ノスタルジックアニメ映画ランキング 5

あにこれの全ユーザーがアニメ映画のノスタルジック成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月19日の時点で一番のノスタルジックアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

66.2 1 ノスタルジックアニメランキング1位
星を追う子ども(アニメ映画)

2011年5月7日
★★★★☆ 3.6 (645)
3185人が棚に入れました
ある日、父の形見の鉱石ラジオから聴こえてきた不思議な唄。誰かの心がそのまま音になったような唄を、忘れられずにいた少女アスナに訪れたひとつの出会い。お気に入りの高台に向かう途中、異様なケモノに襲われたアスナはシュンという少年に助けられる。アガルタという遠い場所から、どうしても会いたい人と見たいものがあってやって来たと語るシュン。2人は心を通わせていくものの、突然シュンはアスナの前から姿を消してしまう。そして聞かされる哀しい知らせ。それを信じられずにいたアスナは、学校の新任教師モリサキから地下世界の神話を教えられる。そこはこの世の秘密が隠されたあらゆる願いが叶う場所で、アガルタとも呼ばれているという。そんな中、アスナの前にシュンに瓜二つの少年と彼を追う謎の男たちが現れる。男たちの狙いは、アガルタへの鍵であるクラヴィス。追いつめられた少年とアスナの前で、ついにアガルタへの扉が開かれる。そこでアスナは、男たちのリーダーが亡き妻との再会を切望しアガルタを探し続けていたモリサキだったということ、少年がシュンの弟シンだということを知る。アガルタへの入り口を目前にして、アスナはある決意をする。「もう一度、あの人に会いたい」。アスナ、モリサキ、シンの3人はそれぞれの想いを胸に、伝説の地へ旅に出る―。

声優・キャラクター
金元寿子、入野自由、井上和彦、島本須美、日高里菜、竹内順子、折笠富美子

あくせる さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

試写会にて拝見。

先日行われたよみうりホールにおける試写会に参加してきました。

公開前だからネタバレできないギギギギギ。

でも、公開前でも話せることはたくさんある。
作品のテイストとして今までの新海誠さんと言う監督のイメージとは一味違う感じを見終わると受けます。
ですが、試写会後時間が経つと実は新海誠さんらしいのではないだろうか?
そんな気持ちがムクムクと湧いてきました。

新海誠さんと言われてどんな映画を思い出すでしょうか?
映像美で思い出す方が多いと思います。
切ないストーリーと言うこともあると思います。
人によっては鬱展開という表現をするかも知れませんね。
私にとっては出会いと別れのストーリーだと思っています。

この作品から感じる映像のフレーバーは確かにジブリよりかもしれません。走り駆けて飛んで冒険して未知と出会う。
少年と少女の出会いも、大人の対応もジブリ的かもしれませんね。
ただし、ジブリ的と言うのは普遍の少年少女へ向けたアニメとしてのテイストを指すくらい広いことだと思うんですよ。

ある部分を取り上げてジブリ的、と言うのなら全てがジブリに組み込もうと思えば可能です。
逆にそれだけ原風景にジブリアニメが入ってる人が多いのでしょうね。

私がこの作品にジブリ的なものを感じたかと言うと……実はノーです。
実に良い意味のアニメ的な要素が多々あります。
そして、それ以上に新海誠と言う監督の良さが表現されてると思うのです。
映像の質と言うのは、自体の綺麗さを如何にうまく表現するかです。映像を美しく作り、それを効果的に表現する。
この作業において日本国内のアニメ映像としては抜群の映像美でした。

そして、ストーリー。
凄く丁寧な作りでした。
私は以前映画の仕事をしていたもので、試写中(上映中)でも映像の尺の長さが反射的に分かります。
そして、今まで見た中で一番丹念に物語のスタート地点を説明していきます。私個人の感覚としては「あれ?これ尺大丈夫?」という感覚が鑑賞中に訪れました。
けれど、物語の大きな展開が訪れ、加速して、最後のセリフを聞いた時にストンと落ち着きました。
「ああ。そっか。これはこういう物語でこの一言が俺は聞きたかったんだな」と思い非常に納得すると同時に映画を思い出して「楽しい二時間だったなー」としみじみと思いました。
表現の手法と言う意味では実に大勢の方に見てもらえるアニメに。
テーマとしては相変わらずの新海誠さん。
そして、書きながら気づいたのですが「新海誠」監督作品について回る「新海さんらしさ」と言う物表現が違うだけで相変わらず存在しました。
余韻と間がないのではなく、余韻と間がある場所が違ったんですねきっと。

作品のテイストやスタイルを変えずにさらに大勢の人々を楽しませる作品として、進化してます新海誠監督!
今までのファンの方も、今まで未見の方も是非劇場で楽しい時間を過ごしてください。

#実際試写会の客層の多様さは驚きでしたね。
#ネタバレは自重します。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 18

チヒロ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

試写会にて観てきました。走るんですよ!?新海さんの作品でw

試写会で一足先に観てきました!おもしろいです! 驚きです!


今までの新海さんの作品はすべて観てきましたが、
この作品は良い意味でおどろかされました。

なんというか、新海さんの作品って、余韻とか間とか、
音のない情景をメインに扱っていた作品が今までは中心でした。

しかし今回の作品は、そういった余韻などの要素がメインではなく、完全なるアニメーションになっていました。要は伝え方が変わって、情景ではなく登場人物の行動を通してメッセージを伝える普通のアニメーションの手法にチャレンジしている感じです。

だって走るんですよ!?新海さんの作品でw


で、よくジブリっぽいと言われていましたが、確かにそういった部分はあります。

だから今までの新海さんの作品の雰囲気そのままではなかったので、
最初は若干の戸惑いがありました。

が、、そんなのは一瞬!  ていうか、そんな事どうでも良くなったw

すぐにおもしろくなって引き込まれました! 魅入ってしまいました!


今までの作品では絶対に考えられなかったバトル要素もあったのですが、相変わらずの神作画で描かれていて、大迫力ですw

約2時間あったのですが、ホント一瞬で終わってしまいましたね。


ナウシカ、ラピュタ、もののけ姫と、これぞジブリっていう感じの作品が最近ずっとありませんでしたよね。

今回の星を追う子どもは、まさにそれに変わるアニメかもと感じました。

もしかしたら、宮崎駿がいなくなった時に、あの路線を引き継ぐのは新海誠かもしれない。

そう感じさせるとても楽しい2時間でした。


個人的には、今までの新海さんのような作品も観たいと思う部分もありますが、表現の仕方が変わっただけで扱われているテーマは相変わらずの新海誠です。


また背景が相変わらずとてもキレイで、印象的。

子どもから大人まで、誰にでも楽しめる作品だといろんな記事に書いてありましたが、確かにいろんな人が親しめる名作アニメだなぁと思いました。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 18

campanule さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

新たな新海ワールド!

試写会に行ってまいりました!
今までの新海さんの作品とは一線を画す、スピード感溢れる作品に仕上がっています。

あらゆる意味でジブリ作品へのオマージュと受け取りました。ジブリ黄金期を彷彿とさせる、メジャー感が半端じゃありません。
秒速を好きな人には、いろんな意味で衝撃を与える事でしょう。

作画は相変わらず壮絶なまでのクオリティ!
音楽、BGMも新海作品ならではの荘厳なイメージ。
心理描写は繊細で、生々しい。
テーマはシンプルで深いです。

今までの新海さんのファンには賛否両論あるだろうけれど、個人的には雲の向こうや秒速を作った新海さんでなければ生み出せないアニメだと思いました。

公開後はもう一発いきます!
深読みしたいシーンは満載です!

投稿 : 2024/05/18
♥ : 15

66.7 2 ノスタルジックアニメランキング2位
河童のクゥと夏休み(アニメ映画)

2007年7月28日
★★★★☆ 3.8 (211)
970人が棚に入れました
夏休み前のある日、小学生の帰り道に上原康一は大きな石を拾った。持ち帰って水で洗うと、中から何と河童の子供が!!第一声は「クゥ?!!」。康一はこの河童を「クゥ」と名付ける。クゥは康一たちと同じ言葉を話し、何百年もの間、地中に閉じ込められていたことがわかる。最初は驚いた家族もクゥを受け入れ、クゥのことは秘密にしようと決めるが・・・。


声優・キャラクター
冨澤風斗、横川貫大、田中直樹、西田尚美、なぎら健壱、ゴリ

ルル さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

河童菌~♪河童菌~♪ いじめ・・ダメ、絶対!

『下校途中、川辺で河童の子供を偶然発見した少年「上原 康一」と、その少年に「クゥ」と名付けられた河童の子供とのひと夏の心温まる友情を描いた物語』


映画のトータル時間は約140分と長いですが、とてもほんわかする時間を過ごせました。心温まる話が好きな方にはおすすめですね。観終わった後、じわーーーっときます、じわーーーっとです。分かりますよね?この感覚。また、この作品は2007年のものなので、ほんの少しキャラクターデザインは古く感じるかもしれませんが、内容は全く問題ありませんでした。脚本はしっかりしていました。


物語の流れは、ざっくり分けて3部ぐらいに分かれていると思いました。1部は「思い出作り」、2部は「騒動」、そして3部は言いません。つまらなくなるので・・。出会いがあればその逆もってやつです。分かりますよね大体ね。


監督は「原 恵一」さんです。クレヨンしんちゃんの「オトナ帝国の逆襲」や「嵐を呼ぶアッパレ戦国大合戦」を手掛けた方です。ですので、さすがに家族間の掛け合いはお見事でした。上原家が野原家のように見えましたよ。


康一とクゥとが夏休みに2人だけ行った旅は良かったです。ちょっぴり不安でちょっぴりドキドキ、そんな雰囲気が感じられました。


2013年に監督の原恵一さんが続編にあたる小説「河童のクゥ 6年目の夏休み」を発売しているので、ぜひ映像化してほしいです。その続編では、康一は高校生になっているそうです......あーーダメだぁぁー、また小説読みたくなってきたぁぁー、脳が震えるぅぅぅ。


この作品の中で、河童伝説のある岩手県の遠野市が出てくるのですが、そこで河童って見る事は出来るのでしょうか?と言うか、河童を見た事ある方はいますか?ちなみに私事で申し訳なのですが、自慢じゃないですが私は河童を見た事がありますよ。私の周りには結構沢山いるんですよエロ河童。でも私はそんな人達が近くにいても、屁のかっぱなんですけどね。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 31
ネタバレ

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

おっさん…(;_;)

以前後半の方だけTVで観て、きっとこれは少年が河童と風変わりな一夏を過ごして、でもやっぱりいつまでも一緒ってわけにはいかないけどハートフルな話なんだろうな、と思っていました。

またTVでやっていたので初めの方から観たところ、だいたいは上記に当てはまるのですが、さらに事細かな人間社会の滑稽さや皮肉な状況を盛り込んだ話でした。

クゥより気持ちを持っていかれたのは、捨て犬「おっさん」。おっさんーー!!おっさん〜〜!!
{netabare}のんきそうでいて、その過去と生涯が辛かった。
学校で殴られるようになって、はけ口として犬を殴るようになってしまった飼い主が、その後どうなったのか。おっさんはきっと気がかりだったでしょうね。
「人間は、変わっちまう」
「ずっと殴られてやりゃぁ、よかったのかな…」って。
以前目にした「虐待されている最中でも親を愛していました」っていう言葉がよぎりました。とても悲しい。 {/netabare}

色々、胸に痛かったです。


妹のありそうな幼児っぽさがうまいですね。知ったかぶったり、河童に対して家庭内の縄張り争い?繰り広げたり、変なところに物隠したり。

主人公の少年の言動…とくに言葉遣いは、すごく「今風な」感じだったり、テレビ出演に浮かれたりと、主人公でありながら社会の一部で翻弄されるように描かれていて、単なる勇気と良心に満ちてはおらず、甘くなかったですね。
でもそんな彼が大手を振って笑って過ごせる世界でもなく、そんなはずじゃなかったのに1人きりで受け止めなければならない状況に追い込まれるところなどリアルでした。もっとも、少しだけ分かち合えた少女の存在や、頼れる家族の繋がりなど、やはりハートフルな部分も生きていました。

原監督は長いことこの作品を映像化したくて、クレしんで結果を出してやっと着手できたものの、原作者の方は完成を見ずに亡くなられたそうで。(wikiうけうり…)
込められた想いが伝わる作品でした。


現在は消失してしまった座敷童の宿、主人公が実際泊まるには人気過ぎて難しかったかな…?「3年先まで予約がいっぱいの宿」だったそうで。今も再建を目指してるんですね。

主人公家族の住んでいた東京の田舎な街並、見覚えがありちょっと懐かしかったです。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 30
ネタバレ

maruo さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

子供心を持って見たつもり B+

私は高校卒業までまで信濃川のすぐ側で育ちました。
幼い頃、祖父から、信濃川には河童がいるから近づいちゃいかん、と何度も何度も言われていました。
私の親の世代までは、川で溺れて死ぬ子どもが年に何人も出たそうで、実際、私の母の兄弟も1人信濃川で亡くなっています。
ですから、河童が出ることを脅し文句として子供を川から遠ざけるというのは、珍しいことでも何ともなくごく普通に行われていたのでした。
そんなことから、私にとって河童は、恐ろしくもありましたがどことなく身近な存在だったのです。

と、いきなり堅い話から始まりましたが、本題に入りましょう。

本作はいかにも子供向けといった作品です。
実際、文部科学省特別選定作品、日本PTA全国協議会特別推薦作品となっていますし、さあどうだ、子供たちに見せてください!という大人たちの意気込みに満ち満ちているのが伝わってきます。

ということで、子供心に帰って視聴してみました。
いえ、今の子供にとって河童なんて遠い存在でしょうから、私のように身近な存在として育った者にこそ、見る資格があるというものです。(屁理屈)

話としては、少年・康一が河童のクゥと出会い、そして別れるまでを描き、お涙頂戴もあるというベタな展開です。
康一は当初幼いところもありますが、クゥとの交流、そして巻き込まれていく事件を通じて、少しずつ成長していきます。
{netabare}途中、他の河童を探して少年とクゥが二人で旅をして、2人の交流が描かれたり、河童がいることがメディアによって世間に明らかにされ、クゥが衆目にさらされたりして、これ以上クゥが人間と暮らしていくことは無理と、クゥ自身が出て行くことを決断します。{/netabare}

また、理不尽な大人たちの好奇な眼差しがどれだけ少年達の心を傷つけるかということや、大きく扱われてはいませんがイジメの問題なども描かれています。
思春期に差しかかった少年の揺れ動く心を良く表現できていたと思います。
そして、迎える最後、分かっていても眼に涙が、って私のことですよ。

最後、もう少しひねりがあった方が良かったようにも思いますが、この種の映画としては最悪のエンディングは避けるべし、と思いますので、この終わり方で良かったのかなって思います。
きっと、本作を見る子供たちにとってもハッピーエンドだったのだろうと。

声優についてはまあこの手の映画では良くあることだと思うので、余り多くは言いませんが、カラス1に阪口大助ってどういう使い方しているんだって思いますよ(笑

本策の監督は原恵一。
最近、カラフルを見たばかりだったので、同一の監督であったことを知って、ちょっと驚きました。
連続で興味深い作品を見せ付けられてしまいました。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 15

72.9 3 ノスタルジックアニメランキング3位
劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~(アニメ映画)

2018年9月29日
★★★★☆ 3.8 (132)
776人が棚に入れました
小さい頃から、他の人には見えない妖(あやかし)を目に映すことができた夏目貴志。 亡き祖母レイコが勝負をしかけ、負かした妖に名前を書かせた契約書の束「友人帳」を継いで以来、 自称用心棒・ニャンコ先生とともに、妖たちに名を返す日々――。

声優・キャラクター
神谷浩史、井上和彦、小林沙苗、伊藤美紀、伊藤栄次、石田彰、堀江一眞、佐藤利奈、木村良平、菅沼久義、沢城みゆき、ゆきのさつき、岡村明美、黒田崇矢、チョー、松山鷹志、下崎紘史、知桐京子、高良健吾、島本須美、村瀬歩
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

うつせみに結ぶ タイトルの意味

ごちうさの映画や蟲師の劇場版でも似たようなことを思いましたが、映画というよりは長編OVAという感覚で観ることになりました。
心当たりは
1つに、作品の性質上緩急が少なくて、じわじわ良さを感じる物語であること。
もう1つに、普段から質のいい作品であること。
この二つが大きく作用している為で決して劇場版のクオリティが低い訳では無いと思います。

もし差別化したいのであれば、作品の要を変えるしかありませんが…
例えば、恋愛要素を強くしたり、バトルものにしてみたり…
もし失敗したら相当叩かれるハイリスクな賭けになります。
勿論夏目友人帳ではそんなことにはならないでしょう。
スタッフが相当原作を大切にしているのは夏目友人帳が6期まで続いていることからもわかります。まあ、冒険することが大切にしてないこととも言えませんが。
夏目友人帳シリーズの一つとして受け入れて欲しいという思いがあるのだと感じました。

さて、ここからはネタバレですが
タイトルの意味を考えてみました。
{netabare}うつせみに結ぶ
普通に辞書をひいたら、蝉の抜け殻に結ぶ?とか、この世の人に結ぶ?という意味になりますけどそれだけではなんだかモヤっとします。

このタイトルを読み解くには語源に遡る必要がありました。
うつしおみ
“この世に人としての姿を現しているもの。生きている現実の人。”
https://dictionary.goo.ne.jp/jn/19733/meaning/m0u/
作中に椋雄という人の姿を借りた妖が登場しますから、うつしおみはこの妖を表すものでしょうね。うつせみという名に代わっているのは、長い時を過ごし、心変わりをしたその妖の物語を表現しているためでしょうか。
あるいは、故人である椋雄と母・容莉枝が再び暮らすようになった様をうつせみに結ぶという言葉で表現しているのかもしれません。
しかし、~に結ぶという形になっているのは何故でしょう。うつせみを結ぶではいけないの?
これに関しては結論を出すのに少々時間がかかりましたが
やはりもっともストレートなのは、結ぶを動作として考えるのではなく状態として考えるということです。
うつしおみに終わる。
いかがでしょう。今作で、中盤まで夏目が疑問に思っていたこと。冒険のテーマに繋がりました。
残念ながら結末にするにはやや発展してしまったのでもしかしたらその他のニュアンスがあるかもしれませんね。
残念ながら私の頭ではこれが精いっぱいです。
より核心を突いた考察が出てくることに期待しています。{/netabare}

投稿 : 2024/05/18
♥ : 8

TORL さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

構成が完璧。親子愛。そして三つの伏線回収。アニメ映画としては非常に見応えのあるものだった。

僕は一期の10話ごろまで視聴していました。

心が最後は震えて涙なしでは見られませんでした。

某映画評論サイトでは冗長だとか、色々な事を言われていましたが、展開は目まぐるしく、前半は伏線が四つほどありまして、どのように後半回収されるのかなと思ったら一つの結論で全てを回収してしまう夏目友人帳という作品の素晴らしさを感じました。
徹底した悪人の居ない世界を作っているのも素晴らしいと思いました。(性善説)
何よりULUさんのrememberをEDで聞いたときは、自分が妖怪の悲しみと暖かさを受けて、そして家族に対して優しくなれるような気分になりました。

リゼロなども見ましたが、全然比べ物にならないくらい内容が素晴らしかったです。

伝えたい想いが伝わりました。

心を暖かくしたい人にはオススメできます。間違いないですので!

投稿 : 2024/05/18
♥ : 5

fu+i さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

初見です

最初、妖怪ウォッチ的なやつかな、と思ったんや ニャンコ先生は、カードキャプターさくらのケロちゃん的存在やったんか 原作が少女マンガやからか

私がひとよし春風マラソンで、聖地?作者、 緑川ゆき先生の出身地である熊本県人吉に行った際、夏目友人帳は、人吉が舞台のモデルになっていることを知り、この映画を見ようと思ったのがそもそものきっかけ
急いでテレビアニメのを見てから映画見に行こうと思ったけど、まさか6期まで続いてる作品だったとは… 再度、人吉を訪れるまでには、見終わってようと思います(_ _)
しろくまっぽいアイス出たり、陣太鼓出たり、地元感あるもの出るのは、ありがたいね

話はいいんだけど、初見の身には、登場人物がどんな人物かわかってなかったりで、ちょっと単調だったな(^_^;)

投稿 : 2024/05/18
♥ : 4

65.7 4 ノスタルジックアニメランキング4位
寫眞館(アニメ映画)

2013年11月9日
★★★★☆ 3.8 (32)
163人が棚に入れました
時は戦前。丘の上で写真館を営む主人の元には、色々な人々が訪れる。ある日訪れたのは一組の夫婦。婦人は恥ずかしそうに下を向くばかりだったが、写真館の主人はあの手この手で婦人の笑顔を写真におさめた。だが翌年、その夫婦と共にやってきたのは、ムスッとした彼等の愛娘だった。主人は必死に笑顔を引き出そうとするが―。

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

明治、大正、そして昭和へ

『パルムの樹』、『ファンタジックチルドレン』の「なかむらたかし」による実に8年半ぶりの監督作品


タイトルの読みは「しゃしんかん」


丘の上に佇む写真館を営む主人の元を訪れた一組の夫婦、しかし婦人は恥ずかしがって俯いてばかり
主人はあの手この手を用いてやっとの思いで婦人の笑顔を一枚の写真に収めた
やがて婦人は夫婦の間に出来た一人の娘を連れて写真館を訪ねてきた
しかし娘は何やら不機嫌なようで全く笑顔を見せてくれない
そして時は移り変わり明治から大正へ、そして昭和へ・・・


全編セリフなし、限定された登場人物、舞台となるのは丘の上の写真館の一点のみ、と絞り込んだ条件でただただ移り変わっていく時代と共に生きる人の様子を描く短編


監督としてはもちろんながら、なかむらたかしの真骨頂はやはり【作画】だと思います
今作では全編の原画をなかむら一人で担当しております
明治~昭和が舞台ということでレトロモダンでお洒落な雰囲気を醸し出す背景美術、静けさの中に響く市川淳のクラシックピアノソロ
そんな中でなかむらが描写するのは登場人物達の細かな表情、その奥に見えてくる心模様です
しっとりとした、けど心温まる作品はココですよー?
わずか18分、少しお時間がある時、是非ご覧になっていただきたい一作です

投稿 : 2024/05/18
♥ : 18

ニャンキチ君 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

写真の思い出

 セリフはなく 綺麗な音楽(ショパン)がバックに流れます。
笑わない女の子をなんとか 笑わせて笑顔の写真を撮ろうと 写真屋さんが奮闘します。

 私は、写真館に家族で行ったことはないですが、子どもの頃 父がよく写真を撮ってくれました。
 弟が私より身長が伸びて高くなった頃 写真を撮る時思わず近くにあった石の上に乗って威厳を保った事を思い出しました。ファインダーを覗いて写真を撮っていた父は心の中で笑っていたのかも・・・。
 
 
 

投稿 : 2024/05/18
♥ : 7

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

とても濃密な16分の良作です

丘の上にある写真屋さん。

一生懸命お客さんの笑顔を撮ろうとがんばります。

物語は母から子へ。
明治から昭和まで続きます。

セリフは一切ありません。
でもしぐさや表情などで丁寧に物語を描いていきます。

音楽はしっとりとしたピアノの曲。

16分ほどの小品なのですが、とても濃密で見終わった後、いい作品を観た時の満足感をとても感じました。

地味な作品なので、知っている人が少ないと思いますが、こういうのを隠れた名作っていうのかな、と思いました。

2020.7.31

投稿 : 2024/05/18
♥ : 6

71.9 5 ノスタルジックアニメランキング5位
サマーゴースト(アニメ映画)

2021年11月12日
★★★★☆ 3.8 (64)
242人が棚に入れました
光溢れる世界を描き出す気鋭のイラストレーター loundraw(ラウンドロー) 初監督映画作品「サマーゴースト」2021年公開決定!
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

夏の深淵

短編らしく緊密に構成された、メッセージ性が濃厚に感じられる作品だった。
どこかノスタルジックな風合いの映像に、繊細な劇伴音楽が寄り添い、
何よりも全編にただよう、ナイーブな内省の手触りが好ましい。

青年期が直面する生と死のテーマそれ自体は、既存作品と較べても
ファンタジックなフィルターに和らげられているためか、尖鋭な印象に欠けている。
感覚的にメッセージを感受し、あまり踏み込まない鑑賞法も確かに正解かも知れない。
ただ、自分が感じ取った本作の個性は、むしろ主知的な側面にある気がする。

幽霊とのファーストコンタクトで、いきなり質疑応答がはじまる。
あおい:「幽霊にも、スクールカーストってあるんですか?…」
ここはクスっと笑っていいところなのだろうが、本作の基本的な方向性、すなわち、
真剣で切実な「問い」の物語であることがすでに示唆されているように感じられた。

友也。あおい。涼。

「生きる」とはどういうことかを知ろうと、彼らは必死に模索する。
そのそれぞれの「問い」の在り方を精細に注視したい思いに自分は駆られる。
絢音を加えた四人のそれぞれの視角から重ね写しに浮かび上がる、
生と死をめぐる独自の省察、それこそがこの作品の創造のコアなのではないか、と。

大勢に逆行しているとは承知しつつ、敢えて自分はテーマにロックオンする。
観念的な事象を扱うにあたり、「経験」という概念を用いて可視化する方法をとった。
かなり思弁的な内容につき、適宜スルーでお願いします。


{netabare}1 友也

絢音と友也との、初対面の問答はこのようなものだった。

 ―きみは何が訊きたいの?
 ―幽霊には世界がどんなふうに見えるのか、知りたいんです。
 ―それは無理ね。簡単に説明できるものじゃないから。
  幽霊のことは幽霊にしかわからない。

絢音の素っ気ない返答はしかし、その先の展開を予告したものだ。
二度目に会いに行ったとき、「友也くんはどうして生きてるの?」と逆に質問され、
「自分が生きているのかどうか、時々わからなくなる」と本音を漏らす。すると、
「じゃあ、試してみる?」と、彼の手を取って、空中散歩へと誘いだす。

絢音は友也にこんな「飛び方」を指南する。

  深い場所。心のずっとずっと奥で願うの。
  魂は君が望む方へ向かう。
  さあ、考えて。きみはどこへ行きたい?

魂の促しに注意を澄まし、自分が本当に願うことに照準を合わせる。
二人の幽霊は美術館を訪れ、満喫する。絢音とともに過ごす自由で濃密な時間。
それは友也にとって、かつてない深い「経験」だったのではないか。

友也の幽霊チャレンジを、"考察"風に説明するとこんな感じだろうか。
飛翔は勿論、しがらみからの解放であり、自由のメタファー。
そこから、自己の心の奥底へとダイブ。深く沈潜し、真実な心の声を聴く。

ここで、この先の物語を読み解くための一つの仮定を立ててみたい。
機械のように虚ろな日々を送る友也が心の底から求めていたものとは、
生きていることを本当に実感できる、確かな「経験」だったのではないか。
そして、絢音の本質、それは彼を「経験」へと導く存在だったのではないか――。


2 あおい

物語の終盤。三人が互いの抱える問題をカミングアウトする流れの中で、
飛び出していった涼のあとを追い、泣き崩れる彼の傍らであおいが語りかける。

  わたし学校でいじめられててさ、ずっと苦しかった。
  生きてる意味とかそういうの、全然わかんなくなっちゃって…
  何か新しい答えがほしくて、幽霊をさがしたの。

このシーンのあおいの言葉は、作品理解へのブレイクスルーとなる重要なものだ。
セリフは次のようにつづく、

  涼くんとは全然違うのかも知れない。
  でも、きっと友也くんも悩んでるんじゃないかな。
  わたしたちが出会ったことには、意味があるはずだよ。

同じ「意味」という語が二度、口に出されていることに注意したい。
両者の間に認められる決定的なニュアンスの違いを精確に捉える必要がある。
ここにおそらく、本作のテーマ的省察の最重要ポイントがあるはずだ。

「生きてる意味」がわからない。・・・
サマーゴーストに会おうとしたあおいの動機、それは「意味」を知ることだった。
だが、生きる意味とは何か。それは果たして問いとして成立しているのだろうか?
その「意味」はいわば虚像であって、追っても追っても遠ざかってゆく逃げ水のようなものだ。
それに疲れ果てて、いつしか生を無意味と決めつけ、逃避する口実にすりかえられる。

友也が絢音(?)に死へと誘われるシーンで、その真相が明らかにされる。

 ―何の意味があるの?
  つらいだけの世界にどうしてそんなにしがみつくの?
 ―たしかに嫌なことばっかりだけど・・・まだ終わってないんだ。
  涼くんとかあおいちゃんとか、少し顔をあげれば、新しい出会いがあるって知った。
  ・・・おまえは絢音さんじゃない。死ぬ理由を探してた僕だ。

「意味」への問いに潜んでいた自己欺瞞の罠が暴露される。
「生きる意味」を問うことは、「死ぬ理由」を探すことと背中合わせの表裏一体なのだ。
あおいの場合も、幽霊はひとりぼっちだと聞いて安堵していたことから、
「生きてる意味」よりも、やはり「死ぬ理由」の方に傾斜していたのだろう。

だが、彼女はすでにその先にいた。

「わたしたちが出会ったことには、意味があるはずだよ。」

無根拠にあるものと信じ、漫然と追い求める「意味」ではない、
自らの経験の中から自身で見出し、与えていこうとする「意味」。
そこには彼女の変化と、獲得されつつある能動性が反映している。

この二つの「意味」のあいだには深淵が横たわっている。
それを跳び越えること、それが「認識」と呼ばれる営為なのだ。
われわれが正しく生きるために跳び越えねばならない深淵は、実は足元にある。
時にそれは冒険であり、決死の飛躍である。


3 絢音

「わたしたちが出会ったことには、意味があるはずだよ。」

あおいのこの言葉に対応した、具体的なストーリー展開が、友也と絢音の交流だろう。
絢音は友也に自分の死の真相を打ち明け、遺体を見つけてほしいと願う。
友也だけが絢音の助けを必要としていたのではなく、二人の関係性は相互的なものだ。

いま仮に、生きるということをフラットに、一つのプロセスとして捉えた場合、
友也が陥っている状態がいわば生の「プロセス不全」だとすれば、
「死」が宙吊りにされたままの絢音の現在もまた、同じような不全の状態だと言える。

 ―僕は絢音さんを見つけたい。今はそれだけです。
 ―わかった…。きっとそれで全部わかるね。
  命の終わりは友也くんの未来で、私の過去。二人のちょうど真ん中だから。

遺体を発見すること、すなわち絢音の死の確定を結節点として、
それが終点である絢音の過去と、そこが起点となる友也の未来とは
完全な対称性を示している。二人の人生が「死」を境に向かい合っているのだ。

この事実は同時進行する二つのシーンによって象徴的に表現されている。
絢音が入っているトランクを掘り起こすのと並行して、もう一人の友也は
自室の押し入れに隠しもっていた真っ白なカンバスを掘り出す。
絢音の過去と友也の未来。終わりと始まりが同じ一つの瞬間に重なり合い、燃焼する。
そしてこの瞬間に、二人が出会ったことの「意味」が集約されているのだ。

友也にとってその瞬間は、絢音との「経験」を完結させるものだ。
だが同時に、そこからはじまる新しいプロセスの「意味」を規定するものでもある。

掘り出したトランクを開けて絢音と対面したとき、
絢音の「死」という、抗いようのない現実を彼はあらためて「経験」する。
この経験は友也にとって、彼女と出会った経験の「意味」をさらに問いつづけ、
生に向き合う構えを根本から変化させる契機となるはずだ。

  現実に戻って絢音さんを見つけなきゃいけない。
  いつか死ぬってこと。絢音さんが生きていたってこと
  もっと、ちゃんと知らなきゃいけないんだ。

では、「もっと、ちゃんと知る」ためには何が必要か?
一つの経験の意味を、新たな経験によってさらに深めること。
そのようにして、「経験」はさらなる「意味」を求めて深まりつづける。
その連鎖こそが「生きる」ということの実質なのではないのか?
「生きる意味」とはその果てに、最後のピースのように得られるものであるはずで、
性急に求められるべきものではないのだ。

「きっとそれで全部わかるね」、と絢音は言った。
「死」という経験を経て、友也が一つの認識に達することを彼女は予感していたのだ。
そのとき彼もまた、一つの深淵を跳び越えたのである。

掘り起こされたカンバスと向かい合い、友也の制作の日々が流れる。そして、
完成された作品に描かれていたもの、それは花を抱いて微笑む絢音の肖像だった。

そこに定着されたものは紛れもなく、成就した一つの「経験」の姿だ。
生きるということ。「経験」によって「意味」に到達すること。
このアニメ映画が伝えるメッセージは確かにそこに結実している。同時にその絵には
絢音への思慕とともに生きていく友也の決意が示されているようだ。


4 涼

一年後の夏の夕暮れ。同じ場所で三人が再会する。
春に逝った涼がサマーゴーストになって現れる。その理由はおそらくシンプルなものだ。
「ちゃんと話せてよかったぜ。最後はしゃべれなかったから。・・・」

実は四人のなかで涼だけが、「プロセス不全」からは自由だった。
未来を断たれた苦悩の中でも、真っ直ぐに正しいプロセスを貫いていた。
生まれてきたことへの懐疑、不条理と向かい合う恐ろしい苦悶の時間を送りながらも、
最後まで生を意欲しながら逝った、その死に向かうプロセスが正しく完結しているからこそ、
彼の表情は安らかで、生きていく二人を励ますことさえできるのだ。

ラストシーン。涼が去ったあと、友也とあおいが滑走路に佇んでいる。

今さらだが、最後に一つ、残された問いがある。
なぜサマーゴーストと会う場所は、飛行場の滑走路なのだろうか?
それらしい答えは幾らでも見つかりそうだが、自分としてはこじつけと言われようと、
これまでの論旨を踏まえた解釈を提示してみたい。

サマーゴーストの登場シーンは、飛行機が滑走路へ着陸するイメージで描かれていた。
これは多分、彼女が「死」という深淵を飛び越えて、三人の前に現れたことを意味している。
友也とあおいも、それぞれの経験の中で深淵を跳び越え、二つの死を経験して
現在の地点に着地している。このラストシーンはそのことを強く印象づけるものだ。
そして今、そこからふたたび歩き出そうとしている。

 もしかしたら、言われたとおりにしてた方が楽だったかなって時々思うよ。
 でもいいんだ。どんなことも、どうせいつか終わるって思ったら、
 なんか、こわくない気がしてきたから。
 ちゃんと、自分で選んでいくよ。

生とは死に至るプロセスである。
死はそのプロセスの終点として予見的に内在し、生を補完している。
待ったなしの現実。その中でもがきながら能動的に、主体的に「意味」を見出してゆく。

そう、やはりこれは、ささやかな「認識」の物語なのだと思う。{/netabare}


2023. 8. 28

投稿 : 2024/05/18
♥ : 16
ネタバレ

カミタマン さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

静かで,澄んだアニメーション

空の美しさに惹かれ見てみました。

勝手に爽やかな話をイメージしてみたのですが

{netabare}
意外に重い3人の,いや4人の事情があり
視聴前のイメージとは結構違いました。
{/netabare}

しかし,作品は始終物静かに進行し
絵も美しく
ストーリーも良かったです。

1時間未満の劇場用作品で初めて面白いと思った作品でした。

『絶望の怪物』を忘れていました(^-^;

投稿 : 2024/05/18
♥ : 19

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

単館系で観る映画のような独特な余韻を味わえる作品

イラストがそのまま動いたような感じの作画がとても新鮮な作品でした。

■等身大のリアル

この作品は、単館系で観る映画のような独特な余韻を味わえる作品です。
ここで言う単館とは、下北沢にあるような50席ぐらいのシアターのことです。
上映作品は、だいたい支配人の意向で偏っている感じでしょうか。
それよりも、駆け出しの監督作品の公開の場と言う意味合いの方が大きいです。
それこそ家庭用機材で撮影した自主製作の延長線のような作品も上映されています。
そのため、上映作品は、粗削りのものが多いです。
しかし、この駆け出した頃の作品だからこそできた表現と言うのもあります。
それは、いろいろな表現技術が身についてくると、どことなく消えてしまう何かです。

この作品もそんな印象をうけました。
青臭い分、本当に表現したいことがにじみ出ているような、そんな感じです。
自分の置かれている状況に悩む高校生の気持ちを特に脚色をせず淡々と描いています。
それがむしろ等身大と言うかリアルに感じられた理由です。


■幽霊

この物語では、都市伝説で「サマーゴースト」と囁かれる女性の幽霊が登場します。
名前は、「絢音(あやね)」。
ネットで知り合った高校生の3人がこの幽霊と出会うことから話が展開します。

「ゴースト」には、「人が突然消える(いなくなる)」と言う意味もあります。
実は、絢音の母親にとっては、ある理由で絢音が突然消えたままの状態なのです。
娘の絢音にとっては、それが唯一の心残りとなっていました。
そんな絢音と3人の高校生が一緒に突然消えた理由をめぐる物語となっています。
そして、最後にキャッチコピーの「ありがとう、見つけてくれて」にたどりつきます。


■劇伴がいい

この物語は、そんな「生と死が交錯する夏の夜」の出来事を描きます。
これはもちろん生きている3人と死んでいる絢音の出会いと言う意味があります。
それと同時に、3人もまた、ある理由で死を意識しているからです。
このなんとも不思議なひと夏の出来事を劇伴が神秘的なものとして演出します。
そして、この劇伴のおかげで、最初から最後まで独特な雰囲気で物語が進行します。


■まとめ

観終わった後、どう表現していいか分からない、言葉にできない余韻が残ります。
逆に言えば、表現できないからこそ、それが余韻として残るのだと思います。
私は、こう言う余韻は大好きです。
それは、自分の中で必死に答えを探そうとしている証拠だからだと思うからです。
しかし、結局のところ、いつもしっくりくる言葉は見つかりません。
でも、心の中では、ちゃんと答えは見つかっているのだと思うのです。
なぜなら、なんとなく心が軽やかになったと感じるからです。

この物語でも主人公が空を浮遊することをきっかけにそれこそ心が軽くなり始めます。
それは、同時に自分の中にある問題に必死に向き合い答えを見つけ始めたからです。

主人公は、最初、「自分が生きているかどうか、時々分からなくなる」と言いました。
もし同じように思っている人がいたら、この作品を観てもらえたらなと思います。

私は、言葉にできるような明確な答えは、見つからなくてもいいと思っています。
でも、自分の「心の重さや軽さ」には、気を付けてみてほしいと思っています。
それが自分と向き合うと言うことだと思うからです。
もし、自分の心が少しでも軽くなったと感じたら、それは答えが見つかった証拠です。
そしたら、もう焦らなくてもいいのです。
なぜなら、自然とその答えに向かって行動ができるようになっていくからです。

この作品は、独特な浮遊感でその過程を表現していたのではないかと思います。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 26
ページの先頭へ