2012年度の平安時代おすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2012年度の平安時代成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月11日の時点で一番の2012年度の平安時代おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

65.3 1 2012年度の平安時代アニメランキング1位
超訳百人一首 うた恋い。(TVアニメ動画)

2012年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (371)
1669人が棚に入れました
はるかな昔から、歌い継がれ、愛されてきた百人一首。 藤原定家が選定した百の和歌には、現代の私たちも共感できる 普遍的な“人の思い”がみごとに詠みこまれている。 とりわけ、「恋」の和歌にこめられた思いは、驚くほど昔も今も変わらない。 そんな百人一首の深い魅力を、恋の歌を中心に、アニメと超訳でわかりやすく お届けします。

声優・キャラクター
梶裕貴、諏訪部順一、早見沙織、遠藤綾、内田夕夜、千葉進歩、下野紘、大原さやか、遠藤大智、小林沙苗、森久保祥太郎、宝木久美、代永翼、佐藤祐四

Key’s さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

これは昔の人が記した恋の記録の物語

原作は知らないですが少女マンガっぽい雰囲気ですね
まさにダークホースでしたw
期待せずに見てたら意外と面白かったですw

僕が恋の話が好きなのと
国語が好きなのが上手くハマった作品w

もちろんキャラの性格や見た目などは
史実とは違うが
別段気にはならなかった

歌の解釈はいろんな解釈があると思うが
こんな風な軽い感じであっていると思う
良い感じで史実とフィクションが混ざっていて
物語として面白かった

OPがすごく気に入った
作品とも合っていたと思うし

1話完結なので流れとかは
特に気にせず気楽に見れた
途中からでも普通に楽しめると思う

まぁ知っていたがやっぱり
失恋の歌が多いなw
その分やっぱり実らない悲しい恋が多かったな・・・
個人的には2話の陽成院の話が一番好きだった
感動もできた

何気にギャグも好きw
あのいきなり始まったわけが分からない
カードバトルとかw

恋の話や国語の短歌や歴史が
好きな人は絶対気に入ると思う
その分短歌とか嫌いな人は
感情移入しにくいのかな?

僕は楽しめたので
恋の話好きにはおすすめしたい作品ですね♪
何気に二期を希望(無理かなw?)

投稿 : 2024/05/11
♥ : 54
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

<最終回まで視聴完了> 恋する想いはどれほど時代を経ようとも

<最終回の感想>

百人一首の選者であり、全話を通してパーソナリティ役を務めていた定家が
今回の主人公となり、とてもきれいにまとまった最終回だった。

この作品が一番言いたかったこと。
定家自身もそう想って百人一首を選んでいたのではと
思わせてくれるような説得力があった。

また全話通して、当時の身分の差からくるせつなく哀しい想いや男女のルール、
雅やかな衣装と歌の世界を、現代語を交えた斬新なシナリオで見せ
わかりやすかったし、引き込まれたエピソードも多かった。
結局、どれほど時代が変わっても、やはり恋というものはいつの世も
同じ想いに駆られるものなのだということを、時には面白おかしく
時には親心なども交えて幅広い世代に共感を呼んだのではないだろうか。

キャラデザや作画、演出には好みが分かれるかもしれないし
最新の技術を駆使したスピード感あふれるアニメに慣れた人からは
いくらか退屈な部分があったかもしれないけれど、そのあたりは
平安の世を描いていたからこそ、逆にこれで良かったのかもと思うし
個人的には毎回楽しみにできた大好きな作品の1つになった。

残念ながら1クールだったので当然百首には叶わず、恋を詠んだ歌も
まだまだ他にあるのだけれど、仕方ない。
でも最近また、百人一首の解説本を引っ張り出して読んでいたりして、
そんなきっかけを作ってくれた嬉しい作品だった。

今回の最終回で式子が言った言葉・・・
{netabare}
「不自由さの中、歌だけが自由で、歌の中でだけは自由でいられるのです」
{/netabare}

・・・あまりにも深く共感しすぎてなんだか耳から離れない。
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<12話の感想>

せつない話が続いて今回は身分の違いから結ばれぬ運命にある2人の悲恋。
身分など考えなければ、ワイルドな雰囲気の道雅と
無邪気で明るい当子はお似合いのカップル。
しかも出会いは当子が幼い頃で、きっかけはとある約束ときた。
同じエピソードの流れを前半は道雅視点で、後半は当子視点で描き
どこでどうすれ違っていったのか、よくわかったけれど
この演出法を25分間の間で見せるのはいささか、もったいない気がした。

それに、娘とその恋人の仲を引き裂いておきながら、
娘の恋路に理解を示してやれないとかで世を墓なんで出家を
考える父親ってどうなの??
いくら天皇だからとはいえ、出家するくらいならその勢いで
娘の想いをもう少し汲んであげても良かったのでは・・などと
思ってしまうのは、半分以上現代風にアレンジされた作品だから
なのかもしれない。

さて来週は最終回のようで・・どんなお話でまとめられるのか楽しみ。

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<11話の感想>

これまたせつないお話で。
そのせつなさは、あの時代の女性同士だからこその部分もありつつ、
現代にも通じるものがあるなぁと。
「女のクセに」と言われながら才気を発揮していった香子(のちの紫式部)と
「女のクセに」と言われながらお転婆の限り腕力をふるった藤子。

「男になんか負けない」と目標を持ち、笑いあっていた年月も過ぎ、
その先に立ちはだかるそれぞれの壁。

藤子に「あなたが男だったら良かったのに」と言われ
かつて父親からも「男に生まれてくれたら良かった・・」と言われた香子が
唯一の理解者であった親友・藤子を想う気持ちは、
痛いほど伝わってきた。
そして再会を素直に喜べないまま無視してしまった藤子の想いも
わからなくはなかった。

視聴しているこちら側としては、双方の心の揺れも昂ぶりも
しっかり観れているから納得するけれども、
当の本人達は電話もメールもない時代で、心を打ち明けるとしたら
それはもう文しかないわけで。

紫式部の「めぐりあひて 見しやそれともわかぬまに
雲隠れにし 夜半の月かな」というあの歌が
焦がれ親しんだかつての友を想うものだったとは、知らなかった。
とはいえ、これは百合的に描かれたまま観るべきものではなく、
幼馴染で育ったという環境が背景にあって、なおかつ
逆境の中でお互いの才能の唯一の理解者だったということが深い友情を
生んだのだし、そこを履き違えてはいけない気がした。
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<10話の感想>

今回は百人一首の中になぜ、定子様の歌が選ばれなかったのか、そして
「枕草子」に清少納言が託した想いとは・・という2つの話だった。
一方、行成とのその後、実方のその後も描かれ、せつなかった。

また、悲運に見舞われた定子の、死の直前に詠まれた歌は
あまりにも悲しいもので。
でも枕草子には、定子との楽しかった日々のみが書かれており、
それを見た藤原定家が何を感じ取ったかは、すごく共感できた。

楽しかった思い出は前向きに今を頑張るためにある。
という言葉がとても印象に残った。

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<9話の感想>

ともに親が有名な歌人であるがゆえに和歌が苦手と言うことで
意気投合した藤原行成と清少納言のお話。
気が合う部分が多くても、すぐに恋愛に発展するわけではなく
苦手な和歌で無理やり、やりとりをするより、手紙の往復。
その文章にしても、会った時の会話にしても、なかなかスパイシー(笑)
一筋縄ではいかない関係に、周囲も無関心になっていき。。
だからなのか、すごく余裕を感じさせるし、面白かった。
でもあんな皮肉ばかり言ってる会話は、実際疲れそうだし
長い期間そんなことしてると本当に友達のままになってしまうよね(苦笑)
次回はそんな2人のゆくえも描かれるようで、すごく楽しみ。

この作品の今までの話を振り返ってみて、小野小町のエピも良かったけれど、
清少納言にまつわるエピは重なる部分や共感する部分が多いからか、
さらに心を揺さぶられてしまう・・

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<8話の感想>

前半は、後の清少納言となる諾子の兄の、遠距離恋愛の話。
信じるものが何も無い人生は死に等しい・・確かにそうかも。
けれど、信じ続ける、想い続けるのは難しく、人の心は移ろうもの。
前半の話にもけっこう共感できたけれど、少し幼い感じがして、
それゆえにか後半の話がとても大人の恋に思え、感動した。

のちの清少納言となる諾子と藤原実方との恋の行方。
彼女の才能を何よりも愛した彼の決断と、その本音。
自分の出世より彼を愛する想いを優先させたい彼女の気持ち。

記憶と重なるセリフや想いに、観ていて思わず
心揺さぶられてしまった。
そして今回、実方の表情が特に繊細に描かれていて素晴らしかった。
気づいたらボロ泣き。
それに今回、前半と後半の2つの話の組み合わせ方が秀逸。

{netabare}
在原業平と同様、光源氏のモデルとも言われた彼、藤原実方。
意地悪な見方をすれば、プレイボーイらしい別れ方なのかもしれないが、
自分が見込んだ彼女の才能が開花した華々しい姿を見届けるために
あえて一緒にならない道を選ぶことや、予想通り羽ばたいている彼女の
成功をみつめながら冗談を交わすそのひそかな愛情は、とても切なく、
そんな身の焦がし方は大人の恋ならではと感じた。

想うままに自分の傍に引き寄せることばかりが愛じゃなく、
あえて突き放したあと、男女の友情を成り立たせてしまう。
実際はそのほうが長続きする関係も多い。
さすがだわ実方様(笑) 鮮やか過ぎて何も言えへん~
{/netabare}

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<7話の感想>

リアルタイムで観た時、ちょっと酔っていてうろ覚え。
2回目観て共感しながら後半爆睡。
3回目観ながら和歌を堪能、もう一度確認したくて4回目視聴。
なぜかこの7話だけ4回も観てしまった(笑)

対照的な男性2人だけれど、どちらもなかなか魅力的。
前半の源保光の娘の素直なしとやかさも良かったけれど
後半の高階貴子の結婚に対しての固定観念がなかなかリアルで
興味深かった。
どっちの結婚が幸せかなんて野暮なことは考えないけれど
観終えた後でじわじわ、いろいろ考えてしまう回だった。

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<6話の感想>

いやはや、番組間違えて録画してしまったかと思ったよw
今回は完全なるパロディ回。
G1だったり、徹子の部屋や新婚さんいらっしゃいだったり、
ホストクラブやカジノも登場~で、設定はしっかりしてるのがミソ。
なかなか盛りだくさんな構成でいながら、よくまとまってたし
最初から最後まで笑い通しだったせいもあり、あっという間に終わったw

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<5話までの感想>

百人一首の中でも、主に恋にちなんだ短歌をテーマにした
コメディ・タッチのストーリー。

平安時代の歌の世界観や人物たちの会話の中、「オタク」や「コスプレ」
「聖地巡礼」や「スルー」などといった流行語や現代語を交えた言葉や
現代訳が登場するので、古典を本格的に楽しみたい方からは賛否両論
あるかもしれないが、間違った解釈はしていないし、現代人にはとても
わかりやすく共感しやすくなっている分、親しみも感じやすい。

OPやEDの音楽も、百人一首の世界を意識した歌詞でありながら、
あえて現代の先端をいくような音楽にしていることに意味があるというか。
短歌という限られた文字数の中に想いを含ませ、恋する気持ちや
自分の本音をしたためた平安時代も、根底に流れている想いは現代と同じ。
時代がどれほど変わっても、恋する想い、愛する気持ちは変わらない
ってことが言いたいのだろう。

恋をすると誰しも、詩人になったりするしね。
また、今の世に名と作品を残している平安時代の歌人もまた、
現代の詩人や作詞家と同じように、歌を自分の居場所とし
形あるものとして残していくことに、自分の存在意義を感じていたのだなと
そんなことを思えると嬉しくなる。

なので史実に基づいた忠実な再現ドラマにするのではなく、
ある程度は資料を基にした関係や事実だとしても、今風に置き換え、
最終的には百人一首を深く理解していれば良いのだと思う。

構成も見やすく、毎話・・その回に登場する詠み人を主人公に
それぞれエピソードを展開ながら想いや交流を描いている。

監督は『ハチミツとクローバー』や『のだめカンタービレ』などで
おなじみのカサヰケンイチ氏
シリーズ構成は『うたプリ』などの金春智子さん。
キャラクターデザインは『君と僕。』『ちはやふる』
『銀河へキックオフ!』のつなきあき氏。
ってことで、スタッフ見ただけでも観る気満々だったが
キャストのほうも、以下の通り豪華な顔ぶれ。
もともと古典は好きだし、もう観ないわけないやんって感じで
今現在、第5話まで視聴済み。

個人的には2話の「貞明と桜子 陽成院」に、ちょっと泣けてしまったり
3話の「宗貞と吉子 僧正遍昭」の、幼馴染であった吉子(小野小町)と宗貞の
兄妹のような関係にせつなくなってしまったり、
5話「東下り 小野小町」での老いてしまった小野小町の想いに
つい共感してしまったりと、毎回飽きることなく楽しめている。

というわけで最終話まで何度か、感想を更新しながら編集していく予定。
なので☆評価はそれまでの間、暫定です。

藤原定家 - 梶裕貴
在原業平 - 諏訪部順一
藤原高子 - 早見沙織
小野小町 - 遠藤綾
良岑宗貞 - 内田夕夜
文屋康秀 - 千葉進歩
宇都宮頼綱 - 下野紘
式子内親王 - 大原さやか
在原行平 - 遠藤大智
弘子 - 小林沙苗
陽成院 - 森久保祥太郎
綏子内親王 - 宝木久美
紀貫之 - 代永翼
喜撰法師 - 佐藤祐四
藤原義孝 - 石田彰
高内侍 - 平田絵里子
藤原道隆 - 楠大典
清少納言 - 茅原実里
藤原実方 - 子安武人
藤原行成 - 寺島拓篤
藤原斉信 - 曽世海司
藤原公任 - 岸尾だいすけ
清原元輔 - 中博史
清原致信 - 豊永利行
末の松山 - 南里侑香
源保光の娘 - 潘めぐみ
中宮定子 - 折笠富美子

投稿 : 2024/05/11
♥ : 47

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

惚れた腫れたは時代を超える

視聴層はおそらく女性向け。
百人一首に名を連ねる歌人達の恋物語を、その歌の内容から想像して創造しているお話です。
歌や文を交わして親交を深める平安貴族の風雅で優美な色恋を綴った素敵な世界。
現実ににそうであったか史実はさておき、メロメロな愛のドラマが盛り沢山な作品となっています。


ストーリーテラーとして、百人一首を編纂した藤原定家が進行を勤めますが、特定の主人公はなく、歌人達の群像劇となっています。
あたりまえですが、各話が百人一首に読まれた歌、またはその詠み人にちなんだお話。
基本的には一話完結形式ですがが、それぞれのキャラクターには繋がりがあって、数話を繋げて1人の歌人の生き様を表現していたりで案外と凝った構成。
小野小町、清少納言、紫式部などなど、誰もが知る有名な歌人、特に女性の扱いが大きいです。

平安の時代、お堅いイメージがありますが、性に関しては結構フリーダムな時代。
加えて貴族ですから、後宮にあがったり寵姫に仕官したりの立場の方が多くて、そっち系にナマナマしいです(〃'▽'〃)
こういうお話は大人の淑女達が好むところですね。
優美で切なさも入り混じった物語となっています。


作画は独特。
線が太く、和柄の貼りつけなどが使用されており、メリハリはありますが、動きはあまりありません。
キャラデザ的にはイケメンや美女をとされるキャラを書いていますが、取り立てて綺麗という事もなくモッサリとした感じ。
嫌悪感はありませんが、決して良質とは言い難い映像です。
歌を詠むシーンなどは気合の作画を見せて欲しかったですが、そういう部分に尽力する作風でもなさそうなので、そこを期待するのも酷な気がします。
アニメというより、動きのある絵巻といった印象でしょうか。

絵で魅せるタイプではないので、キャラの語りと演技が重要。
この点ではベテラン声優さんが頑張っていました。
感情を荒げるような事は少ないですが、恋にまつわる悲喜交々を、気品があって情熱的なキャラとして演じきっているのはさすがです。
雅な雰囲気は決して崩さずに、それでいてコミカルな部分では肩の力が抜けた歌人達。キャラ立ちはどれも良くできていて魅力的です。


ちょっと独特な味を持ったアニメでした。
歴史ものになるので堅苦しいイメージがありましたが、百人一首や登場する歌人は我々に馴染みが深く、とっつきにくさありませんでした。
特に、第一話で詠まれた歌は、古今集より在原業平(ありわらのなりひら)の歌。
↓つまり、これ。

ちはやぶる 
 神代も聞かず竜田川
  たつたがは韓紅に
   水くくるとは

グーゼン?
いや、意識してチョイスしてますよねぇ?^^;

投稿 : 2024/05/11
♥ : 27

62.8 2 2012年度の平安時代アニメランキング2位
アシュラ(アニメ映画)

2012年9月29日
★★★★☆ 3.6 (155)
576人が棚に入れました
15世紀中期、相次ぐ洪水、旱魃(かんばつ)、飢饉で荒野と化した京都。
それに追い打ちをかけるように始まった日本史上最大の内戦・応仁の乱。その死者数・行方不明者はあまりに膨大で、歴史のページには刻むこともできなかった。こんな時代に産み落とされたアシュラは、ケダモノとしてサバイバルを続けながら生き抜いていく。
 そんな時一人の少女・若狭の優しさと愛、そして法師の教えに触れ、アシュラは次第に人間性を備えていく。
言葉を覚え、笑い、喜ぶ日々。しかしそれは苦しみと悲しみの始まりでもあった。やがて天災と貧困が起こり、人間性を失っていく人々。ついには若狭さえも……。
果たしてアシュラの運命は?

声優・キャラクター
野沢雅子、北大路欣也、林原めぐみ、玄田哲章、平田広明、島田敏、山像かおり、山口勝平、水島裕

米麹米子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

眼を、そむけるな

以下はwikiの引用になります。

平安時代末期、飢饉によって屍が累々と横たわり、
ある者達は人を殺して人肉を貪り食らっていた。
その一人である妊娠した狂女は、やがて赤ん坊を産み落とす。
狂女は「アシュラ」と名付けたその子を可愛がるが、
やがて空腹に耐えかね焼いて食おうとする。
その時、落雷によってアシュラは川に押し流され、
岸に辿り着くも誰にも育てられないまま獣同然に生き抜く。

----------------------引用ここまで-------------------------

生まれながらにして悲しい宿命を背負ったアシュラの話です。
久々にダークでエグみがあって人間の醜さ、美しさ、優しさ、汚さを
75分という時間に閉じ込めた事
生きる美しささえ感じさせるのは見事なものだと。

映像不可と言われた問題作ですが素晴らしいです。
カニバリズム描写も入ってる為
この手のお話が苦手な方にはおすすめできませんが
出来れば一度見て欲しい。

胸に詰まる思いと言いますか
色んな人の気持ちがわかるぶん哀しみ辛さもひとしお。
10代の頃に見ていたら確実に号泣していたでしょうね。

原作はジョージ秋山先生。銭ゲバってドラマが有名かな。
監督はタイバニのさとうけいいち。
いくつかの受賞も納得の出来。

何故嫌われるかも怒られるかもわからないであろうアシュラ。
心の底のずっと奥にある優しさを見た時
愛おしいと感じました。

あなたはこの状況で「ひとでなし」でなく人間でいられますか?

投稿 : 2024/05/11
♥ : 45

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

ダークな情景とカニバリズムの中に確かに感じる“生きること”へのメッセージ・・・今こそ『まどマギ』以上の絶望へと目を向けよ

原作は1970年の週間少年マガジンにて連載されていたジョージ秋山先生のマンガ
その残酷な描写から有害図書指定され、当時は社会問題にまで発展したそうな曰く付きの問題作


というのも、物語のプロローグとなるのは大飢饉に見舞われた平安時代の京都
腹に子を宿しながらも貧困に喘ぐ妊婦が一人・・・
妊婦の周りでは飢えへの苦しみから、人を殺してその肉を食すことを覚えてしまった狂者が出る程の始末
いつしか妊婦も辺りに平然と転がる死体を喰らうことを意識しはじめる
やがて子は産み落とされ、一時は母性を目覚めさせるものの、飢えはすぐに女の理性を歪ませる
そしてとうとう我が子の肉を食さんと、焚き火の中に赤ん坊を投げつけてしまう・・・


このショッキングな幕開け、そりゃ問題作にもなるわな;


やがて顔の焼け爛れたその赤ん坊は、親の手も無しに育ち、人語も解さず、人を襲ってはその肉を喰らう、、、というまさに【ケダモノ】として生きていた・・・


さてさて、この物語の魅力はいよいよここからなんです
だいぶ原作とは異なる部分も多いようですが、この作品には強く“生きろ”というメッセージが込められているんです


【ケモノのような子】はある日に一人の屈強な法師と出会い命を救われ、『アシュラ』と名付けられます
しかしまだ満足に言葉も話せず、暴力を振るうことでしか感情を表現出来ないアシュラ
怒りに任せた結果、偶然にも地頭の息子を殺してしまうのです
追われる身となったアシュラを匿ったのは、貧しいながらにも慈愛に満ちた『若狭』という少女でした
法師から教わった道徳、若狭と触れて学んだ優しさ、、、やがて人間として感情豊かになっていくアシュラ
しかしそんなアシュラの成長とは裏腹に、天災と貧困が人々を徐々に追い詰めていくのです・・・










一見すると『ノートルダムの鐘』にも似た構図を持つ作品
ですが比較にならないほどあまりに過酷な世界観、過激な描写、そして終盤に押し迫る哀愁
どれをとっても一級品のシリアスドラマ


監督の『さとうけいいち』と言えばテレビシリーズ『タイガー&バニー』の監督でもありましたが、今年度のタイバニ劇場版の制作を、彼はあえて別の監督に託し、今作の制作に打ち込んだようです


昨年度の東日本大震災の影響からか、過激な描写をあえて避ける映画も多々あった傾向の中で、今作はあえてダークな世界観、シリアスなストーリー、過激な描写に挑戦し、最高潮の緊張感の中で改めて【命あっての物種】という言葉を思い出させようという明白な方向性が見て取れます


なにより、カニバリズムという非人道的な行為の裏に「食べなければ生きていけない」という切なくも力強いメッセージを打ち出していることに拍手したいです
特に「食べなければ・・・」のキーワードを全く偶然にも同時期に扱った映画『伏』と比較するとその差は歴然としていて、今作の説得力の強さに感服しますm(__)m
(そしてこの「食べなければ・・・」がラストシーンの悲劇を生む・・・)
また、『まどマギ』においての魔法少女の宿命の一つでもある「戦わなければ生きていけない体」と比較をしても、今作はより身近で深刻な問題として捉えることが出来ます










さとうけいいち監督作品らしく、全編はCGで描かれていますが、日本ならではの2D(作画)アニメの手法を欧米主流のCGアニメへと転用するべく、様々な新手法が今作のために発明されたのも見どころ


日本画のような毛筆タッチの背景画をパーツ化、立体化して動かす(細田守の『おおかみこども』でも近いことをやってました)
キャラの影にハッチング(斜線)を自動生成するソフトの新規開発
いわゆるアニメパース(遠近法のデフォルメ。近くの物を極端に大きく、遠くの物を極端に小さく描いて迫力を出す)をCGで作り出すために、カット毎に異なるキャラモデルを作成


これらに加え、CGアニメならではのカメラワークとエフェクトの自由度が駆使され、度々挿入されるアクションシーンを盛り上げています










そしてオイラが最も注目してほしいポイントなのが声優
今作の主人公、アシュラを演じるのは大ベテラン『野沢雅子』
物語の序盤でアシュラは人語もままならないというだけあって、前半のセリフが全て“雄叫びのみ”なのです
この難しい役どころを演じきれるのはやはり大ベテラン、全く持って御見逸れいたします;


さらに中盤から登場のヒロイン、若狭にはめぐさんこと『林原めぐみ』
実は中盤以降、ほとんどがこのアシュラと若狭の二人だけの会話で進むという昨今珍しい狭いやり取り
まさにこの二人のベテラン役者だからこそ成り立ったであろうレベルの高い演技は、アニメのみならず邦洋実写を問わずしても屈指の【魅せる演技】であったと思います!
とにかく凄いんです、是非ともチェックしていただきたい!


最後になりましたが、音楽はタイバニに引き続き『池頼広』さん
この劇伴がまた最高に素晴らしい!
ですが小南泰葉さんが歌うEDテーマにはちょっと疑問です;
キュートな魅力とダークネスな妖艶さを兼ね備えた小南さんのロックな楽曲は、実は個人的にもファンではあるのですが、今作の重すぎるテーマに対して少し前向き過ぎるし可愛過ぎたかな?と感じました;

投稿 : 2024/05/11
♥ : 30
ネタバレ

ゴリラの唐揚げ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

とめどない苦しみや混乱の中で

15世紀中期、応仁の乱勃発により数え切れないくらいの死者が出た。そんな最悪の時代に産み落とされたアシュラ。

生きるために人を殺し、食べなければ生きていけない、そんな時代。

アシュラも例外ではなく、人を食らいながら生きてきた。

{netabare} そして8歳になったアシュラは、橋の上で法師と出会う。
法師や村に住んでいる少女、若狭と出会い段々言葉や人の心を覚えていきます。

しかし、アシュラは若狭の恋仲である七郎に嫉妬し殺しにかかってしまい、若狭にも見放されます。


そんな時、村は洪水に見舞われて食べるものもなくなり、わずかな食料を巡って村人は争い、殺し合う日々が始まります。

幼くして「こんな苦しいところに生まれてこなければよかった」と叫ぶアシュラの姿は見ていて辛いものがありました。

地頭の息子を殺してしまったアシュラは、「アシュラを殺せば米一年分を取らせる」という報酬に乗ってアシュラを狩ろうとする村人たちに追い詰められます。

アシュラはなんとか生きながらえるのですがこの過酷な時代の情景もさることながら、生きるためなら子供でも躊躇泣く殺しにかかる人々に恐怖を覚えてしまいました。 {/netabare}




この作品には見ていて辛いくらいの人間の苦悩や悲しみといった感情がうまく映像に表現されています。

人々は極限なまでの飢餓や苦しみに見舞われた時、自我を保っていられるのか。


人は命を奪い、生きていかなければならないという悲しき運命を背負っています。
でもだからこそ、命があるがゆえにあがく。


今の食べる物が豊富な時代にこの作品は、飢える人々の苦しみと、人間の業を、これ以上ない描写で表現してくれたと思います。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 27

61.1 3 2012年度の平安時代アニメランキング3位
わすれなぐも(アニメ映画)

2012年3月24日
★★★★☆ 3.5 (98)
452人が棚に入れました
かつて上代に手練れの陰陽師が大蜘蛛を封印したと言われる一冊の本。それを入手した古書店の硯とビルのオーナーの孫娘・瑞紀の前に、身の丈20センチほどの小さな娘蜘蛛が現れた。寂しげに母を求める娘蜘蛛のいたいけな姿に、硯は自分の師匠からヒントをもらって、あるべき場所へ物の怪を返そうと試みる。だが行動をともにする瑞紀からは、硯はすでに娘蜘蛛に取りつかれたようにしか見えなかった……

声優・キャラクター
土田大、下田麻美、金田朋子、星野充昭

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

2012年 アニメミライ作品

全1話 約25分作品 ProductionI.G制作

アニメミライとは2010年より若手アニメーター育成プロジェクトで毎年春に4作品発表してます。(広報大使は西川貴教さん)

BSで特集があったので観てみました。

お話は、古代陰陽師が封印した1冊の本、巡り巡ってその本がある古書店が入手し店主とそのビルの所有のオーナーの娘の前に偶然封印を解かれた本の中から可愛い娘蜘蛛が現れたところから物語は始まります。

最初はコミカルな感じなのでほのぼのした作品だと思いましたが、後半になると雲行きが変わって、どんどんシリアスになってきますね。

結構衝撃的な作品です。
最後は私にはちょっと分からなかったですが、なかなか面白ったですね。
全1話の作品なのでサクッと観れます。もし出会えたら観てくださいね。

最後に、蜘蛛が嫌いな方は観ない方がいいかも知れないですね~

投稿 : 2024/05/11
♥ : 26

takumi@ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

ただただ 結末にビックリした

パッケージの淡くやわらかなタッチのイラストから
イメージしていたストーリーとはまるで似ても似つかぬ物語で。
25分という短編だから、あえて予備知識ゼロで視聴したのだが
こんなに予想外だったのは始めてかも。
そういうところをオチとしているなら、作者からすれば成功
しているといえるのかもしれないけれど、
観る者にとって決して後味の良いものではなかった。

伝奇ホラーや妖怪、陰陽師あたりのキーワードが好きで
古書や伝説なんかにも興味がある人は観てみたらいいと思う。
って僕もそれらが好きな1人だったわけだが、ちょっと予想はずれだった。
でもこういう話に惹かれる人も、もしかしたらいるかもしれないしね。

1つ感じたのは、古書店主というものの職業病的な性質。
考古学者にも共通する探究心や好奇心とも言うべきか。
周囲からは奇人変人扱い受けそうなタイプのそういう視点で
もう少し掘り下げた物語なら、観てみたいかな。
でも、所詮25分じゃ限界があるのかな。

作画は綺麗だったと思うし、キャラデザも悪くはなかった。
冒頭シーンなんて、『BLOOD-C』そっくりだったしね(笑)

ブラックやシュール好きでも、展開次第だなぁと
あらためて気づかされた分だけは
僕にとって観た価値はあったのかもしれない。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 25
ネタバレ

ぶらっくもあ(^^U さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

幼女蜘蛛(^_^;

2012年アニメミライ作品 25分

蜘蛛苦手なんだけどな~、十二単の幼女は可愛いしな~困ったな、
と言いつつ観てしまう、
{netabare}
とある古書店で、日本古代(平安時代みたいな)ある陰陽師が町荒らす人食い大蜘蛛退治封印したとされる書物手にした家主の娘の女子高生←普通にいい娘、古書棚奥に変なモノ居るし!で悲鳴、どうしたんだい?間借り古書店店主←ちょとイケメンお兄さん、ガサガサガサ、居たのは古書から這い出てきた?物の怪?可愛い幼女なんだけど下半身蜘蛛、キチキチキチ、、鳴き声?糸吐くし噛みつくし、、、でも可愛いどうしよう、、
{/netabare}
25分ものだから観てもらった方が早いんだけど、
{netabare}
蜘蛛娘ダンボールに入れて山奥隠れ里?目指す過程等、
{/netabare}
コミカルな描写もあるし、店主心配する女子高生もいい娘だし、

蜘蛛娘の里らしきもの見つけ、
廃墟恐る恐る入ってくあたりから、、
店主の様子がおかしい、
魅入られてる、憑りつかれてる?

蜘蛛嫌だな~でも幼女だしな~どうなるのかな~、
ついつい観てしまう私も魅入られてる?、、、、

、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、

ラスト。。。

それは無いだろう、想った、

けどね、

色々解釈もあるようですが、、
{netabare}
「これはロリに対する警鐘だ」「いやロリ賛美だ」
「幼女蜘蛛=ロリータの象徴、女子高生=既に煩い存在って事?」
「十二単衣幼女=ロリは時代を超える、」
「ロリ元祖クラリス様だろが!」「クラリスちゃん幼女か?」
「と、、とりあえずロリから離れて普通に投げやりじゃね?」
「いやプロット丁寧だしやっぱ計算上の帰結だろ、」
「元々怪異談って化物語みたく可愛いもんばっかじゃないし、」
「んでも観る方からすりゃ可愛くて気持ちよけりゃそれ越したことないし、」
{/netabare}

私の中のアムネジアが騒いでるけど、、、

相手は物の怪、
京極夏彦氏の小説で女郎蜘蛛の理ってあったけど、
物の怪の性(さが)って事かな~、

後味はけっしてよくありません、
ただ怪異談としてはアリかもしれない、

でもやっぱり、、、、蜘蛛は苦手。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 21
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