内戦で任務なおすすめアニメランキング 4

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの内戦で任務な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月14日の時点で一番の内戦で任務なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

79.2 1 内戦で任務なアニメランキング1位
ゴールデンカムイ(第二期)(TVアニメ動画)

2018年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (451)
1995人が棚に入れました
北の大地・北海道に渦巻く野心!!
アイヌから奪われた金塊を巡る生存競争サバイバル、新章突入ッッ!!

アイヌの埋蔵金を求めて旅を続ける、「不死身の杉元」の異名を持つ日露戦争の英雄・杉元佐一とアイヌの少女・アシリパ。
だが、埋蔵金の在り処を示した刺青を持つ24人の脱獄囚を追う中で、新たな事実が浮かび上がる。
埋蔵金を奪い、アシリパの父を殺した人物とされる「のっぺら坊」こそが、アシリパの父だというのだ。
事の真偽を確かめるには、網走監獄に収監中の彼に会うしかない。
「脱獄王」の白石由竹やキロランケを仲間に加えた二人の旅は、小樽から札幌、夕張へとその歩みを進めていく。

一方、彼らと埋蔵金の争奪戦を繰り広げる第七師団の鶴見中尉や新選組「鬼の副長」土方歳三の勢力も、それぞれの野望を胸に次なる行動に打って出る……。

明治時代後期、北の大地に勃発した一攫千金サバイバルは、さらに苛烈さを増していく!

声優・キャラクター
小林親弘、白石晴香、伊藤健太郎、大塚芳忠、中田譲治、津田健次郎、細谷佳正、乃村健次、菅生隆之、内田雄馬
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

さまざまな角度から表現される「純粋な生」の形

アニメーション製作:ジェノスタジオ、
監督:難波日登志、シリーズ構成:高木登、
キャラクターデザイン:大貫健一、
原作:野田サトル

あまりにも中途半端な終わり方だった1期目。
期待した2期は、いきなりグロテスクなネタからの始まり。
江戸貝弥作を観ていて頭に浮かんだのは、
アルフレッド・ヒッチコック監督の『サイコ』、
トビー・フーパー監督の『悪魔のいけにえ』、
ジョナサン・デミ監督の『羊たちの沈黙』という
ホラー・サスペンス映画だった。
この映画の共通点は、アメリカの有名殺人犯、
エド・ゲインをモデルにしていること。
江戸貝弥作の人物像は、明らかにエド・ゲインそのままと言っていい。
私としては、アンソニー・パーキンスの不気味な演技や、
チェーンソーを振り回すレザーフェイスを想起しただけに
少し拍子抜けしてしまったが、衝撃的といえる回だった。

このことに気づいて色々調べてみると、
ゴールデンカムイの登場人物の多くは、
実在の人物をモデルにしていることを今更ながら知った。
舩坂弘軍曹は分かるが、家永カノの殺人ホテルや尾形百之助、
白石由竹まで参考にしている人物がいたことには驚いた。
荒唐無稽なようで、かなり現実に即した設定になっている。

2期の見どころは、網走刑務所でのシーンになるが、
個人的に好きだったのは、谷垣源次郎と尾形百之助の過去の話だった。
谷垣は1期で東北マタギをやめて、軍隊に入ったことが明かされるが、
その理由について語られることはなかった。
それが明らかになる18話では、アイヌの終活についての話から始まる。
アシリパの祖母が死装束を作っているという。
アイヌでは若い者に送ってもらわないと死後の世界に行けないと
考えられている。だから自分の子供のいない人でも、子供を必死で育てる。
谷垣はアシㇼパの祖母に食べさせてもらった恩から、
自分も子供のひとりで、アシㇼパを無事に村へ帰すことが
役目だと思っている。
谷垣は自分の役目をずっと探していたのだった。
そのときに、過去にあったことを思い出す。

東北マタギだった谷垣にとって、狩猟は命懸けの仕事。
想定外のことが起こったときのために、
非常用携行食のカネモチを持参するのが常だった。
カネモチは米粉に水を加え、味噌か塩を混ぜて捏ね、
葉で包んでいろりの火で蒸し焼きにする。
谷垣は自分用として、クルミを混ぜたものを作っていた。
そんな作り方は邪道なのだが、谷垣のこだわりの一品だった。
{netabare} このカネモチを小道具にした、谷垣と妹の夫、賢吉に対する
憎しみと赦しの物語は見ごたえがあった。
賢吉は自分の役目のために命を懸けて行動した。
その姿を見た谷垣は、自分の生まれた役目について、
誰かのために生きることを考え続けている。

谷垣と対照的なのが尾形だ。
妾の子供だった尾形は幼少時に母親が苦しみながら
生きてきたさまを間近で見続けてきた。
夫に家に帰って来て欲しいと願い、毎日あんこう鍋を作る。
そんな母が嫌だった尾形は、銃で鳥を撃つようになる。
鳥鍋を勧めても母はあんこう鍋ばかりを作り続けるのだった。
やがて尾形は、心を失った殺人者になっていく。 {/netabare}

この物語を観ていると、どれだけ心が歪んでいても
「純粋な生」の形を見せられているような気になる。
過去がしっかり描かれ、ひとりの人間の形が
浮かび上がってくるのがいい。
明治初期の時代背景からすると、このような生き方は、
それほど特別なものではなかったのかもしれないとまで思えてしまう。
アシㇼパの父が娘に対して望んでいたことも明らかになり、
さまざまな人々の想いが交錯していく。

アイヌの金塊の行方。
登場人物たちは何を悟り、何を選び取っていくのか。
原作ファンからは評判が芳しくないようだが、
アニメだけを観てきた者からすると、
1期と2期でとても上手くまとめられていたと思う。
網走刑務所まで描いてくれたことで、物語は一区切りついた。
今後は原作を追っていくつもりだ。
(2019年1月8日初投稿)

投稿 : 2024/05/11
♥ : 76
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

濃ゆい男祭りにさらにキワモノ共を投下

2018.12.30記


原作未読 1期視聴済


2018年春クールのベスト。私にとって『ゴールデンカムイ1期』をこのように位置づけてます。
冒険、グロ、エロ、メシ、歴史、アイヌの文化、サバイバル、狩猟、奇怪な登場人物たち、、、成分豊富な幕の内弁当みたいな良作でした。

1期終了時に3か月後開始の2期の案内があったこと。2期第1話分を第13話と表記していること、実質の分割2クールになりますので、1期第1話“ウェンカムイ”からの視聴は必須になるかと思います。

2期は1期の面白さをそのままに、周囲のキャラにも目を向けた仕様です。新キャラの登場もあり、この作品だからこそ受け入れられるようなキワモノ2トップ、江渡貝くん、鯉登少尉あたりが活躍します。殺人ホテルの主人家永はちゃっかり準レギュラーに収まってますね。総じてキャラクターは豪華絢爛、キャラ立ちもしてるので名前を忘れることもなさそうです。
やや“狩猟”成分が減ってても、それでもグルメは健在。1期では敵対していたあの人この人と食卓を囲むシーンもあったり、相変わらずの面白さを維持してます。1期終了時に定まった目標、

「目指せ!網走監獄」

のっぺら坊はアシリパさんの父親なのか?金塊に群がる男連中のこれまた男臭い物語は続きます。季節は春夏に移り、冬の厳しい北海道でのサバイバルはいったん休止。OPも新芽が芽吹く春夏Verへ。
キワモノ2トップに笑って、シリアスなキャラ回{netabare}(谷垣、尾形){/netabare}に震えて、網走への珍道中は退屈知らずです。谷垣は胸ボタンバァーンの擬似ケンシロウではありませんでしたね。1期最終盤登場のインカラマッも2期で活躍します。
キャラに引っ張られる部分もありましたが、1期で感じた“似非ヒューマニズムを廃した生命のリアリズム”が健在だったことはなによりでした。

“相変わらず面白い”

むしろギャグはより変態的に、シリアスはより人の内面の深掘りに向かって、それでなお相も変わらずバランスが取れている満足の2期でした。
尻切れトンボ感のあった1期最終話と比較しても一段落ついた時点での終幕は好感です。


杉元が干し柿を食める日々が果たして到来するのか?
もう後戻りできない修羅の道に入って抜けられないのか?

当然3期ありますよね?
引き続き期待して待つことにします。



以下余談
■ポーランド人×樺太アイヌ
ポーランドはロシアに蹂躙されてた時期が長く、ちょうどこの時代も政治犯やらの名目で極東に多くのポーランド人が送られていた時期。抵抗の歴史はワルシャワに行くと肌で感じることができます。ショパンの「革命のエチュード」もロシアにやられてた時期に曲にしたものですね。
{netabare}迫害を受けたポーランド人の息子にあたるのが、アシりパの父ウィルクである。娘をレジスタンスのリーダーにという思いは出自を考えれば。国が無くなる経験が血肉に染みついてる者の行動としては理解できる。{/netabare}

■ロシア内のパルチザン
ロクでもない輩と思ってよし。ゴールデンカムイで展開されている年代(明治40年頃?)から10年くらいした後、尼港(ロシア領ニコライフスク)で日本人入植者を虐殺した尼港事件が起こります。
「大正9年5月24日午後12時を忘れるな」
元は帝政ロシア時代の政治犯だったり凶悪犯が母体の連中。国内を掌握しきれていないレーニンが帝政ロシアの残党を掃討することを目的に釈放し武器を与えたならず者集団です。
{netabare}ゴールデンカムイは今後舞台を樺太に移してパルチザンとの連携を示唆していますが、発生から100年を迎えんとするこの時期、日本人は尼港事件を忘れてはいけないんだろうと思います。{/netabare}



視聴時期:2018年10月~12月 リアタイ視聴

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2018.12.30 初稿
2020.12.04 修正
2021.10,16 修正

投稿 : 2024/05/11
♥ : 65
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

After the Gold Rush

ジェノスタジオ制作。

アイヌの金塊を巡る一攫千金サバイバルも、
敵見方、登場人物が複雑に絡み合い、
生存競争も苛烈になってきました。

冒険・グルメ・戦闘、そしてアイヌ文化と、
少々ギャグ寄りの演出も多くなってきましたが、
相変わらず引き込まれる序盤の印象です。

明治後期の北海道を転々としながら、
{netabare}のっぺら坊、刺青人皮の行方、
物語は大きな核心へと向かっていきます。{/netabare}

絵柄で避けていると勿体ない、
優れたストーリーテリングを持つ、
近年を代表するサスペンスフルな娯楽活劇。
大きな視点で見ると面白いですよ。

最終話視聴追記。
声優陣の演技とキャスティングを評価したい。
特に鶴見中尉と谷垣は完璧だと思います。

{netabare}アイヌ民族の誇りを後世に伝える、
未来を託された少女は海を渡り樺太へと。
暗躍するパルチザンの革命は何処へ向かうのか!?
杉元、アシリパの活躍に期待したい。{/netabare}

どうか偉大な文化が後世まで伝わりますよう。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 62

74.2 2 内戦で任務なアニメランキング2位
虐殺器官(アニメ映画)

2017年2月3日
★★★★☆ 3.8 (251)
1845人が棚に入れました
世界の紛争地を飛び回る米軍特殊部隊クラヴィス・シェパード大尉に、謎のアメリカ人の追跡ミッションが下る。その男、「ジョン・ポール」は、紛争の予兆と共に現れ、その紛争が泥沼化するとともに忽然と姿を消してしまう。かつて有能な言語学者だった彼が、その地で何をしていたのか。アメリカ政府の追求をかわし、彼が企てていたこととは…?

声優・キャラクター
中村悠一、三上哲、石川界人、梶裕貴、小林沙苗、大塚明夫、櫻井孝宏
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

ジェノサイドの匂い

伊藤計劃原作、PROJECT第3弾。
ゼロ年代SFベスト国内篇第1位。

核の炎がサラエボの街を焼いた。
テロの脅威に対抗すべく先進国では、
科学技術により監視の網の目が張り巡らされ、
一方発展途上国では内戦と民族対立により、
無数のジェノサイドが頻発していた。

虐殺の陰に常に存在が囁かれるジョンポール。
ジョンポールとは何者か!?
{netabare}アメリカ国防総省で言語を研究していた彼は、
ある日を境に公然と姿を消した。{/netabare}
頻発する内戦と彼との因果関係は!?
内戦の混乱の中、主人公クラヴィスを中心に、
アメリカ軍によるジョンポール捕獲作戦が開始される。

伊藤PROJECTでは最も理解が容易い作品です。
ジョンポールの目的は明確でした。
{netabare}ホロコーストの歴史を学び、
ルワンダやカンボジアの虐殺を学び、
彼は人が持つ古い機能を見つけたのです。
人には虐殺を司る「器官」が存在し、
その器官を刺激し活性化させる「文法」があると。
言葉が人間の行動にいかに影響を及ぼすのか。
良心を捻じ曲げテロリストの芽を育てる。{/netabare}

戦場の少年兵を平易に殺戮するクラヴィスは、
感情を最適化された現代人の象徴でしょうか。
極めて理性的で空虚な人物たちの物語。

皆様にもぜひ触れて頂きたい。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 50
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ジェノサイドの正当化

または
虐殺をジャスティファ~イ

いつもながら原作は未読。本編もレビューも不穏なタイトルですね。文字通り不穏なやつです。
少し前に遇々『バビロン』という迷作に触れ、その作品談義で頻出してたタイトルがこれでした。

・34歳の若さで早逝した原作者伊藤計劃
・原作『虐殺器官』その評価の高さ
・ノイタミナムービーなるブランド

これまで知らなかったことを知ることができました。これだけでもお得感あるかしら。
早逝したこともあり数少ない輩出作品をアニメ化する試み「Project Itoh」三部作の締めを飾った作品。2017年2月公開のR15+指定。115分です。

あらすじ:サラエボで起きた各爆弾テロを機に世界各国でテロが激化。アメリカを筆頭にテロに対抗する中で先進国では沈静化の方向。後進国では内戦や虐殺が頻発。といったIFストーリー。
後進国で指導層に接触し対立を煽り、内戦や民族対立による虐殺などを引き起こす黒幕として暗躍すると見做されたとある人物を暗殺せよ!
その実行役である特殊部隊員クラヴィス・シェパード大尉が主役の物語です。


戦闘行為にまつわるグロ表現っぷりでR15+指定となってます。
詳細に触れると、タイトル“虐殺”から想像しそうなスプラッター的おどろおどろしさが主成分のグロではありません。あくまで銃撃戦で斃れる敵兵の描写がそれらしいだけ。想像と違ってライト風味かもよってことは指摘しておきます。程度や具合は18禁ではなくR15指定ということでお察しくだされ。
年齢制限が入るのはクリエイターがやりたい表現をできていることの裏返しな部分もあって、本作のミリタリ描写はアニメの中でも超一級の部類に入ると思われます。オペレーションの合理性や演出の迫力などモノが違う感じがします。
『劇場版PSYCHO-PASS』のミリタリ描写との既視感を覚えましたが、プロデューサーがご一緒ということで納得。ノイタミナで辣腕をふるった山本幸治さんです。それでノイタミナムービーということもあるのね。いろいろ繋がってきました。


 世界観 ◎ ※後述
 軍描写 ◎


軍事作戦がベースにあるお話なので根っこが変だと台無しになっちゃいますがその心配はありません。
あとは通しでの物語の面白みであったり、黒幕ジョン・ポールの目的が腑に落ちるものかだったり、やはりというか作品から受け取るメッセージへの共感の有無が気になります。


 物語 △と○の間


タイトル回収を済ませ、大国のエゴも匂わせる国家の繋がりや人間の持つ原罪のようなものへの言及。おそらくこうだろうと想像できる結末もアリといえばアリ。ただしいかんせんよくわからない。

 {netabare}雰囲気だけかっこいい?{/netabare}

劇場版なので視聴者に想像させる手法を否定しないけど軽い匂わせ止まり。肉を焼く匂いで白飯を食べるような感覚。もう少し踏み込んで欲しかったです。
ところがふとしたとこで原作のネタバレを聞き、

 物語・改 ○と◎の間

となりました。

※原作ネタバレ
{netabare}ジョン・ポールの遺志を継いだクラヴィス・シェパードがアメリカに戻り、“虐殺の文法”を駆使してアメリカを内戦に導いていく。{/netabare}

{netabare}小国の犠牲の上にある大国の繁栄について自問自答が描かれてたとのことです。南北問題ですね。{/netabare}


“人工筋肉”なるガジェットが途上国の子供たちによる搾取的な労働に支えられている、とフェアトレード運動に通底するネタが挟まれてましたが、そんなネタが最終的に繋がっていくところまで提示しないのはもったいなかったですね。
とは言っても雰囲気や見た目を馬鹿にするなかれ、です。映画を観てる時間だけその世界に浸れる幸せを実感できる劇場版作品でしょう。その点で買い!優秀な娯楽作品です。




※後述…の世界観◎について

■United Nations

“国際連合”とは意図的な誤訳です。“連合国”が正しくその国連憲章には日本を敵国と見做した条項が残存していることをご存知でしょうか。たかが条文、実態は違うとも言われますが、この敵国条項を除こうと日本が働きかけてもしっかりChinaは潰しにきてくれたりするのが現実です。
永らく“平和のための国際組織”と喧伝され教科書でもそう習ってきた私たちですが、非常に矛盾を孕んでいるのです。直近の事例だと国連の専門機関WHOの武漢肺炎をめぐるグダグダっぷりでしょうか。

 金だけ出して口は出さないでね

日本に求められてる役割がこれ。よって個人的にはあまりこの組織をよく思ってません。そんなとこへ作品の冒頭↓


{netabare}「寛容と多文化主義がこの国の美徳だったのに」と今は民族浄化に勤しむ途上国の指導者がベートーベンの『月光』をバックにシェパード大尉に独白します。
何故自国民に手をかけたのかわからない。黒幕ジョン・ポールの存在を匂わせる一幕です。その前段。

シェパード:
「その国民を殺して回る。あんたの言う政府とやらはどの国連加盟国からも承認されていない」
えらい人:
「国連?我々の文化を土足で踏みにじり、自決権を鼻で笑う最悪の帝国主義者どもが…」{/netabare}


主人公へのシンパシーはもちろんのこと小国の哀しみなんかをこの指導者に見ることができます。きちんと序盤から下地を作っているのです。



■1974年と1975年

原作者伊藤計劃氏とプロデューサー山本幸治氏の生年です。けっこう作品に影響しているような感じ。
だいたいにして小学生時代のバイブル。ジャッキー・チェンの『プロジェクトA』が原題『A計劃』。これホント漢字なの?と伊藤少年の脳裏に焼き付いてたことは想像に難くありません。
多感な中高生時代で起こった世の中の出来事と暇な大学生時代に触れたであろう作品群。この年代特有の感覚が作品に反映されているとふんでます。

15歳前後で「ベルリンの壁崩壊」「ソ連崩壊」を経験。なんとなく大きなうねりが起こっていることを感じつつ、チャウシェスクの銃殺遺体のインパクトだけ覚えていた思春期。
中学の社会科では、“コルホーズ”“ソフホーズ”などを例にとり計画経済を好意的に捉えていた教科書で学んでました。なんせまだ崩壊前だったので。

その後の東欧民主化で泡を食ったのが欧州の火薬庫バルカン半島。ユーゴ紛争が停戦合意したのが彼らが社会に出る頃合い2000年頃でした。
思索に励むことが可能な大学生時代には小林よしのりの『戦争論』が大ヒット。United Nations(連合国)が構築したWWⅡ後の枠組みに疑義を呈した意欲作と言えましょう。

ドイツおよびチェコを舞台としたサスペンス作品『MONSTER』(浦沢直樹)
ユーゴ紛争で故郷を破壊した者への復讐の物語『PEACE MAKER』

90年代後半に発表された東欧を舞台にした名作群もきっと学生時代に目にしてるんでしょうね。
思えば「ソ連崩壊」とはもの凄く大きな出来事で共産主義の敗北に象徴される第二次世界大戦後の枠組みが崩れたことを意味してました。余波は覇権国アメリカにもおよび歪みの極地が“9.11”にと。

そういえば『MONSTER』のヨハンもニナも1975年生まれの設定です。
朝日・岩波的な言説がインテリの条件だった時代から潮目が変わったのはこのへんの年代からかしら。


国際紛争やミリタリ要素の強い作品を描く時にチェコやユーゴの東欧を舞台にしたくなる気持ちがわからんでもない世代。
お話にしやすい国際情勢の煽りを若かりし頃に浴びちゃったこともあるし、中東やジャングルでの紛争よりも身近に感じることのできるエリアでした。今は情勢も落ち着いてますので実際訪れてみるのをおすすめしますよ。異世界ものにありそうな古き良きヨーロッパの風景は中欧・東欧に残ってます。



視聴時期:2020年3月

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2020.12.09追記

5月が初稿の本レビュー。半年経過して“武漢肺炎”の呼称は聞かなくなりましたね。“新型コロナ”で定着した感があります。こうして振り返って気づくことはままあります。
定点観測することで変化に気づく。現在の断面だけ見て踊らされることのなんと多いことか…


2020.05.18 初稿
2020.12.09 追記

投稿 : 2024/05/11
♥ : 35
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

たぶん原作既読の方が楽しめると思う

Project Itoh3部作最後の一つ
伊藤計劃のデビュー作であり
ハーモニーの世界を作り出した元凶の事件を扱った作品なので
時系列順に考えても世に出た順番を考えても
ハーモニーよりも先にこちらを見るべきです

当然製作サイドとしてもそのつもりで考えていたのですが
マングローブの倒産によって
公開が一年以上遅れることとなり
結果的に順番が逆転してしまいました

ハーモニーと虐殺器官を比べると
SF作品としての完成度はハーモニーの方が上だと思います
しかしハーモニーはそもそも映像化が非常に難しいテーマな上に
映像化する旨味がほとんどない作品でした
虐殺器官はいわば社会派SFガンアクションなので
映像化と非常に相性が良かったと思います

近未来的な様々なガジェットは
伊藤計劃の緻密な筆致により
映像なしでも十分に楽しめるものでしたが
映像化によりさらに実感しやすくなったと思いますし
戦闘シーンも緊迫感があって良かったです

とはいえインドでのシーンで{netabare}
薬物投与で感情制御した殺人マシーンとして
貧弱な武装で練度の低い少年兵たちを
淡々と撃ち殺していくのは{/netabare}
R15+のレイティングだとしてもやりすぎ感があります
それが本作のテーマの中核に近い部分にあり
本当に必要なシーンであるのは間違いないのですが
それでもあまり観ていて気持ちのいいものではないですね

しかし、そこをぼかしてしまったら
映像化する意味がなくなってしまうのも確かです
この作品は近未来を舞台にしたSF作品ですが
扱っている内容はそのまま我々が生きている現実世界が直面している問題です

経済格差から起こる内戦
金と権力のために戦争に身を投じる傭兵
消耗品として扱われる少年兵たち
それら地球の裏側の悲劇を対岸の火事として目を背け
平和を享受し安穏と生きる人々

作品はあくまで近未来の空想の社会を描いたものですが
そのテーマははっきりと我々の生きる現実世界を捉えています
こういった現代社会に対するメッセージ性の高いSF作品というのは
この虐殺器官以降一大ムーブメントとなり
様々な作品が生まれました
同じノイタミナのPSYCHO-PASSシリーズもその一つです
SFというジャンル自体に閉塞感が漂い
SFは死んだなどと言われていた時代に
一つの風穴を開けたのが伊藤計劃だったのだと思います

計劃が亡くなってから
シリアでは激しい内戦がおこり
世界中でテロの嵐が吹き荒れ
アメリカ最優先主義のアメリカ政権が誕生
現在はまさに計劃の描いた社会の歪みが
そのまま具現化したような世界情勢です
我々はサラエボが核の炎に包まれる前に
社会のあるべき姿を模索しなければならないのかもしれません

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

以下映画版のみならず小説版も絡んだネタバレあり

映像化にあたり尺の都合かいろいろと端折ったり改変されています

序盤の導入に関しては非常にうまくやったなという印象
{netabare}原作では最初の任務から帰ってチェコに行くまでの間に
アレックスは自殺したことになっています
カトリックにとって自殺は罪
敬虔なカトリックであるアレックスが自殺するというのは
それだけ過酷な環境であることと
感情制御技術が完璧でないことのあらわれではあったのですが
そもそも映画だとカトリックの教義さえわからずに見る人もいるでしょうし
あまり映像化して面白い演出でもありません
映画では現地語を唯一理解できたアレックスが
感情制御のおかげで虐殺の文法に過剰に反応し暴走した
というオリジナル展開に変更
非常にうまく機能していました{/netabare}

逆にうまくいっていなかったのはラストシーン
{netabare}クラヴィスは最後に
虐殺の文法を英語にして公聴会で使用し
アメリカを内戦の渦に巻き込み
ハーモニーで語られる「大災禍」の引き金を引いて終わります

母の死、同僚の自殺、インドでの敗戦、ルツィアの死
だんだん精神的に追い詰められていく過程が
一人称視点でじっくり描かれている原作版でさえ
最後のオチは予測はできたものの
ルツィアが死んだあたりから
それまでの緻密で過剰なほどの説明から一転し
急に展開が雑になった印象を受けました

実際原作を読んでいない友人たちは
「ただ内部告発したのか、文法でテロを誘発したのか
曖昧なラストに見えた」
「クラヴィスが文法を使う理由が見当たらなかった」
などと言っています

たしかに映画版のクラヴィスは最初から最後まで
基本的に冷静でタフな人間に描かれています
ところどころ独白は混じるものの
3人称視点に近い映画版のクラヴィスからは
祖国に向けて文法を使うほどの闇が見えませんね

限られた地域だけの偽りの平和の中でぬくぬくと生きている人々が
最後にはそのツケを利子付きで支払うことになるラストが
この作品のメインテーマを考えるうえで
非常に重要なファクターなのは疑いようもありません

ラスト部分の描写はもう少ししっかりしておかないと
原作未読の人からしたら物語そのもののテーマがぼけて
いまいち締まらない印象になってしまっているんじゃないでしょうか?{/netabare}

ハーモニーは正直原作だけで十分という感じでした
こちらは原作を補完する映像作品として非常に質が高かったと思いますが
映画だけを見るという楽しみ方はやはりあまりお勧めできません

映画→原作の順番でもいいのかもしれませんが
映画→原作の後もう一度映画で確認するよりは
原作→映画→原作なら追加でお金もかからないので
私のおすすめは原作→映画の順ということにしておきたいと思います

投稿 : 2024/05/11
♥ : 25

69.3 3 内戦で任務なアニメランキング3位
人狼 JIN-ROH(アニメ映画)

2000年6月3日
★★★★☆ 3.8 (274)
1319人が棚に入れました
『人狼 JIN-ROH』(じんろう)はProduction I.G制作の日本のアニメ映画。押井守の代表作である「ケルベロス・サーガ」の一作。\n強引な経済政策によって失業者と凶悪犯罪が急増した首都・東京。政府は反政府勢力掌握の為、“首都警”と呼ばれる治安部隊を設置する。その首都警の一員である青年・伏一貴は、闘争本能のみで生きる一匹の“狼”の様に一切の感情を切り捨て、自分を律してきたが、一人の女性・雨宮圭と出会い、運命のように惹かれ合っていくが…。

takarock さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

狼は所詮狼、人にはなれないのか? それとも・・・

2000年公開のアニメ映画。上映時間98分。一部残虐な描写があり、PG-12指定。
原作・脚本は押井守氏、監督に沖浦啓之氏(初監督)、
演出は神山健治氏と錚々たる顔ぶれです。

簡単な舞台説明(知っている方は飛ばしてください)
終戦から十数年後、強引な経済政策により
街には失業者が溢れ凶悪犯罪が多発していた。
中でも「セクト」と呼ばれる過激派集団の反政府運動が社会問題となっており、
政府もそれに対応すべく「首都圏治安警察機構」通称「首都警」を設置。
武装闘争は泥沼化していく中、
行き過ぎた首都警に対して世論から非難する声も大きくなっていった。

※本作では戦勝国はドイツとなっており、
これは架空の世界ということを強調しているのでしょう。

どうでしょうか?
制作スタッフと舞台説明からも分かる通り
本作は重厚謹厳な雰囲気を終始纏っています。
アニメ映画というよりも邦画を観たという印象でしたw
気楽に観れるタイプの映画ではない為、心の準備が必要かもしれませんw

絵は今敏監督作品のような感じですね。
本作の主人公、
首都警の戦闘部隊である特機隊の一員の伏一貴(ふせかずき)巡査は
朴念仁とも形容できるようなソルジャーです。

薄暗さを感じる曇天模様の昭和を舞台に
ボソボソっと必要最低限の会話しかしない伏一貴は
哀愁という言葉が嵌まり過ぎる程嵌っています。
まさにハードボイルドな世界観です。

タイトルから分かる通り本作のテーマは
「人の皮を被った狼」ということになるでしょう。
ダースベイダーを彷彿とさせる強化装甲服が印象的でした。

特機隊と公安部の警察内部闘争に発展していく中
伏一貴の前に突如表れる少女雨宮圭。

この恋は徒花?
狼は所詮狼、人にはなれないのか?
それとも・・・

イデオロギー色も極力控えられていますし、
ストーリー自体も結構シンプルです。
押井作品が嫌い、政治や社会を絡めてくる重厚な作品は観たくない
ということでなければ視聴してみる価値はあると思います。
ラストシーンが印象的で様々な感情が湧き上がってきました。

それにしてもこれ程レビューが書き辛い作品もそうはないですw
時代背景や取り巻く環境、キャラに対しての感情移入という点でも
視聴者はひたすら傍観者であることを強いられるという感覚を覚えました。
視聴者が口を挟む余地がほとんどない作品というか・・・
換言すればそれだけ完成度の高い作品ということなのかもしれません。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 38
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

狼と赤ずきんの寓話

沖浦啓之監督、脚本押井守。
IGの豪華スタッフ結集で送る、
ケルベロスサーガ、もう一つの戦後史。

敗戦から数十年が経ち、占領軍の統治から、
国際社会への復帰を目指すわけですが、
急激な経済再編政策の失敗により、
大量の失業者の群れと凶悪犯罪を生んだ。
{netabare}やがて反政府勢力や過激なセクトが台頭し、
それに対抗すべく生まれたのが首都警である。{/netabare}

原案・脚本のみでの参加となりますが、
安保闘争や全共闘運動の時代に青春を送った、
押井守の原風景がここにあるのでしょう。
国の行く末を暗示するかのような、
全編に渉り曇天の空と陽の当たらない地下道、
風情ある古い東京の街並みも、
セクトとの激しい市街地戦で血に染まっていく。

首都警の伏一貴と赤ずきんの少女。
{netabare}人も街も国も多くの病根を抱えているのだ。
追放された伏は狼と人との境界線で苦悩し街を彷徨う、
2人の邂逅は安らぎのひと時であったと信じたい。
余韻を残す、魂の軌跡だと思います。{/netabare}

狼として己に覚醒した悲しい男の物語である。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 37

ソーカー さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

これぞ隠れた名作

セクトと呼ばれる過激派集団が社会問題となっている時代、
治安維持のために首都警と呼ばれる武装組織が作られ、衝突を繰り返していた・・・

時代は架空設定ではありますが、世界大戦後の日本を描いています。
昭和の安保闘争をモデルにしてると思われるので、世代によっては難しいかも。
組織の対立の中で、二人の男女の切ない物語を描いた作品。

押井守脚本(監督は沖浦啓之)ということで難解な内容と思いきやそうでもありません。
世界観の細かい設定については、いくらか分かりにくい部分もありましたが
ストーリー自体は割とシンプルで非常に面白かったですね。
主人公と少女の心情が移り変わっていく様子は、とてもリアルで見事にメロドラマを演出しています。
全体的に暗い展開で、万人におすすめできるものではないかもしれませんが
それでも是非見て欲しい名作の一つで、ラストの切なさには心打たれました。

組織の対立における謀略戦もひとつの見所で
視聴者の予想を裏切る素晴らしい展開を見せてくれます。
とくに終盤からラストまでにかかる流れは「衝撃的」で素晴らしかった。
リアル絵のキャラデザで少々好みが分かれそうな気もしますが、作画自体は非常に綺麗。
良い意味で時代を感じる、もっと評価されてほしいアニメ映画ですね。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 17

63.0 4 内戦で任務なアニメランキング4位
MADLAX マドラックス(TVアニメ動画)

2004年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (166)
1064人が棚に入れました
近代化を推し進める政府の国王派と、それに反発する反政府組織ガルザとの間で12年の長きに渡り内戦を続ける、ガザッソニカ王国。
そこでは、あるエージェントの存在が、政府軍兵士と反政府ゲリラ双方の間で知れ渡っていた。驚異的な戦闘能力を誇る美少女の名はマドラックス。
一方、先進国ナフレスに12年前の記憶をなくしたマーガレット・バートンという一人の美少女が、何不自由ない普通の生活を送っていた。
全く別々の場所で対照的な生活を送る、マドラックスとマーガレット。しかし、マーガレットが自宅で見つけた赤い本の秘密を探り始め、ヴァネッサが内戦の原因を探るためにガザッソニカに飛んだことで、隠されていた二人の接点が明らかになっていく…。

イブわんわん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

真下3部作の中では一番哲学的

全26話、真下監督「美少女ガンアクションアニメ3部作」の2作目。

12年前に起きた事件がマドラックス、マーガレット2人の少女の数奇な運命の始まりとなります。
(ただし、終盤までこの事件の内容は明らかになりません)

哲学的な要素と物語の展開が他の2作品と大きく異なりました。
ガンアクションのシーンはカッコいいと言うべきか、つっこみを入れたくなると言うべきか・・・でもマドラックスカッコいい!
だって、機関銃の弾だってドレス着て華麗によけるんだぜ!

と戯言はこの辺まで。
ただ、背景の設定やキャラが弱いところが展開に負けてしまうところが多かったように思えます。
特に最後もう少し作り込んでほしかったなあ。
綺麗に終わらせようとしたのかもしれないが、綺麗と軽いは違うのだ。

音楽は梶浦さんであの有名な「ヤンマーニ ヤンマーニ ヤンマーニ」が流れます^^

このアニメはBGMで助けられたかなあ。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 12

alpine さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4

これはちょっと・・・

正直な所、敢えて見る作品ではないかと思います。
典型的な“俺様的前衛芸術”作品(悪く言うと末期の厨二病)に仕上がっており、ハードボイルド、戦争、スパイ、ヒロイン的なノリで見ると萎えます。
どれぐらい萎えるかというと、レンタルしてきた攻殻機動隊のケースの中に何故かロミオxジュリエットが入っていたぐらいの勢いで萎えます。

また、映像やキャラも2004年の作品にしては雑な作りをしており、映像的にも無理して見る価値は無いと思われます。

更に、劇中の曲も正直シーンとミスマッチしており(梶浦さんの曲が立ち過ぎている)本当にどう反応していいのか分からない状況に陥ります。

オナニー作品っぷりに耐えられる精神力を持った人やネタ探しをしたい人なら見てもいいかもしれません。
しかし、オススメはしません。お金の無駄です…。マジで。

2011/12/10
見終わりました。
満足度が少し上がりましたが、やはりこの程度かなぁ…。
8話程見て上記レビューを書いたのですが、書き直す必要もなく…。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 10

ichinana さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

パスタのお姫様

NOIRに続く真下耕一監督のオリジナルガンアクションアニメの第二弾!!
巷で有名なヤンマーニ作品です。

非常に評価に窮する作品でした。
何故か?
他の評価項目の追随を許さないほど、梶浦サウンドの出来が良すぎです。
ヤンマーニばかりがfutureされる本作ですが、その他の劇伴も非常に素晴らしい。特にMargaletとElenoreは必聴です。

NOIRに引き続き法ちゃんが主役で出演していますが、前作以上の難解さで週一での視聴ではストーリーが全く理解できなかった記憶があります。
一方で、静と動の対比の美しさも磨きがかかっています。特に第1話のつかみは完璧でした。最後の○○を撃ち落とすシーンはミロのヴィーナスのようで神々しくも見えます。

OP曲「瞳の欠片」も超名曲。イントロだけで震え、南里さんの切なくて透き通る声に酔いしれます。歌詞にも作品の伏線が散りばめられていて、かなり衝撃を受けました。

しかし如何せん物語の描写が抽象的すぎ。
NOIRもそうでしたが、舞台が日本人に馴染みの薄いマフィアや紛争地域としている割には、世界観の描写不足が否めなかった印象です。もう少しキャラの掘り下げに話数を費やした方が良策な気がしました。

それでも最終話の感動は今でも忘れられません。視聴者を選ぶ作品であることも確かですが、全26話を3日くらいで見ると本作のテーマが伝わりたやすいのでは思いました。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 9
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