ジャズで漫画原作なおすすめアニメランキング 6

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのジャズで漫画原作な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月04日の時点で一番のジャズで漫画原作なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

64.4 1 ジャズで漫画原作なアニメランキング1位
機動戦士ガンダム サンダーボルト(Webアニメ)

2015年12月25日
★★★★☆ 3.9 (95)
524人が棚に入れました
宇宙世紀0079、地球連邦とジオン公国が戦った一年戦争の末期、サイド4のスペースコロニー群、ムーアはジオン軍の攻撃により破壊され、多くの住人が命を落とした。破壊されたコロニーや、撃沈された戦艦の残骸が無数に漂う暗礁宙域では、ぶつかり合い帯電したデブリによって絶えず稲妻が閃くようになり、いつしかそこは、『サンダーボルト宙域』と呼ばれるようになった。ムーア市民の生き残りで構成された地球連邦軍所属部隊、ムーア同胞団は、故郷であったサンダーボルト宙域の奪還を悲願とし、宙域のジオン軍を殲滅せんとしていた。連邦の進軍を足止めせんとするジオン軍も、義肢兵の戦闘データ採取を目的に設立されたリビング・デッド師団を展開。ムーア同胞団に所属しながら、故郷や自身の出自に束縛される事を疎ましく思うイオ・フレミングと、過去の戦闘により両足を失い、今はリビング・デッド師団でエーススナイパーとして活躍するダリル・ローレンツは、戦場で対峙した時、互いに悟るのだった。ふたりは、殺し合う宿命なのだと……。

声優・キャラクター
中村悠一、木村良平、行成とあ、大原さやか、平川大輔、咲野俊介、佐々木睦、土田大
ネタバレ

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

4話で終わりかい(汗)

全6話だと思ったら、4話で終わりな様でw
どうやら追加映像加えて劇場版みたいな形で上映もするみたいですが。
配信版の全4話だとスゲェ締まりのない終わり方ですんで、チョットお勧めはし難いすね。

4話視聴
 くしくもMSと{netabare}軍人の肉体を直結するという残酷さと可能性{/netabare}が内包されたオルフェンズとサンダーボルトが同時期に放送された訳ですが。
個人的にはやはりサンダーボルトの方が心ににクるものが有るというか。
どちらもその要素はストーリーの本筋では無いですけどね。
 それらの要素を「どうです?酷い話でしょ??」とストレートに描いたガンダム2作品と並行して、そのテクノロジーに対する複雑な印象を福音の少ない台詞と仕草でオブラートに包んで見せた紅殻のパンドラも同時期だったりするのは偶然だったんですかね?
まぁ紅殻をそういう視点で見てた人は少ないみたいですけど。

 痛々しいシーンの多い作品ですが、流石にビームサーベルで生身の人を焼くシーンは絵面よりも行為のエグさが半端ないというか。
私は宇宙世紀モノ以外のガンダムは殆ど観てませんが、今のところ極北なガンダムかなと。
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2話視聴
 両パイロット共憎悪の根は戦争で失ったもの故ですが、相手に対する私怨で殺り合うが如く変質してしまった様が超私好みなんすよねw
今のところ、大義も敵に対する敬意なんて戦争物に付き物の綺麗事が無いのがイイ感じだと思います。"戦争なんて嫌い・帰趨なんてどうでもいい"という科学者の態度に対し困惑する主人公。

 UCも逆シャアまでの色んな世代のMSの改修機が観どころではありましたが、コレは馴染み深いファーストの機体ばかりですしタマランです。
ガンプラをMSVまで付き合ってた私みたいなオッサンは大喜びなのですw
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オリジン観てない私が言うのもアレなんですが、別のベクトルでファースト直撃世代が観たくなる路線すよね。
Gアーマーでシールドが左右2枚付いてるのに、分離するとシールドを重ねちゃうシーンに子供の頃から不自然さを感じてたりしたんですけどね。
サンダーボルトの世界では堂々とシールド2枚オッ立てて突っ込んできますw
極論するとMSという兵器の在り様がガンダムよりボトムズに近い雰囲気というか。
正直ジオン贔屓な作品が昔からOVAでは多かった気はしますが、コレはいい物観させてくれるかもという期待はさせてくれる1話目とは思いました。

まぁ原作読んだ方がいい気もしますが(汗)

出撃時にティッシュもらうトコは、ライトスタッフのリドリーとイェーガーへのオマージュなんでしょね。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 16

蟹チャーハン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

ザクが主役のジオン視点のガンダム

大人のガンダムを目指して、それもザクが主役のガンダムという発想が素晴らしい。シリーズ作品が増え続ける中で、感覚的に取り残されてる(見放した?)ファースト世代待望の作品かもしれません。

あえてメカシーンを3Dで処理せず全編手描きにこだわるとか、大人向けにJAZZを多様するとか年齢層に見合ったつくりを考えているのがわかります。

ただ、正直に書いてしまうと、大人と子供たちの人生ドラマの差別化がどこまでできるのか? 一話目だけだとまだ判然としない状況か。上官と下士官のラブゲームみたいな色恋方面のシーンが目立ったので、そっちには行かないで欲しいかな…。

個人的に大人のガンダムというと、悲しいけどこれが戦争なのよねという名台詞を残して死んだスレッガー・ロウ中尉が思い起こされます。ビグ・ザムに突撃かけたあのシーンは、ガンダム名場面のひとつであり、すべてを受け入れた大人だから言える言葉と重みがありました。

まだ一話なんでよくわかっていませんが、連邦側の主役のパイロットの設定がフラグたちまくりの死にたい体質ぽく見えるんで、もうちょいペースとトーンを落としてもらえたらうれしいかも。あの渋い台詞の似合うような男たちの熱いドラマを見たいもんです。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4

nico81 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

オールディーズ×フリージャズ

UCと同スタッフということで、正直なところ物語や演出面で期待薄で観る気なかったのだが…
なにしろ音楽が菊地成孔だっていうもんで結局観た。そしたらこれが期待以上に良かった。
短いけど、短いからこそか、作画も音楽も気合い入りまくっている。
あと木村良平さん、癖がないのに凛としていて良い声ですね。

ガンダムシリーズにありがちな大義名分やら夢見がちな正論は見当たらず、
現場レベルでの「戦争」の実態がより現実的に描かれている。
現場の人間にしてみたら大義や正義もよりも、国の存亡や理想よりも、
いまそこで起きている戦闘と殺戮が全てだし、生きるか死ぬかが全て。
そういうものなんだろう。


オールディーズのザク×フリージャズのガンダムという対比も両者の対立構造をより明確にしていて良い。
さらにその2種類の音楽で、戦闘のスピード感と同時に哀切をも効果的に表しているあたりはさすが。

音楽については菊地氏が自身のブログで詳細に解説している。
ご興味ある方は一読してみては。(↓4/22の記事。長文)
http://www.kikuchinaruyoshi.net/n-k-blog/
ご本人が自画自賛しちゃってるが、さもありなん。
熱量高くて、ちょっと本気出しちゃいました感、ハンパない。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 2

65.0 2 ジャズで漫画原作なアニメランキング2位
リストランテ・パラディーゾ(TVアニメ動画)

2009年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (188)
1142人が棚に入れました
舞台はイタリア。田舎からローマに出てきたニコレッタは、リストランテ『カゼッタ・デッロルソ』を訪れる。それと言うのも、幼くして両親が離婚し、母親が再婚する為に祖父母に預けられたニコレッタは、自らの再婚の為、成人するまで娘を置き去りにした母を恨み、彼女の再婚相手がオーナーを勤めるリストランテにやってきた。娘がいることを知らない母の再婚相手に、全てを話そうと機会を窺っていた。

そこで、ニコレッタは何とかオーナーの店『カゼッタ・デッロルソ』の見習いとしてに働き始めたが、そこは従業員全員が、老眼鏡着用が必須の紳士という店だった。老眼鏡紳士が目当ての女性客で連日予約でいっぱいのリストランテだが、ニコレッタもサント・クラウディオ・パラディーゾが気になり始める。

声優・キャラクター
折笠富美子、山野井仁、立川三貴、黒田崇矢、喜山茂雄、西松和彦、上田燿司、七緒はるひ、渡辺美佐、乃村健次、沢海陽子、岡和男、木村はるか、中原麻衣

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

こんな素敵なリストランテがあるなら今すぐ行きたい

ローマにある小さなリストランテ「カゼッタ・デッロルソ」を舞台に
老眼鏡着用で50歳以上という採用条件を満たしたシェフ、ソムリエ、
カメリエーレ達と、生き別れた母親を訪ねてやってきた二コレッタが繰り広げる、
しっとり落ち着いた全11話の群像劇。

OP、EDとも音楽&映像がおしゃれ。
キャラデザは作品のサムネの雰囲気とは違い、もっと繊細で表情豊か。
ローマの石畳の街並みや名所の数々も美しく、
登場する料理やドルチェもすごく美味しそう!
お店に到着するまでの路地を、歩いてる人の視点で映したカメラワークは
子どもの頃から大好きだった人形劇を観るときのような期待感があって良かった。

それと色彩設計がお見事! シーンごとのインテリア、小道具、
人物が着ている服の色などの配色の調和がすごくとれていて、
こういう部分に拘った作品が好きな自分としては、
それだけでもかなり気に入ってしまった。
観ている人が、作品の中で一緒に寛げるような感覚になれたとしたら
きっとこの色彩設計と、穏やかであたたかい物語の流れと口調のせいだと思う。

主な登場人物が、それぞれ個性豊かな初老の紳士7人っていうのも珍しいし
まさか彼らの癒し効果がこんなにあるとは想像したこともなかったよ(笑)
老眼鏡かけたおじさん?加齢臭が・・なんてそんなイメージは一気に消え失せ
「ローマの紳士は適度な色気も感じさせつつ、何をしても絵になってカッコいい」
「イタリアの男はスーツ姿でジェラート食いながら歩いていてもカッコいい」と
友人からさんざん聞いていたが、この作品でもそれはまさにその通りだった。
もちろん、アニメだからなおさらそう見えるのだろうけど。

歳を重ねた人にしかない奥行き、落ち着き、品の良さ、やさしさが
何気ない会話や動作、立ち居振る舞いから滲み出ていて、
自分も50代になったら、こんなふうになっていたいものだと真剣に思った。
今の自分がこのままいくと性格的にはクラウディオかフリオに近い感じだけれど
ルチアーノみたいなクールな渋さに、すごく憧れる。

スピード感ある展開や号泣するような感動はないけれど、じんわりホロっときたり、
日本だとジメジメになりそうな展開も、意外にさわやかだったり、
ちょっとしたイタリア語会話や日常のあれこれが学べたり、たりたりイタリア~ノw
リストランテが舞台にしては調理風景のシーンが少なかったけれど
その分、人物描写やストーリーに焦点を絞っていたのも特徴。
それでも、今すぐローマに飛んで、このお店に行ってみたい・・
そう思わせてくれる作品だった。

メガネ紳士萌えの人はもちろん、落ち着いた作品が好みの人や
寝る前にほっこりしたいなって時にもオススメだ。

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ここでちょこっと余談を。

イタリアの場合の飲食店の分類は、以下のようになります。

■リストランテ・・きちんとした食事ができる高級レストラン

■トラットリア・・リストランテよりは気軽に行けるやや大衆的なお店

■オステーリア・・ワインが豊富な居酒屋や郷土料理の店的な位置

■ピッツェリア・・ピザがメインの軽食屋

■バール・・カフェ。コーヒーやお酒、軽食向き

■ビッレリア・・ビールとおつまみが出される店

■パスティチェリーア・・お菓子やケーキの店。

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ちなみに、イタリアの中でも特に北イタリアは、男女とも歳に関係なく仕事を持つ人が多く
共稼ぎも当たり前なのだそうだ。
それでカトリック教という宗教上の理由と、離婚しにくい法律のおかげで
離婚率もかなり少ないらしい。しかし、その一方で結婚に拘らない同棲は多く
浮気も多いとか・・・さすが色男の多いイタリアというべきか(笑)
でも自分が知ってるイタリア人夫妻は、いくつになってもアツアツで
始終当てられっぱなし。ですw

投稿 : 2024/06/01
♥ : 31

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ワインを飲みながら観たくなる、小粋でお洒落な味わいと雰囲気

☆物語&感想☆

「ACCA13区監察課」が記憶に新しい、オノ・ナツメ原作漫画の2009年作品 
「ジョジョの奇妙な冒険」を手掛けるDavid Production初の元請制作作品

イタリア、ローマの片隅にある小さなレストランを舞台に、
田舎から、とある理由で出てきた主人公のニコレッタが、
従業員たちとの交流を通じて成長する姿や恋模様を描いた物語。

このレストランは他の店とは一風変わった趣向があり、
従業員たちが皆老眼鏡を着用した紳士ばかりだと言うこと。
客の多くも従業員目当ての淑女が多かったりするものの、
腕利きのシェフにソムリエも居て本格的なサービスが提供されていて、
料理アニメ的な観点でもそこそこ楽しい。

登場人物の平均年齢が高いこともあり、
皆それぞれの過去、ドラマが各エピソードを通じて満遍なく描かれおり、
中でもやはり恋愛に関しては、これほど大人の恋を描く作品というのはかなり珍しく、
新鮮な気持ちで鑑賞させていただいた。
見た目も含めてイタリア人だから成立するキャラや物語、というところは確かにあるだろうとは思うものの、
歳を取っても異性を惹きつける存在でありたいとは誰しも思うんじゃないかな?
各人の気持ちや身のふりようで、紳士にもなればオッサンにもなる…そんな事を考えされられた作品でした。

女子ウケが良さそうな作品ではあるものの、落ち着いた大人向けのアニメとして、
音楽もとてもお洒落なこともあり、一見の価値のある作品になっていると思います。
最終話はちょっとホロっと来ましたね~良かったですよ。


☆声優☆

リストランテの従業員の面々はベテラン声優で構成され聴き応えと安心感がありますね。
そんななか主役のニコレッタ役を、最近ではリトルウィッチアカデミアでのロッテ役が記憶に新しい、
折笠富美子さんがとても上手く演じられてました。
声質も最近の声優には居ないタイプの綺麗な声で、個人的にはもっと多くの作品に起用されて欲しいと思います。

☆キャラ☆

何と言ってもやはり老眼鏡の紳士達がどのキャラも癖があったり個性豊か。
一見すると女子ウケを狙ったキャラのようにも思えますが
(たぶん原作者の好みが大いに反映されたものでしょう)同じ男から見ても魅力的。
舞台がイタリアということも有るでしょうが、
年をとっても色気があって、ほんと自分もこういう年のとり方をしたいな~と憧れますね。
登場人物で一人若い主人公ニコレッタの、
親子関係や恋なんかは非常に等身大に描かれてて好印象でした。

☆作画☆

キャラデザインは原作準拠か女性キャラにやや癖があるようにも思えますが、
男目線を意識してない作品でしょうから、特に不満はないですね。
作画枚数的にはそこまで多い作品ではないでしょうが、
背景も綺麗だし2009年の作品ということを考えれば充分な出来かと思います。

☆音楽☆

OP,ED共にお洒落な大人向けアニメにピッタリのもので高評価。
それにも増してコーコーヤが担当した作中BGMの出来が素晴らしく、
雰囲気アニメとしても本作を味わい深いものにしてますね。


ACCAのように劇的な物語ではないですが(ACCAも全体としては地味ですけど)、
派手さはなくても落ち着いて観れるお洒落な作品として、とても好印象です。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 10
ネタバレ

Dkn さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

老眼鏡をかけた紳士が饗する、リストランテ 「カゼッタ・デッロルソ」にようこそ。

イタリアのローマが舞台の群像劇。

主人公は若い女性で老眼鏡をかけた老紳士に囲まれる。


男が見るもんじゃないなと思ってたら、落ち着いた雰囲気と穏やかに流れる音楽が視聴継続に結びつけてくれました。

子供の頃に両親の離婚で祖父母の家に居たニコレッタが上京し、母のいるローマへ着いた場面から物語は始まります。

この作品に出てくる老紳士たちの自己紹介をするシーンで、「この中で誰が一番モテるの?」と主人公のニコレッタが
聞きます。イタリアの男らしい瀟洒な答えが帰ってきて、これは大人の男を楽しむアニメだと理解しました。

思わず笑ってしまったシーンが、
{netabare}
クラウディオを押し倒す肉食なニコレッタ。クラウディオも憂いた表情で「やめて下さい・・」って・・(笑)

自分が女性だったら楽しいんでしょうね。力も年齢も上の男をソファーに押し倒して表情を曇らさせるなんて、この上
なくトキメクでしょう。乙女モードに振り切ってニコレッタ(20代女子)に感情移入全開でいけば余裕(錯乱)
{/netabare}

若い奥さんを貰ったイタリア男に、歳の差ってどう?と聞くと、あまり気にならないとサラリと返したり・・
なんてセクシーでスマートなんでしょうか・・・。日本人の男性ならしどろもどろで言い訳するでしょう。

イタリアと日本じゃ恋愛観が違うので、恋して家庭を放り投げる事があまり珍しくない空気が“らしい”です。
ニコレッタの母であるオルガが、恋する“じゃじゃ馬”さんなので、ダメな母親かな?と思ったらちゃんとお母さん
してました。日本と違い恋愛に対して陰鬱さがなくて好感が持てます。母と娘で同じ女性同士なのもあるのかも。

最終回まで傾斜のあまり無い展開ですが、温かい空気感と温かい人とのつながりを描き続け物語は終わります。


一部抜粋して・・

4話冒頭。
(↓こんな雰囲気です。一応伏せます)
{netabare}

(雨音が聞こえる店内で。。。)

カウンターに座る 憂いた表情の女性。

常連であろうその女性に
コーヒーを出すカメリエーレ。

“ありがとう”と受け取った女性が、
いつもと違う味に顔を上げる。

「お疲れのようですから、
少し濃い目にしてみました・・違いましたか?」

心遣いを受け女性は
“美味しい”と顔を綻ばせる





離れた席でオーナー夫妻が
そのやりとりを聞き、微笑する。

「傘がなくて良かった」
 
「ん?」

「長居する理由になるわ」

「・・そうだね」


(静寂に包まれた店内に、雨音だけが鳴り響く。。)


{/netabare}


あくまで日常のほんのスパイスとして恋愛を描くことが「リストランテ・パラディーゾ」の最大の魅力かと思います。


落ち着いてコーヒーを飲みたい午後のおともにどうぞ。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 15

74.7 3 ジャズで漫画原作なアニメランキング3位
BLUE GIANT(アニメ映画)

2023年2月17日
★★★★★ 4.1 (92)
314人が棚に入れました
「オレは世界一のジャズプレーヤーになる。」
ジャズに魅了され、テナーサックスを始めた仙台の高校生・宮本大(ミヤモトダイ)。
雨の日も風の日も、毎日たったひとりで何年も、河原でテナーサックスを吹き続けてきた。
卒業を機にジャズのため、上京。高校の同級生・玉田俊二(タマダシュンジ)のアパートに転がり込んだ大は、ある日訪れたライブハウスで同世代の凄腕ピアニスト・沢辺雪祈(サワベユキノリ)と出会う。
「組もう。」大は雪祈をバンドに誘う。はじめは本気で取り合わない雪祈だったが、聴く者を圧倒する大のサックスに胸を打たれ、二人はバンドを組むことに。そこへ大の熱さに感化されドラムを始めた玉田が加わり、三人は“JASS”を結成する。
楽譜も読めず、ジャズの知識もなかったが、ひたすらに、全力で吹いてきた大。幼い頃からジャズに全てを捧げてきた雪祈。初心者の玉田。
トリオの目標は、日本最高のジャズクラブに出演し、日本のジャズシーンを変えること。
不可能と思われる目標に、必死に真摯に、激しく挑む---。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

🏅ジャズ🎷演奏シーンが凄すぎて月🌘まで飛ばされるかと思いました

やがて世界的なテナーサックス奏者となる宮本大(だい)の足跡を描く、
ジャズ漫画シリーズ(第1部・5巻、仙台編~東京編序盤辺りまで購読中)の劇場アニメ化作品。

【物語 4.0点】
原作は明らかに連続アニメ化した方が適した連載コミック。
ですが原作再現よりも、映像でも“本物のジャズ”を届けたいと原作者が熱望。
これを受けスタッフは初手から音響設備で音楽体験を最大化できる劇場アニメで制作する勝負に出る。

構成は4分の1がライブシーン。
あとは東京編「JASS」3人のバンド活動を中心にピックアップしシナリオを形成。
そのあおりで仙台編にて“河川敷のコルトレーン”主人公・大(だい)を芽生えさせた恩師・由井など、大幅カットされたシナリオ多数。

だが決して物語が音楽の添え物というわけではない。
アドリブソロなどで回想カットを挿入し激情を昂ぶらせリミッター解除する。
演奏能力インフレも急激となるが、そこもバイト中のエアピアノ、エアドラムのカットで補完してエモさをアップさせる。
「ジャズは感情の音楽」、故にジャズの演奏は再現不可能な一度きりのパフォーマンス。
作品がこだわる価値観や、ジャズの火力を最大化するために必要なシナリオ熱量は十分確保されている。


【作画 5.0点】
アニメーション制作・NUT

演奏シーン。私は過剰な演出を排除して、ジックリと音楽を聴かせる映像の方が好み。
ですが、本作の場合は、テナーサックス中心に音楽が怪物級に強力。
ただ奏者をキャプチャーするだけでは絵が音楽に押し負けてしまう。

よってサックスが火を噴こうが、星を出そうが、演出が時空間を超越しようが。
この音楽と対峙するなら、アニメーションも総力戦だよねと納得するしかありません。

「すべての感情を音で表現できること」を至上とする大(だい)の音楽観。
受ける作画もセリフに頼らず、時に言葉以上に感情を爆発させる必要があります。

これに対応したのが総作画監督・キャラクターデザイン・高橋 裕一氏らのスタッフ陣。
『Vivy』でも歌でみんなを幸せにしたいAIの心の在り処という難題を取り扱った高橋氏。
サックスを描くのは宇宙戦艦を描くより難しいと愚痴りつつもw
彼らの画作りがフィットしたのも私にとっては大きかったです。

何より私は青の映像が大好物。
緻密に構築された青い東京の街並みを眺めるだけでうっとりしてしまうのですw


大(だい)がビッグになる未来は確定している本作。
大の伝説の始まりを関係者に尋ねるインタビュー形式の映像もしばしば挿入され、
巨星が頭角を現すスピード感を後押し。


【キャラ 4.5点】
★超新星若手ジャズトリオ「JASS(ジャス)」

宮本 大(だい)/テナーサックス……ほぼ独学でパンチ力のある演奏を体得。「世界一のジャズプレイヤーを目指す」が口癖のジャズの化け物。

沢辺 雪折(ゆきのり)/ピアノ・作曲……幼少より技術を積み上げて来た天才タイプ。大と出会うまでは才能を持て余し、片手演奏でナメプしたりしていた(ある意味これも伏線回収されるから凄い)ジャズシーンを変えると豪語するなど、大とはまた違った、ナルシスト方面のビッグマウス。

玉田 俊二/ドラム……サッカーサークルで燃焼しきれない衝動をこじらせた大学生。部屋に転がり込んで来た大に触発され叩き始めた初心者。キャリアの中で組むメンバーを変えるのがジャズバンドと割り切る2人とは対照的に、体育会系らしい仲間意識も持つ熱血漢。

以上3人の青春劇が基軸。
雪折の上手く弾きこなせているようで実は吹っ切れていない。
張り合える巨星・大に連れられ、ぶつかれる壁にまで高められることで初めて挫折と成長を知る。
器用なイケメンが不器用に足掻く様は、何度味わってもグッときます。


ノッてる若者たちを見定めるジャズ関係者の大人たちも渋くてグッド。
{netabare} 雪折にぞんざいに扱われた後、謝罪される豆腐屋のオヤジ。
玉田の成長するドラムが好きだといってくれたファンのおっさん。{/netabare}
衰退の一途をたどるジャズ。細々と語り継ぐファンのためだけに弾いていても仕方がないというのも一理ある。
ですが、巨星が出現した時、愛をもって見極めるだけのファンがいなければ、星は輝かず廃れるのみ。

ジャズだけでなくアニメ鑑賞などあらゆるジャンルの愛好家が肝に銘じたい心意気です。


【声優 4.0点】
若手俳優のメインキャスト3人の周りをベテラン声優陣が固めて安定をはかる、よくある劇場アニメの布陣。

最適解とは思いませんが、若い勢いを大人が受け止めるという構図が多発する本作ならそれもありでしょうか。

主人公・大(だい)役の山田 裕貴さん。
今年の大河ドラマでは、主君・家康にツンツンする重臣・本多忠勝役で好演中。
大口を叩くが実力もある若者の猛々しい演技が得意なのでしょう。
声だけの本作でも、その一端は発揮されていた印象。

山田さんは共演者とぶつかることで演技が引き出される憑依型の役者。
雪折(ゆきのり)役・間宮 祥太朗さん、玉田役・岡山 天音さん。
コロナ禍でも臆せず同世代俳優3人の同時収録を敢行したのも好判断だったかと。
3人のおバカな青春の掛け合いもまずまずのお味でした。


そんな若者の鼻面をへし折ったり、引き上げたりする役回りを演じたのが平(たいら)役・東地 宏樹さん。
日本一のジャズクラブを背負うプライドと責任から放たれるジャズ愛の鞭。
そこまで言ってくれるのかと私も胸のすく思いでした。


【音楽 5.0点】
Dolby Atmosにて劇場鑑賞。

担当は世界的なジャズピアニスト・上原 ひろみ氏。
劇伴だけでなく「JASS」のライブ楽曲群、EDも作曲。
宣伝のための無粋なポップス主題歌なんて要らない。全編ジャズで貫き通す潔さ。
さらには自身も雪折のピアノ演奏担当としてプレイヤー参加。

ジャズを知らないお客さんにも聞いてもらえる演奏をする。
ジャズで一番を目指すんじゃない。東京の音楽シーンのてっぺんに立つ。
作中主人公たちの大口に、現実のプロが全身全霊の音楽制作で応える。
この制作体制が既に熱いです。

サックスなどの音圧の強さが目立ちますが、繊細さも併せ持ちます。
こじんまりとした店のピアノは敢えて調律を甘くしてもらった
との上原氏のこだわりは、素人の私には高度すぎて分かりませんがw
真摯な音作りから醸される情熱はビンビン伝わって来ました。

繊細なのは音響も同様。
ライブ会場で熱狂する観衆などは臨場感があり没入させられました。

地味にお気に入りなのは、主人公が天候に合わせた選曲意図を汲んだ一コマ。
それが{netabare} ジャズバー「TAKE TWO」店主アキコとそこを練習場にする「JASS」の縁{/netabare} の始まり。
雨音とジャズが一体となった素敵なシーンです。


【感想】
2023冬アニメ。私の大本命が期待通り、いや想像を超えたパフォーマンスで魅せてくれました。

やはりライブシーンが圧巻。
{netabare} 星はあまりに高音になると赤を通り越し青く燃えるのだ。{/netabare}
アニオリだという演出も交えてタイトル回収されたクライマックス。
感極まった私の目頭もヒートアップ。劇場から出たあと鏡で見た自分の眼が赤すぎて恥ずかしかったですw

音楽アニメとしては今年随一とか、近年屈指とかではなく、
私の生涯の中でも指折りのインパクト。
青々と魂を燃焼される演奏シーン。必見です♪

投稿 : 2024/06/01
♥ : 30

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

体の奥底まで伝わるジャズの熱量

アニメーション制作:NUT、
監督:立川譲、脚本:NUMBER 8、
キャラクターデザイン:高橋裕一、
音楽:上原ひろみ、原作:石塚真一

アニメで本格的な音楽を聴く―――
アニメを観始めたころは、そんなことを考えたこともなかった。
アニソンなんて、オタクたちの聴く声優の歌う音楽だろう。
そんなふうに思っていた私は、自分の「偏見」を恥じることになる。
今では、私は「アニソン」ばかり聴いている。

『キャロル&チューズデイ』という音楽アニメの傑作がある。
アニメとしては、微妙な部分も多いのだが、音楽は最高だった。
その作品を音楽の面で超えたと言えるのが『BLUE GIANT』だ。
演奏シーンについては、体の奥まで響くほどの凄みを感じさせる。
クリント・イーストウッド監督の『バード』という
チャーリー・パーカーの生涯を描いた映画があるが、
ライヴシーンは、それにも引けを取らない表現力だ。
それもそのはず、音楽の部分のほぼ全てを任せられたのが
世界的ジャズピアニストの上原ひろみ。
よくこんな人を1本のアニメに引っ張ってこられたと思う。
上原ひろみというと、秋吉敏子以来ともいえるほど、
日本人として世界に認められ、活躍しているジャズ・ミュージシャン。
ジャズの本場、ニューヨークの最も有名なジャズクラブ、
ブルーノート・ニューヨークで何度も公演を行うなど、
世界でも指折りのミュージシャンだ。

そんな一流ジャズ・ミュージシャンがこだわった表現。
とてつもないレベルで完成度が高い。
特に主人公・宮本大の演奏シーンには痺れる。
力強い音色、心地よいスイング、スムースなアドリブ。
そして、何よりも圧倒的な熱量がある。

最近は、ジャズをほとんど聴いていないので、
宮本大役の馬場智章は、
初めて知ったミュージシャンだったが、
経歴を見てみると、バークリー音楽大学の奨学生として
音楽を学んだエリート。
報道ステーションのテーマ曲を手がけ、
リーダーアルバムを2枚リリースしているという
期待のジャズマンだそうだ。
上原ひろみからの要望をしっかり受け止めた
その表現はどこか別格な雰囲気さえ感じさせる。
コルトレーンっぽさを感じたと言ったら言い過ぎだろうか。
漫画は読んだことがないが、
この作品にあまりにもぴったりとはまる演奏だった。

ジャズを聴くようになってから、
音楽表現の幅広さや奥深さが、それなりに分かるようになった。
初めて聴いたのはデクスター・ゴードンの『GO』というアルバム。
1曲目の『Cheese Cake』に魅了された。
テナーサックスの音色とその空気感に衝撃を受け、
ジャズという音楽にはまっていった。
ジャズの真の魅力を知るには、ライヴに行くのがお薦めだ。
映画のなかでも語られるが、
ジャズの聴きどころは、即興(インプロヴィゼーション)にある。
そこで感じるのは、「メロディの良さ」ではない。
私たちは、幼い頃から西洋音楽を基礎とした音楽を
ずっと学んできているので、
音楽をメロディでしか聴かない人が多い。
しかし、黒人音楽をベースとした音楽では、
リズムや流れのほうが重要になってくる。
例えば、黒人たちが白人アーティストの
1枚のアルバムを聴いたとき、
間奏の部分で大いに盛り上がったりすることがある。
作曲家がリズムやテンポを重視した聴きどころを
持ってきている場合も多く、
これを「ブレイク・ビーツ」と呼び、
西洋音楽との大きな違いとして今では幅広く認識されている。
つまり、演奏者や作曲者の「ノリ」のような部分が
凝縮されているような音楽になっていることがあるのだ。
黒人音楽であるジャズの聴きどころが、
メロディ部分ではなく、テーマの後のアドリブ(即興)にあるというのは、
そういう感覚が大きく影響している。
だから、ジャズの良さを知るには、
ライヴを聴くのが手っ取り早い。

私もジャズの本当の良さが分かるようになったのは、
ライヴに行くようになってからだった。
チック・コリアやハービー・ハンコック、キースジャレット、
ゴンサロ・ルバルカバのピアノ、アート・ブレイキー、
ジャック・ディジョネットのドラム、
グラント・グリーン、ウェス・モンゴメリーのギター、
マイルス・デイビス、ケニー・ドーハムのトランペット、
チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーン、
ジョシュア・レッドマンのサックス。

かなり昔の話だが、『BLUE GIANT』の作中に登場する
有名ジャズクラブSo Blueのモデルであるブルーノート東京で、
ジョシュア・レッドマンのサックスを聴いた夜の
震えるほどの感覚は、今でも忘れられない。
天才的なアドリブとスムースなフロウ、
音が体に沁み込んでくるような感覚を覚えたのは、
あの夜が初めてのことだった。

『BLUE GIANT』を観て、
音楽を聴いて恍惚としたブルーノートでの体験を思い出した。
そんなことを感じさせるほど
『BLUE GIANT』には、質の高い音楽がある。
上原ひろみが音楽全体を仕切っているのだから、
ある意味、当然かもしれないが、
主要曲の作曲も行うなど、
かなり力を入れていることが分かる。


反面、ストーリーについてはそれほど驚くべき点はないともいえる。
地元の仙台の川辺でひたむきにサックスを練習していた
主人公の宮本大が世界一のジャズプレイヤーになるため、
東京に出て仲間を作り、奮闘していくというのが基本ストーリー。
ただ、この作品には、シンプルで真っ直ぐなストーリーが合っている。
ジャズという音楽から感じられる泥臭さや熱量が物語から滲み出てくる。

漫画の存在は知っていたし、
映画化されたことを耳にしても、
ジャズを一般の人を相手にアニメで表現するなど
無理な話だろうと思っていた。
好きな人には申し訳ないが『坂道のアポロン』が
放映されたときにとても期待して観たのだが、
音楽面でとても落胆したことが
記憶に深く残っていたこともあった。

日本アニメは凄い。
ジャズをアニメでここまで表現できるということは、
もう何でも実現可能な気がする。
多くの人が指摘しているように
演奏シーンでのポリゴン表現は残念だった。
ここを上手くやっていれば、さらに評価は高まっただろう。
個人的には、そういうマイナス部分もカバーするほど
音楽面が素晴らしかった。

日本アニメが「本物」を制作することのできる
世界でトップの業界なのだろうということを
改めて感じさせてくれた。

※ところで、作中に登場したソニー・ロリンズならぬ
ソニー・スティットについてだが、
『Sonny Stitt/Bud Powell/J. J. Johnson』というタイトルの
鳥が飛んでいる珍妙なジャケが目印の人気アルバムがある。
ジャケのしょぼさに反して中身の演奏の迫力がとんでもなくて
笑ってしまうほどだったのを思い出した。
もし機会があれば、一聴して欲しい。
(2023年4月2日初投稿)

投稿 : 2024/06/01
♥ : 29

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

アニメーションは爆発だ!。脚本が大事、エモ注意、あとやはりジャズはわからん…。

 評判も良いし勧められたので鑑賞した本作ですが、見ながらこの感じはどこかで体験してるなぁ〜というデジャブに襲われました。そして見終わってから考えてみるうちに、そっか!これは「犬王」だ!と思い至りました。良いところも悪いところも本作は「犬王」に近いので、好きだった方はそちらも私はレビュー書いてますので、興味を持って頂けたらそちらもご視聴下さい(完)。


 で、終わらしちゃうのはあまりにズボラなので本作もレビューを書こうと思います。正直本作も「犬王」も凄い作品です。誰が見てもその炸裂するエネルギーとイマジネーションの奔流のようなアニメーションには脱帽でしょう。小綺麗でそつのない作画が多い中で、こんなパンクな作画を爆発させるのは、湯浅さんか「モブサイコ」を監督された本作の立川さんくらいでしょう。


 本作は演奏シーンの作画だけで見た価値充分な作品であることは間違いないですが、私には芯から感動して涙が零れ落ちるほどの喜びには残念ながら引っ掛かる部分の方が目に付きました。


 まず、見てわかるのはCGが微妙…。作画が凄いだけに演奏シーンで全身が映るロングで撮ってる時に微妙なCGが勿体ないこと山の如し。これは予算の問題もあるかと思うのですが、脚本にも関わる部分で演奏シーンをモリモリにし過ぎた弊害のように思えました。


 「犬王」もですが、演奏シーンは凄いんだけどその時にはストーリーの進行は止まっちゃうし、キャラの深堀りに時間もさけなくなる。あと、演奏シーンの爆発は抑えたドラマの部分でしっかりセットアップが出来上がって、期待満々の段階で炸裂させてこそ効果をより増す。目玉の演奏シーンで押そうとし過ぎてバランスを欠いたように思えました。

 
 あと、私は割とベタや泣きがある作品も嫌いじゃないですし、上手くやれてれば大好物です。しかし、本作はベタは王道になれず、泣きは若干エモの押し付けに感じてノリきれねぇ…が終盤来ちゃいました。


 キャラの配置やストーリーの流れがどっかで見たことがあるのは別にいいのですが、先程も述べたように演奏シーンに尺を割きすぎなのとポンポン進む感じもあってどうもベタからプラスαして、こいつら最高だなぁ…という感慨には至れず…。終盤の○○な展開も「んな、アホな!」というか、それ別の某ジャズ映画でも見た!な作り事感があって、盛り上げ+泣き「のため」な展開に見えちゃいました。


 そこで終盤かなりの作中人物が涙涙するんですが、ノレてないで涙涙を見ると冷める…。某鬼退治映画がその典型ですが、涙は本当に容量用法を守らないと危険ということを改めて認識しました。お前そんなに想い入れあったの!って空々しさが胸中に渦巻いてしまう。


 もっと演奏シーンは削ってキャラの掘り下げに時間を使い、作り事な無理ある展開でケリをつけないで、王道タイプな明るい主人公のキャラを掘り下げて、こいつ凄いけど「く、狂っとる…」な展開にしてくれた方が良かったように思えてしました。


 悟空を始めとした明るい王道主人公って私も大好きですが、冷静によく考えると夢や目標に対して一直線過ぎてサイコパス一歩手前な危うい存在である面も見えてくる。常人である我々からすると憧れはするけど、正直ついていけない…というのが本音。だから、そういうタイプの主人公は、脇に感情移入しやすい凡人タイプ、或いは秀才タイプの相棒がつくのがお約束です。


 共に夢を目指して来て最初は良かったけど、だんだん深まる両者の溝。それが最終的な破局にいたる。天才は凄いだけじゃなく、狂気と孤独の危うさをまとった凡人にはついていけない世界に行ってしまう…。それでも、あの「青い」日々の眩しさは嘘じゃない…的なラストだったらなぁ…。


 そして、なによりの問題が私はやはりジャズがイマイチ響かない…。他の音楽作品みたいにそのジャンルに詳しくなくてもビンビンに来ちゃう作品もあるんですが、ジャズはやはりわからん…。なんでこんなに来ないのか自分でもわからないくらいわからん…。


 繰り返しになっちゃいますが、総じて好きだけど両手を上げて大感激!には至れずな勿体ないお化けが跳梁跋扈していた作品に思えました。テレビで1クール丁寧にやった方が良かったかも。
 

投稿 : 2024/06/01
♥ : 10

65.1 4 ジャズで漫画原作なアニメランキング4位
ギャラリーフェイク(TVアニメ動画)

2005年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (104)
612人が棚に入れました
表向きは贋作・レプリカ専門のアートギャラリー『ギャラリーフェイク』を舞台に、オーナー藤田玲司が、様々な登場人物と絡みながら、時に世界を駆け巡りながら、絵画、彫刻などを通じて「アートとは何か?」を問いかける。主人公の魅力は、単なる守銭奴ではなく、アートへの奉仕者として清濁併せ呑む点にあるほか、美術・芸術・骨董の多方面に渡る薀蓄的描写も、読者の好奇心をそそる。助手サラ・ハリファとのほのかな恋の行方も気になるところであるほか、脇役・レギュラーキャラクターも多い。

また芸術に絡んで社会問題にも言及するなどしており、物語は美術方面の商業的な話題から推理サスペンス、コミカルな人間模様、陰惨な事件、時に憎み合い時に愛し合う人々の交流、文化財保護にまつわる制度面の問題など、多岐にわたる。

声優・キャラクター
森川智之、川澄綾子、ゆきのさつき、石坂浩二
ネタバレ

青陽 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

神の左手悪魔の右手

ハンターのヨークシン編が好きな人、その中でも
クラピカ絡みの話よりゼパイルさんの目利き話やオークションが好きだった人
…そして特に旅団のコルトピファンなら観て損はない作品。


私は昔からお宝鑑定団の視聴者でしたので、この作品も非常に楽しめました。
ナレーションに石坂浩二氏が特別出演されていたのも合点がいきますね。


主人公、深田の画廊
「ギャラリーフェイク」
表向きは贋作を取り扱う専門店だが、裏では闇に出回る訳あり品やら真作を取引している。
まさにギャラリーフェイクなのです。
藤田は美術界の闇と深く繋がりながらも、なにより美術品の価値を尊重していますね。彼の美術に関する幅広い(広すぎるくらいの)知識と絵画の修復技術の巧みさ、なによりその審美眼は目を見張るものがあります。
彼の仕事ぶりを見れば
かの中島鑑定士も思わず「いい仕事してますねえ〜」と感嘆することでしょう。

この作品をわかりやすく例えると美味しんぼの美術品ver.といったところでしょうか。こっちの主人公のほうが断然かっこいいし、テーマとしても好きだけど。
毎回、テーマとして扱われる美術品とその持ち主の人生が描かれておりドラマ性が高いです。
トレジャーハンターの話はちょっと作品の色と違うだろ…と思ったけど、まあ うん…スパイスにはなっていたかな。
個人的にはトレジャーハンターみさえのほうがry


以下は特に好きだった話の感想

{netabare}

Myセレクション

1話
物語の説明を兼ねたオークション話。今回出品された
モネの「積みわら」
モネが長期に渡って描いた連作であり、季節や時の経過による
空気や光の変化が緻密に描かれていて高い評価を受けた作品。ギャラリーフェイクの世界でも他の作品は無事に保管されていることを願います。


7話 光と影
光の魔術師 レンブラントの作品にまつわる回。
もっとも有名な作品は「夜警」だろう。夜の暗がりを進む自警団が描かれている中で、まるでスポットライトが当たっているかのように光さす少女が印象的な絵画。依頼主は自分たちより謎の少女のほうが目立っていることに少しおこだったらしいけど(笑)

画家というと
生前は貧窮極まり、死後にその作品が高く評価されるというイメージをお持ちの方もいらっしゃるでしょうが
レンブラントは当代一の人気画家として名を博した。
一大ブームとなり、彼の工房も盛んに
→多くの弟子とともにたくさんの作品を世に送る。

しかし、技術が精巧に受け継がれたことや、作品の仕上げをレンブラントが行ったことなどから
作品の一群が真作かどうか。
作品を描いたのは本人か弟子か
非常にわかりづらいものとなり、それを調査するための組織まで設立された。

今回ある作品を調査しに訪れたレンブラント委員会。
委員会の博士は細かな部分に気を取られて弟子による作品と判断したが、藤田はその鑑定を覆し真作であることを証明する。

真作か贋作か?
それより大切なことがある
世間の風潮、常識や凝り固まった価値観に縛られない審美眼

美術は正誤ではない
本人の力量に勝るとも劣らないほどの美しい作品が世に多く存在している。それは素晴らしいことではないか。
と主張する藤田

ギャラリーフェイクを経営している真意が垣間見られるような発言だ。
本物か偽物か、有名か無名か。重要に思えるがそれは二次的なもの。


11話
ベトナムに向かった藤田と助手のサラ。
ベトナム戦争時に有名だった戦場カメラマン川口の愛用していたカメラを入手したという情報があったからだ。しかも、それを戦場で死んだはずの本人から譲り受けたというのだ…

長きに渡り 悲惨な戦場を見てきて心が疲弊してしまった川口は
カメラとカメラマンだった自分を捨て、新たな地で牧歌的な生活をしていた。
惨劇交じりの回想シーンを見ても彼がそうなってしまったのは無理ないと思えた。
写真を撮ることが苦痛になった彼が藤田たちと知り合い
一悶着起きたものの
最後には
かつてベトナム現地で見たような美しい瞬間に出会い
ハッとし、フィルターを構え、写真を撮る。気づけば彼の頬を伝う涙。
彼の日々は辛いことばかりではない、たしかに美しい時も存在していたのだ…!


13話 監獄のミケランジェロ
藤田の若き日の思い出。
かつて藤田が美大生だったころ、修行の一環として
刑務所に天井画を描くアシストをしたときの話。
青野武さん演じる監獄のミケランジェロ たつが良い味だしてる!
亡くなってしまった偉大な演者とこうやって思いもよらぬ再会ができるのは
映画やアニメを観ていて嬉しいことのひとつです。


14話パサージュを抜けて
パリを舞台に粋な話。
観たい作品のひとつであるクロワーゼもたしか舞台はパサージュだったはず。
耳すまを思い出すような
人形にまつわる淡い恋の話。
最後のあの演出は粋すぎる。



19 知念、危機一髪
国宝を発見し保護する「国宝Gメン」と呼ばれる文化庁の人間 知念。あるとき彼は東北の寺で見つけた仏像を愛ですぎて破損させてしまう。なんとか自分のミスを誤魔化そうと、尻ぬぐいの修復を頼まれた藤田。
仏像を積んだトラックが目的地に着くまでの間にこっそり忍び込み、仏像の修復を済ませねばならない、というHARDなミッション。
今までとテイストが違ってはらはらしたし、面白かった話。オーシャンズ11を思い出した。
トレジャーハンターが出てくるより、これくらいのアクションがちょうどいいと思う。



33話 絵金
藤田は脇役。美術品もほぼ脇役。だが、悪くない!ヤクザな男とそんな男に惚れた女のドラマ
遠き日の思い出もまたかけがえのない芸術である。

{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 6

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

「美術と蘊蓄」「ピカレスク」「一話完結」おすすめです

<2022/2/9 初投稿>
原作は1990年代にビッグコミックスピリッツで連載されてて、当時たぶん一通り読んでます
・・・と、ウィキ調べたら2016年からまた連載再開されてる!
マジですか?
読みたい!
というかあらためて全巻揃えたい!

作者の細野不二彦さんは「さすがの猿飛」「Gu-Guガンモ」などで1980年代から活躍する漫画家さん。
さらにいえば、美樹本晴彦、河野雅治、大野木寛といったマクロス組?と若い頃から仲良しグループだったのだそう。
そのグループの中でも画力の高さは際立っていたそうで、確かにこなれた絵柄は見やすく、かつ躍動感、存在感に溢れたものでした。
そういえば漫画版「クラッシャージョウ」もこの人だったような。

今回、CSでアニメ版の一挙放送やってたの見つけて、懐かしくて毎日一話ずつ、楽しみにしながら視聴しました。

本作は一話完結型の「美術と蘊蓄のピカレスク」

主人公・藤田玲司は表向きは贋作専門、裏では盗品なども扱うと言われる画廊「ギャラリーフェイク」を営む美術商。
実は元メトロポリタン美術館(MET)のキュレーター(学芸員)であり、
その美術品全般に渡る深い知識と正確な鑑定眼、そして極めて高い美術品の修復技術からMET時代は「プロフェッサー」の異名で呼ばれた伝説の存在。
とある事情でMETを追われてから「ギャラリーフェイク」を開き、その知識・スキルと幅広いコネクションで「怪しい商売」を営んでいます。
でも美術に対する熱い心は失ってないよ。
仕事では億単位の取引をしてるくせに、その素顔はボロアパートに住む、蟹好きで腰痛持ち運動不足の三十代後半のオールバックのおっさんである。
名前の元ネタはフランスで活躍した日本人画家・藤田嗣治なのだそう。
声は無職転生のルディのパパというイケボ

サラ・ハリファは藤田の助手兼ヒロイン。
アラブ系の超お金持ちで元王族。
とある件から藤田に惚れて、ギャラリーフェイクに「押しかけ助手」。
よくわかりやすくヤキモチを焼く。
ティーンのため藤田からは子供扱いされるも、なんだかんだで藤田に大切にされている。
美術品を見る眼は肥えていて、助手としても有能なんじゃないかと思うけどどうなんだろう?
声はセイバーとかのだめの人なので拗ねると可愛い

三田村小夜子館長はもう一人のヒロイン兼藤田のライバル役。
日本の私立美術館の館長でやはり海外の美術館でキュレーターの経験あり。
なので美術品の知識や鑑定眼はハイレベル。
真面目で勝ち気な美人さん。
藤田さんをたまにデレデレさせる役割も担う。
つまりサラからは恋敵に見える立ち位置。
でも本人が藤田のことをどう思ってるかは謎。
声はプラネテスの田名部愛とかフルメタのかなめの人。

レギュラーキャラは以上です。

一話完結で、毎話ゲストキャラも登場します。
お話はバリエーションに富んでいて。
渋みのあるものから、
ニヤッとするもの、
ニヤニヤするもの、
温かくなるもの、
ハラハラドキドキするもの、
日常っぽいものまでなんでもアリな感じ。

今回見た中で特に印象深いのは
13話「監獄のミケランジェロ」
16話「楊貴妃の香」
31話「孤高の青」
33話「神々の宝石」
37話「メトロポリタンの一夜」

毎話出てくる美術品の蘊蓄も楽しみでした。
本作始まった頃ってまだネットもなかったはずだけど、作者の細野先生と編集さんはよく調べるよなぁ。


藤田は極めて高い専門性を持ち、物語の中の立ち位置としては決して評論家に収まるのではなく「研究者」とか「職人」といった風情。
そう言ったところ含め本作には「マスターキートン」に近いものを感じてしまいます。

ちょっと外連味ありますが、大人が楽しめる楽しい作品。
美術の世界に少しでも興味あるならならおすすめできる。
隠れた良作だと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 23

セメント さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

美を知る者は孤独なり

徒党を組めばやがて馴れ合い腐りゆくまで。


<物語>
主人公の藤田玲司は元メトロポリタン美術館の学芸員、自身の審美眼や、他の美術館の学芸員、ブラックマーケットの人脈を駆使して有利に商売を進める画商です。
ということで、美術品に関する豆知識が得られるというのもこの作品の優れた点ですね。
元学芸員という主人公の遍歴も新しいですし、発想の勝利と言わざるを得ない。
話も基本的に一話完結で没頭してしまいます、絵画や彫刻だけに留まらず、ミステリークロックやからくり人形、植物標本など扱う品も多岐に渡り、時に善良なオーナー、時に悪徳美術商、特に冒険家と瞬時にスタンスを変える藤田から目を離せません。
中でも私個人としては、バーを舞台にしたミステリー回(25話)と佐伯祐三の顔のない自画像の回(28話)とウジェーヌ・ドラクロワのアートキャンサーの回(35話)が面白かったですね。

<作画>
原作は"ビックコミックスピリッツ"連載の細野不二彦さんの漫画、「美味しんぼ」とコラボなんかをしてたりします。
現在のトムス・エンタテインメントの前身である東京ムービーがアニメを制作していますね。
テレ東系列ということで結構広く放送していたはずなんですが、何故か放送時期は存在感を発揮してませんでしたね。
それこそ深夜ではなく夕方に放送した方が良かったかもしれません。

<声優>
藤田役の森川智之さん良い!すごく良い!
胡散臭さがぷんぷんしていてこれ以上に無いベストキャスティングです。
サラ役の川澄綾子さんも良いですね、褐色娘良い。
ライバル的立ち位置の三田村館長には雪野五月さん、予告の声も兼ねていて、そのどれもが楽しそうに思える語り口は見事でした。

<音楽>
EDの「だから、私は歌う」は良い曲ですね、ナチュラルハイの。
お洒落でセンスのある曲なんですけど、ナチュラルハイと検索するとアダルトメーカーが引っ掛かるのが玉に瑕です。

<キャラ>
藤田の言葉遣いや主要人物の構成は「ブラック・ジャック」に似ていて、細野さんも意識していると認めていますね。
比べるまでもないですが、どちらも分野に精通しているのが見て取れて、面白いですよね。
手塚さんが阪大医学部卒の経緯を創作に活かしてるのは伝わりますが、その点紺野さんは慶応経済学部卒ですから、趣味の範疇なのでしょうかね。
聞くところによれば、どこかしらの図書館で専門書として本作が扱われているようで、紺野さんの博識ぶりが伺えます。
さて、気になるのは藤田の年齢ですが、メットの学芸員であれば少なくとも大学院は出ていますよね。
プロフェッサー時代とアートディレクター時代合わせて40歳は超えているだろうと考えられますが、30代後半くらいの印象です。
それにしても、異色の経歴の主人公です。
他にも珍妙な肩書を持った魅力的なキャラクターが沢山出てきます。


こういった特定の分野に特化した作品は学ぶ点も多くて大好きです。
初めて本作に触れる人なら、知らない土地で隠れた名店を見つけた時のような感動が味わえると思います。
お勧めのアニメです。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 7

61.3 5 ジャズで漫画原作なアニメランキング5位
バーテンダー(TVアニメ動画)

2006年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (81)
414人が棚に入れました
城アラキ原作、集英社スーパージャンプに連載の人気コミックのテレビアニメ化!“神のグラス”と呼ばれる至高の一杯を作り出す天才バーテンダー・佐々倉溜。彼のBarを訪れる人々は、差し出される一杯のグラスに心を奪われてしまう。時にはそれは思い出を呼び覚まし、時には悲しみを癒し、時には沈んだ心に火を点ける…。

声優・キャラクター
水島大宙、藤村歩、家弓家正、矢島正明、森本レオ
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

【第1作】青年誌連載らしく「大人の男の物語」がかっこよく描かれている

【レビューNo.119】(初回登録:2024/4/14)
コミック原作で2006年作品。全11話。
今期第2作が始まり、第1作を復習したのでレビューしておこうかと。

(ストーリー)
主人公・佐々倉溜はバー「イーデンホール」のバーテンダー。
彼はバーテンダーのサービスとして
・楽しい記憶
・安らぎの時間
・魂の癒し
を提供している。
今宵も彼の「神のグラス」を求め、また一人「イーデンホール」の重い扉を開け
るのだった。

(評 価)
・青年誌連載らしく「大人の男の物語」がかっこよく描かれている
 原作は「スーパージャンプ」等で連載されていたらしいのですが、個人的には
 青年誌を読んでいた頃の
 「かっこいい大人の男に憧れていた」
 あの感覚を思い出しましたね(笑)。
 作中で描かれているのは、確かに「大人の男の物語」なんですよね。
 例えば客として描かれているのは、仕事で悩みを抱えて、心がささくれ立って
 いている中間管理職だったり、落ち込んでいるサラリーマンだったりと。
 そんな彼らがバー「イーデンホール」で佐々倉と邂逅することで、魂が癒され
 明日への希望を見出していくという、非常に男性が共感しやすい創りになって
 いるという印象ですね。
 女性客も登場しますが、そこで展開されるのは
 ・その祖父と父の物語
 ・恋人・結婚・離婚等の男女の物語
 であったりと、やはり男性が物語の主軸になっているという感じですね。
 なので、「課長島耕作」等の青年誌愛読層には刺さりやすいのかなっと。

・「酒に付されていたエピソード」を絡めた秀逸なストーリー展開
 作中セリフからですが
 ・バーテンダーに一番必要な才能とは?
  {netabare}→ 人間に対する想像力
   → グラスの中で人間の物語を創る力{/netabare}
 ということで、佐々倉が鋭い観察眼で「客が求めている一杯」を読み解き、そ
 れを提供した意図を「酒に付されていたエピソード」と絡めて説いていくこと
 で客が救われるという構成になっています。
 そういう意味では各エピソードの主人公はあくまでも客であり、佐々倉はそん
 な彼らに寄り添う存在
 「バー(止まり木)・テンダー(優しい)→ 『優しい止まり木』」
 に過ぎません。
 そういう佐々倉の立ち位置がなんとも心地よい。
 またナレーションがあの「森本レオ」というのも、作品の魅力のひとつになっ
 ています。
 ただ「バーや酒のウンチク」や「佐々倉の『その一杯』の意図」といった説明
 ゼリフがかなり多いので、その辺は好みが分かれそう。
 (最終話は特にね・・・)

キャラデザや上司のどぎついパワハラ描写など、今観るとさすがに古いな感じる
部分はあります。
しかしそのキャラデザを始め、少し暗めの落ち着いたトーンだったり素材のよさ
を引き出す控えめなアニメ演出だったりと、本作は青年誌連載らしく「大人の男
の物語」がかっこよく描かれている作品なのかなっていう印象ですね。
客一人一人の人間ドラマも面白く描かれていると思いますし。
皆様もバー「イーデンホール」で「魂の癒し」をいかがでしょうか(笑)。

OP「バーテンダー/ナチュラル ハイ feat.椎名純平」
・昭和歌謡の男女の駆け引き的な歌詞をR&Bな曲に乗せてという少し不思議な感じ
ED「始まりのヒト/ナチュラル ハイ」
・しっとりと聴かせるバラードナンバー
 (ED映像では、作中に登場したカクテルを作る実写映像が使われています)
共に良曲なり。
あと劇中音楽はバーのBGMっぽくってこれも良かったかな。
  
(追 記)
とはいえ、本作はよくも悪くも「昭和世代が思い描く『かっこいい大人の男像』」
を描いているって感じがしますね。
第2作は(まだこれからですが)
・客の人間ドラマよりも佐々倉寄りに焦点を当てた構成にしているのかなあとい
 う印象
・それに加え、価値観等も令和にアップデートされたことも影響し、第1作のそう
 いう男臭さやかっこよさがかなり薄まった印象
尖った感じがなくなり、凡庸な作品になりそうだなっと。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 7
ネタバレ

智慧ノ輪 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

個人用メモ

【製作】
パルムスタジオ
【CV】
佐々倉 溜 - 水島大宙
来島 美和 - 藤村歩

葛原 隆一 - 家弓家正
東山 稔 - 矢島正明

ナレーション - 森本レオ

他、各話にゲスト有
{netabare}
※イーデン・ホールというBARを舞台に、バーテンダーや客のお酒にまつわるエピソードを描いたもの。
これを観たらお酒のうんちくが身につくかもしれない。飲みの席で話題に困ったときなんかに役立つ場合がある…かも。
バーテンダーが洗練された大人って感じでイケメンすぎだろw
物語の大部分が客の自分語りになってるんで、自分がバーテンダーになってるかの様に感じられる作りに。イケメン気分が味わえますよw

こんな落ち着いたBARがウチの近所にもあればなぁ。。。
おいらがよく行くトコはスポーツバーなんで雰囲気が真逆だったりします。
いや、スポーツバーみたく騒がしくて隣に座った初めて会った人と好きなスポーツでも語りながら飲む…ってのも大好きなんですがねw
{/netabare}
ここから先は、アニメを見てお酒に少し興味がわいたって人ぐらいしか見てもつまらないと思われます。
{netabare}
『簡単にできる、おすすめカクテル』

完全においらの好みですが、オススメのカクテルを紹介します。
アルコール度数低め、甘口、ビルドでできる(グラスに注いでステアーするだけのもの)…を条件にしてみました。
アルコール苦手な方でも飲みやすい物が多い&簡単につくれる物ばかりなので、気になったらお試しあれw

【ソコ・ジンジャー】

SOCO(サザンカンフォート)▼30~45ml
ジンジャーエール▼適量

※サザンカンフォート(SOCO)という果実とハーブのリキュールをジンジャーエールでアップするだけ。
ちなみにおいらはテキーラの味が凄く苦手なんで、罰ゲームでショットしなきゃいけない場合はSOCOで代用しちゃってますw
ショットで飲む場合はライムジュースを少し入れたら甘すぎなくていいかも。

【パッソア・パイン】

パッソア▼30~45ml
パインジュース(100%)▼適量

※パッソアという、パッションフルーツのリキュールにパインジュースを混ぜるだけ。
パッソアっていうお酒、出来が凄くよくて柑橘系のジュースだったら何を合わせても美味しいんです。
オレンジなんかも美味しいんだけど、個人的にはパインジュースが酸味と甘みのバランスがよくて一番飲みやすいと思います。

【カシス・オレンジ・ヨーグルト】

カシス・リキュール▼30ml
ヨーグリート▼20ml
オレンジジュース(100%)▼適量

※カシス・オレンジは定番なカクテルなんだけど、それにヨーグリートっていうヨーグルトのリキュールを入れたら更に飲みやすいカクテルに。
お酒っていうよりデザートみたいな感覚で飲めちゃいます。
女性向けかな?男性には少し甘すぎるかもしれないw

【チャイナ・ブルー】

ディタ(ライチ・リキュール)▼30ml
ブルーキュラソー▼10ml
グレープフルーツジュース(100%)▼適量

※ディタ・グレにブルーキュラソーで色づけしたカクテル。
最後にブルーキュラソーをグラスのふちからそっと入れる事で、比重の関係できれいなグラデーションになる為、見た目も楽しめる。
あ、グレープフルーツジュースはホワイトを使ってくださいねwピンクだと色も綺麗にならないし、比重の関係でグラデーションになりにくいんで。
お好みでトニックウォーターを入れるのも美味しいですよ。

{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 12

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

一杯のカクテルが紡ぐヒューマンドラマ あなたには思い出の一杯がありますか?

☆感想&物語☆

漫画原作の全11話からなる1話完結オムニバス形式、2006年の作品。
「神のグラス」と呼ばれるカクテルを作る主人公のバーテンダー佐々倉 溜が、
バー「イーデンホール」を舞台に、訪れた客へ提供する一杯のカクテルを巡る物語。
原作は21巻まで出ているので、その中から尺的に纏められるものだけチョイスした、という感じでしょうか。

内容は完全に大人向けのヒューマンドラマですが、
一杯のカクテル、酒の持つ歴史や背景、込められた意味が、
人生の岐路に立ったそれぞれの登場人物に絶妙にリンクさせており、
非常に物語の作り方が上手いな~と思いますね。

酒に纏わるウンチクの説明が多く、それだけ聞いてても、
なるほど、そんな意味や歴史があるのか、と関心して観させてもらいましたが、
バーやバーテンダーという存在、職業への理解を深めるのにも役立つでしょう。

終始お洒落なBGMが途切れないので、
お酒が飲める人なら、是非一杯やりながらまったりと観るのも良いんではないでしょうかね。
憂いを帯びたエピソードは飲みながら観てると酒が進む笑

☆声優☆

この作品は後にドラマ化され、そちらを先に観ていたんですが、
完全にアニメより実写向きな作品ではあるものの、
やはり演技に関しては声優の方が渋くしっくり来ました。
ナレーションを担当された森本レオの語りがなんとも渋い。

☆キャラ☆

些細なお客の情報や話から提供する一杯の「神のグラス」を作る主人公が凄く粋で格好良い。
時間が短いので会話より説明が多いのは致し方ないところかもしれません。

☆作画☆

作画力が求められるような作品では無いものの、正直低予算な印象を受けます。
EDに実写で物語の中のカクテルを作るシーンは良かったです。

☆音楽☆

OPはちょっと昭和臭漂うデュエット曲で少々微妙ですが、
EDの方がしっとりと哀愁を帯びた、思い出の初恋を歌った曲で聴き応えあり。
まぁ作品との内容とはそんなにリンクしているとも思えませんが、
各話のEDへの入り、イントロがなかなか良いですね。

この作品で一番評価できるのは作中BGMですね。
ここだけはそれなりに予算を使って作られているように思います。
終始BGMが流れていますが、実際にバーに居るかのような極上の雰囲気が楽しめ、
やはりこれは漫画を読んでも味わえないところでしょう。


私事ながら、もうずいぶん長い間実際のバーには行ってませんが、
京都に住んでいた学生時代に友人と行った、とある雑居ビルのバーの事が今でも記憶に残っています。
当時付き合っていた彼女に振られ友人に自棄酒を付き合わせて、酔った勢いで入った友人行きつけの店。
自分は初めて連れて行ってもらった所でしたが、そこのバーテンダーに失恋してうなだれた状態で、
今の自分に合う一杯を作ってくれとムチャぶり笑
肝心のカクテルの名前が思い出せないんですが、
あの店のバーテンダーの人、良かったなぁ...まだあの店あるならまた行ってみたいなぁ。
そんなほろ苦い青春の1ページを思い出しながら、感慨深く観させてもらいました。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 8

69.2 6 ジャズで漫画原作なアニメランキング6位
機動戦士ガンダム サンダーボルト BANDIT FLOWER(アニメ映画)

2017年11月18日
★★★★☆ 3.8 (35)
230人が棚に入れました
 イオとの死闘を制したダリルは、ジオン残党軍の一員として地球にいた。彼は奪われたサイコ・ザクの情報を得るための諜報任務に就いていたのだ。一方、新たな仲間と共に「サンダーボルト作戦」に参加したイオの前に、南洋同盟国境守備隊隊長を名乗るペール中佐が立ち塞がる。

http://www.gundam-tb.net/information/index.html

声優・キャラクター
中村悠一、木村良平、古川由利奈、逢坂良太、杉田智和、行成とあ、大原さやか

二足歩行したくない さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ハードな前作に比較してかなりソフトな内容となっています

前作、"DECEMBER SKY"の続編。
一年戦争が集結した、その7ヶ月後が舞台です。

主人公も前作から続投で、連邦の「イオ・フレミング」と、ジオン残党として諜報活動を行っている「ダリル・ローレンツ」の二人です。
前作同様無意味なギャグや不自然なキャラクター付けは一切排除され、癖のあるキャラクターデザインと遠慮のない戦火の描写がリアルな、真摯なアニメ作品となっています。

連邦軍からの独立を目論むインド洋の「南洋同盟」が極秘裏にRPD(リユース・サイコ・デバイス)を開発。
これを奪還または破壊することを目的とした「サンダーボルト作戦」に参加するため地球に降下したイオ・フレミングと、ジオン再興のためRPDのデータ奪取を目論むジオン残党、そしてイオとダリルは再び、戦場で相まみえることになる。
文章にするとシンプルですが、本編視聴中には説明不足を感じました。
なぜ戦っているのか、何と戦っているのかの説明がほとんどなかったように思えます。
目的、状況が不鮮明で、見ていて内容が頭に入ってきませんでした。
原作を読んでおくか、あらすじの予習が必須だと思います。
まぁガンダムは断片的な説明がお家芸のようなものなので、ある意味ではガンダムらしい作品と言えなくもないですが、実のところストーリーは結構シンプルなので、事前知識を得た上で視聴し、ストーリーを追いかけるより作品の空気を楽しむ方をおすすめします。

前作では宇宙が舞台でしたが、本作でバトルフィールドとなるのは地球です。
オーストラリア周辺を舞台に連邦とジオン残党、そして南洋同盟が三つ巴の戦いを繰り広げる内容となっています。
南洋同盟は宗教じみた部隊で、禿頭の高僧のようなパイロットが洗脳でもされているかのように突貫する不気味な集団として描かれており、作中、印象深かったです。
前作で象徴的に鳴り響いていたジャズやポップスは本作でも流れます。
ただ、前作では音楽が引っ切り無しに響いていましたが、本作は控えめで、流れるは流れるのですが、前作ほどジャズが騒々しい感じではなかったように思えます。
ポップスも日本語ボーカルがメインで、前作よりも聴きやすい、一般受けしそうな作品になったと感じました。
また、前作では可愛い女の子の挟まる余地が無いくらいにずっと戦争の描写が続いていましたが、本作は前作より女の子率が高く、ハードな前作に比較してかなりソフトな内容となっています。
そして、本作は単独で完結しておらず、次回に続く終わり方になっています。
前作"DECEMBER SKY"がストーリーとしては単独で完結していたのに比較すると、本作はラストが、結構ブッツリ終わっていて驚きました。
途中までの作品ということを知らずに見たため、ラスト間近でどうまとめるのかハラハラして見ていたらオチも何もなくブッツリ終わってしまい、この終わり方はちょっと残念に感じました。
なお、原作漫画は連載中、本作に続く続編アニメも作るつもりではいるんでしょうけど、現時点で発表が無いので (無いよね?)、漫画未読組はせめて次回作の発表の後で視聴することをおすすめします。

前作が名作過ぎたという感じもしますが、本作は悪くはなかったのですがどうも粗が気になりました。
原作漫画に準拠しているそうなので、漫画を読んでいたならば盛り上がれたかと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4

さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

JAZZと戦争

前回のDECEMBER SKYでは、1年戦争の末期であったので奮い立つ若者たちの様子から真実を知って絶望する姿が描かれていた。
今作は1年戦争の7か月後を描いた作品なので、悲しみの感情が強く描かれていたと思う。
家族を失ったやり場のない怒りを敵勢にぶつける少佐がいたり、手足を失ったダリルの生身で走り回っていた時の記憶であったり。戦死した者たちを弔う描写がしっかりと描かれていたり。
ファンタジーなのになんてリアリティのある作品なのだろう。
カルト宗教の台頭という話の流れも、ごく自然かもしれない。
作品自体も前作より落ち着いていて、前作の感じで視聴したら若干物足りなくも思ったが、作品づくりの点においてものすごい拘りを感じる。

映像は相変わらずのクオリティでロボットは手書きなのかCGなのか分からないけれども、セル時代のアニメーションのような独特な色合いを感じた。

劇伴も相変わらずの豊富さでジャズを中心に、ポップス、民謡まで幅広いジャンルを展開して、劇画・セル画タッチの本編に負けず劣らずの存在感をもつ。
映像と音楽とがセッションしてるみたいで面白い。まさにJAZZという感じだ。

ガンダムはあまり詳しい訳ではないのだが、この作品は素直に面白く、凝っていると感じる。ガンダムを切り離しても多分面白い。ヴィンテージ・アンティークっぽい雰囲気なので、ハマる人も多いと思うのだが…OVA作品だけに知名度が低いのが残念。
もっと多くの人に観て欲しい。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 8
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

水陸両用MS活躍活躍

 前回のガンダムサンダーボルトの続きの話で、舞台が地球になるお話です。

 フルアーマーガンダムとの死闘を制したサイコ・ザクが、南洋同盟というカルト教団に奪われていて、ダリル達ジオン残党軍、地球連邦軍の三つ巴展開なアニメだったです。

 アッガイ、ゴッグ、ズゴックの活躍が凄かったし、懐かしのモビルアーマー グラブロなんかも洗練され登場するです。

 捕らえられたイオも復帰し、アストラルガンダムという何か貧弱に見えるも新たな機体で、ジャズを聴きながら活躍するのです。水陸両用で結構強いです。今回のジャズは、思ったほど激しくない感じです。

 地球連邦軍とジオン残党軍の戦闘は、氷上や水中における戦闘で、ゴッグ、ズゴックに有利な環境で凄いと思ったです。イオも負けてなかったけど。

 一方でアッガイを操縦するダリル達。性能を最大限に引き出しているというのか?あの丸く短足な機体で初期のアッガイとは比べ物にならない、動作性能だったです。ダリル、サイコ・ザクでなくてもニュータイプな感じです。

 最後の方では、イオにとっての思わぬ再会や南洋同盟の秘密にも触れることとなり、思わぬ展開に発展するようだったです。{netabare}まだ次作いつになるのかあるらしいです。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 6
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