2020年度の犯罪者おすすめアニメランキング 6

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2020年度の犯罪者成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月23日の時点で一番の2020年度の犯罪者おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

76.3 1 2020年度の犯罪者アニメランキング1位
ID:INVADED イド:インヴェイデッド(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (416)
1515人が棚に入れました
殺意を感知するシステム「ミヅハノメ」を用いて、犯罪事件を捜査する組織、通称「蔵」。そして、「ミヅハノメ」のパイロットとして犯人の深層心理「殺意の世界(イド)」に入り、事件を推理する名探偵・酒井戸。頻発する凶悪かつ謎多き事件と、そこに見え隠れする連続殺人鬼メイカー「ジョンウォーカー」の影を追っていく。

声優・キャラクター
津田健次郎、細谷佳正、M・A・O、ブリドカットセーラ恵美、村治学、近藤隆、岩瀬周平、榎木淳弥、加藤渉、落合福嗣、西凜太朗、遠藤綾、島袋美由利、平川大輔、宮本侑芽、日笠陽子、蓮岳大、佐倉綾音、小林親弘
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

されど空の青さを知ったカエルちゃん

著名アニメーターのオリジナルアニメ


自分は存じ上げなかったのですが名前を聞けば、な監督と脚本さんとのこと。
そんな予備知識があれば心構えができたものをそうでないとちょっとしたトラップにかかるかも。

まず画が軽いです。主役がツダケンさん。軽い絵と渋い声のマッチングに違和感を覚えます。
次いで第2話まで終わってちんぷんかんぷんです。リアタイでは一挙2話放送でギリ踏みとどまりましたが下手すると離れちゃいますね。
トラップといったのは、 ここまでで"しっかり観よう”という意識が吹っ飛んじゃうかもしれんってこと。流し見ダメ、ゼッタイ!集中しないといかん作品でした。
私も何話か流し見てから、いかんいかんと最初からリピートした口です。

ざっと概要を追うと、
殺意を感知するシステム「ミヅハノメ」を用いて、犯罪事件を捜査する組織、通称「蔵」。そして、「ミヅハノメ」のパイロットとして犯人の深層心理「殺意の世界(イド)」に入り、事件を推理する名探偵・酒井戸。
頻発する凶悪かつ謎多き事件と、そこに見え隠れする連続殺人鬼メイカー「ジョンウォーカー」の影を追っていく。そんなクライムサスペンス。
ミステリと呼ぶにはそこにあまり重きを置いてないような感じがしました。犯人は誰だ?の謎解きもあっさりだし、深層心理にダイブした面々の心の機微がよりこちらの興味をひいてきます。
{netabare}※ジョンウオーカー本人以上に仲間の本堂町小春がぶっ飛んでて良い感じなのです。犯人が魅力的でないキャラ設定なのはわざとじゃないかしら。そこじゃないんだよ!というスタッフのこだわり。{/netabare}


視聴を進めていってなんのこっちゃな部分もおありでしょうが、私も一緒。純粋に視聴に求められる偏差値が高いんだと思います。

それでも推したい作品ではあります。茶目っ気というか遊び心というかクスッとさせる演出ありで、そんなのが見え隠れしてる作品に大外れはない印象。ご多分に漏れず本作もそうでした。例えば設定。

主人公酒井戸が“イド”に入った後、謎解きの重要なモチーフとして必ず死体が用意されています。その名を“カエルちゃん”。別のでも他人のでもイドにダイブすれば必ず会えるという皆勤賞ぶり。そこで誰もが思います。

 {netabare}あー『井の中の蛙(かわず)』ですね、と。{/netabare}

そのうち穴井戸だったり聖井戸だったり井戸尽くしの様相を呈してくる物語。

 {netabare}そんなカエルちゃんは大海を知りませんでした。{/netabare}

 {netabare}ついでにカエルちゃん笑ってくれないんですが胸をさすとげは消えないままだったり。{/netabare}

簡単な連想ゲームにクスッとなります。さらに殺人鬼メーカーのジョンウォーカー。

{netabare}ジョニーウォーカーを連想したのは私だけ?
言わずと知れたウイスキーの銘柄。“ウヰスキー”とも書いたりします。ヰと井。
販元の英ディアジオが韓国に工場を置いたためしばらく日本向けジョニーウォーカーやスミノフはmade in KOREAでした。文大統領が税金上げたもんで撤退みたいなニュースありましたが脱線はこのへんで。
ウイスキーは原酒を寝かせてナンボなわけでしてこちらも熟成熟成また熟成。この殺人鬼も用意周到でしたね。ちょっと類似点があります。{/netabare}

{netabare}それで主人公が“酒”井戸。組織は“蔵”。{/netabare}

{netabare}聖井戸さんだけが持つ“御代”という下のお名前。福井の地酒で「聖乃御代」ってのありましたよね?
脚本の舞城王太郎氏は福井の出身です。ウイスキー関係ないけどなんというかそういったところ。{/netabare}


シナリオとは関係ないところで遊んでみてもけっこう楽しめる。で本編のメインシナリオでも作り手が遊んでるんで素直に楽しかったです。
ホント序盤に軽い画を侮らないで真面目に観続ければいいことがあるんじゃないかと思いますよ。

ネタバレなしはここまで。『マイノリティレポート』『羊たちの沈黙』その他ちょっとでも触れると削がれるタイプの作品です。よろしければ現物を確かめてみてください。
端的に作品から受けた印象を申せば、

{netabare}『大海に出ることの叶わない井の中のカエルちゃんが空の青さを知りえて大海にでることを願う物語』{/netabare}

でございました。



※ネタバレ所感

■声優宮本侑芽のお仕事

飛鳥井木記(あすかいきき)の演者さん。代表作は言わずと知れた『SSSS.GRIDMAN』の宝多六花役。
覚えてますかね?新条アカネとのやりとり。

{netabare}諦観した時のやや強がりの入った演技がすこぶる良いんです、この方。{/netabare}

これまたどうでもいい脱線。
木記→キキ→kick it ! とくれば、Beastie Boys の 『Fight For Your Right 』しか考えられませんよね。えぇ私が好きなだけです。

 You gotta fight for your right. To party

ききちゃんが心から笑える日が訪れますように!


■殺意で狂う人間模様

印象的なシーンと置き換えてもいいかもしれない。なんか切ないのよね。

1.{netabare}井波七星{/netabare}

{netabare}“墓掘り”の相方の女です。彼女のイド内にて、森の中で夜に円環列車が走るのを上から収めたカットを最後に映すんですよ。
「資料によれば井波七星の母親は七星が14歳の時に走行中の電車に飛び込んで自殺。どうやらこの酒井戸が乗る電車が実際にその時母親を轢き殺したもののようです」
ループしてる彼女の心理はここまでで充分に説明されてるのに敢えてぶち込んでくるの切なかったです。

穴開きで1,2話。海外帰りの爆弾魔で3話。そして墓掘りエピソードで4,5,6話と中盤を締めくくって後半にブーストかける良い流れでした。{/netabare}


2.{netabare}名探偵の条件{/netabare}

{netabare}殺人者であること。そして自殺も殺人とカウントするってのが最初とっつきづらかったかも。
つまり殺人犯を口八丁で自殺に追い込んでく酒井戸のスタイルもれっきとした殺人ですよ、と。羊たちの沈黙でも囚人を自殺に追い込んでくのがありましたけどレスター博士のサイコな感じとは違うんですよね。切ない事情がありました。

別件で、熟練の松岡刑事が本堂町(=聖井戸)を送る時も哀愁を漂わせてました。
「ただ俺はお前を推薦しながら俺と他の同僚を守っただけだ」
渋めのおっさんは刑事モノには必要です。{/netabare}


3.{netabare}鳴瓢(=酒井戸)というよりツダケンさん{/netabare}

{netabare}10話が切ない。耐えられん。{/netabare}

4.{netabare}局長の声{/netabare}

{netabare}これ全然切なくないやつです。何だろう…アニメ的な発声にずっぷり慣れてしまったのだろうか。
声が軽くてラスボス感が全くしない。それに棒なんじゃないかと思うくらいひどかった気がする。これ減点要素です。{/netabare}


■最後に遊び心の話に戻るんだが…

遊びと言いきると不敬とも取られかねないのですがお手柔らかに。

{netabare}「違うだろ…君らがどこかに行ってしまったんだ!」
「現実にいるんだ。君のいない…椋もいない…現実に…」
「椋…今そこで君らと一緒にいられなくて…本当に悔しいよ…」

イド内イドで妻に娘に鳴瓢が振り絞るように吐いたセリフ。どんな場面かは完走した人は分かるはず。
悔しいと吐露する鳴瓢の心中いかばかりか。{/netabare}


そこで思い出したのが以下、


{netabare}「国の為重きつとめを果し得で矢弾尽き果て、散るぞ悲しき」

硫黄島守備隊の指揮官栗林忠道中将閣下の辞世の電報です。大本営に“悲しき”の部分を“口惜し”に変えられて世間に発表された逸話はご存知の方も多いでしょう。現代語訳すれば「悔しいよ…」ですね。
それから半世紀の時が流れて、1995年。{/netabare}

{netabare}「精根を込め戦ひし人未だ地下に眠りて島は悲しき」{/netabare}

{netabare}慰霊に硫黄島を訪れた現在の上皇陛下が、この"悲しき”という言葉を使われて御製を詠まれています。{/netabare}


序盤私が申し上げた妄想の類ではなくこちらはれっきとした言葉の繋がりを意識されたものです。
それで「聖乃御代」ってことは…絶対にありませんね。すいませんでした。



視聴時期:2020年1月~3月 リアタイ

-----
2020.10.10
《配点修正》-0.1 全体バランスを考慮


2020.03.25 初稿
2020.04.29 タイトル修正/修正
2020.10.10 配点修正

投稿 : 2024/05/18
♥ : 51
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

メタサイコロジー

監督あおきえい、脚本舞城王太郎。

奇想天外な世界観で魅了する、
舞城ワールド全開なSFミステリー。

殺人衝動を感知するミヅハノメなる、
アイテムを用い犯罪事件を捜査する組織。
{netabare}無意識の世界が推理の舞台となる。{/netabare}
犯人の深層心理に潜る名探偵酒井戸、
彼は井戸に潜り悪の記憶への回路を見つける。

{netabare}彼の過去とカエル殺害事件の真相、
悪意はそこかしこに潜んでいる。
連続殺人鬼ジョンウォーカーとは!?{/netabare}
その影を追い事件は真相へと近づく。

10話視聴追記。
技巧派・舞城ワールド炸裂である。
事件の核心が見えない、絞れない。
{netabare}飛鳥井の悪夢、世界の変容!?
飛鳥井はその力で鳴瓢の記憶を受け取る。
JWは鳴瓢の無意識の投影なのだろうか!?{/netabare}
本堂町が推理の鍵を握る。

最終話視聴追記。
活劇ではなく推理を主体とする犯罪劇では、
極めて良質なサスペンスが堪能出来る。
{netabare}計る者ものの尺度で変わる正義の形、
そして深層心理で繋がる不安定な心の形。
物語は余韻を残し事件は幕を閉じる。{/netabare}

心の病では些細な希望ですら光の道であり、
懸命にもがきながら苦しみが過ぎ去るのを待つ。

〇〇に幸せが訪れますように。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 48
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

ID-0とは関係ない

2話までの感想{netabare}
ID-0よりリヴィジョンズの続き見たいなぁ(チラッチラッ

でもってこっちはサイコダイブモノ。
あにこれじゃない別の場所で意味が分からないって感想を散見するのだけど、どこが分からないのか分からない。
謎の部分は「ハイここは謎でーす」と明確で、分からないってこととは違うような…多分意味が分からなくなるのは後半になってからだと思うw
で、ひょっとしてだけど、視聴者それぞれの価値観は置いといて、この作品世界では「自殺も人殺しの一種として扱ってる」ってのが分からないと意味不明…かも?と思ったり。
それで本道町は自分のイドを作って「穴開き」の居場所の特定に繋がるヒントを渡した…って部分が意味不明なのかな?
違うのかな?
イドを作る・入るには殺人犯じゃないとダメで、酒井戸をダイブさせてそれが視認したものを外部が観測できる、但しダイブする度に酒井戸は記憶を失くすっぽい(ここ面倒くさそう)。
またイドはそれを形成してる人間(犯人)とリアルタイムでリンクしてる模様。
じゃあ酒井戸は殺人犯?っていうとどうやらそれっぽい、娘を殺されて犯人を殺した?
で、凶悪殺人犯のイドを覗くと共通してジョンウォーカーなるものが居て、同じように「かえるちゃん」も居るがかえるは娘じゃなくて娘と重ねてるだけじゃないかな。
殺意がそれほど特殊だと思ってない人間…例えば“ヴィンランドサガ”のバイキングみたいな奴はシビュラシステムに引っかかるのかどうかは不明。
合ってるかどうかは自分も分からんけど、これだけ分かって意味が分からないってことはあるまい。

その件とは別に、追い詰められた犯人が被害者のフリをして逃亡ってよくあるネタだけど、これだけネタとして扱われると「実際そんなことってあるの?」ってのはちょっと気になる。
とりあえずこれ見てふと思ったのが“ナカノヒトゲノム”もこれくらい冒頭で世界設定説明をしてくれたらまだ見れただろうになぁ、ってことだったり。

現段階では面白そうだけど冒頭でも書いた通り、後半本格的にワケ分からない展開になりそうな予感…哲学とか概念の話になって。
この予感外れて欲しいけど、果たしてどうかな~?{/netabare}

3話感想{netabare}
2話段階ではまだ確定じゃないし言うの控えてたけど、どうやら“羊たちの沈黙”の影響強そう。
前回は被害者になりすまして犯人逃亡がそう思わせたのたけど、今回は「監獄で隣になったヤツを言葉だけで自殺に追い込む」が正にソレ。
羊たち~では「レクターは何を囁いたら自殺にまでできるんだ?」と思ったもんだけど、こっちではそれを具体的にやってくれました。
ってことでパクりではなくオマージュって感じ、悪いということではない。
実際心の奥底、無意識の部分を他人に見られるって首根っこ捕まれるようなモンな気はする、そう考えると平然としてる本道町はかなり頭がイカれてる予感。
…ひょっとしてかえるちゃんはメンガタスズメポジション?
いやでもどうだろう、脚本の人はミステリ作家らしいのでレッドヘリングの可能性も捨てきれない?

それよりも、まさか1話完結=犯人逮捕まで行くとは思わなかった。
イドに入るたびにいちいち記憶失くす設定なので、状況確認するのが面倒そうで(「ここは何処だ?オレは誰だ?」ってのを毎回やられてもクドいよね)もっとダラダラ続く系と予想してたのだけど、結構テンポ良いのかも?
1話の中でよく詰め込んだなぁ、と。
ただ「狙撃手が移動してるんじゃない、塔が回転してるんだ」は“賭ケグルイ”でも見たトリックで目新しさはイマイチ。{/netabare}

総評(これだけ読めばいいかも){netabare}
初回2話連続放送で、その段階で「分からない」という意見へ「いやいやまだ分かるっしょ、本格的に分からなくなるのは多分後半」という態度だったのだけど…。
あはは、後半どころか中盤で意味分からなくなっちゃったw

引っかかりを覚えたのは本道町がイカれてるのは元からなのか穴が開いてからなのか分からん所から。
「正義のためなら自分の命なんて関係ねー」って性格なのか「人殺ししたくて警官になりました、凶悪犯居ないかなぁ(ウズウズ」って性格なのか、色々考えてたけどどうでもよくなっちゃった。
次いで5話か、自由落下してるイド。
無重力ってことだったらしいのだけど画面からはそうは感じない、というか見せ方が…意図的なら意地悪、意図的でないなら下手糞。
意図的でないってことはあり得ないと思うので、じゃあなんであんな分かりにくい見せ方したのか、その意図を考え出して…あはは、他のことが頭に入らないw
そして最後、本編で取り上げられてない、「そういうのがあったんだ」と言葉だけでしか説明してない連続殺人事件が他にもあって、それがいきなり本編に絡んで来るのは…どうなんだろう?
これが別媒体に原作が先にあって、アニメ化するに当たり入りきらない・詳しくはそっちを見てネってことなら分かるが、最初から1クールアニメとして作られたものなんだよね?(※)
それが悪いとまでは言わない、もし人気出て続編作ることになったら続きよりもそっちの話やってくれないかな?とさえ思ってる。
けどやっぱり…頭に入ってこないw
真犯人が無意識のウチに7という数字に拘ってたと言われても「ふ~ん」ってだけで「なる程!」には至らなかった。

もう一度最初から見直して、メモ取りながら視聴して理解しながら進めれば面白いのかな?って思わなくもないけど、そこまでの気力は残念ながら起きない。
だって…結局キキは救われないじゃん。
閉め方が良ければもう一回見ようかなとも思うけど、これじゃあちょっと…だったら“pet”をもう一回見るかなぁ、と。
というか単に人に説明するのが下手なだけなんじゃないの?という不信感が…言葉遊びも行き過ぎるとちょっとね。


逆に原作が別媒体で既にあって、それのアニメ化で、原作のほうの情報量が膨大でアニメの話数の中では到底説明し切れなくて、スタッフめっちゃ苦労してそうだと感じるアニメも沢山ありまして。
それに比べりゃ贅沢な立場なのにどうして…とさえ思えたり。

あとキキといったら樹木希林だるるるるぉ!?


追記
穴井戸が死んだのがどうしてか分からんって方が居たので個人的解釈。
イドの中で「名探偵扱いで自分が何者か分かってない状態」は死んでも本体は平気、自分が何者か分かっちゃうと(イドの中で)死ぬと本体は死ぬか昏睡。
記憶を無くして「名探偵扱い」は本体にダメージを与えないようにするガード機能みたいなもんかな?と解釈。
穴井戸は頭の穴のせいでガード機能が働かなかったってことだろう。{/netabare}

投稿 : 2024/05/18
♥ : 18

76.5 2 2020年度の犯罪者アニメランキング2位
アクダマドライブ(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (360)
1227人が棚に入れました
遙か昔、カントウとカンサイの間で戦争が起き、世界は分裂した。カンサイはカントウの属国となり、独自の発展を遂げていった。しかし、政治と警察力は衰退し、犯罪が横行。その犯罪者を“アクダマ"と呼ぶ――。 本作品の舞台となるのは、高度に発達しながらも歪んだ社会。その中で、アクダマたちはいかにして自分らしくあろうとするのか。一堂に会したアクダマたちの美学がぶつかり合う。

声優・キャラクター
黒沢ともよ、梅原裕一郎、武内駿輔、堀江瞬、緒方恵美、木村昴、櫻井孝宏、大塚明夫、花守ゆみり、榊原良子、内田真礼
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

浪花節な古事記

オリジナルアニメ 

“アクダマ”とは作中でいう犯罪者のこと。そう言えばいいのにしてないのはそういう世界だから。
その昔「カントウ」VS「カンサイ」で戦争勃発。カントウが新型爆弾を落として決着。焼け野原になったカンサイの復興を助けたりもしてカンサイ人はカントウに感謝するようになった、とのこと。

メタで馴染み深いものが仕込まれてそうですが、当該世界はオリジナリティあるんじゃないかしら。
2020秋スタート新作の中では第1話の引き込みがぶっちぎりで良かったのがこれ。構成がしっかりしてるとか心情描写が丁寧だとかいうのをいったん置いときまして

 {netabare}作った人の頭ン中を覗いてみたいぜ!{/netabare}

人間の想像力は際限ないなと実感できる“架空の世界”を堪能しちゃえばええじゃないかと思うのです。
“アクダマ”が疾走(ドライブ)する全12話。IF世界の近未来モノ。今年2020年でいえば『ドロヘドロ』と同じくどうも言葉に落とす作業が難儀な作品です。「1話観て合いそうかわかるよ」死体がゴロゴロ転がります。そこ本筋ではないもののそれ自体が嫌という方には撤退を推奨するくらいでしょうか。

【アクダマ's】
 詐欺師(CV黒沢ともよ)
 運び屋(CV梅原裕一郎)
 喧嘩屋(CV武内駿輔)
 ハッカー(CV堀江瞬)
 医者(CV緒方恵美)
 チンピラ(CV木村昴)
 殺人鬼(CV櫻井孝宏)

愚連隊は黒澤明の時代より七人と決まってるのかどうなのか。
その七人の通り名には当たり前だが意味がある。
そして通して観ると「進むべき道は自分の意志で決める」真っ当なメッセージも伝わってくる。
突拍子ない世界に私達が置き去りにされないのは基本的なお作法を心得ているのもあるやもです。

アニメに求めるものの一つは表現手段として実写ではしょぼくなると思しきものをいい意味で見せつけてもらうことだったりします。それを満たしてくれた良作ですね。

■むしろ…
『ダンガンロンパ』と比較される本作ですが、肝心のネタ元を知らない私です。
むしろ『PSYCHO-PASS』との既視感が強いかしら。アクダマ認定のオートマティックぶり。某執行官ばりに現場で処刑実行できる公務員の存在。そんな世の中に感じる居心地の悪さなんてのもそうです。
{netabare}さらにサイコな殺人鬼役に櫻井孝宏さん。ダメ押しで公機関の女ボス格に榊原良子さん。榊原さんがどーんと鎮座してると悪の組織風味が何倍か増しますよね。{/netabare}



※妄想劇場

■大大阪(だいおおさか)の衰退

大正末期~昭和初期。大阪が東京を凌駕していた時代を指してこう言う。何年か前に通天閣で大大阪展やっててそれで知ってました。約100年前の大阪イケイケどんどんぶりは白眉ものでしたよ。
そして現在…ってことになるわけでして結果は東京への一極集中。いろいろ理由はあるんでしょうが

{netabare}東海道新幹線開通{/netabare}

{netabare}東名高速道路その他インフラ投資が高度成長を後押ししました。導かれるはリアルでの大阪の没落そしてアニメでシンカンセンの神格化。なんとも皮肉が利いてます。
またこれ“財政健全化”“国民の借金いくら”“角栄の頃と違い公共工事に効果はない”と捉えてる層にとっては、公共工事アクダマ論に乗っかり「そんなのを神聖化するなんて…プークスクス」とさらにマウント取れることでしょう。なお私の意見は真逆です。{/netabare}

蛇足で劇団☆新感線も出自が大阪芸術大学だったりするのもなにかの意図を感じます(しません)。


■暗喩なのか妄想なのか

大阪を好きなのか嫌いなのかよくわかりませんが、無関心ではいられないというのは伝わってきます。
く○るのたこ焼きが500円と現在より安価。デフレーションでも起きているのでしょうか。

{netabare}ハンコも消えてない(笑) このハンコで一元化って仕掛けは面白かったですね。きっと文化と認められての発展形をアニメで描いたのでしょう。そんな発展形ハンコのもたらす災厄を描いてたこともあって、マイナンバーみたいに“国民総背番号制”一元管理どうかと思う層には「ほら見たことか」とウケが良かったかもしれない。なお私の意見は真逆です。{/netabare}

作品チュートリアルなウサギくんとサメくんの寸劇は有難かったですね。ウサギとサメの組み合わせで
{netabare}真っ先に思いつくのは“因幡の白うさぎ”だったりします。文章上のワニ=サメと解釈するのが一般的。その寓話の教訓とは?

1.思いやりの心をもっていると、幸せな結末が待っている
2.余計な振る舞いは災いを招く

といったところでしょうか。本作の展開結果に通ずるものがあります。{/netabare}


とここまでの垂れ流しをご容赦をば。
カンサイという近未来大阪風味な街で繰り広げられる大騒動。やや陰惨でディストピアな世界だからこそ他人様の優しさが沁みる。地でいく娘主人公の立ち居振る舞いに心打たれます。

 思いやりの心をもって迎える結末は幸せなのか不幸なのか?
 余計な振る舞いが招いたのは災いなのか未来への光なのか?

各々で捉えようのある結末も好感度高し。

 馬鹿な出会いが利口に化けて よせばいいのになんとやら

人生どう転ぶかわかんないもんですよね。


{netabare}結局のところ“医者”の年齢は不明のまま。おいくつだったのだろう?{/netabare}



視聴時期:2020年10月~12月 リアタイ   

------


2020.12.30 初稿
2021.09.25 タイトル修正

投稿 : 2024/05/18
♥ : 50
ネタバレ

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

エンターテインメントとしては一級品と評価。

一気見した。
過去に映画作品等で似たような作品は確かにあったと思う、しかし、この作品はこの作品として力のある作品と評価。

メインどころとして活躍するキャラクターはそれぞれ、大きな罪を背負った人物たち、所謂アクダマである。
ただ、この割り切りが正解かどうかはわからないが、この作品の中ではそれぞれのキャラクターにハクがついている程度の意味しかない。要はキャラクターの個性を紹介するラベルでしかないという事だ。
確かに過去エピソード紹介等でやったことを事細かに紹介されたりしたら、見方は変わるかもしれないけど。

とにかく、それぞれの特色を持ったプロ(スキルは一般社会では受け入れられないものだけど)が依頼された仕事をプロとして貫徹すると・・・。
そして対立する側もプロとしてアクダマを駆逐しようとする・・・(最終的にはいろいろとゆがみが生じるけどね)。

安易に言えないけど、善悪を横に置いてしまう作品だと思う。
こういう作品は大きな魅力を持つか、圧倒的に受け入れられないかのどちらかになりそうな昨今だけど、私的には「エンターテインメントとして」楽しみたいと思うし、楽しめた。

物語の設定は非常にユニーク。
カットインでウサギとサメが解説してくれているので理解も早い。
あらすじ的なことはいちいち説明するつもりはないのだけれども、設定も作画の雰囲気も強烈な個性を持っているし、世界観もしっかりしている。
それぞれのキーとなるガジェットも個性的で素晴らしい発想だと思う。
物語の流れについても、細かいツッコミをさせないだけの力があると思う。

それにしても、各キャラクターがクセがあって面白い。
前述したように、この手の作品と言うのは洋画で数は少ないが似たものを見たことがあるし、キャラもサンプル数は少ないもののテンプレ的ではあると思う、しかし、それをそう思わせない力があるのだ、
キャラ絵自体も一因ではあるのだけれども、それ以上に声優さんだ。
この作品の声優陣、すごくないっすか。
それがアクダマ側にも処刑課側にも配置され、がっぷり四つに組む。
これは、観ておく価値ぜったいあるっしょ。

あとカントウ潜入後・・・、一体カントウはどうなってんだと思っていましたが、そういう落ちでしたか。
完全予想外とまではいかなかったですが「ほほーん、そう来ましたか」とは思いました。
状態については予想の一つとしてイメージていたものとかすっていましたが、
{netabare} 不老不死の二人を永遠に生き続ける劣化しない量子コンピュータの記憶デバイスとして使おうって発想は無かったです。 {/netabare}

まさか、カントウバトルの決着が、
{netabare} サマーウォーズとZガンダムとは思いませんでしたが(ディスリではないです。単純な感想です。 {/netabare}

そして、最終盤にもう一つどんでん返しがありましたね。
ここも、一工夫あって面白かったです。
一般人が社会をダマす詐欺師へ化けた瞬間ですね。

エンディングは・・・、
多くは語りませんが、それぞれがプロとしての仕事をして、去っていったという事でしょう。
最後の最後のひとかけらに、仕事ではなく、人間の意地というか「思い」が乗っていた気がしたのも良かったと思います(私の主観ですがね)

さて、最後に不遇な境遇を持ったあの二人にはどうなったのでしょうか(どうなるのでしょうか)。
ここら辺の余韻をもった終わり方も、映画的だと思いました。

・・・これって、ハリウッド映画的な何かにもできそうな作品ですよねぇ。
アニメ好きとしては、これで完結していてよいのですが。
この作品に共感して何か起こそうとしてくれるような人があちらにもいると嬉しいなぁ。

この作品は悪は悪でしょ、認められないってタイプの人には向かないと思います。いわゆる情をもって行動をしているのは一般人(詐欺師)だけで、あとは本当に仕事をしているだけです。
だからいいのですが、合わない人もいるでしょう。

でも、観る価値のある作品です。
私的には、機会を見つけてぜひ見てほしい作品です。
この手の荒っぽい作品では、珍しく、ちょっとオススメしたいと思える作品です。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 18

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

「カンサイ」とはまたザックリな…。(どう見ても大阪ですが何か?)だが、今期ダークホースはこれかも…? → カンサイがあれば当然カントウもありますが、よもやあんな有様とは!

[総評]
最終回のみ、サブタイトルは「アクダマドライブ」で映画のタイトルの引用ではありませんでした。本作のSF的な設定のいくつかは、ありがちといえばありがちな物ではありましたが、アクダマそして処刑課の面々が活躍する舞台装置として良く機能していたと思います。

カンサイのランドマーク的な物は我々のよく知る建造物のアレンジで、なじみがあって良かったです。キュウシュウが健在で生産拠点として機能してたらしいですが、そこの詳細は謎のまま終わりました。

話はちゃんと終わっているので続編的な物は考えにくい最終回ですね。

シリーズが継続するなら観たいですが、最終回の内容からするとキャラクターをそのまま登場させたければエピソード0とか外伝的な物にしかならなそうです。

カントウやカンサイの作中での状態になるまでの前日譚なら興味は持てますけど、無理に続編作ってこの世界の謎を説明してもらわなくてもそれはそれで良いかな…。

なかなか面白かったです。海外の反応も、わりと良かったんじゃないでしょうか。

== [下記は第2話まで視聴終了時のレビュー: 以下、追記あり] ==
『ダンガンロンパ』の制作陣でお送りする先が読めないオリジナルテレビアニメ、といった趣きの作品で第2話まで観た時点でこのレビューを書いています。

作中ではメインキャラクターでも役職名などで呼ばれていて、固有名詞的な物は公式ホームページでもエンドクレジットでも出てこないようです。これを貫き通すかどうかは謎…。

各話サブタイトルは、第3話予告までの感じだと犯罪やスパイなどが関係する映画のタイトルが採用されているようです。

第1話:『SE7EN(セブン)』
第2話:『RESERVOIR DOGS(レザボア・ドッグス)』
第3話:『MISSION:IMPOSSIBLE(ミッション・インポッシブル)』

背景美術はちょっと映画『ブレードランナー』っぽい感じの色彩豊かな近未来都市といった趣き。「シンカンセン」は知ってる「新幹線」と違う(笑)!

都市景観は現実の大阪が近未来的にアレンジされた感じですが、作中ではっきり「大阪」とは言わない辺りは何かの配慮なのかもしれません。配慮できてない気がするけど(笑)。

キャッシュレス決済が進んでいるっぽい世の中で、頑なに現金払いを要求する第1話のタコ焼き屋のおばちゃんは確かに大阪っぽいかも。

カンサイ(いや、大阪でしょ(笑))は作中での大きな出来事の後、「アクダマ」と呼ばれる凶悪犯罪者が暗躍するような街になっているようで、特にミナミ区とかは治安が悪いらしいです。

第1話では、いろいろとあってアクダマの大暴れに巻き込まれてしまう黒沢ともよ演じる「一般人」とおよそアクダマとは呼べない「チンピラ」を含むメインキャラ7人の顔見せ。

黒沢ともよの演技的には、バンドリの美咲ちゃん(ミッシェルの中の人)のような、「一般人ぶってるけどおまえ本気でそう思っているのか」感が漂ってきていました。(← 個人の感想です)

そして第2話では騒動の黒幕により状況が明かされるのと「敵」キャラクターの存在が明らかになるといった感じでテンポ良くストーリーは進んでいます。

ノーマークでしたが、視聴前からの意外性という意味では2020年秋クールでは本作が一番でしたね。スタジオぴえろをナメていました、ごめんなさい。

とりあえず面白かったので、今後も期待しています。
== [第2話まで視聴終了時のレビュー、ここまで。] ==

2020.12.19追記:
カンサイそして処刑課のボスの行く末は気になりますね。

2020.12.25追記:
作中人物の状態と、EDでのキャストのクレジットのされかたにはこだわりがあって良かったです。

新幹線の高架の残骸が十字架に見えましたが、あれは「救世主」を示唆するなかなか良い演出だったと思います。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 42

79.0 3 2020年度の犯罪者アニメランキング3位
ゴールデンカムイ(第3期)(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (286)
1192人が棚に入れました
網走監獄で繰り広げられた激しい攻防戦の末に、離れ離れになってしまった「不死身の杉元」こと杉元佐一とアイヌの少女・アシ(リ)パ。アシ(リ)パは「脱獄王」の白石由竹とともに、キロランケと尾形百之助によって父の足跡が残る場所・樺太に連れ去られていた。アイヌの金塊を強奪した張本人である「のっぺら坊」が死んだ今、その秘密を解けるのは娘のアシ(リ)パのみ。キロランケの目的は、彼女を連れてかつての仲間である極東ロシアのパルチザンと合流することにあった。一方、第七師団の鶴見中尉と手を組んだ杉元と谷垣源次郎は、アシ(リ)パを捜索するための先遣隊に志願。月島軍曹と鯉登少尉を同行者として樺太を目指す。北海道よりさらに北に位置する極寒の地で、それぞれの旅路を進む杉元とアシ(リ)パを待ち受けるものとは!? 新たなサバイバルが幕を開ける!

声優・キャラクター
小林親弘、白石晴香、伊藤健太郎、大塚芳忠、中田譲治、津田健次郎、細谷佳正、乃村健次、菅生隆之、大原さやか、てらそままさき、能登麻美子、杉田智和、竹本英史、小西克幸
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

純粋なもの、穢れたもの

アニメーション制作:ジェノスタジオ、
監督:難波日登志、シリーズ構成:高木登、
キャラクターデザイン:大貫健一、
音楽:末廣健一郎、原作:野田サトル

アニメ2期視聴後に原作組になった。
アイヌ文化の奥深さ、実在の人物を参考にした
魅力的なキャラクター像、彼らの過去と心理の表現、
飯テロ、動物たちを含めたサバイバル。
明治維新後の北海道を舞台にすることで、
複合的な魅力が作品全体から湧き出てくる。
人間の本質を表現しようとする作風が見どころだ。

網走刑務所を襲撃後、思わぬ展開によって、
アシㇼパは、父・ウイルクとの邂逅が叶わなくなってしまう。
その上、最大の理解者である杉元とも離れ離れになった。
杉元が死亡したと思い込まされたアシㇼパは、
キロランケや尾形、白石らとともに
父の足跡を辿って樺太の地に向かう。
快復した杉元たちは鶴見中尉に協力する形で、
アシㇼパを追うことになる。

ロシアの伝統競技・スチェンカでの殴り合い、
イタチ科の猛獣・クズリとの戦い、
月島の過去と鶴見中尉の陰謀、
曲馬団・ヤマダ一座のハラキリショー、
キロランケを追う国境守備隊の狙撃手・ヴァシリとの攻防、
写真館を営む長谷川の正体とウイルク、キロランケ、ソフィアの因縁。
アシㇼパ一行とそれを追う杉元や谷垣たちを
交互に見せる形で過去も交錯していく。

尾形の腹違いの弟・勇作との記憶。
戦争における「罪」とは何か。

尾形の生きる原動力。それは子供時代から抱えていた
純粋なもの、無垢なものに対する憎しみだった。
無垢なものなど、この世にはない。
それを証明することだった。
一方、アシㇼパの父・ウイルクは狼に憧れ、
群れを守るためには仲間を殺すことさえ厭わない
純粋だが非常な生き方を選択していた。
{netabare}そんな考え方から、ウイルクは妻から
「狼に追い付く」という別名を与えられていたのだった。{/netabare}

刺青の暗号を解く答え――――
それは純粋な狼とともにあったのだ。

以前のレビューで、この作品は「純粋な生」の形を
表現していると書いた。
そして、今回はその「純粋さ」が多くの人々を
結果的に「殺す」ことになるという
戦時中の心理状態のリアリティに震えた。

確かに世界史を眺めているといつの時代にも
戦争での殺戮における大義名分がある。
兵士に対して「人殺しは正しい」ことを
刷り込まなければいけない。
そのときに必要なのは宗教などの
圧倒的な正義の象徴なのだ。
兵士に疑問を抱かせてはいけない。
自分は正しいことをやっているという
シンボリックなものが必要になる。
だから旗振り役の勇作は、女を知らない、
自分の手で殺人を犯してはいない、
無垢な存在でなければならない。
そういう者が大多数を「正義の殺戮」へと誘う。
「純粋なもの」が先頭に立つことで、
兵士たちの人殺しの罪悪感を取り払ってくれる。
世界史における何千年もの戦争の歴史が、
ほとんど宗教とともにあることを
思い起こさせてくれるような、とても納得できる話だった。

尾形は、弟とアシㇼパの存在を重ね合わせる。
そして無垢の者・アシㇼパに罪を背負わせることで、
自身のこれまでの「罪で穢れた人生」を総括しようとする。
しかし、杉元はそれを許さない。
{netabare}尾形を死地から生還させ、
アシㇼパを民族解放の呪縛から解き放とうとする。{/netabare}

漫画で読んでいたときは、樺太編にはそれほど心を
動かされなかったのだが、アニメで通して観ると、
緻密に計算された構成になっていることに気づく。
罪を背負ったまま生き延びた尾形は、
最後にどのような風景を目にするのだろうか。

刺青争奪戦は、いよいよ佳境を迎える。
(2021年1月17日初投稿)

投稿 : 2024/05/18
♥ : 43
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

時はめぐりまた冬が来て

原作追いつくの待って2年ぶりの3期 続き番号で#25~#36の全12話です。

1期冬。2期春夏。そして3期は再び冬での展開です。諸般の事情でアシリパさんら不在と男だらけ。女子限定の冬季キャンプが『ゆるキャン△』とするなら男だらけにすると『ゴールデンカムイ』に行きつく自然な流れとなるわけです(嘘)。

まったくもって私事ですがプライベートで唯一北海道を訪れたのは15年前。網走など本作ゆかりの地も行きましたよ。そしてトマムか富良野のホテルで破壊王の訃報を知りました。第1話のっけから奇縁を感じた立ち上がりです。{netabare}※谷垣の「時は来た それだけだ」です。{/netabare}

作品の基本評価は1期2期のレビューにて。作風が合うようでしたらこの3期も楽しめると思います。これで以上でレビューを締めちゃっていいくらい。


舞台は樺太。
産地明記の消費者法施行によりスーパーで“ロシア産”海産物を目にする機会も増えた近年。世が世であればこれが“日本産”だったエリアから届いた物語です。
クレジットが連続してるのもあって途中参加はNGかと。なにせ2年ぶり。なんで樺太?」は朧気ながら覚えているかどうかというところ。準備運動するなら#24をおさらい推奨です。敵味方・陣営がコロコロ入れ替わる目まぐるしい展開がいったん集約した重要回でした。


■振り返ろう24話 ※以下2期ネタバレ

いち早く樺太に渡ったグループ(キロランケ、尾形上等兵、アシリパ、白石)を追う杉元一派(杉元元一等卒、鯉登少尉、月島軍曹、谷垣一等卒、チカパシ)の図です。
鶴見中尉率いる第七師団は網走で事案処理。土方グループは南方へ行くといって今期は控えめ。
アシリパの様子からのっぺらぼうがウィルクであることを察したキロランケが尾形に合図を送り狙撃。鍵はアシリパの中にあるとの想定で遁走する最中にインカラマッをブスッと刺してたりもしました。
アシリパの涙で暗殺に踏み切ったキロランケって事実も少女の肩には重い。

「山で鹿を捕って脳みそを食べてチタタプしてヒンナヒンナしていてほしいんだよ俺は!!」

杉元のアシリパさんへの深い情も伝われば、汚れ仕事を背負う覚悟も同時に伝わってきます。不殺のくだりは後の尾形と義理弟との因縁とも繋がってきますよね。
証拠を残そうとキロランケのナイフを放さなかったインカラマッのウィルクへの思慕の情も重い。
サイドストーリーのどれもが骨太で本筋を支えています。そのウィルクが北海道に渡る前の若かりし頃に焦点があたる3期というわけですね。

アシリパ父ウィルクの足跡を辿り、金塊への鍵を紐解くこれまた重要な位置づけとなっております。


3期については後述の“ネタバレ所感”にて。
そういえば主題歌にTHE SIXTH LIEが返り咲いてますね。音が作品に合うので歓迎したいです。
ギャグもヒンナも人生模様も相変わらず楽しめる良シリーズ。まだまだお楽しみは続きそうです。



※ネタバレ所感

■え!?いまさら

澄んだ瞳は変態フラグ
{netabare}今回は岩息舞治(CV三宅健太):スチェンカで登場の格闘家ですね。{/netabare}

変態といえば
{netabare}そのもの自体が貴重でかつ撮影に静止が必要だった時代の写真の扱いからして、谷垣のあの雄々しさ全開写真の束って好事家の相当な熱意を感じざるを得ないと思うのは私だけ!?{/netabare}


■プレゼントフロム…

ときてLEMONと答えるあなたは相当なジャンプ通です。ちょっと違います。
空欄には“マチルダ”がイン。LEMONではなくてLEONのほうね。

{netabare}ゲイリー・オールドマンがキロちゃん、ジャン・レノが谷垣、ナタリー・ポートマンがインカラマッ。
例の#24が利いてきます。刺されてもナイフを放さなかったインカラマッの背景があって、彼女に惚れてる谷垣が取った行動だから成り立つ感動。愛ですよ、愛。{/netabare}


■情報将校のリアリズム

“北”がわかりやすいです。国力や軍隊弱めな国こそ情報戦に力を入れるわけであの頃の日本がそう。
すごい端折るとレーニンって人に「お前は共産主義を知らない」と説教した明石元次郎に代表されるようにけっこう我が国も頑張ってたんだぞというのがわかる描写がちらほら。

{netabare}サーカス一座の座長とか、それと若かりし頃の鶴見中尉とかね。きっちり草を仕込んでます。{/netabare}

スパイのお仕事はほぼヒューミント(対人工作)。自ずと人たらしが適任だとなるわけでございます。
特務機関第七師団のリアリズムでいえば、3期前段の鶴見中尉の判断でしょうか。樺太は陸に国境線のあるエリアで国境越えも見越していれば軍が動くのはまずい。自ずと少数精鋭という選択になります。金塊ゲットの大目的を果たすのに優先すべきはアシリパの確保なのに、そのために増員するみたいなのをしないことで作品に説得力が生まれます。
数多ある目的に向かって一直線、そしてそれを良しとするわかりやすさ重視作品を私は否定しません。けどね…ってやつです。リアリティとエンタメがほどよく同居してるのがこの作品の凄味ですね。

その文脈でいえば
{netabare}デカいロシア人に躊躇しない帝国陸軍のみなさんも説得力あったかしら。{/netabare}

実際のところ単純に白兵戦が強かったんですよ。それで情報戦も必死でやってた20世紀初頭です。ロシアの有名な格闘技“サンボ”だってソ連時代に開発されたもの。そら相手も対抗手段打ってきますよね。我が国だって強くあり続けるには日々精進しなきゃいけないんですけど今はどうなんですかね。身体デカいの出てきたらしっぽ巻いて逃げそうな21世紀です。


■(余談)革命勢力の非リアリズム

「未来を託すため…アシリパは山で潜伏し戦えるようゲリラとなって戦えるよう仕込んだ。私の娘はアイヌを導く存在となる…」

{netabare}史実では榎本武揚が結んだ明治初頭の千島樺太交換条約を機に、作中でいうところの樺太・北海道・千島とちりぢりになってるアイヌを統合して独立国家をという目論見でした。アイヌらとはまた違う角度から土方歳三も独立国家設立と似たようなこと言ってました。

先のリアリズムと対極にあると思えるのが、時期的に無いとおかしい共産勢力の影が微塵も感じられないことです。キロランケがタタール人だったとありますが、同じタタール人だったレーニンのオマージュだったりするのかしら。
視点が分散するのでエンタメと切り離してこのへん触れないのは正解だとは思うんです。ただアイヌ銘柄はとってもデリケート。そっち系の人たちが浸潤してることや赤い大地と噂の北海道全面協力のCMアピールを見るに、下手な革命礼賛メタとかやらないかちょっと心配です。

革命アイコンに祭り上げんとする思惑からアシリパさんを守りたいとする杉元を応援したいですね。{/netabare}


軽く悶々としたものの、さらに濃度が増した変態どもの男祭りに酔いしれることができた3期でした。
ストーリー的には…
{netabare}キロランケの終活。想い出巡りの旅で本筋進んだか進んでないんだかよくわからんとです。

IFストーリー:アシリパさんが地元でエタラと再会し「オオカミ。あ!そういや思いだした!」なんてのだったら情緒もへったくれもなかったはずなのでオーケーですな。{/netabare}



視聴時期:2020年10月~12月 リアタイ視聴

-----

2020.12.26 初稿
2021.10.16 修正

投稿 : 2024/05/18
♥ : 47
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

オホーツクに消ゆ

ジェノスタジオ制作。

明治末期の北海道を舞台にした、
金塊をめぐるサバイバル歴史活劇。

網走監獄での大騒動のあと、
のっぺら坊の足跡を求めて北上する一行、
舞台は極寒の樺太へ、2人の再会は叶うのか!?

物語の背景に、当時の風土が配置され、
奇天烈なキャラクターが数多く活動している。
愉快な演出と殺伐とした混迷の時代の空気、
視聴者に媚を売らない姿勢は勇ましい。
相変わらずの狩猟グルメも健在で、
こういった演出も魅力なのでしょう。

金塊の先にそれぞれが描く未来がある。
まだ貧しいが猛烈な生を実感する物語である。

夢にしぶとい、生にしぶとい、
不死身の杉元とは精神性なのだ。

11話視聴追記。
終幕に向け急上昇である。
{netabare}ここが3期のハイライトであろう。
民族、信仰、革命、そして国の行く末、
物語の源流が語られ志士たちは奔走する。
魂がひりついてくる。{/netabare}

最終話視聴追記。
{netabare}物語の空白が埋められていく、
金塊争奪戦は佳境を迎えようとしている。
時代はどの陣営を選ぶのでしょうか。{/netabare}

期待して続報を待ちたいと思います。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 41

74.0 4 2020年度の犯罪者アニメランキング4位
憂国のモリアーティ(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (272)
1043人が棚に入れました
19世紀末。産業革命が進む中、着実に勢力を拡大し栄華を極めたイギリス。しかし技術の進歩と発展とは裏腹に、古くから根付く階級制度によって、人口の3%にも満たない貴族たちが国を支配していた。当たり前のように特権を享受する貴族。明日の暮らしもままならないアンダークラス。人々は生まれながらに決められた階級に縛られて生きている。ウィリアム・ジェームズ・モリアーティは、そんな腐敗した階級制度を打ち砕き、理想の国を作り上げるために動き出す。シャーロック・ホームズすら翻弄した“犯罪卿"モリアーティ。犯罪による革命が、世界を変える――

声優・キャラクター
斉藤壮馬、佐藤拓也、小林千晃、日野聡、上村祐翔、古川慎、小野友樹
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

目的は手段を正当化する

原作未読 そういえば原典も未読


 これはかの名探偵シャーロック・ホームズをすら翻弄した
 犯罪狂モリアーティ教授の物語


海外ミステリだとアガサ・クリスティは読んだことあるけど超有名なシャーロックホームズは未経験です。おおむね三毛猫ホームズ止まりな私。
その赤川次郎氏の連作『三毛猫ホームズ』だって数多あるオマージュ作品の一つ。アニメでも“家頭”と書いてホームズと読ませる京都の骨董品屋のお話をついぞ最近やってたり。ホームズの冠をつけなくても『ミシシッピー殺人事件』たしか助手の名はワトソン、と匂わせグレーゾーンを漂ってみたり。この二人の名前を出しとけば謎解きものであることを万人に共有せしめる現代用語の基礎知識。

とどのつまり説明不要な名作をモチーフにしてるわけで。そしてこの私。ホームズとワトソン君とベイカーストリート何番は知っているものの本作の主人公モリアーティは初耳。
知っていれば視聴前にもろもろ脳内整理できたかもしれません。あ、そういう人がいるのね~とニワカ全開で本編突入しました。

原典の挿絵みると禿茶瓶なおっさんですが、本編はそのおっさんの若かりし頃ということでブロンドイケメンになってます。こういうの元ネタ知ってると差分を楽しめそうですね。

 主人公の敵役で稀代の悪党の前日談

STARWARSのepisodo1であのダースベイダーの幼少期をかわいらしい少年が演じたのと同様に、人は無垢で生まれ何かのきっかけや積み重ねで進んではいけない分岐へと歩を進めた物語になってそうです。「なってそうです」と推定なのは分割2クールの前半だから。断定するにはちと早いのでお預け。
彼(モリアーティ)にとってのきっかけは『階級制がもたらす不条理』ということになるのでしょうが、そこの描かれ方を好意的か否定的かどのように捉えるかによって作品評価が分かれそうな印象です。私はやや好意的に捉えた側。来たる後半戦も観るつもり。

原典をご存じの方はその差分を探ってもよし
私みたいなニューカマーは100年前の英国の空気を浴びにいく心持ちでよろしいかと。

ちなみにタイトル『憂国のモリアーティ』。
どこらへんが憂国かをなんとなく理解できる仕様になってるのは好感です。
リスクを丁寧に潰していき真相に迫らんとする探偵ホームズと、完全犯罪をもくろむモリアーティ。方向や立場は違えどアプローチは似たようなもんだというツボもおさえておりますね。
奇抜さよりも丁寧な仕事。作中のライバル二人の仕事ぶりよろしく、アニメ制作もなんやら怪しいとこありますが少なくともきっちりやろうという姿勢はうかがえた手堅さを感じる一品となってます。


なお、CVさん歌唱の主題歌は映像含め楽しめました。
{netabare}ゴールデンカムイ尾形弟の役をされてた方ね。いい声だわ。{/netabare}



※ネタバレ所感

■目的は手段を正当化する

謎解きよりも稀代の犯罪者の生成過程に興味が向いた本作。スパイスとなるはイギリスの階級制度。

 なんでこの人そうなったん?

共感はできませんが説得力はあったかなぁ…。

{netabare}貴族階級の傲慢さへの怒り。それを許してる社会への怒り。根本となる階級制度の破壊を志向していくことになります。階級制度そのものについては長くなるので割愛。

受け取ったメッセージひとつは破壊志向、アナーキズムの限界といったらいいでしょうか。とある不満があったとして「それを破壊orガラガラポンしちゃえ!そしたら万事ハッピー」って発想は規模が大きくなるほど難易度が増し国家規模ではまず不可能。やらかしたら歴代とてつもない混乱を経て落ち着く以外に例外はなし。フランス革命もギロチン送りしてすぐ革命勢力は瓦解したでしょ? 明治維新だってガラガラポンに見えて禅譲だし、それでも鳥羽伏見や戊辰戦争が起こるくらい急激な変化には相応のハレーションがつきものです。現実は粘り強く改善するのが近道だったりします。
それ(地道な改善)を放棄したらこうなりました!がモリアーティだったかと。起点は“憂国”で理想をぶつ姿に魅力を感じるやもですが、実際の行動は崇高(仮)な目的と合致してません。しまいには目的そっちのけに見えてしまってるところが“あるある”だなぁと思って眺めてました。そのうち“貴族”だけがターゲットだったところから“労働者”に刃が向くんじゃねーの?と予想してます。手段が目的化することで本末転倒になる。その時のモリアーティ一派の心情の機微に注目したい。{/netabare}


{netabare}ふたつめは善意の思考停止。来たる後半ではモリアーティ家の義憤にかられたお兄ちゃんにも注目したい。冒頭、モリアーティと共謀し自分の家族をポアしちゃった少年です。高貴なお方がもつ富める者特有の後ろめたさからのダークサイド突入。西園寺公一や近衛文麿なんかそんな感じでしょ? 前者は意図的、後者は無自覚に国家を破壊へと導いたってのが一般的な見解です。ヘタに力があるだけに悪影響は絶大なのよね。
だからこのお兄ちゃんに「で、英国の階級制はどうなったん?」と当初の目的に関しての結果報告を求めたいですね。きっと答えられないか「道半ば。俺たちの革命はこれからだ」的回答になることでしょう。彼らが軌道修正する可能性はゼロに等しく、常に搾取されていると自己肥大化させ続けているのです。犯罪を正当化する理由なんてないのにね。

あくまでモリアーティ視点なので貴族階級層の人間が持つ良い点、ノーブレスオブリージュみたいなのに作品では触れてません。目が曇り見えないのかあえて蓋をしてるのか、おそらく両方あるのでしょう。
ノーブレスなんちゃら“持てる者の責任”と言われてピンとこないかもしれませんが、直近なら鬼滅の煉○さん思い出していただければよろしいかと。あれがノーブレスオブリージュの好例です。
さすれば少しは貴族層に好意的な視線も注がれそうですが、彼らがそうなることはなく、支配構造を終わらせるには、敵を倒し、社会を変えるしかないとの思考から抜け出せません。妥協したら引きずりおろされますからね。そもそも支配者階級と彼らが考えている層を“支配を維持・強化することしか考えていない悪人”と捉えています。となれば耳を塞ぎ純化の道まっしぐら。
そして倒した後のことは考えてません。“倒せば良くなる”それだけ。
後に控えるさらなる受難そっちのけで○獄さんに向かって「偉いんだからてめーが責任取れ!タヒんでこいや!」が基本姿勢の彼らに一般人はドン引きすることと同じです。{/netabare}


{netabare}最後みっつめは犯罪コンサルタントというポジション。いいですよね姑息で(笑) 当事者にならず批評家のポジションに安穏とする。ここはシンプルに“四列目の男”。モリアーティその人は、お遍路好き元総理のものすごく頭の切れるバージョンにしか見えなかった私でした。
だってすでにブロンドイケメンな若い頃にホームズと交錯していて、禿茶瓶になる程の年月を重ねるまで逃げおおせたわけでしょ?(適当) 改革を口では標榜しそれでいて矢面に立たない。いくらイケメンで弁が立とうが私は信用しません。

そこはしっかりと悪人に嫌悪感を抱かせる仕上げをしていたともいえ、キャラ設定よい感じでした。{/netabare}



階級社会へのアンチテーゼはまあよいとしてその解決に導く方法論が間違ってると思わせる一品。
だからこそキャラの口からあちら界隈の用語でいう“総括”を聞いてみたい。

 アンチ貴族社会の理念のもとに行動した結果有効打を打てたのだろうか?

そしてそのしどろもどろの言い訳をニヤニヤしながら「まあそのへんがきみらの限界だよね」と侮蔑する未来を想像しながらSっ気全開で待機します。
{netabare}…とここまで煽ったところで語られることはないでしょうね。逃亡/責任回避は彼らの常套ですから。{/netabare}



視聴時期:2020年10月~12月 リアタイ   

------


2021.02.28 初稿
2021.09.30 修正
2022.06.02 修正

投稿 : 2024/05/18
♥ : 42

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

もちろん、あのモリーアティです。「憂国」は、なるほどそういうことなんですね…。<シャーロック・ホームズ>シリーズのメインキャラクターが軒並み登場!

[総評]
お話は<シャーロック・ホームズ>シリーズのジェームズ・モリアーティが何を同期に事件を起こしたかという観点の二次創作ものです。

ウィリアム・ジェームズ・モリアーティのやっていることは「毒を以て毒を制す」じゃないですが、素直に「ダークヒーロー物」と思うのか、それでも「社会秩序を破壊しようとしているテロリスト」と思うのかは視聴者の価値観にもよりますよね。

「貴族がやっていることが横暴だから民衆のために制裁する」というのは崇高な理念とも捉えられますし、単に彼が楽しみたいだけのお題目なのかもしれません。

もっともシャーロック・ホームズの側も、名探偵ではあっても必ずしも人格者であったり正義の味方であったりはしないわけで、謎に挑みたいという欲求を表に出しているぶん正直な人だとは言えます。

とりあえず二人の関係については、才能を持つ者同士が違う立場に立った結果として対決するというまさに「ライバル関係」といえるんだと思います。

物語は必ずしも勧善懲悪である必要はないので、フィクションをフィクションとして楽しめるのであれば本作を面白いと思える素養は充分にあると言えそうです。

== [下記は第4話まで視聴時のレビュー: 以下、追記あり。] ==
第4話まで視聴時点でこのレビューを書いています。

コナン・ドイル作の「シャーロック・ホームズ」シリーズにおいて、「犯罪卿」として名を馳せるジェームズ・モリアーティ。

本作はそんな彼が「犯罪卿」となる動機として十九世紀末のイギリスにおける階級格差の解消を掲げる、異色のクライムサスペンスです。

ジェームズ・モリアーティに兄弟がいるという設定は「シャーロック・ホームズ」シリーズから引き継がれたものですが主人公ウィリアム、兄アルバート、弟ルイスの名前は本作オリジナルのものですね。

当然ですが主人公ウィリアム・ジェームズ・モリアーティは犯罪を仕掛ける側です。基本的には特権階級に属さない「被害者」がただ揉み消されてしまう悲嘆に明け暮れているところを「クライム・コンサルタント」としてウィリアムが復讐をサポートするというストーリーであるようです。

第1話ではストーリーのテンプレートとして労働者階級や貧民の少年たちが巻き込まれた猟奇事件の犯人の特定と、被害者の父親による復讐をウィリアムがサポートする様を見せてくれました。

第2、3話の前後編ではクライム・コンサルタントとなるに至ったジェームズ・モリアーティ三兄弟の生い立ちが描かれ、第4話では使用人に恨みを買った子爵が復讐される様が描かれました。

ということで作品との相性は概ね第3話か第4話まで観れば判断できると思います。私は結構面白いと思っているので、このまま視聴継続予定です。
== [第4話まで視聴時のレビュー、ここまで。] ==

2020.12.3追記:
第8話まで視聴終了。サブタイトルは「シャーロック・ホームズの研究 第1章」で、これは元々の「シャーロック・ホームズ」シリーズの第1作『緋色の研究』へのオマージュなんでしょうか。

第6話でのシャーロック・ホームズに続いて、ついにジョン・H・ワトソン登場です。人名は小説準拠のようですが、事件自体はいろいろとアレンジされている模様。

2020.12.8追記:
第9話まで視聴終了。ラストのカットでのワトソンの日記(?)の開かれたページの左上には「A STUDY IN SCARLET」の文字(原作のタイトル: 邦題『緋色の研究』)が書かれていましたね。

2020.12.29追記:
最終2話(第10、11話)で前後編を持ってきました。ウィリアムとシャーロック・ホームズが直接対面するストーリーでしたね。

二人が互いに興味を深めて、さらにストーリーには王室関係の何かがありそうな描写で2021年4月から予定されている第2クールへの良い助走だったと思います。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 35

大貧民 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

面白い。だが、残念ながら原作を端折ってる。

メインキャラ全員が少女マンガ風のイケメンばかりで、少年誌連載の漫画っぽく無いのだが、物語としてはけっこう面白い。
原作は、ジャンプ+にて公開されているのを読んだ程度。
原作の一話目はアニメでは、二話目から。
アニメではよくある一話目に通常回をもってくる手法。
原作に比べると、微妙に細かなエピソードや展開が違っている。尺の問題もあるだろうが、かなり勿体ない。
もう少し、詰め込んでも良い気がする。
原作だと、モリアーティ達に退治される側は、もっと悪人エピソードが多いのだが……。
原作のほうが良くできている気がする。
アニメの方も人に勧められるほどには、面白いのだが、ちょっと残念。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 5

63.7 5 2020年度の犯罪者アニメランキング5位
pet(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.1 (168)
552人が棚に入れました
人の脳内に潜り込み、記憶を操る能力を持つ者達がいた。彼らのその力は、事件の揉み消しや暗殺など、裏の世界で利用されてきた。人の精神を壊すほどのその力は、同時に彼ら自身の心を蝕(むしば)んだ。彼らはお互いを鎖で縛り付け合うように、脆く危うい心を守った。彼らは恐れと蔑みからpet(ペット)と呼ばれた。

声優・キャラクター
植田圭輔、谷山紀章、小野友樹、加瀬康之、咲野俊介、M・A・O、遊佐浩二、飛田展男
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

飼い猫に手を噛まれる

原作未読


視聴動機は山本幸治氏。ミスター赤ヘルではありません。
ノイタミナのチーフプロデューサーやってて、フジ辞めてアニメの会社作った人。

彼が携わった『ゴールデンカムイ』『ヴィンランド・サガ』あたりはそのクールで一番面白いと感じたくらい相性は良いです。
今回の『pet』はサイコなサスペンス、サイコなミステリといったところ。同じく彼の手掛けた『PSYCHO-PASS』や『バビロン』の系譜です。『バビロン』はとりあえず脚本家のせいにしときます。
他は『どろろ』なんかもそうですが、人間の内面どっちかというと闇を逃げずに捉えて視聴者に提供したいという意思みたいなのを感じるアニメーターさんです。


では作品に戻ってあらすじ概要。
人間だれしも記憶の中に“ヤマ”と“タニ”を持っているという前提。語からイメージするような“ピーク”と“どん底”という理解で間違いないと思います。この“ヤマ”もしくは“タニ”をいじくると過去の記憶改変ができたり未来の行動を変容させたりすることができます。
そんな“ヤマ”や“タニ”をいじくれる能力者たちが本作の主人公。ヒロキ(CV植田圭輔)と司(CV谷山紀章)を中心に物語が進みます。なお“ヤマ”や“タニ”を破壊する行為も可能でそれしちゃうと心神喪失となり廃人化します。
けっこう大きな能力なんで悪巧みに使い放題。作中では“会社”と表現してましたが、とどのつまり裏組織。この異能を用いて裏稼業に励んでいる世界に生きる人たちのお話です。
それと重要なこと。“ヤマ”や“タニ”をいじくれる能力者はその意味を重々理解しているため下手にいじくられないよう“鍵”をかけてるもんなんだそうです。この“鍵”の存在も完走された方は重要さ加減がお分かりだと思います。


なおヒロキ役の声優さんが舞台との兼務で本業の方ではありません。こういう人間の精神内面に侵食するような物語での素人起用はだいぶ削がれることを実感しました。
あと重要なとこで『らんま1/2』シャンプー以来のめちゃくちゃ可愛い「ウォーアイニ―」を聴けた。
先述の会社というか組織のボスは大陸です。中国人なので作品では北京語が乱舞します。言語が分からないと字幕に頼らざるを得ず、画面に食いついてないとついていけません。
ながら観、ダメ、絶対、です。ちょっと携帯いじってると途端に話が見えなくなってくるのでご注意を。
{netabare}そんななかでのめちゃくちゃ可愛い「ウォーアイニ―」。『我愛你…』これくらいわかるっしょ?と言わんばかりに『我愛你…』と日本語字幕の仕事をしてませんでした。こういう演出好きです。{/netabare}


全13話。けっこう楽しめました。きちんと区切りをつけて最終話を迎えたことと納得感のあるラスト。
それに序盤と終盤でキャラクターの好印象/悪印象の逆転などストーリーで魅せてくれたこと。OPのTK起用はクセみたいなもんかな。なんだかんだ気に入ってます。



※ネタバレ所感

■キャライメージの逆転

お見事でした。
{netabare}司が破滅に向って壊れていく様。会話の音声とモノローグを被せる演出をしててそこでの狂気の発露がいい感じでサイコしてました。演者さんのファインプレーです。
一方の桂木は反則でしたね。記憶の改編で愛する者の記憶が抜けてたり、家族を持つのが夢だとの結実がああだったりと哀戦士してました。
さわやかナイスガイがゲス野郎化していくのと、うっとおしいおっさんでいかんなく小者っぽりを発揮してたのが実はってのも良かったです。{/netabare}


■ヤマ親とpet

“ヤマ”“タニ”“鍵”と同じくらいキャラの相関性を一言で表す“ヤマ親”の概念もキーワードでした。

{netabare}盃を交わした893のようなものと理解してます。子は無自覚に忠誠を誓うまさにペットみたいな存在。親はそれよりもやや俯瞰して見ているようなそれでいて子への執着は感じられる感じ。

(例)子→親
・ヒロキ→司:反抗期みたいなものはあるが極めて従順。
・司→林:多重人格者みたいなサイコっぷりを発露。
・悟→林:極めて従順。
・メイリン→林:不明。でもメッセージを悟に届けた。

これが逆(親→子)になると
・司→ヒロキ:まあDV親みたいなもん。
・林→みんな:基本的にみんなに対して無償の愛。

司もアレした後は頻繁に嘔吐してたり、人格破綻が生じたりと子→親のくびきを逃れることは不可能でした。親→子だとそれほど縛りははなさそうです。{/netabare}



■習○平さま ※ほぼ無駄話。どうしようもなく暇な方以外は開けないでOK

{netabare}隠し子騒動の7話か8話だったか。

親  「こんなダークな俺だが?」
隠し子「白い猫も黒い猫も鼠を獲ってくる猫はいい猫っす」
親  「はっはっはっお前はわしの息子だ」

みたいなくだりがありました。この猫のやつ鄧小平の有名な台詞ですけど大丈夫ですか?中国で発禁になるんじゃないかと心配です。表向き経済活動活発ですが現国家主席のアイドルは毛沢東。改革開放を進めた鄧小平とは真逆。すなわちどちらのシンパかで今後の出世に響くおっかない世界。
その後隠し子はアレしちゃって一件落着。良いかと思いきや政敵をフィーチャリングしてしまった以上根に持たれてもしかたありません。
そしたら後半。

メイリン「伝書鳩は猫が嫌い」

しっかりと猫つぶし。しかも鳩は2016年軍事パレードでも2019年市民パレードでもウン万羽の鳩を放つなどお気に入り動物。どうやら発禁はまぬがれそうです。{/netabare}


{netabare}鳩>猫の序列となりさぞやご満悦の習近○さまですが安穏としてはいられません。

作品の重要な部分。メイリンという例外があるものの、能力を行使できるのはターゲットに近づいた時だけでした。
パーティなど大勢の人が集まってるところで給仕に成りすまし近づくとか、近づいて会話の拍子に手を握るとか、密室で無理やりとか、とにかく間合いを詰めないといけません。


 {netabare}多くの人が密集(しゅう)
 近接での密接した会話(きん)
 換気の悪い密閉された空間(ぺい){/netabare}


とりあえず、今しばらくはしゅうきんぺいを避けたほうが良いでしょう。
さらっとメタで体制批判を仕込んでるならスタッフは有能だと思います。{/netabare}



視聴時期:2020年1月~3月 リアタイ

-----
2020.10.16 追記

無駄話の記載内容は寄稿から半年も経つと賞味期限切れてるんじゃないかと思えるものだが、特異な時期でもあったので当時の皮膚感覚を思い出せるよう残しときます。


2020.04.11 初稿
2020.10.16 追記

投稿 : 2024/05/18
♥ : 30

アニメ好き さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4

ツインエンジンって頭おかしい

バビロンみたいなアニメでした
バビロンで善か悪かを説いたあとに
今度は山と谷があるですか。

なんか世界を二分した意味深ストーリーを流して、視聴者の不安を煽るような気持ち悪い演出して、中二病みたいなオープニングとエンディングを流せばツインエンジンのアニメになると言っても過言ではないのでは?芸がなさすぎ 作画もひどい

オープニングのバイクブルンブルンツインエンジン見たらこれからは あ、また訳のわからんアニメ始まるんやなと思うことにします。

2話以降は適当に飛ばしながら見ます
面白くなったら奇跡

投稿 : 2024/05/18
♥ : 6
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

「ヤマ」と「タニ」が「カギ」???

原作未読。最終話まで視聴。

最終話まで視聴してみた感じたこと。

{netabare}要するに、記憶操作系の話なんだよね?
「ヤマ」と「タニ」は何となく意味が分かったけど、一つずつしかないところがよく分からない。
「カギ」に至ってはチンプンカンプン。

記憶操作に中国マフィアが絡んでいる?
何故?マフィアっぽくないなぁ?

ところで、この作品の主人公って、結局誰なんだ?
ヒロキ?司?悟?
最初は桂木、途中までは林が主人公だと思っていたんだけどなぁ・・・(笑)。{/netabare}

まあ、こんな感じで、最後まで視聴しても、よく分からない作品でした。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 13

76.0 6 2020年度の犯罪者アニメランキング6位
GREAT PRETENDER(TVアニメ動画)

2020年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (352)
1477人が棚に入れました
自称"日本一の天才詐欺師“枝村真人。その日も相棒の工藤と2人で浅草観光に来ているフランス人に詐欺を仕掛けてひと儲け…のはずが、逆に騙され大金を奪われてしまう。その男はローラン・ティエリー、マフィアさえ手玉に取るコンフィデンスマンだったのだ。ローランが仕掛ける桁違いの<コン・ゲーム>に、枝村は巻き込まれていく…!!

声優・キャラクター
小林千晃、諏訪部順一、藤原夏海、園崎未恵
ネタバレ

Takaさん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

エダマメと金髪クソ野郎

confidence man(信用詐欺師)モノ。

背景が、たまに原色のみで構成されている場合があり、
個人的には、目が疲れた。

15話~23話
{netabare}
詐欺師引退をローランドに告げて、帰国する枝村。
しかし、ローランドに騙され、893のフロント企業に就職。

朱雀あけみをどう騙していくのだろうか?

しかし、金髪クソ野郎は、今回もエグイなぁ。
枝村の人身売買で捕まった父親と会わせるとは…

17話で、父親に裏切られ捕まり、アビーとシンシアを
父親が撃つのだけど、激昂した枝村が父親を撃ち、
朱雀あけみの多大なる庇護を受けることに。
ローランの過去を父親が知っているようだったけど、
上海以外、みんなグルなのかな?

19話、村枝父、昔からコンフィデンスマンとか…
上海マフィアは壊滅だろうけど、朱雀あけみは、
枝村家と関係あるのかな?

最終話で、エダマメが、あけみと失踪した息子を繋ぐのは、
甘いなぁお思ったけど、過去騙された奴らが協力するのは、
無いでしょ?と思った。破産させられたわけだし。

挙句、シンシアが生きていたとは…
一番面白い章だっただけにオチが残念。
{/netabare}

11話~14話
{netabare}
まーた、堅気の仕事がしたいって、枝村…

今回は、イギリスの画商を騙すみたいだけど、
シンシアと何かあるみたいね。

2000万の価値のある絵を2万で売った枝村も大概だけどw

シンシアの復讐と過去(元彼)との清算編だった。
そしてまたしても、枝村がやらかし、ホンモノをコールマンに渡すとは…
{/netabare}

6話~10話
{netabare}
2年間のお勤めを終えた村枝。

刑務官の紹介で行った先の小さな修理工場で働き、
親方から、空の世界で戦ってこい!と𠮟咤激励され送られた先は…

村枝が主人公というより、ローランだよね。
もしくは、巻き込まれ体質主人公か。
今度のターゲットは、産油国の2人の王子。

産油国の2人の王子から、金を騙し取るより、
アビーの過去と、そのシコリの解?解放回だった気がする。
{/netabare}

1話~5話 ハリウッド編
{netabare}
おっちゃんと組んで、外人をカモったつもりが…
逆に外人にカモられ、場当たり的にハリウッドへ行くことになった村枝。

ローランが、これから商談があると、村枝に告げると、どちらが、
大きな金額で騙せるか勝負へと…

しかし、そこは、ギャングのアジト。
結果、前々から仕込んでいたローランが勝つのだけど、
日本でも、村枝関連の人物全て買収しとくとか、
自称日本一の詐欺師村枝より、数段格上だよね。

まさかのFBIの敏腕捜査官ポーラまで、コンフィデンスウーマンだったとは…
凄く面白いハリウッド編だった。

村枝は、帰国し、自首したけど、今後の展開は、どうなるんだろう?
気になって仕方がない!
{/netabare}

投稿 : 2024/05/18
♥ : 4
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

アット ピンホール

WIT STUDIO制作。
キャラクターデザイン貞本義行。

ロス・シンガポール・ロンドン…、
世界を股にかけた壮大なコンゲーム開幕。
ローランが仕掛けた桁違いのマネーゲームに、
自称天才詐欺師・枝村は巻き込まれていく。
良質なクライムエンタテイメント。

絵の強さ、色彩の強さに驚きます。
巻き込まれ型のドタバタ劇の中で、
コミカルな演出が効果的に発揮されている。
カラフルなBLACK LAGOONでしょう。

音楽も素晴らしい。
ED曲がフレディマーキュリーって。
彼の透き通った伸びやかな声が夏に心地良し。

娯楽性抜群のシンガポール編から、
舞台はニース、そしてパリへ。
そこは本物の芸術と贋作の世界。
{netabare}若き日のシンシアと画家トーマスの記憶。
夢への情熱と悲哀、愛、決別。{/netabare}
きっと若き日への追悼の物語だ。
降り積もる雪のように心に染みて泣ける。
誇りを胸に生きたいと願う僕たちの物語である。

最終配信視聴追記。
チームはこうして生まれた。
愉快な面々の懲りない犯罪劇終幕。
楽しむには続けて観ることをお勧めしよう。
ラストカットも素敵ですね。

ぜひ皆さんもお楽しみ下さい。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 43

snow さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

ふつーのぷりてんだー<59>

初回はコミカルな小口詐欺がバンバンと繰り返されたところからドカンと転換と、なんとすごい脚本引っさげてきたんだと思ったんだけどそれ以降はなんか普通って印象。

実写畑からということで違いを感じたのは、設定・キャラを練り込んでタダの絵に生命を吹き込むというアニメ・漫画の常道から外れてて、エピソードの積み重ねの結果がキャラです、みたいな。
実写だと俳優のキャラでまず構成されるみたいなところがあるからかな、例としては高倉健・吉永小百合で季節ごとにプログラムピクチャー作ってたのとかキムタクドラマとか。
であるからか、は定かじゃないけどなんか主役のキャラがぶれてたような。最初のヤマで稼いだ金を投げ出して前科つけて服役までして足を洗ったのに、騙されて連れてこられたらまた詐欺集団に逆戻りしたり。

あと、シンシアが困ってる人にあっさり金あげてきたり、ちょっと安易な行動も目につく。
安易といえば、最後の詐欺でいままで騙してた被害者が何故か和気あいあいと協力・見物しにきてたりとか、それ経緯の説明いるだろー。
えんえんガチャポン人形を出してたけど、小道具の域をでなかったりとか。そんなもんで最初に詐欺集団にのるかそるか決めちゃってるし。
そういう安易さは詐欺が成功するか?で作ってる話と相性悪いやね、結局相手が騙されましたーとか実はこんな用意してましたーでどうとでもなる話だし。
とはいえ、オリジナルアニメの中では面白い方ではありました。別業界からの刺激というあたりからも貴重でありましょう。

あるぇ?<65>
3話まで視聴。
主人公がデカイ詐欺案件から手を引かず食らいついた要因となってる?のが豊臣秀吉?
ん?2話まででなんか秀吉人形に思い入れポイント作ってたっけ?
なかったのか、あったとしても印象薄くて覚えてないのか、どっちにしても物語の主軸に伸るか反るかのところでそれはどーなのかな、と。
あとハル・ベリーちゃん入れた3人組で交渉に来てたらバレバレじゃないのけ?
脚本勝負の作品で脚本で躓いてるとこが目立った回だけど、まだまだ面白めではあるので復調に期待。

うむGREAT<75>
1話視聴。
ネトフリでやってたやーつー、と何回か書いてるけどこの作品で初めて「こんな面白いのがやってたのか」と思いましたわ。
まあ「やっと有料配信に見合う作品がでてきたか、たった一本・・・」という認識もございますが、まずはポジティブな言葉をね。
ドラマ映画畑の脚本家の起用が当たったのかしら。
割と鮮やかめの詐欺描写で主人公をアゲてからの、とお見事な初回の脚本。
トゥルー・ロマンス、ベストキッドと映画パロもハリウッドな背景に合ってていい感じでしたわ。
EDでは新人アニソン歌手のフレディ君(故人)が一生懸命歌ってましたね。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 6
ページの先頭へ