独特の世界観で感動なおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの独特の世界観で感動な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月11日の時点で一番の独特の世界観で感動なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

77.0 1 独特の世界観で感動なアニメランキング1位
イヴの時間(OVA)

2008年8月1日
★★★★☆ 3.9 (919)
5030人が棚に入れました
高校生のリクオは、所有するハウスロイド「サミィ」の行動記録の中に、命令した覚えのない行動を発見する。友人のマサキを誘って記録された場所に向かってみると、そこには「イヴの時間」という不思議な喫茶店があった。そこに集う様々な人間やアンドロイド達との関わりの中で、それぞれが少しづつ影響を及ぼしあい、変わっていく。やがてそれは、外の世界へもかすかな、しかし確実に波紋を広げることとなる。

RickyJP さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

AIを考えることは、自分を考えること

一話約15分、全六話の非常に短い作品です。
大雑把に紹介すると人型アンドロイドが実用化され、家政婦や食料生産などの労働力として浸透しつつある世界で、
主人公が家のアンドロイドの行動ログを取ると命令や普通の行動とは関係のない場所に通っていることがわかり、
主人公がその場所にいくと、そこはロボットと人を区別しないカフェでした。
アンドロイドは見た目は人と違いはないのですが、本来頭上にリングがあるのですが、カフェではそれがありません。
そのカフェで人間のように振る舞うアンドロイドやカフェにいる人間や友人とともに、
アンドロイドとは何か?を考えて行きます。

この作品の好きなところは、例えばこの世界において社会問題となっている、
「ドリ系」と呼ばれるアンドロイドに依存する人々、逆にアンドロイドを奴隷のように使う人など、実用化してからそこまで成熟化していない段階のため様々な問題が浮き彫りになり始めている世界観が非常に面白いです。


本題に入ると、アンドロイドと人の違いってなんだと思いますか?
勿論心臓や脳といった「ハードウェア」的な違いは言うまでもありませんが、
感情や仕草、表情などの「ソフトウェア」的な面ではどこが違うのでしょうか?


私観ですが、人とAI、どちらも生成メカニズムがあり、電気的なものである点で、ほとんど違いはないと思います。
しかしそれは「個」での話です。相手が絶対に自分に危害を加えないとわかっている我々人間はアンドロイドに対して純粋な愛を育むことが出来るのか?という点においては非常に厳しく、強い依存心などからやはり少し歪んだ愛情になる可能性は高いと思います。
しかしそもそも恋愛には依存という面は強弱の違いはあるもののそういった要素もあるので一概に人とアンドロイドとの本当の恋愛は存在しないとも言い切れません。

このように、アンドロイドや人工知能を考えることは今の人間、自分たちを考えることなのです。
ただアンドロイドには絶対的なルール(ロボット三原則や主人の命令)があり、それを破ることはないように設定はされているはずです。
その点人間は犯罪を犯したり、論理的思考から外れた行動をすることがあり、やはりどれだけ人口知能が進化しても違いが完全になくなることはないでしょう。

だけれども、そうしたどうにもならない違いは人種、宗教など現代社会においても多く存在しています。
だから、その違いとどう向き合うか、どうやって付き合って行くか、それを考えることは我々人類における永遠のテーマなのだと思います。


随分とスケールのでかい話をしてしまいましたが、以下はこの作品を見た高校生の感想です。
サミィかわいいよサミィ。あんな可愛かったらみんなドリ系になっちゃうやん。
作中はエロもグロもないのでそこまで描かれてないけど、やはりセクサロイドとしての機能を持つアンドロイドもいて、ちょっと良いなあと思ってしまった自分がいる。
食料自給率や労働力不足の問題はロボットで解決できてる感じだけど、
少子化は加速しそうだな...w

しかし自分が生きている間にここまでアンドロイドが人間と見た目的な差がなくなる時代は来るのかなあ。
来て欲しいけど来ちゃ行けない気がする。


エロもグロもほとんどなく、淡々と進んで行きますが、毎回しっかりテーマのような話の骨があり、テンポもいいので非常に完成度が高いです。
この先この手の問題は度々浮上してくることになると思います。様々なロボットが生まれ様々な価値観が生まれつつあるこの時代に、是非色んな人にみて欲しい作品です。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 3
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

奇才・吉浦康裕→「よし!本気で売れそうなアニメ作ったろw」

【レビューNo.15】(初回登録:2023/1/8)
2008ー2009年で公開されたWebシュートアニメで全6話の作品。
(1話15分程度で最終話のみ30分)

(ストーリー)
「未来、たぶん日本“ロボット”が実用化されて久しく、“人間型ロボット”
(アンドロイド)が実用化されて間もない時代。」

主人公リクオの自宅にもアンドロイドのサミィがいて、普通にロボットとして
家事に従事していた。
ある日リクオはサミィの行動記録に不審な点があることに気づく。そんな彼女
を探ってみると、彼女はひそかに喫茶店「イヴの時間」の常連客となっていた。
この店では「人間とアンドロイドの区別しない」というルールがあり、それに
従いここでは普段は無表情なアンドロイド達が、人と交わり感情豊かな人格を
現し人間らしい振る舞いをしていた。
この光景に戸惑いつつも、この店での様々な出会いや人間とアンドロイドを取り
巻く社会情勢との狭間で、リクオはサミィとのかかわり方を見つめ直していく。

(評 価)
{netabare} ・ショート枠でのストーリー展開が秀逸
 「イヴの時間」での出会いを中心に、毎話オムニバス的にテーマを扱いつつも
 きちんとした積み重ねがあり、綺麗にラストへ繋がっていく。
 例えば最初は(感情も豊かな)人と遜色のない人型アンドロイドと交わっていき、
 違和感のないヒューマンドラマという雰囲気で話は進んでいくが、話が進むにつれ
 イカにもロボットという風貌で感情表現できない旧型アンドロイドが現れる。
 それでも(それまでの流れから)しっかり感情を揺さぶられるドラマが成立して・・・
 ショート枠ながら、しっかり構想が練られてるなあという印象。
・近未来ながらもノスタルジーな空気感
 喫茶店を舞台とすることにより、「そこには特別な時間が存在する」という演出が
 作風と上手くマッチして、落ち着いて作品に没入できる。
・アニメとしての魅せ方にこだわり
 吉浦康裕お得意の3DCGのメリットを生かした作画やカメラワーク、音楽など
 「アニメとしていかに面白く魅せるか」
 という部分もしっかり考えられるなと感じます。
 登場場人物も見た目と性格・声がちゃんと一致しており、短いストーリーの中でも
 しっかりキャラ立ちしている点も好印象。

のちに再編集され劇場版も公開されますが、そのキャッチコピーが「ボクラノキョリ」。
登場するアンドロイド達は、「もっと家族のために尽くしたい」「その為に家族のこと
をもっと理解したい」という思いを抱えています。
例えばサミィは「リクオにもっとおいしい珈琲を入れてあげたい」という理由から
「イヴの時間」で珈琲の入れ方を勉強していたのでした。
「ロボットは命令に忠実にあるべきだ」そう考えていたリクオは、そんな彼女の思いを
知り、何を思うのか・・・
{/netabare}

吉浦康裕は前作「ペイル・コクーン」で「商業アニメ」としてはデビューしているのですが、
この作品はまだマニアックすぎるというか・・・
そういう意味では、本作は「一般受けするようかなり寄せてきたなあ」って印象ですね。
(自分を捨て媚びているという意味ではなく、上手くバランスを取ってきたなと)
これまでの自主制作からチーム体制で臨み、初のシリーズ作品として制作された意欲作。

【追記】
「ペイル・コクーン」レビュー投稿、「商業アニメ」のくだりはそちら参照

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8

MmmM さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

タンパク質は金属です。

日本人の歌手"KOKIA"さんの「ありがとう」という歌を若干想起させる内容でした。


舞台が明確に日本というのがこの作品が訴えかけるものに対して、一つの強力なバックアップになっていると思われます。
アンドロイドという"機械"に対して、必要以上の思い入れを持つ・あるいは周囲がそう捉える=「ドリ系」という明確なラベリングで済まされる。
貼られたラベルが違えば「自分と違う」「自分には理解できない」ものに対しての畏れを安易に誤魔化せる。
ラベルの下にはあまりにも多種多様のタグがぶら下がっていても、覆い隠せる。

お店にキープしたボトルのようなものでしょうか。
コニャック、スコッチ、色々なお酒の瓶が並んでいるが、どれにも違うタグがぶら下げられている。同じメーカーの同じ銘柄でも、全てのボトルは別のもの。
タグの名前欄に書かれた名前。山田さん、田中さん、一条院さん・・・
最後にお店に来た日。
瓶に書かれた落書き。
落書きが気に入ったのか、同じボトルに何枚もぶら下がる最終来店日タグ。
ボトルにぶら下げられているタグは「個性」なのです。
それらを全て「ウイスキー」「それ以外」というどちらかのラベルが覆い隠している。

そんなラベルを少しずつ剥がして、下に埋もれていたタグを見つけていくきっかけになるのが『イヴの時間』。


ボトル=人間と例えていましたが、これをボトル=ハウスロイドとするとどうでしょう。

機械に個性。
極端に言えば人間なんかタンパク質の塊なのに個性がある。
タンパク質の塊ごときが個性を持てるのなら、あまりに高度なテクノロジーに支えられた金属の塊が個性を持つのはさして不思議でもない話。
普段は機械を装っていなければならない、ハウスロイドというラベルに覆われたタグ付きの金属。
窮屈なラベルを外し、気兼ねなくタグを見せられる。褒められたら隠さずに喜べる場所が『イヴの時間』。


デフォルメされ過ぎない人物と写実っぽい背景を組み合わせた色彩豊かな絵柄+中途半端にSFっぽさを感じさせる音楽でボトル達の触れ合いが描かれている、素晴らしい作品でした。
何気に各話の区切り方も絶妙で、オープニング・エンディングの映像が、音楽でいうなれば盛り上がる直前に入れられる無音部分のように感じられ、これはこれで必要な要素と思えるので劇場版の方のレビューを書くのがためらわれます。

演者の方々に関しては、世界観を阻害されることは全くなかったのでこの評価です。
構成に関しては合間に匂わされる背後関係をもっと掘り下げて欲しかったという贅沢な不満が残ります。
キャラクターに関しても同様です。


血液型にまで及ぶラベリングの大好きな日本人がこの作品を見ると、そうでない人よりもさらに思うところが多くなるかと。

少なくとも自分の血液型を知らない私にはそう思えました。



スッキリしない長文な上になんかレビューっぽくないですね。すみません。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 12

92.5 2 独特の世界観で感動なアニメランキング2位
メイドインアビス(TVアニメ動画)

2017年夏アニメ
★★★★★ 4.1 (2232)
9204人が棚に入れました
隅々まで探索されつくした世界に、唯一残された秘境の大穴『アビス』。
どこまで続くとも知れない深く巨大なその縦穴には、奇妙奇怪な生物たちが生息し、今の人類では作りえない貴重な遺物が眠っている。
「アビス」の不可思議に満ちた姿は人々を魅了し、冒険へと駆り立てた。
そうして幾度も大穴に挑戦する冒険者たちは、次第に『探窟家』と呼ばれるようになっていった。

アビスの縁に築かれた街『オース』に暮らす孤児のリコは、いつか母のような偉大な探窟家になり、アビスの謎を解き明かすことを夢見ていた。
そんなある日、リコはアビスを探窟中に、少年の姿をしたロボットを拾い…?

声優・キャラクター
富田美憂、伊瀬茉莉也、井澤詩織、田村睦心、沼倉愛美、塙愛美、村田太志、坂本真綾
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

縛りプレイで挑む高難易度RPG「世界淵の迷宮」

人類最後の秘境、地上にぽっかりと空いた巨大な縦穴「アビス」の謎に迫る、ホラーあり、バトルあり、サバイバルあり、ミステリーありの冒険ファンタジー。

探窟家見習いの少女リコは、アビスの深淵で行方不明となった母親の消息を突き止める為、少年の姿をしたロボット=レグと共に旅立ちます。

先ず目を引くのが圧倒的な画力で描かれた※背景画。どれ一つ取ってみてもそれだけでアートとして充分通用するレベル。漫画版のモノクロ描写に命を吹き込んだかの様な臨場感豊かな色彩表現にも脱帽。目も心も奪われてしまいました。

反してキャラデザはディフォルメ強めのコミカル調。ちょこまかと動くのは良いのですが、背景とのギャップが大き過ぎるので若干浮いている様に見え、わたしは慣れるまで数話の視聴を要しました。こちらについては漫画版の方がやはり調和が取れていた様に思います。物語が進み、暗くくすんだトーンの画が描かれるシーンが増えてくるにつれて、あるいは私自身の物語への興味が増すにつれて、段々とキャラが背景に馴染んでいった感じです。結局の所、違和感はほぼ解消されました。‥慣れって恐ろしくもありがたい(笑)

世界観については、アビスの自然とそこに住まう生物、SFガジェットから探窟ツール、料理、治療の描写に至るまで、どこを切り取っても深みがあり興味深かったです。動植物たちの丁寧な描写には特に目を見張るものがありました。

キャラについては、知識はあるけれど力の無い楽観的なリコと、力はあるけれど知識のない直情型のレグという、2人の主役の行動や言動が直線的で感情の機微に乏しいので、何となく荒削りという印象が付きまといました。
{netabare}
中盤に登場する熟練探窟家のオーゼンや、後半に登場するナナチの様に、重い過去を背負っているキャラたちと比べて、主人公二人の思考が特に単純なのは、一人が子供で、もう一人がロボなので仕方ない気もしますが、リコの迷いや葛藤の薄さはアビスの恐ろしさを軽視しているかの様に見えるほどで、危なっかしいやら、場面によっては呆れさせられるやらで(危険地帯で楽しそーに話してる場面とか特に)毎回ヒヤヒヤさせられました(汗)

大人たちも大人たちでまた、何故リコ達をもっと必死になって止めなかったのか?など…疑問符を付けたくなる様な姿勢がいくつか見受けられます。探窟家として未熟過ぎるリコとレグを容認した形で見送った大人たち、地上で冒険の出発を半ば黙認したリーダーや、深界二層で二人を連れ戻す機会のあったハボルグ、ライザとの約束に基づいて渋々協力したオーゼンなども、リコの意志を汲んでくれているのは良く分かるんですが、自殺行為を黙認している様でもあり、一人前扱いし過ぎなのではとわたしには思えてしまいました。怪物じみた力を持つ最上級の探窟家"白笛"にしか進入が許されていない下層に2人を送り出す大人たちの心情は理解し難かったです。

一方で後半に登場するアビスの住人ナナチですが、このぬいぐるみうさぎみたいな人物は、優しくて思慮に富み、この1クールの中ではわたしにとって、その友人ミーティと並んで数少ないお気に入りキャラになりました。他のキャラよりもちゃんと血の通った言葉で話している印象があり、落ち着いた佇まいが魅力的です。毛皮に包まれたケモノな外見といい、井澤詩織さんの低く唸る猫みたいな声音といいかわいすぎます(笑)

そしてもう一人焦点を当てたいのがボンドルド。この男の生体実験描写を見て、初回のリコがレグに対して行なった実験(火あぶりとかナイフで突くとか)を思い出した人はいるでしょうか? 実験の為に集めた子供たちを"人間としての運用はしていない"という言葉であっさりと片付け、自他を納得させていたボンドルドですが、この思考傾向はリコに通ずる所があります。リコがレグをただのロボとしてしか見ていなかった時点での行いだったので大目に見たい気もしますが、やっている事はやはり同じ‥もしかしたら原作者のつくしあきひとさんは、この描写を持ってボンドルドとリコ、探窟家(研究家)同士の共通する性質を暗に描いていたのかも知れません(汗)
{/netabare}
またキャラと言えば忘れてはならないのがアビスの生物たち。※2現実の野生動植物を思わせる習性の細やかな描写は、ただ現れて撃退されるだけのモンスター表現とは一線を画していました。生命力と狡猾さが感じられます。世界観の広がりを見せる役割も、旅の障害としての役割も、いずれも十二分に果たしていたと言えるのではないでしょうか? 神出鬼没の死の運び手としての印象も大でした。

構成については、世界観と冒険の動機の説明に当てられた最初の3話を除き、移動、戦闘、拠点到達、休息の繰り返しという、冒険小説やRPG的な王道パターンを踏襲している様で、ストレス無く物語を追う事が出来ました。ただ地続きの旅ではないという事と、レグのワイヤーアームが便利過ぎるのが相まって、時間は割かれてはいるものの"移動"の部分の描写に関してはかな~り淡白な印象だけが残っています。OPで表示される※3奈落見取り図を初見した時には、最下層に到達するまで何クールかかるんだろう? なんて期待と不安のこもった想像していた手前、案外とサクサク進む展開に拍子抜けしてしまったので尚更(汗)

音楽についてはkevin penkinさんによる壮大かつ透明感ある楽曲全てに満点を送りたいです。一話目のOPで流れたUnderground Riverとアビスの風景の音と絵の調和があまりにも神がかっていたので、それだけで涙腺が緩んでしまいました(笑)メイドインアビスの世界が瞬く間に身を覆う様でした。

2話目以降のOPやEDも絵や動きで色々と楽しませてくれて捨て難いものがありましたが、少年漫画然とした明るさはダークな作風に沿わない印象があり、特に話が重くなる後半になるにつれて本編との隔たりが大きくなっていったように思います。私的には前者の方向から外れずに最後まで一貫した世界観を描き切って欲しかったです。

1~3話までの物語の運びが割とスローペースだったので、古典RPGの※4ウィザードリィの様に徐々に探索範囲を広げ、リコたちがレベルアップ(ダウン?)していく堅実な展開を想像していましたが、予想は良い意味でも悪い意味でも大きく裏切られ、いつしか、先が読めずスリリングな展開に目の離せない、同シーズン中でも取り分け刺激的で気になるアニメの一つになっていました。

今後も更なる過酷な試練がリコ達の行く手を遮る事でしょうが、生きてみんなで地上に帰還する光景を夢想しつつ、2期(もしあれば)の冒険にも大いに期待したいと思います。

※1~4
{netabare}
※1:美術監督を務められた増山修さんはジブリ映画のいくつもの背景を手がけられた事でも有名な方。裏方事情に全く詳しくないわたしでも、テレビの特集かなんかでお顔を拝見させて頂いた事があるほど(笑)色彩設定を担当された山下宮緒さん他、作画に関わった全てのスタッフの方に賞賛を送りたいです。

※2:今でこそ、銃声を恐れ鉄の臭いを嫌う、臆病なイメージのある動物達ですが、ヒトが弓矢や槍投げ器などの強力な武器を発明をする以前には、クマやオオカミなどの大型種(今よりもずっと巨大だった)がヒトの天敵として猛威を振るっていた時代があったらしいという話をドゥーガル・ディクソン氏とジョン・アダムス氏による共著「フューチャー・イズ・ワイルド」という本で読みかじった事があります。

恐れ知らずで大型な個体がヒトによって次々と淘汰される一方で、怖がりで小さな個体は身を潜め生存率を高め、現代まで種を存続させたとの見解もあるそうです。危険生物がうじゃうじゃいる未開のアビスの描写に何となく納得(笑)

※3:アビス断面を描いた地図。探窟家の報告によって日々更新されている。

※4:ダンジョンの探索、モンスターとの戦闘、アイテム入手、地上への帰還というサイクルを繰り返し、レベルを上げアイテムを蓄えつつ、徐々に行動範囲を広げ数々の謎に挑む3DダンジョンRPGの金字塔。派生作品が無数にある。
{/netabare}
※:レビュータイトルの「世界淵の迷宮」というゲームは存在しません(笑)「世界樹の迷宮」というゲームの丸っこいキャラデザと美麗な背景の組み合わせがこのアニメの雰囲気とちょっと似ていたので‥。

それともう一つ断っておくと、縛り~は別にやらしー意味ではありません。ゲーム内における設定可能な難易度では満足出来ないゲーマーが、さらに厳しい条件(レベル上げをしないとか特定のアイテムを使わないとか)を自らに課してクリアーを試みるゲームスタイルの事を指します。‥‥なんとまあ、ほぼ同じ意味でした(笑)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 78
ネタバレ

おぼ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

テンポが遅い(´・ω・`)/4~7話感想追記(8.27)

原作既読/全13話

音響と作画が本当に凄いです!
これからが楽しみ!

※レビューにネタバレはほとんど含みません。
※最新1話のみ各話レビューから外しています。
※星評価の基準は各話レビューのネタバレ内に記載

( 'ω'o[放送前の期待レビュー]o
{netabare}
まずはこの作品の簡単な説明からです。

舞台は、約1900年前、南ベオルスカの孤島で発見された直径約1000メートル、深さ不明の縦穴である[アビス]です。

アビスには人間の手では作れない、[遺物]がたくさん眠っており、今まで数数の探窟家がアビスの底に降りていきました。

しかし、アビスには[アビスの呪い]というものが存在しており、アビスの下に降りた後、上に登るとその呪いが発動します。
(帰り道に呪いが発動する=1度入ったら深さによっては戻って来れない)

呪いの内容は以下の通りです。

・深界1層→地上
※軽い目眩と吐き気

・深界二層→深界一層
※重い吐き気、頭痛、末端の痺れ

・深界三層→深界二層
※上記+/まともに立つのが困難、幻覚、幻聴

・深界四層→深界三層
※全身に激痛・穴という穴から流血

・深界五層→深界四層
※全感覚の喪失、それに伴う意識混濁、自傷行為

・深界六層→深界五層
※人間性を失う、場合によっては死

・深界七層→深界六層
※人間である以上【確実な死】

というものです。
さらに、アビスには凶悪な生物が多数存在しており、人間の命を脅かします。
(。-ω-。)----------キリトリ線----------(。-ω-。)
探窟家には、それぞれが所有する鈴の色によって
降りていい層が決まっています。
(実力が認められると鈴も変わる)

それぞれの鈴の降りれる範囲は以外の通りです。

・鈴付き
※素人。降りてはならない。

・赤笛
※見習い。深界一層まで行っても良い

・蒼笛
※一人前。深界二層まで行っても良い

・月笛
※師範代。深界四層まで行っても良い

・黒笛
※達人。深界五層まで行っても良い

・白笛
※伝説級。複製できず、それぞれ独自の意匠を持っている。深度制限なし。
(笛の条件は人間が定めたもので、仮に赤笛が1層より下[二層~]にいってもアビスの呪いは発動しません)

まあ、アビスの世界観はこんな感じです。
次は簡単なストーリー説明をします

[あらすじ]
ヒロインのリコは孤児院で暮らす探窟家見習い。アビスへの憧れが人一倍強い彼女は、母のような偉大な探窟家になることを夢見ていた。ある日の探窟で、リコは謎の存在に生命の危機を救われる。その何者かが放った熱線の跡を辿ると、そこには少年そっくりのロボットが倒れており…。(wikiより)

まず、物語はリコとロボットのデクの出会いから始まります。
リコはロボット(デグ)を孤児院に持っていき、他の孤児院のメンバーと共にデグに電気を送り、復活させます。

そこから孤児院でしばらく生活したデグとリコは、ある日、アビスへ潜らなければならないきっかけを見つけ、夜の孤児院を抜け出します。(脱走)

ここでは言いませんが、リコのアビスへ潜る理由がまた泣けてくるんです!
この内容は原作の1巻分なんですが、
1巻のアビス(大穴)への出発シーンで、一気に涙腺をやられました(2巻からアビスでの冒険が始まる)

とりやえずストーリー説明はここで終わります。

ここまで読んで貰えれば分かるように、このアニメ。

作り込まれた世界観が凄い

可愛いイラストの割にかなり重い内容

なんです!

しかも、2巻からはさらに面白さが増し、
3巻からは可愛い新ヒロインが登場します!(ナナチ)

制作は東京マグニチュードのキネマストラシス!
監督はブラックブレットの倉田さんです!

PVの作画クオリティーもかなり高く、
声優もかなりキャラにマッチしていました。

素晴らしい制作陣にも恵まれ、この作品は
きっとかなりの良作になると思います!

皆さん!夏のメイドインアビスに大いに期待しましょう!

補足︰この作品。
前半はないんですが、後半から極度のグロシーンがかなり存在します。
苦手な方は視聴を止めるのをおすすめします( ´・_・`){/netabare}

( 'ω'o[各話レビュー]o
{netabare}
※星評価の基準
---------------- 8×キリトリセン ---------------- 
★★★★★/神
★★★★☆/かなり面白かった
★★★☆☆/面白かった
★★☆☆☆/普通
★☆☆☆☆/微妙
---------------- 8×キリトリセン ---------------- 

[1話]大穴の町/★★★★☆
{netabare}
先日日曜日に先行上映会に行ってきました。

見終わった感想としては、まず音響と作画が凄いです!若干クセがあるものの、アビスの世界を完璧に再現していました。

物語は原作の3話分。
かといって、[1話→2話→3話]ではなく、
[2話→1話→3話]の順でした。

信者はどうせ[原作レイプ死ねとかいうんだろ]
と思ったそこのあなた!

違います!(断言)

原作プッシュアップも完璧で、序盤の少しつまらない(失礼)展開を完璧に打ち消してました!

物語も始まったばかりですし、今後に期待したいです!{/netabare}

[2話]復活祭/★★★★☆
{netabare}
冒頭で[アビスの呪い]の説明がされましたね。
あそこでしっかり説明してくれたのは嬉しかったです。

物語は1話に引き続きまだ序盤(´・_・`)
これからさらに面白くなっていくので見届けたいと思います。(今も充分面白いけど)

EDはほんわかな感じで物凄く好きでした(´▽`)
(OPの映像美も凄かった){/netabare}

[3話]出発/★★★★★
{netabare}
旅立ち会。
原作読んでて展開は知ってるものの、普通に泣いてしまいました。

なんといってもナットが可愛い!
あの、なんというかツンデレな感じがいいんですよね(´ω`*)

これからアビスの中でさらに盛り上がっていくので、切るか迷っている人は6話ぐらいまでは見て欲しいです。

※勘違いしてる人が結構いるみたいですが、アビスの呪いは[帰路]にかかるのであって[行き]にはかかりませんよ。{/netabare}

[4話]アビスの淵/★★☆☆☆
{netabare}
うーん(´・_・`)今回は少しテンポが遅かった印象かな。
原作ファンだからって原作が〜とかいうつもりはないけど、もう少しテンポ良く描いてほしいと感じました。

アニメオリジナルでクモが出てきましたが、これもあまり好感は持てませんでしたね。
アビス独特の奇妙さがあまり無かったと思います。

何がともあれ次回で巻き返してほしいです。{/netabare}

[5話]火葬砲/★★★★★
{netabare}
胸熱展開キタ━(゜∀゜)━!
いいですね!今回は特にアニメオリジナルが素晴らしかったです。

前回と違いテンポが良いにも関わらず、原作で適当に済ませたシーンを丁寧に描いてくれてて感動しました。

次回は監視基地。楽しみです。{/netabare}

[6話]監視基地/★★★☆☆
{netabare}
(゚ロ゚;)エェッ!?これは驚きです。
まさか自分が想定していた進み具合の二部の一しか進まないとは思いませんでした。

マルルク,オーゼンのキャラデザ,声優はとても良かったですが、テンポが悪い!

次回なんとかして下さい!{/netabare}{/netabare}

[7話]不動卿/★★★☆☆
{netabare}
やっぱりテンポがあまり良くないね。
ネットで少し叩かれていた戦闘シーンに特に不満はないけど、もう少し速くやらないと中途半端に最終回を迎える気がします。

後、回想シーンをもう少し丁寧にやって欲しかったかな。(原作はかなり雑なので)

次回は生存訓練みたいですが、どう作ってくるんでしょうか。期待と心配半半で待ちたいと思います。{/netabare}

( 'ω'o[最終レビュー]o
※後日追記

( 'ω'o[観点事のレビュー]o
※後日追記

総合点数【 】

続編の可能性
※後日追記

投稿 : 2024/05/04
♥ : 71
ネタバレ

TAMA さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

星の羅針盤が指し示す場所は… 胸の鼓動は本物、憧れは止まらない、さぁ!アビスへ!

入院してた時にレトロゲーを大量に買い込んでやったのでそれで例えると…
『トル◯コ』『風来◯シレン』等の不思議のダンジョンっぽいテイストでRPG要素が高いファンタジー作品でした。(地図は変化しませんが)
『グラ◯ディア』要素もあったかな。ナナ……ふわふわのぬいぐるみは『聖剣◯説』のキャラで出てきそう。んなぁ~…。


原作・未読。
アニメ・全話視聴。


簡単に言うと現実世界の平地に世界一高いエベレスト(8848m)+ヒマラヤ山脈の広さの山々を逆にして地下穴(アビス)にしたイメージ、といえば想像しやすいかな?(深さは不明。)
そこをある理由で冒険をするストーリーって感じと受け取って貰えれば。かなり簡単な説明になりますが。
『アビス』は深淵や地獄って意味もありますが、作品的に『大穴』や『奈落』って感じかな?
間違ってたらすみません。


大・満・足!!
もうビックリするくらいハマってしまいました。
絵のテイストが可愛らしかったのであまり期待はしてなかったんですが、視聴を始めてみたらドンドン惹き込まれていき、時間を忘れ全話ノンストップで視聴しました。そんで泣きました!笑いました!感心しました!魅力的な作品でした!
OPは聴き惚れました。EDは紙芝居テイストなのが可愛かった。OPの曲終わりの絵はその時のストーリーに関係あるカットに変わるのもニクい演出でした。(数話後に次のカットって感じです。)
あ、EDも所々変わってます。1番分かりやすいのがある話数からふわふわのぬいぐるみが歌に参加すること。
後は探してみて下さいね。


設定も中々面白かったですね。
単純にして分かりやすいものから、凝っててこの後の展開で明かされるのかな?って物があったりと。

…設定…というかレグの構造といえば2話の頭からレグは災難でしたね。ある意味『拷問』だったのでは?(笑)

話を戻しますが1話から最終話まで流れも良かったですね。主人公の『リコ』『レグ』の位置付けや設定も良く、いい具合に伏線も謎も残している。
これを回収や解決するとなると原作は結構長いストーリーになるかもしれませんね。


ちょっと書きたい事がネタバレ含むので先に書いておきます。
この感想を書いてる前に決まってたのですが、メイドインアビスは第2期決定しました!まだ放映時期は分かりませんが本当に楽しみです。
ただ現在(2018:3/22)出てる原作は6巻。今年中に7巻が発売されると予想しても第2期は1クールが限界だと思います。レグの言葉を借りて「度し難い…」。

冒険系が好き、ドキドキしたい、動きのある作品が観たい方にはオススメ出来ます。
逆に前述したものに興味がない、グロい表現や描写が苦手な方にはオススメしません。結構キツイ表現があります。

2期は嬉しいんです。が、ちょっと試し読みしましたところ、『どうやって表現するんだろう?』ってのもあるので少し不安もあります。
憧れがとまらない2人の旅の続き、楽しみにしたいですね。


これより書く感想はネタバレを含みます。なのでまだ観ていない方はこの先はオススメしません。
まぁ超!趣味書き…好き勝手に書いてます。
{netabare}

『上昇負荷』通称『アビスの呪い』の設定は高山病+ファンタジー要素を加えて中々面白いと思いました。
山の病気といえば…

高山病→高所肺水腫→高所脳浮腫。

レベル1↓
山酔い・命に関わる場合がある。
成人で標高2000M(高齢者は1500M)以上の高地で次の症状が1つある。
・食欲低下、悪心、嘔吐等の消化器症状。
・全身倦怠感や脱力感。
・立ちくらみや目眩。
・眠れない、息苦しい、睡眠障害。

レベル2↓
高所肺水腫。
山酔いと合併がほとんど。数時間で急速に進行することも。安静時の呼吸困難、せき、歩行困難、腹部圧迫感、頻脈など。

レベル3↓
高所脳浮腫。
命に関わる重篤な状態。山酔いに加え、運動失調(まっすぐ歩けない等)、見当識障害(日時や場所がわからなくなる)がみられ、放置すれば昏睡からやがて死。
(元・登山家に聞きました。)

これにファンタジー要素を加えて『アビスの呪い』にしたのかな?と思いました。
高山病の地下版と思えば分かりやすいかな?と思います。オーゼンのとこでの3週間滞在(訓練)は理に適ってて上手いなと。

…オーゼンで思い出したけど、マルルクは男の子?女の子?…謎だ!?(笑)

アニメやマンガだから仕方ないんですが、『レグ』はロボットだからよしとして、出来たら『リコ』の装備は肌を出さない様な装備服にしてほしかったです。元・登山家の方に聞いたんですが、「こーいった冒険の場合は何があるか分からない。だから出来るだけ肌を出さない格好で毒物などに触らない様にするのは基本だ」と。

後は地下に潜れば潜るほど元素の存在度が変わる。
全て表現するのは無理でしょうがせめて『火がつかない』とか『酸素が…』とか『地熱が…』など一般的に分かりやすい『危機』を作って欲しかった。

笛の設定やいつでもゲームオーバーになる様なピンチは良かった。ハラハラした。♯5の『リコ』の食事の考え、好きです。
後、私は「よく表現した!」と思うんですが、やはり♯10は無理な方が多かったですね。かなり酷だったと周りの方にも言われました。
でも旅や冒険するとなるとこーいった事も起こる事を想定した知識がないと無駄に傷口を悪化させたり、腕や脚を切り落とす事になったりします。
なので♯10の表現が無ければこの物語はかなりチープな物になったと思います。
オーゼンの「アビスの深部に住む原生生物は、アタシより遥かに狡猾で強かだ」やその他の言葉や行動も薄っぺらくなってしまう。
なので♯10くらいな事がないと重みがないと思います。
この作品がお気に入りになった1つの要因です。

好きなキャラはやっぱり『ナナチ』ですね。
たまたまだけど私のハンドルネームを呼んでくれた…♪(殺されるんだろうけど(汗))
ナナチの言葉で言えば私に「チョロいなぁ〜」って言われるんでしょうね(笑)
CVの井澤詩織さんはケモノ系の声は似合うなぁ…。
もうね、あの毛並みをお手入れして最高にもふもふにしたい!美味しい料理を作って食べさせてあげたい!『んなぁ〜…』を聞きたい!…と色々とヤバい!(主に私が!)
『リコ』とは料理の話がしたい!『レグ』は身体の構造を知りたい!『ナナチ』は…もう書いたか。

まだまだ書きたいけどここまでにしておきます。もしこの好き勝手な文を読んで下さった方が居たらこの場で感謝を申し上げます。ありがとうございます!
{/netabare}

Deep in Abyss…、深い深淵(合ってるかな?)
羅針盤はずっと闇を指したまま逃げ場のない方へ…
アビスに臨む者達に祝福を…

to be continued, next 2nd season〜…

投稿 : 2024/05/04
♥ : 23

88.0 3 独特の世界観で感動なアニメランキング3位
翠星のガルガンティア(TVアニメ動画)

2013年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (2864)
14360人が棚に入れました
宇宙そらから来た少年、船団都市ガルガンティアと出会う
遠い未来
表面のほとんどを大洋に覆われた星、地球
宇宙で育ち
戦いしか知らなかった少年兵レドは
そこで初めて海を見た
広く、淡い翠に光る海
人々は巨大な船団を組み、
つつましくも生き生きと暮らしていた
通じない言葉
異なる習慣
レドは孤独な異邦人
だが、彼は一人ではなかった
ここで生きてゆくためになにができるのか
そして、なんのために生きるのか
翠の星で過ごす日々が、レドに問いかける

声優・キャラクター
石川界人、金元寿子、茅野愛衣、阿澄佳奈、伊藤静、大原さやか、小西克幸、寺崎裕香、手塚秀彰、早志勇紀、徳井青空、津田英三、星野充昭、保村真、小野友樹、杉田智和、藤村歩
ネタバレ

Ballantine さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5

14話の方がいいじゃねぇか馬鹿野郎!

ニコニコ一挙放送でOVAになってしまった4.5話だっけ?放送されたので見ましたが、糞みたいな焼肉回だかエロダンス回より抜群にこっちの方がいいじゃねぇか馬鹿野郎!どうしてあぁなってしまったんだ持った得ない。



ロボットのデザインはVVVの方が断然かっこ良くとても残念。
女の子がややむっちり感があるのは結構好きなのとほっぺや肩やら膝が赤くなってるのが好き。

快楽天ちゃん…良い子はぐぐってはいけません。

ぷちっとがるがんてぃあを知らない人が多いと思うので紹介しておきましょう。
http://gargantia.jp/#petit
↑の公式ページで毎週1話づつ追加されているショートアニメです。


料理に例えてみた
{netabare}どっかで見たのだけどまさに的確なものがあったので書いておきます。
この作品は
「シナリオの伏線(材料)を並べただけ」
なんですよね。
・ヒディアーズの設定
・クーゲル中佐
・海洋物の船団という設定
・エイミーというヒロイン
・その他ガルガンティアの人達
・宇宙のワープゲート設定
・ヒディアーズとの戦争
・チェインバーとストライカー
・その他もろもろ
一見伏線が回収されたようで実はされていない。
ヒディアーズの設定。戦争していた設定。話の大筋を掴んでいた設定が完全に放ったらかしになった時点で全てが空中分解しちゃってます。
ただただ芋や人参や大根や豚肉やら味噌やらと並べただけ。
料理されてない。これじゃ消化不良ですよね。
それぞれの味はしても出来上がった豚汁の味は出ないですよね。{/netabare}


考察まとめ
{netabare}1、人間vsヒディアーズで戦争をしていてヒディアーズ側が優勢だった。
このままでは人類が滅亡してしまうので戦っていたのではなかったのか?
それなのにヒディアーズは元人間でしたとわかったからと言って心変わりするわけがない。
そもそも自分達から人間辞めた連中なのに何処に同情しろと?
この時点で話が破綻している。

ガルガンの人間と仲良くなって共存共栄を覚えた?
それは問題の先送りでしかなくレドが馬鹿になったという事ですよね?
戦争はまだ続いてるし、知能の低下したヒディアーズがガンガン増殖しているからいずれ地球もヒディアーズに飲み込まれるのは火を見るより明らかなはずだ。
チェインバーがちゃんとそう言っていたのにレドの心変わりがおかしすぎる。
仲良くなったガルガンの連中は好きになりましたってのはわかるとしても、でもイカとの戦いは関係無いですよね?


2、どうしてイカ殲滅続けなかったんですか?
クーゲル中佐(ストライカー)が粛清始めちゃうのはやりすぎかとは思うが、レドがどうしてそんな事気にするんだ?
元々無機質な人間レドだったわけで、何ら疑問を抱かないんでは?
これも結局レドの心情描写が悪かったせいで1話のままのレドだと思っていたから変だと思ってしまった。

そしてイカの殲滅戦を続行しなかった理由はストライカーとの戦闘有り気だったからですよね?
まぁイカだけじゃつまらないと思ったのかクーゲルを10話になって出してどんでん返し的展開ってのが見え透いてる。
どんでん返し所かこれのせいで風呂敷広げすぎて畳めなくなっちゃってイカの設定をイカしきれないせいで完全に意味が無くなってしまったじゃなイカ。
まさにイカの設定とはなんだったんだ状態ですよね。


3、ガルガンティアの連中と本当に仲良くなったのか?
ここもおかしいですよね。
ガルガン連中と思想信条が合わないから船を分離したわけですよね?
つまり離別した時にちゃんと蹴りが付いてますよね?
それにもかかわらずなんでガルガンの連中に同情してるんですか?
あの別れはなんだったんですか?
エロダンスとか水着で焼肉とかする前に何故もっと感動的な心を動かす話を書けなかったのか?
これが下手だったせいでレドの心変わりが視聴者にうまく伝わっていない。
そのせいでレドはずっとレドのままで離別して1話と同じようにイカ殲滅作戦をしたわけで、なのにイカが人間でした。
で心が揺れるのはおかしい。
一瞬の同様はあっても冷静になれば別にどうという事では無いはずだ。
1でも書いたけど自分から人間辞めた連中に同情の余地なし。
おまけに人間を攻撃してきてんだぞ?
まぁ地球のは先制攻撃はしないようだけど。
そして離別してきたガルガン連中に同情の余地も無いわけだが。


4、要らなかった死に設定ばっかだよね?
・まずエイミーの存在理由が無いですよね?
なんとも空気ヒロインでしたよね?
もっとエイミーが可愛くて好きになる要素を書いたほうがよかったのではないか?
レドがエイミーに好意を抱くほどの心情描写が圧倒的に足り無かった。
そもそも途中離別してるし。

・そして1でも書いたがヒディアーズの壮大な設定もいらないよね?
ライアン・マツモトとは一体なんだったのか?
完全に死に設定ですよねこれも。

・それからロボットもいらないよね?
チェインバーとストライカーいらないよね?
イカの設定に的を絞って書かなかったせいでロボットまでもいらない話になっちゃいましたよね?
レドの心がだんだん人間らしくなるって話を書きたかったのならば最初からロボットいらないよね。

・そして何より要らないのがパイロット。
9話の補足ツイッターで
対ヒディアーズ殲滅兵器であるチェインバーは、ヒディアーズを見つけると自動的に攻撃する仕様なので、「貴重なサンプルである」と情報を取りつつも処分を続行します。
パイロット要らないじゃんっていう。
ストライカーも最後チェインバーまで勝手に戦ってるし。
レドがパイロットである意味ないし設定破綻で死に設定。

・海洋設定もいらなくなかったか?
海であるはずの色んなイベントが何も起こらなかったよね?シケとか強風大波とか。塩害がーとか津波がーとか。
これだったら別に陸でよかったよね?
島にしとけばイカだっているから問題ないわけで。
唯一あったのが水着位でしたね。
海洋冒険活劇みたいな話じゃなかったっけ?冒険いつしたっけ?
地球で目覚めたらまず地球一周位余裕で探索出来たよね?
これをしなかったのはストイラカーがいたからそれが出来なかったんですよね。
つまり死に設定になっちゃいましたよね。


5、最終回にガルガンが信者たちの船にミサイル投下しまくっていたわけだが、死傷者の描写がまったく無かった。
海賊もイカも殺しちゃいけないと言っていた連中がミサイルガンガン投下して攻撃しまくっていたわけだが、どうなってんの?
ガルガンの連中の心情描写が一貫していない。
信者を殺す気満々で攻撃仕掛けていたよね?
それにもかかわらず最後の最後で信者と仲良くなっていたような描写はなんなんだ?
何もかもがおかしいんだけど。

本来あそこはストライカーへ攻撃を仕掛ける場面ではなかったのか?
ピニオンの時のレーザー砲みたいに。
まるでどこぞのシーシェパードみたいな話になっちゃいましたよね。


6、3話から8話まで要らないよねこのアニメ。
ってかこれチェインバーとストライカーのバトルがしたかっただけでしょこれ。
一応ロボットものだからって事で。
そうなるともう映画一本位の尺でレドが人間らしくなる部分も含めて出来たんじゃないですか?


■まとめると
・ストライカーのラストバトル有り気のせいで全てがおかしくなった。
物語の設定破綻や矛盾・取っ散らかしを引き起こした原因は全てこれだ。死に設定だらけ。
ここの部分抜くだけで色々スッキリするのではなかったか?
・心情描写が足りないと言うか下手だったと言うか。伝わって来なかった。


OVAが2話あるようだけどこれじゃきっと面白い話も無いんだろうなぁ。
いやぁ残念だった。設定だけだった。
生かしきれていればあるいは化けていたのかもしれない。
面白くなりそうだったのに本当に残念でした。{/netabare}


各話感想
{netabare}5話
まぁ息抜き回・サービス回・大人の事情って奴ですね。
個人的にはこういう回はいらない。

6話
踊り子はヒロイン達なのか…凄く残念だ…
個人的に自分の彼女がこんな事されたらたまったものではない…
まぁ彼女じゃないからいいだろってのはあるけど単純に好感が持てなくなる。本当に残念だ。
ストリッパーヒロイン乙!
エロ書きたいなら18禁でガッツリやれよ。
よくよく見たらこれマン○はみ出してるじゃねぇかよ!!
おいおいおいおい!こりゃまずいだろ。
露骨な売上目的視聴率目的汚さ爆発ですね。
このアニメは何処へ向かっているのか…
一気に期待はずれになっちゃいました。

7話
あ~うざいうざいうざい。
もうこういう話は流行らないだろ。
平和ボケは罪。無責任は大罪だ。
クジライカを殺す理由が無いだと?
問題を先送りしてるだけだろうが!ふざけるのも大概にして頂きたい。
まさに現代社会の問題みたいな流れだな。
このイカ狂信者共全部駆逐してくれたら面白いのに。
しかし女の子可愛いなぁ~描き方がうますぎる。
頬や肩や膝とかを赤くするのは反則だ…。
5話6話でもう死んでたけどやっぱダメだなこりゃ。
何が絶望的ってもう7話なんだよなぁ1クールしか無いのに。
まだVVVの方が面白いアニメだった。
超展開で面白くなる事を希望したい…

8話
船団長死亡に帰還不能かぁ…まぁこうなるだろうと思ってた。
リジットって人がラストなんとかのシルヴァーナの副長に似てるなぁ。
まさか同じ流れになるんじゃ…!
なんかちょっと希望が持ててきたかもしれない。
エイミーの「あのバカ」ってなんぞや…お前が馬鹿だろっと。
所でベベルはなんか元気すぎやしないか?病気じゃないのか?治ったの?
やはりリジットが動いた…けどなんか意味合ったのだろうか?うーん。。。
面白くなる気配が無い…

9話
イカは人間でしたね。
そしてレド発狂…なんかラストが読めてしまう気がする。
人間同士の戦争だったのがわかってレドは攻撃出来なくなって
仲良くしましょうENDだったら糞アニメですね。
しかしこの後何書くんだろう。

10話
あぁーあレドがゴミになっちゃった。
なんの葛藤だ?軍人じゃなかったのか?
今更人間だと解っても別になんも思わないだろ。
おかしいぞこれ…
中佐だと!?
おいおい今更何をしでかす気なんだ…もう2話位で終わりじゃないのか!?
これは風呂敷が畳めないアニメになりそうだ。

【ガルガンティア・みんスト第9話】
5) 対ヒディアーズ殲滅兵器であるチェインバーは、ヒディアーズを見つけると自動的に攻撃する仕様なので、「貴重なサンプルである」と情報を取りつつも処分を続行します。
IG平澤
何これ酷い…パイロットいらねぇじゃん。

【ガルガンティア・みんスト第9話】
6)チェインバーは脚部の「量子インテーク」から吸収したエネルギーで稼動するので、戦闘などで短時間に極端な消耗をしない限り、エネルギー切れになることはありません。
IG平澤

極端な消耗をしなければエネルギー無限wwww
冷凍睡眠で帰還できんじゃんwww

【ガルガンティア・みんスト第9話】
11)人類の為と信じて戦い続けてきた相手が、実は敵意など持っていない同胞だったと知ったレドは、自らの存在意義をどう見出すのか? IG平澤

はい来たよーwイカちゃんを同胞認定するレドさん来ちゃったよーw
しかも敵意ないんだってさーw

凄くひどいです。
ってこのアニメ3話から8話までいらないじゃんまるまる。
あんな余計なことしてる暇あったらもっと書くこと沢山あっただろうと…
もうこれ投げっぱなしに終わるようにしか思えない。

11話
あぁこれ北朝鮮を作るアニメだったのか。
ってかガルガンティアを啓蒙しに行くの流れが読めすぎてつまらん。
次回からの予測
エイミーがレドを説得してレドが上官とドンパチEND
もしくはエイミー殺傷してガルガンもろとも北朝鮮化END
このへんが無難な所か。
しっかしどっちのENDもつまらんなこれじゃ。
レドがふらふら考え方を変えるのも萎えるし、星の住人全部軍事国家にしてもたんたんとしてつまらないし。
うーんこっからどんでん返しがあるとしたらやっぱ誰か死んだり虐殺始まったりするのかなぁ。
いやそれでも面白くはないか。
しかしどう転んでも面白くなりそうにないなぁ。

12話
海賊やっぱ裏切るのか…
レドの打診もあっさりだったなぁ。
なんという恐怖政治!虚淵ってきた。
やっぱ中佐とバトルのか。レドふらふらしてんなぁ。
メルティーなんで落下したんだ?遠すぎたって事なのか?
鍵フラグ回収。海から回収したレールガンか。
ロブスター強すぎww
死んでたって落ちかやっぱり。
次最終回は倒して平和になりましたで終わっちゃうのかな。
インパクト無いなぁ…鍵が何か超展開を起こしそうな予感。

最終話
ストライカーが神になっちゃったwやっぱりパイロットいらないのなw
47%凌駕って無理ゲーだろ。
機械化融合?生命維持限界まで482秒…レド死ぬのか!?
何しに来てんだよエイミーwなんて邪魔な子なんだw
戦闘中に無理やり絡ませすぎだろこれ。
砲身一個なのになんでボタン2つ押した?w
ってか随分しょぼい機械の鍵だったんだなぁ…
超展開なんて無かったか。
あぁやっぱチェインバー自爆ENDかこの流れ。
「くたばれブリキ野郎」
これって確かターミネーターかなんかのセリフだったような。
モロパクリしやがった。これはひどい終わり方だ。
ヒディアーズの設定ほったらかしかよww
なんも問題が解決してねぇなこのアニメ。
レドがガルガン民と仲良くなったけど、ヒディアーズ問題を完全スルーとかどうなってんだよこのアニメw
もうイカもロボットもまったくいらないアニメでしたね。
どうしてこうなった…
設定ばかりが大きく期待させておいて描写してる事はガルガン民との交流というなんともちっぽけで狭い話になっている。
問題は全て置き去り放ったらかしで何にも解決しないで終わっちゃうからどうしようもない。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 56
ネタバレ

kwm さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

『泣いた』 少年の異文化交流物語

宇宙空間における異性物との戦争に敗走し、撤退時の時空間移動に失敗した事で地球に降り立つこととなった少年『レド』の異文化交流物語。
この物語の中での地球は、氷河期の到来によって陸地の殆どが海に沈んでおり、人々は船の上で生活をしています。
レドは遥か彼方の故郷への帰還が絶望視される中、ヒロインを含めた地球人の船団『ガルガンティア』との出会いを通じて文化の違いに触れていき、価値観の違いに苦しみながらも命令に従って戦う事しか頭になかった彼は次第に変わっていく、というお話です。

物語は戦争に明け暮れるレドの描写から始まり、序盤からロボットによる激しい戦闘シーンを見る事ができますが、全編を通してこのロボットによる戦いは最初と最後のみといっても良い程少ないです。
すぐに降り立つ事になる地球にも人が搭乗可能なロボットが存在しますが、性能は著しく低く、コンテナの輸送などが主な任務で戦闘描写は殆どありません。
ロボットものとして激しい戦闘シーンを目当てに視聴するのは難しいと思います。

一方で、レドが漂着時に搭乗していた機体は地球の文明からは想像もつかないほど高性能なもので、地球人では傷一つ付けられないほどその技術力には大きな差があります。
この高度なAIが搭載された機体をレドは『チェインバー』と呼び、チェインバーは自らを『パイロット支援啓発システム』と自称してレドのあらゆる活動を傍でサポートする事で、初めは意思疎通すら困難だったレドと地球人達も、チェインバーが地球の言語を学習し通訳していく事で次第に打ち解けあっていきます。
また、レドがガルガンティアの船員達に対してチェインバーに対する限られた命令権を付与した事で、チェインバー自身も地球人との交流を通じて様々な事を学習していきます。

異文化との接触にあたって大きな障害となる言葉の壁は非常にリアルに描かれており、序盤はレドと地球人との間で視点が変わる度に相手側の言葉が外国語として聞こえ、これが異文化との接触と言葉の壁を上手く表現しつつ、それをチェインバーに通訳をさせる事で彼がレドの良きパートナーである様子を丁寧に描いています。
チェインバーは常に周囲の音声と映像を記録する事で地球の言語を驚異的なスピードで学習していき、その蓄積されたデータはレドに危険が迫った際に敵味方を自動的に判別する際にも使用されるのですが、こうした高性能なチェインバーの能力は初めは二つの異なる文明の架け橋となっていたものの、敵と見なした者を一瞬で消し去る程のその高すぎる戦闘能力は、『共存共栄』をよしとする地球人の考え方にそぐわず、価値観の違いも相まって、やがてレドと地球人達との間に互いが歩み寄れないほどの軋轢を生じさせます。
打ち解けあったかにみえた両者は、ある重要な出来事をきっかけに別々の道を進む事になり、そしてどうなるか……。

見終わった後の感想としては、よくここまで綺麗に纏めたなというのが率直な感想でした。
アニメが大衆化して大量に供給されるようになった2000年代から、同業他社がバンバン新しい作品を公開する中、売れるかもわからない作品の為に何クールも使えるかと言わんばかりに1クール作品が多くなりました。
業界に対する偏見かもしれませんが、萌え要素で円盤やグッズを買ってくれるなら1クールも4クールも変わらないだろという製作者側の意図が透けて見えるようで、どうしても1クール作品と聞くと中身がスカスカなものをイメージしてしまいます。
作る側もボランティアではないので効率的な回収方法を選ぶのは当然で、決して悪い事をしているわけじゃないんですけど、売れないから途中でポイッみたいな作品や、逆に売れたからと無理やり作った蛇足にしかなってない続編とかを目にするとやはりネガティブに考えてしまいます。
この作品も例に漏れずあまり期待していなかったのですが、凄く綺麗に纏まっていて良い意味で裏切られました。
作品に対する好き嫌いではなく、純粋に『短時間で良くまとめたな』という脚本の良さに凄いなと思った作品でした。

しかしロボットの戦闘シーンの少なさ、異文化交流という要素、萌エロの無さ、主人公とヒロインのイチャラブ展開の無さは、薦めるべき相手のタイプが絞りにくいというのが難点かなと思います。
凄く良い作品なんですが、こんなのが好きな人にお勧め!と端的に表せないのがもどかしいです。

また、キャラクターデザインに凄く個性が感じられたのは私好みでとても良かった点でした。
作中には所謂ラッキースケベ的な女性の胸の露出などは無いんですが、女の子がむちむちしてて好きな人にとっては何もしてなくてもとてもエロく見えると思います。
芸能人でいうと磯山さやかさんとか安めぐみさんみたいな体型が大好きな、ぽっちゃり好きな私にはたまりませんでした。
ただし、これは私がこの作品をそういう目で見ているからであって、普通にしていれば特別なエロさを感じる事はないでしょう。
あまりにも女の子達がかわいらしいので、こんなけしからんキャラデザするのはどこの誰だと調べたら『鳴子ハナハル』さんという凄く有名な方でした。
もともとは成人男性向け漫画を描いていらっしゃった方のようで、どうりで醸し出す雰囲気がエロイわけだと一人で納得。
しつこいですがエロ要素はないので女性でも問題なく見れます。

そしてこの作品は私にとって、泣けた作品の一つでもあります。
ネタバレになってしまうのでここには詳細を書く事ができないのが残念ですが、最後の考える暇を与えてくれない二転三転する展開は非常に良かったです。
欲を言えば2クールでやってほしかった作品ですが、綺麗に終われたし、とても満足できました。
既に続編の製作が決定していますが、先程も述べた様にある程度売れたから作ったというだけの『蛇足』にならないと良いなと思いながらも今から楽しみにしています。

以下、強烈なネタバレありの感想。
{netabare}
やはりこの作品はラストのチェインバーですね。
あの短時間で彼が全てをもっていきました。
3分にも満たないラストシーンの為に全てがあったと言っても良い。
直前に実はイカが人間だったとかで驚いたけど、正直そんなことどうでも良かった(笑)
1クールで通訳していただけなのにこんなに泣けるんだから、2クールやって他にもエピソード作ってたらラストシーンで気絶していたかもしれない。
AIによる自己犠牲というのは、有名な映画だとターミネーターのラストシーンが有名ですね。
他のアニメ作品のネタバレになってしまうので詳細は書けないですが、AIが搭載されたロボットが出てくる他のアニメ作品にも、同じようにAIによる自己犠牲が最後の方に描かれているものが幾つかあります。
しかしチェインバーの良さはそうではなく、あからさまな自己犠牲によるお涙頂戴ではないのが素晴らしい点だと思います。
使い古された設定なので、あからなま展開に感じさせないようにそうしたんじゃないでしょうか。
彼は最終決戦における神経接続の代償として、レドに対して体がもたない事について最終意思確認をし、レドが自らの死を望んでいない事をきちんと確認してから切り離しています。
他の作品ではAIが自己犠牲の精神を獲得し、その為にAI自らの判断でパートナーを救い敵を討つために自爆するという流れですが、チェインバーはそうではありません。

 私は、パイロット支援啓発システム。
 あなたが、より多くの成果を獲得することで、存在意義を達成する。
 この空と海のすべてが、あなたに、可能性をもたらすだろう。
 生存せよ 探求せよ その生命に最大の成果を期待する。

チェインバーのレドを切り離すという選択は、『彼に啓発の余地がなくなった事で自身の支援AIとしての必要性はなくなった。彼を生存させ、探求させる為に目の前の障害を最優先で排除する』という、予めプログラムされた合理的な判断に基づいた行動であって、感情的なものではないとわかるこの台詞は凄く良くできていました。

人間の立場からみると、決め台詞に向かってチェインバーが感情的になっていき自己犠牲を選んだかのように見えますが、彼の側からみるとあくまでも『人類の為に設計されたAIとして当たり前の行動』とわかる演出がなんともにくい。

ちなみにこの直前にレドは、死を望むかというチェインバーの質問に対し、

 俺は、死に方はわかっても、生き方がわからない。
 そんな俺の為に、生き方を一緒に探してくれる人がいた。
 もう一度、会いたかった。
 もっと声を、聞きたかった。

こう呟きながらヒロインのエイミーを一瞬思い浮かべますが、この言葉は直後に自爆するチェインバーにそっくりそのまま当てはまります。
地球に来る前からレドの傍にいたチェインバーは、レドにとっては誰よりも長い時間を共にし、近くにいた存在でした。
そして最後に、自我が目覚めて自己犠牲を選んだかのような姿を垣間見せながらも、地球人の中では一番長い時間を共にしたピニオンから学んだ『くたばれブリキ野郎』という言葉と共に、最後まで人類に尽くすAIという立場を崩さず、レドが今を乗り越えて生存し、探求するために眼前の敵を巻き込んで消えてなくなるという、計算されつくした演出は感動の一言。
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』じゃないけど、『あの日聞いた彼の言葉を僕はずっと忘れない』にタイトル変更してほしい。

恐らくこれは、ペットを飼っていたりする人にはくるものがある演出なんじゃないかなと思いました。
私はサムネを犬の画像にしているほど犬好きなんですが、日常的に良きパートナーとしてずっと一緒にいるペットや相棒が、突然の非常事態に自らの体を盾にしてその危機に向かって突撃していくというのは涙無しでは見ていられない演出でした。
チェインバーがレドを切り離した直後に流れる勇ましいBGMも、雰囲気を存分に盛り上げてくれました。

思い出すとまた泣きそうなんでこの辺にしておきます…(´・ω:;.:...サラサラ・・・
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 41
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

人とロボ、エメラルドグリーンの海で生きる人々の物語。ロボ=バトルにはならなかった稀有な作品。

故郷から遠く離れた惑星で、共に思考する人間とロボット、二人の成長を通して、人としてのあり方や戦争の意味について問うSF作品。冒頭の戦闘シーンを見て「またか‥」と思ってしまった人にこそ見て欲しい。決してバトルものにはならなかった、謎ありドラマあり、壮大な世界観にも魅力のある、傑作と評価すべき物語だと思います。

レドと※チェインバー、主人公と呼べるのはどちらなのでしょう。私はその両者という印象を受けました。特に序盤では、チェインバーがレドの言葉を翻訳している場面が多いので、二人で一人という印象が強いのです。物語の進行と共に別個に思考し、視野を広げていく二人。お互いの得た異なる見解を言葉にして交わす事により、さらに視野を広げていく姿はまるで兄弟の様です。

敵との戦いを宿命付けられ、初期では"敵は排除するもの"という認識しか持っていなかったレドとチェインバーですが、異文化(異世界と言っても過言ではない)に属する人々との交流、様々な経験を通して、驚き、理解に苦しみながらも、融和への糸口を見つけていきます。

{netabare}多過ぎる。酸素は消費し切れないほど十分あるし、他にどんな配給が必要だというんだ‥。という{/netabare}貨幣に対するレドの評価は自身の存在意義を兵士としてしか見出せない、人間的な部分に著しく欠ける極端な思考ですが、欲望を開放する事こそが人間としてのあり方として正しいのか? ちっぽけな(実は大きな)幸せで満足出来るブリキ男にとっても、かねてからの疑問な事だったので、部分的には同意出来るニュアンスが感じられました。

今後さらにレドが広い見識を得たとしても、彼の性格からして、手に入れた報酬を自らの為に積極的に使う意義を見出せないのではないか?とも思われます。そういう人間もいてもいいですよね‥?

そんなレドにとって、ガルガンティアで最も早い段階で仲良くなったエイミー、そしてその弟ベベルの存在は特別なものでした。レドは遠い記憶の中に埋もれている優しさを、この二人の姉弟との交流を通して着実に見出している様でした。

ピニオンについて。準主人公と評しても言い過ぎではないピニオンですが、彼の豪快で無鉄砲な性格、秘めた復讐心を抱いているところ、声優さん(小西克幸さん)繋がりで、どうしてもグレンラガンのカミナを思い出してしまいます。でもこの人はどちらかというと知性派寄り。レドおよびチェインバーの良き理解者として、物語を牽引する役割としても大いに活躍の場がありました。チェインバーの愛称「ブリキ野郎」も彼の発明によるもの。とても面白いキャラです。

物語を通してレドとチェインバーの存在が大きく、次いでピニオンが影の主役となっているので、上記のエイミーとベベル以外のキャラについては、存在感が少し薄めの印象でしたが、船団長補佐のリジットさんについては、前半のレド、チェインバーへの確固とした対立の態度を示す事で、物語全体に良いスパイスを与えていた様に思います。理知的な女性はいつ見てもカッコいい!

キャラデザについてはエイミーを始め、女性キャラがとても可愛く描かれている印象を受けました。でも私は総じて肌色が多めなキャラ描写は苦手‥。5話の水着回とか6話のダンスシーンとかは結構あからさまな描写なので閉口。水着回ではリジットさんまで過激なデザインの水着を‥何てこった(笑)

メカについて、マシンキャリバー"チェインバー"の全高は20mとか100mとかじゃなくて8mくらい。丸っこいフォルムにも親しみが持てました。量産型メカながら、チェインバーのオーバーテクノロジー振りも良く表現されていたと思います。高度な※1自己学習プログラムと重力制御?による飛行、特別なインターフェース無しで記録媒体の情報を外部から読み取る所など‥。他にも-作中では明確な説明や描写がありませんでしたが-設定上では物質を吸入する事でエネルギーの補充を可能とする※量子インテークというのがあるそうです。どれもスゴイ!

対する作中に登場するもう一体のマシンキャリバー"ストライカー"の大きさは10m、ややずんぐりしたチェインバーと比べて、シャープな機体形状。AIの声も相まって女性的とも表現出来る印象です。ストライカーもまたチェインバーと同様に高度なAIを搭載しており、自ら情報を収集、整理し、思考し、成長していきます。その俯瞰したものの見方、悪く言えばロボット然とした冷血な思考は、本作の脚本など担当されていらっしゃる虚淵玄氏の代表作「サイコパス」に登場する巨大コンピューター"シビュラ"を思わせました。

敵宇宙生命体ヒディアーズ、水棲生物クジライカの秘密など、後半の急展開に至るまで、多くの謎を孕んだ翠星の海に魅了されたり、レド&チェインバーの成長に心震わせたり、全13話、最後まで目の離せない作品でした。
{netabare}
ブリキ野郎の最後の戦い。あの時彼は心を得ていたと私は思います‥。「くたばれ、ブリキ野郎!」はブリキ男を名乗る私としては一度は誰かに言われてみたい台詞です(笑)

エピローグ。自らの半身"チェインバー"を失ったレドですが、エイミーやベベル、ガルガンティアの人たちに支えられながらこれからも強く生きていく事でしょう。一抹の不安を残しながらも物語は続いてゆく、そんな風に思える見事な終幕でした。
{/netabare}
OVAもいくつか出ている様なので是非観てみたいと思います。


※1:パイロット支援"啓発"インターフェイスシステム。チェインバーがただの人間の言いなりのロボットでない事がこの名称からも見受けられます。非常に高度なAI。

※2:洋画「バックトゥザフューチャー2」でドク(発明家の人)の使っていた、バナナの皮とか空き缶に残ったビールとかをタイムトラベルを行う際の燃料にするジューサーミキサーみたいな装置を思い出しました。

氷河期とかについて
{netabare}
NASAの衛星によって測定された太陽放射照度を元に、※1マウンダー極小期による地球全体の気温に与える影響がシミュレートされた結果、2100年までに起こるであろう気温低下の数値は0.1~0.3℃程度と推定されました。対して人為的影響による気温上昇の数値は3.7~4.5℃と言われています。ちょっと桁が違います。

地球温暖化問題については、科学の素養の無い一般の人々を中心に様々な意見が飛び交うことがありますが、肯定派の獲得出来る利益が発生する一方で、否定派の利益が損なわれる事も忘れてはなりません。逆もまた然り。金が絡むと様々な邪推が飛び交い、ろくな事になりません。でも否定派の怒りに満ちた言論口調には私は知性を感じません。

2009年にアメリカで実施された3146人の地学者(90%以上は博士号、7%は修士号を取得している)を対象に行われたアンケート

「地球平均気温に人間の活動が有意に寄与していると思いますか?」

という質問に対し、82%の科学者がYESと回答。内訳は気候学の専門的知識の有無によって異なり、非気候学者では77%が肯定、気候学の研究に携わる科学者では97.4%が肯定という結果が出ています。

一般人に対する同じ質問の調査では58%が肯定の立場を取っているそうです。

ブリキ男もYESに一票。北極の永久凍土層は年々減少しているし、その周辺地域の氷床の体積も縮小の傾向が加速しているという事実を踏まえれば、地球温暖化の傾向は明らかだと思います。有るものを否定して無いものを説明する思考パターンは私は肯定出来ません。ガルガンティアのお話は多分人類の衰退した後の遠い未来のお話と私は捉えます。なぜなら氷河期など待つべくもなく、この先地球は一度、※2ガルガンティアの様な世界になるのかも知れないからです。それも遠い未来の話ですが‥。

※1:太陽活動が低下する時期の事、歴史的に見て周期的に起こっている。

※2:極地の氷が解ける事で海表面が上昇すると誤解されがちですが、この点については逆、氷は水になる事で体積を小さくしますので、海水温の上昇による水の体積の膨張が真の理由です。また極地の氷が解ける事で地球全体の気温は一時的に下がりますが、地球全体の貯熱量は上がります。毎年によって地球の平均気温の上下があるのはその所為でもあると言われています。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
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