剣道部 さんの感想・評価
3.0
絵と歌を、独自の解釈で楽しむアニメ
[文量→中盛り・内容→考察系]
【総括】
日本アニメ(ーター)見本市の作品群。監督は、「少女革命ウテナ」シリーズの作画監督などで知られる、「林 明美」さん。
セリフはほとんどなく、絵と音楽だけで展開していく、PVのようなアニメ。
音楽を担当したのは、世界最大のアマチュアバンドコンテスト「エマージェンザ2012」で優勝した「Avaivartika」というアーティストさん。本作の為に書き下ろした「SKY5」という曲ですが、独特の力強い歌声と伸びやかな曲調で、かなり良い曲だと思います。
本作は、他の日本アニメ(ーター)見本市の作品に比べるとわりとシンプルです。小難しい理屈をこねくり回すより、良い歌と良い絵にひたり、雰囲気で楽しみ、前向きにがんばっていこうと思えるような良アニメだと思います。
【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
舞台はおそらく、近未来の日本。基本のストーリーは、「夢をもって田舎から上京した主人公(10代後半~20代前半位の女性)が、夢の実現のために努力しつつも、生活の糧を得るためのアルバイトとの両立に疲れ、夢を諦めかけている」というもの。それでも、「前向きに頑張っていこう」と決意する主人公が好印象です。
監督の林さんは、「アニメとは絵で解釈していくものだから、小道具や表情は大切」と語っています。実際、この作品は一時停止などしながら、こまかく見ていくと面白いです。
例えば、主人公の出身は多分、青森県(か長野県)。実家から送られてきた荷物にリンゴがあったり、(東京?の)スノードームを懐かしそうに眺める表情から想像ができます。
それに、主人公の夢は多分、ファッションデザイナーかなにかなのでしょう。(忙しいからこそ)乱雑になった部屋にはファッション雑誌が広げられているし、指に巻かれた絆創膏は裁縫を連想させ、よ~く見ると、パソコン回りのファイルに貼られた付箋には、「TIFFANY」や「PRADA」など、有名ブランドの名前が書かれています(デザインでもファイリングしているのでしょうか)。
こんな感じで、小物や表情、音楽や歌詞などから、自分なりの解釈や想像を広げていくには、なかなか良いアニメだと思います。
{/netabare}