ウェスタンガール さんの感想・評価
4.4
ジブリ、その先へ
原作はハウルの作者、ダイアナ・ウイン・ジョーンズ。惜しくも亡くなられている為、未完であり遺作である。
この為、続編が作られる事はないはずだ。
良くも悪くも、宮崎駿の野心、その発露であったジブリが、クリエーター達が、くびきを外れ“俺たた”を宣言する意味で、これほどふさわしい作品は他に無いと感じるのである。
そこには、過去の栄光としがらみの中、毒を吐き続ける老いた“魔法使い”(悪口ではなくリスペクトである)が確かにいた。
ジブリファンの私でも、その魔法力の衰えを感じ、マスターに徹する方が良いのでは等と、失礼なことを思っていたのである。
そんな中での今作、テーマがわかりやすい。
対立ではなく籠絡なのだ。
まことに痛快である。
かつての仲間達、大塚康生や高畑勲張りの動きや演出、もちろん父親譲りの間の取り方など、そこには、ジブリをジブリたらしめる雰囲気、あるいは風土のような感覚が醸し出されており、そこかしこに散りばめられていることが見て取れる。
しかし、それらを見事に昇華した上で、3DCGアニメとして、キャラ達の個性を、その特徴的な仕草を、一本の映画として完成させた監督の力に拍手を送りたいのである。