虐待おすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの虐待成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月18日の時点で一番の虐待おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

67.6 1 虐待アニメランキング1位
星合の空(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.3 (251)
700人が棚に入れました
舞台は、廃部寸前の男子中学ソフトテニス部。様々な想いを胸に抱く少年たちはソフトテニスを通してどこへ向かうのか。少年たちの等身大の青春ストーリー

声優・キャラクター
花江夏樹、畠中祐、松岡禎丞、佐藤元、山谷祥生、峯田茉優
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

いびつな青春の日々を送る現代の子供たち

アニメーション制作:エイトビット、
原作・監督・脚本:赤根和樹、
副監督:三宅和男、キャラクター原案:いつか、
キャラクターデザイン:高橋裕一、
総作画監督:高橋裕一(第1話を除く)、音楽:jizue

監督が『天空のエスカフローネ』や『鉄腕バーディーDECODO』を
手がけていたのは後で知ったことだが、
作品を観て納得するものがあった。
個人的には『鉄腕バーディーDECODO』は、
とても好きな作品で、当時未完だった原作の設定を踏襲しつつも
オリジナルアニメとして、実に上手く作っていた。

『星合の空』は、その作品との共通点を想起させるほど
人物の背景がしっかり考えられている。
そして、現代社会が抱える闇やそこで懸命に生きる子供を
きちんと捉えている。
描写は緻密で、ソフトテニスという競技の特殊な動き、
ラケットの形などもこだわり抜いていることが分かる。
監督のこの作品にかける熱量が感じられた。

鮮烈に心に残ったのは、1話のシーン。
{netabare}柊真が、再会した転校生の眞己に
廃部危機の迫るソフトテニス部に入るように説得するが、
眞己は対価として金を要求する。
それに対して、柊真は部活を存続させるために
7月の大会までに毎月1万円で計3万円、
勝利したらさらに1万円を支払うことを約束し、
道具まで貸し与える。{/netabare}
歪んだ形で始まったふたりの関係。
ソフトテニス部の行く末がどうなるのかに加え、
ほとんどの部員の家庭に問題があり、
いかに折り合いをつけていくのかも
大きなテーマのひとつとなっている。

舞台設定や絵作りは、特筆すべき点がある。
新城が眞己を説得するシーンなどで登場するのが、
歴史を感じさせる、古い水門のある場所。
大田区の多摩川沿いにある六郷水門で、
1931年に完成。現在も稼働している。
また、眞己の住んでいる団地もフォトジェニック。
これは、横浜にある公社ドリームハイツ。
ほかにも目に付くロケーションが散りばめられ、
とても丁寧に作られていることが分かる。

それだけにEDダンスのトレース、
元々が24話で構成されたストーリーを
12話で終わらせたのは、とても残念だった。
細かい事情は知らないが、この物語を24話から
12話に改変するのは、どう考えても無理。
全く別モノになってしまう。
そういう意味では、大きな流れの部分を手直しすることなく
12話で放映したのは英断だった。
ストーリーは、完全に途中で終わってしまっているが、
アニメーションとしての完成度は高い。
そして、この作品を放映するのには意味がある。

『彼方のアストラ』のレビューでも書いたが、
近年は親が子供を捨てたり、
殺すことが当たり前になりつつある。
日本社会は完全に歪んできている。
加えて、LGBTや様々な差別の問題も横たわる。
そういう現実に直面している子供たちは、
一体何を頼りに生きていけばいいのだろう。
何かひとつでも希望を見出すことができるのか。

定期的に家を訪れて金を要求し、暴力をふるう元父親。
兄だけを溺愛し続けする母親。
育児ノイローゼから赤ん坊に熱湯をかける母親。
病的な過保護によって部活を辞めさせようとする母親。
娘をそれぞれの付けた名前で呼び、いがみ合う母と祖母。
子供が絵を描いていることを否定する母親。
親を信用できない子供たちはどこを向けばいいのか。

何ごとも 変はりはてぬる 世の中に ちぎりたがはぬ 星合の空

この『建礼門院右京大夫集』に収録されている和歌から
タイトルが考案されたという。
「全てが変わってしまった世の中になったとしても、
彦星と織姫の逢瀬の約束は破られることはないだろう」という
七夕の恋愛を歌っている。
しかし、この作品における「世の中」というのは、
親子の関係性に焦点を絞っているように思える。

「変わる世の中」と「約束」が核と思えるタイトル。
少年少女たちがソフトテニスの部活動を通じて、
大切なものを獲得する前向きな物語であってくれたらと思う。
ぜひ続編を作ってもらいたい。
(2020年1月13日初投稿)

投稿 : 2024/12/14
♥ : 52
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

受注請負で創作活動でもあるという歪み

オリジナルアニメ


全24話予定のうち12話分。全話分確保されてたらしい放送枠は方針変更で1クール分に縮小。監督は全24話を前提とした構成にしたためいかんせん中途半端な切り方となっています。
またED映像のダンス盗作問題も発生。なんともきなくさい事態になっております。
前者は無事2クール放送されれば問題なし。さもなくばそれまでのこと。
後者は粛々と法的にでも話し合いでもしっかり処理してくださいね~といったところ。以下作品としての評価です。


万人にウケる作品ではないと思いますが、自分は好きです。
ソフトテニス(軟式)に打ち込む中学生男子の群像劇で、廃部寸前の弱小ソフトテニス部に転校生(主人公)が入部してから歯車は動きだし…という使い古されたしかし王道のスポーツもの。これ第一の軸。
並行軸として家庭の問題。本人というよりいわゆる毒親の存在が子供たちに影を落としてます。この二つの軸があります。


■ソフトテニスについて

ラケットの持ち方、ボールの打ち方、ルールの説明。序盤に競技の説明が入ります。
となると本格的?と思いきや、部の目標設定が“一回戦突破で廃部阻止”なのでガツガツしたスポ根とはなりません。
ライバルというか強豪も{netabare}都合二組{/netabare}登場しますが、強敵にあるまじき豆腐メンタルでなんとなく緊迫感に乏しく、試合も駆け引きの引き出しに乏しく単調な繰り返しだったりでイマイチ。
主人公補正で上達曲線ハンパないとしても、選手層薄い競技ばりに県(都?)で名の知れた強敵と善戦してたりします。無理っしょ(笑) 今も昔も軟式テニスはどの中学にもありそうなメジャー部活筆頭です。

と文句だけかというとそればかりではなくて、絵面は好みです。腰を落としてのストロークの一連の動作やボールの動きはスピード感を感じます。
どうやら競技の魅力アピールもそこそこに、競技を通しての子供たちの成長や親との葛藤からの超克みたいなのに重心を置いてるものとして見たほうが腑に落ちます。


■家庭の問題について

在りし日の野島伸司脚本のドラマ群みたいな身も蓋もない感じが出てます。
子供が抱える問題の因子は全て親。子は被害者としての立ち位置が固定されてました。それも一人や二人ではなく全員というのがすごいです。よくぞここまで集めたなと感心するくらいの毒親のフルコース。彦○呂なら「宝石箱やーっ」辻本○美なら「総合商社やーっ」と吠えてくれそうな勢いです。


{netabare}眞己:離婚済み父親の常態化していたDVがトラウマ。金せびりにたまに顔を見せる。

柊真:母から得られない愛情。愛情の注ぎ先は兄へ。原因はちょっとわからんかった。

樹:身体的虐待経験者。背中にやけどあり。

凛太朗:里親家庭で育つ。育ての親というより生みの親がDQN。

翅:サッカーやめて父とぎくしゃく。兄と比較されてしまう立場。階段で怪我を負わされる。

晋吾:父は再婚。母は連れ子(晋吾)より妹を溺愛。

直央:過干渉母。モンペ母。精神的疲弊は部内トップクラスに見える。

太洋:過干渉親。ヘリペ両親。試合に来て「大丈夫?負けてもいいよ?」とある意味害毒。

御杖さん:親から(好きな)絵を描くことを否定されてる。{/netabare}


愛情足りてないです。
時代なのか、しょっぱい親は実在します。いやガキみたいな大人と言い換えてもよいのかもしれません。
外面良くすることや正論をぶることなんてどうでもよいのですよ。ポリコレとかほんと糞以下です。


“責任”を取る覚悟をもって“自由”を謳歌すればよい。

“義務”を果たす前提で“権利”を主張すればよい。


“責任”と“義務”をないがしろにしなければ“利己”から“利他”になってくるもんです。このへんは口うるさいおっさんと言われてもかまいません。

さてさて話を戻して、これだけ家庭の問題があると学校でもなにかしらSOSのサインが出てもおかしくなさそうですがそれがないです。わかりやすくグレるみたいなのがない。
たまに勘のいい仲間がそれとなく気づいて助け船を出すような関係性が成立しているのに驚きでした。
往年の名作、金八先生に慣れてると足元すくわれます。家庭事情でグレるというわかりやすさがありません。これを観て、問題を抱える子供たちの孤独は我々の時代の比ではないなと気分が暗くなります。

胸糞設定もリアリティがないとギャグとして消化できるもんで、こちらはしっかりと毒親への不快感を足跡として残してます。力ある監督さんだと思います。
そして唯一一人だけ、親起因の問題を抱えてない子がいてほっと一息つけます。

{netabare}悠汰(マネ):性自認。トランスジェンダー。金八先生でいうところの上○彩枠ですね{/netabare}



“競技”と“毒親”という作品を司る二軸について、来たるべき2クールめを期待しての備忘録となります。
いつの日か放送される時が来たら役に立つかもしれん。こちらがびっくりするくらいの中途半端なぶった切りぶりでした。さらに下手にTwitterで内情晒すから反感買うんです。
映像作品として見るなら、社会派の良い作品だと感じました(ただし途中評価)。
主人公だけでなく部員万遍なく風呂敷広げていってどう畳むかやはり気になるところです。繰り返しになりますが、胸糞を意識づける描写の確かさにも説得力がありました。身も蓋もない現況への光明みたいなのもあった気がします。
{netabare}※トランスジェンダーをカミングアウトした悠汰への眞己の視線が温かく極めて自然でした。名シーンだと思います。{/netabare}


あくまで全24話中の12話と半分経過しただけよ、ということでしたら

 後半に期待を持てる折り返し

なんです。イマイチな試合描写を補って余りある家庭問題のヴァリエの豊富さ。そりゃあ克服してのハッピーエンドがやや好みですが、鬱エンドもありですね。
続編期待してます。



■閑話休題

実務家と芸術家ってものを考えましたね。
整合性が合わない。段取りが悪い。仕事としてどうよ。とかく非があればさくっと攻撃されるこんな世の中はなかなかポイズンです。

本来作りたかったものを作れないのは悔しかろう。制作側にも多少の同情の余地はあると思うが、製作側の事情は視聴者側には関係ない。スポンサーからの告知が放送の半年前。どんな事情があろうが限られた時間で出来る限り視聴者を満足させる方向に舵を取るべきでぶん投げエンドは誠意無し。

正論です。大なり小なり制作サイドへのネガティブ反応が自然なことなのかもしれません。さらに放送最終回でのTwitterでの事情吐露もやんなきゃいいのに!と感じたりもしました。
露骨に「円盤買ってね」みたいな煽りも某“いきな○ステ○キ”の店内張り紙みたいな感じ悪さがありますね。あきらかにPRがへたくそです。

さはさりながら、マスでの非難轟々を通り越して話を完結せられたらいいっすね。
円盤買わない不良ファンですが、不器用な作り手さんへの好意の眼差しは捨てておりません。



視聴時期:2019年10月~2019年12月   

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2020.01.19 初稿
2020.07.16 タイトル修正

投稿 : 2024/12/14
♥ : 46
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

子は、育てたいようには育たないが、育てたようには育つもの

[文量→大盛り・内容→感想系]

【総括】
爽やかなスポーツ&友情系、の皮を被った、ドシリアスな家族問題を扱った意欲作。

アニメのクオリティとしては高いものがあると思うけど、EDのパクリ騒動、衝撃の12話と、様々な問題を起こした作品。

2期があるなら観てみたいが、2期がないなら、評価をメチャクチャ下げなければならない。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
まあ、後半は酷評するから、まずは、良いところから(笑)

序盤は、その踏み込んだ内容にかなり驚かされました。家庭の問題をかなりハードに、しかしリアリティをもって描いた勇気。

DV、いじめ、養子、LGBT。

そういった「目立った」問題だけではなく、「夫婦の不和」「過干渉」のような、「目立たない」が、深刻な問題の描写もあって良かった。

レビュタイの言葉は、自分の知り合いが言っていた言葉です。私に子供はいませんが、真理を捉えているような気がします。

もちろん、遺伝的な要因によっては、教育ではどうにもならない部分はあると思います。

でも、親の影響って何よりも大きくて、その人間の人格形成にもの凄く大きく関わると思います。

道場で子供を観て、親とも関わって、やはり、「この親にしてこの子あり」と思うことが多くあります。

親とすれば、「こう育ってほしい」というのはあるんでしょうが、もし、「こんな風になってしまった」というなら、「こんな風になるように育てた」のだと、少なくとも親自身が自分の責任として受け止めないとダメだと思います。

本作に出てくるクズ親は共通して、「なんであんたはそうなの?」と、「子供が悪い」=「自分は間違っていない」という感覚をもっている気がして、最高に不愉快になりました。

てことは、作品として、クズ親をキチッと描けているということ。それは狙い通りだから、表現したいことを表現したいように表現できている、良い作品だなと思いました。

ソフトテニスに関しては、まあ、可もなく不可もなく。ちょっと「ご都合」だけど、スポーツものなんて大概そうだし。

さて、では酷評です(笑)

まあとにかく、あの終わり方ですよね。

監督のツィートを簡単に示すと、

①元々は24話で制作されていた。

②なんらかの事情で12話になった。

③この物語を12話に縮めることは無理だと判断し、最初の予定通り、24話のつもりで制作し、12話目で最終回とした。

④自分としては13話以降も作りたいから、グッズやBDを買ってほしい。

、、、う~ん。①と②はまあ、よくあることなんでしょうが、③の判断と、④を自分で言っちゃうのはな~。気持ちは分かるけど。

つまり監督は、「プロ」ではなく、「アーティスト」であろうとしたのですね。

私が好きな漫画に、「雑誌などに写真を載せるプロの写真家と、個展を開くようなアーティストの写真家の違い」が描かれていました。曰く、「プロは、クライアントが求めたものを、限られた予算、日程、設備の中で実現する者」で、「アーティストは、自分の中に絶対的な個性、表現したいものがあり、どんな状況かは関係なく、自分の内面を表現しうる者」だそうです。

社会の歯車の1つとして働く者としては、この監督のやり方を羨ましく思いつつも、それで良いのか?と葛藤を感じてしまいます。

アーティストとは基本、社会に背を向けても自らの内面に向かうもので、その存在が社会的に許容されるかは、民衆にどんだけ指示されるか次第というのは、いつの世も同じでしょう。この監督の作った「中途半端な」作品を観て、多くの視聴者がBDなんかを買い、2期が実現すればそれは、「アーティスト」として成功したということだし、そうでないなら、「ただのオナニー野郎」ということになります。

さて、どちらでしょうね?

私自身は、2期を期待しているものの、BDを買うつもりはないという、一番どうしようもない人間です(笑)

てか、こうやって「社会の仕組み」に反旗を翻すなら、いっそクラウドファンディグで予算を募って、自主制作に近いカタチでお金を集めれば良いんじゃないかと思います。

また、厳しい言い方をするなら、「アーティスト」であろうとした監督が、他のアーティスト(ダンサー)を尊重せず、EDにパクったことは、ダメですよね。なんか、自分の作品(シナリオ)にはクオリティ求めて妥協しないくせに、そこはあっさりパクるんかい、という「言行不一致」感が出るというか、「おいしいどこどり感」というか、なんか、格好悪いっす(苦笑)

それに、穿った見方をすれば、「自分にはこんなに素晴らしい、表現したいことがあるのに、周りがダメだ(わかってない)から一期になった」と言い回ることは、本作の「クズ親」の「私の教育は悪くない。あんたがその通り育たないのが悪いんでしょ!」とキレている感じにも共通する、壮大なブーメランだなと。

だって、サブキャラの家庭問題は出さず、主人公のDVだけに絞れば、12話でも完結までいけそうですし、それをあえてしなかったわけですからね。

と、厳しい意見も出ることを覚悟した本作のラスト。それを背負った上で結果を出してほしいですね。

ただ、2期やるとしたら絶対にハードル上がるし、スッキリした解決の難しそうなテーマを扱っているから、「これなら12話で終わった方がよかった」とならないように、頑張って下さい。
{/netabare}

【1話ごとの感想】
アニオリ作品のみ、1話ごとに感想と展望を書いてます。
{netabare}
1話目 ☆4
{netabare}
作画はかなり綺麗だし、ソフトテニスの動き、音はかなりリアルな気がする。この闇の深さ、吉とでるか凶とでるか。

《今後の展望》
はねバド、みたいな感じになるのかな? 天才の闇深中学生が、色々と部内をかき回しながら、次第に友情を深めていくんだろうね。
{/netabare}

2話目 ☆3
{netabare}
どんな競技でもそうだけど、いくら運動神経良くても、初心者がちょっとやったくらいじゃあ、経験者には勝てない。そもそも、中学生のソフトテニス部って、シングルあるの? 家庭内暴力に、いじめ、BLまで、色んな闇を入れてくるのはよいが、処理しきれるか? EDで(本編にない)爽やかさを演出しようという、3年A組的な演出か? あのダンス。

《今後の展望》
仲間とすったもんだし、一人ずつの「闇」を描きながら、それを解決していく。んで、11話くらいから試合? 団体戦を、じっくり描いていくのかな。一進一退の。
{/netabare}

3話目 ☆3
{netabare}
中学生の不良なんて、あんなもんだよな。刺される覚悟、という危機意識があるのかな? まあ、ないんだけど。ポットのくだり。これは、エグい。確かに不良もわるいが、ラケットでぶん殴って額かちわった方が更に悪い。のわりに、処分が甘々。それはそれでどうかと思う。

《今後の展望》
外れて恥ずかしい思いをする覚悟で、新ペア予想を(笑)

現状のペアは、【前衛 晋吾・後衛 大洋】【前衛 凜太朗・後衛 翅】【前衛 直央・後衛 樹】だと思います。ヒントになるのは、「親分子分じゃん」「まるごと全部」なので、現状組んでいる相手とは組まないことは分かります。また、親分子分ペアは引き離すと。あとは、プレータイプと人間関係かな。


新ペア予想

【前衛 竹ノ内晋吾 ・後衛 曽我翅】
乱暴者ペアですね(笑) 口喧嘩を繰り返しながら、お互いに「テメエにだけは負けるか!」とプレーする感じ。テニプリでいうところの、「モモ&マムシ」ペアのイメージで。

【前衛 布津凜太朗・後衛 雨野樹】
現状、一番闇が深くてキレやすい、でも高い技量をもつ雨野樹を、人が良い布津凜太朗がなだめつつ、プレーする。暴力後の慰めをみていると、この二人は固い気がします。

【前衛 月ノ瀬直央・後衛 石上大洋】
不思議キャラの直央と癒し系の大洋。大洋は現状、晋吾の影に隠れ、全て言いなりになっている。そこで、ほとんど頼りにならない(笑)直央と組ませることで、大洋の積極性を引き出すことが狙い。
{/netabare}

4話目 ☆3
{netabare}
先週やったペア予想。ペアは全部当たった\(^-^)/が、前衛・後衛を逆にするとは思わなかった(汗) だって、あと何週間かで大会で、いきなり逆のポジションとか、キツいだろ。後衛で、ボレー練習とかしてきたん? 自信も適性も確かに大事だけど、基本的な技術はそれ以上に大事だし。

他の競技は知らんが、剣道に関しては、弱いチームは更に弱いチームと試合した方が強くなる。強いチームとやっても、何も見つからない。強いチームとやっていいのは、ある程度以上強いチームだけ。

《今後の展望》
次は、眞己が理由を言わず退部するとか言い出し、仲間がそれを止める、みたいな青春ど真ん中展開? あのクソ親父の「信じたいよな」は伏線だろうしね。最終的には、夏南子が警察に通報しそうですね、「こんなん警察に任せとけば良いじゃん」とか言って(笑)
{/netabare}

5話目 ☆3
{netabare}
自分のトラウマを、告白。母さんも、どういう感じなのかな? マインドコントロールされてるのかな? マキのため? 殺すの連打。名前が3つ。ここにも闇が。次は、養子。全力で奴等を潰しにいくぞ、は、ある意味で彼らの闇(家族の問題か)。そんな不遜な中学生いねぇよ(苦笑)

《今後の展望》
もちろん、ボコボコにやられるんでしょう。そっから、どう這い上がってくるか。と思ったけど、Cパートで喧嘩売られたから、そこそこ通用する場面もあるんだろうな。「負けたけど下手くそではない」とか、あの赤頭がツンデレを見せるのかな?
{/netabare}

6話目 ☆2
{netabare}
ソフトテニスなら弾道も高いから、確かにダブル後衛も、アリかもな。ドロップで前に落とされたらどうするのか、見たいけど。そこで蹴ったら練習試合中止だろ。あんなに騒いで、審判に注意されないの? ただ試合しただけの回だったな。

《今後の展望》
ちょっと思い付いたって、わざと少しスペース空け(隙を見せ)て、そこに打たせてカウンターとか、そんなんかな?
{/netabare}

7話目☆4
{netabare}
いやいやいやいや。ダブルスで二人の間を狙うなんて、当たり前のこと過ぎるから、今まで、練習であれ試合であれ、いくらでもやられてきたはずでしょ? そんなん解消できないようなペアが、強豪のエースペアになってるわけないやん。イツキの着替えのところの緊張感は、良かったかな。やる気がガス欠、、、ならんがな、たかが数ヵ月で、本気なら。イノシシは、脂身が旨いよな。今回はらしくなく、爽やかな青春モノだったな~。

《今後の展望》
今回、これまでで一番爽やかな回だったから、次はまたドシリアスかな~。
{/netabare}

8話目☆4
{netabare}
かなりリアルな母子の会話。分かるけど、ダメな親だな~。他の家庭みたいに、「ガチ(だけど一般的ではない)クズ親」ではなく、「リアルなダメ親」。モンペが自分の親ってキツいな。部活やめたって、成績なんて上がらんよ。出来るやつは部活やっててもできるし、出来ないやつは部活辞めたらますますできなくなるよ、大抵。女装趣味。性同一性障害の話までぶちこんでくるんかい。マキくん、イケメンだな~。子は、育てたいようには育たないが、育てたようには育っている。

《今後の展望》
家庭内暴力から始まり、虐待、いじめ、家庭内不和、性同一性障害まで、様々なシリアス要素をぶちこんできながら、ここまで破綻せずにやっていけるのは、すごいなと思います。が、多分この全てが、作品内で解消されることはないでしょう。もしかしたら、1つも解消されず、問題提起だけで終わるかもしれませんね。
{/netabare}

9話目☆4
{netabare}
あのクソ親父のDVなければ、マキの家良い家族だな。闇深いな~。女子だって、別に普通の練習して待ってれば良いやん。ナオが保健室の鍵かけた、、、なるほど、暑いから保健室開けといたっていうのが伏線か。虚言癖。過干渉は人格否定。確かに。てか、夏の大会まで、あと何日かを示してくれてないから、分からんのよね。再婚家庭か。

《今後の展望》
ツバサの怪我。これまでメンタル面の問題ばかりだったけど、ここにきてフィジカル面の、物理的な問題。メンタル面は一瞬で解消するかもしれないし、一生解決しないかもしれない。フィジカル面は、時間があれば必ず解決するけど、時間がなければ絶対に解決しない。だからこそ、解決策が難しいな~。まあ、団体戦は3ペアだから、なんとかなるかな? そこで勝てれば、新人戦(秋季大会)もあるだろうし(アニメではやれなくても)。となると、夏の大会で1勝し、部は存続。最終話のCパートとかで、新人戦や3年生の夏季大会で優勝旗掲げてるツバサの写真が写って終わりとか?
{/netabare}

10話目☆3
{netabare}
笑った生徒会長、超怖い(笑) カナコ、いつの間にかマネージャーポジション。タイヨウの家は、過保護ね。勝ちを意識すると、大抵勝てない。結果ではなく、過程を評価することは大切だね。子供のうちは。

《今後の展望》
個人戦は全敗かな? 部の存続が懸からないと、団体戦盛り上がらないしね。まあでも、このアニメなら、メインはテニスじゃないしな。ラスト1話で家族の問題を魅せるか?
{/netabare}

11話目☆3
{netabare}
攻略法というか、やたらシンプルなことだよな。前衛だけ強いなら、前衛をとばして後衛を攻める。実力差があるペアで、信頼関係もなければ。ジョイ、嫌いやな~(笑) 母親が息子に依存してるってことね。重い重い。2年で全中優勝は、伊達じゃないだろうな。

《今後の展望》
次は団体戦で、13話が家族の話? 2クールだったりする? 特にアニオリは事前情報入れずに観るから、分からんな。まさか、12話で終わりなら、ヤバイ最終回が予想できる(苦笑)
{/netabare}

12話目☆2
{netabare}
相手の自滅であっても、全中王者がそれはないな。相手、県王者くらいにしとけば良かったのに。最後にドシリアス。これ、2期やるよね?

《今後の展望》
調べたら、24話が12話になったけど、12話でまとめることをせず、12話までを流した、ということか。

う~ん、これは是非が分かれる。個人的には、「そんなの(内輪のことなんて)知らんがな」ですかね。色々削れば、12話にまとめられると思うけど。これ、クラウドファンディグとかした方がよくない?
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/12/14
♥ : 34

67.7 2 虐待アニメランキング2位
レ・ミゼラブル 少女コゼット(TVアニメ動画)

2007年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (84)
481人が棚に入れました
フランス革命以降、いまだ混乱のなかにある19世紀前半のフランス。ファンティーヌは3歳の娘・コゼットとともにパリ郊外の村・モンフェルメイユにやって来る。ファンティーヌはそこで出会ったひと組の母娘の微笑ましい光景を見つける。それはこの村で宿屋『ワーテルロー亭』を営んでいるテナルディエ夫人と娘のエポニーヌ、アゼルマの母娘が遊ぶ姿だった。その風景にファンティーヌは安心し、夫のテナルディエにも丸め込まれたこともあり、金を払って夫妻にコゼットを預け、仕事があるというモントルイユ・シュル・メールに旅立つ。

声優・キャラクター
名塚佳織、松元環季、菅原正志、萩原えみこ、松山鷹志、小林由美子、勝杏里、笹本優子、大塚友稀、間宮くるみ、鎗田千裕、矢部雅史、堀越真己、かないみか、小村哲生、島田敏、竹本英史、岸祐二

ななりす さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

隠れ過ぎている名作!涙なしでは観られない感動ストーリー、もっと多くの人に観てほしい

全52話
ジャンル:感動
テーマ:人は変われる、親子愛

世界名作劇場シリーズとして、BSで4クール1年かけて放送された作品。このアニメはとにかく何度も感動して涙が出ました。4クールと少し長いですけど、凄く良いストーリーです。

物語は19世紀のフランスが舞台。当時の貧困に苦しむ人々の生活を中心に描かれています。前半はとにかく観るのが辛い。まるで同じ世界名作劇場シリーズの「小公女セーラ」を彷彿させる展開。理不尽過ぎて、もうやめてあげて~!と言いたくなる。それに鬱な展開もあってブルーな気分になりますが、とにかく前半は辛くても我慢が必要で、コゼットの健気さに心を打たれます。

この作品はうまく丁寧に伏線を回収していくので、その伏線を回収していく中盤からが特に面白いです。途中群像劇が楽しめ、私の好きな「MONSTER」を観ているようなのがとても良いです。その中でニアミスやすれ違い多数で楽しめ、私はもうハラハラしっぱなしでした。

ジャヴェールという刑事が「MONSTER」のルンゲ警部のように、キレ者で職務に忠実かつ信念を曲げなく、執念深いような所が凄く似ていて良い味を出しています。もう一人、テナルディエというキャラがいるのですが、こいつは終始イライラさせられます。でも、物語を盛り上げる良いキャラだったような?気がします(苦笑)。私はエポニーヌがコンプレックスを持って人間らしさを持った良いキャラだったと思う。前半は嫌いなキャラだったけど、中盤から後半は感情移入してしまいました。38話とかかなり見所だと思います。

また、前半から後半まで人生観を変えるような名言が沢山出てきます。もう良い言葉ばかりで一つ一つに感動を覚えました!次に恋愛もあって、「ロミジュリ」みたいに胸キュンな純愛に描かれています。あるキャラのおかげで恋愛作品によくあるような甘酸っぱく切なく描かれているのも特徴。想いが中々伝えられないとか凄く切ないです。

前半から最終話まで親子愛も丁寧に描かれていて、私の心に凄く響いてきました。優しい愛に包まれている感じが凄く伝わってきます。人と人との繋がりや絆も描かれていて感動しました。全体的に運命的な展開が面白く、とてもドラマチックな内容で、また心温まる作品でした。特に後半は涙が止まらない。あにこれに登録していなければ観ることのないようなアニメだったので、偶然の出会いに感謝しています。少し長いですけど子供から大人まで楽しめるアニメで、ストーリー重視で感動したい人は是非観てみてください。

投稿 : 2024/12/14
♥ : 17
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

桜井弘明監督より、現代の子供達とビクトル・ユゴーへ捧ぐ名作

2007年放送のTVアニメ。全52話。
原作は小説『レ・ミゼラブル』。言わずもがな、1862年ヴィクトル・ユゴー執筆の名著。
原作未読です。

以前から本作は気になってはいたのですが今年NHKで放送したTVドラマ(2018年イギリス・アメリカ制作)が良かったため、本作の視聴を開始しました。
※このレビューで比較する場合は2018年TVドラマ版となりますのでご承知置きください。

【物語】
筋立てはさすが名作の貫禄で、アニメ化にあたり細やかな改変がなされた世界名作劇場の名に恥じない子供向け作品。
本筋がある程度わかっているため、細かな部分に集中して見られて良かったです。

余談ですが子供向けの本作でさえ次回への引きが暗くてちょっと疲れたので、時代と共に私自身の感性も変わったのだなと。原作小説どうしようかな…。

【声優】
キャスティングも素晴らしかったですし、演技も自然で作りすぎておらず親しみやすい。皆さん名演技でした。
公式サイトのインタビューを読んだところ、あまり作らず自然体でやっていこうという方向性だったようです。

【作画】
キャラクターデザインとても良かったです。毎回の作画班も力のある人たちで、芝居付けがとても丁寧でした。
街の人達やアベセーの友の若者達、兵士や御者が何人も出てくるシーンの顔立ちの描き分けが素晴らしかった!子供達もコゼットも生き生きしていて愛があって良かったです。

【音楽】
OP,EDは共に名曲でアニメーションもとても好きです。
勿体無い…というか好みの問題だけど、BGMが主張しすぎると感じるシーンが多かったです。楽曲そのものではなく、使い方の問題ですね。
作画でしっかり表現できているからこそ音楽は少な目でも良いだろうと思うのですが、もしかしたら贅沢な文句かも(苦笑)。

【キャラクター】
少女コゼットは子供向けとしてレトロながらだいぶコミカルやほのぼのがあって、長い尺を活かしてキャラクターの掘り下げもしっかりしています。
オリジナルキャラクターや少ししか出ない人物も、作品内での役割と活躍を与えられています。
子供視聴者のため、作品のテーマのため、キャラクターの言動と描写を念入りにコントロールするという辛抱強い仕事をこの作品のスタッフは全52話やりきりました。素晴らしかったです。

{netabare}
ジャンの慈悲深さがずっとぶれなかったのが特に素晴らしかった。アベセーの友のアンジョルラスとの語らいは特に胸に来ましたね。
コゼットは活躍の場が少ない主人公ではありますが、ジャンの人生の見届け人でもありますし、マリウスと共に父の志を引き継ぐという一番大切な役割を担っていました。夜の庭で語り合うシーン、静謐な雰囲気が好きでした。


あとは変更点が多かったキャラクター達について少し。

・ガヴローシュとシュシュ
テナルディエ一家に虐められるコゼットの辛さを緩和する役でした。
TVドラマだとガヴローシュは特に仲良くしませんし、シュシュもいません。鍛冶屋に奉公に出ることもなくて家族には蔑ろにされるばかりですが強く生きています。原作だと子犬は死んでしまったし、ガヴローシュも革命のさなかに命を落とします。
本作ではガブローシュとシュシュを生存させることで、コゼットの生活が重苦しいだけにならないよう工夫しているんですよね。
ストリートチルドレンとして逞しく生きる姿は原作にもあるそうですが、その後幼い二人の少年を世話することでガヴローシュもまた誰かに何かを「与える」側として描いています。

・アラン(オリジナルキャラクター)
マドレーヌ市長に救われた男の子ですが原作にはいません。もちろんTVドラマ版にも。
彼は幼い甥姪のためにパンを盗んだ若き日のジャン自身でもあるでしょうし、モントメイユ・シュル・メールでは最も視聴者の視点に近い登場人物です。アランがいることで市長は孤独な人物ではなくなり、ジャンが救うことができた者の代表でもある。
市長が姿を消した後、市長代理としてモントメイユ・シュル・メールを守っていると知ることができます。市長が急にいなくなって大丈夫?という不安が解消されたのが私は有難かったですね。
そしてコゼットやマリウスと同じくジャン・バルジャンの志を受け継ぐ者でもあることが、49話で描かれます。

・エポニーヌ
子供向けとしての改変を入れたことで、エポニーヌが可哀想すぎる印象に…。でもこればっかりは仕方ないんですよ…。
エポニーヌは両親の影響によって性格が歪み、誰かに何かを与えることなく生きてきた少女です。TVドラマ版では(おそらく原作でも)彼女は犯罪に加担することに抵抗のない娘に育ってしまっています。
そのエポニーヌがマリウスへの純粋な恋心で変わっていき、マリウスに全てを与えて命を落とす。この役割は彼女にしか果たせないし、この作品には必要なのだと思います。
エポニーヌ、毎回作画班に愛されてましたね(泣)。いやこれは仕方ないって。依怙贔屓じゃなくてせめてもの手向けですわ…(´;ω;`)


ジャベールとテナルディエの顛末については原作既読の人には賛否ありそうだけど、日本的な感性と視聴者層と本作で新たに加わったテーマを考えれば必要な変更点かと。

・ジャベール
ジャンの信念「人は変わることができる」へのアンチテーゼ「人は変わらない」という信念の持ち主。TVドラマ版(及び原作)ではジャンを逮捕せず、自身の信念を失ったことでセーヌ川へ飛び込んで自殺します。
本作ではアンチテーゼの役割を勤め上げた上で、本人も考えを変え自殺はしませんでした。ジャンが「変えた者」と言っても良いかもしれません。
橋の上で朝日が差してくる演出、綺麗でとても好きなシーンでした。

・テナルディエ
同じくジャンへのアンチテーゼ「変わらない人間、変わろうとしない人間」そのもの。TVドラマ版ではマリウスが最後に父を救ったテナルディエと知り、礼として金を渡し、テナルディエは姿を消します。
本作ではマリウスが金を与えるのはもっと早い段階であり、最後はジャベールに逮捕されます。ジャンが「変えられなかった者」でもあるのでしょうし、ジャベールのような人が存在する理由とも言えます。
テナルディエは「世間を喰ってやる」と言っていて、エポニーヌやガヴローシュとの対比が凄いなって思った。多分唯一誰にも何も与えない人だったなあ。{/netabare}


【原作の主題を守りつつ、現代の子供達に伝える工夫】
原作の辛い描写をただマイルドにするだけでなく、オリジナルのキャラクターや設定を追加・変更し、それを使い尽くすことで新たなメッセージ性を加えた点は評価が高いです。
{netabare}
TVドラマ版ではジャン・バルジャンの献身がなかなか報われずファンティーヌの死に方も凄惨なので、見ていて結構辛いんですよね。ジャンがいかに運命に翻弄されても良心を保てるかを、私達も見届けなければならないような部分がある。
けれど、それは今の時代で子供向けとしては少々辛すぎるでしょう。
本作ではコゼットが主人公として健やかさも可能な限り描かれ、ジャンは報われることも増えています。
特に顕著なのは27話で、コゼットとファンティーヌによく似た境遇の母娘を助けることになる。この回でジャンは過去の後悔を少しだけ払拭し、貧しい人のために働くことを再度誓う。コゼットは母親の娘を想う心に触れてファンティーヌの気持ちを少しだけ理解し、母娘の再会を喜ぶ。この回はシリーズ構成の金春智子さんが手掛けた完全オリジナルエピソードなんですね。


誰かに何かを「与える」ことも一貫されたテーマだと思っています。
ミリエル司教が銀の燭台を与えたのに始まり、ファンティーヌの苦労、ジャンとファンティーヌのためにシスターサンプリスが嘘をついたこと、ジャンの社会貢献、アベセーの友が民衆のために命を懸けたこと、エポニーヌがマリウスを守ったこと。
顔見知りでもそうでなくても、金銭でも行為でも、様々な「与える」行動が見られたなと。

子供向けとして誠実だと感じた事柄として、社会支援があります。
ジャンの行う支援には短期的なもの(食料や金銭を配る)と長期的なもの(労働の確保や学校の設立)がありそれらを同時に行っているのがとても良い。ガヴローシュのように貧しくても子供達の面倒を見ている様子も、お金が無くても出来ることはあるよと言っているようで好きなんですよね。
それでも、最終的にガヴローシュもブレソールもユーグも、ジャンやコゼットと家族として暮らしながら学校に通うことになるのがさらに良い。

また、世代を超えた継承の物語でもあると思います。
ジャンからコゼットとマリウス、アランに受け継がれた志は特にわかりやすく描かれました。
マリウスがコゼットからジャンの志を知ることが革命への原動力になり、アベセーの友が残した遺志がマリウスに様々な決断をさせる。
ファンティーヌがコゼットに尽くした行為がモントメイユ・シュル・メールに託児所を建設させる。
そしてコゼットが我が子を純粋に愛し育てる。
現代と当時の共通した普遍的な問題と、世代を超えて受け継がれるものを描くことで、現代の子供達へも身近に感じられるようにする狙いもあるのではないでしょうか。
だから「人は変わることができる。人類も同じだ」というスケールの大きな言葉で物語が締めくくられたのだと思います。{/netabare}



【ジャベールが最後に呟いた詩について】
{netabare}
「彼ここに永眠す。数奇な運命にもかかわらず、彼は生きた。天使を失うや、彼はみまかった。死はひとりでに訪れた。さながら昼が去り、夜が来るように」

これは原作ではジャンの墓石に木炭で書かれていたとされる詩なのだそうで。{/netabare}
この作品、原作リスペクトも相当行き届いているのではないでしょうか。
とても素敵な作品だと思います。


【視聴中のメモなど】
メモやらツイッターへの投稿やら混じってるので雑多で読みにくいですが、纏めきれなかった内容も残っているのでお暇ならどうぞ。
{netabare}
序盤で、自力で何とかしようとしすぎて自分を追い詰めてしまったファンティーヌと、何人かの大人に頼ることで自分らしさを保ったコゼット、上手く対比させた所が良かった
ファンティーヌが唯一頼ろうとしたのが市長で、そこですれ違ったことが次第にファンティーヌが人間不信になっていく切っ掛けになってしまうのとても良かった

12話、ここでガブローシュをコゼットから引き離すんだ…ガブローシュがいたらジャン・バルジャンが迎えに来てもコゼットは躊躇うんじゃないかと思ってたから上手くかわしたなあ

オリキャラの追加も適切だなって思う
市長が救った万引きの少年アランが子供向け作品に必要な役割を沢山担ってくれてて、アランは子供の視聴者に近い視点を持ってるし、マドレーヌ市長の人間性を引き出してくれるのがとても良い

エポニーヌの個別エピソードがあって、憎たらしいだけにしないの好き
エポニーヌとアゼルマは親の影響でああなってしまっただけで、根はごく普通の女の子。コゼットを羨んだりいじめたりするのは良くはないけど、普通に抱いてしまう感情だと思う
こう言うのも何だけど女の子はこういう所があるのは当然だと思うので

コゼットとガブローシュの別れもちゃんとやってるよこのアニメ!どんだけ丁寧なんだ…
ていうかアニメスタッフ、自分たちが作った設定全て使い倒すつもりだこれ

コゼット、TVドラマでも黒い服だったんだけどこれ原作からそうなのかなあ…似合うけど明るい色の方が好きだなあ、それこそ第1話みたいなピンク色とか
って思ってたらコゼットの黒い服は喪服なんだろうかと思い至る

うん…追悼の旅なのは解ってたけどね…泣かないコゼットが逆にキツイんですけど…ていうかこれまだ受け入れられてないよね…コゼット…
EDこれなの反則だよね…一気に追悼の歌になるじゃん?先がわかってるのに地味につらい
次回予告がちょっと面白い系のノリなの絶対わかっててやってるよね…
ここでちょっとでも癒されてくださいってことですか?笑えないよ…いや面白いしよく出来てるんだけども

16話めっちゃ良いな…コゼットはファンティーヌとの思い出を追ってきちんと心の整理を付けて母親の死を受け入れる、で自然に「お父さん」て呼べるようになるの本当に綺麗な流れ


修道院での様子もほのぼのする
マドレーヌとフォーシュルヴァンのコゼットを想うやり取りも好きだし、本物の監獄や外の世界の事を知ってるマドレーヌ(ジャン・バルジャン)はコゼットの事を思えば修道院内で生きて行って欲しい
でも最終的に子供の決断を認めることになる

元々子供向けではないから大人の世界の描写が多くなるのは当然ではあるけど、子供を物語の中心に据えるために色んな工夫をしてるのが良い
マリウスの祖父にしても悩む様子が色々描かれていてフォローが行き届いてる

この作品血が繋がってない親子の方が見てて和む
ガブローシュが鍛冶屋出るときの会話好きだなあ

23話
未だ出会わないコゼットとマリウスの新しい生活が始まり、他界した親に思いを馳せる二人の対比が上手いなあと
エポニーヌ、アゼルマ、ガヴローシュも顔見世してるけど時の流れが彼らをどんな風に変えたのかすごくわかりやすい
あと、家政婦のトゥーサンがかないみかさんで、この年齢の女性を演じるのがなかなか無いのでそれだけでも希少な作品だなと、シスターサンプリスもかないさん
このアニメのキャストはイメージ通りなのに普段あまり演じないような役をあてている気がするのでたまに驚く

25話の動画が繊細で眼福だった!エポニーヌが一番力入ってる気がするなあ
話の流れも綺麗に整理されてて、色んな誤解やら何やらですれ違うのが上手
ジャンとユリウスの関係がどんな風に展開するのか気になる

少女コゼット、やっぱり27話はオリジナルなんだ
話数が潤沢+子供向けとして削らざるを得ない内容があるために余裕が出来た尺にこういう単発の小品を入れてくれるのがとても良いし、暗い作風にしないよう気を使ってるの凄く感じる
ジャンにとっては禊、コゼットにとってはお母さんの様子を想像させる経験

この作品富める人も貧しい人も「与える」ことがめっちゃ多くて、父親と同じ家に住んでいるエポニーヌさえ育てた花はマリウスやコゼットが心を寄せる存在になっていて(叶わぬ恋の象徴だとしても)、貧しいかどうかは関係ないなあと
だからテナルディエが世間を喰う(奪う)と言うのがホント皮肉

34話
貧しくとも逞しく生きるガヴローシュが小気味良くて、しかも小さな子供達に生き延びる術を教える
協会で配られているパンは病気の人やお年寄りのためのものと言えるのが凄いな…
テナルディエのような父親を持ったからこその矜持なのかな

ストリートチルドレンを哀れに描かない、お金が無くても弱い人のために出来ることがあるというのをやってるのがとても好き

富める者として慈善活動を行うジャンとコゼット、パンを配って今目の前にある命を救うと同時に長い目で見て人を救う学舎を作ろうというのが凄く良い
短期的な支援と長期的な支援を描くのが子供向けとして誠実な作品だと感じる

そして27話の少女のことやコゼットから伝え聞くジャンの生き方から、マリウスは真剣に社会問題に向き合う
マリウスとコゼットの逢瀬が清廉に描かれてて、監督とシリーズ構成の采配が素晴らしいと思う

今や聖女のようなコゼットとボロボロで彷徨うエポニーヌ、こうなるのは仕方ないけどギャップが悲しい
TVドラマ見た限りでは、エポニーヌは犯罪に荷担するくらいでないとバランス取れないんだなと思ってしまう
何一つ他人に与えなかったエポニーヌが愛する人のために…というのが原作の肝なのかなって

39話
コゼットとエポニーヌの会話とても良かった
ファンティーヌとコゼットはよく似てるけど、エポニーヌアゼルマは母親に全く似ていないのも狙い通りなのかなあ
ガヴローシュの生活をしっかり描いてるのも好き

クールフェラックの「奴には奴の人生がある」という言葉がこの作品の一面を言い表している気がするなあ

ファンティーヌとコゼットは顔立ちが面長で上品、エポニーヌとアゼルマは童顔気味で素朴と、キャラデザも良く出来てる
コゼットは子供の頃にあったお茶目な所が修道院にいたからか無くなって少し寂しい気もするけど、エポニーヌの女性らしい妬みと一途さも見ててちょっと悲しくなるというか(´・ω・`)


エピローグに尺を割いたのはキャラクター達の「これから」を意識したからなのかなと。

そして少女コゼットは本来想定されていない子供のための作品。
ジャンが守り導いた若者はコゼットにとどまらず、アランというオリジナルキャラクターを設定したのに顕著だけれど、世代と時代を越え志と行為が継承される。52話という長さで丁寧に積み重ねた描写がそれに説得力を持たせた。
{/netabare}

【公式サイトより自分用メモ】
概要と監督インタビュー。興味があればどうぞ。
{netabare}
原作はフランスの文豪ビクトル・ユゴー作「レ・ミゼラブル」(邦題:「ああ無情」)。

貧しさゆえに一欠けらのパンを盗んだ罪で19年間も投獄され、出所後、ミリエル司教との出逢いにより良心に目覚め改心を誓うが、その過去によりその後も波乱の人生を送る主人公のジャン・ヴァルジャン。ナポレオン失脚後の王政復古・市民暴動に激しく揺れる19世紀初~中期のフランスにおいて、貧しき人々が運命に翻弄されながらもたくましく生きる姿を素晴らしい筆致で描ききる大河小説です。

経済が発達しグローバル化が叫ばれて久しい現代においても、社会の歪み、矛盾、人心の荒廃などといったユゴーの描くテーマは今も我々に問いかけられている普遍のテーマです。虐げられた人々、世間の片隅に追いやられた人々を愛情こもった目で見つめながら、社会の矛盾や悲惨を描写すると同時に、個性豊かな、魅力的なキャラクターたちがドラマチックな展開で我々を夢中にさせます。

この不朽の名作を、弊社の代表作である“世界名作劇場”の新たなる第一歩として取り上げ「少女コゼット」に視点を当てるという新たな切り口で現代によみがえらせる意義は大きく、広く世の人々に訴えかける良作であると確信します。{/netabare}

【桜井弘明監督インタビュー一部】
レビュータイトルはここから。

「原作はバァーン!ってあるんですけれど、時代が何しろ19世紀に書かれた物語ですし、今21世紀の皆さんに見てもらうためには少し時代に合うように変えないといけない部分もありますし、変えてはいけない部分もちゃんと見据えて、ビクトル・ユゴーの墓前に「これができました!」って持っていってもいいようなものにしたいという心構えでいます。」

(2020.10.31)

投稿 : 2024/12/14
♥ : 13

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

フランス文学を代表する原作力 もっと視聴されるべき、不朽の名作 

-----物語-----

普段アニメばかり観ているという人でも、
この作品の名前くらいは聞いたことある人は多いはず。
かくいう自分もどういう物語かは知らずに視聴しましたが、
原作やその他の媒体からアニメへ、という流れで視聴するよりも、
まずアニメからこの物語を知ることができたことは、本当に良かったと思います。

世界名作劇場の原作は、実際そこまでメジャーなタイトルではないものもありますが、
こちらの原作はフランス文学を語る上では、それ抜きにしては語れない、
ヴィクトル・ユーゴー作「レ・ミゼラブル」
世界中でこれまで数えきれないほど舞台化され、
映画やドラマ化もされている有名な原作ですが、
(最近では英BBCが制作したドラマ全8話がNHKで2020年春に放送された)
名作劇場のタイトルは副題が「少女コゼット」となっており、
このサイトのパッケージイラストも母ファンティーヌとコゼットになっていますが、
実際の原作の主人公はジャン・バルジャンというおっさんです。

アニメ化に際してコゼット視点を中心に描くことで、
硬くシリアスに振りすぎないよう(通常のアニメとしては充分過ぎるシリアスさではある)
ある程度の子供からでも観れるよう、
原作をアレンジし観やすくバランスを取っているように思いますが、
本来の主人公がおっさんなので、
内容がシンプルかつ明確なメッセージを持っているのが特徴である、
他の多くの名作劇場の作品に比べると、数多くのテーマを扱い、
また何よりその内容が濃く奥深いものとなっているのが特徴と言えます。

その他、終盤にかけては原作者自身が体験したという、
実際の歴史上の事件を絡めて描いている点も特筆すべき点ですね。
原作は5部に別れており、アニメも52話とかなりのヴォリュームですが、
ある程度簡略化し、オリジナル要素も取り入れて解り易く構成されています。
描かれる時間の経過と共に舞台も移して、一言でいえば、まぁ〜ほんとに大作ですね。
よくこれだけの物語を考えたもんやなと…ただただ凄いとしか言えません。

〜これから観る人へ〜

物語は全編通してシリアスですが、
特に序盤のコゼットの幼少期、母ファンティーヌのエピソードは悲惨で辛いです。
コゼットの常に味方であるガブローシュやシュシュは居るものの、
悪役のテナルディエ夫妻たちやファンティーヌの周りの人間のせいで、
かなり胸糞悪いし哀しいです。
(それでも原作よりかなりマイルドとのことですが…)
でも、何とかここを耐えて観続けてほしいですね。
哀しみの中にも心温まる感動の名場面もあるので。
実際のところ序盤はコゼットを主人公に描くためのオリジナルが多いようです。

中盤以降コゼットの存在感がやや薄れてくるにつれ、
スローペースになる印象も受けますが、
後半〜終盤にかけてはどんどん目が離せなくなってきます。
すべてはラストに向けての必要な展開で、しっかりとオチも付けており、
視聴後には何ものにも代えがたい大きな感動と余韻を貰えることでしょう。

〜既に観た人への感想〜
(ネタバレではありません)

当時思想家でもあった原作者は死刑廃止論者であり、
作品の根底にはキリスト教的な赦しの思想があると思いますが、
キリスト教徒ではない一般的な日本人の思想とはやや異なるかなという気がします。
自分にとってはこれが良い意味で考えされられるものでした。

ジャン・バルジャンの「人は変わることができる」という作品内の名言に関して、
とても感銘を受けましたが、自分は100%の共感はしていません。
テナルディエのような根っからの悪党が、
ジャン・バルジャンほどのレベルにまでは決して変わらないでしょう。
なので、ジャベールの信念や葛藤にも共感できる部分があります。
罪を償ってまともな人間になったとしても、
それが本来の普通であって、過去のマイナスを帳消しにして、
プラスに転じるまでのことをやる人間なんて、実際どれだけいるでしょうか。
だからこそジャン・バルジャンの行ったことに胸を打たれるんですが。

作品を観た後で自分が言葉を付け足していいなら…
「人は変わることができる(かもしれないけど、よっぽどのことが無ければ変わらない)」と。
ジャン・バルジャンはよっぽどのこと(ミリエル司教との出会い)があったから変われたけど、
そもそもジャン・バルジャンは小さな罪を己の優しさから犯したのであって、
元々は善人だったと思います。
貧困や弱さ、世の中の不条理が人を変えてしまうということを、
作品を観て改めて痛感されられました。

-----声優-----
アニメより吹替などの仕事が多いせいか、
ジャン・バルジャンを演じた菅原さんの低音で落ち着いた声が新鮮で渋かったです。
自分にとってはスカパー!内での釣りビジョンで以前から聞き馴染みがあったので、
アニメで実質的な主役をやってたのが驚きではありましたが、
できればまたアニメの仕事もやってほしいなと思いました。

コゼット演じる名塚佳織さんも声優として充実期を迎えるタイミングでの抜擢とあって、
少女役なんかは年月を経た今となってはなかなか新鮮ですね。
その他登場人物がそこそこ多いながらも、
やはり名作劇場で起用される方々の演技は安定しており安心感がありました。
今では人気声優の沢城みゆき、戸松遥さんがちょい役で出ているので、
注意していれば気付けるかもしれません。

-----キャラ-----
名作劇場に出てくる主要キャラはそもそも聖人的なタイプが多いものですが、
この作品に出てくるジャン・バルジャンは元徒刑囚という設定が特筆すべき点です。
彼の波乱万丈かつ激動の人生を通じて、
その言葉や行い、苦悩や葛藤から本当に大きな感銘を受け、
人生に於ける人として大事な事を学ばせて貰ったように思います。
因みに彼にとっての運命的な出会いである、ミリエル司教とのエピソードは、
本編では過去の出来事として、そこまで掘り下げられてはいませんが、
小学校での道徳の授業でも取り上げられているほど素晴らしいもので、
この部分だけで1話使っても良かったと思えるほどです。

登場人物は結構な数になりますが、本当にドラマチックで、
序盤からのキャラを殆ど使い捨てにしていないのが凄い。
ジャン・バルジャンやコゼット、マリウスとの関わりを、舞台や時間が経過しても、
絡み合う運命、宿命ともいうべき描かれ方で見事に繋げています。
途中で正直もうお前は出てこんでエエわ、と思うこともありましたが笑
終盤に見事なオチがついているので納得できます。

原作とは異なるオリジナルキャラや死ぬはずの人間が生きているなどの改変がありますが、
原作未読でアニメから観た自分には全く違和感なく、
むしろこちらの方が良いのでは?と思える良アレンジになっていると思います。
これが原作を読んでアニメを観た人だと、相違にケチをつけたくなるかもしれませんから。

-----作画-----
名作劇場は長らくセル画で作られていましたが、
10年の中断期間の間に制作環境も変化し、
本作がデジタル化されてから初めての作品となっています。

大きく変わった点として、キャラデザインがこれまでの作品とは異なり、
コゼットの幼女時代など、やや萌えを意識したものになっているのは、
以前の名作劇場の作品と比べると賛否両論あるかもしれませんが、
昨今のアニメ事情を鑑みれば、特に違和感はないかもしれません。

デジタル化して以降の作画レベルとしてみれば、あまり高度なものではないとは思いますが、
(普通に考えて52話途切れずハイレベルな作画を続けられるわけがない)
セル画時代から受け継がれている、味わい深い背景描写は健在です。

-----音楽-----
OP,ED共に斉藤由貴が歌っていますが、
これは日本で「レ・ミゼラブル」のミュージカルが1987年に初上演された際に、
彼女がコゼット役を演じていたことに関係しているようです。

自分は先に曲を聴いて直感で視聴するかどうかを決めましたが、間違いなかったですね笑
OPアニメーションも同様に感動的なものです。
物語のラストにOPの2番が初めて流されますが、涙なしには観れません。
また、挿入曲として名塚佳織さんが歌った「夢であおうね」と、
44話のクライマックスでのみ流れた「私にできること」も共に胸が締め付けられるもので、
名場面を彩る極上のものとなっており、こちらも感涙必至です。

名作劇場で一番力を入れていると個人的に思うのがBGMですが、
本作も同様に本当に素晴らしい楽曲の数々です。
曲数もさることながら、オーケストレーションメインで、
アコースティックな生音の温かみが感じられ、
サントラが欲しくなる、とても素晴らしい仕上がりだと思います。
ややドラクエっぽいところがあるなと思って後で調べてみると、
これまでにすぎやまこういち氏と共同でゲーム音楽などを制作されている方のようで、
なるほどと納得しました。

-----最後に-----
世界名作劇場が地上波での放送を終了して10年という月日が流れ、
BS枠になって復活した際に放送された作品ということもあってか、
名作劇場の作品群の中でも世間的にはあまり認知されていないように思います。
実際「ロミオの青い空」などと比べると「あにこれ」におけるレビューも少ないですが、
ここまで素晴らしい作品が隠れた名作として埋もれているのは本当に勿体ない。

本当に素晴らしい物語を観たいという人へ、
52話は確かに視聴をためらう長さですが、
中途半端な作品を5本観るより、よっぽど価値がある内容だと思います。
なぜこの物語が不朽の名作として時代を超えて世界中で愛され続けているのか、
ぜひ確かめて頂きたいですね。

投稿 : 2024/12/14
♥ : 7
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