「ドラえもん のび太のワンニャン時空伝(アニメ映画)」

総合得点
66.7
感想・評価
95
棚に入れた
557
ランキング
2686
★★★★☆ 3.8 (95)
物語
3.9
作画
3.8
声優
3.8
音楽
3.9
キャラ
3.9

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ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

つなぐバトン。

【概要】

アニメーション制作:シンエイ動画
2004年3月6日に公開された84分間の劇場アニメ。
原作は、漫画制作会社の藤子・F・不二雄プロが『月刊コロコロコミック』
にて連載していた「大長編ドラえもんシリーズ」作品。

監督は、芝山努。

【あらすじ】

のび太は河川敷でジャイアンたちに野球の守備練習でしごかれていて、
ジャイアンたちの帰り際の命令で居残りで、
川の方向に飛んで無くしたボールを回収しに行ったのび太は子犬と出会う。

利口な犬でボールを見つけてくれたが、泳げなくて溺れてしまったのを、
同じく泳げないのび太は、人の大きさだと足が立つ浅瀬なので助け出すのに成功。

それで子犬に懐かれて振り払えず家までついて行かれて、
わんわん鳴くことから「イチ」と名付けてママに隠れて飼うことに。

その後に捨て犬と捨て猫が増えすぎて、家で飼えなくなったのび太は、
「タイムマシン」で人も恐竜もいない3億年前に犬猫を連れて行き、
「スペアポケット」から取り出した、「無料フード製造機」の使い方を、
「進化・退化光線銃」で知能を進化させたイチに教えて、
のび太たちがいなくても生きていけるようにして、一旦現代に帰る。
「進化・退化光線銃」を回収するのを忘れたままに。

『明日かならず来るからね。』とイチと約束したのび太は、
前日には同行しなかったドラえもんを加えたいつもの5人で、
「タイムマシン」で3億年前に向かうが時空間の「ねじれゾーン」の影響で、
2億9999万9千年前に到着し、タイムマシンが故障してしまう。

イチたちより1000年後の世界は、「進化・退化光線銃」で、
人間並みの知能を持った犬猫の子孫が人間のように二本足で立っていて、
衣服をまとって日本語を喋り、高度な科学や文明が発達したワンニャン国があり、
これだけ文明が発達してるなら、「タイムマシン」を直せるかも知れないと、
ドラえもんの提案でこの世界を探検することにした5人なのだった。

【感想】

大長編ドラえもんの第25作目で、
大山のぶ代さんら旧声優陣や、長年務めた芝山努監督の旧ドラ最後のアニメ映画。

原作22巻に元ネタとなった短編があるらしいですね。

前年の「のび太とふしぎ風使い」と同じく、表情豊かな作画にスタッフの気合が入っています。
そこに、思い出のけん玉を用いての「おばあちゃんの思い出」要素を入れて、
泣かせにくるのは反則ものですが、

このアニメで感動するのは、のび太とイチの友情物語そのものではなくて、
この世に生まれた者は短い人生で出会いと別れをたくさん経験してゆき、
生命あるものは必ず年老いるなどの理由で死んでいく、
だから次の世代の新しい生命を作って育てての繰り返しでバトンを代々受け継いでいく。

大人とは、モノでも心でも人に与えることが出来る人間であり、人から貰うことしか考えてなくて、
自分が欲しいものが手に入らないからと駄々をこねて人に腹を立てる欲しがり屋は、
甘ったれた餓鬼であると、なにかの話で読んだことがありますが、

のび太から愛情を貰ったイチの魂に感謝の気持ちと人を思う優しい心が刻まれていたのと、
飼い主に捨てられた野良猫のズブの子孫が物質的に豊かになっても、
人間への憎しみを代々忘れずに復讐を考えていたのとの対比で、
当人にはどんな事情があっても負の感情を抱え込むと、良いことがない教訓があります。

例外もありますがワンニャン国の殆どがいい犬猫たちであり、
上の世代から受け取った大切なものを次の世代へと代々繋いでゆく。こうして、
イチたちが作ったワンニャン国が1000年続いたからこそ、3億年前から1000年後の世界で、
タイムトラベルネタを通じてのび太とイチが再会する奇跡が生まれたように、

アニメでは描かれていない、たくさんのつながりがもたらした物語なのですよね。

のび太たちの冒険と友情物語の結末を通して、
子供向けのアニメながらも、ずいぶんと大切なことを教えてくれるじゃないですかと思います。

アニメを作るのだってそう。同じ作品や同じ会社でも人が入れ替わっていくのが常。

若い人たちが先人からたくさんの知恵と技術を学び、
改良などのマイナーチェンジを繰り返しながら、
時代時代に適合しながら会社や作品が生き延びてゆく。
そしてそれもまた更に新しいものに置き換えられてゆくもの。

旧ドラと新ドラ初期でもスタッフかぶりはありますが、
藤子・F・不二雄先生が亡くなった後も続けてきた「ドラえもん」を、
次の声優やスタッフなどの若い人に託して今後とも続けるとともに作品を育てて欲しい。

そんなメッセージが裏にあるのではないか?と妄想してしまう作品でした。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2024/05/12
閲覧 : 76
サンキュー:

12

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