けみかけ さんの感想・評価
4.1
大須が沈んだ!下北沢が消し飛んだ!!コロナ禍が生んだ史上最低の問題作!!!カブトボーガーは必見!!!?
『マウスマン』シリーズ等で知られるインディアニメ監督のピエール伊藤の最新短編映画
同時上映はコロナ禍に影響を受けてビデオチャットでしか互いを認識してない少年達のボーイミーツガールを描いたディストピアSF『#セカイが滅びる前にキミに会いたい』
この前座として上映される『セカマエ』が(内容の精巧さはともかく)中々鬱屈とした作品でして、その反動を大きくつけた状態で直後に始まるのがこの『ケンダマスター拳』
精一杯肯定的に言えば破天荒な作品
オブラートに包まずに言えば“2021年、最も頭の悪い映画”です
まずタイトルが「ケンダマスター」なのでけん玉を題材にしたホビーアニメなんだろうと思いきや、キャッチコピーが「ケンダマを殺すため地獄から帰ってきた」とあります
ケンダマスターなのにケンダマを殺す???
なにやら『ニンジャスレイヤー』と同じ匂いがしますが観終えた後にはナルホド、もうこのキャッチしか考えられないなwと、至極納得するはずです
開始早々短編映画にもかかわらず提供バックや実写CMが挿入され「映画だから提供バック要らない」とのセルフツッコミも虚しく、淡々と鑑賞者を置いてけぼりにしてくれます
この世の全てがけん玉で決まる、と言わんばかりの世界観とストーリーが繰り広げられますが、純粋にけん玉の技で雌雄を決するワケではなく、けん玉で相手を殴り合う、という良い子に悪影響を与えかねないとてつもなく酷い勝負の仕方なのには開いた口が塞がりません
全52話のホビーアニメを意識してるらしく、冒頭で「第1話」とナレーションが入りますが後半パートでは早くも「最終回」が描かれ、文字通り置いてけぼりのすっ飛ばしを喰らいます
うーんこの支離滅裂な感じ、どこか既視感がある・・・と思いましたが『カブトボーグ』のパロディキャラが登場して合点がいきました!
まさにコレ『カブトボーグ』リスペクト作品だったわけですねw
作品内では『マウスマン』でも監督が意識していたと仰っていた『エヴァンゲリオン』のパロディシーンも度々挿入されるので、『エヴァ』と『カブトボーグ』を同列に語ったという事はこの作品の最な特徴たる(汚)点で間違いないでしょう!
内容がヤバイ上に画面のクオリティもかなり低い反面、キャストの芝居には物凄く力が入っていてその雲泥の差のギャップにも笑いが止まりません
それもそのはず前田剛、味里、岡本麻弥といったインディアニメである事を疑う豪華な声優陣が投入されています
そこに全力を注いだのか・・・と大いに呆れ、、、いえいえ褒め称えたいですw
ちなみに前田剛さんと言えばカブトボーガーの間ではロイドさんの役で有名ですねw
散々ボロクソに言ってますが作画のメンドくさそうな動きのカットは潔くCGで代用しているのは工夫が凝らされていてピエール伊藤監督、自分で言うほど頭悪くはないじゃないか・・・と感心しましたw
と、思ったものの舞台挨拶で「結局何故けん玉なのか?」については監督自身も分からないらしいので、やっぱりこの監督アタマオカシイと感じましたねw
監督の目標は新海誠監督のように下北沢トリウッドに行列を作ることらしいのでw観に行ける環境の方には強くオススメ致します