けみかけ さんの感想・評価
4.1
令和の新海誠あらわる!?牛乳が好きという情熱だけでたった1人の初心者が1からアニメ映画を作ってしまったぶっ飛びヒーロームービー!
プロのデザイナー、イラストレーターとして活動する傍ら、牛乳が好き!
牛乳の魅力を広めたい!
と牛乳を纏わる創作を続けるミルクマイスター高砂が、アニメに関する知識や技術は全くの初心者ながらたった1人で監督、脚本、キャラデ、作画をこなした47分の中篇映画
牛乳嫌いな少年、醍醐タケルは祖母が暮らす孤島に遊びに来たが、祖母の家には"ケビン"と名乗る牛乳パックの姿をした謎の生物が住み着いていた
困惑しつつもタケルとケビンは交友を深めていく
ケビンはタケルの牛乳嫌いを克服させようと、半ば強引にあの手この手で牛乳を飲ませようとするが、タケルは牛乳を必要以上に嫌悪している
ケビンは島に同じく生息している牛乳パック型の仲間達にも協力を仰ぐが、実は島の少年少女達と牛乳パック型生物達は密かに"ある目的"で結託をしていた
実は島の牧場の乳牛を襲う、謎の宇宙人のアブダクションから島の牛を守るのが彼等の密約だったのだ・・・
まず「牛乳が好き」という理由だけで1人でアニメを作ってしまうとかとても正気の沙汰ではありませんw
しかも監督にとっては初アニメ作品で、基本的なノウハウを持ち合わせていないにも関わらずちゃんと完成まで漕ぎ着けた事だけでも十分賞賛に値すると思います
オープニングでいきなり伊藤つかさの「お願いスピルバーグ」が流れ出すのも監督の趣味だと言うのですが、監督の実年齢とその趣向のギャップに度肝を抜かれます
さらにお話の内容がほぼパロディギャグ
さらに後半は牛乳パック型キャラと『エヴァ』の使徒や『ネオランガ』みたいな土偶型の何考えているか読めない宇宙人との怒涛のバトル、とやや鑑賞者を置いてけぼりにするテンポの良さ
このバトルシーンはアメコミヒーロー映画、あるいは『ヒロアカ』的なスタイリッシュかつスピーディーなもので、とてもアニメ作画初心者の作品とは思えないクオリティです
牛乳飲んでるからカルシウムで骨が強化されていて、普通なら死んでしまう様な攻撃にも耐えられる!とかw
ラムスデン現象(ホットミルクの表面に出来る膜)で武器を強化して戦う!とかw
牛乳要素をちゃんと入れているのも面白い
ケビン達が最後の手段の捨て身の攻撃として語るギャラクシー作戦、だけはなんの事か劇中では全く説明されなかったのですが、ミルキーウェイ(天の川)の語源でもあるギリシャ語のミルクの道という意味のgalayi'asが転じたギャラクシー(銀河)とケビン達が宇宙生物である事を暗喩する意味が込められてるそうなw
極め付けは監督が音響に関する知識が全くなかったので、知り合いづてで声優の榎本温子さんというまさかのビッグネームを紹介してもらい、その氏がクオリティをマネジメントするという作品規模とは反する豪華さ
にも関わらず、キャストは既に公募で決定していたので榎本温子自身はキャストとしては参加してないというのがミソw
最初は音響監督として呼ばれたそうですが、流石にキャストとしての経験しかないので、と今回はマネジメントに集中したそうです
実質的に音響制作ですねw
下北沢トリウッドでのスニークレビューという形で初演されたのですが、わっちも含めどこからか噂を聞きつけた人々で劇場は賑わいましたw
個人制作も昔ほど障壁が大きくなくなったと言われる昨今のアニメ業界ですが、それでもやはりたった1人で、しかもかなりクオリティの高い作品を完成させる事が出来る監督の情熱は心の底から素晴らしいと思いますb