare} 生活が逼迫した孤島でのギスギスしがちな人間関係の円滑化のため、心の声から火種になりそうな要素を自動的に除去する能力を有する。
“ふれる”を介した人間同士は真っ白な信頼の置ける存在と安心できてしまう。
いわば自動ミュート&ブロック機能付きの{/netabare} 超高性能&余計なお世話なSNS媒体。

“ふれる”が便利過ぎて、男子3人は、狭いフィルターバブルの中に閉じこもりがち。
本作に登場する3人以外の他者は、平気で猫を被るし嘘も付く、目的のためなら打算で他人を利用する。
腹の内では何考えているか分からない。一般社会における“普通の人間”たち。
リアルの人間関係の怖さの好表現により、“ふれる”に依存していたい男子3人の尻込みに説得力を持たせています。

そんな男子3人の元に、“ふれる”なんかに頼らずに友情を築いて来た幼馴染の女子2人、秋の空の女心が来訪。
年頃の男女が、ひとつ屋根の下で、混ざり合うことで、恋の予感も醸される中、
“ふれる”を介した3人の関係性にも変化が、便利な“ふれる”に頼り続けて来たしっぺ返しが訪れる。


終盤には“ふれる”の機能の核心に迫るファンタジー展開もありますが、
主軸はリアルで他者と関わる憂鬱さを描いた、
胃もたれしそうな人間ドラマ。

展開は地味だったはずなのに、私は結構惹き込まれました。


【作画 4.5点】
アニメーション制作は『空青』からこの座組と関わっているCloverWorksが続投。

メインの男子3人の表面上の関係性は“ふれる”を介して明快に説明される。
が、それ以外の人間関係については、例えば意味深な表情から、読み解く労力を、
鑑賞者の側も要求されます。

本音を示唆する表情描写という要求にも同スタジオは流石の解答。
取り扱いに難儀するリアルの他者の気持ち悪さが作画でも詳述されており、私も冷や汗をかきました。

料理の作画、プロップデザインを通じたルームシェアの生活感の変化も味でした。
女子2人が加わると、洗面所に歯ブラシが増え、台所に従来レパートリーになかった新たな調味料が加わる。
その過程が何かエロかったですw

この感度で、小物や、男女の生活ルールにまつわるシチュエーションの変化なども捉えると、
説明セリフなど無くとも、恋愛の進展なんかが、ちゃんとアンテナに引っかかって来る。
終始とても読み解きがいのある背景、作画でした。


不思議生物“ふれる”。
トゲをワサワサと震わせながら、動き回る“ふれる”の挙動には、
セリフがない生物とは思えないほどの存在感はありました。
恋愛の波動を媒介したら赤面する様子も愛らしかったです。

ただ、田中 将賀氏が最初に書いた一発で、制作チームの内輪であっさり決まったと言う、
黄色いハリネズミみたいな“ふれる”のキャラデザ。
私はもっと各方面と突き合わせて試行錯誤して、
“ふれる”自体が鑑賞動機になり得る位のマスコット性を追求して欲しかったかなと、
売れ残った“ふれる”ピンズセットを眺めて思いました。


【キャラ 4.0点】
小野田 秋
BARでアルバイトする長身男子。よく鴨居に頭をぶつけている。
両親不仲な家庭環境のギスギスから、口に出して伝えることに徒労感を覚える生い立ち。
他者と仲良くなりたいと思っていても、口より先に手が出てしまう典型的なヘッジホッグジレンマ。
喋りたくないけど繋がりたい。その想いが“ふれる”を呼び寄せる。

祖父江 諒
体育会系な不動産屋で叱り飛ばされる新人サラリーマン。
何とかなるさという感じで3人の関係性を見守る兄貴分なムードメーカーだが、
その軽さがクレームや人間関係トラブルを招くことも。

井ノ原 優太
デザイナー志望の専門学校生。
口に出して伝えるのも面倒だが、手も出せずに卑屈になってしまう。
秋とは違ったタイプのこじらせボッチ気質。

以上のメイン3人に、
姉御肌の樹里さんと、八方美人なトラブル引き寄せ気質の奈南(なな)さんが、関わってトライアングルなどを絡めて来る構図。


“ふれる”バブル内の人間以外は腹の底が読めないのは上述の通りですが、
それ以上に読めないのは人々を媒介してきた“ふれる”の真意。
登場人物の本音は、言葉にすることで概ね解答されますが、
“ふれる”は無口なので、行動については、最後まで鑑賞者の想像に委ねられる形。

ここでどれだけ“ふれる”含めて感情移入できるかが、終盤ファンタジー局面での感動度を左右しますが、
私は少しは言ってくれなきゃ分からないのでイマイチ感動できず。
この辺りが、人間のみならキャラ4.5点だった評点が4.0点に落ち着いた理由です。


【声優 3.5点】
主演・小野田 秋役・キンプリ・永瀬 廉さん。
祖父江 諒役・俳優・坂東 龍汰さん。
井ノ原 優太役・俳優・前田 拳太郎さん。

メイン男子3人のキャストは若手俳優、タレントをオーディション選出。
永瀬さんは映画『ドラえもん のび太と空の理想郷』でアフレコ経験もあり。
近年、若手俳優らを選りすぐると、自分は声優にも憧れていました、
秩父三部作も観てましたとアニメに理解がある才能が集うので確率が高い。

演技はややたどたどしい面もありましたが、
前向きな姿勢が3人の掛け合いからも伝わって来たのでそこは好感しました。

もっともタレント俳優キャスト陣の中で一番良い味出していたのは、
メイン3人の小学校時代の担任・脇田役の皆川 猿時さんの呑んだくれ演技でしたが。


一方で、樹里役には白石 晴香さん、奈南役には石見 舞菜香さん。
男子3人と交錯する女子2人には実力者声優を配する。
普段なら実力差が引っかかる所ですが、
本作は男子より女子の方が一枚上手なので不思議と違和感は少なめでした。

脇で最近もP王国・異端審問官として活躍されている津田 健次郎さんも登場。
お馴染みのネットリボイスで(※核心的ネタバレ){netabare} ビ◯チ{/netabare} とか言わせちゃイケマセンw(一応褒め言葉のつもりですw)


人気タレント俳優陣をメインキャストにすることで、
朝の情報番組でも取り上げられ、まずまずの上映館数と、
私が行った映画館では1番スクリーンもおさえることができた本作。
が、公開初週日曜の席はガラガラ……。

こんなことならキャスト全員アニメ声優でも変わらなかったのでは?
ちょっと親しげにおしゃべりできたからって樹里さんも、奈南さんも
すぐに次の段階に進める程、人間関係は単純ではありませんし、
イケメンアイドルや俳優でホイホイ客が釣れるほど興行は簡単ではありません。
女子はそんなに甘くないと思います。

やはりこのキャスト布陣はベストではないとの私の邪念は消えずこの評点。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は横山 克氏とTeddyLoid氏。
最近の横山氏はピアノ、ストリングス、エレクトロの中でも、
エレクトロ成分アレンジへの傾倒が目立つ印象ですが本作でも同様。
今回は電子サウンドを得意とするTeddyLoid氏と再び絡み、
渋い人間ドラマとは裏腹に、サウンドは意外と気分爽快。

EDはYOASOBI「モノトーン」で初の劇場アニメ主題歌を担当。
今回も脚本・岡田麿里氏書き下ろしの“原作小説”「ふれる。の、前夜」から
歌詞を書き起こしているため作品解像度は上々。

この原作小説、HPでボイスドラマ配信されているので、
本編ではダイジェストされた学生時代の男子3人、
優太が急激に太って、また元に戻った経緯などを知りたい方は、
一聴されてみてはいかがでしょうか。


【余談】
20歳の男子3人メインのビジュアルに今ひとつ鑑賞欲求が湧いてこなかった俺氏。
引っかかったのが“ふれる”の刺々しいデザイン。
これTVアニメ版『エヴァンゲリオン』でも登場したヘッジホッグジレンマ(ハリネズミのジレンマ)を具現化したような風貌だな。
それで気になって劇場に足を運んだ次第。

『エヴァ』は数次に亘るインパクトの末、
大人になったシンジ君が他者との関係に向き合う覚悟が決まっていくお話でしたが。
大人になり切れない自分にはシンジ君に取り残された感も抱えていまして(苦笑)

そんな私にとって完全に分かり合えない他者の気持ち悪さや、
他者との心の境界が無くなる恐怖などに、改めて向き合った本作は、
東京の一角、相当、小規模ながらフィフスインパクトだったのかなとも感じました。

投稿 : 2025/03/15
♥ : 10

あと さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人は1人では生きていけない、それでも1人で生きていく

 「超平和バスターズ」最新作。今まで思春期の男女関係の衝突やすれ違いを描いてきた岡田麿里さんが描く青年期に変化する人間関係と心の触れ合いのヒューマンドラマ。主人公秋くんが察しの悪いコミュ障で人に触れ合うことが苦手ながら寂しさを嫌う、という現代の若者らしい設定。されどイケメン。タイトルにもあるふれる。という可愛い謎生物によって秘密を共有しながら相手に自分の心を伝えられる能力で男3人組の仲を強固にし、田舎の島から上京し新生活を始め、環境や人間関係、やりたいことが変わってくる変化の過程が丁寧に描かれる。ファンタジーを生かした設定や生々しい会話をするキャラクターたち、コミュ障故になかなか表現もままならず言いたいことも伝えられず、何をやっても上手くいかない生活が続き衝突の末、絶望的な状況にまで陥る。ここまでストレスを溜めるのも今までないが、あくまでこの主人公たちの衝突はふれる。により起こるものというのも面白い。
 作品自体は田中将賀さんのいつものキャラクターデザインで非常に見覚えがある絵なのだが、キャラに魅力がないというか、可愛いキャラがいないのは女性向けなのかとも思うが、それであっても女性キャラの性格が悪い意味でいい感じ(見ればわかります)なのはちょっとキツいんじゃないのか。終盤にかける盛り上がりは新海誠風味なんだけど、あくまでローファンタジーでエンタメ映画にはならないところはあった。岡田麿里さんの脚本は100点。これまた素晴らしい人間関係の衝突にどうにもならない苦悩。まとめ方もメッセージ性も上手く畳んだ印象だった。
 総評としては抜群に面白い映画では無いけど何か世界の見方が変わる映画だった。良作ではあるけど、まあおすすめはできないし、何度も見れるような映画でもない…。

投稿 : 2025/03/15
♥ : 3

67.1 27 2024年度アニメランキング27位
五等分の花嫁*(おはな)(アニメ映画)

2024年9月20日
★★★★☆ 3.6 (21)
95人が棚に入れました
春場ねぎの同名漫画を原作にしたテレビアニメ「五等分の花嫁」シリーズ放送5周年を記念して製作されたスペシャル版を、テレビ放送に先駆けて劇場上映。
アルバイト家庭教師として、勉強嫌いで落第寸前だった五つ子姉妹を高校卒業まで導いた上杉風太郎。それぞれの道を歩み、大人になった五つ子は夢を叶えたが、なにか悩みを抱えていた。そんななか、風太郎と五つ子はハネムーンを兼ねたハワイ旅行を計画する。準備は順調に進んでいたが、ある事件が発覚し大騒動になり、ハワイでもトラブルに巻き込まれてしまう。

U-yan さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

劇場版まで観てから観ましょう。

ついにファイナル。五つ子ちゃんとの新婚旅行編です。新婚旅行だもん。劇場版を観てからじゃないとね。しかし新婚旅行だっつうのに他の4人も可愛い・・・w高校卒業から5年経っても何かと問題ありの五つ子が、旅行中に遭遇したある出来事のおかげでさらに成長するって感じかな。というか原作では旅行の内容までは描かれてなかったみたいなので、オリジナルストーリーって事になるんでしょうかね。とにかく可愛い五つ子にまた会えて嬉しかったです。

投稿 : 2025/03/15
♥ : 1

61.9 28 2024年度アニメランキング28位
Garden of Remembrance(アニメ映画)

2024年8月30日
★★★★☆ 3.2 (13)
40人が棚に入れました
空のビール缶・ウィスキーグラスが床に置かれ、
部屋の端には画材やエレキギターが並ぶ、
少し散らかった「きみ」の部屋。
携帯のアラームが鳴って、
ぼんやりと起き上がり「きみ」1人の朝が始まる。
「ぼく」が好きだったアネモネの花、
それは「ぼく」との思い出を繋ぐ大切な花。
ある日部屋のクローゼットを開けると「ぼく」との思い出が「きみ」を包み込んでいき・・・
これは「きみ」と「ぼく」、
そして「おさななじみ」との”さよなら”を描く物語──。

Beer cans and a whisky glass are placed in an open space on the floor. Though a bit disorganized, ”Your” room is filled with art supplies and an electric guitar lining the perimeter of the room.
The alarm on a phone goes off, and “You” leisurely wake up to start your day.
The anemone flower that “I” liked. A precious flower that holds memories which tie “You” and “I” together. After opening your bedroom closet one day, “You” become engrossed in your memories of "Me." A story that represents “Me,” “You,” our “Childhood Friend,” and our goodbyes.

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

想像力が試される。

18分間の短い無声アニメで白紙のままに各々が感じたことが大事なアニメなのでネタバレはしません。

一見は、キャラ原案が水沢悦子(うさくん)で歌がラブリーサマーちゃんで、
アパートで一人暮らしのOLを主人公としたミュージックビデオ。

その実態はあの事件でかつての多くの仲間を失った山田尚子さんの心象風景を、
追悼の意味を込めてアニメのキャラを使って抽象的に表現したもの。

純粋に人を楽しませるアニメではなくて、アニメを通して自分を見てほしい作風。
これは近年の山田監督アニメに共通した特徴で、そこに浸って感情移入したひとたちが、
不特定多数の手を加えられて作られたアニメ云々よりも、
山田監督の人間性をアニメを通じて感じていたい集団として極まってしまったなと。
『山田監督はこんな事を考えてる、彼女の気持ちを考えろ。』と。

そこは、事件を意識させずにファンに楽しんでもらえるアニメづくりを、
一貫して心がけて作り続けている古巣である京都アニメーションとは対照的なような。

どちらが良いとは敢えて言いません。ですが、京都アニメーションで、
一番輝いてた頃の昔の山田尚子に戻れないのは自分は寂しいなと思いました。

敢えて一言言うならば、今の山田監督アニメにどっぷり浸かって感情移入したいかたには、
「平家物語」「きみの色」より先に観ることをおすすめします。

このアニメに何も感じられない人がもしいたら、自分の大切な人が亡くなってしまったら?
と想像すると少しは寄り添えることが可能かもしれませんね。


おわり。

投稿 : 2025/03/15
♥ : 13

御宅忍者 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

過去、未来、生活、他人を想ふ。

☺️✌️
ようやく来たな、山田尚子監督の新作。彼女の作品を初めて観たのは小学校4年生の時だったかな。あれも確かギターを担いだ女子高生が主人公をやっててさ、もう衝撃的だったよ。ディズニーChを付けたらギターを担いだ女子高生がふわふわ時間をしているんだもんな。キュートな一面はオフコースなんだけど、当時初めてアニメのキャラクターに惹かれてしまってな。夢中で観てたよ。ホーンテッドマンションと録画が被って観られなかった時は大泣きしたさ、傑作だろ?

さて、そろそろ本作の話をしようか。本当に山田監督は登場人物の生活や暮らし、感情の機微を描くのがうますぎるんだよな。マヂで。それをピンセットでちょーーー丁寧に摘んじゃってる感じがもうとんでもねぇっつーかさ、もうほんととんでもねぇ。今作も感情の物語っていうか、過去と未来の生活を通して人を想う気持ちを描いてるっていうか、そんな気がしたな。他人の生活や暮らしの瞬間が垣間見える時に、「あの人が好きだったなぁ」みたいなやつあんじゃん?わかんねぇけどよ、、それがこれからの自分にとって、かけがえのない瞬間になることとかあんジャン?なんかそんな感じよ。うまく説明できねぇ。

あとやっぱり音楽だよな。『リズと青い鳥』のHomecomingsや『平家物語』の羊文学でも感じたけど、今回のラブリーサマーちゃんも超最高なんだよ。山田監督の作品はアンダーグラウンドっつーか、オルタナティブロックっていうんかね、とにかく音楽の相性がピカイチだよな。登場人物の気持ちに寄り添う楽曲をどのアーティストさんも提供してくれるわけだ。

彼女の作品はオブジェクトもかなり大切にされてて、リズと青い鳥でも感じたけど、登場人物をいつも側で見守ってくれてる感じがするんだよな。それこそ今作の『花の記憶』っつーか。どんな形であれ、これまでの生活を反映してる"モノ"としての儚さっつーか、美しさっつーか、あったけぇ気持ちになっちまう。

出会いと別れ、日々の生活や暮らし、そして変化していく街、やっぱりこうゆうのが1番ドラマがあるっつーか、好きになっちまうんだよな。

投稿 : 2025/03/15
♥ : 1

56.1 29 2024年度アニメランキング29位
アイドルマスター シャイニーカラーズ 第3章(アニメ映画)

2024年1月5日
★★★☆☆ 2.8 (12)
26人が棚に入れました
私たちは手を伸ばし、空へと飛び立てることを知った――。生まれたばかりの4つのユニット。手を取り合う個性と個性。絆で結ばれた新人アイドルたちは、“光”を目指して一歩を踏み出す。出会いという奇跡がおりなす、色とりどりの輝き。どこまでも繋がる大空の下、新たな翼が羽ばたき始める。

計測不能 30 2024年度アニメランキング30位
コードギアス 奪還のロゼ 第2幕(アニメ映画)

2024年6月7日
★★★★☆ 3.8 (9)
65人が棚に入れました
新たな主人公、ロゼとアッシュ、2人の兄弟が繰り広げる『コードギアス』シリーズの最新作第2弾。
ホッカイドウ解放のため、以前から七煌星団を助力していた黒の騎士団。だが、ネオ・ブリタニアが所有する空中要塞ダモクレスとそこに搭載された大量破壊兵器フレイヤの存在、さらに七煌星団内にも混乱が生じる事態が起こる。
 サクラの身を案じながらも、サクヤはロゼとして、七煌星団が討つべき敵を見定めさせ、団員たちを鼓舞する。
 そんな折、黒の騎士団から補給物資と追加の人員が到着する。出迎えたロゼたちの前に現れたのは……。

計測不能 30 2024年度アニメランキング30位
「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ(アニメ映画)

2024年2月2日
★★★★☆ 3.6 (6)
52人が棚に入れました
「鬼滅の刃」のテレビアニメ第4期「柱稽古編」が2024年春より放送されるのに先駆け、2023年に放送された第3期「刀鍛冶の里編」の第十一話と「柱稽古編」の第一話を特別上映。
鬼になった妹の禰豆子を人間に戻すため、鬼殺隊へ入隊した少年、竈門炭治郎。「刀鍛冶の里編」の最終話にあたる第十一話では、炭治郎と上弦の肆、半天狗との激闘の決着と禰豆子の太陽克服が描かれた。特別上映の「柱稽古編」第一話は、宿敵である鬼舞辻無惨との決戦に向けて行われる鬼殺隊士たちの過酷な修行と柱稽古が幕を開ける。

ゆん♪ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

舞台挨拶、楽しかった!

本編は言わずもがな、柱稽古編の放送が楽しみです!

初日舞台あいさつ、
花江さん、鬼頭さん、下野さん、松岡さん、岡本さん
岡本さんが「ようやく(鬼滅の刃)イベントに参加できました。」
子供時代は女性の声優さんが演じられると思ってたら「やってね」って言われて相当かんばりました。みたいな事言ってらっちゃいましたが、可愛かったよね
下野さんが太陽を克服した禰豆子ちゃんと対面するシーン、テンション高くて面白かったんだけど、音響監督さんには「あまりにも声も大きいし気持ち悪いからもう少し抑えてください」って言われたとか
劇場版のED、リミックスバージョンです!
柱稽古編冒頭はアニメオリジナルですetcのお話のあと、これから世界でイベント行うセレモニー&国内じゃぱんつあーのミニ隊士登場!
このミニ隊士がめちゃめちゃ可愛くて、それぞれのキャラクターの性格わかってる~って動きしてくれて楽しかった!
伊之助、暴れん坊だし、玄弥ひとりぼっちで気づくと隅っこにちょこんっていて、岡本さんも「玄弥!いけよ!」とか声かけたりw
楽しかった!

二日目柱舞台あいさつ
櫻井さん、小西さん、川西さん、早見さん、花澤さん、鈴村さん、関さん、杉田さん
柱のメンバー紹介を日野さんがやってくれたし、小西さんをちゃんと柱メンバーとしてあいさつに登壇させてもらってめちゃ嬉しかった!!
”はやみ”繋がりなのか、早見さんに「御屋形様の鴉」の話を振られてて
「”吾輩はただの鴉だ”っていうセリフがあるんですけど、速水さんの声でただの鴉のわけないじゃないですか~、もう気になって」って話に私も納得だよって思った!
笑ったのは杉田さんがお母さんと電話で話してるときに
「ともかず、お前のキャラクターのクッションだけ売れ残ってるんだけど」って心配されたって話。
ラストは小西さん(祭りの神だから?)の音頭で豆まきーーー!
もう絶対円盤に収録してほしい、出来ればノーカットで!!
初日より登壇人数も多いからかちょっと長めの舞台挨拶、楽しかった

投稿 : 2025/03/15
♥ : 1

計測不能 30 2024年度アニメランキング30位
クラユカバ(アニメ映画)

2024年4月12日
★★★★☆ 4.0 (8)
48人が棚に入れました
第27回ファンタジア国際映画祭の長編アニメーション部門にて観客賞・金賞に輝いた長編アニメーション。
私立探偵の荘太郎は、世間を惑わしている集団失踪の捜査をスタートさせる。目撃者はなく、意図も不明なその事件の現場には必ず、“不気味な轍”が残されていた。手がかりを求める荘太郎は、街の地下領域“クラガリ”へと足を踏み入れる。そこで出会った黒鐵の装甲列車とその指揮官タンネが、荘太郎の運命を大きく揺れ動かしていく。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

和風レトロな地下世界で列車が砲弾をぶっ放す浪漫活劇映画

和風スチームパンクな“大帝都”にて発生した地下世界“クラガリ”への集団失踪事件。
依頼を受けた自堕落探偵・荘太郎が広大な地下鉄が張り巡らされ、地下ギャング“福面党”が蔓延(はびこ)る地下領域“クラガリ”へと踏み込むオリジナル長編アニメ映画。

【物語 3.5点】
地下鉄・装甲列車の砲が火を噴いて作品タイトルが打ち出される滑り出しが象徴するように、
本作のメインは大正浪漫なスチームパンクでドンパチやるアクション活劇。

私は探偵が主役と聞いてミステリーも期待していましたが、
昼間から飲んだくれる無精髭の主人公の迷探偵ぶりを目撃して、
早々にアクションエンタメ満喫路線に乗換えw
推理もしないことはないのですが探偵という主人公設定は、
自由に帝都や地下世界を巡る“カメラ”ポジションを狙ってとのこと。
上映時間も{netabare} 60分余り{/netabare} と短尺ですし。

ただ中身が無いかと言うとそんなこともなく。
主人公自身が抱える忘れかけた過去への憧憬が、
地下世界の禁断とリンクする脚本は独特かつ妙味。

このシナリオ軸については、本作と同日公開となったスピンオフ作品『クラメルカガリ』の、
地下世界から地上の未来へと生き急ぐ少年とベクトルが対になっており、
見比べることで今現在という地に足を付けて生きるメッセージ性のコクが出る構成となっていますので、
本作鑑賞後は間を置かずに『クラメルカガリ』もチェックすることを推奨致します。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・チームOneOne

クラウドファンディングで実現したという本企画。
スタッフには如何にもスチームパンク好きそうな経歴の持ち主が集結。
細かいことはさておき、私は煙(けぶ)る地下世界にて装甲車や多脚機巧がド突き合うアニメーション活劇が繰り広げられるだけで幸せなのです。

背景美術、人物作画共にCGがメインで、利点を活かしてフィルムスコアリングも実現し、音響一体となった活劇を演出。
小物設定も凝っており、口径大き目の銃なども、この種のファンタジー設定にマッチしています。


【キャラ 4.0点】
ヒロインで装甲列車“鬼の列車長”タンネ。
だらけた私立探偵の主人公・荘太郎と凸凹コンビで地下領域を巡る。
堅物な性格のタンネですが、弁は立ち、荘太郎らと講談調の軽妙な掛け合いも繰り広げ、
作品に独特なリズムをもたらす。

街と地下世界を“活動大写真”を駆使したサーカス団の類が暗躍するのも、
個人的にストライクな設定で、スチームパンクな世界観との掛け算で多幸感が倍化します。

地下世界で“伝書動物”として活用されるクダギツネなど、
“クラガリ”にはまだ描き残された未知の生態系が広がっています。
シナリオとしては一応区切りが付く本作ですが、
“クラガリ”の深淵については一端を垣間見せただけで、
次への欲も残した内容となっています。


【声優 3.5点】
講談調の大正浪漫なやり取り演出のため、
主人公・荘太郎役に人気講談師・六代目神田 伯山氏を招く意欲的なキャスティング。
相手役のヒロイン・タンネ役には黒沢 ともよさんを起用して盤石と行きたいところでしたが。

私は率直に、好素材を集めた割にもう一つ突き抜けなかった印象が残りました。
主人公が失踪事件に深入りする契機となったサキ役の芹澤 優さんは講談調対応もまずまずでしたし、
キーキャラクターを演じる活動弁士・坂本 頼光氏も持ち味を発揮していました。
が、例えば『アンファル』で落語調の掛け合いもこなしている、ともよさんならもっとやれるでしょうとの欲求も残ってしまったのですよね。

掛け合いも味わい深かったのですが極上とは思えず。
パンフレットで答え合わせしてみたら案の定、キャスト陣は分散収録。

ここはリスクを取ってでも同時収録で掛け合いの空気感、ディレクションももっと追求して欲しかったという要望も込めて声優3.5点で。


【音楽 4.5点】
劇伴担当はアカツキチョータ氏。
物語終盤にかけてサーカス団が仕掛ける幻惑の中で、
主人公が地下≒過去に吸い寄せられる展開を見せる本作ですが、
夢幻に誘うようなミステリアスなBGM、エコーも含めた音響による演出が素晴らしく、
禁断に足を踏み入れたくなる主人公心理を鑑賞者も追体験するかのような没入感を得られました。
ここが私が劇場鑑賞の価値を最も感じた部分です。

ED主題歌はチャラン・ポ・ランタン「内緒の唄」
アコーディオンもアレンジしたサーカス風の楽曲で、
地下世界への未練も引きずる余韻を残す。


【付記】
4月公開で『クラメルカガリ』と共に、もう流石に上映はほぼ終了している本作。
ゾーンは狭いですが刺さる人は狂喜できるニッチな需要があると思いますので、
ピンと来た方は、配信レンタルリリースなどが実現したら是非チェックしてみてはいかがでしょうか。

投稿 : 2025/03/15
♥ : 11

計測不能 30 2024年度アニメランキング30位
名探偵コナン vs. 怪盗キッド(アニメ映画)

2024年1月5日
★★★★☆ 3.5 (7)
47人が棚に入れました
怪盗1412号…怪盗キッドコナン最大のライバル 探偵vs.怪盗 はじまりの物語―――世間を騒がせる怪盗ながら、暗号を織り交ぜた予告状とキザなセリフ、華麗な手口(ショー)で数々の名宝を盗み出し人気を博す“怪盗キッド”。そんな神出鬼没の大怪盗が誕生したのは……。
月下の奇術師・怪盗キッド誕生と、最大にして永遠のライバル・コナン/新一との初対決を新規映像とともに贈るTVシリーズ特別編集版!!

テナ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

ライバル対決

2024年公開予定の劇場版の為の総集編ですね。
去年の劇場版も結構良かったし、実は今年の劇場版には推しキャラである服部平次と怪盗キッドが出るので見たいと思っているので、総集編だと言う事を頭に置いて視聴したのですが……

普通に総集編でしたw
いゃ、私は新しくリメイクさせた総集編で画質とか綺麗になっているかと勘違いしてましたが、そんな事はないと思います。

総集編が、コナンとキッドの出会い、時計塔のエピソード、空中歩行のエピソードで、物語も古いので当時アニメで見ていた画質と変わらない気がしましたが子供の頃の記憶だけど……
で、遠目から見た目線などは少し画質は荒かったし殆ど当時のままかな?

新規書き下ろしは多分序盤のコナンとキッドの出会いからOPまでかな?
その辺は力を注いでいましたね。
ただ、蘭と園子が横断歩道で快斗と青子とすれ違うシーンは必須レベルだけど入ってなかったのは気になりましたね。

あの劇場版特有のOPの「俺の名前は高校生の工藤新一」から始まるOPが今回は黒羽快斗がしていたのが意外でしたねww

確かに今回はコナン目線と言いますかキッドが出来事を思い出すと言う形になっていましたね。
まぁ、怪盗キッド自体はマジック快斗側の主人公で確かアニメもしてましたよね?
なので、快斗でも全然違和感はなかったです。

原作は古いのか私が子供の頃の段階で中古ショップで105円で子供に買いやすく全巻読んだのですが面白かったです。
数年前に続編が出てましたが完結は多分してない?

お父さんを殺した組織を追ってビッグジュエリーを探してるけど、多分だけどその組織って黒の組織な気がしてて名探偵コナンの完結がマジック快斗の完結だと勝手に考えてます。
割と、黒の組織と絡む事もありましたし……

最後はキッドが劇場版の舞台へ向かうシーンで締めくくられていて、快斗の父と新一の父がライバル同士である事を踏まえての総集編でした。

正直、アニメや原作を見てたら見なくてもいいレベルの総集編かな?と思います。
ただ、この総集編が劇場版本編に関わる何かの為に視聴者側に思い出して欲しい何かが劇場版のエピソードにあるのかもしれません。

投稿 : 2025/03/15
♥ : 5

計測不能 30 2024年度アニメランキング30位
パリピ孔明 Road to Summer Sonia(アニメ映画)

2024年3月1日
★★★★☆ 3.2 (7)
45人が棚に入れました
TVアニメ1期総集編に新規ライブシーンのカットを加えた劇場版となる。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

KABE太人やラップの必要性も再認識できるアゲアゲ↑↑な劇場版総集編

TVアニメ『パリピ孔明』全12話を再編集し、
新規ライブシーンカットを加えた劇場版総集編。

【物語 4.0点】
TVアニメ版と視聴者のキャッチボールについて。
『パリピ孔明』が不幸だったのは、作品自体は王道音楽アニメでありながら、
放送序盤、現代の渋谷に転生した諸葛孔明が音楽プロデューサーとして計略を仕掛けて、
ヒロインをスターダムに押し上げていくという奇抜な外面がひとり歩きしてしまった点。

音楽アニメが消費し尽くされた中で、マンネリ化を感じていた一部の層に、
孔明が新機軸を打ち出してくれるのではないか?
という現状打破の期待が想定外に膨らんでしまったこと。

少なからぬ視聴者が孔明による新たな魔球を要求する中、
中盤から終盤にかけて、ますますド直球の音楽アニメを投げつけられれば、
捕逸(パスボール)必至。

この辺りがTVアニメ版が音楽アニメとしては終始加速しながら、
中盤以降失速したとの感想が出て来る一因なのでしょう。


今回の劇場版総集編は『パリピ孔明』が王道音楽アニメであることを再認識させられる構成。

総集編で特にピックアップされたのが、泣いて馬謖(ばしょく)を斬るのエピソードに象徴される、
三国時代の諸葛孔明が天下泰平の大望を抱き、劉備の軍師になりながら、
采配を振えば振るう程、犠牲者が増えていった自己矛盾の葛藤。

だからこそ、孔明が転生した渋谷の第一印象は前世、策に溺れた自分は地獄に落ちたでしたし、
計略よりも英子の歌で今度こそ天下泰平を目指すという決意だった。

私もTVアニメ終盤、孔明が策より歌に託すことを選んだ展開に物足りなさも感じた口でしたが、
こうして孔明にとっての英子の歌とは何か?を整理された劇場版では納得度が上がりました。


【作画 3.5点】
アニメーション制作・P.A.WORKS

新規ライブシーンカットで一番際立ったのが、
ラストの{netabare} 「気分上々↑↑」{/netabare} 4人歌唱による大団円。
キャラクターも良く動く楽しいライブシーンでしたが、
位置づけとしては総集編観に来てくれたファンへのオマケのご褒美程度。

新規カットでよく動かされると、TVアニメ版では許容できた既存ライブシーンでの止め絵などが、
劇場版クオリティを求めると物足りなく感じたのでこの評点。

ただファンとしては大スクリーンであの音楽映像をもう一度体感する価値は確実にありました。


【キャラ 4.0点】
TVアニメ版で中盤登場するラッパーのKABE太人。
終盤も煽りラップで喧嘩を売ったくらいで、
本当にこのラッパー必要だったの?との疑問の声が出るのも致し方なし。

けれど一本の映画の中で振り返ると、
KABE太人もまた自分を偽って来た中で、もう一度自分の道を歩み直した一人。
中盤ラップバトルで自分を曝け出した彼が、
{netabare} AZALEAの偽りの仮面を指弾し引き剥がす{/netabare} 先制パンチを放つ終盤の流れは極めて自然な構成に感じました。
KABE太人もまた自分を取り戻す青春群像劇には欠かせない存在であったことを再認識させられました。


全12話分を120分に押し込んだ煽りを受けて、
フェスで対峙した3人組男性ロックバンド・JET JACKETなど、
孔明の計略に翻弄されるライバルキャラのヤラレ芸などが、
ナレーションで流される憂き目に遭う。
あいつらも憎めない敵キャラだったのでチョッピリ寂しかったり。

孔明の罠にハメる痛快さより、王道青春音楽ドラマとしての振り返り。
キャラの取捨選択からも魔球より直球を投げたいスタッフの意志が滲んでいると感じました。


【声優 3.0点】
演者と歌い手を分離している本シリーズ。
新規カットも音楽シーン中心とあって、特に目立ったキャスト陣の収録追加はなしと判断して評点は基準点。

TVアニメ版レビューにて、孔明の工作担当“英子のファン1号”にCV.花江 夏樹さんはちょっと贅沢過ぎる使い方かも?との趣旨の感想も述べましたが、
密偵としての暗躍ぶりを一本で振り返ると、このキャスティングも釣り合うかなと認識が改まりました。


【音楽 4.5点】
再編集でカットされるシーンもある中、
中盤、物議も醸した諸葛孔明とKABE太人のラップによるMCバトルは16小節3ターン+延長戦完全ノーカット上映した上で、把握しやすいように新たに字幕歌詞も表示。
これについても、孔明の葛藤と、青春音楽群像劇を強調された劇場版の構成で再見すると、
互いの本心を魂のラップに籠めてぶつけ合ったこのバトルの歌詞は、
一つもカットできない重要なセリフであったと納得できます。
(字幕なしのTVアニメ版では私が聴き取れていなかっただけという説もありw)

そして、ラップバトルの歌詞の一つひとつが終盤「DREAMER」の歌詞ともリンクすることで、
自分を取り戻す物語として作品を俯瞰できる。
ここも一本の映画で振り返る利点を享受できたと感じた部分。


ED主題歌は英子(歌唱・96 猫)と七海(歌唱・Lezel)がバラードナンバー「Resonance」でデュエット。
この構成が象徴する通り、二人の友情物語を復習する需要にも、この劇場版総集編は応えてくれます。


【余談】
孔明の罠・特別料金の計により?各種割引サービス&クーポンが無効化される本劇場版。
私も久々に定価で映画を観ましたが2000円ってべらぼうに高いですねw
鑑賞料金もアゲアゲ↑↑なら所得もアゲアゲ↑↑でお願い致しますw

投稿 : 2025/03/15
♥ : 15

saitama さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ベタすぎるけど、1クールよりずっとまとまりが良かった

編集の妙とも言えるし、ベタすぎるけどいい映画だった。
普通に音楽が好きになれる映画。

正直、パリピ孔明は1クールの最初はすごく面白かったのに、途中からどんどん冷めたというか、面白みが欠けていったのだけど、この映画版はうまく纏まったというか、面白かった。映画版に編集したことで駆け足だけど色々と削ぎ落として、追加してまとめた2時間になると1クール版の中弛みが消えて印象が大きく変わった。

EDM路線の主人公と、バンド路線の対抗馬。ラップというスパイス。
それぞれの音楽の良さを追いかけているのも良かった。

ただ、映画館でみる作品かと言われるかと言われると、うーん、ちょっと違うかも。
とはいえ、音響の良い環境で見た方が良いのは確か。PCを通しても、ちょっと良いスピーカーをセッティングしている環境だと、明かに音にこだわって作ったのはわかるから。
たぶん、スタジオとかで100〜200インチ映像で見たら最高によく見える感じかも。

個人的には、そうだな、映画「セッション」の真逆にあるかのような音楽映画だと感じた。
あっちは苦しさしかない中の先にある光だけど、ぶっちゃけしんどい。
対するこちらはエイベックスらしいアニメ映画にだったと思う。
小難しいことは忘れたハッピーエンドな音楽アニメ映画。

蛇足的なことを言えば、
この設定、ストーリー、音楽路線をまんま生かした
ケロロ軍曹による完全パロディ版作ったら尚更面白そう・・・。
エンドロール曲はもちろんダンス⭐︎マンで。

投稿 : 2025/03/15
♥ : 2

計測不能 30 2024年度アニメランキング30位
クラメルカガリ(アニメ映画)

2024年4月12日
★★★★☆ 3.7 (6)
43人が棚に入れました
「クラユカバ」のスピンオフ小説として執筆されたシナリオを原案にした群像エンタテインメント。
零細採掘業者がひしめく炭鉱町「箱庭」で少女カガリは、日々迷宮のように変化する町を地図に書き留める地図屋を営んでいる。一方、幼なじみのユウヤは、箱庭からの脱却を夢見ていた。やがて2人は箱庭で頻発していた“不審な陥没事故”に巻き込まれていく。

計測不能 30 2024年度アニメランキング30位
劇場版BanG Dream! It’s MyGO!!!!!前編「春の陽だまり、迷い猫」(アニメ映画)

2024年9月27日
★★★★★ 4.1 (6)
27人が棚に入れました
2022年4月より活動を開始した、"現実(リアル)"と"仮想(キャラクター)"が同期するバンド「MyGO!!!!!」。彼女たちの結成秘話を描いたTVアニメ「BanG Dream! It's MyGO!!!!!」を、劇場版総集編として2部作に再編集した前編。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

“野良猫”はなんで春日影やったのか?

【物語 4.0点】
構成は新規エピソード+TVアニメ版前半(~8話まで)の総集編(118分)

冒頭、連続アニメ1話分相当の尺を費やして、
TVアニメ版では掘り下げられなかったギター・楽奈(らーな)の過去の小中学生時代を描くことで、
楽奈視点の解像度をアップさせ、自由奔放な楽奈の言動解析の手掛かりを与えた上で、
改めてTVアニメ版の内容を別角度も交えて振り返っていく。

よりMyGO!!!!!(まいご)サイドを重視する再編集が成される一方で、
祥子(さきこ)ら{netabare} Ave Mujicaサイド{/netabare} の視点は本総集編では多くがカット。

本作から新規で観ると、
皆がこだわっている祥子って何者?
CRYCHIC脱退?解散?何の話?
となりかねないファン向け作品なので、
鑑賞の際は、TVアニメ版で予習してから行くことを推奨します。


新規エピソードにより、楽奈にとって“一生”とは、“おもしれー女”とは、どういう意味を持つのか。
あの年季の入った楽奈のギターの経緯は。
ライブハウス「RiNG」の“野良猫”と言われる由縁ともなっている、
唐突にギター演奏で色んなバンドに絡んで来ては、颯爽と去っていく。
こうした奇行は何を意図したものなのか。

そして、なんで春日影やったのか。

興味深いヒント、解答が数多く得られて、本編シナリオがいっそう濃厚な人間ドラマとして深まりました。

私が衝撃的だったのが、楽奈の音楽観。
{netabare} 「ギターも気持ちも誰にも伝わらない。おばあちゃんだけ」{/netabare} という一言。
歌で心の叫びを伝えられると信じるボーカル高松燈(ともり)とは対照的。

これを踏まえて観る総集編後編も楽しみです。


【作画 4.0点】
アニメーション制作はサンジゲンによる3DCG。

一方で、エモーショナルなカットでは手描き作画も入れて繊細に心情を描く構成は、
新規映像でも同様。
楽奈のオッドアイも描き込んで来ます。

小学生時代の楽奈のキャラデザ。
より幼女になるのかなと思っていたらあんまし雰囲気変わらない“猫”のままでした。
ランドセル黒というのは楽奈らしいとは思いました。
幼少期の楽奈が祖母のギターに初期衝動を受けた時も黒猫のぬいぐるみ引きずってましたし。

楽奈の過去から、TV版総集編まで走り抜けると、
多分に抹茶スイーツテロ映像にw
この“野良猫”ずっと抹茶パフェとかケータリングのお菓子摘んでいた印象ですw


【キャラ 4.0点】
今回、楽奈視点から本編を再構成する上でキーパーソンとなるのが、
ポピパの『バンドリ』TVアニメシリーズで登場したライブハウス「SPACE」オーナー・都築詩船(つづきしふね)でしょう。

本作は『バンドリ』アニメ1期だけでは分からなかった、
都築オーナーの「SPACE」と“居場所”に関する想いと真意を深堀りする作品でもあります。

{netabare} 都築オーナーは「SPACE」を次代のバンドの踏み台となる通過点になればと運営していたが、
いつしか「SPACE」自体が聖地化し、そこでライブ出来れば栄誉だという目標(ゴール)となってしまっている。

人間にとっての“居場所”とは特定の場所に依存して得る物ではなく、
自分から積極的に広い世界に出て、色んな事を知り、様々な人と関わり、
次々と直面する物事を出会った人たちと共に“やり切って”いく中で、作っていくのが居場所である。

聖地化した「SPACE」という現状はオーナーにとっては本意ではない。
孫の楽奈は、中学生に上がるなり、学校にも行かず、誰とも関わらず、
「SPACE」という場所で“一生”ギターやると入り浸っている。
“一生”というのは、都度新しい挑戦を“やり切った”ことを重視するオーナーの人生哲学とは相容れない。
特定の場所だけが居場所だと執着し、「SPACE」だけ、ギターだけ、おばあちゃんだけと、どんどん世界が狭まっていく。
孫という実例も憂慮してこそ下した「SPACE」閉鎖の決断。{/netabare}

都築オーナーの真意には私も納得させられましたし、考えさせられました。


楽奈の母・要唄(うたい)、父・毅(つよし)も新登場。

『~MyGO!!!!!』は結末を決めて逆算してプロットを組む帰納法ではなく、
登場人物の心情に合わせた化学反応で紡いでいく演繹法で構築された物語であることは、TVアニメ版レビューでも触れた通りですが。

楽奈の父は英国暮らし、母もデザイナーとしてロンドンに夢を追うという両親キャラ設定もまた、
今回、総集編で新規エピソード作ることが決まってから考えた後付け設定というのが驚愕。

シナリオばかりか、サブキャラもメインキャラの心情等から広げていく演繹法で、何が飛び出すか誰にも分からない。
返す返す、来冬シナリオ破綻リスクも孕んで紡がれるであろう『~Ave Mujica』に戦々恐々ですw


【声優 3.5点】
本編総集編部分には新録はないと思われるので、そこは基準点の3.0点。

加点したいのは、新規映像の都築詩船役の小山 茉美(まみ)さん。
かつて『Dr.スランプ』アラレ役でキーーーン!などと疾走していた中の人は、
今や「ご相伴(しょうばん)にあずかります」とのセリフも板についた大ベテランとなりました。
そんな人生の大先輩が、“野良猫”楽奈には手を焼いて、また教訓も得る。
困惑した老婆のセリフ回しも味わい深かったです。

今やと言えば、楽奈の母・唄役の小清水 亜美さん。
こちらもキャリアが中堅からベテランに差し掛かる中、
母親ポジションでもしぶとく生き残る地歩を着実に築いています。

楽奈役の青木 陽菜(ひな)さんにも新録がありましたが、
小学校時代からセリフが短く少ないため判定が難しくw
ただ、{netabare} 家の軒下で「春日影」のメロディを口ずさみながらギター弾くカット{/netabare} は貴重でした。
「なんで春日影やったの!?」の良い伏線になっていたと思います。


【音楽 4.0点】
ED主題歌はMyGO!!!!!の新曲「過惰幻」
アコースティックなバラードという点はTVアニメ版ED「栞」と同様。
ですが歌詞世界は悔恨に満ちた本編を反映しており割と鬱。
「栞」みたいに今日も“ギスドリ”だったけど、EDで一服できると油断していると、
ボーカル・燈がポエトミーでチクチクと刺して来たりするので安心できませんw

因みに読み方は{netabare} “あだゆめ”{/netabare} だそうで。読めるかーーいw


【付記】
最近、中国でたいそうな人気だと言う『~MyGO!!!!!』
「なんで春日影やったの!?」は“ギスドリ”を象徴する印象的なセリフですが。
中国では、それ以上に、中国人のツボにハマってバズったらしく。
私には、中国人のツボって、アメリカンジョークのツボに匹敵するくらいよく分かりませんが。
何にせよ、ここがチャンスとばかりに、リアルバンドのMyGO!!!!!は先日、上海追加公演やってましたね。

本総集編前編も{netabare} 「なんで春日影やったの!?」で始まり「なんで春日影やったの!?」で終わる{/netabare} 中国市場にも訴求する再編集となっていると思われるので、
近年たまに見かける興行収入が中国市場>国内市場となる現象も起こるかもしれません。

投稿 : 2025/03/15
♥ : 11

計測不能 30 2024年度アニメランキング30位
劇場版「進撃の巨人」完結編 THE LAST ATTACK(アニメ映画)

2024年11月8日
★★★★★ 4.5 (4)
27人が棚に入れました
2023年にテレビ放送された「進撃の巨人 The Final Season 完結編」をブラッシュアップした劇場版。
無数の巨人を率いて、この世界の生きとし生けるものすべてを踏み潰す「地鳴らし」。
ミカサやアルミンをはじめとした残された者たちは世界を滅ぼそうとするエレンを止めるべく、最後の戦いに挑む。

計測不能 30 2024年度アニメランキング30位
映画ドラえもん のび太の地球交響楽(アニメ映画)

2024年3月1日
★★★★☆ 4.0 (7)
26人が棚に入れました
藤子・F・不二雄の生誕90周年記念作品で、「ドラえもん」長編映画シリーズ第43作。苦手なリコーダーの練習をしているのび太。その前に不思議な少女ミッカが現れる。のび太が吹く音を気に入ったミッカは、音楽がエネルギーになる惑星で作られた“音楽の殿堂”にドラえもんとのび太たちを招き入れる。ミッカは殿堂を救うため、一緒に演奏する音楽の達人を探す。ドラえもんたちはひみつ道具「音楽家ライセンス」を使い、殿堂復活のため演奏するが、世界から音楽を消してしまう不気味な生命体が迫る。

lumy さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

すごい凝ってる。

こどもと観に行きました。

ドラえもんはかなり久しぶりしたが、
最近のドラえもん映画は泣き要素が強めなイメージがあって、
ちょっと身構えてました。

観終わってみると、そんなに泣き要素押しではなく、
旧ドラえもん映画の雰囲気を感じる壮大な話でした。
SF要素が強めで、前半に伏線を張って、後半で回収する感じです。
(旧ドラえもん映画のブラック要素までは復活していませんw)

話の展開はけっこう良かったと思います。
コンセプトにワクワク感があったし、のび太の成長も見られるし、
ラストにかけてちゃんと盛り上がります。

音楽が題材の作品なので、映画館との音響との相性はばっちりですね。
低音がしっかり響くのは大事です。

一番びっくりしたのは、作画のクオリティです。
最初から最後までハイクオリティで、深夜アニメの高クオリティ作品に
負けないぐらい気合が入ってました。
こんなきれいな作画の映画を観て育つ日本のこどもたちは、
そりゃ目が肥えるわけですねw

ということで、大人の私は、思った以上に楽しめました。
一方、低学年の私のこどもには、少し話が難しかったみたいです。
お互いのバランスをとるというのは、なかなか難しいものですね。

投稿 : 2025/03/15
♥ : 8

タイラーオースティン さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

音楽をテーマにしたドラ映画

音楽を嫌いだった少年が、音楽を好きになるまでを描いた映画。

 「冒険」を主題にしたドラ映画が多かった中、本作では「音楽」が主題になっているという、それだけでも斬新さを感じますね。
 映画の強みとは映像だけでなく、音にもあるのだと実感させられたし、漫画という媒体の原作では生み出せない「映画ドラえもん」ならではの魅力を生み出す事にも成功してるのだから、大いに感動。
 実にシリーズ18作目(スタドラを含めたら20作目、旧アニメ版も含めたら40作以上)でありながら、未開拓の分野に切り込んでみせた作り手の発想力と冒険心に、熱い拍手を送りたいです。

 そんな本作で一番心に残ったのは、クライマックスの場面。
 地球上の音楽全てを結集させて敵を打ち払うという、とても盛り上がる場面なのですが、そんな中で、さり気無く「戦場でハーモニカを吹く兵士」という一コマを挟んでいるんですよね。
 恐らくは傷付いた戦友の為、束の間の安らぎを与えてるという、その姿を刹那的に描く演出には、本当にグッと来ちゃいました。
 主人公であるのび太達は、平和な日本で暮らしているけど、地球には戦争をしている人達もいる。
 そして、そんな場所でも人々は音楽を奏でているという、正に「地球交響楽」を体現した場面であり、文句無しで素晴らしかったです。

 序盤にて、のび太が風呂場で笛の練習していたお陰で地球が救われたとか、脚本の伏線回収も鮮やかだったし、ゲストキャラクターも魅力的。
 ロボットの語源になったというカレル・チャペックから拝借して、ゲストロボを「チャペック」と名付けるセンスにも、ニヤリとさせられましたね。
 幼女のミッカちゃんも可愛らしく「のほほんメガネ」と呼んで小馬鹿にしていた相手を、最後の最後に「のび太お兄ちゃん」と呼ぶツンデレ表現なんかも、幼い女の子ならではの魅力があって、良かったです。
 主人公のび太と同世代の女の子ではない、妹のような幼女だからこその可愛さが、上手く描けていたと思います。

 そんなミッカちゃんとの別れの場面を直接描かず、エンディングの一枚絵でのび太に抱き着く姿や、皆から貰ったプレゼントを部屋に飾ってる描写などで、断片的に伝えて想像力を刺激する形になっているのも、非常に御洒落。
 今井監督って「新恐竜」でもピー助との二度目の別れをさり気無く描いてみせていたし、こういった「さり気無い描き方で、大きな感動を生み出す」という手法が、本当に上手いですよね。
 「十八番」や「職人芸」と言って良い領域に達してると思います。

 「中盤でジャイスネ主役になる場面は、ちょっと浮いてるし、観ていてダレる」「ゲストキャラも多過ぎるし、個々に見せ場を与えようとして散漫になっているので、ミッカちゃんとチャペックの二人に焦点を絞っても良かったのでは?」等々、不満点も有るには有るんですが……
 主題歌も大好きなVaundyだし、映画にも合ってる曲だったしで、満足度の方が高かったですね。

投稿 : 2025/03/15
♥ : 5

計測不能 30 2024年度アニメランキング30位
死が美しいなんて誰が言った(アニメ映画)

2023年12月22日
★★★★☆ 3.9 (1)
26人が棚に入れました
ゾンビウイルスが日本全国に広まり、政府は治療可能な感染者だけを病院に送り込むことに。ウイルスに侵されている研修医のリカは16歳で天才詩人のレイと妹のユウナの看病をしていたところ、ユウナの症状が悪化。ユウナはゾンビ化して暴れ出し、リカとレイは恐怖と混乱に包まれた病院から逃れた。リカは海外へ逃げることを密航斡旋業者のタキシバと共に提案するものの、レイは故郷の家に帰ると主張。レイの家に向かったものの、そこで変わり果てた姿の妹から悲しい告白を受け……。

計測不能 30 2024年度アニメランキング30位
インサイド・ヘッド2(アニメ映画)

2024年8月1日
★★★★★ 4.1 (9)
25人が棚に入れました
ディズニー&ピクサー作品『インサイド・ヘッド』の続編。
転校した学校にも慣れライリーの頭のなかの、ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリの感情たちは、ライリーが幸せに暮らせるように奮闘する日々を送る。ある日、高校入学を控えたライリーの頭のなかで突然大きな謎の警報が鳴り響く。戸惑うヨロコビたちの前に、最悪の将来を想像してしまう「シンパイ」、いつも誰かを羨んでいる「イイナー」、退屈で無気力な「ダリィ」、モジモジ恥ずかしがっている「ハズカシ」の感情たちが現れる

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

ついに、私の愛したピクサーが帰ってきたぁ!!!。今年のマイ・ベスト確定かも。

 帰ってきた。ついにあのピクサーが帰ってきたぁ!。エンタメとテーマ性を両立させる傑作連発のピクサーが帰ってきた。


 正直近年の不調続きや、本作だと監督交代もあってそれこそ『シンパイ』もあった。それらを覆す、前作に勝るとも劣らぬ傑作でした!。


 ハッキリ言って前作も今作も完璧ではない。楽しいけど、ちょっとあっちにこっちに寄り道し過ぎとか。全部の感情に意味があったって納得させる展開とは言いづらいとか。


 しかし、それをら遥かに上回る魅力があるから私の大好きな作品なのだ。まず、キャラや世界観の見せ方が楽しくて実に嬉しい。説明なシーンでも全然退屈じゃない。今回は掴みからもう愛おしくてたまらなくてしょぱなからやられました。アニメでここまでアイスホッケーを上手く描いた作品も初めてかも。


 さらに、今作キャラが増え、描写力も増して彼等が絡んでるだけで可愛い+尊い!。特にやはりヨロコビとカナシミの2人(地味にダリィーも良い仕事してる)。今回は前作よりみんながより活きるようになっている。


 そして、本シリーズの特に秀でたポイント。ピクサーの傑作全体に言えることだが、見事なテーマ性が物語として結実する瞬間の圧倒的な力である。


 前作と本作はある意味ちかいテーマともいえる。前作では不要だと思ってたカナシミも意味があった。つまりヨロコビとカナシミは対になる存在だったというところに落着させるドラマが見事にエモーショナルと噛み合っていた(ビンボンの件も勿論)。


 そこで今回だが、シンパイもまたヨロコビが今までやってきたことと密接に絡みあっていた、と伏線回収させるのは実に上手い。ただ、前作に比べると一押し足らない感じではあった。そこを更により大人な領域に到達し、最後は大傑作『ソウルフルワールド』と同じ結論へと導くなんて!


 あんま書くとネタバレになるので全容は書きませんが、良い意味で本当の意味で大人な作品としか言いようがない。


 人間のキャラデザが微妙に所謂美少女ばっかからズラしてるのも、性的とは言わないでもロリキャラとして萌えの対象にしないで、自分の、或いは実際の子供たちのように描こうとする誠実さがある(すぐにポリコレが〜とか騒ぐ輩には一生わからん境地や)。


 とにかく帰って前作だけじゃなくピクサー映画をまた見たくてたまらない!。そして、本作もそういった過去の名作群に仲間入り決定。これは今年のマイベスト確実かも。

投稿 : 2025/03/15
♥ : 6

計測不能 30 2024年度アニメランキング30位
劇場用再編集版『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』(アニメ映画)

2024年5月10日
★★★★★ 4.2 (2)
24人が棚に入れました
2023年から配信された全4話で構成される同名アニメに新たなシーンを追加した劇場再編集版

計測不能 30 2024年度アニメランキング30位
劇場版BanG Dream! It’s MyGO!!!!!後編「うたう、僕らになれるうた&FILM LIVE」(アニメ映画)

2024年11月8日
★★★★★ 4.4 (6)
23人が棚に入れました
人気アニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』の劇場版長編アニメ第二弾。キャラクターとライブがリンクする次世代ガールズバンドプロジェクトBanG Dream!5組目のバンド『MyGO!!!!!』の結成秘話を描いた2023年放映のTVアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』を再編集した総集編の後編。
名前のないバンドの初ライブは大成功を収めたと思いきや、メンバーのひとり、そよがライブ後から音信不通になっていた。メンバーそれぞれが異なった思惑を抱え……。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

人間になりたい燈の足跡がより強調された総集編

【物語 4.0点】
TVアニメ8話~12話の内容などを再編集した総集編が100分程度。
本編後、残りの20分程度でミニフィルムライブという構成。

前編鑑賞時、私は、前のバンド・CRYCHIC解散の経緯などが語られなかったのは、初見振るい落とし?と捉えましたが、
TVアニメ3話にて、燈(ともり)一人称視点で展開された、CRYCHICの始まりと終わりのエピソードは、
今回の後編序盤に回されました。

幼少期より、世間とのズレから“人間になれない”との苦悩を抱えた燈。
かつてバンドを壊したのは、自分が人間になれなかったからでは?との罪悪感。
葛藤の心理描写が、TVアニメ序盤から、終盤の現行バンドの大破と再生のストーリーの至近距離に再配置されることで、
ドン底の絶望感及び、そこから這い上がるカタルシスが倍化される構成となっています。

{netabare} TVアニメ版10話にて、再び独りになった燈が、朗読ライブを始める件{/netabare} からスタートする本総集編。
燈が人間になっていく過程をより鮮明に捉えられる構成で、再び浴びる10話のあのライブ。
分かっていても涙腺に来るものがありました。


【作画 4.5点】
アニメーションはサンジゲンによるCGがメイン。

今回、劇場の大きなスクリーンで再見して感じたのは、
観衆の描写のこだわり。

むき出しの燈の言葉が、観客の脳天に突き刺さって、グラリと心が動かされる。
それが、微かに揺らぐ観客の身体の動き何かに細かく表現されていて。
燈の詩が、回を重ねる度にライブ会場に波紋となって広がる様が、
感極まる観客などの追加カットも交えて、こちらにも押し寄せて来る映像構成に、
私も目頭が熱くなりました。


【キャラ 4.0点】
前編レビューにて「“野良猫”はなんで春日影やったのか?」とタイトル掲げながら、
投げっぱなしのレビュタイ詐欺状態wになっているのが心残りなので、
ここではMyGO!!!!!のギター・要楽奈について掘り下げてみたいと思います。

{netabare} 前後編、新規カットも含めて楽奈視点を共有する中で、
場所に囚われない“居場所”としてのバンドとか。
実際には内心で凄く葛藤して歌を吐き出していた燈が、
楽奈には、つまらないしがらみに囚われず、一生とか言っちゃう、“おもしれー女”に映った。
この辺りは想定内。

が、気まぐれに練習来たり来なかったりする楽奈が、
あれでバンドに参加したつもりになって、祖母らにも嬉しそうにメンバーは5人などと話していたのは、
価値観の違いに驚かされましたし。

何より意外だったのは、ライブハウス「RiNG」で幾度も披露したギターソロから、
ハードロック趣味と思われた楽奈が、
アコースティックな穏やかなメロディを嗜好するという件。

「春日影」やったのは楽奈がやっと居場所を見つけた歓喜とか、おもしれーから以前に、
単純にこういう曲が好みだったという部分もあったというのは、個人的に意表を突かれました。

思えば楽奈は、春の陽気に誘われて、気ままに猫と戯れにいくような、穏やかな少女。
「春日影」がむしろ楽奈の素に近かったという事なのかもしれません。{/netabare}

前後編通じて楽奈の生態研究も捗った有意義な総集編でした。
後編でも相変わらず食ってばかりでしたがw
飲食物をリード代わりにして“餌付け”して繋いでおかないと、何処にでも行ってしまう。
まったく世話の焼ける“野良猫”ですw


【声優 3.0点】
後編にも新規カットはあり、
フィルムライブでも高松燈師による{netabare} 雨と匂い{/netabare} に関する有り難い講話もあったりしますが、
前編ほどの新規収録量はないので、基準点に据え置き。


先日、雑誌『声優グランプリ』での高松 燈役の羊宮 妃那さんのインタビューにて、
燈のボーカルを作り上げるために、よりボイスに地声を入れるなど、
一度、自らの声を“捨てて”再構築したというお話を見かけて衝撃を受けました。

正直、燈の声と歌については、個人的にパンチ力は今ひとつとの印象でした。
が、キャストは柔らかい声質でも、バンドサウンドに埋もれないように、
相当、試行錯誤して、あの声を作り上げて来たと知り。

今後は、そういう裏の努力も踏まえた上で、彼女の声と歌を受け止めようと思いました。


【音楽 4.5点】
ミッドランドスクエアシネマのサウンドシステム“鼓動”採用スクリーンにて鑑賞。

{netabare} 愛音(あのん)の挑発を受けて叩きつけられる、{/netabare} そよさんの紅茶カップの音まで良く拾うw繊細さはドラマパートでも重宝しますが。
同サウンドシステムの真骨頂は3チャンネルに強烈な重低音を送り込むことによる、音楽シーンの臨場感の最大化。

朗読劇も含めて、ライブシーンが多い部分の総集編+フィルムライブ。
せっかくなので音響にこだわった映画館での鑑賞をオススメします。


ED主題歌はMyGO!!!!の新曲「歩拾道」
漸次前進していくミドルテンポの良曲。
スローなアコースティックナンバーか、ハイスピードなパンクロックかで二極化される傾向にある同バンドの楽曲群の中で、
中間を取って、淀みのないセットリストの流れを作る曲として、
ライブでも案外、重宝する一曲になるかもしれません。

因みに曲名は{netabare} 「スピード」{/netabare} と呼ぶそうで。
読めるわけがないw


エンドロール後のフィルムライブ。
尺はおまけ程度の“ミニ開催”。曲も{netabare} 3曲{/netabare} だけですし。
が、個人的に満足度は、とても高かったです。
特に初手で{netabare} 「処救生」{/netabare} のイントロが流れた時は、本編含めて一番興奮しました。

ファンが、フィルムライブ目当てで劇場に足を運ぶ価値は十分あると思います。

投稿 : 2025/03/15
♥ : 6

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