「アジール・セッション(アニメ映画)」

総合得点
52.6
感想・評価
12
棚に入れた
53
ランキング
7640
★★★☆☆ 3.0 (12)
物語
2.9
作画
2.9
声優
3.3
音楽
3.0
キャラ
3.0

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ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

明るい活気のある反体制美術青春劇

60分の3DCGアニメーション映画。反体制寄りの美術青春劇。
※作品データベース様より転載

【良い点】
3DCGアニメーションが粗いながらもセンスが良い。
キャラデザも慣れれば特に違和感無く、活き活きとした感情は伝わってくる。
背景も退廃的だが活気ある雰囲気や、アートのインパクトが目を引き、要所でのアクションシーンも悪くない。
声優陣も実力派揃いで申し分ない。

無粋な設定や背景の掘り下げを省きつつ、テーマや人物描写が分かり易い。
掘り下げ不足なのではなく、あえて必要最低限の会話や描写だけで効率良くキャラを描けている。
例えば、アキラがサイボーグな背景もミュンヒの説明とラストの軍関係者?のセリフから必要十分に分かる等。
警察側の人物描写に深みあり、立場上は敵ながら特に不快な印象が無いのも好印象。

無粋な思想色を殆ど省いているのも好印象。
湿っぽい理由付けとか要らない、やりたいからやる!とシンプル。

ストーリー構成上では、長老の役割に注目。
普通の作品なら、アジール・セッション開催は主人公かヒロインが企画するところ、本作は長老の鶴の一声で流れが決まっている。
これにより、60分しか尺が無い中、アジール・セッションやるまでの紆余曲折をショートカットしている。
明確な目標がまだ決まっていないヒヨコとアキラが、アジール・セッション開催の流れに持っていくだけで相当尺が必要だったはず。
長老がテンポ良く流れを決めちゃって、以降のヒヨコとアキラの交流劇にスムーズに移行する脚本は上手い。

ヒヨコとアキラの交流劇が青臭くも好印象。
短い尺でふたりの抱える葛藤や、交流で互いに良い影響を与えたであろう事がちゃんと描けている。
特にアキラのサイボーグ故の葛藤は、「勇者警察ジェイデッカー」を彷彿とするテーマ性を感じる。
精密な機械であっても、自身の内から迸る情熱のままに…それが芸術、それが生きるって事だ!的な主張はシンプルだが共感できる。

アジール住人と警察の抗争で殴り合いはあれど、人死にが出るような暴力的な展開は無いのも安心。
終盤、一気呵成にお祭り騒ぎになっていく流れでの一般人のノリを見るに、作風自体が自由な反体制に優しい世界な印象。
終盤、ヒロインの父や祭りに乗った店主などの一般の大人たちも、実は潜在的に自由な気風に共感したかったであろう事が分かる。

【悪い点】
アジール住人の背景の掘り下げが稀薄故、反体制に共感できない。
「図書館戦争」とか「ぼくらの七日間戦争」とか「天気の子」とか、反逆に(視聴者目線でも)共感できる動機付けがある、
本作はただ無軌道に暴れているだけ、醒めた目で見てしまう。
まあこれは無粋な視点であることは承知。
それに良い点と裏腹でもあるし、評価に迷うところ。

良い点の言及と反するが、終盤一般人も巻き込んでの反体制的な気風自体には、あんまり共感できない故、自分は盛り上がれず。
これは本作が悪いのではなく、自分が冷めている故だろうけれど。

ヒヨコとアキラ以外のアジール住人の印象が弱い。
どちらかというと警察側の人物描写の方が魅力的だった。
キャラ描写が必要最低限で巧く描けている一方、あくまでも最低限の域を出ないため、キャラドラマとしては地味。

【総合評価】6~7点
60分の3DCGアニメーション映画として中々の良作。
物足りない面はあるが、限られた尺でこの内容なら申し分ない。
反体制的な気風を冷めた目で見がちな自分でも、不快感少なく見れた辺り、上手く出来た作品だなぁと。
評価は「良い」

余談。
「女房を質に入れて」でキン肉マンの中野さん連想した。

投稿 : 2023/11/07
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サンキュー:

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