2020年度のポジティブTVアニメ動画ランキング 5

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の2020年度のポジティブ成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月02日の時点で一番の2020年度のポジティブTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

78.5 1 2020年度のポジティブアニメランキング1位
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (359)
1535人が棚に入れました
本のためなら巫女になる!「三度の飯より本が好き」な女子大生・本須麗乃が兵士の娘・マインとして転生した世界には、本がなかった。平民は識字率が低く、羊皮紙で作る本は高価でお貴族様のもの。そこでマインは決意する。「本がなければ作ればいい!」試行錯誤の末、商人のベンノと出会い、商人見習いになるために植物の紙を完成させるが、マインの体は「身食いの熱」に蝕まれていた。貴族が魔力を持つこの世界で、時に魔力を宿して生まれる平民がいる。それが「身食い」。増え続ける魔力を吸い取る魔術具がなければ、生き長らえることはできない。そんな時、洗礼式で神殿の図書室を発見したマインは、巫女見習いになりたいと神殿長に直談判する。すったもんだの末、マインは魔力を奉納する青色巫女見習となることが決まった。しかし、本来、貴族に与えられる「青の衣」を平民上がりのマインが纏うことを快く思っていない者も多く、マインの行く手は前途多難。問題児ばかりの側仕え、神殿の階級社会……。麗乃時代とも下町時代とも異なる神殿の常識がマインの前に立ちはだかる。果たして、マインが心ゆくまで読書できる日は来るのか!? そして、マインは本を作ることができるのか!?

声優・キャラクター
井口裕香、速水奨、田村睦心、子安武人、中島愛、小山剛志、折笠富美子、日野聡、前野智昭、内田彩、中博史、三瓶由布子、狩野翔、都丸ちよ、鈴木みのり、安野希世乃
ネタバレ

ValkyOarai さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

オッス、私、マイン いつか巫女になっぞ!(ホントはプリキュアになってビッキーに追いつきたい)☞願いは叶ったッ...!

前のあらすじ

転生前は大学生の本須 麗乃
彼女は本の雪崩に巻き込まれてしまい
気が付いたら兵士の娘マインに転生していた

本が読みたい一心で
まずはシャンプーを作り、パンケーキを作り、環境を開拓
そんな中、親父さんの同僚であるオットーが渡した石板を見つけ、字を書けることに幸せを覚えた

しかし本は貴族が読むものだから手は出せなかった。それでも諦めきれないマインはルッツと共に紙を制作していく中(彼には転生をバラした)、巫女見習いになれば本を読めるのではないかと最終的な考えが浮かび、家族に相談

そして交渉の席
神殿長が親を極刑にしようとしたのを必死で守ろうとしたので、体の中を蝕む身喰いが強引に吐き出され、怒りに身を任せ、神殿長を始末しかけたが、神官長によって説得され、無事に交渉を終えることができた

こっから(自分の意志を貫くから神なぞいらぬの)マインに待ち受ける運命は...

因みに、マインが神殿での交渉を終えた後、神官長は部下2人を下町に送り出し...

15話 神殿でも環境開拓
{netabare}やっと巫女見習いになれたのに
ったく、(1回殺しかけた)神殿長め、余計な使いを渡しやがって...
それとあの神に感謝ポーズもめんどくせーし...{/netabare}

16話 人を使役したくないマイン
フラン(筆頭側仕え)=神谷幸広(アイマスsideM)
ギル(見習い)=のぞみ、サーシャ、加賀見かずや
デリア(見習い)=椎名法子(デレマス)
{netabare}さてこの3人、どうしよ...特にデリアはあの神殿長の差し金ではあるが、無下にはできねえし...

しかし、やっと図書室で本を拝むことが出来たマイン
いつ以来だろ...ああ...インクの匂いがなつい...www
しかも昼食の時間そっちのけで読んでいたので...
「...邪魔しないで...」
ま ー た シ ェ ム ハ か...
(心臓握り潰される...)がよぎったため退室
「ふう、静かになった^^」

ああそれと、青の巫女服着てうろつかないで...基本馬車だから...
それと言葉遣いを改めてくれないかな、交渉の席だし
これによって商会と神殿の取り分は1割と決まった
しかしギルはいけすかない表情で...「腹減った...」{/netabare}

17話
{netabare}今日は神殿にルッツを連れてきた
そこで「あーあ出会っちまった」嘗てのピンクキュア(のぞみ)とビョーゲンズが...
ダルさん「キュアグレースじゃねーのかよ...」

おいちょマインを突き飛ばすな...!
怒ったルッツ、おい諫めろや!{/netabare}

18話
{netabare}自らの言動が誤っていたことを反省して、3人との関係を直したマイン
しかし、次の問題が転がり込む...
何だこの荒れた孤児院...背屈ばって服掴んでくるし...
これもショッキングだったため、まーたダウン...(豚の惨殺と同じく){/netabare}

19話
{netabare}気になって本が読めないから、孤児院を助けるマイン。そんだけ
まずは身なりを整えな、そして食え
孤児院の子供達によって、紙作りが捗り始めた^^
いやあ、部屋が綺麗だと、心も綺麗になる
安心と信頼の感謝ポーズwww

料理もそうだし、遊び道具のカルタも作り始めたようだ
しかし、果実をぶつけ合う祭りの件でちょっとしたトラブル(あの植物・トロンベが身喰いの魔力で生成)があったことが神官長にバレてしまったため、反省房に...
ま た ダ ウ ン{/netabare}

20話
{netabare}ルッツが家出した...マインが熱出して寝ている時なのに...
仕事が捗らないし、彼女は計算機じゃないぞ神官長www
まーた交渉か、しかもマインは口出しできないから、魔術具を握って心から話せ、彼にしか聞こえないから
どうやら、親父さんは話すことが苦手な様子だった
そして交渉後、マインは神官長、フェルディナントの名を知ることに{/netabare}

21話 キュアベーコンよ見ているか...
{netabare}母さんに新たな命が宿った...
そこで絵本を作ることに
まずは許可を得ないと、マインは絵が駄目だから...
他の側使いを雇わねば、けど子供の世話があるからNG
どうすりゃええねん、ってことで神官長に相談することに
そうか、音楽も学ばないといけないのか
急に歌うよ~(^^♪☞神官長が

彼女も上手に弾けるようになりなさいってことで...終わらせる訳にはいかん!だって本が読めなくなるもん!➡手伝いを減らすことで承認

早速新たな側使いを雇って楽器の練習をするのだが...
どうやら他の仕事は手をつけていない模様...確かに手を痛めるけれど
これじゃあギルも怒るわってことで話し合いすることに

この後、マインも急に歌いました{/netabare}

22話 やっとたどり着いた
{netabare}まずは三匹の子豚の文章を読み聞かせしたのだが、子供達や側使いは動物を知らない模様、さてどうしようか
いっそのこと子供用の教典を作るか!
でもその本を量産するならばコピー機は無いし、版画で行くしかない...
でも刷るためのインクが要るな...でも原価はちゃんと計算しないとwww
しかもインクは1種類しかない、代替品を探さねば
まずはススか(1期を思い出す)
でも文字が見にくいので、他の手を探すことに

そうか、普通の版画ではなく、紙を使った版画なら、綺麗に仕上がりそうだ
教典のチェックを神官長に見せに行ったとき、隠し部屋にて言われた。料理の女将さんも言ってたことが
「君は何処から来たんだ?」
ホントのこと(元は大学生)を言うわけにはいかない...

だが、やっと完成した1冊...
2年は長かった...
これを大量生産せねば...{/netabare}

23話 ここにユグドラシルあれば操れるのに...
{netabare}上司にあたる神官に挨拶をして今日も図書室で本を読もうとしたマイン
だったが...荒らされていた...
「ゆ”る”さ”ん”!!(誠に遺憾である)」(身喰いは吐き出されなかったので安心したが舌打ちはwww)
井口さん、演技してくださいwwwww

どうやら神殿長の息がかかった神官がやったみたいだとマインは独自に推理するんだが、まず新官長に報告することに
そして散らかった書物を十進分類法で分けることに
だが、この方法に疑問を感じていく神官長であった{/netabare}

24話 急にやってくるファンタジー
{netabare}そりゃあ小鳥が窓ガラスを突っ切って入って来ればそうなるわなwww元はカタギなんだもん
どうやら遠くの森であの木の化け物(トロンベ)が大きく成長したのでそれを討伐しに行く模様、あの化け物はマインが1期の時、森の中で見かけたんだよなあ
私しゃ祝福担当ですかい...{/netabare}

25話 身喰いの魔力の強さがここで分かる
{netabare}さーて狩りの始まりや
どうやら弓矢や剣で斬りつけたり射貫いたりして枯らしていく模様
と思いきや、無能な部下がマインを馬鹿にしたことで...

立場を弁えているマインはキレることはなかったけども、神官長に助けを求めて振り上げた手がナイフを掠めたことで切った血のせいであの化け物が...ここにビッキーおったら一目散に来るんに...
あの巻きつき方を見ると、未来の意識がシェムハに飲み込まれるのを思い出す...「響ぃ...!」
脱出の際体力を消耗してしまったが、薬を飲んだことで回復できた(これ苦いけどエリクシールか?それとも液体にした仙豆?)
さーて、この落とし前をどうつけようか...?{/netabare}

26話 そして儀式を行って一先ず終わる
{netabare}見せてやれマイン、貴女の魔力を...
トロンベによって傷ついた大地、そこに魔力を与えて元に戻すのだが
先に部下がやったんだけど、途中で魔力が切れてしまう
よしやってくれマイン

や っ ぱ す げ え

大地を直し、数日後
また隠し部屋へ、そこで1話の冒頭に繋がっていく...
しかし、マインは意識の中だろうと母さんに謝らないといけなかった...でももう戻れない...
その心は神官長の中に...
貴女の心を覗くのはもうこりごりだ...この装具は返却~

そんな中、魔力が高いマインは利用価値が高いってことで他の所で利用されやすい、だから養女にして後ろ盾を得るべきだという方針が...
兎に角、一先ず終わりを告げる下剋上だった{/netabare}

そんな中3期キタ!
となれば声優事務所の壁も高いからプリキュアの道は険しくなる...?

いや、そんな事は無かったッ...!
らんよ、過去世界だがもし貴女がすこやか町に来てたらどうなってた...?

投稿 : 2024/06/01
♥ : 13
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

今期は下克上要素増えた感じ

神殿長には相変わらず嫌われるが、神官長の庇護を得て本作りに邁進する。

嫌がらせしたり、問題を抱えていたりする付き人、護衛どころか見下して傷つける兵。
見事に解決していく。
{netabare}神官長から見捨てられたと勘違いし、マインへの態度が良くないフランをまずは納得させ、ギルに仕事をすれば、食事を保証することを約束して仲良くなり、神殿長の愛人として生きる予定でそのために嫌がらせを続けるデリアが神殿長に見捨てられても、自分は見捨てないと名言して、和解にまでこぎつけた。さらに、孤児院の環境を整備。周囲の信頼を得て強くなっている。楽器も覚えて貴族らしくもなってきている。{/netabare}

さらには、過去の記憶を共有するイベント。どうなるんでしょう。

ルッツも新しい道を歩こうしている。彼の存在も物語に欠かせない。

従ってくれない側仕えを味方にして、シキコーザを見返す件とか見ていて爽快だったし、マインをどんどん応援したくなった。
3期が楽しみ。


OP
つむじかぜ 諸星すみれ
ED
エフェメラをあつめて 鈴木みのり
OPも映像と楽曲がよき。踊っている映像とか草原を走り回っている映像が好き。
EDがやなぎなぎぽい雰囲気を醸し出していると思ったら作詞で関わっていらっしゃった。ゆったりとした良曲。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
第十五章 『神殿の巫女見習い』
いよいよ神殿の巫女見習いになることになったマイン。神殿に入るまでの間、これまでのことをベンノに報告したり、カトルカールの試食会をしたりと、慌ただしく過ごす。そして、マインが神殿へ行く日がやって来た。フェルディナンドによって誓いの儀式が行われ、青色巫女見習いとして認められるマイン。そして、これからマインの身辺の世話をするという側仕えたちを紹介されるのだが……。

第十六章 『青い衣と異なる常識』
神殿での生活が始まった。新しい仕事を覚えていくマインだが、側仕えたちはマインに反抗的な態度を取る。中でもフェルディナンドの側仕えだったフランは、貴族らしさの欠片もないマインに仕えることに不満を持っていた。一方、マインも側仕えが信用できず、ちっとも神殿に馴染もうとしない。そんな中、寄付金を納めることになったマインはベンノを伴い神官長の元へと赴くことになった。

第十七章 『与えるべきもの』
フランの信頼を勝ち取ったマイン。しかし、ギルとデリアはまだマインを主と認めない。「与えるべきもの」を与えていないからだ。神殿では主が側仕えの衣食住を保証するのだ。マインは、麗乃時代とも下町とも異なる神殿での常識に戸惑いながらもギルに食事を与えるためにはどうすれば良いかを考える。一方、自分たちに歩み寄ろうとするマインの姿に、ギルとデリアの心も揺れて……。

第十八章『孤児院の大改革』
孤児院に案内してもらったマインは、飢えた幼い子供たちを見てショックで倒れてしまう。なんとか子供たちを救えないかとフェルディナンドに相談するが、孤児たちに対して責任を負えるのかと問われ、答えることが出来ない。しかし、飢えた子供たちの姿が頭から離れないマイン。大好きな読書も手につかなくなってしまう。そんな中、ルッツの一言からマインは孤児を救う方法があるかもしれない、と希望を見出す。

第十九章『大掃除と星祭り』
孤児院長に就任したマインは、手始めに孤児院の大掃除をすることに。さらに採集の仕方やスープ作りを教え、孤児院の環境を改善する。働けば報われることを知った子供たちは、率先してマインのために動くようになり、マインは子供たちから慕われる。そして季節は夏になり、子供たちにも星祭りを体験させたいと思うマイン。フェルディナンドの許可を得て、孤児院の庭でタウの実をぶつけ合うが、そこで不思議なことが起きる。

第二十章『ルッツの行く道』
ルッツが家出してしまった。ルッツが商人になることに反対していた父のディードと言い争いになり、飛び出してしまったらしい。一方、ベンノはルッツを養子にすると言い出し、ルッツの家族と険悪になる。どうすればいいのかと悩むマイン。フェルディナンドは双方の話を聞くようにと助言する。親身になってくれるフェルディナンドが意外なマイン。こうして、神殿でルッツの家族会議が行われることになる。

第二十一章 新しい側仕え
エーファに赤ちゃんが生まれることを知ったマインは、子供用の絵本を作ろうと決意する。絵本作りのため、絵が上手いヴィルマを側仕えにしてほしいと懇願するマイン。さらに、音楽の得意なロジーナも側仕えに加わり、マインは新たに二人の側仕えを迎えることになった。だが、ヴィルマは何か事情がある様子で、孤児院から出たがらない。一方ロジーナは、マインにフェシュピールという楽器を教えくれることになったのだが……。

第二十二章 ヴィルマと子供用聖典
本格的な絵本作りが始まった。マインはルッツやトゥーリ、孤児院の子供たちに協力して貰いながらインクを手作りし、試行錯誤をくり返して作業を進めていく。これまでの道のりを振り返り、ここまで来られたのはみんなのおかげだと胸がいっぱいになるマイン。一方、みんなが本作りを頑張っている姿を見て、頑なに孤児院の外に出たがらなかったヴィルマの心にある変化が起きていた……。

第二十三章 収穫祭のお留守番
秋になり、青色神官たちが収穫祭へと出発する中、マインは図書室へ行くことにする。久しぶりに本が読めると、うきうきするマイン。だが図書室の扉を開けたとたん、マインは茫然とする。図書室の中が荒らされ、本や資料が撒き散らされていたのだ。こうなったら十進分類法を使い、好きなように片づけようと奮起するマイン。一方、フェルディナンドはこの世界にはない不思議な知識を持つマインに疑念を抱くのだった。

第二十四章 騎士団からの要請
フェルディナンドから、冬の間、神殿に籠るようにと言われたマイン。家族に反対されるものの、神殿に残ることを決意する。マインには孤児院長としての、そして青色巫女見習いとしての責任感が芽生えていたのだ。そして、冬が近づいてきたある日のこと。騎士団から要請がきて、マインは儀式を行なうことになる。衣裳を着替え、貴族街へと連れて来られたマイン。そこには、鎧に身を固めた騎士たちが整列していた。

第二十五章『トロンベ討伐』
騎士団からの要請で、出動することになったマイン。フェルディナンドの騎獣に同乗し、空を駆ける。行き先は、森の奥。そこで、巨大化したトロンベが暴れているのだ。枝を振り回すトロンベを見て、驚くマイン。騎士たちは黒く変化させた武器で戦い、トロンベは弱っていく。だがその時、マインの護衛を任されていたシキコーザが、マインを平民だと見下し、威嚇したことで、とんでもない事件が起こってしまう。

第二十六章『夢の世界』
トロンベの討伐が終わると、マインは熱を出して寝込んでしまう。そして、ようやく回復したマインが久しぶりに神殿へ行くと、フェルディナンドの部屋に呼ばれた。フェルディナンドは、魔力がけた違いに多く、不思議な知識を持つマインの正体を見極めようとしていたのだ。フェルディナンドの薬を飲み、魔術具をつけたマインは眠くなり、気を失う。そこでマインが見たものとは--。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 14
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

この世界で生きていく、静かな覚悟。

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
「なろう」「異世界転生」という要素が、もしも視聴を妨げているのなら、本作に関してはその先入観を捨ててほしい。

異世界に転生した主人公が、本作りに奮闘し、自身の生き方や周囲の人の考え方をゆっくりと変えていく物語。

これは、「1期を観ていないとダメなタイプ」の2期だと思います。興味を持たれた方は、1期からの視聴をオススメします♪

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
世界が上か、キャラが上か。

多くの異世界転生の場合、キャラは世界の上に立つ。その世界に生きてる人、文化、常識、積み上げてきた歴史は、現代日本に暮らす我々からすれば、時代遅れでクダラナイないものであり、主人公の活躍の為にあっさりと破壊され、踏みにじられる。

ところが本作の転生者マインは、「この世界の理の中で、地に足下ろして生きていく覚悟」をしている。

世界を救うとか、国を作るとか、そんなことは考えない。マインが考えているのはいつも、身近な人の幸せと、自分の幸せ。変えるのは世界ではなく、半径五メートルくらいの人の考え方と、自分の考え方や身の振り方。それが、「この世界で生きていく覚悟」

数多の異世界転生者に聞きたい。「君は転生前に、自分で世界を救いたいなんて思ったことが、1度でもあったかい?」

力を得たら、容姿や環境が変われば、人は変わるの? そんな単純なもんではないだろう。いくら、仕事がもの凄く順調で、美味しいものを食べて紹介するだけで大きな収入が得られて、めちゃくちゃ美人な奥さんや可愛い子供が出来ても、ゲスな奴はやっぱりゲスだ。「人から羨ましがられる境遇」になっても、いきなり聖人君子になるわけじゃない。

マインは、とても真っ当に生きている。自分の利益(本を作ること)には貪欲で、でも、周囲の人の迷惑や幸せもちゃんと考えていて。怒るときは怒り、落ち込む時は落ち込み、笑うときは笑う。人としてすごく当たり前のことだが、「当たり前ではない状況下(転生先)で当たり前が出来ることは、当たり前じゃない」のかもしれない。

本作に関しては、1期1話からずっとこのような姿勢は貫かれているが、特に感心したのは、2期最終話。マインが、転生元の世界を記憶の底に押し込み後悔の中に生きてきたことや、神官長がマインを疑い、国のために尋問したり利用価値を説いたりするシーン。

実にリアル。思えば、ギュンター(家族の幸せ)、ルッツ(将来の夢)、ベンノ(経済的利益)など、この世界の人物は、自分の幸せに貪欲で、一生懸命だ。そこに、イマイチ正体を掴めなかったフェルディナンドに、「国家の繁栄」という明確な目的が示されたのは意外で、でも、ようやくフェルディナンドが人間らしく感じた(まあ、本当の目的は別にあるかもだけど)。マインも、転生者らしい苦しみを抱え、なんとか消化し、でも消化できなくて、それでも少しだけ、前に進めた。

最終話、(転生前の)お母さんへの謝罪を、(転生先の)母さんに言い、感謝を伝える。素晴らしいシーンだった。

この作品のキャラクターは、実に「生きて」いる。人間臭い。そこが、高評価の理由です。

3期あったら、確実に観ます。よろしくです!
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
門番には、門番の役割。八男、よりもちゃんと貴族と渡り合ってるよな。貴族からは疎まれ、孤児からは嫉妬される。

2話目 ☆4
望む望まないではなく、青色巫女らしくなれる努力。商人も、神殿には頭が上がらない。「フランが なかまに くわわった!」w

3話目 ☆4
着替え、上手いな。働けば対価がある。当たり前のことだけど、この世界では、特に孤児にはあり得ないこと。ギルも、あくまで孤児。少し安易だけど、愛情と報酬で動く。まあ、マインは金あるからな(笑) 神官には、下町の常識を教える。これ、ルッツとギルで、将来マインを取り合うな(笑) 「チームマイン」が充実してきた(笑) 仕事しないと飯もない。テリアの仕事だって、ロリコンばかり相手のしてきたのかな。仕事は、信じて、任せて、誉めて、覚えさせないとね。

4話目 ☆4
衝撃ではあるよな。そりゃ、孤児院には戻りたくないよな。三者三様の考え方。常識が違う。孤児院の委員長。責任も持てない、お金も出せない。他の異世界転生に教えてやりたい。マインなら、孤児に仕事させそうだけどな。ルッツ~って、もう完全に恋人だな(笑) これに関しては、究極に安い人件費だしな。ベットで!って、流石アダルトマイン(笑) 心置き無く読書をするため(笑) これ、八男の人だったら、10秒で孤児院救うな(笑)

5話目 ☆4
ギル、孤児院の運営が仕事になるな。神の恵みではなく、報酬。平等ではない。そうやって、仕事を覚えさせる。やや旧体制的だが、この時代のこの世界の背景からすれば、正しいやり方だよな。聖女、マイン(笑) 教育がご褒美。カルタも売れる。まあ、神殿長が黙ってないよな。でも、この功績を、名誉だけは全部神殿長に流せばなんとかなるかな?

6話目 ☆4
この時代、というか世界では、親の反対する仕事に就くことはなかなかない、というか悪なんだろうな。第一次産業の方が上に考えられるのは、昔のヨーロッパとかと同じだよな。理由を言わない、言葉が足りない父親の問題があるんだよな、それをいちいち言わせる神官長が良いね。これ、ルッツやベンロは悪くないだろ(笑)

7話目 ☆4


8話目 ☆4


9話目 ☆5
知識は通用せず、教養や常識、理念は通用する。版画もなかなかうまくいかない。やりがいや生きがいを見つけていく。色んな人の力を借りて、完成させていく。2年。ここでの回想は、ズルいな(笑)

10話目 ☆4
ぶちキレマイン(笑) ブラッディーフェスティバル(笑) 日本十進分類法、大学の時に覚えたな(笑) テンション高すぎて失言? マイン、絵本完成でテンション高い(笑)

11話目 ☆4
ここまできて、まだ親の許可を必要とするのが良いね。いつもの優しいフランに(笑) いちいち驚くマインが良いね。これまでのアニメで「普通」と流されてきたことに、しっかり光を当てている感じ。

12話目 ☆3
信賞必罰。身分差には身分差を。

13話目 ☆5
神官長、格好良かった。厳しいところは、厳しく。マインも、押し引きが上手い。神官長フラグ(笑) 囲い込みは必須、エサは本。神官長、ちゃんと報告するし、国の利益を考えている。マインを養女に。お母さんへの謝罪を、母さんに言い、感謝を伝える。素晴らしいな~。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 30

72.5 2 2020年度のポジティブアニメランキング2位
BNA ビー・エヌ・エー(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (292)
999人が棚に入れました
21世紀、それまで歴史の闇に隠れていた獣人達がその存在を明らかにし始めていた。普通の人間だった影森みちるは、ある日突然タヌキ獣人になってしまう。人間たちから逃れるために向かった獣人特区『アニマシティ』は、十年前に獣人が獣人らしく生きるために作られた獣人のための街。そこで人間嫌いのオオカミ獣人・大神士郎と出会ったみちるは、彼と行動を共にするなかで、人間の世界にいた頃には知らなかった『獣人たち』の悩みや生活、喜びを学んでいく。なぜ、みちるは獣人になってしまったのか。その謎を追ううちに、予想もしていなかった大きな出来事に巻き込まれていくのだった。

声優・キャラクター
諸星すみれ、細谷佳正、長縄まりあ、石川界人、高島雅羅、村瀬迪与
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

観終わった

4話までの感想{netabare}
どうにも私はトリガーと相性が悪いみたい。
厄介なのが序盤「お、これ面白いじゃん」と思っても、中盤から「なんでそんな展開に…」となることが多い。
特に2クール作品の2クール目からそうなることが多いかな?
起承転結の転のつもりなんだと思うけど、それまでの展開とガラっと変え過ぎてついていけなくなる。
ってことでこの作品は全何話なのかが非常に気になるトコロ。
1クールなのかな?だったら「あれ?」となる前に突っ走ってくれるかも。

と、そんな感じで序盤の3話まではいつもの様に好印象。
みちるはタヌキの方が可愛くないか?ひょっとして人間姿はワザと不細工にデザインした?
…なんてこと思ってたら、あれ?4話ちょっと雑すぎじゃない?
言いたいことは分かる、教祖の立場無視して他者を攻撃しまくる信者はアニメ界でもよく見るw
信者ってより教祖を殴り棒にして正義ごっこしてるだけというか…まぁ、うん。
だけどそれを押し出すことに意識を奪われ過ぎたのか、他の部分がおざなりで、これ本当にトリガー?とさえ思えたり。

顕著なのは内地へ向かって海を渡ったシーンの省略。
例えばこれが“リトルウィッチアカデミア”だったら、ホウキで飛べる魔女に乗せてもらったら凄いスピードで「ぎょえー」と言いながら必死にしがみつくアッコ、なんての描いたんじゃない?
そういうコミカル表現でなくても…丁度いいのがあった、
https://www.youtube.com/watch?v=zKQsL_ilDYU&feature=
これの3:47からのシーンみたいなの、何故省いた?
ズブ濡れのみちるが見たかったワケじゃないよ、いや見たかった。
あとニナが水槽に入れられるまでの経緯も飛ばしすぎ。
喋ることはできるんだし昏睡でもしてなければあんなことにはならないと思うのだが…。
って、あ!これって海外ドラマでたまに見る、ドラッグが横行しててニナはそんなの初めてで効きすぎちゃった(昏睡した)ってことか?
少しずつ吸引しないといけない「小麦粉」を、差し出された分一気に吸い込んじゃったとか?

あはは、そりゃカットされても仕方ないw

…。
そうなのか?
我ながらかなり強引な好意的解釈だと思うのだが…。
でもって最後は、正義ごっこするだけで殴り棒のことを理解する気のない連中を見て、憤慨しようにも自分もそうだったと気づいたみちるは獣人のことを理解すべく島へ戻るのでした、と。
筋書きは悪くないんだよなぁ、演出がヘンだったてことか?
今後巻き返すのに期待したいトコロ。

ところで4話までで半田修平の名前出てないと思うのだけど、見逃してるだけ?そのうち担当回来るのかな?
“まぎレコ”の方で「沼田誠也担当回あったら見るわ」と思ってたらずっと後半で、ちょっとそこまで耐えられないってことがあったり無かったり。{/netabare}

5話感想{netabare}
おっ、野球回じゃーん!
ってことでお約束の巨人の星…ではなく、ドカベン(野球狂も入ってる?)とあしたのジョーをミックスさせてそこにアストロ…よりも個人的にはコブラのラグボールを添加した感じ。
うん昭和だね。
そして実況役が水島裕で、演技的に広川太一郎だったらなぁと思ったら「外野ーっ!」って叫んで(水島裕が主役を務める“六神合体ゴッドマーズ”の決め台詞が「ガイヤー」)…このためのキャスティングかwww
めっちゃ昭和じゃーん!!
と思ったら、いや待った。
丹下段平ポジションのキャラがヤクザとつるんで八百長って…あれ?それって“メガロボクス”?
市民カード持ってるかどうかで酷い格差があるというのも、こっちの獣人と人間との格差と被る。
しかも大神(字面が六神に見えてきた)の声はメガロボクスのジョーの人なんだけど?
ってことでこの件が一番笑ったw、細谷佳正はどんな気持ちだったんだ?って感じで。
ひょっとしてスタッフはスタッフなりに気を利かせて、昭和アニメ知らない人にも分かるパロを入れたってことは…無いかな?

こんな感じで全話突っ走ってくれたら最高なんだけどなー、どうなるんかなー。{/netabare}

最終回までの感想{netabare}
11話が謎い。
まずナズナが、アランに「ストレスを和らげるために必要だ」と言われた(そのシーンは無い)だけでコンサート最後で自分が獣人だと明かそうとして「?」。
当然それは罠で、ミチルに言われて考えを変えたこと自体はいいとしても、そこまでの心の流れが雑かな?
もうちっと「アランの言うことだったら本当なんだろうハハン」と、例え深く考えてない・軽い気持ちであっても視聴者に「ナズナはそう信じてしまった」と見せるシーンは必要だったような?
そして観客がボリスの暴露を鵜呑み、これもどうなんだろう?
その直後シルバスタ製薬のメカが現れて、それに襲われて凶暴化…は分かるんだけど、その前の演説段階で既に涙してるんだよね、なんか変。
そして大神は暴走化した獣人達を目の前に、1000年前の皆殺しの時のことを思い出して暴走化。

何が起きてるのかは分かるけど、こっちの感情がキャラの感情に追い付かない。
この感覚は…ああ、4話の時と同じだ。
設定上の理屈どうこうではなく、視聴者の感情をもっと上手く誘導する描写はできなかったのか。
と、そんな感じで「なんかついていけない」、画面で起きてることをボーっと眺めるだけになってしまった。

最終回、ラスボスのアランが純血を維持してたというのも、あっそうって感じで全く重みが無い。
それこそ純潔維持のために先祖は好きでもない相手と子作りして来たとか、シブやバッククロスが当たり前に行われてたとか、なんか歴史的な重みを背負ってる造詣にはできなかったのか。
人種問題を扱った作品だと思ったら結局個人が相手だったっていう…「純血種」の一族郎党出すべきじゃなかったのかなぁ?
この作品は狼男だったので流されそうになるけど、もし吸血鬼だったらシモベが居て然るべきだと気付くハズ。
大神の中の人は十二の眷獣を従える第四真祖の役やってたり(“ストライクザブラッド”)、ボリスは…子安でバンパイヤ役というと“マスターモスキートン”まで遡っちゃって私自身がよく分からないや。
石川界人は…どうなんだろう?バンパイヤ役やったことない?
とにかく中の人はこれやってる間どんな気持ちだったのだろう。

そして市長の最後の言葉「根気強くやる(中略)幸い私には時間がある」、その後大神「お互いにな」って、これハダカデバネズミが長寿であること知らんと分からなくね?
って、アニヲタだったら知ってて当然なのかな。
タヌキとキツネは変身して人を化かす(変身能力がある)というのも日本独自の価値観な気が…これってネトフリ配信だそうで、敢えて日本の文化推しをした気がするのだけど、ターゲットがよく分からん。
5話のネタなんて外人分かるのかね?重度のアニヲタなら分かるのか?{/netabare}

総評{netabare}
淡々と物語のあらすじを見せられてる様で、何が起きてるのかは分かっても感情が乗れなかった。
画面では派手なアクションしてるハズなのに印象としては地味。
キャラ達がわちゃわちゃしてるのを「へーそう、大変だね」と他人事のように冷めた目で見てるだけだった、特に後半。
誰にも必死さを感じられなかった…せいかなぁ?
特にラスボスの目的が不明瞭、雑種を消し去りたかったのか?
人類に貸しを作ろうとした?セコくね?
セリフで「ボクたち純血種こそが~」と言うが、出てくるのが一人だけなので印象として受ける規模は小ぢんまり。
だったら「雑種のクセに自分と同じ能力を持ってる大神が憎い」や「我の能力を存分に振るえる相手を探していた」とか、もっと個人的な動機で良かったんじゃないかな。
ヘタに人種問題っぽいことに手を出したせいで扱い切れなかった予感。
また、人間を裏で支配し~とも言うが、これも「だからなに?」って感じ。
同じように人種問題を扱い、人ならざるラスボスが人間社会を裏で支配してたものとして“BEM”があるが、あっちは人間にウンザリしてた描写もあってこっちより踏み込んでた…気がする。
(最近“新サクラ大戦”の方の感想でもBEMを挙げて、まるで支持してるように思われるかもだけど、たまたまです。あれもそんなに面白くは…)

話が安っぽく、複雑にしようとしてキャラの思考回路だか行動原理が不明瞭になり、仕方ないから「なんか偉い人」を出してやっつけて閉めた、そんな印象。
絵も一見派手に見えるかもしれないけど地味、手を抜いてた気がする。
なにかの実験作なのか、“プロメア”をやって次のなにかをするまでの間の場繋ぎとしてテキトーに作ったのかな?{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 19
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

複雑な世界を単純化して問題を提起したことに、一定の価値はあったとは思うが。

[文量→大盛り・内容→考察系]

【総括】
ジャンル分けは、難しい。

獣人だけが暮らす街、アニマシティでの生活を通し、世界を見つめていくという話。

アニオリ作品。テーマとしては小難しいのですが、そこはTRIGGERというふりかけをかけていますから、わりと勢いでも観られます。

小難しいことを考えて観るも良し。ノリと勢いで楽しんで観るも良し。中途半端とするかハイブリッドとするかは、貴方次第(笑)

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
基本的に、映像表現のセンスが良く、TRIGGERらしい迫力や勢いもある、クオリティ高いアニメだと思う。

このアニメは、獣人を描いているようで、人間社会を描いている。

「差別」「宗教」「ボーダレス」。内包するテーマは、とてもアニメ1クールで解決できるような軽々しいものではないので、いずれも問題提起で終わったような印象だったが、かえってそれが、「難しくなりすぎない」絶妙なラインだったのかなとも思う。

ただ、本作で一番惜しかったのは、「人間社会」を断片的にしか描いていないところだ。

獣人が人間から差別されるというのは、獣人が個体として人間より強いことと、人間が圧倒的に多数派だから。数の暴力。それはまあわかるとして、

「獣人は人間の恩恵を受けていないのだろうか?」

という疑問があった。アニマシティは獣人だけが住む街なのだが、アニマシティを作るための資材は? 重機は? インフラの維持は? 食料や水は? 経済は?

全て獣人達は「自給自足」できているのだろうか? 人間を嫌う歴史的な背景や、彼らが迫害されてこの街に来たという経緯、つまり、「過去」はしっかり示されている。納得もできる。

でもじゃあ、「現在」は? アニマシティ以外に住む獣人達の意思や思想は?

アニマシティは、ある意味「偏った社会」だ。ここに住むのは、人間社会からはじかれた、或いはそこに染まることを良しとしなかった獣人達であり、彼らの意見が人間社会にとって厳しいものになるのは当たり前。

だからこそ、その「一部」の意見を「全部」のように見せるのは、ちょっと危うさを感じた。

「差別」という繊細なものを扱うのであれば、「アニマシティで暮らさないことを選択した獣人の意見」や、「アニマシティを排除しようとする人間の意見」「アニマシティを好意的に捉える人間の意見」、「人間社会と積極的に関わろうとするアニマシティの獣人の意見」など、様々な立場からの意見を中立的に見せ、視聴者に考えさせるべきだろう。

そういう意味で面白かったのは、第4話(人間社会に憧れるマフィアの娘が、人間社会に向かう話)。あれは最後に人間が完全に悪に描かれたけど、ああいう単話のエピソードを色々繋ぎながら、オムニバスっぽくまとめてくれたら、もっと評価は出来たなと思った。

私は基本的に、社会的に弱い立場の人間に感情移入してしまうが、それは心情的なものであり、社会システムとして何が正しいのかというと、そんなにシンプルに物事は決められないのかなと思う。

例えば、私たちの暮らす日本(東京)は、シンガポールに次いで「清潔な都市」とされていて、それは日本人のモラルの高さも大きいから誇って良いと思うけど、一方で日本は、世界屈指のゴミ輸出国であり、大量のゴミを海外に捨てている。それは恥ずべきことだが、ただ、日本のゴミを受け入れることで収入を得て、生活している人々もいるから、安易に否定もできない。

このように、世界は複雑に絡み合っているものだ。でも、このBNAの世界は、何か「二元的でシンプルな世界」に思え、そこが、物足りなさを感じた原因だった。

ポイント、ポイントでは「凄い」と思う要素はあった。例えば2話。風俗街のママの話。獣人の社会の原則は弱肉強食だから、メスの立場が限りなく低いという設定。本作では「正義」の側に描かれるアニマシティを、単なるユートピアにしないためには大切なエピソードだと思った。貧民街の野球チームも然り。

例えば7話。渡り鳥の兄ちゃんの話。渡り鳥獣人にもしっかり人権を与えられたが、渡り鳥獣人にとってはそれがいい迷惑で、人権に縛られることを嫌う獣人の話。「人権」は「人が生まれながらに持つ、人らしく生きる権利」だが、それはあくまで人間目線で、(それが好意や善意からのものであっても)価値の押し付けにしか過ぎないという指摘には、1本取られた。なんか、欧米を揶揄してるのかな?とも思ったけど、相手の文化や風習をしっかりリスペクトした上で、互いが生きやすいように妥協点を探るってのは大事だなと思った。

10話の、心の拠り所を、偶像(アイドル)に頼るというのは、無神論者からすればバカバカしいが、宗教にも社会の中で果たすべき役割はあるという、非常にフラットな視点も良かったな(私自身も、何の神様も信じていないが、神様を信じる人を否定する気はない)。同時に、ボーダレス社会のムリも描いていたし。

こういう良い話が散見されながら、うまく繋ぎきれなかったところが、本当に惜しい。シローを主軸に置いたバトル展開よりも、タヌキ娘が色んな考え方に触れ、自らの生き方を決める話が良かった。シローを脇役の1キャラで使い捨てるくらいの覚悟があれば、違ったな~と。

とはいえ、アニオリ1クールで、ここまでちゃんとまとめているアニメは少ないから、基本的に、良いアニメではありますがね。

あと、「そろそろ黒幕じゃない製薬会社」が観てみたいです(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
映像のセンスの良さは、流石TRIGGER。決してユートピアではない。獣を描くことで人間を描くのね。

2話目 ☆4
ふ~ん、獣人も人間の姿で過ごすんか。弱肉強食の獣人の世界で、メスの地位は低い。これ、獣人の先史を知りたいな。

3話目 ☆4
製薬会社は、大抵、黒幕(笑) 不満げな、分かりました(笑)

4話目 ☆4
おお、ここでちゃんと、歴史を抑えるのね。痒いところに手が届く。当然、こういう世代も出てくるし、人間社会に憧れをもったりもする。逆に、人間の若い世代では、獣人をもの珍しがったり、ファッション感覚で肯定的に捉える人もいる。

5話目 ☆4
TRIGGERらしいというか、熱い展開だった。ミチルに仲間ができた。

6話目 ☆3
銀狼。食い物もらわないと助けない奴が神様なわけない。うちら、何にだってなれる。なずな、なかなか裏がある。というか、普通の子なんだろうね。

7話目 ☆4
なるほど、人権があることが必ずしも良いことではない。人間の視点だもんな。カッケェやりとりだな。政治的な複雑さが増してきた。

8話目 ☆3
罪人と二人きりで会えるシステムなのがな。犬のお巡りさん(笑) まあ、シロー銀狼は分かりやすいけど。

9話目 ☆3
とにかく、ウソくせぇな(笑) キモいから(笑)

10話目 ☆5
ニルヴァジール症候群。本当か? ただ、筋は通っている。人間が獣人を差別し、獣人は人間を憎む。宗教、アイドル、心の拠り所。市長のやり方が一番りにかなってるよな。ミニアニマタウン計画。ボーダレスによる弊害。これ、アイドルとして注目を集めさせ、銀狼(偽者)をライブ中に殺害。全ての獣人にストレスを与え、暴走を促す。その上で、薬を大量に売る。そんな流れかな?

11話目 ☆4
1話の涙は、感涙か。なるほど、人間が獣人になる恐怖と、獣人が人間になる恐怖は、等価か。

12話目 ☆3
ラストは力業で大団円。まあ、それも良し。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 32

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

私は変わる、世界を変える。

この作品はオリジナルアニメだったみたいですね。
TRIGGERらしさ溢れるタッチの作品だったのではないでしょうか。


“人類”と“獣人”が共存する社会。

獣化遺伝子・獣因子を持つ獣人たちは、近現代の自然の消失により住処を追われ、人類の前に姿を現した。
各国が共存のための対応に追われるなか、日本では獣人が獣人らしく生きるための獣人特区
『アニマシティ』が設置される。

それから10年の月日が経ち、『アニマシティ』に17歳のタヌキ獣人・影森みちるがやってくる。
普通の人間だったが、ある日突然タヌキ獣人になった彼女は「ここなら自由に生きられる!」と喜ぶが、
ひょんなことからオオカミ獣人・大神士郎と出会い、
『アニマシティ』にもこの街にしかない危険がたくさん潜んでいることを知る。

頑固な性格で過剰に人間を嫌う士郎とは衝突を繰り返しながら、みちるは怪しい女のマリーや、
市長のロゼ、獣人生活協同組合のジェムとメリッサなど、たくさんの人々に出会い、
それまで知らなかった“獣人”たちの生き様を学んでいく。

そして、タヌキの少女とオオカミ男に生まれた絆は、やがて世界を変える鍵になる。
なぜ、みちるは獣人になってしまったのか。その謎を追ううちに、
予想もしていなかった大きな出来事に巻き込まれていくのだった。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

すみれちゃんと長縄さんが出演されると知り、視聴に気合の入った作品です。
すみれちゃんの役どころは概ねイメージ通り…明朗快活な女の子役がすみれちゃんにはピッタリだと思っています。

少し以外だったのが長縄さんの役どころ…
長縄さんといえば、「小林さんちのメイドラゴン」のカンナカムイ、「スロウスタート」の千石冠、「はたらく細胞」の血小板、「女子高生の無駄遣い」のロリ、「アズールレーン」のラフィーなど、舌足らずっぽい(決して舌足らずではありません)役どころが多かったので、すっかりそのイメージが私の中で定着していたからです。

今回長縄さんが演じるのはすみれちゃん演じる主人公「影森みちる」の親友である「日渡なずな」という、アイドルを目指す女の子です。
これも長縄さんの新境地…というヤツなんでしょうか。
とても新鮮で、でも違和感を感じさせないのは、やはりプロだからなんでしょうね。

一方、物語の方は獣人特区である「アニマシティ」を舞台として物語が進んでいきます。
1点だけ気になったのは、公式HPのトップページに記載されているタイトルです。
「BRAND NEW ANIMAL」と記載されているんです。
直訳すると、「真新しい動物」となりますが、公式HPのINTRODUCTIONに記載されている通り獣人の歴史は長く、意味が当てはまりません。

…と思っていましたが、物語を完走したら腑に落ちた気がしました。
そう、起点の置き方ひとつで如何様にも解釈できるからです。
自分たちが自分たちの望み通りの生き方が選択できる…
そこには不安要素が微塵も無い世界が到来するなら、十分意味合いが通じますよね。

レビューのタイトルである「私は変わる、世界を変える。」公式HPのトップページから引用させて貰いましたが、改めてこの言葉の重みを感じます。
ここで指している「私」はみちるだと思いますが、彼女一人の功績ではありません。
みんなが正しい方向を向いて一人ひとりの役割をきっちり果たした結果だと思っています。
だから、たった一人じゃ世界は変えられないかもしれない…
だけど、みんな一緒ならどんな困難だって乗り越えていけることを示唆しているのではないでしょうか。
最初から最後までトリガーさんらしさで埋め尽くされた作品です。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、影森みちる(すみれちゃん)による「Ready to」
エンディングテーマは、Shin Sakiura feat. AAAMYYYさんによる「NIGHT RUNNING」

1クール全12話の物語でした。
「キルラキル」や「ダリフラ」同様、トリガーさんの作風に慣れ親しんできた方ならきっと楽しめると思います。
私はしっかり堪能させて貰いました。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 28

79.5 3 2020年度のポジティブアニメランキング3位
推しが武道館いってくれたら死ぬ(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (464)
1687人が棚に入れました
岡山県在住のえりぴよは、マイナー地下アイドル『ChamJam』のメンバー・舞菜に人生を捧げている熱狂的なオタク。えりぴよが身を包むのは高校時代の赤ジャージ。えりぴよが振り回すのはサーモンピンクのキンブレ。えりぴよが推すのは舞菜ただ一人。収入の全てを推しに貢ぎ、24時間推しのことを想い、声の限りを尽くして推しの名前を叫ぶその姿はオタク仲間の間で伝説と呼ばれ、誰もが一目置く存在となっていた。『いつか舞菜が武道館のステージに立ってくれたなら...死んでもいい!』そう断言する伝説の女・えりぴよのドルオタ活動は、アイドルもオタクも巻き込んで今日も続く...!

声優・キャラクター
ファイルーズあい、立花日菜、本渡楓、長谷川育美、榎吉麻弥、石原夏織、和多田美咲、伊藤麻菜美、前野智昭、山谷祥生、市ノ瀬加那

oxPGx85958 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

語るべきことを正面から語っている力作

原作マンガを読んでの追記

その後、原作のマンガを最新刊まで読みました。これはたしかに素晴らしい作品でした。マンガ版はアニメ版よりも落ち着いた作風で、無理に話を盛り上げようとするわけでもなく、どちらかといえば淡々と物語が進んでいく感じ。またアニメ版のようにギャグが濃くなく、奇矯な人物として描かれている人たちもそこまでおかしい行動には出ません。

個人的にはマンガ版の作風の方が好み。とはいえ、アニメ版がシリーズ作品として成立させるために採った戦略は適切だったと思うし、成功していたとも思います。

最初にこのレビューに書いたポイントに関連して述べると、アニメ版はマンガ版よりも全体的に濃密だったこともあり、結果としてChamJamのメンバーたちがマンガ版で想定されていた以上に存在感を持ち、魅力的になっていたと思われます。まあ声がついて動くのだから当たり前といえば当たり前ですが、そうならないアニメ化作品もあるわけで…

問題は、そうやって魅力的に描かれたChamJamはなんでアイドルとして成功していないのか、という疑問が生じることなわけですね。ChamJamほどに魅力的なメンバーが揃っているアイドル・グループなら、もっと売れているはず。そうなっていないからには、描写されていない部分に何か重大な欠陥があるのに違いない、みたいな邪推が生まれかねない。

作品内では素晴らしいとされているものが、視聴者には素晴らしいものに見えないという問題は、アニメに限らず映像作品にはよく見られるのだけれども、本作ではその逆の現象が起こっていて興味深いです。

なお、アニメ版の最終話のエンディングで、ChamJamのメンバーが間違えて東京武道館に行ってしまうという話が描かれていますが、これはマンガ版では、ChamJamが初めて東京でライブを開くエピソードに含まれている話でした。このエピソードがまた美しい話なので、アニメ第2期があるのならぜひ入れて欲しい(東京武道館ネタを使ってしまったからという理由で削除せずに)。

また、アニメ版のクリスマス・コンサート回での停電のエピソードは、原作マンガにないアニメ・オリジナルで、放映当時にはマンガ版から逸脱しすぎているという批判があったようなんだけど、私もたしかにあれは悪ノリしすぎかな、とも思いました。そもそも停電で真っ暗になったときにメンバーも観客たちも不安に思うはずがない。家で停電になったときにストックのライト・スティックが大活躍して、アイドル趣味を持っていたことを初めて家族に感謝された、というのはアイドル・オタクの定番のエピソードなわけで。

-----------
私自身、アイドルにハマっていた時期に、本作で描かれているような「熱いアイドルヲタ」になれなかったという引け目を感じているため、本作の内容にはいろいろと思うことがあります。そういった事情を踏まえた上で、本作はアイドルという現象を描くことに真っ正面から挑戦している力作だと思いました。

本サイトの他のレビューでも多く言及されていますが、本作で描かれているような(地下)アイドルのビジネス・モデルは決して健全なものではない、と私も思います。原作のマンガは未読なため、この後にどんな展開があるのか知りませんが、アニメで描かれている範囲で言うと、ファンはもちろんのこと、アイドルたちも悪い大人に「搾取」されている、と感じられる局面がたくさんあるわけです。

そう思うがゆえに、私はいわゆる接触型のイベントには行かず、CDの複数買いはもちろん、関連グッズにもファン・クラブにも手を出さないアイドル・ファンでいました。これはまともな大人ならば当然の行動パターンなはずですが(まともな大人ならばそもそもアイドルにハマらないわけですが)、それゆえに、本作で描かれているような熱いアイドルヲタたちは自分には手が届かない経験をしている、と羨ましく感じることもあったわけです。

アイドルが憧れの対象である、というのは当然のこととして、本作で描かれているようなアイドルとファンの関係性も、私にとっては憧れの対象です。いわゆる「精鋭」ですな。この言葉にはバカにしているニュアンスがあったとしても、自分の手には届かない人々という崇敬の念も込められてないわけではない。

そんな私から見て、本作は真正なものであると感じられました。原作者本人がアイドル・ファンなんだからこれは不思議なことではないわけですが、本作がアニメ作品として成功している最大の理由は、やはりファイルーズあいによる主人公えりぴよの演技だと思います。

強く印象に残っているのは、第2話の「ガールズフェスタ」でえりぴよが「舞菜!」と呼びかけるシーン。恥ずかしいので詳しくは書きませんが、ああいう場面でアイドルに声を掛けるとはどういう行為なのか、というのは実に哲学的な意味合い豊かな問題なんです。また、あのときのファイルーズあいの発声には実に現実味がありました。演出者があの演技プランを採用し、演者があのように演じたのは見事でした。あれがあったから、他の多くの場面にあった大げさでコミカルな演出・演技も許容できたのだと思います。

そう考えると、えりぴよ以外のファンたちは普通のステレオタイプの枠を超えていないとは言えます。ああいう人たちが現実にいない、という意味ではなく、すでに一般化されて広く共有されているアイドルヲタのあり方だ、ということです。しかし、えりぴよの(すべてではない)いくつかの場面には、そんな類型を突き抜けて、ことの深層に迫る何かがあったように感じたわけです。

ファンの側がそんな感じであるのと対照的に、アイドルの側の描写は、普通のファンタジーでした。「ほんとうのアイドルはこんなにきれいじゃない」という意味での理想化されたあり方。大人のアイドル・ファンはここらへんを相対化してファンをやっているわけだけど、本作のエリートなファンたちのカウンターパートとしては、この理想化されたファンタジー世界のアイドル像が適切だったのでしょう。まあショウビジネスの汚い世界を描くバックステージものも陳腐化してるから、無理に手を出す必要もない。

普通のアイドルものだったアイドル側の描写の点では、本作は、ChamJamのメンバーたちの描写が最低限行われていて、シリーズ終盤にはそれぞれに感情移入ができるほど描き込みがなされていた成功作だったと思います。他メンバーたちが舞菜の引き立て役になっていないこと、むしろ舞菜がこれらメンバーの中では、なんというか「精彩に欠く」ことが、ChamJamの中で舞菜が人気最下位であることに説得力を持たせているし、えりぴよの舞菜に対する思いに深みをもたらしている。

その意味で、ChamJamというグループ内での舞菜の描き方は絶妙なバランスになっていたと思います。いやほんと、舞菜が他の6人よりも明らかに(客観的に)魅力的だったら、この話の大前提が揺らぐわけですから。やっぱり舞菜は理由あっての人気最下位。しかし、えりぴよにとってそんなことは関係なく、世界で一番の存在である。

舞菜だけに本質的に優れた美点があり、えりぴよだけがそれを見抜く力を持っていた、という、ありがちな教訓話ではないわけです。そのようなロジカルな必然性はなく、とにかくえりぴよは舞菜が好きだ、という偶然性によって成立している関係。ここに「愛」の本質がある。

そのような「愛」が搾取される構造がある。この点で、本作は「娼婦との恋」の物語と同じ枠組みに乗っかっている。そう考えると、物語の枠組みはけっこう古典的なんですよね。現代日本のアイドルを描く新しい視点、というよりも、昔からの手垢のついたモチーフです。

なお、私がファンだった人は、グループ内最下位ではないにせよずっと下位にいたが、上位の人たちが次々と「卒業」していって最終的にはグループの「リーダー」になりました。このため、舞菜にこだわるえりぴよ、れおにこだわるくまさの両方の気持ちがわかります。女ヲタに質の悪いのがいる、という事情も知っています。地下アイドルではないため、アイドルとファンの距離はずっと遠かった。ただ、他のアイドルのライブにもちょくちょく足を運んでいたので、小さい会場独特の雰囲気や距離感はわかります。

上に書いた、舞菜がグループ内で人気最下位であることの説得力の流れで言うと、今後、2期が作られるとしたら、ChamJamというグループが他のアイドル・グループよりも人気がないことをどう描くかが非常に難しい課題になってくると思います。これに比べたら、(そういう未来があるのかわからないが)人気が出て武道館でコンサートを開いているChamJamの方がずっと描きやすいはず。

もちろん舞菜がグループ内での順位を上げていくなら、その描写も難しいでしょう。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 19
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

キモ素敵面白い(笑)

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
アイドルアニメというより、アイドルオタク(ガチの人)をメインに据えた、珍しい作品。基本はコメディで、笑えるところが多いのに、ちゃんとストーリーアニメにもなっているのが凄い。

声優さんの好演も光り、作画もまずまず安定、歌は結構良くて、あにこれの評価基準クリアしてるな~と思いました(笑) リアルに重ね合わせ過ぎない方には、わりとオススメできますね~。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
本作の成功の要因は、

①主人公(ドルオタ)を女性にしたこと。
②アイドルアニメにしなかったこと。

が大きいと思う。

まず、①だが、えりぴよ の立ち位置が絶妙で、なぜだか応援したくなる。客観的に見ると、やっていることはかなりキモいのだが、不思議と穏やかに笑って観られる。えりぴよ が(キャラデザ的に)普通に美人というのも良いな。これが、45歳無職の太ったオッサンなら、確実に笑えなくなるから不思議(笑)

また、この作品なら普通、女オタだとしても、前髪長くて眼鏡で自分に自信がなくて、でもアイドルに憧れていつか自分を変えたい、でも実は可愛い、みたいなキャラがパッと浮かぶ。えりぴよ にはそんな悲壮感が全くない(笑) 就職も結婚もしてないのに(笑) えりぴよが、えりぴよで良かった♪

次に②だけど、本作はあくまで「アイドルオタクを(好意的に)魅せるアニメ」なんだというのがブレなくて良かった。アイドルアニメ定番のキャラ回(シリアス)みたいなのを作らず、でも、ちゃんとChamJamのキャラも深まるようなバランス感覚が素晴らしかった。ドルオタ:アイドルが、7:3というところだろうか。見終われば、ちゃんとChamJamの面々も分かるようになってるしね。

一番好きな回は、第4話かな~。「しかしなにしろ金がない、オタクみんな、金がない」とか笑えたし、皆に避けられてると思ったえりぴよ とくまささんが、実はオタク達から尊敬されていたってのも、素敵なオチだったな~。

あとこれ、「推しが武道館いってくれたら死ねる」ではなく、「死ぬ」ってところが、そこはかとなく怖くて、良いよねw 本当に死にそうだし(笑)
{/netabare}

【余談~ 私がアイドル及びアイドルオタクについて思うこと ~】
{netabare}
まず私は、好きなアイドルがいたことはありません。だから、「ドルオタ」「推し」「ガチ恋」なんてのも、実感としてわかりません。

女優さんなら、昔は広末涼子さんが可愛いな~と思ってたけど、だからといって写真集買ったりだとか、金を使おうとは思いませんでした。どうせ金を出すなら、推し武道的なものより、異種族レビュアーズ的なものの方がまだ生産的なんじゃないかと、、、ゲフン。いや、何でもないっす(笑)

んで、自分が「テレビの中の人」に恋愛的な興味が全く無かったので、アイドルオタクに対しても、やや否定的な立ち位置でした。

でしたと過去形なのは、今は違うということです。

まず、「会いにいけるアイドル」「握手券」というAKB商法が成立し、アイドルが、「テレビの中の人」ではなくなったということです。

お金という対価は必要だけれど、まあ、可愛い子と喋れたり手を繋いだりできるなら金を払っても良いと思う人も、一定数いるだろうなと。

基本的に、「他人に迷惑をかけず」「法を犯さず」「需要と供給が噛み合っている」なら、何の文句もないです。

ちなみにこのAKB商法は、アイドルのキャバ嬢化を招いてしまう恐れがあり、個人的には嫌いです。ただ、(彼の)やり方が嫌いというだけで、アイドルを好きでハマっている人自体は否定しません。

そもそも、私がアニメを好きで、アニメに時間やお金を使っていることと、アイドルが好きでアイドルに時間やお金を使っていることには、あまり大きな違いがないと思うので。

私はいつの頃から、「コト消費」や「モノ消費」ではなく、「トキ消費」なんだなと思うようになりました、何事も。

アニメを観ている「時間」、アイドルを追いかけてる「時間」、美味しいものを食べている「時間」、家族と過ごす「時間」。どんな「時間」に価値を認めるかは、それこそ個人の価値観で、等価値だと思うので、そんな風に考え始めてからは、(仕事上のこと以外なら)誰が何に時間を使っていても、なんとも思わなくなりました。

それから、アイドルの在り方について。

実は、親戚に地下アイドルをやっている子がいるのですが、彼女(高校生)に聞いたことがあります。

「ストーカーとか、怖くないの?」
「ファンの人は紳士的だよ。それに、ファンの人は、アイドルも大切だけど、アイドル仲間、アイドル業界も大事だから、そこで外されるようなことはしない。ファンの人は、ライブも好きだけど、ライブ終わりで、同じアイドルオタクと呑みに行って、熱いアイドル論を交わすのも、一緒に遠征行くのも好きなんだよ。アイドルの代わりなんていくらでもいるけど、アイドル好きの仲間で一旦嫌われると、そういう全てを失うから、だからあまり酷いことはしない。あの人達、あんまり友達多くないし」

なるほど、その視点は無かったなと。実際、本作の中でも、「ファン同士の交流」はかなりしっかり描かれてましたし。

でも、中にはぶち抜けた変質者や狂人はいるから、多くの人に顔を晒すというのは、リスクを上げるだけだから、身内にはやってほしくないな~と思います。特に、事務所が守ってくれるわけじゃない、地下アイドルは怖いなと。

あと、

「握手券欲しさに、何枚もCD買わせるわけじゃん。チェキ撮っていくらとか。それって、悪いな~とか思わないの?」
「全然。だって、ファンの中には、私たちのグループにハマるまで、働いてなかったり、引きこもりだった人も結構いるんだよ。それが、週末に私たちにお金を使うのが楽しみで、その為に一生懸命働いて 、税金もちゃんと納めて、社会復帰して。何にも悪いことないじゃん」

なるほど~。えりぴよ も、舞菜にお金を使うことをモチベーションにして、仕事を頑張っていて、本人も満足そうだから、悪くはないのか~。でも、やっぱり自分は古くさい人間だから、「倫理的にどうなのよ?」と思ってしまいますね。

ということで、個人的には、現在のアイドルの在り方にについて、色々う~むと思うことは多々あるものの、まあ、みんな楽しそうなんで、良いです(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
アイドルオタクアニメ? かなり気持ち悪くなりそうな設定を、女子にすることで緩和か。でも、アイドルより本人が美人ってどうなの? 16:00からを、6:30(笑) お茶くらい、配ろうぜ(笑) ED、懐かしいな(笑)

2話目 ☆3
なんか、ドルオタが格好良く見える(笑) 推しの美学、みたいな感じかな?

3話目 ☆3
テニス部、チャラい(笑) ガチ恋勢。なるほど、そういう区分があるんだ。エリピヨ、嫉妬(笑) みんなフリーター(笑) 電車の中に、天使が(笑) なるほど、こういう時は避けるのがマナーなのか。

4話目 ☆5
オタは仲間を欲するからな~。しかしなにしろ金がない、オタクみんな、金がない(笑) パンを裏返す動きからの犬神家(笑) トップオタとして尊敬されてた(笑) という素敵なオチ♪

5話目 ☆3
ちょいとシリアス? な雰囲気だけど、合間合間のギャグが良い感じに緩和してるな。

6話目 ☆3
そんな、良い子、、、いるか? と、つい、裏を考えてしまう(笑) 積みたいって、すごい感情だよな~。ギャグの切れ味はイマイチだったかな?

7話目 ☆3
家が火事(笑)? 流石に依存しすぎ(笑) 桃太郎(笑)

8話目 ☆3
瞳の写りこみを探すな、犯罪者の思考だぞ(笑) これからは、写真も1度事務所に送り、専門家にチェックしてもらう時代だな。美しいな(笑)

9話目 ☆4
序盤のギャグのキレは、いつもより良かった(笑) 親戚攻撃(笑) 分かる分かる(笑) モトイさんガチ勢で、私はこれがアイドルオタクの一般的かと思ってた。

10話目 ☆3
メイドカフェ。マイナの病原菌だったら(笑)

11話目 ☆4
産めてたら(笑) ダンス練習のやり取りが良いね。いつも以上にエリピヨの暴走が凄い(笑) 推しとオタクの間に、こんな素敵な絆、あるんだろうか?

12話目 ☆4
やたら嫌な性格(苦笑) ライブシーン、止め絵もあったけど、良かったかなと思う。後ろのスクリーンもちゃんとリンクしてて。No.1ではなく、オンリー1。可愛さ天上天下唯我独尊(笑) 死ぬ宣言w 東京武道館(笑) 剣道(大学)の関東大会の会場だから、一瞬で分かったわ(笑)
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 36
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

推して知るべし現実を ※酷評注意

原作未読


それこそタイトルからして推して知るべしな分かりやすさ。
応援してる女の子が武道館でライブできるくらいになったら死んでもい~!と情熱を捧ぐドルオタさんのコメディです。
アイドルが主役の物語は腐るほどあるけどアイドルファンが主役とは視点がナナメ上で斬新です。

ご多分に漏れず私はこのテの方々が苦手。

 「情熱を傾けられるのがあっていい」
 「なんの権利があって反対するの?」
 「あなたの価値観を押し付けないで!」

当事者の方いるやもしれませんが、ごめんなさい。もし家族や近い人にいたら全力で取り戻しにいきます。飯星晃一が “本人の自由” なんて理由で娘の奪還を諦めたでしょうか?私にとっちゃそれくらいのレベルですね。
どうしようもないなと思っちゃうのが、収入の大半を蒸発させる本作のキャラのような人たち。余剰資金の中から費やす額を決めて楽しんでる分にはいいんじゃないかとは思ってます。


 いくらコメディでも笑うに笑えんだろうな


そんな不安が脳裏をよぎりました。そして…
案の定、いらぬ先入観で自分は損してるんじゃないかと思えるくらい笑うに笑えませんでしたね。

そんな第1話を経てそれでも踏みとどまった理由、

 {netabare}『♡桃色片想い♡』{/netabare}

{netabare}リリース当時、松浦亜弥は15歳。まだ中学生。この作品ではヒロイン?えりぴよさん役のファイルーズあいさんが歌います。これで踏みとどまった人手を挙げて!{/netabare}


おそらく私は古いタイプの人間で、CDを複数枚購入して握手をしてもらうなどに代表されるここ10年くらいのムーブメントの渦中から外れたところにいるし、またその行為も理解ができません。それが時代というのなら世間に背を向け老兵は去るのみと思ってます。

ちょっと遡って考えてみました。※主観総動員なので間違ってたらゴメン

功罪あれど秋元康氏がAKB方式のビジネスモデルを作って定着してるのが現在地。
本作もその土台の上に立っております。
この人もおニャン子クラブから四半世紀の時を経て、似て非なる素人売り出しのムーブメント起こすわけですからやっぱりすごい方です。
ひとまず元ネタのAKB活動開始が2005年ですのでかれこれ15年と長い歴史を持ってることになります。会いに行けるアイドルってやつですね。

その前はつんくプロデュースのハロプロの面々で代表格はモーニング娘。起爆剤となったのが『ASAYAN』オーディション番組だったことを覚えている諸氏も多いと思います。
米映画『トゥルーマンショー』の公開が1998年。今ではすっかり市民権を得たリアリティ番組の走りみたいなオーディション番組で、プロセス丸ごと見せる演出が斬新でした。
言うてもスターはスターだった時代。泥臭さやコミカルさ。芸能人だって私たちと同じ人間だよね、と一気に敷居を下げたのがつんくの功績其の一であります。
功績其の二はメンバーの脱退と新加入をパッケージ化したこと。その土台にAKB系が立ってます。

さらに前となると90年代前半か80年代まで遡らないと見つかりません。アイドル冬の時代です。
試しに90年代後半/アイドルで検索かけて名前が挙がったのは以下のお歴々。


安室奈美恵・MAX・華原朋美・雛形あきこ・SPEED・ともさかりえ・仲間由紀恵・広末涼子・松たか子・モーニング娘。・鈴木あみ・チェキッ娘(熊切あさ美・藤岡麻美)・深田恭子・太陽とシスコムーン…


見ての通り、歌う女の子は安室奈美恵さんやSPEEDのようにアーティスト志向でないと見向きもされてなかった時代。J-POP全盛期やダンスミュージック勃興期と重なり、抜群の歌唱力かキレのあるダンスが求められておりアイドル然としたアイドルはお呼びではありませんでした。努力は陰でしとけ、と。
歌で食っていくのでなければ、女優業に傾注していったのかと。現在もご活躍の方が多い印象です。

1.長いアイドル冬の時代
  ↓
2.モー娘による敷居の低下効果
  ↓
3.会いに行けるアイドル

この2.と3.の狭間に全く異質の輝きを放つアイドル然としたアイドルがいた。主戦場はソロ。
年齢・ルックス・類稀なる歌唱力・そしてフリルの衣装が似合うTHEアイドルofアイドル。敷居を下げてく潮流に抗うかのように突然変異かの如く現れた女の子の代表曲をフィーチャー。
そして彼女は武道館でソロのコンサートをしたことないはずです。背景に夢や物語を滲ませていや妄想をこじらせて鑑賞するにはうってつけのチョイスをしたのがこのアニメのスタッフと思ったわけです。
サーモンピンクに片思いしてるっていう作品に沿った選曲でもありますしね。
以上、長い脱線話で失礼しました。


なお作品評価は別。複数話経ても笑うに笑えないのは変わりませんでした。
ある意味それが狙いなのかもしれませんが…
展開されてるのは極端な例でしょうよと差し引いてみても普通にヒキます。


{netabare}・推しに認知されることが幸せって慎ましすぎて泣ける
・5秒1000円とキャバクラより低いコスパ。その積みあがったCD始めとするグッズどうすんのさ?
・多くを犠牲にして得られる果実が握手回数/秒数や前列位置/センターポジ確保ってなんかもう…
・オタクたちの統制の取れたコールや練度の高いパフォには敬服する。この一体感はわかる!
・なお、ライブシーンは思ってる以上に力が入ってる!
・ただ基本的にオタ自体は修行僧だが修行内容と方向性が決定的に間違ってると思われる
・お!シリーズ構成が元アイドルの赤尾でこさんじゃないの!とか
・本渡楓ちゃんセンターなんて源さくらみたいじゃん!とかはひとまず置いておく
・本渡楓⇔石原夏織の祖母孫コンビに市ノ瀬加那さんも絡んで長崎じゃなくて岡山かぁとかは考えない
・舞奈はもう少し自己演出というものを真剣に考えたほうがよい
・ファンも推しに刹那の輝きを求めてるならある程度したら卒業しなければならない。
・結局さー、秋元康のダイエットの邪魔をしてるんだよ{/netabare}


人気投票とかも茶番と思ってる了見の狭い私にゃあ合わないのでしょう。だって、

{netabare}「空音に後ろに立たれるの緊張するなあ…」
「気にしないで!後ろからじっくり見てるから!」{/netabare}

ある種、ファンを救ったとも言えるプロフェッショナルなれおと空音の対応なんて普段なら「いい話だね~」って評価してるはずなのに。

やはり、、、収入の全てを注ぎ込んではいけません。ある種、設定がリアルであるあるの宝庫のためファンタジーと割り切れないものがありました。


・いくらファイルーズあいが好演してても
・いくらChamJamなんかいい感じでも
・ライブシーン良くても
・くまさ/えりぴよ/基にプラス感情抱いても

 やっぱ駄目だわ~ 

…ってこれしか言ってないですね。
塩対応だったけど実は好意持たれてたんだ!な勘違いをする人が出てこないことを望んで終了。

{netabare}最終話の特殊ED。なんといいますか最後までソロを貫いてほしかったっす。松浦亜弥へのリスペクトが足りない!と思った私も充分キモいのだ。{/netabare}




■元も子もないこと言っていい?

{netabare}個人的な話。現役のアイドル活動してた娘らと仲良かったりした時期がございましてね。もちろん事務所入ってる子ですよ。役務を提供する側からドルヲタを眺めるという経験は貴重でした。{/netabare}

実際はこうだ!みたいな話をする気はありませんけど、なんか気の毒で気の毒で(T_T)



視聴時期:2020年1月~3月 リアタイ

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2020.03.28 初稿
2020.10.12 タイトル修正/修正

投稿 : 2024/06/01
♥ : 59

75.5 4 2020年度のポジティブアニメランキング4位
ランウェイで笑って(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (384)
1481人が棚に入れました
身長158cmの藤戸千雪の夢は、パリコレモデル。モデルとして致命的な低身長を理由に、周囲は「諦めろ」と言うが、それでも折れない。そんなとき、家族を養うためにファッションデザイナーの夢を諦めようとする都村育人に出会う。――これは一途に夢を追って走り続ける、2人の物語。

声優・キャラクター
花守ゆみり、花江夏樹
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

やれることもやれないことも何でもやる

原作けっこう既読


「これだけの個性、誰が持ってる?」

一人の野球解説者がその年大注目のドラフト1位の選手について意見を求められこう答えた。
実はこの発言には少し驚いた。リアリズムに徹し、日本シリーズで完全試合目前の投手を9回交替。鉄板のストッパーを投入し勝利をもぎ取った采配。リップサービスとは無縁の人物と思ってたからである。
それまでにこの類まれな個性を持った高校生には「プロはそんなに甘くない」「一つに絞ったほうがいい」一流の元選手、元監督。解説者の多くがそんな言葉を投げかけていた。世間の盛り上がりをよそに“その世界に身を置いた者”だからこその説得力を武器に若者の挑戦を否定的に捉えていた。せいぜい「いいんじゃないんですか。頑張ってほしいですね(棒)」とマイクを向けられた現役選手が当たり障りなく言うくらい。

 {netabare}その道のプロが無理と言ったらそういうもんかと思う{/netabare}

本職の多くが否定的に言うもんで、徐々に投手と野手どっちがいいか?みたいな論へと流れていったのを覚えてる。ドラ1高校生の名は大谷翔平。大谷の挑戦に支持を表明した解説者は落合博満である。落合は続ける。

「あの年のピッチャーNO1ね。バッターNO1。大谷に勝る選手は1人もいなかったの。これは、誰が何を言おうが、これは事実だと思うの」
「じゃあ、どうするんだろうって考えた時に、どっちもトップクラスなんだったら、やりたいならやらせてみなければ。皆が言ってるのは、現場で何をやってるかじゃなくって、考えて、それは無理だろうとか、無茶やるなよって話なんであってね。本人がやるってものを止める必要もないだろうと」

と日本ハム・栗山監督の決断に賛同を示し、自分が監督でも二刀流に挑戦させるとした。リップサービスをする人物でないことは野球ファンなら誰でもおわかりになるだろう。
そして物語の主役大谷は当初の目標でもあったメジャーリーグに舞台を移し、“二刀流”に挑戦中。比較対象がベーブ・ルースだったりする凄さを我々は現在進行形で味わえているのです。


前置き長くなりましたが、この一連をファッションの世界に置き換えた話が本作『ランウェイで笑って』で展開されております。たぶん。

マガジン案件全12話。もの珍しいW主人公スタイル。
パリコレを目指す本作のヒロイン藤戸千雪(CV花守ゆみり)。彼女の身長は158cm。要件と言われる175cm以上を満たしておらず絶望的。救いは夢に向かって腹は据わっていること。「覚悟はいいか?オレはできてる」を地でいく娘。
デザイナー志望(だった)本作の主人公都村育人(CV花江夏樹)。大卒専門卒が要件の業界に於いて進学することを彼の家庭環境が許してくれません。超貧乏で妹たちの学費を稼ぐ使命があるのです。

下手に知ってると無茶なことにしか見えない二人の挑戦。
人事やリーダー経験のある方。才気溢れる都村くんを雇えるでしょうか?
現場で実際に働くとなるといろいろ知識が必要で、そこらへん空っぽです。知識ないから基本的な指示しても「できません」って言うだけだし、何よりこの手の子って繊細な子が多すぎ。となると手間かけて教育しても、勝手に自信喪失してフェードアウトしていったり。丁稚経験ないので理想と現実のギャップとか、学校で専攻してきた人の手際のよさとか見て心が折れちゃう。そんな新人を腐るほどみてきたことでしょう。
千雪の状況はもっと絶望的です。
タッパが要ることには理由があって、その常識は業界あまねく共有されているディシプリンのようなものです。つまり“身長が足りてない”ことでノーチャンス。落とされようが文句は言えません。読者モデルなど雑誌を主戦場にする手はありましょうが、彼女の目標はパリコレをゴールとするショーモデルというのでワンチャンないところからスタートです。

「喝っ!」と張○さんに秒殺されることは確実。まぁハリさんだけなら信憑性怪しくても、ノムさん、原辰徳の優勝経験監督。古田、仁志、谷繁らの理論派。総出で「お前はプロには向かん」と突きつけられる感じです。


という事情も考慮すれば、このお話は“藤戸千雪がパリコレモデルになるまでの物語”“都村育人がトップデザイナーになる物語”である以上に、

 {netabare}“二人の挑戦をご都合主義に見せない物語”{/netabare}

である必要が出てきます。そしてそのことはおおむね達成されています。いちいち気にしてられませんが、ジャイアントキリング要素のある作品は詳細設定をミスると目が当てられなくなりますもんね。
ここのサイトを見てる方でももしかすると甲子園出場経験者おるやもしれませんが、いちいち作品内の野球回ある度に噛みついてられないでしょう。その握り方であの飛距離はありえないみたいな(笑)


さて、原作組からみればアニメは相当端折ってました。アニメ組の方気づきましたか?
決定的な説明不足には陥らなかったまるで都村くんのパッチワークばりの職人技に拍手送りたいです。
そんな駆け足とはみせない駆け足の影響なのか、サブタイトルでの作品タイトル回収が早々{netabare}(第3話){/netabare}にやってきます。
そこで何の疑問も湧かなかったタイトルの意味を理解します。“禁忌”“ダメなもの”“無理なもの”二人が夢を叶えるには常識を覆す覚悟が必要で、それを一言で言い表したタイトルになっとるのです。
そのタイトル回収回はまさにモデルの常識をぶっ壊しながら二人にワンチャンあるかもと光さす前半の勝負回でした。たぶんこのへんまで観て合わないようでしたら撤退でいいんじゃないかと思います。
メインキャラにはあと二人。モデルの才にものすごく恵まれながらデザイナー志望の長谷川心(CV茅野愛衣)。日本のトップブランドのファウンダーでありデザイナーの孫でこれまたものすごく才能あるというか圧倒的な実力の持ち主綾野遠(CV木村良平)。がずっぷりと物語に関わってきます。


そもそもマガジン案件は個人的にいつも楽しんでますのでそれこそ「いつもお世話になっております」的な仕上がりでした。
駆け足だったことの功績で最終話を一区切りとしては最高の断面で幕を閉じられたと思います。中途半端な終わり方をさせずきっちり纏め続編も期待させる理想の“1期”という感じでした。続編を期待したい良作です。



※ネタバレ所感

■セイラさんに始まりセイラさんで終わる

人気モデルのセイラ(CV牧野由依)さん。
{netabare}芸華祭で「これからも頑張ってね。デザイナーとして」と心にトロフィーを渡したトップモデルのセイラさん。他の審査員が綾野にトップ票を入れる中で心に票を入れてます。いやー怖いですね~。とはいえセイラさんの何気ない“いいね”が千雪と育人の運命を変えたのでした。今後もキーパーソンです。

☆原作ネタバレ(重度):セイラさんその後
{netabare}「やっぱり…あの時、心ちゃんじゃなくてアンタを潰しておけばよかった…!!」
セイラさんが誰に向けて言ったかは内緒。{/netabare}{/netabare}



■オーラ

なにげに好きな回{netabare}(第7話){/netabare}
{netabare}雫さん曰くモデルのオーラは体型から放たれるものと心の姿勢(自信)から滲み出る二種類があるらしい。
千雪は後者で立ち向かおうとしたけど、モデルをやめたい心のオーラのほうが遥かに上でその場にいる全員を圧倒してしまったという現実が残酷でよい。手袋用意してたり準備万端で備えているのはチビのほうなのにね。
だいたい負の感情がオーラを遠ざけるなんて迷信みたいなもので、撮影後に千雪は心に悔しさをぶつけてしまったけれど「泣いてない」と必死の抵抗を見せるあたり、ただ可愛いってのではなくて、やれることは何でも実践しようというのが見て取れます。
そういえば、運を集めるとの趣旨でゴミ拾いを率先垂範する大谷選手と同じものを感じますね。小さい粒を一つずつ拾い上げる作業をストイックに実践していくことが夢への道なんでしょう。
そういえばのそういえばで大谷と同じ年のドラ1で4球団の指名を受けて某六甲おろし球団に入団したドラゴンじゃないふじ○み選手とよい比較になります。内容は省略。察しておくれ。

そんな千雪に寄りそう雫さんも良い。
「慰めるよ。ずっと。ずっと」
優しいだけじゃないんですよね。雫さんの覚悟です。

☆原作ネタバレ(中度):雫さんと五十嵐(心のマネージャー)の因縁
{netabare}二人はかつて先輩(五十嵐)後輩(雫)の間柄。当時の雫はバラエティ志望でモデルにやる気はなし。レッスン適当、減量無視で大メシ喰らい。それでも素質はあったので事務所のエースに成りかけていた。
それなのにいきなり雫が最大手の現事務所から無名の新興事務所(ミルネージュ)に移ると言い出す。五十嵐は当然キレて罵詈雑言吐き捨てる。
数年後、五十嵐は身長の伸び悩み(167cm)と共にモデルとしても伸び悩んでいた。そんな頃、雫のパリコレデビューの報。しかも五十嵐が夢見ていたブランド『ラーレフォン』での出演。
そして闇落ち。自分は夢を叶える為に手段など選べるような立場ではないと。それからの彼女は有力者に枕営業の末、憧れだった『ラーレフォン』のランウェイに立つ事に成功。
本番直前、彼女は自分に言い聞かせる。自分は夢を叶えた、自分は幸せなんだと。そう思わないとやってられないから。しかし実際に舞台に立って湧き上がった感情は「何だ、こんなものか」だった。五十嵐はこれを機にモデルを辞めマネージャーとなる。

手段を選ばず夢を叶えたが幸せになれなかった五十嵐。
こっから以降はアニメでも描かれてること。向いてない人間に出来る事は諦めて妥協すること、正面からぶつかって挫折すること、手段を選ばず夢を叶えることの3種類しかないと彼女は信じてる。
千雪は「正面からぶつかって夢を叶える」の4つめの選択肢の只中にいる。かつての自分がダブる五十嵐は雫に引導を渡すよう言うが、雫はすでに千雪と共に歩む覚悟を決めていた。
「慰めるよ。ずっと。ずっと。」にはそんな想いが込められている。{/netabare}{/netabare}



■綾野遠くんのノルマ

デザイナーとパタンナー両方できるのに分業へのプライドで優秀なパタンナー募集中だった綾野くん。
{netabare}目標の名刺53枚越えならずの52枚でした。これトランプでいうジョーカー1枚足りないだけみたいな。
53分の1とはいえそのジョーカー1枚が都村育人という強力なカードであり、ジョーカーを手に入れた綾野くんが今後どう羽ばたいてくかも楽しみな今後でしたね。

育人が11位というのもその理由も納得。才能だけでなんとかなっちゃう物語にしないことで千雪と育人とのバランスが取れ、まるで戦友のような二人の関係に説得力が出てきますもん。{/netabare}




※ここからオマケ

■ViVi

そのまんま名前出てたので協賛か協力してるんすね、きっと。
『ViVi』は女子大か短大っぽいイメージですけど合ってます?あと『CanCan』とかありましたね。そこで大学行った方。周りの女子何読んでました?ウチは『JJ』が圧倒的でしたね。私も買ってました。下手な男性誌買うより女の子と話を合わせやすいし、女の子が家に遊びに来ると雑誌をネタにいろんな駆け引きを楽しめるかも。現役の方はどうぞ!

それはそうとアニメのほうはもうチョイ被服に作画カロリーというかデザインカロリー割いてもよかったかもしれませんね。



■長男

花江さんってそういう運命なんでしょうか。
{netabare}「ああ~…泣きそう。頑張れ長男。負けるな長男」
この鬼滅臭。病弱な育人ママは桑島法子さんが声をあてられてました。{/netabare}

{netabare}別件。『ピアノの森』ではモノローグマシマシでショパンのバラ1を演奏してました。
言わずと知れた『四月は君の嘘』の最終回です。{/netabare}



■主題歌

わたくしややもすると姿勢が隣国に厳しいことを自覚してますが、是々非々でとは思っているのです。
以前ネットコミュニティで東○神起のファンに絡まれたのも嫌な思い出だったり。それは置いといてもEDはちょっといただけない感じでしたね。
ネイティブじゃないアーティストの日本語バラードって発音の違いが目立つもので違和感が残るものです。これは国籍問わず。そのうえ特にお隣の国のアーティストの印象を端的に表すと、

 オーディエンスをうっとりさせるのではなく、本人がうっとりしてる

なんだろう。好きな人ごめんね。あ、それとなんかこの方エイプリルフールでやらかしてたけど、無事ラナウェイ(run away)できてたらいいっすね。



それと最後に一個だけ。
心ちゃんはおそらくモデルとして売れる可能性高しなので、そっちの実績作って知名度上げてから30歳くらいでデザイナーに転身という世界線に身を投じたほうが稼げてると思います。
それに向けたお勉強ということにすれば五十嵐マネの説得材料にはなりそうですがどうでしょう?



視聴時期:2020年1月~3月 リアタイ

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2020.04.04 初稿
2020.10.14 修正

投稿 : 2024/06/01
♥ : 59
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

オシャレが分からない人生でした(笑)

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
ジャンルでいうなら、むしろスポ根ですね。

ファッション、モデルを題材にしています。

私自身、オシャレとかファッションなんて「クダラナイ」と思う人ですが、

オシャレとかファッションとかに真剣な人を「クダラナイ」とは思いません。

自分とは違う道を行く人なのだろうけれど、それはそれでリスペクトし、応援したいと思います。思わせてくれます。

そういう力を持ったアニメです。

ランウェイを歩くショーモデルと、ファッションデザイナーのダブル主人公という、一風変わったアニメ。でも、とにかく、しっかり面白いです。熱いです。

一番近いアニメは、「ボールルームへようこそ」かな。あのアニメが好きなら、きっと楽しめると思います♪


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
こういうダブル主人公、良いなと。

デザイナーを目指す都村育人と、モデルを目指す藤戸千雪は、同志であり、ライバルであり、仲間であり、きっと恋仲になる。

二人とも、「貧乏」「身長」という、自分にはどうしようもない事情により、夢を諦めそうになる。それを、諦めないド根性で乗り越えていく、王道のスポ根アニメ。

王道ながらここまで面白くなったのは、「ファッション界」という題材が目新しく、しかも、モデルとデザイナーという二本立てだから、ますます飽きがこない。それから、育人の家族達の感動要素があり、千雪の(怒り方の)可愛さや笑いが良い緩衝材になってて、バランス最高でした。

「ランウェイで笑って」てのも、最初は「成功して」「夢を叶えて」という意味だけかと思っていましたが、「不可能(タブー)に挑戦して」という意味も含まれると知り、上手いタイトルだなと。

う~ん、あまりに王道過ぎて、これ以上書くことないな(笑)

まあとにかく、千雪可愛かったです(笑) 弱くて強い、負けず嫌いで不器用で。リアルにいたら好みのタイプですね。

本作はダブル主人公ながら、このアニメ1期ではやや育人寄りの展開だったので、2期は千雪メインで観たいな~。
{/netabare}

【余談~ オシャレが分からない人生でしたw ~】
{netabare}
以下、ファッションのファの字も分からぬ武道家の戯言と、小バカにしながら読んで頂けたら幸いです(笑)

ファッション雑誌って、ほぼ買ったことないです。自分自身、好きな服装とか格好良い(可愛い)と感じる服はあるけれど、「オシャレ」「流行」とは違い、「好み」ってだけだと思います。

昔、初めて海外(アメリカ)に行ったときに思いました。

外人、白Tとジーパンだけなのに、格好良い。

てか、そもそも、欧米の人って、お洒落か? いや、お洒落な人もいるだろうけど、シンプルな服装している人が圧倒的に多かったけど。全国民のオシャレさ、というより、「オシャレを気にしてる度」「オシャレになろうと頑張ってる度」では、日本人がぶっちぎりで勝ってる(ある意味負けてる)と思うんだけど。

まあ、良いや(笑) 初海外で感じたのは、

「カッコイイ、人が着てれば、何着ても、格好良いと いう残酷さ」

なんて、大現実(笑) そして、逆もまた然り。一般的な日本人のおっさんが白Tジーパン着ても、絶対に格好良くはならないもん。

悔しかったら、ファッション雑誌のモデルを、イケメンでも美女でもない、一般的な日本人にしてみやがれってんだ。それでも「格好良い」と思うなら、それは本当にオシャレなんだと認めたい。が、大抵、「オシャレ」って、「頑張っている」か「誤魔化している」だけなんじゃないかな~と思ってる。

同じことは、申し訳ないけど、モデルさんにも感じること。

昔、アパートの目と鼻の先にレッスンスタジオがあって、(名前を知っている人は来なかったが)、明らかにモデルさんだと思う人がよく出入りしていた。

初めて見たとき、ビックリしたな~。足なっがいし、ほっそいし。背筋シュッとしてるし。

でも正直、「違和感」しか感じなかった。

いや、モデルさんが、物凄い努力をして、あの体型を作っていることはわかるし、それを否定するのは失礼だとも思うんですよ。

でも、なんか「自分のデータベースにはない」体型で。街に溶け込まないというか、宇宙人ぽいっていうか、足折れそうというか、、、。健康面を気にしてしまいました。

主観ではありますが、はっきり言って、可愛い、魅力的だと思いません。テレビ画面越しならともかく、リアルに会って、皆は魅力的に感じるのかな? コンビニにいる、普通に可愛い娘の方が、可愛いな~と感じるんですよね、私は。中肉中背が、一番です(笑)

ということから分かるように、モデルさんって多分、女性向け、プロ向けなんですよね。一般の男に向けていない。だから、身近な感じより、浮世離れしている方が格好良いんでしょうね。

あと、ランウェイを歩く服も、ようは「プロ向き」であり、そのブランドのコンセプトを極端に打ち出した物と聞きます。プロのバイヤーはそこから、一般向けの服のイメージを膨らませることができる。綾野のショーは、それを分かりやすいカタチにしていましたね。

てな感じで、私はこのアニメの「ファッション」の部分には、一切共感できませんでした。なんなら、日本人の平均身長の千雪が似合う服が、一番良いんじゃないかと思うから、千雪が否定されまくるのに、イラっとするくらいでした(笑)

でも逆に、「そんな私ですら十分に楽しめた」というのは、凄いアニメなんだろうと思います。ファッションが好きな方なら、更に楽しめたのかな?
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
雑誌とかのモデルではなく、ショーモデル、パリコレ目指すってのは良いと思う。身長が低いってのもあって、スポ根要素もあるのかな? ファッションデザイナー男子との恋愛も? ダブル主人公ね。1話目でかなりスッキリまとめたな。好評価っすね。なるほど、「ランウェイで笑う」は、「常識をぶち壊す」みたいな意味もあるのか。上手いな。

2話目 ☆4
男の子なんだな(笑) ハジメヤナギダ、強いキャラだな。生き馬の目を抜く、って感じだな。これ、「前の日に一緒に徹夜で作業してる」のが、地味に大きいな。実力を認めてるってことだし。

3話目 ☆4
熱い展開だな。てか、これは昔から思っていたことだけど、日本の平均身長に近いモデルが着て、一番似合う服が良い服なんでないの? っていうのが、自分なりの感覚なんだけど、多分、「こうなりたい、なれる」というのがあるのかな?

4話目 ☆5
お仕置き?って、メチャ可愛らしいな(笑) ダメだ、メッチャ応援したい(笑) 天才ライバルって感じ?

5話目 ☆3
恋のライバル? カワイイけどねw モデルとデザイナーのどちらが上とかじゃなくて、フラットな視点を大切にしてる作品だね。服を作れる現役モデルって、ある意味商業価値高いというか、事務所的にもメリットあるんでない? ローラw テレビだけ観てれば、、、確かに(笑)

6話目 ☆4
捨てる覚悟、捨てない覚悟。でも、勝たないと証明できない。。。真理だな~。

7話目 ☆4
貶めからは自信は生まれない。どうしようもなく、悔しい。「泣いてない!」(笑)

8話目 ☆4
何ヵ所も転移、、、。かなり厳しいよな。デザイナーとパタンナーね。悪魔の囁き。お金がない、切実。大事なものと大事なものを天秤にかける。また、悪魔の囁き。そして、救う神ありだな。200万、すげぇな、ペーペーでもそんなもらえるのか。

9話目 ☆4
ビンタ(笑) 本気で、やらなきゃ。泣ける。

10話目 ☆4
服の良し悪しは分からないけど、お母さんの涙にはもらい泣きしそうになった(笑)

11話目 ☆4
1話まるごと、ランウェイか。熱いな。最後、涙が重く、素敵だった。

12話目 ☆4
綾野、時間が短いな。しゃがめ、しゃがめ(笑) なるほど、モデルとして潰すために、セイラが推したか。11位は意外だな。リアルクローズ。この負けが「学びの意欲」に繋がり、んで、大学編? 綾野が辞退ね。頑張れ長男、負けるな長男(笑) んだよな、17歳だもんな。悔しがってほしい(笑) やる気がでない。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 33
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

何かに一生懸命っていいな。それがハンデがあったとしても。

身長が足りなくて、パリコレモデルの夢の実現が困難な千雪。
進学ができなくて、ファッションデザイナーの夢の実現が困難な育人。
この二人を中心に、困難を乗り越えて夢を実現していく姿が描かれていきます。
原作未読ですが、原作も14巻まで刊行されてて人気あるみたいです。

特に家庭事情から才能があるのに進学できず夢をあきらめようとしていた育人を応援したくなります。
もうこれ育人くん物語でいいじゃん、って思ってたら、主人公はどうやら育人みたいですね。
うじうじしがちな育人ですが、ヒロインの千雪のグイグイ引っ張っていく性格に背中を押されながら千雪と共に夢に向かって進みます。
何かに一生懸命な人ってステキで、元気をもらえます!

8話見ました。好きなことで頑張りたいけど、その人の環境によって大きく影響されるのは現実でもよくあることですよね。
各話のレビューは以下のとおりです。

1話「これは君の物語」
{netabare}千雪と育人が出会うお話。
身長が低くてパリコレモデルは無理だと言われて反発してきた千雪。
でも高卒でデザイナーになりたいと言う育人に無理じゃない?と言ってしまい自己嫌悪に。
千雪は育人に自分に合う服を作って欲しいとお願いする。
出来上がった服は評判になって、千雪の親が経営するミルネージュが買い取ってくれることに!{/netabare}
2話「プロの世界」
{netabare}作って欲しい人がいて、着てくれる人がいればそれだけで幸せだと語る育人。
モノづくりの基本だと思うけど、忙しさやしがらみなどで忘れがちな気持ちだよね。
千雪に背中を押されて、再びミルネージュに行きデザイナーとして雇って欲しいとお願いに行く。
そこで紹介されたデザイナーの柳田のところに行くけど・・
きちんと技術を習っていない育人に対して帰れと言う柳田。でも夢をあきらめない育人は必死にお願いしてなんとか残れることに。
東京コレクションが始まり、モデルが1人来ないというトラブルが起こって千雪が代理で来るけど、低身長のために服が合わなくて・・さらに服を縫えるスタッフも疲労で倒れてしまって(゜o゜)
次回が気になる終わり方は良いですね。{/netabare}
3話「ランウェイで笑って」
{netabare}ここでいきなりタイトル話きたのでちょっとびっくり!
倒れたスタッフの代わりに千雪に合うように服を作り直す育人。
残りあと15分・・私だったら頭真っ白になっちゃいますよこれ(>_<)
悩む育人の顏をぴしゃりと叩いて励ます千雪。でもその千雪の手もプレッシャーで震えてて。
そしてなんとか完成した服を着てランウェイを歩く千雪。
ランウェイでは服を目立たせるためにモデルは笑ってはいけない。
でも、ヒールが折れて転んだ時に育人の「仕掛け」に気づいてランウェイで微笑む千雪。
それを見ていた編集者の子の心の声が私の気持ちと重なって、ちょっとうるっとしちゃいました。{/netabare}
4話「若き才能たち」
{netabare}好きだけじゃ続かない、好きの先に何かを見つけないと挫折する。お前の野望は何だ、と柳田に問われて、着た人が笑顔になる、そんな服を作りたいと答える育人。
その想いが続いたら、届いたらいいね・・
柳田のスタッフが急に辞めてしまい、代わりの子を服飾芸華大学に探しにいくことに。
そこで出会った有名デザイナーの孫の綾野遠と、モデルだけどデザイナー志望の長谷川心が手伝ってくれることになって。
綾野は見ただけで服のラインの変化に気づいた育人に驚き、その才能に興味を持つ。
パタンナーとしての育人の才能が欲しい綾野は、自分のブランドに引き入れようとするけど・・{/netabare}
5話「それぞれの流儀」
{netabare} 芸華大のコンテスト「芸華祭」。そのグランプリ商品は、ブランド立ち上げ援助とパリ留学!
それを聞いて胸を躍らせる育人。
学校の前で絡まれてる心を助ける育人。でも絡んでた相手は心のマネージャーで。
モデルをやりたくないから、デザイナーに憧れてるふりをしてる、本気で目指している人に失礼だとまで言われて・・
でも、心が落としたノートを見た育人は、心のデザイナーに本気でなりたい気持ちが分かって。
育人は芸華祭に一緒に出ようと心を誘う。
そして予選。お題はモデルのセーラがおしゃれに着れる服を作ること。
ヒントが欲しくて千雪のとこに。家の中でもヒール履いてるってすごいな。足が痛くなりそう(>_<)
でも、なりたいものになりたくて、頑張ってる人ってそういうものかも。{/netabare}
6話「優越感と劣等感」
{netabare}育人を尊敬してるってクラスメイトにはっきりと言える千雪ってカッコイイな。
芸華大コンテスト予選が始まる。育人が作ったのはセーラのパジャマ。
批評で綾野にダサいと言われて落ち込むけど、3位になって本戦に進めることに!
一方、千雪もモデルとして自分を売り込むために、ポートフィリオを作成するけど、育人が作った服を着てくれたのと、育人のことを友達ですって言ったとこは良かったです♪
でもなかなか売り込みがうまくいかないところに、東京コレクションに来ていた雑誌編集の新沼さんが拾ってくれてなんとか欠員が出たことで撮影の仕事がもらえることに!
前回の部屋ヒールもだけど、千雪の必死に頑張る姿を見てちょっとうるっときちゃいました。
仕事先で、モデルとして来た心に出会い、その存在感に圧倒される千雪。{/netabare}
7話「オーラ(存在感)」
{netabare}モデルに一番必要なのはオーラ。それは自信を持つこと。
昔そう言われたことを思い出し、気を引き締める千雪。
でも・・心との差を見せつけられ、さらに構図が悪い、と撮影から外される。よくあることかもだけどつらいなぁ。
メインの心の手は裁縫でキズだらけで・・それを見た千雪はもっと本気でやってよ!と心に気持ちをぶつける。
仕事の帰り、心がマネージャーに私のせいでつらい思いをする人がいるからモデルを辞めたいと言ってるのを聞いてしまう千雪。そして自分の本気の気持ちを心にぶつける。
本気と覚悟。そして努力。それでも届かないこともあるけど、そういう人ってとても素敵だなって思います。{/netabare}
8話「デザイナーの器」
{netabare}お母さんの入院費をまとめて払わなければならなくなり、デザイナーの手伝いを辞めてバイトをしようとする育人。
好きなことがしたいだけなのに、お金がないことに振り回されて・・
そんな時、思わぬところから幸運が舞い込んで!
都合よく進んだ感じもあるけど、ちゃんと伏線を回収した感じなので良かったと思います。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 23

73.7 5 2020年度のポジティブアニメランキング5位
空挺ドラゴンズ(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (301)
1231人が棚に入れました
空の覇者、龍<ドラゴン>。その存在は多くの地上の人々にとっては脅威・災害であり、同時に薬や油、そして食用としての価値がある“宝の山"でもあった。その龍<ドラゴン>を狩る存在がいた。捕龍船を操り、空を駆け、龍を狩り、旅をする。彼らは「龍(おろち)捕り」。これはその中の一艇“クィン・ザザ号"とそのクルー達の物語である。

声優・キャラクター
前野智昭、雨宮天、斉藤壮馬、花澤香菜、諏訪部順一、関智一、櫻井孝宏、鳥海浩輔、釘宮理恵、熊谷健太郎、古川慎、松山鷹志、武内駿輔、上村祐翔、赤﨑千夏、榎木淳弥、井上和彦、佐々木啓夫
ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

龍(オロチ)取りを題材にした『情熱大陸』

アメリカへ海外番販に行って一番げんなりさせられるのは、
なんと言ってもレーティングの厳しさです。
なんせ「首が飛ぶから残酷」という理由でアンパンマンに年齢制限かかっちゃうお国柄ですから。

おじさんが女の子見てにんまり笑う、なんて演出も、
性犯罪を助長する危険があるとかで年齢制限の対象になります。
けんか売ってんのかこんにゃろ。

子どもの誘拐なんてもってのほか。
暴力表現や流血も基本的にご法度と考えた方がよく、
もちろん、ナイフだの日本刀だの、
武器を使ったバトルものは軒並み年齢制限の対象になります。

ただし、スターウォーズのライトセーバーはOKなんです。
なぜかというと『現実に存在しない武器』だから。

いやいや、トイザらスで
プラの日本刀とライトセーバー並べて売ってんじゃん、
とか言っても、指をちっちっちっと横に振られるだけです。

だけどまあ、それをひっくり返すと、

    捕鯨はダメだけど捕龍はいいよね

という理屈が成り立つわけで。
言うことあるなら言ってみろ、シーシェパ-ド。


さて、本作『空挺ドラゴンズ』は、
ポリゴン・ピクチュアズ制作のフル3Dファンタジー作品です。
その内容を簡潔に、身もふたもなく言ってしまうと

   商業捕鯨を『捕龍』におき変えた日常もの

ということになります。いやほんと身もふたもないな。


もちろん『捕龍』だから、見た目の感じはかなり違います。
{netabare}
この世界の龍は空を飛んでいるので、
捕龍船は海を渡る『船』ではなく『飛行船』ですし、
その関係で船体部を大きくするわけにもいかず、
龍を仕留めるたびにいちいち地上に降りて解体しなければなりません。

獲物を求めて仲間たちと大空の旅を続け、
龍を見つけると銛を打ち込み、追いかけ、仕留める。

地上に降りて、乗組員総出で解体し、バラした部位を積んで再び大空へ。
脂肪の部位は船内で煮込んで『龍油』を摂る。
点在する街へ降りて肉や油を換金し、物資を補給したらまた大空へ。

ほんと、その繰り返し生活です。

もちろんそれだけでは物語にならないので、
大小さまざまな事件が起こってメリハリがつくのですが、
事件が終わったらまたみんなして元の生活へ。

楽しみと言ったら食うことぐらいなので、
『龍料理』の描写やバリエーション作りにはかなり力が入ってます。
けっこう丁寧にレシピの解説もしてくれていますが、
素材がアレなので誰にも作れません。
ただ、食べてみたくなるほどおいしそうに見えることは確かです。
{/netabare}

正直、地味なのか派手なのかよくわからない作品なのですが、
少なくとも僕は、
二つの点で、最後まで楽しく観ることができました。

一つめは、物語の根幹となる龍(オロチ)取りの生活が、
緻密に、生き生きと描かれている点。
このあたりは『情熱大陸』のノリではないかと。

もう一つは、群像劇の中でとりわけフォーカスされる新米乗組員、
タキタの成長譚としての魅力で、
こちらは『情熱大陸』に加えて『銀の匙』入ってます。

『銀の匙』なんか知らね、という方のために補足しておきますと

  原作は荒川弘さんで、制作はA-1 Pictures。2013年OA。
  受験ノイローゼになって農業高校酪農科に進学した優等生が、
  第一次産業の実情や『命を食らう』ことの意味を知り、
  新たな夢に向かって仲間とともに駆け抜けていく青春群像劇。

という感じですね。大名作なのでご存じの方が大半かと。
ちなみに、どうでもいいことですが
同作のヒロイン御影アキは、僕にとって、これまで視聴してきた全アニメの中で、
ダントツ、ぶっちぎりで『理想の女の子』NO.1です。
いやほんとどうでもいいな。


酪農でも捕龍でも『生命を奪って、食らう』という本質は同じです。
{netabare}
ごく一部のベジタリアンなどを除き、
日本などの先進国に生きている方の多くは、
  屠畜場の映像を見るのは御免だが、お肉を食べることはやめられない
という『業』を背負っています。

そして酪農を学んだり捕龍船に乗ったりすることは、
否が応でも、その『業』と向き合うことに直結してしまいます。

最初はタキタも、そのあたりは曖昧に考えていました。
しかし、仲間の話を聞き、いくつもの経験を重ね、
十一話では泣きながら母龍の猟師鍋を食らい、
ついに決意を固めて、誇りある言葉とともに子龍を群れに返します。

そこに大層な蘊蓄や哲学はありません。
ただ『あるがまま』です。
永遠のように繰り返される人々の営みの、ごく一部の意味を、
すとんと肚のなかへ落としただけのことです。

日頃はパックでしか食材を手にすることのない僕たちにとって、
一度は直視しておくべき『あたりまえ』のことを、
タキタは疑似体験させてくれているんです。

よく見とけよ、シーシェパ-ド。
{/netabare}


おすすめ度としては、Aランクに位置すると思います。

いやオレは手書き以外はアニメと認めん、とか、
ジェットコースターみたいな起承転結こそが物語だ、とか言う方には、
あまりおすすめできません。

あと、細かいところが気になって仕方ない方にも難しいかな。

捕龍船の甲板って、空を飛んでいるくせに安全柵がありません。
そのくせ常に命綱をつけているわけでもなく、
  いやそれ落ちるだろとか思ってたら、
  案の定、タキタが落っこちたりしてるわけで。
そういうツッコミどころは、けっこうたくさんあったりします。

だけど、龍取りという未知の世界、
そしてそこで奮闘する若者たちを描いた群像劇として見るならば、
他のロ-ファンタジーと比較しても出色の出来です。

タキタ役の雨宮天さんが、きゃんきゃんしたアニメ芝居ではなく、
リアルな元気ムスメに寄せているのも好感度大。
バニー役の花澤香菜さんも、やさぐれたいい味出してます。

前野智昭さん、諏訪部順一さん、関智一さんなど、
豪華男優陣のがらっぱちな感じも、リアリティきっちり仕上げてますし。
ワケありふうの男が大勢乗っているというのは、
捕龍船というよりも
なにやら『マグロ漁船』っぽい気がしますが、それは置いといて。


視聴後には、東欧の田舎カフェに座って一人で街を眺めているような、
どこか不思議な気分にさせてくれる逸品です。

見知らぬ世界で営まれる人々の暮らしに思いを馳せ、
ライ麦パンなぞかじりながら、
『生命と食』みたいなものを改めてじんわり考えてみるのも一興かと存じます。


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本作のED楽曲を提供したバンド『赤い公園』の津野米咲さんが、
昨年10月、お亡くなりになりました。
表現力あるギタリストであり才能あふれるコンポ-ザ-でもあった彼女の、
あまりにも突然で、早すぎるお別れでした。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

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投稿 : 2024/06/01
♥ : 22
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

開店!タキタ食堂

原作未読 +ultra枠

さて問題です。
「テロ等準備罪」を新設した『改正組織犯罪処罰法』が2017年7月11日に施行されてからの変化について次の選択肢より妥当なものを選べ。

1.居酒屋で政権批判をすると逮捕されるようになった
2.“共謀罪”という呼称が浸透し一般化した
3.{netabare}シー・シェパードが和歌山県太地町から退散した{/netabare}

答えは3.穏やかな海が戻ってきたようです。
もともと捕鯨問題を知ったのは『美味しんぼ』。小学生の時だったかなぁ。捕鯨国日本と国際包囲網との理不尽な関係に憤りを覚えたものでした。
本件に限らず、「原発問題」その他社会問題に鋭く切り込む原作者雁屋哲氏もきっと法案成立とその後の動きを喜んでいらっしゃることでしょう(鼻ほじ)。

「龍を守れ~」な愛護団体や環境活動家を登場させても面白かったかもしれませんがそれをしませんでした。英断だったと思います。舞台を穏やかな海から空に移し、喧しい外野の声を極力排除して人間と龍との関係からなにかしらを伝えたかった力作。

本作『空挺ドラゴンズ』についての視点の置き方。

狩猟対象を鯨から龍に置き換えてみて何かを訴えたいのかしら?
タイガーモス号ばりのイカした飛空船で龍の巣に突っ込む冒険活劇を見せたいのかしら?

 前者だったかと。

ポリゴンピクチュアーズさんのごりごりな3DCG眺めて感心することも一興。美術は流麗。
メインテーマ『捕鯨』or『ラピュタ』どっちなんでしょう?
“龍捕り(オロチとり)”“捕龍船(ほりゅうせん)”とネーミングセンスいい感じ。
対して…“空中海賊(くうちゅうかいぞく)”。ラピュタ寄り案件のネーミングにやる気とセンスを感じなかったのが『ラピュタ』を後方に置いた理由です。そこは“くうぞく”でよかろうに。
別に「両方だよ」ってのでかまわないんですけど、主人公らと龍だったり、人間同士だったりの闘いに視点の重きを置いてしまうと後々に見誤ってしまいそうです。
そしてお待たせしました本題。露骨ともいえる捕鯨の比喩で訴えたかったもの。


 いただきます と ごちそうさま


生命をいただくこととは?をシンプルに感じること。
捕獲した龍を解体する場面がよう出てきます。肉・内臓・皮・脂、と余すことなく解体利用されます。
ウチの母親はウナギを捌いてるところと牛の解体を見たかなんかで両方とも食べられなくなったと言ってまして、半世紀くらい前まではそこらで見物できてた風景も町中から消えて久しい昨今。架空の龍を通して生命をいただくさまを拝める機会を得られたってことになるのかな。

主人公である龍を捕る人たち。龍を購入し潤う町の人々。そして狩られる龍。捕食する側される側。食料問題もさることながら、経済問題にも直結するのっぴきならない世界での持ちつ持たれつな関係を自然に描いております。
自然かつシンプルで根源的なテーマのためカタルシスには程遠い。つまり地味ったら地味。だがしかしけっこう後からジワってくる仕様。物語の地味さとバランスを取っての見ため担当は捕龍船“クィン・ザザ号”のデザイン、いろんな顔を見せる空特に雲や風を感じる背景美術、そのへん頑張ってる3DCGということなんでしょう。
原作はまだ続いているようで、それでも全12話で一定の結論を提示してくれたことも親切。

なんか『老人と海』の読後感だったり、『密着ドキュメント!大間のマグロ漁師』の視聴後感にも通ずる捕食者と被捕食者との対話の物語。地味であり滋味に溢れてる感じ。良作だと思います。
日々の営みを切り取っただけのシンプルさを評価してます。



※ネタバレ所感

■+ultra枠ということで

海外向けですから(笑)
レビュー冒頭で「テロ等準備罪」に触れてますが、そのような好戦的な煽りは一切ない本作ですのでご安心ください。
捕鯨で有名なネタだと、油目的髭目的で乱獲してた西欧と余すことなく利用してた日本との対比なんかありますよね。

{netabare}クオーン市で出会う別の龍捕りらの所業がその悪い意味での西欧趣味で興味深い。

 ・生態不明な龍への畏敬の念が薄い
  ⇒傲慢になる
 ・毒を盛って屠る
  ⇒ピンポイント利用の経済目的
 ・町への被害想定への無配慮
  ⇒共存共栄より略奪文化の反映

食文化を理由に捕鯨続行を訴える日本に対して「鯨は人間の次に賢い生き物」の謎ロジックで対抗してきたり、調査により生態系を犯すくらい鯨の頭数が増えていても捕鯨再開にストップかけたりするくらいに感情で動く人たちに向けた作品に期せずしてなってます。{/netabare}

さりげなく毒を仕込んでるくらいでちょうどよい。


■町娘カーチャ

{netabare}唯一といっていいラブ要素良かったです。波止場の娘みたいな。

 「見たかったな、ジローが龍を取るところ」

この世界においては漱石で言うところの「月がきれいですね」ばりの I love you . だと思ってます。{/netabare}



視聴時期:2020年1月~3月 リアタイ

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2020.03.27 初稿
2020.10.07 修正

投稿 : 2024/06/01
♥ : 60
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

空挺ホエールズ

8話までの感想{netabare}
最初見た時はまたグラブルのスピンオフかと思ったらそうじゃなかったw
放送時期が放送時期ならコトブキ飛行隊を連想してたかも?
そうはいいつつ1話見た段階では結構好印象だった…のだけど、回が進むにつれあれ?あれれ?って感じに。
つまらないワケじゃないけど何か物足りない。
メインとなるストーリーが無いのも関係してるだろうけど、それ以上に…緊張感が無い。
キャラ達の態度もさることながら画面は妙にのほほんとしてて、命を張ってドラゴン狩りをしてる割にはなんかのどかな気分。
じゃあなんでここまで緊張感が無いのか考えてみたら…ああ、強風が吹きすさばないんだ。

更に6話以降、巨大な竜が町を破壊するという、巨大怪獣モノ好きには垂涎の内容だったにも係わらず…全然迫力が無い。
ドカーンと巨大質量が落っこちたらミニカー吹っ飛ばさせよう、ビルのカラス割れさせよう、あの世界でそういうのが無いにしても変わりの何かでそういうことしよう。
咆哮したら肌をビリビリさせよう、ドラゴンが頭上を低空で飛んでいったらその後突風起こそう、町に火の手が上がってる様子も無いのもどうなんだ。
兎に角「空気」を感じない、あの世界は真空なのかも?
なんなんだろう、CGだから出来ないってことじゃないよねぇ、宮崎駿フォロワーかどうか知らんけど宮崎に見せたら全カットリテイクになりそう。

と妙に辛口になっちゃったけど、だってねぇ、空挺といいつつ風を感じないのは非常にマズい気がして。
バイク乗りが風を感じなかったらバイク乗らないと思う。{/netabare}

総評{netabare}
苦痛を感じることなく最後まで見れたから悪くはないハズなのだけど、飛び抜けてダメという部分も無ければ飛び抜けて面白い部分も無い。
何でこんなにのっぺりしてるんだろう?と考えると、画面から伝わる緊張感の無さなのかな?
危険な仕事をやってる感がしない、死んでもペナルティなく復活して続行できるゲームのプレイ動画の様。
キャラに緊張感が無いのはまだいいんだ。
肝心なのはあんな開放された飛空挺の上なのに「一歩でも足を滑らせたら大変・ちょっとでもバランス崩したら死ぬ」を予感させるものが無く、もしそれを満たしてれば「そんな中で飄々と歩き回るオロチ捕りの連中スゲー」にも繋がったのだろうけどそんな感じもしない。
各話感想の時に「そう思うのは風(空気の重量)を感じないせいかな?」と書いたけど、これはフルCGだからってことでは無い…と思う。
例えば飛んだ帽子が果てしなく落下し続けるとか、CGでも描けるでしょう。
で、空賊の回なんて…もうなんなんだろう、お遊戯回?
これって意図的?だとしたらどうして?ってことになるけど、その意図は分からない。

余りにも細かい部分で恐縮だけど私程度でも気付いた一例として、7話最後と8話冒頭、話を跨ぐ“引き”のシーンで結構重要だと思うのだけど、ジャイロから爆雷?を落とす描写。
ジャイロに乗ってる人からは真下に落としたことでも、地上から見たら進行方向に向かって斜め下に飛ばした様に見えるハズ、慣性があるから。
けどそういう「おっ」と目を引く描写はされず、特徴のない構図ばかりで淡々と出来事が進んでくだけ。
ジャイロの件以外でもそういった「おお、ここ拘ってるねぇ」と関心を引くシーン・絵的に目を引くシーンが全話通して…私には無かった。
無機質っていえばいいのかな、そこにフルCGが被さって安定した並クオリティで、こんなんだったら作画崩壊してる方が面白い。

話に関しても盛り上がるとことはこれといって無く、食べ物に対する考え方、哲学や宗教観も…これみよがしに他作品挙げるのは悪いと思いつつ“ゴールデンカムイ”のアイヌのソレの紹介に比べると非常に弱い。
ドラゴンの乱獲云々も、“ヴィンランドサガ”のバイキングみたいな価値観(欲しいものは力で奪い取るもの、より多く戦争(殺し)をした者にはバルハラ(天国)への門が開かれる)なんじゃねーの?と思うと大して何とも思わない。
娯楽で龍狩りしてる貴族でも出して対比させれば印象も違っただろうけど、作中の描写だけでは単に貧乏臭いだけ。
最終回も鮭の稚魚の放流みたいな感じかな?と、分かるっちゃあ分かるのだけど「だから何?」って感じで、う~ん。

と、辛口めいたことばかり書いてしまったけど、退屈なだけで不快感は無い。
ボケーっとダラーンと環境ビデオを流す感じで見る分には良いのかも知れない。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 16
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