アニメ物語・ストーリー評価一覧 7905

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92.6 1748 STEINS;GATE [シュタインズ・ゲート](TVアニメ動画)

2011年春アニメ
★★★★★ 4.4 (16736)
51001人が棚に入れました
舞台は「ニュージェネレーションの狂気」による渋谷崩壊から1年後の秋葉原。秋葉原を拠点とする総勢3人の小さな発明サークル「未来ガジェット研究所」のリーダーで、厨二病から抜け出せない大学生の岡部倫太郎はサークル仲間と日々ヘンテコな発明を繰り返していた。2010年7月28日、岡部は単位取得のため同期にして友人の橋田至と共に向かった講義会場で、弱冠18歳でアメリカの科学誌に学術論文が掲載された天才少女、牧瀬紅莉栖と出会う。しかし、彼はその数時間前にラジオ会館の8階奥で大量の血溜まりの中に倒れる彼女を見ていた。そしてそれを橋田へ報告した携帯メールは、何故かその1週間前の日付で受信されていた。その直後、ラジオ会館ビル屋上に人工衛星らしきものが墜落しており周辺が警察によって封鎖されていたことに気付く。検証の結果、発明品の一つである電話レンジ(仮)が偶然にも携帯メールを過去へと送るタイムマシンとしての機能を備えていたことが判明する。そしてその偶然が全世界の未来を左右する出来事になると、世紀の大発明に浮かれていた「この時の」岡部自身は知る由もなかった……。

声優・キャラクター
宮野真守、今井麻美、花澤香菜、関智一、田村ゆかり、桃井はるこ、小林ゆう、後藤沙緒里、てらそままさき、山本彩乃、小形満
ネタバレ

kochiro さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

Steins;Gate/Zero

『人間は脳の10%しか働かせていない』

これは天才科学者のアインシュタインが「我々人間は潜在能力の10%しか引き出せていない」と言ったことが間違って広まってしまったのだという説もある。

しかし、脳科学によると、脳は物理的に10%が情報伝達を司る「神経細胞」であり、残り90%は「グリア細胞」と呼ばれる細胞群で構成されている。

そして、これまでの研究によるとグリア細胞は神経細胞への栄養補給など補助的な役割しか担っていないとされてきたため、優秀な人間ほど神経細胞の割合が高いと思われてきた。

ところが、アインシュタインの脳を解剖した結果、神経細胞よりもグリア細胞の割合が一般人の平均よりも高いということがわかってからというもの、グリア細胞にはまだ解明されていない未知の役割があるのではないかと注目されるようになった。

1982年 夏。東京都内 某大学 理工学部の掲示板

『脳信号処理システムの画期的な新理論を発表したばかりである新鋭の若手研究者、アレクシス・レスキネン教授の特別講義 本日、大講堂にて開催』

と、貼られている案内を読み終え、大講堂へと向かった。

ほぼ満席の大講堂、そんな中、大学に入学してからもう3か月は経つというのに軽く挨拶を交わすような友人すら私にはいなかった。自ら人間関係を持ちかけようとしない性格であり、そんなことをしているくらいなら研究を進めることの方が重要だ。

私は幼い頃から脳には無限の宇宙さえも超越する真理があると直感的に感じ、強く興味を惹かれていた。この世界を認識できるのは認識する脳があるからこそなのだ。

脳の神経細胞が伝達するパルス信号には一定の法則性があるが、これには自覚的ではない情報も含まれている。これは神経細胞が伝達するパルス信号に未知の情報が乗っている証なのではないかと私は仮説を立てた。しかし、常に飛び交うパルス信号に乗った情報を解析するというのは容易ではない。これがなかなか脳の研究が進まない一因でもあった。そこで、私はこの仮説を証明するためには脳の情報伝達原理よりも、留まっている脳内の情報そのものに着目して脳の特殊な暗号処理原理を解明することが先決だと考えるに至った。

開講時間となりレスキネン教授が登壇した。会場がどよめく。レスキネン教授は予想以上に背が高く大柄だった。日本語は話せないらしく英語での講演になるようだ。

講義が開始され、暫らくはレスキネン教授の話に集中していたのだが、前方に座っている男がずっとこちらを見ていることが気になり集中を途切れさせられていた。

「ち、なんだあの男は」

さらに、この特別講義が開講されることを楽しみにしていたのだが講義内容がレスキネン教授の論文からは想像もつかないほど低レベルであることに愕然とした。

「とんだ茶番だ。一般的な内容ばかりではないか。まるで話にならん…。これは時間の無駄だな」

私は広げていたノートを閉じると退室する支度を始めた。

人間の脳は情報を多重化して蓄積している。何かを思い出すときにはこの多重化された情報の断片から複数の鍵を用い規則的に抽出することで記憶を再構築する。この際、情報を規則的に抽出する鍵こそが重要であり、この鍵自身の情報も別の鍵により暗号化されてしまうこともあるため、多重化された記憶に鍵が埋もれてしまうと思い出せない、忘れるということになる。

脳が持つ特殊な暗号処理の理論、私がこの理論にたどり着いたのには理由がある。それは隠匿されていないと思われる文章や画像に多重化した情報を埋め込むことが可能な暗号化技術を独自に考案したためである。知る限り、この暗号化技術はまだ誰も使ってはいない、このことに気が付いた自分の優秀さを恐ろしいと感じるほどであった。

退屈な講義内容にも関わらず、熱心にレスキネン教授の講義に耳を傾けている聴講者たち

私は席を立ち、そんな彼らを見下ろした。

「愚民どもがせいぜいこの程度のヘボ講義で満足するがいい」

心の中でそう呟くと、ひとり講堂から外へ出た。
すると講堂の扉が開き、後ろから声をかけられた。

「ちょっと君」

ふり返ると同年代の学生と思しき男がこちらに近づいてくる。

なんだ?私に話しかけてくるとは馬鹿なやつだ。

「僕は秋葉幸高。はじめまして、どうぞよろしく」

よく見ると、その男は講義中にずっと視線を送ってきていた男だった。

「ん?私は貴様のことなど知らんが」

「だから、はじめましてと言っているじゃないか」

「そうか。では失礼する」

「ちょっと待ってくれ。単刀直入に言わせてもらうと、君の理論をもう少し詳しく聞かせてくれないかい」

唐突に何を言っているのだ、この男は?

「私の理論?いったいなんのことだ」

「僕のような愚民にもわかりやすくお願いしたい」

そう言ってさわやかに微笑んだ男。そう、これがのちに親友となる秋葉幸高との出会いだった。

私は秋葉幸高と名乗るこの男の申し出を無視したが、幸高はしつこく食い下がって、食堂にまでついてきた。

「しつこい奴だな、私の理論だと、そんなものは知らん」

「君の理論について詳しく話してくれるまでは諦めないよ」

「…」

まあいい。どうせすぐに諦めるだろう。さて、今日は何を食べるか…

「かつ丼かい?昼食くらい奢らせてもらうよ」

「な、飯ごときで私を簡単に懐柔できるとでも思っているのか?」

「ほらね。君はわかっているけれど自分の理論について隠しているのだろう」

しまった。見事に嵌められた。

「あ、いや、何だ。あれだ。貴様がしつこいから私の倫理観的なことを言ったのであって、けして研究をしていることを隠しているのではない」

「動揺を隠しきれていないな。君は何か特殊な理論についての研究をしている。でも最近、一人でできることに限界を感じているはずだ、そうじゃないのかい?僕は君の協力者になれると思うのさ。資金面の援助をするし、君の要求をできる限り聞くつもりだよ」

さわやかな表情から急に真剣でまっすぐな視線が私を突き刺す。

「…どこで私のことを嗅ぎ付けたかは知らんが、わかっているのだろうな?まずはこれから話すことについて絶対に口外しないことを一筆したためてもらおうか」

「無論、僕は君の理論の価値については理解しているつもりさ」

「中鉢だ」

「?」

「以後、私のことはプロフェッサー中鉢と呼ぶがいい」

「ふふ、君はまだ学位も取っていないだろ。そうだな、君の名前は章一だったね。じゃあ章一って呼んでいいかい?僕のことも幸高でいいよ。では改めてよろしく。」

「ぬぐ」

そう言って幸高はまたさわやかに微笑んだ。

幸高は私の独創的な理論に終始熱心に耳を傾け、表情は常に真剣だった。
私は頭の切れる人間が好きだ。会話中に余計な説明を加える必要がないので話がスムーズに進むからである。そして、幸高はまさに切れ者だった。
私の理論を聞き終わると幸高はしばらく考えてから提案をはじめた。

「この理論を実行するのに紙ベースでは時間がかかり過ぎるね。コンピュータがあればもっと多くの情報を埋め込めるし、効率よく整理できるじゃないかな」

幸高はなかなかよいところに気が付く。私は幸高が美男子だというところが少し気に食わなかったのだが、幸高の方から私の優秀さに気が付き、私の研究に対して資金援助をしたいと申し出てきたことで、まあ許してやらなくもない。と思った。それにしても資金援助とはどの程度の話をしているのだろう。学生のいう援助などたかが知れている。どうせ10万程度準備するのが精いっぱいだろう。と、私はたかをくくっていた。

が、私が風呂なし四畳一間トイレ共同の下宿先へ歩いて帰るというのに、送らせてくれないかという幸高からの提案で高級外車が大学の正門で待機していたときには、開いた口が塞がらなかった。
なんと、幸高は資産家の御曹司であるという。同い年でこんなにも経済的に恵まれている人間がいるということを私は妬ましく思った。

さらに、運転はお付きの執事がするというのだ。

「ぐぬぬぬ、これが格差というものか。」

執事と思しき男が後部座席のドアを開いてから丁寧にお辞儀をしていた。

「お初にお目にかかります。秋葉家で執事をしております黒木と申します。お名前は何とお呼びすればよろしいでしょうか?」

「ん、では章一様とでも呼んでもらおうか」

「かしこまりました章一様。至らぬところもあるかと存じますが、宜しくお願い致します。」

冗談のつもりで言った言葉がそのまま返ってきたことに少し驚いたが執事とはこういうものなのかもしれない。いや、何というか執事というのもなかなかいいものだな。一瞬で考えが変わった。

その後、幸高は研究所の提供を手始めに大々的に資金援助を始めた。

コンピュータについても、執事の黒木にコンピュータ最大手IBNの技術者であるギルバートという友人がいて、その男から型落ちではあるがパーソナルコンピュータIBN5100も譲ってもらえることとなった。ギルバートは幸高とも交友があり、幸高の自宅には業務用大型機も保有していてビジネスに使用しているとのことだった。
学生でありながら実業家の顔も持つ幸高はやはり切れ者だ。
譲ってもらうIBN5100は主流のPCになりそこねた異端製品らしいが、1982年当時、コンピュータを一個人が持てること自体がすごいことだった。

大学卒業後も私は幸高の支援を受けながら研究を続けた。研究はなかなか進まなかったが時間だけは過ぎ去っていった。独身貴族を貫こうと約束したはずの幸高は街中で偶然知り合った女性とあっさり結婚して娘まで生まれた。しかし、私はひとり研究に明け暮れた。幸高は研究資金を調達するために忙しい日々を送りながらも、たまに研究所へ顔を出し私と議論を交わした。

「人間の脳が認識できるRAMはどの程度なのかな?」

「RAMとはなんだ?」

「Random Access Memoryの略でコンピュータ用語だよ。メインメモリーや単にメモリーとも呼ばれるんだけどね。コンピュータのCPUって判断処理する部品だから人間の脳とよく似ていると言われることがあるけれど、RAMにデータを置くことでCPUはデータの処理ができるようになるんだ。言わば脳で言うところの記憶ってとこかな。で、このRAMの容量が大きいほど一度に処理できるデータ量が増えるんだよ。」

「なるほど。コンピュータの演算原理と人間の脳のメカニズムには関連性があるのかもしれんな。脳に置き換えて考えるとそのRAMに相当する容量は今までの研究から23の11乗だということまでは分かっておる」

「・・・23の11乗だって?」

幸高の表情が一変し、慌てて幸高が常に携帯している電卓で計算を始めた。それは1千兆に届きそうな数字となるため、その電卓では計算できんだろう。

「途方もない数字になるじゃないか・・・そんなことが解明できるなんてやはり君は天才だ」

「人間の底知れぬ能力よりも私の天才的な頭脳に驚いたようだな。しかし、人間は所詮そのすべてをフル活用できるわけではない。精々30%がいいところだろう。しかもこれは被験者10人による結果だ。まだ検体数が少なすぎる。さらに、なぜか貴様だけは例外のようで、RAMは23の12乗である可能性が残っている」

幸高はなにか気にかかることがあるようで少し考えていた。

「23という数字はどこから来ているんだい?」

「これは推論の域をまだ出んが人間は対の染色体を23種類持っているのだよ。その数字が関係しているのだと私は考えている。11乗での記憶のマスターキーワードと言うべき配列の解読にも成功している。驚くな。興味深いことにこれを言語に置き換えると23文字の古代ギリシア文字でIESUSCHRISTとなるのだ」

私は自慢げに答えた。

「その文字、何か意味があるのかい?」

幸高らしくない回答で少し拍子抜けした。

「・・・それくらい自分で調べるのだな」

そう答えると幸高が私の目を覗き込んだ。これは幸高の癖だ。この行為で人の目から真意を読むのだと幸高は説明していたが、この私がそんな非科学的なことを信じるわけがない。

「そうか、そういうことか。そういうことだったのか!」

幸高は興奮を隠せないようだ。

「なんだいったい」

「今日、君の研究に出資することになった幸運を神に感謝する必要があると心から思ったよ」

と、幸高は何か閃いたように私に提案してきた。

「ところで、例外が僕一人ではマスターキーワードの抽出もなかなか進まないだろう。あともう一人、被験者を増やすことはできるかい?」

「別に構わんが、幸高のデータは残しておきたい。とするとデータ蓄積用の記憶媒体が別に必要となるが、いいか?」

「君の偉大なる研究がもう1000万程度で進むのならそんなに安いものはないさ」

幸高のこの金銭感覚に私はついていけない。まあ、私としては研究が進むのだからこんなに喜ばしいことはないが。

ほぼ住んでいると言って過言ではない研究所。とはいっても幸高が保有している大檜山ビルという小さなビルの2階の部分であり、1階にはブラウン管工房という店舗が入っていた。ヨボヨボの婆さんが店主だったのだが、1995年に起きた阪神淡路大震災の余波で積みあがっていたブラウン管テレビの下敷きになり婆さんが亡くなってからというもの、店主が見るからに怪しい大男に代わった。風貌からしてあの気の弱そうだった婆さんの親戚にはみえない、あの婆さんが借金をしていたため店が乗っ取られたのかもしれない。おっと危ない目が合いそうになった。ああいう怪しそうな奴とはなるべく目を合わせない方がいい。

徐々に研究が進み、幸高が連れてきた新たなる被験者である幸高の妻の記憶も幸高と同様の特徴を示した。そして、2000年に例外的であった12文字からなる記憶のマスターキーワードの抽出に成功した。まだ抽出できただけで配列が明確になっていないため解明が完了したということではなかったが、幸高は飛び跳ねるように喜んだ。

「おい幸高、まだ解読が完了したわけではない。そこまで喜ぶとは私としても研究のし甲斐があったというものだがな。それにしても貴様の妻も例外的な存在ということなら脳の構造は2種に分類できるということなのかもしれん」

幸高は私をジッと見つめた。

「章一、僕がなぜこんなに嬉しいのかわからないだろうが、きっと君に話をするときが近いうちにくるだろうな」

しかし、私が見た幸高の姿はそれが最後となってしまった。幸高は事故に巻き込まれて亡くなったのだ。急な出来事であったことから、私は幸高がどこかで生きているのではと思いたかった。

幸高の死後、研究所のあった雑居ビルは相続の関係から売りに出され、なんとブラウン管工房の男が買い取ったらしい。やはり裏社会に関わっている男なのだろう。そうでもなければ小さいとはいえ秋葉原にあるビルを丸ごと買い取るなんてそんな大金を用意できるはずがない。それにしてもたまに店にくる可愛らしい女性は誰だろうか、あんな男にかわいらしい女性が会いに来るなんて、可愛そうにきっと騙されているのだろう。きっとそうにちがいないのだ。

幸高の死によって資金援助が途切れ、私は秋葉原の研究所から田舎の実家へと引っ越した。しかし、田舎の実家でも私は変わらず持てる力をすべてつぎ込んで研究を続けた。

そして、2002年、私はついに例外的であった幸高の記憶のマスターキーと呼べるものの解析を完了させた。それは2000年に抽出を成功させた文字の配列を入れ替えて表現できるものだった。

読みあげてみたところで特に変わったことは起きなかったが、私の理論が正しければこれによって世界の脳科学に新たな道を開いたと言っていい。

そして、2002年8月23日ついに世界に革命をもたらすときがきた。長い間、研究を重ねてきた命の結晶ともいえる私の論文が脳科学会の学術研究論文発表会において披露されるのだ。この場に幸高の姿がないことがとても残念ではあるが、論文には唯一、秋葉幸高へ感謝の言葉を記した。永遠に語り継がれるだろうこの論文に名前を残せたことを幸高は喜んでくれるだろうか。発表を前に私は興奮を隠せなかった。

その影響だろうか昼食をとってから発表会場へと向かおうとしたところで、私は急に激しい目眩に襲われた。

「うぐぅ」

グニャリと世界が歪み立ってはいられない。そんな頭痛に耐ながら会場に着くと、私は目を疑った。

発表会場の壁紙には『応用物理学会 学術研究論文発表会』という文字が書かれていた。

「これは? いったいどういうことだ?」

「ドクター中鉢さん、どうかされましたか?」

私が会場の入り口で呆然としているところに知らない男から声を掛けられた。

「私はドクターではなくプロフェッサー中鉢だが?一度お会いしたことがあったかね? いや、それにしても脳科学の発表会に応用物理学会の壁紙を掲げるとは、いったいどうゆう冗談かね?」

しかし、その男は私の問いに返答することなく、やれやれといった表情で

「・・・今日のあなたの発表こそ、冗談で済めばいいですがね」

と笑いながら去って行った。私は男が言った意味が理解できず首を傾げながらもこれから自分が発表する論文に目を落とし、そして愕然とした。

章一「な?」

“人間の記憶における多重暗号処理”と題して発表するはずの論文、そのタイトルには



{netabare}
この続きはあにこれの文字数制限を越えてしまいましたので、pixivに継続してアップしています。Steins;Gateの世界観はもとより、できる限り、ストーリーの整合性を保って作成させていただいているため、たびたび、内容を修正させていただいています。

pixiv Steins;Gate/Zero

でググれば出てきます。なんと!最新作「Steins;Gate 0」の制作が発表された影響で、Steins;Gate/Zeroで検索しても当方の二次作品が検出されなくなっていました。

親子の絆をテーマに最後まで書き進めていきますので時間があれば読んでみてください。

ここまで長文を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 62
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

軽蔑から憧憬へ。最高のアニメ・ヒーローに出遭える《奇跡の名作》

(※初稿:2015年時点のレビューです)

◆第23話Bパート『スカイクラッドの観測者』で炸裂する大仕掛け

あにこれ総合得点ランキング1位に本作が選ばれたので、ちょっと嬉しくなって約2年半ぶりに全話視聴してみました。
通算では4周目で、ストーリーの大枠は覚えているものの、細かい部分はかなり忘れていて、割と新鮮な気持ちで視聴でき、そして予想通り今回も、

(1) 序盤は、一見して下らない、むしろ不愉快としか思えない会話劇が続いて、「こんな作品を頑張って視聴しても時間の無駄ではないか?」というお馴染みの疑念に付き纏われて、なかなか視聴が捗(はかど)りませんでしたが、
(2) 中盤(第12話以降)からは次第に、主人公=岡部の苦悩を、まるで我が事のように気に病んで、彼の所作に一喜一憂する感情移入した状態に変わっていき、
(3) そして、待ちに待った終盤(第23話Bパート)、『スカイクラッドの観測者』が流れ始めた瞬間、不意に押し寄せる感動の波が、またしても尋常でない大きさで、ラスト回(第24話)+OVAを急いで見た後、なんの躊躇もなく5周目に突入~今度は一気呵成に完走してしまいました。

そうなんです。ここで思い出しましたが、シュタインズ・ゲートは、第23話を一度見終わったあとからの2周目が、圧倒的に面白い作品だったんです。


◆制作情報(全体)
{netabare}
原作ゲーム       5pb./Nitroplus
監督           佐藤卓哉、浜崎博嗣、小林智樹(第25話)、若林漢二(劇場版)
シリーズ構成      花田十輝
脚本           花田十輝(劇場版も)、根元歳三、横谷昌宏、林直孝
キャラクターデザイン 坂井久太
音楽           阿保剛、村上純
アニメーション制作  WHITE FOX{/netabare}


◆各話タイトル&評価(TVシリーズ第1作)

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

※以下の【起-承-転-結】は、話の流れが分かり易いように便宜的に切り分けたもので、特に深い根拠がある訳ではありません。

========== STEINS;GATE (シュタインズ・ゲート) (2011年4-11月) ========

----- 【起】 {netabare}Dメール開発と暴かれる世界の秘密{/netabare} ------------------
{netabare}
第1話 始まりと終わりのプロローグ Turning Point ☆ 牧瀬紅莉栖の死、最初のDメール(α世界線へ) 2010年7/28
第2話 時間跳躍のパラノイア Time Travel Paranoia ☆ 紅莉栖との再会
第3話 並列過程のパラノイア Parallel World Paranoia ★ SERNハッキング 7/29-
第4話 空理彷徨のランデヴー Interpreter Rendezvous ☆ IBN5100探し
第5話 荷衝突のランデヴー Starmine Rendezvous ★ SERNの秘密
第6話 蝶翼のダイバージェンス Butterfly Effect's Divergence ☆ Dメール開発、FB初出 8/2-3{/netabare}

----- 【承】 {netabare}Dメールによる過去改変とその結末{/netabare} ----------------------
{netabare}
第7話 断層のダイバージェンス Divergence Singularity ★ Dメール実行(ロト6失敗、軽微な過去改変)、貴方に救世主になって欲しい
第8話 夢幻のホメオスタシス Chaos Theory Homeostasis ★ 萌郁&るか Dメール実行(過去改変2~3回目) 8/3-6
第9話 幻相のホメオスタシス Chaos Theory Homeostasis ★★ フェイリス Dメール実行(過去改変4回目=秋葉改変) 8/7(特殊ED)
第10話 相生のホメオスタシス Chaos Theory Homeostasis  ☆ 脅迫メール1通目、鈴羽引き留め Dメール(過去改変5回目) 8/8-10
第11話 時空境界のドグマ Dogma in Event Horizon ★ タイムリープ装置開発、脅迫メール2通目 8/10
第12話 静止限界のドグマ Dogma in Ergosphere ★★ 実験中止、SERN襲撃 8/13(20時前){/netabare}

----- 【転】 {netabare}タイムリープ開始~まゆり救出オペレーション{/netabare} ---------
{netabare}
第13話 形而上のネクローシス Metaphysics Necrosis ★★ 椎名まゆりの運命 8/13(16時過ぎ) 
第14話 形而下のネクローシス Physically Necrosis ★(Aパート)☆(Bパート) 岡部の後悔、紅莉栖の助力、鈴羽の正体
第15話 亡環上のネクローシス Missing Link Necrosis ☆ タイムマシン修理 8/13→8/11-12
第16話 不可逆のネクローシス Sacrificial Necrosis ×(Aパート)☆(Bパート) 鈴羽(過去改変5回目の取消) 8/11-13
第17話 虚像歪曲のコンプレックス Made in Complex ☆ フェイリス(過去改変4回目の取消) 8/14→8/13-15
第18話 自己相似のアンドロギュノス Fractal Androgynous ★ るか(過去改変3回目の取消) 8/13-14
第19話 無限連鎖のアポトーシス Endless Apoptosis ☆ 萌郁(過去改変2回目の取消) 8/16→8/11
第20話 怨嗟断絶のアポトーシス Finalize Apoptosis ×(Aパート)★★(Bパート) 萌郁(続き)、FBの正体 8/12-15→8/13-14{/netabare}

----- 【結】 {netabare}行き詰まり~紅莉栖救出オペレーション{/netabare} --------------
{netabare}
第21話 因果律のメルト Paradox Meltdown ★ 牧瀬紅莉栖の運命 8/14-17→8/13-15
第22話 存在了解のメルト Being Meltdown ★★ β世界線に回帰(最初のDメールの履歴削除)、鈴羽再来訪 8/15-21
第23話 境界面上のシュタインズゲート Open The Steins Gate ×(Aパート)★★★(Bパート) 岡部の執念 8/21→7/28→8/21 ※ED「スカイクラッドの観測者」
第24話 終わりと始まりのプロローグ Achievement Point ★★ 紅莉栖救出(Steins;Gate世界線へ) 8/21→7/28→8/21- ※ED「Another Heaven」{/netabare}
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)1、★★(優秀回)5、★(良回)8、☆(並回)8、×(疑問回)0 ※個人評価 ★★ 4.7

※Aパート/Bパートで評価が分かれる回は、より評価の高いパートの評価をカウント。

OP 「Hacking to the Gate」
ED 「刻司ル十二ノ盟約」


◆軽蔑から共感へ、そして憧憬へ

私の場合、好きなアニメキャラ(女性)を挙げろと言われれば、すぐさま何人もの名前が出てきますが、好きな男性アニメキャラは中々思いつきません。
それでも誰か一人、自分の一番好きなアニメ・ヒーローを挙げろ、と言われたら、私の答えは、きっと本作の主人公=岡部倫太郎となるでしょう。

実際には、本作を視聴し始めた時は、岡部に対して、かなり軽蔑した気持ちを持っていたんです。
自分にも、岡部みたいな性向は少なからずある(あった)かも知れない・・・という気恥ずかしい気持ちもありましたが、それにしても、"これは酷い"、"人間こうなってはダメだ"、"自分もこうならないよう気を付けなければ"、という否定的な気持ち、"こんなイタイ奴は見たことがない"という侮蔑の気持ちが、序盤には強くありました。
こんな見るに堪えないキャラの下らない所作ばかり描いた作品を視聴するのは時間の無駄だから、もう打ち切りにしたほうが良いのではないか?という考えに付き纏われた人は、私以外にも沢山いるはずです。

ところが、ストーリーが進むにつれて、こうした気持ちは次第に消えていって、岡部に共感し、応援したくなっていくのです。

第20話終盤の{netabare}岡部の絶望{/netabare}を見たあと、第22話での{netabare}彼の決断と勝利宣言{/netabare}を見て、思わず彼の肩をポンと叩きたくなる気持ちになった人も多いでしょう。

だけど、物語はそこで終わらないのです。
ここからが、本当のマジック。

岡部への共感が、今度は敬服と憧憬の気持ちに変わってしまうのです。
君こそ最高のアニメ・ヒーロー、私の憧れだ、という序盤・中盤には思いも付かなかった気持ちに変わってしまうのです。


◆完璧ではないが、バランスの取れた名作

本作にはストーリー面で無視できない欠点が幾つかあり、そのために点数を4.7と幾分マイナスにしましたが、それでも個人的には、私が視聴したアニメ作品の中では、『魔法少女まどか☆マギカ』、『アイドルマスター』と並ぶ大きな感動を得られた名作と考えています。

そして、『魔法少女まどか☆マギカ』、『アイドルマスター』が、

(1) 主人公達が中学生や高校生の少女であるばかりでなく、
(2) 彼女達に絡むサブ・キャラ達も同世代の少女ばかりで、

そうした作品に余り馴染のない人にはどうしても敷居が高い(?)印象があることを考えれば、本作は、

(1) 男性キャラ・女性キャラのバランスが良く、
(2) 彼らの年齢も20歳少し前の大学生および高校生という、より一般的な設定で、

多方面の人たちに比較的勧めやすい、という大きな長所があります(あとは前述の序盤の岡部に対する抵抗感さえ我慢してもらえれば、という条件付きですが)。

そういう意味で、本作が、あにこれ総合得点ランキング1位に選ばれて、これからも本サイトに来る多くの人に知られ視聴されていくことが期待できるのが、私には嬉しいです。

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◆『STEINS;GATE』作品別評価

(1) TVシリーズ1(STEINS;GATE)  ★★ 4.7
(2) OVA1(第25話)           ★  4.0
(3) 劇場版(負荷領域のデジャヴ) ☆  3.6
(4) OVA2(第23話β)          ★ 4.2
(5) TVシリーズ2(STEINS;GATE 0)  ☆ 3.8
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  総合                  ★★ 4.5


◆各話タイトル&評価(その他の作品)

=========== STEINS;GATE 第25話 (OVA) (2012年2月) ========

第25話 横行跋扈のポリオマニア Egoistic Poriomania ★ 4.0 {netabare}ラボメン達のアメリカ渡航編{/netabare}

OP 「Hacking to the Gate」
ED 「刻司ル十二ノ盟約」


====== 劇場版 STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ (2013年4月) =====

全1話 ☆ 3.6 {netabare}紅莉栖による世界線観測が不安定化した岡部の救済ミッション{/netabare} ※約89分

主題歌「あなたの選んだこの時を」
ED 「いつもこの場所で」


=========== STEINS;GATE 第23話β (OVA) (2015年12月) ========

第23話β 境界面上のミッシングリンク Divide by Zero ★ 4.2 {netabare}岡部がSteins;Gate世界線への移動を選択しなかった世界{/netabare}

OP 「Hacking to the Gate」
ED 「刻司ル十二ノ盟約」

※TVシリーズ第2作『STEINSGATE 0』は別途レビューします。

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◆以下、メモ書き

◇ラボメン№
{netabare}
001 岡部倫太郎(鳳凰院 凶真)
002 椎名まゆり(まゆしぃ)
003 橋田至(ダル、スーパーハカー)
004 牧瀬紅莉栖(クリスティーナ、助手)
005 桐生萌郁(シャイニング・フィンガー(閃光の指圧師))
006 漆原るか(ルカ子)
007 フェイリス・ニャンニャン(秋葉留未穂)
008 阿万音鈴羽(バイト戦士、John Titor)
{/netabare}

◇挿入曲『スカイクラッドの観測者』
{netabare}
歌唱:いとうかなこ
作曲︰志倉千代丸
作詞︰志倉千代丸

歌詞

<1番>
過去は離れて行き 未来は近づくの?
観測者はいつか 矛盾に気付く

神の創り出した世界は 完全なるもので 絶対の均衡
それは折り重なる偶然 宇宙規模の奇跡
守られてきた ゲート「規制」は終わった

Open The Eyes
「0」が過去で 「1」が未来 「今」は何処にもない
背く事の出来ぬ ロジック
Open The Eyes
並行する無数の線 選択は冒涜へ
僕らの「存在」さえ疑う その目に映る景色は
「収束」をする

<2番>
二つの針が指す 時間の概念も
観測者しだいで 歪みを見せる

神に与えられた英知は 必ず「果て」がある 絶対の領域
それは愚かな故の偶然 招かれざる奇跡
閉ざされてきた ゲート「規制」は終わった

Open The Eyes
光速へと手を伸ばした 想い出のパルスが
飛び込む不可思議な ロジック
Open The Eyes
宇宙がまだ隠し持った 秩序のない理論
無限と呼ばれた点と点が 不正な力を借りて
「再生」をする

Open The Eyes
「0」が過去で 「1」が未来 「今」は何処にもない
背く事の出来ぬ ロジック
Open The Eyes
並行する無数の線 選択は冒涜へ
僕らの「存在」さえ疑う その目に映る景色は
「収束」をする{/netabare}

(2018.10.6) レビュータイトル変更・制作情報等追加

投稿 : 2025/01/04
♥ : 111
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

好きであるが故に感想少な目

伏線や陰謀満載。
タイムリープが話の中心。
{netabare}最初と最後が繋がってくるなんて。世界線の収束があんな簡単に退けられるのはびっくりだが。{/netabare}
中々鬱な展開とかあるけど、すごく感動した。中々秀逸な終わり方だったし。
紅莉栖可愛いし、萌郁怖いし、ダルが実は超かっこいい。
そしてほうおういんきょうまのキャラクターが頭に残る。
僕は友人に勧められて見たのだが、はまってしまった。

OP
Hacking to the Gate 歌 いとうかなこ
アニメと関連した詞で好き。
ED
刻司ル十二ノ盟約 歌 ファンタズム(FES cv.榊原ゆい)
スカイクラッドの観測者 歌 いとうかなこ
Another Heaven 歌 いとうかなこ
挿入歌
ワタシ☆LOVEな☆オトメ! 歌 アフィリア・サーガ・イースト
My White Ribbon 歌 アフィリア・サーガ・イースト
やっぱりいとうかなこ最高です。Hacking to the Gateは最高傑作。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
舞台は2010年夏の秋葉原。厨二病から抜け出せない大学生である岡部倫太郎は、「未来ガジェット研究所」を立ち上げ、用途不明の発明品を日々生み出していた。だが、ある日、偶然にも過去へとメールが送れる「タイムマシン」を作り出す。世紀の発明と興奮を抑えきれずに、興味本位で過去への干渉を繰り返す。その結果、世界を巻き込む大きな悲劇が、岡部たちに訪れることになるのだが・・・悲劇を回避するために、岡部の孤独な戦いが始まる。果たして彼は、運命を乗り越えることができるのか!?

1. 始まりと終わりのプロローグ
マッドサイエンティストを自称する“厨二病”の大学生・岡部倫太郎は、発明サークル「未来ガジェット研究所」を秋葉原に構え、用途不明の発明品を開発する日々。そんな折、発明家・中鉢博士の会見を傍聴していた岡部は、偶然そこで天才少女・牧瀬紅莉栖と出会う。その直後、不審な悲鳴を耳にした岡部が声のする場所へ駆け寄ると、そこには血まみれで倒れる牧瀬紅莉栖の姿が…。

2. 時間跳躍のパラノイア
大学の講義の会場で、数時間前に刺されたはずの紅莉栖を見つけ驚愕する岡部。さらに直後の講義では、タイムマシンの存在について紅莉栖に完膚なきまでに論破されてしまう。

3. 並列過程のパラノイア
岡部たちが発明した「電話レンジ(仮)」には、偶然にも過去へメールを送れる機能が備わっていたことが判明した。さらにネット掲示板「@ちゃんねる」の情報から、素粒子物理学の研究機関・SERNが秘密裡にタイムマシンの開発を進め、その情報を隠しているとみた岡部は、SERNへのハッキングをダルに命じる。

4. 空理彷徨のランデヴー
SERNへのハッキングに成功するも、謎のプログラムコードに阻まれた岡部たち。そこで岡部は@ちゃんねるに現われたジョン・タイターという自称“未来人”から、コード解読には幻のレトロPC「IBN5100」が必要だと知らされる。

5. 電荷衝突のランデヴー
柳林神社に奉納されていたIBN5100を紅莉栖と二人でラボに持ち帰った岡部は、早速その接続を試みる。早くもラボの一員として馴染んだ紅莉栖の協力も得て、さらなるハッキングに成功した岡部たちは、そこでSERNの驚くべき秘密を知るが……。

6. 蝶翼のダイバージェンス
完全なタイムマシンを開発してSERNを出し抜こうとする岡部は、電話レンジ(仮)で過去にメールを送るための条件を発見するため、ラボメンを集めて「円卓会議」を開く。過去へ送れるメールの事を「Dメール」と名付け、実験を繰り返していくうちに、発生条件が次第に明らかになっていく。そんな中、岡部は街で「閃光の指圧師」(シャイニングフィンガー)こと桐生萌郁に出会うが…。

7. 断層のダイバージェンス
なぜか執拗にIBN5100にこだわる萌郁が気になる岡部だったが、成行き上仕方なく彼女を新しいラボメンに迎えた。「Dメール」が確実に過去に届いていることを確信したラボメン一同は、より詳しい仕組みを解明するため、さらなる実験を繰り返す。「結果が一目瞭然」という理由から「ロト6を当てる」ことを目標に、当選結果を過去のるかへメールで送る岡部。送信後、確かに世界が変わったように思えたのだが…。

8. 夢幻のホメオスタシス
引き続きDメールの送信を試行錯誤する岡部たち。実験が成功して過去が改変されたときには、岡部以外の人間はDメールを送った記憶を失っていることがわかった。ではなぜ岡部だけが記憶を保持していられるのか?ジョン・タイターからの不可解なメッセージが岡部の頭をよぎる。そんなある日、萌郁が「自分にもDメールを送らせてくれ」と申し出る。4日前に携帯の機種変をしたことを後悔しており、思い止まるよう過去の自分にメールを送りたい、というのだが…。

9. 幻相のホメオスタシス(げんそう)
メイクイーン+ニャン2で、フェイリスとタイムマシンの話をした岡部。ラボへ戻ると、そこには誰かと携帯電話で話をしている紅莉栖がいた。その頬に光るものを見て事情を察した岡部は、さりげなく励まそうとするのだが…。その頃まゆりは、漠然とした不安を抱いていた。電話レンジを発明して以降の岡部は少しずつ昔と変わってきており、いつか、どこか遠いところへ行ってしまうような気がしていたのだ。そんな岡部はますます知的探究心を燃やし、「電話レンジ(仮)を改良して物理的タイムマシンをつくる」という計画をラボメンに打ち明ける。反対する紅莉栖がいる一方で、なぜかタイムマシンに強く興味を示すフェイリス。ラボメンたち各々の思惑が錯綜し…。

10. 相生のホメオスタシス(そうせい)
Dメールの効果で見慣れたアキバが一変してしまった…予想だにせぬ結果を前に呆然とする岡部。さらにラボに戻ると、るかにも異変が…ところがDメールを送ったという記憶すら持たないまゆりやダルたちラボメンは、当然ながらそれらのことに何の疑問も持たない。孤独感を強める岡部のもとへ、さらに不安に陥れるような謎のメールが届き…。

11. 時空境界のドグマ
引き続きDメールの実験を繰り返す岡部たちは、ついに発生条件の鍵となる「リフター」の代わりとなるものの正体を突き止める。次のステップとして「物理的タイムトラベル」の実現を目指す岡部だったが、紅莉栖から即座に否定される。しかし紅莉栖は、専門である脳科学の視点から、記憶をデータ化して過去の自分に送る、いわゆる「タイムリープ」の可能性を示唆する。新たな目標に向け、電話レンジ(仮)を更に改良しようとする岡部たちだったが、その周りで不審な現象が起き始め…。

12. 静止限界のドグマ
ついにタイムリープ実験の準備が整った。実験には被験者が必要だが、紅莉栖はその判断を岡部に委ねる。最近の不審な現象が何者かからの“警告”だと考え、ラボメンの身を案じた岡部は、「実験を行わない」事、「タイムリープマシンを世間に公表し、然るべき機関に託す」事を決める。岡部の固い決意に安堵するラボメンたち。喧騒が過ぎ、元の穏やかな日常に戻ったかに思えた一同だったが、そんな状況を一変させる、恐ろしい出来事が彼らを待ち受けていたのだった…。

13. 形而上のネクローシス
ラボへの招かれざる来訪者により、岡部たちの日常が一変する。岡部は最悪の結末を回避するため、苦肉の策として、タイムリープマシンによって過去の改変を試みる。幾度もタイムリープを繰り返す岡部だったが、そのすべてが同じ結果に収束する。果たして運命を変えることは不可能なのか?2010年8月13日、この日より、岡部の「終わりなき旅」が始まるのだった…。

14. 形而下のネクローシス
何度タイムリープしても、どのように過去を改変しようとしても、ただ一つの結果を変えられないことに絶望する岡部。それでも諦めずにタイムリープを繰り返すが、ついに心折れそうになった何度目かのタイムリープ先で、紅莉栖にこれまでの経緯を打ち明ける。それを聞いた紅莉栖は…。

15. 亡環上のネクローシス
鈴羽の衝撃の告白に驚く岡部と紅莉栖。彼女から与えられた情報によれば、まゆりの死を回避するためには、IBN5100が必要との事。IBN5100を手に入れるために、岡部たちと別れて探しに行くという鈴羽。そんな中、鈴羽が父親に会いたがっている事を思い出したまゆりは、何とか別れの前に父親と会わせてあげたいと提案する。唯一の手がかりであるピンバッジをもとに、岡部たちは父親探しを始めるのだが…。

16. 不可逆のネクローシス
ピンバッジを頼りに鈴羽の父親を探す岡部たち。父親と思われる人物に辿りつくヒントを得るも、その正体はわからないまま、鈴羽との別れが近づいていく。そんな中、まゆりが唐突に「鈴羽の父親がわかった」と言う。その人物は、誰もが思ってもみなかった意外な人だった。そして無事に鈴羽は父親と感動の出会いを果たし、岡部たちに別れを告げるのだが…。

17. 虚像歪曲のコンプレックス
何度タイムリープしてもまゆりを助けられない事に絶望した岡部は、これまでの経緯を紅莉栖に相談する。そんな岡部に紅莉栖は「これまで送ったDメールを全てさかのぼって取り消せばまゆりの死を回避できるのでは?」との仮説を提示する。そして岡部は、まずはフェイリスが送った内容不明のDメールを取り消すために、「雷ネットアクセスバトラーズ」の大会が行われている会場に向かい、フェイリスが送ったDメールの内容を聞き出すのだが…。

18. 自己相似のアンドロギュノス
続いてるかのDメールを取り消すようるかにお願いに行く岡部。だが、るかが出した条件は「岡部が一日だけるかとデートをする」というものだった。初デートに戸惑う岡部は、紅莉栖やダルから様々なアドバイスを受け、デート当日に臨んだが、結果は散々なものに。思い立った岡部は、改めてるかに会いに柳林神社に向かう。

19. 無限連鎖のアポトーシス
ついに残りのDメールはあと一つ、萌郁が送ったものだけとなる。萌郁を探し、ようやくアパートを突き止める岡部。Dメールの内容を知るため、萌郁から携帯を奪おうとして彼女と乱闘となる。萌郁の身の上話など、様々な話を聞き出した後、ようやくDメール取り消しメールを送る事ができた岡部だったが…。

20. 怨嗟断絶のアポトーシス
萌郁からIBN5100が大ビル前のコインロッカーの中にある事を聞き出した岡部は、さっそく現地に向かい、ロッカーを破壊して取り出そうとする。だが、紅莉栖のアドバイスで、ラウンダーの指揮官である“FB”の正体を突き止めるために、ラウンダーがIBN5100を回収に来るまでロッカーを見張る事に。苦労しながらもなんとか尾行を成功させ、ようやく“FB”の正体を付きとめられたかに思えたが…。

21. 因果律のメルト
ダイバージェンス1%の壁を超え、まゆりが死なないβ世界線へ移動するために、IBN5100を使ってSERNのサーバーへハッキングを試みる岡部たち。そんな中、岡部はβ世界線への移動に伴う、あるリスクに気付き、ダルによるハッキングを一旦中止させるのだが…。

22. 存在了解のメルト
ラジ館の屋上で一人佇む紅莉栖を見つける岡部。話を始める2人だったが、突如降りだした大雨により、屋内へ移動する。岡部のびしょ濡れになった白衣の肩口が破れているのを見つけた紅莉栖は、自前のソーイングセットで破れた部分を縫うことに。暗闇が二人を包む中、紅莉栖は岡部にある決意を伝える。

23. 境界面上のシュタインズゲート
思いがけない人物からの連絡を受け、ラジ館の屋上、タイムマシンの前に集まった岡部・まゆり・ダルの3人は、そこで驚くべき説明を受ける。その内容とは、アトラクタフィールドの影響を受けない唯一の世界線「シュタインズ・ゲート」に到達する事で、再び未来を変えることができる、というものだった。最後の決断を迫られた岡部が選んだ行動は……?

24. 終わりと始まりのプロローグ
いよいよ最終ミッション「オペレーション・スクルド」を実行に移す岡部たちラボメン一同。果たして岡部は「シュタインズ・ゲート」に到達する事が出来るのか……?

投稿 : 2025/01/04
♥ : 11

92.9 1748 コードギアス 反逆のルルーシュ R2(TVアニメ動画)

2008年春アニメ
★★★★★ 4.4 (10688)
36148人が棚に入れました
ブリタニアの皇子として生まれながらも、ブリタニア帝国に復讐を誓い、反帝国組織「黒の騎士団」のリーダー“ゼロ”として覇道を歩もうとするルルーシュ。元日本首相の息子でありながら、ブリタニア軍に所属し、正直さと公平さを捨てることなく正道を歩もうとするスザク。二人の歩みが超大国ブリタニア帝国、そして世界を震撼させる!
対峙したルルーシュとスザク、そして響く銃声…あれから1年、ルルーシュとスザクは生きていた。スザクは帝国直属の騎士のひとりになっており、ルルーシュは以前と変わらず学園に通っていた。ただし、弟のロロ・ランペルージと一緒に…!
彼らに何が起きたのか、何が起きていくのか…。

声優・キャラクター
福山潤、櫻井孝宏、ゆかな、水島大宙、小清水亜美、緑川光、保志総一朗、後藤邑子、大原さやか、折笠富美子、杉山紀彰、渡辺明乃、真殿光昭、田中一成、高田裕司、二又一成、島香裕、私市淳、中田譲治、倉田雅世、新井里美、若本規夫、名塚佳織、千葉紗子、幸野善之、松元環季
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

世界で一番面白い 《少年(学生)の物語》

※1-2期・OVAを併せた感想・レビューです。

◆内容要約

※以下の2つのナレーションが本作の内容を要約していると思います。

{netabare}「心の誓いは嘘を吐かない。
ルルーシュ・ランペルージの誓いとは、母の仇を討ち、妹ナナリーの幸せに過ごせる世界を作ること。
そのために、彼はギアスを手に入れた。
そのために、彼はゼロとなり行動を起こした。
少なくとも、それが当時のルル-シュの真実であった。」{/netabare}
(R2-TURN8冒頭のナレーション)

{netabare}「ブリタニアの少年ルルーシュは二つの道をもっている。
ひとつは母の仇(かたき)を捜す過去への道。
もうひとつは妹ナナリーが幸せに過ごせる場所を作るための未来への道。
ルルーシュが過去と未来を見据えたとき、彼だけが選べる現在の道は、世界の破壊か、世界の構築か。」{/netabare}
(R1-STAGE17冒頭のナレーション)


◆シリーズ別評価

第1期(25話)  ★★ 優 4.9 (98点相当)
第2期(25話)  ★★ 優 4.5 (90点相当)
OVA  (1話)  ★  良 4.0 (80点相当)
----------------------------------------------
総合       ★★ 優 4.7 (94点相当)

※第2期(R2)は、第1期(R1)と比べると幾分シナリオの大味さが気になるので点数を下げています(それでも★★評価)
※OVAは「ナナリー in ワンダーランド」 (2012年7月)。
※なお、「コードギアス外伝 亡国のアキト」(劇場版全5章)は別途一括評価予定。


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回


==== コードギアス 反逆のルルーシュ R1 (2006年10月-2007年3月、7月(24-25話)) ====

{netabare} - - - - - - - OP「COLORS」、ED「勇侠青春謳」 - - - - - - -

STAGE 1 魔神が生まれた日 ★ 皇歴2010年の日本、皇歴2017年のエリア11、シンジュク事変、ギアス契約 
STAGE 2 覚醒の白き騎士 ★★★ 続き、嚮導兵器ランスロット出撃、第3皇子クロヴィス
STAGE 3 偽りのクラスメイト ★ ルルーシュの行動動機(亡き母の復讐、妹ナナリーの幸福)、カレンの生徒会参加
STAGE 4 その名はゼロ ★★ 冤罪のスザク救出、相容れないルルーシュとスザクの考え方
STAGE 5 皇女と魔女 ★★ C.C.再登場、第3皇女ユーフェミアとスザクの出遭い、第2皇女コーネリア着任
STAGE 6 奪われた仮面 ☆ スザク転入、学園内の仮面騒動、ルルーシュの敵(シャルル皇帝)
STAGE 7 コーネリアを撃て ★ 母の死(皇暦2009年)、C.C.の謎会話、サイタマゲットー包囲戦(組織の力に敗北)
STAGE 8 黒の騎士団 ★★ 日本解放戦線ホテル占拠、ランスロット突入、ユフィとゼロの会話、組織の力の獲得
STAGE 9 リフレイン ☆ 黒の騎士団の民衆人気、カレンの家庭事情
STAGE 10 紅蓮舞う ★★ 日本解放戦線ナリタ本拠地包囲、黒の騎士団の奇襲 
STAGE 11 ナリタ攻防戦 ★★ 続き、ランスロットの救援、C.C.の真名 ※戦術ものとして◎
STAGE 12 キョウトからの使者 ★ キョウト六家・桐原との対面、シャーリーの父の死

- - - - - - - OP「解読不能」、ED「モザイクカケラ」 - - - - - -

STAGE 13 シャーリーと銃口 ★ ルルーシュ&カレンの迷いと覚悟、港湾の囮作戦
STAGE 14 ギアス対ギアス ★★ シャーリーの動揺、マオの策略、ルル忘却
STAGE 15 喝采のマオ ☆ ギアス暴走(STAGE22の伏線)
STAGE 16 囚われのナナリー ★ ルルーシュ&スザクの共同作戦、スザクの秘密
STAGE 17 騎士 ★★ 藤堂奪取作戦、白兜のパイロット(スザク身ばれ)、ユフィの騎士選び
STAGE 18 枢木スザクに命じる ★★ 騎士任命式、式根島、ランスロット捕獲作戦、非情の宰相(第2皇子シュナイゼル) 
STAGE 19 神の島 ★ 神根島、ユフィとルルーシュ再会、カレン身ばれ、ガウェイン強奪 ※但し神根島移動の説明なしは× 
STAGE 20 キュウシュウ戦役 ★★ 中華連邦傀儡「新日本」フクオカ司令部急襲、ユフィ告白、ゼロ&スザク共同作戦
STAGE 21 学園祭宣言! ★ ユフィ&ナナリー再会、行政特区「日本」建設宣言 ※日常回として○
STAGE 22 血染めのユフィ ★★★ 行政特区「日本」発足式典、ギアス暴走、神楽耶登場、日本人殺戮命令
STAGE 23 せめて哀しみとともに ★★★ ユフィ死亡、合衆国日本建国宣言、V.V.登場、トウキョウ租界攻略戦開始(Black Rebellion)

- - - - - - - OP「瞳ノ翼」、ED「モザイクカケラ」 - - - - - - -

STAGE 24 崩落のステージ ★★ 続き、政庁屋上庭園の戦い(対コーネリア)、ナナリー誘拐
STAGE 25 ゼロ ★★ 続き、ルルーシュ戦場放棄、再び神根島へ、ゼロの正体{/netabare}
--------------------------------------------------------------
★★★(神回)3、★★(優秀回)11、★(良回)8、☆(並回)3、×(疑問回)0 ※個人評価 ★★ 4.9


※R2のTURN1~4が、R1のSTAGE1~4を意識的にトレースした内容となっている点にも注目。


============== コードギアス 反逆のルルーシュ R2 (2008年4-9月) ===========

{netabare} - - - - - - - - OP「O2」、ED「シアワセネイロ」 - - - - - - - -

TURN 1 魔神が目覚める日 ★ 一年後(皇歴2018年)、ゼロ奪還作戦、ゼロ復活
TURN 2 日本独立計画 ★ 皇帝のギアス(記憶書換)、ヴィンセント(ロロ搭乗)、カラレス総督死亡
TURN 3 囚われの学園 ★ 中華連邦総領事館立て籠もり、シャーリーとのワイン選び、偽りの弟のギアス
TURN 4 逆襲の処刑台 ★ 黒の騎士団団員救出作戦、星刻(シンクー)の狙い、ロロ攻略
TURN 5 ナイト オブ ラウンズ ★★ 黒の騎士団再出発、スザク復学、ジノ&アーニャ来援、ヴィレッタ攻略、スザクの罠
TURN 6 太平洋奇襲作戦 ★★★ ナナリー奪還作戦、ナナリーの望む世界 ※TURN1~4までの微妙さを払拭する面白さ
TURN 7 棄てられた仮面 ★ 行政特区「日本」再建声明、心が折れたルルーシュ、立ち直り、海上臨検・戦闘
TURN 8 百万のキセキ ★★ ゼロ追放の確約、設立式典、スザクの判断、百万人の退去 
TURN 9 朱禁城の花嫁 ★ 蓬莱島貸与、策士シュナイゼルとの手合わせ、婚礼場への乱入
TURN 10 神虎輝く刻 ★★ 花嫁強奪、ゼロvs.星刻知略戦、撤退、天帝八十八陵篭城戦
TURN 11 想いの力 ★★ 続き、戦術vs.戦略、星刻との盟約、ギアス教団探索
TURN 12 ラブアタック! ★ キューピットの日、ミレイ卒業、ギアスキャンセラー ※コメディ回として○

- - - - - OP「WORLD END」、ED「わが﨟たし悪の華」 - - - - -

TURN 13 過去からの刺客 ★ 「神を殺す」計画、ジェレミア卿の目的、シャーリー死亡
TURN 14 ギアス狩り ☆ ギアス教団本部襲撃、V.V.出撃、アーカーシャの剣
TURN 15 Cの世界 ★ 皇帝シャルルとの対決、V.V.死亡、C.C.の過去と願い、フレイア完成
TURN 16 超合集国決議第壱號 ★ 日本解放決議、シャルル復活、スザクへの依頼
TURN 17 土の味 ★ 枢木神社での対面、日本解放作戦開始、トウキョウ租界強襲
TURN 18 第二次東京決戦 ★★ ナナリー救出指令、カレン戦場復帰、ギアスの呪い(フレイア弾頭発射)
TURN 19 裏切り ★ 一時停戦、ゼロの正体暴露、黒の騎士団の動揺、ゼロへの反旗、ロロ死亡
TURN 20 皇帝失格 ★ 閃光のマリアンヌ復活、シュナイゼルの皇位簒奪決意、みたび神根島へ
TURN 21 ラグナレクの接続 ★★ 続き、Cの世界=集合無意識=神、シャルル&マリアンヌの最期、一ヶ月後の帝都
TURN 22 皇帝ルルーシュ × Zero Requiem計画、超合集国会議、シュナイゼルの挑戦 ※ナナリー生存は都合良過ぎ×
TURN 23 シュナイゼルの仮面 ★★ ルルーシュvs.シュナイゼル最終決戦
TURN 24 ダモクレスの空 ★ 続き、ナナリーとの対面
TURN 25 Re; ★★ 続き、世界制覇、ルルーシュの最期、後日譚{/netabare}
--------------------------------------------------------------
★★★(神回)1、★★(優秀回)8、★(良回)14、☆(並回)1、×(疑問回)1 ※個人評価 ★★ 4.5


=== コードギアス 反逆のルルーシュ OVA ナナリー in ワンダーランド (2012年7月) ===

全1話 ★ 4.0 ※各キャラクターの特徴を上手く描き出したコメディ


◆総評

これは単に私の個人的な印象ですが、本作の主人公ルルーシュって、19世紀フランスの大作家スタンダール著『赤と黒』の主人公ジュリアン・ソレルとイメージがダブるんです。
で、はっきりいって、本作は『赤と黒』よりずっと面白い。
(※因みにスタンダールは、この『赤と黒』か、もうひとつの代表作『パルムの僧院』が、世界の十大小説を選定ときに必ず選ばれる近代文学史上の超ビッグネームです)

レビュータイトルに「少年(学生)の物語」と書いていますが、別にアニメ作品に限らず、ルルーシュみたいな「少年ないし青年の物語」として私が別格で面白いと思っているのが、

・スタンダール『赤と黒』
・バルザック『ゴリオ爺さん』
・フローベール『感情教育』

という、いずれ劣らず有名な3本のフランス近代小説なのですが、本作『コードギアス』は、この3本よりも面白かった。
私が本作を初めて視聴した後、さっさと小説を捨ててアニメに走ってしまった訳ですね。

一部で「中二病アニメ」と呼ばれている本作ですが、今回は私のレビューまで中二病っぽくなってしまいました笑。

本作のより纏まった内容考察・感想は、R1のレビューの方に書こうと思っています。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 32

hiroshi5 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ストーリー、キャラクターの思想・概念の変化に関する問題について。そして、それらを凌駕するストーリー進行の真実(?)

ふ、不覚にも感動してしまいました(;´∀`)!!
こういうタイプの作品には免疫があると言いますか、論理や思想で物語を展開させるストーリー内から矛盾点を見出して客観的に評価するというのが自分の得意分野だったのですがこの作品は特別だったようです。

まぁ色々ツッコム点は見出しましたが(↓)それは後半で話ます。それよりもこの作品の良い点を上げて行きましょう。

まず、ストーリー展開ですね。そのあまりの早さに時々着いて行くのが大変なくらいでした。
このストーリー展開の早さについても後ほど話ますが、これこそこのアニメを視聴者を感動かつ熱くさせるもっとも大きな要因になっていると思います。

次にキャラ。
これは色々ツッコムところがありました。あまりに展開が壮大で、個人単位で描かれていたのは極一部のキャラだけになっていましたね。まぁこれは仕方が無い事でもあります。
個人的にはジェレミー卿が一番好きでした。作品内で忠誠というもっとも常識っぽい大義名分で戦闘を続ける様は一期より格段にカッコよく、また作品唯一の鎮静剤にも感じられました。

さて次は作画、音楽、声優を一気に説明を・・・したいところなんですが、何分他に書きたいことが一杯あるので控えさせてもらいます。まぁ特別秀でたところは無かったかと。声優はキャスト配分については合格点だということだけは書かして貰いますが。


さぁ、いよいよ私の時間がやって来ました。
まず最初にアニメの流れをさらっと洗いたいと思います。っとことでここからネタバレです!

↓ルルーシュの記憶回復
↓黒の騎士団復活
↓ナナリーが行政特区日本建設決定
↓黒の騎士団、一時的に中華連邦と合併
↓ブリタニア、中華連邦と政略結婚
↓中華連邦の一部内乱
↓内乱組み、黒の騎士団の乱入により、ブリタニア&中華連邦に利用される
↓戦争勃発、結果黒の騎士団中華連邦統治
↓ルルーシュ、ギアス嚮団を奇襲、V2殺傷
↓シャルル皇帝の思想、能力が明らかになる
↓超合衆国設立
↓超合衆国vs神聖ブリタニア王国→引き分け(フレイヤ)
↓黒の騎士団内部分裂
↓シャルル皇帝vsルルーシュ
↓ルルーシュ皇帝誕生→独裁政治開始→既得権益の排除
↓シュナイゼルvsルルーシュ
↓ルルーシュが武力による世界征服(民衆の憎悪を一点に集める)
↓新たなゼロ、ルルーシュ皇帝殺害
↓世界は平和

いや~ホントこれだけの内容を良く2クールに入れたもんだw
そして注目すべきは一連の出来事が綺麗に関連しているように見えることです。しかし、辻褄が合っているように見えるのは眼の錯覚です( ー`дー´)キリッ
まぁここまで極論言うつもりはありませんが、何点かは考えれば納得いかない点がある。

まぁ初めにルルーシュの記憶が戻ること。シャルル皇帝はルルーシュがC2の死に関与する為ルルーシュを殺すことが出来なかったのは事実。分からないのはなぜあのタイミングだったのか。記憶を戻すなら早ければ早いほど良い筈。なんせ日々日本の勢力は縮まっているのだから。

次に最後の終わり。本当に民衆の憎悪であるルルーシュ皇帝が希望の象徴であるゼロに殺されれば世界は平和になるのか?これはなかなか難しい問題だと思います。なにせ世界の情勢というものが日本とブリタニア以外ほとんど描かれていなかったから。しかし、もし私がEU側の人間ならば、ブリタニア皇帝死亡と共に超合衆国に独立を申し出ることを考えるだでしょうね。超合衆国の一部になるということは自国の意見を通すのに世界各国の3分の2もの賛成を得なければ可決されないことを意味します。なにせ民主主義ですから。

他にも語りたいことはあるんですが、この話に付いてはここら辺で切り上げます。

さらに話の中に存在した出来事だけでなくキャラが持っている思想や概念といったものがコロコロ変わったのもこの作品の問題点ではありましたね。

ルルーシュ
↓ナナリーの為に平和で平等な世界を作る
↓自分にとって大切なものを守る為に世界を作る
↓手段を選ばず己の道を突き進める(覇道)

スザク
↓ナイトオブラウンズで一番になり、日本を再構築
↓ナナリーの掲げる行政特区日本に賛同
↓手段を選ばず己の道を突き進める

ナナリー
↓合法なやり方で日本再構築
↓兄を救う為ならなんでもやる

シャルル皇帝
↓偽りを捨て己が思うままに正直に生きるべき

まぁ主要な考え方はこんなものですかね。
気付いている人もいるかも知れませんが、スザクやルルーシュからは話半ばで持っていた臨機応変に嘘と真実を使いわける効率主義とでも言える思想については書いていません。というかここで書いています。これについてはあまり触れたくないので。

さて、上の様に色々な主義、思想が存在した今作品ですが、初期段階で各キャラが持っている概念では誰一人この世界を改変することは無理でしょう。
ルルーシュの功利主義でも、スザクの理想論でも無理です。
ルルーシュの場合は他人に対しては良い成果を出せますが、そこに大切な人物が関与してくると急に弱くなる。
スザクの場合、ラウンド1になってエリア11を手に入れたところで国民意識を改変することは不可能に近い。良い例がアメリカの黒人差別。上が急に法律や条例を出したところで、国民一人ひとりの固定観念を変えなければ差別や不平等といったものは消えない。
この意見はナナリーにも適応します。
シャルル皇帝の掲げる思想は正直言って、論外ですねw
例えば現代社会でその思想を取り入れると個人のプライバシーどころか国家機密まで露呈します。CIAなどの諜報組織はその存在意味を無くし、露呈された事実は確実に内乱または国際戦争に各国を陥れるでしょう。

じゃ、話の後半シャルルやスザクが掲げた思想が一番正しいのか?
これも正直答えられない質問ですね。
功利主義者は正解と、道徳主義者は不正解と応えるのがオチです。

しかし、このアニメが伝えたかったものを考えると少し見えて来る物はあるかもしれません。
アニメの終盤で各キャラのシュートカットが色々出てきていましたが、アメリカの映画でもある様に、そのちょっとしたカット場面に映画そのものの答えが隠れていたりします。
まぁ、今作品ではC2が明確に「人は犠牲や代償を払い発展を続けてきた」というテーマを上げています。
シャルルは過去に、シュナイゼルは現在に、ルルーシュは未来に重きを置いたのでしょう。今作品ではたまたま答えが未来だっただけの話。そもそも哲学に答えなどないのだから。
個人的にはシャルル思想は無いですけどねw
だから今作品内ではスザクとルルーシュが取った行動は正解ということになります。
ここで出てくるのが先ほど述べたシュートカット。苦難を乗り越えて来たキャラクター達ですが、ほぼ、というか全員が笑顔だったと思います。この笑顔が何よりの証拠でしょうね。

話はそれますが三つの論理を今の日本に照らし合わせるとシュナイゼルですかね。保守派傾向を強い日本は短期的利益を見つめ、現状維持という手段をとっているような気がします。

話を戻します。
全25話でこれだけキャラクターの思想や概念が変わったアニメは初めてでした。
これだけコロコロ変わられると、やはり見てる側もキツイ(;^ω^)
これらのストーリー問題とキャラの問題をカバーしているのが超スピーディー展開です。まぁ要は勢いで押す!ってことです。
まぁ確かに勢いで乗り越えようとして失敗している作品は沢山あります(一番うしろの大魔王とか)。ではなぜこの作品は成功したのか。
明らかに要因になっているのはキャラクターの死と次々に出される高性能ナイトメアでしょうねw
SF物で王道になっているキャラクターの死はありきたりと言っても確実にストーリーに緊迫感を与えることが出来ます。特に今回のような、ベースは生徒会みたいな日常系パターンでは。
さらに新型の機体。かっこいいし、バトルで性能が上がってることが一目瞭然ってのはやはり注目に値しますよね。

こういう風に書いてると、この作品は一回以上見ないほうがいいかもしれませんね。
内容が少し複雑なだけに気にしだすと色々見えてくるものがある。というか私はギアスが結局どこが発生源なのか理解できませんでしたΣ(゚д゚lll)ガーン

終盤は少し展開が読めてしまいますが、序盤などの勢いは凄まじく、一期はこの作品の土台でしたか無かったということがシミジミ感じられた傑作でした。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 44
ネタバレ

ぽこやん さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

世界を壊し、世界を造る。全ての憎しみは自分の元へ・・・

まず、ここまでの練りこまれた世界観とストーリーは圧巻の一言。

第一期よりの続編となりますが、内容の濃さが違いすぎる・・・

一見はSFロボットアニメ、が、このアニメの本質はロボットの単純なバトルなどではありません。

「世界の為に、最強の敵を倒す」

そんな内容のアニメはいくらでもありますが、

「世界の為に悪を演じ、愛する人、仲間、友達に対して仮面を被り、世界を救う、そして造る」

この表現が正しいかどうかはわかりませんが、主人公・ルルーシュの信念、強さ、決意、行動・・・全てが心を打ちます。

息をつかせない展開と、素晴らしいストーリー構成が、いつまでも印象に残りますね。
ここまでの世界観の表現は、他の作品とは比になりません。

「撃っていいのは撃たれる覚悟のあるやつだけだ」

主人公ルルーシュの全てを表現する言葉ですね。

「俺は世界を壊し、世界を、造る・・・」

それが実現された時、自分は涙が止まりませんでした。

それではレビューに移ります。

{netabare}先に書いたとおり、この作品は前作よりの続編になります。
前作の最終話が「?」な形で終わっていたので、始まった時点では、自分の中での評価は低かったのですが・・・

今作を見終わった時、前作の全ての布石がつながり、終わり方にも納得ができました。

主人公は・ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、元神聖ブリタニア帝国第11皇子。
普通の学生として、妹とともに暮らす、頭の良い男子生徒といった設定。

なぜ一国の王子が学生として暮らしているのかは、前作参照ですね。

少し前作の話をしておくと、C.C(シーツー)という謎の少女と出会い、ギアスという異能の力を手に入れ、仮面の男「ゼロ」を名乗り祖国に反逆する。

ゼロの元にはいつしかブリタニア帝国に反逆する人々が集まり、黒の騎士団という反ブリタニア勢力が出来上がっていく、といった話。

正直前作の流れは、ありがちな話ではあるかなぁという印象。

ギアスという異能はこのアニメに必須なものではあるのですが、主人公ルルーシュ以外にも様々なギアスは存在します。

ルルーシュのギアスは「絶対尊守」。
どんな相手にでも、いかなる命令にも従わせることができる能力。
ただし、一度ギアスにかかった相手を、再度ギアスの力で従わせることはできない。
ギアスを使うには、直接相手の目をければならないなどの制約も存在します。
ギアスにかかった人間は、その前後の記憶がなくなる、これは最終話への布石になります。

ストーリー上、様々な起点や転機、見どころはありますが、やはり一番は最終話でしょう。

最終話「Re;」
前作の最終話は「ゼロ」だったので、もしかしたらそれに向けられたものなのかも知れません。

まずルルーシュが世界を変えようと思った当初の目的は、妹であるナナリーのためでした。
物語が進むにつれ目的は変わっていくのですが、やはりルルーシュの根本にはこの思いがあったのだと思います。

しかし今作では、守るべきはずのナナリーは、ルルーシュの敵となります。

ブリタニア帝国は世界を手に入れるため、「ダモクレス」という兵器を手にするのですが、このシステムを使うには「フレイヤの鍵」が必要になります。

ナナリーは最終的にフレイヤの鍵を手にし、自らの意志でそれを発動させます。
ここだけ聞いていると、ナナリーは悪人になったの?となりますが、そうではありません。

共に世界を変えたい、と思った二人の、辿り着いた結果が違っただけなのです。

最終話のルルーシュとナナリーの会話で、
「それは卑劣なのです。人の心をねじ曲げ、尊厳を踏みにじるギアスは」
「ではダモクレスはどうだ? 強制的に人を従わせる、卑劣なシステムではないのか?」
「……ダモクレスは、憎しみの象徴になります」
「……っ!」
「憎しみは、ここに集めるんです。みんなが明日を迎えるためにも」
ここでルルーシュは気付きます、ナナリーも同じなのだと。

そして全てを悟ったルルーシュは、
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる! ダモクレスの鍵を渡せ!」
最愛の妹に、ギアスをかけます。

ナナリーの正義の在り方は少し疑問がありましたが、正義というよりは、やはり兄であるルルーシュを救いたかったのではないでしょうか。
最終話に至るまでに、ルルーシュはすでに世界の敵となっていますから。

ルルーシュも同じなのでしょう、同じ覚悟を持った妹に全てを背負わせるのならば、妹にギアスをかけ、自分が憎しみの象徴となる・・・

ギアスにかかった状態のナナリーにルルーシュがかけた言葉、言葉が伝わらない時だからこそ伝えた言葉。

「ナナリー、お前はもう立派に自分の考えで生きている。
 だからこそ俺も、俺の道を進むことができる。
 ……ありがとう、愛してる、ナナリー」

これは印象的でしたね・・・。

そして我に返ったナナリーに背を向け、ダモクレスの鍵を手に、ルルーシュは妹から離れて行きます。

全てを背負った背中、ナナリーはルルーシュを罵りますが、兄に止まって欲しかったからこそ、なのだと思います。

そして最終局面。

ルルーシュの目的は「ゼロレクイエム」という言葉で表現されています。

「我が覇道を阻む者は最早存在しない。
 そう、今日この日、この瞬間を以て、世界は我が手に落ちた!
 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。
 世界よ、我に従え!」
世界はルルーシュのものとなったのですね。

では、なんの為にルルーシュは世界を手に入れたのか?
そう、世界を壊し、世界を造る為です。

前作では敵であった、親友である枢木 スザク(くるるぎ スザク)と共に、ルルーシュが計画した方法。

仮面の男である「ゼロ」をスザクが演じ、憎しみの象徴となった自分を殺させる、それによって世界から憎しみの連鎖を断ち切る。
そして世界は軍事力ではない方法で、明日を迎えることができる、そう考えたのですね。

人々にギアスという呪いをかけた代償として、ルルーシュは世界のために自らの命を断つという選択をしたわけです。

そしてスザクの剣はルルーシュを貫き、仮面の中でスザクは涙を流します。

このあたりで二人の会話があるのですが、これは是非本作で見て頂きたいですね。

そして最後に。

ナナリーには人の手に触れると、その人物の記憶が流れ込む・・・という体質があります。
剣を引きぬかれたルルーシュは倒れ、ナナリーの元に滑り落ちます(ここあたりの描写は、本作でどうぞ)。

ナナリーはルルーシュの本心をまだ知りません、最愛の兄が死ぬ瞬間まで、それを知ることはなかったのです。
そっと呼びかけても答えない兄の手をそっと握ったナナリーに、一連の記憶が流れ込んで・・・

この辺りの描写は見事の一言、そして声優さんの演技も素晴らしい、ナナリーがルルーシュに対してかけた言葉、鳴き声、ここで涙が出ました。

練りこまれ構成されたラスト、そこに至るまでの脚本、前作よりの流れや人間関係、神アニメといわれる所以はここにあります。
{/netabare}

このアニメは100%完璧なのか?といわれれば、もちろん疑問が残ることもあります。

ですがそれを「まぁいいか」と捨てるのではなく、逆に考えてしまうのは、やはり脚本が本当に素晴らしいからこそ・・・ではないでしょうか。

すべてにおいて良い部分と悪い部分、それは当然に存在するもので、更には別々に判断するべきものであり、コードギアスの場合は、自分の中で評価するべき点のほうが多かった・・・というだけの話です。

相殺されたわけではなく、全体的な判断として「良作」だと感じました。

いやー長くなってしまいましたが、本当にいい脚本のアニメと出会いました。
是非ご覧になってみて下さい。

それではまた、どこかのレビューで!

あ、そうそう。
この作品、TV版とDVD版で、本当に細かな描写変更が多数あります、キャラの表情であったり、色々です。

全部探せたら凄いですねw

投稿 : 2025/01/04
♥ : 17

92.4 1748 CLANNAD AFTER STORY-クラナド アフターストーリー(TVアニメ動画)

2008年秋アニメ
★★★★★ 4.4 (10457)
34026人が棚に入れました
『CLANNAD ~AFTER STORY~』は、「CLANNAD -クラナド-」の第2期シリーズ。「世界の終わりは悲しい色に満ちていた」あの感動のストーリーが再び――。制作は第一期に引き続き京都アニメーションが担当し、脚本も引き続き原作ゲームの大ファンと公言している志茂文彦氏という、黄金タッグで作られている。
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

哀しみと涙に満ちてさえ世界は美しい

レビュータイトルはことみパパのセリフから

本作の『渚が洗濯物を抱えて微笑んでいる』一枚絵
ただそれだけの一コマがどれだけ尊いことなのか・・・
そう感じさせてくれただけで充分かな、と全話観終わっての感想です。


名声をもとに視聴に至る・・・
一定数は評判通りの印象を作品から受け取る一方、あぶれる観客も出てきます。
とりわけ4クール分となれば、あぶれた場合に期待からの反動は大きいものとなり、視聴後はなんともやるせない気分になります。それはできれば避けたいっ ( ゚Д゚)
視聴までのハードルが高い作品というのはあって、『コードギアス』そして本作『CLANNAD』あたりは代表格ではないでしょうか。1クール全盛時代に、両方とも途中参加は忍びない大作です。見逃してしまった評判の高い大河ドラマをイチから追いかけるような感覚に近いかもしれません。

話数の多さ。だけでなく、関連情報に触れた時の目に飛び込んでくる熱量の高い推薦の声・声・声。「観たい」んだけれど知らず知らずに後回しにしていた作品でした。


 “名作を名作のまま堪能したい”


せっかく視聴するんだからこれに尽きます。『CLANNAD』と『CLANNAD ~AFTER STORY~』堪能する上での障壁と思しきものは3つ。

1.キャラデザイン
という声が多いですね。私はあまり気になりませんでした。内容を知らないウチの家族にチラ見されるとちょっと恥ずかしいかな!?くらいです。

 ⇒“3日で慣れる”と言い聞かせてみてはいかがでしょうか。


2.キャラの行動
アニメアニメし過ぎてシリアスパート外でのキャラ付けにリアリティを感じにくいのです。

 ⇒おとぎ話と割り切って、私は考えるのを止めました。


3.{netabare}結末の唐突感
これは障壁というよりも本作品に限らずあり得ることですし、受け取り方でこればかりはしゃーないです。{/netabare}

細かいのを挙げればキリがないですが上記3点をスルーできれば、家族愛という普遍的テーマを扱う本作を“名作”として楽しめるんじゃないかと思います、たぶん。。。
前置き長くなりすんません。私は思いっきり堪能しました。たしかに名作の名に恥じない作品だと思います。

親、兄弟、姉妹、妻、夫、そして子供。家族を大切にしようと思うのではないでしょうか。
そこに仲間を加えて、周囲の身近な人たちが自分にとっても向こうにとってもかけがえのない大切な存在だと思える。キャラの見た目やおかしな行動などを軽く超えて訴えてくるものがありました。

軽いお話ではないですし、この際泣ける泣けないは置いとくとしても、“生きていくこと” “人との係わり” についてポジティブなメッセージを発していることは確かで、視聴する価値が充分にあるオススメアニメです。

また、主人公らの高校時代にだいぶ時間を割いているものの、老若男女いろんな人にストーリーが用意されてたり、主人公らにも高校卒業後の人生イベントがいくつか控えてたりと、視聴する方の年齢や家族構成によって受け取り方に幅のある奥行きのある仕上がりになってます。




以下、ネタバレで感想。
どうみてもエモいシーン{netabare}(渚の出産、汐と朋也のあれこれなど){/netabare}については出尽くした感があるので割愛します。良いシーンですよ。


■岡崎と渚の補完しあう関係
{netabare}岡崎はこの街が嫌いでした。対照的にこの街(学校)が好きと言う渚。ただ好きでい続けられるかは本人も自信がありません。
「全部変わらずにはいられない それでもこの場所を好きでいられますか?」
そこに岡崎が「見つければいいだろ次を」
瞬間モノクロの画面がカラーに転じて春の桜の風景が立ち現れる冒頭のシーン。以後何回か繰り返される重要な場面です。

二人には、こんな印象を持ちました。

岡崎:現状否定。場所を変えればなんとかなると思ってる人。
渚:現状肯定。場所に留まり続けるために努力しようと思ってる人。

家庭環境の差そのまんまです。見た感じ渚はふわふわしてる一方で岡崎は行動力あってとまさにミスリードなのですが、覚悟や芯の強さで渚はブレず、対する岡崎は場当たり的だったのが実状でした。でも悪いことではありません。渚も行動に落とし込む作業が苦手なためお互い足りない部分を補えばよいのです。環境を変えて上手くいくことだってあります。

完走してみると、そんな岡崎が現状を受け止め、受け入れ、本当に大事なものを見つけるまでの物語だったのだと思います。

現状を受け入れたくないなんてこといくらでも思い当たる節があります。{/netabare}


■不協和音の正体が判明してから押し寄せる感慨深さ
ヒロインたちの行動にリアリティが乏しくシリアスパート以外キャラへの共感がしづらい。そこはおとぎ話と都合よく脳内変換することで不問にしたのは先に申し上げた通りです。
2期AS中盤以降シリアスだらけになるためそこでまぁいっかになるか、それまでの負債のせいで低空飛行してしまうかというのはあるでしょう。そんなの全く気にならなければ、無視してもらって構いません。

{netabare}こういった極端なキャラさんは現実世界を生きていく上での “理不尽さ” の表れのように思えます。どういうことか?
アニメだからと言い訳はたつものの、例えばリアルで風子やことみのような同級生がいたら「お薬足りてますか?」ですし、杏にバイクで轢かれたら保険屋さん呼んで首痛いとなるでしょう。平たく言うと“あり得ない”人達です。そんな彼女らを岡崎(春原もね)は邪険に扱いません。

【いいことがあった時や幸せの瞬間に生じる光の玉 手に入れると願いがかなう(8話の宮沢有紀寧)】

唐突にも見えるラストシーンもこれまでの光の玉収集の積み重ね。

1.理不尽さの象徴たるサブヒロインらに向き合って、いいことや幸せの瞬間を迎える。
2.嫌いなこの町(現状)を受け入れることで、いいことや幸せの瞬間を迎える。

だいぶおかしなところもある仲間を大切にする(1.)、受け入れがたい現状を受け止め前を向く(2.)。そうやって徳を積んでいった結果のラストシーンだったと思えてくるのです。

『置かれた場所で咲きなさい』
数年前のベストセラーで内容もタイトルから想像できるような書籍です。
生きていればいろいろあって、恋愛なら意中の人と出会った後、付き合ってからが、結婚してからが、そして子供が産まれてからがそれぞれ本番でしょう。
置かれた場所で懸命に咲く。付き合うまで、結婚するまでを追う作品が大半の中で、その後の『AFTER STORY』を消化して提示できた作品は稀であります。

本作が名作たる所以なのでしょう。{/netabare}


{netabare}またこのことは岡崎だけに限りません。むしろ岡崎がやらかしたことを周りの助けがあって救われることもありました。
例えば“5年もの間、実娘(兼愛妻の忘れ形見)をほったらかしますか?”
ただしここでは岡崎への文句よりも古河夫妻の献身に触れたいです。夫妻の視点だとネグレクトな義理の息子と乳呑み児な孫娘の存在は“受け入れ難い現実”です。結果は観ての通り。主人公だけではなく他の登場人物も立派でした。

人は一人では生きていけないとか絆だとか言うは易しですが、きちんと具体的に作品の中で描いてはじめて説得力がでてきます。{/netabare}

いくら理不尽だろうが、その場から逃げることはできない。逃げたいという誘惑を振り切って留まり覚悟を決める。
岡崎が否定した“この街”とは、理不尽であり不条理な現実のことを指していると解釈しました。


■親が子に見せたい背中
親世代で登場するのは、渚、朋也、ことみの3家族でしょうか。この作品。一口に家族愛で済ませるのはなんか足りない気がしていて、自分が感じたのは、親の子への想いってどんなだろう?について好感のもてる演出だったところになるかと。
親が必死に子育てしているのが伝わってくるのです。

{netabare}「自分の夢をお前の夢にしたんだ」(学園祭劇での古河家)
「まだ絶望するわけにはいかなかったんですよ」「この子だけは自分の手で育て上げるから」「それでもあなたと生きることをあの子を選んだのです」(岡崎家)

ちょっとしたところでも、例えば早苗さんが秋生と朋也の野球対決で渚が割って入ろうとした時に、「男の対決は黙って見守るもの」と年長者らしい配慮を見せて退出を促しつつ、それでも残る渚に対しては何も言わず一人で退出していく、と出るとこ引くとこ緩急の使い分けが心地よかったりします。{/netabare}

脈を打つ次世代へバトンタッチのDNA。自分らが良ければいいのではなく、次に繋ぐ覚悟と行動に胸を打たれました。後世に託しているのです。

改元のタイミングでもあるのでそれに即して説明すると、、、
日本人は「続く」ことに対して当たり前のものと捉える傾向があるそうです。2000年以上、国の断絶を経験してないことが大きな理由でしょう。一方でだからこそ、国が無くなる、分割されるといった悲劇を肌感覚で理解はできなくても、「続ける」ための多大な努力を払ってきたし、またそうした努力には敬意を払う心根が根付いてます。
そこで古河夫妻と岡崎父です。子供に託した古河家、捧げた岡崎家です。私たちも普段は無自覚でもこうして親の献身ぶりを目の当たりにするとなにかしら思うところがあるのではないでしょうか。

A.孫が大きくなった時?その頃には自分死んでるから知らん
B.孫とその先の世代まで幸せに暮らせますように

極論でもB.の感覚に近い人たちの集合体が私たちであると信じたいものです。
ただもうそれは立証されてるのかもしれません。「愛してるぜハニー&マイドーター」な家族愛ではこれほどの高い評価は得られなかったと思うからです。




1期と合わせた総評となりますが、
序盤から中盤までは多くの作品で描かれてきた学園生活といったものを。
その登場人物らの人となりが浸透してから満を持してAfterstoryを。
さすがに老人期まで描くことを望むのは欲張りなことで、それでも山あり谷ありの人生の一部を垣間見せてくれた作品でした。看板に偽りなしです。


{netabare}ラストの奇跡は元気玉みたいなもんだと思ってます。コツコツ集めた光の玉が臨界点にまで達したのでしょう。
渚の出産時に「ずっと一緒にいることがやっと見つけた夢」となり、「やっと見つけた。俺にしか守れないもの」汐も同様です。
「あなたをこの町の願いの叶う場所へ連れて行きましょうか?(学園祭劇での渚のセリフ)」
汐が果てる時に、「渚!汐を助けてくれ!」と絶叫しながらの悲痛な願いが並行した幻想世界とリンクしたんかな?と。このへん解釈いろいろありそうです。
そもそも元気玉といっといて、効果はシェンロンだったりするのでやはりよくわからないですかね。
光の玉の乱舞は地面から天へと。渚も汐もアレしたのは雪降る日と絵的にも良い対比でした。{/netabare}



全編完走した私たちはきっと、after×2(仮)では、洗濯物を抱える渚に目を細めてしまうのでしょう。
ことみ父の言葉を借りれば、“この世の美しいものを最もシンプルな言葉で表現された”かのような物語でした。



最後に、、、
「私のパンは〇〇だったんですね~」の早苗さんとそれを受けての秋生の返しと毎度ナイスな大喜利を考えてくれたスタッフさんありがとうございます。



-------
視聴時期:2019年5月   



2019.05.11初稿
2019.11.21追記

投稿 : 2025/01/04
♥ : 72
ネタバレ

はあつ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

父と子の感動のエピソード~その眼差しに涙する~

Key製作のゲーム原作によるアニメドラマ。
1期(無印)の続編(アフターストーリー)です。

私は、原作ゲーム未プレイ、1期から通しで、5年ほど前に、京都アニメーション作品として初視聴しました。
あにこれで評価の高いクラナドですが、私は、素直なところ、作品の優劣を両極端に感じ、原作を知らない方への全編のオススメが難しい。

1期から2期(アフターストーリー)の前半までは、原作のゲームらしく、男子高校生の主人公が各ヒロイン毎の出来事をクリアするようなエピソードが続きます。
ここまでは、学園の日常物やコメディの好きな男性なら、じんわり胸に来る話もあり、好みに合えば楽しめると思います。(私は、コメディセンスが合わず。唯一の男友達を貶めすぎに感じる・・)

本作の高評価は中盤9話からの主人公にスポットをあてたシリアスなストーリーにあるでしょう。
ただ、そこからでも私には、登場人物達の言動が、主人公に都合が良すぎるように感じたり、リアリティに欠ける気がして、物語に入り込めずに観ていました。
しかし、17話からです。
続く18話19話まで、そんな事が気にならないくらい引き込まれました。
美しい作画と絶妙の演出。効果的なBGM。声優さんの円熟の演技。
そうして紡がれる父と子の感動の場面。
私の少ない映画視聴歴では、「ライフ、イズ、ビューティフル」「クレイマー、クレイマー」と同じくらいアニメで泣けました。

もし、キャラクターデザインが好みでないと視聴をためらわれたり、序盤を観てつまらないと断念されてるなら、ここだけは観て欲しい。
観て損はないと断言できます!
そこで、17話~19話の約1時間くらいなら観てもいい思える方のために、それまでのあらすじを以下に置いておきます。
(あくまでも、部分限定視聴用なので、個人的アレンジへのクレームはご容赦ください)

あと、これだけはお伝えしておきます。
続きが気になっても21話は観てはいけない!
せっかくの感動を台無しにするどころか怒りを覚える可能性があります。
このレビューの冒頭に述べた、両極端な私の感想はそこにあります。
もし、続きが観たいなら、最終22話はアナザーストーリーとしてご覧になってください。
(番外編のアナザーストーリー、会長編と姉妹編は良かったです~♪)

1期~2期16話までのあらすじ
{netabare}
幼い頃に母を亡くした主人公、岡崎朋也(ともや)は、高校に進学する頃から働かず酒に溺れるようになった父、直幸(なおゆき)との喧嘩による怪我で、スポーツ選手への夢を断たれ、すさんだ高校生活を送っていた。
ヒロイン、古河渚(なぎさ)は、体が弱く高校を休みがちで友達もできず孤独で寂しい日々を過ごしていた。
そんな二人が出会う。
渚は、朋也を通じることでたくさんの友達ができ、朋也の応援で諦めかけていた憧れの演劇の舞台に立つことが叶う。そして、自分に勇気と喜びを与えてくれた朋也に懸命に尽くしていく。
一方、朋也は、渚の暖かい思いやりに救われ本来の優しさを取り戻し、渚の夢に向かってひたむきに努力する姿を見て更生していく。
卒業後、朋也は電気工として働きだし、仕事での飛躍のチャンスを得るが、またしても、罪を犯した父親の検挙で挫かれてしまう。その時、自暴自棄になりかけた朋也を、励まし支えてくれたのも渚だった。
朋也は渚のために生きることを誓い、2人は結婚する。
慎ましくも幸せに暮らし始め、ほどなく渚は身籠る。
体の弱い渚の出産に朋也は不安を感じたが、渚には、愛する人の子供が欲しい母性に加えて、どうしても産みたい理由があった。
母親の愛情を知らずに育った朋也に家族の暖かさを与えると共に、朋也が親子の愛情を感じることで、いつの日か、愛する朋也を育てたその父親との絆を取り戻してあげたかったのだ。
しかし、その想いも虚しく、新しい命、汐(うしお)と引き換えに、渚は命を落としてしまう。
あまりの喪失感で気力を失った朋也を見かね、渚の両親である古河秋生(通称おっさん、アッキー)早苗(さなえ)が、汐を引き取り育ててゆく。
いつの日か必ず、娘に明るさと希望を与えてくれた朋也が立ち直る事を信じて・・・
{/netabare}
本作9話以降のストーリーについてネタバレ感想です。
{netabare}
朋也が卒業後、シリアスになる物語。
社会人として働きだす姿はリアルでいいんです。
だけど、メインヒロイン渚の描き方が馴染めない。
薄幸そうに見せる為だけのような学園生活。男子にとって都合の良すぎる従順な女性像。さらにあの体で自宅出産を言い出すなんて、ただの痛い子に見えてしまう。
そして、あの程度の見立てで、渚と話すシーンもなく、危険な出産を渚の意思に委ねる両親も説得力に欠ける。
だから16話まで観ても、悲劇を見せて泣かせたいだけに思え、逆に泣けませんでした。

しかし、17話からです。
冷静に観れば、朋也が5年も育児放棄したり(仕事が出来ないほど病んだ訳じゃない)、汐も5歳にしては幼すぎたり(「一人で出来た」は2~3歳くらいまで)いろいろリアリティーに欠けるんですが、そんな事は気にならないくらい、ある描写に引き込まれました。
それは、警戒感、好奇心、悲しさ、寂しさ、次々と訴えかけるような、
朋也を見つめる汐の眼差しです。
この作品のキャラ画の特徴である大きな瞳は、この子の演出の為だけにあったと思えるほど、父親の言動や行動を見つめる瞳が何度も描写されます。

徐々に伝わるその瞳の奥の純粋な思い。
「ママの事はパパに聞きなさい。」
「パパに初めて買ってもらった物だから。」
「泣いていいのはトイレとパパの胸の中だけ。」
古河夫妻の教えで、この子にとって朋也は、ほとんど会いもしてくれない父親なのに、甘えて頼っていい唯一の人であり、いつかそう出来ることを幼な心に待ち続けていた、その一途な期待が宿った眼差しだった!
その幼児の純心さに、あまりにも不憫だと感じると同時に、朋也が懺悔し改心したことで、この子が救われた事に無上の喜びを得れる瞬間。
暖かいオレンジ色の光に包まれた花畑のシーンは感涙です。

続けて、帰りの列車内で、封印していた渚との思い出を語りだしたシーンでも、美しい夕景とフラッシュバックする回想、情感を掻き立てるBGM、そして、朋也を見上げる汐の涙の瞳!
たとえあざとくても、この眼差しを加えたトリプル演出には何度観ても(このレビューを書いてる今でも)泣かされます。

この一連のエピソードには朋也とその父親に関しての描写も胸を打ちました。
汐が無くしたロボットを探す中、デジャブを覚え導かれるように向かうその先で待っていた祖母からの話。
自分と同じ境遇でありながら苦労して育ててくれた父に思いが至る回想。
父親への思いを改め、父親としての自覚に目覚める、目まぐるしい感情が詰め込まれているのですが、私にはストーンと胸に落ちて、もうここから涙が込み上げました。
私は中学から母子家庭で育ちましたが、父親でも母親でも1人で子育てをするのは大変な苦労を伴います。仕事と育児のストレスで倒れ社会生活に支障をきたす事も十分にありえます。(犯罪はいけませんが・・)
また、個人的に、私も父に対して嫌悪感を持っていました。しかし、自分が父親となり過ごしていくと子供に対して不甲斐なく感じる事も多く、また、父とのわずかでも楽しかった思い出もよみがえり、父への感情も変わってきたからです。
続く19話も、朋也が父親と和解する光景に私は深く胸が震えました。
ラストの見送りで汐が見上げる光の玉が、渚の想いの成就に見えた感動とともに、私自身、他界した父に果たす事の無い理想を観れた思いがしたからです。
自分は最期まで父に歩み寄れませんでした。
身勝手は承知でも、今は反抗期の子供達と良好な関係を築きたいと願ってやみません・・・

考察なんて言えない私的な理由ですが、この三話だけは、自分にとって人生を振り返る事になり「クラナドは人生」が大袈裟ではなかったと感じた次第です。
{/netabare}
個人的な不満。ファンの方は見ないで頂くように伏せます。
{netabare}
21話だけは酷いを通り越して腹立たしい。

長く退屈にも感じたストーリーも終盤で一躍、感動の傑作だと思え、後は「うさぎドロップ」のような希望の未来への余韻にひたれるものと安心していました・・・

なのに、あろうことか、唯一その登場から感情移入できたキャラクター、汐が死んでしまいます。
否、製作サイドに殺されます。
それも父親にとどめを刺させて・・

何故あそこで汐が死ななければいけないのか。
悲劇を描く事で、その後の奇跡がより感動的に見せれると、安直に考えているとしか受けとれず、視聴者をバカにしているとしか思えない。
初見時、奇跡が起こる最終話も、あまりの喪失感と怒りで、17話冒頭の朋也の如く、ポカーンと観てました。
後日Wiki等で作品の解説を調べると、ゲームの奇跡エンドを迎える為の攻略のピースに汐の死が必要なのだと知りました。
だが、アニメのシナリオだけでは必要性が全くわからない。
原作ゲームの販促を考えるなら、21話以降は原作のファン向けにOVA等で発信し、ゲームには未放送のエンディングがある事だけ知らせれば、アニメから作品に触れた人の購入増がもっと見込めたのではなかろうか?

現実には、罪のない無垢な命が奪われる悲しい出来事を見聞きし、辛い思いをする事は多々あります。だが、楽しむための映像コンテンツで、意味のない子殺しほど、胸糞悪いものはない。お願いだからやめて欲しいです!
{/netabare}
声優さん
{netabare}
やはり私が特筆すべきは、あのシーンを演じたお三方。
まず、声優としては当時でも最高齢かもしれない麻生美代子さん。あの風格ある語り口があったからこそ、より回想に重みが増し、感動に引き込まれたのでしょう。
そして、これまた20年以上のベテランこおろぎさとみさん。舌足らずで少しもどかしく聞こえる声は、幼児の純心を表現するのに最適でした。
最後に、中村悠一さん。私は、本作より先に視聴した「君に届け」「俺妹」からお気に入りの男性声優さんでした。でも、それより以前に、こんな感情のほとばしる、ベテランに負けない神演技をされてたとは!現在でも第一線で活躍されてるのが頷けます。

音楽

LiaさんのOPがいい!歌声・曲調ともに美しく、作品の感受性を高めていたと思います。
また、劇中のBGMや挿入歌も良いものが多いです。
欲を言えば、18話のエンディングだけ、Liaさんの歌声が入ったBGM「願いが叶う場所」を使って欲しかった~(曲だけで泣けます♪)
曲とは無関係ですが17話のエンディングの繋ぎも鳥肌でました!

最後に

最近、立て続けに感動させられた京都アニメーションさんの初視聴作品として、私に良くも悪くも強烈なインパクトを与えてくれた作品であり、今更ながら、纏まりのない拙いレビューを書きました。
長々と感情垂れ流しで、ただの憂さ晴らしのような書き方にもなり、読まれて不快に思われた方にはお詫び申し上げますm(__)m
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 24
ネタバレ

Key’s さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

とても感動できる作品♪

あらすじ

2学期が始まった。
朋也たち3年生はそろそろ進路を決めなければいけない時期だが、
朋也は自分の将来が見えないまま、
相変わらず渚の家に居候していた。
そんな中、秋生が隣街の商店街チームと野球の試合をすると言い出す

そしてだんだんと
卒業に近づいていき
みんながそれぞれの道を歩き始める

そして朋也や渚に
さらなる過酷な運命に
立ち向かうことになる



感想


文句なしに面白いと思います
音楽、作画、声優どれもよかったですし
何よりストーリーが良くてとても感動しました
特に18話では泣いてしまいました
BGMが効果的なタイミングで使われていると思います

話は完全に一期のCLANNADの続きなので
一期を見てから視聴してほしいと思う
高校生活の終わりの方と社会人としての
生活が主なストーリーですね


1期と比べるとより絞られた
1つのテーマで物語が進行しているように思いました。
アニメでこれほど、、というより今までに見た
どんなドラマや映画も超えてしまう程に泣きました。


ジャンルは個人的には
恋愛ものではなくテーマである「家族」や
「人と人との繋がり」を描いたものだと思います。
特に後半は毎回涙しながら見てました。
作画のクオリティの高さはさすが京都アニメーションです

泣かせ方としては相当あざとい手法を用いていますし
感動と同情の押し売り感が半端ないですが
わかっていても泣かされてしまいますw
でも人によっては萎えたりして泣けないかも知れないですね

1期よりもギャグは少な目になっています
1期の時も書いたかもしれませんが
作画というかキャラデザが
万人受けはしないんでしょうね
好き嫌いが分かれるかもですw


key作品のほとんどに言えることですが
日常生活のなかにファンタジー要素が組まれている為
いや、ありえないだろとか思う時があります。

感動させようという演出がベタでみえみえなのですが
何回見ても感動しますし、BGMの力が強いと感じます。
主人公の気持ちにあった曲調を選択している
シーンや音楽の入り方が本当に秀逸で
後半はずっと涙腺崩壊してました

最終回あたりは結構展開が早いです
原作をやってないとどういう事なのか、
なんであの演出にしたのかわかりずらいかもしれません
意味が分からない人もいると思います
その人の為に下の方に解説を
書いてみたのでよかったら読んでください


でも全体的に見て上手くまとめてると思いますし
原作やってなくても充分感動できると思います
伏線や謎を最後に丁寧に回収し、
そしてあの終わり方で締めたということにあります。
演出も凄い良かったです。


人との絆が――当たり前に、
普通にあることがどれほど尊いのか、再確認しました。
世界は悲しみに満ちているけれど、
だからこそ美しい想いで溢れている。
このアニメーションの中にはそんなたくさんの想いが
詰まっていると思いました。

演出面は時間の表現が上手いです。
移ろう季節に合わせて変化する関係性が、
青年期を終え大人になりそして親に至る過程が、
巧みに緩急をつけて描かれ、見ていて飽きませんでした


ぜひ一度は見て欲しいオススメ作品です!



少しここからは
物語のわかりにくい所を
説明をしようと思う
ネタバレなんで隠しておきます
まだ全話見てない人は見ないでください
{netabare} ~


幻想世界の存在意義について

何も生まれず、何も死なない世界・・・。
それが『幻想世界』
CLANNADという物語を理解するためには
『幻想世界』の解釈が不可欠であり、
いくつかの疑問点を解消しなければなりません。

そしてまずは
幻想世界の少女は汐、
ガラクタ人形は朋也です。
そこを理解したうえで読んでもらいたいです

幻想世界は、朋也たちがいる世界と同じように進んでいく平行世界です。
渚と朋也・少女とガラクタ人形(元々は光)の出会いから始まり、
学校卒業・あの小屋にとどまるだけの世界からの卒業、
社会人になって一人立ち・旅に出る…という風に。

そして、朋也と渚・汐の関係が、
ガラクタ人形と少女の関係に置き換わっただけですし、
渚が死んだ後は汐に引き継がれたので、
人形と少女の関係は変わっていないんですよね

また、渚は幼少時に死に掛かったときに、
町を愛する秋生があの場所へ連れて行き、そこでの願いを町が叶え、
町そのものである少女が渚の半身となることで
生きることが出来たわけです。

その後、町の自然が奪われていったり、
単純に冬になり緑が減るような時期には町が弱るのか、
渚が発病してしまいます。
汐も同じですけどね。
アニメでは冬に渚が動いていたかどうか覚えてませんが、
恐らくは冬に元気な状態の渚はほとんどいなかったはずです。

何で渚と汐は助かったか?

改めて考えてみると、恐ろしく説明不足な部分でした。
アニメの各話のタイトル画面で光が表示されていますが、
これは登場キャラクターたちの願いが叶ったりしたときに
増えているはずです。
そして、幻想世界で見える光は、町の人たちが幸せを願う想いでした。

こうした光が集まったことで、
想いの力が少女を動かして奇跡を起こす…と書くと、
やはりもの凄くご都合主義に思えてしまいますよね…。

ゲームではもっと長いし、秋生や早苗さんのエピソードもあったので、
もの凄く色んな幸せな風景を朋也が作る手助けをして、
長い長い道のりを歩いてきて、
最後はああいう結末(汐との旅行)になってしまったわけですけども、
頑張ってきたご褒美みたいな形でトゥルーエンドもあったのかな?
と思うのです。
アニメではその辺を納得させるところには至らないですね

朋也と汐の旅行が終わった世界と、
渚たちが助かった世界との関係は?

これは、ゲームでは明確にループしていましたから、
パラレルな世界と言い切れます。
ただアニメでは、結局どこの選択肢でも間違えていないわけですし、
見た目では一本道なのにいきなり時間が戻った?って
驚く展開になってしまってます。

ゲームでは、最初は絶望した朋也が「渚と出会わなければよかった」って
回想するときに選択肢自体が現れず「出会わなければよかった
→抜け殻のような生活」という流れが自動だったんですよ。
アニメではそういう演出自体がありましたっけ? で、汐編まで終わり、
各シナリオでの必要な光を集め終わると、
渚が汐を出産するシーンで「出会わなければよかった?」となる場面で
選択肢が現れ、ようやく奇跡が起こり渚が生きるわけです。

その辺の説明がアニメでは為されていなかったわけなので、
わからなくて当然だと思います。
ですから、他のキャラのシナリオと同等に、
朋也と汐が倒れた世界も、渚が助かった世界も、
一つの可能性を示した別の世界とも言えるでしょうね。
この辺は、原作者がゲームならではの世界観や
シナリオの設定をしたために起こった弊害みたいなものだと思います


{/netabare}

長くなりましたがこんなところでしょうか? 
そもそもがアニメ化で良さが伝わらないだろ?!

と思っていた作品だったので、
むしろこれだけ新規でCLANNADに触れてくれる人が
多いこと自体が感激しているんですけども。

ただそんなご新規さんが読後感悪く去ってしまうのは惜しいんで
僕なりに解説をしてフォローしてみました
これを読んでまたCLANNADをぜひ見直してほしいです

投稿 : 2025/01/04
♥ : 237

89.2 1748 銀河英雄伝説(TVアニメ動画)

1990年春アニメ
★★★★★ 4.3 (949)
4066人が棚に入れました
西暦2801年を宇宙暦1年とした遥かな未来。宇宙に進出した人類は、専制政治を敷く銀河帝国と民主共和政を唱える自由惑星同盟の二大勢力に分かれ、 150年にもわたる断続的な戦争を続けていた。長く不毛な戦いが永遠に続くかに思われていた宇宙暦700年代末、両陣営に2人の英雄が出現する。銀河帝国の貧乏貴族の家に生まれたラインハルトは、姉を皇帝に奪われた事をキッカケとして、銀河帝国を奪い取る野望を胸に軍人となり、出世していく。 一方、敵国である自由惑星同盟にあって、不本意ながら軍人になってしまい、不本意にも関わらず功績を立て続けるヤン・ウェンリー。 一見正反対の彼ら2人の登場により、人類の歴史が大きく展開し始める
ネタバレ

ラスコーリニコフ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

銀英とあにこれとアニメ業界について

あにこれに参加して1ヶ月時点で書いたレビューを書き直しました。

この作品のレビューを書くのが目標だった。(2013/11)
{netabare}
◆一つのアニメとして

色々な要素を一つ一つ見て、トータルして完成度が高いのは攻殻。

ただ、銀英はアニメ作品というの枠の外。それをあえてアニメ作品
として評価するとしたら・・、

物語:98.0 作画:3.5 声優:72.0 音楽:4.0 キャラ:86.0

こういった馬鹿げた事になってしまう。

名作アニメ達が「3階建て、エレベーター、室内プール、シアター
ルーム、防音設備完備、トイレは各階に5つ」とかそんな規模なのに、

「万里の長城みたいなのを作りたいんだけど・・、一応設計図はある
んだ」と、そして出来てしまった。

つまりアニメ作品単体と比較するのではなく、アニメ業界全てと対比
すべきよーなもの。


◆世間一般でのイメージ

検索 富野由悠季VS田中芳樹
検索 銀河英雄伝説対ガンダム全作品

方向性が違うので、比較するような事では無い気がする。


◆対象年齢

ある程度水準が高めの大人にしか多分本当の価値は理解できない。

けど、中学~高校の若いうちに見た方が、色々な意味で有益な作品。
10人中7~8人位が分かる程度の内容にはなっています。


◆若いうちに見る意味

キャプテン翼は日本だけではなく海外のサッカー選手にまで大きな
影響を与えた訳ですが、

検索 キャプテン翼をこよなく愛する海外のサッカー選手
検索 キャプテン翼に影響をうけた海外のサッカー選手

それは単に面白いサッカー漫画であるという事で、サッカーを始め
るきっかけや精神面、モチベーション部分に良い影響があった。

キャプテン翼を読んだ、あるいは視聴した
⇒ドライブシュートが打てるようになった
⇒それが実際のサッカーでも役に立った
という事では無い訳です。

最近話題の黒子君のミスディレクションにしても、バスケで使える
かと言えば、使えない、無理がある。

銀英も基本的にはそういった性質、作品を見ただけで具体的な何か
が向上するという事ではなく、あくまでエンターテイメント。

しかし、サッカー作品ならサッカーに、バスケ作品ならバスケに、
同じ分野に関わらない限りはほぼ役に立たない多くの作品と違って、
銀英は普通の人生を送る上でも色々な面で良い影響がある。

多くの事に興味が持てるようになる、知識が吸収しやすくなる。

学生のうちは国語(現代文、古典)、政治(政治経済)、哲学(倫理)
歴史(日本史、世界史)、軍事(戦略、戦術)、権力や宗教、戦争の
本質、世の中の仕組み、魅力的な話し方、文章の書き方等。

自分は理系で学生の頃は興味無い分野は嫌々勉強していましたが、
この作品をもっと早く見てれば色々楽しめたはず、知識が身に付くの
も早いかっただろうな・・と、今でも思います。


ニュースを見ていてもビジネス書籍を読んでいても銀英の内容は頻繁
に思い出す「下手糞な言い方してるけど、結局銀英の~じゃん」的な。

イメージ出来るシーンがあると、面倒な話もすぐに理解出来る。

「マンガで分かる~」シリーズの本をジャンル問わず数百冊まとめて
読むよーな、そういった効果があります。

小説(原作)になると序章がキツめなので、まずはアニメから見るの
をオススメします。


◆物語

話の完成度は異次元。三国志クラス。とても個人の脳内から出て来た
話だとは思えない。

星界の紋章、まおゆう(原作の方)、コードギアス、狼と香辛料、カイジ
他福本作品、医龍(漫画だけ)、C - The Money~省略、一部ガンダム
作品(seed destiny等)、攻殻、十二国記、MONSTER、ヨルムンガンド、
デスノート、プラテネス。

全部足して萌えや恋愛、異能の力を抜くと、銀英っぽい話が出来る
かもしれない。


◆キャラ

やはり三国志クラス。

キャラ数を1/10にしても、やはり5.0を付けてしまうと思う。


◆作画

ある程度は我慢してください。

物語、声優、キャラで5.0以上を付けれない為、その分を盛って5.0に
しておきます。


◆声優

桁が違う。作品が出来た時期が非常に良かった。

検索 銀河声優伝説


◆音楽

OPとEDは我慢してください。これも盛ります。

戦闘時はクラッシック使っているので、多分不満は無いはず。


◆名言

名言だらけと言われてる作品と比べ、桁が「2つ」違う。

だから現在でもよくパクられるし、あのアニメのこの名言のネタ元は
ここだったのか・・が結構あると思います。

この銀英の原作者の田中芳樹が、どこからそのネタ持って来たのかを
調べる作業が自分の中で今もなお続いており、その為に読んだ書物が
100~200冊どころではない。だからこそ若い人に薦めたい。


◆戦術は戦略に従属し、戦略は政治に、政治は経済に従属する

銀英で出て来る名言を1つだけ、その応用の仕方も含めて紹介。

現実でも通じる話で、普通の作品はこれ等の一部だけが扱われる
のですが、銀英だと全てが登場し、それ等の関係性が分かります。

 経済 > 政治 > 戦略 > 戦術

【経済】
お金とモノ、それ等の流れ、社会の生産活動の調整、あるいは生産
活動そのもの。個人ならば自分にお金が流れる仕組み(≒何の職
に就くのか、何の仕事をするのか?給与は?)、といった感じ。

【政治】
お金をどう使うか配分を決める、時にはその一定量を戦争に向ける
事もある。

個人ならお金と時間を何に向けるか?戦争に関しては「何を戦争と
捉えるか?」で変わって来ると思います。(一般的には受験や資格
試験、あとは恋愛系、異性に対してのアプローチとか)

【戦略】
どこと戦うか、何と戦うか、そもそも戦うか否かの決定。敵を分析
して戦闘前に有利な状況を作り出したり、計画を立てる。

誰でも知っているであろう「彼を知り己を知れば百戦殆からず」
というのも、ここに関係してくる。勝てそうにないなら、避けたり
先延ばしにしたり。

【戦術】
戦う事にした、あるいは戦わざるを得なくなった。ではどう戦うか、
追撃は?撤退するタイミングは?という話。

個人で考えると「アニメの視聴」は政治面、戦略面での失敗の類。

アニメ好きで膨大な時間(時にはお金)を投入している方、自分も
同じですが、その時間を有効に使う方法はいくらでもあります。

撤退が嫌なら経済、政治、戦略面に良い影響を与える視聴の仕方を
考えると良いです。

【補給は大事】
銀英は補給を重点的に捉えていて、その事で「実際の戦争は・・」
と軍事オタクの方々によく突っ込まれている。

個人であれば食事や睡眠。精神が疲弊して来たら気分転換、休息、
英気を養う為に遊んでみたりと、そう考えると納得出来るはず。

田中さんがサボるのが好きなので「単に性格が出ているだけ」とも
考えられますけど。


◆話は分かりやすくする事

ある程度専門知識を持ってしまうと、インテリぶって自己満足で相手
の理解を無視して話を進める人が多く、

自身高校~大学の頃はそういった傾向があった訳ですが、この作品
見てからそれが無性に恥ずかしくなり、なるべく知識が無い人にでも
通じる言葉で話す事を心がけるようになりました。

自分より遥かに頭が良くて知識がある人が、分かりやすい面白い話、
つまり銀河英雄伝説を書いていた(アニメでやっていた)ので敗北感
で一杯に、チンケな見栄やプライドをへし折られた訳です。


専門的な事を誰にでも分かりやすく話すのは、自分1人が理解する
3倍の理解が必要ならしいですが、理解不足のお馬鹿に限ってあまり
一般的ではない用語を使い、難しく分かりにくく話す。

聞き慣れない用語を並べるだけ、具体例が出せない、イメージさせる
事が出来ない、簡単に言い換えられない ≒ よく分かっていない。


現実で歴史に「天才」として名を残している人の言葉で

シンプルさは究極の洗練である(レオナルド・ダ・ヴィンチ)

とか。あとはアインシュタイン、

Everything should be as simple as it is,but not simpler

訳:できるだけシンプルに、ただしシンプル過ぎないように
  できるだけシンプルに、そしてシンプル過ぎないように とか。

銀英の原作者の田中芳樹は「一体何が凄いのか?」という事ですが、
アインシュタインの方の「名言のそのもの」みたいな人で、

情報の噛み砕き方、翻訳の仕方、そのバランス感覚が神憑っている。

この内容は簡単にした方が良い、これは比較した方が分かりやすい、
ここは具体例を出した方が良い、~な内容は直接だと不味いので笑い
に繋げてぼやかす、ここは直球で、ここは理解の妨げになるので全て
省略、これは大事なのでしつこく、みたいなセンス。


人間の脳みそは「大体の事は理解できるが、ちょっと分からない事が
がある位の情報」に出会った時一番活発に働く、心地良いと感じると
言われていますが、

知識が全く無い人にとってのそのレベルの内容を常にキープしている、

「少し難しい、分からない事もあるけど、大体理解出来る、頭に入る、
面白い、どんどん読める、どんど見れる」な感じ。


という事は「元々簡単なジャンルの情報」とか「元々興味がある人に
エンターテイメント性を抜きにして教えるだけ」だったら、出来る人
は結構いる訳ですが(池上○の学べるニュース!みたいな)、

本来一部専門の人しか扱わない情報の数々を大衆が見て楽しめる
レベルにまで落とし、娯楽作品として加工、それが流行るという事が
いかに不気味な事か。


各界で天才と言われている人も、所詮「食えそうな食材を(含めて)
料理している」訳でして、田中は本来食えないもの、彼以外は調理が
できないものを組み合わせて、一流の料理にしてしまった。

古めの漫画、アニメでたまにある「カレーを作ったら爆発した」の逆、

「食材とは思えないものから、見栄えが非常に良い料理が出来、それ
が非常に美味しい」というケース。

食材選択、分量の調整、味付け、料理の腕等で皆が争っている時に、
錬金術的なことをやらかした。


銀英より面白い作品、消費者ニーズに合っている(萌え、エロ、恋愛、
厨二、ゲーム系)作品は腐るほどありますが、銀英は人生で役に立つ
健康食品で構成されているので、いくら食べても大丈夫です。

似た事を冨樫作品(幽遊白書やHUNTERXHUNTER)のレビューにも
書きましたが、彼もまた錬金術士の1人でありながらも、メインで使用
するのは化学調味料たっぷりの有害物質。

非常に美味い、腕は超一流、しかし現実では何の役にも立たない。

2人ともサボり癖がある事で有名ですが、錬金術は膨大なエネルギー
が必要なのでしょう・・ね。そう思わないと、腹が立って仕方がない。


◆比喩を使う

普通の人は本読んだり会話した時に、その内容の1/10も記憶に残る事
がないらしいですが、だったら「少しでも伝わった方が良い」

大抵の場合、話は10のうち7~8位が伝われば十分で、10のうち7~8位
が正確ならばあまり問題は生じない。

そして7~8/10で良いなら例え話、比喩を使うのが手っ取り早く伝わり
やすい。

銀英には色々な比喩が出てきて、古いものや特殊なものも多いですが、
比喩というもの自体に興味が持てるようになると思います。

そもそも銀英という話自体大型の比喩みたいなもので、どの分野の事
も7~8/10程度の中身しか無いし、正確さもやはり7~8/10くらい。

だからこそ簡単で理解しやすい。


◆でも、より正確にしなければいけない話もある

主観なのか客観なのか、想像なのか事実なのか、自分の言葉なのか
誰かに聞いた言葉なのか、本音か建前か、絶対か多分か、

~らしい、おそらく~、~とも言える、~のような、~だと~が主張
している等。

より正確に伝える為に大雑把にまとめたり、別の言葉で言ってみたり、
自分のレビューでも結構あると思いますけど、主に銀英・・というか
田中芳樹の影響。という言い方自体が、田中の影響。


◆話は面白く、印象深く

ネットが一般に普及し、情報過多の時代なので、情報を選別しパッケ
ージングする(まとめる)技術は多くの人が向上している訳ですが、

その分「誰が」の部分、個性が薄れている、記憶にあまり残らない。

大半がテンプレ通りで、似たような情報を似たようにまとめている。

そんな中で「個」を出せるのは、非常に大きな武器になる、アニメの
レビューを書くのをやめても様々な場面で役に立ちます。


◆銀英の作者、田中芳樹の凄いところ

表現、創作を生業にする人の中で天才と呼ばれる方は結構いますが、
言葉の響き、使い回し、意味ありげなぼやけた表現で読者、視聴者を
惹きつける人ばかり(歴史に名を残している人含め)の中で、

そういったセンスを十二分に持ちながらも、基本的には「言葉の持つ
意味、内容の力」でダイレクトに惹く。

芸術家的な気取りがない、含みで盛る部分が無い、あっさりしている。


・名言や過去の偉人達と友達感覚

「権力、権威」を重視しない気持ちが「情報、過去の偉人達」にまで
及んでいて、必要以上に敬意を持っていない。

嫌いなもの、納得のいかないものはあっさり否定が出来る、ひねくれ
た解釈も出来る、だから普通組み合わない様々な情報と結び付いて、
通常の作品の数百倍になる量の数々の名言が生まれる。

いかなる名言、表現であろうとも一般的な情報と同等、一度原点部分、
意味の方に立ち返り、ストーリーの状況に応じてアレンジしあっさりと
再構築が出来る。

知識が凄いんじゃねーんです、知識も化け物染みてますが、その使い
方が凄いんです、色々な作品に出逢えば出会う程にその凄さが分かる。

最終的にはその部分を学んで欲しいです。そうすれば少ない知識でも
書ける事、話せる事の幅が何倍、何十倍にも広がると思います。
{/netabare}
アニメ視聴数が100未満、銀英を見た事が無い若い人に向けてのメッセージ的な。


あにこれの影響力とアニメ業界全体について
{netabare}
◆あにこれの影響力

運営している方々が優秀なお陰で「アニメ ○○」という検索ワード
でランキング、おすすめ、口コミ、評価等で1位や2位にあり、アニメ
業界の人間は意識せざるを得ない。

消費者からの評価、口コミというのは年々影響力が強くなっている為、
「ここでダメな評価をされにくい作品」を制作しなくてはならない。

少なくとも「どういったものが好まれるのか」の傾向はある程度掴む、
余程アホな企業じゃ無い限りは、その位の仕事はしているはず。

検索 今年のアニメのBD/DVDの初動売上をまとめたら凄いことになった

とは言うものの、ここの評価と売上には「あまり関係性は無い」ので、
そこまで重視はされない。


・業界への影響力を向上させるには

売れたアニメは片っ端から見て評価する人が増え、ここのランキング
が売上に近い形になれば、あにこれというサイト自体と、各レビュー
の影響力が増す訳ですが、

普通にレビューを書く分には、そんな事まで考える必要は無いと思う。

政党で言うと国会の議席数が20未満の野党、いくら騒いでも直接的な
効果はあまりない。

しかし、文章には、というよりも言論には数値とは別の力がある訳で、
優れた意見、主張、見解、分析、批評、論評は人から人へと伝搬する。

小さな点、たとえ1行レビューからだろうと、それが真に的を得ている
のであれば、爆発的に広がっていく。

たかだかレビューサイトの1つと言えども、アニメ業界の人々に「良い
作品を作ろうと思わせる力」「クソな作品を気分良く作らせない力」は
十分に有しているので、

そういった環境でレビューを書いているという事は覚えておくと良い
ような。「いくら文句を書いても無駄」とか、そんな事は無いです。


◆イノベーター理論(Innovator theory)

1、イノベーター(Innovators:革新者)
冒険的で新商品が出ると進んで採用する層。市場全体の2.5%を構成。

2、アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者)
社会と価値観を共有しているものの、流行には敏感で、自ら情報収集
を行い判断する人々の層。市場全体の13.5%を構成。

3、アーリーマジョリティ(Early Majority:前期追随者)
新しい様式の採用には比較的慎重な人々の層。慎重派ではあるものの、
全体の平均より早くに新しいものを取り入れる。
市場全体の34.0%を構成

4、レイトマジョリティ(Late Majority:後期追随者)
新しい様式の採用には懐疑的な人々の層。周囲の大多数が使用して
いるという確証が得られてから同じ選択をする。
市場全体の34.0%を構成

5、ラガード(Laggards:遅滞者)
最も保守的な人々の層。流行や世の中の動きに関心が薄く、イノベー
ションが伝統化するまで採用しない。市場全体の16.0%を構成。
中には、最後まで不採用を貫く者もいる。


マーケティングの世界では有名な理論で、顧客を新製品やサービスの
購入態度で分類したものですが、「評価」というのも同様。

つまり「2.5%の人の行動(評価)が、97.5%の人の行動(評価)に影響
を与える」という事。

「積極的に新しいアニメを見て、自分で考え自分で評価しいてる」という人
は現在のあにこれでは非常に多く、

アニメは視聴だけならば無料という事もあって、イノベーターの割合は
他のジャンルより多いと思いますが、

それでも10%~20%位の人の行動(評価含む)が、80%~90%に影響
を与えていて、

レビュアーは大多数に影響を与える少数に属しているという事。

勿論、影響を与えると言っても一部(マイノリティを気取りたい人とか、
厨二病的な人)にはマイナスの影響だったりもしますが。


銀英だとハイドリッヒ・ラングが

「全体を100としてそのうち51を占めれば多数による支配を主張でき
 ます。ところが、その多数派もいくつもの派閥に別れています。

 即ち、その51のうち26を占めれば、100という全体を支配できます。
 多数支配などという共和制の建前が、如何に虚しいものであるか~」

という話をしていますが、そんな感じで考えても良いですし、あとは

パレートの法則:経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成
するうちの一部の要素が生み出しているという説(80:20の法則)

カオス理論のバタフライ効果:通常なら無視できると思われるような
極めて小さな差が、やがては無視できない大きな差となる現象

とか。

実際、どの程度の影響があるかはよく分からないですけど、レビュー
を書くという事は「大多数に影響を与える行為」な訳です。

レビューの内容に迷った時はその事を意識する。


読者に与える影響

他のレビュアーに与える影響

長期で考えて、あにこれに与える影響

更に長期で考えて、アニメ業界全体に与える影響


普段はろくな事を書いていないので、あまり他の方のレビューを紹介
したくないですが、今書いている事自体が

劣悪な衆愚アニメの決定版
http://www.anikore.jp/review/242462/

このレビューの内容が伝搬したものであり、それは書きながら不意に
思い出したのですが、あにこれの隅っこであろうと、誰かはこの事を
訴え続けていかなくてはならない。

銀英的に言うと、政治権力に対するジャーナリズム、そういった立場
にレビュアーはあるという事。

最近クソアニメばかり視聴し、あまり本気でレビューを書く気が起き
ない自分は、二度とこんな事を書くことは無いような気もする。

よって、これを読んでいる誰かが「頑張ってやらないとダメな事」な
訳です。頑張ってください☆

ペンは剣よりも強し。こいつは真理など滅多に存在しない人間社会
の中で、数少ない例外の一つだ。と、ヤン提督も仰っておられます。


◆マズローの欲求5段階説

ビジネス絡みだとたまに持ちだされる話ですが、長期間レビュアーを
していても、似たような欲求の変化が起きる。

自己実現欲求  : 自己の向上、活動をより充実したものにしたい
  ↑
尊重、承認欲求 : レビュアーとして尊重されたい、承認されたい
  ↑
所属、愛の欲求 : メッセージが欲しい、交流したい等
  ↑
安全の欲求 : 批難されたくない、叩かれたく無い
  ↑
生理的欲求 : 読まれたい、サンキューが欲しい

多分、こんな感じ。

欲求を外でも満たせるなら、最初の欲求以外の途中の段階をすっ飛
ばす事もあるでしょうし、必ずしも下から順にという事はないです。

「頑張ってやらないとダメ」とか書きましたが、欲求が最終段階に到達
した一部が勝手に考えて上手く書くと思うので、他に欲求があるうちは
特に意識する事は無いと思います。


◆アニメ業界の衰退

検索 アニメ業界、売上4年連続減、テレビ放送頼みからの脱却を模索
検索 5年ぶりに制作分数が増加、レポートから見るアニメ業界の現状

実際は低迷とか衰退とか言う程にひどい事は無いですが、予兆のような
ものは確実にある。

製品ライフサイクルでいう成熟期~衰退期の段階で

検索 【アニメとマーケティング分析3】今のアニメ産業の『ライフサイクル』について考察!

少し知識があると誰でも考えるよーな話。


銀英の 第40話 ユリアンの旅・人類の旅 から、一部の話を

~しかしながらその平和が続く中で、人類の上にいわゆる中世的停滞
の影が持ち掛かりました。

疲労と倦怠が希望と野心を抑え、消極が積極に、悲観が楽観に、退嬰
が進取に取って代わるようになって来たのです。

実際に科学技術による新たな発見や発明が後を絶ち、人類の生存圏の
拡張も再び頭打ちになっていったのです。

更に政治的にも民主共和政治が自浄力を失い、利権漁りと権力闘争に
のみ興味を示す衆愚政治と化していったのです。

社会的活力が失われ、社会生活や文化は廃退の一途を辿った、人々は
無気力化し老若男女を問わず麻薬や酒、性的乱交や、神秘主義に耽る
者が続出した。

あるいはスピードや暴力に刺激を求め、事故や犯罪が激増し、反比例
して検挙率は低下した。

生命を軽視し、モラルを嘲笑する傾向は深まる一方だった~


人類の未来の架空の歴史の話な訳ですが、開拓が一段落して頭打ちに
なると、大抵のものはグダグダになる。

創造的活力が失われ、アニメ業界、文化は廃退の一途を辿る、人々は
萌豚化し老若男女問わず萌えやエロ、ハーレム話に耽る者が・・

とか、そんな感じに。

進撃の巨人は良い作品だと思いますが、閉塞感の中でスピード、暴力
という点では「まさに衰退期の象徴そのもの」で、ちょっと危ない。


と言っても視聴側には大した被害は無い訳でして、一番悲惨なのは

検索 アニメ制作の現場で働く20代の平均年収110万円

採算ラインに届かないアニメが大量に制作された結果

アニメDVD・BDの売り上げを見守るスレ@wiki - 売上ライン一覧

その皺寄せが下っ端に来ている、というのはどこの世界でも同じ事。


◆あにこれは多分まだ成長期

登録者数の推移は知らないので、そういった点ではよく分からない訳
ですが、レビューの質は日々向上し、多様化している気がする。

各自がレビュアーであると同時に読者。そして技量に関係なく読者数
とその質が調整出来る、という点は上手く使えば非常に快適。

どうやって調整するかは書かないですが、察してくださいな事ですが、
単純に増やす事に躍起になった後は、レビュー内容についても色々と
考えると面白いと思います。

作品へのレビューは様々な点からのアプローチが可能で、ここで評価
基準になっている物語、作画、声優、音楽、キャラ以外からでも、


・見た時の状況

年齢が高い方の書く、当時の視聴状況についての話は面白いので好き
です。


・歴史的なアプローチ

ヤン提督の如く、歴史からの考察。歴史と言っても色々な歴史からの
アプローチが可能で、あにこれに長く居るとその歴史からでも色々と
書ける。


・売上からのアプローチ

ここの評価と売上は全く違うので、

検索 アニメDVD・BD売り上げまとめwiki

dvdbd.wiki.fc2.com と www38.atwiki.jp/uri-archive/? の2種類

検索 アニメDVD・BDの売り上げを見守るスレ@wiki

この2つはチェックしておくとレビューの幅が広がるかと。


・社会学的、工学的アプローチ

得意な人はやれば良いと思いますが、あにこれだと若干供給が多過ぎ
な気も。インテリな方々が多いんですよね、ここ。


・原作や声優、監督、スタッフ等からのアプローチ

レビューとしては王道ですけど、それだけに若干供給過多気味。


・笑いに繋げる

笑えるレビューが若干少ない気がする。Amazonの

アニマル ビッグフィギュア【親キリン】(等身大フィギュア)とか
対ライフル用防弾シールド

のレビューでも読んで、そういった方向性で突っ走るのも良いかと。


◆言葉は大事に使いなさい、ユリアン

言葉では伝わらないものが、確かにある。だけど、それは言葉を使い
尽くした人だけが言えることだ。

だから、言葉というやつは、心という海に浮かんだ氷山みたいなもの
じゃないかな。

海面から出ている部分はわずかだけど、それによって、海面下に存在
する大きなものを知覚したり感じとったりすることができる。

言葉を大事に使いなさい、ユリアン。

そうすればただ沈黙しているより、多くの事をより正確に伝えられる
のだからね。


◆ポプラン、シェーンコップ、ムライからの影響

自分の話になりますが・・

・ポプラン、シェーンコップからの影響

この2人私生活が酷い有様でも、年少者に対しては「まともぶった事を
言う事がある」訳で、最低限のモラルは有している。

ヤンや田中芳樹とかはどう頑張っても届きそうには無いものの、この
2人くらい・・には、なんとか、的な気持ちがある。


・ムライからの影響

あんなジジイは嫌いですけど、彼が第39話でユリアンに話していた事
はこれまで迷った時に何度も思い出す事になったし、現在ここまでの
内容を書いているのも、ムライからの影響が大きい。


~ 今だから言うが、私の任務はヤン提督の引き立て役だったのだ。

別に卑下したり不平を鳴らしている訳では無い。ヤン提督は指揮官と
しての資質と、参謀としての才能を両方兼備する珍しい人だ。

あの人に参謀が必要だとすれば、それは他人がどう考えているのかを
知って作戦の参考にする為さ。

だから、私としてはエル・ファシルの英雄に参謀として望まれた時、
自分の果たすべき役割は何かと考えて、すぐには結論を出せなかった。

それが出たのはイゼルローン陥落以後だ。で、私は役割を弁えて殊更
常識論を唱えたり、メルカッツ提督にも一線を引いて対応したりした
訳だ。

鼻持ちならなく見えた点もあろうが、分かってもらえるかな ~


要するに、自分が必要無いと感じた時も「できる事は何か?」を考え、
その役割に徹する、普通は積極的にやらない事をする、という事。

と言ってしまえばどこの誰でも言いそうな話ですが、たまたま自分に
はムライの言葉が強く残っていた。

あにこれに来た直後、自分よりアニメそのものに対しては知識豊富な
人が沢山いる、そんな状況何を書こうか迷った末に、あにこれ全体に
不足していたものを補う役割に徹しようと思った。

その為には、一部から憎まれようが嫌われようが知った事では無い。

という点についは、「あしたのジョー」からの影響もあり、ストレス解消
という意味での利害も一致したのですが・・。


私は役割を弁えて殊更変な視点でのレビューを書きまくったり、人気
作品にも一線を引いて対応したりした訳だ。

鼻持ちならなく見えた点もあろうが、分かってもらえるかな!


2013年夏に復帰した時、今度はレビュアーの質が向上しているという
点に目が行き「自分は何も書く必要なくね?」という状況に陥る。

「私が死んでも代わりはいるもの」じゃねーですけど、現代人特有の
「あれっ、自分いらなくね?」的な捻くれた感じ方は普通にする訳で、
そうすると途端にやる気が無くなる。そして休止。

冬に復帰した直後(つまり現在)もまた同じ事で悩み始めたのですが、
「あにこれがレビューサイトとして正常に機能している」という点では
特に問題は無いものの、

アニメ業界全体は? 萌えエロ産業で、問題だらけ。

レビュアー全体は? 自分と同じように休止する人は多い。

あにこれの細部は? 改善点を上げればキリが無い。

問題点は見えても、不満はあっても、自分にはなんとかする力が無い。

とはいえ、その事をレビューに書くことは出来る訳で、あとはそれを
読んだ力のあるレビュアー(将来的に力を身に付ける人を含め)達に
熱意は伝わる、そしてなんとかしようと活動するかもしれない。

ヤンは民主主義の芽を上手く残した、熱が冷めやすい自分は熱が急激
に上がった際に湧きでたここまでの思考をレビューに残す。

この行為の意義については、後世のアニメ好き達が判断する事さ!
{/netabare}
こちらはアニメ視聴数が100以上、投稿レビュー数もそれなりの人への話。
銀英の話を持ち出しているので、多少のネタバレを含みます。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 88
ネタバレ

yapix 塩麹塩美 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

週刊 銀河英雄伝説 復刊!第20号

復刊のご挨拶
 年の瀬も押し迫ってまいりましたが、如何お過ごしでしょうか。
 さて、皆様への御約束通りここに「週刊 銀河英雄伝説」の復刊を宣言いたします!(一週遅れてしまいましたが)
 まだ折り返しにも到達しておりませんが、今後もより一層気を引き締めて刊行を続けていく所存であります。
 今後とも何卒ご愛顧のほどをお願い申し上げまして、挨拶に代えさせて頂きます。
       平成27年12月20日 ヤピゴスティーニ代表 やっぴー


休刊のお詫びと挨拶
 {netabare}いつも「週刊 銀河英雄伝説」を購読していただいてありがとうございます。
 そんな皆様にこんなお知らせをしなければならないことを残念に思います。
 詳細は私のプロフを参照していただくとして、今後の再開予定について述べさせていただきたいと思います。
 な、なんと!本年11月4日よりファミリー劇場において「銀河英雄伝説(本伝)」の再放送が始まるのでございます。
 月~木に各日2話ずつ放送するそうなので、おそらく、12月中には39話まで追いつくのではないかと推測されます。
 そういうわけですので、今年中には我が「週刊 銀河英雄伝説」を再開することができる見込みでございます。
 しばらくのお別れとなりますが、また会える日まで、皆さまご自愛なさいまして、健やかにお過ごしください。
                   ヤピゴスティーニ代表 やっぴー
{/netabare}

創刊の挨拶
 {netabare}この度は「週刊 銀河英雄伝説」創刊号をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。
 本マガジンは、全55号を予定しております。
 各マガジンには2話分のレビューを掲載し、
 週に一度のペースで刊行する予定となっております。
 もはや改めてここで申し上げる必要などないと存じますが、
 銀河英雄伝説についてご紹介をさせていただきます。
 田中芳樹原作のスペースオペラをほぼ忠実にアニメ化した作品であり、
 全110話(本伝)に及ぶ大作であります。
 この大作を攻略するにあたり、
 どうすれば最後まで視聴することができるか?
 との視点で愚考を重ねた結果たどり着いたのが、
 週に2話のこのマガジン形式であります。
 55号と1年を超える長きにわたるお付き合いとなります。
 途中至らない点も多々あると思いますが、
 何卒広い心で見守っていただけるようお願い申し上げます。
                   ヤピゴスティーニ代表 やっぴー{/netabare}

 第一話「永遠の夜の中で」
 {netabare}実質的にアスターテ会戦前半。
 絵もキャラデザも古さは否めない。
 そこは目をつぶろう。
 それを言い出したら視聴できなくなる。
 そこで、私の銀河英雄伝説歴について語ろう。
 原作は5回は通読しているはず。
 アニメ版は何度か視聴を試みて断念している。
 もちろん魔術師ヤン・ウェンリー派であった。
 SFというよりは戦記物と捉えるべき作品であろう。
 私としても、三国志を読むのと似た感触で読んでいたような記憶がある。
 友人の中には「未来の話なのに帝国で専制君主制なんて・・・」と受け付けない人間もいた。
 専制君主制・・・いつ復活してもおかしくないと思いますがねw{/netabare}

 第二話「アスターテ会戦」
 {netabare}ヤン・ウェンリーの面目躍如。
 彼の出世の決定的な要因となる。
 敗戦ゆえに英雄が必要・・・とはいつの世も変わらぬもの。
 負けても大勝利の同盟政府には大衆衆愚政治の臭いがプンプンです。
 流石に全110話。
 話の進みが遅いです。
 ら、来週も頑張るぞ!{/netabare}

 第三話「第十三艦隊誕生」
 {netabare}自由惑星同盟の国歌・・・
 わざわざ作曲したんでしょうね。
 歌詞は何語だったんでしょう?
 それにしてもマーラー多用されてますね。
 憂国騎士団恐すぎw
 やる事も過激すぎ!
 女でも殴っちゃうんですか!
 第十三艦隊誕生っということで、
 イゼルローン要塞攻略前夜ってとこですかね。{/netabare}

 第四話「帝国の残照」
 {netabare}「ジーク、弟と仲良くしてやってね。」
 ジークフリード・キルヒアイスの運命はこの一言で決まってしまった。
 ラインハルトへの友情が偽りだとは言わない。
 しかし、髪を撫でられながら聞いたアンネローゼの言葉は、
 彼にとって、
 女神の神託にも等しいものであった。
 ラインハルトのシスコンぶりも尋常ではないが、
 キルヒアイスの一途さもこれまた尋常ではない。
 これは、もはや、愛をこえている?
 これは、もはや、信仰?{/netabare}

 第五話「カストロプ動乱」
 {netabare}古代ギリシャ風?
 古代ギリシャは西洋文明のいわば理想だが、
 現代のギリシャは完全にヨーロッパのお荷物・・・
 どうなる?EU。
 デフォルトしちゃうの?
 ・・・話が逸れた。
 キルヒアイスはローエングラム伯の腰巾着ではない。
 ということをラインハルトとアンネローゼ以外の人間に知らしめた一件。
 キルヒアイスの胸中がどうであれ、
 権力を持つ者は勝手な思惑を抱く。
 彼には他の選択肢はありえないのだが・・・{/netabare}

 第六話「薔薇の騎士」
 {netabare}帝国側(ラインハルト)と同盟側(ヤン)を交互に描く、
 というのがこの作品の基本的な流れなんだけど、
 ラインハルト → 堅苦しい
 ヤン     → 気楽
 って印象を受ける。
 これは中心人物のキャラクターに負うところが大きい。
 ヤンの気負わない性格、
 少なくとも気負っていないように見せかける態度が、
 なんとなしに温かみのある集団を形成しているように感じられる。
 それはそうと、
 いよいよイゼルローン要塞の攻略戦。
 戦(いくさ)と言っていいのかどうか・・・
 どんな素晴らしいハードもそれを扱う人間しだい・・・
 いつの世も変わらぬ真実ですね。{/netabare}

 第七話「イゼルローン攻略!」
 {netabare}イゼルローン要塞攻略戦の目的とは、
 自明のことかもしれないが、
 イゼルローン要塞を奪取することである。
 つまり、攻略戦後も要塞として機能するように占領することである。
 だから、シェーンコップは白兵戦に訴えてまで制圧する必要があった。
 もし、攻略戦の目的がイゼルローン要塞の破壊若しくは無力化であったならば、
 もっと手っ取り早い方法を採ることもできた(中枢施設の破壊など)。
 仮に、もし仮に、イゼルローン要塞を破壊していれば、
 その後の情勢はどうなったであろうか?
 ヤンは、同盟の政治家の野心を見誤った。
 味方の血を一滴も流さずにイゼルローンを攻略したことにより蔓延した高揚感、
 その力を過小評価していたのかもしれない。{/netabare}

 第八話「冷徹なる義眼」
 {netabare}ラインハルト陣営において影の部分を一身に背負う男オーベルシュタイン(影ならロイエンタールにもあるか・・・ならば、闇?)。
 ラインハルトとキルヒアイスが二人の内に秘めてきた野望、
 夢物語に過ぎなかったその野望が、
 いよいよ手の届くところまで近づいてきたその時に、
 野望の成就に必要な最後のピースとして陣営に加わった男、
 それがオーベルシュタイン。
 いや、必要性なら・・・不可欠ではなかった。
 おそらく、オーベルシュタインがいなくても野望は成就した。
 少し遠回りをし、少し余計に血が流れたかもしれないが。
 彼は、そこへの最短ルートを突き進むために必要なピースだったのだ。
 汚れ仕事をできる人間は必要である。
 だが、進んで汚れ仕事を作るような人間は必要なのだろうか?{/netabare}

 第九話「クロプシュトック事件」
 {netabare}陰謀渦巻く帝国の中枢と
 その中枢に巣くうモノ達による華やかな宴。
 華やかな宴は一瞬にして地獄絵図と化す。
 戦場で行われない戦い、
 それこそがラインハルトに立塞がる大きな壁なのかもしれない。{/netabare}

 第十話「ジェシカの戦い」
 {netabare}ヤン・・・ファーストクラスにぐらい乗せてもらえよ。
 ダンスができるとモテるというのは真説なのだろうか?
 甘酸っぱい思い出・・・
 もしかしたら・・・
 あるいは・・・
 違っていたかもしれない未来。
 その積み重ねが人生なのかもしれない。{/netabare}

 第十一話「女優退場」
 {netabare}愛憎と陰謀が複雑に絡み合う帝国の宮廷。
 人の心は移ろいやすい。
 ましてや皇帝の寵愛の行方など・・・
 一度口にした栄光の味は忘れがたく、
 それを一時の夢と諦めるには後味が強すぎる。
 さらば儚い夢よ・・・{/netabare}

 第十二話「帝国領進攻」
 {netabare}民主主義の自己矛盾。
 民主主義という崇高な理念も運用次第である。
 民主主義は万能の政治体制ではない。
 むしろ欠陥だらけの政治体制である。
 ほんの少し気を緩めれば、
 アテネ以来の衆愚政治へと堕する。
 信仰は神にのみ捧げればよい。
 人の手になる思想を信仰してはならない。
 思想は信仰の対象となった時から衰退への道をゆく。
 それは考え、疑い、検証し続けねばならないものである。
 所詮、人が作り出したものなのだから。{/netabare}

 第十三話「愁雨来たりなば・・・」
 {netabare}最も合理的・効率的な方法が最善手?
 それは、時として最も冷酷な策と成り得る。
 頭ではその合理性・効率性を認めながらも
 情のほうでは割り切れていない。
 ラインハルトの冷徹な理性の象徴がオーベルシュタインならば、
 ラインハルトの優しい心根の象徴がキルヒアイスなのかもしれない。
 机上では簡単に思える作戦も
 現地で実行にあたる者にとっては容易なものではない。
 それをそつなくやってのけたケスラーもまた有能な指揮官である。{/netabare}

 第十四話「辺境の解放」
 {netabare}解放軍・・・
 なんと甘美な響きであろうか。
 餓えの前にはどんな思想も理想も無力である。
 ラインハルト達がワイングラスを割るシーン、
 これが、あの有名な!
 えっ?
 白ワインなの?
 てっきり赤ワインだと思ってたよ・・・{/netabare}

 第十五話「アムリッツァ星域会戦」
 {netabare}大規模な艦隊戦・・・テンション上がるわ~。
 惜しくらむは平面的なところであろうか。
 せっかくの宇宙空間での艦隊戦なのだ、
 もう少し立体的に描かれてもいいのではないか。
 戦闘艇(ワルキューレ及びスパルタニアン)の動きは流石に立体的であったが。
 旗艦における戦術モニターも2次元で表現されており、
 ここも何とか3次元的な表現にできなかったものかと。{/netabare}

 第十六話「新たなる潮流」
 {netabare}画竜点睛を欠く・・・
 まさに最後の点を打つその瞬間を邪魔される。
 そんな思いであろう。
 オーベルシュタインはシステムに拘り過ぎる。
 如何にラインハルトと言えども一人の人間である。
 本当に腹を割って話せる相手、文字通り「腹心」も必要である。
 他の誰に、怒れるラインハルトを諌めることができようか。
 流れを速める歴史の潮流。
 その流れは何をどこへ運ぶのだろうか?{/netabare}

 第十七話「嵐の前」
 {netabare}おお!これが「3次元チェス」!!
 う~ん、2次元チェス盤が縦に3層になっている?
 上・中・下に駒がある・・・たぶんそれぞれの層間で移動可能なのかな?
 ヤンはつくづく戦略家だな。
 相手の意図、味方の対応、全て見通したうえで・・・何もできない。
 ヤンとキルヒアイスの邂逅!・・・邂逅ではなく、宿命?
 ああ、ラインハルトとヤンが味方同士であったなら・・・
 このような叙事詩は生まれなかった。{/netabare}

 第十八話「リップシュタットの密約」
 {netabare}ヒルダ登場。
 なんと理解のある父親・・・かつ、当主。
 ラインハルトの人となりを読み切ったうえでの率直な物言い?
 本当に大胆な女だ。
 そんなヒルダにラインハルトは人として興味を抱いた。
 電光石火の首都制圧劇。
 この内乱は、ラインハルトの栄達を速めただけであった。{/netabare}

 第十九話「ヤン艦隊出動」
 {netabare}完全にラインハルトの掌の上。
 完全にヤンの予見した通りに。 
 シェーンコップの扇動をのらりくらりと躱すヤン。
 ヤンは知っている。
 シェーンコップの指摘は正鵠を射ていることを。
 自分にはその全てを実現する能力が備わっていることを。
 ただ彼はそんなことを「やりたくない」のだ。
 社会の幸福と自分の幸福、
 選べるとしたらどちらを選べばいいだろう?{/netabare}

 第二十話「流血の宇宙」
 {netabare}メルカッツ提督も大変ですな。
 外の敵と戦う前に内の敵を黙らせないといけないとは。
 オフレッサー上級大将、個人の武力も侮れませんな。
 それ以上に侮れないのが、オーベルシュタイン。
 疑心暗鬼を煽らせたら天下一品。
 おそらく、オーベルシュタインのために割かれた一話であろう。
 彼の凄さは映像では伝わりにくい。{/netabare}

 第二十一話「ドーリア星域会戦、そして・・・」
 {netabare}指揮官の演説を対比させておいて、戦闘開始。
 ベートーベン交響曲7番第三楽章の軽妙なリズムに乗せて繰り広げられる艦隊戦。
 凝り固まった信念に殉じるための玉砕。
 無慈悲な理想は生贄の血を求め続ける。
 崩壊への坂を転げ始めた救国軍事会議。
 手懐けたいなら「パンとサーカス」を与え続けること、
 暴力で抑えたいなら徹底的に恐怖を植え付けること、
 どちらも出来ないのなら、
 こうなるしかない。{/netabare}

 第二十二話「勇気と忠誠」
 {netabare}ラインハルトに比肩する戦略眼・用兵術、
 ラインハルトを上回る平常心・包容力、
 ラインハルトに遠く及ばない野心と求心力、
 そんなキルヒアイスの全てが描画されるガルミッシュ攻略戦。
 
 手玉に取られるブラウンシュバイク公。
 もとより能力において遠く及ばないのは言うに及ばず、
 その能力不足を補うための人材、メルカッツを使いこなすこともできない。
 戦いの趨勢は決した。{/netabare}

 第二十三話「黄金樹は倒れた」
 {netabare}オーベルシュタインの策は・・・
 最も鮮やかで最も効果的な喧伝効果をもたらし・・・
 戦役の終結を早めることに貢献した・・・
 オーベルシュタインはラインハルトを試している。
 ラインハルトは自分が理想とする君主たりえるのか?
 無辜の人々の屍の上に帝国を築く覚悟があるのか?
 
 メルカッツの矜持・・・
 ゴールデンバウムに殉じる機会を失ったが、
 それがヤン・ウェンリーとの邂逅を生むというのなら・・・

 醜く死んだブラウンシュバイク、
 しかし、彼の部下の執念たるや・・・ {/netabare}

 第二十四話「誰がための勝利」
 {netabare}ヤン・ウェンリーの見事すぎる手腕。
 アルテミスの首飾りの有用性を完全否定するかのような破壊ぶり。
 これじゃ「アルテミスの首飾り」がどう凄いのか全然わからないよw
 それに引き替え、フレデリカへの不器用な振る舞い。
 上司と部下の一線を越えてやればいいのに・・・
 でも、そこがいいのか。
 
 イゼルローンを無力化する最善手、
 それに気づきながら、やはり、手を打てないヤン。
 彼はそれに対応できる立場にないのだから。 {/netabare}

 第二十五話「運命の前日」
 {netabare}上官と部下という形式を装った親友としての関係は終わってしまった。
 元親友という過去のある上官と部下の関係がこれから始まる。
 組織にNO.2は必要ない。
 必要がなければいいんだけどね・・・
 NO.2がいない組織・・・後継者候補が並び立つ組織・・・
 NO.1が倒れたらどうする?
 ああ、銃を預けたらアカンて・・・
 あの日のことを思い出したらアカンて・・・
 過ぎ去りし美しき思い出に浸ったらアカンて・・・
 ・・・ほら、運命がそこに。{/netabare}

 第二十六話「さらば、遠き日」
 {netabare}人一人の命は、200万の人民の命より重い。
 200万の人命を尊い犠牲と断じることが出来ても、
 キルヒアイス一人の死を受け入れることができない。
 それが、人の性(さが)である。
 
 見逃してはいけない。
 アンスバッハの凶弾に即座に対応できたのは唯二人、
 アンスバッハに向かっていったキルヒアイスと
 ラインハルトの盾になろうとしたオーベルシュタイン。
 水と油のような二人だが、
 ラインハルトの希少性を認識しているのも二人のみ。
 一人は親友として、女神にたてた宣誓を全うすべき存在として、
 一人は主君として、自身の理想を実現できる唯一絶対の存在として。

 キルヒアイスを失ってなお飛び続けねばならないラインハルト。
 誰のために、どこへ向かって飛ぼうというのか?{/netabare}

 第二十七話「初陣」
 {netabare}OP変更
 新体制となった帝国。
 ラインハルトの下着々と進む改革。
 相も変わらずの同盟。
 最前線から古参兵を引き抜き新兵を充てる体たらく。
 そんな中起きてしまった遭遇戦。
 どうにかこうにか味方の損害を最小限にとどめることができたアッテンボロー。
 唯一の明るいニュースはユリアン・ミンツの生還とその華々しい戦果。
 彼は知ることとなった、一兵卒として戦闘に参加したことによって。
 戦争の最前線で散る多くの命を。
 一隻の艦艇の損失は、数千の人命の損失であるということを。
 EDも変更。{/netabare}

 第二十八話「肖像」
 {netabare}明かされる疾風ウォルフの半生
 運命の女性との出会い
 ロイエンタールとの邂逅
 運命の女と結ばれるという幸福
 子宝に恵まれないという小さな小さな棘
 
 語られる金銀妖瞳ロイエンタールの過去
 親友にのみ伝えられた不幸な生い立ち
 それ故なのか繰り返される漁色行為
 
 暗躍するフェザーン
 再び動き出した銀河の歴史
 立止ること自らに許さないランハルトの下
 加速度的に増していく歴史の奔流が全てを押し流してゆく{/netabare}
 
 第二十九話「細い一本の糸」
 {netabare}地球教。
 フェザーン。
 同盟の首脳陣。
 ゴールデンバウムの残存勢力。
 それぞれの思惑が錯綜する銀河。
 
 ヤンとの出会い、
 日々の家事、 
 自分自身の昇進、
 ユリアンの充実した生活。
 束の間の安寧に身を委ねる銀河。{/netabare}

 第三十話「失われたもの」
 {netabare}失われて初めてわかる、
 そのものの質量。
 ラインハルトはあまりに苛烈に眩く煌めく。
 常人には見ることすらできない程に。
 彼を仰ぎ見ることができるのはほんの一握りの特別な目を持った者だけである。
 その輝きを優しく和らげることができたのは、
 キルヒアイスだけであった。
 ラインハルトは孤高の存在となった。
 オーベルシュタインが望んだように。
 だが、あまりに苛烈に光り輝くが故に、
 誰も近づけない存在になってしまった。
 オーベルシュタインのような盲いた人間を除いて。
 
 渇きを癒すため、
 冷えた心を暖めるため、
 彼は戦い続ける。{/netabare}

 第三十一話「査問会」
 {netabare}冴えわたるヤンの洞察力。
 あれだけの材料からかくも見事に見通すとは。
 あくまで可能性としての言及とはいえ、
 フェザーンの後ろいる闇の蠢動をさえ捉えるとは。
 しかし、悲しいかな。
 彼にはその可能性に備えるすべがない。
 
 査問会・・・
 時間の空費の絵巻物。
 ヤンよ、嘆くなかれ。
 もうすぐガイエスブルグ要塞が君を迎えに来るのだから。{/netabare}
 
 第三十二話「武器なき戦い」
 {netabare}出し損ねた辞表。
 もう出す機会のない辞表。
 
 沈みかけの船の上で繰り広げれる喜劇。
 あまりの滑稽さに悲壮感さえ漂う。
 この船は、もう修復不能な穴が開いている。
 誰もがうすうす感ずいている。
 でも、もう舞台から降りるには遅すぎる。
 船が沈むその時まで狂った喜劇の舞台は続く。{/netabare}

 第三十三話「要塞 対 要塞」
 {netabare}後手に回るイゼルローン。
 それでも持ちこたえるイゼルローン。
 対症療法は延命にはなるが根治は難しい。
 だが延命で良いのだ。
 ヤンという特効薬が届くまで生き長らえればいいのだ。
 
 やはり、ケンプは器ではなかった。
 疾風ウォルフや金銀妖瞳に比肩するほどの器ではなかった。
 彼は、功を焦り過ぎた。{/netabare}

 第三十四話「帰還」
 {netabare}戦略目的は・・・
 イゼルローン回廊の掌握であって、
 イゼルローン要塞の奪取ではない。
 そうであれば、採るべき手段は・・・ 
 二人の天才は最初からそのことを解っていた。
 
 ユリアンの軍事的才能の初めての開花。
 生まれ持っての才能と英才教育のなせる業か。
 
 ミューラーの演説にこそ指揮官の武人の責任感をみた!{/netabare}

 第三十五話「決意と野心と」
 {netabare}未だ、彼が心を許せるのはキルヒアイスのみ。
 死してなお、
 いや、
 死したからこそ、ラインハルトの拠るべき絶対的な指針となり得た。
 
 この世でラインハルト・フォン・ローエングラムを
 人ととして、一人の若者として心配しているのは、
 アンネローゼとヒルダのみ。
 アンネローゼがキルヒアイスの死と共に隠遁してしまった今、
 彼の傍で彼の為に動いてやれる人物はヒルダだけである。
 愛?
 広い意味での愛であろう。
 互いに互いの能力・見識に敬意を払い、
 得難い話し相手として尊敬し合っている。
 そんな関係を「愛」と呼んでいいなら、
 愛し合っているとさえ言っても良いであろう。
 
 ペンは剣よりも強し。
 時間のレンジを数百年・数千年の単位で捉えるならば、
 そうであろう。
 しかし、時間のレンジを数時間・数日の単位で捉えるならば、
 糞の役にも立たん!
 今ここにある困難を打破するには、
 剣を持たねばならないことも覚悟する必要がある。{/netabare}

 第三十六話「雷鳴」
 {netabare}蠢動する陰謀。
 放っておいても勝手に進む歴史の流れを
 無理に最短ルートへと流れを歪ます行為に過ぎない。
 しかし、歪もうが歪まなかろうが、水が低きに流れるは必定。
 必定の流れに堂々と乗るラインハルト。
 彼の前では小賢しい策など何の意味も持たぬ。

 ヒルダのラインハルトを思いやる心によって
 冷え固まった心をようやく融解させたアンネローゼ。
 彼女もまた、自分を責めていたのだ。{/netabare}

 第三十七話「幼帝誘拐」
 {netabare}オーベルシュタイン・・・
 細かいところまで調べ上げてある。
 次の次の次の打ち手まで考慮しているのだろう。
 信賞必罰は秩序維持の要であるが・・・
 起こるべくして起こった事件の責任を負わねばならないとは。
 敵だけではなく、味方の血をも流さずにはおかないそのやり方。
 ラインハルトが生き急ぐのはわかる。
 だが、オーベルシュタインはなぜそこまで性急なのか?
 なにが彼を駆り立てるのだろう?{/netabare}

 第三十八話「矢は放たれた」
 {netabare}相変わらず冴えわたるヤンの洞察。
 相変わらずヤンを焚き付けるシェーンコップ。
 守護神としてその存在を絶対視されるイゼルローン要塞。
 この要塞がある限り、領内に侵攻されることはない!
 との信仰の対象とさえなっている。
 ・・・本当にそうなのか?
 ヤンは気付いている。
 イゼルローン要塞を無力化する方法に。
 だが、それを阻止する手立てを持たないヤンにとっては、
 その暗澹たる未来図が実現されないことを望むよりほかはない。{/netabare}
 
 第三十九話「ひとつの旅立ち」
 {netabare}ヤンの薫陶を受けるユリアン。
 というよりユリアンに薫陶を与えることに喜びを見出すヤン。
 いや、ヤンだけではない。
 ポプランが、シェーンコップが、アッテンボローが、果てはムライまでがユリアンに薫陶を与えたがっている。
 ムライが言うように、これはユリアンの美質なのだろう。
 年長者から愛される資質、
 これも得難い資質のひとつである。{/netabare}

 第四十話「ユリアンの旅・人類の旅」
 {netabare}あ、あう・・・フロッピーはないやろ・・・
 衆愚政治・・・若き英雄・・・専制政治・・・恐怖政治・・・
 架空とはいえ「歴史は繰り返す」そのものである。
 人類は進化しない。
 進化するのはテクノロジーのみである。
 だから、人の営みは変わらない。
 トロイの木馬の神話の時代から何も変わりはしない。{/netabare}

 

 
 


 
 


 

 


 
 


 
 

 
 
 
 
  
 

 
 

 


 

 
 



 
 

 

 
  
 

  

  
 
 
  
 
 
 
 

 
 

投稿 : 2025/01/04
♥ : 30
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

絶賛する程ではないが、一定の政治哲学的な考察内容を含む点は評価したい《英雄一代記》

これまで色々視聴してきた『機動戦士ガンダムシリーズ』は、確かに多彩な要素を含む《メカ系バトル&エンタメ作品》として大いに楽しめたのですが、その一方で、初代→Zや、SEED→SEED DESTINYといった同シリーズの中でも大作&有名作に顕著な傾向として、

①如何にも「戦争と平和」或いは「望ましい政治のあり方」といった政治的/思想的大問題を描き出す「ふり」をしつつも、
②実際のところは、そうしたテーマの分析に必要不可欠な緻密な論理的考察を積み重ねることなく、専ら感情論的・情緒的に戦争や政治に関わる人々の悲劇性を謳い上げる「戦争文学」「戦争叙事詩」的な内容に終始していること

に少しばかり失望して、もう少し「政治哲学」的な考察内容を含んだアニメ作品がないものか検討してみたところ、そうした分野での有名作として本作が目に留まったので、この機会に手を出してみました(※制作順に劇場版+本伝を完走。外伝は一部のみ視聴)。

※以下、本作と部分的に類似した内容をもつ大作『機動戦士ガンダム(UCシリーズ)』『コードギアスR1-2』にも言及つつ本作を考察していきます。

◆総評

本作は、視点の置き方により、次の3階層で楽しめる作品となっていると考えます。

(1) 頭脳バトルもの(ないし戦術・戦略もの)として
(2) 英雄一代記(※好敵手の外伝的内容を含む)として
(3) 政治体制や戦争と平和についての政治哲学的考究ものとして

◇まず、 (1) 頭脳バトルもの(戦術・戦略もの)として
{netabare}
戦闘シーンについて言うと本作って、敵味方双方の軍艦が直接砲撃を交わして雌雄を決する「大艦巨砲時代のバトル・スタイル」(つまり、日清戦争の黄海海戦・日露戦争の日本海海戦や、英独艦隊のユトランド沖海戦(WWI)、ライン演習作戦(WWII)当時のバトル・スタイル)なんですね。
その点では、ガンダム・シリーズその他の宇宙/地球圏バトルものの主流が、索敵活動ののち戦闘機・爆撃機なり機動兵器(Mobile Suits等のロボット)なりを出撃させて雌雄を決する「空母機動部隊同士のバトル・スタイル」(WWIIのThe Pacific Campaign(日米艦隊のいわゆる太平洋戦役)以降のバトル・スタイル)となっていること、との戦闘スタイルの違いが気になりました。
この点について、本作にも一定の見所はあったと思いますが、ガンダムシリーズなど他の有名作品に比べると、本作に格段に高く評価できるほどの要素はなかったと考えます。{/netabare}


◇次に、 (2) 英雄一代記(※好敵手の自由市民の外伝的内容をも含む)として
{netabare}
『コードギアス』の主人公ルルーシュは最愛の妹ナナリーの幸福のために戦うのですが、本作の主人公ラインハルトは最愛の姉を取り戻すために戦います(少なくとも序盤では)。
あるいは、『機動戦士ガンダム(UCシリーズ)』の英雄シャアは父ジオン・ダイクンから実権を奪ったザビ家への復讐を心に秘めて戦うのですが、本作のラインハルトも下級貴族である自分や姉を卑しむ皇族や上級貴族達への強い復讐心を秘めて戦います。
そうした強烈でネガティヴな感情を動機として果敢に行動する、いわゆる「ダークヒーロー」の「一代記」として、本作には『コードギアス』や『機動戦士ガンダム(UCシリーズ)』に匹敵する大きな魅力があると思いました。
それに加えて、『コードギアス』にはスザク、また『機動戦士ガンダム』にはアムロという、ダークヒーローの活躍を妨害する好敵手が存在したように、本作でも、ヤン・ウェンリーという、ラインハルトの野望を妨害する軍事的天才の活躍が描かれており、物語に厚みを加えている点も高く評価できると思いました。{/netabare}


◇最後に、 (3) 政治体制や戦争と平和についての政治哲学的考究ものとして
{netabare}
この点は、『機動戦士ガンダム』や『コードギアス』にはない、本作ならではの視点であり、本作を絶賛される方が多いのも、この点に反応してのことと考えます。
但し、本サイトで幾つかのレビューを拝読した限りでは、「本作の何が/どう凄いと思ったのか?」ということを明瞭に述べているものは皆無なように見受けられたので、その点について若干の考察を加えたいと思います。{/netabare}


◆本作の結末についての考察(重要)

本作の展開を簡潔に書き出すと

{netabare}(1) 専制君主政国家(銀河帝国)と、民主共和政国家(自由惑星同盟)の間に長期にわたる不毛な戦争が続いている。
(2) あるとき専制君主政国家の側にラインハルトという一代の英傑が現れて、皇帝位簒奪を狙うとともに、宇宙統一の野望を果たすべく民主共和政国家への攻勢を強める。
(3) これに対して民主共和政国家の側にはヤン・ウェンリーという天才軍師が現れてラインハルトの野望を妨害するが、民主共和政の宿痾であるデマゴギーの蔓延により自由惑星同盟は衆愚政治に堕落し、やがて崩壊して銀河帝国に併呑されてしまう。
(4) 宇宙を統一した銀河帝国では新皇帝ラインハルトの没後、体制の安定化のために専制君主政国家から立憲君主政国家への脱皮が図られる。{/netabare}

・・・ということで、本作は、アニメ作品に限らず、戦争もの/政治ドラマ仕立ての作品によくあるような「民主主義万歳!」「革命万歳!」「独裁者を倒せ!」etc.といった安直な内容にはなっておらず、逆に、

<1> デモクラシー(democracy、正確に訳すと「民主制」「民主政治」であり「民主主義」は誤訳)は、デマゴギーの蔓延によってモボクラシー(mobocracy、衆愚制・衆愚政治)に堕落する危険性を常に孕んでいること、
<2> 堕落した衆愚政治に支配された民主政国家は、英邁・有能な独裁者をいただく専制君主政国家に政治的・軍事的に劣後し敗北する結果を招きかねないこと、

を、長編アニメという作品媒体を通して、首尾一貫した構成の下に確りと描き出していることについては、やはり原作者/アニメ制作者はなかなかの見識をお持ちである、と素直に賞賛したと思います。

但し、本作に描かれたような展開と結末は、実は政治学(政治哲学を含む)をある程度真面目に学んだ者には常識に属するものであり、

[1] それをわざわざ、本伝110話+劇場版3作も掛けて描くほどのものではないように思われる上(※それだけの時間があれば、政治哲学の有名著作を何冊か読んだほうがマシだと個人的には思います)、
[2] アニメしか見ない層の場合は、せっかく本作を見終わっても「よく分からないけれど何やら政治に関して高級な薀蓄(うんちく)が色々と披露されているみたいで、とにかく凄かった」程度の感想しか残らないもの、と推測され、

・・・そういう意味で、本作を、「頭脳バトルもの+英雄一代記」 というエンタメ作品としての評価に加えて、「政治体制や戦争&平和の関係」についての政治哲学的作品として絶賛するには、個人的には足踏みしてしまう結果となりました


◆シリーズ別評価(外伝は除く)

(1) 劇場版 わが征くは星の大海 (1988年2月)  ★ 4.0
(2) 本伝  第1期 (1988年12月-1989年6月) ☆ 3.7
(3) 本伝  第2期 (1991年6月-1992年2月) ★ 4.0 
(4) 劇場版 黄金の翼 (1992年12月) ☆ 3.7
(5) 劇場版 新たなる戦いの序曲 (1993年12月) × 3.4 ※後半が本伝1-2話の使い回し
(6) 本伝  第3期 (1994年7月-1995年2月) ☆ 3.8
(7) 本伝  第4期 (1996年9月-1997年3月) ☆ 3.5
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本伝・劇場版を併せた総合評価       ☆ 3.8

※上記の理由のとおり、本作の作品テーマ自体はそれなりに評価するものの、その冗長さがマイナスとなって、全体評価は ☆ 3.8 と程々の点数に留めました。
(それでも『機動戦士ガンダム(UCシリーズ)』の平均点 ☆ 3.7 より少し上です)。


◆各話タイトル&評価(本伝+劇場版)

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

{netabare}======= 劇場版 銀河英雄伝説 「わが征くは星の大海」 (1988年2月) =======

全1話 (60分) ★ 4.0 {netabare}惑星レグニツァの戦い、第4次ティアマト会戦 ※ラインハルト&ヤンの両者が印象的に描かれており導入編として中々の出来{/netabare}


====== 銀河英雄伝説 本伝 第1期 (全26話) (1988年12月-1989年6月) =====

{netabare}第1話 永遠の夜の中で ☆ アスターテ会戦開始、包囲殲滅か各個撃破か
第2話 アスターテ会戦 ☆ 続き、ジャン・ロベール少佐戦死、ヤン准将への電文
第3話 第十三艦隊誕生 ★ 自由惑星同盟の実情、憂国騎士団、ヤン少将昇進 
第4話 帝国の残照 ★ ラインハルト姉弟とキルヒアイスの出遭い(過去回想)
第5話 カストロプ動乱 ☆ ラインハルト元帥府、キルヒアイス中将昇進
第6話 薔薇の騎士 ☆
第7話 イゼルローン攻略! × ※展開が都合良すぎる
第8話 冷徹なる義眼 ★ ラインハルトの野心、策士オーベルシュタイン帰参
第9話 クロプシュトック事件 ☆ 銀河帝国の内情(ブラウンシュバイク公爵邸爆破事件) 
第10話 ジェシカの戦い ☆ 自由惑星同盟の内情(英雄ヤンを利用した選挙謀略)
第11話 女優退場 ☆ 銀河帝国の内情(皇帝の寵愛を巡る陰謀)
第12話 帝国領進攻 ☆ 自由惑星同盟の内情(選挙目当ての大規模軍事作戦決定)
第13話 愁雨来たりなば… ☆ 帝国軍の撤退・焦土作戦(オーベルシュタイン立案) 
第14話 辺境の解放 ★ 輸送艦隊全滅・同盟軍解放地での暴動発生 ※脚本は面白いが作画・演出は粗雑
第15話 アムリッツァ星域会戦 ☆ キルヒアイスの指揮の冴え、同盟軍派遣艦隊壊滅
第16話 新たなる潮流 ★ 同盟・帝国それぞれの政変 ※地球教大主教登場は唐突×
第17話 嵐の前 ☆ イゼルローン司令官ヤン、捕虜交換交渉、ヤン-キルヒアイス会談
第18話 リップシュタットの密約 ☆ 帝国内の不平貴族とライハルト派の対立、帝国内乱勃発 
第19話 ヤン艦隊出動 ☆ 同盟のクーデター(救国軍事会議、グリーンヒル大将) 
第20話 流血の宇宙(そら) ☆ オフレッサ上級大将の奮戦・釈放後殺害
第21話 ドーリア星域会戦、そして…  ☆ 救国軍事会議軍艦隊の大敗、同盟首都の民衆暴動
第22話 勇気と忠誠 ☆ ガルミッシュ要塞陥落、貴族連合の退勢
第23話 黄金樹(ゴールデンバウム)は倒れた ☆ 惑星ヴェスターランドの虐殺、貴族連合の崩壊
第24話 誰がための勝利 ☆ 自由惑星同盟の内乱終結
第25話 運命の前日 ★ ラインハルトを取り巻く軍人たちの心模様
第26話 さらば、遠き日 ★ キルヒアイス殉職、ラインハルトの政権掌握、覇者の覚悟{/netabare}
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★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)7、☆(並回)18、×(疑問回)1 個人評価 ☆ 3.7


====== 銀河英雄伝説 本伝 第2期 (全28話) (1991年6月-1992年2月) =====

{netabare}第27話 初陣 ☆ ユリアン出撃、フェザーン自治領の方針変更
第28話 肖像 ☆ 帝国軍の双璧ミッターマイヤー&ローエンタール両上級大将の素性
第29話 細い一本の糸 ☆ フェザーンの思惑と地球教
第30話 失われたもの ☆  同盟政府のヤン首都召還、フェザーンのシューマッハ他軍人招致
第31話 査問会 ★ ヤンの現状認識(ラインハルトとの共存可能性、フェザーン策動の影)、ガイエスブルグ要塞出現
第32話 武器なき戦い ★ ヤンへのイゼルローン防衛命令、ヤン帰還までの時間稼ぎ 
第33話 要塞対要塞 ★ イゼルローン要塞の危機、客将メルカッツ元帝国軍提督の参戦・戦線膠着
第34話 帰還 ★ イゼルローン守備艦隊&ヤン救援艦隊の挟撃作戦、帝国ケンプ艦隊壊滅
第35話 決意と野心と ☆ ※ライハルトが「マキャベズム」の権化となる危険の指摘 
第36話 雷鳴 ☆ フェザーンの策動とラインハルトの追及、アンネ・ローゼとヒルダの面
第37話 幼帝誘拐 ☆
第38話 矢は放たれた ☆ 幼帝のフェザーン経由の同盟亡命、同盟政府の政治宣伝、宣戦布告
第39話 ひとつの旅立ち ☆ ユリアンのファザーン自治領駐在武官任命 
第40話 ユリアンの旅・人類の旅 ☆ 帝国/同盟/フェザーンの成立事情 ※民主共和制から衆愚政治さらに独裁制の成立の説明もあるが内容イマイチ
第41話 作戦名『神々の黄昏(ラグナロック)』 ☆ 帝国軍の国民軍化・フェザーン回廊通過作戦
第42話 鎮魂曲(レクイエム)への招待 ☆ ユリアンのフェザーン到着、フェザーン内部の波乱の芽、陽動作戦開始
第43話 ギャラルホルンは鳴った ★ イゼルロール方面の戦い(ヤンvs.ロイエンタール)
第44話 フェザーン占領 ★ 帝国軍侵攻、ミッターマイヤーの綱紀厳正化、ライハンルト進駐
第45話 寒波至る ☆ 同盟政府・市民・諸組織の動揺、帝国軍の同盟支配宙域侵攻開始
第46話 ヤン提督の箱舟隊 ☆ イゼルローン要塞撤退作戦、ロイエンタールの要塞奪還
第47話 自由の宇宙(そら)を求めて ☆ ユリアンのフェザーン脱出
第48話 双頭の蛇〜ランテマリオの決戦〜 ★ ビュコックvs.ミッターマイヤー、同盟軍艦隊撤退・ヤン艦隊合流、ユリアン合流
第49話 闇が深くなるのは… ☆ ヤン元帥昇進と同盟政府・市民・報道からの戦勝圧力、唯一の勝機
第50話 連戦 ☆ 帝国軍補給線寸断作戦、ラインハルト本隊出撃
第51話 バーミリオンの死闘(前編) ★★ ヤン結婚申込、ヤンvs.ラインハルト直接対決 ※唐突なグロ描写は×
第52話 バーミリオンの死闘(後編) ★ 続き、ラインハルト旗艦包囲、ミュラー艦隊の救援
第53話 急転 ★ 同盟政府の停戦命令(帝国の双璧の同盟首都進駐・同盟政府降伏(バーラトの和約)・地球教徒暗躍)、ヤンの受諾、勝利を譲られたラインハルト
第54話 皇帝ばんざい!(ジーク・カイザー) ★ ヤンとラインハルトの対面、占領統治開始、皇帝即位{/netabare}
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★★★(神回)0、★★(優秀回)1、★(良回)10、☆(並回)17、×(疑問回)0 個人評価 ★ 4.0


========= 劇場版 銀河英雄伝説 外伝 「黄金の翼」 (1992年12月) ========

全1話 (約60分) ☆ 3.7 {netabare}※ラインハルトの幼少期より16歳での駆逐艦司令官着任・第5次イゼルローン要塞攻防戦までを描く。ヤン・ウェンリ-も登場。{/netabare} 


====== 劇場版 銀河英雄伝説 「新たなる戦いの序曲」 (1993年12月) ======

全1話 (約90分) × 3.4 {netabare}※ラインハルト(20歳)のローエングラム伯綬爵からアスターテ会戦、さらに元帥昇進までを描く。なお後半は本伝1-2話と同じ話であり、その使い回しシーンが多い。{/netabare}


====== 銀河英雄伝説 本伝 第3期 (全32話) (1994年7月-1995年2月) =====

{netabare}第55話 儀式から再び幕は上がり… ☆ ライハルト即位祝典、ヤン結婚式、ユリアンの旅立ち
第56話 地球へ ☆ 宇宙史解説回(地球の宇宙開拓・圧制・シリウスの宇宙覇権・銀河連邦成立・地球の没落)
第57話 キュンメル事件  ★ 皇帝暗殺未遂(ハインリッヒ)、地球教徒取り調べ、地球征討軍派兵
第58話 訪問者 ☆ ユリアンの地球教団本部潜入 ※この辺りの展開はマンネリ気味
第59話 過去と現在と未来と ☆ 銀河帝国歴代皇帝の黒歴史、年金生活中のヤン監視
第60話 魔術師捕らわる ☆ メルカッツ艦隊の同盟軍廃棄艦隊接収、ヤン不当逮捕
第61話 歌劇(オペラ)への招待 ★ ローゼンリッター連隊の蜂起、ヤン救出
第62話 血の流水階段(カスケード) ☆ 帝国高等弁務官レンネンカンプ拿捕・自決、ヤン再び宇宙へ
第63話 聖地 ★ 帝国派遣艦隊ワーレン提督暗殺未遂、地球教団本部突撃、狂信者の群れ
第64話 休暇は終わりぬ ☆ 帝国閣僚間の不協和音、フェザーン遷都の布告
第65話 すべての旗に背いて ☆ 惑星エル・ファシルの同盟離脱、ヤンの合流逡巡
第66話 黄金獅子旗(ゴールデンルーヴェ)の下に ★ 皇帝の倦怠、再始動(バーラトの和約破棄)
第67話 『神々の黄昏(ラグナロック)』ふたたび ★ 皇帝の同盟政府討伐宣言・ヤンへの帰参呼び掛け 
第68話 エル・ファシルへ ☆ 一部同盟艦隊のヤンへの譲渡、ヤンのエル・ファシル到着
第69話 イゼルローン再奪取作戦 ★ ヤンとユリアン再会、作戦準備、同盟軍残存艦隊出撃 
第70話 蕩児たちの帰宅  ★ 要塞守備隊撹乱作戦、ヤンの置き土産、要塞陥落 ※脚本が都合良過ぎな点は×
第71話 マル・アデッタ星域の会戦(前編) ☆ 同盟軍ビュコック艦隊vs.皇帝親征艦隊
第72話 マル・アデッタ星域の会戦(後編) ★★ 続き、同盟軍艦隊壊滅、ビュコック提督戦死
第73話 冬バラ園の勅令 ★ 同盟首都ハイネセン無条件降伏・皇帝の事後処理、自由惑星同盟消滅 
第74話 前途遼遠 ★★ シェーンコップ連隊長と娘(カリン)、フェザーンと地球教団の闇の関係 ※ヤンの「民主主義と専制政治」論開陳回  
第75話 雷動  ☆ ロイエンタール元帥弾劾・拘禁
第76話 祭りの前 ☆ ハイネセン火災、憂国騎士団検挙、ロイエンタール旧同盟領(ノイエラント)総督任命
第77話 風は回廊へ ☆ 帝国軍へのテロ暴発、イゼルローン要塞討伐艦隊接近
第78話 春の嵐 ☆ 元フェザーン領主ルビンスキー暗躍、ヤン暗殺計画
第79話 回廊の戦い(前編)〜常勝と不敗と〜 ★ ヤン艦隊vs.ビッテンフェルト&ファーレンハイト艦隊、ファーレンハイト戦死
第80話 回廊の戦い(中編)〜万華鏡(カレイドスコープ)〜 ★ ヤン艦隊vs.皇帝親征艦隊、シュタインメッツ戦死
第81話 回廊の戦い(後編)〜大親征の終幕〜 ☆ 帝国軍の物量戦、フィッシャー中将戦死、皇帝からの停戦・会談申し入れ
第82話 魔術師、還らず ★ 地球教団のヤン搭乗艦襲撃、ヤン提督殉職
第83話 祭りの後 ★ フレデリカとユリアンのヤンの役割継承、ムライ中将の離脱
第84話 失意の凱旋 ☆ エル・ファシル革命政府瓦解、ミュラー提督の弔問、帝国軍撤兵
第85話 遷都令 ☆ フェザーン正式遷都
第86話 八月の新政府(ニュー・ガバメント・イン・オーガスタ) ☆ ロイエンタール総督府開設(旧同盟)、イゼルローン共和政府樹立{/netabare}
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★★★(神回)0、★★(優秀回)2、★(良回)12、☆(並回)18、×(疑問回)0 個人評価 ☆ 3.8


====== 銀河英雄伝説 本伝 第4期 (全24話) (1996年9月-1997年3月) =====

{netabare}第87話 嵐の予感 ☆ トリューニヒトのハイネセン参事官着任
第88話 辺境にて ☆ 革命的専制君主ラインハルト
第89話 夏の終わりのバラ ★ ヴェスターラント虐殺の心の傷、皇帝の伴侶
第90話 鳴動 ☆ 旧同盟首都ハイネセンの民衆暴動、ロイエンタール総督の心境、地球教団の狙い
第91話 発芽 ☆ ヒルダ再出仕、ラング-ルビンスキー謀議、皇帝ハイネセン行幸
第92話 ウルヴァシー事件 ☆ 中継惑星での皇帝暗殺未遂、ルッツ提督殉職
第93話 矜持にかけて ☆ 皇帝の不在、ロイエンタール総督の焦燥・決断
第94話 叛逆は英雄の特権 ☆ ミッターマイヤーへの出撃命令、ラング内務次官跳梁
第95話 双璧相撃つ!  ☆ ユリアンのロイエンタールの申し出拒絶
第96話 剣に生き… ☆ ミッターマイヤーvs.ロイエンタール、帝国艦隊のイゼルローン回廊通過
第97話 剣に斃れ ☆ グリルパルツァー離反・ロイエンタール艦隊撤退
第98話 終わりなき鎮魂曲(レクイエム)  ☆ ロイエンタール死亡、叛乱終結
第99話 未来への助走 ☆ ミッターマイヤー周辺の物語、皇帝のヒルダ求婚、幼帝誘拐犯逮捕 
第100話 皇妃ばんざい!(ホーフ・カイザーリン) ☆ 祝宴、地球教団の新たな策動
第101話 動乱への誘い ☆ 旧同盟諸星の食糧暴動発生、イゼルローン共和政府の方針決定
第102話 敢えて武器を手に ☆ イゼルローン要塞攻防戦(ユリアン軍司令官としての初陣)、ワーレン艦隊撤退
第103話 コズミック・モザイク ☆ オーベルシュタイン軍務尚書のハイネセン不穏勢力弾圧、武闘派三提督の不満
第104話 平和へ、流血経由 ☆ イゼルローン首脳へのハイネセン出頭勧告
第105話 昏迷の惑星 ★ 政治犯収容施設襲撃事件、ルビンスキー逮捕、皇帝ハイネセン到着
第106話 柊館(シュテッヒパルム・シュロス)炎上 ★ 地球教団の皇妃襲撃、皇子生誕・命名
第107話 深紅の星路(クリムゾン・スターロード) ☆ 対イゼルローン戦中の皇帝不慮(病状進行)
第108話 美姫(ブリュンヒルト)は血を欲す ★ ユリアン隊の帝国旗艦突入、メルカッツ提督戦死、シェーンコップ隊長戦死、ユリアンと皇帝の対面・停戦 ※脚本に無理あり×
第109話 黄金獅子旗(ゴールデンルーヴェ)に光なし ☆ ルビンスキー死亡・ハイネセン地下爆発、立憲政治の提案(ユリアンから皇帝へ)
第110話 夢、見果てたり ☆ 地球教団最後の襲撃、オーベルシュタイン殉職、皇帝薨去{/netabare}
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★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)4、☆(並回)20、×(疑問回)0 個人評価 ☆ 3.5{/netabare}


◆(既視聴者向け):本作からの拡張

もし本作を、「政治論」とくにその中の「デモクラシー」の考究ものとして捉えるならば、その重要な指摘のひとつは、

「デモクラシーの要諦は、正当な言論とデマゴギーの見極めである」、あるいは、
「政治の要諦とは、デマをデマとちゃんと見抜くことである」

・・・でしょう。

デマゴギーはいつの時代だって発生します。
古代ギリシアの直接民主制では、デマゴーグ(デマを撒き散らす者=デマゴゴス)はアゴラ(広場)でアジテーション(扇動演説)を繰り返す人、と相場が決まっていましたが、近代以降の間接民主制では、デマゴーグ達はその主戦場を新聞やTVといったマス媒体に移し換え、「権威」や「真実」の衣を偽装して人々を彼らの思う方向へ扇動しようと試みます。
その卑近な例が、2009年9月の一時的な政権交代に至るマスコミによる異常な政治的扇動であったと私は理解していますが、そのようなものに引っかかってしまった人たちが、今後再び同じ愚を犯さないと、私たちは果たして言い切れるでしょうか?

せっかく本作を視聴して何らかの感銘を受けた方ならば、本作について「深い」とか「考えさせられる」みたいな余り内容のない感想を持つだけで終わらずに、どうせなら、もう少し本格的に政治現象を読み解くための杖 -政治学とか政治哲学とか呼ばれているもの- にも手を伸ばして欲しいと思いました。

※そのための第一歩として、岩田温『逆説の政治哲学』(2011年刊)あたりを個人的に推しておきます。(必ずしも岩田氏の論説に全て同意する訳ではありませんが、本書自体は『ザ・フェデラリスト』、『フランス革命の省察』、『革命について』といった政治哲学の古典の秀逸なガイドブックになっているため。)

(2018.8.29 誤字訂正) 

投稿 : 2025/01/04
♥ : 31

92.6 1756 コードギアス 反逆のルルーシュ(TVアニメ動画)

2006年秋アニメ
★★★★★ 4.3 (10517)
37609人が棚に入れました
皇暦2010年8月10日、世界唯一の超大国神聖ブリタニア帝国は日本と地下資源サクラダイトを巡って対立し宣戦布告、日本に侵攻した。日本は占領され、ブリタニアによって「エリア11」と呼称される。日本人は「イレヴン」と蔑まれ、自由を奪われブリタニアの総督により支配された。ブリタニアは「ナイトメアフレーム」と呼ばれる人型兵器により世界の3分の1を支配下に収めた。しかし、その圧倒的な支配にも亀裂が生まれようとしていた。

声優・キャラクター
福山潤、櫻井孝宏、ゆかな、小清水亜美、名塚佳織、折笠富美子、大原さやか、杉山紀彰、千葉紗子、白鳥哲、井上喜久子、成田剣、渡辺明乃、中田譲治、田中一成、新井里美、高田裕司、真殿光昭、飛田展男、若本規夫、皆川純子、南央美
ネタバレ

kakelu さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

中だるみしない面白さ!

1話の感想 ★★★★ 4.0
力を得る
{netabare}
観たいと観たいと思いつつも手が出なかったが、ようやく観ることにした。
洗脳する能力なのかな?
あと、主人公は天才と…
出だしはまぁまぁ。{/netabare}

2話の感想 ★★★★ 4.0
ルルーシュの第1歩
{netabare}
この作品の主人公は知将タイプか。
高圧的な態度に頭がいい…
なるほど、厨二アニメと言われるのは分かる。{/netabare}

3話の感想 ★★★ 3.0
学園でのひととき
{netabare}
恐らくこのミスが後々、尾を引くことになるんだろう。
今回はうまく躱せたけれども…
妹もルルーシュの弱点になりそう。{/netabare}

4話の感想 ★★★☆ 3.5
ゼロの登場
{netabare}
仮面ダサッ!?
あの格好はないだろう…
何か痛々しくなってきたな…
スザクは主人公しすぎだ。{/netabare}

5話の感想 ★★★☆ 3.5
スザクの解放
{netabare}
スザクはいい奴すぎてなんか嫌いだ。
ユフィも何か嫌だ。
やっぱり、主人公の方が面白い。
そう思ってしまう私も、厨二病なのだろうか…{/netabare}

6話の感想 ★★★ 3.0
スザクが学校に馴染む?
{netabare}

今回は学園の話だった。
スザクが一応学校に馴染んだのかな〜?
でも、まだまだシコリが残っていそう。
そろそほ主人公活躍して欲しいな。{/netabare}

7話の感想 ★★★★ 4.0
ルルーシュ、初の敗北
{netabare}
1度ツマづいて立ち上がる者は大概強い。
ルルーシュは強くなるぞ。{/netabare}

8話の感想 ★★★★☆ 4.5
黒の騎士団
{netabare}
なんと甘美な謳い文句!
あと、もう一押し二押しで大衆は味方に付くな。
媚を売るということではないが、大衆を味方につけた方が結果的に強くなるよな。{/netabare}

9話の感想 ★★★☆ 3.5
着々と広まる
{netabare}
やはり黒の騎士団は市民からの信頼を得たか。
今回はカレンの心情変化の話だった。
これで本気で変えようとする人物がルルーシュ含め2人になった。{/netabare}

10話の感想 ★★★★ 4.0
反撃ののろし
{netabare}
いよいよ開戦!
ようやく、ルルーシュの元にしっかりした組織が。
ランスロットが次回現れると思われるががどうなる?{/netabare}

11話の感想 ★★★★ 4.0
ランスロット登場
{netabare}
やっと、ナイトメアの技術力が追いついた。
圧倒的だと面白くないしな。
ルルーシュの圧倒的な勝利を早く見てみたい。{/netabare}

12話の感想 ★★★☆ 3.5
京都の手助け
{netabare}
初めてゼロとして姿を見せた。
これでゼロとルルーシュは繋がってしまった。
敵のシルバーの髪の軍人は少しづつ真実に近づきつつあるな。
{/netabare}

13話の感想 ★★★★ 4.0
ゼロの葛藤
{netabare}
やはりシャーリーの件が響いているか。
ルルーシュは義理を捨てられるのか…{/netabare}

14話の感想 ★★★★ 4.0
シャーリーの答え
{netabare}
大切な人との縁を切ったか。
これでゼロとして良かったけど、ルルーシュとしては悲しいね…
新たな人物マオに、ゼロをしる軍人。
この2人がキーとなりそうだ。{/netabare}

15話の感想 ★★★☆ 3.5
マオとの決着
{netabare}
マオ、死ぬの早ッ!?
結構前からチラチラ出てきたのにあっさり死んじゃったよ…
ギアスにも当たり外れがあるよね。
マオのは強いがハズレだ。{/netabare}

16話の感想 ★★★☆ 3.5
ナナリーが捕まった
{netabare}
スザクの闇が明らかに。
そりゃ父殺しはトラウマだろうね…
そして、しぶとかったマオ。
まだ、生きていたのか!?{/netabare}

17話の感想 ★★★★ 4.0
ルルーシュの計画が…
{netabare}
本来はスザクをナナリーの護衛役にしたかったんだろうが、それは出来なくなってしまった。
これから、ルルーシュはスザクの事で悩むことになるのだろうか…{/netabare}

18話の感想 ★★★☆ 3.5
ゼロの危機
{netabare}
途中までいい感じだったのに、甘さが出たか。
問答無用で捕虜にしていたら楽だったのに。
しかし、その甘さがまだ人間である故なのかもな。{/netabare}

19話の感想 ★★★☆ 3.5
ルルーシュとスザクの考えの違い
{netabare}
スザクの言い分は正しいし、シコリも残らずに済むのだろうが、但しそれにはとてつもない精力と時間がかかるだろう。
感情的にはゼロに従いたくなってしまう。
スザクはよくある正義の味方の典型なのに、行き過ぎな自己肯定がない。
やはり、何故かスザクは気に入らない。{/netabare}

20話の感想 ★★★★ 4.0
初の共同戦線
{netabare}
前回の遺跡が何かありそう。
そして、初の共闘。
これが最初で最後になりそうな予感。
それにしても、ゼロが奪ったナイトメア、ゼロにぴったり過ぎじゃない?
特に見た目が。{/netabare}

21話の感想 ★★★ 3.0
皇女殿下の宣誓
{netabare}
前半の賑やかなシーンとは裏腹に、後半に重要なシーンをぶっ込んできたな。
てか、それよりも黒の騎士団の副官のあの男!
何であんな奴が一番綺麗なあの人の彼氏みたいになってるんだよ!
許せん!{/netabare}

22話の感想 ★★★★☆ 4.5
ゼロの決断はいかに
{netabare}
まさかまさかの展開!?
手を組むのかと思いきやそうは問屋が卸さない。
物語の強制力と言うべきジャストなタイミングでギアスが暴走。
見た目はイカスがもう普通の生活がおくれなくなってしまった。{/netabare}

23話の感想 ★★★★☆ 4.5
心を捨てる覚悟
{netabare}
感動のシーンなのかもしれないが、スザク嫌いすぎて何とも思わなかった。
皇女殿下も嫌いだから特に…
私も厨二病の素質ありだな(笑)
ルルーシュはギアスによって、全てが変わってしまった。
いや、染められてしまった。
もう正義の味方ではなくなってしまった。
それに、何だかあの眼鏡っ子にルルーシュ殺されそう…{/netabare}

24話の感想 ★★★★ 4.0
開戦!!
{netabare}
ルルーシュの真の敵は全員が全員友達とは泣けるな…
まだ、甘いのかもな。
そして、最後のナナリーの元に現れたアイツは何者!?{/netabare}

25(最終)話の感想 ★★★★ 4.0
ナナリーがまたしても攫われた
{netabare}
遂に正体がバレてしまった。
これから黒の騎士団はどうなってしまうのか。
ナナリーやC.C.は無事なのか。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 22
ネタバレ

HIROTO さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

討っていいのは、討たれる覚悟のある奴だけだ!(・ー*)ヽ

妹の未来と母親の復唱の為にいかなる手段を使っても戦う。
世界の1/3を持つ大国神聖ブリタニア帝国に対しての反逆遂行が物語。
主人公が悪側にいる珍しいアニメとなっていて悪側からの考え方や正義もわかる。
舞台はブリタニアに制圧された日本(イレブン)となる。

CLAMPのキャラデザは素晴らしい!
どのキャラも魅力的で可愛く、男キャラはカッコいい。
独特で繊細なキャラデザイン。
髪の毛、眼、体型はCLAMPらしさがとても出ていて素敵すぎる。
入浴シーンとかも とても エロイ。女性の体がとても魅力的。

やばい、この中2感はやばい
かっこいい!
下克上っていう言葉はこのアニメの為にあるんじゃないかなって思わされた!
やるなら戦争だ!民間人を巻き込むな!覚悟を決めろ!正義を行え!
素晴らしい、このセリフは。

ルルーシュ
言わずとしれた主人公。
絶対遵守の力 ギアス を持ち、仮面を被りゼロとして黒の騎士団を率いる。
とにかくタイリッシュでかっこいい。
戦場をチェスに様に華麗に操り、勝利に導く。
妹の為に戦う姿はとても美しい。
ギアスの使い方も巧いし、頭もいいし、優しいし。
ここまで絶対的な主人公って中々いない気がする。

枢木スザク
主人公の親友にして宿敵。
日本最後の首相 枢木ゲンブの息子。
腐敗したブリタニアを中から変える為に戦い続けることが信念。
ラインニングの機体性能も然ることながら、操作技術もまさにエースの冠に相応しい。

C.C.
他人にギアスを発現させる能力を持つ、不老不死の少女。
うん。
好き過ぎるルックス、声、話し方、髪の色。
我侭で可愛く、ミステリアスで色気もある。
ピザ好きなとこもいい、自分もピザ好きだからこれだけでポイント荒稼ぎですわ。

紅月カレン
黒の騎士団のエース。
ナイトメアの操作技術は作品随一で紅蓮弐式を完璧に操る。
学園での設定も面白く、実際とのギャップも激しい。この猫かぶりめ!w
そして色んな場面でサービスをしてくれる、本当にありがとうございます。

すべてのキャラクターに自分の確固たる正義がありそれに順ずる姿がとても凛々しい。
それがとてもカッコいい、そんな姿を見せられるとゾクゾクする。

メカニックデザイン
うんうん。
シンプルで動きやすそうで好きなデザイン。
見た目もスタイリッシュで良い感じだね!

キャラクターの心理表現や表情がとてもうまい。
これによって作品にうまく入り込むことが出来る。
喜怒哀楽、よく人間観察をしていて、魅力的な表情をする。

作画クオリティがめちゃくちゃ高い!
もう古いアニメに入るのに、凄いきれいな作画。
アニメーションもとても綺麗に動いて、荒いとこが全然見当たらないのが素直に凄い。
背景も世界観を巧く描いていて、硬質で冷たい雰囲気の戦場やにぎやかなで楽しげな学校もうまく描かれている。
特にブリタニアとイレブンの差を的確に描いているのがとても印象的だった。
これならイレブンの方は反感を持って戦うだろう、心理描写もとても素晴らしい。

コメディ・日常パートも面白い!
シリアス部分とのいいギャップが生まれている。
こういうの挟んでくれると見ていて、ほっこりするしシリアス部分にすっと入っていける。

本当にチェスの様な頭脳戦。
戦場の魅せ方がめちゃくちゃ面白い。
お互いの駆け引き、戦略が とてもわかりやすい。
みていてワクワクする、本当に面白い。
シュミレーションゲーム好きな自分もニンマリ。

次回へのもって往き方がめちゃくちゃうまい。
素晴らしい後への引き方。
次は次はとどんどん引きこまれていく。

2クール目から新しい展開も増えて物語が深まっていく。
依存のキャラクターも魅力がどんどん増していく。

宿敵が無二の親友と気づいた時、どんな顔でどんなことを思うだろう。
何も考えられなくなる。
ルルーシュの心情は実に 真 だった。
その二人が目的を同じくして共闘するのはとてもよかった。
ここのBGMも相まって気持ちの高揚は凄かった。

戦争というありふれたテーマを主体にしていながらも、それにメカニックバトルの面白さやキャラクター描写の深さも加えて素晴らしく面白い作品に仕上がっていた。
ルルーシュは正義感で熱いといったありふれた主人公像ではなく、アンチヒーローとしてダークな部分もしっかりと描きながらも 悪だが正しい と視聴者に思わす力がある。
巻き込まれた主人公はいるだろうけど、自分から戦争をしかけて主導するのも面白い。
物語に入り込むのにこれほど素晴らしい主人公は無く、自分だったらこうできただろうか?と色々考えながら見ることができた。

ユーフェミア皇女
この子は純粋すぎるキャラクターとして描かれていた。
理屈や常識に囚われていない柔軟な発想と大胆な行動力を持っていて、さらに感もするどい。
それ故に本当の意味でルルーシュに勝つ事が出来たし、その真っ白な心はとても眩しく凛々しかった。

{netabare}ルルーシュのギアスの暴走によって 日本人を殺す ことを強いられてしまった。
そしてルルーシュ自らの手で撃たれ、スザクに見守られて息を引き取った。
この出来事が反逆のルルーシュをアニメとして最高傑作1つに上らせたんだろう。
鳥肌が立つくらい衝撃の展開、ユーフェミアの狂った表情、ルルーシュの自責、スザクと最後の会話
素晴らし過ぎる演出でもうずっと泣いちゃいましたよ。
これがこのアニメのターニングポイントとなってルルーシュとスザクに決定的な溝とルルーシュには消えない罪を植えつけた。{/netabare}

{netabare}ブリタニアとイレブンの全面戦争。
スケールの広がり続ける物語。
新たな敵の存在。
母親殺しの犯人は誰なのか?
ナナリーをさらった目的は?
スザクとルルーシュの銃弾の結末は?
{/netabare}
そして・・・伏線も盛り上げも最高の引きで2期へと物語は繋がれた。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 37

SuFDN10231 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

タイトルなし

コー​​ドGeass-反逆のルルーシュには間違いなく私のお気に入りの一つではありません、まだ私は、その複雑さの検討が最も困難を発見しました。

ストーリー

ファン「第一印象:ガンダム+ Deathnote =コードギアス。その意見は正常であったと何とか正しいかもしれないが、それは間違いなく許容できる結論ではありません。物語はメカ、学校生活と壮大なメロドラマの美しいミックスです。コー​​ドギアスは、いくつかの馴染みの要素を有していてもよく、いくつかは、「ああ、私はこのタイプを知っている」と思うかもしれないが、1は、プロットに吸収されるときに、彼/彼女は驚くべきねじれを持つ非常にユニークなアニメを見つけます:

このシリーズで私が見つけるユニークなもの、その分類するのは非常に難しい:外面にはメカと呼ばれますが、ロボットとそのパイロットの努力は、主にストーリーの進行状況を作るものではありません、彼らはゲームだけのプレイヤーがありませんルール。 CGはエキサイティングなアクションシーンを持っているが、本当に私を興奮するものは以下のとおりです。良いか悪い男は本当にあると多くの謎が一つずつまたはさらなるを明らかにしている心理的、戦術の衝突、キャラクターの成長や選択や他のキャラクターとの相互作用、当惑。

物語はまだフルーツサラダのような皮肉がたくさんあり​​ます。それは属性をたくさん持っているものの、良好な完全に、まだ識別可能な異なる成分や味は、物語は非常によく一点に焦点を当てています。 、現実的な実用的なが、暗いと個人的な目標と理想と正義のが、利己的と偽善的なビューの戦い。これらの脳ポップの考えでは、ユーモア、皮肉と十代のドラマが政治や人種紛争と一​​緒に追加されます。ここヒューマニズムは、すべての悲劇と苦悩の中に成長しているすべての側面でのおいしい成分が存在します。

アート
技術的には、アニメーションは超一貫性、高精細、鮮やかです。マシンはとてもクールで、爆発のような効果は、火花や水の動きは満足しています。

クランプは、アニメーションを設計する素晴らしい仕事をしました。 1が薄い文字やかわいい男の子が好きではない場合でも、アニメーションはあまりにも満足しない場合があります。

アートだけでなく、アニメーションは、私の意見では、このシリーズの革新的です。古典と現代の概念も使用されています。このシリーズの顕著な一つのことは、服装です。彼らは、ポストモダンなヨーロッパは、まだ(日本の好みに)「アニメ」ファッションにパイロットスーツ、均一な(軍事、学校での両方)とカジュアルに操作インスピレーションを得ています。最初に(実際には善玉である)すぎないように言及手下 '"悪"が、クールな外観、私は "吸血鬼岬」と「マスク」は、古典的な悪と神秘的な外観を示すちょっと役立たずであると考えますが、私は最終的にそれを追加しました



私はいくつかの曲が好きなのに、私は「色」を除いて開口部とエンディングテーマに感銘を受けていませんでした。時には彼らは、気分を破壊したり、私を困らせます。それにもかかわらず、バックグラウンドミュージックは、まだ右の気分を与える:挿入歌がうまく配置され、思い出に残るされています。

キャラクター

文字が強く愛とhaterd両方を鼓舞。いくつかは普通であるが、いくつかは非常にユニークです。あまりにも多くの複雑な文字は、プロットが混乱し、焦点の合っていないようになりますので、それ組成物が有用です。 1ではないすべての文字が例外的であると言うことができますが、それらの相互作用は、ねじれや開発に満ちています! CGはよくアニメのキャラクターの一部のはるかに複雑な新しい味を特色にしました:

ジム・クラスが必要めちゃくちゃスマートで格好良いです、暗い、byronic主人公
英雄の概念の最大嘲笑の良い、親切な男
おそらく任意の文字よりも多くのことを知っていると理解して神秘的な、セクシーな緑の髪のリードヒロイン

自分のキャラクターシリーズが進行し、彼らは細心の注意を払って、彼らが主役とシリーズのアンタゴニスト、両方のヒーローとアンチヒーローや悪役と抗​​悪役の両方の両方であることをように設計されているよう深まります。

テーマについては、私は個人的に彼らは表面上のアクションとスリルだと思い、まだ深いダウン、それは戻って簡単な人間の欲望、野心、欲求不満や意見に骨を抜かれています。それにもかかわらず、このシリーズは間違いなく普通の視聴者にも話を理解できないだろうという海のように深いように深く、憂鬱ではないではないと私はそれが両方のユーモア、ドラマや悲劇にすごみが含まれていることを発見しました。

楽しさ、個人的な応答と全体:


私は本当に、このいずれかを楽しんで、非常に中毒性と謎の多くを提供しています。私は非常に好感の持てる特にルルーシュ主人公メインキャラクターを見つけました。私はそれは本当にクールな発見しました。
コー​​ドギアス反逆のルルーシュR2:また、全体としてこの話は、それが直接の続編を持って、まだ終了していません。

それはストーリーと視覚的解釈が物議を醸すと暴力的なたくさんのことを示しており、質問はお答えできない場合がありますので、私は小学生にこのアニメをお勧めしません "道徳的な教訓は何を?」

投稿 : 2025/01/04
♥ : 2

69.5 1756 怪奇ゾーン グラビティフォールズ(TVアニメ動画)

2012年秋アニメ
★★★★★ 4.3 (18)
69人が棚に入れました
ディッパーとメイベルのパインズ兄姉は、夏休みの間だけ、オレゴン州のグラビティフォールズに住む大叔父さんのスタンのもとで暮らすことになった。

しかし、スタンは観光客相手に詐欺を働いており、その上2人が宿泊することになるスタンの家"MYSTERY SHACK"では、奇怪な事件がほぼ毎日発生するのであった。

ポロム さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

ブラックユーモア×ディズニーのコラボ 新ジャンルの開拓

個人的には好きな作品(なので、今回参考にならないかもしれませんw)

あらすじ
12歳の双子の兄妹ディッパーとメイベルは、グラビティフォールズという謎の多い町に住む観光客相手に詐欺を働いているスタン叔父さんと夏の間過ごすことになり、仕事を手伝ったりするようになる。
そんな中、「指が6本ある3の数字が描いてある奇妙な本」を拾ってしまう。
そこに記された超常現象やモンスターに好奇心をくすぐられ事件に巻き込まれたりするミステリーアドベンチャーコメディ

フィニアスとファーブやアメリカンアニメやディズニー好きならハマるかもしれない。
作画はアメリカ特有のキャラデザや絵のスタイルだけど慣れてしまえば楽しめる。
ブラックジョークが効いていて、「ホントにこれ、ディズニーなんですか?こんなことして良いんですか・・」と心配して聞きたくなるようなジョークもある。
伏線の貼り方が上手く、後になって「前にこんな伏線があったんだ!」と驚いた。子供にはアドベンチャーコメディ。大人には小さい頃の懐かしい夏の出来事を思い出しながら観れるブラックユーモアと少し奇妙でシンプルな心温まるストーリーに映るかもしれない。
大体前半は一話完結だけど、若干繋がってる。クライマックスは壮大に話が繋がってるので一気観推薦。

一話30分枠のシーズン2で40話ほど。海外ではクライマックスが相当盛り上がったらしい(いいなぁ・・!)
最終回も伏線は全てではないけれどだいぶ回収された爽やかなラストだった。
製作者がFOXに行ったらしく、続編は有りそうで無い模様だけど大きくなったディッパーとメイベルが見たい。というか、会いたい。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 23

たぼろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

え、これ本当にディズニーなのか…!?

◯一言で表すと?

 『良い意味で』ディズニーとは思えない
 ストーリー展開の凄みがある。


◯このアニメの魅力は…

 展開は、SCPのような異常現象を相手に、双子の子供が
 周囲を巻き込みつつ、『なんとかするアニメ』です。
 面白い…というのは、どんな作品でも同じですよね。

 この作品の突出した魅了は、
 「ほぼ全ての伏線を、必ず回収して物語が進んでいく」という点です。
 
 なんとなくあのシーンに写り込んでいた"アレ"が後々重要な役割になっていたり、
 ちょっとした下らない言動が、後で重要な展開の引き金になっていたり…と
 誰もが予想しなかったものが、2周目に見返してやっと気づくものまであります。

 もちろん、ギャグ路線もかなりお気に入りです。
 OP曲だって、かなり気に入ってます。

◯お気に入りキャラクターについて

 どのキャラクターにも個性があり、最初から最後まで、個性がキープされてます。
 私は、そのなかでもスタン大おじさんが好きですね。

 最初はただの悪役堅物オヤジにしか見えない大おじさんですが、
 物語が進んでいくと共に
 バカで、客を騙すほどお金に目がなくて、自分勝手で…
 でも実は誰よりも寂しがり屋で、やさしくて、家族思いで…
 そんな大おじさんが作品では大好きです。

◯最後にひとこと

 海外初のアニメですが、日本語化がうまく出来ており、見入る程面白いアニメです。
 「カートゥーンアニメはちょっと…」という方!
 私もそうでしたが、このアニメを見れば「ちょっとナメてたな…」となりますよ!!

投稿 : 2025/01/04
♥ : 1

心底に来るアニメ切望 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

(一部レビュー文章を訂正しました。)京アニのユーフォニアムとは逆のカラーのアニメ。

グラフォ自体の評価は特にカートゥーン系のファンサイトに詳しく解りやすく書いていますので、私も同感の上、高評価の点数でのレビューで割愛させて頂きます。
で、何故このカートゥーンを私がお気に入りにする程に心底からとても好きになった一番の訳ですが、これは京アニのユーフォニアムのレビューに書いた通りに、久美子達サイドはどんな犠牲を払ってまで勝利や頂点に向かっていく為に多くの衝突や葛藤が起きてまであくまで貪欲にシビアに向かっていたのに対して、ディッパー達側は正に全く逆で例えそれが大きな成果を犠牲にしてまで(特に家族)愛を優先に決断して行動して行くのが個人的に強い共感を感じたからです。(まあ、グラフォの場合はディズニー製作とは思えない位のブラックユーモアも満載だったのも私的にどツボに来て気に入ったと言うのもありますが…笑。)
ですので一昔前に物語が完結した今でもグラフォは私にとって強い共感の想いを感じさせる一番お気に入りのカートゥーンである事は間違いありません。
最後に一言。やはりグラフォの続編が観たい!!原作者のアレックスにお願い!!グラフォの続編制作をどうか実現して欲しい!!あの独特の世界観とブラックユーモア、そして私的に尊いと思わせる位な家族愛が出されて描くコメディありミステリアスありの冒険アクションをやはりまた強く観たい!!

投稿 : 2025/01/04
♥ : 0

90.9 1890 魔法少女まどか☆マギカ(TVアニメ動画)

2011年冬アニメ
★★★★★ 4.1 (10603)
37509人が棚に入れました
市立見滝原中学校に通う普通の中学2年生の鹿目まどかは、ある日不思議な夢を見る。そこは少女が魔法で戦う異世界。その少女の戦いを目撃する自分と、謎の白い生物に「僕と契約して魔法少女になってほしい」と告げられる夢であった。翌朝、見滝原中学へ転校してきたのはなんと夢で見た美少女の暁美ほむらだった。ほむらは、まどかに「魔法少女になってはならない」と警告する。
放課後、親友の美樹さやかとCDショップへ行ったまどかは謎の声に呼ばれ、ビルの一角へ迷い込む。そこで見たものは夢の中で見た生物キュゥべえの傷ついた姿と、それを殺そうとするほむらの姿だった。まどかとさやかは戸惑いつつも、当たり前の優しさからキュゥべえを助けるが、直後に今度は本当に異世界へ迷い込んでしまう。魔女の使い魔と称される化物達に囲まれた2人を救ったのは、同じ中学の3年生でキュゥべえと契約した魔法少女の巴マミだった。事後、改めてキュゥべえに「魔法少女になってほしい」と告げられたまどかとさやかは、思いがけない好機に興奮する。だが、それは2人が直面する様々な苦難の始まりであった。

声優・キャラクター
悠木碧、斎藤千和、水橋かおり、喜多村英梨、加藤英美里、野中藍
ネタバレ

TAKARU1996 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

エゴイスト入門

2017年5月19日 記載

今回のレビューは自分の思った事、感じた事を直接的に語る傾向がとりわけ顕著に感じられるかもしれません。
もしかしたら、納得できない部分も多々あるかと思います。
こんな愚者の主張も1つの個人的感想として温かく見守ってもらえれば幸いです。



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望んでいた物を手に入れたと思い込んでいる時程、願望から遠く離れている事はない。
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ『ファウスト』
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「魔法少女」
周囲の誰もが持っていない不思議な力を用いて、騒動を巻き起こしたり事件を解決したりする少女の総称を指します。
純真であり無垢な存在の造形
元々は普通の女の子であったと言える存在ばかりです。
1966年の『魔法使いサリー』から始まって、『ひみつのアッコちゃん』『魔法のプリンセスミンキーモモ』『美少女戦士セーラームーン』『カードキャプターさくら』『おジャ魔女どれみ』とコンスタントに続いていく理想体系
そんな、今なお隆盛を極めている1ジャンルに、新世代の幕開け2011年、大きな社会現象が巻き起こった事は、この供給過多の現在においても記憶に新しいと言えるでしょう。
長命なジャンルに一石を投じた「メルヘンホラー」
ダーク「魔法少女」ファンタジー『魔法少女まどか☆マギカ』
一大ムーブメントとなったこの作品について、実を言うと、これまでは語る気なんて全くありませんでした。
サブカルチャーに興味があったならば、殆どの方が分かっている位に認知、周知されているであろうこのアニメ
そんな本作に対して、もう私が語る言葉等、残っていないと今までは考えてきていたからです。
しかし、ようやく見つけました。
書きたい事、伝えたい事、語りたい事、即ち、私の一解釈
急遽、書く事になったこのレビュー
既出であったり、代わり映えの無い内容であったと感じたならすみません。
もしかすると、幻滅する可能性のほうが高いかも知れません。
それでも宜しかったら、自己満足ですが、どうかこの場で少しだけ話させて下さい。
本作のエゴイストが齎した、実に歪んだ「物語」について……


【あらすじ】
大好きな家族がいる。
大好きな親友がいる。
時には笑って、時には泣いている。
そんなどこにでもある日常
見滝原中学校に通う普通の中学二年生である鹿目まどかも、そんな日々の中で暮らす1人だった。
ある晩、まどかはとても不思議な夢を見る。
それは1人の少女が魔法で戦っている異世界での出来事
その少女の戦いを目撃し、観察している自分
そして、謎の白い生物から登場と同時に告げられた発言
「僕と契約して魔法少女になってほしい」
起きた時には、その光景は影も形もなくなっていた…

変な夢見後のある日、そんな彼女にとても不思議な出会いが訪れる。
まどかの通うクラスにやってきた1人の転校生
名前は暁美ほむら
まどかが夢で見た少女と瓜二つの容姿をした少女
偶然の一致に戸惑う少女に、ほむらは意味深な言葉を投げかける…

この出会いは偶然なのか、必然なのか、彼女はまだ知らない。
断言出来るのはただ1つだけ
これは、彼女の運命を変えてしまう出会いだった……


{netabare}
『魔法少女まどか☆マギカ』を早々に語る前に、1つこの場で質問を投げかけてみるとします。
皆さんは「魔法少女」と言う存在について、本作を観る前はどういった印象をお持ちだったのでしょうか?
私の場合は『おジャ魔女どれみ』が至極、「魔法少女」と言うのを想起する上で大きな指針であった様に思います。
そのアニメ内で「魔法少女」と呼ばれる存在は、地味且つ地道な物でした。
強い「願い」を持っていれば勝手に辿り着いてしまう魅惑の店、MAHO堂
そこで自らの「願い」を叶える為に1年間、魔女見習いとしての修行に励む者達
その「魔女見習い」こそが作中において「魔法少女」と呼ばれる存在だったのです。
時には災難、時には試練を与えられながらも乗り越え、見習い試験の全ての課題をクリア出来るよう、頑張る女の子達
そして、それら全てを達成する事で、ようやく彼女等は自由に魔法を使える「魔女」と呼ばれる存在になれるのでした。
そのような前例と同じように「魔女」となる為、奮闘していく主人公どれみを含む「魔法少女」達
詳細は第1シリーズを参考にして欲しい所ですが、その過程があったからこそ最後、彼女達は真の「魔法少女」としての選択をするまでに至る事が出来たのを覚えています。
そこに出てきたのは、自分の為に他者の「願い」を叶える姿
徹底的利他主義なんて難しい言葉ではなく、それは純粋に「友達」の為
相手の「願い」を叶えていくまでに昇華した人物像に、どれみ達は全51話を通して遂になれたのです。
当時の私にとって、それがはっきりと描かれた終盤は幼心ながらも甚く感動致しました。
そして、今思えばこの時に、私の中にある「魔法少女」と言う実体への固定概念が根付いたように思うのです。
努力と言う対価を支払った上で成立する優しき存在
等価交換があったからこそ、自らの為に誰かの「願い」を叶えていくまでに成長した存在
それこそが私にとっての「魔法少女」です。
そんな彼女達が活躍してこそ、私にとっては「魔法少女アニメ」であったと言えたのでしょう。

さて、それでは逆に考えてみるとします。
このような努力を踏まえなくとも、簡単に「願い」を叶える事が出来るとしたら、人間は果たしてどうなるでしょうか?
見習い修行を行わなくとも……
試練、課題、災難への道を歩まなくとも……
簡単に「願い」を叶えられる存在=「魔法少女」になれる。
確かに魅力的な提案
そんな風に問われたら、誰もがきっぱりと断るのは難しいでしょう。
ただ、確実に言えるのは、それを受け入れた場合、どれみ達のような成長は絶対に起こらないと言う事

前述の問いにおける答えは、実に簡単です。
たった1つ、計5文字の言葉で端的に表せます。
A.「エゴイスト」
誰もが皆「エゴイスト」(利己主義者)になるのです。
「エゴイスト」のまま停滞した状態になるのです(成長が無い)
こうなってしまった段階で、私のとっての「魔法少女」は消滅したと考えるのが妥当でしょう。
そう、上記の点を重視して考えるなら『魔法少女まどか☆マギカ』は確実に「魔法少女アニメ」とは言えません。
1ジャンルの中でも、実にアウトロー的存在
まず、願いを叶えるまでの過程で、対価を支払っていません。
願いが叶った後に待ち受ける運命こそ、作中における正当な対価
それこそ「等価交換の原則」と呼ばれる物ですが、勿論、作中に出てくる彼女達はその事を分かった上で、望んで行う訳ではありません。
そこが実に、不条理的で理不尽の産物
また、願いを叶えた事によって、彼女達が周りの人に感謝されたり、自分の抱えている問題が解決されたり等と言う事もありません。
いえ、正確に申すなら少しあるのですが、その場合も自分勝手に何も考えないまま願いを叶えた事によって、別の所で取り返しのつかない事が起きてしまっています。
そう、結局、自らの望んでいない結末へと彼女達は導かれていくのです。
そして最後に、本作では、誰もが己の為に誰かの「願い」を叶えていく利他主義者な訳ではありません。
自らの為に、自分の「願い」を叶えていこうとする利己的なキャラクターしか、この作品では「魔法少女」に選ばれていないのです。
「そうではないんじゃないか?」と解釈によっては疑問視されるキャラも皆さんの中には恐らく、いるかと思います。
しかし、個人的解釈では、その娘等も最終的に自分の為に生きてきた者達だと感じてしまいました(詳細は後述)
正に私の「魔法少女」における考えの心髄であった『おジャ魔女どれみ』と対極の存在
願いが叶うまでの過程を描いた『おジャ魔女どれみ』
願いが叶った後の結末を描いた『魔法少女まどか☆マギカ』
私の根底に潜んでいた概念と相反する過程を示したストーリーには、思わず度肝を抜かれたと言っていいでしょう。
実に見事でした。

ここからはそんなストーリーを軸にして、キャラクター達それぞれのエゴイスティックメンタルな部分について語っていくと致しましょう。
語る前に予め申しておきますが、このレビューは別にキャラクター批判と言う訳ではありません。
寧ろ、語りの中にある真意は全くの逆
私はこの点について語る事で、彼女等をとても人間らしく、人生を全うに生きた少女達であったと評価したい次第でした。
180度、視点と方向性を変えた結果、生まれた新しいストーリーとキャラ性
私のように『おジャ魔女どれみ』の概念が固着していた者にとって、それはあまりある衝撃且つ面白さの原動力要素と足り得ました。
彼女達のそのような個性が、この物語に大きな深みを与えたのです。
自分が可愛いのは正常でしょう、大いに結構!!
人間、美しい物にばかりなってもいられません。
なので、そこら辺は是非とも誤解しないよう、よしなにお願い致します。
(まあ、時代の先駆的存在であったアダルトゲームの世界では寧ろ、かなり一般的事象であったのですが(笑) 虚淵玄さんはそれらの要素をアニメ用に落とし込んで作り上げたと言う事なのでしょうね。氏のゲームはどれも面白いので、いずれプレイする事を推奨します。個人的お勧めは『鬼哭街』)

①巴マミ
「孤影悄然」
一般人を魔女やその使い魔等の敵から守るという信念で戦い続けた彼女
自分の為でなく誰かの為に戦い続けた結果、華々しく散った女の子
いくつかのシーンに重点を絞るなら、巴マミは最も「魔法少女」と言う存在を象徴していた人物だったと言えるでしょう。
まどかやさやかにとっては、同じ学校にいる1人の先輩
強くて、優しくて、憧れの存在であった彼女を2人が慕う過程は短い話数ながらも存分に上手く示しており、その描写は実に説得力のある物でした。
しかし、私個人から言わせてもらうと、この女の子にはどこか胡散臭い印象が当初から秘められていたんです。
キュウべぇと共にある不気味なカットも含めて、正直、裏があると何か言い知れぬ嫌な物を感じていました。
最終話まで観たから断言出来る事なのですが、やはり、今までの「魔法少女」観と本作は見事に異なっていると言わざるを得ません。
この女の子はそれを語る最初としては、実に相応しいキャラクターと言えるでしょう。

まず、1つ目にほむらの繰り返してきた過去において、絶望の淵に勝手に他人を殺めた行動が挙げられます。
いくらチームの仲が劣悪極まりない状態且つ、かなりの負担が掛かっていたとしても、そこに他人を殺すという選択肢が咄嗟に含まれる精神状態というのは、果たしてどのような物なのか…
確かに彼女も1人の人間、含まれても別に構う事ではありません。
しかし、その思考に至ってしまった時点で、自らの考えが暴走状態へと入っている事は必定と言えます。
この時の状態が利己的でないと断言するのは、些かの無理が生じる事、確実です。

そして、2つ目にあるのはほむらの言葉に最初から最後まで全く耳を貸さず、及んだ行動と言動の数々です。
「無関係な一般人を危険に巻き込んでいる」
「あなたは2人を魔法少女に誘導している」
最終話まで観た方なら自然と納得していると思いますが、ほむらはこの時点で至極、全うな真実を口にしています。
そもそも、彼女の中にあるのは先程述べたように、一般人を魔女やその使い魔等の敵から守るという信念だった筈
確かにキュウべぇから見込まれたと言うのは充分、魔法少女としての素質が備わっている事は必然でしょう。
しかし、元々の力があるからといって必ず、魔法少女にさせなければいけないと言う訳ではないと思うのです。
決めるのはあくまでも自分であり、他人に扇動されて決める物ではない筈
そんな私が感じたのと真逆に、マミは明らかに2人を誘導していました。
最初に出会った頃から、魔法少女になる為の願いについて尋ねる彼女
魔法少女にならないという選択肢も2人にはあるはずなのに、先輩であるこの娘はそれを口に出す様子すらありません。
寧ろ、魔法少女になるよう決意を促そうとしている風に見えます。
そして、一見親切心で魔女退治にある過酷な労働を共に体験させた後に、そこから魔法少女提案の形に持込むと言う形式を取って、決断の場を設けていました。
これらはぶっちゃけて言えば、巧妙な心理的誘導手口です。
1人の人間が相手を説得及び動かす際に、大切な事は何か?
相手を自らの都合の良いように、自分の話へ持ち込む力(会話テクニック)
その際に、相手の抵抗を少しでも弱める為の力(ラポール)
自分の目的を明確に持ち、相手に流されないようにする力(セルフマインドコントロール)
この3つです。
「願い」が何でも叶うと言う事実を上手く会話の中で突きつけて、相手を昂ぶりに舞い上がらせます。
自分のテリトリーで行ったならば、効果は2倍
それを信じさせる為、実際に現場経験をさせれば、「願い」に向けた気持ちが増幅するのは確実
共に同じ場を経験した共感覚を味わわせる事で、断り辛い形に被害者を巻き込んでいくスタイルも作り出せます。
また、自分の力をここで見せ付けて2人を助ければ、信頼も獲得出来るので抵抗は自ずと弱まるでしょう。
「話が違うよ」と抗議されない為の予防線効果も同時に生まれます。
また、その前後でマミ達は手柄の取り合いの話を引き合いに出し、ほむらが競争相手を増やさせないようにしていると言った悪印象をまどかとさやかに抱かせます。
それはまるで、ほむらを悪者へと仕向けているかのよう…
彼女達の正義感の強さやいたいけな優しさを事前に知っていたかどうかは分かりませんが、その話を知ってしまったらこの2人の場合、確実に関わろうとするに決まっています……マミ側の味方として……

「一挙両得」なんて物じゃない、利益的な世界の誕生です。
これは会話テクニックとラポールを1人と1匹が完璧に駆使して作り上げた、マヤカシの世界です。
その効果が絶大な物である事は、さやかのほむらに対する怒りでお察しの通り
しかし、自らの利己的な目的の為に放棄した犠牲、即ち、ほむらの言葉に耳を貸さなかった結果、マミはああなってしまったのですから、随分と皮肉な物を感じます。

さて、それではマミが抱いていた自らの利己的な目的とは一体何なのか?
それが分かるのは、彼女の結末に至る前、まどかと交わした会話シーンです。
「マミさんはもう一人ぼっちなんかじゃないです」と、まどかから元気づけられた時に振り返って、彼女の手を取った振る舞い
優しい言葉に破顔して、目には涙を浮かべてマミは語ります。
「本当にこれから私と戦ってくれるの……そばにいてくれるの?」
虚勢を張っていた緊張が解け、本音をさらけ出した瞬間
願いが叶うと知った時に、少しだけ揺らいだセルフマインドコントロール
ここで初めてマミの本音、即ち「目的」について察する事が出来ました。
彼女が魔法少女にならないという選択肢を話さなかった理由
寧ろ、魔法少女になるよう決意を促そうとしていた理由
それは偏に「孤独」でありたくなかったからだと私は思います。
自身が助かる事のみを願った為、家族を亡くしてしまった1人の少女
それに対する後悔の念と共に彼女から芽吹いていたのは、独りで生きる事への不安と孤独でした。
自らと共に生きてくれる誰かがいて欲しい。
自身と共に戦ってくれる仲間がいて欲しい。
自分と共に運命を背負う同士がいて欲しい。
根底にあった彼女自身の「寂しさ」が、2人を「魔法少女」の道へと誘ったのです。
誰かを仮想敵にしてしまえば、結束なんて簡単に生まれるでしょうから。

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孤独である。
人は本質的に孤独なんだと、何かで読んだ。
どんな生き物だってそうだ。
けど、それを自覚するのは人だけで。
生き物としては、昆虫の方が完成度高いのかも、と思ってしまう。

『CROSS†CHANNEL』
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それが彼女の打ち明けた、たった1つの本心
「孤独」を嫌い過ぎていた彼女の、唯一ともいえる本音です。
端的に言えば、マミの心は、5人の魔法少女の中で1番弱いです。
独りは嫌で、同業者の言葉には耳を貸さず、追い詰められれば簡単に発狂してしまう。
しかし、最後まで観ると、彼女の本質ははっきりと分かる形になっていました。
最年長でありながら、誰よりも弱い、可哀想な女の子
それがベテラン、巴マミの人々を惹きつける人柄と言えるのでしょう。


②美樹さやか
「団雪之扇」
マミが死んだ入れ替わりに魔法少女になった少女
いなくなってしまった彼女の遺志を継がんと、行動を開始する女の子
美樹さやかのエゴイスティックな面と言うのは、作中キャラの中でも最も分かりやすい部類と言えるでしょう。
人生において、最も人間性が姿を表す、麗しの情景
それ即ち、「恋愛」以外に他ありません。
幼馴染である上条恭介君に抱いた片思いから始まった行為
その行いは意識的か、無意識的か……
他人の為の願いと引き換えに魔法少女になった彼女
「上条と結ばれる」という自分の為の願い(利己的願い)を心の奥底に隠して、「上条の手を治して欲しい」(利他的願い)とキュウべぇに願った彼女
作中から判断するに、「上条の手を治す」と言うのは「上条と結ばれる」為の間接的手段でもあって、本当の願いと叶えてもらった願いにはズレが生じています。
今思えば、さやかはこの後、大事な人の手が救われた事に感謝して、「正義の味方」になろうと邁進するべきだったのでしょう。
それか、そもそも「魔法少女」に専念すると言う覚悟を込めた「願い」を申さず、貪欲に上条君の境遇を利用するべきだったのでしょう。
二兎を追うもの一兎も得ず
虻蜂取らず
あちらをたてればこちらがたたない世界です。
欲張って突っ走った結果は、皆さん既にご周知の通り
上記に心踊らされた結果、さやかは親友であるまどかに対しての八つ当たりや、杏子の言葉に耳を貸さない頑固さ等のエゴを存分に発揮
結果的に「上条と結ばれる」という1番の願いこそが、完膚なきまでに潰えてしまいました。

ですが、この娘の場合、状況も悪かったと私は思います。
非常に誤解されやすいのですが、今回の顛末は、全てが建前で彩った願いで本心を隠したから起こったと言う訳では決してありません。
確かに、彼女が上条の手を治して欲しいと願ったのには、あわよくば彼との良好な関係を手に入れたい利己的望みも当然含まれていた事でしょう。
マミの言っていた通り、さやかは「彼の望みを叶えた恩人になりたい」だけだったのかもしれません。
しかし、「上条の手を治したい」想いが嘘であった訳では無いのも確かな事なんです。
それは確実に作中の行動からも断言出来ます。
また、マミ死亡後の見滝原市をどうするか、まどかをどのように支えるかで頭が一杯だった現状がこの娘に大きな負荷を掛けていたのも否定出来ません。
タイミングがあまりにも悪く、彼女に対して一気に襲い掛かってきたと言う評価が妥当な所と言えるでしょう。
なので、ここからは身勝手で、外からなら何でも言える、私の適当な本音です。
それならもう少し、寛容性をまどかやマミ以外に対して抱くべきだったのではないでしょうか?
彼女の利己的な面は、実を言うと、この場限りであったと言う訳ではなく。
そもそもの悪い所は、自らの頑なで強情な性格に見事に直結していたように思うのです。
それはほむらの過去、彼女にさやかが与えた行為からも、存分に推察出来る事であります。
冷静に、他人の想いを少しでも考える。
そんな思慮深き行為に取り組んでいれば、確実にもう少し「魔女」になるより、マシな展開にはなっていたと私は思います。
もしかすると、性分的に無理な話なのかもしれないですが……
そして、擁護もしましたが、恋愛面において、奉仕の気持ちを秘めた「善」的行為一色ではなく、報酬の対価を求めた「偽善」的行為の意図が入っていたのは、確定的までに明らかです。
つまり、彼女は一部でも「見返り」を求めてしまった事に他なりません。
断言します。
「見返り」を求めてしまったならば、それは「愛」ではありません。
「見返り」を求めない奉仕の精神こそ、「愛」なのです。

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……誰だって、多かれ少なかれ、自動的に人を好きになる。
じゃあ……どうやれば、正しく好きになれるの?

見返りを求めない。
それだけのことだよ。
見返りを求めた瞬間、それは取り引きになると思うんだ。
交換、トレード。
自分にいいものをあたえてくれるなにか。
言い換えれば、外部との交易を許容した自己愛だ。
見返りを求めないのは友情だけに非ず。
答えは近くにあったんだ。

『CROSS†CHANNEL』
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とまあ、愚痴愚痴語りましたが、私はこの娘嫌いではありません。
いやあ、本当に豊かな表情と感性を持っている女の子ですね。
私はこういったTHE 人間的なキャラクターが大好きなので、この娘も例外でなく……
生前はハラハラ楽しみながら、その動向を観察していました(笑)
さて、そんな表舞台から姿を消してしまった美樹さやかが再度、登場するのは最終話です。
概念状態で全てを悟ったかのようにまどかと話しながら、上条の演奏『アヴェ・マリア(グノー/バッハ)』を聴いているさやか
この時の彼女に対しては私自身、強い違和感を感じました。
制作の意図する所ではないのでしょうが、正直言って、非常に気味が悪く感じたと今でも思います。
それは何故か?
彼女は生前の頃より、更に詳しく狭めるなら魔女化する前よりも精神的に成長しているからです。
「うん。これでいいよ」
「そうだよ。私はただ、もう一度、アイツの演奏が聴きたかっただけなんだ。あのヴァイオリンを、もっともっと大勢の人に聴いてほしかった」
「それを思い出せただけで、十分だよ。もう何の後悔もない」
「まあ、そりゃ…ちょっぴり悔しいけどさ。仁美じゃ仕方ないや。恭介にはもったいない位良い子だし…幸せになって…くれるよね」
ええ、良い娘です。
ここだけ見たならば、本当に良い娘です。
奉仕の気持ちを秘めた「善」的行為一色に染まっています。
しかし、魔女になった前の慟哭、一般人に危害を加えたあの図式を観ていた身としては、あれ、こんな娘だったかと思わずにはいられません。
確かに彼女自身、「自分がどうなっても恭介の腕を治したい」と言う願いの覚悟で動いていました。
しかし、自身の生死問題を全く考えず、恋敵に自らの好きな人を託すと言う姿勢にはどこか、人間味の無い部分をも感じてしまったのは事実なんです。
変わるにしても、その変わり様があまりにも早すぎる気がしてなりませんでした。
過程無き成長と言うのはここまで恐ろしいものなのかと実感した次第です。

しかし、まどかの浄化によって、円環の理に導かれた魔法少女が「解脱」し、この世の柵から解放されたとするならば、考え方が達観しているのは、ある意味、当然の事なのかもしれません。
何故か精神的に成長したさやかにとっても、結果として、彼女自身の中では最良の選択となっているのは事実のようですから。
上条の音楽で語るなら、さやかは「罪深いわたしたち」であり、まどかは「マリア」もしくは「主」なんですかね……
死を迎える時も祈ってくださいと語っている祈祷『アヴェ・マリア』
死後の精神状態について、肉体を持って生きている時と同じように語るのは、もしかすると、とても無意味な事なのかもしれません。

そういえば、この最後のシーンで思い出しましたが、古代ギリシャ世界にはオルフェウス教と呼ばれる密儀教がありました。
「悲しみの輪」からの最終的な解脱、神々との交感を目的に天上世界へ赴く思想を秘めた宗教です。
「音楽を魂の浄化手段」と捉えるその考えは「万物の根源は数である」と語るピタゴラス教団で、理論的研究として扱われていました。
なぜなら、音楽と数学は、西洋の歴史の中で最初から強く結びついていたからです。
音の高さの違いを数字で表したり、その数字によって音と音の関係を論じたり、音が生み出す調和を考えたりとそれはまあ、色々
そんな彼らが音楽に求めたのは、完全協和音程
「世界は単純な数学の調和によって完成した秩序を持っている」と当時、ギリシャ世界で考えられていた思考法によって生まれた音程です。
中世以降になると、キリスト教の発展と共に神の完全性、三位一体の考えにも結びついた「完全」の概念は大きく発展していきます。
音程だけでなく、リズムについても「完全な拍子」をめぐる議論が展開されていくのでした。

ただ、実を言うと、「音楽を魂の浄化手段」として進んできたオルフェウス教と、同じような思想であったキリスト教との間に前後関係があったかどうか?
一直線に辿った歴史がそこに存在していたかどうかは、今でもはっきり断言出来る程の研究は進んでいません。
しかし、『まどマギ』はキリスト教観念にも大きく影響を受けて生まれた作品です。
上条の救いはさやかの願いによって叶えられ、さやかの救いは上条の演奏によって見事に叶えられたと考えるのも、実にロマンチックで「幸せ」な話と言えるでしょう。


③佐倉杏子
「臥薪嘗胆」
美樹さやかが台頭してきた頃に現れた、もう1人の魔法少女
利他的に見えて利己的な部分もあった彼女と、利己的に見えて利他的な部分もあった女の子
さやかと対照的でありながら、実に似通っている少女
佐倉杏子の利己的性格に至った背景は、自らの波乱万丈な過去と経験を通して形成された物と断言出来るでしょう。
「以前のような家族の団欒を取り戻したい」という自分の為の願い(利己的願い)を心の奥底に隠して、「宗教家であった父親の説法を皆に聞いてもらいたい」(利他的願い)とキュウべぇに願った彼女
これもまた、さやかと同様
「父親の説法を皆に聞いてもらいたい」と言うのは「家族の団欒を取り戻す」為の間接的手段でもあって、本当の願いと叶えてもらった願いにはズレが生じています。
奇跡の力によって、杏子は「父の為の願い」を叶えましたが、それが良い方向には進まず結果的に家族を失ってしまい、本当の願いである「自分の為の願い」は叶いませんでした。
唯一、さやかと違うのは、その後の姿勢
美樹さやかが偽善的で利他的な態度を前面に見せるようになったのと逆に、佐倉杏子は偽悪的で利己的な態度を前面に見せるようになったと言う結果です。
略奪・窃盗は生きる為に普通の事
魔法は徹頭徹尾、自分の為だけに使うのが信条
その為には、使い魔をわざと放して人間を襲わせる手段も厭わない。
「孤独」になってしまったもう1人の少女は、彼女達と真逆のスタンスを選んでいったと言えるでしょう。

しかし、私が1番、杏子のエゴイスティックな面を感じてしまった部分と言うのは別にあります。
上記の行為と言うのは、彼女が自らの信念を意識して行った、言わば「意識的」なエゴ行動です。
それは「演じている」と言う部分も相成って確かに利己的ですが、それ以上、特に語る事はありません。
私が思う部分は、彼女の中にある元来の人の良さが出た事で生じた、言わば「無意識的」なエゴ行動についてです。
「演じていない」本音の部分ならば、彼女の心性について存分に語る事が出来ますから。
それが出てきたシーンは美樹さやかが魔女になった後の事
彼女が魂の持たない抜け殻の肉体になってしまい、意気消沈の鹿目まどか
そこに、佐倉杏子が話をつけにやって来ます。
彼女は言いました。
「親友であるまどかが付いて来て、さやかの名前を呼びかければ、人間だった頃の記憶を取り戻せるかもしれない」
私が1番、杏子のエゴイスティックな面を感じてしまった部分と言うのは、実を言うと、ここにあるんです。
この言葉、最初は首を振りながら肯いて聞いていましたが、冷静に考えてみると、さやかにとってみれば、大変に失礼な言動であると言えるでしょう。
なぜなら、自らの悩みが、苦悩が、後悔が、「まどかの説得」如きでどうにかなるかもしれないと、彼女には思われていたからです。
勿論、杏子自身はさやかを助けたい気持ちで、まどかに協力を仰ぐ意味で、このように語った事は充分把握しています。
しかし、さやかからしてみれば、これは堪ったもんじゃない。
彼女の辿ってきた意思の変遷を考えるならば、言葉は悪いですが、そんな「行為」で改心する等、ちゃんちゃらおかしい話です。
安く見られてるって話でしょう。
そして、その結果、魔女になったさやかへと、まどかも従順に戦闘中、呼びかけています。
彼女自体にあの時、意識があったかどうか(恐らく無かったと思いますが)は分かりません。
しかし、あの戦闘シーンで戻らなかったのには、魔女になってしまったら、もう一生、元には戻らないと言うほむらの情報を補強しているのと同時に、さやかの上記に対する怒りのような物を私は描写から感じてしまったのです。
杏子の凄い所は、それを生きている間に察してしまえた所と言えるでしょう。
そう、まどかの「説得」でどうにかなるかもしれないと考えていた1人の少女は、戦闘中に、それが有り得ない事を肌身に実感したんです。

「ハッ、いつぞやのお返しかい?そういえばアタシたち、最初は殺し合う仲だったっけね」
「生温いって、あの時アタシがもっとぶちのめしても、アンタは立ち上がってきたじゃんかよ」
「怒ってんだろ? 何もかも許せないんだろ?」
「わかるよ…それで気が済んだら目ェ覚ましなよ、なぁ」
この時点では、まだ元に戻ると言う希望をさやかに対して抱いています。
               ↓
「アンタ、信じてるって言ってたじゃないか!この力で、人を幸せにできるって」
「頼むよ神様、こんな人生だったんだ。せめて一度ぐらい、幸せな夢を見させて」
ここでもう薄々とさやかは戻らない事を察しています。
最後に紡いだ言葉に残るのは「神頼み」と言う名の祈願です。
               ↓
「その子を頼む。アタシのバカに付き合わせちまった」
そして、最後には、今、認識している現実を見据えています。
さやかは戻らない。
さやかの苦悩は、そんな簡単に解消される物ではない。
さやかは、もう滅ぼすしかない。
               ↓
「心配すんなよさやか。独りぼっちは、寂しいもんな……いいよ、一緒にいてやるよ……さやか……」
この言葉は今までの過程を辿ってみると、実に深い意味を持っています。
意識的であれ、無意識的であれ、自らは利己的行動を数多く行ってきました。
しかし、最後にやっと、彼女は本来の性格を取り戻す事が出来たのです。
最後にやっと、彼女はエゴイストからアルトルイストへ変化したのです。
最期にやっと、彼女は利他的に、誰かの為に死ぬ事が出来たんです。

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ありとあらゆる人間関係において。
軽度の攻撃は、快楽になる。
強すぎれば、損傷するが。
基本的に、人が人に触れる手段は攻撃しかない。
交友とは、手加減の上手さでしかないように思う。
おどけるのも、自爆するのも、攻撃ではない。
知っている。
全て。

『CROSS†CHANNEL』
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彼女は最期に唯一、他人を攻撃しつつも攻撃しないで自らの人生を終える事が出来たと言えるでしょう。
この言葉の流れはこうして辿ってみると、実に良く考えられた、深い意味を持った台詞変移と言えます。
唯一、他人を見て自分を省みる事が出来た少女
唯一、エゴイストのままで死ななかった聖女
それが佐倉杏子と言う、この5人の中で恐らく、最も優しい女の子なのです。
ほむらがまどかの次に頼りにしていたと言うのも、実に納得の話と言えるかもしれません。


④暁美ほむら
「心神喪失」
幾度となく、時空の流れを繰り返してきた少女
鹿目まどかの「願い」を心に刻み、乗り越える事を誓った女の子
その結果、神に見捨てられた哀れな子羊
それが、彼女、暁美ほむら
巴マミが5人の中で誰よりも「弱かった」女の子なら、暁美ほむらは恐らく、5人の中で誰よりも「強くなった」女の子
TV版において、恐らく彼女は唯一、利己的に行動する事を選ばなかった娘と言えるかもしれません。
誰かの為に、まどかの為に。
そのように考えてきた少女の利他的善意は決して報われる事がなく、最後から続くその先でも、更なる戦いを強いられています。
そんな彼女に対して、本レビューで語る事はあまりありません。
しかし、そんな待遇と対照的に、私には彼女が1番、魅力的に映っています。
暁美ほむらを支えていた物
それは「まどかの願い」
暁美ほむらを形作ってきた物
それは「過去の記憶」
上記の「呪い」達によって、その人間性は変化せざるを得ませんでしたが、全てが変わる程ではなかった位に、彼女は良い娘で、強い娘でした。
人間の本質を知り過ぎる位に知ってしまっても、誓いの約束に裏切られようとも、その結果、その心が変貌を遂げてしまったとしても……
彼女は最後まで、誰かに対して「見返り」を求めようとしなかった。
最後まで観て、私は思います。
これが「愛」です。
これこそが「愛」なんです。
「思い出」を拠所に「愛」に生きた少女、それが暁美ほむらと言えるでしょう。

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思い出が欲しい。
記録したい。
心に刻みたい。
思い出さえあれば、その輝かしい宝石さえあれば……

『CROSS†CHANNEL』
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その「思い出」はもっとあれば、良かったのでしょうか?
後、少しの「思い出」があれば、彼女は自らの生きていく道を肯定出来たのでしょうか?
そんな空想的思考実験を『まどマギ』と言う作品全体を観返した結果、私は感じてしまいます。
「思い出」を求めた彼女が最後にどのような帰結を迎えたか?
気になった方は是非とも、『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語』を観る事をお勧めします。
彼女への想いがぎっしりと込められた、本作への解答だけが詰まっている映画です。


⑤鹿目まどか
「汎愛博施」
『魔法少女まどか☆マギカ』における主人公
1話と最終話を比較すると、そのあまりの変貌様に驚く事必須の娘
しかし、実の所、本質は何も変わっていない「残酷な優しさ」を秘めた女の子
鹿目まどかを形容するとしたら、私の場合、上記の文に間違いなく依存される事でしょう。
「霖雨蒼生」で「残忍酷薄」な、救いようの無い女の子
利他的であるように振舞っていて、実は最も利己的である事を証明しています。
しかし、そんな自らの精神にまるで気付いておりません。
鹿目まどかと言うのは、私が評するなら、正にそんな女の子です。

ここで暴露すると、私がこれまで本作のレビューを書いてこなかった理由の背景にいるのは、いつも彼女でした。
より詳細に申すなら、最終回で彼女が行った事に納得出来なかったと言う所にあるのです。
「あなたはわたしの、最高の友達だったんだね」
この言葉が出たシーン
正直に申しますと、非常に気持ち悪くてしょうがありませんでした。
そして、同時にこの鹿目まどかという少女を、とても怖い娘だなと感じてしまったのを憶えています。
登場キャラにおける1番のエゴイストは、私にとっては間違いなくこの主人公
その理由をここからは詳しく述べていくと致しましょう。
ここまでの駄文、読んで下さり誠にありがとうございます。
後もう少しだけ、私の戯言にお付き合い下さい。

さて、意識的か、無意識的か。
彼女は最終話以前まで上手く立ち回って、様々な魔法少女達の戦い、葛藤、決意を見てきました。
「幸せ」を「幸せ」と、態々実感する事もない程の充実した日々
そこに何度も、何度も、何度も、現れるほむらの言葉
「自分の事を、自分を思ってくれている人達の事を大切にしろ」
「自分に向けられた想いを大切に、今とは違う自分になろうと思うな」
「貴女は、貴女のままでいればいい」
『魔法少女まどか☆マギカ』と言う物語は悲観的に断ずるなら、最後までこの忠告に従わなかった彼女が純粋に見てきた、もう1つの世界その物と言えます。
巴マミの、想いが叶いそうになった直後のおぞましき惨状
美樹さやかの、悩みに悩んだ末に導き出した破滅的答え
佐倉杏子の、最後にようやく辿り着いた美しき死に様
そして、暁美ほむらの、これまで繰り返してきた残酷な過去
全てを痛感し、体感し、実感してきた鹿目まどかだからこそ、最後に導き出した答えはあのようになったと言えるのでしょう。
「全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい。全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を、この手で」
うん、確かにこの言葉だけ聞けば、素晴らしき慈愛に満ちた「願い」です。
その結果、彼女が行った事は、他の絶望に苦しむ魔法少女達が希望に満ちた死を迎えるよう、魔女になる前に安らかに眠らせると言う事

うん?
これって本人の了解を得ていない安楽死に他ならないのではないでしょうか?
あまり詳しく語られていないので、明言はなるべく避けたい所ですが、魔法少女として死ぬより、魔女として生きる事を望んでいた魔法少女もいたかもしれません。
まあ、これについては傍観者である私が何を語った所で、意味は無いでしょう。
本人達が幸せに死ねたなら、それで良いと言えるのかもしれません。

次に私が遺憾に感じたのは、マミと杏子の死がなかった事にされると言う処置についてです。
これにはとてもじゃないですが、了解出来ませんでした。
確かに彼女達が無為に死んでしまう世界より、安息に日々を営む世界の方が遥かに良いと言えるでしょう。
それはこの作品を観た方なら、誰しもが自ずと考える事だと思います。
しかし、「死んでしまった」と言う事実は「死んでしまった」と言う結果として残さなければいけない。
まどかは、私達視聴者から、彼女達の「死」までも奪ったんです。
死ぬ前に見せた嬉しき顔も、悲しき決意も、悔しき葛藤も、夥しき感情も…
マミの、孤独が解消されると感じた時の安らぎに満ちた声も……
杏子の、大切な誰かのために自らを犠牲にしたあの尊厳死も……
全てが、はっきりなくなってしまいました。
彼女等が懸命に生きたと言う証の価値は、この時、永久に消え失せてしまったのです。
最後に出てきたマミと杏子は、私達とほむらが知っている彼女とは、明らかに変わっています。
これが皆さんにとって良い事なのか悪い事なのか、私には何とも言えません。
私個人の解釈としては、悪い事だったと言う、それだけの話
深層の感情は、個々人の中に存在していると言えるでしょう。

さて、それでは最後に、まどかの「願い」に対して最も遺憾に感じた箇所を書いていくと致します。
それは、この「願い」を叶えた事によって、純粋に彼女を考えてくれていた人の想いを踏みにじったと言う事実です。
これが結局の所、私の考える中で1番顕著に感じた部分となりました。
自分で全て考えて、他者からの想いに耳を傾けようとしなかったまどか
だからこそと言えるのですが、彼女は魔法少女の事以外、何も考えないまま、変身の道を選んでしまっています。
最後の展開を観る限り、円環の理にならなければ場を治める事が出来なかったのは確かです。
それは分かります。
しかし、この時点で、彼女は大事な人の事を何も考えていません。
最後まで引き止めようとしてくれた母親
優しい眼差しで見守ってくれた父親
いつも自分を慕ってくれた弟
そして、この道に誘われないよう、行動の限りを尽くしてくれた最高の友達
その全てを、考えていないのです。

「何も考えていない」事を如実に示しているのがあの言葉
「あなたはわたしの、最高の友達だったんだね」
だった……ですか……
確かにまどかは概念化する事でほむらの過去を知りました。
しかし、それって結局、ただ「知っただけ」に過ぎませんよね?
認識してるだけ、知覚してるだけ、認知してるだけ……
他人事のように語ったあの言葉が紡がれた時から、まどかが10話で唱えた「願い」は、完璧なまでに「呪い」と成り果ててしまいました。
これが私には酷く辛かったんです。
なぜなら、結局、彼女の頑張りが何も報われる事はなかったんですから。
因果律の法則が作中で示されたように、希望と絶望は表裏一体
「魔女」がいなくなった所で、それに代わる敵である「魔獣」が出て来たに過ぎません。
「魔女」にならない代わりに、前身となる「魔法少女」は消滅してしまうに過ぎません。
彼女は死ぬ前の「絶望」を感じなくさせた代わりに、生きている間の「絶望」を見事に与えてくれました。
そんな神の「祝福」には、もう、私もほむらも笑うしかない状況
そんな事を思うと、ほむらの最後の笑顔も随分と示唆的と言えるでしょう。

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この絶望も 希望も 畏怖も
平穏も 機微も 快楽も
てっぺんも 奈落も 狂乱も
全ては君の指揮次第で
今日もその掌で 好きに踊ろうと思うよ
どうせならば とびきりのスイングを
飛ばされて 降りたった国に
今なら過不足なく 愛を説けるでしょ

RAD WIMPS「ブレス」
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ここまでの意見でご周知の通り、私はまどかによる世界改変の内容には遺憾の意を示したい気分です。
そこに至った問題の箇所は、上記で全てと言えます。
存在が消えてしまった為に大切な約束も消滅しましたが、しかし、記憶から消えてしまったから約束もそれで良いと言う訳では当然、ないのです。
伝道者から、神の領域にまで上り詰めた少女、鹿目まどか
イエス・キリストの如き彼女にも、もしかしたら、魔法少女になるまでの過程で、私の与り知らない様々な想いが蠢いていたのかもしれません。
しかし、全話鑑賞した結果、私が彼女に対して抱いたのは
「誰の意見にも従わないで、考える事もしないで、思い出す事もしないで、自らが勝手に思っている最良の『願い』でしか判断しなかったエゴイスト」
と言う、正にイエス・キリストに対して思う同一の評価に他ありませんでした。
「何かをしたい」「何かが出来るようになりたい」という部分に囚われすぎて、本当に大切な想いに気付かなかった哀れな偽善者
最後の最後まで「大慈大悲」に満ちていた彼女は、どれだけ周りに大切にされていたかを理解出来ていなかったように思えてなりません。
家族から与えられた思いも、友達から与えられた想いも、何も分からないまま、考えないまま、簡単に選択した。
その結果があの「自己犠牲」だとしたら、あまりにもエゴに満ちた、救いようの無い話と言えるでしょう。

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極論ではあるが…
自己犠牲は、ひるがえせば全て自分のための行いとも言えるのだから…

『CROSS†CHANNEL』
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最初にも述べた通り、本当はこの作品について語る気はありませんでした。
それは、あの最終回に納得がいかなかった事もあり、これで一旦、終わりと言う形で温存していたからと言うのも理由の1つです。
しかし、先日、心境の変化があった結果、こうしてキーボードを打った次第でした。
本作における終わり方は「善悪の彼岸」と呼ばれる物に他ありません。
単純な「善」「悪」という言葉を超えた、まったく新しい価値観に委ねる終わり
それをどのように解釈するも、その人次第
その点においては、至極、懐が深い作品と言えるでしょう。

しかし、最後にこれだけは言わせて下さい。
このTV版の物語だけを見て、最後の終わり方から「綺麗なお話」と判断するのは少し危険と言えるでしょう。
なぜなら、本レビューで示したように『魔法少女まどか☆マギカ』と言う作品の根底にあるのは、ドロドロとした唾棄物に過ぎないからです。
結局の所、この物語もエゴによって全てが終わり、エゴによって全てが始まったに過ぎません。
本作は、エゴによって移り変わる世界の変革過程を描いた話に他ならないのです。

そして、この無慈悲な自然主義作品はこの後更に、私達を遙かなる高みへと誘います。
全ては新しい劇場版へ。
エゴとエゴのシーソーゲームへ。
彼女等の捩れ捻れた関係は、メビウスの輪のように相容れる事の無いまま、終わりの時へ、ゆっくり導かれていくと言えるでしょう。
レビュー、ここまで読んでくださり、誠にありがとうございました。

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すべて移ろい行くものは、永遠なるものの比喩にすぎず。
かつて満たされざりしもの、今ここに満たされる。
名状すべからざるもの、ここに挙げられたり。
永遠にして女性なるもの、われらを引きて昇らしむ。

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ『ファウスト』
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{/netabare}

P.S.
「物語」は多くの受け手がいてこそ、存在し続ける代物です。
その大部分には伝えたいメッセージが届き、少数には根拠の無い裏側が垣間見え、残った人達は無関心のままであり続けるでしょう。
そんな裏側を語った結果、「受け手の意思を無視した理論の押し付け」になってしまうのは否めません。
それこそ、正にエゴイスト
なので、どうか、この場のみで語らせて下さい。
私も即ち、エゴイスト
話半分の作品解釈レビューとして、どうか宜しくお願い致します。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 18

nk225 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

2016年春視聴。

新房昭之×虚淵玄×蒼樹うめ×シャフトが描くオリジナル魔法少女物語
「化物語」「ひだまりスケッチ」シリーズなどヒット作を多数手がける新房昭之監督とシャフトがタッグを組んで送る初のオリジナル作品として注目される本作。
脚本をPCゲームメーカー「ニトロプラス」所属のシナリオライターとして、その重厚な作風でファンを魅了し、小説「Fate/Zero」でもその才能を如何なく発揮した虚淵玄、「まんがタイムキララCarat」(芳文社刊)連載中の「ひだまりスケッチ」原作者・蒼樹うめが、初のオリジナルアニメのキャラクター原案を担当する。

大好きな家族がいて、親友がいて、時には笑い、時には泣く、そんなどこにでもある日常。
見滝原中学校に通う、普通の中学二年生・鹿目まどかも、そんな日常の中で暮らす一人。
ある日、彼女に不思議な出会いが訪れる。
この出会いは偶然なのか、必然なのか、彼女はまだ知らない。
それは、彼女の運命を変えてしまうような出会い―
それは、新たなる魔法少女物語の始まり―


サブタイトルは各話の登場人物のセリフから取られている。
これらは脚本段階で仮題としてつけられたものであったが、先の展開への想像をかき立てるということでそのまま採用された。

第1話「夢の中で逢った、ような……」(マミ編)
大好きな家族がいて、親友がいて、時には笑い、時には泣く、そんな平和な日々を送る中学二年生、鹿目まどか。
ある晩、まどかはとても不思議な夢を見る。

その日も訪れるはずだった、変わらぬ日常――。
しかし、訪れたのは非日常――。

まどかの通うクラスにやってきた、一人の転校生・暁美ほむら。
まどかが夢で見た少女と瓜二つの容姿をした少女。

偶然の一致に戸惑うまどかに、ほむらは意味深な言葉を投げかけるのだった...。

◆オーディオコメンタリー
悠木碧、斎藤千和、喜多村英梨

社会現象とも称された『魔法少女まどか☆マギカ』の主題歌である『コネクト』は作品のヒットとともに『ClariS』の知名度と人気をも確立した曲でもある。

鬱屈とした徐々にダークになっていくアニメの内容に反して、爽やかな映像と疾走感ある曲調で長らく『OP詐欺』だと言われていましたが、10話で明かされたとある過去にぴたりとシンクロする壮大な歌詞は、まさしく作品と楽曲の最高のマッチングが生まれた。

この曲を作詞作曲した『渡辺翔』さんはアニメの展開を聞かされずにこの曲を作り上げ、奇跡的にシンクロしたというからさらに驚きである。
曲のよさに加え作品との相乗効果で何倍にも素晴らしい出来となったClariSの代表曲だ。

※「ひだまりスケッチ」原作者・蒼樹うめがキャラクター原案だったこともあり違和感なく本放送視聴開始。
オープニングテーマの「コネクト」には驚かされた。
「irony」が良かったのでアルバムの購入を迷っていたが、「コネクト」を聴き購入を決定。


第2話「それはとっても嬉しいなって」(マミ編)
ほむらに襲われたキュゥべえを助ける途中、迷い込んだのは摩訶不思議な空間。
絶体絶命のピンチに陥ったまどかとさやかを救ったのは一人の魔法少女、巴マミ。

その後二人が誘われたのは、魔法少女の部屋。

語られしは、キュゥべえに選ばれし者に与えられる資格。
魔法少女という存在、そして魔女という存在について。
どんな望みをも叶えるチャンスと、その先に待つ過酷な使命。
悩む二人に、マミは「自分の魔女退治に付き合わないか」と提案をするのだった。

◆オーディオコメンタリー
悠木碧、斎藤千和、蒼樹うめ


第3話「もう何も怖くない」(マミ編)
マミの魔女退治体験コースにも慣れつつある、まどかとさやか。
ただし、肝心な願い事は未決のまま。

悩むふたりに明かされた、マミの過去。

「願いの内容が、自分のための事柄でなくてはならいのか?」と問うさやかに、マミは、厳しい口調で「他人の願いを叶えるのなら、なおのこと自分の望みをはっきりさせておかないと」と窘めるのだった。

翌日の放課後、恭介の見舞いに行ったとさやかと付き添いのまどかは、その帰り道、偶然にも病院の駐輪場で孵化しかけたグリーフシードを発見する。
放置すれば、大惨事になりかねない事態に、さやかはキュゥべえと共に見張りを、まどかはマミを助けを求め、呼びに走るのだった。

◆オーディオコメンタリー
悠木碧、斎藤千和、水橋かおり

※本放送終了後唖然とした。
これは既存の魔法少女ものではないと確信。


第4話「奇跡も、魔法も、あるんだよ」(さやか編)
マミと魔女との壮絶な戦いの翌日、訪れたのはいつもと変わらない平和な日常。

魔法少女の敗北の結果を目の当たりにしたまどかとさやかは魔法の世界に関わったことの重さを実感し、魔法少女になることを諦める。

その日の夕方、誰もいなくなったマミの部屋を訪れたまどかは、帰り道、マンションのエントランスでほむらと出会う。
夕日の中、並んで歩く二人。
魔法少女としての死ぬことの現実を語るほむらに、まどかは切ないほど優しい言葉をかけるのだった。

◆オーディオコメンタリー
悠木碧、斎藤千和、虚淵玄


第5話「後悔なんて、あるわけない」(さやか編)
魔法少女として、魔女の手からまどかと仁美を救ったさやか。
キュゥべえとの契約により願いを叶えた今、その心は清々しく、魔法少女となったことに後悔はない様子。
反対にまどかはさやかよりも先に魔法少女になる決意をするも、諦めてしまった自分に悩む。

そんなある日、病院の屋上で開かれたのは恭介の手の快復祝い。
父の手から、かつて自分が愛用していたバイオリンを渡され躊躇するも、意を決してバイオリンを披露する恭介。
まったく衰えていない天才の才能に、聴き惚れる一同。
その光景を見たさやかは、至福の喜びをかみ締める。

一方展望台には、そんな病院屋上でのさやかの動向をうかがう杏子の姿があった。

◆オーディオコメンタリー
悠木碧、斎藤千和、野中藍


第6話「こんなの絶対おかしいよ」(さやか編)
さやかと杏子の戦闘現場に、突如現れたほむら。
戦闘の仲裁に入った彼女はさやかを一撃で気絶させ、それを見た杏子はほむらを警戒し、その場を離脱したことにより、戦闘は終息する。

翌日、杏子の乱入により取り逃してしまった使い魔の痕跡を探すさやかとまどか。
戦闘の痕跡が残るその現場で、杏子との平和的な解決を提案するまどかと、命を賭けた魔法少女同士の闘いに覚悟を決めたさやか。
二人の意見は擦れ違ってしまう。

そんな二人のやりとりの一方、ゲームセンターでは、とある目的のため、ほむらは杏子と接触するのだった。

◆オーディオコメンタリー
悠木碧、斎藤千和、宮本幸裕


第7話「本当の気持ちと向き合えますか?」(杏子編)
魔法少女となった自分の体の真実を知ったさやか。
戦いの運命を受け入れてまで叶えた願いと、その代償の大きさの間で揺れてしまう。

そんな自宅でふさぎこむさやかの元に現れたのは、敵対していたはずの佐倉杏子。
彼女はさやかを外へと連れ出し、とある廃墟の教会へと誘う。

そこで杏子の口から語られたのは、自身が魔法少女となった理由。
果たして彼女の真意とは――

◆オーディオコメンタリー
悠木碧、斎藤千和、新谷良子


第8話「あたしって、ほんとバカ」(杏子編)
自らの負傷も意に介さず、ただ目の前の魔女を切り刻むさやか。
治癒魔法のおかげで最終的には無傷で魔女に勝利するも、もはや憔悴しきった様子。

その帰り道、雨宿りがてらの休憩中、憔悴しきったさやかの様子を見かねたまどかは、さやかの戦い方について、口を出してしまう。
きれいごとばかりに感じるまどかのその言葉に、さやかはついに感情を爆発させ、その場を立ち去ってしまう。

涙に暮れながら、それでも追いかけられないまどか――
雨の中をはしりながら、自己嫌悪に悔し泣きをするさやか――

彼女のソウルジェムは、黒く黒く濁っていくのであった。

◆オーディオコメンタリー
悠木碧、斎藤千和、谷口淳一郎


第9話「そんなの、あたしが許さない」(杏子編)
漆黒のグリーフシードと化したさやかのソウルジェム。
そのグリーフシードは孵化し、新たな魔女が現れる。
さやかの身体を抱え、迫りくる魔女の攻撃に防戦一方の杏子。
魔女の結界に割って入ってきたほむらは、杏子を先導し結界から脱出する。

一方まどかは、さやかの捜索途中、重い足取りで歩く杏子とほむらの姿を見つける。
変わり果てた姿となったさやかの前で泣き崩れるまどかに、ほむらは冷淡な口調でソウルジェムの最後の秘密を語り、その場を立ち去る。

その日の深夜に、キュゥべえが、京子の前に現れる。
キュゥべえとの会話の中でさやかの身体を元に戻す一縷の可能性を見出す杏子。
翌朝、京子は登校途中のまどかをテレパシーで呼び出し、驚きの提案をするのだった。

◆オーディオコメンタリー
悠木碧、斎藤千和、加藤英美里


第10話「もう誰にも頼らない」(ほむら編)
それはとある少女の転校風景。
必要以上に緊張し、萎縮する気弱そうな少女は、クラスの全生徒の視線を一身に浴びながら、慣れない自己紹介をする。

休み時間、押しかけて興味津々に質問をしてくる女子たちに、 気圧されておどおどしている彼女を、その場から連れだしてくれたのは、クラスの保健委員を名乗る少女。
優しい笑顔を向ける彼女は、自分を名前負けだと感じる少女に対し カッコいい名前だと言う。

長らくの入院生活により、学力も体力も他の生徒に劣る彼女は、 劣等感に肩を落として帰宅する途中、ふとしたことで魔女の結界に迷いこんでしまう。
彼女の絶体絶命のピンチに現れたのは、二人の魔法少女だった。

◆オーディオコメンタリー
悠木碧、斎藤千和


第11話「最後に残った道しるべ」(ほむら編)
雨の中、しめやかに行われたさやかの葬儀。
うつろな目をして家に戻ったまどかは、玄関で出迎えた詢子への挨拶もそこそこに自分の部屋に入ってしまう。
一人悲しみに暮れるまどかの元に現れたのはキュゥべえ。
さやか達の死について淡々とした口調で語るその姿に、さすがのまどかも怒りを感じる。
そんなまどかの態度が理解できないキュゥべえは、自分たちと人類がこれまで共に歩んできた歴史を語るのだった。

◆オーディオコメンタリー
悠木碧・斎藤千和・喜多村英梨・水橋かおり・野中藍・加藤英美里


第12話「わたしの、最高のともだち」(ほむら編)
一人ワルプルギスの夜に挑み、深手を負ったほむら。
何度挑戦しても勝てないくやしさ、自分の行為がかえってまどかを苦しめる結果になったことへの絶望で、自らのソウルジェムを黒く染め上げていく。
そんなほむらの前に現れた少女、鹿目まどか。
まどかは、決意のまなざしでワルプルギスの夜を見据え、ほむらに言い放つ。

「叶えたい願い事をみつけたの」

魔法少女となる者の運命を全て知った彼女は、果たして何を願い、どんな決断を下すのか?

◆オーディオコメンタリー
悠木碧・斎藤千和・虚淵玄・蒼樹うめ・宮本幸裕


◆Blu-ray Disc / DVD完全生産限定版特典ドラマCD
いずれも、虚淵玄による監修作品であることが銘打たれている。

「Memories of you」
BD/DVD第1巻初回限定盤特典。脚本は、外伝漫画『魔法少女かずみ☆マギカ』の原作者でもある平松正樹。
テレビアニメ本編では第10話の冒頭から中盤にかけて触れられていた、暁美ほむらが魔法少女になる前の、鹿目まどかと初めて知り合った時間軸の詳細を描く内容。この時間軸のまどかが、黒猫のエイミーの命を救うためにキュゥべえと契約して魔法少女となった、という経緯が描かれている。
なお、ドラマ内容が「本編3話以降のストーリー(具体的には第10話)に関係している(未視聴の者にとっては、いわゆる『ネタバレ』となる)」ことが、CD表面や付属ブックレットには記述されている。

「サニーデイ ライフ」
BD/DVD第3巻初回限定盤特典。脚本は大嶋実句。劇伴に菊谷知樹が参加している。
テレビアニメ本編では対立していたり共闘する時期がなかったりした魔法少女5人が、友好的な関係を築いているという設定の時間軸での、コメディ的な日常風景を描いている。

「フェアウェル・ストーリー」
BD/DVD第5巻初回限定盤特典。脚本は「Memories of you」と同じく平松正樹が担当した。
魔法少女になりたての頃の佐倉杏子が、見滝原で巴マミとコンビを組んで戦っていたという過去が描かれる。テレビアニメ本編では触れられなかった、杏子の本来の能力である幻惑魔法についても触れられている。

◆魔法少女まどか☆マギカ第1巻~第3巻購入特典「魔法少女達のお茶会」
好評だった為、第11話のオーディオコメンタリーで取り入れられた。

劇場版『[新編] 叛逆の物語』公開前の視聴履歴
魔法少女まどか☆マギカ 2013年10月の経緯
2013年10月からは劇場版 [新編]の公開に合わせ、「魔法少女まどか☆マギカ」をBS11で視聴。(2013年10月時点で視聴回数7以上)
毎日放送で新編公開前日深夜(当日未明)に当たる2013年10月25日に、前後編の地上波初放送を記念した一挙放送特別番組『劇場版公開記念!「魔法少女まどか☆マギカ」朝まで4時間SP』を視聴。
『[新編] 叛逆の物語』は2013年10月26日に公開(初日の午前に視聴)。

オープニングテーマにはClariSが起用された。第10話、最終話(第12話)にはオープニングアニメーションがなく、直接本編が開始される。
「コネクト」
第1話 - 第9話、第11話オープニングテーマ。明るい正統派の魔法少女アニメのオープニングを想起させる内容となっており、映像にはまどか、マミ、さやかが魔法少女姿で共演しているという、本編時間軸では実現しなかった場面も描かれている。視聴者や出演者の間では本編第3話以降のシリアスな内容との落差が話題になり「オープニングは詐欺」とも言われたが、第10話で暁美ほむらの過去が明かされると、歌詞の内容が劇中で伏せられ続けていたほむらの心情に寄り添ったものであることが示唆されるようになる。このことを第10話まで視聴者に悟られないよう、オープニング映像は意図的にまどか中心で描かれているが、実はこの映像がほむら視点から見たものであるという解釈での演出を終盤に付け加える構想もあったという。
第10話、最終話ではエンディングテーマとして使用されたが、エンドクレジット上ではいずれもオープニング扱いとなっている。

エンディングテーマにはKalafinaが起用された。オンエア版の第1話、第2話、第9話、第11話はエンディングアニメーションがなく、本編ラストシーンにかかるかたちでエンドクレジットが流された。第10話、最終話では主題歌「コネクト」がエンディングテーマとして使用された。BD/DVD版では第1話、第2話、第9話にオリジナルのエンディングテーマと一枚絵の映像が使用されている。
「Magia」
第3話 - 第8話エンディングテーマ。第1話、第2話、第10話では挿入歌として使用された。BD/DVD版第11話では本編ラストシーンにかかるかたちで使用され、そのままエンディングへとつながった。
巴マミの死が描かれる第3話からはエンディング映像を伴うようになるが、その内容は作品のダークな内容を象徴するような、視聴者にインパクトを与えるものになっており、エンドクレジットも赤文字で描かれるという趣向が施されている。第1話と第2話でエンディング映像が用いられなかったのは、その内容がネタバレとなってしまうためである。

「また あした」
BD/DVD版第1話・第2話エンディングテーマ。

「and I'm home」
BD/DVD版第9話エンディングテーマ。


人気アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」の中華圏向け新作スマホゲームを年内配信
人気アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」のスマートフォン向け新作ゲームの中華圏初となる正式ライセンスを取得し、中国アニメ配信大手bilibili社との共同開発を通じて、年内に中国、台湾、香港、マカオで配信開始を予定していると発表した。配信開始に先行して、bilibiliユーザーに限定したCBT(クローズドβテスト)を、6月から開始する。

スケールがでかい! アニメに登場したとんでもない悪役キャラ
アニメにはさまざまな悪役が登場します。根っからの悪というのはなかなかいませんが、それでも中には「ものスゴく悪いヤツ」がいるものです。

●キュゥべえ
⇒『魔法少女まどか☆マギカ』
とても愛らしい外見をしており、魔法少女をスカウトする不思議な生き物です。魔法少女になりたいという少女と契約を交わすのですがその内容は悪辣(あくらつ)なもので、キュゥべえには隠された動機があったのでした。魔法少女ものには珍しいすごい悪役です。

厳しい冬の到来の前に。もう後がないギリギリ感を味わう極限アニメ
ごく普通の中学生の鹿目まどかは、ある日トラブルに巻き込まれて、人類に災厄をもたらす「魔女」と、魔女と戦い世界を守る「魔法少女」の存在を知ります。まどかの前に現れたキュゥべえというマスコット的な動物は、まどかに「願いをひとつ叶えるのと引き換えに、人類の敵の魔女と戦う魔法少女になってほしい」と言います。魔法少女に憧れながらも、決心がつかないまどか。しかしやがて、魔法少女をとりまくおそろしい現実が明らかになっていきます。

魔法少女たちが最初に叶えたいと思った「願い」は、決して大それたものではなく、ささやかであたたかい願いでした。にも関わらず、いったん魔法少女になると救いのない構造に心身は疲弊し、絶望が心を蝕んでいきます。過酷な現実から逃れることは誰にもできません。理不尽さがある意味リアルそのもので、テレビシリーズが大ブームになったあとは、いろんな解釈でこのストーリーが語られました。

今から新たに見るという人には、「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[前編] 始まりの物語」「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[後編] 永遠の物語」が、非常によくできた総集編でオススメです。さらに絶望を極めたい人は、「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編] 叛逆の物語」もどうぞ。

シャフト「MADOGATARI展」開催 <物語>シリーズ&まどマギの世界に興奮必至
アニメーション制作スタジオ「シャフト」の40周年を記念した展示イベント「MADOGATARI展」。東京会場となるアーツ千代田3331で27日、報道陣向けの先行内覧会が開催された。  2015年9月に設立40周年を迎えたシャフト。会場では、シャフトの代表作品である『<物語>シリーズ』、『魔法少女まどか☆マギカ』を中心に、過去作品の原画、設定などの貴重な制作資料を一気に展示。数々の作品の歴史とその軌跡を伝える。会場に入るや、お馴染みのキャラクター達がびっしりと描かれたウェルカムトンネルがお目見えし、シャフトの世界へと誘ってくれる。
 
『<物語>シリーズ』コーナーでは、原作者・西尾維新の書き下ろしストーリーが巨大な書物の1ページとなって展示。続いて、原画・設定集など資料が並ぶが、驚くのはその数の多さ。会場スペースの許す限り作品資料が展示されており、シャフトの制作史にどっぷりと浸ることができる。

『<物語>シリーズ』では展示方法にも趣向が凝らされており、ヒロインごとに原画を公開。戦場ヶ原ひたぎの落下シーン、千石撫子が呪いに悶えるシーン、はたまた阿良々木火憐の歯磨きプレイシーンなど、それぞれの名シーンの生素材には興奮すること間違いなし。

また今回、大いに話題となっているのが、シリーズ総監督の新房昭之が絵コンテを切った『魔法少女まどか☆マギカ』のコンセプトムービーだ。映像化にあたり、劇場版の監督・宮本幸裕が演出を務め、異空間設計を担当した劇団イヌカレーらメインスタッフが参加。主要キャストによる新録ボイスも収録されるなど、今後の展開に期待せざるを得ない映像に仕上がっている。

緻密に、多大な労力をかけて描かれた素材から、改めてシャフトのチャレンジ精神と作品への愛情を再確認できた本展示イベント。まだまだ新たな伝説が生まれる予感に、胸は弾むばかりだ。

なでなでもふもふしたい!アニメファンが選ぶ「もっとも可愛いアニメ・漫画のマスコットキャラ」
願いを叶えた代償として「魔法少女」となり、人知れず人類の敵と戦うことになった少女たちに降りかかる過酷な運命を描いた『魔法少女まどか☆マギカ』から、願い事を叶えてくれる魔法の使者「キュゥべえ」がランクイン。その白くて耳長の可愛らしい姿、契約へのこだわりと巧みな話術。ただのマスコットキャラという枠には決して収まらない、不思議な魅力を持つキャラクターといえる。公式での性別は今のところ不明。

東海大学に「魔法少女まどか☆マギカ」全話を考察する授業が爆誕 行列ができる大盛況に!
大学生になりたい(切実)。
アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」全12話を詳細に学ぶ授業が東海大学文学部で行われた。……信じられないのかい? それなら、見せてあげようか。公式のシラバスを。

授業名は「知のフロンティア」。担当教員は上代文学(太古~奈良時代ごろまで日本文学)の専門家で、シラバスによると「学科の枠にとらわれない知的刺激に富んだテーマを取り上げ」「学生諸君に学部横断的視点から知の最前線について平易に学んでもらうこと」が目的とのこと。そして設けられてたテーマが「魔法少女は生まれない―『魔法少女まどか★マギカ』講釈―」。

圧巻なのは授業スケジュール。初回のガイダンス以降は本当に“まどか☆マギカ尽くし”で、各話の視聴が“予習”として指定されているほか、総括(第15回)には「復習:作品を全話観直すこと」というアツい一文も。真面目に受講した場合は2周することになりますが、率直に言ってめちゃくちゃ楽勝だろ! むしろ劇場版だって自主的に観るよ! ちなみに、2015年4月8日が同授業の初回でしたが、教室は大盛況で行列まで出来ていたそうです。

まどマギ「SUGOI JAPAN Award2015」の初代グランプリ作品!
“まどマギ”の愛称で親しまれているアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』がポップカルチャー作品を選ぶ初の国民投票『SUGOI JAPAN Award2015』で初代グランプリとなったことが12日、東京・大手町のよみうり大手町ホールで開かれた同賞授賞式で発表された。

『SUGOI JAPAN Award2015』は“日本のスゴイ!を世界のスゴイ!へ”をコンセプトに「この素晴らしい作品を世界中の人々にも紹介したい!」 「世界でも大ヒットするにちがいない!」と熱い支持を集める日本のポップカルチャー作品を、ファン自身の国民投票によって選出。海外へ発信することを目的にしたものとなる。

「マンガ部門」「アニメ部門」「ラノベ部門」「エンタメ小説部門」の全4部門203作品の中から、各部門のトップ10に輝いた作品を表彰するもの。昨年10月から同12月31日までの投票期間に7万7631票(二重投票は不可)が集まった。『魔法少女まどか☆マギカ』はアニメ部門で1位および全部門を通して最多得票となりグランプリとなった。

同作プロデューサーでシャフトの久保田光俊氏が登壇し、受賞へのお礼を述べると、ノミネートされた他作品へも、「どの作品もすべて全身全霊をかけて制作されていると思います。制作スタッフの励みにもなると思いますので、1本でも多く観て頂けるように」と、願いを込めていた。

なぜ『まどマギ』? 世界へ伝えたい日本コンテンツが選ばれた裏側 【「SUGOI JAPAN Award2015授賞式レポ】
マンガ・アニメ・ラノベ・エンタメ小説。ここ10年以内に刊行された作品のなかで、もっとも世界へ紹介したい作品とはどれか?

3月12日に授賞式が行われた、「SUGOI JAPAN Award2015」。この賞は、日本から世界へ発信したいポップカルチャーを称えるもの。国民投票によって4ジャンルの頂点が決定した。

この賞のシステムは、まず有識者によって各ジャンル50タイトルずつ選出。そのなかで、自身がイチオシしたい作品へひとり3票を投じる仕組みだ。投票者から、各作品への熱いメッセージが多数寄せられたそうだ。

●SUGOI JAPAN Award2015 トップに輝いた作品
マンガ部門 『進撃の巨人』
アニメ部門 『魔法少女まどか☆マギカ』
ラノベ部門 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』
エンタメ小説部門 『図書館戦争』シリーズ

最多得票獲得・グランプリ 『魔法少女まどか☆マギカ』

投票するにあたり、自分の大好きな作品が、この50タイトルにノミネートされず、ちょっと残念な思いをした人もいるだろう。だがこれには、相当な葛藤があったのだ。授賞式では、選者たちの苦悩と熱い思いが語られた。

●この10年の変化を表したアニメのラインアップ
アニメ部門を代表して明治大学国際日本学部准教授・森川嘉一郎氏は、アニメ界の変化を選出に表現した。
「50タイトルには、ここ10年の日本アニメの特質を反映させました。それはほとんどの作品が深夜の時間帯に放映されていることです。かつてのゴールデンタイムの放映から、深夜帯へのシフトは、作品内容にも変化をもたらしました。より制約がなく自由に。また目の高い視聴者向けに多様になりました。
海外では、日本のゴールデンタイム作品に親しんでいる人が圧倒的です。けれど日本アニメが深夜帯へ移行していることを知って、ファンをさらに増やしていきたいです」

さらにトップ10のすべての作品は、歴史の積み重ねが読み取れるという。魔法少女というジャンルは、すでに50年以上も日本アニメを支える軸のひとつ。長い年月をかけて培われたエキスが『魔法少女まどか☆マギカ』には凝縮されている。一朝一夕に制作できる作品ではない、と称えた。ロボットもの、ラブコメものにしても、現在の洗練は積み重ね合ってのこと。このアニメの時間的積み重ねも世界へぜひ伝えたい!

外国人記者が選ぶ、日本のテレビアニメ
「自分が知る限り、これは完璧なアニメ!」と太鼓判を押すのが『魔法少女まどか☆マギカ』。「ビジュアルは驚くほどクリエイティブで、サントラもパワフルで刺激的。物語とあらゆる要素が完璧に細工されたオルゴールのように所定の位置に置かれている!」と大興奮。「私は虚淵玄のすべての作品が好きだが、『まどマギ』は群を抜いている。その美学はこれまでで最も印象的だ」と絶賛した。

決定!2011年のオススメアニメ
日夜放送されているTVアニメ作品。2000年以降に限っても、多くの名作が放送されているが、その中でオススメの作品はどの作品だろうか。教えて!gooにも、「2000年以降でオススメのアニメ作品を3つ挙げると」という質問があった。
「2000年以降の作品(TVアニメ・OVA・劇場版)であなたのオススメ3作品を教えていただきたいです」とのこと。どんな回答が寄せられたのだろうか。

■あなたのオススメ作品は?
回答の中で一番多かったものはなんだろうか。

一番多かったのが、「魔法少女まどか☆マギカ」「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「日常」の3作品。

胸に響く!『まどマギ』の名言・名ぜりふたち
2011年に放送されたテレビアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』。アニメファンだけでなく、著名人からも高い評価を受け、ブームとなりました。今回は、この『魔法少女まどか☆マギカ』、通称「まどマギ」に登場した名言や名ぜりふたちをご紹介します。

●「こんな自分でも誰かの役に立てるんだって、誰かの役に立てるんだって胸を張って生きていけたらそれが一番の夢だから」鹿目まどか
自分に自信のない人にとって、他の人に必要にされているということはうれしいものです。

●「希望を抱くのが間違いだなんていわれたら、私、そんなのは違うって何度でもそう言い返せます」鹿目まどか
希望があるからこそ、人は頑張れるものですからね。

●「感謝と責任を混同しては駄目よ」暁美ほむら
混同している人が多いもので……。

●「奇跡ってのはタダじゃないんだ。希望を祈ればそれと同じ分だけの絶望が撒き散らされる。そうやって差し引きを0にして世の中のバランスは成り立ってるんだよ」佐倉杏子
「等価交換」というやつでしょうか? 何事にもリスクはあるということです。

●「他人の願いを叶えるのなら、なおのこと自分の望みをはっきりさせておかないと」巴マミ
自分自身がブレていたら意味がないですよね。

●「真実なんて知りたくもないはずなのに、それでも追い求めずにはいられないなんて、つくづく人間の好奇心というものは理不尽だね」キュゥべえ
知ることで不幸になると分かっていても知りたいと思ってしまったりしますもんね……。

●「私は、冷静な人の味方で、無駄な争いをする馬鹿の敵。あなたはどっちなの?」暁美ほむら
これは名言かつ名ぜりふです。無駄な争いをする人は確かに馬鹿です。

●「大人はだれだって辛いのさ。だから酒飲んでもいいって事になってんの」鹿目詢子
主人公・鹿目まどかのお母さん、詢子さんの言葉。「分かる」という人も多いのでは?

●「辛い分だけ楽しいぞ大人は!」鹿目詢子
こちらも詢子さんの言葉。辛いことも多いですが、大人にならないと楽しめないことも多いですよね。

●「うざい奴にはうざい仲間がいるもんだねえ」佐倉杏子
「あー、そのとおり」と思ってしまいました(笑)。

●「女の子をせかす男子は嫌われるぞ」巴マミ
じっくりと返事を待つ度量も男には必要です。まあ言った相手はキュゥべえでしたけどね(笑)。

●「食い物を粗末にするんじゃねえ」佐倉杏子
ちょっと過激な言葉がこの後に続きますが、そのとおりですよね。もったいないオバケが出てきます。

予想外の展開のストーリーや魅力的なキャラクターたちが登場する『魔法少女まどか☆マギカ』ですが、こうした心に響くような名言も多くあるのです。

『魔法少女まどか☆マギカ』のお洒落なキャラバッグが誕生
アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』に登場する魔法少女たちをイメージした、おしゃれなバッグが株式会社ムービックから新発売されます。

種類と価格は暁美ほむら・巴マミモデル各7,800円(税別)、鹿目まどか・美樹さやか・佐倉杏子モデル 各9,800円(税別)。

衝撃的!?感動的!?アニメファンが選ぶ「もっとも死に際が印象的だったアニメキャラクター」
第3位には、願いを叶えた代償として「魔法少女」となり、人知れず人類の敵と戦うことになった少女たちに降りかかる過酷な運命を描いた『魔法少女まどか☆マギカ』から、メインキャラクターの1人である「巴マミ」がランクイン。アニメシリーズでは物語序盤で魔女に敗れて絶命するキャラクターとなっており、視聴者に衝撃を与え作品の話題性や人気にも繋がったとも言われている。

『ネット流行語大賞 2013』投票結果はこうなった!
毎年行ってきている未来検索ブラジル主催の『ネット流行語大賞』。
今年も様々な流行語は生まれたがネットで流行った流行語はどのような物があるのだろうか。

<ノミネート用語>
17位:「やっとあえたね」(魔法少女まどか☆マギカ)

他作品
17位:「駆逐してやる」(進撃の巨人)
28位:にっこにっこにー(ラブライブ)

「冬アニメは不作」とはいわせない 衝撃が走った2011年(冬)
この「○アニメは不作」というフレーズ。毎クールごとに見かける気もしますが、本当なのでしょうか。個人的にはなんだかんだで毎クールお気に入りのアニメが数本あるため、このフレーズを聞くたびに少し違和感を覚えてしまいます。

これぞ覇権アニメ! 『まどマギ』に湧いた2011年

本来ならクール1クラスのヒットなった『IS<インフィニット・ストラトス>』もありますが、2011年冬と言えばやはり『魔法少女まどか☆マギカ』に触れないわけにはいけません。魔法少女というモチーフとかけ離れた驚愕のストーリーは話題を呼び、社会現象にまでなりました。あれ? なんだか冬アニメ、不作どころかかなり傑作揃いな感じもしてきました…。

8000光年先に「まどか」の姿が見えると話題に
アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」の主人公・鹿目まどか。最終話では自身の願いを叶え魔法少女になった姿「アルティメットまどか」で登場します。この“女神まどか”を宇宙の彼方で発見したとネット上で話題になっています。

問題の場所は、さそり座の散光星雲「NGC6357」。その中心部にある「Pismis 24」に女神まどかが降臨しているとの指摘が、2ちゃんねるなどに書き込まれました。確かに目を凝らしてみると、トレードマークであるピンクの髪色に、深遠な宇宙を内包するようなドレス、そして光の翼をまとった姿が見えるような……。

ネットユーザーの反応は様々で「なにいってんねんまどかがいるわけ……まどかだ!!」「み、みえる! 僕にも見えるぞっ!」といった熱い声もあれば、「どれのことだかさっぱりわからん」という冷静な突っ込みも。ちなみに地球からの距離はおよそ8000光年。まどかは先史時代にも危機を救ってくれたのかもしれません。

円環の理に導かれたから? Google上半期検索ワードランキング・アニメ編
昨年と比べ今年上半期に検索数が急上昇したアニメタイトルをGoogleに聞いてみた。1位はやっぱりあのタイトル。ほむほむ……じゃなくて、ふむふむっなるほど!

2011年上半期は「魔法少女まどか☆マギカ」や「TIGER & BUNNY」といったアニメが大いに注目を集めた。作品の人気度はネット上での検索数に比例するかも(?)ということで、Google日本法人にアニメタイトルの急上昇検索ワードランキングを聞いてみた。あなたのお気に入りは何位かな!?

2011年1月1日~6月末までの間に、Googleでの検索ボリュームが昨年に比べ急上昇したアニメタイトルを集計した。堂々の1位は「魔法少女まどか☆マギカ」に。2位は「TIGER & BUNNY」、3位は「花咲くいろは」という結果になった。

せっかくなので、参考までにGoogleでタイトルを検索してみると、1位「魔法少女まどか☆マギカ」が約2310万件、2位「TIGER & BUNNY」が約3520万件、3位「花咲くいろは」が約894万件ヒットした。

「まどか☆マギカ」人気すぎ! 最終回に大盛り上がり、開店時間ずらすアキバの店も
人気アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」がついに最終回を迎えた。未明の放送にも関わらずネットは大盛り上がり! アキバの武装商店は最終回を見るため開店時間を遅らせた。

人気アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」がついに最終回を迎えた。TBSとMBSが4月22日未明に放送したところ、Twitterや2ちゃんねるは実況で大盛り上がり。東京・秋葉原のミリタリーショップ「武装商店」は、未明の放送を見るため、開店時間を30分遅らせた。Amazon.co.jpのDVDランキング上位は、まどか☆マギカが独占している。

22日の放送は、TBSが3話連続で午前3時から、MBSが2話連続で午前2時40分からと遅い時間だったが、ネットでは感想などを書き込む人が続出。Buzztterによると、Twitterでは「まどか」というワードがピーク時に3700件投稿された。2ちゃんねるの実況スレ「魔法少女まどか☆マギカ第10・11・12話」はパート29までのびた。

ミリタリーショップ「武装商店」は「まどか☆マギカ見ないとイカンので」と、22日の開店時間を30分遅らせることをTwitterで報告。公式サイトにも「『まどか☆マギカ』最終回の為ですのでご了承ください」と告知を載せた。

東京スポーツ新聞社のTwitter「@tospo_mobile 」は21日夜から、アイコンがまどか☆マギカのキャラ「キュゥべえ」に。まどか☆マギカの全面広告が読売新聞の21日朝刊に掲載されたことをうけて「東スポにも全面広告出してよ」とつぶやいている。

<コンビニ×アニメ>
コラボブーム花盛り 不況に強いアニメに熱視線

コンビニエンスストアで「魔法少女まどか☆マギカ」や「進撃の巨人」、「ガールズ&パンツァー」などアニメとのコラボキャンペーンが行われているのを目にする機会が増えた。コンビニでは、ディズニーやサンリオなどの人気キャラクターなどのグッズも販売してきたが、増えているのはどれもアニメファン向けのコンテンツだ。子どもから高齢者まで幅広い層が集まるコンビニとマニアックなアニメは、相性がいいとは言い難いが、約2週間で1億円以上の売り上げを記録するキャンペーンもあるといい、近年、売り上げが横ばい傾向にあるコンビニ業界で注目を集めている。

コンビニとアニメのコラボが最初に注目を集めたのが、2009年の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」とローソンのコラボだ。同チェーンでは初のアニメとのコラボで、文具などのグッズやコラボ食品を販売したほか、対象商品を購入して応募するとフィギュアなどが当たるキャンペーンを実施し、人気を博した。ローソンは、その後も「魔法少女まどか☆マギカ」「けいおん!」「進撃の巨人」「Free!」などとのコラボを展開し、人気を集めてきた。

各チェーンがコラボに力を入れ始めたのは11年ごろで、サンクスが「ガールズ&パンツァー」、セブンイレブンが「進撃の巨人」、ファミリーマートはアニメではないが「初音ミク」「艦隊これくしょん-艦これ-」(2015年冬アニメ化)などとのコラボを実施。ローソンと同じく、コラボ商品の販売や、抽選のキャンペーンを行っている。

ローソンは、アニメの舞台になった町をファンが訪れる“聖地巡礼”に注目し、「ラブライブ!」とのコラボでは、舞台となった神田明神(東京都千代田区)周辺の9店舗で買い物をしたファンにポスターをプレゼントするなど、グッズを販売するだけではなく、“体験型”のキャンペーンも実施。「進撃の巨人」とのコラボでは人気キャラクターのリヴァイが“紅茶好き”という設定に目を付け、紅茶クッキーを販売するなどファンの“ツボ”を押さえたキャンペーンを展開してきた。

コンビニは13年度に国内店舗数が5万店を突破し、“コンビニコーヒー”のヒットなども話題になっているが、売り上げは横ばいといわれている。固定ファンの多いアニメ市場は不況に強いとされており、各チェーンは活路を見いだそうとしているようだ。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 86
ネタバレ

yapix 塩麹塩美 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ほむほむとの出会いを・・・なにか・・・に感謝

 予備知識ゼロで見た初回は、ただただ物語の進行に翻弄され、一気に最終話まで到達した。いや、連れてこられた。
 2回目は・・・ほむらの想いが私の心に響いてきた、浸透してきた。そして、初回とは別物の感動を得ることができた。
 
 ほむほむがあまりに健気で不器用で切なくて・・・。 {netabare} 一番わかってほしいまどかに理解されず苦しんで。最後の最後にはまどかにすべてを理解してもらえて、でも、そのまどかとは二度と会えなくなってしまって。 {/netabare}

 
 OVAでも何でもいいので、ほむほむの全時間軸での戦いを描いたものを出してもらえたらなー。絶対買うのになー。


 正直に告白しよう。
  {netabare} 全12話を初めて見終わった時には、この作品がここまで自分自身にとって重要なモノになるとは、想像していなかった。確かに、3話で仰天し、10話で涙し、最終話で感動した。でも、それだけであった。
 2回目の視聴で、やっと真価を理解することができた。練りに練られたストーリー、それぞれの少女に課せられた残酷な運命、インキュベーターの真の目的、いろんなことが一本につながったのである。そして、何よりも私の心を捉えたのが、「暁美ほむら」である。全てを知ったうえで観ると、ほむらの一つ一つの行動・言葉に胸を打たれるのである。途方もない膨大な想いの詰まった一挙手一投足と言葉に圧倒されてしまう。ほむらはいったいどんな想いでまどかとの再会(いったい何度目?)を果たしたのか、マミの死に悲しむまどかを前にして何を想ったのか、さやかの死の際には・・・ほむらは、人一人が背負うには重すぎる運命を背負ってしまっていた。こんなに頑張った少女を他には知らない。少なくとも私には、思い当たらない。{/netabare}

 夏休み&秋の夜長?特別企画!
 ほむら「まどか☆マギカ」を語る
 今回は暁美ほむらさんにTV版「魔法少女まどか☆マギカ」を観て頂き、心の赴くままに語っていただきました。
 順次公開していきますので、乞御期待!
 
 第一話
{netabare} こ、これは、まどか?
 この走り方、靴、靴下、ふくらはぎ・・・
 やはり、まどか!
 どこを走って・・・
 !!
 ワルプルギスの夜!
 と・・・わたし!
 インキュベーター!!
 ダメ!ダメよ、まどか!
 コイツの話を聞いては!
 ああ!やめてーーーーー
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 夢?
 まどかの?
 ・・・だから、あの時まどかは・・・・
 初めて会ったはずなのに・・・・・・・

 歌?
 オープニングと言うものね。
 ・・・まどかのパジャマ・・・
 なにかしら?
 まどかが恥じ入っている?
 こんな失敗してたかしら?
 もう一人のまどか?
 裸だなんて・・・・・・・
 変身したまどか、みんな、そして、
 わたしも。
 
 髪を下ろしているまどか・・・
 私の知らないまどか・・・
 これが、鹿目家の朝・・・
 ・・・暖かい。
 そう、このリボンはお母様が選んだものなのね。
 ・・・まどかによく似合ってる。
 隠れファン・・・いるのかしら?
 美樹さやか!
 聞き捨てならないわね。
 まどかを嫁にする?
 上条恭介のことが好きなくせに、
 まどかをたぶらかすような発言を・・・
 冗談よ、これがただの戯れだということぐらいわかってるわ。
 ・・・・・私を紹介する前にこんな話を・・・
 大丈夫なの?この先生。
 美樹さやか!
 いいこと言うわね・・・冗談よ。
 やはりね・・・まどかのこの反応。
 ごめんなさい。
 まどかは全然悪くないのに、
 私イライラしちゃって・・・
 まだまだね。
 何も期待しないって誓ったはずなのに・・・
 こんなわけのわからないこと言って、
 まどかを混乱させるだけなのに・・・
 でも、どうすれば・・・
 どうすれば、あなたに伝わるの?

 ・・・この問題解くの何度目かしら?
 ・・・高跳びも・・・
 ・・・!アイツ!
 美樹さやか・・・
 口をついて出た何気ない言葉・・・
 時にそれが真実を言い当てることもあるのね・・・
 くつ、ここで仕留めていれば・・・
 いえ、同じことね。
 まどか!まどか・・・
 あなたはどうしてそんなに優しいの?
 あなたが抱いたソレは、
 インキュベーターは、
 あなたを破滅にしか導かないのに!
 魔女の結界・・・
 巴マミの出番ね。
 お見事。
 この人とは事を構えたくないのに。
 ・・・・・この表情を捉えられていたなんて・・・
 でも、いつの間にこんな映像記録を?
 ・・・インキュベーター!
 そう、全てヤツラなのね。
 無数のインキュベーターによる360度24時間の監視映像、
 その編集版がこの映像ということね。
 (僕と契約して魔法少女になってよ)
 (バキューーーーン)
  ・・・ごめんなさい。
 モニターは弁償します。
 ・・・今日はもう帰っていいですか。{/netabare}

 第二話
 {netabare}巴マミ・・・
 インキュベーター・・・
 まどかの夢・・・?
 インキュベーター!
 コイツはいとも簡単にまどかに取り入って!
 あ、オープニング。
 まどかのベッド・・・可愛い・・
 
 (ギリィ)風呂・・・?
 インキュベーターが風呂・・・?
 あくまでも韜晦するつもりね・・・
 巴マミ・・・あなたは何もわかっていない。
 何も知らないくせに、まどかを・・・
 都合のいいところだけ、
 少女の憧れと正義感をくすぐるところだけを
 巧に話す・・・
 (画面に銃口を向ける)
 ・・・これで撃ち殺せるのなら・・・!
 こういう誤解には慣れている。
 いえ、誤解ではないわね。
 半分は当たっている。
 私が、そこにいた理由は唯一つ。
 あなたとの約束を守るため・・・
 まどか!
 なんて可愛いものを描いているの!
 美樹さやか・・・
 どうして、そのままバカでいなかったの?
 あれだけ忠告したのに・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 まどか・・・
 その質問は・・・ダメよ・・・
 私が挫けそうになる・・・
 どんなに固く誓っても、
 どんなに約束を反芻しても、
 その一言は重くのしかかるの。

 美樹さやか・・・バカなのね・・・
 まどか!
 これを描いていたのね!可愛い・・・
 笑ったわね・・・まどかを笑ったわね・・・
 巴マミ・・・さすがね、手際がいい。
 しかし、パフォーマンスが過ぎるわ。
 ・・・技に名前・・・
 そうだった、こういう人だったわ。
 まどか・・・
 あなたはいったいなにに憧れているの?
 巴マミはそんなにかっこよかった?
 あなたはあなたのままで十分よ。{/netabare}

 第三話
{netabare} ・・・美樹さやか・・・
 上条恭介はやめておきなさい・・・
 ・・・言っても無駄・・・ね。
 オープニング。
 まどか・・・

 ティロ・フィナーレ!
 ・・・恥ずかしくないのかしら?
 インキュベーター!
 ・・・らしいやり口ね。
 ・・・美樹さやか・・・
 巴マミの言う通りよ・・・
 でも、聴く耳持つはずがないわよね。
 まどか!
 また、そんなことを!
 あなたにはあなたにしかない良いところがたくさんある!
 巴マミは・・・
 あなたが思うような強い人間ではないのよ。
 インキュベーター!!(ギリィィ)
 まどかをそそのかして!・・・・
 まどかの素質・・・を、因果を育んだのは・・・
 ・・・お父様?
 お母様・・・酔ってらっしゃる?
 お仕事って大変なんですね。
 優しい・・・素敵なお父様・・・
 これが・・・家族の愛・・・?
 巴マミ!
 あなたは、
 あなたは、なにもわかっていない!
 何も知らない癖に、まどかを・・・
 どうして、まどかの信頼を勝ち得るの?
 どうして、私じゃないの?
 病院に魔女の結界、
 確かに最悪ね。

 
 もう、結界の内部じゃない!
 インキューベーター!
 ・・・営業活動に余念がないわね。
 このシルエットは・・・お菓子の魔女!?
 ち、ちょっと!
 な、なに手をつないでいるの!?
 あ、わたし!
 ということは、はやり・・・
 バカ!
 巴マミ!
 あなたには手におえない相手よ!
 ・・・自信過剰なのよ、あなたは!
 また、手を!
 まどか・・・
 あなたは、いっぱい持っているのに!
 どうしてそんなに自分を卑下するの?
 巴マミ・・・
 泣いてる場合じゃ・・・
 そんな話をしてる場合じゃ・・・
 その顔・・・
 戦いに赴く者の表情じゃない!
 ああ!
 だから言ったのに!
 まどか!まどか!
 ・・・間に合った・・・
 ・・・照れくさいものね、
 自分自身が戦っている姿を見るというのは。
 でも・・・客観的に見ても・・・いい手際・・だと思う。
 ごめんなさい、まどか。
 ショックを受けて、傷ついているあなたに、
 かけるべき言葉は他にあるのに・・・
 ごめんなさい。
 泣いているあなたを置いていく私を許して・・・

 エンディング?
 初めてよね?
 随分ダークな雰囲気ね。
 しかし・・・今回の話によく合っていると思う。{/netabare}  

 第四話
 {netabare}美樹さやか・・・
 だから、上条恭介は・・・
 ・・・後悔先に立たず・・・
 含蓄に富んだ言葉ね・・・
 まどか・・・まどか・・・
 泣かないで・・・いえ、泣きなさい・・・
 ・・・日常の風景が違って見える・・・そうでしょう?
 この先生!・・・まどか・・・
 ああ・・・まどか、可哀そうなまどか・・・
 ・・・でも・・・あなたの死には価値があった・・・
 巴マミ。
 どうして・・・どうして・・・
 まどかの隣にいるのは私じゃないの?
 まどかの肩を抱くのは私じゃないの?
 インキュベーター・・・
 こんなに物わかりのいいはずが・・・
 何を企んでいるの?
 私の名を呼ぶその唇、涙をぬぐう仕草、驚いた表情、
 まどか・・・私のまどか!
 ああ!少し大胆すぎたかしら!?
 どうしよう・・・まどかが戸惑って・・・
 頷いている!私の問いかけに頷いている!
 なんて可愛らしいの!
 二人だけの散歩・・・夢の様ね・・・
 まどか・・・鋭い。
 ・・・まどかには、初めての質問なのよね・・・
 何度答えても、堪えるわ。
 優しい・・・まどかは本当に優しい・・・
 そして、この上なく残酷・・・
 あなたの優しさは、私を深く深くえぐる。
 その傷すらも・・・愛おしい。
 あなたには、もちろん、わかるはずもないわ。

 美樹さやか・・・
 上条恭介・・・言ってしまった・・・
 ・・・避けられないことなの?
 インキュベーター!
 まどか!ダメよ!
 ほっておきなさい!ついて行ってはダメよ!
 早く逃げなさい・・・!!
 まどか!あなたって・・土壇場に強いのね・・・知ってたわ。
 結界!
 美樹さやか!やはり・・・
 あなた・・・バカだわ。
 このパーカー、ジャンクフード・・・
 佐倉杏子!
 インキュベーター・・・
 白々しい!
 コイツが仕組んだことだったのね。
 でも、佐倉杏子がこの町に来たというのなら・・・
 ・・・使えるわね・・・
 エンディング・・・ふう・・・ {/netabare}

 第五話
 {netabare}・・・美樹さやか・・・
 愚かなことを・・・
 はしゃいでいるわね・・・
 ・・・何を取り繕っているの?
 まどかが、心配しているじゃない。
 ・・・見ていられないわ!
 痛々しすぎるのよ、あなた。
 見たくない現実から目を逸らすこと、
 それを強がりと言うのよ。
 これだから、恋する乙女は・・・
 ・・・今は、今は、その高揚感に浸りなさい・・・
 これが、夢?
 あなたが命を賭してまで叶えたかった夢?
 ・・・よかったはね、夢が叶って・・・
 佐倉杏子、
 とインキュベーター。
 ・・・自分で引き込んでおいて、白々しい!
 そう、まだ私の正体がつかめていないのね。
 ・・・少しは、気も晴れるわ。

 わたし、
 と、まどか!
 ・・・デートだわ、デートよ。
 まどかの方から誘ってくれたのよ!
 ・・・たとえ、美樹さやかのためであっても。
 まどか、さすがだわ。
 よく、美樹さやかのことをわかっている。
 ・・・言わねばならないの。
 魔法少女とは、
 如何に、過酷で、残酷で、報われない存在であるか、
 それをあなたにわかってもらうために。
 そう、美樹さやかはもう手遅れ。
 そう、わたしはすべてを諦めた。
 あなたを救う、
 それ以外のことは。
 本当にごめんなさい。
 あなたの「今の」願いを無下にして、ごめんなさい。
 まどか!
 あなたのその優しさはどこから来るの?
 そんな勇気がどこに詰まっているの?
 ・・・美樹さやか、
 出来もしない約束を!
 まどかに感謝なさい。
 結果として、あなたも見守ることになってしまったことを。
 ・・・インキュベーター!
 オマエの思惑も計算のうちよ。
 使い魔・・・変身したわね。
 ・・・佐倉杏子!
 あなたの言う通りよ。
 魔法少女が存在し続ける為にはグリーフシードが必要。
 でも、美樹さやかには通用しないわよ。
 ・・・まあ、美樹さやかにはいい薬ね。
 ちょっと、やり過ぎじゃない?
 インキューベーター!
 また、まどかをそそのかして!
 ・・・世話が焼けるわね。
 !!
 ここでエンディング・・・
 これが「引き」と言うものね。 {/netabare}

 第六話
 {netabare}・・・世話が焼けるわね。
 までだったわね。
 佐倉杏子・・・
 あなたの打算的なところ、好きよ。
 扱いやすいもの。
 ご、ごめんなさい、まどか。
 そ、その、感情が高ぶってしまって・・・
 怯えないで!
 そんな顔しないで!
 そういう意味じゃないのよ・・・わかって!
 くっ、インキュベーター!
 ・・・悟られた?
 グリーフシードを体内に?
 これで安全?
 ・・・どこかで孵化させるのね!
 魔女が減らないわけね。
 インキュベーター!!
 そうやって、断片的な知識だけを与えて!
 ・・・故意にやっている?
 美樹さやかにグリーフシードが必要不可欠と言う印象を与えないように?
 もう、コイツの手の内なの?
 また、まどかを!
 ・・・美樹さやか、
 その心意気だけは称賛に値するわ。
 佐倉杏子・・・ルール無用ね。
 ギブ&テイク。
 みんながあなたのように分かりやすいと楽なのだけど。
 ・・・言ってしまった。
 そう、ワルプルギスの夜がやってくる。
 ・・・わたし一人では勝てない・・・かもしれない。
 そのポッキーを食べれば契約成立ね。
 いただくわ。
 まどか!
 あれだけ言って聞かせたのに!
 そんなに美樹さやかが心配?
 ・・・あなたは、そういう子よね。
 まどかは正しい。
 でも、それはただの正論。
 当事者でないあなたに出る幕はないの。
 美樹さやか・・・
 やはり、あなたは魔法少女になるべきではなかった。
 綺麗ごとだけでやっていけるような甘いものではないのよ。
 イ・ン・キュ・ベー・ター!
 どうあってもまどかを魔法少女にしたいようね。

 
 まどか・・・苦しそう・・・眠れないの?
 お、お母様!
 そのお言葉は胸に響きます。
 本当に、ズッシリと。
 ・・・わたしには、
 わたしには、転び方を学ぶ機会がなかった・・・
 わたしは、決して転ぶことはできない。
 もう、絶対に許されない。
 転べば、すべを失ってしまうから・・・
 美樹さやか・・・
 つれない男に惚れてしまったわね。
 ・・・これだから恋する乙女は・・・佐倉杏子!?
 ちょっかいは出すなと言ったはずよ!
 ・・・どうして、そこまで挑発する必要があるの?
 近親憎悪?
 厄介なものね、感情と言うものは。
 インキュベーター!
 わざわざまどかを連れ出すなんて!
 佐倉杏子!!
 話が違う!私に任せるんじゃないの?
 間に合ったようね・・・
 あ、まどか!
 それはダメ!
 ・・・また、まどかにつらい現実を・・・
 車に追いつくのって意外と重労働なのよ。
 インキューベーター・・・
 よくもまぁ滔々と・・・
 でも、これが真実・・・
 人外の存在になりたくないのなら・・・
 魔法少女はあきらめなさい。{/netabare}

 第七話
 {netabare} ・・・インキュベーター・・・
 そう、筋は通っている。
 理屈としては、非の打ちどころがないわ。
 人間でなくなるという点を除けば・・・
 ・・・?やはり・・・誘導している?
 ・・・どこへ?
 ふう・・・これぐらいのことで休むなんて・・・
 いい判断よ!
 相談事?なにかしら?まどか?
 ・・・話題がどうであれ、あなたとお話ができるのはうれしい。
 そう、誰も、誰一人として信じてくれなかった・・・
 わはしは・・・わはしは・・・人間じゃなから・・・
 傷ついても平気だから・・・
 お願い!魔法少女にだけはならないで・・・
 佐倉杏子、
 一匹狼の論理ね。
 何も失うもののない、あなたらしい考えね。
 ・・・少し羨ましいわ。
 ・・・昔語り?
 そう、あなたたちは似ている。
 それで引き合うのかしら?
 ・・・魔女?
 思わぬところから真理が導かれることもあるのね。
 ・・・無意識と言うのは恐いものね。

 
 同じ境遇からどういう答えを出すのか?
 ・・・この違いが個性?
 清廉潔白すぎるのよ、あなたは。
 美樹さやか・・・
 ・・・罪な男の登場ね。
 ・・・女の対決?
 煮え切らないわね。
 志筑仁美・・・なに?この余裕。
 フェアプレー精神?
 ・・・これじゃ勝ち目がないわね。
 まどか!
 ・・・だから、あなたは向かないのよ。
 自分自身の暗部と向き合い、許せないようでは。
 ・・・自暴自棄?
 こんな戦い方は消耗を速めるだけ。
 ・・・これが狙い?
 何を企んでいるの?インキュベーター!{/netabare}

 第八話
 {netabare}・・・醜いわね。
 美樹さやか・・・
 それが、どんなに大事なものか。
 そんな戦い方が何をもたらすのか。
 あなたは、何もわかっていない。
 まどか・・・泣いているの?
 美樹さやかのために?
 ・・・その言いぐさ!
 まどかの優しい心を!
 ・・・もう始まってる?
 これが、インキュベーターの狙い?
 やめなさい!美樹さやか!
 まどかをそんな風に追い詰めるのはやめなさい!
 やめて!お願い!
 ああ!やはり!
 ソウルジェムがもうあんなに!
 ・・・わたしの部屋?
 こんな部屋だったかしら?
 まあ、いいわ。
 佐倉杏子!
 食べるなとは言わないわ。
 ただし、汁を散らしてはダメよ。
 わたしの集大成とも言える地図よ。
 しっかり見なさい。
 ・・・!箸で指すのはよしなさい。
 ・・・確かに、信用しろと言う方が無理よね。
 インキュベーター、そろそろ来るころだと思っていたわ。
 やはりね。
 やけに聞き分けがいいわね、余裕かしら?
 そう、取り返しのつかないことに・・・
 佐倉杏子・・・あなたにはわからないわよね。
 まどか・・・あなたが気に病む必要はないのよ。
 ・・・この男は・・・
 だから、まどかが気に病むことはないのよ!
 ・・・美樹さやか!
 あなたわかっているの?
 あなたは、まどかにこんなにも想われている。
 それがわからないの?
 ・・・その男がそんなにいいの?
 なら、どうして、諦めるの?
 いえ、諦めてなんかいないわね。
 だからこそ、戦うんでしょう?
 自分自身を慰めるために。
 本当に厄介な子ね。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 だいたい当たってるわ。
 あなたを救いたいって気持ち・・・ないわけじゃないのよ。
 でも、大事の前の小事。
 まどかのためなら、
 わたしはいくらでも汚れることができる。
 佐倉杏子!
 ・・・流石に手馴れているわね。
 勘もいい。
 でも、今はあなたにかまっている暇はないの。

 ・・・このタイミングでこの話・・・
 喰いつくわよね・・・
 清廉潔白だもの、あなた。
 ・・・世界を守る・・・
 それが、あなたの希望だったの・・・
 最後の希望だったの・・・
 滑稽ね・・・そんなもののために、
 戦えるわけがないのよ!
 この子、もうダメだわ。
 まどか!
 ソイツの話を聞いてはダメよ!
 ソイツは一番痛いところを突くの!
 あなたの急所を正確に突いてくるの!
 あなたは誘導されているのよ!
 ばか!
 間に合った!
 よくやったわ、わたし。
 まどか・・・わかって。
 わたしもギリギリなの。
 いっぱいいっぱいなの。
 だから、許して、今は・・・
 ああ、行かないで・・・
 インキュベーター!
 ・・・おぞましい。
 ・・・バレてしまったようね。
 でも、いっそ清々しいわ。
 美樹さやか!
 まだ原形をとどめている?
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 救いようのないほどのね。
 魔女化が始まる!
 インキュベーター!!
 そのネーミングセンスだけは褒めてやってもいいわ。 {/netabare}

 第九話
  {netabare}・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 二度は聞きたくないセリフね。
 佐倉杏子・・・
 ソレはただの肉塊よ。
 ・・・その魔女が・・美樹さやか・・だったものよ。
 ・・・ここで手の内を明かすことになるとはね。
 まあ、いいわ。
 あなたには、まだ生きていてもらう必要があるのだから。
 手を握らせてあげるわ。
 ・・・私からは握らないわよ。
 まどか!
 こんな時間にどこを歩いているの?
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 これが真実。
 まどかも誰も信じようとしなかった真実。
 こうなって初めて聞き入れられるなんて・・・皮肉なものね。
 親友?
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 愛する者を失う哀しみなら、
 ・・・知っているわ。
 どんな綺麗ごとにも、後始末はついてまわるものなのよ。
 ・・・どの面下げてやって来るのかしら?
 本当に素晴らしいご高説だわ。
 ・・・ここまでいくと、いっそ清々しいわね。
 佐倉杏子。
 無駄なことを・・・
 コイツ!
 やはり、誘導している!
 狙いは・・・なに?
 まどか・・・学校をサボってはダメよ。

 佐倉杏子!
 いったい何を言っているの?
 魔女を元に戻す?
 私の話を聞いていなかったの?
 そんな無茶にまどかを巻き込まないで!
 ・・・美樹さやかに毒されたわね。
 魔法少女には愛も勇気も縁遠いものよ。
 あるのは・・・義務と・・なけなしの希望だけよ。
 ・・・まどか、
 あなたはどうして身を投じるの?
 優しさ?愚かさ?・・・強さ?
 ・・・私も授業を受けている場合じゃないわね。
 佐倉杏子・・・よくわかっている。
 でも、あたなには切実な問題じゃないものね。
 ・・・どうして、こう上手くいかないのかしら?
 佐倉杏子、いいこと言うわね。
 ・・・なのに・・・どうしてかしら?
 まどかの退路を断っているように感じるのは?
 結界の最深部!
 ・・・無駄なのよ・・・
 何をどうやったって無意味なの。
 いいえ、あなたはもう見たわ。
 一度だけとはいえ、幸せな夢を。
 ・・・だから、虫が良すぎるの・・・その願いは。
 ・・・間に合ったようね。
 佐倉杏子・・・
 満足?・・・でしょうね。
 いいのよ。
 わたしはわたしの戦いを続けるだけ。
 インキュベーター!
 ・・・全てはオマエの思惑通りということ!
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 させない!絶対にさせない!{/netabare}

 第十話
 {netabare}・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?
 これは・・・なに?
 ・・・まどか・・・との・・・出会い・・・
 初めての・・・本当の初めての・・・出会い・・・
 あなたが・・・保健委員でよかった・・・
 ほむら・・・でよかった・・・
 ほむらに生まれてよかった・・・
 ・・・黒歴史ね。
 いいのよ・・・何度も何度も塗り替えたから。
 ・・・コンプレックスの塊だったわ。
 いえ・・・今も・・塊ね。
 まどか!・・・と巴マミ。
 ・・・アイツも。
 まどか・・・それは杞憂よ。
 わたしには友達なんていないもの、
 そもそも話す相手がいないんだもの。
 ああ・・・わたしにもあった。
 魔法少女を・・・希望を・・・信じていた時が・・・
 あなたは、気高く、強く・・・最初からそうだった・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 インキュベーター。
 感謝してるわ。
 ありがとう。
 わたしを魔法少女にしてくれて。
 ・・・わたしの願いはかなった・・・
 一片の齟齬もなく、わたしの願ったとおりに。
 あなたを守りきれないのは、
 わたしの能力不足。
 ・・・1回目ね。
 ・・・失態だわ。
 嬉しくて・・・嬉しすぎて、
 あなたと、また、出会えたことが。
 ・・・大失態だわ。
 初めてだったから・・・仕方ない・・・わ。
 ・・・ローマは一日にして成らずよ。
 ・・・初陣とは言え、情けない。
 ローマは一日にして・・・もう言ったわね。
 ・・・なんて・・・幸せな・・・

 ・・・なんて・・・残酷な・・・
 2回目。
 ・・・不毛な努力。
 ・・・新しい武器。
 ・・・人とは、信じたいことを信じるもの。
 目の当たりにしないと目は開かれない。
 ・・・この人には、刺激が強すぎた。
 これが最大の危機だったわ。
 おかげで理解できた、
 巴マミがどういう人間かを。
 そして・・・守ってくれた。わたしを!
 まどかが!!
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 呪。
 わたしの魂が呪を生んでいる。
 濁りきったソウルジェムが呪を生んでいる。
 なのに、なぜ、あなたは希望を抱けるの?
 その濁りきったソウルジェムで希望を語ることができるの?
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 これは、十字架。
 わたしが背負うと決めた十字架。
 誰にも邪魔はさせない。
 この十字架はわたしだけのもの・・・悦んで背負うわ。
 絶対に果たしてみせる。
 3回目?
 ・・・いえ、もう何回目なのかわからない。
 ・・・数えるのをやめてしまったから。
 まどかーーーー!
 それは、あなたの望んだことではないの!
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ こうならない未来を見つけるために、
 何度でも・・・わたしは・・・
 たとえあなたであっても、
 わたしは怯まない。
 必ずその答えを見つけてみせる。
 ・・・ここでオープニング?
 約束・・・
 そういうこと?
 憎いわね。

 ・・・考えを改める必要があるようね。
 この映像はインキュベーターによる監視映像の編集版、
 そう認識していたのだけど・・・
 この時間軸を超えた映像記録・・・
 インキュベーターの能力を見くびっていた?
 ・・・でも、インキュベーターのあの反応・・・
 わたしという存在への確信のない対応・・・
 ・・・上位存在がいる?
 インキュベーターよりもさらに上の存在・・・
 時空を超えて現象を認識できる存在・・・?
 それは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・? {/netabare}

 第十一話
 {netabare}・・・気のせいかしら?
 得意になっている?
 わたしに自分の仮説を語るコイツは、
 どうしてこうも嬉しそうなの?
 (お手柄だよ、ほむら。君がまどかを最強の魔女に育ててくれたんだ。)
 ・・・皮肉なの?
 インキュベーターが?
 ・・・感情・・・持ってるじゃないの。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 まどかを・・・こういう目に会わせたくなかったのに・・・
 こうなることは分かっていた・・・だから・・・
 予兆?
 自分のシナリオ通りに事が運ぶことを予兆というの?
 ・・・またご高説ね。
 中学生を言いくるめるなんて、
 赤子の手をひねるより容易いことでしょう?
 曲りなりな知的生命体・・・
 クレオパトラ・・・卑弥呼・・・ジャンヌ・ダルク・・・
 (愚かとは言わないよ)
 ・・・オマエにだけは言われたくない!
 オマエが文明を育んだような言いぐさ!
 オマエは・・・おまけとして・・・エネルギー回収の副産物として、
 文明の興隆に手を貸したに過ぎないじゃないの!
 ・・・これが、魔法少女の末路。
 親、友達、先生、あらゆる関係者に消せない傷跡を残す。
 綺麗に消えることすら出来ない。
 ・・・まどか。
 佐倉杏子・・・余計な知識を。
 どうして?
 どうして、素直に信じてくれないの?
 どうして、大事なところで勘がいいの?
 どうして、わたしなんかを心配するの?
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 あなたの優しさに当てられてしまったわ。
 だめね。
 ・・・この温もり。

 ああ、止まらない。
 もう、止められない。
 ・・・言いたいことは、全て吐き出した。
 まどか、ありがとう。
 わたしの気持ちを受け止めてくれて。
 ・・・いよいよね。
 この日のために、
 どれだけの準備をしてきたと思っているの?
 来なさい、ワルプルギスの夜!
 我ながら、良くこれだけの兵器を用意したと思うわ。
 人類の持つ選りすぐりの火力よ!
 ・・・!?
 核弾頭が必要だった?
 まどか・・・
 インキュベーター!
 ・・・その通りよ。
 わたしに選択の余地なんてない。
 諦めたらそこで試合終了よ。・・・ん?
 まどか!どこへ?
 お母様、ナイス!
 ああ!
 まどか!
 あなたは、いったい?
 くっ、やはりわたし一人では・・・
 ・・・考えてはダメ。
 ・・・迷ってはダメ。
 その躊躇は全てを無にする。
 諦めては・・・ダメよ!
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 まどか!
 どうして?
 どうして、謝るの?
 ・・・なにを・・・しようと?{/netabare}

 最終話
  {netabare} 笑顔・・・
 曇りのない笑顔・・・
 そんな笑顔で・・・なにを言うの?
 ・・・理解しなさい。
 いえ、解っているはずよ。
 まどかがわたしの想いを踏みにじるようなことをしないことを。
 インキュベーター・・・
 いい気味・・・
 まどかを甘く見ていたわね。
 まどかの優しさ、純真さを甘く見ていたわね。
 ・・・これは?
 まどかの心象風景・・・?
 いえ・・・時空を超えた旅?
 ・・・巡礼の旅?
 そう、まどか、あなたは希望そのものになるのね。
 変身したまどか・・・
 わたしが決して見たくなかった姿・・・
 でも・・・美しい・・・
 放たれた矢は・・・あなたそのものなのね。
 でも、その穢れは・・・
 あなたがすくい上げた穢れは・・・
 過去、現在、未来の全ての穢れは・・・
 ああ、ワルプルギスの夜が・・・
 ワルプルギスの夜までもが・・・浄化されていく・・・
 !?
 ここは?
 インキュベーター・・・
 オマエと見届けることになるなんて・・・
 穢れが!
 途方もない穢れが!
 まどか?
 ・・・神々しい・・・
 始まりも終わりもない人生?
 概念に成り果てた?
 この宇宙の一員ではなくなった?
 そんなことって!
 まどか!
 ・・・喜んでいいの?
 ・・・喜ぶべきなの?
 全てを理解されたことを。
 あなたは満足なの?
 あなたの夢はかなったの?
 なら・・・
 どうして、リボンをわたしに・・・?

 
 ・・・上条恭介?
 美樹さやか・・・
 あなただけの特別仕様。
 まどかの優しさには・・・首を垂れるしかないわ。
 円環の理?
 ・・・まどか。
 もう、概念となっているのね。
 新しい秩序。
 まどかのいない新世界の秩序。
 ・・・残響は残っているのね。
 魔獣・・・
 そう、私は戦いつづける。
 いつか力尽きるその日まで。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 本当にそうかしら?
 なんのために戦うの?
 だれのために戦うの?
 概念となったまどかのために戦う?
 わたしは知っている。
 目に見え、肌で感じ、触れることのできるもの、
 そんなもののためにしか戦えないことを。
 わたしは戦えなくなるだろう。
 そんな遠くない未来に。






 そうそう、忘れるところだったわ。
 インキュベーター、
 あなた、債務不履行よ。
 だって、私の願いは叶っていないもの。
 「まどかに守られるわたしじゃなくて、まどかを守るわたしになりたい」
 もう、まどかを守るわたしに成れっこないじゃない。
 願いの叶っていない魔法少女はどうなるのかしら?
 金利、慰謝料上乗せでお支払いいただけるのなら、
 相談に乗らないこともないわ。{/netabare}

 
  
 

 
 

 
 

  
   
 

 
 


 
  

 

 
  
 
 
 
 
 
 
 
  
 

 

 
 
 

 
 

 
 
 
 
 
 
 

投稿 : 2025/01/04
♥ : 116

92.2 1890 涼宮ハルヒの消失(アニメ映画)

2010年2月6日
★★★★★ 4.2 (5210)
23074人が棚に入れました
クリスマスを間近に控え、嬉々としてクリスマスパーティーの準備を進めるハルヒと、彼女に引きずられるキョン。彼が過ごしていたそんな日常は、ある日突然終わりを告げる。クラスメートと話が合わない。教室の様子が昨日までと明らかに違う。なにより、後ろの席にハルヒがいない。それどころか、その席に座っていたのはキョンを殺そうとして長門に消滅させられた朝倉だった。キョンは他のSOS団員を探しに教室を飛び出したが…。

声優・キャラクター
平野綾、杉田智和、茅原実里、後藤邑子、小野大輔、桑谷夏子、松岡由貴、白石稔、松元惠、あおきさやか
ネタバレ

でんでん虫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

YUKI.N > Ready?_

■1回目の感想
 昨日は元気だったはずの谷口が風邪を引いていた。嬉しそうに喋っていた女との約束も無かったことになったらしい。しょうがないから俺達SOS団の鍋パーティーに誘ってやるか。教室に来てみると風邪が蔓延していた。少し違和感を感じながらも席に着く。あのいつも騒がしい団長様も居ない。アイツが休むなんて珍しいこともあるもんだな。

 昼休みに弁当を食いながら国木田に聞く。
「なんか急に風邪が流行りだしたな」
 しかし国木田が言うには谷口も含め、一週間前にはその兆しがあったという。
!?・・・どういうことだ・・・昨日あいつは体育の時間サッカーをやっていたはずだ。ハルヒも欠席だし、何か悪い事の前兆じゃないだろうな。

 それはまさしく前兆だった。翌日の昼休みに俺の勘が確信に変わる出来事が起きた。
“いるはずのないそいつ”がハルヒの席にカバンをかける。
「そこはお前の席じゃない。ハルヒのだ」
「そんな人知らない」だと?どうやったらあんなやつを忘れられるんだ。驚くべきことに名簿からもあいつの名前が消えている。慌ててSOS団の連中を探しに行く。古泉の野郎もいないし、俺の朝比奈さんも他人行儀だった。もはや向かう先はただ一つ。最後の砦であり、最終絶対防衛ライン。認めたくないが、愛着の湧きつつある俺達SOS団の拠点、文芸部部室。そこに長門がいれば・・・。

 俺はノックを省略し、勢いよくドアを開いた・・・


 キョンが長門とSOS団の認識を改める大事なお話。そしてあの七夕の日の重要さがわかる。ハルヒがどんなアニメか知らない人でもおそらく見れると思うが、できればハルヒ2期を見てからの方がいいだろう。

■2回目の感想(ネタバレ有り){netabare}
 ああ、もうこの作品を何回見ただろうか。7周くらいはしたかなぁ。毎回ボケーっとしながら見ていたので、なにがどう面白いとか整理していなかった。だから今回は結構真面目に見てみた。本当はネタバレ無しで書きたかったんだけど、ごめん。それ無理(ノ´∀`*)  
 以後長門が作った世界を「β世界」そこに出てくる登場人物を「β~」と呼ぶ。

 まず、OPの最後に小さいハルヒがフェードアウト?するのだが、姿を消すというのがタイトルと合っていて良い。小さいところもこだわって作られているのがこの時点で分かる。

【古泉】
 その後、ハルヒが皆にクリスマスの予定を聞くシーンがある。古泉はわざとらしく予定がないことを告げるが、本当は本心なんじゃないかとふと思った。中盤のシーンでβ古泉がこぼしている「うらやましいですね」という言葉も同じような気持ちで言ったんだろうな。β古泉にしてみれば、出会って数分の男があっという間に好きな女の心を鷲掴みにしたわけだから、羨ましく思うのもごく自然なことだ。ファミレスでの古泉の悪ノリは、単に馬鹿らしい話をからかうだけではなく、ハルヒの気を引こうとしてやったことなのかもしれない。
 
 一気に飛んで、終盤の病室のシーン。キョンの身を案じるところではリンゴの皮を剥いている。何個も剥いているあたり、本当にキョンのことを心配してくれているんだろう。しかしハルヒの話になった途端いきなりリンゴを二つに切っている。再び「うらやましく思う」という言葉。リンゴで作ったうさぎは古泉の恋心?あるいはキョン…なんて思ったが、さすがに考えすぎかな。うさぎの頭を自分の方に向けて大事そうに置くのがどこかすごく…切ない。

 古泉が主役って訳でもないし、思い込みかもしれないけど、古泉の言動に注意を払って見て欲しい…彼がそっと置いていった想いを見届けてやってほしい…と、そう、切に願う。ハルヒが起きてキョンの方を向いたときのしぐさがもう…

 関係ないけど原作p.235の古泉の表情が好きだ。無事に終わったか―という気持ちになり何だかぐっとくるものがある。たった一枚の絵だけで…いとうのいぢさんすごい。

【キョン】
●ハルヒへの想い
 私がキョンについて言いたいことは、皆がすでに書いていそうなのでそんなに無いと思うのだけれど、一応書いておく。

 まず最初の動揺っぷり。その時点でキョン自身は気付いていないが、彼の中でハルヒがどれだけ大きな存在だったかがよく分かる。
 
 β長門の家の帰り、ハルヒに会いたがっている自分の気持ちに気付くシーンの表情と、ファミレスのシーンでβハルヒがいつもの片鱗を見せた後のキョンの表情がすごく良い…やるじゃないか京アニ。特にファミレスの方は毎回感動する。私も一緒になってにやけてしまうほどに。
「いつでも、どこでも、お前は変わらないな。ハルヒ」

 飛んで3年前の七夕の日、ハルヒにSOS団を作らせるため吹きこむ。
「世界を大いに盛り上げるためのジョン・スミスをよろしく!」
 ――忘れないでいてくれよ。ここに俺がいたことを。 
 ここでなぜか私はβ長門の顔が浮かぶ。おそらくβ長門の想いも…

●長門への想い
 最初の動揺のシーン、キョンが頼る順番に注目して欲しい。長門→古泉→朝比奈の順で思い出しているのだが、これは普段から頼りにしている度合いにも比例するだろう。その中でも長門への信頼はずば抜けている。なぜならその時のキョンにとって長門とは「何でも屋」だから。それは「長門大明神」と呼んだり、彼女が残した“栞”を“プレゼント”や“状況を打破するヒント”と解釈していることからも分かる。どれだけ長門へ依存していたのかも…。

 無事に鍵もそろい、キョンはプログラムを発動させる直前、最後にメンバーを見渡す。今度は涼宮→古泉→朝比奈→長門の順番。おそらく今回の順番には特に意味は無いが、最後の長門だけは特に名残惜しさを感じている。β長門が勇気を出して渡した入部届けを返すキョン。おそらくもう会えないであろうβ長門へのけじめと想いをそれに託す。

 再び飛んで、長門の家。長門に噛まれた時ちょっとテレるキョン。少しβ長門を思い出したのだろうな。そして部室で待つのかというキョンの問いに対し、
「待っている」
という長門の言葉。これは太字にして波線も引いて強調したいくらい私が大事だと思う言葉だ。おそらくキョンはβ長門の誘いを断ったことを思い出している。私は長門とβ長門の両方が部室の隅に座って寂しそうにしているところを浮かべてしまって、毎回泣かされそうになる。
 終盤、病院で自分の上着を長門に着せている。1人の女の子として扱っているということなんだろう。 

 最終的にキョンは長門の認識を「情報統合思念体の下にいる宇宙人で、何でもできるやつ」から「SOS団の仲間」と改める。また、自分のSOS団における立ち位置を「己の不幸を嘆くだけの傍観者」から「自ら楽しもうとする当事者」になったことを認める。
    ざまーねえな ┐(´∀`)┌ヤレヤレ

【長門】
 うーん。正直長門の表情はオーバーに描かれていると思う。β長門の家で帰ろうとするキョンを引きとめるところとか、病院でのシーンのような表情を私の長門はしない(`・∀・´)!! しかしそのおかげで気づけたことがある。
 β世界から脱出するときにキョンはβ長門を見ていた。その時のβ長門は「左目」でキョンを見る。一方、キョンが3年前の長門に別れを告げ、長門が「待っている」というシーンでは「右目」でキョンを見ている描写がある。この演出の意味を考えてみた。
 
 顔の表情は右脳がつかさどる左側のほうが本音が出やすい。だから表情があり、意思表示をするβ長門は左目にしたのだろう。顔にも口にもださない長門は右目だが、なにも考えていないわけではない。両方とも“長門”だ。たしかにそこにいたし、いるのだ。多分そういうことを表現したかったのだろう。キョンの気持ちに気づけたのはこの演出のおかげだった。

「待っている」の言葉については先述したが、まだ言いたいことがある。長門はこれまでずっと孤独に自分の仕事を全うしてきた。そう、あの例のエンドレスエイトもその一部だ。何千、何万と繰り返す夏休みを長門はずっと何も言わず孤独に観測し続けていた。おそらく他にもキョン達が知らないところで密かに活躍してくれている。だれも褒めてくれるわけでもなく認識すらされずに、だ。そして3年後、ハルヒとキョンが文芸部部室にくるまでおそらくずっと1人でいることになる。
  
   これで寂しくないわけがないじゃないか。
 
 β長門も寂しそうにしていると思うと・・・、どれだけ重い台詞か分かると思う。冒頭のハルヒが教室に入ってくるときのセリフ「待たせたわね!」はこれと対比してるのだろうか。
{/netabare}
■最後に{netabare}
 最初に長門をみてからもうどれくらい経っただろう。まだまだ長門への愛が衰える気配を見せない。ここでお決まりのセリフを言っとくか。
「長門は俺の嫁だ。異論は認めん」
原作も応援してるぜ

 まぁそれは置いといて、まだ書き残せていないことがたくさんある。
それをするのは今から未来の私だ。遠い未来というわけにはいかないが、今すぐってわけでもない。

なぁ世界。少しくらいは待てるだろ?また見るまでちょっとくらい待機してくれてもいいよな。

  せめて――。

 他のアニメをみてからでも、別に遅くはないだろう?
{/netabare}
■追記{netabare}
 長門の目の演出についてだが…ちょっと違うみたいだ。長門の目には毎回キョンが映るが、キョンの自問自答のシーンの後にキョンの目に映っていたのは…ハルヒだった。キョンは「長門」ではなく「ハルヒ」を、「長門が作った世界」ではなく「元の世界」を選らんだことをこの演出で表現していたのか…{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 12
ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

アンチ涼宮ハルヒの消失

大人気作品なんだけれど、どうにも主人公に感情移入できない。
そういう作品って誰しも一つ二つはあるんじゃないか、
そいうふうに勝手に思っております(もしなかったらごめんなさい)。

僕にとってのそれはSAOのイキリトくんであったり、
リゼロのスバルくんであったり、
あるいはFATEシリーズのシロウくんだったりするわけです。

  あくまでも好き嫌いの話、
  ピ-マン嫌いのがきんちょみたいな話ですから、
  嗜好が違う方、気にしないでおくんなまし。

で、『涼宮ハルヒの憂鬱』のヒロインである涼宮ハルヒも、
僕にとっては長い間、好きになれないキャラクターの一人でした。

エキセントリックなようで実はわがままなだけだし、
人の気持ちあんまり考えないし、
やることなすことジャイアニズムほとばしらせてるし。

その性格の発端となった野球場の話なんか、凡庸過ぎてためいきでちゃいます。

美少女に振り回されたいという方々の思いはわからなくもないけれど、
僕にはそういう願望がないから、パスです。
実体験的に、ひたすらめんどくさいし、腹立ちますもん。


さて、本作『涼宮ハルヒの消失』は、
そんなワタクシの涼宮ハルヒ観に一石を投じてくれた作品です。
テレビシリーズを見てない方は丸ごとおいてけぼりなので、先にそちらをどうぞ。


物語は、テレビシリーズと同じく能天気なSOS団の日常から始まり、
いきなり『SOS団がなく、ハルヒもいない』朝がやってきます。
長門有希も朝比奈さんも、存在はしているものの、キョンのことは覚えていません。
そしてそこからしばらくは、
失われたSOS団を求めさすらうキョンの姿が重苦しく描かれていきます。
{netabare}
消失から長門有希の残してくれたメッセを見つけるまで、なんと35分。
もう、ぐったりするほど絶望的な、光のない展開が続きます。

そして、そこからハルヒに出会えるまで、さらに24分。
ほとんど60分、テレビ尺に直すと丸々三話分ぐらいの尺が、
タイトル通り『涼宮ハルヒが消失した世界』の描写に使われているわけです。

正直、見ていて『しんどい』のですが、
これぐらい長いからこそ、
キョンが『失ったもの』の大きさを観る側が共有できるわけです。がまんしろ。

さらに、その再会から元の時空に戻るまでが、またまた約60分。
ハルヒと出会えたことでようやく歯車が動き出し、
真相の解明と解決にそれだけの尺が用いられていきます。
ここはキョンの冒険譚みたいな流れで、
観る側は手に汗握りながら、衝撃の真実と直面することになります。

本作は160分という長尺作品なのですが、つまるところ
  プロローグ  約20分→能天気・楽しさ(動・快)
  消失世界編  約60分→焦燥・絶望(静・鬱)
  解明・解決編 約60分→冒険・解明(動・興奮)
  エピローグ  約20分→感動・平穏(静・安堵・納得)
というメリハリの利いた起承転結で構成されているわけであります。
{/netabare}

作品の評価としてはAランク、Sでもおかしくありません。
テレビシリーズを見た方であれば、
2時間40分という尺が、あっという間に感じられるのではと愚考いたします。

映像は、さすが京アニ劇場版の一言。
どこをとっても作画の乱れがないどころか、
登場人物の被服の質感までもが、ほぼ完璧に表現されています。

役者さんのお芝居についても、安定の一言。

そして演出も、素晴らしいの一言です。
たくさんあり過ぎてとても語りきれないのですが、
特に感銘を受けたところを二つだけご紹介いたします。
{netabare}
  一つ目は、長門有希がキョンから入部届けを返されるシ-ン、手のアップ。

  ただの紙切れ一枚を受け取るのに『空振り』しちゃうんです。

  この、台詞も劇伴もないSEだけの、
  表情すら描かない演出で、
  長門の受けた衝撃・失望の大きさが痛いほど伝わってきます。

  手が逡巡する演出というのは他にいくらでもあるのですが、
  一度『空振り』するというのは初めて見ました。
  
  ふたつめは、キョンの自問自答シーン……じゃありません。
  (あれはあれで、アーティスティックでよかったけれどね)
  それよりも、キョンを刺した朝倉がナイフを引き抜くシ-ンが強烈でした。

  踊るように、軽やかに、くるっと一回まわる。
  ただそれだけ、わずか一秒足らずの演出が、その直前の笑顔と交錯して
  彼女の『狂気』を瞬時にして観る者に伝えます。

  このシ-ン、サバイバルナイフの柄の抑え方といい、
  体重が一点にかかる身体のぶつけ方といい、
  いやほんと作画の魂入ってます。
  それにしても朝倉さんっていいキャラだわ。
{/netabare}
こういう優れた演出ができるのって、
やっぱり原作上で『人のカタチ』がしっかりできているからなんですね。
だから、脚本家も余分な説明セリフを書かなくていい。
それが共通認識としてコンテに受け継がれ、魂の入った作画に繋がるわけです。
まさに理想的な好循環と呼べるのではないかと。


人物造形だけでなく、ストーリーもよく練り込まれています。

テレビ版からかなり引っ張っている点が多いので、
僕みたいに三歩あるいたら忘れる人間には難易度高めですが、
ちゃんと繋がったら「おお、なるほど」と。
{netabare}
着地点は長門有希の総どりみたいな感じになっていて、
ああ、これでまた長門キ〇ガイの諸兄が増えてしまうんだろうなと、
納得してみたりげんなりしてみたり。
{/netabare}

ちなみにストーリー上、ハルヒ自身はあまり重要なポジションにありません。
ただ、それでも、この作品で、
僕は涼宮ハルヒというキャラクターを一から考え直すことになりました。

  その起点は台詞とかストーリーではなく、描かれた『目』でした。
{netabare}
物語も中盤になって、ようやくキョンがハルヒを見つけ出します。
光陽園学院の正門前で、不審者のごとく待つこと暫く。
ようやく姿を現したハルヒの『目』は、怒りと倦怠と鬱屈に満ちていました。
(キョン曰く『敵のいない格闘家みたいな目』ですね)

  その目を見た瞬間、僕はこの時空間軸が、
  キョンにとって『SOS団のない世界』であったのと同じように、
  ハルヒにとっても『SOS団のない世界』であったことに気づかされるわけです。

性格が改変された長門を除くと、
キョンも、朝比奈さんも、古泉も、話し方や外観に変化はありません。
ただ一人、ハルヒだけが『SOS団ロス』による変貌をしていたのです。

  そこでまた、僕は気づかされるわけです。
  涼宮ハルヒがSOS団にとって絶対無二の存在だったように、
  SOS団は涼宮ハルヒにとって絶対無二の『受け皿』だったんだなあ、と。

つまるところ、神のごとき力があろうがなかろうが、
涼宮ハルヒという人間は内在するエネルギーなり器なりが『大きすぎる』んです。
だから、普通の人間には理解できない、受け止めきれない。
それを無理に、きちんとした生徒ばっかりの進学校なんて『箱庭』に放り込むと、
そのエネルギーをどこにも放出できず、歪んでしまいます。

ハルヒという人間のエネルギーを受け止めるには相応の『器の大きさ』が必要で、
それが宇宙人、未来人、超能力者であったり、
あるいはキョンみたく『器の大きな』ただの人間であったりするわけなんです。

  SOS団結成前のハルヒを思い起こしてみると、
  確かにキテレツな言動はあったものの、
  誰かをいじめたり無理を言って困らせたりとかはありませんでした。

  ハルヒはハルヒなりに、
  自分を受け止められる相手というものを推し量っていたのだなあ、と。

  だから直感的に、自分が自分であれる相手を選んでSOS団を作った。
  それが嬉しくてたまらず、
  ついつい暴走して何度もキョンのひんしゅくを買うことになった、みたいな。

だからといって朝比奈さんを好きにいじめていいとは思えませんが、
SOS団のない世界でのハルヒの『目』を見ていると、
彼女がいかに深く『受け皿』を求めていたかがビリビリ伝わってきます。

一番すごいのは、
わずか数カットの『目』の描写だけでそれを語り尽くしちゃう京アニさんですけどね。
キョンと会ってから時系列での、ハルヒの『目』の変化、鳥肌ものです。
{/netabare}

そんなわけで、僕はこの作品を見たことによって、
涼宮ハルヒのことを少なくとも『嫌い』ではなくなりました。
好き、とまでは言えないけれど、人間として理解はできるなあ、と。


ちなみに、当時はヲタ芸の代名詞となっていた『ハレハレ』ですが、
あれ、素人さんがやっているの、
いま見てもこっ恥ずかしいですよね。

当時、調子に乗って非ヲタの皆さんの前で披露しちゃった方、
いまや立派な黒歴史となり思い出すたび身悶えされているのではと、
心よりお見舞い申し上げます。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 34
ネタバレ

田中タイキック さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

原作の魅力を余すこと無く描ききった大傑作!

2010年2月6日公開 上映時間162分
テレビアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の続きを描いた劇場作品

視聴する前にTVアニメ版「涼宮ハルヒの憂鬱」の視聴を強く勧めます。特に第8話「笹の葉ラプソディ」は今作の重要なキーになっています。あと第28話「サムデイ イン ザ レイン」の独特な空気感と余韻を残したまま視聴すれば物語にスムーズに入り込めると思います。つまり全話見てからってことですね。エンドレスエイトはお好みでどうぞ。

ストーリーを追いながら感想を書いてます。

{netabare}12月16日 ~改変2日前~

{netabare}恒例のキョンのナレーションから始まる冒頭、英題の『The Disappearance of Haruhi Suzumiya』のフォントはTVシリーズの1話と同様のもの。キョンの目覚めが主観視点から描かれる冒頭部分はこれがキョンの物語なんだと主張しているようです。(日付の変わり目はすべてキョンの主観視点から映像が始まります)
学校のシーンはさすが劇場版、モブの細かい挙動などもしっかり描かれていて「学校の日常」感がよく表現されています。
キョンがSOS団の扉を開けるシーンはフルアニメーション(ぬるぬる動くアレ)で描かれています。本作では重要なシーン、主張したい場面では度々フルアニメーションで動かしているので注目ポイントだと思います。
OPシーン。キョンが女性陣から電気ストーブを取られてPCの排熱で暖を取っているのが可哀想ww TV版では欠かさずあった「超監督 涼宮ハルヒ」「団長 涼宮ハルヒ」などのお遊びテロップは無くなっています。ハルヒの"消失"を暗に明示しているようです。
SOS団でクリスマスパーティーを計画しているハルヒは団員にクリスマスの予定を聞いていくんですが以前の彼女なら団員の予定なんかは無視して強引に計画を進めていたと思います。映画撮影の一件(涼宮ハルヒの溜息)から少しずつ変化していってるシーンです。
TV版と同じように流れていくSOS団の日常。
原作では物語が始まる日は17日からです。話の起点を1日ずらすことで日常シーンをより際立たせ、その後の展開と対比させているようです。{/netabare}

12月17日 ~改変1日前~

{netabare}キョンと谷口の会話シーン、谷口がクリスマスの予定を自慢気に話すときの顔が面白い。声優さんの演技も合わさってウザさ倍増である。
パーティーの準備を進めるSOS団。三角帽子をつけて意気揚々と喋ってるハルヒがなんだか可愛い。楽しそうで何より。
飾り付け用のモールが足りないのでコンビニに買いに行くキョン。ハルヒに連絡する時に写ったアドレス帳には"あの人{netabare}(佐々木さん){/netabare}"がしっかり登録されています。
そして長いプロローグが終わり…{/netabare}

12月18日 ~改変後1日目~

{netabare}知らない間に流行していた風邪、購入したモールがカバンに入っていない、ハルヒの不在、徐々に違和感と不信感を強くしていくキョン、そして朝倉涼子の登場。ハルヒという人物はこのクラスには存在しないとう事実を知った時のキョンの絶望感がすごかった。
他のSOS団員を探すキョンは真っ先に長門を探そうとします。長門への信頼関係と依存心が垣間見えるシーンです。
改変後の長門が文芸部の入部届を差し出す場面。改変前と後では決定的に違う行動でいわばこの入部届は長門の「感情」「想い」の象徴であると思いました。その「想い」をいったんは受け取るキョンだが扱いあぐねる状況に…{/netabare}

12月19日 ~改変後2日目~
{netabare}改変前と後の世界を比較し悩みはじめるキョン。宇宙人も超能力者も未来人もいない世界。本来望んでいた世界がそこにあったはずだったが…
文芸部室で見つけた長門(改変前)からのメッセージで嬉しさのあまり思わず口元を震わすシーンが印象的でした。
キョンと目があって頬を赤らめてしまう長門がくっそ可愛い。その後2人で下校、自宅に誘うっていうラブコメすぎる展開にニヤニヤしっぱなしです。
長門が図書館でキョンと出会ったエピソードを語る場面で貸し出しカードを作ってくれたお礼を顔を赤らめながら言い、そして照れくさそうに急須をいじる仕草がもう愛らしい。この辺りから長門の可愛さがピークに達してしまいますね。
朝倉登場で帰宅しようとするキョンを服のすそをそっとつまんで引き止める長門。ここ本作最大の萌えポイントです!!
帰り際、いろいろ疲れきったキョンが思わずハルヒにたいして言葉をなげかけてしまい本当の自分の気持ちに気付くシーンで星がひとつも見えない夜空に街灯だけがキョンを照らす演出がとてもよかったです。
「なんてこった。俺は、ハルヒに会いたかった・・・」{/netabare}

12月20日 ~改変後3日目~

{netabare}谷口の発言から涼宮ハルヒの手がかりを見つける。ここからのキョンの気持ちの高揚とBGMの盛り上がりがシンクロしていてすごい好きなシーンです。BGMの曲名はずばりそのまま「涼宮ハルヒの手がかり」
この世界でやっとハルヒと出会えたキョン。やはりハルヒにはキョンの記憶はなかったが唯一「3年前の七夕」の記憶だけは共有していた。
笹の葉ラプソディのエピソードがここにきて繋がっていってこの作品の持つSF的面白さが一気に加速していきました。
長門(改変前)が残した鍵を揃えたキョンがどちらの世界で生きるのかの選択を迫られる場面で改変前の世界を選び「想い」が込められた入部届を長門に返します。このシーンの長門がほとんど好きな男の子にフラれた女の子状態で見ていて辛かったです。涙ぐむ顔や動揺して入部届をうまく受け取れない繊細な描写が余計にそう感じさせます。{/netabare}

7月7日 ~修正開始~

{netabare}笹の葉ラプソディから貼っていた伏線や謎が一気に回収されていき点と点が線で繋がっていく感覚が非常に気持ちいい。
そして大人朝比奈さんが登場!大人朝比奈さんはこの物語で唯一、すべての結果がわかっていて俯瞰で語ってくれるキャラクターです。これから起きる苦難や悲劇もすべて知ったうえでキョンに言います。「終わってしまえば、何もかも、あっという間で夢のようにすぎてしまう」
すべてを語れないからこそミステリアスな魅力たっぷりなキャラですね。
{/netabare}

12月18日 ~改変直前~

{netabare}世界を改変したのは長門でした。知らず知らずに溜まっていたエラーデーターが引き起こしたバグのようなものだったがキョンは知っていたのです。そのエラーデーターは「感情」なのだと。
ロボットや人工知能に感情が芽生えるという非常に古典的でシンプル、王道的なSFの物語でしたね。
ここからもう一人のキョンが出てきての自問自答シーンが圧巻でした!声優さんの熱演とタイポグラフィと改札口を使った映像表現と演出がキョンの強い決意をよく表現していました。
{/netabare}

12月21日 ~修正後~

{netabare}キョンは18日に階段から転落して3日間意識不明だった。
3日3晩、寝袋まで持ち込んで側についていたハルヒと目覚めたハルヒによだれを拭けといつもの調子で返すキョン。病室での短いやりとりを見てどうしようもなくお似合いだなぁ…と思ってしまいました。
屋上のシーンは原作では病室に長門がやってくる場面です。
京アニ史上最も美しいシーンだと思います。雪の描写は結晶の形まで細かく描いていて背景との対比がとても芸術的でした。{/netabare}

12月24日 ~エピローグ~

{netabare}キョンのモノローグ。この世界の当事者になったこと、責任をもってこの世界を積極的に守る立場になったことを語っています。
そしてED。すべてアカペラで歌われている「優しい忘却」がじんわりとした余韻を残してました。
長門が図書館で最後に顔(口元)を隠すシーンの解釈。
直前のシーンに出てきた男の子が図書館の貸し出しカードを女の子に作ってやり、それに対して女の子が「ありがとう」と言います。
長門はキョンに同じことをしてもらった際にキョンに対してお礼を言ってないことを思い出し、ふと「ありがとう」と呟きたくなったのかなと思いました。口元を隠したのは単純に照れ隠しであってほしい{/netabare}
{/netabare}


総評

原作の魅力を余すこと無く描ききった大傑作!
160分以上の尺の長さを感じさせない展開・演出・芝居
どれをとっても一級品で非常に隙のない作品になっています。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 27

92.1 1890 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(TVアニメ動画)

2002年秋アニメ
★★★★★ 4.3 (5061)
21556人が棚に入れました
西暦2030年…あらゆるネットが眼根を巡らせ、光や電子となった意思をある一方向に向かわせたとしても「孤人」が複合体としての「個」になるほどには情報化されていない時代…。
情報ネットワーク化が加速度的に進展し、犯罪が複雑化の一途を遂げる社会的混乱の中、事前に犯罪の芽を探し出し、これを除去する攻性の組織が設立された。内務省直属の独立部隊公安9課、通称「攻殻機動隊」である。
公安9課の役割は、深刻な電脳犯罪への対処、国内における要人の援護、政治家の汚職摘発、凶悪殺人の捜査から極秘裏の暗殺まで、多岐に渡っている。彼らは電脳戦を最も得意としつつ、高性能義体を生かした物理的な戦闘においても特筆すべき能力を発揮する、精鋭部隊である。

声優・キャラクター
田中敦子、阪脩、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大川透、山口太郎、小野塚貴志、玉川砂記子
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

指先のその先にあるもの

1989年ヤングマガジン海賊版にて発表された漫画「※1攻殻機動隊」の世界観をベースに据えたSFアニメ。

近未来刑事物としての体を取りつつ、政治、経済、医療、テクノロジーへの問題提起など、多岐に渡るテーマを公安9課の活躍と共に描きます。

SFは現在から地続きの未来の世界を描く事を基調としているので(特に近未来ものは)すでに積み上げられてきた科学の基盤を踏まえなければならず、それゆえ制約が多いもの。科学考証に何らかの誤魔化しや綻びがあれば、それはすでにファンタジーの領分に片足を踏み入れたも同然で、SFとしての精度は低いものとなってしまいます。

本作の特筆すべき点の一つは、その様なあやふやさを可能な限り排除した※2設定の隙の無さであり、地に足の着いた説明可能なテクノロジーで形作られる、科学的矛盾を感じさせない世界観にあります。攻殻の世界における未来の技術、物語上で様々な事件を引き起こす発端となる電脳と電脳ネットについても当然合理的な説明がなされており、これらは現代のわたしたちの利用するPC(あるいはスマホなど)とインターネットの直系の子孫という事が出来ます。

テクノロジーとは広範に捉えれば"道具"という言葉で表す事が出来ますが、例えばあなたの指先の延長上にあるものが原始的で単純な構造のナイフなら見た目通りの、ずっと複雑になってピストルならもっと強力な(持ってる人まずいないと思うけど)さらに複雑になってクルマのハンドルとアクセルならかな~り危険な、でももしそれがネットに繋がったPCのマウスとかキーボードなら、先に挙げた3つ以上に大きな力と直結している事を私たちは肝に銘じねばなりません。殺傷能力は(多分)低いけれども、どこまでも届き、とてつもなく早い、弾丸は言葉、音、映像、ソフトウェアとか、それをこうして簡単に世界中に打ち出す事(アウトプット)が出来てしまう装置(端末)がコレ‥。

PCの魔術的でパワフルな働きは、控え目に評価しても古代人が夢見た神々の発明品の威力に匹敵すると言えます。そんなものを奴隷から王様まで(例えですよ)誰も彼もが持っているのがこの世界。攻殻の世界では脳を直接ネットに繋げちゃうんだから※3もっとスゴイ。神様たちも真っ青な実に怖ろしい世界じゃありませんか。

PCとインターネットによって、私たちの欲しいもの(物・情報)を収集する(インプット)量も格段に上がりましたが、そんな個人が負うには大き過ぎる力、多過ぎる情報をわたし達はどう租借しているのでしょう? ヒトの脳ミソがあらゆる情報を錯覚する事により、効率良く知識を蓄えられる様に進化してきたところに秘密がありそうです。私たちは自己を肯定してくれる情報を見つけやすく覚えやすく、逆に否定する情報を見逃しやすく忘れやすい性質を持っている様なのです。

アニメに話を戻すと、本作で描かれる「笑い男事件」の、それに付随して起きたSACという現象も、発端となった事件の情報が曖昧なものでも、それを受けた者達にとって解り易く受け入れやすい要素(義憤に満ちたスーパーハッカーの若者の姿)があれば、それを汲み取って、ヒーローという偶像に転化せしめてしまった一例で、言い換えれば乏しい情報の中から直感的に理解し易い要素だけを選び取った結果と言えます。作中で笑い男(仮)の残したシンプルでポップなマークが流行った理由もこれと同じですね‥。

不特定多数の人間の内にある思いが言葉や行動となって同時多発的に表面化してゆく様は、ある種宗教染みた連帯感の様にも見えますが、これと似た現象は私たちの身近でも割と当たり前の様に起きている気はします。

ニコ動やYoutubeとかで何らかの動画がアップされた時の視聴者の反応とか、SNSとかブログとかで起こりがちな炎上とか、学校なんかで頻発するいじめとかが、私の感じるそれで、沸点に達し得ず表層に現れない多くの声が同時多発的にあふれ出す現象、そんな中に私はSACとの類似を見ます。作中表現を見る限りSACにも引き金となる要素が必ずあり、模倣というよりは便乗あるいは衝動という形でリアクションが発生している所にも特徴があります。

群集心理の研究における※4創発規範説というものがこの様な現象の一部を良く説明していますが、加えて利権や名声へのしがらみが「笑い男事件」の真相を濁らせ、より複雑怪奇なものにしているという印象でした。人は見たいものだけ見ようとすると、複雑なものを単純に、あるいは単純なものを複雑に、コロッと作り変えてしまう事が出来る様です。そんな錯覚が生み出すトリックもまた、攻殻SACの面白さの一つと言えるのでは無いでしょうか?

※1~4
{netabare}
※1:公安9課の通称という事になっていますが、この語が本編で使われるのは1回?だけ(汗)イギリス陸軍の特殊部隊SASを参考に作られた組織という設定。でもこちらは警察とスパイ(内偵とか暗殺とかする)を足したみたいなもの。装備は軍隊並みですけど戦争屋ではない。

"攻殻"って妙な言葉ですが、原作によればタチコマの前身に当たる「やまとん1号」が攻撃型装甲外骨殻という名目のメカだったので、その略称を取って"攻殻"だそうです。それと"機動隊"を合わせて「攻殻機動隊」としたとか、他にも攻性の組織+殻=義体とかの説も‥。士郎正宗先生自身は元々「GHOST IN THE SHELL」の方を正式タイトルに据えていた様です。

※2:攻殻機動隊はそのルーツと言われるW・ギブスン氏のニューロマンサー(クローム襲撃)を始めとするサイバースペースものからの影響が絶大ですが、ギブスン氏の小説と比べると士郎先生の漫画(特に1巻)の方が説明はずっと丁寧な印象。義体の描写及び解説は取り分け精密で、SF好きにとっては垂涎を禁じえない内容となっています(笑)でも作者をして"ファンタジー"の他に"ニセ科学"や"猿マネ"なんかのレッテルが貼られている(汗
↓続き
SFやファンタジーと現代劇の決定的な違いは、置き換え可能な要素があるか無いかで、もしウルトラスーパーギガトン爆弾というのがあったとしても、水爆とそっくり置き換えられてしまえばそれはSFらしくないし、魔法の杖だって自動食器洗い機とか懐中電灯の代わりに使うんだったら、ファンタジーらしくないと言えます。科学は魔術と等しくなりうるので、ここら辺の線引きはとても難しく、また時代とともに変遷していくものですが、本質的には全く同じものの外見(そとみ)だけを代えてもあまり面白くはない気はします。でも攻殻も元を辿ればけっこう古い作品なので、今や非SF的刑事ドラマになりつつあるのかも?

※3:知識だけでなく感覚の共有とかも出来るので。電脳化にメリットがある事は確かですけど、便利なものには必ず代償がついて回るもので、情報や感覚の海に溺れて戻って来れなくなっちゃう人が現代よりも更に多くなりそうですし、そもそも脳にマイクロマシンを入れたり、首の後ろにインターフェース付けたり、生理的な嫌悪を踏み倒してまで電脳化を望む人がそれほどいるのかな? というのが今の目で見たわたしの感想でした。(タチコマに馬鹿にされそう‥)

電脳も義体も身体に何らかの障害を抱える人にとっては新たな選択肢を与える(ハンデを持つ事は必ずしもマイナスでは無いので、敢えて拒否する人もいると思う)技術ですが、五体満足な人にとっては生身の健康を維持する以上に心を縛る枷となる気がしないでもないです。定期のメンテナンスやら経年劣化による部品交換やら色々と面倒そうだし‥(汗)

※4:「群集という集合現象の場において形成される固有の社会規範の成立とともに、その規範に適合する行動を容認、促進し、不適合な行動を抑制、禁止する社会的圧力が働くために、群集行動が全体として均質化する(社会心理学者R・H・ターナーの著書からの抜粋)」とwikiでは説明されてました。スメルサーの集合行動論というのも合わせて読むと面白いかも知れません。こちらもネットに概要が落ちてます。
{/netabare}

原作漫画の色ではないテクノロジー+文学という組み合わせについて、わたしは割と好きなんですが、本作における引用が適切だったかと言えばまた別の話で、物語に一貫性を持たせる為とは言えサリンジャー由来の要素が多過ぎる気はしました。
{netabare}
学術的なものを含めた膨大量の書物を網羅しているであろうグレートな読書家のアオイ君が「ライ麦畑でつかまえて」に傾倒し過ぎている所がちょっと不自然だったり、所帯持ちで既に刑事としての実績もあるエリートのトグサさんまで※マーク・チャップマンを髣髴させる行動に走ったりと、びっくりなシーンも‥、特に後者、初見ではトグサさんゴーストハックでもかけられたのかな?とか誤解しちゃいましたよわたし(汗)

※:ライ麦畑の愛読者でジョン・レノンをピストルで殺害した人。読者の中でこんな人は極々稀だし、今更になって(15年以上も前だけど)こういうプロパガンダ的な脚本を挟むのはかな~り節操無いなと思いました。
{/netabare}
後に製作された、同じくSFアニメの「サイコパス」でも本からの引用が沢山ありましたが、あちらは量の割にせいぜいスパイス程度で、本で人を語らせるのでなく、ちゃんと人が本を語っている所にそつなさがあった様に思います。どちらにせよこれって中二病‥ではなくて、寓話を用いてSFというジャンルの影に隠れた人間的な要素をかいつまんで、あるいは租借して説明する一つの手法ではないかと思われます。遠い未来のお話であっても本のページを一枚噛ませると(笑)そこに現代の私たちと何ら変わる所の無い人間がいる事を実感出来るのです。ファッションや料理と同じく一種の舞台装置とも言えますね。

キャラデザについて、9課メンバーの面構えが濃過ぎる!というのは置いといて、現実にいる政治家の人とか、映画俳優の誰かさんをモデルにしたであろう個性的な風貌のキャラが目立ちます。アニメの作画(声優さんの演技含む)は、文章の文体に相当しますが、リアリティのある劇を見せるのであれば、端正な顔立ちのキャラだらけでは違和感が出てしまうと思うので、理にかなった描写になっていると思います。士郎先生の漫画にも出てくる内務大臣の顔ヂカラは特にスゴイ! 例外なのは没個性的な役回りのアンドロイドとか、アニメオリジナルキャラのアオイ君とか※5クルツコワさんとかフェムさんとか‥。後者から数えて二人は何となく萌えキャラっぽくて、ちょっとだけ別のアニメから引っ張ってきたよーな印象がありました(笑

よく話題になる少佐のコスチュームについては原作にも似た様なのがあるんですけど、TPOを守ってないとやっぱり浮いて見えてしまいます。初見では課長の執務室でのあの格好にはぎょっとさせられましたし、SACの現代寄りの世界観と調和しなかった所為もあって他の場面でも違和感ありありでした。慣れると無視出来る様にはなりますが、何とかならなかったのかなとは思います(二期以降では改善されている。)

音楽について、ORIGAさんの歌声の美しさが際立つOPの「inner universe」と、突入シーンでよく使われる「run rabbit junk」が特に印象に残りましたが、硬い世界を柔らかくするドラマチックなBGMたちも素敵でした。どんなジャンルの音楽も作れちゃう菅野よう子さんの才能はスペシャルですね。最高評価とさせて頂きました。

構成について、物語を縫う様にして現れては消える「笑い男」関連のお話が中心ですが、それとは直接関係の無い一話完結のお話も半分位あります。張り詰めた刑事ドラマの中にも人情味溢れるお話がちょくちょく顔を覗かせますので、やや長めの2クール全26話、立ち止まらずに進む事が出来るのでは無いでしょうか? わびさびが効いていてとても見やすいと思います。

サブタイ表示中の背景色で続き物と一話完結のいずれかが区別出来る様になっていますので、一周した人は※6どちらか一方だけを続けて視聴するというのも乙ではないかと‥。
(青=笑い男:4.5.6.9.11.20~26話 緑=1話完結:1.2.3.7.8.10.12~19話)

原作や派生作品の「RD潜脳調査室」や「紅殻のパンドラ」などでは重要テーマの一つとなっている※7人間と機械の距離が埋まる事によって変容する意識についてのお話はやや控えめで、前面に置かれた刑事ドラマの影に隠れた形でとてもコンパクトにまとめられています。作中でこの問題について人よりもむしろロボのタチコマに多くを語らせているのは、無邪気なタチコマを通した方が説明的でストレートな台詞を喋らせ易いからなんでしょうね。人に同じ役をやらせても楽しそうですけど、うざったらしくなる事間違い無し(笑)霊や階層構造(2期では※8上部構造という言葉で語られる)と言った抽象概念を織り交ぜて未来の世界が語られる原作1巻や2巻とはかなりの部分で異なっており、本作の放送と同時期に出版された純刑事物寄りの「攻殻機動隊1.5」に近い作風と感じました。

本編終了後のオマケコーナー「タチコマな日々」も短いながらもちょっと楽しい。SACの貴重な笑い所となっており、脳が疲れてゴーストの囁きが聴こえなくなった時の丁度良い箸休めとなっています(笑)


再視聴を終えて
{netabare}
原作から色々な要素を削ぎ落とした(必要な事だとは思うけれど)結果、概ね万人受けする娯楽作品として成功した本作ですが、反面、監督の神山健治氏が強調した社会正義というテーマが強過ぎて、登場人物達の価値観がやや画一的に見えてしまった印象は残りました。それと悪玉に相当する政治家や医療関係者、警察関係者と言ったエライ人たちの関心事が金と名声に集中しているのを見ると、こちらについては割とリアルな描写なのかも知れませんけど、古典的な悪人像を見る様で、情けなくて、せこくて、心底呆れちゃいました‥(汗)

一方影の主役、世の中のインチキを相手に回して孤独に戦うアオイ君ですが、こちらには明確なモデルがいて、一見してライ麦畑のホールデンそのものなんですが、力と行動力を備えている点に大きな違いがあり、青臭いと揶揄されそうな剥き出しの正義感を掲げながら、疲れ、葛藤しつつ、それを行使していく姿が危なっかしくも痛快です。欠点のある英雄未満なキャラなので、見ていてついつい応援したくなりました。エピローグで彼の被っていた赤帽に耳当てが無いのに気付いた少佐の台詞は意味深‥。新作に再登場するフラグになっていたりして。

神山監督によれば、正義のあり様について、アオイ君、トグサさん、荒巻課長と世代毎に区別しているそうですが、確かに、暴走気味で浮き沈みのあるアオイ君、私生活を守り自分の立ち位置で堅実に仕事をこなすトグサさん、鉄の信念に殉ずる常に攻性!な荒巻課長と、三者三様な感じではあります。ただアオイ君にしても9課の人達にしても、目的の為には手段を選ばず、才能や人脈を最大限に行使して、時として法の目さえも掻い潜って目的を遂げようとしている点で共通しています。法律は権力者にとって都合の良い様に作られている側面もありますので、それと戦う彼らがそうするのは当然といえば当然で、前提として彼らは法律=正義と置かず、せいぜいゲームで言う所のルール程度としか捉えておらず、バグを利用して近道出来るなら積極的に利用し、審判の目を欺けるのなら危険なラフプレーも辞さないというスタイルで悪に肉薄するのです。

正義の定義については右も左も知らぬ私が複雑な事をあれこれ書けませんが、少なくともその根源は宗教や道徳や法律という言葉で形式化されたものではなく、より古く、世代を経て研磨されてきたヒトの遺伝的性質に根ざしたものの様に思えます。ありていに言えば利他的精神なのですが、血縁関係にない他者や異種族である動植物をも擁護するヒトの行動は、あたかもそれら全てを自身の属する群れと見なしている様にも見えます。群れ全体の利益を優先する行動を仮に正義とすると、その対極にある利己的行動を悪と言える気もしないでもないですが、実際にはその両者のバランスの崩壊こそが悪となるケースが殆どでは無いでしょうか。混じり気の無い利他的精神も利己的精神もプログラムされたソフトウェアみたいなものにしか宿らないと思うので。

14話「全自動資本主義 ¥€$」でも上に関するお話がちょこっとだけありましたが、経済活動が社会ぐるみで推奨され、お金儲けによる自己肯定感が増すと、人は富そのものが目的になってもそれを許容し、どこからそれを得ているのかという事にさえ無関心になれる様です。為替の売買とか株取引なんかは特にその傾向が顕著で、投資は別として、投機でお金を回している人なんて殆どゲーム感覚だし、例外なく利己的ですものね‥。原作の荒巻"部長"の言葉にも「人の心はもろい…世の中の回転に呑まれて快楽中心になると利益効率追及機械やただの消費単位になってしまう」なんてのがありましたが、見たいもの(オカネや快楽)しか見えていないという点では、これもまた先に触れた錯覚の類と言えます(汗)

でもまぁ、作中の独善街道まっしぐらなアオイ君やフェムさんみたいに、腐った世の中に天誅!なんて事していたら(できないし)、まず身が持ちませんし、荒巻課長みたいな無私無欲の正義の人にも逆立ちしてもなれませんけど、フィクションと言えど、彼等の様な自己犠牲を厭わぬ人たちの行動を目の当たりにすると、大人の端くれとして、せめて自分の目の前にあるインチキ的なものに対しては、物申す事が出来る位の勇気と活力は常に備えておきたいものだなぁと思う凡夫なブリキ男なのでした。

総評として、綻びのない未来社会の映像化は警告や予言としてそれ自体に大きな価値が有り、作画もそれを表現するのに十二分な水準に達しており、脚本は実際に起きた事件や映画などからの引用が多くあるものの※9その作り込みは極めて濃密、今もって色褪せない魅力を持つ作品である事を確認させて頂きました。

押井監督の作品では省かれてしまっているフチコマ(タチコマ)の登場もとても嬉しい要素ですね。玉川紗己子さんが様々な声色を使い分けて情感豊かに演じられています。12話の「タチコマの家出 映画監督の夢」の前半と、15話の「機械たちの時間」はなんとタチコマ主役回。ロボ好き必見のお話になっています。全編を通してのわたしの泣き所って殆どタチコマ関連のシーンだったりして。
{/netabare}
更新に更新を重ね原形を損ねてしまった初見当時の記憶と今回の再視聴で得た記憶を並列化しつつ(笑)楽しく書かせて頂きました。


※5~9
{netabare}
※5:クルツコワさんは金髪隻眼の美人さんで工作員。漫画版「紅殻のパンドラ」ではまさかの萌えキャラ化を果たしており(笑)祖国の為に誠心誠意で(悪事を)がんばるポンコツ少女?として描かれています。フェムさんは泣きぼくろが可愛いおだんごヘアーの中華娘でヒットマン(汗

※6:笑い男事件だけを切り抜き、新作映像、新規アフレコを追加して158分にまとめた再編集版「The Laughing Man」なんてのもあります。むつかしい台詞を端折ってより見易くしている印象でした。チャットルームのお話が抜けているのは残念でした(汗

※7:人間がサイボーグ化、あるいはロボットが人間に近づく事によって起きる意識の変化について。前者に関してはW・ギブスン氏に先んじて石ノ森章太郎先生がサイボーグ009の「天使編」で初めて触れたのかも‥、でも現代の私たちってもうとっくにサイボーグ化してる気がします。PCやスマホ無しでは生活する事さえままならなかったり、外部記憶装置のデータが失われた時なんかはそれ相応の精神的なダメージを被ったり‥。PCは己が肉体を、その枠組みを超えて存在するという感覚をまざまざと見せ付けてくれる機械ですが、人は太古から認識出来るもの全てを外部記憶装置として利用しているきらいがあります。

後者のロボットの自我についてのお話は映画「メトロポリス」やアシモフ先生の小説、漫画「鉄腕アトム」「8マン」とかで有名ですけど、その起源はかな~り古い。鍛冶の神ヘパイストスが発明したとされる黄金の召使とか、クレタ島のタロスとか。人造人間のお話はもっと古い。近年ではAIの知能が人間に迫る勢いで成長を続けていますが、自我を持ったロボットは一体何を望むんでしょう? "I will destroy humans."とかはさらっと言われたくないですね(汗)

※8:三省堂の大辞林によると「政治的・法律的諸制度と、それに照応する社会の政治的・法律的・宗教的・道徳的・哲学的・芸術的意識形態をさす語」となっていましたが、攻殻で言う所のそれは幾重にも連なる階層構造の一部を指すのみで、上部構造と下部構造の2つに単純には分けられていない模様。古典的な"神が人の中に入る"という表現では、神が上部構造にいて、人が下部構造にいるという解釈になると思います。作中のハッカーがゴーストハックした人を操る様は、神話や伝説の中の神や悪魔が人に憑依してその心に干渉する様に良く似ています。

※9:脚本が悪いのか演出が悪いのか、1話の突入シーンの光学迷彩で隠れるタイミングとか、2話の「我々は攻殻機動隊だ」とか、9課なのに度々税金の無駄遣いをやらかしている所なんかはちょっとNGだと思いました。(でもそれが感情表現として有効になっている場面もちらほら。トグサさんの射撃訓練じゃないよ)
{/netabare}

付録・用語解説など
{netabare}
電脳:脳内にマイクロマシンを送り込みニューロンに取り付かせ、それで脳波を読み取りデータ化、首の後ろに取り付けたインターフェースとかで送受信する技術。これによって"人やデータ"と感覚や情報を共有出来る。

電通:電脳通信の略。電脳化したもの同士が有線や無線で通信を行なうこと。口の動かない会話シーンを作れるのでアニメーターさんもちょっと助かる(笑)

脳殻:脳と脊髄を収める接続端子付きの器。素材は軽くて丈夫な発砲素材とか頑丈なチタンとか。持ち運びしたり交換したり出来る(汗

義体:電気信号で動く機械の体。義手、義足、義眼などの総称。最近では増幅された脳波で動作する義手や義足、逆に電気信号を脳に送って機能する人工網膜や人工内耳なども実用化されており、義体化技術はかなりの部分で実現していると言えます。他方で施術を必要とせず、ヘッドギアやグローブの電極を通して情報の受け渡しを可能にする技術も開発されつつある様で、それで離れた場所にあるロボットを操作したり、ロボットのセンサーを通して触覚などの感覚を受信したりという事も可能だそうな。作中に登場する遠隔操作義体そのものですね。近い将来にも家にいながらにして(擬似)海外旅行とかが出来る様になったりして‥。味気ない?

光学迷彩:見えない様に見せる技術。実在するものの中には背景画像をカメラで撮影し、反対側(表側)のスクリーンに出力するか、プロジェクターで投影する方式、あるいは負の屈折率を持つメタマテリアル(人工物質)を通して光を迂回させて対象物の背景を見せる方式がある様です。現時点では前者は(可視光)光学迷彩、後者はレーダーに影を落とさない熱工学迷彩に近いかも知れません。耳がひじょーに良い猫耳アンドロイドとかには聴覚で見破られてしまう(笑)水や埃にもやや弱い。
↓続き
少佐の様な前身義体の人はともかくとして、トグサさんとか(ほぼ)生身の人間の体のどこにカメラとかプロジェクターが装備されてるの?という疑問を持たれる方もいるかも知れませんが、これについては押井監督の映画が公開された頃に販売されていた「ビジュアル解説ハンドブック INDEX2029(薄い本ですが内容は濃い)」という小冊子に"迷彩塗装"との記述がありましたのでマイクロマシンをスプレー塗布していると想像出来ます。眼球はコンタクトレンズとかで補えるかも知れませんが、髪の毛とかは大変そう。士郎先生に色々と訊いてみたい(笑)

アームスーツ:強化外骨格。日本ではパワードスーツという呼称が一般的。人型だけでなくクモ型のタチコマもこれに含まれる。

思考戦車:AIを搭載した戦車の事。本来はアームスーツであるタチコマがこう呼ばれる事もある。経験を積み成長する。

並列化:演算処理の方法ではなく、作中では個々の持つ情報を共有すると言う意味合いで使われる単語。タチコマの場合、一部ではなく、それぞれのAIが蓄積した情報全てを共有するので思考力が劇的にレベルアップする。

枝:作中「枝を張る」とか「枝が付く」とかいう表現がありますが、概ね盗聴する為の何かを残す、盗聴される痕跡を残すとかを意味している様です。

IRシステム:IRは赤外線を意味するInfraRedの略。公安が管理しているカメラによる監視システム。幹線道路、駅、空港などを中心に日本中至る所に設置されているらしい。さすがにトイレの中には無い。ディストピアSF御用達システム(汗

インターセプター:目で見た光景を第三者に送る技術。視神経に素子を取り付ける必要がある。

防壁:ファイヤーウォールの類。脳を焼き切る攻性防壁・侵入者を足止めする防壁迷路・逆襲回避の身替わり防壁とかがある。首に取り付けるU字型のデバイスが身替わり防壁。

S.A.C.:造語。スタンド・アローン・コンプレックスの略。説明はレビュー本文にて。

ゴースト:個人を特定する要素。魂という言葉に近いと思います。

他にも色々ありますが主なものを掲載。視聴時のストレス軽減目的の要約版とさせて頂きました。新作に備えてのおさらいも兼ねて。もっと詳しく知りたい人は「攻殻 用語」でぐぐってみると面白いかも‥。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 46
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

'70学生運動世代(ベトナム戦争世代)の思考が透けて見える有名シリーズ

※以下は、攻殻シリーズ(旧作)の一括レビューです。

2013年頃、あにこれに来て一寸驚いたのが、当時この作品が全作品ランキングで1位だったことで(※今は3位に下がっています)、今でも無批判にこの作品を「内容がある」とか「深い」とか言って褒めちぎる人が多いので、このシリーズのひとつの見方を簡単に提示しておきます。


◆アニメ有名シリーズと制作者(監督)の世代論

(1) ガンダムの富野氏は1941年11月生まれ、
(2) ジブリの宮崎駿氏も1941年1月生まれ

⇒つまり、ともに1960年の安保闘争当時、現役学生だった世代。

(3) これに対して、攻殻劇場版監督の押井守氏は1951年8月生まれ
→1970年の安保反対運動当時、現役学生だった世代で、ついでにいうと、1970年11月には三島由紀夫自決事件も起きている(※攻殻TVシリーズ第2期のモチーフにもなってますね←この世代の思考・行動パターンが「口では平和を唱えながら、やたら暴力的」みたいにチグハグになってしまった一つの原因か?)。
(4) なお、攻殻TVシリーズ監督の神山健治氏はもっと下の世代(1966年3月生まれ)ですが、押井氏に師事して頭角を現し、TVシリーズ第2期では同氏をストーリー・コンセプト担当に仰ぐなど同氏の影響が非常に強いと思われます。

⇒ということで、ガンダム・ジブリ作品が60年安保世代の発想だとしたら、攻殻シリーズは70年安保世代(全共闘世代、ベトナム戦争世代)の発想が色濃い作品と考えます。
(※とくに、TVシリーズ第2期を最後まで観ると強くそう感じます(※下記の各話感想を参照))

(5) ちなみに、エヴァンゲリオン・シリーズの庵野秀明氏は1960年5月生まれ
(6) また、マクロス・シリーズの河森正治氏は1960年2月生まれ
(7) さらに、「まどマギ」&物語シリーズの新房昭之氏は1961年9月生まれ

⇒押井氏から丁度10年後に学生時代をおくったこの世代(※シラケ世代?)の作品からは、見事に変な思想臭が消えていて、その分見易く親しみ易くなっています。

※この、どの世代の制作者(監督)の作品を好むかは、人それぞれですが、予備知識として上記を押さえておくと、作品の見え方がまた一味変わってくるかも知れません。


◆作品別評価(TVシリーズ、劇場版)

(1) TV第1期 ★ 4.1  「STAND ALONE COMPLEX」  (2002年10月-2003年11月)
(2) TV第2期 ☆ 3.7  「S.A.C. 2nd GIG」  (2004年1月-2005年1月)
(3) OVA    ☆ 3.5  「Solid State Society」 (2006年9月)
----------------------------------------------------------------
  総合    ☆  3.8   ※(1)~(3) 神山健治監督
              ※なお (2) のみ押井守ストーリーコンセプト


(4) 劇場版1 ☆ 3.7  「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」 (1995年11月)
(5) 劇場版2 ☆ 3.7  「イノセンス」 (2004年3月)
----------------------------------------------------------------
  総合    ☆  3.7   ※(4)~(5) 押井守監督


◆制作情報(TVシリーズ第1-2期、OVA)
{netabare}
原作マンガ       士郎正宗
監督・シリーズ構成  神山健治
ストーリーコンセプト  押井守(2期のみ)
脚本           神山健治、藤咲淳一、櫻井圭記、佐藤大、菅正太郎、寺戸信寿(1期のみ)、松家雄一郎(2期のみ)
キャラクターデザイン 下村一(1期)、後藤隆幸・西尾鉄也(2期&OVA)
音楽           菅野よう子
アニメーション制作  Production I.G{/netabare}


◆視聴メモ(TVシリーズ)

(1) 第1期「STAND ALONE COMPLEX」
{netabare}
・第2話視聴終了時点
ん?これって安っぽいヒューマニズム系作品なの?
・第3話視聴終了時点
心身問題(mind-body problem)にチョイ掠り
・第10話視聴終了時点
「米帝」は巨悪だ!という前提が如何にも"ベトナム戦争世代"だなと・・・
・第15話視聴終了時点
再び「心身問題」・・・「自己言及のパラドックス」「チューリングマシン」「ゴースト」等それっぽいキーワードを小出ししてるけど内容自体は踏み込みが浅くて余り評価できない。
・第21話視聴終了時点
ここから山場の展開だが、「米帝」がBig Brother(G.オーウェル『1984年』の全能の支配機構)という設定が何とも・・・
・第25話視聴終了時点
「自由意志」が芽生えたタチコマが自己犠牲を払ってバトーさんを救い全滅しました・・・って、事態打開の方法が如何にも安直じゃありませんか?{/netabare}

(2) 第2期「S.A.C. 2nd GIG」
{netabare}
・第5話視聴終了時点
そこはかとなく漂う5.15事件へのシンパシーが微妙・・・
・第12話視聴終了時点
鹿児島・鹿屋の特攻隊出撃基地近くの戦没者慰霊塔を無造作に使っちゃってる点が×
・第23話視聴終了時点
親中派で米帝の軍産複合体の謀略に強い危機感を持ち国連査察に期待する首相って・・・いつの時代の感覚?
・第25話視聴終了時点
クゼの目的が「肉体を失った人々のゴーストを束ねた霊的上部構造の構築」って・・・これってオカルト話だったの?
・第26話視聴終了時点
シナイオライターは米中露等距離外交・国連協調路線が好きなんだね。{/netabare}


◆各話タイトル&評価(TVシリーズ)

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

======= 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX (2002年10月-2003年11月) =======
{netabare}
第1話 公安9課 SECTION-9 ★ 西暦2030年、公安9課のロボット芸者鎮圧、脳殻入れ替え技術(スパイ亡命阻止)
第2話 暴走の証明 TESTATION ☆ 剣菱重工製戦車暴走
第3話 ささやかな反乱 ANDROID AND I  ★ カナダ大使子息とアンドロイドの恋人、心身問題(mind-body problem)
第4話 視覚素子は笑う INTERCEPTER ★ 笑い男事件(トグサ同期(特捜ヤマモト)の不審死、事件再発(警視総監殺害予告))
第5話 マネキドリは謡う DECOY ★ 続き(6年前の事件、ナナオ・A容疑者監視の顛末)
第6話 模倣者は踊る MEME ★ 続き(大堂警視総監連続襲撃事件、荒巻9課課長の挑戦状)
第7話 偶像崇拝 IDOLATER ☆ コピー・ゴースト技術(南米麻薬王・革命の英雄の来日)
第8話 恵まれし者たち MISSING HEARTS ☆ 医学生の悪質な臓器ビジネス
第9話 ネットの闇に棲む男 CHAT! CHAT! CHAT! ★ 笑い男事件の続き(ネット座談会への素子潜入)
第10話 密林航路にうってつけの日 JUNGLE CRUISE × 連続猟奇殺人事件(バトーとマルコの因縁、米帝CIAの画策)
第11話 亜成虫の森で PORTRAITZ ★ トグサの授産(電脳閉殻症患者隔離)施設内偵
第12話 タチコマの家出 映画監督の夢 ESCAPE FROM ☆ 特定タチコマ個体の冒険(少女との交流)、ゴーストの宿る箱
第13話 ≠テロリスト NOT EQUAL ☆ 東シナ海廃棄プラント潜入、「興国の旅団」リーダー確保
第14話 全自動資本主義 \?$ ☆ 大富豪・投資家横瀬氏保護任務 ※オチのない回
第15話 機械たちの時間 MACHINES DESIRANTES ★★ 心身問題(※第3話参照)、タチコマの運用凍結
第16話 心の隙間 Ag2O ★ タチコマのラボ送り、バトーvs.元ボクシングチャンプ(ザイツェフ海上自衛軍格闘技指導員)
第17話 未完成ラヴロマンスの真相 ANGELS' SHARE ★ ロンドン銀行籠城事件(荒巻課長活躍回)
第18話 暗殺の二重奏 LOST HERITAGE ☆ 中国・金外務次官暗殺阻止任務(荒巻課長の戦友・故辻崎陸自調査部長のゴーストの復讐未遂)
第19話 偽装網に抱かれて CAPTIVATED ★ ロシア系北方マフィア「目隠しイワン」の未成年女性集団拉致事件、神崎元総理の感謝
第20話 消された薬 RE-VIEW ★ 電脳硬化症特効薬(村井ワクチン)接種者リスト紛失、トグサの「ひまわりの会」内偵、厚生省強制介入班の襲撃
第21話 置き去りの軌跡 ERASER ★★ 村井ワクチン不認可の真相、9課VS.介入班、今来栖殺害、笑い男の正体
第22話 疑獄 SCANDAL ★★ 新見厚生労働省医薬局長逮捕、荒巻課長&素子の危機、笑い男の依頼、義体換装
第23話 善悪の彼岸 EQUINOX ★ 瀬良野社長再誘拐、6年前の事件の真相、黒幕・薬島与党幹事長
第24話 孤城落日 ANNIHILATION ★ 荒巻&総理の直談判、軍特殊部隊(海坊主)の公安9課強襲、9課離散
第25話 硝煙弾雨 BARRAGE ★ タチコマの自由意思(バトー救援)、公安9課壊滅? ※ピンチの解消方法が安直×
第26話 公安9課、再び STAND ALONE COMPLEX ☆ 3ヶ月後(薬島幹事長疑惑追及、9課メンバー再集合)、笑い男と荒巻の対面{/netabare} 
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★★★(神回)0、★★(優秀回)3、★(良回)14、☆(並回)8、×(疑問回)1 ※個人評価 ★ 4.1

OP 「inner universe」
ED 「lithium flower」


========= 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG (2004年1月-2005年1月) ============
{netabare}
第1話 再起動 REEMBODY ★ 個別の11人中国大使館籠城事件、反動保守の新政権(茅葺首相)、公安9課再建
第2話 飽食の僕 NIGHT CRUISE ☆ ギノ操縦士の妄想癖 ※「哀れなほど真実を知らないプロレタリア」って・・・
第3話 土曜の夜と日曜の朝 CASH EYE ☆ 田所元経団連会長内偵、政財界大物秘密パーティ潜入
第4話 天敵 NATURAL ENEMY ☆ 内閣情報庁・合田補佐官の9課接触、暴走自衛隊ヘリ群鎮圧任務
第5話 動機ある者たち INDUCTANCE ★ 茅葺首相暗殺予告(仇∞士)、首相警護任務、革命の聖典『個別の11人』、クゼの首相襲撃・撃退
第6話 潜在熱源 EXCAVATION ☆ トグサのエネルギー省脅迫被疑者身元調査(旧首都・東京へ、大深度地下の秘密原発発見)
第7話 狂想は亡国の調べ Pu239 ☆ 「個別の11人」プルトニウム強奪阻止任務(合田の9課介入)
第8話 素食の晩餐 FAKE FOOD ☆ 合田の経歴調査、「個別の11人」感染者のメディア露出、内庁の不可解な情報操作
第9話 絶望という名の希望 AMBIVALENCE ★ 同時多発的無差別自爆テロ、招慰難民の犯行?、素子の内庁潜入、合田の野望(国家改造の英雄プロデュース)
第10話 イカレルオトコ TRIAL ☆ トグサの人命救助失敗と拘留、不毛な裁判
第11話 草迷宮 affection ★ 素子の過去(クゼとの出会い、全身義体化と折り紙の記憶)
第12話 名も無き者へ SELECON ★ 首相暗殺未遂犯の行動再開、ウィルス発症条件、「個別の11人」鹿児島終結・九州電波塔集団自決事件
第13話 顔 MAKE UP ☆ 自決事件報道の影響、パズの因縁の相手、未遂犯の氏名判明(クゼ・ヒデオ)
第14話 左眼に気をつけろ POKER FACE ★ 隻眼スナイパー・サイトーの過去(メキシコでの素子etc.との死闘)
第15話 機械たちの午後 PAT ☆ タチコマ開発者(有須田博士)亡命阻止
第16話 そこにいること ANOTHER CHANCE ☆ 難民の長崎流入問題と日米安保改訂問題、電脳世界のハブ形成、クゼの過去(新義州PKF)
第17話 修好母子 RED DATA ★ 素子の台湾渡航任務(難民達のカリスマ・クゼ)
第18話 天使の詩 TRANS PARENT ☆ 9課のベルリン渡航(「天使の羽」掃討任務、バトーの気迷い)
第19話 相対の連鎖 CHAIN REACTION ★ 出島の難民自治区宣言、合田暗躍、素子とクゼの電脳空間での接触、9課の出島襲撃・クゼ拿捕失敗(新人殉職)
第20話 北端の混迷 FABRICATE FOG ★ 素子の沈鬱、択捉島・ロシアマフィア&クゼのプルトニウム取引への陸自介入、クゼvs.バトー
第21話 敗走 EMBARRASSMENT ★★ 続き、クゼ協力者の自爆・オスプレイ破壊(イシカワ負傷)、合田暗躍(クゼ長崎出島帰還)
第22話 無人街 REVERSAL PROCESS ★★ 九州の戒厳令発令、電波塔の爆弾解体処理・プルトニウム回収、バトーの合田問い詰め(個別の11人自決事件の真相、不確定要素の介在、殉教者の条件)
第23話 橋が落ちる日 MARTIAL LAW ☆ 高倉官房長官・合田内庁補佐官の策動進行(茅葺首相の懸念、陸自の出島封鎖、出島事変発生(自衛軍vs.暴走難民))、素子のメッセージ(対クゼ) 
第24話 出島、空爆 NUCLEAR POWER ★ 茅葺首相拘束、陸自特殊部隊の出島突入・バトー隊との交戦、米帝原潜浮上(合田の最終目的判明・・・難民暴走を装った核爆弾投下・出島&難民一挙消滅)
第25話 楽園の向こうへTHIS SIDE OF JUSTICE × 素子とクゼの接触、トグサの茅葺首相救出 
第26話 憂国への帰還 ENDLESS∞GIG  × 素子のクゼへの協力、米帝原潜の核弾頭発射、タチコマの命令無視・自己犠牲、バトーの素子救出、高倉逮捕・合田射殺、クゼ死亡{/netabare}
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)2、★(良回)10、☆(並回)12、×(疑問回)2 ※個人評価 ☆ 3.7

OP 「Rise」
ED 「living inside the shell」


=== 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society(S.A.C. SSS) (2006年9月) ===

全1話 ☆ 3.5 {netabare}ウィザード級ハッカー傀儡廻しvs.素子の抜けた9課&素子(単独行動) ※孤立老人の介護問題を絡めたサスペンス仕立ての話だが特に観るべき点なし{/netabare} ※約1時間49分

OP 「player」
ED 「date of rebirth」


///////////////////////////////////////////////////////////////

◆制作情報(劇場版1&2)
{netabare}
原作マンガ      士郎正宗(講談社『ヤングマガジン海賊版』1989年5月)
監督         押井守
脚本         伊藤和典
キャラクターデザイン 沖浦啓之
音楽         川井憲次
アニメーション制作  Production I.G{/netabare}


========= GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 (1995年11月) ===========

全1話 ☆ 3.7 {netabare}素子との融合を望む"人形使い"との闘い ※何でここまで東南アジアの華人街っぽい背景が多用されるのか謎(これ、香港映画?と思うほど){/netabare} ※約1時間22分


===================== イノセンス (2004年3月) ===================

全1話 ☆ 3.7 {netabare}バトー&トグサ・コンビのガイノイド連続暴走事件調査 ※まるで未来の日本は香港にでもなったような設定が酷い{/netabare}  ※約1時間39分

投稿 : 2025/01/04
♥ : 27
ネタバレ

ラスコーリニコフ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

あにこれでの攻殻の順位変動

■攻殻の順位変動について

自分があにこれに来たのは2011年の夏、招待制だった頃で、その頃
の攻殻の総合順位は7~9位くらいだった気がする。

たしか1位がとらドラ!、2位エヴァ、3位がCLANNADのAFだったかな。

CLANNAD、あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。も現在よりは
上位だったはず。

その後、一部のエヴァアンチによる悪意のある工作(明らかに1人の
人間が大量のIDを用い低評価を付けまくり)により、エヴァの順位が
やや低下。シュタゲとコードギアスが徐々に上昇。

あとは自身何度か休止を挟んでいるので、正確な事は分からないです
けど、大きな動きは無かったような。

2013年の6月、化物語が急にトップに、攻殻も一気に順位を上げる。

詳しくは

化物・攻殻の大躍進
http://www.anikore.jp/board/608/

自分は2013年の6月下旬~11月中旬まであにこれを休止しているので、
どう変化したのか分からないですが、気付くと攻殻が1位になっていた。


■攻殻機動隊が1位の弊害

レビューサイトとしての信頼度は上がる気がするものの、あまり良い
事では無いよーな・・。


・視聴のハードルが高い

あにこれに初めて来た人が最初にチェックするのは、総合1位の作品と
そのレビューだろうし、それがよく知らない作品だったとする。

普通は見る。自分が来た時も、まずは「とらドラ!」を見た訳ですよ。

釘宮病だったので掘り出し物を見つけた気はしたものの、ストーリー
はそんなに面白く無かった、なんでこんなもんが1位なんだよ、と。

とはいえ、とらドラ!だったら多分どんな人でも完走出来るだろうし、
死ぬほどつまらない、なんて事も無いはず。

少なくとも「話が難しくてよく分からん」という事はまずない。攻殻
だと結構な確率でそれがある訳です。

「初っ端で挫折する人が出て来る」、これが問題の1つ。

タグに社会派ドラマとかあるけど、巷で話題の半沢直樹とかとは受け
入れの広さが違う。

「やられたらやり返す。倍返しだ!」で、キャッキャするよーな事は
できねー訳です。


・レビューも書きにくい

頑張って完走したとする、そうなると次はレビューです。

レビューを書くのが初だったら、まずは人の真似をして書いて慣れる。

あ~みんな 感動した 最高だった 神アニメだった って書いてる。

よし、じゃあ自分もそんな感じで書こう、と。

そんなノリで書いたレビューは段々消したくなるのですが、仮に後に
消したり書き直す事になるとしても「慣れるために必要な事」な訳で、
攻殻の場合はそのハードルが非常に高い。

「え~、こんな視点で見て、こんな事を書かなきゃいけないの~」

なレビューが沢山並んでいる訳です。当然、脱落する人が出て来る。


■一部の人用の作品

○攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 【全13巻】
巻数  初動  2週計  累計   発売日
01巻 *8,722 **,*** 19,680 02.12.21

○攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG 【全13巻】
巻数  初動  2週計  累計   発売日
01巻 11,533 14,576 20,158 04.03.26 


ほぼ同時期に出ているガンダムSEED

○機動戦士ガンダムSEED 【全13巻】
巻数 初動   2週計  累計   発売日
01巻 30,147 38,685 71,081 03.03.28

売上が全てという事では無いですが、圧倒的に負けている訳でして、
性質としては あにこれでの順位は876位、総合得点は64.7点 の

○頭文字D Fourth Stage 【全12巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
01巻 22,008 29,647 44,169 04.06.16

に近い。「特定の事に興味がなければ普通は見ない、けど、その一部
をほぼ確実に掴める」攻殻もそういった類のものです。


◯涼宮ハルヒの憂鬱 【全8巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
00巻 28,729 33,892 35,176 06.06.23

○コードギアス 反逆のルルーシュ
DVD版 【全9巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
01巻 36,634 45,593 62,527 07.01.26

○魔法少女まどか☆マギカ 【全6巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 52,944(*9,097) 57,767(10,295) 68,547(11,542)

○化物語 【全6巻】
巻数    初動       2週計       累計
      DVD(BD)    DVD(BD)     DVD(BD)
01巻 15,513(29,372) 19,103(37,251) 24,755(58,048) 

○けいおん! 【全7巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 32,503(*7,949) 35,220(*9,418) 42,625(10,847) 

○進撃の巨人 【全9巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 37,339(19,454) 40,488(21,852) 51,473(29,252)


もっと色々見たければ、

検索 TVアニメ 先発累計平均5000超作品一覧 除外方式 2000年以降


つまり「1位の作品を見る」という気持ちでは、見ない方が良いです。

現在たまたま1位ですが無理して手を出すよーなものではない、内容
に興味がある一部の人だけが勝手に見て、勝手に盛り上がる代物。

自分も含めて、攻殻好きは「理屈っぽくて面倒臭いイメージがある」
ので、レビューを書いたらマイナスになる事もあると思います。


■下がんねーかな順位・・

見て面白くなかったら、積極的に面白くねー、つまらねーと書くのが
良いです。

所詮メスゴリラとむさい男共とハゲジジイが社会の隅っこで色々な事
をしてるだけの話で、2ndに出て来る茅葺総理の雰囲気が少しエロい事
以外は女っ気の欠片もない。

美女、美少女不足は現代アニメとしては「重大な欠点」な訳で、欠陥
商品にはいくら文句を言っても問題ねーです。


大昔に書いた少し恥ずかしいレビュー
(をやや修正、主に「読むに堪えない暑苦しい部分」をカット)
{netabare}

レビュータイトル:よし、そろそろ熱い想いを込めて書こう。

このサイトに来て半月程。
長文書くのは久々だったし、そもそもレビューを書くのは初体験で
この作品への思い入れが強過ぎたせいでこれのレビューを書くのを
後回しにして来たけど、大分慣れて来たんでそろそろ書く事にする。


■一部の人用の作品、マニア用、無駄な凝り具合

普通のアニメとは凝り具合が完全に別方向。

自分は、これ以外の作品ではどれだけ評価が高いものでも気に食
わないと言いたい放題書いてきたし、レビューの内容はそれで良い
と思います。


■科学崇拝

とある魔術の~の話じゃなくて、科学崇拝者ホイホイ作品という話。

【エヴァの自分のレビューの一部】

(エヴァレビューにはひどい事を書き過ぎた為、少し反省、控えめ
 に書き直しを行い、今はこの部分は残ってないです)

ーーーーーーーーー
「攻殻」-「立証可能な理論、現実性」+「ウジウジ君」=エヴァ

「現実を元にした虚構」=攻殻 「虚構を元にした虚構」=エヴァ

背景にあるのがエヴァの場合は宗教と現実味の無い哲学で、攻殻
の場合は、背景が科学と推論としての哲学、あと文学少々。

攻殻は実際ある理論を元に今後ありそーな世界で、ありそーな事を
やってる訳で、両方メッセージ性で話題になった事あるけど、違いは
理解して頂きたい。
ーーーーーーーーー

攻殻を絶賛していたアニオタの友人達は皆が数学、物理、科学等の
崇拝者でして、情緒面よりも科学、エロ、萌え、そして金。と。

検索 空想科学読本

この本中身を知らずにバスで読んで笑いが止まらなくなって困った
事があったんですが、多分この手の作品が好きな人がハマる傾向が
あるのが攻殻。

つまり理系用作品、文系でこの作品の中身にまで興味を持った人は、
相当偏差値が高く良い高校や大学へ行っている(た)人な気がする。

ちなみに「攻機」じゃなく「攻殻」と略しているのは、何の作品なのかが
分かりやすくなるようにする為。口頭でも「攻機」と言ってしまうと通じ
ない場合があるので「攻殻」と言う癖が付いてます。


■銃器、兵器、他陸自等、軍事オタホイホイ

作品には架空のもの実在のものが出て来て、攻殻はかなり凝って
ます。興味ないと評価できないでしょうけど、これも売りの一つ。

ブラックラグーンとかでも少し出て来る話で、
(「軍人達は皆プラグマティストだ、憶測じゃ動かない」だったかな)

軍事はプラグマティズム(実用主義、道具主義、実際主義、行為主義)
の塊なので、科学崇拝者達とは非常に相性が良い。


■攻殻は近未来の日本が舞台の話

2030年頃の日本を舞台にした話なんですけど、2019年の事とかも
あるので、現在2011年ですけど、ちょっとリアル科学は攻殻に追い
つきそうにないですね。追いつくと思ったのになー・・残念だ。


■本当にありそーな設定、無茶とは言い切れない設定

「立証可能な理論、現実性」「現実を元にした虚構」

・・、立証可能な理論って言葉の使い方おかしいけど、他に言葉も
浮かばないから、イメージとして理解して頂きたい。

(実証、証明・・とも少し違うよーな、やはり立証が一番近い気がする。
理論を立証するって言い方はあるから、立証可能な理論でOKなはず)

そういった現実からの発展、推測、推論、未来予測が元になってる
作品なので「そんな未来があり得そう」な訳です。


■その発想力と設定の細かさ

ここのレビューの限界文字数知らないけど、本気で書くと多分余裕
でオーバーするので、設定は解説サイト見て来ると良いです。

架空の話なんだから、そんなとこまで細かく設定する事ねーよ!な
内容で、それ故にマニアが食い付く。


■出てくるキャラ

メスゴリラ、むさ苦しいおっさん達、無駄に有能なジジイ、そして
攻殻が好きはきっと皆大好き笑い男。2rdでは雰囲気がエロい総理。


■作画

萌え絵じゃなくて、変な作画じゃなくて、本当に良かった。


■台詞

センスが日本のアニメのよくあるそれではない、ハリウッド映画系、
ともやや違う、脳筋系すらそのセンスのせいで激しく良いキャラに。

蒼天航路、富野作品、ブラクラ、銀英、冨樫や福本作品、ビバップ

パッと思いつくので、それぞれが独特に台詞が印象に残る作品。

攻殻にも脚本に6人のうち1人がビバップに関係してるけど、ビバップ
ともやや違う。台詞一つで台無しになるところを素晴らしい仕上がり。


■声優

有名どころだけ:田中敦子 大塚明夫、山寺宏一 中田 譲治 三木
眞一郎  折笠愛 榊原良子


■音楽

日本の至宝、菅野ようこ様

検索 Inner Universe (full song)

2011年秋に480万再生、2013年年末に900万再生。


■アニメーション製作・Production I.G

作中もだけど特にオープニングが気合入り過ぎで、当時開いた口が
塞がらなかった。

検索 攻殻機動隊 S.A.C Origa - inner universe OP : Ghost in the? Shell

検索 攻殻機動隊 S.A.C 2nd GIG Origa - rise - YouTube


■これが原作漫画だと?

原作を超えたとかよく聞くし、原作は見る気も起きない。


■士郎正宗

原作者の別の作品「RD潜脳調査室」を見た時の、俺の落胆っぷり
といったら・・いや、そんなものは存在しなかった。


■周囲で影響を受けた人は数知れず

急にハッキング系の本を読み出したり、サリンジャー作品を読み出し
たり、作品に出てくる用語をネタとして使いまくる人々。自分がよく使用
したのは「~と囁くのよ、私のゴーストが」

人気があったのは光学迷彩

検索 光学迷彩 ニコ大百科


■STAND ALONE COMPLEX

独立した個人が結果的に集団的総意に基づく行動を見せる社会現象
孤立した個人でありながらも全体として集団的な行動をとる


この作品は色々な部分を作ってる人々が、他の部分のあまりの出来の
良さに影響されて、普段の実力以上の仕事を、創作への熱意を燃やす
事になった、そう解釈しています。

「どんな環境でどんな仕事にも真剣に取り組む人」は非常に立派です。

しかし、やはり他がダレていたり、打ち込む価値が無いと感じてしまう
と、どうしてもやる気が無くなる、人間とはそういうものです。


我々の間には、チームプレーなどという都合の良い言い訳は存在せん。
有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。


製作側がアニメをどういう風に作っていくかは知らないので、ただの
妄想。

スタッフ全員本気で良い仕事し過ぎて、自分だけ手が抜けなくなった、
というより自分も感化されて本気になった、攻殻機動隊製作委員会に
はそれがあったと思う。

質の良い原作ありきで、更にスタッフ個人の良い仕事し過ぎ、頑張り
過ぎによる相乗効果、その成果こそが

「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」だと、自分は信じている。


■書き直したい

暑苦しい駄文を大分カットしてすっきりしたけど、全部書き直したい。

でもそんな事をするなら、最初から全部見ないと・・。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 120

91.1 1890 ちはやふる(TVアニメ動画)

2011年秋アニメ
★★★★★ 4.1 (4136)
18831人が棚に入れました
姉がモデルの日本一になることが夢であった小学6年生の綾瀬千早は、福井から来た転校生・綿谷新に「自分のことでないと夢にしてはいけない」と諭される。そんな新の夢は競技かるたで名人になり、日本一になることであった。真剣にかるたに臨む彼の姿に感化された千早は、幼馴染の真島太一も巻き込んで、かるたの魅力へ惹きこまれていく。

声優・キャラクター
瀬戸麻沙美、細谷佳正、宮野真守、茅野愛衣、奈良徹、代永翼
ネタバレ

Ballantine さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

まさしく王道スポーツアニメ(最終回

1期25話。2期25話。

●関連URL
・TVアニメ公式:http://www.ntv.co.jp/chihayafuru
・原作漫画公式:http://kc.kodansha.co.jp/content/top.php/1000003555 (※試し読み有)
・公式Twitter:http://twitter.com/chihaya_anime


かるたで青春物語なのかな?
作画が少女漫画っぽい感じだけど特に気にならない。
カルタはルールすら覚えてないけど色んな人のレビューで面白いとか感動するってあったので見てみました。


最高ですねこういうアニメ。
感動もするし笑いもあるしスポーツアニメらしい王道の作品です。
ラブコメ要素もバランス良く盛り込まれてて素晴らしく良い作品でした。
2期もあるのでまた見たいと思います。

ガンバリスト駿とかヒカルの碁とかスラムダンクが好きな人にお勧めです。
老若男女誰にでもお勧め出来る素晴らしい作品でした。


各話感想
{netabare}1話
あやせさん!美人設定なのか。
工エエェェ(´д`)ェェエエ工
皆の前で脱ぐとかどうなってんだ。無駄美人ww
陸上部は出会い系wwどんな偏見持ってんだよw
サッカー部とかならわからんでもないが。
しっかしかるたってどうやってやるんだっけなぁ。
オカリンキタ――(゚∀゚)――!!
なんだイチャイチャしやがってw
そんな好きじゃないんだけどっておいww
フォローになってねぇよ。
アラタって誰。アラタが好きなの?タイチが好きなの?
なんか浮ついてるな。
三年前?って事は中学生だったのか。高校生かと思った。
眼鏡がアラタって奴なのか。これはひどいいじめだな。
え?小学生が働いてるのか?合法なのか?
アラタもう惚れてるのか? グランプリの子w
百人一首って最上川~の奴だっけ?
あっ新聞配達バラしやがった…
小学生の給食って班になって食べさせられてたなぁ。
タイチ嫉妬だな。
おねぇちゃんが日本一になるのが夢っておかしいな。
テープなんてあるのか。急にやる気スイッチ入っちゃったな。
えええええwカード刺さってるw
なんだこのカルタ超人ww ちょw全部ばらまいたw
眼鏡は福井弁なのかな?なるほど世界一か…
おぉーーそうなのか!タイトルの伏線回収感動した!
アラタの情熱に感化されたのね。


2話
早速いじめか。
おっこれでカルタに乗っかって来るわけか。
タイチ嫉妬しすぎw
早すぎ飛ばしすぎww タイチの親厳しすぎ。なんでも勝たないとってw
買収か?うわうわうわそういう事かw
この辺で拭いてもいいよってどうなってんだw
あっ眼鏡ぱくりやがった。ひっでぇ。どんだけ目悪いんだよw
タイチクズすぎ。 目が0.03でもいけるのか。
暗記すげぇ。 クズタイチまじくそだな。
ええええw 何その展開!!
は行とな行だけなのかww まわりの札は吹き飛ばしてもいいのか。
せけぇww おぉーーーちはやふるktkr!!
あれは名人ww アレ呼ばわりw 母ひでぇ…。姉貴もクズww
タイチの親もクズ。クズばっかしか出てこねぇな。
エアカルタww 熱心すぎるだろ!
結局眼鏡何処行ったんだよ。見えなさすぎるw
やっぱりてめぇーか。卑怯なカルタが突き刺さったww
エンドロールの縦書は珍しい。


3話
タイチもカルタやるのね。なんという空気の読めない子ww
先生ww熱すぎるww
スネオみたいな奴だなヒョロ君w
暗記時間なんてあるのか。うわうわこれはキツイ。
なんとそんな小技があるのかすげぇ。ややこしいなぁ。
相変わらずはええな。え?見方のも取れるのねw
チーム戦の意味があんまり無いww
ヒョロ君( ゚д゚)ポカーン
なる程チーム戦はそういう事が可能なのか。
先生のおでこに大ヒットwww
メラメラメラ!!アラタそんなすげぇやつだったのか。
良い先生だなぁ~。
3人ともいつの間にか仲良しだな。
バラバラになっちゃうのか。
ジワジワ目に来る…(;_:)先生良い人すぎる。
TシャツのOVERっておいww重量OVERってかw
開かずの踏切w
置いてけぼりにしてっておまえが勝手にやめたんだろ。自己中すぎる。
なんだ負けたのか…
「もっと三人でカルタしたかった」ここ泣いた。゚(゚´Д`゚)゚。
アラタ…(´;ω;`)ブワッ
泣き回だった。メッチャ泣ける。


4話
カルタの大会で会おうか…。なんともスケール大きな話だ。
あれ?高校生?中学生?
タイチの彼女か。
ちょw先生wwまつげ君ってタイチの事だったのかw
今度は中学の回想か。さっきのが高校生か。
チョコレートサインってなんだよw
臨時休業w まぁお約束ですね。高いチョコになるのかw
味わってねぇww ひょえぇー大会過酷すぎる… 白目やめろw
タイチ優しいなのリアクションが完全にオカリンw
フェイント!やりよる。フェイントじゃなかったのかw
何故ちはやふるの事知っているんだ。
敵陣に送る?攻めカルタ?ルールがわからん。
ちはやふるだけは取られて欲しく無いなこれから先も。
タイチとイチャイチャww
彼女いたのになんで抱きついてんだよ。寝とる気か。
嫌な予感しかしないなアラタ…
急に電話してこれは無いよな。相変わらずKYは直ってないのか。
どんだけ頭の中がお花畑なんだよちはやは…全然成長してないのな。


5話
まさか福井まで押しかけに行くのかよ。これは… 波乱の予感。
股下ならって身長そんな高いのかよ。
原田先生ww 
「恋はそいつといても楽しく無いって事だよ」
間接的に告白しやがった。彼女いんだろうが…
なんて浮気症なタイチ。やっぱりクズだったか。
アラタ相変わらずバイトしてんだな。
うおっそういやちはや身長たっかいなw
手をつなぐフラグが!フラグクラッシャーアラタww
相変わらず涙目タイチw
え?何故東京土産上げたしw
えー偶然俺も173だわwww いや真面目に同じだ。
いちいち空気を読まない子だな。これは業と読んで無いんだろうな。
お節介すぎる。アラタからしたらいい迷惑だな。ほらキレちゃった。
なんというわがまま女。タイチかっけぇー!
あら?お隣さん彼女なのかな?まぁ概ね想像通りだな。
ちはやどんだけアラタ信者になってんだよww吹いちゃったじゃねぇかw
会えなければ会えないほど神格化すんなしw完全に信者w
勝手にアラタ教信者になってやがるwもういい場面が台無しだよw
うおっ熱い流れになった!新幹線は窓開かないんだっけ。
タイチ嫉妬乙wwまったくタイチはいつも涙目だな。カルタ部結成。
おぉこれで1話に戻る感じかな?良く出来てんなぁこのアニメ面白い。


6話
まるで柔道部だな畳運ぶとかw 無駄部w 畳結構重たいからなぁ~。
ティーン!カルタ飛ばしすぎw 1組三畳ってとこか。
馬鹿www まぁワンパターンって感じか。
地面に正座すんなw ちはやより超詳しいなこの子。 まぁ袴履いた方が様になるよな。
いいねぇ俺も着物好きだよ。お?モデルをちはやがやる流れか。
そしてその代わりに入って下さいとなりそうな予感。
あれ?ちはやがネクタイでカナちゃんリボンだな。どういう事なの。
ちはやふる奥が深いな。まぁ解釈なんて人それぞれだもんなぁ。
アニメのレビューもこういう色んな解釈があるから面白い。
やっぱりこの流れだなww なんとも読みやすい話の流れ。


7話
だから白目ww 目閉じてやれよw 反射神経って事か。
どっかの大会で着物着ることになりそうだないつかw明らかにフラグ。
アラタかるたやってるのかねぇー。机くんww
まーた眼鏡いじめかよ。トレードとか糞MOBうぜーw
むむっこれはタイチと勉強もしくはカルタ対決の流れと見た。
そして負けたら入りますだろうな。
机ごと持ってきたwww はいタイチで食いついたーw
ホント流れが読みやすいアニメだ。裏返しとかトランプかよw
札をずらすとか上手だな。ちはやの欠点は記憶力だったのか。
タイチ自己PRタイム。大成功だな。おい机逃げんな。
話の中に入れないんじゃなくて入らないんだろ。
対決はしなかったか。青春だなー熱いねー。
机離れ出来たようですね。


8話
すっかり馴染んでるな。袴が似合うだけで誘うなw正月だけはやってるのかw
50円やっす。うおっまさかの肉まんくん同じ学校だったのか!
送り札が良くわからん。そのスカートの丈で馬乗りとかキチガイ沙汰すぎる。
西田って名前だったのか。百人一首考えながらテニスしてんのかよw
テニスが可哀想ってどんな理論だよww
西田はどういう風に入るんだろうなぁ。テニスに挫折して入りそうな予感。
チキン戦法で簡単に釣られやがった。西田相変わらずつええな。
Tシャツの大皿ww西田プレッシャーに弱いのか?
なる程同時に取れないようにしたのか(適当
次の詩?どういうこっちゃ。チート性能って事でいいのかな?
西田が勝ったのか。あっテニス部コーチにバレた。強制参加w
あっという間に人数揃ったなw


9話
部長なんで駄目なんだ?キャプテンってなんだよ。え?部長のが偉いだろ。
一々わがままな女だなぁ。
西田今日は特盛Tシャツかwこいつの着るTシャツ毎回見所だな。
合宿やるのか。タイチの自宅かよw タイチ彼女どうしたんだ?別れたのか?
ホントちはやKY。今日は西田大盛りかw
ちはやうぜぇー。勝手に人んち嗅ぎ回んな。色々駄目すぎるなちはや。
ちはや耳いいなw ミセスプレッシャー?
え?何が起きた?カナちゃん寝ぼけてるのか?
むむ。誕生日だったのか!キャプテンネタはミスリードだったかうまいな。
タイチ何があったんだ。アラタか。顔変だろww


10話
袴フラグ回収早かったなぁ。次は着物だな。
返事来ないのにメール送ってるとかストーカーかよ。
ヒョロ君とこつええな。なんで裸足で出歩いてんだ。
カナちゃん素晴らしく大和撫子だな。実に良い子だ。
うおやきそばパン懐かしい急に食べたくなってきた。
コマノの相手のTシャツ熱!コマノどんどん追い込まれていくなこれ。
まぁそうなるよな。
タイミングよく団結してる相手が出てきたな。
あっ遂にちはやふる取れなかったか。終わったな。
タイチ部長らしくなってきた。なんか感動した。
タイチと西田手を握るなキモいww今の描写いらんだろw
ってか女の人が作ってるのかな?このアニメ。
カナちゃんマジ天使。グッときたわ。
( ;∀;) イイハナシダナー ちはやは酔っぱらいかよ。


11話
なる程いい作戦だ。
ごめんなさいじゃないと嫌だって…プレッシャーかけてくるねぇ。
猫何してんだw 49件ww 完全にストーカーww
いきなり全滅か。さすがに強いのね。コマノやるじゃん。
読者の癖が関係あるのか。西田頑張れよ。
コマノみたいなトラブル多そうだなこの競技。
西田の伸身側方宙返りカルタすげええw
タイチTUEE!おっ西田やるじゃねぇか後1勝!
キタ――(゚∀゚)――!!ちはやぶるぅー!
だからなんで寝るんだよww 悟空かよww


12話
東京都予選だったのか。つまり次が本戦なのか。こりゃ厳しそうだなぁ…
ヒョロ君ww 以外と熱いやつだったんだな。あっ最後だったのか。
おねぇちゃん芸能人かよ無いわー。何こいつらクズ親クズ姉すぎてワロエナイ。
おめぇもか女帝よ!おい柴田先生もクズかよwwどいつもこいつもクズしかでねぇなw
うわー下から5位とかマジ終わってる…適当にやってもそりゃないわ。
頭のいいやつの方がカルタ強いんじゃなかったのかよ。説得力にかけちゃったな。
ヒョロ君良い奴だな。タイチかっこいいじゃん。で、彼女どうしたの?別れたの?
おっ!親やるじゃんw いつの間にスクラップしてたんだよ!
泣かせやがて。しんみりきちゃったじゃねぇか( ;∀;)
カナちゃんやるじゃん。
女帝のハートを射止めたか!w 女帝自分の手柄にする気だろこれww
出たーwwwなんて汚い大人なんだw まぁ結果往来だろうけど腑に落ちないぞ。


13話
うわぁ気づいたらもう13話じゃねぇか。見始めると止まらない…
何者だ!?ライバル登場か?
恋愛成分が足りなくなってきた気がする。アラタいつ出てくるんだ。
ちはやどうした。おっいいタイミングでアラタきたこれw
欲しいタイミングでアラタ来るなぁこのアニメ。すげぇ。
アドバイスのメールでも送るのかな?ただ単に出ただけなのかな。
うおっまさか見に来たんじゃ…!!!
あぁ認知症なのか…うちのばあさんは脳溢血で記憶飛んじゃったっけ。
アラタやっちまったな。荒れてきたようだ。じいちゃん記憶が混同してんだなぁ。
キタ――(゚∀゚)――!!ピンポイントのタイミングで来やがった。
なんだこのアニメすげぇな。タイチ…大人になったな。
せっかくアラタ来たのにこれは目が覚める前にアラタ帰っちゃういや予感ががが
しなくてよかった。
おいアラタが来てるのにやっぱりカルタしか見えてないのね。
おぉ綿谷先生のカルタにそっくりだからね。の流れ良いなぁ。
そして遂にアラタがカルタ復帰来るか。
アラタの記憶は残ってたか。来てたのーえー覚えてなーいみたいな流れになるかと思ったw


14話
アラタはA級なのか?タイチの復讐劇始まる予感。
ちはっやっふるおも~い♪
若宮どうせこの間すれ違ったやつだろ。ほらきたww
しっかり抑えてるなこのアニメは。王道の流れ。なんて分かりやすいんだ。
これ隣の人のカードと混ざったらどうすんだよww
北央ボロ負けとかどうなってんだ。クイーンチーターかw(゚∀゚)キタコレ!!
工エエェェ(´д`)ェェエエ工
どんな瞬発力だよ!!w 西田はカナちゃん狙いかよw
ちはやポーカーフェイス出来ないのかよw クイーン強すぎだろ。
え?Tシャツktkr!そうかTシャツ伏線ここで回収なのかww
すげぇまさかの伏線だったんだなw
囲い手なんて技もあんのかなかなか下劣な手だな。孤高のクイーンか。
アラタ… 須藤さんの真似w 防戦じゃ駄目なのか。
まぁこれは確かに俺も貰わずにいるタイプだなぁ。正々堂々としたいしなぁ。
キタ――(゚∀゚)――!!ちはやふるーーーーー!熱い熱い流れが熱いぞ!


15話
だーめだこのアニメ辞め時がわからん。止まらん助けて(・・;)
クイーンがガッツリ釣られクマー(・(ェ)・)
どっちだ。やっぱ負けたか… 20枚差だと!?どんだけ凄いのかわからんが凄そうだ。
ライバルktkr!w スノー丸でムネキュンwww どういう事ww
なんか仲良くなりそうな予感w Tシャツの後どうなったんだよ。
熱いな。熱くイメトレ中だな。
タイチ決勝戦きたか。疲れると忘れるほうが難しいのか…
疲れる位の方が力が抜けて丁度よかったりするけどなぁ。
仕事でもゲームでも疲れ気味の方が捗って神プレイになったりする件。
頭が働かない分反射的に動けるから効率良くなるんだけどな。
まぁ慣れてるものに限るんだろうけど。
タイチ…駄目だったか。準優勝って素直に喜べないよなぁ。
おまえらwwwどんだけガッカリしてんだww
西田今日はNARUTOのTシャツだってばよ!w
女帝本気になってきたな。皆もだいぶ成長してきたようだ。
西田今日は大盛なんだなwもっとバリエーション増やしてもいいのよ?w
だから悟空じゃねぇんだからすぐ寝るなw
顔に寝てた後付いてるぞw頬片方だけ赤くしやがって。可愛いじゃないかw
アラタやっと復帰したか。長かったな。
アラタとクイーンなんか接点ありそうなカットだったなぁ。伏線だなきっと。
あぁもう見過ぎた止まらない。ここらで一回止めよう。


116話
どうやら総集編のようで。
って思ったら何だ何だ全然違うじゃないか!テンポの良いギャグアニメになってやがるww
11万5千円とかどうなってんだよw
ってやっぱ総集編なのかな?
おまけ+総集編って所かw なかなか面白いなぁ。
肉まんのTシャツやっぱネタになってたのかww西田のねぇちゃんww
カルタばかwwひどい扱いだなw
なんでかなちゃんと付き合うんだよww


17話
体育祭!なんでカルタ握って走るんだよwwあぁ部活ごとの象徴的な物をバトンにしてんのね。
かなちゃんの大きな大きなおっぱいがー!w
西田はえええwさすが元テニス部!w
新入部員無しか。
いろんな大会出るのかこれから。緊張感がましてきたな。
あっタイチさらっと別れようっておいおいおい!
やっぱまだ彼女いたんだな。別れ待ちだったんだろうな。
まぁ筋トレは3ヶ月続けないと大した効果出ないからな。
っと元筋トレ部もとい元器械体操部が言ってみる。
タイチなかなかじれったいな。でも凄いわかる。
西田もおったんかーい!w
ヒョロ君もちゃっかり後ろにいやがったww
え?早く取るのを止めなさい?どういう事?
A級の壁は高かったのか…
なる程精度の問題か。8.87秒w
眼鏡素晴らしく良い分析力だ。
年代200年!そりゃ壮大だw かなちゃんさすがの百人一首マニアw
図書室で女帝の心をばっちり掴んだな!


18話
大江さんのお母さん浮気症すぎんだろ。笑えない。
いよいよA級進級か!?
BBAいくつだよwwかわいくねぇよww
お手つきか。まーたお手つきかよw
精度悪すぎるな。ラッキ!ラッキ!ラッキィ!BBAやるじゃんw
空札って無い札の事なのかな?
「次こそ動きたい」すげーわかるぞその気持ち。
サバゲーなんかだと突っ込んじゃうタイプなんですよ。
じれったくなっちゃうよね!
「つまらないわねぇ」なん…だと…。
「札とだけ戦ってるみたい」的確な指摘だな。
いやいやいやBBAキモいってww
ちはややっと気付いたのか!w
6枚差で負けたか…
カルタ界のアイドルっておいおいおいw言われてないってツッコミがw
なっなんだと!?タイチvs肉まんとかなちゃんvs眼鏡!
そしてかなちゃんは可愛いからな!w
かなちゃんマジ天使w結婚したい広報ナンバーワンだな。
袴補正すげぇ。でもわかるなぁこういうの。
かなでは美人じゃないのか…どうみても美人なんですけど。
いや美人ってよりは可愛い部類に分類される感じか。
机の分析力は相変わらず凄い。実に深い。かなちゃんすげぇー!


19話
タイチと西田どうなる…。ちはやみてねぇーw
机お手つき2回。かなちゃん0。
机追い込まれてきたな。一字決まりやっちまったな。
うわうわ眼鏡卑怯だな。しかし慣れ合わない所が素晴らしく評価出来る。
かなちゃんちはやふるきたか。
かなちゃんおめでとう!メッチャぐっときたよ(´;ω;`)
運命線… なんだこの賭け札は… 緊張感がやばい。
タイチ…(;_;)よくやったよ…
「よかったな。運が良くて。」捨て台詞…気持ちはわかるがカッコ悪い。
あっ。ちはや最悪な場所に出くわしたなww
おいちはやなんでダイチ抱き寄せてんだよ。
相変わらずラブコメ要素は浮気症だな。


20話
下から学年5位…ザンネンすぎてどうにも擁護できん。
Σ(゚Д゚;エーッ!大会出れないのかい!w
机くんが先生wwコマノ先生頼んだぞ!
タイチ何処までいけるのか…
アラタやっとキタ――(゚∀゚)――!!
「タイチはA級で出ると思ってたんや」あっ、やっちまったな。
タイチ負けたのか… アラタのこと伝えるとか良い奴すぎるだろ。
タイチの立場が… あぁもうくっそ。色々イライラする。
アラタ本当に都合いい時ばっかしか出てこなくてすぐいなくなるな。
「ヤリたい事を思いっきりやる為にはヤリたくない事を思いっきりやるべきだ」
名言だな。
女帝完全に味方になってる。
タイチ昇級来るか!?男だな。まぁ若いうちはこういうもんだね。



21話
西田w ちはやレベルアップしてきたか。
相変わらず悟空みたいにすぐ寝んなw
タイチの記憶力がやばすぎる。タイチもレベルアップの兆し。
女帝そんな事大声で叫ぶなww ちはや気合入ったな。
おいでこちゃn!NO THANK YOU
リアルでこういう大会場あるのかな?音が大事って…
エアコン位は入れるだろ普通。
かるた界の派閥。
スドウ変なこと吹き込むなw頭のなかがいつだか流行ったあれみたいにw
坊主にのせられんなあああ!なんて馬鹿なんだ。
小6で天才リリカってどういう事!?こんなすげぇ奴リアルでもいるの?
「取ってるけど遅いじゃん」誰かスルースキルをちはやに!!
なる程自分を重ねてるわけか。自分の手だから読めるんだな。
都合の良い相手だったなw
これだからこういう王道アニメはスッキリして面白い!
なんでチョコレートって叫んだんだw
終わってからそういや食べるんだったな。
ムラオさん…「追いつかれる前に名人にならんとなぁ~」
あんな事言ってたのに。感慨深いな。


22話
エッー!山本ゆみさん!?誰よ。元クイーンだとおおお!?ピンチすぎる。
卑屈だな山本。
クイーンになってインタビューで先生の名前呼ばれたらそりゃぁ嬉しいだろうなぁ。
熱いぜ先生!
西田やっぱ負けたのかw駄目すぎるw
精度を極めてきたちはやが遂に速度と精度の融合か!熱い!
山本卑屈すぎる。
まぁ現実は不公平と理不尽の連続だからね。
努力で追いつけるのは経験値だからな。
カナちゃん、恋に恋してないか…?
暑さでちはやがボケてきた。
北野さんGJすぎるww
ちはやのモチベアップかと思いきやまさかの色んな人がモチベアップ!w
すげぇ熱い流れ!
うわ~山本つっかかってきた。どうすんだこれ。
この競技の一番あやふやな所付いてきた。
アメリカ人がこの競技に参加したら日本人いなくなるな。
「ほらぁここ当たったし」じゃねぇよ。小学生かよ。
きったねぇな。本当にきったない。完全にクレーマーだな。


23話
何がゆーみんだ… ちはや凹んだな。
クローゼットに立てこもるなww いや引きこもるなw
うわー坊主の約束あったんだっけ。忘れてた。
ハラダ先生かっけぇ!
困った時のアラタだな。ちはや壁ドンならぬ扉どんどんすんなw
タイチだいぶ成長したな。
ちはや切り替え早いな。タイチちはやに惚れすぎだよ…
先生かっけぇーって覚えてないんかーい!
勝者:ツボグチヒロシ。ヤマモトユミ。
「マジかわうぃーね」
初告白wwちはやチョロインすぎんだろ。アホすぎる…
タイチなんで止めねぇんだよ。この馬鹿もんが。まぁ付き合ってないしな。
着信拒否とか俺と同じ電車とか何そのツンデレ。タイチかっけぇじゃん。
ムラオさん…やさぐれちまったのね…
和装での試合っそういう事か!袴ktkr!
東代表vs西代表。まるで関が原の戦いだ。
タケムラ君と山本が勝利か。
先生… ここヤバイ(´;ω;`)ブワッ 本当に泣ける。
しかしこのアニメ、ゆっくり泣かせてくれないんだよなぁ…
たまにはゆっくり泣かせるシーン作ってくれてもいいのにな。
12月24日クリスマスPTかい。タイチとか部活とのイベント無いのか。
まさかのちはやがちやほやされてる…
なんだよ無駄美人じゃなかったのかよ。
同じような事言われてたからすげぇ共感してたのに…
ただの美人扱いになっちゃうのか?
「ここにいたらいいのにって思う人はもう家族なんだって」それはない。
アラタに電話ktkr!アラタがここにいて欲しかったのか…
恋心に気づかない主人公ェ…なんて自己中なんだ。


24話
なんでタイチの家に押しかけたwタイチの扱いひどすぎる。
お母様怖いですよナンカオーラデテマスヨ…。
部屋か…心がだいぶ開かれたんだな。
お母様コワイデスコワイデスコワイデスコワイデス。
42型がでかいだと?うち32型2万だったぞ?
原作出てた時は高かったのかな?まるで高級品みたいな扱いが謎。
クイーン誰だよww 意味わからんw どうしてこうなったw
まさかの100万は下らない着物。アイスのレアアイテムってなんだよ。
アイスで太るとかあり得ねぇ。意味がわからねぇ。
山本六段だったのか。
クイーンの母親糞すぎる。離婚してるわ子供に当たるわ最悪だな。
身勝手な親だ。本当に適当に皆親になっていくよね。
子供出来たから結婚しよう。子供出来てから将来を考えよう。
先に将来像を考えない人が多いよね。
取り敢えずHすればいいと思う奴ばっかだよね。処女性大事にして欲しいわ。
クイーンも汚い山本もどっちも応援したくなる流れいいなぁ。
山本負けたか。先生…泣ける(;_;)だから余韻に浸らせてくれw
おぉー!名人戦ktkr!スオウ名人どんだけ強いんだろ。
まさかの留年?なんで?かるた馬鹿なの?
スオウになる方が近いだと?どういう事!?
1字決まりは一般的にむすめひさほせの7枚ですが、28枚?どういう事?


25話(1期最終回)
聞き取りか。感じが悪いのに感じが良いだと?w
キョコたんってなんだよおいw BBA専かよw 声マニアかww
声優ヲタなら強くなれそうだな。
俺はアニメのラジオですら声が聞き分けられない事が多いな。
スオウあっさり勝ったか。
「名人にもクイーンにも師がおらん。師を持たない人間には師になれない。」
名言だ。
「あやせにも20枚!」一字決まりがあるだと!?
困った時のアラタ。完全にタイチの親友だなアラタ。
ちはや変顔好きだなwなんかその辺が可愛いけどw
「音の一歩先がわかる札」
ちはやちょっと色々恋愛に疎すぎる設定じゃないか?
まぁ高校生ならこれ位の子いるけどさ。今時貴重品ですよ。
寧ろ今のほうが多いのかも?おっさんにはわからん。
ちはや、苦手な暗記を頑張ってるのか。
カナちゃん専任読手になりたかったのか。
A級選手じゃないとなれないんだよ!
A級選手じゃないとなれないんだよ!
A級選手ジャナイトナレナインダヨ!A級選手ジャナイトナレナインダヨ!
○四段(A級)以上であること
○A級公認読手として5年以上の経験があること(A級公認読手にもいろいろ条件がある)
ふむつまりカナちゃんならなれそうだな。頑張れ!w
タイチの大幅レベルアップktkr!
何故ダディーベアなんだw 集中力10%減ww スドウに見習ったのかよw
読手はこんなルールリアルであるの?それとも暗黙の了解なの?
女帝やるじゃんか。完全に味方だな。こういう先生一回味方に付けると最強だな。
来年新入部員が5人だと!?それはキツイだろ…っておい女帝のるなw
「頑張って下さい。(;△;)」何その顔文字親近感湧いちゃうじゃん(・・;)
いやカナちゃんなんで部費3万円に食いついたww
Σヽ(`д´;)ノ うおおおお!ここで1話に戻るか!1話の伏線回収ktkr!!!
無駄美人キタ――(゚∀゚)――!!やっばいメッチャクチャ鳥肌立った!!
なんだこのアニメ単なる神アニメだったのか。
そこんとこもう一枚張っときなさい!
ねぇかるたしよっ!
おい。かんちセックスしよっ的なノリやめれw{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 36
ネタバレ

ウル さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

かるたを通じての青春ドラマ

正直あらすじを見た感じはかるたでそんなに面白くなるなかなと疑っていました。

けど、見事にかるたを通じての青春ドラマに仕上がってます!

一言で言うならめちゃくちゃ面白い!

過去の出来事から現在まで心境や環境の変化が丁寧に描写されていて主要人物に共感できます!

普段、恋愛系を見ない人も楽しく見られる作品になってると思います。

なので、何を見るか迷ってる人は試しに見てみるのをオススメします!

かなり熱い展開が続きます!

ここからは少し長いレビューになるので時間のある方はお付き合いください!

お時間がない方は、まとめだけでも読んでいただいたらなと思います。

過去編では「1話〜5話」


{netabare}
3人の微妙な距離感からどんどん仲良くなってかるたにハマっていく過程がよかったです。
王道ですね。

千早がお姉さんの夢から自分がかるたでクイーンになると決めたところいいですね。
誰かの夢に乗っかるのではなく、自分で夢をつかみ取るに変わる瞬間です。

太一も、ずっと千早が好きでヤキモキしてる気持ちもわかります。
ただ、かるたの対戦のとき卑怯な手を使ってしまいましたが、気持ちはわからなくもないです。
絶対にしちゃいけませんけどね。

新は千早と出会ってもある意味ブレないです。かるたでは絶対に負けたくないという表情が表に出てきて人間味がでてくるのがいいですね。
放課後も練習してましたし。{/netabare}


現代「4〜5話」


{netabare}
千早がずっとA級になるのを頑張ってる姿や、かるたを好きになったきっかけになった新の心境の変化にショックを受ける描写。
会いに来なければよかったのかなと思う千早にはすごく共感できました。
優しくて、真っ直ぐな性格がいい意味で変わらないのがいいですよね。
あとずっとかるた中心の性格も少年スポーツ漫画の主人公みたい!



太一が千早のことが好きで、けど自分のことは見ていなくて、それに苛ついたり、傷付いたりしても一緒にいたい気持ち。
自分の「青春全部掛けても新には勝てない」ってなっちゃう気持ち。
共感出来ます。
ある意味1番人間味があるキャラクターです。
けど先生にそれは「青春全部かけたって強くなれない?まつげくん、かけてから言いなさい」ってセリフも好きです。


新がほんとは二人が会いに来てくれて嬉しかった描写もベタですがすごくいいですね。 {/netabare}


6話


{netabare}
かなちゃんと机くんと肉まん君の登場です。
この3人も部活のモブキャラとかではなく心理描写もしっかり描けていて、全員に共感出来ます。
心理的も肉体的にも成長していきます。
特に机くんは登場人物の中で一番成長しているんじゃなかなと思います。

かなちゃんはかるたが大好きで最初は和服が着られるから入りたいっていう普通のキャラクターです。
けど、誰よりもかるたの詩が好きで
主人公にかるたの詩の意味や背景を教えてくれます。
これをきっかけにちはやには札に風景や色が見えるようになります。
「かなちゃんは、かるたと友達だよ」ってセリフを聞いて和服のモデル兼、試合のときは和服を着るという条件でかるた部に入部します。 {/netabare}


7話


{netabare}
太一が、自分がちはやの練習相手にならない…新だったらと思う気持ちは見ていて、いい意味でもやもやします。

机くんはクラスからもバカにされていて、最初はかるた部にも全く興味ありませんでした。
ちはやに無理矢理連れてこられて、人数合わせの為に呼ばれたと思ってる。
あんなに頑張っているのに勉強ですら、太一には勝てないのをすごく気にしてる。
才能の差は感じていて、いじけている机くんには共感しちゃいます。
そして机くんの無理難題にも答えるちはやと太一!
熱いです!
裏返しのかるたで、太一の心理描写がすごく好きです!
「俺は名人目指してるわけじゃないから勝てなくてもいいんだとけど…そんな訳あるか…目の前にいるのは俺だろ!」
このセリフがめっちゃいいです。

この話のラストのシーン…机くんと太一のやり取りも熱すぎる!
「なんで…あんなやつがいるんだろう…いい友達もいて力もあって、1位に…1位になるんだ!勝つんだ!けどわかってる、1位になったってあの輪の中には入れない…」
「出来るわけないよ、かるたなんかそんな才能なんてないよ!僕はお前とは違う!僕は勉強しか、机しか居場所がないんだよ」
このセリフを聞いて、太一は母親から勝てる勝負だけしなさいと言われたことや、青春全てかけたって新には勝てないって言ったこと思い出すのもいいですよね!

「かるたの才能なんて俺だって持ってねぇ!キツイけどやってんだ!負けるけどやってんだ!だって勝てたとき、どんだけ嬉しいか!」
「でも俺は仲間にするなら、かるたの天才より、畳の上で努力し続けられる奴がいい!」

このときの二人の心理描写がすごくいいです!{/netabare}


8話


{netabare}
肉まんくん登場回!
まさか子供時代に会ってた子だとは思いませんでした(笑)
新に子供時代にボコボコにやられて心が折れてしまった肉まんくん。
かるたの代わりにテニスをしていますが、テニスはかるたのかわりにはならないのに気付いた肉まんの心理描写はよかったですね!
ちはやとの勝負でどんどん自分の気持ちに気がついていく!
熱い! {/netabare}


9話


{netabare}
メンバーが5人集まって正式に部活を認められるかるた部!
初心者相手でも一切手を脱がない、ちはやは少年漫画の主人公みたいです!
近江神宮を目指すのを目標にする、ちはやは、より手を抜けないですよね。
みんなとチームになりたい、ちはやの気持ちは真っ直ぐで見ていて気持ちいいです。
かなちゃんが、初めて札を取るシーンも少しずつ前に進んでるのがわかっていいですね。
太一の家での合宿では、みんなのことを追い込み過ぎになるところを、太一が止めるのがいいですよね。
回りをよく見てます。
反省するちはやと、誕生日のケーキをみんなで食べるところいいですね。
青春してるって感じします。
ラストシーンで新からのメールもいいですね。 {/netabare}

10話


{netabare}
着物を着ての初めての公式戦!
ヒョロくんがいてるとは(笑)
机くんが一人勝てないでいて、焦っている心理描写いいです。
いじけすぎてしまうのは褒められるシーンではないですが、気持ちはわかります。
机くんいなくなって4人で戦うのですが声が出ていない。
チームになっていないので、実力的には勝っていても押されてしまいます。
声を出さないで強いチームなどはいないってセリフはどのジャンルでも当てはまりますね!
ここでの太一の心理描写もいい。
みんなの頭に手をやって声をかける、太一はちはや以上に主人公してます。

あと、机くんがみんな頑張っているところを見て奮起するところもいいです。
かなちゃんと机くんのやり取りもすごくいいですよね!
みんなに謝って、みんなも机くんを必要とするシーンいい。
かなちゃんの初勝利もおめでとうって言えましたし。
ここから机くんが情けない姿をあまり見せなくなるのがいい。
絶対評価では机くんは人間的にまだまだかもしれませんが、相対評価な一番成長していると思います。 {/netabare}

11話


{netabare}
この話ではチームとしての順番を考えて勝負に挑みます。
太一と先生のやり取りかなりいいです。
先生の「ここにいるのは別の君じゃないか」ってセリフ見てる人ならわかりますよね。
相手チームに押されますが、声を掛け合って前の試合とは雰囲気が違うのがいいです。
肉まんくんが昔のこと、今と比べて「俺何やってたんだろう」ってセリフもいいですね。
机くんが1枚の札を諦めないところを見て、肉まんくんも奮起するとこもいいです。
太一と、ちはやの対戦も熱いです! {/netabare}


12話


{netabare}
優勝して近江神宮に行けるのが決まる回!
ひょろくんのトロフィーをもって「来年は絶対に取り返す」って泣くシーンは気持ちがよくわかります。
熱いですよね。
太一の家にデータを持っていくシーンもいいです。

ちはやは家族でお姉ちゃんアルバムはいっぱいあるのにちはやの分が、ないシーンは悲しくなります。
ちはやだから、ここまで真っ直ぐで、ひねくれないでいれたのかなと思いました。
先生にもかるた部が軽く見られているのを感じるシーンもいいです。
机くんが成績に振り回されなくなった成長を見せてくれるのも嬉しいですね。

かなちゃん、机くん、肉まんくんもかるた会に入ってみんな成長していくのもいい。

ちはやが追い込まれたら、太一が気付いて手を差し伸べてくれるシーンもいいです。
昨日の敵は明日の友です。

先生がかるた部の部活見て、軽く見ていたのを改めるシーンもいい。
どんな部活でも、どんなことでも真剣で努力している人達はカッコいいです。{/netabare}


13話


{netabare}
チームが一つになって
「みんながいたからここまでこれた」
「勝ち上がるんだ、みんなで」ってセリフは暑いですね。
試合が始まって、ちはやの調子が悪い…

そして新の過去編
一言で言うなら重いです。
この過去のお話を見てたから、新の印象がすごく変わりました。
そりゃ、かるた辞めちゃいますよね。
かるたの神だと思ってるぐらいの、おじいちゃんが認知症になってかるたのことを忘れちゃうところや、クラスメイトが先に進んで取り残されそう、おじいちゃんの最後のやり取り、大会に行きたい…けどじいちゃんか…ここの気持ちがすごくわかります。

ちはやは倒れて、優勝は出来なかったのですが、ちはやにおんぶに抱っこ状態のチームがちはや抜きである程度勝ててるのが地味にいいところです。

ラストの「次は試合で」
熱い!! {/netabare}


14話


{netabare}
個人戦のお話。
ちはやがクイーンとの勝負。
ここは語ることは難しいですが、いい勝負でした。 {/netabare}

15話


{netabare}
負けて悔しがるちはやの気持ちは共感出来ます。
何より、その姿を見て奮起する太一がカッコいいです。
「負けながら、泣きながら、前に進めることが出来るかな」ってセリフは主人公のよう。
太一が負けて、みんなが泣いて悔しがるシーン、肉まんくんの「悔しいよな、準優勝が1番悔しい」
このセリフは肉まんくんが言うからより、心に響きます。
このあとの、太一が「泣くな、俺はまだ泣いていいほど、かけてない…悔しいだけでいい」ってセリフもすごく好きです。 {/netabare}


16話


{netabare}
総集編+ギャグ4コマみたいな回です。
なのに、結構面白かったです(笑)
かなちゃんモテ過ぎ(笑) {/netabare}


17話


{netabare}
机くんが自分の体型が細いのを気にしてるシーン…かなちゃんは折れないのがすごいと思います。
机くんは折れそうになりそうでも折れないところがいい。

電車でのちはやと太一のやり取りいいですよね。
太一の気持ちがすごく共感出来ます。
好きな人と二人きりになりたいのは当然だと思います。

大会で、太一と肉まんくんが大会でばったり出会うの面白かったです(笑)

机くんのデータを取ってちはやに説明するところもいいです。
机くんがどんどん成長してるのがいい。
そして、そのやり取りの中でみんな成長するのもいい。
かなちゃんは札がカラフルに見えている。
みんなが実力差あれど個性があっていいです。{/netabare}


18話


{netabare}
ちはやが弱点が露呈してしまう回。
ピンクの人もクイーン諦めてないのがいいです。

そして、部員同士の決勝戦が熱い!!
ひょろくんの「勝っていったやつから、盗めるところがあれば盗んでいく」っていう姿勢がいい。
ひょろくんもカッコいいんですよね!

かなちゃんと机くんの対戦は1番好きです。
お互いがお互いのこと知っていて、弱点や、強みがわかる。
手に汗握ます。{/netabare}


19話


{netabare}
対戦の続きです。

机くんの心理描写が熱いですね。
かなちゃんの心理描写も、もっとあればいいなのになと思ったりもしました。
勝負はかなちゃんの勝ちで終わりますが、机くんが笑顔で「かなちゃんおめでとう」って言えるシーンがめっちゃいいです。
昔の、机くんじゃ有り得ないことです。
精神的にも肉体的にも成長したんだなとわかるシーンです。

そして、太一と肉まんくんの戦い。
ここも熱い!
両者の心理描写がいい。
この勝負は肉まんが勝って、大会終わってからの太一と肉まんくんのやり取りがいいですよね。

「よかったな。運が良くって」って言ってしまう、自分に苛立つ太一…心理描写がすごくいいです。
「キツイな、一生懸命って。言い訳がきかねぇよ」ってセリフもめっちゃいいです。

太一が謝って、肉まんくんが太一が部長で良かったって言うシーン…ここでちはやが地味に聞いてるのが笑えます(笑)

車の中で机くん、肉まんくんを名前で呼ぼうとしてるところもいい(笑)
チームの雰囲気もすごくよくなってます。 {/netabare}


20話


{netabare}
負けた、太一の気持ちと新がかるたに戻ってきて嬉しい気持ち…新の番号とアドレス、ここのシーンめっちゃいいです。
アドレスの紙を自分で渡せっていうシーンも好きです。

太一が、どれだけの気持ちでかるたに望んでるか…これだけかるたに打ち込んでいても、テスト学年1位…1位じゃないとかるた部辞めさせられるからって…どれだけ努力しているかわかるいいシーンです。

机くんが「やりたい事を思いっきりやる為には、やりたくない事も、思いっきりやらなきゃいけないだ」ってセリフもめっちゃ好きです。
心に響きますね。

先生と太一のやり取りいい。
昇級の話を先生から持ちかけられるが、太一は「A級になるより、逃げないやつになりたい」って言える太一カッコよすぎる。 {/netabare}


21話


{netabare}
負けたら、丸坊主にするって約束には笑いました(笑)
ちはやが成長して、対戦相手の女の子を助けるシーンもいいですね。
新は憧れていた、先輩が心折れているところを目の当たりにする。
新は環境があまりよくないのに、頑張ってる。
太一のメールの内容もいい。
打ち直して「俺も東日本代表を目指すから、新は西日本代表になれ」って送るってのがいい。
熱くなります。{/netabare}


22話


{netabare}
前クイーンとの対戦。
前クイーンの心理描写や、期待が重くて、期待があるからやれるっていう描写がいいですよね。
努力の天才はどの作品でもそうですが、すごく共感出来ます。 {/netabare}


23話


{netabare}
先生がカッコいい(笑)
ここのちはやと太一の恋愛描写もいいアクセントになってますよね。
新は先輩とのやり取りもいいですね。
各自、クリスマスを過ごすのも、地味にいいシーンですね。
新に電話かけるちはやもいい。 {/netabare}


24話


{netabare}
太一ママと、ちはやのやり取りが地味に笑えます(笑)
クイーンと名人を見て、圧倒的な実力差を感じるいいシーンです。

また、クイーンの過去のお話もよかったです。
{/netabare}


25話


{netabare}
かなちゃんの将来の目標が出来る回です。
かるた部に新入部員が5人入らなければ、移動になっちゃうところで終わっちゃいます。
女帝が守っててくれているのがいい。
そして、2年生…{/netabare}


まとめ

内容は青春スポ根+恋愛です。
ですが、恋愛系のアニメが苦手な方も個人的にオススメ出来ます。

キャラクターの心理描写や成長が上手く表現出来ていまし、
物語自体も面白しくて、恋愛表現は以外にも、少ないですが、少ししかないのに、印象に残り、普通のスポーツアニメではない、いいアクセントになってます。
かと言って、スポ根部分が弱いってことはなく、とても熱くなるシーンが数多くあり、登場人物も魅力的で、誰か一人でも共感出来るのではないかなと思います。

個人的に男性陣のキャラクターの心理描写がすごく共感でき、感動しました。
太一が主人公でもいいのではと思っちゃいます(笑)

多分2期は恋愛描写は増えるのだろうなと思います。
今からすごく楽しみです。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 21
ネタバレ

偽ニュー隊長 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

演出がみごと!マニアック文化系スポコンアニメ(88点)

全25話。
少女漫画原作。原作未読。

個人的満足点:88点
アニメ系統:文化系スポコン

2009年、第2回マンガ大賞2009に選ばれ、
宝島社「このマンガがすごい!」2009年オンナ編3位、2010年オンナ編1位。
第35回講談社漫画賞少女部門を受賞したある意味モンスター漫画が原作ということで
かなり期待していたのではあるが、期待以上のものだった。

競技カルタ(百人一首)というマニアックな競技を題材にした斬新な設定の上で
文化部ながら運動部のノリでまさにスポコンを描いている。

キャラ立ちも非常によく、無駄美人のヒロイン、秀才イケメン、ガリベン君、着物オタクに動けるデブw
さらにはカルタの天才と非常に魅力的なキャラ達で構成されている。

そんなキャラ達の心理描写が秀逸。
効果的にSEを配し、絶妙のカメラワークで盛り上げる。
毎話毎話背筋がゾクっとする演出はすばらしかった。

そして、外れ回がほとんど無いのもよかった。
2クールもあれば中だるみしそうなものだが、
そういった物がなく、最後まで飽きさせないストーリーもよかった。

やや残念なのは原作が終わっていないので、最後の締めがやや不完全燃焼。
2期を是非ともやってほしいところである。
(BD売れてないから厳しいかなあ・・・)

兎に角、これはヒカルの碁やスラムダンクが好きな方にはお勧めできそう。
熱いスポコンが好きな方は是非ご覧あれ。


と、まあ熱く語ってしまったが
つまり、何が言いたいかというと

福井弁ちょっと違和感あったけどよくがんばった。


以下、各話の感想。

{netabare}
1話視聴。
ヒロイン「ちはや」なかなか可愛いじゃないか。
そして、「あらた」の福井弁のイントネーションがちょいおかしいw
まあ、いいけどねw
肝心のカルタはなかなか熱い感じで好印象。
これは今後も楽しみだ。

さあ、ここで福井弁講座だ

【ちっくりさす】
意味不明じゃないよwww
細い物を何かにさすって時に使う
「刺す」とほぼ同意

【かぜねつ】
口内炎のことだがちょっとだけ違う。
風邪引いた時などに口の中に出来る口内炎と
風邪の時に口の周りに出来る炎症を総称して「かぜねつ」

【やろっさ】
やろうぜ

以上、今週の福井弁講座でしたw


2話視聴。
今週は小学生編。
熱い。
カルタでここまで熱い表現がいい。
人間模様もいい感じ。
これは今後の展開にかなり期待。
しかし、ちはやいい子やわ。
近年まれにみるいい子だろw

そして、親どもはあかん!
どの親も最悪やわ。

今週はとくに分かり辛い福井弁はなかったね。
イントネーションはちょっと変だけど。

3話視聴。
これは!
さすがこの漫画がすごいに選ばれるだけはある。
1つ1つのシーンで痺れる。
この感覚は「スラムダンク」や「ヒカルの碁」で受けた感覚に近い。
かるたでここまで熱く痺れるとは。
完全にスポコンものだね。
ちょっと原作欲しくなってきた。
次週以降も楽しみ。

今週の福井弁講座

【ほんなら】
それなら

【いいで】
いいから

【~の】
~ね

今週はそんなに分かり難いのは無かったかな。

4話視聴。
いやーカルタってすごいね。
Å級ってホントすごそう。
ちはやが強くなっていて、そしてあらたがカルタをしていないのは、ほぼ予想通りの展開。
何か家庭の事情でやむなくカルタが出来ないといったぐあいだろうと予想。
しかし、ちはやに刺激されて再びカルタをやるといった展開なんだろうなと勝手に想像している。
太一も本格的にはじめて、メキメキ強くなるんだろうな。
ベタな展開だと思うが、そこがいいと思う。

「先生バスk・・・カルタがしたいです」的なw

私の勝手な想像なので違っててもノークレームでw


5話視聴。
ちはやの行動力に脱帽。
しっかり米原乗換でしらさぎに乗ってたねw

そして、到着したのは芦原温泉駅。
あんな桜並木あったかな?
まあいいやw
悲しいかな、芦原温泉の書店は今はありませぬ。。。
しかし、これは聖地巡礼芦原温泉となるのか?w
と、どうでもいい内容ですまん。

新はやはりカルタが出来ない。
家庭の事情とはちょっと違ったがショックが大きかったようだね。
それでもこれからまたカルタ始めるようになるんだろう。
ベタな展開だがこういうのはいいね。


6話視聴。
新キャラ「奏」登場。
可愛らしい感じでちびっ子だが巨乳というアンバランスw
マニアには受けそうなキャラだね(・∀・)ニヤニヤ
これから始まる部員集めも面白そうだ。
部を1から作るって何か熱くなるね。

それと、ちはやの着物姿は良かった。
無駄美人と言われているが、美人に無駄などない!

しかし、新 出てこないなあ。
新 もっと色々見たいんだけどなあ。
ちはやメインだから福井の話は出てきにくいのかな。

7話視聴。
新キャラ「机くん」登場。
これはまたなかなかなキャラが出てきたね。
ちはやパンで釣ろうとするなwww

勉強で太一に勝てない万年2位のガリ勉君。
美味しそうなポジションの匂いがw

裏返しでやるカルタもなかなか面白い。
これでちはやがさらにパワーアップするのかな?
ヒカルの碁の1色碁みたいな感じかな。
益々楽しみになってきた。


8話視聴。
机くんなかなか熱心じゃないか。
けっこういい奴ぽいし。

そして、ここで肉まん君w
元全国2位出現。
新に負けたトラウマでかるたやめていたようだが。
肉まん君やはりかるたが好き。

「先生、かるたがしたいです」
 ん? 何か違うかw

これで5人揃った。
今後どんな展開になっていくのか楽しみ。

ところで新を出せ。
福井弁講座がひらけねえじゃないかw


9話視聴。
皆熱い。
いいねいいね。
かなちゃんが始めての1枚がすごく良かった。

しかし、ちはや鬼www
でも、皆なんていいやつらなんだ。
特に肉まん君が最高にいいね。

うおおお、新ぁぁぁぁぁぁぁぁ
EDへの入りも最高だった。

9話はすげえ良かった。


10話視聴。
机くん、悔しいよなあ。
人数あわせみたいになっちまって。
すげえ、気持ち分かるぜ。

しかし、男なら意地をみせろ。
相手の1番強い奴に勝ったらすごいぜ。
1番弱いところから1番強くなるのが気持ちいいんだぜ。
俺も小学生のころ将棋でクラスで1番弱かったが、1年後には1番強くなったぜ。
がんばれ、机くん(`・ω・´)キリ

11話視聴。
肉まんくんがかっこよかった。
太一もかっこよかったし。
正直ちょっとうまく行き過ぎ感はあったもののまずまず良かった。

そして、久しぶりの新登場。
本屋でバイト。
今はもう無い本屋だけどw
そして、久しぶりの福井弁。
もっと難しい福井弁を頼むw


12話視聴。
むちゃくちゃ熱い。
今週は先生が最高だった。
いやな先生かと思ったが、いい先生じゃないか。
音楽の使い方も素晴らしかった。

なんか作画がちょっと変な感じはしたが、
面白ければノンプロブレム。

前半戦終了。
後半戦のさらなる盛り上がりに期待。


13話視聴。
ちはやピンチ。
すんなり行かないところは、ベタだがいいねえ。

そして、久しぶりの新。
しかも、新の回想。
なるほど、そういうことか。

そしてそして、
新=ヒカル
じいちゃん=サイ
と思ったのは俺だけかな?w


14話視聴。
個人戦開始。
クイーンも無駄美人なのかw
しかし、クイーン強し。
なんという強さ。
レベルが違いすぎる。
勝てないだろうけど、がんばれ千早!


15話視聴。
クイーンと決着。
無難な落としどころ。
これぐらいの差が丁度いいといった感じ。

それよりも太一が熱かった。
胸熱な展開。
試合の緊張感がヒシヒシと伝わってきた。

それより何より良かったのは肉まんくん。
2位が一番悔しいっていう肉まんくんの気持ちがぐっと伝わってきた。
1番になれない悔しさは肉まんくんが一番知っている。
今週は彼にMVPを送りたい(`・ω・´)キリ

そして、ついに新始動ktkr


16話視聴。
なんと、総集編。
しかし、ちょいちょいとネタがしこんであって、それがいかすw
器用貧乏くそ吹いたwwww
肉まんくんのねえちゃんwwwwwwwwww

そこらへんのギャグアニメより面白かったんじゃね?


17話視聴。
キター
動けるデブ!
肉まんくんやるじゃないか。

そんなおまけはおいておいて、
机君がいいねえ。
熱いし、分析力がすばらしい。
ついつい机くんを応援したくなるね。

かなちゃんもいいねえ。
イメージって大切だよね。

ちはやはこれらの要素を取り入れて進化するのかな。


18話視聴。
ある程度予想はしていたが、やはりそうなったかw
しかし、かなちゃんも机くんもいいねえ。
どんどん強くなっていく感じはいいねえ。
やはりこういった勝負ものは初心者が成長する姿がいい。
ついつい応援してしまう。
個人的には机くんを応援している。
絵的にはかなちゃんが勝ちそうだけど。
どうなるのか来週も楽しみ。


19話視聴。
かなちゃんと太一が勝つのかなあと思っていたんだけど、ちょっと予想と違った。
個人的には机くんを応援してたんだが、残念。
しかし、昇級はするんだね。
おめでとう机くん。
いよいよ、物語も終盤。
最後にもう1回ぐらい盛り上がるのかな。
新も出てきて、今後も楽しみ。


20話視聴。
今週は太一回かと思いきや、新キター。
しかも新すごい。
ブランクがあるにもかかわらず凄さが伝わってきた。
カルタ取るしぐさがもう凄すぎて、鳥肌立ちまくり。

毎度、色々なシーンの演出がいいんだよね。

最高だったのは最後の太一のセリフ。
痺れた。
もう、今週は鳥肌たちっぱなしだった。
来週も楽しみ。

久しぶりの福井弁講座w
【~つんての】
~してしまってね

【ほうなん?】
そうなの?


21話視聴。
20話がすごすぎて、今週はどうかなと思っていたが
今週もすばらしかった。
肉まんくんの太一へのアドバイスが熱くてやばかった。

千早の天才りりかとの初戦も一つ一つの動作や感情の動きがよく鳥肌ものだった。
千早にも頑張って欲しいが、りりかちゃんも今後出てきて欲しい。

新も最後に少し出てきただけだが、心情表現がいい。
あのちょっとしたカットだけでもうやばい。

残り4話にも大いに期待したい。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 123

91.9 1890 鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST(TVアニメ動画)

2009年春アニメ
★★★★★ 4.2 (3343)
18133人が棚に入れました
錬金術、それは「等価交換」の原則のもと、物質を理解、分解、そして再構築する、この世界で最先端の学術である。
この錬金術において、最大の“禁忌”とされるもの「人体錬成」。亡き母親を想うがゆえ、禁忌を侵し、全てを失った幼き兄弟。巨大な鎧に魂を定着された弟、アルフォンス・エルリック。機械鎧(オートメイル)をまとい、「鋼の錬金術師」の名を背負った兄、エドワード・エルリック。
二人は失ったものを取り戻すため、「賢者の石」を探す旅に出る。兄弟は「賢者の石」の真実に近づくにつれ、大きな陰謀の渦中へと突き進んでいく…。

声優・キャラクター
朴璐美、釘宮理恵、高本めぐみ、三木眞一郎、折笠富美子、内海賢二、藤原啓治、うえだゆうじ、佐藤美一、柿原徹也、浜田賢二、名塚佳織、柴田秀勝、三宅健太、井上喜久子、白鳥哲、高山みなみ、吉野裕行、沢海陽子、中井和哉、大友龍三郎

スガル72 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

錬金術について考えてみました

【鋼の錬金術師】は魅力的なキャラが多いと思います。
エドワード・エルリック、アルフォンス・エルリック、ロイ・マスタング、マース・ヒューズ、キング・ブラッドレイ、アレックス・ルイ・アームストロング、ヴァン・ホーエンハイム、グリード、リン・ヤオ。
ウィンリィ・ロックベル、イズミ・カーティス、リザ・ホークアイ、オリヴィエ・ミラ・アームストロング。
女性作家だと、男同士の友情を描くのが苦手な作家さんもいますが、荒川弘は男性キャラも女性キャラも、素晴らしく魅力的な描き方ができる作家さんですよね。

エドとアルは目的のために手段を選び、自分が救われるための他者の犠牲を受け入れません。
ロイ・マスタングは目的のために手段を選ばず、全てを救うために軍での出世を求めます。
ウィンリィはエドとアルが帰って来られる場所であろうとし、ホークアイは依存することなくロイ・マスタングの側にいて彼を助けます。
皆、魅力的ですね。

私が特に好きなのは、グリードとリン・ヤオの関係です。
グリードは創造者により造られたホムンクルスであるという支配関係に囚われず、リン・ヤオは数多くの怨嗟の中に居ても自分を失いません。
二人共、何に対して強欲になればよいのか、それに気づいてるんですね。


最後に、荒川弘に敬意を表して、私も錬金術について少だけ語っておきましょう。
賢者の石が赤い色をしている理由など。

錬金術師達は、賢者の石を追い求めていました。
賢者の石は、不老不死と知恵をもたらすものだと信じられていました。
錬金術には西洋の系統のものと東洋の系統のものが存在しますが、その根は同じです。
賢者の石が赤い色をしているのは、その材料が赤い色をした硫化水銀だからです。
硫化水銀は硫黄と水銀の化合物です。
錬金術では、硫黄は火に例えられ、水銀は水に例えられます。
その化合物は賢者の石と呼ばれ、別名を赤い黄金と呼びます。
錬【金】術と呼ばれる所以です。

古代中国では、錬金術は錬丹術と呼ばれました。
丹とは赤い硫化水銀の異称です。
錬丹を行う技術は仙術や方術と呼ばれ、不老不死薬は金丹と呼ばれました。
金丹は赤い黄金という意味です。
これを服用した者が仙人と呼ばれます。

北欧神話においては、赤い黄金はカワウソの賠償と呼ばれる神話に登場します。
あるときオーディンと旅をしていたロキという神が、カワウソを殺してしまいます。
しかしそのカワウソは、オトという者が魔法で変身した姿だったのです。
オトの父はオーディンの身柄を拘束し、ロキにカワウソの賠償を求めました。
そこでロキは、アールヴ(エルフ)の国に住むドヴェルグ(ドワーフ)のアンドヴァリの持つ赤い黄金を奪い、オーディンの身代金に充てました。
この赤い黄金は、竜に化身したオトの兄弟ファーヴニルによって永い時を守られていましたが、英雄ジークフリート(シグルズ)によって奪われてしまいます。
ジークフリートはこの竜を倒してその心臓を食べ、知恵を手に入れます。
そのとき竜の血を浴びて不死も手に入れたそうです。
伝説ではこの後、ジークフリートはその血を唯一浴びなかった箇所を狙われて、死んでしまいます。
その後赤い黄金はジークフリートの妻の兄弟に渡り、フン族(古代中国の漢と敵対した匈奴の一族)の計略(ジークフリートの元妻と結婚し、その兄弟を祝宴に招く)により、ジークフリートの義理の兄弟は囚えられますが、その兄弟の兄が弟の心臓を要求してこれを殺し、自分も自殺して赤い黄金の秘密を守りました。

このフン族は、考古学的にはアジアからヨーロッパに向かった匈奴族のこととされます。
中国と敵対していた匈奴は、冒頓単于(ぼくとつぜんう)の時全蒙古を支配し、漢の劉邦を降しました。
後漢の時、匈奴は南北に分裂し、五胡十六国の乱に活躍した南匈奴は、北魏の華北統一後に漢人と融合同化し、北匈奴は2世紀の中頃カザフスタンに移住します。
4世紀ヨーロッパを荒したフン族が、この北匈奴の子孫だとされます。

司馬遷の史記、匈奴列伝より
『冒頓単于(前209-前174)の時、匈奴の騎兵隊は、西方の軍がすべて白馬、東方の軍がすべて青ぶちの馬、北方の軍がすべて黒馬、南方の軍がすべて赤みがかった栗毛の馬に乗っていた。』

旧約聖書ゼカリヤ書には、天の四方に向かう風と呼ばれる赤・黒・白・まだらの四種類の馬の引く戦車が登場します。

新約聖書ヨハネ黙示録には、赤・黒・白・青白の、世界の四分の一ずつを支配する馬が登場します。

古代インドには、マハーバーラタにも登場する、王者の行う祭式の中でも最高位のものとされる馬祀祭(アシュヴァメーダ)というものがありました。
それは太陽の象徴である神聖な馬を、東西南北の四方位に導く祭式です。
アシュヴァメーダの祭詞
『汝は天界に三個の親縁を有す。三個それは水中に。ゆえにヴァルナと同一』

エジプトはもともと太陽崇拝の国ですが、ピラミットの四辺は正確に東西南北に面しているそうです。
四辺+頂点で、四角錐を作れますよね。
ちなみに、ピラミッドは中南米にもあります。

マヤ族の神話には、チャクと呼ばれる四方位神が登場します。
東のチャク・シブ・チャク(赤い人)、北のサク・シブ・チャク(白い人)、西のエク・シブ・チャク(黒い人)、南のカン・シブ・チャク(黄色い人)。

中国には東海青竜王・南海紅竜王・西海白竜王・北海黒竜王の、四海竜王の伝説があります。
また玄武、青竜、朱雀、白虎の思想は、中国の戦国時代(前403-前221)頃に現われたそうです。
黒い玄武は北を表し、青い青竜は東を表し、赤い朱雀は南を表し、白い白虎は西を表します。
中国の四方位神の一人である白虎は、金星の化身とされ、艮(ウシトラ)方位の鬼門の魔神とされます。
白虎は別名を金神(こんじん)、太白(金星)、白帝、西海白竜王といいます。

アステカの神話では、四方位神の一人、西を守護する白いテスカトリポカ(人類に文明と火を与えた白蛇神ケツァルコアトルの別名)の心臓が、炎の中で焼け残り、天に登って金星になったといいます。
ちなみに東を守護する赤いテスカトリポカ(別名はトナティウで人身御供を司る神)もいます。
アステカ人は、生きた生贄の心臓を太陽神に捧げていました。
伝説では、トピルツィン・ケツァルコアトルという、ケツァルコアトル神の名を持つ首長は、生贄の風習に反対して敗れ、『黒と赤』の国に去ったそうです。

ジークフリートは竜の心臓を食べて知恵を手に入れ、竜神ケツァルコアトルの心臓は天に昇って金星になります。

金星は、古代インドでは知恵を授ける星とされました。
菩提樹の下にいた釈迦も、明けの明星(金星)を見て悟りを開いたそうです。
仏教では金星は虚空蔵菩薩と呼ばれ、知恵の化身とされます。
漢訳された虚空蔵菩薩の『虚空』とは、サンスクリット語ではアーカーシャといいます。
アーカーシャとは古代インドの思想で、過去・現在・未来の全ての知識が収められた空間のことです。
つまり『過去・現在・未来の全ての知識』を蔵した菩薩が、虚空蔵菩薩というわけです。

日本に真言密教を伝えた空海は、この金星の化身である虚空蔵菩薩の修行法(虚空蔵菩薩求聞持法)を行い、金星が口中に飛び込んだ幻を見て、どんな経典でも一語一句違わずに暗記できるようになったそうです。

日本の陰陽道とは中国の仙道(道教)が伝わったものですが、陰陽道では金星の精を金神(こんじん)と呼び、艮(ウシトラ)方位の悪神として、鬼門の神と呼びます。
陰陽道の金神は、別名を白虎といい、黄帝を頂点にした四方位神の一人です。
この黄帝を頂点にした四方位神は、木火土金水(もくかどごんすい)で表され、五行と呼ばれます。
図にすると五芒星(ペンタグラム)になります。
陰陽師の安倍晴明は、この五行印を好んで使用し、家紋にも用いました。
安倍晴明が使用した五芒星は、晴明桔梗と呼ばれます。

この五芒星は古代バビロニアでは、ギルガメッシュ王が不老不死を求めるきっかけとなった、金星の女神イシュタルの象徴でした。
ギルガメッシュ叙事詩の中でギルガメッシュは、不老不死を求めて太陽の通り道を辿ります。

五芒星は黄金比を持ちます。
円に内接する正五角形の構成要素である、二等辺三角形から作られる二種類の菱形。
この細い菱形と太い菱形の比が黄金比ですが、太い菱形の内角は72° と108°で構成され、細い菱形の内角は36°と144° で構成されます。

ヨハネの黙示録には、144000人の信者・42ヶ月・1260日・3日半・獣の数字666という数字が登場します。
42ヶ月は日数に直すと1260日なので、この二つの数字は同じものです。
3日半を年として考えれば3年6ヶ月です。
3年6ヶ月は日数に直すと1260日なので、この三つの数字は同じものです。
3年6ヶ月の36という数に注目して、1~36までの数字を順番に足してみると(1+2+3+・・・36)、答えは獣の数字と同じ666です。
そして144000が36を四倍した数144を表していると考えれば、
12×3=36
36×1=36
36×2=72
36×3=108
36×4=144

ヒンドゥー教の神話では、世界は生滅を繰り返していて、
その1サイクルは四期に分けられ、それぞれの期間はユガと呼ばれます。
第一期のクリタ・ユガは172万8000年続き
第二期のトレーター・ユガは129万6000年続き
第三期のドヴァーパラ・ユガは86万4000年続き
第四期のカリ・ユガは43万2000年続き
世界の消滅の後、また世界は生成され、同じサイクルを歩みます。
現在の人類は四番目のカリ・ユガに生きているとされます。

この数字が何を表しているかというと、

第四期のカリ・ユガの43万2000年を二倍すれば
第三期のドヴァーパラ・ユガ86万4000年になり

第四期のカリ・ユガの43万2000年を三倍すれば
第二期のトレーター・ユガ129万6000年になり

第四期のカリ・ユガの43万2000年を四倍すれば
第一期のクリタ・ユガ172万8000年になりますよね。

そしてこの四期を一年の4季節、春夏秋冬と考えれば、
一年の12分の1、つまりカリ・ユガ43万2000年の三分の一は
144000年になります。

つまり
144000×3=43万2000
43万2000×1=43万2000
43万2000×2=86万4000
43万2000×3=129万6000
43万2000×4=172万8000

太陽は黄道12星座の上を、右回りに巡行して行きますが、基点とされる春分点における太陽の位置は、72年で1°づつ、背景の黄道12星座に対して、左回りに逆行して行きます。
一周は360°ですね。
25920年で一巡し、この春分点における太陽と、太陽の進行方向と逆方向にスライドして行く背景星座との見かけ上の関係を歳差と呼びます。
25920÷12は2160年です。
2160年毎に天の春分点における太陽の背景12星座の位置は、スライドして隣の星座に移り、古代の神秘主義者はその背景星座を時代の星座と呼びました。

漢初までに作られたと言われる易の解説書、繋辞上伝によれば、
天を表す数は1・3・5・7・9
地を表す数は2・4・6・8・10
天数と地数の合計は55(1+2+3+・・・10)で、この55の数が全ての変化を表すとあります。
さらに易の乾(天)の策数は216本、坤(地)の策数は144本、合計360本で一年を表すとあります。

ヨハネ黙示録ではサタンは赤い竜の姿で現れ、イエスは子羊の白い血に染まった白い衣を着て、明けの明星(金星)と呼ばれます。
イザヤ書では、バビロンの王は天から落ちた明けの明星(金星)と呼ばれます。
西洋の伝説では、光の天使だった堕天使ルシファー(明けの明星を表すラテン語)も、天から落ちた明けの明星(金星)と呼ばれます。

リグ・ヴェーダ
『言語は四個の四分の一と測定せられたり。バラモン達は熟慮してこれを知る。三個は、秘密に隠されて運動せしめられず。言語の四分の一を人間は語る。』

『されどプルシャはさらに強大なり。万有は彼の四分の一にして、彼の四分の三は天界における不死なり。プルシャは四分の三をもって高く昇れり。彼の四分の一は、下界にありて新生せり。』

ブラーフマナ
アグニは始め四つに分かれていた。彼らが最初にホートリ祭官の職に選んだアグニは逃れ去った。第二番目に選んだアグニも逃れ去った。第三番目に選んだアグニも逃れ去った。そこでこの現在のアグニは恐怖のために身をかくした。彼は水の中にはいった。彼を神々は発見して、無理に水から連れ戻した。』

チャーンドーグヤ=ウパニシャッド
『心臓には褐色の微細な脈管がある。白色のもの、青色のもの、黄色のもの、赤色のものなどがある。この太陽も褐色であり、白色であり、青色であり、黄色であり、また赤色である。』

旧約聖書の創世記では、知恵の木の実と命の木の実の生えるエデンの園には、四つの川が流れています。

無量寿経より
『さまざまな宝石よりなる青蓮華、紅蓮華、黄蓮華、白蓮華に満ちた、美しい川や池を見たであろうか』

中国の仙界である崑崙は、四階層に分かれていて、この人間の世界はその最下層にあるとされます。
この崑崙の上層には、玄武・青竜・朱雀・白虎に四方位を守護された、黄帝が住むそうです。

玄武・青竜・朱雀・白虎は別名を黒帝・青帝・赤帝・白帝と呼ばれ、中心の黄帝と合わせて天帝と呼ばれます。

中国には易経に載る、四象(ししょう)というのがあります。
太陰(吸気)・少陽・太陽(呼気)・少陰です。
この四象は太極という一点から生じます。

インドのウパニシャッドによれば、白い心臓には四方位と上方を守る五人の門番がいて、上方の道を辿ると太陽に達し、人は不老不死になるそうです。
この五人の門番は、呼気・吸気・腹気・体気・上気と呼ばれます。
四辺+頂点で、四角錐を作れますね。
この四辺を円=球で表現したものは宝珠と呼ばれます。

ユダヤ教神秘主義思想のカバラによれば、世界は四階層に分かれていて、この人間の世界はその最下層(最外層)にあるそうです。
そしてこの四階層世界は、アイン・ソフという一点から生じます。

仏教では第八識である阿羅耶識(あらや識)を最高の境地とします。
第一識~第五識までは五感の対象世界で、この物質世界のことです。
第六識は意識界で第六感の対象世界です。
第七職はより高次の末那識(まな識)界です。
第八識はさらに高次の阿羅耶識界です。
こうして見ると四階層ですよね。
さらに八識である阿羅耶識の清浄な面を九識として捉える考え方があり、その場合の九識を阿摩羅識(あまら識)と呼びます。
これも螺旋として見れば、四角錐を作れますね。

キリスト教の十字架も、四方に伸びています。
エジプト、南米、ケルト、インドにも、十字架が象徴として存在します。

前ニ世紀の漢初に成立した淮南子より
『天の道を円といい、地の道を方という。方は幽をつかさどり、円は明をつかさどる。円は気を吐くもの、そこで火を外景という。幽は気を含むもの、そこで水を内景という。気を吐くものは万物に施し与え、気を含むものは万物を同化する(淮南子・天文訓)』

カバラの聖典セフェールイエツィラーから
『上には竜座が、下には世界が、そして最後に人間の心臓がある。
  その真中に神があり、万物を支配している。
  第一元素とは、風、水、火である。
  火は上に、水は下にあって、風の息が両者の均衡を保っている。』

創世記のエデンの園におけるアダムの創造神話では、『主なる神は、土の塵で人を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた(創世記2.7)』とあります。
創世記のノアの時代には、『その鼻に命の息と霊のあるものはことごとく死んだ(創世記7.22)』とあります。

詩編
『(神の)御口の火は焼き尽くし、炎となって燃えさかる(詩篇18.9)』
『あなた(神)の怒りの息に世界はその基を示す。主は高い天から御手を遣わしてわたしをとらえ、大水の中から引き上げてくださる(詩篇18.16)』
『御言葉によって天は造られ、主の口の息吹によって天の万象は造られた(詩篇33.6)』
『息吹を取り上げられれば彼らは息絶え、元の塵に返る。あなたはご自分の息を送って彼らを創造し、地の面を新たにされる(詩篇104.29)』
『人間は息にも似たもの(詩篇144.4)』
『御言葉を遣わされれば、それは溶け、息を吹きかけられれば、流れる水となる(147.18)』

エズラ記
『水と火の間には、たった一本の道しかなく、しかもそれは一人の人がやっと通れるくらいの小道である(ラテン・エズラ記7.8)』
『あなた(神)は今、母胎の中に体を形づくってこれに命を与え、器官を与えられると、この被造物は火と水の中で守られます(ラテン・エズラ記8.8)』
『知恵の火をあなたの心にともそう(ラテン・エズラ記14.25)』
『主は人を造って、体の真ん中に心を置き、それに霊と命と知性と全能の神の息吹を送り込まれた(ラテン・エズラ記16.62)』

ヨハネ福音書
『初めに言葉があった。言葉は神と共にあった(ヨハネ福音書1.1)』
『彼らに息を吹きかけて言われた。聖霊を受けなさい(ヨハネ福音書20.22)』
新約聖書の中でイエスはしきりに、『わたしを信じる者には永遠の命を与える』と語っています。

ギリシア語で書かれた新約聖書では、神はアルファでありオメガであるものと表現されます。
そして、神は始めであり終わりであるものと説明されます。
これはギリシア語のアルファベットの最初の文字がアルファで、最後の文字がオメガという所から来ています。
さらにこれは、仏教等のインド哲学で用いられる、阿吽(あ・うん)の思想とよく似ています。
阿吽とはサンスクリット語のアルファベットで、それぞれ最初の文字と最後の文字のことです。
阿吽とはインドの聖音オームを分解した文字で、寺社の門前の狛犬や仁王像が、一方では口を開き、他の一方では口を閉じているのがこれを表しています。
阿吽の阿は真我(アートマン)を表し、吽は梵天(ブラフマン)を表し、個人の真我は世界に遍在する梵天とかわらないという意味で、梵我一如と表現されます。
阿(a音)である真我(アートマン)とは、元々呼気を擬人化したものです。
聖書では、創世記で神の息を吹き込まれて生命を得たアダムや、ヨハネ黙示録で神の息を吹き込まれて復活する二人の証人等があります。

古代中国の思想では、人は魂魄(こんぱく)の融合から生じます。
魂は陽の気で、天に昇るほどに軽くて澄み、魄(はく)は陰の気で、地に下るほどに濁りて重いと説かれます。
呼吸の呼気を火(陽気・魂=こん・円)、吸気を水(陰気・魄=はく・方)として表現する道家の思想です。
東洋思想の『気』とは、ギリシア語での『アウラ』(原義は息や風のそよぎで、人間の身体を包んでいるとされる光彩=オーラ)と同じものを指します。
またギリシアでの魂(プシュケー)は、息という語源を持ちます。

ブラーフマナより(前800年頃成立)
『アグニ(言語と火の神)は始め四つに分かれていた。彼らが最初にホートリ祭官の職に選んだアグニは逃れ去った。第二番目に選んだアグニも逃れ去った。第三番目に選んだアグニも逃れ去った。そこでこの現在のアグニは恐怖のために身をかくした。彼は水の中にはいった。彼を神々は発見して、無理に水から連れ戻した。』
『いかなる人にもあれ、その人が病患なく生存するようにと願うならば、その人に口を開かせて息を吹きかけるべきである。アムリタをもって実に彼に息を吹きかけることとなる。』

ウパニシャッド(前五世紀頃から形成される)

チャーンドーグヤ=ウパニシャッドより
『人はヴァーナ(体気)こそウドギータ(サーマ・ヴェーダの吟誦)と崇むべきである。吸気がプラーナであり、呼気がアパーナであり、そしてプラーナとアパーナの結合がヴャーナである。ヴャーナとは言語である。その故に、人は呼吸することなく、言語を発する。』
『かの(白い)心臓には、神の出口が五つある。
その東の出口とは、プラーナ(吸気)であり、目であり、太陽である。
その南の出口とは、ヴャーナ(体気)であり、耳であり、月である。
その西の出口とは、アパーナ(呼気)であり、言語であり、火である。
その北の出口とは、サマーナ(腹気)であり、意であり、雨である。
その上の出口とは、ウダーナ(上気)であり、風であり、虚空である。
ブラフマンのこれら五人の従者は天国の門番である。』
『かのブラフマンは四足である。
言葉はその一つ足である。
生気はその一つ足である。
眼はその一つ足である。
耳はその一つ足である。』
『(白い)心臓には褐色の微細な脈管がある。白色のもの、青色のもの、黄色のもの、赤色のものなどがある。この太陽も褐色であり、白色であり、青色であり、黄色であり、また赤色である。』
『(白い)心臓には百と一の脈管があり、それらの一つは頭から出ている。
それを通って上昇し、不死に赴く。
他の脈管はあらゆる方向に出口がある。』
『彼(プルシャ)にはヒターと称するそれらの脈管があり、一本の毛髪の千分の一ほどに微細で、白、青、黄、緑、赤色の液で満たされています。』

プラシュナ=ウパニシャッドより
『かのアートマンは実に(白い)心臓の中にある。そこには101本の脈管があり、それらの一本ごとに百本ずつの小脈管があり、この小脈管の一本ごとにそれぞれ72000の毛細管がある。ヴァーナ(体気)はそれらの中を速やかに動きまわるのだ。次に、一本の脈管によってウダーナ(上気)は上昇し、善行によって福徳の世界へ、悪行によって禍悪の世界へ、善悪両行為によって人間の世界に導く。』

リグ・ヴェーダより(もっとも古い部分で、前1200年頃成立とされる)
『十二輻を有する天則の車輪は、天の周囲をたえず回転す、そは老朽におちいることなければ。子らは、アグニよ、対をなしてその上に乗りたり、720。』
『言語は四個の四分の一と測定せられたり。バラモン達は熟慮してこれを知る。三個は、秘密に隠されて運動せしめられず。言語の四分の一を人間は語る。』
『されどプルシャはさらに強大なり。万有は彼の四分の一にして、彼の四分の三は天界における不死なり。プルシャは四分の三をもって高く昇れり。彼の四分の一は、下界にありて新生せり。』

ヘルメスのエメラルドタブレットより
水銀の循環の結果、『黒いねばねばした物質ひき蛙(錬金術用語)が出来るにちがいない。これは完全なる腐敗または化合物の死を意味する。この黒い粘り気のある物質はやがて、必ず白化し、次には赤化するだろう。』

1606年にナポリで作られたヘルメスと錬金術の図より
『彼は、黒そしてその次に赤のために、白い衣服を持つ。』
『この新しく生まれた黒い息子はエリキサーと呼ばれ、純白化されるであろう』
『黒い雲が過ぎ、偉大な白が完成された』
『私を白くするものは私を赤くする』

投稿 : 2025/01/04
♥ : 7
ネタバレ

アリス★彡 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

現実(旧作)は厳しいものですが、工夫(本作)すれば、こういう結末もあるんだよ?

結末が素晴らしい....。


http://www.anikore.jp/review/1001599/
の続きみたいなものです。

■少年向けテイストな本作

手塚治虫「子供の夢を無くすことは漫画で絶対にしてはいけないこと」

wikipediaで鋼の錬金術師の項目を調べてみると、旧作と本作でジャンルが違うって知っていましたか?
「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」は、ジャンルがファンタジーになっているのですが、旧作の「鋼の錬金術師」はダーク・ファンタジーになっているのですよね。それほど作風が違うということです。

私が、旧作よりもこちらを支持している理由は、手塚治虫の言う通りですね。漫画やアニメの支持層が子供が多かったということもありますがが、「鋼の錬金術師」は少年向けなので、この台詞を引用しても良いはずです。

本作は、少年向けテイストとして作られています。もちろん、あにこれのタグに女性受けが良いと書いているように、様々な層から支持を受けているアニメです。

そのため、旧作に比べると観やすく、様々な年代におすすめできる作品です。

■エンターテイメント性

エンターテイメント性が高く、キャラクターの魅力や驚きの展開を使って、旧作よりも上手くバトルシーンを描いています。ただちょっと冗長なシーンがあったので、そこはマイナスポイントです。
{netabare} 対エンヴィー戦で、エンヴィーがホークアイ中尉に化けてマスタング大佐を襲おうしている風に視聴者に思わせて、実はエンヴィーが化けていたのはマスタング大佐の方で、ホークアイ中尉を襲おうとしていたという展開が上手かったです。トリックが上手で、思わず「あっ」と驚いてしまいました。モブとの戦いは、ただ力を押しの展開が多くて面白くなかったですね。

「マスタング大佐 対 ラスト」が一番面白かった印象があります。マスタング大佐の魅力が存分に発揮されたからという理由もありますが、テンポが良く、まさか手負いのマスタング大佐が、火で体を炙って戻ってくるとは、想像もしませんでした。
ドクターマルコーが、エンヴィーを捕えるために作戦も工夫されていて面白かったです。{/netabare}

ストーリーについては、後半がだらだらとしている印象を受けましたが、ラストの締め方がとても上手かったので、非常に救われた気分になりました。旧作で深く掘り下げていたシーンは、軽く扱われており、あまり違いにびっくりしました。
しかし、中盤にしっかりドラマを描いてくれたので、終盤は心打たれる良い展開が多かったです。{netabare} アルがエドの腕を治そうとするシーンなんて、あまりに胸を打つ展開で、感化されて泣いてしまいました。 {/netabare}

政治的な争いも、少年向けらしくあまりドロドロせずに、エド達の仲間が大円団になって、かつ心理戦が面白い抗争を繰り広げています。誰が大総統になるかという落としどころも良かったです。

サブキャラクターの扱いも凄く良いのですよね。
グリードとリン・{netabare} ヤオの組み合わせは凄く良くて出来ているなと思いました。グリードが最初は仲間のことなんて大切に思っていなかったのに、リン・ヤオの考え方に影響されて、自分は仲間がほしかったことに気づきます。
マスタング大佐が、ひゅーずの仇を打つために必死になっていたのを、エド達が諭したシーン。大総統になる人間が、復讐に染まって道を踏み外してはいけないというエド達の考えに凄く胸が打たれました。
エンヴィーが人間に嫉妬していたというのも、かなり納得がいく展開で、加えて驚きと、感動も得られる良いシーンだと思いました。
序盤のエンヴィーの人間を小ばかにしていたような台詞やシーン。実はそれが嫉妬によるもので、序盤からそういう伏線を張っていたと考えると、遥か先まで見通していて、凄いな、と思います。{/netabare}
そういう所が、旧作よりも優良な作品ということを窺わせます。
{netabare}
ハボックの扱いもそう。
このままリタイアかな、と思いきや、しっかりと最後にフォローされています。

スカーも良く成長したなぁ、と思います。作者は、復讐に対してあまり寛容な考えではないようですね。復讐は新たな復讐を生むだけだ、とか、復讐するのではなくて、内部から変えていく方が、今度のためになるとか、色々と多様的で冷静な意見が好まれています。
スカーはこの国を変えるために、個人的な私怨は捨てて、エド達の計画に協力するわけです。やっぱり、作者は復讐について、私怨は捨てて、目的のために行動するべきだという考えを持っていそうですね。

ウィンリィ・ロックベルとエドの関係についてもしっかり消化。

旧作に比べて、イズミ・カーティスさんの負の部分があまり強く描かれていないな、とは思いました。ホムンクルスのラストもそうですが。
キンブリーもあまり強く描かれていません。旧作よりあっさりご退場してしまいます。グラトリーも然り。

ラースとプライドの過去が強く描かれています。敵キャラクターですが、そういった過去を描くことで、倒される時に深い感情を生み出すことが出来て、さらに鋼の錬金術師を彩ります。あとは、人気稼ぎのために用意したキャラクターや展開をスムーズに進めるために用意されたキャラクターが殆どでした。そこはもうちょっと工夫して欲しかったです。(尺が足りなくなってしまいますか){/netabare}

■結末の巧さ

何と言っても、評価したいのは結末の巧さですね。
本作を最初に観た時に、真理に奪われたアルの体をどうやって取り戻すのだろう、というのをずっと考えていました。賢者の石は、人の命が使われているため、エドとアルは使わないわけですし、そうなると旧作のように、エドとアルのどちらかが犠牲になって、どちらかの幸福を手に入れる結末かな、と思っていました。
{netabare} しかし、良い意味で予想を裏切ってくれましたね。意外なところにあったアルの体と釣り合う通行料。それは自分自身の錬金術の才能でした。本当にそれでいいのか、と真理に問いただされますが、エドは錬金術よりも友情や愛を取ると真理に伝えました。そうすると、真理は笑って、「お前は俺に勝った。持っていけ」というニュアンスのことを言い、アルの体をエドに引き渡します。この問答は、とてもクールで清々しい気分になりました。{/netabare}

「鋼の錬金術師」の伝えたいこと、テーマというのは、ここにあるんじゃないですかね?
{netabare}
エドは、ずっと錬金術で取り戻そうとしていました。そうじゃなくて、錬金術の才能を捧げれば、いつでも手に入れることは出来たんです。何を犠牲にするか、人体錬成をしようとする人間は醜いものです。そのために争って、また不幸になる人間が増える、負の連鎖ですね。何の代償も無しに、何かを得ようとして、本当に人間というのは愚かだと思います。けれど、エドは自分自身の才能を真理に捧げることで、アルを取り戻すことが出来た。それこそが真理。
答えはすぐ傍にありました。{/netabare}

私は、旧作を観て湿っぽくてセンチメンタルなラストに、心を痛めました。
本作を観て、少年向けとして夢も壊さずに、世の中の法則(等価交換の原則)にも逆らわないラストを描いてくれたことに、とても感動しました。現実(旧作)は厳しいものですが、工夫(本作)すれば、こういう結末もあるんだよ、と勝手に解釈しています(笑)

投稿 : 2025/01/04
♥ : 28
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

アルフォンスが良い奴すぎて・・・長いけど最後まで見て良かった作品

※旧作(2003年版)の少なくとも前半まで(第25話まで)を事前に視聴しておくと、本作をよりいっそう楽しめるかも。

◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回


======= 鋼の錬金術師 FULL METAL ALCHEMIST (2009年4月-2010年7月) =======

{netabare}- - - - - - - OP「Again」、ED「嘘」 - - - - - - -

第1話 鋼の錬金術師 ☆ ※話は派手で面白いが、作画の雑さが気になる
第2話 はじまりの日 ★ ※エドは意外と英雄気質
第3話 邪教の街 ☆  
第4話 錬金術師の苦悩 ★ 綴命(ていめい)の錬金術師ショウ・タッカー ※ダークで意外な展開 
第5話 哀しみの雨 ★ イシュヴァールの民
第6話 希望の道 ☆ 賢者の石の手掛かり、オートメイルの修理
第7話 隠された真実 ☆ 賢者の石の正体
第8話 第五研究所 ★ エドvs.№48、アルvs.№66

<----- 第8話の途中まで旧作第20話までと同様の展開。以降別展開 ---->

第9話 創られた想い ★★ 兄弟の絆
第10話 それぞれの行く先 ★ ヒューズ中佐の死
第11話 ラッシュバレーの奇跡 ☆ 
第12話 一は全、全は一 ★ エリック&アルの師匠
第13話 ダブリスの獣たち ☆ グリード(強欲)&キメラ登場
第14話 地下にひそむ者たち★★ アルの記憶回復、大総統の正体(憤怒=ラース)、黒幕登場

- - - - - - - OP「ホログラム」、ED「LET IT OUT」 - - - - - - -

第15話 東方の使者 ☆ シン国の練丹術師(メイ)・王子登場
第16話 戦友の足跡 ☆
第17話 冷徹な焔 ☆ マリア・ロス少尉逮捕
第18話 小さな人間の傲慢な掌 ☆ クセルクセス遺跡
第19話 死なざる者の死 ★ 大佐vs.ラスト(色欲)、父親との再会
第20話 墓前の父 ☆ 人体練成の謎、兄弟の新たな決意
第21話 愚者の前進 ☆ 
第22話 遠くの背中 ☆ スカーとウィンディの因縁
第23話 戦場の少女 ☆
第24話 腹の中 ★ エンヴィ(嫉妬)・グラトニー(暴食)戦
第25話 闇の扉 ☆
第26話 再会 ☆ 真理の扉の前でアルと再会 ※話の雑さが気になる

- - - - OP「ゴールデンタイムラバー」、ED「つないだ手」 - - - -

第27話 狭間の宴 × エド&アルの父親の話だが、80%はこれまでの総集編
第28話 おとうさま ☆ 黒幕との邂逅、リンのグルード(強欲)化
第29話 愚者の足掻き ☆ 
第30話 イシュヴァール殲滅戦 ☆
第31話 520センズの約束 ☆ キンブリー出獄
第32話 大総統の息子 ☆
第33話 ブリッグズの北壁 ☆ スカーvs.キンブリー、オリヴィエ少将登場
第34話 氷の女王 ☆ スロウス(怠惰)登場
第35話 この国のかたち ★ 建国以来続く陰謀
第36話 家族の肖像 ☆ レイヴン将軍の最期
第37話 始まりの人造人間(ホムンクルス) ☆ セリムの正体=プライド(傲慢)
第38話 バズクールの激闘 ★ スカーvs.キメラ2人、エドvs.キメラ2人、エドvs.スカー

- - - - - - OP「Period」、ED「瞬間センチメンタル」 - - - - - -

第39話 白昼の夢 ★ キンブリーを欺く策略
第40話 フラスコの中の小人(ホムンクルス) ★ ヴァン・ホーエンハイムの過去(クセルクセス壊滅)、イズミ回復
第41話 奈落 ★★ エドvs.キンブリー、自らの命を賢者の石に
第42話 反撃の兆し ☆ 新たな国土練成陣、ホーエンハイムの宣戦布告、ドラクマ軍来襲
第43話 蟻のひと噛み ★ エンヴィーvs.マルコ、メイ帰国へ
第44話 バリンバリンの全開 ☆ 不死の軍団、アルと父の再会、エド回復
第45話 約束の日 ★ ラース(大総統)vs.グリード(リン)、エドとグリード(リン)再会
第46話 迫る影 ☆ 約束の日前日の様々な策動
第47話 闇の使者 ★ エドと父の再会、プライド(セリム)vs.エド&グリード、グラットニー退治(ランファン再登場)
第48話 地下道の誓い ☆ 対プライド戦(続き)、ブラットニーの最期、大総統婦人誘拐
第49話 親子の情 ★ 対プライド戦(続き)、アルの決断、夜明け
第50話 セントラル動乱 ☆ マスタング大佐の作戦始動

- - - - - - - OP「レイン」、ED「RAY OF LIGHT」 - - - - - - -

第51話 不死の軍団 ★ 続き、プライド&エンヴィー復活、賢者の石を使え
第52話 みんなの力 ★ アルvs.プライド&キンブリー、その他いろいろカオス状態
第53話 復讐の炎 ★ エンヴィーvs.マスタング大佐
第54話 烈火の先に ★★★ エンヴィーの最期(※本作屈指の感動)、アームストロング少佐見せ場
第55話 大人たちの生き様 ☆ スロウスの最期、親玉ホムンクルスvs.ホーエンハイム
第56話 大総統の帰還 ★ 続き、ラースvs.グリード
第57話 永遠の暇 ☆ 続き、対金歯医師戦、真理の扉(第一段階)
第58話 ひとばしら ☆ 続き、バッカニア大尉殉職
第59話 失われた光 ★ マスタング大佐を使った人体練成、スカーvs.ラース、アルの体
第60話 天の瞳、地の扉 × 日食、練成陣(第二段階)、※奇を衒っただけの話だったのか(失望)
第61話 神を呑みこみし者 × ホーエンハイムの大仕掛け、ラースの最期、プライドの最期 
第62話 凄絶なる反撃 ★ アル消滅、エドvs.親玉ホムンクルス、※脚本・演出の雑さは気になる
第63話 扉の向こう側 ☆ 親玉ホムンクルスの最期、アル救出、ホーエンハイムの最期、※同上 
第64話 旅路の涯 ★ それぞれの後日譚(アルの旅立ち、エドの告白etc.){/netabare} 
--------------------------------------------------------------
★★★(神回)1、★★(優秀回)3、★(良回)23、☆(並回)34、×(疑問回)3 ※個人評価 ★ 4.0


============ 鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星 (2011年7月) ==========

{netabare}全1話 ☆ アメストリスとクレタの狭間にある小国ミロスの独立の話 評価3.5{/netabare}


◆総評

原作マンガの第4巻までの内容を、旧作(2003年版)は20話かけて丁寧に描き出していたのに対して、この新作(2009年版)は8話に圧縮して描いているので、そこだけは旧作の方が良いと思いました。

旧作では後半のオリジナル展開で散漫となってしまったストーリーラインや作品テーマが、最後まで原作準拠となっている新作では、さすがに確りしていて、その分評価が高くなりました。

やっぱりその作品ならではの感動ポイントがあるアニメは良いですね。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 45

90.8 1890 天空の城ラピュタ(アニメ映画)

1986年8月2日
★★★★★ 4.2 (2363)
14247人が棚に入れました
ある夜、飛行中の飛行客船を、航空海賊の一団が襲撃する。政府特務機関に捕らわれ客船に乗っていた少女シータは、混乱に紛れて特務機関の指揮官であるムスカ大佐を気絶させると、彼の懐から青い石のペンダントを奪い取る。窓を伝って逃げようとするが、海賊に見つかり、驚いた拍子にシータは客船から転落してしまう。雲間を落ちていく中、気を失った彼女の胸にかかっていたペンダントの青い石が突然光を放ち、シータは光に包まれゆっくりと降下していった。鉱山町で働く少年パズーは、青い光とともに空からゆっくりと降りてきたシータを助け、自宅にかくまう。一夜明けパズーは、シータの行方を追う空賊や政府からシータを守り逃走を図る。

声優・キャラクター
田中真弓、よこざわけい子、初井言榮、寺田農、常田富士男、永井一郎、糸博、鷲尾真知子、神山卓三、安原義人、亀山助清、槐柳二、TARAKO

nk225 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

【ジブリ】「ナウシカ」は再放送数最多! 宮崎駿アニメを愛する“リピーター”の特徴

皆さん、宮崎駿作品は好きですか?  

私は好きです。劇場に足を運んで観るのはもちろんのこと、TVで再放送を楽しむことも。何だか再放送の回数が多いので、「また、放送だ!! 」と心の中でツッコミを入れつつも、しっかり録画予約。

そして、ラピュタのあのシーンでは、「バルス!! ! 」なんてお決まりの投稿をしているのです。パズーとシータの目玉焼きパンのシーンは相変わらず美味しそうだし、ナウシカが生き返るシーンを心待ちにしてしまうのです。結局は毎回楽しんでおり、子どもが大きくなったら、どの作品から観せようかと妄想したりするのです。

そこでこちらの数字をご覧下さい。

『風の谷のナウシカ』……15回
『となりのトトロ』……13回
『ルパン三世 カリオストロの城』……13回
『天空の城ラピュタ』……13回
『火垂るの墓』…11回
『魔女の宅急便』……11回

こちらの宮崎アニメ(※脚本参加含む※『火垂るの墓』は準宮崎アニメ)と数字の関係は一体なんだと思いますか?  実はこれらは、「金曜ロードSHOW! 」で放送された宮崎アニメの回数なのです(※出典・書籍『<面白さ>の研究』※1975年~2015年1月)。

私だけでなく、再放送が多くて「またか」と思う人は少なくないはず。それもそのはずで、同枠での宮崎アニメの放送回数はとにかく多いのです。これは、突き抜けて多いと言っても過言ではありません。上記のランキングは、「金曜ロードSHOW! 」で放送された宮崎アニメの回数でありますが、その順位そのものが、同枠での再放送の回数と一致するのです。

11回の『魔女の宅急便』よりも少ない放送回数で見ると、『紅の豚』が10回、『耳をすませば』が9回、『もののけ姫』が8回再放送されています。つまり、「金曜ロードSHOW! 」での再放送ランキングの1位~9位までを宮崎アニメが独占しているのです。そして、同着9位として、ようやく宮崎監督が関与しない『ルパン三世 ルパンVS複製人間』『幸福の黄色いハンカチ』(同8回)がランクインするのです。

何となく多いと思っていたけど、こんなにも多いとは……。私もそうですが、宮崎アニメの人気は「リピーター」が支えていると言っても過言ではありませんね。視聴率がとれるから放送するわけで、その視聴率にはリピーターが貢献しているのです。

書籍『<面白さ>の研究 世界観エンタメはなぜブームを生むのか』の著者であり、京都精華大学マンガ学部准教授の都留泰作さんは、「宮崎アニメのリピーター」について自著で分析。なぜ、ここまでリピーターがいるのかについて語っています。

その前に、リピーターの少ない作品とはどのようなものがあるのでしょう。都留さん曰く、最もリピーターが少ないのは「推理物」とのこと。確かに推理物は犯人やトリックを解明することが最大の山場。その真実を知りながら繰り返し視聴するのは、なかなか気が進まないもの。一方の宮崎アニメには、山場そのものはあるのですが、だからといって一度観て終わりとはならないのです。宮崎アニメには、全てのシーンを楽しむことができる。「推理物」との違いに、「住まわせ力」があると都留さんは説明します。

住まわせ力とは、「それは庭園を散策する人の姿を思わせる。繰り返し同じ景色を別の角度から眺めて、そこから受ける刺激を楽しむ。または同じ料理を食べる人にも似ている。食欲が起こるたびに、同じ刺激を求めてお気に入りの料理を注文してしまう。それは習慣性がある」と同書で説明されています。

皆さんが宮崎アニメを楽しむ時に、上記のような宮崎監督が用意した世界に住んでいるような感覚になることはありませんか?  再放送を観る時点で結末は既にわかっています。しかし、私たちが求めているのは結末だけではないのです。

不思議な乗り物・メーヴェの飛行シーンであり、恐ろしい巨神兵の攻撃力であり、ナウシカがオームの金色の触手の上で「ありがとう」を伝えるシーンなのです。決して結末だけを楽しみにしているだけでなく、これら物語の全てのシーンを何度でも観たいのです。

「人はストーリーではなく、『世界』を消費しようとしているのだ。それはあたかも、人がナウシカの世界に住みたがっているかのようでもあり、それを丸ごと食したがっているかのようでもある」『<面白さ>の研究 世界観エンタメはなぜブームを生むのか』
宮崎アニメの魅力は、「その世界の住人になりたい」と思わせる力があるから。ですので、リピーターは、テレビの再放送や、DVDで何度も何度も同じ作品を観るのです。まだ、次回の宮崎アニメの再放送は決まっていないようですが、どの作品が登場するのか、今から楽しみでなりません。

名作アニメの知られざる「その後」の物語
ジブリアニメの名作『天空の城ラピュタ』にも、劇中では描かれなかった後日談が存在します。

劇場版はパズーとシータがムスカ大佐の野望を打ち砕き、ラピュタ島を脱出した場面で終わりますが、小説版では二人のその後のストーリーが描かれているのです。

ラピュタ島での騒動の半年後、再びゴンドアの谷に戻ったシータ。そこにパズーからの手紙が届きます。

手紙には、軍部と政府がラピュタでの一連の騒動を闇に葬ろうとしていることや、空賊のドーラが軍の給料を奪ったこと、そしてパズーが製作中だった鳥型飛行機が完成間近であることなどが記されています。パズーは飛行機を完成させ次第、シータのいるゴンドアの谷へ行くことを約束しているようです。

離ればなれになっても、お互いを思い続けている二人の姿はとても微笑ましいですね。

徳間書店より発売されている「スタジオジブリ作品関連資料集I』には、パズーとシータが再会する場面のイラストが収録されているので、そちらと合わせて小説版を読んでみると楽しいですよ。

<ラピュタの島>台風で桟橋壊れる 友ケ島観光ストップ
旧日本軍の砲台跡などが残り、宮崎駿(はやお)監督のアニメ映画「天空の城ラピュタ」の舞台に雰囲気が似ているとして人気の和歌山市沖の無人島・友ケ島で、唯一の発着場である桟橋が今月の台風で損傷した。島に渡る交通機関は同市加太港からの定期便しかないが、運航再開のめどは立っていない。

友ケ島は大阪湾入り口にある▽沖ノ島▽虎島▽神島▽地ノ島--の四つの総称。定期便が最も大きい沖ノ島と加太港を約20分で結んでいる。

島には明治時代に建設された砲台が6カ所残る。アニメの登場人物の格好をまねるコスプレファンらが数年前から注目し、ツタの絡まるれんが壁の第3砲台跡が「天空に浮かぶラピュタの城のようだ」として特に人気が高い。爆破跡がある第2砲台跡、とりでのような旧海軍聴音所跡を訪れる人も多い。昨年度の観光客は3万1634人と3年前から倍増した。

壊れた野奈浦桟橋は第二次世界大戦後間もなく整備された固定型の鉄製桟橋。近年は腐食が進み、市が昨年度から改修工事を進めていた。しかし、昨秋に海底に岩盤が見つかり、くい打ちができなくなって工事を中断。工法を変えると特産のワカメ漁などへの影響が大きいため先月末に改修工事の断念を決めていた。

更に今月5、6両日に接近した台風18号で、船に乗り移る乗降部分が折れ曲がり、桟橋の一部が流された。台風襲来に備えて4日から定期便を運休していた友ケ島汽船(和歌山市)や市は9、10両日に被害を調べ、このまま桟橋を使うことは困難と判断。週内にも台風19号による被害の本格調査に入る方針だ。

市観光課は「今後の改修工事の工法や時期については地元と一から協議して考えたい」と話し、復旧には時間がかかる見通し。地元の同市加太観光協会の利光伸彦会長(48)は「以前から何度も改修工事を進めるよう市に要望してきた。台風で壊れる前に工事を完了していれば」と悔しがっている。

◇天空の城ラピュタ
スタジオジブリ製作の1986年公開の長編アニメーション映画。鉱山で働く少年パズーと、天空に浮かぶ都市ラピュタの王族の末裔(まつえい)シータの冒険を描く。ラピュタの城は何百年も無人だったという設定で、作品中ではコケに覆われツタが絡まるなど印象的な風景が描かれている。

横須賀沖の猿島が聖地化!ジブリの「ラピュタのよう」
神奈川県横須賀市沖の東京湾に浮かぶ無人島「猿島」が、スタジオジブリの人気映画「天空の城ラピュタ」を連想させるとして人気となっている。来島者の増加と景観や史跡保護のため、同市は来年4月から入園料を導入する方針を決めた。宮崎アニメの舞台や、似ている風景は観光地として人気が高く、同島も新たな聖地の一つとなりそうだ。

同島は周囲1・6キロで、島の半分が猿島公園となっている。同市の三笠桟橋から定期船(中学生以上往復1300円)で10分の距離だ。夏場の海水浴やバーベキューのほか、島内に旧日本軍の要塞(ようさい)跡や砲台跡が残されていることもあり、史跡めぐりが人気。自然豊かな緑や、レンガの要塞跡が「天空の城ラピュタの舞台のようだ」とインターネットなどで話題となり、じわじわと人気が出ている。

また、「仮面ライダー」の撮影にも使われており、ショッカーの基地があることでも知られている。来島者は2013年度が約11万人で、03年度の1・7倍となっている。同市の公園管理課によると、数年前からバーベキューの利用客数の制限をしているため「海水浴やバーベキュー以外の観光客が増えている」と見ている。

市は年間約3300万円(14年度)をかけて島の整備を行っているが、ガス・電気・水道はない無人島で、トイレは雨水の循環式。昨年の台風で、木が倒れ、根が張っていた史跡の一部が崩れたこともあり、より本格的な整備が必要となっている。

「70年以上手を入れていない植物の整備や、なにをするにも資材や機材を船で運ばなければいけない島の管理にはどうしても費用がかさむ」(同課担当者)として、入園料の徴収を検討。今夏、来島者にアンケートを取ったところ、約8割が100~300円の徴収に理解を示したため、11~12月に開催される定例議会へ議案として提出することに決めた。正式な料金は未定。

市では「自然や歴史に興味を持っていただき、観光客が増えるのはありがたいこと。受益者負担として入園料をお願いし、いい状態で保存をしていきたい」と話した。

◇ジブリ作品のモデルになったとされる場所
▼となりのトトロ(88年公開) 埼玉県所沢市から東京都東村山市にかけて広がる狭山丘陵
▼もののけ姫(97年公開) シシ神の住む森は、鹿児島県屋久島の白谷雲水峡
▼千と千尋の神隠し(01年公開) 公衆浴場「油屋」のモデルの一つが愛媛県の道後温泉本館。また、入りくんだ路地の風景は台湾北部の町・九分
▼崖の上のポニョ(08年公開) 港町の風景は、広島県福山市鞆の浦

1986年8月2日から東映洋画系の103館で公開された。
「ラピュタ」という名称はスウィフトの『ガリヴァー旅行記』に登場する、空を飛ぶ島にある王国「ラピュタ王国(en:Laputa)」からとったもの。劇中に空飛ぶ島の物語を空想した人物としてスウィフトの名前も出てくるが、名前の借用以外は『ガリヴァー旅行記』との関連はない。19世紀後半、産業革命期のヨーロッパを元にした架空世界での冒険を描く。

主題歌『君をのせて』
後に「となりのトトロ」や「魔女の宅急便」などの主題歌、挿入歌を担当することになる井上のジブリデビュー作。 また、2002年のDVD発売時に合わせ、石井竜也がアンサーソングとなる歌詞違いの『君をつれて』を発表すると共に、『君をのせて』のカバーもしている。

イメージソング - 『もしも空を飛べたら』
本編では未使用。公開当時、味の素から発売されていた炭酸入り清涼飲料水「ラピュタ」のCMソングであった。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 16
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

自然と人間の物語シリーズ

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 3回くらいは見てるかな。2時間ちょっと。
 とある作品を見たんですが、ストーリーの基本プロットがラピュタと同じだったので、その作品を語る前にラピュタの方を先に片付けることにしました。プロットが同じなだけで、中身が同じなわけではないんですけどね。ラピュタのレビューはそのうち書こうと思いながらも放置していたので、まぁいい機会かなと。
 他作品との関連について書くだけで、とりあえずは終わりにします。


ざっくりとした話から:{netabare}
 ラピュタは冒険譚なんですが、一般的な冒険譚とは違うところがあります。それは、冒険譚でありながらも成長譚ではないということ。
 パズーやシータは、最初から最後まで一貫した姿勢を見せています。彼らは要所で決断をしますが、その決断の前後において心的変化が描かれるわけではありません。彼らの決断は成長のためのものではなく、「何を優先するか」という優先順位の確定のために行われるものだと言えます。

 例えば、パズー。パズーは、一旦はシータの救出を諦めます。それは、シータの身を案じたからこその決断だったわけですが、ドーラの導きによりその決断が間違いであったことに気付きます。そして、シータを救出することを再決断する。

 これは、単なる決断の失敗とそのやり直しであって、成長による変化が描かれたわけではありません。「何が起こってもシータを守る」というパズーの中の優先順位を再確認しているだけです。決断の前後でパズーに心的変化が起こっていないわけですから、パズーは、決断前においてもパズーだし、決断後においてもやはりパズーです。最初から最後まで一貫したキャラクターなわけですから、成長譚ではないということです。

 では、成長譚の代わりにラピュタで描かれたのは何なのか。それが、宮崎駿監督お得意の「自然と人間の物語」です。
{/netabare}

自然と人間の物語①ラピュタ以外:{netabare}
 先立って、ラピュタ以外の「自然と人間の物語」について確認します。ここでいう他の作品とは、マンガ版ナウシカ・もののけ姫・ポニョのことです。

 この三作品の「人間と自然のせめぎ合い」の描かれ方は全く同じです。「人間の領域」があって、「自然の領域」があって、両者がせめぎ合う「中間の領域」がある。最終的には、自然側が爆発的に膨張して、人間の居場所がほとんどなくなってしまう。そして、その後の人間を示唆するという話。
 これを簡単にまとめますが、ポニョのレビューと同じ内容ですから、あちらを読んでいる方は飛ばして構いません。


 まずは、ナウシカから。
 「人間の領域」というのは、人間の居住地です。風の谷とか他の町とか。「自然の領域」は人間が踏み込めない腐海の深層です。そして、「中間の領域」が腐海の表層です。「中間の領域」である腐海の表層には、人間はマスクなしで踏み込めませんから、人間側が不利な状況にあるます。このせめぎ合いの構造が、大海嘯により一気に形勢が自然側に傾き、「人間の領域」が破壊されます。そして、自然に支配された世界になる。
 この結果、居場所を失った人間は、滅亡に向けた緩やかな衰退を始めます。

 次に、もののけ姫。
 「人間の領域」というのは、同じく人間の居住地です。たたら場とかアシタカがいた村とか。「自然の領域」は人間が入ると帰れないと伝えられるシシ神の森です。そして、「中間の領域」が戦場です。人間が自然を後退させるようにストーリーが展開しますが、シシ神による「死」の効果で状況は一転し、「人間の領域」が破壊されます。そして、シシ神の「生」の効果で世界は自然に満たされます。
 この結果、やはり人間の居場所が失われます。そして、アシタカを介して、自然(サン)と人間(エボシ)がそれぞれ譲歩をし、共存を模索するようになります。

 最後に、ポニョ。
 「人間の領域」というのは、人間の居住地である陸地です。「自然の領域」が人間が入り込めない深海です。そして、「中間の領域」が浅瀬です。浅瀬は海でありながらも、船が行き交い、人間のゴミが漂うという人間に浸食された場所です。ナウシカと違って、人間側が有利な状況にあるということです。ポニョの魔法により大津波が起こり、「人間の領域」が破壊されます。そして、海という自然に満ちた世界が誕生する。
 この結果、またまた人間の居場所が失われます。そして、子供たちに希望が託されます。


 表面的な描かれ方がどうであれ、この三作品がやっていることは変わりません。人間と自然の綱引き状態から、極端な自然優位の状況に変貌し、それと同時に人間の世界が破壊される。これだけです。その後の展開だけが、宮崎駿監督の思想の変化に伴って変わります。
 それは、ナウシカでの「人間死んじゃえエンド」であり、もののけ姫での「共存しようよエンド」であり、ポニョでの「がんばれ子供エンド」であるということです。

 ポニョは、ナウシカやもののけ姫と同じ構造の話なのに、「分かりにくい」の大合唱になってしまいました。これは、バトルという単純化された図式ではないために、人間と自然という対立軸が読み難くなっていることが一因だと思われます。
{/netabare}

自然と人間の物語②ラピュタ:{netabare}
 ラピュタも基本的には前項の三作品と同じ構造です。人間と自然がせめぎ合い、人間側が完敗する。では、具体的にどう描かれていたのかを見てみます。

 ラピュタにおける「人間の領域」というのは、人間の科学の結晶である「天空の城」です。ここでいう「天空の城」というのは、大地のもの(大木)を天空に持ち込んでしまうような「人間の科学技術」を指します。人間の居住地としては、既に滅んでいます。

 そして、「自然の領域」というのは、「大地」です。シータの「土に根を下ろし、風と共に生きよう。種と共に冬を越え、鳥と共に春を謳おう」や「どんなに恐ろしい武器を持っても、沢山のかわいそうなロボットを操っても、土から離れては生きられないのよ」というセリフに表れているものです。

 では、「中間の領域」とは、どこだったのか? これも「天空の城」です。
 ただ、ここでの「天空の城」は「人間の科学技術」のことではありません。「自然(大木)と科学(人工物)が融合した姿」を言います。


 ラピュタも前項の三作品と同じ、「人間と自然のせめぎ合い」なんですが、二つの特殊性があります。
 一つ目は、人間と自然が直接対立しないということです。科学を求めるムスカと、自然と生きることを望むシータという人間同士の争いとして描かれます。つまり、代理戦争であるということ。
 二つ目は、自然側の爆発的な膨張がないことです。ただただ「人間の領域」が崩壊するのみです。これは、「中間の領域」としての「天空の城」が、上昇していく大木(自然)と下降していく人工物(人間)に分離することに表れています。自然側にいない人間には、救いはありません。

 そして、これらの二つの特殊性が導いたのが「バルス」です。前項の三作品における「人間の領域」の崩壊というのは、人間の間接的な関与があったとしても、人間にとっては「想定外」でした。ですが、ラピュタにおける「人間の領域」の崩壊というのは、それが自然の代弁者であったとしても、「人間が主体的に」行っているということです。

 この「人間の領域」の崩壊において、なぜシータとパズーが救われたかというと、シータが自然とともに生きることを宣言し、パズーがそれに共感しているからです。これは、二人の救われ方にも表れています。シータとパズーは、木の根に引っかかることで落下を免れました。つまり、自然に寄り添う姿勢があれば、自然側が救ってくれるということです。地味な描かれ方ですが、これがラピュタにおける「自然と人間の物語」の結論です。
 そして二人は、「天空の城」を離れます。このときも、グライダーのような人工的な動力に頼らない乗り物を利用していました。「天空の城」からの脱出に、科学技術は相応しくないということでしょう。
{/netabare}

四作品の関連:{netabare}
 ポニョのレビューでは、比較のためにナウシカともののけ姫を引用しましたが、ラピュタに関しては一言も言及しませんでした。なぜ、ラピュタだけが別枠なのか、その理由をここで説明します。

 ナウシカ・もののけ姫・ポニョの三作品は、エンディングの差こそあれ、構造的には全く同じ展開をします。それは、この三作品のベースが共通であることを意味します。平たく言ってしまえば、もののけ姫やポニョは、ナウシカのアレンジバージョンに過ぎないということです。

 ですが、ラピュタは違います。
 ラピュタにおける人間側、すなわち、「人間の科学技術」の結晶としての「天空の城」は、人間の居住地としては一度滅びてしまっています。そして、一度滅亡を経験した人間が、「人間の科学技術」の復古を目論むムスカと、その崩壊を望むシータに分かれて代理戦争をする。
 この「人間が一度滅んでいること」がとても重要なのです。「人間のいない天空の城」というのは、極めて穏やかな場所です。生物も非生物も、人間がいなければ争うことはない。人間に対して滅亡願望を持つ宮崎駿監督の、理想郷ともいうべき場所です。
 この世界観というのは、ナウシカのエンディングの至る先にあるものです。緩やかな衰退の果てに、実際に人間が滅亡してしまった世界です。ナウシカのアレンジバージョンに過ぎなかったもののけ姫やポニョとは違い、ラピュタだけはナウシカの正当な続編に位置しているということです。

 宮崎駿監督の「自然と人間の物語」シリーズは、四作品ではなく、「3+1」作品というのが正しいと思います。アレンジ三作と続編一作。だから、ラピュタだけは別枠になるってことですね。
{/netabare}

おまけ:{netabare}
 ナウシカのエンディングというのは、「自然や命をないがしろにした人類は滅んじゃうかもよ」というものです。
 ラピュタのエンディングは、このナウシカエンドを裏から描いたものです。「自然や命を大切にする心があれば、きっと自然は助けてくれるよ」というもの。
 この思想をベースにしているからこそ、もののけ姫での「共存しようよエンド」エンドになるし、ポニョでの「がんばれ子供エンド」が出てくるってことですね。
 ラピュタは、ナウシカの続編ですが、思想的な結論はポニョですね。

 ただ、全ての作品において、人間の世界を破壊したいという宮崎駿監督の願望と、その実行が描かれていることは忘れてはいけないことだと思います。私たちは、シータやパズーに感情移入するのだとは思いますが、宮崎駿監督が見ている「人間」というのは、ムスカのことですからね。希望を託されているのは、子供だけで、大人は救済対象ではありません。


 なお、トトロも自然の大切さを伝える作品ではありますが、ベースは「母親の死」ですし、構造的にもこの四作品とは全く異なった作りになっています。「自然と人間の物語」シリーズには並列させない方が良いでしょうね。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 9

シェリー さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

終わりの始まり

 僕がこの作品を面白いと思う理由が2つある。
 1つは、ドキドキハラハラさせてくれる冒険性が誠見事に表現されていること。これは本作を観て面白いと思った人の共通した感想だと思う。だからまあ今更僕がこれを語ったところで何の面白味もないと思うのでここでは遠慮する。
 このレビューでぜひ主張したいのは2つめ。それは「夢の終わり」である。上で言ったようにこの作品の看板とも言うべき面白さは「冒険」つまり、「この先何があるのかわからない期待感」にあると言っていいと思う。少女が空から降ってきたり、追手から逃げたり、ドンパチであったり、高所サスペンスや"竜の巣"、"天空の城"などの言葉も含めてこれらの描写はとても刺激的であり、扇情的でさえある。実際に観ていると次第に鼓動は早くなり、体に力も入るし、鳥肌も立つ。感動がフィジカルを通して伝わってくる。こうした非日常的ファクターは何の苦もせず飲み込めるし、気づけばいつの間にか自分もラピュタを夢見ているのだ。そんな、控えめに言ってもド迫力のあるシーンがありながらもラストは決してハッピーエンドには落ち着かない。むしろそれは哀しみを残していった。
 ラピュタは少年少女の夢であると同時に、物欲に溺れた人間の自己顕示欲の具現化であり兵器であった。後者はもちろん否定される。ムスカはそれを見るための目を焼かれ地獄の業火に落とされた。実に良い気味である。では前者の夢は一体どこに?

 シータは言いました。「どんなに恐ろしい武器を持っても、たくさんの可哀想なロボットを操っても、土から離れては生きられないのよ」と。作中の人々がかつてラピュタを作ったのには色んな種類の理由があると思う。それは軍事的であったり、政治的であったり、誰かの私的なことであったりと様々なことを思い浮かべることができる。NASAが成し遂げた人類初の月面着陸が冷戦中のアメリカと旧ソ連にとって「アメリカ人が月に初めて行った」だけでは済まなかったように。でも僕はそんなややこしい理屈以前にそれを造ったのは、ただ純粋に空を飛びたかったからだと思う。さらにそこで暮らし一生を過ごしたかったのではないかとさえ思う。それはこどもの好奇心そのものなのだ。もし自分の背中に翼があったらと人は幾度となく想像してきた。自分達より上位の天使や神をキャンバスに描くとき、彼らには人の姿でありながら翼が生えた。空を飛ぶことは古来から叶うことない人の夢だった。時は経ち、文明と科学の発展により、あまり余った科学の力は良くも悪くもその具現化を成功させた。少なくとも当時の人々は、しばらくはその夢を掴んだ陶酔に浸りきったに違いない。人々は出来上がった夢に乗り込み、夢の中で生きた。けれどシータが言ったように、人がみなそうであるように、いつまでも夢の中にいることはできなかった。物理的な要因が大きかったのだろう。所詮、この夢の中では人は生きられないのだ。いいや、どんな夢の中でだって人は生きてはいけない。

 パズーにとって「ラピュタ」の存在は(それが実際にあるなしに関わらず)生きるための糧であった。そしてなによりも、不名誉を負って亡くなった父親の残した真実であり、パズーの誇りだった。その熱い想いはシータをも感化するほどだった。シータにとっては自分に隠された秘密であったし、長きに渡って守られてきたものでもあった。それにパズーが求めるならと彼女もついて行ったのだろう。そう、その存在を確信したラピュタに、2人は自分たちの意志でドーラの船に乗って行くことに決めたのだった。それが、誇りの証明であり、秘密の所以でもあり、夢の実現であったからだ。2人は実際にラピュタに行き着く。そこで2人は荒廃したラピュタの姿にいささか戸惑う。けれど絶望はしなかった。なにがその目に映ろうともそれがラピュタなのだから。それにまだそこに生き残った生命が優しく出迎えてくれた。ここはまだラピュタなのだと、そう言っているような気がした。

 夢は輝く。僕らの頭上で、または向こう岸に灯る緑色の光のようにひたすら輝き続ける。人に希望と活力、ときには絶望を与える。2人は心の中で初めて手にした夢の形を確認し、最後にその崩壊を選んだ。ここまで壮大に描かれたストーリーによって築かれてきたのにも関わらず、最後には石1つ残らないくらい跡形もなく消えてしまう。僕はここに魅力を感じずにはいられない。映画のラストシーンとしては申し分ないくらい派手で、かつピタリと締まる展開であった。だけれどもラピュタはそのすべてと共に消えてしまった。触れた瞬間に花が枯れるかのように。実体として残るものは何も無く、夢は独りで天高く昇っていき、後には見事なほどに何も残らなかった。終わりは始まりへと帰還した。そのことで世間のパズーの父の不名誉が変わるわけでも、なにか新たに獲得したものは何も無かった。ただ始まりと同じようにぼくらがまだ生きていただけだった。

 言わずともがな、目には見えない大切なものは彼らの心にしっかりと刻まれた。少年少女の苦労、挫折、困難、覚悟、短い間に彼らは生きる上で大切なとても豊かな経験をした。そして、この冒険で手にしたものの中でかけがえのない、パズーにとって最も大切なものとなったのはシータだった。シータにとってもパズーはそれに勝るとも劣らない大切な人となった。パズーにとってのシータ、シータにとってのパズー。苦しみを共に分かち合い、苦難を共に乗り越えた2人はなにものにも違うことはできなかった。握る手、抱きしめる体の温かさのひとつひとつがそのまま彼らの滋養となり、心の宝物となった。シータの秘密はその形を変えてパズーとふたりの秘密になった。眠っている猫を抱くように彼らは大切なものを胸の中にそっとしまい込んだ。2人は夢を遂げたのだ。
 パズーにとって亡くなった父の言葉とラピュタの真偽、さらにシータの血筋を仮に呪いと呼ぶのであれば、ラピュタに実際に行き、その崩壊を目にした彼らはそれらから完全に払拭された。まごうことなき自由の身であり、これからどこにでも行けるし、何にでもなれる可能性を秘めていた。つまり、彼らの人生はこれからだったのだ。人は生まれる場所を選ぶことはできず、先天的に与えられたものはそのほとんどを背負わざるを得ない。でも、もうすべては終わったのだ。解放されたのだ。2人の乗った風の吹くままに飛ぶ本体から切り離された見張り台は最後、ドーラたちと別れ夕闇にゆっくりと消えていく。自覚のない恋はいずれふたりが成長しそれを知るまで、最も信頼できる友人として互いを必要とし合い、辛いときには励まし合い、明るく晴れた日には共に笑ってくれるだろう。それはどこへ行こうと決して変わらない。たとえそれが地平線の彼方だろうと、ふたりはすでに幸せへの糸口を見つけたのだから。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 24

89.8 1890 DEATH NOTE-デスノート(TVアニメ動画)

2006年秋アニメ
★★★★★ 4.1 (2487)
12947人が棚に入れました
「そのノートに名前を書かれた人間は死ぬ」という力を持つ、死神が落とした恐るべきノート・デスノート。
天才的な頭脳を持ち、退屈を持て余していた高校生・夜神月(ヤガミ・ライト)がそれを拾った時から、すべては始まった。デスノートを使って、世の中に溢れる犯罪者たちに次々と死の制裁を下していく月(ライト)は、いつしか「キラ」と呼ばれるようになる。
果たして月=キラは、世界を救う救世主なのか。それとも独裁的な殺人者なのか。
キラを崇拝する者、その行為を否定する者。世界は大きく揺れ動いていく…。
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

2006年…

 テレビシリーズ全37話。このレビューで取り上げるのは第25話だけです。
 最近チラッと見ただけなんですが、もう10年近くになるんですね。驚きました。

 数多あるアニメの中で、我が家にホームステイしてきた留学生の一番人気がおそらくこれ。アニメ好きを自称する子からそうでない子まで、多くの子が見ている作品です。今いる留学生は両親もファンだと言っていました。アメリカでは、子供向けのカートゥーンではなく、アニメというジャンルを受け入れさせるくらいの大きな影響力をもたらした作品だ、とも聞いています。本当かどうかは知りませんけどね。そう指摘される作品は結構ありますから。

 アニメにおいては、宗教的なモチーフが使われることが結構あります。私が見た限り、デスノートのアニメ版はマンガ版を省略しながらも、非常に上手く再現していました。一方で、省略しながらも大幅に追加されていたのが第25話。その内容こそが宗教的なモチーフを取り入れることでした。


第25話の内容:{netabare}
 第25話は、ライトのライバルであるLが死亡する回です。おそらくここが第一部の終わりというべきところ。

 私はLが死ぬまでの第一部を「思考力はあるものの行動力に欠けるLが、思考力と行動力を併せ持つライトに負ける話」と整理しています。続く第二部は、「思考力と行動力を持つものの一人きりであるライトが、思考力と行動力をそれぞれ持つ二人組に負ける話」ですね。

 終わり方に関しては様々意見のあるところだとは思いますが、個人的には「足りない方が負ける」という一貫性に関して不満はありません。第二部ではライトを応援していた部分は少なからずありましたけどね。
 ライトが勝つ結末も描けたかもしれませんが、元々が少年誌での連載だったことを踏まえると少し難しいのかもしれません。マンガ版のラストがテレビ版にないのは結構不満かな。あれなくして終われないよね。
{/netabare}

第25話における宗教上のモチーフ①:{netabare}
 第25話には、ライトとLの二人が雨に濡れた後、Lがライトの足を拭いてあげるシーンがあります。見る人によってはなんだか気持ちが悪かったり、ホモホモしい感じを受けたりするかもしれません。私もそう思いました(笑)
 他人の足を拭くなんて、基本的にはあり得ないですよね。

 このシーンは新約聖書、つまりキリスト教から引用されたものです
 新約聖書には、最後の晩餐の直前に、イエスが弟子の足を洗うという話があります。弟子がイエスの足を洗う、のではなく、イエスが弟子の足を洗う、です。キリスト(救世主)であるイエスの謙遜と愛が表現されているらしいです。
 困惑する弟子たちに、イエスは「お互いの足を洗い合い、お互いに愛し合いなさい」と語ります。そして、弟子たちは互いに足を洗い合い、その後、最後の晩餐が始まります。イエスは、自身の肉と血としてパンと葡萄酒を分け与え、ユダの裏切りを指摘する、と展開します。
 
 完成度の高いマンガ版に、わざわざ追加してまで足を拭くシーンを描いたわけです。監督の意図が含まれているはずですから、それを探る必要があります。ここから察するLとライトの関係性は、「Lがイエスでライトが弟子」「Lとライトが弟子同士」の二通りです。
 前者も後者も検討してみましたが、結論としては前者に至りました。後者についてのレビューも用意したのですが、記載してもあまり意味がないと判断しましたので、前者だけを載せることにします。

 ちなみに、足を洗う話は新約聖書には他にもあります。ある女性がイエスの足を涙で濡らし、自身の髪でイエスの足を拭くというものです。第25話との類似性を指摘できるかもしれませんが、こちらは懺悔の意味合いが強そうですから、Lとライトの関係からは適切ではないと思います。
{/netabare}

第25話における宗教上のモチーフ②:{netabare}
 「Lがイエスでライトが弟子」とした場合。

 そうであっても、さすがに「Lがイエスとして神格化されている」と読むわけにはいかないと思います。「神格化」の程度にもよりますが、日本的な神様ならまだしも、キリスト教における神様には違和感があります。原作者もそこまで意図してはいないでしょうし、アニメ版の監督も同様だと思います。「ライトがLにとっての弟子だ」というのもありえないと思います。
 ですから、あくまでも裏切るライト(ユダ)と裏切られるL(イエス)の関係が軸になりそうです。

 「Lの謙遜とライトへの愛」が表現されていた、というのはあるかもしれませんね。Lにとっての唯一の友達がライトですから。
 イエスがユダの裏切りを指摘したのに引っ掛けて、「Lがライトの裏切りを確信した」というのもありそう。マッサージと称して手に力を入れていた描写や、髪の毛から落ちるしずくが涙として表現されていた描写を踏まえれば、十分すぎる論拠になります。
 血と肉を与えたというのが、この後のストーリーで「ライトがLの機能や立場を獲得する」に転換されるのも納得のできるところです。

 第25話には、教会や鐘の音、ミサの歌に「神様」が出てくることを含めて、宗教的な表現が多いです。これらは、この足を洗うシーンが宗教上の引用であることを気付いてもらうための布石だったのだと思います。
 マンガ版のこの辺りは、ライト・L・レムがそれぞれの心理戦を繰り広げていたために、非常にセリフが多いです。ここをダラダラとやらずに、モチーフを使ってスッキリと表現したわけですから、アニメ版監督のセンスを感じます。緊迫感が失われてしまった部分もありますが、不思議な余韻が残っていました。
 マンガ版にないシーンを追加したわけですからかなり気を使ったんだとは思いますが、後付けの域を超えての効果は出ていたんじゃないかな、と個人的には思います。
{/netabare}

マンガ版との関連:{netabare}
 マンガ版では、倒れ込んだLに「やはり私は間違ってなかったが…」というセリフが入ります。つまり、死のタイミングでライトがキラであることを再認したのです。でも、アニメ版にこのセリフはありません。そのまま息を引き取った。

 足を拭くシーンを入れたことで、Lによる「裏切りの指摘」を暗示したのであれば、ライトがキラであるという再認は前倒しされていたことになります。それならば、件のセリフを入れなかったことにも合点が行きます。セリフを入れてしまうと重複した表現になってしまい、蛇足になってしまいますからね。

 「Lの神格化」についてもちょっとだけ補足します。視聴者がマンガ版を読んでいることを前提にしているのならば、必ずしもこれを否定できません。
 マンガ版では、ワタリとLを殺したレムが、その死の際に「夜神月…死神をも殺すとは…死神を超えてる…」と言っています。マンガ版のライトが「死神を超えたもの」であることの対比として、アニメ版のLを「救世主」として描いていたのならば、非常に興味深い示唆を感じ取ることができます。

 私はマンガ版から入りましたが、改編にはあまり不満は感じませんでした。
{/netabare}

おまけ(英語でデスノ):{netabare}
 日本とは違い、宗教色が徹底して消されてしまうのがアメリカ。デスノではどうなっているのかを調べてみました。上記に関連して、主に「神様」に類する表現を見てみます。マンガとアニメの両方から引用しています。私が見せてもらったのは北米版だと思います。

 前提として、「God」と「god」の使い分けを確認しておきます。
 「God」はキリスト教を代表とした一神教の唯一神をいいますから、固有名詞のようなもので複数形はありません。冠詞も不要で、「God」と単体のまま使えばいいだけです。
 「god」は一般的な神様をいいますが、主に一神教以外の神様をいう場合に使われます。一般名詞ですから複数形もありますし、冠詞も必要です。日本の神様を言いたいときには「a/the god」や「(the)gods」となります。
 デスノの英訳マンガ版は全部大文字書かれていますから、冠詞の有無などでこれらを判別することになります。ヒアリングするときも同様です。


「死神」:{netabare}
 マンガ版でもアニメ版でも「shinigami」でした。「死神」という意味を持つ英語には「Death」や「Grim Reaper」がありますけど採用されていませんね。イメージが違うんでしょうか?
 「a/the Death God」という表現もありました。固有名詞だから大文字なだけで、冠詞が付いていますから「god」の方ですね。私の経験上ですが、一神教の人は「悪い神様もいる」って概念をあまり持っていない気がします。「a/the Death God」は「shinigami」の説明のためにチラッと登場しただけでした。
{/netabare}

「神の教えに従うべし…」:{netabare}
 アニメ版第1話だけにある英語の授業から。①が先生で、②がライトです。
―①「Listen for the voice of God then follow it...」
―②「Follow the teachings of God...」
 表現は違いますが、どちらも意味は一緒です。ここで「God」が使われているのは「教え」があるからでしょうね。戒律があるのは基本的には一神教です。
{/netabare}

「僕は新世界の神になる」:{netabare}
―「I will reign over a new world」(マンガ版第1話)
―「I'll become the god of this new world」(アニメ版第1話)
 マンガ版の方を直訳すると「新世界に君臨する」という感じですかね。「神になる」は、宗教にうるさいアメリカではいらぬ突っ込みを受ける可能性がありますから、基本的には使われないと聞いたことがあります。「英語的な表現」に変えられているようですね。ファンサブかもしれませんが、後ろに「as a god」を入れているものもありました。原作の表現に近づけようとしたのかな?
 一方、アニメ版は直接的な表現になっています。意訳を嫌う原作表現至上主義の人も多いらしいですから、そちらに配慮しているのかもしれませんね。近年はこちらの傾向が強いとも聞きました。

 ちなみに、アニメ版第25話の「僕は新世界の神だ」は、「I am the god of the new world」でした。ライトは「the god」になれても「God」にはなれませんでした。日本語では出てこない表現ですよね。
 この前のシーンで新約聖書を引用しているというのは上述の通りです。「神様」なら何でも一緒にしてしまう日本と、「God」と「god」が別物だと考えるアメリカの、宗教的文化的ミスマッチが顕著に出ています。
{/netabare}

ニアのセリフ:{netabare}
 マンガ版第105話のニアのセリフ。アニメ版ではカットされていました。デスノの英語版ウィキペディアには記載がありましたから、名言や結論として認識されているのかもしれません。
「何が正しいか正しくないか、何が正義か悪かなんて 誰にも分かりません」
―「Nobody can tell what is right and what is wrong, what is righteous and what is evil.」
「もし神がいて、神の教示があったとしても…」
―「Even if there is a god, and I had his teachings before me,」
「私は一考し、それが正しいか正しくないかは、自分で決めます」
―「I would think it through and decide if that was right or wrong myself.」
 「teachings」がありますから、アニメ版の「神の教えに従うべし…」のように「God」でも大丈夫な気がします。でもこちらでは「a god」を採用しています。やはりマンガ版は宗教色を消しているようですね。
{/netabare}
 同じ作品を同じ言語に翻訳しているのに表現が全く異なってしまうところがある、というのは少し意外ですよね。お国の事情というやつですかね。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 6
ネタバレ

アリス★彡 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

迷子の迷子の夜神くん

ジャンプ作品。

成分:心理戦 ピカレスク的な価値観 

全体的に反社会的です。
テーマ性とエンターテイメント性の釣り合いが取れていて、評価に値する作品だとは思います。
しかし、ピュアな価値観を持っている方や反社会的な内容が嫌いな方は視聴をおすすめしません。


■漫画からアニメへ

漫画の手法をそのままアニメに持ち込んでいるので、映像的な視点から行くと、安直すぎるのではないのでしょうか。特に主人公が周りの状況を語り口調で説明するところ。
それでも、ストーリー的には問題が無い気がします。映像的な視点です。

映像においての脚本技術について、語られたサイトにも説明口調で入るのはまずいと書いていますから(これについても色々と人によって意見が変わるので、一概には言えませんね。私の主観です)

■正義とは何か

作品では二つの正義が描かれています。一つは夜神月視点の弱者が被害にあっているのを見過ごせない、犯罪者は徹底的に裁くべきだという正義。それが法の範囲を超えても、「自身の正義に当てはまっていればそれでいいの」、という自己中心的な思考回路。

もう一つは、L視点の正義。捕まえるためなら、倫理的に問題がありそうなことでも(監禁したりだとか)犯す、秩序の維持のための正義。何事にも客観であり、どのような目的が合っても、ルールを破った者は、秩序を維持するために裁く、正に管理者の考え方ですね。(以下、秩序維持者とします。)


■分かりきってることなのに

真面目に生きている人間が損をして、悪人が得をする事が許せない夜神くん。
その考えは分からなくもないのですが、そんなことが世の中から無くなるわけ無いのですから、割り切ってそういった人間はほっとけばいいのに。

とはいっても、自己中心的な価値観の持ち主の夜神くんは、そういった世の中の既成事実を受け入れらない訳ですから、世界を自分の思い描くように改変しようと、デスノートを使い自分で悪人を裁き始めます。派手な事はせずに、「ここね」といった時のために取っておくという手もあるのに。
世界を自分の思い通りにするよりも、自分の見えている世界に入ってくる邪魔者を排除する方が効率的で楽なのに、そうはしないところが、夜神くんの自己中心的な所なのですよね。バレる確率も高くなってしまいますけれど。

要するに、夜神くんは、自分と違う価値観を受け入れられないのでしょう。邪魔者は排除している所を見ると、それが伺えます。

「自分のためには使わずに、世界のために力を振るっているんだ」
個人的に正しい事をしているつもりなのでしょうけれど、それが大衆における正義かどうかは分かりませんよ?
自分が正しい事だと思っていても、他人は違う考えを持っている事はありますからね。そういうことをするのなら、自分のためだと割り切りましょうね。

自分が不満に持っている事を国民もそう思っている事にすり替えて、正当化している夜神くん。作中でも、キラを支持する声が強くなってきます。実績を出したからでしょうね。
国民にとっては、犯罪率を減らせない国家よりも、犯罪率を減らせるキラの方が支持しやすいのでしょうね。そういうところが、キラの考えを正当化していると思われてもおかしくないですけれど。

謎の方法を使って、人を殺している犯罪者を支持しますか?
例え、殺しているのが犯罪者でも、演出で正当化していたとしても、人によって変わりますよね。

夜神くんのキャラクターを観ていると、デスノートを支持する理由として、「社会的に不満を持っていて、それが解消されるから観ている」という理由もありそうです。夜神くんの価値観が徹底的に正当化されていますからね。

ジャンプ作品の中では、邪道だと言われていますが、その理由は夜神くんの価値観を観れば分かりますよね。ジャンプ作品は子供向けの悪影響を及ぼさない作品が掲載されるべきなのでしょうが、反社会的な考えを正当化しているために、邪道と呼ばれているのでしょう。人は理不尽に死ぬし、友情、勝利、努力は無いに等しいです。勝利だけはありますけれどね。

■秩序維持者としてのL

Lのキラへの考え方を簡潔を説明するとこうです。

どんな方法であれ、人を裁くの法であり、決して個人の主観で決めてはいけません。ましてやキラの考え方は、「痴漢しただけで死刑」などといったやり過ぎの領域に入っていきます。
よくいますよね。悪口を言われたくらいで、殴りそうになったり、いじめようとする人。キラはあの考え方にそっくりなんですよね。
キラは何でもかんでも死刑で済ませてしまう罪の重さも計れない人間。
新世界の神になるといったフレーズ。新世界を作るという表現がピッタリですよね。もしも、そんなやり過ぎがまかり通る世界が来たのなら、それはもう新世界ですよね。

ともあれ、ゲームプレイヤーとしては超一流なので、どうしても意識してしまいます。

■Lもやり過ぎてしまいます

監禁してしまいます。結局、作者がリアリストであったためなのか、Lは夜神と対抗するためには、監禁という犯罪的な手段を使うしか無くなり、やり過ぎてしまいます。

殺し合いには、道徳なんてもの必要ないと言った作者の価値観が伺えます。
そういうところが、デスノートの魅力であって、好みの分かれるポイントなのでしょうね。

こういう所が、Lの秩序維持者を描き出しているシーンなのですよね。秩序のためなら無感情になれる。傍から見ると、女の子を監禁しているのが正義なのかどうかは、疑問が湧く所なのでしょうね。少なからず、正義だと言う人もいますし、やり過ぎだと捉える方もいると思います。

無感情、事件の事以外は無頓着。そういったキャラクターです。


■トリックの上手さ

子供っぽい価値観の持ち主の夜神くん。
それでも、トリックだけは上手いのです。

デスノートの魅力はここだと言ってもいいくらい。
{netabare} 電車の中で、FBIの職員を一気にデスノートを使って殺害する{/netabare}シーンは圧巻でしたね。

演出やストーリーの面で行くと、確かに過小評価というタグは頷けます。



逆に、Lとの決着のシーンは、静けさがあって、映画と比べると盛り上がりに欠けるという意見もあります。かといって、悪いというわけでもなく、あの静かな演出は味のあって芸術的です。色々と意見がありますが、私は後者の方です。
{netabare}
■ニアとメロ

この辺りから夜神くんが、天狗になって攻められる立場になります。Lを殺害するまでの過程は、策略家だとは思えるのですけれど、ニアとメロの下りからは自分が上の立場にいるためか、油断する事が多い印象です。

ニアは、行動するよりも部屋で黙って考えていることが多いです。派手な事はせずに地味な手段で、夜神に近寄ります。
一方、メロは、ニアとは対極と言っていいほど、行動します。不良の子は行動力があると言いますが、メロは正にその例に当てはまります。

野蛮な格好が出来たり、強気な姿勢で望めるという不良の特性を生かして、行動しているところは流石です。それでも、法律を守るという考えは彼の頭の中には無いのでしょうか。



やっぱりこの作品って反社会的な人...多いです。
メロについては、不良的なアレなので当たり前なのですが。

そんな感想はさておき。
メロの行動力が夜神くんの計算を追い詰めます。


メロとニアの活躍を描くために、夜神くんの活躍が削られたのでしょうか。
夜神くんの方が有利だったために、どうしても二人が目立ってしまいました。
天才(夜神)と天才(L)が戦う話に魅力があったのに、一方的なゲーム展開になったのは残念です。

もう一つだけ。
ニアはLに比べてあんまり行動しませんから、どうしても話が面白くなくなっている気がします。Lの唐突な行動が視聴者を惹きつける展開となり得たのに。
その役目はメロにあたるのでしょうが、メロは途中でリタイアしてしまいますしね。
{/netabare}

■報い
{netabare}
夜神くんの価値観を正当化させていたので、最後は夜神くんが勝つのかな、と思っていました。ちゃんと夜神くんに報いを受けさせてくれて良かったです。
夜神くんが思ったこと(真面目に生きている人間が損をして、悪人が得をする事が許せない)は嫉妬して、ありうることでしょう。
それでも、社会ではそういう感情を我慢して相手に従わなければ、合わせないといけない事があるという事をちゃんと描けています。

「それが嫌だから、新世界を作るんだ」
そういう夜神くんの妄想もしっかりと打ち破っています。最後は死神が夜神くんの命を奪いますが、味方に裏切られることも、現実味を感じてグッドです。
{/netabare}


■コードギアスと対比してみると

コードギアスのラストは、デスノートとは違って、ルルーシュの思い描く通りになってしまいます。コードギアスの方が、反社会的な価値観を正当化するのには適している作品ですよね。

私は、ギアスの方が好きだったりします...。キャラクターがかっこいいから、と言われれば否定は出来ないのですが。
どうしても、そういう世界、理想の世界に憧れてしまうのでしょうね。私って。

■スピンオフはいらなかったです。(関係ないこと)

映画の話になりますが、Lのスピンオフは蛇足でしか無かったです。
作風もデスノートとは違いますし、本当にスターシステムは嫌いです。

■総評

昔は好きだった作品です。ちょっと夜神くんに共感が出来なくなってきたからかな...。
心理戦が味噌。少年ジャンプに連載されていたことと、夜神くんの自己中心さを考えれば、少年向けに売り出そうとした事は分かります。Lの価値観も、作者の価値観が表れていますからね。編集者の意向は分からないものの、結果的に大人の層にまでヒットしてる上に、最後で現実味のあるラストを迎えているので、後半にさえ目を向けなければ、大人の方にもおすすめしたい作品です。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 29
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

竜頭蛇尾。一世を風靡した有名作だけど、既に賞味期限切れかも。

アニメ作品は全37話で、人気を博した原作マンガと細部に若干の違いを残しながらも基本プロットはちゃんと共通しつつ完結してる感じなのですが、

(1) 前半の第15話までは作画は悪いながらもシナリオ自体は緊迫感があって面白かったのに、
(2) そこからシナリオも急に崩れ始めて、第25話で大きな動きがあって第一部を終わり、
(3) その後の第27話から先は、5年後の話(第二部)に切り替わって色々とシナリオの粗を挟みつつ結末まで駆け足で進行する、

・・・という展開となっています。

主人公&ライバルが、どちらも「幼稚で負けず嫌い」の自信家で、凄く中二病っぱいところは面白くて良かったんですが、本作の場合はヒロインがかなりの残念キャラなので(※第12話で{netabare}「ダメだコイツ、早く何とかしないと。」{/netabare}という主人公の少年の有名セリフが出てきます)、どうしても個人的な評価は下がってしまいます。

もし「一流の中二病作品」というのがあるとしたら、本作の場合は第15話まではそれに当て嵌まるのかも知れないけれど、それ以降は二流かな(そういう意味でレビュータイトルに「竜頭蛇尾」と入れました)。

あと主人公が、自分の保身のために{netabare}途中(※第4話)から犯罪者以外もどんどん殺害{/netabare}していっちゃうのは流石に観ていて気持ちのいいものではありませんし、そういう意味で基本設定は面白くとも細部の詰めが随分甘い作品・・・という印象が強く残りました。

人気マンガをアニメ化&実写化の2本建てで映像化すると、大抵の場合はアニメ版の方が出来が良くなるものですが、本作の場合は珍しく実写版の方が出来が良くなった例かも知れませんね。


◆制作情報
{netabare}
原作マンガ      大場つぐみ(シナリオ)小畑健(作画)(『週刊少年ジャンプ』2003年12月-2006年5月連載)
監督         荒木哲郎
シリーズ構成     井上敏樹
キャラクターデザイン 北尾勝
音楽         平野義久、タニウチヒデキ
アニメーション制作  MADHOUSE{/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

========= DEATH NOTE -デスノート- (2006年10月-2007年6月) ========

 - - - - - - - 第一部 - - - - - - -
  ^^^^^^^^^^^^^^^^^ OP「the WORLD」、ED「アルミナ」 ^^^^^^^^^^^^^^^^
{netabare}
第1話 新生 ★ 夜神月(やがみライト)、DEATH NOTE、リュークとの出会い
第2話 対決  ★ 救世主キラ伝説、Lのテレビ発言
第3話 取引  ☆ 捜査局長(夜神総一郎)、ライトの挑戦、尾行者、死神の眼の値段
第4話 追跡  ★ キラの実験、バスジャック事件、DEATH NOTEに狂いなし
第5話 駆引  ★ FBI捜査官レイ・ペンバー、FBI捜査官一斉殺害、捜査本部の残留者 
第6話 綻び ★ Lの素顔、キラとLの推理戦、ライトと南空ナオミの接触
第7話 曇天 ★ 偽名、元FBI捜査官南空ナオミ殺害 ※ラストの演出がいまいち×
第8話 目線 ★ 夜神家への監視モニター設置、アリバイ作り ※演出は×
第9話 接触  ★ 東応大学入試試験、入学式、「私はLです」、‘流河旱樹’の罠、知恵比べ開始
第10話 疑惑 ☆ 親睦テニス、相互プロファイリングと心理戦、局長の心臓発作 
第11話 突入 ☆ さくらTV(キラのメッセージ報道)、宇喜多捜査官死亡、警察の拒絶 、第2のキラ(弥海砂)登場 ※脚本が唐突×
第12話 恋心 ★ ライトの捜査協力、死神の眼を持つ第2のキラ、弥海砂(あまね・みさ)とレム、死神を殺す方法
第13話 告白 ★ キラ青山誘い出し、弥海砂のキラ特定、押しかけ・弥海砂の事情
第14話 友達 ★ レムへのL殺害依頼
第15話 賭け ★ 海砂身ばれ・拘束、海砂を救出する唯一の方法 ※脚本そのものはイマイチ
第16話 決断 × DEATH NOTE所有権放棄、ライト監禁 ※これだけ長期間の3人監禁は無謀
第17話 執行 × 迫真の演技、ヨツバ・グループ登場 ※50日も監禁でLは何のお咎めなしは無理 
第18話 仲間 ☆ 警察とヨツバ・キラの取引、Lの新体制、アイバー/ウェディ登場 
第19話 松田 ☆ ヨツバ・ブループ内偵{/netabare} 

  ^^^^^^^^^^^ OP「What's up, people?! 」、ED「絶望ビリー」 ^^^^^^^^^^^
{netabare}
第20話 姑息 ☆ 続き
第21話 活躍 ★ 続き、ヨツバ・キラの正体(ミサミサ大活躍)
第22話 誘導 ☆ 続き
第23話 狂騒 ☆ 続き、車中の謎会話(火口-レム)、死神との取引
第24話 復活 ★ 火口逮捕。死神の可視化、記憶回復、ライトの秘策(種明かし)
第25話 沈黙 ☆ L最後の挑戦?、ワタリ死亡、L死亡、レム死亡、新世界の神
第26話 再生 ☆ ※13分過ぎまで総集編、その後新展開(L成り替わり、新世界の創生へ)、真のLを継ぐ者{/netabare}

 - - - - - - - 第二部 - - - - - - -
{netabare}
第27話 誘拐 ★ 2012年(5年後)、警察庁長官誘拐、FBIの接触、ニアとメロ、妹(粧裕(さゆ))誘拐、SPKのN
第28話 焦燥 ★ Nとの操作協力、L.A.渡航便ジャック、誘拐犯の要求、妹とNOTEの交換、メロのゲーム
第29話 父親 ☆ 死神シドウ、夜神次長と死神の取引、メロとの対決、次長死亡
第30話 正義 × 偽のルール、Nとライトの心理戦、相沢の裏切り 
第31話 移譲 × 魅上輝
第32話 選択 ☆
第33話 嘲笑 ☆
第34話 虎視 ☆ 
第35話 殺意 × メロ殺害、高田殺害
第36話 1.28 ☆
第37話 新世界 ☆ ライト死亡 ※ED「Coda〜Death note」{/netabare}
--------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)16、☆(並回)16、×(疑問回)5 個人評価 × 3.4


====== DEATH NOTE -デスノート- リライト (2006年7月、2008年8月) =====
{netabare}
リライト  幻視する神 ※OP「アルミナ」、挿入歌「絶望ビリー」
リライト2 Lを継ぐ者 ※OPなし、ED「ライトの演技」
{/netabare}
--------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)0、☆(並回)0、×(疑問回)0 個人評価 ※未視聴

投稿 : 2025/01/04
♥ : 26

89.7 1890 ちはやふる2(TVアニメ動画)

2013年冬アニメ
★★★★★ 4.2 (2237)
11626人が棚に入れました
春。瑞沢高校のかるた部5人は新入部員の獲得に励んでいた。しかし、入部届けを出しに来たのは太一目当てのかるた初心者の女子ばかり、中でも花野菫は太一に積極的な様子。千早はかるた強豪校になるためと言い放ち、自ら教育係をかってでる。(第一話)

声優・キャラクター
瀬戸麻沙美、細谷佳正、宮野真守、茅野愛衣、奈良徹、代永翼、入野自由、潘めぐみ
ネタバレ

泉 時雨@ゆーたくん さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

田子の浦に うち出てて見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ

※平均満足度は全話放送してから評価します

原作最新刊まで積読済み。(原作から大ファンです^^)

これまた、2クールで放送らしいですね!
嬉しい嬉しい。。

本当に2期ありがたいです。。

リアルタイムで見たかったのですが放送されない地域に私は住んでいるので、
配信されているもので視聴という形になりそうです;;

見れるだけ幸せですよね^^;

個人的に新が大好きすぎるんで、太一も好きですが、{netabare}新と千早が結ばれるの{/netabare}を願っていますw
黒髪メガネほど、私の理想はいません。
edの新の格好なんかかっこよすぎて毎回やられますよ。

~15話「たごのうらに」~
「田子の浦に うち出てて見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ」
意味;田子の浦の海岸に出てみると、雪をかぶった真っ白な富士の山が見事に見えるが、その高い峰には、今しきりに雪がふり続けている。(あぁ、なんと素晴らしい景色なのだろう。)

{netabare}しのぶちゃんええなぁ。
あの孤独感・・

やはり、なにか欠点というか、
「独り」を感じさせるキャラって、応援したくなるんですよね。

それは新も一緒で。
だからといって2人とも本当はいい子^^

なので好きになるんですよね。

試合はとうとう富士崎です。
山ちゃ~ん!w
山城理音ちゃんも、好きなキャラの一人なので、
やっと!という感じで嬉しいです♪{/netabare}

今回は季節の歌!
百人一首って恋の歌が多いんですよね、
なので季節の歌が好きだったりします。

「たごのうらに」はリズムが好きで、
私が好きな歌の一つですね~


~14話「ものやおもふと ひとのとふまで」~
「忍ぶれど 色に出てにけり わが恋は 物や思ふど 人の問ふまで」
意味;人に知られまいと恋をしている思いを隠していたけれど、とうとう隠しきれずに顔色に出てしまったことだ、何か物思いをしているのではと、人が尋ねるほどまでに。

{netabare}我慢するんだ私・・イライラを抑えろ!
ってことでかなりイライラしちゃった回でした。

まず、個人的な意見だけど明石第一女子が負けたこと。
そして一番イラッと来たのが太一の行動なんですよね~

千早の手を触ったことです。
好きな女子といっても普通手触ります?
あんなにベタベタしすぎてるのに新が羨ましいって欲張りすぎんだよ、おい。

少し言いすぎましたが本当に2期に入ってから
どんどんどんどん太一と千早の好感度が本当に下がっていく一方なんです。

唯一の助けというとめぐむちゃんと千早の試合では
めぐむちゃんが勝ったことでしょうか。

少し原作を読んで気分を落ち着けましょうかねw
批評だけど、原作を読んでて愛があるからこそなんです、許してください。

今回はしのぶちゃんの歌でもある恋の歌ですね。
しのぶちゃんっていいですよね。
悪そうに見えて本当はすごくいい子で応援したくなります。
千早や太一とは逆に、2期に入って好感度上がってるキャラですねw{/netabare}


~13話「ゆめのかよひぢ ひとめよくらむ」~
「住の江の 岸による波 よるさへや 夢の通ひ路 人目よくらむ」
意味;住の江の岸に打ち寄せる波のように(いつもあなたに会いたいのだが)、どうして夜の夢の中でさえ、あなたは人目をはばかって会ってはくれないのだろう。

{netabare}今回の話を見て改めて思いました。
漫画だと自分のペースで早く進みたい時は進めてゆっくり進みたい時はゆっくり読んで・・ですが、
アニメだとそういうわけには行かず、自分のペースで次の展開へ進めないのでちょっと嫌ですね。

私はめぐむちゃんとの試合はすぐに読みましたが、
アニメ版だと3話に分けてやるので。。

それに原作の時より千早たちの方が味方につけてる感があるし。
ちはやふるの魅力は味方や敵や関係なしに
どちらとも応援したくなるというものなんですが。

自分の場合、めぐむちゃんと重なる点があるし
千早みたいな天才がたは少し苦手で・・
なのでめぐむちゃんを応援してますw

でもだからといって私も才能がない努力タイプだけど
太一みたいな人もあんまり好きじゃなくて。

結局なんと言えばいいかわからないけど、
もう1度言いますととにかくめぐむちゃんを応援します、はいw

仲間に支えられるっていいですね^^

今回の歌「すみのえの」、私が好きな歌の一つなので嬉しいです!{/netabare}


~12話「みそぎぞなつの しるしなりける」~
「風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける」
意味;風がそよそよとならの葉を吹きわたるこの奈良の小川の夕方は、(もうすっかりと秋のような気配だが)川辺のみそぎはらいを見ると、まだ夏であるのだなぁ。

{netabare}とうとうこの試合が来ました。
新キャラの声がたくさんあってこれからが気になるところですね。

めぐむの声が原作ファンの私から見たら、
少し意外な声でしたね。

もっと暗めな大人っぽいしのぶちゃんみたいな声かと思っていました。
だけどそれとは違う明るめな子供っぽい声でした。

あれでしょうか天然というところからかな?
まぁ、これはこれでいいと思います^^

次回にもめぐむとの試合続きます。
そしてそしてもうすぐ決勝戦!

今回の話のうたはかなちゃんが言った「風そよぐ」でしたね。
ちなみに、歌の意味の禊祓(みそぎはらい)とは
禊と祓を合わせた用語で
ともに神道において禁忌とされる罪や汚れを除去して心身を清める行為です。{/netabare}


~11話「さしもしらじな もゆるおもいを」~
「かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな もゆる思いを」
意味;これほどあなたを思っているということさえ打ち明けることができずにいるのですから、ましてや伊吹山のさしも草が燃えるように、私の思いもこんなに激しく燃えているとは、あなたは知らないことでしょう。

{netabare}京都の学校の時の試合の読み手さん、
声優さんがしてるから上手じゃないなと思い込んでたら、
EDの時かるた会の人が読んでいると知りました。

なんだか申し訳ないですね^^;
声優じゃなくてもアニメの中で声の出演があるんだなと知り、びっくりしました。

今回は本当に机くんがかっこよかった。
菫ちゃんのデータからあんなにも分かるなんてさすがといったところでしょうか。

奏ちゃん絶対惚れますよね、
かるた部のみんなもてそうな人ばかりだ・・顔だけで判断しちゃダメだね。。;

そしてそしてついに恵ちゃんとの対戦の時が来ました!
次回が楽しみだなぁ^^{/netabare}


~10話「むらさめの」~
「村雨の 霧もまだひぬ まきの葉に 霧立のぼる 秋の夕暮れ」
意味;あわただしく通り過ぎたにわか雨が残した露もまだ乾ききらないのに、槇の葉にはもう露が立ちのぼっていく秋の夕暮れである。(なんとももの寂しいことではないか)

{netabare}かるたは確かに暗記の得意な人に向いてるのかもしれない。
だけど、かるたは暗記だけじゃ・頭だけじゃできない競技。
耳とからだもあってこその競技。

太一も昔そうだったけど、みんなに体があるってことを教えてもらった。
そうだよね。

また、新としのぶちゃんのお話もありました。
頭一緒に下げていたところを見て、新は大事なライバルなんでしょう。

しのぶちゃんは、自分だけしか見てないようで、意外に周りを見てます。
そういうところに私は魅力を感じてひかれます^^

その時のことを菫は話そうとしましたが、
途中で太一が止めました。

試合の最初に新が来てるから「もっと頑張る」って言ってたのに
なんで新のことを話すと集中しなくなるって思うんだろう。

太一って本当に千早と新を引き離そうとしてる。
気づいてないと思うけど、きっと嫉妬も入ってるんだろうね。

それにしても、かなちゃんの札の取り方・覚えた方は独特です。
例えば、女性の歌は残り○枚・この人が歌ったのはこことここにある。。
相手も苦戦しそうです;

その時のシーンに、右近の歌や意味も出てきて嬉しかったですw

今回の歌の季節は秋ですが、雨ということで「むらさめの」になったんでしょうね、たぶん。{/netabare}


~9話「わたのはら」~
「わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣り舟」
意味;はるか大海原を多くの島々目指して漕ぎ出して行ったと、都にいる親しい人に告げてくれないか、そこの釣船の漁夫よ。

{netabare}「わたのはら」ということで今回は新くんのお話です。

知り合いを助けるため、ほかの学校のメンバーになりすまし団体戦に出場しました・・が
最後には不正ということで出場停止になるかもしれないと言われます・・

新って自分の信念はちゃんと持っているけど、
お人よしというか優しいですよね。

そういうところにもキャラとしてひかれます^^

また、出場停止と言われましたが
団体戦に出て昔のことを思い出し、いい経験になったと思うんですよね。
団体戦なんてとまわりは言うけれど、
それもそれでいいものじゃないでしょうか。

あの頃の気持ちを忘れずにいて欲しいですね。

久しぶりに新新!の回だったので、新ファンとしては嬉しいです♪
相変わらずイケメンすぎて眩しいよ・・w{/netabare}


~8話「みかさのやまに いでしつきかも」~
「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」
意味;大空を振り仰いで眺めると、美しい月が出ているが、あの月はきっと故郷である春日の三笠の山に出た月と同じ月だろう。

{netabare}今回のお話原作から大好きだったのでアニメで再登場してくれて嬉しいです^^
思わず、涙も出ましたw

黒人さんは可愛かったり、女の人は恋の歌が好きだったり、
肉まんくんの対戦相手の人は感じが良かったり。。

みんな日本で育って普通にかるたを好きになって。。
千早たちと同じかるたバカなんです^^

こうやって、試合で交流したり高め合ったりできるんだなぁって思いました。
かるたってやっぱりいいなぁって思いますね。

それから、試合終わったあとに千早たちが英語で「またいっしょにかるたをしよう」。
涙が止まりませんでした。

最後は新としのぶちゃんが再会。
これからどうなるこやらやら・・

・・それにしても、新の福井弁いいわぁw{/netabare}


~7話「しるもしらぬも あふさかのせき」~
「これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関」
意味;これがあの有名な、下って行く人も都へ帰る人も、ここで別れてはまたここで会い、知っている人も知らない人も、またここで出会うという逢坂の関なのだなぁ。

{netabare}お姉ちゃん久しぶりに登場!
ちはやの姉ってひどいこといつも言うけど、
なにげに優しいですよね^^

人の言うことなんて気にせずに、
お姉ちゃんもお仕事頑張って欲しいですね!

また、相変わらず太一の思いは届かないようです。。

太一も悪い時に遭遇しちゃって・・
太一好きなんですけど・・やはり新とがいいなw

すみれちゃんは相変わらず腹黒くて、太一大好き女子でした。
メイクをしていない菫はイメージがかなり変わりますよね。

だけど、原作のメイクなし菫よりアニメの方が可愛いくなってましたw
これなら普通に可愛い女の子だと思いますよ^^

そういえば、吹奏楽部に上の階の部屋を譲った時に、
お礼として校歌演奏してる時ありましたよね。
私は元吹部で途中でやめちゃった人ですが、
今でも吹奏楽が好きだったりするので、
あのシーンは毎回見るたび「部活最初の頃は楽しかったな。。」なんて少し涙が出てしまいます。

もう一度楽器を吹きたいものです^^;

今回の一首は、新とのことでしょうか。
全国大会が開かれるこの近江神宮でまた会える、という解釈だと思いますw{/netabare}


~6話「たつたのかわの にしきなりけり」~
「あらし吹く 三室の山の もみじ葉は 竜田の川の 錦なりけり」
意味;嵐が吹き散らした三室の山の紅葉の葉が、龍田川に一面に散っているが、まるで錦の織物のように美しいではないか。

{netabare}どっちもいい人ばかりでかるたが好きで頑張ってきた人達だから、
「みんながんばれ!」って思いながら応援してましたw

結局は北央が団体戦の作戦、札分けで勝ちましたが、納得のいかない勝ち方だったようです。。
須藤さんは「東京で一番になれないなら全国で一番になれ」と。

やっぱり、須藤さんはかっこいいなぁ。
意地悪で怖いけど、こういう時みんなを引っ張っていてすごいなぁと思います。

続き知ってる人だけ↓
{netabare}私は全国大会の結果もしってるわけなので、結果のこと考えると北央にもっと勝ってほしいわけなんですよ・・
だから、正直言うと北央の方も応援したいというか。。
いつの間にか、みずさわより北央を応援したくなる私でした^^;{/netabare}

北央最高!最後出てきた新のネクタイ姿最高!w{/netabare}


~5話「なほあまりある むかしなりけり」~
「ももしきや 古き軒端の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり」
意味;御所の古びた斬端のしのぶ草を見るにつけ、昔が懐かしく思われて、いくら偲んでも偲びきれないことだ。

{netabare}手抜きたくなるよね・・うんうん。
少し、あまかす君の気持ちがわかりますよ。
それに、もう優勝は決まっているし、最小限のチカラで勝てればいいと。

でも、ヒョロくんはわざとオーダーはガチの勝負になるようにしました。
その時言った「東京で一番強いのは北央学園、なによりそれを俺が見たいんだ!」・・

このシーンでヒョロ君かっこいいなと思い、ヒョロ君を応援したくなったのを覚えてます^^
私が今まで見た中では一番のヒョロ君名言だと。。w

北央学園は敵だけど、やっぱり応援したくなる学校の一つなんですよ・・
早くヒョロ君にはA級になってほしいですね;;

それにしても、須藤先輩のあのオーラは怖いなぁ・・
あぁ、でもかっこいい!
登場した瞬間一瞬にやけました・・ニヤニヤ{/netabare}

少し涙が出てくる青春青春で眩しい回でした^^


~4話「ひとにはつげよ あまのつりぶね」~
「わたの原 八十島かけて 漕ぎ出ぬと 人には告げよ 海人の釣り舟」
意味;はるか大海原を多くの島々目指して漕ぎ出して行ったと、都にいる親しい人に告げてくれないか、そこの釣船の漁夫よ。

{netabare}太一は、自分には運ではなく実力がないんだと重い自分を責め込みました。ただ、運がないだけなのに。
そのせいか、努力に嘲笑われ才能がないんだと思ってしまう。

少し、わかるかもしれません。
私は太一みたいに努力家なわけではないんですが、
なにもかもができなくて、出来る人に馬鹿にされくじけそうになった時ありました。
本当に、自分には才能がないんだと思うんですよね。。

でも、きっと努力は報われると思います。
というより才能があったとしても努力って大事ですよね、努力があるから伸びるものだし。
太一頑張れ!

「団体戦は個人戦、個人戦は団体戦」。。
私が好きな原田先生の言葉の一つがやっと出てきて嬉しかったです^^
原田先生は本当に深いこと言いますね~。
こんな先生に私もであってみたいですよ!

・・それにしても、新のケータイピンクだとは知ってましたが、
待ち受け画面見て思いました。。それ女子もんじゃないですか!?{/netabare}


~3話「つくばねの」~
「筑波嶺の 峰より落つる みなの川 恋ぞ積もりて 淵となりぬる」
意味;筑波山の峯から流れてくるみなの川も、(最初は小さなせせらぎほどだが)やがては深い淵をつくるように、私の恋もしだいに積もり、今では淵のように深いものとなってしまった。

{netabare}すごくわかります、対戦相手が強いとかなり焦りますよね。
だけど、となりには対戦相手よりも強い先輩たちがいるからがんばれたんですよね。

先輩がいるからこそ頑張れて、後輩がいるからこそ頑張れる。
団体戦を見てるとすごく伝わってきました。
筑波くんと一緒に私も涙出ちゃいましたよ!

また、最後にしのぶちゃんも出てきました。
新が戻ってきたことによって、しのぶちゃんや千早たちかるた部はますます熱くなりそうです。

予選はまだ始まったばかり!{/netabare}

歌は恋の歌だったんですね、初めて知りました^^


~2話「こひすてふ」~
「恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか」
意味:わたしが恋をしているという噂が、もう世間の人たちの間には広まってしまったようだ。人には知られないよう、密かに思いはじめたばかりなのに。

{netabare}後輩の世話はかなりめんどくさいみたいですね^^;
でも、かるたに興味を持ってくれる人が増えていくのはみんな嬉しいみたいです。

これで、かるた部は新しく2人が入って7人に増えました!
さらに騒がしくなりそうですねw

その新入部員の一人、菫はかるたではなく真島を狙って入ったみたいです。
で、ついうっかりみんなの前でそれを言ってしまいました。
歌はそのことを表現したものでしょうね。

私も好きな人がいたことありますが、いつもバレて終わっちゃうって感じでした^^;

でも、菫は奏ちゃんの説得の上で前に進むことができたようです。
頑張れ菫ちゃん!w{/netabare}


~1話「はなのいろは」~
「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」
意味:美しかった花(桜)の色はむなしく色あせてしまったのですね。むなしく世を過ごしている間に自分の顔かたちも衰えてしまった。

{netabare}1期の続きで2期は、高校2年生になるところから始まりました^^

後輩もでき、楽しくなると思いきや、すれ違いが生じましたね。
でも、千早のかるた好きの思いで解決したようです。

それに、千早が太一に言った一言で太一も動きだしましたよ!
あのシーンでも太一の千早への思いを感じました。
(がんばれ太一!・・だけど、私は新なんですw)

千早って強欲なところがあるけど、このまっすぐなかるた好きでみんな救われてるんですよね、私も見てて勇気づけられます。

これから、より騒がしい日々になりそうですw

句は、すみれちゃんが共感していた恋の歌です。
私もこの歌を知った時にたしかにそうだなぁと感じました^^{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 35
ネタバレ

かげきよ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

もう無駄美人とは言わせねーよ

競技かるたに情熱を注ぐ瑞沢高校のかるた部の物語。

帰ってきましたね「ちはやふる」
笑いあり涙あり、みんなの懸命な姿がまた観られるのがうれしいです。

OPを観て聴いた時にすぐ私はこの作品が好きなことを再確認しました。
上品だけど情熱が伝わる良いOPでした。
EDも一期の雰囲気を壊さず四季Ver.みたいで良かったです。

※1話感想{netabare}
一期終盤の頑張る姿を見て、もう「無駄美人」とは言わせない!
…って思ってたんですが、いきなりやってくれましたね千早ちゃん。
なんですか!あいかわらずのダッサイトレーナーは!
あのキャラ、トラなのかクマなのか未だに判りませんがとにかく酷いセンス。
やっぱり今期も無駄美人ですね…。

ストーリーは新入部員勧誘からスタート。
軍師の奏ちゃんの策略により20人もの部員をGET。
だけど不純な動機でやる気も薄いと来ましたか。
競技かるたを見せた時みんなポカンと目が点に…
何だか観ててこちらが悔しい気持ちになりました。
それでもきっと千早の熱意が伝わる時が来るでしょう。

今までのメンバーもかるたへの情熱がますます熱を帯びていました。
それ故の不協和音が起こると思ったら今回は千早のパワーで粉砕してくれましたね。
これからそういう部分も少しずつ出てくるかも知れないけど乗り越えて欲しいです。
肉まんくんの声、そういえばスケアクロウだとか、少し邪念も入りましたが基本的には集中して楽しめました。

新入部員の菫ちゃんがいろんな面で台風の目になりそうな今期。
楽しみの広がる第一話でした。
{/netabare}

※2話感想{netabare}
結局残った部員は2人。
2人「しか」って思ったんですが、ちはやは2人「も」って言ってましたね。
何はともあれ癖のある2人が入ってくれて盛り上がりそう。
下の句カルタなんてあるんですね初めて知りました。
舌出して笑うの怖いですけど少し素質の有りそうな筑波くん。
菫ちゃんは恋に恋する乙女と言う感じですが彼女なりにかるたに興味を持ってくれた様で少し嬉しくなりました。

かるたへの情熱が伝わっていくのは時間の問題ですかね。
熱く爽やかな気持ちにさせてくれた2話目でした。
{/netabare}

※3話感想{netabare}
馬子にも衣装って言ったら失礼なんだけど、女の子の袴姿は凛としていいよね。

3話目にして軽く感動ポイントが幾つかありました。
机くんは過去の経験を生かしてホント先輩らしくカッコイイです。
筑波くんもプライドを保とうと必死になって…
負けてしまったけど懸命な姿はやっぱりカッコ良かった。
演出なんかも巧いんだけど、
懸命な姿を描くのに、かるたという題材も適しているのかな。

団体戦としては順調な滑り出し。
新くんの方も気になるし次回がまた楽しみです。
{/netabare}

※4話感想{netabare}
二つの意味で「あつい」戦いでした。
呪いの子なかなか面白くて笑えました。^^
かるたという渋い題材ながら敵も味方も個性的で飽きませんねこのアニメ。
自然な範囲でも笑いや感動を生み出してくれているこの作品は良作です。
(今期の他アニメにも見習ってもらいたいです。)

次はライバル北央戦ですね。がんばれー。
{/netabare}

※5話感想{netabare}
また今回も笑えて熱いバトルでした。団体戦っていいですね。
ひょろくんの心意気には敵ながら感心させられます。
実力伯仲の決戦となりましたが、集中力を欠いた肉まん君は脱落。
姉さんには笑わせて貰いました。
どっちも頑張って欲しい気持ちもありますが、瑞沢がんばれー。
{/netabare}

※6話感想{netabare}
本当に大接戦でした。
そのギリギリの戦いの中、ちはやは覚醒しつつあるようです。
もの凄い集中力で挑みましたが、惜しくも敗戦。
団体戦としても僅差で負けてしまいました最後は経験の差が出たようです。
北央も勝った気がしない戦いだった様でこれからも良いライバルになりそう。

一生懸命やれて力も出し切ってかるたの楽しさを知って気持ちよく負けました。
でもそれ以上に悔しい気持ちももの凄く伝わる今回のお話でした。
気持ちは新入部員にも伝わったみたいです。

何度も書いてしまいますが気持ちの伝え方や演出が本当に素晴らしい作品です。
またがんばれー。
{/netabare}

※7話感想{netabare}
かるた部の外からの応援の話でした。
応援する方もされる方も元気を貰えるんだなーっと改めて思えました。

恋模様も色々と切なさが見えてきました。
この行く末も見守りたいです。

菫ちゃんはイジられキャラですな…スッピンは笑っちゃいけない気がしましたが、
つい笑ってしまいました。

いよいよ全国大会、がんばってねー。
{/netabare}

※8話感想{netabare}
競技かるたってこんなにも爽やかなスポーツなんでしょうか。

初々しい初戦の相手に改めて初心が蘇ってきたみたいです。
敗者にもエールを贈る爽やかで良い話でした。
英語で書く必要は無かったと思うけどね。
実際の競技もこういうやり取りがあったら頑張れるかも。
実力差がないと嫌味に見えちゃうかもしれないけど。
机くんの為にも予選突破がんばってー。
{/netabare}

※9話感想{netabare}
前半は団体戦がバカにされていた感じで何か悔しい気持ちでしたが、
後半に素晴らしさを伝えてくれて嬉しかった。
‥んですが、新ピーンチでハラハラです。
確かにありゃ不正だけども大岡裁きをお願いします。
{/netabare}

※10話感想{netabare}
今度は高校生クイズ王との対戦でした。
いやいやキャラクター豊富です。
野球アニメだとテニスや柔道なんかから転向して活躍するパターンがあるけど、
かるたでもそう言うのがあったかと感心させられました。
クイズ王の人たちもかるたに真剣に向き合っているのが分かり、
ちはやふるらしい演出で今回も爽やかな感動を味わえました。
次回も楽しみですが机君のモチベーションが低いのかな?
ちょっと気になります。
{/netabare}

※11話感想{netabare}
かるた部の仲間意識や絆を再確認できた回でした。

偵察も甘く見られないですね、そんなに疲労するとは。
勝ち上がるために最善を尽くす姿が格好悪いようで格好良かったです。
明石強そうですね、ちはやが勝てるかが鍵みたいです。
ヒョロ君との会話で北央に負けフラグが立った気もしましたが、こちらも応援しています。
{/netabare}

※12話感想{netabare}
恵夢たん、つえーです。
性格に難ありですが魅力ある人ですね。天然どS嫌いじゃないです。
彼女にもかるたでのドラマがありました。
惹かれるものもありますがやはりちはやに勝って欲しいです。
出だしは完全に持って行かれましたが流れが変わってきた様子。
クイーンへの挑戦資格も懸かっているような対戦なので負けられないです。がんばって。
{/netabare}

※13話感想{netabare}
北央戦以来の大激戦になっていますね。
お互いに実力を余すところ無く出し合っている感じがします。
才能のある者もない者も積み重ねた努力が心を惹きつけます。
こういう努力の跡が感動を生むのだなと再認識させられています。
恵夢たんも本気の本気が目覚めてきました。
明石の監督さん泣きすぎですけどね。
ともかくみんながんばってね。
{/netabare}

※14話感想{netabare}
大熱戦に終止符が付きましたが千早も恵夢たんもどちらも悔しい勝利になりました。
切磋琢磨して二人ともなんとかあの詩暢ちゃんに近づいて欲しいです。

団体戦の試合は瑞沢の実力者上位二人が負けてしまいましたがカバーしあって勝利できました。
机くんはああ見えて度胸があります。
肉まん君は女子に弱い所を見せ菫ちゃんにも見下されつつあります。(^_^;)

それにしても両校とも本当にもよく戦いました。
観ているこちらも思わず力んでしまう素晴らしい戦いでした。

決勝は熱戦連戦で疲れてしまった奏ちゃんに代わり筑波くんが出るようです。
負け枠になれない戦いですからがんばれよー。
{/netabare}

※15話感想{netabare}
決勝戦の相手富士崎も個性的なメンバー揃いです。
鉄の女監督を筆頭に思わずニヤケてしまうメンバーばかり。
主将、その手つきは止めときなさいって!

奏ちゃんはケガみたいだけど代わりの筑波君には頑張って欲しい。
チーム総合力としては相手の方が上みたいだけど
ミ・ズ・サ・ワ・ファイト!
詩暢ちゃんも見に来てるぞー。
{/netabare}

※ここで総集編
小ネタが楽しくて、もうちょい見たかった…。

※16話感想{netabare}
いよいよ決勝戦だけど富士崎は流石に強い…。
みんな苦戦していてちはやは人差し指負傷。
でも一皮剥けるキッカケになるかも知れない。
闘志がメラメラして来て来週から反撃だ!がんばれ!
{/netabare}

※17話感想{netabare}
詩暢ちゃんが孤高になっていく道を少しだけ見せてもらいました。
ちはやの様に仲間と共に歩む道があれば、
詩暢ちゃんの様に慣れ合わず突き詰める求道もとても尊敬でき憧れます。
本当にこの作品は魅力有るキャラが多いですね。

試合の方は二敗し追い詰められましたが最後まで諦めていません。
次回はいよいよケリが付きそうで楽しみです。
がんばれ瑞沢。
{/netabare}

※18話感想{netabare}
ハラハラしながら応援していましたがやっと歓喜の時がきましたね。
最後は気持ちの差で勝利を引き寄せてくれました。
今まで戦ってきた相手チームも素晴らしかったのでその頂点ですから感激も大きいです。
みんなこの瞬間の為にがんばってましたからね。本当におめでとう。

チーム戦の素晴らしさが良く伝わってきましたが
詩暢ちゃんはどう思ったのか反応が気になります。
あと三位はどうなったのかな?
次回からは個人戦も始まるのでしょうか。楽しみです。
{/netabare}

※19話感想{netabare}
団体戦で勝ったんだから、謎の剥離骨折(?)という怪我をおして出る
個人戦で勝てなくても仕方ない。
…っと思いつつもやはり簡単に負けては欲しくないですね。
言い訳できない勝負も見たいので途中で治ってくれないかな?
実はトゲが刺さってただけとか。

一時的ながらサウスポー転向と言うことでMAJORと被ります。
元々MAJORやYAWARAの様な本格一流スポ根の匂いがする作品でもありましたが。

それにしてもなんだか団体戦の地位の低さが悔しいですね。
実際の競技カルタもそうなんでしょうかね?
しのぶちゃんも登場し、団体戦とレベルの違うところが見られるのでしょうか。
{/netabare}

※20話感想{netabare}
ミラー配置で左手で勝利しました。
「札を取る感覚」ってそういうものなのですかね?
実際かるたやって、相当なレベルにならないと理解できない気がします。
(私には一生解りそうもない…)
サウスポーの気持ちや動きも分かったのは大きな収穫で
次の詩暢ちゃんとの対戦が楽しみですね。
右手の封印を解き放つときが来ました。

肉まんくんは悔しい敗戦。やはり新が上手でしたね。
悔しくても男は人前で泣いて欲しくはないけれど、
(トイレとかで泣いて欲しかった。)
泣ける人は嫌いではないしきっとまだ強くなれると思います。
肉まんくんお疲れさまでした。
{/netabare}

※21話感想{netabare}
怪我の有無関係なしに詩暢ちゃんの方が上手でした。
でもやはり怪我なしでの対戦が観たかった!
あの詩暢ちゃんがちはやの事は認識して友情の芽生えが見られて良い話でした。
手加減しないかるたは間違いではないはず。
次の対戦がすごく楽しみだけど三期になっちゃいそうかなー。残念。

次回は太一。これまた楽しみです。
{/netabare}

※22話感想{netabare}
二期に入り嫉妬が表に出すぎたりとあまり印象が良くなかった太一ですが、
今回は頑張ってくれました。

試合でもちはやを気遣い集中が乱れる場面がありましたが、
徐々に「勝つ」かるたができて気負いが無くなっていました。
本来A級でも良い実力。
妙な優しさや過敏に気遣う精神が空回りしていたんでしょうね、
一皮むけてまた伸びるてちはややライバル達との差を埋めて欲しいです。
キョロくんもスグに追いかけて来ると思いますしね。

試合後楽しみな対戦が残っていても
まずは太一の事を一番に考えて喜べるちはやはいい子ですねー。
今までの苦労や努力を分かっていてくれる仲間の存在って
とても有り難く何よりの財産だと思うので(恋愛とか抜きにしても)大切にして欲しいてす。

次回はA級決勝に決着が付きそう。
新も好きだし新が勝った方が話は盛り上がるのでしょうが、
やや詩暢ちゃん持ちで応援しちゃっています。
{/netabare}

※23話感想{netabare}
まるで水の中という表現がピッタリの息詰まる決勝戦。
最高峰の戦いに見入ってしまいあっと言う間に30分経っていました。
新が勝ち今後は彼に期待や重圧なんかも掛かってくるんでしょうね。
この戦いを見たちはやの更なる成長や太一のA級での戦いなど、
まだまだ先を観ていたいのですが次週で暫くはお別れ。
毎回爽やかな感動が感じられる良い作品でした。
次回の締めは噛みしめて観ようと思います。
{/netabare}

※24話感想{netabare}
ちはやの怪我は怪我というより病でした。
繊細で競技なので指の重さが変わったらしばらく感覚に違和感が出るかも知れないです。
でも強くなりたいという純粋で強い思いがあるのできっと大丈夫!

次回は富士崎合宿編みたいです。
恋模様の方もどうなるのか気になります!
…って、いつまで待つ事になるんでしょうか!?
三期が待ち遠しいです。
{/netabare}

【総評】
大好きな作品が終わってしまいました…。
どれを取っても隙のない素晴らしい作品でした。
団体戦が主軸でチームプレイの良さや絆を強く感じさせてくれ、
どのチームどの人も一生懸命に打ち込む姿が見て取れ
ほぼ毎回軽く爽やかな感動を与えてくれました。

いずれ来る三期をじっと待っています。

かるたに興味のない人も楽しめます。
どなた様にも強くお勧めしたい作品です。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 58
ネタバレ

kakelu さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

1期よりも熱くて面白い!太一が可哀想すぎて辛いから、報われて欲しい…

1話の感想 ★★★★ 4.0
新入部員
{netabare}
太一、かっけーーー!!!!
めちゃくちゃかっけーー!!
あんなセリフ言ってみたいわ!!
でも、あれはイケメンだけが許される余裕だな。{/netabare}

2話の感想 ★★★ 3.0

{netabare}
女子高生が来たな。
爪を切ったのは英断だと思う。
男って長い爪嫌いな奴多いと思うし。
{/netabare}

3話の感想 ★★★☆ 3.5
団体戦予選
{netabare}
筑波、きもちわりぃww
いいキャラしてるわ。
ただ、少しせこいが。
今年はいいところまでいけるんじゃないか??{/netabare}

4話の感想 ★★★ 3.0
不運な太一
{netabare}
太一って本当についていないな。
でも、めちゃくちゃモテるからチャラだな。
タオルがあんなにも飛んでくるなんて……
普通なら汗だくのやつにタオルなんか渡さんぞ!?{/netabare}

5話の感想 ★★★★ 4.0
決勝戦
{netabare}
ひょろくん、かっこいいじゃん。
ざ・青春だな。
これも全国大会出場が決まっていたからできたことだな。
肉まん君が負けたのが意外。
心を惑わせレナければ勝ててたのかな?{/netabare}

6話の感想 ★★★★ 4.0
カード分け
{netabare}
流石、強豪校。
きっちりしてるな~
おそらく、今回の敗因はキャプテンの千早が気づけなかったことだろうな。
もし、太一があの位置に座っていたならまた話は変わっていただろう。
そして、最後の新!
かっこよすぎるだろう!!
千早の心を動かすのはやはり新なんだな。
太一、かわいそう。{/netabare}

7話の感想 ★★★☆ 3.5
全国大会へむけて
{netabare}
千早はあまり構って貰えてないと思ってるのかも知れないけど、親にとってはそうではないんだろうな。
吹部の演奏は普通に感動しそう。
最後の電話がなんで太一じゃないんだろな。
胸が痛いよ……{/netabare}

8話の感想 ★★★ 3.0
団体戦 1回戦
{netabare}
色物とあたったな~
でも、相手からしたら別に普通なのにな。
在日の人たちは良い意味でも悪い意味でも見た目が外国人だからな。{/netabare}

9話の感想 ★★★ 3.0
新の到着
{netabare}
千早、新、新とうるさいねん!!
太一の気持ちをもう少し考えてあげて!!
太一は千早のためにかるたしてると言っても、おかしくないのに……
新はやっぱり、強かった。{/netabare}

10話の感想 ★★★ 3.0
2回戦
{netabare}
またしても色物!!
エリート校はやっぱりエリートだったけど、圧倒的な努力の前に敗れる。
やるやん!!
でも、エリート校も本気だったのは凄くぐっときた。{/netabare}

11話の感想 ★★★☆ 3.5
勝ちと仲間
{netabare}
肉まん君の思いもわかる。
けど、机君の気持ちもわかる。
どっちも正解なんだろうな。
でも、準決勝が2年メンバーでよかった。{/netabare}

12話の感想 ★★★☆ 3.5
西日本代表
{netabare}
めぐむちゃん、すごくきれいってなわけではないけど、こういうタイプが一番モテる。
主役ではないのにかなりクローズアップされていたな。
今後も敵として出てくる感じかな。{/netabare}

13話の感想 ★★★☆ 3.5
明石第一女子高校
{netabare}
めぐむちゃん、性格悪っ!!
モテる女子って性格悪い人多い気がする(気のせい
それに意外とめぐむ以外も強い。{/netabare}

14話の感想 ★★★★★ 5.0
決着
{netabare}
机君!!!!!!!!!
感動した!!!
メンタルがすさまじいな!!
今回は見てるこっちもドキドキすることが多かった。
肉まん君はここんとこ負けてばっかやぞ!!
次こそは勝つんだぞ!!!!
本当によかった。{/netabare}

15話の感想 ★★★☆ 3.5
決勝へ向けて
{netabare}
女王は新へのライバル心がすごいな。
おそらく敵として認めてるの新だけなんだろうな。
新も律儀だな~~{/netabare}

16話の感想 ★★★ 3.0
総集編
{netabare}
2期の総集編+小ネタ。
かなちゃんの眉毛三本ってどんだけ。
{/netabare}

17話の感想 ★★★★☆ 4.5
山城理音
{netabare}
やっちゃったな。
靭帯か神経かな。
突き指よりもひどいね。
これが今後に響かないといいけど……
でも、そのおかげでみんなにも熱が入った。
逆襲のときだぞ!!{/netabare}

18話の感想 ★★★★☆ 4.5
諦めない
{netabare}
机君の次に、筑波も敗退。
残ってるのは負け続きの肉まん君、指をやってしまった千早、そして5枚差が減らない太一。
これは負けてしまうのかな?
それとも、優勝を勝ち取る頃ができるのか?
今年勝って、来年に個人戦で優勝がいいな。{/netabare}

19話の感想 ★★★★★ 5.0
男の意地
{netabare}
やべぇ!!!!
やりやがった!!!
太一がついに運命に打ち勝った!!!
これも勝利の女神・千早様のおかげかな。
流石主人公!!
運命戦で勝ったら、震えるだろうな。{/netabare}

20話の感想 ★★★ 3.0
個人戦へ向けて
{netabare}
新にとっては千早は幼馴染みの一人なのかな?
好きな気持ちはあるけど、太一よりもガツガツしてないよな。
これぞ草食系なのかな?
まぁ、私は太一の方が断然好きだけどな!!{/netabare}

21話の感想 ★★★ 3.0
個人戦
{netabare}
逆手ででも出来るとかどんだけ。
これはあり得ないわ~~
新はやっぱり強かった。
圧倒的だな。{/netabare}

22話の感想 ★★★★ 4.0
女王へのリベンジ
{netabare}
指のハンデがあったとしても、2枚しか取れなかったんか。
やっぱり、女王は強い。
でも、来年には勝つんだろうな……
太一、めっちゃ調子いいやん!!
いよいよA級に上がれるのかな?{/netabare}

23話の感想 ★★★★☆ 4.5
太一の決勝戦
{netabare}
太一!!!!!
今までの努力がやっと身を結んだな……
しかし、その喜びよりも先に千早のためか。
こんなに思われているのに、新の方がいいんか!!
最後の千早が泣いてるシーンは感動した。
少し千早の印象がマシになった。
{/netabare}

24話の感想 ★★★★ 4.0
新 vs 女王
{netabare}
新、強すぎる。
やっぱり、サラブレットは違うな。
しかし、水の中にいるような描写か。
「りゅおうのおしごと」でも天才を宇宙人と表現してたけど、こういう頭の使うスポーツではみんなそう感じるんだろうか。
{/netabare}

25(最終)話の感想 ★★★★ 4.0
短歌作り
{netabare}
やっぱり、千早は新のことが好きやったんか。
憧れとか尊敬の方が強いと思ってたのに。
太一が可哀想……
なんで太一はこんなに努力してるのに報われないんだ……
太一……。昔はあんなんだったけど、今のお前は最高にかっこいいぞ!!
もう千早のことは忘れてもっといい女を見つけてくれ。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 10

88.5 1890 カレイドスター(TVアニメ動画)

2003年春アニメ
★★★★★ 4.1 (1551)
8236人が棚に入れました
アメリカに、サーカスとミュージカル、マジックを組み合わせたようなエンターテイメントを提供する集団があった。その名を「カレイドステージ」という。
幼い頃に見たカレイドステージに憧れ、単身日本からやってきた苗木野そら(なえぎのそら)は、選ばれたものにしか見えないステージの精霊であるフールが見えるが、新体操しかやったことが無く、演技については完全な素人。しかもオーディションに遅刻して来た上にカロスが特別扱いする為、レイラから完全に敵視されることに…。
しかし、さまざまな試練に遭遇しながらも、持ち前の前向きさと身体能力、そして根性でそれらを乗り越え、やがてカレイドステージの花形、カレイドスターへと変身していく…。

声優・キャラクター
広橋涼、大原さやか、西村ちなみ、渡辺明乃、水橋かおり、櫻井孝宏、中原麻衣、折笠富美子、小桜エツコ、子安武人、下野紘、藤原啓治、久川綾、大森玲子、あびる優
ネタバレ

フーカム さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

スポ魂のようでスポ魂でない傑作!

スポ魂が好きな人にオススメです←タイトルに反するけど許してw見ればわかると思います

幼い頃に家族と見たステージに憧れカレイドステージ(サーカス団)に入団した少女の成長を描いた物語

作品が古いことや全51話ととても長いことからなかなか視聴するのにためらっていたのですが見てよかったと思いました
また、作画も思ったほど古臭さは感じませんでしたし、何より全ての話がまんべんなく面白いためあっという間に見終わってしまいました

彼女のまっすぐさとひたむきな努力に心が動かされ応援したくなり感動させられてしまいました(>_<)
よく見る誰かが死んだり出会えたり別れたりといったものでは無い本当の感動ってこんな感じなのかなって思いました

またOVAも作品のメッセージが伝わるもので物語の補完も出来ていて凄く良かったのでぜひ見てほしい

自分なりの考察感想
{netabare}
この作品のメッセージは前半と後半に1つずつあると感じました
その2つを終番でうまくまとめてくれたように感じます

1つ目は     【夢は信じる者の前に現れる】

これはフール(英語で愚か者の意)を用いてうまく演出している

ここに相当する話が前半では

・マーメイドの主役のチャンスを得た空がリハーサルに失敗し、そのトラウマから飛べなくなってしまいフールも見えなくなってしまった話

・幻の大技に挑む話

であり、空は自分がミスしたことにより、「やって出来ないことはない!」と自信家だったのが死の恐怖から自分を信じられなくなってしまいフールが見えなくなる

そして幻の大技は「死を恐れない」と答えるのではなく「絶対に死なない」と答えたことからフールに資格を認められた
この回答の前者と後者の違いは
前者では死の可能性を認めそれが怖くないと考えているのに対し
後者では死の可能性は絶対にないと自信を持っているのである

またレイラさんに空が質問した内容からも


「もし昨日フールが私たちの資格を認めてくれなかったらどうしようと思ってたんですか?」

レイラ
「考えてなかったわ。当然フールに認められるものとばかり、でも確かに普通は考えるわよね?空は?」


「実は私も…(二人で笑い合う)」

ここからも二人の自信が伺える

そして "フール"とは"幻"であり"夢"そのものの象徴
また "資格"とは"資質","才能","可能性"といった夢を阻むものの象徴でありそれらを信じ切れるかというものであったと考えられる

つまりステージの精であるフールはステージに上がる者の中で有り得ない幻のような夢でも自分を信じ抜ける愚か者にしか見えないのだと思う

最終話では


「レイラさんは正しい。
 争うことがない世の中なんてありえないって私も本当はそう思ってる。
 でもせめてステージの上くらい争いがなくてもいいのにともまだちょっと思ってる」

フール
「挑戦者、冒険者、開拓者。そういった名で呼ばれる者たちは全て愚か者だ。
            誰も目指さぬ夢を追った愚か者を待つのは嘲りか喝采か。」

という流れからも

"絶対に無理だ、危険すぎる、有り得ないなどといった幻のような夢を信じて追う者の前にこそ夢は実現されるのだ"

ということを言いたいんじゃないかな?とおもいました

レイラさんにフールが見えなくなったのは真のカレイドスターの誕生という夢が叶ったからじゃないかなぁ
最後の二人の会話


「私はこれからもレイラさんの夢って思っていていいですか?」

レイラ
「いいえ、あなたはもう私の夢じゃないわ。あなたは私の誇りよ。」

そしてロゼッタにフールが見えるようになりましたが、このとき空にはもうフールがみえなくなったんじゃないかなぁ
↓更新 
カレイドスター 新たなる翼EXTRA STAGE「笑わない すごい お姫様」OVAネタバレ
{netabare}
OVA見てみたらその後も空にはフールが見えていましたね
でも最終話でユーリが「これが夢のゴールか」
それに対してカロスが「夢の始まりだ」といっていることから
空の夢はまだ続いているためフールは見えるという解釈でもいいかなとおもいました、いやむしろ見えていて欲しかった
夢が叶ったら終わりじゃさびしいもんね
だからレイラさんもまた新しい夢を追っているんでしょう

また主役に自信を失ったロゼッタにフールが見えなくなったことからも私の思ってるフールの存在の象徴は合っているのかなぁと感じました
{/netabare}

結局カレイドスター(カロス=美しい、エイドス=形)とは一体何だったのかというと私は

         "誰もが探している夢"

のことなんだと思います
スター(夢)は空やレイラさんのように誰かから受け取り、自らがスターとなり(夢を叶え)ロゼッタやケンのようにまた他の誰かに宿していく。そしてそのロゼッタやケンも誰かにとってのスターになるのだと思いました



二つ目は    【物事(特に争い)の二面性】

これは天使と悪魔、愛と憎しみ、、盲導犬、争いなどを使ってうまく表現している

 まず一番分かりやすい提示として利用された盲導犬の話から

ドナーウォーカー
「この子(盲導犬)たちにとっては相手を喜ばすことが最高に嬉しいことなの
まわりを幸せにするただそのことだけを願っている存在、それがこのこたちを天使だと思う理由
あの頃の私にはみんなの嫌な面しか見えなかったけど、この子たちに会ってから
あーそうじゃなかったんだぁって思うようになったの
ステージに立つものならお客さんを楽しませたい!みんなを幸せにしたいっていう天使の心は
誰もがもっているはずだもの。ただ自分方がもっとうまくやれるという想いが天使の心を憎しみに変える
きっと空はステージを見ながらみんなの天使の心を受け取ったのね。その時の私には見えなかったものだけど」


「そっかぁフェスティバルのときは私にも見えていなかったんだ
ミュートさんたちが仲間たちと夢を語っていたその目に嘘は無かった
他の人たちにはみんな夢があってお客さんを楽しませたいっていう天使の心は皆がもっていて
憎しみも争いもその裏返し…憎しみも愛ってそうゆうこと?それなら!!
天使の技は天使になるための技じゃなくて、みんなの中の天使の心を呼び覚ますための技なのかもしれない
ううん、きっとそうだ!
私は私の中の天使を信じる!皆の中の天使を信じる!天使の技を信じる!」

ここで初めて水上丸太の練習がうまくいく

 続いて天使と悪魔、愛と憎しみについて
これは人物を用いて巧みに表現されていました

・ユーリは危険のないステージを作るという愛が強すぎて他者を蹴落とす悪魔として
・レオンはソフィーへの愛からパートナーを潰す悪魔として

最終話のユーリとレオンの会話
ユーリ
「天使の技は基本的には1人でも演じられる技だ、俺たちはまさにおまけだな。
彼女たちは強い。1人でどこまでも走っていける。
ただ、ときどきほんの少しだけ寄りかかりたくなるときがある。
俺たちはそのときだけ支えてやればいい。それが俺たちの役目だ。」

悪魔とは天使を支える存在ということ

・メイは悪魔から天使になろうとするオディールとして

メイ
「オデットを憎むことでしか愛を表現できないオディール。
ならオデットを滅ぼしたら愛を表現することができなくなるわけよね。
空がステージを降りたせいで気合いが入らなくなった私みたい…
オディールは私…オディールにとっての王子とは私にとってのステージ
オデットに勝とうとする限り王子の愛は得られないオディール…
オディールとオデットの違い…」

ミア
「それはですね、オディールは自分の愛が最も大切なのに対し、
オデットは自分自身よりも王子を大切に思ってるってとこです」

メイ
「自分自身よりステージを大切に思っている空。空に勝とうとする限り私は勝てない」

メイが天使の技習得に苦戦する空を見て

メイ
「自分よりもステージか…もしかして!空あんた…」

ここでメイは空が幻の大技を成功させたときを思い浮かべたのであろうと予想される
そのとき空にとっての王子はレイラさんであり自身よりもレイラさんのことを考えていた
そしてレイラさんの力を借りて導いてもらっていたのだと気が付いたと考えられる

ロゼッタの元へいき共演の提案を持ちかけるメイ

メイ
「あたしクライマックスの技をね、二人技にしようと思うのよ。
何ぼーっとしてるのよ!分かったら練習練習!」

ロゼッタ
「あーちょっと、私出ないっていってるでしょ?」

メイ
「あんたほんとにそれでいいの?空の覚悟は半端ないわ。
例えこの講演を最後に二度とステージに上がれないようなことになったとしてもやり抜くでしょうね。
あたしがカレイドステージに入った時にはもうレイラさんは居なかった…どんなに悔しかったか。
私が今考えている技は1人じゃできない!だからあんたに声掛けてんのよ!
あんたが断れば別の人を探すけど…どうする?」

ロゼッタが承諾し練習に入る

メイ
「あんたの役はオディールを憎しみの迷いの道から導き出す妖精なのよ。
私が表現しなくちゃならないのわ憎しみじゃない…
自分の憎しみに勝とうとするオディール…強い力で導く、誰かの力を借りてでもね…」

ここでメイが思い出したのはレイラさんという王子への愛を
空に勝とうとすることでしか表現できない自分であったと思われる
そんな自分にも導いてもらう力が必要だと考えた
そこで自分の境遇と同じ道を辿るかもしれないロゼッタを共演役に選び
ロゼッタのことを想うと共に力を借りて導いてもらおうと考えたのではないだろうか?


「幻の大技の時も苦しくて苦しくて逃げ出したくなった…
あのとき私が頑張れたのはレイラさんが引っ張ってくれたおかげ!
だけどレイラさんは自分だけの力で頑張り抜いたんだ!誰の力も借りずに!」

ここで初めて空が天使の技を成功させる、つまり自立できた(本物の天使になれた)ことを意味するのだと思う

・レイラさんは天使と悪魔を両方宿す中立のものとして
↓更新
カレイドスター Legend of phoenix 〜レイラ・ハミルトン物語〜 OVA ネタバレ
{netabare}
ここでは新たに "誰かを頼ること" の二面性について描かれていました

【 悪魔 ← 甘え、弱い = 頼る = 信頼、助け合い → 天使 】

このOVAを見てちょっと勘違いしていたことに気づきました
レイラは天使と悪魔を両方宿す中立な者として描きたかったのでは無くて悪魔を一切受け付けようとせず天使であろうとするレイラが悪魔を認めていくというメイとは反対方向の者を描こうとしていたんですね
{/netabare}

空が自分を追い抜くことを望む天使の心と
空を討ち負かし勝ちたいと望む悪魔の心を持ち空と争う

しかしこれらの悪魔は最終的に空という天使によって天使の心を呼び覚まさせられるのだ

そして争うこととは悪い面と良い面の二つの顔がある

【 悪魔 ← 蹴落とす、討ち負かす = 争う = 高みを目指す、守る → 天使 】

争いを象徴するものと言えば戦争だ
だから上記した空の争いのないステージへの最終的な想いや願いは

 "戦争無くして平和は無いのかもしれない
     でも現実では有り得ない幻のようなことだとしても
   せめて夢の中だけではと信じ続ければ
       そんな世界が訪れるのかもしれない"

ってことを言いたいのかなぁと思いました
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 34
ネタバレ

watawata さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

カレイドスターを楽しむにあたって・・・・ (注)カレイドスターの再レビューです。

皆さんご存知『ARIA』を手掛けた佐藤順一監督によるオリジナル作品、出世作の一つでもあります。私事ですが、当然の如くサトジュン作品であるが故、期待値を高めに設定をしてしまい、これが面白く無いはずは無いっ‼︎と意気込んで最初に視聴したのが、はや2年前・・・・。述懐すると様々な要因で一度挫折しているのです。正確に言うと1クール手前で中断したまま2年間放置・・・・記憶の彼方から消え去りそうな時、(おい、お前、あの恥ずかしい思いをしてまでレンタルした作品をこのままにして良いのか?完走せねば報われないぞ)との心の声が脳裏に響き渡り、再度1話から視聴を決断した訳です。

え〜さて、本題に入ります。
舞台はサーカス、今まであまり取り上げられた事があまり無いちょいと毛色が一風変わったアニメ、ヒロインが様々な苦労、困難を乗り越えてスターへの階段を駆け上がる際の【成長】と【自立】を描く、王道中の王道のサクセスストーリー。放映されていた時間帯が朝9時台及び夕方17時台と低年齢層を対象にしている為、基本1話から2話完結で起承転結が明解です。

①試練が課される。問題発生。(トラブルオキュアー)
②試行錯誤する。(トラブルシュート)
③特訓実施。問題解決の行動実施。(エンフォース) (極端な訓練、行動に突っ込みを入れる事が出来ます)
④試練を乗り越える。問題解決。(ハッピーエンド)

変則回も多少有りますが、延々と上記の繰り返しです。そこそこボリュームのある内容(テーマ)を無理矢理、単話完結に詰め込んでいる為、単調になり強引な展開が否めません、又弊害として、止め絵及び同じシーンを多用せざるを得ないのも構成上理解は出来るのですが、最初に視聴した際は辟易としてしまい一旦断念・・・。
そして2年経過・・・完走を決意し視聴再開、すると不思議なもので、同じ所にズドンズドンと重いパンチを打ち続けられると、此方も次第に弱り倒れてしまう訳で・・・もうこの展開結末でしか納得出来なくなる、言わば・・・

『ええ~い、控えぃ控えおろう!この紋所が目に入らぬか!先の副将軍水戸光圀様なるぞ!頭が高い、頭が高いぃぃ。』
『はっ、あの三つ葉葵の印籠は・・・へへぇ〜参りました。許して下さいませ〜』

っとまあ、一種の水戸黄門状態に陥るのです。勿論、物語の骨格がガッチリしている事が大前提ですがね。後は製作者側の思惑どうり、作品にのめり込んで行くしかないのです。(自分は1クール必要でしたが・・・^^;)

物語は2部構成、
1部はヒロインが{netabare} 幻の大技 {/netabare} をサブヒロインと共に{netabare}修得し成功し『成長』する迄の過程{/netabare} のお話。どうでも良い事なのですが {netabare} 幻の大技、幻の大技 {/netabare} と連呼し煽るだけ煽るのですが、最後まで 何故か技名は不明でした。w 意図的な作為をひしひしと感じましたが・・・残念ながら大真面目に言っているのか、笑いを狙ったものなのかは、汲み取ることが出来ませんでした。
っと、話が脱線しました。
ここでは仕事に対する基本的な姿勢と成長が描かれています、新入社員レベルですが・・・、言わんとすることは至極当然な事ばかりです。(あくまで理想像です、現実の社会ではあまり通用しません)青臭いセリフが延々と並べ立てられますが、視線を落とすとストンと胸に入り、ヒロインの愚直な、前向き前のめりの姿勢を己に重ね、仕事に疲れ、嫌気が差し初心を振り返る際は、共感出来るかと思います。

そして2部、{netabare} 天使の技 {/netabare} を演じる事を通して、{netabare} サブヒロインへの精神的依存からの脱却、自分の進む道(理想像)を{/netabare} 見い出す『自立』までが描かれています、まあ管理職手前レベル手前迄です。
ヒロインの抱く理想像{netabare} 競争競技では無く、観客視点であくまでも楽しめるサーカス{/netabare} に対してヒール、ライバル達がアンチテーゼ{netabare} (先ずは個人の演技、満足ありき、その為には競争競技としてサーカスを肯定する認識、観客視点の優先順位は低い){/netabare} を唱えて来ます。以下自分の意見の押し付けです。何方とも正論です、間違ってはいません。仕事を始めて2〜3年目に誰もが通過する課題でもあり、悩むポイントです。但し長期間それなりのクォリティを維持するには、後者が自分には受け入れ易い正論ですね。先ずは自分有りきで仕事のクォリティを高め、継続維持の結果成果が付いて来るのかなっと、この点は作品のメッセージは言わば絵に描いた餅、安直であると考えます。あくまで個人的価値観ですので・・・。

人物の相関関係は明確で、キャラクターデザインを一目見るだけで理解出来ます。
但しこの作品でのポイントは極端なヒールが存在せず、ヒールに対しても行動に対し、納得出来る裏付けが描かれており、尚且つ嫌な役回りを、ちょい役に分散し、ギスギスとした雰囲気を避け、作品全体の暖かい雰囲気を醸し出す工夫もなされています。そして、メインマスコットキャラが語り部、コミカル部、クライマックスでの盛り上げと、何役もこなしており、作品の鍵となります、ただ可愛く無いのでサブマスコットキャラ(オットセイ)が多分後付けで追加動員されたと思いますがw

個人的に重要に感じたのですが、解り易い物語を、さらに解り易くする為に、メインマスコットキャラが、解説及びタロットカード(1部)星座占い(2部)による今後の内容示唆をしてくれます。(タロットカードから星座占いへの変更はやはり、前者が馴染みにくかったのかな?)オマケにアイキャッチでヒロインがサーカスの演技をし、その成功の是非がストーリーにそのまま直結する丁寧さには、作り手のターゲット層(低年齢層)に対する配慮なんでしょうね、細かい点ですが好感が持てます。

総括です。4クールと非常に長いのですが、あらゆる箇所が丁寧に練り込まれれおり(そうでない箇所もありますが)作り手の愛を感じます。ヒロインに自分を重複させて見るのも良し、逆にヒール及びライバルに共感するのも良し、物語の根本を斜め下から穿った見方をするのも良し、純粋に明るく暖かい雰囲気を楽しむのも良し、と骨格がしっかりし、その上に肉付けがなされている作品であるからこそ可能なのだと思います。そして、各部のクライマックスシーンは長い道程を乗り越えた者だけに与えられる、【何か】(人それぞれ)があります、これから視聴予定のみなさん、完走をお祈りしております。


最後に
みんな〜カレイドスターが始まるよ〜。
カレイドスターを見る時には以下の事に注意すると、より楽しめるよ〜。

さてさてさて、

①時々、作画が崩れるけれど10年以上前の作品だから仕方が無い、無い、無い!
暖かく心の眼で綺麗に脳内修正してね。

②絵がよく止まってしまうけれど、大人の事情なので許して欲しい、かな、かな、
かな! これも暖かく心の眼でヌルヌルと脳内で動かしてね。

③同じシーンを何度も使っちゃうけれど、大切な事をみんなに知って欲しいからなん、だな、だな、だな!
決して手抜きじゃないから理解して下さいね。

④強引にお話が進んじゃうけれどもこれは、みんなにいっぱい、いろんなメッセージを伝えたいからなんだ よね、よね、よね!
少し我慢すると慣れるから最低1クールは頑張って見てよね。
・・・・それでも頑張って見ることが出来ないこともある、よね、よね、よね!
そんな時は続けて見ないで、1日おきで見ると、強引なお話の粗が想像で補完されて見やすくなるよ。

⑤やたら画面が眩しく見にくい時があるけれども、サーカスの光の演出上どうしても譲れないことなん、だな、だな、だな!
本当に部屋を明るくして見てね。守らないとポケモンショック(光線過敏発作)が発症しちゃうよ。

⑥カレイドスターは小さいお友達の為に作られたお話なんだ、よね、よね、よね!
大きいお友達が見る時には視線を思いっきり下げて見ると楽しめるよ。

でわでわ


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以下、前レビューになります。こんなレビューですがサンキューして頂いた方々もおられますので、消してしまうのは失礼かと思い、一応貼り付けておきますね。

2012.03.14 03:41 watawataの評価 | 今観てる | 101人が閲覧 | [編集] [削除]
3.7 評価対象: カレイドスター(テレビアニメ)
物語 : 4.0  作画 : 3.5  声優 : 3.5  音楽 : 3.5  キャラ : 4.0

久々に借りるのに勇気のいる作品でした^^
皆さんのレビューが高いので思いきって視聴することに…

いざレンタルしようとGEO(名前を出さないほうがいいのかな?)に行くも見つからず…なくなく店員に所在を聞いた所キッズ少女向けコーナーに陳列しているのを発見…
えっ(少女向けコーナー??!!)

これは……勇気がいる…

今までたいていのタイトルはノンストレスで借りることができたのですが少女向けコーナーとは…
それも、いい歳のおっさんがこのコーナーに向かい立ち止まるにはさすがに抵抗がある。
以前友達に、クラナドを勧めた時にも同じような返答がありました「おいお前、これを見るには少し無理があるぞ、このパッケージものを借りるのなら、エロビデをを借りたほうがましだ。」・・・・・ちなみに友達も勿論結構なおっさんです。

そんなに言わなくてもいいのにと、思っていたのですが少し気持ちがわかるような気がしてきました。
これぞ【ジェネレーションギャップ】とてつもなくおおきな壁でした。(笑)

それでも自分は少し犯罪者なのか?と、訳の解らない自問自答をしながら勇気を出して借りることに…3巻だけですが。

さて10話までの感想です。監督はARIAでおなじみの
佐藤順一監督。キャラクターの練りこみ方は秀逸です。
が、ここまで視聴した感想はどのお話もワンパターンで少し残念な評価です。
ストーリー構成としては1話完結で

①主人公に問題が発生

②問題を克服しようと努力する(その間同僚から執拗な嫌がらせにあう)

③完全なハッピーエンドとはいかないとしてもそれなりの成果をあげて一段落の繰り返し(同僚もそらの努力をそれなりに認める。)
以上の繰り返してす。
これは少女ものの、王道なのかな?
非常に丁寧に作らせているのですが1話完結なので話の展開が早すぎる。
感情移入がしづらい。
2話で前後編位が良かったのでは?
まだ10話も見ていないので、ここまで書いてはいけないと思いますが、現時点の感想です。


また最終話を見終えたら追記しますね^^
でわでわ

投稿 : 2025/01/04
♥ : 29
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

真のスターの輝き、そして、競うことの意味、を問う作品

10年以上前の作品ですが、あにこれでも熱いファンの多い名作アニメ。
全51話と長かったけれど、第39話まで頑張って視聴した結果、見て良かったと思える作品になりました。
特にラスト手前の第50話でかなりの感動を経験。

《内容》
{netabare}
(1)主人公の少女(そら)がカレイドスターになる夢に向かって懸命に努力して羽ばたいていく話(ただし彼女の「真の夢」とは何か、が一歩踏み込んで問われることになる)、であると同時に、

(2)彼女の憧れであるもう一人の主人公(レイラ)が自身のカレイドスターとしてのキャリアを完全燃焼し、後輩の少女(そら)にバトンを託す話でもある。
{/netabare}

放送期間 2003年4月3日 - 9月25日(第1期) 
     2003年10月4日 - 2004年3月27日(第2期)

話数 全51話(但し総集編が2話あるので実質49話) + OVA全3話
(第1期:全26話、第2期:全25話)

表向きの主人公 苗木野そら(16歳)
裏の主人公   レイラ・ハミルトン     

原作 佐藤順一
監督 佐藤順一(第1期) 
   平池芳正(第2期)
シリーズ構成 吉田玲子

※以下は各回の評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×が付いている話は脚本に大きな疑問を感じた回
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カレイドスター(第1期)
===============================================================
{netabare}
1 初めての! すごい! ステージ ★ カレード・ステージに出演・合格する話
2 孤独な すごい チャレンジ ★ ゴールデン・フェニックの特訓をする話
3 遠い すごい ステージ ★ ステージを脇から支えるクラウンになる話
4 がんばれば すごい チャンス ☆ 3人娘でシンデレラ公演の魔女を演技する話
5 いつも すごい 遠い家族 ☆ そらの父親が公演を見に来る話
6 小さくて すごい オットセイ ☆
7 笑わない すごい 少女 ☆ ディアボロの天才ロゼッタ登場回
8 つらくても すごい スター ☆ 公演のスター・レイラの誕生日と父親の話
9 主役への すごい 挑戦 × 人魚姫のオーディション。そらが怪我に怯える話
10 主役への すごい 壁 ☆ レイラとは違う人魚姫を演じる話。初めて主役を務める苦しみ。
11 アンナの すごくない お父さん ☆ アンナのサイド・ストーリー
12 熱い すごい 新作 ★★ レイラと新作の競演をするための試練
13 嵐を呼ぶ すごい 競演 ★ パイレーツをレイラと競演する話
---------------- OP/ED 変更 -----------------------------
14 怪しい すごい サーカス ☆ 他劇団での経験。ケンの決意
15 歌姫の すごい 愛 ☆ サラ&カロス回
16 黒い すごい 噂 ☆ 親友まなみ登場。引き抜きによる劇団の危機
17 燃えろ! すごい ミア ☆ ユーリの復讐
18 ユーリの すごい 罠 ☆ 最後の公演。フールが見えなくなる。
19 家族の すごい 絆 ☆ そらの両親の訪米。妹が誕生する話
20 ゼロからの すごい スタート ☆
21 謎の すごい 仮面スター ★ 仮面スターとの競演
22 仮面の下の すごい 覚悟 ★★ 演技コンテスト。急展開。フールが見える
23 幻の すごい 大技 ☆ レイラとの競演が決定。グランド・キャニオンで特訓
24 まだ続く すごい 特訓 ☆
25 ふたりの すごい 絆 ☆
26 傷だらけの すごい 復活 ★ 「幻の大技」。「貴方は私の夢」。第1期完結{/netabare}
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★★★(神回)0、★★(優秀回)2、★(良回)6、☆(並回)17、×(疑問回)1 ※個人評価 ☆ 3.8

《幸福な西海岸~掴みはさすがに上手い》

第1話の初めに、{netabare}カレイドステージの入団テストを受けるためにアメリカに到着した主人公そらの様子が描かれますが{/netabare}、いかにも陽気で明るい南カリフォルニアの雰囲気がよく描かれていて、すんなりストーリーに入り込めました。
第2話・第3話も、ドラマチックな展開を織り込みつつ上手に話しをまとめていて納得の出来栄えでした。

《面白いけど違和感も強かった第1期》

その後ストーリーは紆余曲折を経ながらも、主人公そらと彼女の憧れのスター・レイラさんが{netabare}様々な妨害や困難を乗り越えて、「幻の大技」の競演に向けて厳しい特訓を繰り返し、ついにこれを完成させる{/netabare}というスポ根的な王道展開を見せます。
確かに面白かったのだけれど、上の各話評価のとおり、この第1期は★★(星2つ)が僅か2回という、個人的には余り納得できない出来と感じてしまいました。
しかし名作という評判を信じて、我慢して第2期へ。

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カレイドスター 新たなる翼(第2期)
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{netabare}
---------------- OP/ED 変更 -----------------------------
27 スターへの すごい プロローグ(前編) (前半総集編1)☆
28 スターへの すごい プロローグ(後編) (前半総集編2)☆

29 新しい すごい ライバル × レオン&メイ登場回。展開がかなり強引
30 もう一人の すごい 新人 ☆ ロゼッタ回
31 情熱の すごい ライバル ★ 「レイラさんに謝れ!」回
32 氷の上の すごい 対決  ★★ メイとドラキュラ公演のヒロインを争う話。そらの弱点とは?
33 汗と涙の すごい ロゼッタ ☆ ロゼッタの特訓を手伝う話
34 やっぱり すごい レイラさん ☆ レイラを追いかけるのではなく、そら自身の夢を持つ必要を指摘される
35 マリオンの すごい デビュー ☆ キッズ・ステージを作る話。マリオンのデビュー
36 レオンとの すごい 特訓 × サーカス・フェスティバルの特訓。レオンの行動が異常
37 二人の すごい 悪魔 ★ メイの本気が見られる回。「デーモン・スパイラル」
38 天使の すごい 反撃 ★ そらの本気が見られる回。「天使の技」初出
39 惨酷な すごい 祭典 ★★★ フェスティバルの意外な結末
40 絶望の すごい 帰国 ★★ そらの夢がようやく固まる
41 再出発の すごい 決意 ★★ かなり意外な展開。ソフィーとは誰?
42 屈辱の すごい 共演 ★★ 意外な展開の続き
43 ポリスの すごい プロポーズ ★★ そらの演技がもたらすもの
44 笑顔の すごい 発進! ★★ メイの目から見たそら。笑顔の重み
45 レオンの すごい 過去 ☆ 「天使の技」の秘密1
46 宿命の すごい 決斗 × 「天使の技」の秘密2。ソフィーとの約束
47 舞い降りた すごい 天使 ★ みんなの天使の心を呼び覚ます技
48 傷ついた すごい 白鳥 ☆ 争いのないステージ
49 ひとりひとりの すごい 未来(あした) ☆ 最後の試練
50 避けられない ものすごい 一騎討ち ★★★ 競うことの意味
51 約束の すごい 場所へ ★ 最高の喝采。「貴方は私の誇り」。第2期完結{/netabare}
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★★★(神回)2、★★(優秀回)6、★(良回)5、☆(並回)9、×(疑問回)3 ※個人評価 ★ 4.4


《第1期の違和感の原因がはっきりした第39話以降の展開》

ネタバラシはしませんが、頑張って視聴し続けて良かったと感じた第39話(★★★(3つ星評価))
そして、続く第40話から第44話まで、この作品の本当のテーマ(のひとつ)が次第に明らかにされていきます。

《裏の主人公レイラの望み》

ラスト手前の第50話(★★★(3つ星評価))ではこの作品のもうひとつのテーマが明かされます。
ここが本当の圧巻(クライマックス)。
最終話の第51話が霞んでしまうくらいの出来でした。
素直にこの作品を視聴できて良かったと思いました。

※以下、ファンサービスの後日談等(OVA)

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カレイドスター 新たなる翼 -EXTRA STAGE-『笑わない すごい お姫様』
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{netabare}
52 次のスター候補ロゼッタと妖精フールの話 ☆
{/netabare}

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カレイドスター Legend of phoenix 〜レイラ・ハミルトン物語〜
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{netabare}
53 - 2話分(約51分)。後日談+レイラ視点での物語 ☆
{/netabare}

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カレイドスター ぐっどだよ! ぐぅーっど!
===============================================================
{netabare}
54 - 2話(約24分×2回)。 (本編のパロディ) ☆
{/netabare}

《総評》

2003~4年制作の作品なので、作画・演出のレベルはどうしても低く、脚本も色々と粗(あら)が目に付いてしまうので、他作品との兼ね合いでそれ程高い点数は付けられませんでしたが、実際に視聴すれば、点数以上の感動がある作品だと思います。
また、作品テーマという面でも、近年の人気アニメ(かつ名作アニメ)である

①アイドルマスター (スターの輝き、リーダーシップとは何か)
②ガールズ&パンツァー (競うことの意味、その最良の結末)

に、それぞれつながるものがある(※なお吉田玲子氏は②ガルパンのシナリオ構成も担当)と個人的には考えており、その点でも experience としての視聴価値の高い名作アニメであると思います。

《後記》  ※(2015.3.10追記)

上記の①アイドルマスター(2011年)、②ガールズ&パンツァー(2012年)は、カレイドスターで描かれた作品テーマが、それぞれより深化し洗練された形で描かれた作品といえると思います(※なお、両作品にはそれぞれ固有のテーマもあります)。

カレイドスターが、

(1)全4クール51話という冗長な部分も多い大作であり、
(2)作画・演出とも現代の目から見ると古臭さが否めないこと

を考慮すると、もしこれから、こうしたテーマの作品を視聴したいと考える方がおられれば、視聴の優先順位としては、①アイマス、②ガルパン、を先とした方がより効率的かも知れません。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 55

85.0 1890 ARIA The ORIGINATION(TVアニメ動画)

2008年冬アニメ
★★★★★ 4.3 (1148)
6238人が棚に入れました
ARIAシリーズ第3期のアニメ作品。水の惑星アクアの観光都市ネオ・ヴェネツィアを舞台に、主人公の水無灯里は水先案内店""ARIAカンパニー""で一人前のウンディーネ(観光案内専門の女性ゴンドラ漕ぎ手)を目指し、日々努力している。業界のトップウンディーネであるアリシアや人間並みの知能を有するアリア社長、ともにプリマ・ウンディーネを目指す藍華とアリスなど、たくさんの人たちに支えられ、灯里はプリマ・ウンディーネへ道を歩んでいく。

声優・キャラクター
葉月絵理乃、斎藤千和、広橋涼、大原さやか、西村ちなみ、皆川純子、川上とも子、水橋かおり
ネタバレ

wkr さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

幕閉じに相応しい素晴らしい完成度

1話1話の質が上がり一期二期と描かれてきたキャラ達の魅力が底上げされつつ、未来に向かいつつあるアクアの住民の変遷の過程が幕閉じとして大いに相応しい、とても素晴らしい出来栄えの3期でした。出来が良いとは聞いてましたが、正直ここまでとは思ってなかったです。本当に観て良かったと思えるいい作品でした。

追記:『ARIA The AVVENIRE』観ました。
{netabare}15分くらいのエピソード2本、30分くらいの話一本立て。新規エピソードだったのが嬉しかったです。根本的な部分は大きく変わらないものの1〜3期からの変遷がしっかりと描かれていて、3期で不思議回がなかったことも上手く理由付けしていたりアリシアさんの心理描写の追加などと過去作を無駄にしていない内容なのが良かったです(不思議回の空間転移はやりすぎだけどもw)。それと灯里達がアリシアさん側の立場になっていて成長したんだなぁと感慨深かったし少し大人びた灯里の見た目可愛すぎますねぇ!!可愛すぎます。アイちゃんもちゃんと恥ずかしいセリフノルマを達成していましたw アリスちゃんの笑顔で少し泣きそうになりました。
でも1〜3期の補足的内容が多かったのでもう少し減らして物語の現在の様子をもっと描いて欲しかったのに加えて謎のミラクル推し、と個人的に気になった点はありましたが、ARIAという作品の質感を再確認できる良い作品でした。{/netabare}


各話の感想
{netabare}1話
3人ごとのエピソードが面白かったです。先輩3人の初心忘れるべからずな向上心が良い

画面比率が16:9になりましたね。次回予告のショートトークも返ってきました
3期になってからアイちゃんは大人びた声質に変わってる気がします。



2話
なかなかの良回

ストーリーは明里がお仕事するシンプルな内容でした。明里と藍アリスの二つの視点がありましたが、しっかりメインとサブで分けられていたのが上手いです。背景の綺麗さも際立っていました(特に花が)。「ARIAカンパニーのおもてなしの心はしっかりと受け継がれているのね。」この台詞は特に良かったですね。やっぱり想いの継承こそがこの作品深く根付いてるものなのかなと。ネオベネツィアの情景にも触れ、人の温かさにも触れる素敵な回でした

あとOP流れてる時のドーナツ全部食べられて泣く灯里可愛かったです。



3話
一言で心折れすぎやろ!と思ったら良い方向に働いてました。パティシエの仕事をするうえの真心という部分が強調されていたのが良かったです。

寝起きに観てますが、冷静に考えると明里のコミュ力とメンタル強すぎますね



4話
神回!

お仕事物みたいな内容でいつものメンバーとは違う同業他社登場で新鮮でした。その新キャラを掘り下げることで会社や指導者、仕事をする上での目標などの多種多様さがよりしっかりと描かれ、ウンディーネという職業の解像度がより高まっていました。後半、明里が今回初めてなのに上手くできたという流れもしっかり修業のシーンが描かれていたお陰で全然違和感なかったです。その後の新キャラが目立つシーン青春模様が素晴らしい。未熟者の苦悩や自己不信を、それに対比するようにもう1人のキャラの向上心を、挫折に対する向き合い方の違いを描いていたのがこれぞ青春!って感じでとても良かったです。今回登場の3人を1話っきりで放っておくのは勿体無い

今のところこの3期は微妙な回が無い。2期と比べると作品としての理念がしっかりあるような内容になっています。特に今回は今までみた日常系の中でもトップクラスの素晴らしい出来栄えに思えました。1話完結の話としては完璧に近い出来かも



5話
天才タイプよ先輩2人のどこが素敵なのか改めて掲示するアプローチ良かったです。今回はそれが引っかかる藍華ちゃんの話。導入部分の流れが綺麗でした。
今回、秀才になればいいんだ、と気づくシーン(この回の結論)は思いの外普通で正直なところ拍子抜けでしたが、その過程がちゃんとしてたのは良かったです。憧れの人が自分と同じような立場で、そこから努力は才能じゃないという考えになり自信がつく、みたいな内容でいいかな?普通に良い話ではあるもののアキラさんのどこが素敵なのか、とか前半の先輩2人みたいに描いた方がもっと良かったかな。
あと藍華ちゃん回はなんかシリアスシーン多めで疲れるなあ...一見はっちゃけたおてんば娘のようで一番思い悩むタイプ。でも斎藤千和さんの演技が臨場感あってとても上手いです。

3期は人物の内面に踏み込んだ回が多いですね。キャラの魅力と共に人間味が増してます



6話
アリシアさん可愛い回

明里がドジ連発→アリシアさん怒らない
何故怒らないのか?と疑問を持ったアリスちゃん回。後半少し間延びしてたものの、アリシアさんとアリスちゃんの絡みが珍しくてこれだけでもそれなりに満足ですが、アリシアさんの優しさの真意?が描かれてました。"優しさ"を強調するこの作品らしい内容です。
お淑やか〜なアリシアさん好き可愛すぎる。時折見せる親近感の湧くような反応が更に可愛らしい。



7話
違う感じの恥ずかしいセリフツッコミも悪意がなくて良いw

後半はARIAカンパニーの掘り下げになってちょっと意外。回想での転換期となったシーンが結構フワッとしてて話に入り込めなかったです。正直ちょい微妙
でも若い頃のグランマが可愛かったからOKです。2期の時点でも気になってたけどこんな昔から生きてるアリア社長は何者なんだ



8話
記憶喪失とか陳腐すぎないか?と前半の期待値は低かったですが結果的にはまあ悪くはないけど良くもない、凡寄りな出来。ちょっとしょうもない話かな。
でも自分のことだけ思い出されなくて悲しいアリスちゃんのシーンが可愛すぎました!泣くシーンとかのガチ百合っぽいしっとりめなシーン好み。この作品はガチではないにしろ百合は最高。赤面アリシアさんも可愛かったので後半は満足でした。6話もだけどアリスちゃんたまにオタクみたいな喋り方なってるのがなんかw

次の9話が神回らしい。4話を超えれるとは思ってないけど期待しときます



9話
期待通りの神回でした

明確に描かれる奇跡が与えた変化と認めてくれるやさしい世界、これまでのアリスちゃんの集大成としてほぼ完璧の出来でした。ちゃんと積み重ねと伏線を活かした内容かつ無駄なシーンが無い話の密度もそうですが、特に良かったのがアリスちゃんが飛び級した時に2人の反応が妬むとか悔しがるとかじゃなくて素直に認め褒め称えるところが、求めていた反応そのもので嬉しかったです。藍華ちゃんは5話で自己完結した故の変化もしっかり出てたのも良かったですね(この部分ははっきりしてないけど、以前の藍華ちゃんならモヤモヤしそう)
アリスちゃんが卒業する流れはアリスちゃんの学校の様子が直近の話はほぼ描かれてなかったから唐突だったかなと思うところがあるものの、そこだけしか欠点がなくそれを覆うまでの良さがある素晴らしい回でした。4話とは別のベクトルで良いので比べられないです

内容的にはどうでもいいことだけど「お客様、お手をどうぞ。」のアリスちゃんが可愛すぎた。この回のアリスちゃん本当に可愛かった。今回で好きなキャラ3トップがアテナさんアリシアさんアリスちゃんで確定した(順位は決められない)



10話
前半はまったりでした。地位が変化しようと変わらない関係性が好きです
後半はアルくんと藍華ちゃんの話でした。井戸に落ちるところで茶番かよと思いましたがイチャコラしてて悪くはなかったです。アルくん、これもう告白だろ

この回見る前に気づきましたが、この3期は暁月さんや郵便屋さんなどのサブキャラの登場がかなり少ないです。メイン6人をバッチリ描くという目的の3期なんでしょうね(それか原作通りなのか)。2期で多かった不思議回もないです。5〜6話分もいらないと思ってはいたけど今思えば一応世界観の構築に繋がっていたから無駄ではなかったかな



11話
前後半どちらも「その 変わりゆく日々に...」通りの内容で質の良い回でした。アリスちゃんの飛び級合格が話を回すことで、物語の転換期として強調されて描かれているのが良いですね。それに関連して藍華ちゃんの心理を深掘りするのも良かったです。曖昧なところがありましたし。

アキラさんは藍華ちゃんに自分を重ねてしまったから心配してたんでしょうね。アキラさんの優しさや5話からの藍華ちゃんの変化を感じる良い前半でした。ラストシーンはプリマ昇格の試験を受けられるってことかな?

後半はアリスちゃん視点でした。2人と会うきっかけがない、というのがリアルですね。今まで友達だから、と何となくあってはいたもののいざかしこまるとどう切り出せばいいかわからないのが個人的には共感できるし、アリスちゃんらしさが出ている描写だと思います。立ち位置は明確に変化したものの変わらない友情がはっきり描かれる、安心感のある回でした。やっぱり恥ずかしいセリフこそがこの作品の必須要素なんだよなあ!!



12話
アバンで藍華ちゃんが落ち込んでて落ちたのか...と思ったら受かってました。ちゃんと褒めてくれる明里が主人公だなあと。その後のOP映像が試験の様子でした。初めてOP中に泣かされました。
灯里の試験回でした。試験中の様子が今までの積み重ねが出ている粋なシーンばかりですごく良かった。
内容は試験ってだけなのに3分おきくらいにずっとウルウルしてたんですよね。そのくらい沁みる何かがあったわけです。もうこれは神回でいいでしょう。本当に素晴らしかった

ARIAは青春作品だったんですね。一人前になるという変化、それにつれて従来とはどうしても変わってしまう日々、それでも固く結びついている友情、青春のそれすぎますよ



13話
アバンから、主観視点のアリシアさん可愛すぎます最高です。5回くらい見直しちゃいました。そして電撃結婚報告&引退宣言!!謎の色気はそういうことだったのか... それと途中の絵は子供が描いたやつなのかな?本当に唐突だったのでそこは複雑ですが、、内容はちゃんと最終回してましたね。引退のシーンはちょっと泣いてしまった。

素晴らしい作品でした。ラストシーンの余韻がとても心地いいです



14話
こういうことがありましたよ〜的な、けいおん!!25,26,27話みたいな内容です。こいつら結婚するんだろうなあw
火山のように盛り付ける人の笑い声が好きでした
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 2

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

成長って素晴らしい

3人のプリマ昇格は感動だなあ。胸が熱いにもほどがある。ちょっとなけちゃう。
特にアリスちゃんの昇格はたまらん。

藍華とアルの恋模様にはこちらもドキドキしたなあ。穏やかな良い関係気付けそうような。

最終回が一番の胸熱。普段は女神のような微笑みで何事にも動じないアリシアさんが弱音を吐くし、灯里ちゃん圧倒的成長。最後はアリシアさんを彷彿とさせるお姿に。

これにて原作の大筋は終了かな?
原作もアニメも良いものだ。

胸が熱くなりすぎて鎮めるために腕立て伏せ100回はしないといけないという???な気持ちになってしまった。


OP
スピラーレ 歌 牧野由依
ED
金の波 千の波 歌 新居昭乃
ウンディーネ 歌 牧野由依
鳥かごの夢(Special Navigation) 歌 新居昭乃
挿入歌
バルカローレ アテナのカンツォーネとして
鳥かごの夢 歌 新居昭乃
七色の空を 歌 SONOROUS
ルーミス エテルネ 歌 広橋涼
アリスのカンツォーネとして
横顔 歌 牧野由依
12話は横顔 -acoustic version-
明日、夕暮れまで 歌 葉月絵理乃 3話ではピアノアレンジ

OPはさすがの牧野由依さん。心地よい。
新居昭乃さんのイメージに乗っ取られそう。いやーいいすね。
挿入歌もさらに情緒を高める。



以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
惑星改造により生まれた水の惑星、「アクア」。その観光都市ネオ・ヴェネツィアで皆が憧れる職業は、ゴンドラを操りウンディーネと呼ばれる水先案内人です。15才の少女、水無灯里(みずなしあかり)はウンディーネになることを夢見て、マンホームからアクアにやって来ました。その灯里が日々修業に励むのは、誉も高い水の3大妖精のひとり、アリシア・フローレンスが経営する水先案内店「ARIAカンパニー」。姫屋の藍華や、オレンジぷらねっとのアリスと一緒に、悩んだりすることもあるけれど、プリマ・ウンディーネを目指してがんばっています。

第1話 その やがて訪れる春の風に・・・
賑やかなカーニバルが終わって、ネオ・ヴェネツィアにまもなく春が訪れようとしています。そんな折、アリシアさんのお客様から、桜の紅茶と桜のジャムが届きました。一足早い春のプレゼントです。アリシアさんの提案で、姫屋の晃さんや藍華、オレンジぷらねっとのアテナさんやアリスも誘ってティーパーティーを開くことになりました。さっそく準備を始める灯里を手伝って、アリア社長も大活躍です。

第2話 その 笑顔のお客さまは・・・
ある日、シングルの灯里に案内して欲しいという予約の電話がARIAカンパニーにかかってきました。アリシアさんは励ましてくれたけれど、藍華やアリスはシングルの灯里を指名してくるなんて何か理由があるに違いない、と心配になるようなことを言います。そして、予約の日。ARIAカンパニーに現れたのはやさしそうなご婦人でした。でもそのお客様のご注文は少々変わっています。灯里だけにできるネオ・ヴェネツィア案内をしてほしいとおっしゃるのです。

第3話 その こめられた想いを・・・
ネオ・ヴェネツィアでは今日も街のあちこちで建物の修復が行なわれています。そんな建物の話題で盛り上がった灯里たちが、カフェ・フロリアンへお茶をしに行く途中、広場の露店できれいなガラス瓶に入ったチョコレートを売っている青年に出会いました。でも、その時ハプニングが。灯里たちがお店の行列に並んでいる時、子供が瓶を割って泣き出してしまったのです。灯里は、その出来事の日から青年の姿を見かけなくなったことが気になっていました。

第4話 その 明日を目指すものたちは・・・
今日も大忙しのARIAカンパニー。灯里はアリシアさんの役に立ちたいのですが、シングルの立場ではできることが少なくて・・・。そんな灯里にアリシアさんはシングルでもお客様を乗せられるトラゲットのお仕事を勧めてくれるのでした。トラゲットのお仕事の日。乗り場に着いた灯里は、いろいろな水先案内店から集まったウンディーネに混じって少しドキドキです。そして灯里は、オレンジぷらねっとのアトラと杏、それに姫屋のあゆみの4人で持ち場を担当することになったのですが・・・。

第5話 その おもいでのクローバーは・・・
合同練習に勤しむ灯里と藍華、アリスたち。その最中に触れたアテナさんの謳声と、アリシアさんの優雅なオール捌きに3人は改めて感動しました。でも、藍華はアリスの「天賦の才能は望んで手に入るものではない」という言葉にどきりとするのでした。アリスと灯里は誰にも負けない才能を持っている・・・、でも自分には?そんな時、藍華は晃さんの部屋で先輩3人組が写った写真を見つけます。その中で一人だけシングルの晃さん。辛くなかったのかと尋ねる藍華に、晃さんは秘密のエピソードを語り始めるのでした。

第5.5話 その ちょっぴり秘密の場所に・・・
今日はアリシアさんが一日おでかけでARIAカンパニーも臨時休業です。灯里はアリア社長とネオ・ヴェネツィアの街を探検して、おいしいお昼ごはんを食べたり、お買い物をしたり。そんな様子を暁が見かけて後を追いますが、神出鬼没な二人に振り回されてしまいます。そして藍華とアリスもまた、挙動不審な暁を見かけてそっと後をつけるのですが・・・。実はそのころ、灯里はとっておきの秘密の場所で、あの御方と会っていたのでした。

第6話 その 課外授業に・・・
今日もドジっ子炸裂のアテナさんにアリスは困り気味。そんな中、合同練習で灯里が藍華に叱られているのを見たアリスは、アリシアさんはどんな風に叱るのか灯里に尋ねます。でも、一度も叱られたことがないと聞いてびっくり。その日からアリスは灯里とアリシアさんの様子をこっそりと窺ってみるのですが、確かに叱る気配がありません。そんなある日、アリスは偶然カフェでアリシアさんと二人きりになってしまいます。

第7話 その ゆるやかな時の中に・・・
今日はARIAカンパニーの創立記念日です。灯里はグランマとアリシアさん、それにアリア社長の一行でネオ・ヴェネツィアンレースで有名なブラーノ島へ1泊旅行にでかけるのでした。そこは引退したARIAカンパニーの先輩ウンディーネであるアンナが嫁いでいった島。その夜、皆で楽しい時間を過ごす中、灯里はグランマからARIAカンパニーを作ったいきさつを聞きます。それは、グランマがまだ姫屋でウンディーネをしていた頃の物語でした。

第8話 その 大切な人の記憶に・・・
アリスからアテナさんと二人でピクニックに出かける、と聞いて灯里と藍華はびっくり。アリスは知らないけれど、それはシングル試験なのかも!?そんな二人の驚きをよそに、アリスは楽しみに胸を膨らませます。でも肝心のその日、アテナさんは急な仕事でピクニックは中止に。アテナさんのせいではないと思いながら、冷たくふるまってしまうアリス…。その時、バナナの皮で転んだアテナさんがなんと記憶喪失になってしまったのです。

第9話 その オレンジの風につつまれて・・・
アリスがついにミドルスクールを卒業。これからずっと灯里や藍華と一緒に練習できる!アリスがひときわ気合の入った合同練習をしたその夜、アテナさんは明日ピクニックに行こうとアリスを誘うのでした。そして翌朝。今日は一日、アテナがお客さんでアリスがウンディーネの役で通す、というアテナの提案を受けて立つアリス。そして・・・。「お客様、お手をどうぞ。」初めて見せるアリスの柔らかで自然な笑みに、アテナさんは驚くのでした。

第10話 その お月見の夜のときめきは・・・
アリスがプリマになって初の営業日。緊張しつつなんとか仕事をこなしていく様子を、灯里と藍華は物陰からそっと見守ります。でも、思うようにいかず落ち込んでしまうアリス。そんなアリスを励ますために、灯里はお月見をしようと提案するのでした。そうして始まった楽しいお月見の会。アリスの気持ちは次第にやわらかくなっていきます。一方、藍華は落ち着かない様子。お月見に誘っていたアルくんがなかなか現れないのです。

第11話 その 変わりゆく日々に・・・
姫屋のサロンで一人思い悩む晃さん。会社のウンディーネたちがアリスの飛び級昇格の噂話をしているのを耳にして、藍華のことが心配になってしまいます。意を決した晃さんはジェラート屋へと藍華を誘い出します。でも話を切り出せないでいる晃さんに藍華は自分から決意を語り始めました。その想いを受け止めた晃さんは藍華にある提案をするのです。一方のアリスは、今までのように灯里や藍華に会えないほど忙しい日々を送っていました。

第12話 その 蒼い海と風の中で・・・
灯里と藍華の二人だけになってしまった合同練習。そのさなか、藍華はもう一緒に練習ができなくなったことを告げます。そして新たに開店する姫屋の支店を任されることも。涙まじりでそう話す藍華のプリマ昇格を灯里は心から祝福しました。早速アリシアさんに藍華の昇格を報告する灯里。するとそれを聞いたアリシアさんは、あくる日プリマ昇格試験を行うことを灯里に告げるのでした。

第13話 その 新しいはじまりに・・・
ついにプリマに昇格した灯里に、アリシアさんは心に秘めていた決意を明かしました。それはアリシアさんがゴンドラ協会の要職について現役を退くということ。話を聞いて駆け付けた藍華とアリスの前で灯里は、「きっと、大丈夫」と元気に振舞います。今はまだアリシアさんがいて、アリア社長がいて、灯里がいるいつもと変わらぬARIAカンパニー。けれど、アリシアさんの姿がふと見えなくなった瞬間、灯里の気持ちはさざめくのでした。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 8
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

聖地巡礼記(※アニメの感想・レビューではありません)

(初稿 2016年初夏)

※ARIA第1~3期+OVAの感想・レビューは、全て第1期「ARIA The ANIMATION」の方にまとめています。
※本ページは、ARIAの作品舞台ネオ・ヴェネチアのモデルとなったイタリアの観光都市ヴァネチアへの巡礼記です。

去年の夏ごろ、初めてARIA全シリーズを一括視聴して予想外の感銘を受けてしまい、それ以来「今度一回、ヴェネチアにじっくり滞在してみたいな」と何となく思っていましたが、ふっと5月の同地行きの航空券をチェックしてみたら、ロシア・アエロフロート航空のモスクワ乗継便が意外と手頃な値段(諸費用含めて60,000円弱)だったので、「えいや!」の勢いで行ってきました。

ついでに書くと、ヴェネチアでの滞在先も、一般のホテルではなく、“ホステル”つまり個室ではなく2段ベットが一部屋に何台も入っているドミトリー形式の宿泊所だったらそこそこ安くて(一泊3,000円台)、しかもそのホステルがサン・マルコ広場の対岸のジュデッカ島にあって、サン・マルコの鐘楼を眺めながらホステル玄関口の岸壁で夕涼みできるという絶好のロケーションだったので、思わず3泊もしてしまいました(ネットで事前に予約済み)。


◆さて、個別の作品登場箇所の紹介です。

(1)サン・マルコ広場・・・第1期の第13話「その まっしろな朝を…」

 {netabare}灯里(あかり)たちが、ネオ・ベネチアの中心地である聖マルコ広場で大晦日を越し、初日の出を迎える話です。{/netabare}

→ ヴェネチア来たら、まずここへ行け!という感じの、東京の日比谷公園か皇居外苑みたいな所。
ヴェネチアの守護聖人である聖マルコの名を冠するこの広場を取り囲んで、かってのヴェネチア共和国の宗教的中心施設(聖マルコ寺院)・政治的中心施設(ドゥカーレ宮殿(ヴェネチア統領(ドゥーチェ)公邸兼政庁で、上院議事場もここに置かれた)・鐘塔(サン・マルコの鐘楼、ヴェネチア本島で一番高い塔)が立ち並び、さらに広場の奥まった区画に幾つものお洒落なカフェが観光客を待ち受けています。
貸衣装を纏って記念写真を撮ってもらう新婚カップルたちもいて、どことなく晴れやかな雰囲気の漂う場所でした。


(2)ムラーノ島・・・第2期の第11話「その 大切な輝きに…」

 {netabare}ゴンドラでムラーノ島のグラス工房へ荷物を届ける話です。{/netabare}

→ ヴェネチアン・グラス工房のあるムラーノ島では、ガラス工芸美術館がやはり印象的でした。団体観光客向けにグラス作りを実演して見せてくれるコーナーもあるのですが、今回は個人旅行なので諦めました。


(3)サン・ミケーレ島・・・第2期の第20話「その 影のない招くものは…」

 {netabare}灯里がうっかり死者の島(聖ミケーレ島)の怪異に引き寄せられてしまい、間一髪でケットシーに助けられる話です。{/netabare}

→ ただただ白い墓標の並ぶ島で一般的な観光地ではありませんが、水上バス(ヴァポレット)で立ち寄ることは可能。普通のイタリア人のお墓を見る機会なんて初めてだったので意外とインパクト大きかった島でした。


(4)サン・マルコの鐘楼・・・OVA「ARIETTA」

 {netabare}灯里がアリシアさんと一緒に鐘塔に登り、プリマの心構えを学ぶ話です。{/netabare}

→ 塔の入り口で少し並んでチケットを買って、エレベータで一気に最上階まで上れます。聖マルコ広場で一番高い場所なので、寺院の丸天井まですっかり見下ろすことが出来ました。


(5)サン・マルコ寺院・・・第3期の特別回(Special Navigation 第5.5話)「その ちょっぴり秘密の場所に…」

 {netabare}灯里が浮島務めの暁さんと一緒に聖マルコ寺院のバルコニーで夕暮れのネオ・ヴェネチアの美しい景色を眺める話です。{/netabare}

→ クーポラ内部のビザンティン様式のモザイク画が有名な同寺院。礼拝目的ではない観光客は、入り口から少し階段を登ったところになるチケット売り場でチケットを買って、観光客用のコースを通って、このバルコニーに出ることができます。
ヴェネチア最盛期の13世紀初めにビザンティン帝国の首都コンスタンティノープル(現イスタンブール)から略奪してきたという四頭の巨大な軍馬の銅像(のレプリカ)がバルコニーで観光客を迎えてくれます。
夕暮れの風が爽やかで、ここも鐘塔に劣らぬ素敵な眺め。


◆おまけのラヴェンナ訪問記

ヴェネチア中央駅から列車で約3時間半、途中フェラーラかボローニャで乗り換える必要がありますが、かって東ゴート王国の首都がおかれ、その滅亡後はビザンティン帝国(東ローマ帝国)の総督府が置かれた「モザイク芸術の街」ラヴェンナまでは日帰りで十分観光可能です。

ラヴェンナ観光の一番の目玉は、市街地にある聖ヴィターレ寺院の「ユスティニアヌス皇帝とテオドラ皇后」のモザイクですが、今回は、もうひとつのモザイク画の傑作「羊のモザイク」のある聖ポリナーレ・イン・クラッセ寺院まで足を伸ばしてみました。
(※因みに、スタジオジブリ制作・宮崎吾朗監督アニメ『ゲド戦記』の序盤の王宮のシーンに「羊のモザイク」がチラッと登場します)

郊外なので、ローカルバスで行くつもりだったけど、ガイドブックに書いてあるバス路線が見つからなくて、ここでも「えいや!」で目的地まで徒歩で行ったら1時間半くらいかかってしまい、すっかり足が痛くなってしまいましたが、寺院は広々として、観光客も少なくノンビリできて結果オーライでした。


◆さらにおまけのローマ・聖ピエトロ広場でのミサ体験

帰国便はローマ発モスクワ経由としたので、最後の晩はローマへ。
便は昼過ぎの出発だったので、午前中にヴァティカン見学に行ったら、広場前は警官がズラっと並ぶ凄い警備で、「あれ?ヴァティカンってこんなにセキュリティ厳しかったっけ?」と訝しがりながらようやく広場に入ったら、丸い広場を幾つかの区画に区切って、それぞれの区画に椅子がビッシリ並べてあって、「ああ、今日は日曜日か。ローマ法王のミサがあるんだな」とやっと気づきました。
そこで、別にキリスト教徒ではないけど、手近な区画の入り口にいるヴァチカン職員らしき人物に適当な挨拶をして、本日のミサ用に彼らが配布している無料ブックレットをゲット。
その区画の最前列の椅子が空いていたので、すかさず陣取りました。時刻は朝の8時頃。
広い聖ピエトロ広場をやがて人が埋め尽くして、ヴァティカン日曜恒例のミサは、9時頃から1時間半ほど続きました。
そして、ミサのあとはお待ちかねの「ローマ法王のオープンカー行進」。
区画の最前列の椅子を確保した甲斐がありました。自分の眼前を、メルセデスのオープンカーの後部の特別席に立って、笑顔を振りまき片手で参列者を祝福しながら通りすぎるフランシスコ新法王!!!!良かった!!!!

今回の旅行は最初のヴェネチアも素晴らしかったけど、最後のローマも予想外の体験が出来て幸運でした。

------

以上、平成28年5月に敢行した本作の聖地ヴェネチア及びイタリアの街への巡礼記でした。

ますますイタリアが好きになってしまいました^^

(2018.8.28 第1期とレビュー内容をスィッチ)

投稿 : 2025/01/04
♥ : 48

80.8 1890 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲(アニメ映画)

2001年4月21日
★★★★★ 4.1 (730)
4213人が棚に入れました
昔懐かしいテレビ番組や映画、暮らし等が再現された「20世紀博」というテーマパークが日本各地で開催されていた。毎日付き合わされていい加減辟易しているしんのすけら子供達を尻目に、ひろしやみさえら大人達は、懐かしさに触れて20世紀博を満喫する。街中でも昔の自動車やレコード、白黒テレビといった古いものが売れるようになり、帰宅しても大人達は昔の懐かしい特撮番組やアニメ番組に取り憑かれたかのように夢中になる。ある晩、テレビで『20世紀博』から「明日、お迎えにあがります」という放送があり、これを見た大人達は突然人が変わったようになり、すぐさま眠りについてしまった。


声優・キャラクター
矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治、こおろぎさとみ、真柴摩利、林玉緒、一龍斎貞友、佐藤智恵、津嘉山正種、小林愛、関根勤、小堺一機
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

『オレの人生はつまらなくなんかない! 家族のいる幸せを、あんた達にも分けてやりたいくらいだぜ!』

劇場版クレヨンしんちゃんの第9作。
2001年公開。


【前置き】

原恵一さん、脚本&監督作品の第5弾。

本サイトのレビュー数を見ても、本作がシリーズの中で如何に多くの方の心に焼きついた作品かが窺えますね。
かくいう私も当時、これまた予告とは全く違った色を見せた後半の感動的な展開に、かなり面食らったものです。
勿論それは、数々の賞という形でも評価され、原恵一監督と劇場版クレヨンしんちゃんを、広く世間に知らしめた作品ともなりました。

本作に限っては、レビューするに辺り見返す必要もない程に内容を覚えていたのですが、やっぱり流れを追って本作も見たくなり視聴しました。

いやはや覚悟はしていましたが、やっぱり涙と鼻水が口に入ってしまう程、やられちゃいましたね。



【あらすじ】

昔懐かしいテレビ番組や映画、暮らし等が再現された『20世紀博』というテーマパークが誕生。
それからというもの、しんちゃん達子供を退け、大人達はこのテーマパークに夢中になっていきました。

しかしこのテーマパークの本質は「ケン」と「チャコ」をリーダーとする秘密結社『イエスタデイ・ワンスモア』による、大人を子供に戻して「古き良き昭和」を再現し、未来を放棄するという、恐るべき『オトナ帝国』計画の始まりだったのです。



【論じてみる】
{netabare}
まず本作が、これまでの劇場版シリーズと大きく違うのは、徒手空拳や銃火器による格闘であったりというバトル展開が一切無いことですね。
一応、無いことは無いですけどねww(※後述)
前半はそれでもいつものようにコミカルな展開が続きますが、後半からは完全に前作までの方向性から脱し、家族愛を重きにおいた感動巨編となっているのです。

ただ、やはり前作まで追っていた側としては、あまりの方向性の違いに面食らい、「思っていたのと違う」とズレを感じたのも正直な話。
それに、この方向性で〆るとするならば、前半のコミカルな部分は「ただのいつものクレヨンしんちゃん」に感じ、映画としては尺稼ぎ感のある部分が非常に強く、全体として完璧かと言われると少し疑問が残ります。

それでも、本作が名作として名高いのは、本シリーズを初めて見る多くの人が「いつもの」と「予想外の感動」を、同時に分かりやすく味わえるところだったのかなと思いました。
加えて、何よりこの「感動」という部分が一番大事なわけですが、そこに関しては誰もが太鼓判を押す出来ですしね。



さて、そのコミカルな部分の前半ですが…。
少しずつ大人達が懐かしさにやられ幼児化していく様は、コミカルに描かれながらも改めて考えると、それでも恐ろしいものがありましたね。

マサオ君が冒頭で喋っていましたが

「うちのママ、この前一人で着せ替え人形で遊んでたよ。」

も、想像すると、特にその子供からすれば、とても恐いものがあるでしょう。

懐かしいという響きは誰しも心躍るもので、条件反射のように胸が熱くなってしまうこともあるかと思うのですが、その気持ちが行き過ぎて全ての大人が、それまで当たり前であった仕事を放棄してまで遊びに興じてしまう様というのは、もしクレヨンしんちゃんでなければ、背筋の凍るシーンにも成り得たように感じます。
事実その大人達は、我が子ですら蔑んだ目を向けるようになってしまうのですから。
中盤でしんちゃんに対し、ひろしが

「キッショー憶えてやがれクソボーズ!!!! 必ずメッタメタにしてやるからなぁっ!!!!」

なんて暴言を吐く台詞は、正直胸が痛かったです。


ケンとチャコは、テーマパーク内に立てた仮初めの昭和世界「夕日町銀座商店街」を作り出したことで、「懐かし匂い」をも作り出し、それを拡散させることによって大人達を幼児化させました。
それは勿論、しんちゃん達平成を生きる子供にとっては全く効かないわけですが、作中でバーに入ったしんちゃん達がその「雰囲気」にやられ異様なテンションになってしまうも、後々冷静になると冷めてしまう場面があったように、これは決して大人達だけがかかる魔法でないことが窺えます。

「懐かしいという雰囲気だけで、全て良いと思ってしまっていないか?」
「雰囲気だけ感じて、よくも理解しないで楽しんでいないか?」

本作は、「昔は良かった」や「皆が良いと思うから良い」という現代人の思考を捉えた上での、一種のアンチテーゼのような作品に私は感じました。
勿論、「懐かしい物が良い」という言い分は間違ってはいないと思うのですが、だからといって今現在の物を過小評価してしまうのはいかがなものか、ということを原監督は言いたかったのかもしれませんね。



さて中盤、「20世紀博」により洗脳され子供に戻った大人達は、ケンとチャコと共に子供達の捕獲に向かいます。
これまで世界規模のテロ組織と対峙してきたシリーズの中で考えると、この軍団は非常にお粗末なのですが、これはこれで非常に面白くて、作品を盛り上げてくれました。
どこかの名探偵の台詞を借りると、「身体は大人、頭脳は子供」なワケですから。

攻撃手段は、パチンコに玩具のピストルに手裏剣、あげくはロケット花火に、ブルース・リーの真似事。
冷静沈着なケンとチャコの傍らで勢揃いするのが、このような輩ばかりなわけで、非常にシュールな絵になっていました。

このケンとチャコ。
(モデルは、1980年のテレビドラマ「ケンちゃんチャコちゃん」からきているそうです。)
彼らは、これまでのシリーズのボスキャラと違い、武力による攻撃は一切せず、やっていることも一言で悪とは決めつけられない為(むしろ少なからず共感を覚えてしまう)、非常に厄介な相手でした。

ただ、本シリーズの敵キャラである以上、しんちゃんのお下劣な洗礼?を受けてしまうのは、致し方ありません。
この中盤で、大事な大事な旧車「トヨタ・2000GT」を、しんちゃんの立ちションにより汚されるシーンは、見ていて大変に気の毒でした。
(どーでもいいですが、この立ちションのシーンは、まさに今で言う「ビビットアングル」でした。)
{/netabare}



【ひろしの回想】
{netabare}
感動作と名高い本作の名シーンは、大きく分けて終盤の2つではないでしょうか。

まずその一つ、『ひろしの回想』を振り返ってみましょう。


ケンからの報酬で、子供に戻って懐かしの万博アトラクションを楽しんでいた ひろし。
シロの鼻でそこへ辿り着いたしんちゃんは、ひろしの悪名高い「靴の匂い」をきっかけに、

「父ちゃんは父ちゃんなんだよ、この匂い分かるでしょ!」

と、諭します。
ひろしは、その匂いをきっかけに、幼少期から現代までの自分を、静かにフラッシュバックさせていくのでした………。


しんちゃんそっくりの銀の介爺ちゃんの自転車に寄り添って、一緒に釣りへと出かける幼き日のひろしが、そこにいました…。
ここから学生時代を経て、恋と失恋を経験し、秋田から埼玉の春日部へ上京していきます。

新入社員として営業職につき、上司に叱咤をくらい、先輩に励まされ、ひたむきに社会で働いていた現実の自分。

それは決して辛いことばかりではなく、みさえと出会い、そして最愛の息子と出会ったこと。
(ローンが後32年残っている)家を建て、一家の大黒柱として守るものが出来た瞬間、自分は生き甲斐を感じたのではないか。

真夏の炎天下の中でも足を棒にして歩き回り、夜中に帰宅する辛い毎日。
ただ、家のドアを開けると迎えてくれた、みさえ、しんのすけ、ひまわり。
子供達と一緒にお風呂に入り、妻の食事と一杯のビールを味わった時、その辛さが全てが帳消しになる程、充実した一日に変わった筈じゃなかったのか。

自分がいつか父にしてもらった、家族を連れて釣りに出かけた日。
それを今度は、自分が父親となり再現出来たことが、どれだけ幸せなことだろうか……。


「父ちゃん、オラが分かる…?」


そう優しく問いかけるしんちゃんに、ひろしは止まらない涙を拭うことなく、その最愛の息子を抱きしめるのでした。


普段は冴えない親父である ひろしですが、その彼がこれまでどれだけ家族を愛し、ひたむきに家族守るために社会に立ち向かっていたか…。
これは決して、ひろしにだけ言えることではなく、自分の父親は勿論のこと、周囲の子を持つ親父達全てが格好良く見えてくるシーンに思えました。

このシーンを見て、彼に共感し感動した人もいれば、彼の献身に心動かされ改めて父へ感謝の気持ちを持った人もいるのではないでしょうか。
ちなみに私は、どっちもでした。

この回想は、完全に台詞無しの音楽のみなのですが、ここで流れる曲「ひろしの回想」の出来が最高で、絵とも非常にマッチしており涙腺崩壊へと更に拍車をかけてきました。
「家族愛」に弱い人は、まず間違いなく涙腺崩壊する程の破壊力ではないでしょうか。
社会で働く男性には、是非一度見て欲しいシーンです。
{/netabare}




【21世紀を手に入れろ】
{netabare}
ひろしとみさえが正気を取り戻したことにより、再び一つとなった野原一家「ひろし」「みさえ」「しんのすけ」「ひまわり」「シロ」。
それに気付いたケンは、匂いの拡散による世界掌握の計画を全てバラした上で、

「おまえ達が本気で21世紀を生きたいなら行動しろ。

 未来を手に入れて見せろ。」

と、言い放ちます。
この点から見ても、彼らがただ闇雲に、自身の欲望を叶えたいだけの輩でないことが窺え、少し胸が痛みましたね。

東京タワーを模した建物の最上階、匂い拡散装置へと必死に駆け上がる野原一家。
「エレベーターは途中で止められたらアウトだ」という理由からですが、ここでもひろしの

「親にもらった足があんだろ!」

と言うシーンは、胸に響きましたね。
一家が走り去る様を見てケンが、「最近、走ってないな…」と、ポツリと呟くシーンも、何気にお気に入りです。


ですがやはり終盤の、もう一つの泣きどころ。
一家を尻目にエレベーターで最上階へ向かおうとするケンとチャコを、必死に食い止めるひろしからの一連シーンは、もう涙が止まりませんでした。


『オレの人生はつまらなくなんかない!

 家族のいる幸せを、あんた達にも分けてやりたいくらいだぜ!』


作中の数ある名台詞の中でも、この台詞が私的には、やはり群を抜いて大好きです。
同じ考えを持っている方も、きっと多いのではないでしょうか。


ここからケンとチャコを食い止めるために、まずひろしが消えます…。
最後は追手に踏みつけられながら

「テメー、チャコさんのパンツ見やがって、何色だった!?」

「白だよ白!!」

なんてやりとりをしながら………。。。
教えてくれてありがとう、男だぜ、ひろし。


そして、疲労で足が止まった みさえも、後方に自ら落ちて追手を制止することで、戦況から消えます…。

「母ちゃん!!!」

と叫ぶ、しんちゃんに対し、

「止まらないで!! 早く行って!!」

と息子に未来を託す様が、また涙を誘うんですよねホントもぅ。
勿論、みさえの手元にいたひまわりも、頭突きで追手を牽制してお兄ちゃんをサポートしてくれました。


それでもたった一人だけ追ってきた追手に対し、今度はシロが小さな身体から渾身のアタックで相手を牽制。
揉みくちゃになって落ちてったであろうシロの鳴き声が、とても痛ましかったですね。
(ちなみに、ここらへんで私の涙腺は最早、最初から防波堤なぞ無かったような程にドバドバしておりました。)

ここで、シロが消え……残されたのは、しんちゃんただ一人………。


「くっそおおおおっ!!!!」

と、ケンとチャコが表情一つ変えずエレベーターを上がっていく傍らで、しんちゃんは家族と未来を懸けて、必死に階段を登り続けます。
転んで鼻血を垂らしても……。
フラついて意識が遠のいても……。
それでも、その足は絶対に緩めませんでした。

その様は見ていて非常に痛々しいものでしたが、正面を捉えて離さないしんちゃんの鬼気迫る表情は、これまでの劇場版でも見せたことのない程の、本気のしんちゃんだったように思いました。


ここのシーンで流れる曲のタイトルは「21世紀を手に入れろ」。
これまでのクレヨンしんちゃんらしくない壮大な曲でしたが、監督が後に

「あのシーンは、音楽の面の功績も非常に大きい。」

と語った通り、非常に盛り上がりの良い、このシーンに相応しい名曲でした。
後に、本作を含む劇場版11作のBGMが収録したサントラが発売されましたが、私は本曲と前述の「ひろしの回想」は、聞くと条件反射のように泣いてしまいかねないので、再生の際は気をつけている程です。



タワーの最上階。
間に合わなかったと思われたしんちゃんでしたが、次の瞬間ケンの足を弱々しい力で必死に掴んでいました。
振り払っても振り払っても…、それでもまた掴んで離さない…。

それは、彼らの気持ちよりも先に、それを中継で見ていた「夕日町銀座商店街」の町民の心を動かし、その懐かしい匂いを消し去り、未来を望ませることに成功したのでした。
改めて、この締め方は非常に上手いと思いましたね。
シナリオの矛盾が少なからずあることが多い「劇場版クレヨンしんちゃん」ですが、本作は大人の鑑賞にも耐えうる感動作として、その締めもキッチリ的を射たような終わりを魅せてくれました。


ここで「現実の未来なんて、醜いだけなのに!!」と言い放つチャコに、しんちゃんは


『オラ、父ちゃんと母ちゃんやひまわりやシロと、もっと一緒にいたいから…ハァハァ。

 喧嘩したり、頭に来たりしても一緒がいいから……。

 あとは…オラ、大人になりたいから…ハァハァ。

 大人になって、お姉さんみたいな綺麗なお姉さんと、いっぱいお付き合いしたいから!!』


と、毅然と言い返しました。
こんな子供が、次世代の将来を担うのかと思うと、未来は本当に安泰だと私は感じましたね。
ケンも、きっとそう思ったからこそ、

『坊主、オマエの未来、返すぞ。』

と、最後に言葉を添えたのでしょう…。


最後は、自ら死を選ぶというシリーズらしからぬ展開を見せる2人でしたが、それは「家族」が許しませんでした。
飛び降りる瞬間の、しんちゃんの「ズルいぞ!」は、偶然にも?功を奏し、この世界への逃げに対してと、きっと彼らは捉えたのでしょうね。
{/netabare}


【総評】

これまでの劇場版と比べ、かなり色の違う作品ではありますが、シリーズ初心者からクレヨンしんちゃん自体に興味が無い人も含めて、心を掴むには十分な出来の作品だったのではないでしょうか。
その雰囲気だけでなく、昔懐かしの「白い色は恋人の色」「ケンとメリー 〜愛と風のように〜」といった曲や、「モーレツ!」「ケレル!」「アッと驚く為五郎」等の台詞も沢山登場しますので、当時に少なからず縁のある世代は、思わず「懐かしい!」と言いたくなるシーンに出会えることでしょう。

ただ、後半の良さと比べてしまうと、やはり前半のコメディーパートは長ったらしく感じてしまう部分も然り。
ですが、それ無くしては本作が「クレヨンしんちゃん」である意味もなくなってしまうと思うので、そこは致し方無いかとも感じましたね。

ちなみに、しんちゃんの声優である矢島晶子さんも、本作が劇場版の中で一番好きと断言しており、次回作の『戦国大合戦』の2作は別格との位置付けをしているそうです。


さて、作中ケンとチャコが、屋内の仮初めの商店街で、こう言い合うシーンがありました。


「昔、外がこの町と同じ姿だった頃、人々は夢や希望に溢れていた。

 21世紀があんなに輝いていたのに。

 今の日本にあふれているのは、汚い金と燃えないゴミぐらいだ。

 これが本当にあの21世紀なのか。」


「外の人達は心がカラッポだから、物で埋め合わせしてるのよ。

 だからいらない物ばっかり作って、世界はどんどん醜くなっていく。」


未来を返した彼らは、今もどこかできっと生きていることでしょう。
彼らが、今この2014年を見たら、改めてどう思うのでしょうね……。

それは誰も分かりませんが、私は本作を通し、決して「昔の方が良かった」とは言わず、今を何より楽しむことを忘れずこれからも生きていきたいと強く感じました。

それでは、いつも以上にモーレツ!に長々となっちゃいましたが、読んでいただきありがとうございました。


次回作は、第10作「嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」です。


◆一番好きなキャラクター◆
『野原ひろし』声 - 藤原啓治さん


◇一番可愛いキャラクター◇
『チャコ』声 - 小林愛さん



以下、チャコさんについて。
(※例の如く、どーでもいい話なので〆ます。)
{netabare}
ちなみに私は、チャコさんのパンツはずっと『ベージュ』ではないかと推察しておりましたが、ひろしの話を聞く限り「白」だそうで…。

では後は必然的に、どんな材質とタイプなのかという話になるかと思います。

私は、ナイロン92%・ポリウレタン8%のローライズのティーバックではないかと考察しました。


さて、今日も楽しい夜を過ごせそうです。

21世紀をこんなに楽しむ私を見て、チャコさんもきっと未来に希望を抱いてくれるに違いないでしょう。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 35
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

罪深いなぁ

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 初見でした。90分くらい。劇場版第9作目。
 この映画が初見なだけではなく、クレヨンしんちゃんシリーズの映画自体が初視聴でした。もちろん、記憶にないだけで子供のころに何か見ているかもしれませんけどね。
 総評としては、「泣ける話」といった感じです。ヒロシが八面六臂の大活躍をしていました。


良かったところ:{netabare}
 ありきたりかもしれませんが、しんちゃんが階段を駆け上がるシーンは良かったですね。「自分の後方が迫ってくる」というのは、この作品においては「過去が迫ってくる」ということなんだと思います。一定の感覚で引いていくカメラが「時間」ということですね。そして、しんちゃんは、観客側(未来側)に向かって走る。このシーンでは、「過去」と「未来」とその間にある「時間」を主体にしていたからこそ、しんちゃんがカメラの中心にいなかったのだと思います。
 大人のヒロシやミサエではなく、子供のしんちゃんが「過去にとらわれないように未来に向かって走る」というのは、この作品の軸の一つですからね。非常に上手く演出していたと思います。
 ただ、ちょっと尺が長すぎるような気もしましたけど。まぁ気にするほどじゃないですかね。

 「足の匂い」という象徴物も良かったと思います。これはヒロシのキャラ設定としてあるものなんだと思いますが、この作品においては「ヒロシの歩んできた過去」なんだと思います。この「ヒロシの歩んできた過去」は、全ての人を救えるような効力は持ち得ませんでしたが、ヒロシ自身とヒロシの家族だけは救うことができました。
 自分の歩んできた過去は、誰も彼もを救えるわけではなく、守りたい人だけを救えるんだってことでしょうかね。この描き方も、とても良かったと思います。
 個人的には、ちょっと気持ち悪かったですけどね(笑)。
{/netabare}

テーマ:{netabare}
 テーマ自体は、「過去と未来をどう捉えるか」ということに集約されるんですが、ここを中心に多角的に展開していたように思います。

 その一つとして「家族」というものがあったと思います。
 ヒロシの回想シーンには、かなりの尺が使われていました。その内容は「懐古」なんですが、描かれるのは楽しいエピソードだけではありませんでしたよね。恋人との別れや仕事で怒られるシーンなどのイヤなものも入っていました。懐かしさ(過去)の中には、良いことばかりではなく、悪いことだってあるんだよ、と描写されています。
 ですが、童心に返った大人たちは、楽しいことばかりを繰り返しています。仲間内でケンカをすることもなく、ただただ遊びという楽しさを享受しているだけです。
 つまり、この作品は、過去の全てを受け入れる「懐古」に対しては肯定的に見ているのですが、逃避的で良いとこ取りな「懐古厨」に対しては批判的に見ているということです。

 だから、ヒロシの子供時代の「月の石」のエピソードが入っていたのでしょう。
 このエピソードは、童心どころか子供に返ってしまったヒロシが、「過去の楽しさを享受できるかどうか」ということが主眼に置かれていたのだと思います。
 ヒロシは、自分の子供であるしんちゃんを前にして、「月の石」を諦めざるを得ませんでした。子供の前では大人になるしかなく、そのためには子供の自分を捨てなければならない。過去の辛い思い出も受け入れなければならない。過去の良いことも悪いこともひっくるめて大人になる。そして、自分が大人になって初めて、自分の子供と家族になれる。

 「大人の子供化」や「安易なノスタルジー主義」に対する社会風刺ですが、家族観をベースとする描き方は原恵一監督の得意としているところですね。「カラフル」や「河童のクゥ」なども社会風刺作品ですが、ベースにはいつも「家族観」を置いていました。


 もう一つだけ重要なことを挙げておきます。それは、大人にとっての過去ではなく、子供にとっての過去のことです。
 カザマくんは、「懐かしいってそんなに良いことなのかな?」と聞いていました。そして、しんちゃんは階段のシーンで、一度も後ろを振り返らずに前を向いて走り続ける。
 つまり、大人にとっての過去とは良きも悪しきも受け入れるべきものですが、子供にとっては過去なんて気にせずに、未来だけを向いていれば良いということですね。同じ過去を共有できないからこそ、大人たちは子供たちを敵視していました。
 この「大人と子供は違うんだ」というメッセージは、この作品の根幹に当たるんだと思います。子供は子供であるだけで十分なのですが、大人が子供になってはダメなんだってことですね。
{/netabare}


 この作品の罪深さについて、少しだけ苦言を呈したいなと思います。
 前提として、「物語の評価」と「泣けたこと」の関連について述べます。この作品は結構泣けたんですけど、私は泣けたからという理由で、作品に高評価を付けるようなことはしていません。泣くかどうかは私の主観ですし、「物語の評価」は客観でしたいと思っていますから、それぞれ別物として考えています。そもそも私は簡単に泣く方ですから、自分の泣きセンサー自体を全く信用していないっていうのもありますけどね。


対象年齢①:{netabare}
 この作品の対象年齢ってどうなっているんでしょうか?

 私は、「物語の評価」に関してだけは、明確な採点基準を設けています。公表はしていませんが、3点を基準に、4項目について±0.5点で評価点を付けています。そのうちの1項目で、かつ最も重視しているのが、この「対象年齢」です。子供向け作品でエログロや難解なテーマを描いていたら不適切、みたいなことです。
 例えば、まどマギ。私は、深夜にやっていたから傑作として評価しています。ですが、もし子供向けとして日曜日の朝にやっていたら、問答無用で駄作にしていたと思います。まどマギは、子供向けとしてはふさわしくありません。

 クレヨンしんちゃんのアニメのメインターゲットは、園児から小学生くらいまでだと思います。子供の中でも、とりわけ幼い世代を射程に入れている。この世代の子供たちは、どこまでこの作品を楽しめたのか、すごく疑問に思えました。中盤までは楽しめたのは間違いないでしょうが、終盤も楽しめていたのでしょうか?

 もちろん、楽しめたと言う人もいるでしょうし、子供には分からないって言う人もいると思います。主観的には、いろいろな意見があると思うのですが、作品内の表現から見ると、子供には分からないよねって言っていたと思います。
 それは、上で挙げたカザマくんのセリフ「懐かしいってそんなに良いことなのかな?」があるから。このセリフは、未来だけを見ている子供には「懐古」なんて分からないよね、というのを作劇上の前提としていたからあったはずなんです。それは子供たちが「オトナ帝国」に支配されないことにも表れています。
 つまり、原監督自身もこの作品を、子供向けではなく大人向けだと認識していたのだと思います。
{/netabare}

対象年齢②:{netabare}
 私は、この作品を「大人も楽しめる」作品だと聞いていました。
 「大人も楽しめる」というのは、「子供も大人も楽しめる」ことであるはずです。でも、この作品のターゲットに子供は入っていません。子供向けを標榜するのなら、自殺阻止エンドになんてしなかったはずです。分かりやすい敵キャラクターを配置して、バトルの末の大団円にしていたでしょう。子供には、ストレートなメッセージでなければ伝わりません。
 つまり、この作品は、「大人も楽しめる」作品ではなく、「大人だけが楽しめる」「子供を対象としない」作品になっているんだと思います。

 この作品を「大人だけが楽しめる」作品であると評するなら、それは構わないし、むしろ堂々とそう宣言すべきだとすら思います。そうであれば、この作品は傑作かそれに準ずる作品として評価されるでしょう。カザマくんのセリフを入れた以上、原監督が目指していたのは、この「大人のためのクレヨンしんちゃん」だと思います。

 ですが、子供向けを前提にしていないのに、「子供向けとしても成立している」と評してしまったり、「大人が楽しめるからいいじゃないか」と開き直ってしまったりするのは、間違っていると思います。この子供をないがしろにする発想は、作品内における「オトナ帝国」の在り方そのものです。あくまでも謙虚に「大人向け」を宣言すべきです。

 私は、子供向けのタイトルでは、きちんと子供向けをやってほしいと願っています。
 この作品は、「誰もが知っている家族」でなければ成立し得ないものです。その中でも「野原一家」でなければいけないものだったとも思います。つまり、「クレヨンしんちゃん」という作品でなければならなかった。
 ですが、子供向けの「クレヨンしんちゃん」からは逸脱してしまいました。子供向けのタイトルを冠して、堂々と大人だけを対象とした作品にしてしまった以上、この作品に功罪の両面を見るしかないと思います。子供向け作品で、大人向けをやっていることは功ですし、子供を除外してしまったことは罪だということです。
 「子供向け」としては駄作、「大人向け」としては傑作、とするのが正しいように思えます。


 しんちゃんの最後の「おかえり」に、私はすごくドキッとしました。あのセリフは、居心地のいい「オトナ帝国」からのヒロシの帰還をいうのであって、同時に辛さもある現実の中にヒロシを落とし込むものでした。「懐古厨」にとってのバッドエンドに相当します。
 ですが、ヒロシたち大人に救いがないわけではありません。ケンとチャコという、大人に夢を見せてくれた存在が生きているからです。だからヒロシは、「懐古厨」にならずに、あくまでも「懐古」で留めることができた。
 ヒロシは、しんちゃんから「おかえり」と言われる前に「ただいま」と自分から言っています。自分から「オトナ帝国」からの帰還を宣言していたのです。ヒロシに先に言わせた監督の意図をくみ取りたいし、私もヒロシと同じように自分から「ただいま」と言いたい。

 「クレヨンしんちゃん」が本来子供向けであることを無視して、大人向けとして絶賛することは、自分が「オトナ帝国」の一員になってしまったかのような違和感を感じます。私は、何としても「オトナ帝国」の一員になることだけは避けたい。
 「クレヨンしんちゃん」は子供向けであるべきです。この作品の「対象年齢」を減点したいと思います。
{/netabare}

おまけ:{netabare}
 「対象年齢」のところは、「対象年齢」を評価対象にしていない人には全く関係ない話ですけどね。
 「クレヨンしんちゃんは子供向け」というテーゼに対して、「クレヨンしんちゃんは大人向け」というアンチテーゼを見せたことは評価しますが、捨てていいテーゼではないと思いました。ジンテーゼにはできなかったんでしょうか。

 カザマくんのセリフが無ければ、すなわち、子供を除外することへの配慮が見えなければ、私は「この作品こそがオトナ帝国だ」と批判していたと思います。映画館に来た親子に対して「親だけが楽しんで行ってね」というのは、「オトナ帝国を批判しながら、オトナ帝国を作る行為だ」ってことです。

 ヒロシと「オトナ帝国」の違いって、結局は子供への配慮のところに表出すると思います。この作品について、「この作品の良さが分からないのは子供だから」みたいな意見がありましたけど、これを言ってはダメですよね。その人自身が「オトナ帝国」になっているし、この作品自体を「オトナ帝国」にすることにもつながってしまうと思います。
 「子供には面白くないかもね。すまんね。でも大人は楽しめるんだよ」という姿勢じゃないとダメですよね。ヒロシは過去の良し悪しの両方を受け入れる姿勢を見せたわけですから、私たちも同じように功罪の両方を受け入れる謙虚さを見せるべきだと思います。

 この作品のもう一つの罪を記載しておきます。
 この作品は非常に優れた作品です。それゆえ、これ以降の劇場版は、常にこの作品と比較されているだろうことは想像に難くありません。比較するのはもちろん大人たちです。この作品は「懐古される万博」そのものになっているのだと思います。
 いくらこの作品が優れていたからといって、「懐古厨」にならないように気を付けなければいけませんね。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 5

みかみ(みみかき) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

隠蔽された欲望を真正面から問う、という正統的な名作

 本作は「クレヨンしんちゃん」の映画シリーズの名声を一挙に高めた作品だろう。名作である、とはわたしも思う。



 大筋をいえば、

A.大人の退行願望と 
B.ノスタルジーの欲望
という、普段、一般に隠ぺいされているタイプの欲望をあえて全面に押し出しつつ、
 物語のラストで、その欲望を否定してみせる。
 という筋書きだ。敵は「イエスタデイ・ワンスモア」という70年代カーペンターズな名前からもわかるとおり、本作を視聴するターゲットとして想定されている「大人」は1960年~1970年生まれぐらいの、クレしんにハマっている子供の親世代がおおむね中心となっているものと思われる。


 でだ。
 本作は、賛否両論のある作品で、まあ作品の捉え方がけっこう別れるものにもなっている。

■肯定論:隠蔽された欲望を真正面から問う物語として


 ベタな肯定の仕方としては、
 1.「あえて、隠ぺいされた欲望/しかし、単純には否定できない欲望」としての退行願望&ノスタルジーを隠さずに正面から描いたこと、それが一概に否定できない大事な欲望であるということも隠さないこと。
 2.大事な欲望ではありながらも、最終的には「でもやっぱり」という形で、否定されるべき何かでもありうる、ということを認めること。
 という、ような感じだろうか。大筋は。

■否定派:そもそも、欲望されている風景に惹かれない

 否定派の議論は、おそらく肯定派のいうような話とはたぶんすれ違う。、
 敵役の欲望としていっしょくたにして書かれている A:退行願望と、B:ノスタルジー の二つの欲望とが、一緒に見えない、ということだろう。
 ごく単純に「その風景、ノスタルジーでもなんでもないんですけど…」ということだ。
 つまり、ノスタルジーとして表象されている60年代~70年代の風景を、80年代以後生まれの人間は「懐かしい風景」として共有できない、ということだ。これは、浦沢『20世紀少年』にせよ、『あの花』にせよそうだけれども、ノスタルジーものの宿命のようなところがあって、ノスタルジーとして表象される特定の時代性のようなものに入り込めない世代は絶対に出てくる。そうなると、ターゲットでない世代の人は「おっさん/おばさんたちのオナニー」とか言う人も出てくるわけだよ。これはけっこう避けがたい。※1
 
 椛澤美洋さんがむかし、『20世紀少年』への批判で
 「描かれた酔うべき思い出は、読者にも甘くみえなきゃダメだろ。万国博覧会、太陽の塔、三波春夫の魅力を、浦沢直樹は描くつもりがなさそうである。それらに、あらがいがたき魅力がないんだったら、悲劇は切実になってこない。それなのに作中、ただ敵も味方も酔っぱらってて、連中の観念のあいだに死体が散ってる。」
 http://homepage3.nifty.com/manga/manga/0501nikk.htm
 って書いてたけれど、そうなんだよね。

 これは、作品の問うている一定の思想的な問題設定/問いの作法に対する疑念というよりも、作品の表現手法に対する興ざめ感。
 だから、否定派と肯定派の議論はまじりあう余地がそれほどなくて、自分がどっちのリアリティの側に属する人間だったか、ということだけが、問題になってくるような。そういう評価の別れかたが成立する作品になっている。

■わたしの評価:理性的に評価するけど、感覚的には若干ひっかかりを覚える。

 わたしの評価は、

i.率直にいえば、1980年生まれなので、この作品で描かれている風景は、なんか一個上の世代の人たちのノスタルジーだなぁ、という感じがしてしまって、そこの部分の表現の切実さの足りなさ、みたいなところで、引いてしまったというのはある。つまり、感覚的には上述の否定派だといってよい。
ii.ただ、そういう世代感覚的なところは一端さておいて、ノスタルジーものを「退行願望」として描くという、方法は、<理性的には>すばらしいものだと、感じている、
 という感じである。

 比較して論じる作品としては、やはり、浦沢の『20世紀少年』だと思うが、20世紀少年が、1970年代的な
 A’.素朴な近代的ユートピア思想の暴力性と 
 B’.ノスタルジー 
 という二つを共犯関係として描いていたの比べると、クレしんの「退行願望」のほうが、より普遍的な欲望だというようには思う。高度成長期的なユートピア夢想なんて、さすがに批判すべき思想としても、もはや死に体でしょうよ、と。そんなん批判してどーすんねん、という感じになる。けれども、退行願望みたいなのは、100年や200年で滅びたりすることはまずない。
 そのように考えれば、本作は『20世紀少年』などより、はるかにすぐれた作品であると思う。

 *

 しかし、繰り返しになるけれども、ノスタルジーもの、の宿命としての、「世代はずれるとおいてけぼり」問題なるものを、これもまた解消はしきれていない。
 もちろん、ターゲットど真ん中で命中したらめっさのめりこめるだろうとは思うのだけれども、外れちゃうとなかなかに厳しい。
 ノスタルジーによって描くことをやめて、単に退行願望だけで正面突破してくれたら、もっとさらに素晴らしい作品だったと、わたしは思ったかも…しれない。(ただ、ノスタルジーによらずに、「幼少時代」を表象するための仕掛けというのは、実際むずかしいとは思うので、けっこう原理的にむずかしい批判だとは思うのだけれども)

 ま、あと、「大人の退行願望」のほうは日常的には隠蔽された欲望であることには違いないけれど、「ノスタルジー」のほうは、実は隠蔽されているどころか、テレビのゴールデンタイムとか「目覚ましテレビ」のような、エッジ感のかけらもない万人向けメディアにおいてすらばんばんと押し出されているような表現でもある。
 なので、ノスタルジーの表象に同意できないと、なおさら「オナニー乙」的な、反感も呼びおこしやすい。ノスタルジーというのは、そういう危うさがあって、スタンスの作り方が実はある側面においては、けっこう難しいものではある。
 まあ、そうは言っても、これは、けっこう意地悪な文句で、エッジ感とかを大事にするマイノリティなどに対して説得的な表現である必要は、マーケット的にはないとは思う。けれど、長年の名作みたいなところにランクしようという思うと、そこらへんで、まあようやくひっかかるような、そういう文句である。



■追記:ここでいう「正統性」について

 なおタイトルに「正統的な」と付けたのは、「文学批評文脈において正統的な」ということ。むかしっから、いわゆる「ブンガク的」という表現をする場合に、高い評価をうけるものの、ある種の典型であろう、ということです。
 とはいっても、この<ブンガク>の典型をやるのはとても難しくて、それはそれで大変なことに挑戦しなければいけないということは言うまでもありません。
 ただし、この<ブンガク臭さ>に気づいた、反骨精神あふれる一部の人々は、あえて「オトナ帝国だっせぇ」とか言ってみるという差別化ゲームに身を投じたりもするものです。あるいは、「オトナ帝国そのものはいいと思うけれども、これをベタに好きだとか言いたくない」という、ある種の派閥性に対する敏感のようなものを呼び起こすものです。それはそれで、ある程度あたまのいい子じゃないとできない差別化ゲームなんだけれども、その王道性によっても「否定派」を生む、ものになっていると思います。
 わたしは、本作はなんだかんだで良いものだと思っています。

※1 全員が全員だとは申しません。物語構造的に、ノスタルジー無視しても、じゅうぶんいい話、というのは、それはそれでそうだと思います。わたしがここで書いてる話は、受容論に目がむきがちなので物語構造的な側面から本作のよしあしを論じるのも、それはそれで興味深い議論になると思います。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 19

87.0 1890 3月のライオン 第2期(TVアニメ動画)

2017年秋アニメ
★★★★★ 4.3 (764)
4093人が棚に入れました
羽海野チカさんが「ヤングアニマル」(白泉社)で連載中のマンガを原作としたTVアニメの第2シリーズ。前作は2016年10月~2017年3月に放送され、東京の下町に暮らす孤独な高校生プロ棋士・桐山零と彼を取り巻く人々との交流を描き、幅広い層に好評を博した。監督は新房昭之さん、キャラクターデザインは杉山延寛さん、アニメーション制作はシャフト。

声優・キャラクター
河西健吾、茅野愛衣、花澤香菜、久野美咲、岡本信彦、井上麻里奈、細谷佳正、三木眞一郎、杉田智和、木村昴、千葉繁、大川透、櫻井孝宏、石田彰、玄田哲章、阪口大助、中村悠一、東地宏樹、大塚明夫、岩田光央、大塚芳忠、悠木碧、西明日香
ネタバレ

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

単なる娯楽を越えて世の中に貢献しているTVアニメは滅多にない

☆☆物語&感想☆☆

1期は物語としてはややスローペースながらも、
零という人物とその人間関係、将棋、棋士というものを、
非常に丁寧かつ細やかに描いてみせたのがとても印象深かったが、
2期は更にこれまで登場した人物との関係性をより深く描くこととなった。

部活、新人王~記念対局、棋聖戦といった将棋に関わる部分と、
零との関わり、そこに登場する人物に於いても、
これまで同様充分観ごたえのある珠玉の人間ドラマを観せてくれたが、
やはり、それ以外の約半分近い尺を費やした、
{netabare}ちほ、ひなたのイジメ{/netabare}が2期のメインとなったのは明らかだった。
感想は長くなるので、主にこの問題に関する部分に関して書こうと思う。
以下どれくらいネタバレになるのか判断しにくいので、続きは隠させてもらいます。
{netabare}
自分はこの作品が現代のイジメ問題に、
誤魔化し無しで真っ向から挑みアニメ化したことについて、
文部科学省とのコラボレーションという後押しもあったとはいえ、
本当に心からよくやった、快挙だと思っている。
何故なら誰もが経験する学校生活の中で、イジメほど身近で深刻な問題は無いはずなのに、
イジメ被害の側面を取り上げる作品はあっても、
本気でこの問題に具体的に取り組み、
視聴後に観た者に光や救いをもたらすようなものはなかったからだ。
それは何故か?答えは簡単、そんなものを作ったとしても「売れない」から。
内容が優れていても「売れない」作品をアニメ化出来るのは、
「TVアニメ」としては現在のところ実質NHKくらいだろう。

もちろん、イジメを描いたTVアニメがこれまで無かったわけではない。
長らく「日本アニメの良心」として作り続けられていた世界名作劇場シリーズの、
「小公女セーラ」などは、数十話に渡って虐げられる様が延々と繰り返されるという、
視聴者にもひたすら忍耐を強いる内容で、
本作で描かれるイジメに比べると遥かに過酷なものだったが、
当時は作品数が少なかったことや、放送時間帯に恵まれたことが幸いし、
セーラの決して絶望しない強い心や忍耐力は多くの人の胸に刻まれることとなった。

「小公女セーラ」は今でも時代を越えた名作であるのは言うまでもないが、
作品の中で描かれた「忍耐」や「決して絶望しない強い心」は、
80年台という時代としては、ある種の美徳であったように思うものの、
現代は価値観も変化し、必ずしも忍耐自体が美徳ではなくなったように思える。
そのような時代背景をふまえて考えると、「小公女セーラ」は現代人にとって、
もはや視聴後イジメ被害からの光や救いをもたらすものでは無くなったのかもしれない。

本作で取り扱ったイジメ問題に関して、
当初は綺麗なご都合主義でまとめるようなものであれば、酷評するつもりでいた。
しかしながら、作品中で描かれたものは、イジメの発生経緯~終息まで、
被害者、加害者のみならず、親、教師、周りの人間まで、
全ての言葉がこれでもか、という本音で、
現代のイジメが生々しくリアルに描かれていた。
(今は携帯が有るので、もっと陰湿かつ複雑になっているだろう)

その中に原作者の本音というか問題提起とも受け取れるような言葉も、
最後に担任を任される教師の口から出たような気がする。
「イジメの加害者が、謝って済むというのはおかしい。
加害者は自ら行った事に関して、それ相応の責任を追うべきだ」
といった感じの内容だが、自分も確かにこれには同意する。
被害者はイジメが終息した後も、ずっと心の中の傷は消えることはないのに、
加害者が何の罰も責任も負わないというのは、明らかにおかしいし、
イジメが減らない要因の一つでもあるように思える。

作品中で林田先生が、
「いじめにはどのケースにも当てはまる100%の答え、解決法はない、だから難しい」
と言っていたが、少なくとも解決の糸口はいくつも提示されていた。
その中でも最も重要と思えたのが、シンプルでいて実際は一番難しいかもしれないが、
「本人だけで抱え込まず、周りの大人に相談すること」だ。
先に上げた「小公女セーラ」のように強い人間ばかりではないし、
一人で抱え込んでしまうことで、
結果的に自ら命を経ってしまうような最悪のケースが起こっているのだから。
(実は自分の姪っ子も過去に小学校でイジメにあっていたのだが、
親を含めた周囲が努力することで解決することが出来た)

でも、実際はひなたの担任の教師のように、
現実を見ずに向きあおうとしない教師が多いのも事実だろう。
あの担任の教師は最悪だったが、その言葉にも同情する余地はあった。
今の教師も日々必死で教師自身が追い詰められ、
休職に追い込まれるようなことも珍しいことではない。
(神戸であったように、教師間でもイジメがあるような昨今である)
それでもやはり、とにかくイジメられている子供は、
周囲の大人に救いを求めるという事が本当に大事だ。

結果的に学年主任の教師が非常に優秀だったことと、ひなたの強い心があったからこそ、
イジメは解決に至るわけだが、たとえ100%の解決法が無かったとしても、
本作を観た大人や教師が、被害者、加害者に対してどう向き合っていくべきなのか、
林田先生や学年主任の教師の行動や言葉の中に、
学ぶべきものは本当に多かったと実感している。

イジメは当事者だけの問題ではない。
傍観者も間接的な加害者であるとも言える。
自分の子供が将来当事者になる可能性だってある。
全ての人が何かしら本作を観て学ぶべき所があり、
本当に観る価値のある内容だと確信している。

作品中、ひなたは零によって助けられたが、
零もまた、ひなたの「私のしたことは絶対に間違ってなんかない」
という言葉によって救われた。
(その真意は直後には語られないが、43話で零の口から語られている)
過去にイジメ被害に遭った人にとっては、
内容が本当にリアルであるぶん余計に目を背けたくなると思うが、
ひなたの言葉によって、零のように救われた気持ちになる人も少なからず居ると思うし、
是非これからでも観てもらいたいと思う。
{/netabare}
物語がまだ途中のものに5点を付けるということはやや躊躇われるところもあるが、
視聴後に於いて、人の考え方や生き方を変える可能性すら持った作品、
ましてや本作は、大げさに思われるかもしれないが、
間接的にでも人の命をも救う可能性すらあるという意義を鑑みると、
5点を付けることに躊躇する理由はないと判断した。

☆☆声優☆☆

キャスティングに関しては、1期から、もう完璧過ぎるというか、
よくこれだけの実力者&適役を集めたなとつくづく思う。
演じられる声優さんの方々も、本作の台詞には本当に演技のし甲斐があるというか、
声優冥利に尽きるんじゃないでしょうかね、この作品は。

上手い声優が全身全霊でぶつかって応える様は本当に心が揺さぶられる。
一言一言に魂が宿ったとも言える台詞は随所にみられたが、
中でも花澤さんの {netabare}「私のしたことは絶対に間違ってなんかない」
「こんな所生きて卒業さえすれば、私の勝ちだ」{/netabare}
千葉繁の{netabare}「よくやった、胸を張れ」{/netabare}
もうこの場面の演技で普段滅多にこの項目に付けない5点を付けても良いなと思えた。

そういや2期の最終話で登場した幸田母役に島本須美(ナウシカやもののけ姫)さんを起用し、
敢えて1エピソード丸々ほぼ止め絵での語りのみで聴かせたのはさすが、圧巻だった。

☆☆キャラ☆☆

人間というものを昨今のアニメでこれだけリアルに丁寧に描けている作品がどれだけあるだろうか、
そう思わされるくらい、この作品のキャラ描写と存在感はずば抜けている。
どの人物も主人公であるような錯覚、感情移入を覚えるが、
これはキャラそれぞれに圧倒的な説得力を持った台詞の深みと重みがあるから。
本当にこの作品は毎回名言が多すぎる。

シリアスな人間ドラマを、ある意味極限まで突き詰めている作品のため、
キャラ描写、存在感が弱かったらお話にならないが、
1期から引き続いて、やはりこの項目でも点数を引く気にはならない。

☆☆作画☆☆

自分の意見は少数派かも知れないが、贔屓目なしに、
2018年に観たTVアニメの中でも本作の作画は特に凄いと思って観させていただいた。

1期から変わらない極上の淡い水彩画タッチの背景は味わい深く、
キャラの輪郭が背景から浮かないセル画調の質感の相性は抜群で
派手なアクションはないものの、普通は動かさないような所で、
作画枚数を増やしてCGのようなシームレスなスローモーションで、
表情や髪の毛とかをヌルヌルと動かしてみたり、
かなり芸の細かいことを地味ながらやっている。
で、そういうところからユーモアのある場面には、
デフォルメの効いた全く違った作画で急に変化させてみたり、
本当にかなりの労力が掛かってるなと感じる。
キャラの表情の変化をこれだけ丁寧に描いた作品は滅多に見られない。

で、これだけなら通常は4.5点くらいの評価にするところ、
シャフトならではの表現力というか個性が出ているところが素晴らしい。
(別に自分はSHAFT信者でもファンでもない)
単純に美しい作画なものは色々あるものの、
映像に制作会社の個性までしっかり表現できている、
というのはなかなか並みの作品ではお目にかかれないところ。
EDなんかは予算の関係もあって、大抵静止画だったりするもんですが、
この作品はここぞとばかりにセンスを見せつけてくる。

ED後のイラストは毎話異なった人気漫画家を起用するなど、
こちらも毎回バラエティに富んでいて楽しませてくれた。

☆☆音楽☆☆

この項目は1期の点数から0.5点下げました。
OP,EDは曲自体に関しては文句はないものの、
やはり1期と比べてしまうと、アニソンとしてみた場合に劣ると感じたのが理由。
でも後半のOPに関してはイジメが解決してからのその後、
晴れやかさと新たな一歩を感じさせる曲調で心地良かった。

作中BGMに関しては1期から相変わらずで、このBGMのせいで何回泣かされたか。。
いや本当にBGMだけなら満点に値する素晴らしさ、生音への拘りも感じられるし、
曲数の多さも特筆モノだが、やはり予算の掛け方も違うんだろう。
シリアス~コミカルな場面、それぞれにとても印象深かったです。


恐らく2期の内容あってのアニメ化実現だったのかもしれないけど、
いつの日か続編が作られることを心待ちにしたいと思う。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 13
ネタバレ

▒▒▒ ⇒ムフ♪ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

イジメっ子がイジメをしていた自覚がない理由とはd(ゝω・´○)

原作が好きだし、アニメもキレイに作ってくれるてるので大好きです♪

何もかも好きなんですが、特に…

あかりお姉ちゃんがたまりません(*´Д`*)
理想なんです♪

現実には、こんな人いないだろうなぁorz

芸能人で考えてみると…

映画で役をやってた倉科カナ…
(;-ω-)ウーン胸大きいけどフワフワ感がなぁ…

外見が似てそうな筧美和子かな…
(;-ω-)ウーン性格が違いそう。

声優で外見が1番好きな茅野愛衣…

これだ!(゚∀゚)
あかりさんの中の人だし、言うことなし♪
結婚して体つきがもっとフワフワになれば、あかりさんに近づいていきそう♪ԅ(¯﹃¯ԅ)グヘヘ


それはさておき…

特にこの2期は「イジメ」が取り上げられてて、色々考えさせられます。

今から、「イジメっ子がイジメをしていた事を自覚できない理由」を述べていきますが、壮絶なイジメを体験をされた方は見ないで下さい。気分を害するだけの内容なので(〃・д・) -д-))ペコリン


{netabare}
【イジメっ子がイジメをしていた自覚がない理由は…】
{netabare}
「ただのコミュニケーションとしか思ってない」
からです。

えっ?と思われるかもしれませんが、イジメっ子にとってはそんなもんです。

さらに…

「かまってやってる」「してやってる」という思いがあると、もっとイジメていた事を自覚できません。

イジメ以外にも…

パワハラ、セクハラ、モラハラ、等の〇〇ハラスメント。
DVやストーカーをやってる奴らも、ネットで影で誹謗中傷してる奴らも…


ただのコミュニケーションとしか思ってません。

※ここでは上の行為を行ってるものを「加害者」
被害にあってる方を「被害者」とします。
{/netabare}

【何故コミュニケーションとしか思えないのか】
{netabare}
いろいろ理由がありますが…
・自己肯定感のため
・相手とそういう事でしか関わりが持てないから
等があります。

だから、ただのコミュニケーションなんです。


「自己肯定感のため」だけなら、少しは罪の意識があるかもしれません。

怖いのが、「相手とそういう事でしか関わりを持てない」というのは罪悪感が持てないのです。

もしかすると高揚感を持ってしまう場合もあり、「加害者」はエスカレートしていきます。

これが多数からのイジメやネット炎上などになると、拍車がかかってエスカレートしていきます。

「加害者」が「ただのコミュニケーション」としか思っていないような「悪意のない悪」ほど、タチの悪いものはないと思ってます。
{/netabare}

【相手とそういう事でしか関わりを持てないのは…】
{netabare}
これはイジメっ子にもイジメられっ子にもあてはまります。
悲しいかな、それ以外の関係性が持てないのです。

もし、趣味や盛り上がる事で関係が持てたのなら「イジメ」は発生しません。

イジメもそうですが、ネットで「荒らし行為」をしてる輩もそういう事でしか、誰かとからめないんだと思います。

「加害者」全般にもいえる事ですね。


「コミュニケーション」はお互いが楽しかったり気持ちよかったりすれば、「いい関係」になりますが…

イジメやネットの荒らしや〇〇ハラスメント、特にストーカーが一方的な快楽のためだけに行ってる行為は「加害者、被害者」という関係になってしまいます。

加害者側は「ただのコミュニケーション」被害者側は「イジメ等」と相反した思いなので、泥沼化していくんだと思います。
{/netabare}

【日常の一部である無視】
{netabare}
人との関係性で相手に興味がなかったり、イジメとかタチの悪い相手などに関わりたくない「無視」というのがあります。

「イジメ」より多いであろう「無視」も人との関わり方(コミュニケーション)だと思ってます。

イジメやパワハラなどを、わかってて無視をする「自覚のある無視」は罪悪感を感じるかもしれません。

でも…

ネットでよくみる「こいつとは関わりたくないなぁ」というような「自覚のない無視」はいつも発生してるので罪悪感もなにも感じません。

これは一つの「防御反応」だと思いますが、「無視」という行為は誰もがやっている行為であるといえます。


ネットで日常的に行われてる「自覚のない無視」によってコミュ等をやめていく人も多いと思います。
これはコミュ力がない「無視されてる人」に原因があるので致し方がないと思いますが…

イジメやパワハラと共に行われている周りからの「自覚のある無視」は、被害者の方にとっては、たまったものではあまりません。

「イジメ」からの辛さに「無視」が加わることによって辛さが何倍も何倍もふくれ上がってしまうからです。


「無視」してる人の中には「イジメられっ子」が可哀想だと思って声をかける人もいますが、本作品のように「イジメられっ子」が受け入れられる事はなかなかありません。

受け入れられる可能性が高いのは、その「イジメられっ子」に興味がある人だけだと思います。

ひなたのようにね♪
{/netabare}

【イジメはこの世から消えないと思う…】
{netabare}
私は…

イジメ=コミュニケーションだと思ってるので、世の中から消えないと思う。

悲しいけど…


あえてイジメにあわない方法としてあげるとしたら、


「コミュニケーション能力を高める」

ことぐらいしか思いつかないorz

でもコミュ力を高めるのが、とてつもなく難しいのですorz


では、コミュ力を高めれない人はどうすればいいか…


「魅力を高める」

でしょうか。

「魅力を高める」のに効率的なのが、「何かに特化して夢中になる事」をあげたいです。


アニコレならアニメの知識を、豊富に持ってるユーザーは「尊敬」や「憧れ」の対象になって、他のユーザーから近寄ってくれる可能性が高いです。

一つの作品に特化するのもいいでしょう。

趣味でもスポーツでもなんでもいい!
興味持った事を長年突きつめると、そのことだけには自信を持つ事ができ、相手を蔑む行為さえしなければ「魅力のある人」になれます♪
{/netabare}

【芸能人や著名人の中にはイジメにあった人が多くいます…】
{netabare}
特に「指原莉乃」と「さかなクン」を尊敬しちゃいます♪

指原は中学時代に「イジメ」「引きこもり」の経験があるそうですが、極度のアイドルオタクだったおかげで辛いのを乗り越えれたみたいです。

モー娘か他のアイドルか忘れましたが、ネットで好きなアイドルを叩く荒らしと戦いまくってたそうですww

指原に魅了されてしまうのが、年々とキレイになってるなぁと思うからです。

バラエティでも過去のことをよく話しますが、暗さもイヤミぽさも感じません。
凄いスキルだと思います♪

時々みせる闇の部分が、私はとっても好きですけどねww


「さかなクン」もイジメにあっていたそうです。

さかなクンはイジメにあってた時に「魚の世界と似てるな」と思ったらしいです。
以外全文↓
{netabare}
広い海へ出てみよう

東京海洋大客員助教授・さかなクン


 中1のとき、吹奏楽部で一緒だった友人に、だれも口をきかなくなったときがありました。いばっていた先輩(せんぱい)が3年になったとたん、無視されたこともありました。突然のことで、わけはわかりませんでした。

 でも、さかなの世界と似ていました。たとえばメジナは海の中で仲良く群れて泳いでいます。せまい水槽(すいそう)に一緒に入れたら、1匹を仲間はずれにして攻撃(こうげき)し始めたのです。けがしてかわいそうで、そのさかなを別の水槽に入れました。すると残ったメジナは別の1匹をいじめ始めました。助け出しても、また次のいじめられっ子が出てきます。いじめっ子を水槽から出しても新たないじめっ子があらわれます。

 広い海の中ならこんなことはないのに、小さな世界に閉じこめると、なぜかいじめが始まるのです。同じ場所にすみ、同じエサを食べる、同じ種類同士です。

 中学時代のいじめも、小さな部活動でおきました。ぼくは、いじめる子たちに「なんで?」ときけませんでした。でも仲間はずれにされた子と、よくさかなつりに行きました。学校から離れて、海岸で一緒に糸をたれているだけで、その子はほっとした表情になっていました。話をきいてあげたり、励ましたりできなかったけれど、だれかが隣にいるだけで安心できたのかもしれません。

 ぼくは変わりものですが、大自然のなか、さかなに夢中になっていたらいやなことも忘れます。大切な友だちができる時期、小さなカゴの中でだれかをいじめたり、悩んでいたりしても楽しい思い出は残りません。外には楽しいことがたくさんあるのにもったいないですよ。広い空の下、広い海へ出てみましょう。
{/netabare}

さかなクンを最初みた時は「ウザイキャラ」だなぁと思ってましたww

私は魚類というか水生生物全般が好きなので、さかなクンの豊富な知識に魅了されちゃいました♪

他に沢山の方がイジメや辛いことを経験されてます。

イジメで辛い思いをされてる方も一度は、好きな芸能人著名人+「イジメ」とググってみてはいかがでしょうかd(ゝω・´○)
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 4
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

将棋の世界に生きる者たちと下町の家族の物語…青春&人間ドラマの傑作

【開始前】
なんというタイミングでしょうか、今年、中学生プロ棋士が話題をかっさらいました。藤井君には零のような重さは感じませんが(あってほしくない…)、将棋に注目が集まったのは間違いないです。このタイミングで放映されますから、一期以上に注目が集まりそうです。

原作既読。一期の面白さに一期の途中で原作をむさぼり読んでしまうという始末…ドラマ系の作品が好きな人には満足いく作品だと思います。さらに、原作を活かしきって、上乗せするシャフトの演出も見事としか言いようがありません。それとNHKだからこそ、この作品が映像化されたと確信してます。

さて、二期。ほのぼのとしたスタートしました。{netabare}これはこれで良いのです。ここから二期は重くなりますから。重すぎてついていけなく人もいるかもしれませんし。それからかの名人の話も。{/netabare}この作品のテーマは桐山零が人間らしく生きることと、棋士として成長することです。そして、零の周りの人々が零にどう関わって、彼にどんな影響を与えていくのか、ここがとても面白いのです。時おり見せるクスッとする演出は重くなりすぎないためには必要なものだと思います。
二期も一期以上に期待しています。絶対に面白いです。

【後半スタート】
前半は{netabare}ひなたのいじめ問題が軸になる重い展開でした。ひなたの苦しみ、負けないと立ち向かう姿は涙なしには見ることができません。一方で、零は人との繋がりを覚え、棋士として成長していく様子が描かれました。なにかのために戦う、これまで零には無かった感情です。
いじめ問題のクライマックスが後半の1話で描かれました。いよいよ解決に向かっていきます。そして、桐山は棋士としてもうひとつ階段を上っていきます。そして、島田の話も来ることでしょう。これも熱くなります。{/netabare}
この作品の良いところは、対戦する騎士も魅力的に描かれている点。後藤もそうだけど、山崎の話をきちんと入れてくれたはさすがとしか言いようがないです。あの話も最後泣けてくるんですよね。本当に原作を大切にしてくれる良いアニメです。最後まで楽しみたいと思います。

【最終回を終えて】
原作自体、完成された作品です。その原作以上にすることなく、原作を潰すことがない、つまり、原作とアニメがイコールの関係性を保ち続けた素晴らしい作りでした。各エピソードがとにかく面白いのが「三月のライオン」という作品です。アニメにしても大丈夫か?というところ、例えば棋匠戦とか、本当に期待以上に描いてくれました。

二期はひなたのいじめ問題、名人との対局、棋匠戦、ひなたの受験と、怒濤の重い話が連続しました。ときおり、ギャグも入れて重すぎないようにしていますが、そうしてもズッシリくるエピソードです。

(ひなたのいじめ)
{netabare}二期の中心となったのがこのエピソードです。原作読んでいても本当に胸くそ悪くなる展開です。その中心人物である高城とその親、投げ捨ててしまった担任、見知らぬふりのクラスメイトに腹が立った人も多かったことでしょう。
いじめついては零が林田先生に相談した時の先生の言葉が大きな前ふりになります。「いじめで検索すると(中略)どこにも100%の解決方法は載ってないんだ」これです。そう、漫画といえど、いじめを取り扱ったときにはその答えをどう導きだすのかが大事。羽海野チカはこの問題をどう解決しようとしたのか。

ひなたの性格、ひなたを大事に思ってくれる周りの人々、置かれた状況。そして最後の切り札が国分先生と本気になった学校。これらから導いたのが三月のライオンにおけるいじめ問題の解消だったと思います。そして、三月のライオンが優しいのは高城を絶対的な悪にはしないところ。この子の心の底を見せ、その子の行く先を国分先生がとことんまで付き合うところを描いているのが本当に良いです。また、学校を出ていってしまったちほの行く末、いじめが起こす問題の大きさを実感させてくれました。{/netabare}

(名人との記念対局)
{netabare}見た雰囲気だけでただ者ではない感、まさにカヲル君のような不思議な存在感を醸し出していた三月のライオンの最強棋士である宗谷。中学生プロデビュー棋士としても零と比較されますが、人の形をした何か的な存在だった彼がなぜその雰囲気を作っていたのかが分かるストーリーでした。やっぱり宗谷も一人の人間だったことがわかり、零の棋士としての成長も垣間見えた良いエピソードでした。

舞台のひとつとなったのが仙台。駅からどこに向かっているのかがよく分かり、本当にきちんとロケーションしているんだなと実感。{/netabare}

(焼け野原)
実に三月のライオンらしい、見ごたえ抜群なエピソードです。この作品の良いところの一つが、キャラの誰もが主人公になってしまうくらい濃いキャラ設定。
{netabare}このエピソードの中心は柳原棋匠66歳。このエピソードまでは会長とおちゃらけしている場面が印象に残る程度の脇役。が、この話では一転、最年長A級棋士の化物として存在感を発揮します。悲願のタイトルを狙う島田8段との対局は地味で、タイトル戦として盛り上がらないと言われていたのが、二人の命を削るような一手一手に引き込まれていきます。柳原棋匠の心の声がどんどん重くなり、また、熱くしていきます。
その背負っているものの重さ、場面描写は作品中、ナンバーワンの名場面。島田8段の過去も1期で描写しているだけに、どちらにも肩入れしてしまうほど熱い話でした。なんでも、本当は島田8段がタイトルを獲る話を作る予定だったのが、書いているうちにこの流れにしたのだとか。この機転が利いてすごいエピソードになったということみたいです。正直、主役になりそうにないような人まで熱くしてしまうのがこの作品の良いところで、男の中男の漫画と言われるゆえんです。{/netabare}

(零とひなた)
二期の主軸の一つが零とひなたの関係性。二人とも大切な人して繋がっていきますが、それは恋ではありません。見ていると、いったいいつ意識するんだよというくらいもどかしいのですが、羽海野チカは単純に恋人として繋がることはさせませんでした。ここがポイント。
{netabare}零はひなたに心が救われました。そこで零はひなたを守ると心に誓います。勝ち進んで対局料で解決しようとしたり、普通とはズレた考えでも零がこれまで持てなかった感情です。ひなたもまた、零の思わぬ行動に傷ついていた心が癒され、彼を信じます。どこからどう見ても良い関係なんですが、あかりやじいちゃんからは零が男としてひなたと関係を作ろうと見られていません。「だって、零ちゃんですもの」「だって、ぼうずだぜ」がより、この二人の関係を表しています。
原作ではこのあと、また一つ大きく動くのですけどね。{/netabare}

作画と演出はシャフト丸出しの良いものでした。というか、原作そのものがシャフトの演出にピタリと合うものですけど。中の人は全員、キャラを演じきった素晴らしいものでした。というか、この人以外にはあり得んという当てはまりすぎな配役です。特に花澤さんは泣く場面が多く、難しかったと思いますが、ひなたが彼女で本当によかった。そう思います。

原作、アニメとも名作と感じる素晴らしい作品です。人間ドラマ、青春ドラマとして見ごたえも抜群です。この系統が好きな人は1、2期ともに見てほしい作品です。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 42

77.3 1890 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦(アニメ映画)

2002年4月20日
★★★★☆ 4.0 (459)
3001人が棚に入れました
ある夜、野原一家は全員そろって時代劇に出てくるような格好をした綺麗な"おねいさん"の夢を見る。次の日、野原しんのすけが幼稚園から帰ると、犬のシロが庭を掘り返していた。その穴から見つけた文箱の中には、「おらてんしょうにねんにいる」と読める汚い字とぶりぶりざえもんの絵が描かれた手紙が。埋めた覚えはないのにと訝しがるしんのすけだが、「おひめさまはちょーびじん」という一文を見て朝の夢を思い出し、"おねいさん"に思いを馳せながら目を閉じる。

目を開けたとき、しんのすけは夢で見た泉の畔に立っていた。訳もわからず歩いているうちに、軍勢同士の合戦に遭遇してしまう。最初は時代劇の撮影だと思い込むしんのすけだが、偶然から一人の侍の命を救う。井尻又兵衛由俊(いじり またべえ よしとし)というその侍は、命を救ってくれた恩からしんのすけを自分たちの城、春日城に案内してくれるという。そこには、しんのすけが夢で見た"おねいさん"こと廉姫(れんひめ)がいた。
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

『おい…、青空侍…。』

劇場版クレヨンしんちゃんの、記念すべき第10作。
2002年公開。


【前置き】

原恵一さんの脚本&監督作品の第6弾にして、監督としてはシリーズ引退作にあたります。

その完成度から、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞をはじめ、前作「オトナ帝国」以上に数々の賞を受賞。
実際、これまでの作品と見比べても全体的に大人向けな印象が強いシナリオ構成であり、掟破りの展開も待ち受けておりました。

公開から7年後、「ALWAYS~3丁目の夕日~」で有名な山崎貴監督が、本作を原作とし実写映画「BALLAD 名もなき恋のうた」を制作したことで再び注目を浴びたこともあり、シリーズを通し一番有名な作品かもしれませんね。
ただ、そういった背景からも、このシナリオは「クレヨンしんちゃん」でやらなくても良いのでは? という意見もチラホラ出ました。

ですが私は、「クレヨンしんちゃん」だからこそ、このシナリオが光ったのだ、と個人的に思っています。



【あらすじ】

ある夜、野原一家は全員揃って、時代劇に出てくる様な格好をした『綺麗なお姉さん』が泉に佇む夢を見ます。

次の日、突然シロが庭を掘り返した中から古い文箱を見つけたしんちゃんは、「おら、てんしょうにねん(天正ニ年)にいる」という自身が書いた手紙を見つけました。
埋めた覚えのない手紙に首を傾げるしんちゃんでしたが…次の瞬間、彼は夢で見た泉の畔に立っていました。

泉から出たしんちゃんは、近くの軍場で偶然から一人の侍『井尻 又兵衛 由俊(いじり またべえ よしとし)』の命を救います。

彼の厚意で春日城に案内されたしんちゃんは、ここが手紙にあった「天正ニ年」(1574年)であること知ります。
その城でしんちゃんは、夢で見た綺麗なお姉さん『廉姫(れんひめ)』と出会うのでした…。



【論じてみる】
{netabare}
戦国時代を舞台にとした作品は、第3作「雲黒斎の野望」でもありました。
実はこの2作、時代背景的に見ると年号はほぼ変わりません。
加えて、城の名前も同じ『春日城』なのです。
(ただ、この城は史実的には存在しません。同名の城はありますが、長野県にある全くの別物です。)

パンフによると、この「雲黒斎の野望」の事件で出来た時間の歪みが、本作に繋がったという裏設定があるとか。
後付け設定とは理解しつつも、そう言われるとシリーズファンとしてはニンマリしちゃいますね。


さて、本作が評価された理由の一つとしてまず、文献調査や時代考証に力が入れられ、当時の時代背景の描写がとても緻密であった点が挙げられます。
戦国時代の風景や生活、戦場での白兵戦など、どの時代劇でも中々見られない描写が沢山登場しました。

特に注目すべきは後半の『城攻め戦術』の一手一手ですね。
本敵の収穫を台無しにする「刈り働き」の描写。
火縄銃の着火から、次弾装填の時間を防ぎ矢で稼ぐ描写。
背面に母衣(ほろ)と呼ばれる、空気袋を着用した武士。

中でも、布で包んだ石や焙烙火矢(ほうろくびや)を遠心力で投げ飛ばす描写は、とても単純ながらかなり破壊力のある攻撃手段だなぁと見ていて感心しましたね。
当時の人間なら簡単に考えだしそうな手法ではありますが、当時を振り返るだけの視点では中々思いつかない発想な気がしました。

あと、歩兵の中に「太鼓を担ぐ役と叩く役」がいて、その音で兵の士気を上げる役割分担があるのも、見ていて面白かったですね。
実際、突入時に勢いをつけるには、かなりの効力があったのでしょう。
勢いだけでなく、今回のような長期戦では「退き貝」と呼ばれる貝が鳴ったら今日の戦は一旦終了だ、という明確なルールがあるのも、なんだか妙に納得しちゃいました。


同シリーズは、前々から舞台背景と世界観に沿った描写がかなり緻密でしたが、それが本作でも存分に発揮されたという感じですね。
私的には、本作のみがそういう感じに言われることが多くて少し悲しくなりますが……。

演出面においても、タイムスリップ作品として必要不可欠な過去へ行く描写が、本作は何のエフェクトも無く瞬時にワープしたりと、作中唯一のファンタジー要素を一切誇張せず物語は展開します。
この演出は逆に新鮮で魅力にも感じましたが、同時に本作があくまでリアリティを重視した作りであることも窺えましたね。


……と真面目に述べていますが、本作はあくまでも「クレヨンしんちゃん」。
合戦での血の描写もありませんし、途中には戦国時代に似つかわしくない野原一家のコミカルな描写も、しっかり描かれています。
焙烙火矢で建物に火がついた時の、しんちゃんとひろしが小便で火を消すシーンは、話が重苦しくなり過ぎないよう良い清涼剤となっておりました。

ここが、単発の実写映画では決して出せない、確立されているキャラクターが存在するシリーズとしての強みだと思いますね。
カスカベ防衛隊の先祖達の、あの「お約束の描写」も、単発映画では出来よう筈もありませんでしたし。

ストーリー展開としては、シリーズ中でも一番大人を意識した内容であるのは間違いありません。
ただ、同じ大人向けの「オトナ帝国」と違う本作の魅力は、このギャグパートがシリアスを邪魔しない程度に上手くブレンドされており、子供から大人まで終始退屈せずに最後まで見せてくれる、このシナリオ構成にあると私は思っています。
{/netabare}



【オマタのオジサンを中心に、シナリオを語ります】
{netabare}
さて、本作のもう一人の主人公と呼べる存在。
それが、この『井尻 又兵衛 由俊』でしたね。
(実際、本作のプロット段階でのタイトルは、「青空侍」だったそうです。)

今回は彼を中心にして、この身分の違う悲恋の物語を振り返っていきましょう。


彼は、戦場では「鬼の井尻」の異名を持つ屈強な侍。
ですがその内は、女性には奥手で、青空を見上げることが好きな、とても優しい武士なのでした。

15歳で大人と言われるこの時代。
しかし彼はその性格のせいか、30歳にして嫁の貰い手もなく周囲からは冷やかしの種にされておりました。
(勿論、親しみを込めて。)

ですがそれは…、幼馴染であり自国の姫でもある『廉姫』への、決して打ち明けることの出来ない想いのせいでもあったのです…。


ただ、それに勘付いたしんちゃんが、ストレートにこう言います。

「身分がなかったらどーするの? 廉ちゃんに好きって言う?」

そんな発想など微塵も抱いたことがなかったのでしょうね。
この問いに赤面するしか出来ない又兵衛は、とても人間味が溢れ出ていて、この瞬間から私は彼が大好きになりました。

ここで2人は、この秘密の想いを口外しないようにと、武士の誓い「金打(きんちょう)」を立てましたね。
(+皆知ってる「男同士のお約束ポーズ」も。)
以降2人が再び刀を並べ金打することは…、もうありませんでしたが…。


この恋模様が進展を見せるのは、しんちゃん達と廉姫が夢で見た泉で、野伏(のぶせり)に襲われた時ですね。
ここで颯爽と現れた又兵衛が、

『お の゛れ らあぁぁぁっ!!!!』

と、眼光見開いて野伏をなぎ倒していったシーンは、初めて見た時は鳥肌が立ちました。
しっかり廉姫の「殺すな!」の言いつけを守る辺りも、メチャクチャ格好良かったですしね。

ここで、廉姫からその想いを暗示され身を寄せられた又兵衛ですが、それでも彼は…

「どうか…どうか…、お戯れが過ぎます!」

と、その両肩を引き離すことしか出来ませんでした。
ただ、この廉姫を引き離した時にした彼の顔には、ただの安堵感だけではない感情もきっと含まれていた気がします。
と言うか、そう思いたいですね。
想いを知るしんちゃんからは「ウソツキ」呼ばわれされちゃいましたけど。

にしても、子供達(かすかべ防衛隊の先祖達)にとっては、とても刺激の強い一幕でしたね、皆固まってましたし。
と言うか、本シリーズでこのようなガチの大人の恋模様を描いたのは、後にも先にも今現在この作品のみです。


ここから、ひろし達と再開した一行は、持ってきた「自動車」に乗って城に戻るのですが、この時後ろから馬で走る又兵衛と、自動車でドンドンと先へ進み見えなくなる「廉姫」のシーンは、2人の近い未来が暗示されているようでしたね…。
本作を初めて見る方も、ここを見てなんとなしに、この恋が成就することはないと感じたのではないでしょうか。



終盤、廉姫との縁談を断られた大名「大蔵井高虎(おおくらい たかとら)」が、それを名目に春日に攻め込んで来ます。
これは、ひろしが図書館で見た歴史書の通りの出来事でもありました。
決戦前夜、城の周囲一面に敵襲の灯り日が立ち込めるシーンは、らしくないBGMも含めて先行きの不安を煽らせる見事な演出でしたね。

野原一家は、この決戦の最中に混乱に乗じて逃げ出す算段を整えてもらうのですが、ここでもしんちゃんがこう言います。

「ねぇとーちゃん、オマタのオジサン大丈夫かな…。

 お助けしなくていいかな? ねぇとーちゃん!」


討ち死に覚悟で軍勢に飛び出し、奇襲をかける又兵衛の軍団。

「倒れた仲間は見捨てよ、たとえそれが身内であってもだ!!」

こんなことを言ってのける時代が、日本にはあったんですね…。
実際、昔から知った顔ばかりの仲間達がどれだけ倒れても…、誰も…勿論又兵衛も馬を緩めはしませんでした。
「死ぬことだけが武士の道ではない」とは言われながらも、父も兄も弟も武士として戦で命を落としている又兵衛にとって、それは一種の美徳ですらあったのかもしれませんね。

ただ、現代人の私からしてみれば…、討ち死に覚悟で自分の命を投げ出す行為は…ハッキリ言って馬鹿馬鹿しくすら感じます。
でも、きっと…大切な人を守りたい、どうか無事に生きて欲しい、という想いの表し方が、この時代ではこういうやり方でしか表現出来なかったのかもしれません。
現代と比べて実行出来る選択肢が、あまりにも少すぎるのですから。


ですがそんな中、現代人であり安全な未来に生きる…、これからも数多くの安全な選択肢がある筈の野原一家が、皆が作ってくれたせっかくの退路をも引き返し、戦場の最前線に突っ込んで来てくれたんですね。


『春日部住民野原一家、義によって助太刀いたーーす!!

 いざーーーーーーーっ!!!!』


「野原一家、ファイヤーーー!!」という皆の掛け声からも、この選択が家族の総意であったことが窺えます。
わざわざ死地へと舞い戻ることに関しては、決して褒められた選択と私は思いませんが、それを実際に一致団結して出来る家族って、一体どれだけいるのでしょうね。
やっぱり、野原一家は最高だぜ!!
ここも結局は、ひろしが歴史書で見た「野原信之助とその一族らが奮戦」の通りとなりましたね。

しかしまぁ、とても緻密な時代考証の上で成り立っていた攻防を、横から思いっきりブチ壊すこの「戦国自動車?カローラ2000」の登場。
でもここは、違和感以上に見ていてとても痛快で、作中でも一番の盛り上がりを見せるシーンだったと思いましたね。

「どけどけー! ぶつかっても保険おりねーぞー!!!」

相手からしたら意味不明でしょうが、こんな戦国時代に自動車がクラクション鳴らしながら全速力で突っ込んできたら、そりゃ敵陣も恐れ慄きますよね。


2万余りの軍勢を払い除けたこの野原一家の活躍で、又兵衛の軍団は圧倒的な兵力差をひっくり返し、御大将の陣地にまで足を運ぶことが出来ました。

しかし、ここで大将を守る、大蔵井家の馬廻衆(今回では敵軍最高峰の地位)、真柄太郎左衛門直高(まがら たろうざえもん なおたか)が、これまた又兵衛に負けじ劣らずの強者だったんですよね。
この戦い(と言うか斬り殺し合い)のBGMがまた格好良いのですが、その中身は非常に泥臭いと言うか…切磋琢磨に斬り合いぶつかり合う様は妙に生々しくて印象強かったですね。
作画も、かなり気合い入ってましたし。

死闘の途中で、野原一家が総力で大将を打ち取り、

【○野原信之助 決まり手『金的頭突き』 ●大蔵井高虎】

彼らの戦いは勝敗がつかぬまま終わりましたが、自軍の敗北を知り「これまでだ、殺れ」という太郎左衛門に対し

「やらん! あんたは惜しい!!」

と、汗をかきながら良い笑顔で言ってのける、あの又兵衛は素敵でしたね。
彼らだって、決して好きで殺し合いをしているわけじゃないんですから。

ただ、敵の大将と言えば話は別。
高虎の首を切ろうとする又兵衛の行動は、この時代において至極当然です。
でも、現代人の特に子供にとっては、それはとても受け入れ難いものでした。
その気持ちを察し、そして何より討ち取った本人の意向を尊重するカタチで、又兵衛は「髻(もとどり)」というチョンマゲの「マゲ」の部分のみを斬ることで場を終結させました。

ですがコレ…、現代人からすれば「死ななくて良かったね。」で済みますが、この髻は武士の命ともいうべきもので、見方によっては死よりも辛い屈辱を本人に与えたことになるそうで……。
作中でそのことを暗示する場面はありませんでしたが、現代人の価値観を押し付けられた高虎が、少しだけ不憫に思いました。
うぅむ…、気遣いって難しいですね…。
{/netabare}



【子供向けのルールを破った、衝撃のラストシーン】
{netabare}
さて、本作が名作というカタチで世に広く蔓延したのは、何より本作のラストシーンがとても印象深かったからでしょう。
シリーズとしても、たった一度の掟破りでしたしね…。


敵陣からの帰り道。
又兵衛の馬上に乗せられたしんちゃんは、大手柄の褒美を問われ、「おじさんの小さい刀がいい」と、以前に金打で使った小刀をねだっていました。
又兵衛が「この右手差し(めてざし)は、父上の形見なのだ」と言い困っていた時、城の最前の天守閣にまで趣き、又兵衛を待つ廉姫が見えました。

自身を見据える又兵衛を見て、廉姫が大きな安堵の息を吐いた、その瞬間……。

急に響き渡る一発の銃声……。


馬上から、ゆっくりと転げ落ちる又兵衛に、しんちゃんは被せて貰った兜を払い除け近付きました。

「撃たれたらしい…。」

虚ろな目でそう呟く又兵衛から察するに、それが致命傷であることは明らかでした。
それを悟った時、又兵衛は初めて、しんちゃんがこの時代に来た真意に気付いたのです。


「しんのすけ…お前が何故、俺の元へやってきたか今分かった…。

 俺は、お前と初めて会ったあの時、撃たれて死ぬはずだったのだ…。

 だが…お前は俺の命を救い、大切な国と人を守る働きをさせてくれた。

 お前は、その日々を俺にくれるためにやってきたのだ…。」


大切な人の死を予感し泣き出しそうになるしんちゃんに、又兵衛は先に話した右手差しを渡し、最後にこう言いました…。

「お前の言う通り…、最後にそれを使わないでよかった…。

 きっと、姫様も同じ事を……」

ここで又兵衛は、その目を見開いたまま…その焦点が空を仰ぎ…、静かに息絶えました。

こういう視聴者に大前提として子供がいる作品ですと、目を閉じて死ぬ方が絵的にも残酷性を感じず、良かったように思います。
ただ、もしここで作画班が勝手に目を閉じさせたとしたら、原監督は激高したのではないでしょうか。
そう思わせるぐらい、ことだわりを持って描かれたシーンに私は感じました。

しんちゃんは、その受け取った右手差しを大粒の涙で濡らしました。
シリーズ中、メインキャラクターが死ぬこと…、そしてしんちゃんが泣く姿をしっかりと見せたシーンは、後にも先にもこの1回きりでした……。


さて、この弾を誰が撃ったのか…、一体どこから飛んできたか…。
これは作中、最後まで明言されることはありませんでした。

ただ、又兵衛の台詞からも察せるように、しんちゃんと共に歴史を変える働きをした又兵衛が、その役目を全うし終えた為であると解釈するのが一番正しい気がします。
しんちゃんと出会った当初から、又兵衛は歴史という名の下で、絶対に逃れられない死の運命の中…生きていたというわけですね…。

作中の至るところに死を予期させる描写がある中、彼がその運命を辿ることに対しては驚きはしません。
ただ、このように歴史に殺されることになるとは…、思ってもいませんでした…。



野原一家が未来に帰る間際、野原家とを繋ぐあの泉で、しんちゃんと廉姫はこう言葉を交わしました。


「廉ちゃんはオマタのオジさんと結婚したかった?」


「うん、こんなに人を好きになることは…、もう二度と無いと思う。

 だから、私はこれから先…誰にも嫁がない。」


廉姫の想いを聞いたしんちゃんは、又兵衛の気持ちを伝えようとしましたが…、それを廉姫は止めました。
きっと彼女は初めから、又兵衛の本心も、それでも自分達の恋が一生叶わないことも、全て悟って暮らしてきたのでしょうね…。
そう思うと、彼女のこれまでの台詞や立ち振る舞いにも、全て辻褄が合います。
………余計に悲しくなりますけど。

それに、小国の姫が今後結婚しないということは、春日の将来もまた安泰とは言えない未来が待ち受けているのでしょうね。
この春日が一切、歴史の表舞台に出てこないことからも分かる通り。


又兵衛との約束を思い出し、再びあの右手差しを手に取り、金打するしんちゃん。
彼女に又兵衛の本心を打ち明けることが、もう生涯無いことを意味していましたね…。


現代に帰った野原一家と、過去に同じ場所で佇む廉姫。
空を見上げると、そこには満点の青空と、又兵衛の旗にもあった小さな雲が見えました。


『おい…、青空侍…。』


涙を流しながら、その雲を見つめこう呟く廉姫の絵で、物語は終わります。
冒頭の、又兵衛の身を案じ空を見上げていた廉姫と ここのシーンが決定的に違うのは、彼女のその大粒の涙と…寂しい笑顔でした…。
{/netabare}



【総評】

シリーズとして、そして映画単体としても、非常に見応えがあり完成度の高い作品であることは間違いありません。
勿論あくまで私個人の主観ですが、そこだけは自信を持って断言出来ます。

ただ、クレヨンしんちゃんの映画としては、異質と言わざるをえない内容なので、そういう意味ではシリーズ中の評価としては非常に難しい作品です。
実写映画にもなった通り本内容は、しんちゃんがいなくても一応は成立してしまう作品なのですから。

ですが、その実写映画が本作のように後々まで語られる作品に成り得なかった事実を踏まえても、やはり本作はしんちゃん達がいたからこそ、完成度の高い作品に成り得たと言えるでしょう。
実際、ギャグパートのクオリティも、本作は決して低いわけではありませんから。
(冒頭で、夢で見た廉姫を想いチュッチュしていた しんちゃんとひろしが、みさえによって強制キスさせられるシーンが特に好きです♪)

シリーズ初心者の方、しんちゃん映画に興味の無い大人の方に、まず是非オススメしたい作品です。
ただ、シリーズのファンとしては、本作のような方向性で全体のハードルを上げちゃわないでほしいなぁ…なんて気持ちも正直持ちました。
変に大人向けを意識しなくても、意外と大人も一緒に楽しめるのが、本シリーズ(特に初期作品)の何よりの魅力なのですから。


さて、本作を見終えたら…無性に青空が恋しくなりますね。
日が出た朝焼けの空を見上げて

「今日は晴れそうだ…。」

なんて言ってる奴がいれば、それはきっと又兵衛か私でしょう。
気軽に声をかけて下さい。

ではでは、読んでいただきありがとうございました。


次回作は、第11作「嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード」です。
(うぅむ…、次回は気楽にレビュー出来そうデス♪)


◆一番好きなキャラクター◆
『井尻 又兵衛由俊』声 - 屋良有作さん


◇一番可愛いキャラクター◇
『春日 廉』声 - 小林愛さん


以下、実写化された「BALLAD 名もなき恋のうた」について。
(どーでもいい記述なので〆ます。)
{netabare}
さて本レビュー内では、実写化された「BALLAD 名もなき恋のうた」について、本作と比べると微妙のような言い回しをしましたが、あちらも戦場の描写や草薙君の又兵衛も意外にも合っていて、とても楽しめました。
映画館で見たので、余計に迫力があったのもありましたが。

中でも、「新垣結衣さん」の廉姫のクオリティは、二次元を超えたとさえ思わせる出来でしたね。

この実写に限って私は、春日が高虎に攻め落とされ慰み物となる廉姫を、上映後の夜に思いっきり想像したことを、ここで正直に告白します。

本作が好きな方は、こちらも是非一度。

よいではないか よいではないか~♪グヘヘ♡
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 31
ネタバレ

takarock さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

何故に、ここまでのリアリティを作中に落とし込んだのか?

2002年公開の「クレヨンしんちゃん」劇場版の10作目で、
監督は、前作「オトナ帝国」と同じ原恵一監督です。
ちなみに本作は、「BALLAD 名もなき恋のうた」
という作品で実写化もされているんですね。
でも、まぁこの作品は・・・この糞ダセえ映画タイトルからも分かる通り・・
いや、止めておきましょうw
興味のある方はハードルを下げてご覧下さいw

「オトナ帝国」のレビューでも書きましたが、
「オトナ帝国」と本作「戦国大合戦」はクレしん映画の中でも、
別格中の別格と言われている作品です。
この2作はクレしん映画のベスト・プラクティスと表現できるのかもしれません。
良くも悪くもですが、そのような位置付けをされてしまう作品ということです。

まず、本作を視聴して目を引いたのは、合戦のリアリティです。
私にそうした知識があるわけではないですけど、
知識の有無に関係なく、
並々ならぬこだわりを持って作られているというのは一目瞭然です。
専門家の間でも本作の時代考証については高い評価を受けているそうですけど、
さもありなんといったところです。
本作の演出は、「ガールズ&パンツァー」や、
現在放送中の「SHIROBAKO」の監督である水島努氏です。
何故に、ここまでのリアリティを作中に落とし込んだのかということについては、
どういう経緯で、そして誰の意向かということは分かりませんけど、
ディテールまで徹底的にこだわる水島努氏ならと思ってしまいますねw

こうしたリアリティは、視聴者に、
「この作品は只の子供向けの作品ではないぞ」と襟を正させると同時に、
いつもの日常ではなく、戦国時代という非日常が舞台である
劇場版のスペシャルな世界観にぐっと引き込む効果があると思います。

では、ここからはネタバレありで語っていきましょう。


{netabare}本作の主軸となるテーマは、
姫の春日廉と青空侍こと井尻又兵衛の、
その身分の違い故に、決して許されることのない悲恋でしょう。
特に印象的だったシーンは、野原一家の車の後部座席に座った廉姫、
そしてそれを馬で追う又兵衛。
しんのすけに促され、ひろしは車のスピードを上げるのですが、
馬ではそのスピードについていけず、淋しげな表情で後ろを振り返る廉姫、
そして立ち止まり茫然とそれを見送る又兵衛と
この二人の距離感を示した非常に映画的な、良いシーンでした。

演出面と言えば、花首ごとボトボトっと枝から落ちる不吉な暗示。
分かりやすい死亡フラグなのですが、
戦に無事勝利を収めた凱旋途中、一安心したところで、不意の凶弾。
上手く(視聴者の予想を)はずしてきますね。
しんのすけがやってきたことによって、生き永らえた又兵衛ですが、
この凶弾はその辻褄合わせなのでしょうかね。

クレしんという作品は、
あらゆる人物や事象を取り込むだけの強度を誇っているのですが、
これはもう本当にギリギリですねw
ここまで衝撃的な体験をさせてしまうと、
この後、日常に戻った時に、
お尻を出して「ぶりぶり~!」とかふざけている姿を想像しづらいですw

又兵衛の死後、泉にて廉姫がその想いを口にしていった時に、
しんのすけがうっかり又兵衛の気持ちを言ってしまいそうになるのですが、
慌てて思い留まり金打(きんちょう)をするシーン。

そして現在に戻ってきた時に見上げた空は、
青空侍こと又兵衛の旗印のような空で・・・

演出もラストの余韻も本当に素晴らしかったです。

私は基本的に、死別によって感動させるという手法は好きではありません。
「死なせれば感動するんだろ?」という
作り手の意識が透けて見える時はなおさらです。

果たして又兵衛を死なせる必要があったのでしょうか?
ましてや子供向けの「クレしん映画」でですよ。

では、もし又兵衛が生きていたら?
廉姫の又兵衛に対する想いは、
もう自分でも律することができない位高まっていたので、
あるいは、駆け落ちなんてことにも・・・
しかし、それこそ絵空事です。
この時代に、姫と家臣の武士が結ばれることなどあってはならないことで、
とても幸せな結末など迎えることはできないでしょうし、
何よりこれまでの異常なまでに徹底されているであろう時代考証も台無しにしかねない
現実味のないチープな結末になってしまうおそれがあります。

何故に、ここまでのリアリティを作中に落とし込んだのか?
それは、そんな絵空事のような結末など許さないということなのかもしれません。
言い換えれば、又兵衛を死なせることでしか、この悲恋の結末は迎えられないという、
又兵衛の死の必然性の担保の為の徹底的なリアリティの追求、
私はそう感じました。

そして、本作は、又兵衛が何を思い、どういう信念を持っていて、
どういう人たちに囲まれ、どういう生活を送っているのか
非常に丁寧に描かれており、
さらには、これはクレしん映画だからということもあるでしょうけど、
死別のシーンも露骨な泣かせ演出にならないような
絶妙な匙加減だったと思います。 

以上のことから、本作からは「死なせれば感動するんだろ?」という
作り手の安っぽい意図は感じませんでした。
むしろ、キャラの死というのに非常に真摯に向き合っている印象を受けました。
これらはただの推測ですし、ただの贔屓目なだけなのかもしれませんけどね。

キャラも演出も含め本当に丁寧に作られているなというのが、
本作に対する私の率直な感想です。間違いなく名作です。{/netabare}


さて、私はこのレビューで、合戦のリアリティということに触れてきましたけど、
もう少しリアリティについて語りたいと思います。
リアリティについては、私が尊敬する岸辺露伴先生(JOJO4部)の
名言を紹介したいと思いますw 
「リアリティだよ! リアリティこそが作品に生命を吹き込むエネルギーであり
 リアリティこそがエンターテイメントなのさ」

「ガールズ&パンツァー」を例にしてみましょう。
この作品は、美少女たちが戦車を乗り回し、対戦するという
アニメらしい荒唐無稽な話なんですよね。
その中で、操縦や戦車の動きのリアリティだったりで耳目を引いたわけですけど、
本当にそこにリアリティがあるのかは分かりません。

私はこのレビューでこう言っています。「私にそうした知識があるわけではないですけど」。
そもそも私にリアリティの有無を検証する知識なんてありませんし、
検証しようとも思っていません。
重要なのは、そこにリアリティが存在すると思わせるということなのです。
つまりは、ディテールまで徹底的にこだわる姿勢こそが尊いですし、
それこそが作品の血となり肉となるのです。
リアリティこそが作品に生命を吹き込むエネルギーであり
リアリティこそがエンターテイメントというのはそういうことです。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 42
ネタバレ

disaruto さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

変わるもの。変わらないもの。

劇場版「クレヨンしんちゃん」の10作目です。
ジャンルはコメディ・恋愛・ファンタジーです。
多分、1番有名なクレしん映画。



野原家はある日、綺麗な女性が一人佇む夢を全員が見る。
後日、犬のシロが庭に大きな穴を掘り、そこからしんのすけの字と思われる文書が発掘された。
埋めた覚えはないが、しんのすけは夢に出てきたお姉さんを思って目を閉じると、眼前には夢で見た同じ景色が広がっていた。



実写映画化もされている超有名タイトル。
前作「オトナ帝国」よろしく放映当時に見ていたのですが、全然内容を覚えていなかったので再視聴。


ざっくり言えば、タイムスリップ→又兵衛・廉姫に出会う→大合戦→エピローグの流れです。
導入部を短くすることでゲストキャラの描写を濃い目にしており、これが終盤の感動に繋がるのかと。
時代劇としては鉄板の“身分違いの恋”を愚直に作り上げています。
時代劇って堅いイメージがありますけれど、気の抜けたギャグが非常に嵌っていて良いアクセントになっています。
かなり見やすい作りになっているし、胸に訴えかけてくるような例のシーンも丁寧に作られている。
鉄板の題材を、しっかりした演出と伏線で盛り上げます。



以下感想。(例のシーンの分析含む)
{netabare}悲恋モノって趣向的に好きじゃないのですが、ちゃんと描かれていればやはり面白い。
悲恋への伏線は、車で二人が引き離されるシーン、又兵衛の戦死を覚悟した各種言動(出陣前の布を握るシーンなど)で描かれています。
ディズニー映画とかもそうですけれど、子ども向け映画で人が死ぬのは割とタブー視されていたはず。
「大人も感動する良い作品を作りたい」という映画制作側の本気度が伝わってきますね。



○櫓のシーン。
{netabare}戦国の恋愛観が強く示されるシーンですね。
しんのすけは「誰が誰を好きになっても自由」と言います。
でも、この時代に一家臣が一国の姫を好きになるのは大変まずい。
又兵衛が恋心をばれそうになって、緊張しているシーンは笑いましたw
こういう一服の使い方が本作は上手かった。

恋心をばらさないように、しんのすけと又兵衛は金打(きんちょう)をします。
金打とは武士にとっての誓いの儀式。
これを破った者は武士ではなくなります。{/netabare}



○又兵衛の例のシーン→しんのすけと廉姫の会話シーン。
{netabare}又兵衛たちが戦勝して帰ってくる際、誰とも知らぬ凶弾に又兵衛が倒れます。
不覚にも又兵衛の最期の言葉(お前が未来から来てくれたことで、最後まで役目を全うできた云々)に泣きそうになる私。
犯人が分からない所も上手いよね。
どこにこの気持ちを持って行ったらいいか分からないっていう。

「こんなに人を好きになることは二度とないと思う」
廉のこの言葉の後にしんのすけは真相を語ろうとしますが、静止されます。
後に二度目の金打シーン。
このシーンは「再度の武士の誓い」を示しています。
「約束を破ったことによる贖罪の意」とも思えたのですが、しんのすけが空に向かって刀を示すシーンもあるので前述の意味でしょうね。
これが「約束を守ったぞ!」っていう意味でしょうから。

「おじさんの旗だ!」
現代へと綿々と受け継がれる、歴史と人の想い。
昔あった国も、人の生活も、そこにはありません。
しかし「人が人を好きになること」は絶対に変わらない。
最後の廉姫の言葉と合わせて、素晴らしい〆でした。{/netabare}{/netabare}



今作最大の争点は「クレしんでこれをやる必要があるか?」ということ。
私の意見としては、大変申し訳ないながら「必要ない」と思いますw
野原一家が戦国時代にやって来なければならない必然性が無い分、そう感じました。
比べるのは良くないですけれど、前作は父ひろしというキャラの設定があるだけに違和感がなかったのですがね。
“出来の良い大河ドラマ”の感は強い。
でも未来人たちが戦国時代にやってくることで、価値観の違いを示されたことは十二分に意味がありました。
このおかげで良質な恋愛巨編として成り立っていると思いますよ。


総括して、よくまとまった良作映画ですね。
大人向けの色がかなり強いので、お子様と一緒に見る感じではないかな。
“一本のアニメ映画”としては素晴らしい出来だと思います。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 31

74.9 1890 カレイドスター 新たなる翼(TVアニメ動画)

2003年秋アニメ
★★★★★ 4.1 (163)
947人が棚に入れました
2003年10月4日から2004年3月27日まで、土曜日の朝(9時30分 - 10時00分)に放送時間を変更し、25回放送された。

suggest@休止 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人生観に大きな大きな影響を与えてくれました。

新章は前の幻の大技の後の話です。

レイラさんは引退して代わりに新しいキャラが入ってきて、カレイドステージも新しくなっていきます。
この新しいキャラ達に歯車を狂わされていくそらや他のメンバー達。
加えてそらは自分自身が本当はどのようなステージを創りたいのかなどいろいろと葛藤していきます!

レイラさんの居ない今、カレイドスターは一人しかいません。『そら 苗木野 』の真価が問われます。


『自分の夢』というものをこの作品は何回も訴えてきます!人から間違ってると言われても、こうと決めたらこう!そんなそらがとても輝いて見えます^ ^

1クールまるまる主人公が不振に陥るなんて今のアニメ界じゃできないことだと思います...
すごいです(^^)

最初の頃からのそらを思い出しながら、最終回でそらの目指したものを観たときは流石に感動を抑えきれませんでした...
最終話でこれほど鳥肌がたった作品はありません!

この作品視聴後は忘れていた何かを思い出したり、これからの自分を見つめたりと人生に大きな影響を与えてくれます。


特に力を入れて観ていたわけでもないのになぜが観終わった後の終った後の虚無感はとてつもないです。それだけ私が知らず知らずのうちにカレイドスターに惹かれていったのだと気付かされました^ ^
GONZOの奇跡は伊達じゃない!笑

過大評価じゃありません。観たらわかります。てか観ないとホントに損です。


結局耐えきれずにすぐ、OVAに手を出しました(^^
これからはおすすめアニメはこれを答えることが多々あると思います。

『約束の場所へ』米倉千尋
......これを聞いた瞬間にジーンです。


全て観終えてからも何回も最終回を観ている今日この頃です!

これからもみんなの名作であることは疑いの余地がありません^ ^

投稿 : 2025/01/04
♥ : 43

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

燃え尽きぬ主人公。想いは決して絶えることなし。

カレイドスター第二期である。


本作は、最初の1クールはソラがどん底まで落ちて、夢を諦めるか?な所まで追い詰められる展開なので見てて辛い。


しかし、後半は落ちたところ飛翔して前回以上のクライマックスに上がるので最高である。


この構成自体が、古典的な映画のそれにちかいものになっていて、流石は王道のサトジュン監督である。


前回で登りつめた感のあるソラをどう更に成長させるか?という難しい課題を上手く処理している。


前回では、ソラの夢はレイラさんだったと言っても過言ではなかった。しかし、彼女がいなくなった時、自分で夢を突き詰めなければならなくなると…って展開は納得できる。


今回登場のライバルキャラのメイも、最初は嫌なやつだけど~なキャラ描写が見事。


自分が決してソラやレイラさんのような天才じゃないって、わかってる凡人の悲しさと、それに負けない根性がある。ロゼッタとコンビになる展開はグッドだよグッド!。


クライマックス、ソラは「幻の大技」を超える真のカレイドスターの境地に至る。それはもはや技を超えた世界。


ステージは、彼女に出会った多くの人々が参加する奇跡が起こる場所へ…。それぞれの夢が結実し、未来と続いてくのが示される。人間と、人間の遺志の力を信じる者にしか描けぬ感動のラスト。


そして、最後はレイラさんが締める!。やはりこの人の魂の名言なくしては終われない。


最後に、藤原啓次さんをはじめ本作に関わった方で亡くならてしまった人が多いのが実に悲しい。


私としては作品を通して彼等に接し続けて、彼等のことを忘れないようにするだけがせめてもの供養と考え、ずっと大切にし続けたいと思います。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 14

dbman さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

やっぱり すごい おもしろい

オリジナルアニメ/放送期間:2003年10月-2004年3月(第2期)/全25話/アニメーション制作:GONZO DIGIMATION

第一期では、レイラさんに追いつくためにがむしゃらだったそら。第二期では、目標や夢を見失い葛藤するそらが描かれており、こちらも見どころバッチリの物語となっていました。

新たにライバルとして登場したメイ・ウォンはちょっと報われない立ち位置だったけれども言い方は悪いけれどそらを成長させてくれた当て馬としては申し分ない役割として存在感を発揮していたし、メイ自身の葛藤、そして成長物語も楽しませてもらいました。

そのほか、レオン、レイラ、ユーリ、マリオン、ロゼッタ、さらにはポリスのおっちゃんなどなどのエピソードも丁寧に描写されていたりと、登場したキャラクターすべてが感慨深いものばかり。どれもが印象深いエピソードなのでとてもすべてを綴ることは出来ません。深夜アニメでは決して観ることのできない素敵な作品として至福の時間を過ごさせていただきました。

みんな愛すべきキャラクターだらけで選ぶことが難しいけれど、マリオン&ジョナサンの癒しコンビとサラの能天気おばかキャラにはどれだけ癒しと笑いをもらったかw ちなみにオープニングでマリオンが水の中でブクブクいっているシーンが可愛すぎて、一度もOPを飛ばすことができなかったw

投稿 : 2025/01/04
♥ : 28

79.6 1890 この世界の(さらにいくつもの)片隅に(アニメ映画)

2019年12月20日
★★★★★ 4.3 (103)
666人が棚に入れました
ここではひとりぼっち、と思ってた。広島県呉に嫁いだすずは、夫・周作とその家族に囲まれて、新たな生活を始める。昭和19(1944)年、日本が戦争のただ中にあった頃だ。戦況が悪化し、生活は困難を極めるが、すずは工夫を重ね日々の暮らしを紡いでいく。ある日、迷い込んだ遊郭でリンと出会う。境遇は異なるが呉で初めて出会った同世代の女性に心通わせていくすず。しかしその中で、夫・周作とリンとのつながりを感じてしまう。昭和20(1945)年3月、軍港のあった呉は大規模な空襲に見舞われる。その日から空襲はたび重なり、すずも大切なものを失ってしまう。そして昭和20年の夏がやってくる――。

声優・キャラクター
のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔、潘めぐみ、岩井七世、牛山茂、新谷真弓、花澤香菜、澁谷天外
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

改めて冬から語り始める戦時下の日常

原作コミックは未読。

【物語 5.0点】
より文芸的に、より普遍的に。

すずさんの半生描写を通じ、戦時下でも語っても良い日常を確立した前作に、
すずとリンの関係シーンの追加等により、従来シーンの位置付けも新調された“完全新作”に。

すずさんが人として、秘密を持った女として、
立場について葛藤するなど、心情を掘り下げることにより、
人間にとって居場所とは何か?を問うなどテーマがさらに普遍化。

戦後の広島県が……{netabare}大型台風被害に見舞われるシーン追加による
本作公開年、同じく災害に苦しんだ現代と戦中の庶民感情の共有も◎。{/netabare}

戦時中という時代設定云々を越えて、語り継がれる名作が新生し深化。


【作画 5.0点】
作品リズムを変化させる追加カットの妙。

前作は時代ドキュメンタリー風の演出に、すずさんの日常を乗せたテンポ重視の構成。
一転、本作追加シーンでは、例えばリンさんがすずさんに語る場面でもゆったりとした時間が流れる。

2時間半越えの長尺以上に、緩急により醸し出される大作感。

あとは、{netabare}花見のシーン。満開の桜の木with秘密を語り合う女二人。{/netabare}美しかったです。


【声優 4.5点】
俳優でも声優として、しっかり仕事をさせる情熱。

主人公すず役・のんさん。本作で鍵となるリン役の岩井 七世さん。
共にいわゆる“ちゃんとした声優”ではないが、
役者として持っている演技力が追加シーンでも、しっかりと引き出されている。
結局、専業声優であろうがなかろうが、好演を引き出すのはスタッフ次第。

前作から周作役・細谷 佳正さんの“地元”広島弁の包容力も魅力的だったが、
本作ではCV.花澤 香菜さんの九州弁も追加され、声優ファンにとっても聴き所あり。



【音楽 5.0点】
音響パワーアップ。

元々、庶民の心情にも寄り添う繊細な弦楽や静かなボーカル曲が、
凡百の仰々しい金管爆音とは一線を画していた劇伴。
故に、戦争があろうが無かろうが変わらぬ蝉の声など、環境音もよく拾っていた前作。

音響技術が改善されたという本作では、人物の声などもさらにクリアに。
実はこの“完全版”で一番の評価ポイントは音響。


【キャラ 5.0点】
戦時中……この非常時だからって、夫婦喧嘩したって、営んだって何が悪い?
強烈な日常物のキャラ立てが“厳粛な戦時中ドラマ”の呪縛を克服していた前作。

加えて本作にて披露される、
{netabare}夫とのカンケーを問い質すべく竹槍で“武装”した、すずさんの遊郭“討ち入り”シーン。{/netabare}
時代に翻弄されるだけでなく、私事が時代を凌駕するのもまた庶民。勇猛果敢なり。

メインキャラとしてリンさんが確立される等、群像劇化が進行しても、
すずさんは薄まらないどころか、さらに深みを増す。


【感想】
季節としての夏は好きな私。けれど8月、特に上旬。
あの戦争を回顧しながら、変哲のない戦時下の日常など軽々に口にできない重苦しいムードの中。
“歴史戦”に熱中する輩が、戦時中の先人たちの人生経験の中から、
都合の良い体験や証言だけをピックアップ或いは創作して、主義主張を押し通し合う。
そして「8月15日」を過ぎたら「終わった終わった」とばかりに嘘みたいに静まりかえる。あの節操の無さ。
ひと夏過ぎるごとに、イデオロギーに引き千切られたあの時代の人々が、
現実世界から乖離し神話世界の住人になっていく……。

そんな8月が私は大嫌いです。


前作は相当ロングランした後での劇場鑑賞だったので気が付きませんでしたが、前作は11月公開。
そして本作の封切りは12月20日。
作中の物語自体も12月から始まる。

この冬スタートの理由について片渕 須直監督は
「~第2次世界大戦を描いた作品は、どうしても8月のものと言われがちです。
でも、むしろそうではない、8月のものではないと考えてこの映画を推し進めていきました。
戦争、それ以前の歴史は、ずっと続いている毎日、と捉えてもらいたかった」
と語っていますが、

理由はどうあれ私にとっては、この8月と距離を取る制作方針が心地良かったです。
“終戦”しても話をおしまいにしない戦時中のドラマとして一目置いていた前作から、
私の好感度はさらに高まりました。


前作で掘り起こした戦時中の人々の人間性。
本作では、その人間の内面により深く踏み込んでいく。
戦争ドラマより人間ドラマとして秀逸になった本作。


要するに前作より本作の方が私のお気に入りだということです。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 26

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

1940年代の広島で家庭に入る女性を体験する映画…かな。

 この作品のオリジナルを2016年の劇場公開時に見たときは数日間衝撃で朦朧としていました。それは戦争の悲惨さというか広島原爆の現実というか、そういうものを見せられたからでは無かったと思います。

 やはりはこの作品は価値観の物語だと思います。オリジナル版の玉音放送によるパラダイムシフトで根底から自分の生き方を否定されたところで、そこはわかってはいました。ただ、なんでそこまで衝撃を受けたんだろう?というのが咀嚼しきれずモヤモヤが残る映画でした。

 本作において、リンさんとの交流と水原との恋愛を丁寧に描くことで、家や夫婦というものを当時の価値観の視点で描いていました。恋愛が結婚の前提になっている現代とはまったく異なる価値観です。愛してるから夫婦になるのではない、夫婦だから愛せるようになる…と言うと単純かもしれません。
 旧劇場版では分かりづらかった、例の水原のお泊りのシーンとか、リンのノートのシーンなどの意味が良くわかりました。「代用品」問題ですね。

 女性として子供を作る、身体を売る、夫と別れる、そして、子供を失う。そういった女性の人生の激動が淡々と描かれていました。

 そして生命観です。知り合いがぽろぽろと死んでゆく。いつどこで知り合いが死ぬとは限らない世界。遊郭に出てくる風邪を引いている娘のところが一番心がざわつきました。

 その世界においては、家族の意味が決定的に異なる気がします。最後のシーンの孤児の意味が旧劇場版では分かりづらいですが、本作においてはかなり鮮明にわかった気がします。広島で同じ時代に生きた意味。必要にしてくれるなら一緒に住もうと。同情ではないのでしょう。むしろすずの救済でもあり、北条家全体の救済になりました。

 このシーンは始めの方の屋根裏の子供にもつながります。食べ物や住む場所をシェアすることに抵抗がない。そうしないとお互い生き残れないからでしょう。それが家族なのかなあという気がします。(天井裏の子って結局リンさんだったってことでしょうか?)

 家族、恋愛、生命、食べ物…いろんな価値観が今とは全く違います。これが本作の凄いところで、大抵の創作物は、現時点の価値観・道徳観・倫理観に引っ張られて作られます。そこが1940年台の広島の価値観で描き切ったところがこの作品の最大の価値なんだと思います。

 だからこそ、スズさんの人生の部分を切り取って見ているような感覚。戦争があったから不幸ということではなく、そこにそういう時代があった、そしてスズさんという女性がいた、と言う風に感じました。

 なので、私は本作を反戦映画というと違和感があります。スズさんは戦争で大変だったと思います。別れも沢山経験しました。しかし、戦争という時代を生き抜いた、家族を持ち懸命に生きたスズさんを見てどうしても不幸だったとは言えないです。
 原作者の意図が、結果的に反戦なんだとしても、スズさんの人生を見ていると、裏で起こっている戦争への忌避がかすんでしまうんですよね。そこがちょっと問題な気がします。

 まあ、これは私の感想なので、個々の体験としてこの映画は見た方がいいと思います。いくらでも語りたい事はありますがこれくらいにします。一生に一度はスズさん体験はすべきだと思いますが、繰り返し見るような映画ではない気がします。

 私は「名作」とは繰り返しの視聴に耐える作品というのを重要なファクターにしているので、名作と呼ぶのがためらわれます。本作は1回でいい気がします。その代わり映画館のような場所で没入して見るべきでしょう。

 評価は…うーん。満点でもいい気がするんですけど、なんとなくアニメ作品という枠であんまり評価したい気もしないんですよね。「はだしのゲン」「火垂るの墓」より劣ってるとも思いません…うーん、なぜでしょう?

投稿 : 2025/01/04
♥ : 10
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

この世界の。。全ての人々に観てほしい

 
2016年8月、『君の名は。』公開
2016年9月、『聲の形』公開
2016年11月、『この世界の片隅に』公開

この年は本当にアニメ映画の話題に事欠かない年でした。
本作は感動して漫画も全巻揃えました。

そして・・2019年12月、
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』封切

約40分間の映像が追加され168分に。
作画クオリティーも上がってるような気がします。
見比べた訳ではないので確証はありませんが。

■エピソード
~{netabare}
嫁入りの翌朝から一人で朝食用意とか。当時の主婦ってすごい!
よその家、よその土地で生活するってどれだけストレスなことか。
ましてや出戻りの姉までいた日にゃ、ハゲができても仕方ないですね。

特に食事を作るシーン、かまどで火を焚くシーンなんか、親の故郷の田舎を思い出し懐かしく思います。

そんな日常も、だんだん戦時下の日常になって行く。

晴美が爆弾で亡くなり、すずの右腕が無くなるシーンは、初見ほどではないにしろ、やはりキツかった。

初見の時より、晴美の母が可哀想に思えました。
最近は紛争で民間人が犠牲になると問題視され報道されますが、当時の戦争は人道的という概念はなかったんですね・・

そして、終盤の孤児の娘が親を亡くすシーン・・
戦争の残酷さを思い知らされ一番堪えました。

EDとその後のシーン・・
初作では、孤児のシーンが印象的でしたが、
今作では、遊女リンのシーンが、印象に残りました。
何か変わったのかな・・
ひょっとして自分が変わったのかも。
{/netabare}~

日常部分だけでも楽しく観られる。
特に呉での生活は、昭和の生活を肌で感じられるほど秀逸だし、妙に楽しい。

そのギャップで、戦争の悲惨さも身に沁みました。
そして、現代でも地球上から戦争はなくなっていない・・
批評もいいけど、機会があれば何かしたい・・
そんな気持ちにさせられました。


 原作:同名の漫画
 制作:MAPPA
  制作協力にはMADHOUSE、P.A.WORKS、
  Production I.G、タツノコプロ、
  亜細亜堂、SILVER LINK、動画工房、
  トリガー、等々、多くの制作会社の名前が
  ありました。
 公開:2016年11月/2019年12月
 視聴:2016年冬劇場/2020年11月DVDレンタル

■主要キャラ/キャスト
~{netabare}
すず:のん
あまちゃんのロケ地が岩手だった事もあり
特別な感情をもってしまう女優さんです。
CV良かったのでドラマも演って欲しかったですね。
 
北條周作:細谷佳正
すずの夫。
CV細谷さんだったんですね。忘れてました。
広島出身を度外視しても、ナイスなキャスティングかと。

黒村径子:尾身美詞
周作の姉。
初見時よりイヤミを感じなかったのは気のせいかな。

黒村晴美:稲葉菜月
径子の娘。
初見時は彼女の死が衝撃的過ぎました。
CV稲葉さん、初作の時は11歳。
声変わりを見越して、本作の台詞も録音していたとのこと。
なんかすごい。

水原哲:小野大輔
小学校時代のすずの幼なじみ。
こういう男性って女性から見てモテるタイプなんだろうか。
すずが、特異なんだろうか・・

浦野すみ:潘めぐみ
すずの1つ下の妹。
始め寿さんかと思いました。
映画の吹き替えとかも多いですね。
外見も好みだったり。

白木リン:岩井七世
呉の遊廓「二葉館」の遊女。
この娘の存在も大きいですね。

テルちゃん:花澤香菜
すずが遊郭で出会う九州出身の女性。
初作ではセリフなし。
今回そこに花澤さん・・
ボケっと見てたら気付かなかった・・
{/netabare}~

最後に。

この作品の関係者、クラウドファンディングに参加された方々には、

素晴らしい作品を世に出し、出会わせていただき、

本当に、ありがとうございました。

ただただ感謝しかありません。




(初見のレビュー)
https://www.anikore.jp/review/1618217/
 

投稿 : 2025/01/04
♥ : 19

68.2 1890 ジュエルペット てぃんくる☆(TVアニメ動画)

2010年春アニメ
★★★★★ 4.2 (111)
397人が棚に入れました
宝石の瞳を持つジュエルペットは魔法の世界ジュエルランドで暮らしている。ジュエルペットのルビーはパートナーをさがして人間の世界にやってきた。
偶然ルビーと出会った桜あかりは、あかりのためにがんばるルビーが大好きになり、ルビーのパートナーになることを決意。ルビーとあかりの目標は魔法コンテスト・ジュエルスターグランプリに出場して、何でも願いを叶えることができるジュエルスターになること。
クラスメイトと魔法学校に通って魔法の勉強がんばろう!

声優・キャラクター
高森奈津美、齋藤彩夏、沢城みゆき、竹達彩奈、平野綾、清水愛、榎あづさ、ささきのぞみ、大原桃子、江里夏、赤羽根健治、福山潤
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

女の子目線の正統派魔法少女(親和動機の強い内向感情タイプ)

魔法少女まどか★マギカ(TV版)を見て以来、魔法少女ものに凝っているんだけど、しかし私の心にモヤモヤとした雲のようなものがずっと掛かっていたのも事実でした。
そう、それは私の見ている魔法少女ものって、結局は男目線つまり男から見た魔法少女ものであって、“本当の”魔法少女ものとは違うんじゃないの?という強い、そして根拠のある疑念でした。

まどマギは何度見ても飽きないくらい超絶的に面白いし、魔法少女リリカルなのはも凄く面白いと思う。
しかし、これってやっぱり・・・。

ということなので、TV放送4クール全52話+OVA1話=計53話とかなり長いけど、ジュエルペットシリーズの中でも評判の特別に良いこの作品を一通り視聴してみることにしました。

{netabare}
《結果》
これは・・・新発見!
やっぱり違うよね。正統派魔法少女は。

基本的に男目線の魔法少女は「達成動機(=自分が何かを達成したい、という思いが行動原理となっていること)」が強くて、ユングの性格分類に従えば主人公は「外向的感情タイプ(まどか)」や「外向的思考タイプ(なのは)」、そしてサブヒロインもやはり「達成動機」が強い「内向的思考タイプ(ほむら、フェイト)」に見えるんだけど、

女目線の魔法少女は「親和動機(=周囲の人と仲良くしたい・心を通じ合いたい、という思いが行動原理となっていること)」が強くて、主人公が典型的な「内向的感情タイプ(あかり)」、そしてサブヒロインの方は「達成動機」が強い「外向的思考タイプ(ミリア、沙羅)」って感じでしょうか。

でも女目線でも、ccさくらは「親和動機」「達成動機」が半々くらいの典型的な「外向的感情タイプ」なので、一概にはいえないと思うけど、このジュエルペットていんくるのヒロインあかりちゃんは「親和動機」が物凄く強い「内向的感情タイプ」なので、これはこれで中々・・・というよりかなり考えるところが多かったです。

※以下は各回の評価
★が多いほど個人的に高評価した回
===============================================================
01 ルビーとあかりでドッキ☆ドキ! 2010/04/03 →★ とっつきはまあまあ
02 夢みるジュエルでドッキ☆ドキ! 2010/04/10
03 ラブラのひみつでドッキ☆ドキ! 2010/04/17
04 ミリアの魔法でドッキ☆ドキ! 2010/04/24
05 消えて縮んでドッキ☆ドキ! 2010/05/01
06 魔法通販でドッキ☆ドキ! 2010/05/08
07 月夜の魔法でドッキ☆ドキ! 2010/05/15
08 ディンドンベルにドッキ☆ドキ! 2010/05/22 → ジュディと鐘を鳴らす話。ジュエルスターを初めて目指す。
09 初めての試験でドッキ☆ドキ! 2010/05/29 → 調和の心のシュエルストーン。あかり2年生に進級。
10 ふしぎな夜にドッキ☆ドキ! 2010/06/05
11 パパの会社でドッキ☆ドキ! 2010/06/12
12 夢とマンガでドッキ☆ドキ! 2010/06/19 →★ 「私まだ恋の話を書けないよ」
13 レオンの秘密でドッキ☆ドキ! 2010/06/26
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14 ミリアの歌でドッキ☆ドキ! 2010/07/03 → ミリアのお母さんとミリアのオーディション
15 スィーツバトルでドッキ☆ドキ! 2010/07/10 → マジカルエンジェルズ(マリアンヌ達)登場
16 ライバル登場!?でドッキ☆ドキ! 2010/07/17
17 虹のシュートでドッキ☆ドキ! 2010/07/24 →★誕生日&祐馬君のバスケット試合 
18 オババの試験でドッキ☆ドキ! 2010/07/31 → 人の心を開くJS。あかり3年生に進級
19 ニコラとチターナでドッキ☆ドキ! 2010/08/07
20 10倍魔法でドッキ☆ドキ! 2010/08/14 → ★優しい心を持ったレアレアに与えられるJS
21 どっちがどっちでドッキ☆ドキ! 2010/08/21
22 夏だっ!海だっ!でドッキ☆ドキ! 2010/08/28 → マジカルエンジェルズ再び&4年に進級
23 謎の魔法使いにドッキ☆ドキ! 2010/09/04 → 2学期開始&アルマ登場回
24 謎の旧校舎でドッキ☆ドキ! 2010/09/11 → ★急展開、アルマの本当の姿は・・・
25 禁断の呪文にドッキ☆ドキ! 2010/09/18 → ★急展開2、アルマ・祐馬の秘密、battestの封印
26 ほほえみの呪文にドッキ☆ドキ! 2010/09/25 → ★★前期〆。あかり5年生、裕馬の前で泣き出してしまう
===============================================================
27 マンガ合宿でドッキ☆ドキ! 2010/10/02 → 背伸びしないで素直に
28 音符の魔法でドッキ☆ドキ! 2010/10/09 → ミリアの嫉妬と成長。ミリア5年生
29 イケメンバトルでドッキ☆ドキ! 2010/10/16 → サルファー先生と母親回
30 思い出の写真にドッキ☆ドキ! 2010/10/23 → あかりのママの誕生日
31 沙羅とサフィーでドッキ☆ドキ! 2010/10/30 → 友情と仲直り、サラ11個目JS
32 魔法運動会でドッキ☆ドキ! 2010/11/06 → ルビー大活躍。あかり9個目JS
33 夢に向かってドッキ☆ドキ! 2010/11/13 → ★★★頑張る姉&告白。あかり6年生に
34 天秤にかけてドッキ☆ドキ! 2010/11/20 → 裕馬君返事に悩む
35 熱血コハクでドッキ☆ドキ! 2010/11/27
36 アルマと祐馬でドッキ☆ドキ! 2010/12/04 → ★急展開。裕馬&アルマ再会
37 アルマの叫びにドッキ☆ドキ! 2010/12/11 → ★急展開2。BATTEST封印解除
38 花の封印にドッキ☆ドキ! 2010/12/18 → ★急展開3。BATTEST再封印
39 スノーナイトでドッキ☆ドキ! 2010/12/25 → ★裕馬の誕生日、あかり初デート
===============================================================
40 キラキラコロンでドッキ☆ドキ! 2011/01/02
41 キノコの森でドッキ☆ドキ! 2011/01/08 → あかり&沙羅JS12個でグランプリ出場決定
42 グランプリ開幕でドッキ☆ドキ! 2011/01/15 → ★人を思いやるJS、ミリア回
43 レオンとニコラでドッキ☆ドキ! 2011/01/22 → GP一回戦、ニコラ敗退
44 夢のドレスでドッキ☆ドキ! 2011/01/29 → GP決勝T、ミリア勝利
45 ラブラブ大作戦でドッキ☆ドキ! 2011/02/05 → ★★ヴァレンタインDAY、裕馬の返事
46 逆転また逆転でドッキ☆ドキ! 2011/02/12 → GP準々決勝、沙羅&あかり勝利
47 謎の少女にドッキ☆ドキ! 2011/02/19 → GP準々決勝、アルマVSレオン
48 あかりとミリアでドッキ☆ドキ! 2011/02/26 → GP準決勝、達成動機と親和動機の融合
49 沙羅のピンチにドッキ☆ドキ! 2011/03/05 → GP準決勝、沙羅の見せ場
50 最後の魔法にドッキ☆ドキ! 2011/03/12 → ★GP決勝、意外なシリアス展開へ。
51 輝く奇跡にドッキ☆ドキ! 2011/03/26 → ★★クライマックスから収束へ
52 3つの願いにドッキ☆ドキ! 2011/04/02 → ★★★あかり魔法学校卒業&中学生へ
===============================================================
特別編 ほほえみの虹にドッキ☆ドキ! (未放送OVA) → ★★★卒業から1年後(中学生編) .
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 24

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

キャッチコピーは「女の子は誰でもステキな魔法使い!」

あにこれでキャッチさせて頂いている方から薦められて今回の視聴に至りましたが、改めて「あにこれ」繋がりの大切さを感じました。何故ならあにこれ内での情報交換やオフ会などが色んな作品を知り合えるきかっけになったから…

普段の日常では突っ込んだ話のできる環境に居ないため、日常から一歩離れて好きなアニメの話題を思う存分できる友人と出会えたこと…そして一緒の時間を共有できるのは私にとって生活の一部になりつつある…といっても過言ではありません。

この作品もあにこれでの繋がりが無ければ、きっと辿りつけなかった作品だと思います。

この物語の主人公はウィンストン学園初等部に通う桜あかり…ごく普通の優しい女の子です。
物語はあかりとジュエルペットのルビーとの出会いから始まります。
ジュエルペットは女王ジュエリーナが魔法で作ったジュエルランドの住人なのですが、自分と相性ピッタリのパートナーを見つけるために、私たちが住んでいるレアレア界に訪れるのです。
そして、ルビーは自分と相性抜群のあかりと運命的な出会いを果たす事になります。
ジュエルペットに見初められた人間のレアレアは、パートナーと一緒にジュエルランドにある魔法学校に通うことになるのです。

その魔法学校ではジュエルペットとパートナーのレアレアが一緒に魔法を勉強します。
そして魔法を覚えたりレアレアが成長する事でジュエルストーンが貰えます。
ジュエルストーンが2つ増えると1学年進級する…というシステムになっており、最終的にはジュエルストーンを12個集めるとジュエルスターグランプリに出場できる資格が得られ、そのグランプリで優勝するとジュエルスターになり、ティアラと3つの願いを叶える事のできる「ミラクルジュエルマジック」が与えられるのです。

ですが入学したばかりのあかりにとってジュエルスターは夢のまた夢…
同じ魔法学校に通う仲間と共に切磋琢磨しながら…物語が動いていきます。

全52話の大作です…あかりとあかりを取り巻く仲間についてとても丁寧に描かれているのがこの作品の特徴です。

レアレア界に住むあかりとあかりの仲間です。
桜あかり(CV:高森奈津美さん)パートナーはルビー(CV:齋藤彩夏さん)とラブラ(沢城みゆきさん)
ミリア(CV:あやち)パートナーはガーネット(CV:平野綾さん)とサンゴ(CV:清水愛さん)
沙羅(CV:片岡あづささん)パートナーはサフィー(CV:ささきのぞみさん)
ニコラ(CV:大原桃子さん)パートナーはチターナ(CV:江里夏さん)
レオン(CV:赤羽根健治さん)パートナーはディアン(CV:福山潤さん)

普段はこの5人が一緒に魔法を勉強しています。
でも入学タイミングはみんな一緒ではないので、学年はバラバラです。
そして普段みんなとは一緒に魔法の勉強はしていませんが、物語の鍵となっているこの人の存在抜きにこの物語は語れません。
アルマ(CV:高本めぐみさん)パートナーはダイアナ(CV:宍戸留美さん)とオパール(CV:沢城みゆきさん)

レアレア界での生まれた場所が違っても…学年が違っても5人はいつも一緒だしとても仲良しです。
特にあかり、ミリヤと沙羅の女の子3人組…作品の中で著しい成長が感じられます。
だってあかりが入学したばかりの頃は、決して本当の仲良しでは無かったから…

レアレア界とジュエルランドは全く別の世界…だからたとえばレアレア界で悔しい事や悲しい事があっても魔法学校に来れば…レアレア界から離れられるその間は例え上辺だけでも笑っていられた…
でもそれは問題を先送りにするだけで本当の解決じゃない…

世の中には自分の事ですら自分自身で解決出来ない事がある…
本当に苦しい時には寄りかかれる場所がある…
信じた道を突き進むために背中を押してくれる人がいる…

思わず感情が爆発して…周りを困らせた事もありました…
孤独に押し潰されそうになって泣き出した事もありました…
自分の不注意でたった一つしかない宝物を壊してしまった事もありました…

苦しみも悲しみもみんなが抱いている感情…
一人じゃどうしようもなくなったら寄り添えばいい…
ここには本音を曝け出しても受け止めてくれる仲間がいるんだから…
こんな心の繋がりと温かさが随所に散りばめられているんです…
見ているとどんどん優しい気持ちになれる作品だと思います。

でもこの3人の仲の良さはこんなものじゃありません…
物語の終盤…特に沙羅の言動は思い出しただけで目頭が熱くなります。
あかりの優しさに触発されてどんどん進化していくジュエルランドのみんな…
終盤に向け物語が一気に盛り上がりましたが展開含めて良かったと思います。

アルマ…についてあまり触れませんでしたが、あかりと対極の位置にいたのがアルマでした。
思いは純粋…けれど思いが強すぎるため結果的に思いと真逆のカードを引いてしまった…
大切で失くしたく無いモノが手からポロポロ零れ落ちていく…
そんなアルマに救いはあるのか…そして物語の顛末は…気になる方は是非本編でご確認下さい。
このレビューでは触れていない感動ポイントがたくさんありますよ。

全52話の大作です。視聴するのにそれまりの時間を要しますが、時間を割いた分だけ堪能できる作品だと思います。
個人的には節目となる「見終わった」通算1,000作品目を飾るに相応しい作品だったと思います。
これからも時間の許す限り色んな作品を視聴していきたいと思います。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 11

前原由羽 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ジュエルペット10周年!!

Q:このアニメの面白いところは?
A:桜あかりという存在自体かな。私はすごく憧れるね...
自身のことは後回しにして、他人を決して卑下にしたりねたんだりしないキャラ。様々な苦難の最中にも、最後の最後まで貫き通せるなんてすごいとしか言いようがない!!
私もあかりちゃんを見習って、他人を卑下しないように頑張ってはいるんだけど難しい...
大体、卑下したくなる相手ってこちらが控えめにいると調子に乗る奴らが大半。確かに、ミリアとかそんな感じかも。だけど、環境が良いんだろうね。ミリアが暴走したら、それを止めてくれるレオンや先生たち、サンゴ、ガーネットらジュエルペットがきっちりと注意してくれる。だけど、私たちが住むレアレア界では誰も護ってくれないからね...
常識の通用しないレアレア界とみんなが笑顔になれるジュエルランド(プリパラの世界!?)の大きなギャップを感じて、私たちも私たちの下の世代も、こういう社会を作っていかないとなと思ってはいるんだけど難しい(><)

あと、魔法だよね...唱えてる呪文に何か法則性があるのかな...入れ替え魔法、10倍魔法、タイムトラベル魔法とか、いかにもハリポタを連想させるようなものも。魔法世界は科学世界とは独立したものと思ってたけど、魔法物理学というなぜか魔法を量子化できる学問があって、意外とジュエルランドって科学・魔法の入り混じった世界だったりして!?何だかんだ結構魔法は登場するけど、マジカルチェンジとは違って、ちゃんと物語があって、それに合った魔法の呪文で解決するところが爽快ね。

あかり、ミリア、沙羅のトライアングルもまた見ていて憧れるな...決して最初から仲良かったわけではないけど21話を通してからすごく深まっていったような...あかりちゃんの貢献度が大きいと思う。ミリアと沙羅の立場に立って、2人の考えを聞いて共感して、2人を仲直りさせるキューピッド役を自然とやってるように見える。友達のことを親身になって気遣ってくれるあかりちゃんもすごいし、そのあかりちゃんを護ってくれるジュエルランドという世界もすごいね。

Q:どんなテーマ?
A:友情、理想世界は書いた通り。後は、夢、教育かな。
ジュエルスターの3つのお願いの考え方も、自分思考から、他人指向、そして全員指向と変わっていくあたり、夢って何だろうなって。私の自己実現だけでない、私の周りとの関係を良くしたいわけじゃない、みんなが笑顔になれるような世界を作りたい!っていう夢、果たして今の私たちが声にして言えるほど持ってるのかな??

教育、特に感じたのが、ジュディの登場回の話。本当にジュディにしか、鐘を直せなかったのか、本当は校長先生は直せるのに敢えて生徒に直させるという流れにしたのではないかと。そして、鐘を直させるためにあえて他人への思いやりが強いのに魔法使いへのモティベーションが低いジュディを鐘つき係にしてやる気を引き起こしたのかな...そのほかにも、校長先生が出す試験もその時の主人公たちに合った難題(?)を出すことが多く、主に主人公たちはテスト中に足りなかったことに気づくという展開になることが多々なような。このようなところから、教育者はあくまでも、陰で支えて、生徒に自分から足りないものを気づかせるものなんだね。

あとは、自由ということかな。レオンが言及していた回もあったけど、確かに学校での講義よりも、放課後や課外活動の方が多いような(笑)その割に、グランプリの成績は1人を除いてみんな良かったし...こんな世界だからこそ、あかりちゃんのキャラクターが十二分に発揮できたのかも。

とにかく、あかりちゃんが大好き、この世界がずっと残ってほしいなって思ってました。2018年になって、あかりちゃん20歳記念で名作を集めたBDが発売されるそうで何だかとっても嬉しい!!この機会により多くの方々がてぃんくる☆という世界観を味わって頂けたらなって思います!!

投稿 : 2025/01/04
♥ : 11

76.6 1890 幸福路のチー(アニメ映画)

2019年11月29日
★★★★★ 4.1 (16)
77人が棚に入れました
橋から見る夕暮れ、 懐かしい匂い、幸福路で出会ったのは 忘れていたあの日のワタシ―。アメリカで暮らすチーの元に、台湾の祖母が亡くなったと連絡が入る。久しぶりに帰ってきた故郷は記憶とはずいぶん違っている。運河は整備され、遠くには高層ビルが立ち並ぶ。同級生に出会っても、相手はチーのことが分からない。私はそんなに変わってしまったの?チーは幸福路に引っ越してきた幼い日を出発点に、これまでの人生をたどりはじめる――。

声優・キャラクター
グイ・ルンメイ、チャン・ボージョン、リャオ・フェイジェン、ウェイ・ダーション《日本語吹き替え》安野希世乃、高森奈津美、LiLiCo、沖浦啓之
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

台北の下町で幸せを探す女性の半生を描いた感動作

【物語 5.0点】
台北郊外に実在する通り「幸福路」を舞台に、
一人の女性が振り返る半生を、監督自身の実体験も下敷きにしつつ、
しっかりと再現された激動の台湾現代史の中で描く。

成功しても、やりたいことやっても、行きたかった場所に行っても
幸せになれるとは限らない。
でも、だからこそ、失敗したって、夢がなくなったって、
“フツー”ですらなくたって、また幸せを探せば良い。

心情描写も時代描写も踏み込んでいるからこそ、
幸せとは何かを問う、古今繰り返されて来た人生哲学が洗練。


【作画 4.5点】
元々、実写での制作も企画していたという本作。
幼少の女性主人公による子供ならではの空想取り込みなども目論み、
アニメーションを選択。

絵画のような風景から、少女の心はシームレスに空想世界へ、
そして{netabare}白い翼のガッチャマン♪{/netabare}へと旅立つのだ。
子供の空想力が捉えた台湾現代史と大人の世界の一頁は、
重たい展開もノスタルジーとして消化しやすく、
けれど言語以上に着実に伝える効果有り。


人物作画は猫目風のデフォルメが特徴的。
視線による表情描写強調などの意図が表現できている。


写実的な描写も放棄しない。
街並みや小物の変化を通じて、
人間だけでなく、この通り(幸福路)も年を重ねる様子を再現した
背景美術等もお見事。


【キャラ 4.5点】
主人公の周りには様々なマイノリティーが登場する。
例えば{netabare}米国系だが英語が喋れない金髪少女の同級生とか
台湾先住民・アミ族の祖母とか。{/netabare}
彼らへの差別、弾圧は台湾の黒歴史だが、そこも躊躇せず描き切ることで、
どんな人間だって幸せを追求して良いんだと、
テーマの普遍化に成功している。

器の大きい群像劇により世界の誰もが共感し得る“自分たちの物語”が実現。


【声優 4.0点】
字幕版の評価。台湾語も北京語も、英語ですらもよく分らない、
こんな私が評点するのはおこがましいのは分っています。

けれど台湾人俳優たちが演じる下町人情溢れるアフレコからは、
人種や文化を越えて伝わる温かさが確かにある。

私の涙腺決壊の一因となった好演に加点せざるを得ません。


【音楽 4.5点】
静かな劇伴が登場人物たちの心情を繊細に表現。
環境音をよく拾う音響構成が四季や時代の流れを伝え、
作品に説得力を付加している。

ED主題歌はジョリン・ツァイさんの「幸福路上/on Happiness Road」
半生物語を完走した鑑賞者の心にそっと寄り添うように癒やしをもたらす良曲。


【感想】
台湾現代史について勉強になった作品でもありました。

例えば、{netabare}国民党独裁時代の北京語教育強制による台湾語や反対派や原住民らへの弾圧とか、
大学の学生運動も巻き込んだ台湾民主化運動とか、台湾大地震とか。
台湾でも存在感が大きかった米軍並びに
自由の国・アメリカのブランドイメージ、そしてチョコレートとか。{/netabare}

年表を眺めるだけでは知ることができない、
時代を生きた人々の心情描写に唸らされました。


どの政治勢力にも忖度しない。時に民主化&台湾独立勢力ですらも相対化する。
政治がどれだけ権力を持ち、どれほど偉大で、正義があっても、
あなたを幸せにするのは、蒋介石総統でも、陳水扁総統でも、馬英九総統でもない。
最終的に個人の幸福は自分自身で見つけ出す物。

この辺りのある意味冷めたスタンスにも
台湾人が勝ち取って来た自由主義の成熟を感じました。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 25
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

もっと流行れ

雰囲気は「この世界の片隅に」に近いと思います。
本来なら「おもひでぽろぽろ」「千年女優」などを参考にして作られたらしいので、そちらを引き合いに出すべきなのかもしれません。
人によっては「ちびまる子ちゃん」「クレヨンしんちゃん」を挙げる人もいます。
私が「この世界の片隅に」を真っ先に挙げたのは、どうにもならない政治の理不尽さとコミカルさが程よく両立していている様子が似ていると思ったからで、他に上がっている作品も言われれば分からなくもない(特におもひでぽろぽろは確かにその系統であり、演出面で今敏監督を連想したのは間違いない)のですが。

物語のあらすじは
{netabare}台湾の初代総統が亡くなった1975年4月5日に生まれた{/netabare}リン・スーチーが、祖母の訃報を聞いてアメリカから台湾に帰って来て。幼少期からの思い出を振り返り、これからを考える。というものです。
台湾、アメリカの当時の情勢を取り込み、実際の事件を絡めてどのように現在の彼女があるのかを丁寧に描いています。

リン・スーチーは現在でいうと45歳ですが、そんなに昔でもない台湾のそして今も続く微妙な立場、社会的要因からのアメリカへの憧れや、決して幸福ばかりではない家庭との溝が他人事とは思えず彼女の人生に強く引き付けられました。
おばあちゃんのセリフの{netabare}「永遠の幸せなんて無いんだよ」は彼女のこれからの半生を考えると{/netabare}業が深くて特に辛くなりました。
しかし、只の社会のお勉強としての映画ではないことは前述したとおり、シリアスに感じた次の瞬間には笑いがこぼれるのがこの映画の面白いところ。
感情が頻繁にコロコロ転がされるので、退屈せずに最後まで見続けられました。

作画の崩し方もコミカルで面白い。今石洋之監督作品のように大胆に崩してくるのと、背景がヒョーゴノスケさんのような味わい深い絵柄なのでアーティスティックな映画としても楽しめました。

2019年、この映画がよく持ち上げられていたので、いずれ観ようと思ってこの機に至った訳ですが、クレジットのスペシャルサンクス欄には有名アニメーターや演出の名前がずらり。
観たらこの映画を推す気持ち良くわかりました。
某有名アニメが実名で主題歌と合わせて登場しているし、舞台と製作制作は台湾ですけど、アニメーションとしては日本のアニメと感覚が同じなんです。

日本ではもっと流行っていいと思います。
特にあにこれのユーザーには観てもらいたいです。

私が観たのは吹き替え版だったのですが、ハンサムなお兄さんの吹き替え担当が{netabare}人狼の監督の沖浦啓之さん(本家も台湾の映画監督が声優らしいのでイメージを合わせたキャスティングなのか…?){/netabare}なのはびっくりしましたね。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 9

褐色の猪 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

台湾発、ヒューマンファンタジー作品

台湾の女流実写映画監督による長編アニメーション

原題:幸福路上
英題:On Happiness Road
邦題:幸福路のチー
公開:2018年1月5日(台湾)
公開:2019年11月29日(日本)

東京アニメアワードフェスティバル2018(TAAF2018)長編コンペティション部門グランプリ獲得。
2018台北電影獎・100万元大賞・アニメーション賞・観客賞の三冠受賞。
ドイツ・シュトゥットガルト・アニメーション国際映画祭・長編部門グランプリ。
カナダ・オタワ国際アニメーションフェスティバル・長編部門・スペシャルメンション


20180506 ----------
台湾文化センターでの上映会にて視聴

アメリカや日本にて実写映画の作成を学んだ女流実写映画監督;宋欣穎(ソン・シンイン)氏、アニメーションによる表現の可能性を見出し幾つか短編アニメーションを作成、手応えを感じ本格的に長編アニメーションを作成されたそう(短編の「幸福路上」もyoutubeなどに上がってます)。

制作も実写映画方式とのことでその辺も構成構図物語進行等から滲み、心温まる等身大の物語、
おすすめ^^


20180721 ----------
台湾文化センターでの特別上映会にて再視聴

一回目の鑑賞時と印象が違う感、三世代となる女性達の物語、台湾の歴史、父親の存在感など作品に深み生んでます。
今回は最初からラストまで暖かな涙溢れる観賞、
やはり良い作品です。


20191120 ----------
「幸福路のチー」として11月29日公開決定!
試写会にて3回目の鑑賞、

3回目にして漸く全貌を少ながら把握、
ちびまる子ちゃん風味の絵面に惑わされてはダメですね、
今敏氏の作品を何度も見返し演出を研究されたというソン監督、
序倒叙、チーを軸に三世代となる女性達と父親や夫の存在感、台湾の歴史など絡ませバラバラにされた時間軸、静かにゆっくりピースが収束、確信成す成長譚、
ファンタジー要素を糧とした実写では表現しきれないアニメーションならではの作品、
未だ完全把握には至らず、
凄い作品です。


20191202 ----------
「幸福路のチー」として11月29日本公開!

字幕版と吹替版が有り、4回目の鑑賞は吹替版、

本公開となりいくつか編集されたシーン有り、
これは著作権の関係(日本のTVアニメ観てるシーン等)と思われ、本筋に然して影響無いかな、

吹替版の演出は中村誠氏、
中村誠氏といえば「劇場版AIR」「劇場CLANNAD」の脚本、「チェブラーシカ」「ちえりとチェリー」監督、
登場人物の優しさ柔らかな表情合重り、
違和無き配役の的確さ流石、
ベティなど人柄と成長譚、可愛さからの格好良さが更に増し増し!
素晴らしい( ^ω^)

投稿 : 2025/01/04
♥ : 8

90.9 1925 とらドラ!(TVアニメ動画)

2008年秋アニメ
★★★★★ 4.2 (17935)
53277人が棚に入れました
その目つきの鋭さ故、不良に見られてしまうことを気にしている高須竜児は高校2年に進級し、以前から好意を寄せていた櫛枝実乃梨と同じクラスになることができた。一方で、新しいクラスメイトの間にはびこる「高須は不良」と言う誤解をまた最初から解かなくてはならなくなるのかと憂鬱であったが、「手乗りタイガー」こと逢坂大河との邂逅により意外に早くその誤解は解かれることとなる。
ある放課後、大河は想い人の北村祐作にラブレターを出そうとするがそれを間違って竜児のカバンにいれてしまう。ラブレターを送ったことを知られたと思った大河は、竜児に闇討ちを決行する。その夜のやりとりがきっかけで一人暮らしである大河の家事の面倒も見るようになって大河は竜児の家に入り浸るようになり、お互いがお互いの親友との恋を応援する共同戦線を張るようになる。

声優・キャラクター
釘宮理恵、間島淳司、堀江由衣、野島裕史、喜多村英梨、大原さやか、田中理恵、吉野裕行、興津和幸、野中藍、石川桃子、後藤沙緒里
ネタバレ

トゥーリータラー さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

学園恋愛ものの鉄板!

※1万文字を超えるダラダラとしたまとまりのないレビューです。ご了承くださいましm(__)m

アニメの中でもアニメらしい、学園恋愛アニメです。
この作品の特徴は、「アニメらしさ」だと思います。「アニメ」という手段を使ってこその表現や良さがたくさんあったし、そういう点も含めて日常アニメの中では最高レベルのアニメだと僕は思っています。
それに、結構古いネタがたくさん出てくるので(ギニュー特選隊等)そっちの面でも楽しめるカモ笑


ではまずはネタばれなしで紹介がてらレビューを書こうと思います。



物語
前半はキャラ紹介。激しい展開があまりないので飽きてくる人がいるかもしれませんが、展開ゆっくりなうちにしっかりキャラを掴んで下さい。より後半が楽しめます!
後半は前半でしっかり出来上がったキャラたちが一気に動き出す展開です。登場人物たちそれぞれの立場からじっくり視聴すると、胸が痛くなるシーンがたくさんあります。

簡単には前半キャラ紹介、物語の土台固め。後半物語の展開。といった感じですが、2回、3回視聴すると前半から少しづつ伏線をまきつつ話が動いていることに気が付くと思います。再視聴再々視聴がおススメな作品です。


声優、音楽
声優さんの演技は完璧です。しっかり登場人物の内面まで演じ切ってます。
さらに、このアニメはOPEDすべて声優さんの歌です。OP1ED2の「プレパレード」「オレンジ」は大河、みのりん、あーみんの三人。OP2ED1の「silky heart」「バニラソルト」はみのりんの中の人”堀江由衣”さんが歌っています。この作品はOPED含めて初めて完成する作品だと思うので、絶対に歌を飛ばしちゃいけないと思います!! 登場人物たちの関係性や前半後半の変化はOPEDで感じることができるし、EDの入り方はどの話でも最高です!
僕も初めはあまり好きな曲はありませんでしたが、アニメを見て聞くうちにだんだん好きになってきていました。「本編あってこそのOPED、OPEDあってこその本編」という感じで、OPEDの使い方の1つとして、最高の作りになっています。


キャラ
ライトノベル原作だからこそのアニメらしいキャラをしっかり描き切っていました。
よくこの作品を見て「とてもリアルな人間関係でおススメ」とか「こんな性格ありえないから見ても無意味」といった両極端の意見を見かけます。
その原因は「アニメらしさ」なんだと思います。
現実にはありえないキャラクター性を持っている登場人物たち(竜児の鈍さや大河のツンデレ貧乳暴力キャラやみのりんの天真爛漫さや北村君の裸族さwやあーみんの達観しすぎているところなどなど・・・)ですが、考え方や距離感はとてもリアルに描かれています。この作品の「テーマ」(ネタバレになるので伏せますが・・・)を表現するために、「アニメでなくては不自然なキャラクターたち」が「自然な感情変化、考え方」をしている。 ココがこの作品のポイントだし、傑作といわれる要因なんじゃないかと思いました。
ネタバレしちゃう為、詳しくは下の方で・・・笑


作画
作風にあった絵だと思う。表情も丁寧に描かれていて、キャラの理解に一役買っているし、勢いのある絵での激しい表現もありました。まさかこのアニメであんなに激しいシーンを見ることができるとは思わなかったです笑

表現のためにわざと崩しているようなシーンもありましたが、ただ「明らかにおかしいな」というシーンもいくつかありました。少なくとも丁寧な作画ではなかったと思います。
細かいところを気にするとアレですが、一番大事な「キャラクターの心情」をしっかり、表情や仕草で表現しきれていたのでよかったと思います。


~~~~~~~~~~~~
もう一度とらドラを見直して。
やはり、キャラの表情がイイ。多少、作画が荒くても、あの表情を表現できるのは素晴らしいことだと思う。
~~~~~~~~~~~~

まだ未視聴の方。是非見た方がイイ作品です。アニメでの1つの完成形に近い作品だと僕は感じました。



ではここからネタバレ。思う存分語っちゃいますwww
{netabare}

前半
まずは時系列に沿って簡単にまとめ。
1~4話
まずここまでで、あーみん抜きでの4人の関係性(表面上の)が固定されます。
5,6話
川嶋亜美登場。見かけは安定していた4人の関係を動かすキーパーソンです。
7,8話
5人の距離が縮まってくる。あーみんは竜児の気を引こうとする。
9,10話
別荘篇からだんだん雰囲気が変わってくる。ここに来て初めてみのりんが自分から「本当の自分」を竜児に見せる。大河も竜児への思いがまだ無意識ながらも形になってくる。そしてあーみんはもうこの時点で北村君のことも、ほか3人の関係も全部見通している。あーみんは竜児に「対等」でありたいと思う。
11~13話
大河の事情が明るみになると同時に、彼女を挟んでみのりんと竜児の仲たがい。あーみんは「対等」をあきらめて、「一歩先」へ。北村君は会長のために奮闘。
14~16話
北村君の激動。周りの4人も大きく展開し始める。ここまでで主要5人が掘り下げられて、前半終了。「罪悪感はなくなった?」が後半の展開へとつながる。

OPED
「プレパレード」はキャラ紹介。そして前半でのキャラたちの関係性を表現。「バニラソルト」も「プレパレード」もみのりんのキャラをはっきりと表わしていて、後半への変化を印象付ける。


ワードは「本当の自分」「建前と本音」「憧れと対等」「大人子ども」ってところだと思います。

「本当の自分」
素の自分と作った自分。これを持つかどうかで「あーみんとみのりん」、「竜児と大河」に分けられると思います。
前者は二つの顔を持っている。あーみんははっきり意識しているけど、みのりんは多分ほとんど無意識であのキャラを演じているんだと思います。あーみんは自分の利益になるようにニセの自分を作っているけど、みのりんは多分どっちが本当の自分なんだか分からなくなっている。
そして一方で、竜児と大河は裏の顔を持たない。ただ竜児は「ヤンキー」と誤解されるけど、はっきりとそれを拒絶している。大河は本当にまっすぐ。

「建前と本音」
大河の建前は「北村君が好き。」。でも自分も気づいていないところで竜児を意識し始めていました。初めて「大河」と呼ばれたとき、ラミネート加工での反応等々・・・。
それから「クソジジイ」という建前と、本当は父のことを悪く言われたくないという本音。話はそれますが、みのりんも一年前竜二と同じ体験をしたんだと思います。そして本当に怒った。だから大河はみのりんに家のことを話さなくなったし、みのりんも大河の本音を気付いていたからこそ殊更に、大河に演じた自分を見せるようになったのかもしれません。
そんな大河は建前を持たない北村君を好きになった。好きになったというよりも・・・。 

ここで「憧れと対等」
あーみんが洞窟で言った言葉ですが、大河は「建前」を持たない北村君に「憧れていた」んだと思います。そしてみのりんは竜児に、さらに大河にも「憧れ」ていた。何故かというと、大河と竜児は「本当の自分」を隠さないから。竜児もみのりんの輝きに憧れていた。「憧れていた」からこそ「対等」にはなれない。あーみんはそこまで見破っていたんだと思います。大河から北村君、そして竜児とみのりんは「憧れ」を「恋」と勘違いしていた。勿論それも「恋」になりえるけど、「対等」に変化しない限り不可能です。
あーみんは竜児と自分の関係を「対等」から「一歩先」に訂正しました。ここで自ら「対等」を捨てて(竜児を諦めて)、「一歩先」つまり”竜児が気づいていない本当の気持ちを気付かせたい”と思ったんじゃないでしょうか。あーみんは自分が「本当の自分」と「作った自分」を持っていたことをよく思っていません。だからこそ半無意識にしろ偽りの自分を持っているみのりんは多かれ少なかれ不快に思っていただろうし、まっすぐな大河にはもしかしたら「憧れ」すら持っていたかもしれません。
そのくせ、大河もみのりんも竜児もみんなもどかしくてずっとイライラしていたんじゃないでしょうか。

「大人と子供」
みのりんは無意識に人間関係を見抜いています。確証がないから信じられないケド、本人たちが気づいていなかった「竜児と大河」の関係をずっと疑っていました。(1・2話での大河竜児の誤解が解けてもみのりんだけはずっと疑っていた。)
対してあーみんは大人の世界での経験からはっきりと人間関係を見抜きます。しかも自分自身に対しても客観的に。そんなところをみのりんは「あーみんは大人」だと言ったのでしょう。対して、自分やその周りを客観的、冷静に見ることのできない(主観的にしか判断できない)自分たちは「子供」だと。
木原たちがあーみんに言った「大人」は単に落ち着いているといった意味でしょうが、みのりんは無意識ながらも人間を見る力が強いからこそ、そういった、斜めからの深い見方をして「あーみんは大人」と言ったのだと思います。
そして竜児はあーみんを「子供」だといいます。みのりんとは別の視点、わがままで自分勝手な性格からの見方です。竜児は鈍感ですが、他人の本当の性格を真っ直ぐに見破る点では人一倍高い能力を持っていたと思います。だからみのりんは「本当の自分」をはっきり見つめてくれる竜児に憧れたのでしょう。



次にもっとピンポイントで。
まず、大河が北村くんの告白を思い出すシーンがあります。「あの顔をもう一度見たい」と言いますが,回想のシーンでは北村君の顔は影がかかって見えませんでした。北村君が大河に「まっすぐなところがいい!」と「憧れていた」ときの表情は、大河が北村君に「憧れる」ようになった今ではどうしても思い出せないんだと思います。二人の関係性は真反対になってしまったのだから。

そしてオリオンの三ツ星。自分と北村君みたいだと大河は言っていましたが、もう一つは竜児だと気づいていたのでしょうか? 竜児と大河の距離は客観的に近く見えるけど、本人たちはそれほど近くはないと思っている。なのに実際はとても近い。客観的になればはっきりわかるのに、大河が竜児という「本音」を意識できないのは、北村君という「建前」があったからなんだと思います。

もう一つ。みのりんの「私普通に話せてる。」という言葉。別荘のときから
みのりんは素の自分を竜二に対してのみ、意識的に垣間見せるようになりますが、このとき遂に素の自分を無意識に竜児に対して晒してしまいます。ここで自分が竜児をどれほど信頼しているか実感してしまいます。勿論竜児が自分に気があることに、気づいている。
ただ問題は、「大河は竜児が好きだ」と勘で感じているということ。確証はないけど、間違いないと思っている。お父さんの件で負い目がある大河に対して彼女が思っている人を奪えない。(もちろん理由はそれだけではないが。)いつの間にか両想いになっていた自分と竜児の関係をとても後ろめたく感じていたのでしょう。

そこでさらに、「たかが写真」。
ツーショットの写真を買ってしまうが、その時にあーみんからかけられた言葉。あーみんはこのときの4人の関係をすべて見抜いたうえでこの言葉をみのりんにかけます。

そして「罪悪感はなくなった?」
「たかが写真」でみのりんは大河が北村君のことを好きだったんだと気づかされます。つまり自分の見立ては間違っていたと。
ただ実際はもう一枚の写真があるのですが、あーみんは全て見通しながらもその写真を見せずに、「罪悪感はなくなった?」と皮肉を言ってしまう。つまり、あーみんは意識的にみのりんを誤解させ、彼女を不安定にさせます。その直後のあーみんの表情から、みのりんの本音を出さない態度に対してのイライラ(これは過去の自分に対しても、つまりは同族嫌悪)、そして竜児と大河がホントの気持ちに気が付かないことへのもどかしさ、さらに全部分っているのにそこに加われず引っ掻き回すことしかできない自分に嫌気がさしていたのだと思います。竜児に「一歩先を行く」とは言ったものの、状況が見えれば見えてくるほど、どうすればよいのか分からなくなってしまったのではないでしょうか。
この発言でみのりんは大きくぐらついて、「作った自分」と「本当の自分」のバランスが取れなくなってしまいます。


こうしてキャラたちが自分の「本音」に気づき始めて前半終了。
ここから話が一気に動き出します。


後半へ
まず、いきなりOPの雰囲気がガラッと変わりますよね。
OP1では5人が同じ方向へ、それぞれのキャラを見せながら歩いていきますが、OP2では北村君は画面にいなくて4人がすれ違います。勿論みのりんの空元気も全くなくて、前半OPEDとの変化の大きさにびっくりしました。
OPでキャラの関係性や抱えているものの変化を強く感じました。
OPのなかで竜児が1話で大河があけた襖の穴の紙を指で貼りなおすシーンがあります。後半になってから、この紙は何気に背景によく映ってるんですよね。大河と竜児の出会いの象徴でもあるし、もとは北村君へのラブレターですから何だか深い意味を感じます。
EDの「オレンジ」はこの作品をもっともよく表している歌だと感じました。
「らしくないなんてね 笑うのはやめて ホントの私を 知らないだけだよ」
また、EDの絵も印象的です。何事もない日常が描かれていて、みんな屈託なく笑ってます。本編ではすれ違っている登場人物たちがEDで何事もない日常を過ごしているのは見ているだけでもつらくなります。「ずっとこのまま」ってわけにはいかないんですよね。


後半第一話。「クリスマスに水星は逆行する。」
タイトルから重い雰囲気でした。あーみんの言葉に動揺して「見えるもの」が見えなくなっているみのりんは辛そうだったし、クリスマスでこんなに胸が痛んだ作品は初めてです。
クリスマスになってから、モ○○ケ姫を歌たったり、みのりんの様子がいつも以上におかしくなりますよね。今までは半無意識におどけたりしていたんでしょうが、ここからのみのりんは明らかに意識してキャラを演じるようになります。
そしてあーみんは本当の自分を見せないみのりんにイライラし始め、一方大河とはだんだん距離が縮んでいきます。クリスマスでの練習で二人の距離が一気に縮まるにつれ、大河の思いを今まで以上にはっきりと理解しますが、それに気が付かない竜児に対してもちょっとずつイライラし始めましたよね。体育倉庫での忠告であーみんも遂に本音をこぼしますが、自分は当事者になれないことを悟っているあーみんを見ているのはつらかったです。
多分みのりんへのイライラはそこからも来ていたんじゃないかと。自分は当事者になれないのに、みのりんはなれる。なのに以前よりも仮面をしっかりとかぶって、本音も素の自分も見せようとしない。過去の自分を見ているみたいでとても不愉快だったんだと思います。対して大河も自分の気持ちをはっきり意識しない。でも隠しているんじゃなくて、「北村君」という「建前」が邪魔をして気が付かない。クリスマスで大河とより親しくなったあーみんは、当事者としては無理でも大河の本当の気持ちを気付かせてやりたいと考えたんじゃないでしょうか。

クリスマスからはクラスのメンバーも目立つようになってきます。
春田、能登、木原に奈々子様。彼らはそれぞれ北村君と大河の関係にかかわろうとしてきます。第三者としてです。
竜二も大河も今まで当事者だけで(あーみんはうまく立ち回っていたので大丈夫だったが)見てきたものが、彼らからの視点や見方を知ることでだんだん自分たちの気持ちの違和感に気づいていきます。
シリアスな展開になっていくにつれ、春田北村のギャグ度が上がりましたね笑 見ているだけでも胸が痛くなる展開だからこそ、彼らの明るさは視聴時の癒しになりましたww

クライマックスの一つ、大河が竜児への気持ちを自覚し泣き叫ぶシーンがあります。
今まで、「北村君」という建前で(「憧れ」であって「恋」とは言えない)無意識に無視してきた竜児への思いですが、クラスメイトの介入でそこの違和感に気づき始めます。ただし、ちょうど「クリスマスでいい子にすれば幸せになれる。現実じゃないものに頼れる。」という新しい建前が現れ、結局竜児への思いには気が付けない。
そして大河は竜児とみのりんの為、一人になる。(現実にはいないサンタにすがろうとする。)そこに何故か竜児が自分のすがろうとしていたサンタとなって現れ、そしてみのりんのもとへ・・・。このとき大河には「北村君」も「サンタ」もどちらの建前もなくなってしまします。もちろん建前がなくなれば「本音」があらわになってしまう。ただ、なんとなくこの思いに気が付いたわけではない。かなり前からの積み重ねで遂に竜児への思いに気が付いた大切なシーンです。
泣き叫ぶ大河を見てしまったみのりんは「たかが写真」で否定できたはずの自分の考えが間違っていなかったことに気が付いてしまいます。

「報われなきゃね。」先生の言葉が胸に刺さってとてもつらかったです。この言葉はこの後何度も出てくる言葉です。
そして「ホーリーナイト」
「キラキラ輝いて みんなが幸せで」 あーみんもみのりんも大河も理想のクリスマスとは程遠かった。この歌はそのことをより対照的に印象付けてくれました。あーみんは一番わかっているのに誰も聞いてくれないもどかしさ、みのりんは自分が「見えないもの」を見たいと思ったから大河を傷つけているという罪悪感。大河は両想いのみのりんと竜児の為には自分は居てはいけないという孤独感。みなそれぞれ苦しんでいました。


正月を過ぎて、煮え切らないまま時間が過ぎます。大河のカバンを持って二人で登校した竜児とみのりん。大河の気持ちを知っていながらこんな状況になってしまったことを歯がゆく思っていたと思います。でも初めてこのシーンでみのりんが赤面するんですよね。大河と竜児の間でものすごく葛藤していたんだと思います。
大河は二人のために、もう竜児に頼らないと宣言。でもこれって2回目なんですよね。一回目は北村君に告白すると決めたとき。このときは自分の為の行動でした。しかし、今回の宣言は内容は同じでも全く逆です。竜児の為。自分が恋を諦める為の宣言です。
もちろんあーみんはとても不愉快に感じる。おままごとの関係が余計にギクシャクして不自然になってしまったから。それなのに自分が加われない歯がゆさ、通り越して怒りすら感じていたんだと思います。


修学旅行で、ついにあーみんとみのりんが衝突します。
「あーみんには関係ないでしょ。」このみのりんの一言が、加わりたくても加われないあーみんの心をえぐります。そして「罪悪感」という言葉をみのりんを追い詰めるために意図的に使ってしまう。木原たちの仲裁で、ケンカはやみますが、「素の自分」で衝突したのに、両者とも「作った自分」でお相子にする。素の自分が納得していないのだから、この後の大衝突は不可避でしたね。 大衝突の時、あーみんが「上から目線がむかつくんだよ。」とみのりんに言いますが、これって明らかに自分のことですよね。つまりは意識的に「仮の自分」を演じるようになったみのりんを、同じような自分自身に重ねていたんだと思います。だからこそ、ここでのあーみんは全く仮面をかぶっていない「素」のあーみんでした。

大河救出シーンでのEDの入りは鳥肌ものでした。このシーンで竜児はやっと大河の思いを知る。
雪山遭難というベタ中のベタな展開ですが、登場人物たちの関係性を動かすのには、最高の設定だったと思います。


ここから「進路」という新しい問題が出現します。
今までの「恋愛」という地に足のつかないふわふわした話題から、「進路」の話題が絡むことで、一気に物語がはっきりとしてきます。そして、「家族」という問題提起にもつながってきます。

このあたりから、やっと竜児の思いが大きく動き出します。大河の気持ちを知ってしまったことや「進路」の問題。 大河は自分の気持ちを無かったことにしようとしている。これがイイ事なのか、いろいろな問題で頭がいっぱいの竜児は客観的に落ち着いて考えられなかったのでしょう。 
一方、大河も大きく変化してます。「普通に恋がしたい。」と言いますが「相手は知らない。」と答える。もう彼女の中で「北村君」への感情が「恋」ではなく「憧れ」だったのだとはっきり気づいたのでしょう。
そして、みのりんが竜児と両思いだという理由を述べるシーン。「あんたはみのりんが恋するに足る奴だから。」と答えます。1話での「げー、身の程知らず」とは天地の差ですよね。
あーみんも複雑です。今まで作った自分でみんなに好かれてきた。でも自分が本当に望んでいるのは、誰かが「本当の自分」を真正面から見てくれること。「みんなじゃなくてもよかったのに。」この言葉に、あーみんの本音がはっきりと表れていました。


バレンタインではこれまでの絡み合ってきた関係が、いくつもの想いを犠牲に遂に1つになります。つまりは「竜児も大河も互いを好き」だということ。二人の「憧れ」や「建前」がない「対等」な関係は、自分たちの想いを犠牲にしても守る価値があると考えたのでしょう。

ここからの「駆け落ち」という展開は、実は泰子たちと同じ発想なんですよね。つまりは「逃げ」。あまりに急な展開だと思う人もいるかもしれませんが、客観的に自分たちを見れなくなっている「若さ」を的確に表現する展開だったと思います。子供と大人の境目。駆け落ちすることを踏みとどまった竜児たちは泰子たちよりも「大人」だったんだと思います。
学園内の恋から、人生にかかわる問題へと大きく変化しますが、これは大河と竜児にとっては必然だったと思います。二人とも完全な「家族」というものをしらない。だから恋することはどこか「家族」ということにつながっていたのだと思います。だから互いに「対等」でお互いを必要としている。春田や木原と能登のような一般的な高校生の恋愛と対比されてますよね。


みのりん、あーみんの願いは叶いませんでしたが、二人とも大きく変化しました。
あーみんは「本当の自分」をよく思ってくれる人もいるということに気が付きました。
みのりんは大河の写メについて語るとき、初めてクラス全員の前で「素の顔」を見せます。決して「本当の自分」を人前へさらさなかったみのりんがそれをできるようになったことは大きな変化だったと思います。


{/netabare}


なんかすごくだらだらと書いてしまいました。自分の考えたこと、思ったことを垂れ流しにしたらこんなに長文になってしまって自分でもびっくりしてます笑
でももっと書きたいことはあったと思うし、この作品を見て感じたことの半分も書けていない気がします。 漠然としたことを文にするって難しい!

登場人物それぞれの視点で見方が増え、内容も厚くなる作品です。
だらだらと書きましたが、まとめると
素晴らしい作品。未視聴の人も視聴済の人も是非見るべし!!
ってことです笑

最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。
この作品に出会えたことに感謝!

付け足し
視聴してから3日。
みのりんの「私はそれを受け取らない。」ってシーンがフラッシュバックしてきて、胸が痛むんです笑
視聴直後はあまり印象に残らなかったシーンですが、時間がたってからふと浮かんでくることってありますよね笑
なんだか心に引きずってしまうアニメですね。とらドラ!は。


引きずりに引きずって、ついに文庫本も全巻読んでしまった。。。
で、感想。
アニメのとらドラ!を見て面白い。深い。って思った人は是非読んでみるべきです!!
アニメでは拾いきれなかったり絞り切れなかったりした部分をよみとれました。 特にとらドラはキャラの心情が複雑なので、読むことでかなり整理できます。少しだけ捉え方が変わった部分もありました。
ちょっとアニメと違う(というよりアニメが改変した)部分もありますが、どっちも面白いし、いい作品だと思いました。やはり、いい原作だといいアニメになるんですね。
アニメスタッフも読者の一人。アニメのとらドラは原作をより素晴らしく引き立てていたと改めて実感しました。

とらドラにずっぽりで3か月。そろそろ抜け出さなくては・・・笑


最近、「とらドラ!ポータブル」にはまってしまいました・・・汗
ゲームに手を出したのはこの作品が初めてです笑
設定はクリスマスイブに倒れた竜児がそのまま記憶喪失になってしまい・・・。というifの内容。素晴らしい出来です。
このゲームただのキャラゲーじゃない。すごく難しい・・・。
とらドラ好きなら、やって損はしないと思いますよ!オススメです!!


再々々々視聴?していますww
{netabare}
2話をみて気が付いたけれど、この時点でみのりんは大河の想いに気が付いてますね。大河が教室で暴れた後のシーン。「でもそれってさ・・・。」のセリフです。しかもその時の表情とかからして、自覚無自覚は分からないけれど、竜児のことを意識しているようにも感じました。友達が好きになった人を・・・ということはよく聞きますが、そうではないにしてもみのりんは2話時点で竜児をかなり意識していたのではないかと思いました。
今のはさり気ないシーンでしたが、この回のメインは大河から北村君への告白。と見せかけて、実際は大河から竜児、竜児から大河への告白でしたね笑
北村君は二人のことを見抜いていて、それで大河の告白を誘導していたのだとも感じました。勿論、会長の件もあるのでしょうけど・・・笑
竜児は思いっきり告白してますねww その真意に気が付くのはまだまだ先の話ですが、2話時点でこんなにキャラ同士の関係が固まっているとは思いませんでした。そりゃ、あーみんも割りこめないと感じてしまいますね・・・。
{/netabare}

最終話まで見終わって、色々新しい発見もあったし、見方が変わったシーンもありました。けど上手く文章にできない・・・orz
何回見てもやっぱとらドラは面白い!!

それから、各話の前後半の間に入る「と・ら・ド・ラ・!」の5文字。
話ごとに位置や動いている文字が違っていたので、注意深く見てみました。
ネットで調べたりもしてみました。
やっぱり意味があったみたい。今まで気が付かなかった。
今度観るときは、それについても詳しく考察したいなぁと思っています。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 30
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

中盤までのグダグダ感を踏み台に、第19話以降《神展開》となる傑作

2013年春以来、約2年ぶりに全話視聴してみました(トータル4周目)。
期間が空いているので、結末はともかく、細かいストーリーは結構忘れていて、そのためか初回に感じたのと同じように

(1)前半はやはり詰まらなくて、視聴が余り捗らずもどかしかったものの、
(2)後半、とくに第19話以降の超絶!胸熱展開に魅了されて、最終話まで一気呵成に見切ってしまいました。

その状況を視覚的に表わすと・・・

◆各話タイトル&評価

{netabare}★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に大きな疑問を感じた失敗回

================= OP「プレパレード」、ED「バニラソルト」 ===============
- - - - - - - - - - - - - 高校2年の1学期 - - - - - - - - - - - - - - -
(第1話) 虎と竜 ☆ 大河と竜児の出逢い
(第2話) 竜児と大河 ★  大河が北村に告白、竜児と大河の関係
(第3話) 君の歌  ☆ 実乃梨と竜児の実質的な初交流
(第4話) あのときの顔 × 大河が北村に惚れたわけ(写真回)
(第5話) かわしまあみ  ☆ 亜美登場
(第6話) ほんとの自分 ☆ 亜美が竜児にデレる
(第7話) プールびらき ☆ 亜美のアプローチに大河が焼餅
(第8話) だれのため  ☆ 大河VS亜美(水泳競争)、大河「竜児は私のもの」
- - - - - - - - - - - - - 高校2年の夏休み - - - - - - - - - - - - - -
(第9話) 海にいこうと君は ☆ 亜美の別荘回(犬の夢、竜児と実乃梨の幽霊の話)
(第10話) 花火 ☆ 続き(竜児と実乃梨・亜美の交流回)
- - - - - - - - - - - - - 高校2年の2学期 - - - - - - - - - - - - - - -
(第11話) 大橋高校文化祭【前編】 ☆ 大河の家庭事情(父親)・竜児側の事情
(第12話) 大橋高校文化祭【中編】 ☆ 続き(父親の件で竜児と実乃梨が喧嘩)
(第13話) 大橋高校文化祭【後編】 ★ 続き(ミス大橋&福男レース)
(第14話) しあわせの手乗りタイガー ★ 実乃梨が竜児の好意に気付いてしまう
(第15話) 星は、遠く ☆ 北村の恋、大河の決意(生徒会長選挙)
(第16話) 踏みだす一歩  ★★ 狩野会長の想いの前に大河の想いが砕け散る
================== OP「silky heart」、ED「オレンジ」 ==================
(第17話) クリスマスに水星は逆行する ★ 変わり始めた関係
(第18話) もみの木の下で ★ 竜児を避けてしまう実乃梨
(第19話) 聖夜祭 ★★★ 大河が自分の想いに気付く ※ED「ホーリーナイト」
- - - - - - - - - - - - - 高校2年の3学期 - - - - - - - - - - - - - - -
(第20話) ずっと、このまま ☆ 冬山修学旅行の準備~出発
(第21話) どうしたって ★★ 続き(竜児が大河の気持ちに気付いてしまう)
(第22話) 君のいる景色 ★ 大河不在の日々(竜児の気持ちも揺れ始める)
(第23話) 進むべき道 ★★ ヴァレンタインデー(竜児が決断を迫られる)
(第24話) 告白 ★★ 竜児の家庭事情(母親)・大河側の事情と二人の決断
(第25話) とらドラ! ★★ 続き(特に大河の決断)、ラストは1年後(高校卒業式)
----------------- TV本編終り -------------------
(OVA)  弁当の極意 ☆ 本編と全く無関係のコメディ回{/netabare}

※このように、前半(第12話まで)は、★付きが第2話だけというキツイ状況でしたが、第13話から少しづつ話が動き始めて、第16話の予想外の展開に「これは月並みのラブコメとは違うのではないか?」と興味をそそられ、神回として名高い第19話を見せられた後は、もうそのまま感動のラストまで途切れずに一直線!という、他に類例が思い付かない本当に凄い作品・・・と4周目にも拘わらず、またもや感じ入ってしまいました。

※なお、あにこれ登録前は、この作品を特にメモを取らず視聴していて、その記憶をもとに適当に前回レビューを書いてしまったのですが、今回は、気になる部分をメモし、必要ならば同じ個所を何回も視聴し直して、色々と考察してみた結果、前回のレビューの

(1)前半部分(すみれさん乱闘事件)は、今回もその通りだと思いましたが、
(2)後半部分(みのりん問題)の理解は、不十分で部分的に間違っている、と思い直したので訂正します。

4周目にして未だ感動が褪(あ)せないばかりか、以前の考察が間違いだと気付かせてくれるとは畏るべし「とらドラ!」

================================================
※参考:前回【2013年3月6日時点】のレビュー

なんだかんだいって3回も通しで見てしまったアニメは珍しい。

この作品の私的な鑑賞ポイントを2点ほど。

★1.スミレさん乱闘事件(16話だったはず)
{netabare}
ここまでは大河は自分の気持ちに正直に一直線に突き進むのが正しいんだ!と思ってたんですね。
だけど、スミレさんと乱闘して、自分が好意を寄せる相手のために敢えて自分の本当の気持ちを無理に抑えてしまわねばならない場合があるんだ(そうしないと相手のためにならないから)・・・ということを知ってしまうんです。

そして、それが、自分の本当の気持ちに気づいてしまった後の大河の行動に影響を及ぼしてしまう。
第16話までとその後では明らかに大河の行動パターンが変化しています。
{/netabare}

★2.ミノリン問題(第17話以降かな?)
{netabare}
高須君との同時ゴール写真のことで思いがけず高須君の好意に気づいてしまったミノリンは、なぜだか急に高須君を避けるようになってしまいます。
ミノリンも高須君に好意を寄せているハズなのに何故?というので、これをミノリン問題と呼んで疑問視する人も沢山いるそうです。

でも、この理由は単純で、ミノリンは高須君の好意を有難いと思うと同時に、自分は高須君の好意に値しない・・・と臆してしまっちゃったんだろうなあ(と私は推測する)。
これって、ミノリンの高須君への好意が本物だったからこそ、の臆病さなんです。きっと。

もしミノリンに高須君をもう少し客観的に斜めから見る気持ちがあれば、あるいは言葉は悪いけど、幾分かでも打算的な気持ちがあれば、高須君の好意を「有難く受け取ってしまおう」となるのですが、そうならず逆に高須君を避けてしまったところが、私的には物凄く可愛く見えてしまいました。
{/netabare}

こういったところが凄く好きだなあ。
アニコレでもとらドラ!の評判が良くて嬉しいです。

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※以下、今回【2015年3月2日時点】のレビュー

◆前期OP/EDが終わる第16話が本作のターニング・ポイント

上で、第16話({netabare}大河殴り込み・狩野会長との乱闘事件{/netabare})は予想外の展開と書きましたが、そこが本作のターニング・ポイントとなっていることは、OP/EDの変化からも明瞭だと思います。
すなわち、2クール作品(全25又は26話)の場合、通常は、OP/EDが変わるのは中間地点の第13又は14話なのですが、本作は第16話までを前期OP/EDとしており、その前期OP『プレパレード』の題意を考えると...

 pre-parade (= before Parade) パレード前の (形容詞)

つまり、第16話までは「パレード(晴れやかな行列行進)」前の状況だ、ということ。
このグダグダした一見詰まらない展開は、後期の急展開の下準備段階(前座)に過ぎず、第17話以降こそが本作の本番であり、そのテーマはズバリ

 『silky heart』(後期OP) すなわち「絹のように華奢で繊細な恋心」

...の揺れ動きを描写していくことにある、と読み取ることが出来ると思います。

※EDについても同様で、
(1)前期ED『バニラソルト』が、「{netabare}バニラソルトで/Burning Love/甘いだけなら/ソルトかけましょう」「甘いだけの愛はちょっと/私が求めているものとは違う{/netabare}」と、いささか浮ついた恋心をコミカルに謡っているのに対して、
(2)後期ED『オレンジ』は、「{netabare}オレンジ/今日も食べてみたけど/まだすっぱくて泣いた/私みたいで残せないから/全部食べた/好きだよ/泣けるよ/好きだよ/好きだよ{/netabare}」と、切実な恋の痛みを謳い上げる歌詞・曲調に変化しています。

◆嗚呼これが「恋」なんだな...と溜め息なしでは見られない第19話

本作は単に、①高校生の恋愛感情の推移を描出しているだけでなく、それとの絡みで、②同性・異性との友情や、③家族との関係構築をも包摂した、中々に複雑で深いテーマ性を持っているのですが、それでも中核となるテーマは、やはり①「恋愛」だと思うので、そこに焦点を絞って内容を考察していきます。
なお、「恋愛」といっても、本作は原作者(武宮ゆゆこ氏)・シリーズ構成(岡田磨里氏)が共に女性ということもあって、やはり3人の主要女性キャラの恋愛心理の描写が秀逸で、逆にいうと男性2人の心理描写は幾分手薄ではないか、と私は感じました(以下、女性3人の恋心を個別に考察)。

◇逢坂大河の恋心 - 第16話までとそれ以降で明らかに深化する大河の恋の質
{netabare}
前回レビューの★1.スミレさん乱闘事件の項に指摘した通りです。
それが誰の目にも明らかになるのが、第19話(クリスマス・イヴのエピソード)。
4周目にも拘わらず、またしても私は、「これが恋なんだな...」と嘆息せざるを得ませんでした。

※もう少し詳しく説明すると...

(1)第1話から第16話まで描かれた大河の北村君への想いは、どれだけ本人が真剣であろうとも、
 ①それは所詮、相手の好意を獲得しようとする駆引的な恋であり、
 ②「恋に恋して」恋を自覚的に楽しんでいる状態であって、
狩野会長の想いには叶わないと、遂には大河自身が悟らざるを得なかったものだった(※狩野会長、次いで北村君の言葉を聴いた後の大河の表情の変化に注目)。

(2)これに対して第19話でようやく自覚される大河の竜児への想いは、
 ①相手の好意を獲得しようという駆引的要素がなく、
 ②時に、本人にも無自覚のままに、
 ③しかし不可逆的に(=後戻りができないまでに)昂進してしまう恋
であって、狩野会長の想いに匹敵するもの、と要約できるのではないかと思います。

そして、それだけの強さのある想いだったからこそ、最終的には竜児が実乃梨への想いを振り切って、それを受け容れる結果につながったのだと思います{/netabare}

◇櫛枝実乃梨の恋心 - 目の前にある幽霊(=恋)を掴み取ることを拒否した少女の涙
{netabare}
前回レビューの★2.ミノリン問題の項では、①彼女の竜児への好意が本物であり、②彼の好意を素直に受け容れない彼女の臆病さもそれが原因だった、と指摘しましたが、その時点では私はまだ、第16話の乱闘騒ぎの後で亜美が彼女に囁いた「罪悪感は無くなった?」という言葉の意味合いを掴みかねていました。

この「罪悪感」とは、竜児の好意を受け容れれば大切な親友である大河を裏切ってしまうことになる、という実乃梨の後ろめたい気持ちのことですが、乱闘騒ぎの結果、大河が好意を寄せるのは竜児ではなくて北村君であることが一応は明らかになって障害は消えたのではないか...と亜美が皮肉っぽく彼女に指摘します。

しかし、それでも彼女は以前にも増して竜児を避けてしまいます。
実は、実乃梨には、大河への罪悪感のほかにも、
①幽霊(=恋)を掴み取ることが、自分の幼年時代からの夢(ソフトボールの全国的な選手になるという夢)の障害となってしまうのではないか、という怖れの気持ちがあり、
②そうした自分の夢と竜児の好意とを天秤に架けている、という後ろめたい気持ち(=これも一種の罪悪感)があって、
「私は傲慢でズルい」(第15話)と自己卑下し竜児の申し込みを拒絶してしまった、と考えるのが最も整合的と考えます。

そうした実乃梨の竜児への想いは上記の大河の想いに及ばず、結局彼女は竜児への恋を失ってしまいます。
それが、第24話に描かれた亜美の面前で実乃梨が流した複雑な涙につながったのだと思います。{/netabare}

◇川嶋亜美の恋心 - 周りの人たちの恋心が見え過ぎて返って淋しさを感じてしまう少女
{netabare}
モデル業を通じて大人の世界をよく知っている亜美は、大河や実乃梨のような下手くそな恋はしませんが、それでも幼馴染の北村君以外では唯一、彼女を素顔のまま受け容れてくれた竜児に対して好意を持ちます(第6話)。
しかし鋭敏な彼女には、竜児の気持ちだけでなく、大河(第8話)や実乃梨(第10話)の気持ちまでもが早々に見えてしまい、そうした未熟な恋の錯綜状況に積極的に関わる気持ちになれず、せいぜい相手から求められれば辛辣ではあっても的確なアドバイスを返す程度の役回りに終始して、時たま竜児に淋しさを吐露するばかり。

結局は亜美の場合、内心では竜児と対等な関係を希めながらも、周りが見えすぎるという特質から、どうしても上から目線に成らざるを得ず、恋の成就がなかったのは仕方のないことなのでしょう。
しかし物語の構成的には、亜美のように鳥瞰的に恋の錯綜状況を見渡せる存在がいたことは、本作の大きなポイントになっていたと思います。{/netabare}

◆総合すると...本作は“物語そのもの”の魅力によって成り立つ傑作

実をいうと、私自身は大河のようなタイプはちょっと苦手なんです(どちらかというと実乃梨タイプが好きなのですが、それでもド・ストライクには程遠いです...因みに私のド・ストライクは、{netabare}一歩引いたところから自然に周囲の人のサポートが出来てしまうアイマスの天海春香さん{/netabare}です(笑))。

リアル世界で、もし大河のようなタイプと出会っていたら、相手に合わせるのが相当しんどいだろうな...と思います。
だから、本作を最初に視聴したときも、かなり斜(はす)に構えて批判的に観ていたんです。
ところが、そんな私でさえ、本作には一度ならず四度までも感動させられてしまい、あまつさえ、こんな長々とした感想・レビューを書く気にさせられてしまうのですから、やはり本作は「学園ラブコメ」ないし「恋愛アニメ」として稀有の傑作と認めざるを得ません。
(※傑作ではあるけれど、決してド・ストライクではない、という意味で総合評価4.6と幾分点数をマイナスしています)

以上から演繹すると、本作は個々のキャラクターの魅力によって成立している作品ではない、ということになります。
言い換えると、本作は“物語そのもの”の魅力によって成立している作品、もう少し言うと、“割とありふれた高校生たちの恋愛感情の推移”という物語の魅力によって成立している作品、ということになると思います。
勿論、本作はフィクションですから、ご都合主義的な展開が多々あって、そこを指摘して批判することは幾らでも可能なのですが、それでもなお否定できない「心理的リアリティ」、「恋愛感情とはこのように発生し進展していくものだ」という視聴者側の想いがこの作品にいつの間にかシンクロナイズして、予想外に本作に魅了されてしまっている自分にふと気付く、というケースが多々あるのではないか、と思います。

未視聴の方は、結果的に本作を肯定的に捉えるにせよ否定的に捉えるにせよ、一度 experience として視聴してみる価値は十分あると思います。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 87
ネタバレ

底辺生活者 さんの感想・評価

★☆☆☆☆ 1.0

私が世界一嫌いなアニメ

◆嫌いな特徴をざっくばらんに言います

{netabare}・ヒロインがむやみやたらに、人を殴る。

・ヒロインが暴力をふるって、皆をおびえさせて周囲を支配している。

・このヒロインが、最期まで人からビシッと注意されることがなく、このアニメは終わる。

・女キャラ達が『男のガチ喧嘩』みたいな殴り合いをする。

・(日常的に人を)殴るシーン『のみ』が、リアルすぎて、痛々しい。ギャグみたいに描かれていない。

・『とらドラ!は、リアル十代を描いた傑作アニメ』とよく耳にするが、全然、リアルではない設定が多い。

・ストーリー内容、キャラの言動行動に矛盾が多い。

・視聴者に深く考えさせないように、登場人物に語気を強めて語らせ、無理やり「ほら!ここが感動シーンですよ!」と演出している。洗脳してるようなアニメ。

・人を不快にさせるような罵詈暴言をヒロインが常に話す。

・このアニメの中でたまに出てくるギャグが全然笑えない。

------------------

◆矛盾内容、おかしいと思った部分を具体的に書きます。


●リアルなのかと思うと、リアルじゃない

このアニメは、『10代リアル青春を描いた傑作』と言われていますが、全然内容はリアルではない。ほんとに、マンガ。

・ヒロインが隣のマンションに住んでいる。しかも、偶然、位置も真隣。もろ、マンガ。

・何故か、ヒロインを家に毎日あげて、彼女のご飯を毎日作ることになる。その始まりも納得できるような内容ではない。

・竜児が、ヒロイン大河から廊下で一発殴られただけで、竜児の不良疑惑が消える。

竜児は第1話ですでに2年生。
竜児の性格だったら、第2学年になる前まで「不良疑惑」を引っ張ることはありえない。

・竜児が2年生になるまで、大河のことを全然知らなかったなんておかしすぎる。

大河は1年次から在籍している。

大河は、あの性格だったら、1年次から暴れてたはずだし、竜児は、「2年生の春に初めて大河のことを知りました」なんて物語が破綻してる。

・序盤のころ、竜児が、完全防犯設備の大河の高級マンションに、普通にスルスル出入りしていたが、どうやって進入していたのか、永遠の謎。

竜児が大河の部屋に入って来たとき、大河が毛布にくるまってて、大河がロック解除した様子もないシーンも序盤にあった。マンションの出入り口で、暗証番号を押すとかそういう描写もなかった。

もしも大河が竜児に暗証番号を教えてて、家のドアをまったく鍵をかけないでいつも過ごしてたいたとしたら、相当な関係だと思うし、無用心すぎると思う。
しかし、この時点では大河の竜児は、「私たちは男女の関係ではない」を言い張っていたし、疑われると教室で暴れ、迷惑行為までしていた。

ここまでベタベタしてて、「私と竜児は男女の仲ではない」と言い張り続けるのは、高校生にしてはどうかと…

・その人の話題をしていると、突然、その人が隣に立ってたり、真後ろに立ってたりするシーンが多すぎ。典型的なマンガちゃん。

・学園祭のあと、「幸せの手乗りタイガー」になるエピなんて、ほとんど、リアル度ゼロ。マンガちゃん。


なので、結局、設定が「マンガちゃん」なので、どこが『リアル十代を描いた傑作アニメ!このアニメ、すごいよ!』となるのかがわからない。


●ヒロインの暴力が、ツンデレ、ギャグレベルではない

・とにかくヒロインが人を殴りすぎ、罵りすぎ。

・ヒロイン大河が自分のためにご飯やお弁当を作ってくれている竜児を、毎日口汚く罵り、殴りつける。

『大河がちゃんと親から育ててもらえなかったから、大河は性格が破綻してしまった』
ということを制作サイドは理由にしたいらしいが、それでも、
見てて不愉快だし、やりすぎ。
せめて、もうちっと笑える描写にしてくれると楽だった。

・間違ってラブレターを竜児が自宅に持って帰ってしまったから、それを取り返すため、大河は竜児のアパートに侵入したのはいいが、

『木刀持参で、木刀を持って襲い掛かる』とか、

アニメでも全然意味が分からないし、最悪なことに、全然面白くない。ほとんど、殺す気だったとしか思えないし、笑えない。

木刀持って家に侵入するのが、『リアル十代を描いてる』のか…。

普段から、木刀を所持してて、何かが起きるたびに振り回す女子高生が現実にいる地域が、この日本国内にあるなら何県何町だか知りたい。


●情けない男ばかり、こんなに暴れてる大河に不良がからんでこない

女子の大河にふるえあがって、この学校の男子が全員、ビクビクして、逆らえない。見てて情けないし、無理がありすぎる設定。

かといって、大河は「ヤンキー」や「学校をしきっている不良」でもない。

大河がここまで暴れていたら、もっと戦闘能力が高そうな男の不良が登場するとか、他校の不良に目をつけられ、モメそうなものだが、そういうエピは1つもない。

不良をあえてこのアニメ(物語)に出さなかった理由とは、
どうしても、大河を、『このアニメの中で最強の生き物』にしておかないと、キャラの上下関係が崩れ、話も全然成立しなくなるからだろう。

だから、ちっとも、リアルな青春ストーリーなんかではない。


●大人も情けない

何故か、子供をちゃんと叱れる大人が全然登場しない。
ゆり先生もなさけなさすぎる。

※ちゃんと人を叱れる大人は、泰子の父親くらいだった。


●何の罪も無い生徒会長が殴られる

生徒会長が、北村の告白に素直に正直に答えなかった、という理由で、
『また』木刀を持ちだして、
大河が生徒会長に殴りこみをかけている。

そんなに、告白に対して素直に受け答えしないのは罪だ、というのであれば、

後の方のエピで、大河が、「竜児が実乃梨のために買った髪飾り」を
「私(大河)の宝物だから」と、嘘をついて、
実乃梨に渡したりするのも、ものすごく邪道な手段だと思う。
また、この行動は、大河は完全にキャラブレ起こしてる。

正直にならないのが罪だ、というのであれば、大河は誰かから木刀でボコボコに殴られるべき。


●勧善懲悪エピがなく、無実の人が暴力を受けるエピが多い

・ヒロインのためにせっせとご飯を作る男が、殴られ、罵られ続ける。

・全然悪い人でもない生徒会長が、ボコられる。

・気が強く、戦闘能力が高い大河が、本当に性格が悪い奴をやっつけたりする、見ててスカッとするエピが、このアニメには1つもない。


●竜児とベタベタしといて、周囲から「男女の仲」だと疑われると暴れる大河

あれだけ高校生男女がベタベタしてたら、周囲から男女の仲だと疑われても仕方ない。なのに、大河は、疑われたのが許せない!と、教室で、人の机をめちゃくちゃにする。

おびえるクラスメート達。

きっと、大河からめちゃくちゃにされた机や私物は、被害者達が自力で片付けたのだろう…

しかし、また、後日もずっと大河は竜児とベタベタし続ける。

★『暴力を使って、周囲を脅し、周囲を怯えさせ。
自分のやりたいように振る舞い、周囲を支配するヒロイン』

こんなヒロインがずっと幅をきかせているアニメを見て、どう感動すればいいのか?さっぱりわからない。


●このアニメで、実乃梨は『矛盾女王』

・たまにちょくちょく出てきて暴走する頭がおかしい女「実乃梨」

実乃梨は序盤の頃には、すでに、竜児に「大河のことは任せた!」と言っていた。
さらに、部活やバイトで忙しく、ほとんど、大河のことは、竜児に丸投げ状態だった。

しかし、たまに出てきて、大河のことで興奮したり、竜児をひっぱたいたりする。


・全然、大河のマンションや竜児のアパートに来ない「実乃梨」

実乃梨は、「大河は大親友!」と口だけは言うが、作品中で、実乃梨は、大河のマンションに1回しか来ない。


その理由として、実乃梨は、「大河のお父さんの件で近寄りにくくなったから」などと言っていたが、
大河のお父さんが大河と関わってない期間まで、全然、大河に会いに来ないというのは無理がありすぎる。

大河が毎日、男の家にご飯を食べに言っているのに、その様子を一度も見に来たこともない「実乃梨」。おかしい。


・前もって大河の父親の問題を竜児に伝えなかった実乃梨は、本当の親友とは言えない

学園祭の時、実乃梨は、また『竜宮レナ化』し(笑)

「大河の父親に会ったくせにあの男に問題があることがわからないの!?」

と、怒り出す。

人に数回会っただけで、その人の心が全部覗ける人間なんているわけがない。

あとで、実乃梨が前以て、大河の父親のことを説明しなかった理由として、「貴方に大河をとられちゃった気がしたんで、嫉妬したから、わざと貴方に伝えなかった」と言っていたが、アニメとはいえ無理がありすぎる言い訳だ。

本当に実乃梨が大河のことを大切に思う『親友』である、というのであれば、「大河のことを竜児くんにとられちゃったって思ってぇ~、嫉妬したからぁ~」などと思わず、すぐに大河の家庭の問題を竜児に伝えるだろう。


・自分で決めるのではなかったの?

実乃梨は、「私の幸せは自分で決めるんだッ!!!」と、大声で大騒ぎしてたのに、竜児に対して、「君は、大河が好きなんだ!!!」と大声で押し付け意見を言いはじめ、無理矢理、竜児に、「おう!」と言わせてしまう。

好きな人は誰かくらい、本人に考えさせたらどうか?


・大河の選択を受け止めると言ってたのに…

大河と竜が駆け落ちするとき、「私は大河の選択を応援する!」と言ってたのに、大河が転校すると知ったら、突然、竜児をひっぱたく実乃梨。

前に言っていたことと矛盾するし、自分は、バイトと部活と体育大進学のことばかりに夢中なのだから、たま~に、親友を名乗ってクビつっこんでくる「実乃梨」は、見ていて非常に不愉快。

こんな糞アニメにどう感動すればいいのか?



●主役の竜児が全然、自己主張をせず、従順過ぎる

竜児は、人から「こうしろ!」と言われると、
なんでも、ハイハイ言って従ってしまうタイプで、まるでデク人形みたい。
全然、魅力がない男主役。

『竜児は大河の父親代理でもあった』というのなら、大河をひっぱたくシーンくらいあっても良かったと思う。



●北村が三人の女にモテた理由がわからない

北村は、「大河」「生徒会長」「クラスメートの木原麻耶」にモテた。
本当にモテモテだった。
だが、この男のどこがいいのか、さっぱりわからない。

《北村の特徴》
突然裸になる。
金髪に髪を染め、ボク~!ボク~!と、いじけまくる。
融通がきかない。
暑苦しいくらい、優等生みたいな話し方をする。


●殴られた生徒会長が報われない

大河は北村が大好きだったからこそ、生徒会長に制裁を加えたはずだったのに、その後、あっさり、大河は恋愛対象を竜児に乗り換えてしまう。

本当に生徒会長は報われない人だった。


●グダグダな駆け落ちエピ

・あっさり終わる駆け落ち

これだけ長編のアニメだったのに、山場の駆け落ちは、あっさり終わる上に、内容がくだらない。

皆を集めて「私達は駆け落ちするの!」と宣言し、実乃梨から貯金全部(通帳と印鑑)、亜美から別荘の鍵を受け取る。

しかし、「泰子が家出しちゃったから」、とか言って、大河と竜が向かった先は泰子の実家。

その後、大河と泰子と竜は、あっさり帰宅してきてしまい、駆け落ちは無しに。

帰宅したら、大河と竜児は、すぐに、実乃梨や亜美に連絡をとり、お金(通帳と印鑑)や鍵を返して謝るのかと思えば、
全然、そういうことをせず、台所でのんきにカツをジュウジュウ揚げる竜児。

マジで糞アニメ。このアニメ、どこを感動すればいいのか?


●キャラブレ激しい

・大河は暴れたと思ったら、自己分析しだして、しっとり語りだしたりで、キャラが安定しない。

・「みのり」は、ほとんど、【ひぐらしのなく頃に】の竜宮レナみたいだった。二重人格。怖い。


●血が通ったまともな人間がほとんどこのアニメに出てこない

唯一、物語の後半、まともな人間に見えたのは亜美ちゃんのみ。

それ以外の「実乃梨」「大河」「北村」って、まるで『血が通ったまともな人間じゃない』みたいな人達だった。


●女の子達が『男のガチ喧嘩』みたいな殴り合いをする。

女が「たのもう!」と木刀を持って乗り込み、殴り合い。

スキー場では、女同士で、「グー」の拳で殴り合い。

殴り合ってる最中のみ、表情、殴り方、立ち振る舞いが突然、『男そのもの』になる、「とらドラ!」女子たち(笑)

私は女子中、女子高を出ているのだが、在学中に、3回ほど、キャットファイトを見たのだが、女子同士の喧嘩は、「とらドラ!」のあのシーンのように、「グー」で殴り合いにはならない。

女子の場合、ひっぱたく、髪の毛のひっぱりあいになる。


ああいう殴り合いを、男子高校生同士がやるなら、「リアル」って感じがするし、まだ理解できる。


●ギャグが笑えない

・大河が言ってた「ババさんは百文のキック…」どうたらとか、全然面白くない。

・たまに北村が裸になるが、面白くない。

・別荘に行く前に、EXILEの踊り?みたいなのをしていたシーンがあったが、全然面白くなかった。

というか、笑えるシーンがほとんどなかった。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 19

91.2 1925 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(TVアニメ動画)

2011年春アニメ
★★★★★ 4.2 (14887)
49338人が棚に入れました
昔は仲良しだった幼馴染たち。でも、高校生になった彼らの距離はいつの間にか離れてしまっていた。ヒキコモリぎみの主人公“じんたん”。ギャル友達に流され気味の“あなる”。進学校に通う“ゆきあつ”と“つるこ”。高校に進学せず旅を重ねる“ぽっぽ”。そして、仲良しだった小学生の頃から、それぞれが変わっていく中で変わらない少女“めんま”。ある日、“お願いを叶えて欲しい”とじんたんにお願いをするめんま。困りながらも“めんまのお願い”を探るじんたん。そのめんまの願い事がきっかけとなり、それぞれの領域でそれぞれの生活を送っていた幼馴染たちは再びかつてのように集まりはじめる。

声優・キャラクター
入野自由、茅野愛衣、戸松遥、櫻井孝宏、近藤孝行、早見沙織

みかみ(みみかき) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

よくもわるくも「青春」イメージの見事な再生産

<短い感想>

・技巧的には、いい作品。
・ただし、全面的にプッシュするのは、申し訳ないがムリ。

<短くない感想>
■「青春」を表象するということ

 近代社会における「若さ」を経験している当人達に対して、その日々の生活に解釈を与える方法は数多く発明されてきた。
 そういった方法は、20世紀後半以後、特にこれといって何かの大きなことをなしとげるわけでもない凡庸で繊細なハイティーン~青年期をセンチメンタルに描きだす話というのは、おおいに受けたわけだ。どう考えても、対して立派なところなどなさそうな、ぼんくらな自分の日々(のようなものを)をなにがしかの形で、うつくしく肯定的に描いてくれる話とかあったら、そりゃあ、グッとくるよね。
 「ほろ苦く」「あまずっぱい」「未熟さ」などを前提にすえつつ、その繊細さ、そのどうにもならなさを、何かの視点を介すことで、どうにかして肯定的に描いてみせる。それが、ある時期以後の「青春」のイメージとなっている、と私はおおざっぱに理解している。

■ノスタルジーとしての青春を描く、ことの凡庸さ

 で、「あの花」は、そうした「青春」イメージを見事に踏襲している。岡田麿里の性能は、今回、まずは明らかにそこに費やされている。見事といえば、見事な腕前だとは感じるが、正直、こういうべたな青春イメージの再生産は勘弁してほしい、というのも率直な感想で、『トラどら』に見られるようないやらしさはなく、見事ではあるがウェルメイドである、というところにとどまっている感はいなめない。
 この手の「成熟しない日々の肯定」をしてみせる手法そのものは、むろん、多種多様なものがあるし、その方法の一つとしては、こういうタイプの物語はあってもいいと思う。だけれども、この手の肯定の仕方は再生産されすぎて、その肯定のされ方自体はやや単調になる。
 青春というのは、曖昧で優柔不断な日々で、その価値がとてもとらえがたい。ワンパターンなかたちでの肯定が本来は難しいものであるはずだ。しかし、それをあえて肯定する作法がけっこうワンパターンなかたちで再生産されている、というのはなかなか逆説的な事態だわなぁ、などとしみじみと思う。
 もっとも、『あの花』は古典的なパターンを踏襲しつつも、現代的なアレンジを加え、さまざまな水準の出来が高い完成度を誇っているので、見られるものに仕上がっているわけだけれども。
 
■ノスタルジーがノスタルジーをする
 ~どこまで行っても、享受すべき「現在」はたちあらわれない~
 
 あえて、批評的にこの作品をみるとすれば、ノスタルジーとしての「青春」を再生産しつつ、青春の真っ只中にいる主人公たちが、さらに彼ら自身の「少年時代」をノスタルジーとして表象する、という、ノスタルジーがノスタルジーを表象する、という二重構造みたいなところは、ひどくネジれていて面白い。

 それはどういうことか。
 まず、一般論として「いま現在が楽しければいい」という刹那主義の人間が、「10年後、どうなっていたいかが大事」みたいなことを言う計画的な未来志向をする人間を批判する、という構造は古典的にある。
 それは「おまえは未来ばかりみているが、いつになったら、<いま>を楽しむことができるのか?未来志向だけでは、楽しみを享受すべき現在、が永久に来ない価値観ではないか」という論理によってささえられている。計画的未来志向は、欲望される未来がさらに未来を欲望しつづけるわけだ。

 一方で、本作は、未来でもなく、現在でもなく、とにかく過去を欲望する話だ。そもそもがノスタルジーのフォーマットとしての「青春」をすごす人々が、彼ら自身の五年前を欲望するわけだ。未来志向とは別の形で、どこまで行っても、享受すべき「現在」という時間はたちあらわれないわけだ。
 この対称性は、ごく粗い整理で言えば、どこまでも未来を隠蔽し、神秘化する近代主義に対して、どこまでも過去を神秘化していく前近代的な宗教的世界観との対象性に近いものを感じる(※1)。宗教的世界観においては、未来は、神秘化された過去においてはじめて輝く。キリストというはるか昔の教祖や、はるか昔の創世記の物語が、現在に意味を与える装置になっている。
 すなわち、ある種の宗教的メカニズムと同様のかたちで、「過去」を神聖化するやり方をとっている。それによって過去のことばや、過去の人物は神聖化され、教条的な装置となり、「現在」はよりみじめな形でしか受容されなくなっていく。そういう、形式を本作はもっている。

■<現在>を結局すくいだすことは、できたのか

 過去を欲望し、過去に真剣に向き合うことによって救われる物語、というのは要するにキリスト教的なフォーマットである。
 キリスト教じゃなくてもいいが、「過去の教祖の物語」を聖典として保持してる宗教というのは、過去の聖典と向き合い、過去の聖典を真に理解することによって、はじめて真理へと到達する…という枠組みなわけだ。
 一五世紀~一九世紀にかけてキリスト教世界はそういった過去志向一元論から抜け出て、「理性」的世界観をキリスト教と並列的にたちあげ、イノベーション最高!みたいなことを言い出す。そのことによって、近代的世界が成立する。もはや、過去を神聖化するという枠組みは、少なくとも思想的にはある意味では死に体だといっていい。※2
だが、物語の強度として言えば、人類社会を千年以上にわたって維持させ続けた、超A級によくできた構造をもった物語構造こそが、過去の神聖化、である。
 なので、物語としての強度という点については、これはこれでとてもよくできたものだと思う。しかし、この物語を繰り返すことは現代的価値と照らしあわせると、正直あんまり褒められない。

 そういうわけで、本作の形式にたいして、岡田が自覚的なのであるとすれば、
1.<過去>を神聖化することによって、現在を肯定する、のではなく、
2.過剰に入れ込まれすぎた<過去>の経験の意味を軽くすること、
 によって、展開してほしかった、と思う。
 本作は、過去への拘泥を一回はさんで、過去から抜け出す、という構造になっているが、やっぱり過去からやってきた人の影響力はあまりにも強すぎる。
 神(幽霊)とイタコ(主人公)と、その信者たち(幽霊の見えない友人たち)の物語といってもいい。

 最後のほうの展開はそれまでのノスタルジー表現を否定するような気持ちの悪さを描こうと拘泥した印象は強力に与える。あそこは、結局何をやりたかったのか、消化不良な感が残るが、もしかしたらあそこに本当はもっときちんとネタを仕掛ける気だったのではないか、という気も残る。ネタを爆発させた感はあるが、なんだかネタの設置の仕方がいまひとつわかりにくくて、いまひとつ何をどうしたいのか、見方に困った。いまひとつ、鈍感なわたしにはわからなかった。

■強引にまとめ

 というわけで、本作が物語構造としてきわめて魅力的なものに見える形式をもっていることは太鼓判を押してもいい。
 だけれども、物語として魅力的ではあるが、こういう物語の構築の仕方は、わたしにとって支持したいと思うようなものではない。それゆえに本作に対するわたしの評価は、今ひとつ振るわない。
 誤解されるであろう言い方をすれば、本作はわたしにとってはプチ宗教のように見えるものだったということだ。正確には、教義をもっておらず、宗教物語の構造だけが保持されているものだということだ。
 そして宗教が魅力的なのも知っているし、偉大な力をもっているのも知っている。だけれども、わたしは無神論者であることを選びとりたいと思っている。
 だから、宗教の物語構造と類似した仕組みによって、人を感動に誘う物語に、わたしは、あんまりイエス、と言いたくない。
 魅力的な物語であるとは思う。

■追記:喪失をめぐる話として、だらだらと 2012/10/10

 これを「過去をめぐる話」としてではなく、別の仕方によって鑑賞する作法もむろん、ある。
 冒頭に著したように単に甘酸っぱいうじうじとした青春モノとして見るという見方、もある。
 一方で、もし、わたしが本作を肯定的にみられる回路がありうるとすれば、過去の「敗北」をめぐる話として見る、という見方ではないか、という気がする。
 キリスト教の話以前に、そもそも、ユダヤ教はそもそもは、負け続けてきた人びとが、「負け続ける我々」をどのように考えれば良いのか、という話でもある。すごく浅い理解で恐縮だけれども、「負けてしまった」ということに、「これは神の試練なんだ」とかなんとか、神話的な意味を重ねる、というある意味で現実逃避的な(失礼)、解釈を通じて生きていく話でもある。
 失敗したり、負けてしまったり、失ってしまったりしたことについて、何がしかのケリをつけて生き続けていく、という話は世の中に沢山あるが、世の中の多くの話は、

1.成功物語の前哨戦としての「負け」:負けを帳消しにするような、新たな成功をする
2.自己の再承認の物語:「そもそもあなたは、負けたり失敗したりなどしていなかった」というメッセージを受け取る

 といったことによって、負けが「帳消し」にされる……わけだ。
 が、個人的に申し上げれば、そんな話は……ふざけんな。だ。

 確かに、新たな成功を得るし、負けることによって解放されることもある。それはそういうこともあり、そこは人生の奥深さだとも思うので、まあよろしい。
 もちろん、一体、その人が何で負けたのか、にもよる。
 ただ、負けてしまった後、負けがそんなに簡単に帳消しにされたり、そもそも負けてないみたいなキラクな話は、幸せな方のケースか、あるいはご都合主義的な現実逃避か、のどちらかである。そういう幸せでないケースはやはり世間にはたくさんあり、やはり負けることや、失敗することや、失ってしまうことはそれはそれで消えないし、そんなに簡単に受け入れたりケリをつけておわらせられないこともある。負けるということは、やはりそれを引きずるし、人生をみっともないものにすることもあるし、人によっては、自死という選択をとることもある。
 負けるということは格好がわるい。負けてしまうことを、さらりと受け入れてしまう自分でありたくないと思うこともあるし、負けてしまうことをどう受け入れればいいのか、ということを真正面から問うている物語は実はものすごく、数が少ない。容易にぬぐいされない、大きな失敗の経験は、人をじっさいに腐らせる。歪ませる。それは、大きな負けを味わっていない幸福な人には、やはりなかなかわからないことだが、大きな失敗の経験は、やはり人を変える。
 結局、大きな失敗をしたあと、そのことをどのような素振りで処理すればいいのかなどということは、正直なところ、誰にもわからないのだが、とにかくそのことを、どういう形でか、処理しなければいけない。それは、そうしなければ「前にすすめなくなるから」ではない。前に進む必要というのは、前にすすみたいひとか、前に進まざるを得ない状況に置かれている人が、すすめばいいのであって、それはケースバイケースの話でしかないと思うが、とにかく、大きな失敗や、大きな負け――少なくとも本人が心の中で大きな負けだと思っている負け――ということは、なんらかのかたちで、どうにかしておかなければ、その後のその人は、腐る。その後の人生をポジティヴなものにするかどうかは、ともかく、ネガティヴなものにする確率はきわめて高い。直接にいえば、ほんとうに大きな負けや、ほんとうに大きな失敗は、鬱病やPTSDとされるようなメンタルな病名が付くようなものをほんとうにつくってしまう。

 *

 本作は、ノスタルジーの話として構成されているため、めんまを失うという、失敗の経験がどれだけ大きな喪失だったのか、という喪失感の演出はそこまで充分ではない。めんま、の喪失感は予め与えられており、登場人物たちは、第一話めの時点で、みなが喪失感を与えられている。
 もし、その点の描写の比率がもっと強ければ、と思う。で、あれば、この話は青春のはなしではなく、喪失をめぐる回復の経験として、もう少し貴重な物語になったと思う。



 青春物語のウジウジ、というのは多くの場合、承認欲求をめぐる問題である。ピングドラムのきっと何者にもなれないお前たちに告げる…ではないが、そのような「私はなにものにもなれない」というようなことが近代の先進諸国における「若者」たちの共通の悩みである。多くの場合の青春の「うじうじ」というのは、ほぼこの話を指すといってもいい。
 しかし、この作品の主人公たちの「悩み」の中身は、珍しいことにこういう話ではない。
 事故でうしなった少女をめぐる後悔にまみれた話だ。
 だから、実は、この時点で、あの花、は一般的な青春物語とは実際には違う話になっている。しかし、青春物語のフォーマットにのせることで、メジャー感のある話に仕上がっていて、商業的にはそれで正しい。
 だけれども、ただの青春物語、過去の神聖化の話としてみると、最終回の気持ちの悪い演出が、一体何であるのか、ということがよくわからない。
 しかし、これがひたすらに、喪失をめぐる「受け入れ」の話として見るならば、もう少し全体像が見えてくる。最後にみんなで懺悔をして、喪失経験を否認して忘れるのではなく、喪失経験と直接にもがく段階へとすすむ話なのだ、とみれば、話はわかる。喪失経験を否認するのでもなく、ごまかすのでもなく、正面からあがく、というのは、それはそれで、近代文学的な<反省>を真正面にやる話、だということとしては、よくわかる。こうした反省的プロセスを経ることを、一つの価値として描くというのはわからない話ではない。これがある種の、じゅうぶんに理性的な人びとによる「崇高」な悩みのプロセスである、という見せ方は――諸手を挙げてではないが――感動をともなって鑑賞することはできなくはない。
 ただ、こういう「反省する気高さ」みたいな話――要するに、悩める近代的自我だの、正解のない世界へと絶え間なく向き合う態度こそが気高いだのといった話――になると、それはそれでひたすらに、今度はそれはそれで、えらく近代特有の趣味の問題にもなる。
 たしかに、本作の終わりに見られるような、ああいったものがき方をすることこそが、みっともないようでいながら、「みっともないからこそ気高い」みたいな世界観は、実をいえばわたしも結構すきではある。
 好きではある……が、たとえば、メンタルヘルスの専門家の人からみたときに、実際問題として、ああいう、あがき方を十代の未熟な少年少女がしてしまうことが、はたして推奨できる状況なのかどうか、ということを、どう考えるのか。
 ある種の近代的な批評な枠組みだと、ああいった悩み続ける自我を肯定することによって、そういった実践的な問題は、文学的物語の鑑賞における「瑣末な問題」として捨て置かれる。態度の問題としては、わかるし、鑑賞において実践的な問題ばかりを言い出す人が、いかにも鑑賞のリテラシーをもっていないようにみえることも、わかっている。
 だが、しかし、そういった、「悩む」ことを、かっこいい、と思いすぎてきたんじゃないか、ともわたしは思っていて、「悩む人、カッコイイ」みたいな価値観を、押し出す必要のないケースにおいてまで、そういう価値観を押し出してしまうことの多い人達がおおくて……わたしは、そういうのは正直、その態度こそ悩ましいものだと思う。
 「喪失をめぐる問とむきあい」みたいな観点から本作を褒める人がいれば、その態度を理解しなくはない。だが、ああ、その人って「ブンガク」の人なんだな、とわたしは勝手にその人のことを感じてしまうだろう。

 なんのことを言っているのやら、ダラダラ書いているうつに、よーわからんテキストを書いてしまったが、…まあ、とりあえず、ここらへんで…。




 

※1 あまり、こういう対比は枠組みが大きすぎて好きではないが
※2 …というか、過去を強烈に権威化する思想が力を失っていなければ、イノベーションが高速に起こる社会システムを解釈する方法がそもそもない。過去を見ているだけでは、現代や未来を見通すことができない社会がやってきたから、ということだ。
 ただ、過去の神聖化、は思想的には死に体であるとは言っても、現代社会の至るところに残っている。いくらイノベーションがはやくなったからと言って、「過去の価値」自体は、もちろん重要。ただ、千年前の社会では、「過去の神聖化」をしても社会構造が維持できたのが、神聖化までしてしまってツッコミ禁止のものとして崇め奉ってしまっても、それでよかった。社会構造が変化しないか、あるいはごくゆっくりとしか変化しないから。
 だけれども、社会構造の変化が大きくなると、過去と現在と未来は等価なものとして評価されることになる。「過去の成功にこだわってないでさ、違うことにチャレンジしよう」という話が千年前の社会と、現在では言いやすさがまったく変わった、ということだ。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 55

nk225 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

円環の理に導かれたから?やっぱりあのタイトルが強かった Google上半期検索ワードランキング・アニメ編

いつだって、いつまでだって、なかよしなんだ

昔は仲良しだった幼馴染たち。
でも、高校生になった彼らの距離はいつの間にか離れてしまっていた。
ヒキコモリぎみの主人公”じんたん”。
ギャル友達に流され気味の”あなる”。
進学校に通う”ゆきあつ”と”つるこ”。
高校に進学せず旅を重ねる”ぽっぽ”。
そして、仲良しだった小学生の頃から、それぞれが変わっていく中で変わらない少女”めんま”。
あの日、”お願いを叶えて欲しい”とじんたんにお願いをするめんま。
困りながらも”めんまのお願い”を探るじんたん。
そのめんまの願い事がきっかけとなり、それぞれの領域でそれぞれの生活を送っていた幼馴染達は再びかつてのように集まりはじめる。

第1話「超平和バスターズ」
引き篭もり気味の主人公「じんたん」の前に、幼馴染みの少女、「めんま」が突然現れる。
自分の願いを叶えて欲しいと頼む「めんま」に、途惑う「じんたん」は…。

オーディオコメンタリー
入野自由/茅野愛衣/戸松遥

第2話「ゆうしゃめんま」
秘密基地で再会した「ぽっぽ」に「じんたん」は、「めんま」が願いごとを叶えてほしいと自分の前に現れたことを正直に打ち明ける。
それを素直に信じた「ぽっぽ」は、「じんたん」にアドバイスするのだが…。

オーディオコメンタリー
入野自由/茅野愛衣/戸松遥/近藤孝行

第3話「めんまを探そうの会」
「めんま」の願い事が、もしかしたら『「じんたん」が学校へ行くこと』かもしれないと思った「じんたん」は、「あなる」との約束も兼ねて、学校へ登校することを決意する。

オーディオコメンタリー
入野自由/茅野愛衣/戸松遥/近藤孝行

第4話「白の、リボンのワンピース」
「ユキアツ」から「めんま」を見かけたと告げられた「じんたん」たち。
隣に「めんま」がいるのにと訝しむ「じんたん」だったが、真相を確かめるために、皆と一緒に「めんま」を捜しに向かう。

オーディオコメンタリー
入野自由/茅野愛衣/戸松遥/櫻井孝宏/早見沙織

第5話「トンネル」
「ユキアツ」が見たという「めんま」は「ユキアツ」自身が女装した姿だった。
その事実に戸惑いを隠せない「じんたん」たち。
「じんたん」は倒れたまま動かない「ユキアツ」に声を掛けるが…。

オーディオコメンタリー
入野自由/茅野愛衣/戸松遥/櫻井孝宏/早見沙織

第6話「わすれてわすれないで」
「めんま」を成仏させるために、「じんたん」は学校へ行くことを再び決意する。
しかし「めんま」には無理して行くことはない、怖い顔をしていると心配されてしまう。

オーディオコメンタリー
入野自由/茅野愛衣/戸松遥/櫻井孝宏/早見沙織/近藤孝行

第7話「ほんとのお願い」
秘密基地に家出してきた「あなる」に「じんたん」は、ずっと学校を休むことなんて出来ない、家出なんてずっと続くわけがないと話す。
それと聞いた「あなる」は「じんたん」は昔と変わらないと告げる。

オーディオコメンタリー
入野自由/茅野愛衣/戸松遥/櫻井孝宏/早見沙織/近藤孝行

第8話「I wonder」
花火を上げることを「めんま」の父親に反対されていたと知り、ショックを受ける「じんたん」たち。
どうにか「めんま」の願いを叶えたいと、「めんま」の母親を説得しようと試みるが…。

オーディオコメンタリー
入野自由/茅野愛衣/戸松遥

第9話「みんなとめんま」
目の前に差し出された蒸しパンを見て、動揺しながらも「めんま」の存在を信じる「あなる」たち。
しかし「ゆきあつ」は、「じんたん」にしか「めんま」が見えないということに複雑な想いを抱く。

オーディオコメンタリー
入野自由/茅野愛衣/戸松遥

第10話「花火」
とうとう明日に迫った「めんま」の願いを叶える日。
そのことを仏壇に手を合わせて「じんたん」の母親に報告する「めんま」は、ふと見た自分の手が、薄く透けはじめていることに気付く。
その手を見つめる「めんま」は…。

オーディオコメンタリー
入野自由・長井龍雪・岡田麿里・田中将賀

第11話「あの夏に咲く花」
花火を上げても「めんま」は消えなかった。
その事実に呆然とする「じんたん」。
うなだれる超平和バスターズの面々。
何も知らない聡史は、「じんたん」たちに今日のことに対して感謝を告げる。

オーディオコメンタリー
入野自由・長井龍雪・岡田麿里・田中将賀

円環の理に導かれたから?
やっぱりあのタイトルが強かった Google上半期検索ワードランキング・アニメ編
昨年と比べ今年上半期に検索数が急上昇したアニメタイトルをGoogleに聞いてみた。1位はやっぱりあのタイトル。ほむほむ……じゃなくて、ふむふむっなるほど!

2011年上半期は「魔法少女まどか☆マギカ」や「TIGER & BUNNY」といったアニメが大いに注目を集めた。作品の人気度はネット上での検索数に比例するかも(?)ということで、Google日本法人にアニメタイトルの急上昇検索ワードランキングを聞いてみた。あなたのお気に入りは何位かな!?

2011年1月1日~6月末までの間に、Googleでの検索ボリュームが昨年に比べ急上昇したアニメタイトルを集計した。堂々の1位は「魔法少女まどか☆マギカ」に。2位は「TIGER & BUNNY」、3位は「花咲くいろは」という結果になった。

記者の周囲で注目度が高かった「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」が10位までにランクインしなかったのは、タイトルが長すぎたせいだろうか……。

せっかくなので、参考までにGoogleでタイトルを検索してみると、1位「魔法少女まどか☆マギカ」が約2310万件、2位「TIGER & BUNNY」が約3520万件、3位「花咲くいろは」が約894万件ヒットした。「TIGER & BUNNY」が逆転している(正式タイトルで検索しているので、略称などでは差異あり。また検索数は7月20日現在のもの)。2期に突入したことも要因か? ちなみに、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」は現在約1020万件と堂々の3位入りとなっています。

決定!2011年のオススメアニメ
日夜放送されているTVアニメ作品。2000年以降に限っても、多くの名作が放送されているが、その中でオススメの作品はどの作品だろうか。教えて!gooにも、「2000年以降でオススメのアニメ作品を3つ挙げると」という質問があった。
「2000年以降の作品(TVアニメ・OVA・劇場版)であなたのオススメ3作品を教えていただきたいです」とのこと。どんな回答が寄せられたのだろうか。

■あなたのオススメ作品は?
回答の中で一番多かったものはなんだろうか。
一番多かったのが、「魔法少女まどか☆マギカ」「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「日常」の3作品。

魔法少女まどか☆マギカ
新房昭之×虚淵玄×蒼樹うめ×シャフトが描くオリジナル魔法少女物語
「化物語」「ひだまりスケッチ」シリーズなどヒット作を多数手がける新房昭之監督とシャフトがタッグを組んで送る初のオリジナル作品として注目される本作。
脚本をPCゲームメーカー「ニトロプラス」所属のシナリオライターとして、その重厚な作風でファンを魅了し、小説「Fate/Zero」でもその才能を如何なく発揮した虚淵玄、「まんがタイムキララCarat」(芳文社刊)連載中の「ひだまりスケッチ」原作者・蒼樹うめが、初のオリジナルアニメのキャラクター原案を担当する。

大好きな家族がいて、親友がいて、時には笑い、時には泣く、そんなどこにでもある日常。
見滝原中学校に通う、普通の中学二年生・鹿目まどかも、そんな日常の中で暮らす一人。
ある日、彼女に不思議な出会いが訪れる。
この出会いは偶然なのか、必然なのか、彼女はまだ知らない。
それは、彼女の運命を変えてしまうような出会い―
それは、新たなる魔法少女物語の始まり―

【季節を楽しむオススメ作品】「夏は冒険! 出会いが人生変えちゃうアドベンチャーアニメ」
梅雨が明ければいよいよ夏。そして、夏といえば冒険! 子どものころ、限りある夏休みという時間に日常と違う生活を体験した記憶は、誰にでもあるでしょう。だから夏の冒険物語は心を引きつけるのかもしれません。心おどるひと時を、アニメで感じてみませんか。

■「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(2011年放送)
幽霊と出会って始まる、ひと夏のノスタルジック・アドベンチャー。心地よく泣きたい人におすすめします。

宿海仁太(じんたん)たち6人は、小学生のときに「超平和バスターズ」を結成し、秘密基地に集まって遊んだ幼なじみでした。でも本間芽衣子(めんま)が事故で亡くなったあと、残った5人の間には距離ができ、高校に進学した現在では疎遠になっています。ある日、不登校のじんたんの前に、昔の姿のめんまが幽霊になって出現。何かが心残りらしいめんまのために、じんたんは昔の仲間に協力を求め、めんまの「お願い」をかなえようとします。

5人の登場人物が、それぞれにめんまに対して負い目や執着を持っていて、1人ひとり自分自身と向き合い、過去を乗り越える様子が描かれるので、何と言うか、心に痛いです。見ている人も、思春期ならではの自分自身の心の傷や弱さを思い出して、ドキリとすることがありそう。それだけに、それぞれの感情が吹き出し、涙があふれるシーンでは、こちらも涙腺が決壊することに……。クライマックスは花火のエピソードです。

「劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(2013年公開)は、テレビシリーズ1年後の5人の姿と、それぞれの回想を描いた内容で、見た人には問答無用でおすすめ。まだ見ていない人は、テレビシリーズを見ないとちょっとわかりにくい内容になっています。

「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」は、2015年にフジテレビでドラマ化予定。また、本作のアニメスタッフが再結集して、同じ秩父を舞台に制作する新作アニメ映画「心が叫びたがってるんだ。」が、2015年9月19日公開予定です。今から見てもまだまだ楽しめる名作といえるでしょう。

欲しいのは親の理解?共感?アニメファンが選ぶ「もっとも親に見せたい(見て欲しい)アニメ」
第1位には、埼玉県秩父市が舞台で、幼馴染の死という過去を抱えた若者たちの淡い恋や罪の意識、絆や成長を描いた『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』が選ばれた。とかくアニメに関する理解が薄くなりがちなのが「親」というもの。改めてアニメの良さを理解してもらう為に、親にも同作品で感動し楽しんで欲しい。そんなファンの思いが男女ともに上位を獲得し、堂々の総合1位へと繋がった。つい先日、実写化が発表され、話題となっている同作品。親世代への認知も高まる良い機会になるのではないか。

『あの花』スタッフが贈る映画『心が叫びたがってるんだ。』公開初日が9月19日(土)に決定!
2013年8月31日(土)に劇場公開し、観客動員数77万人、興行収入10億円突破、興行収入ランキング7週連続トップ10入りを果たし、日本中が涙した『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のスタッフが贈る、オリジナルアニメ映画『心が叫びたがってるんだ。』。そんな本作の公開初日が2015年9月19日(土)に決定した。

また、3月21日(土)・22日(日)に東京ビッグサイトで開催される「AnimeJapan 2015」のアニプレックスブースでは、桜の季節ならではの描き下ろしを使ったオリジナルポスター付きの前売券を、劇場に先立ち、会場限定特典付で販売されることも決定! 21日のスペシャルステージでは、メインキャラクター、メインキャストの発表なども予定されている。

2011年4月から6月までフジテレビ・ノイタミナ枠などで放送された。全11話。略称は「あの花」、「あのはな」。なお2013年8月31日に劇場版が公開された。

アニプレックス、フジテレビ、A-1 Picturesが手がける完全オリジナルアニメーション企画「ANOHANA PROJECT」として2010年12月に始動した。監督は長井龍雪、脚本を岡田麿里、キャラクターデザインを田中将賀が務め、2008年に放送されたテレビアニメ版『とらドラ!』を手がけたスタッフが名を連ねている。また、テレビアニメ版と並行して、岡田による小説版が『ダ・ヴィンチ』で連載された。

幼馴染の死という過去を抱えた若者たちの淡い恋や罪の意識、絆や成長といった内容を扱う、ドラマ性を重視した内容が志向されており、物語の展開に従って複雑化していく人間関係なども描かれる。死んだはずの幼馴染であるヒロインが幽霊として主人公の前に現れるというファンタジー的な題材が用いられてはいるが、作中では彼女をアニメ的な幽霊のように描写することは避けられており、生きた人間と変わらず振る舞う姿を描写しながらも、その姿が鏡に映らなかったり、主人公以外の人物たちにその姿が見えていないことを示すことで、彼女が霊的な存在であることを描写している。

監督の長井は、本作の内容があまりアニメらしくないことから、視聴者に受け入れられるのかという不安や葛藤も抱いていたとしているが、放送が始まると丁寧な演出などが話題になったという。2011年6月29日に発売されたBlu-ray第1巻の初動売り上げは約3万1000枚で、Blu-rayメディアにおけるテレビアニメ第1巻の初動売り上げとしては発売当時で史上3番目という記録を残した。2012年8月5日に開催されたファンイベントにおいて、2013年夏に劇場版アニメが公開されることが発表された。

平成23年度(第15回)文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品アニメーション部門/長編(劇場公開・テレビアニメ・OVA)に選出。2012年、この作品の功績により、長井監督が芸術選奨新人賞メディア芸術部門を受賞した。

27時間TVで明石家さんまが 「あの花」つるこの魅力を熱く語った。

オープニングテーマ
「青い栞」(第1話 - 第11話)
第11話ではエンディングテーマとして使用(クレジット上はオープニングテーマ)。

エンディングテーマ
「secret base 〜君がくれたもの〜(10 years after Ver.)」(第1話 - 第10話)
最終話では挿入歌として使用。

スペシャルOA版オープニングテーマ
「サークルゲーム」(第1話 - 第10話)

投稿 : 2025/01/04
♥ : 38

ラ ム ネ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

「あの花」がウケた理由(わけ)`15  懐かしき焦燥`14

脚本はとても上手く、少し巧妙に過剰だ。そう私は考えた。
 「あの花」の登場人物達、主に超平和バスターズ団員の芽衣子、鳴子、仁太、集、知利子、鉄道の六人の小学校時代の友情関係は、芽衣子の事故死に依って一度離散した。しかし、彼等が高校生の時に芽衣子が仁太のもとに幽霊として現れ(まるで実物のように)、離れていた絆が修復されていく。話しの概要はこんなところだ。

纏めきれていない思考で少し敷衍するが、筆者の作中の過剰要素と解する点とそれに引きつけられる客衆について。

「学園もの等のアニメで、現実に対してやけに過剰描写している問題」は、この世界ではよく会話になる。既にこれ「過剰さ」が普通感覚になってきているくらいだ。
 しかしこの問題はいつも「フィクションだからいいじゃないか」という結論(?)止まりだ。この言葉に対して「まあ、意見はそれぞれあるからね。」で議論(?)話題(?)は幕を下ろす。後者の対応には「(これ以上話すと人間関係悪くなるかも)」と消極的な意思も見える。実は、その「人間関係に消極的な意思」こそが当問題に重要な歯車を掛けるのだ。
 「人間関係に消極的な意思」は現代世代の心理の象徴台詞のようなものだ。核家族の増加や、世代感の移り変わりの中、現代人はコミュニケーション能力が未熟になってきている。「できない」のではなく「未熟」なのだ。だから、「熟練」の人もいる。これは傾向の話だ。2015年現在の「幼児から35歳あたりまで」というその傾向があるらしい。社会に於ける個々人の人間性の鈍さが、子どもの教育にも勿論影響を与えている。
 それが現代の若者世代の決定的な「弱さ」となってしまえる原因となる。
 この「弱さ」は人間関係の問題だ。

恋愛学など、近頃は流行りに流行っている。「3高の恋愛」を追い求める世代から、「一緒にいて安心できる恋愛」などの「人間性を見る恋愛」に変容して来た。不況の所為も、世代の所為もあるだろう。これも世代の変移だ。
 しかし、ここでコミュニケーションの未熟さと弱さが恋愛に対闘してくる。今、多くの人が恋愛に諦めの情をもんでいる。恋愛に期待していない、期待しないという人たちだ。
 この人達は、フィクションの中に憧れる恋愛を求め出す。どんな連鎖する悲劇も愛で全て一発解決!などなどの「軽薄的過剰要素」の含まれる作品だ。
友人関係でも、同様だ。憧れる友人関係要素は多くの作品に取り入れられている。同時に、自分の現実に劣等感を感じる為に見たがらない人もいる。
そういう人たちは、少し現実ではありえない描写も、「そこまで友人関係が厚いなんて!」「そんな愛も憧れる!」と思うのだ。

 時に制作者たちは、社会状況を意図して作品を創造する。今、アニメを多く見る世代が「過剰な描写に憧れる世代。」なのならば、「愛で全てすっきり解決」する物語にして売り出せば売れるだろう、と。この業界では、自由に作りたいもの作って生計立てるなんて人は少ないのだから、媚びることは日常茶飯事だ。
 「あの花」が、一部媚びられて制作されたのかは分からない。脚本を書いた製作者本人が人間関係に諦めていた人なのかも知れないからだ。事情は知らない。
 唯、媚びていたとしても媚びてないとしても、脚本が世代感にハマるものだったのは確かだ。脚本は上手かった。私も当初、感動して涙腺に来たものだ。しかし、いつしかクドいと感じるようになった。もっとシンプルで良いのに、と。作品が変わったのではない、私が変わったのだ。少々の「過剰さ」に私は気が付いたのだ。そして、シンプルになったところで「あの花」ではなくなるし、評判は上がれどここまでブレイクすることはなかったかも知れない。

要するに、過剰な物語性に憧れ、魅せられ、喝采する人は現実に期待をしていない。
 私はつくづく思うのだが、アニメーションとは現実逃避の為に設けられている訳ではない。アニメーションとは映像作品、芸術である。避難場所の提供ではないと私は思う。
 単純な話し、なぜ私が「過剰作品」を嫌うかと言うと、現実に期待していない観衆に過剰な人間関係描写を見せて注目を集めようとか金を集めようとか、もしも制作側が意図しているのなら、観衆が踊らされている訳だから、単純に”汚い”と思うのだ。
 私がエヴァンゲリオン(庵野)を非難するところもここにある。またこれは時間のある時に、アニメというサブカルの抱える問題も多少交えて(こんな殴り書きではなく)書こうかと思う。
 

では、脚本の上手いところを例にあげてみよう。

グループの1人(芽衣子)の死に依って友人関係が疎遠となり、その故人が霊となってグループの1人(仁太)のもとに現れ、疎遠となったグループの関係を修復させていく。
グループの関係性は「良い→疎遠→良い」となる。そして、それは多くの共感を得たに違いない。小学校時代に無邪気に遊べた子は多かったが、いつしか疎遠になり、それっきり、なんてことはザラにある。そして、それっきりという疎遠状態から交友を取り戻す辺り、それっきりにしてしまう多くの現代学生にとって「良いな」と思えるのだ。
 そう。共感というのは、物語を有名にさせるには重要だ。共感できないのなら、人はそんな作品に直感的な興味を抱くことは少ないだろう。ここでも、「あの花」の脚本は巧妙だ。
「超平和バスターズ」の芽衣子を抜いたグループ5人は、それぞれ「芽衣子(メンマ)という共通の悩み」を持っているが、いい感じでタイプ(性格、生き方)がタグ分けされている。
 その中でも仁太はひきこもりだが、(場面は少ないが)父との関係性の描写も腑に落ちる設定だ。ひきこもる人は他者の注目を浴びたいとして大体行動している。この父親のようにひきこもるのはその人自身の問題なのだから、手を突っ込まないことだ。但し、楽天的放任主義であることは避けなければならない。それではその人の信頼感を得られないからだ。作中、仁太はある程度の信頼を父親に寄せているようだった。「なぜ、親父は俺に何も言わないんだ」の台詞に怒りも悲しみ(注目してもらえないという)もなく、唯純粋に疑念を持っている素振りだった。まあ、アフレコもどのように行われたか知らないので、考察も信憑性に欠けるのだが、しかし一部から仁太は「同上の人物」として見受けられたに違いない。
 そのタグ分けられた5人が物語終盤、心境を叫ぶところは、多くの人を引きつけたのだろう。初めの方、仁太が橋を叫びながら走る姿も、あれほどまで他人を思うことに憧れ、感動したが、今では「過剰だ」と見ている。強く他人を思おうと、無条件に信頼しようと己がしていない証拠なのだ、常に他人に疑心に駆られている不甲斐ない嘘なのだ、その感動に伴う感情は。
 憧れとは、身近なものではなく、己の身からいつも遠いところにある。現状を見据える覚悟がない内は、身に覚える必要はない。
 アニメを見たところで強くはなれないのだ。これが逃避した私の反省である。


最後に、彼等の”執着”とその解放について。

芽衣子の死に「超平和バスターズ」の5人それぞれが(恋心の三角関係による)未練・後悔があり、その「芽衣子への”執着”」が「解放される過程」を描いていることに、私は注目した。
「執着から解放される過程」とは、
1、 芽衣子霊が現れ、仁太へアプローチ。
2、 仁太が「超平和バスターズ」のグループへアプローチ。
3、 芽衣子母へアプローチ。
これらアプローチ(絆の修復)に依って、それぞれが執着から解放されていく。
 そして最後には、芽衣子自身が解放されていく。
 その様に私は解釈した。
芽衣子は下界の彼等(母親、超平和バスターズ各人)の執着心に、下界に降り立ち、彼等の執着心を解放し、消えていった、と見解ができるだろう。芽衣子が消える寸前のかくれんぼの最終シーンの台詞「メンマ、見いつけた!」は、芽衣子自身が「見つかる」ことに依って「解放」された場面と見ることができる。
2015/1/24


唯、十年前には流行っていた言葉が作中の台詞で使われ、今は無き過去の友の懐かしい声の響きが、郷愁と共に私の前に吹き抜ける。笑みをポケットからこぼしながら前を駆けていく子どもたちが、いつしか僕らの焦燥に重なっている。
2014/11/20

投稿 : 2025/01/04
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