「劇場版「境界の彼方 I'LL BE HERE 」 未来篇(アニメ映画)」

総合得点
69.6
感想・評価
479
棚に入れた
2918
ランキング
1720
★★★★☆ 3.9 (479)
物語
3.6
作画
4.2
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
3.9

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ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ラストシーンが大好き。

【概要】

アニメーション制作:京都アニメーション
2015年4月25日に公開された90分間の劇場版アニメ。

原作は、著者・鳥居なごむとイラスト・鴨居知世による、
KAエスマ文庫から刊行されていたライトノベル。

監督は、石立太一。

【あらすじ】

人間で異界士の母と妖夢の父との間に生まれて、
最凶の妖夢である『境界の彼方』を体内に宿す“半妖”の少年の神原秋人(あきひと)と、
『境界の彼方』を倒すことが出来るらしいが、
忌み嫌われている呪われた血を持つ異界士の栗山未来は、
出会ってしばらくは生命を狙うもの狙われるものの関係だったが、
次第に情が移り惹かれ合い、異性として意識し合っていく。

秋人に死んで欲しくなくて殺すことが出来なくなった未来は、
代わりに自分の生命を引き換えに秋人を人間にして消滅したのだが、
未来を犠牲にして得る幸せなんて無いと、そんな結末を認めない秋人は、
肉体を失っても『境界の彼方』の中で存在していた未来を取り戻すための最終決戦で、
分離した『境界の彼方』もまた僕だと受け入れて一体化し、もとの“不死の半妖”に戻る。

その際に再び消滅したはずの未来だったが、かつて初めて出会った高校の屋上で、
秋人は復活した未来と再会する。だが、秋人の眼の前で未来は自分が何者であるか、
そして秋人や文芸部や幼馴染らの記憶を全て失ってしまう。

そうして数カ月後、秋人は三年生に未来は普通の学園生活を送る二年生になり、
卒業した博臣は行方知れずになった姉の泉に代わって、
名瀬家の当主として妖夢討伐を取り仕切るようになった。

呪われた血の宿命を忘れて普通の人間として未来に生きて欲しい秋人は、
半妖の自分とは関わらないほうが良いと未来を避けるようになっていた。

そんな日々と同時に、異界士が謎の人物に襲われて生命を落とす事件が連続して起きていた。

【感想】

ダークファンタジー色がTV版より強めのこの映画を要約すると、辛いことから目をそらさずに、
楽しいことも苦しいことも二人で分け合って強く生きていこうというラブストーリー。

過去なんて思い出さない方が彼女のためだと自分に言い聞かせて敢えて未来を突き放して、
人の見てないところで偲んで泣いている秋人と、
記憶を失いながらも、かつての本当の自分を知りたい未来。

すれ違いながらも惹かれ合うこの二人を始め、心の動きを映像効果で見事に演出していますね。
特に夜桜が舞う公園での会話シーンでの、二人の精神状態の不安定さを、
台詞に合わせてのピンボケ効果で視界が涙で滲んでいるのを表現してるのか。

石立太一監督の場合は美術や撮影などのスタッフらの協力とともに、
複雑にいろいろな感情が入り混じった表情のひとつひとつを丁寧に描いて、
シリアスなシーンに感情移入して貰いたいとの意図が強調された作風であるような。

秋人も未来も美月も博臣も泣いている後篇映画ですが、
肩を震わせる泣きのお芝居が特徴的に後のヴァイオレット・エヴァーガーデンと同等であり、
それぞれの作品でのチーフ演出的な役職としての藤田春香氏や小川太一氏らの働きがあるにせよ、
正しくは石立太一監督の演出設計を基本として、
ヴァイオレット・エヴァーガーデンが後に作られたことがわかる映像作品でしたね。
ていうか両作品には重なる部分が結構多いです。

そのじっくり描かれている感情芝居だけでなくて、
爆発や土煙だらけでカメラを回転・移動しながらの激しいバトルアクションシーンもあり、
メリハリが効いている対象的な画作りに、京アニのスタッフはやろうと思えば、
必要があれば何にだってチャレンジするし、実現可能にする技量がある。
作品が演出に従属してるのではなくて、作品を活かすのが演出であって、
作風によって必要に応じて演出手段の取捨選択をしている。

京アニ作品にしては悪役のあの人絡みでのグロいシーンが一部であったり、
自分たちでやれることは全部やるし、手を抜かない。
その京アニの良さに溢れた映像の作りは好ましく思いましたね。

総集編映画である過去篇では秋人と未来が中心であり、
カットカットで他のキャラの描写不足感が強かったですが、
今回の未来篇では、きちんと各キャラに印象が残るシーンがあり、
それぞれのキャラの魅力が引き出せて良かったのではなかろうかと?

代わりに状況的な説明不足(奇跡の一言で説明終わり?)があったり、
突き詰めれば突っ込めるのでしょうけどね。

石立監督が描きたかったテーマである“つなぐ愛”に沿っての、
人が人を大切に思う気持ちでお互いにつながることで生まれる絆。

秋人と未来の物語だけに限らず、愛情と人を思う気持ちがある限り、
途中でどんな苦しいことがあっても乗り越えて困難には負けないという話で、
敢えて難解にせずにキャラクターの気持ちをわかりやすく映像で伝えることによって、
シンプルでまとまりのある王道的な内容になったのではなかろうかと?
それは、劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンでも重なる部分がありますね。

と色々書きましたが、全体的に丁寧かつクオリティの高い仕事ぶりで、
かなり充実の内容でした。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2024/02/22
閲覧 : 56
サンキュー:

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