「きみの声をとどけたい(アニメ映画)」

総合得点
69.3
感想・評価
115
棚に入れた
517
ランキング
1803
★★★★☆ 3.6 (115)
物語
3.6
作画
3.6
声優
3.5
音楽
3.9
キャラ
3.5

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ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

ラジオ放送で繋がる青春劇映画。キャラ付けと作劇が上手くすっきり見られる

女子高生たちがラジオを通して交流していくハートフルストーリー。94分のアニメ映画。
※作品データベース様より転載

【良い点】
ミニFMラジオ局という題材が良い。ラジオ題材のアニメとして2020年の「波よ聞いてくれ」に対し、
本作はより狭い地域密着でアマチュアがやるミニFMラジオ局ならではの作劇で差別化出来ている。(本作の方が先輩だけど)
地元商店街の温かい応援や、昏睡しているシオン母が築いていた関係性、アマチュアがひょんな事から始める展開、
終盤の放送圏外に出てしまうかどうかの盛り上がりなど。

青春劇としても人情劇としても素直で綺麗。
ドラマは主に3つの軸あり、主人公ナギサちゃんの成長、ライバル同士ギスギスからラジオ通して和解するカエデちゃんユウちゃん、
そしてラジオ開始のきっかけである、昏睡状態の母を持つシオンちゃん。
ミニFMラジオを通しての青春群像劇はベタながら瑞々しくて良かった。
ラストも予定調和ながら中々感動的。

人材の揃い方など御都合の連続だけどテンポ良く気持ち良く進行していく。
予定調和に嫌みが無く、王道として好意的に見られる。
ラジオの語りで極自然にストーリーやキャラの説明になっているのも上手い。

キャラが多い割に、キャラ付けが分かり易い。ユウちゃんがお嬢様だから「ですわ」口調など、こういうあざとい記号付けは大事。
ドラマ的には脇役なDJガチ勢なアヤメちゃん、口数少ないわりに華があるオトハちゃんなど。短い出番で比較的印象に残る。
また、優しい世界で不快感が(カエデとユウの対立以外は)あまり無い。
この手の作劇で悪役になりがちなユウのおじい様が、街のために尽くして孫娘から尊敬されている設定で、悪役回避しているのは上手い。

主題歌や挿入歌など楽曲が軒並み良い。
声優陣の歌唱力が高すぎず普通に上手い辺りで、素直な想いを歌という言霊に乗せる雰囲気に合っていた。
これは上手過ぎるよりも良いと思う。
声優陣は上手くは無いが青春劇の瑞々しさには合っていた。

【悪い点】
キャラデザが垢抜けず可愛くない。
00年代ならともかく、2017年なのを思うと微妙。

善戦してはいたが、尺不足で詰め込み気味。ところどころ物足りなさが目立つ。
キャラも話も良かった一方、どうしても浅く、表層をなぞる感じが拭えず。

ラジオ放送していく過程をダイジェストで流し、放送を通して少女たちの絆が深まるような交流要素がほぼ無い。
ナギサ、カエデ、ユウの三人以外は数合わせになりがち。
特にシオンちゃんは感動の主役たる最重要ヒロインなはずだけど、地味で存在感が薄く、物語の主役になれていなかった。
カエデちゃんユウちゃんの青春劇に尺を取られてしまい、シオンちゃん軸がおざなりになった感。
ナギサとシオンが、もっと踏み込んで交流見せて欲しかった。
もしくは母との回想などで、ラジオの目的意識させてくれれば、終盤の盛り上がりも違ったような。

ラストの歌と言霊は感動的ではあるけれど、過程を省いているためか、盛り上がりはそこそこ。

【総合評価】7~6点
ミニFMラジオ局を題材にした少女たちの青春劇として素直な良作ではある。
評価はとても良いでもよさそう気はするけれど、ちょい惜しい「良い」

投稿 : 2023/11/10
閲覧 : 46
サンキュー:

3

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